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特許7555796ダイポールアンテナ、偏波共用アンテナ、および、アレーアンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】ダイポールアンテナ、偏波共用アンテナ、および、アレーアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/16 20060101AFI20240917BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H01Q9/16
H01Q1/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020187014
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076582
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193389
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 智利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】天川 英二
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0146869(US,A1)
【文献】特開2004-350046(JP,A)
【文献】特開2016-119551(JP,A)
【文献】特開2006-352293(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116207503(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/16
H01Q 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層上に設けられたアンテナ部を有し、
前記誘電体層に形成され、前記アンテナ部と接続される疑似同軸線路を備え、
前記疑似同軸線路は、外導体、および、信号線を有し、
前記信号線は、
前記アンテナ部の有する2つのアンテナ素子の間のギャップを通って配置されており、前記アンテナ部を励振するものであることを特徴とする、ダイポールアンテナ。
【請求項2】
前記外導体および前記信号線がスルーホールにより構成されることを特徴とする、請求項1に記載のダイポールアンテナ。
【請求項3】
前記信号線が3本以上の前記外導体に囲まれて配置されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のダイポールアンテナ。
【請求項4】
前記信号線は、一方の前記アンテナ素子に対して所定距離だけ離間して対向し、他方の前記アンテナ素子に接続されており、かつ、他方の前記アンテナ素子は前記疑似同軸路により接地されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のダイポールアンテナ。
【請求項5】
前記信号線は、前記アンテナ部の有する2つの前記アンテナ素子に対して所定距離だけ離間して対向し、高周波電流または高周波電流が供給される側と反対側の終端は開放されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のダイポールアンテナ。
【請求項6】
前記誘電体層は、第一誘電体層と第二誘電体層を有し、
前記アンテナ部は前記第二誘電体層上に設けられており、
前記信号線の少なくとも一部は前記第一誘電体層上に設けられ、ギャップ線路を形成することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のダイポールアンテナ。
【請求項7】
前記誘電体層のうち、前記アンテナ部が設けられている側と反対側に、伝送線路を有する伝送層を有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のダイポールアンテナ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のダイポールアンテナを2つ備え、2つの前記ダイポールアンテナは互いに直交することを特徴とする、偏波共用アンテナ。
【請求項9】
2つの前記ダイポールアンテナは異なる前記誘電体層上に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の偏波共用アンテナ。
【請求項10】
分配回路または合成回路を有し、請求項1ないし7のいずれかに記載のダイポールアンテナを複数有する、または、請求項8または9に記載の偏波共用アンテナを複数有することを特徴とする、アレーアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信基地局用アンテナに好適なダイポールアンテナ、偏波共用アンテナ、および、アレーアンテナに関するものであり、特に、5Gにて割り当てられた、28GHz帯以上の周波数において、従来実現困難だった、ダイポールアンテナ、偏波共用ダイポールアンテナ、および、アレーアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
移動無線通信では、容量拡大のためMIMO(Multi Input Multi Output)への適用が必須となっている。 MIMO実現に直交偏波共用を用いた、偏波MIMOがある。
その対応のため、携帯電話基地局アンテナは、偏波共用アンテナを用いている。
偏波共用アンテナは 1つのアンテナで、直交する2つの偏波を放射することが可能であり、基地局アンテナの小形化に寄与する。
【0003】
従来割り当てられている、SUB6帯、つまり6GHz以下の周波数帯では、例えば特許文献2に記載のようなダイポールアンテナや、特許文献1に記載のようなパッチアンテナでの偏波共用アンテナが知られている。
一方で、5Gにおいて割り当てられた28GHz帯や、それ以上のミリ波帯では、ダイポールアンテナは困難であるため、パッチアンテナなどが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-46326号公報
【文献】特開2014-39192号公報
【文献】特許第6341293号
【文献】特許第5638827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイポールアンテナは、動作のために、バラン回路を含む必要がある。
従来のバラン回路は、例えば誘電体基板を用いた形が実施されており、基板が自立することが前提とした構成となっている。
つまり、SUB6帯では、各偏波アンテナ用バランを別体の基板にて構成、自立可能な構造とできる。
しかし、28GHz帯では、波長が非常に短く、アンテナ構造が小形で微細になるため、基板単体での自立が不可能であり、SUB6と同様の自立構造の確保が困難である。
【0006】
また、特許文献2に記載のようなダイポールアンテナは、多層基板で実現が困難である。多層基板などの立体回路では、垂直方向(バラン回路を構成する方向)は、スルーホールによって導体を構成するが、スルーホールでは、従来構成例のような、平面板(ストリップライン構造)での構成ができない。
通常多層基板等を用いて立体化するため、設計のしやすさから、パッチアンテナは実現可能である。特許文献1に記載のような、パッチアンテナであれば、多層基板などの立体回路を用いて、偏波共用は可能だが、ダイポールアンテナと比較して、交差偏波特性やアイソレーション特性が良くない。
特許文献3および特許文献4に記載のようなパッチアンテナと協働する形でパッチアンテナと併用されるダイポールアンテナでも、ダイポールアンテナと比較して、交差偏波特性やアイソレーション特性が良くない。また、特許文献3に記載のアンテナでは高周波素子からの不要放射は考慮しているものの、特許文献3および特許文献4はいずれも信号線の影響を考慮しておらず、疑似同軸線路のような発想はない。
そのため、多層基板での構成を前提とすると、バラン回路含めた、新たな偏波共用ダイポールアンテナの構造を検討しなければならない。
【0007】
そこで、本発明は、28GHz帯以上、またそれに準ずる高周波数帯における、多層基板やその他立体回路(LTCCなど)の構成に適する、ダイポールアンテナ、偏波共用アンテナ、および、アレーアンテナを実現することを目的とする。
また、本発明は、多層基板やそれに準ずる立体回路構成にて、ダイポールアンテナ、偏波共用アンテナ、および、アレーアンテナを実現することを目的とする。
また、本発明は、5Gで割り当てられた28GHz帯以上の周波数で、パッチアンテナと比較して広帯域かつ、良好なアイソレーション・交差偏波特性を得ることにより、MIMO性能やビームフォーミング性能にとってより好適となるダイポールアンテナ、偏波共用アンテナ、および、アレーアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係るダイポールアンテナは、
誘電体層上に設けられたアンテナ部を有し、
前記誘電体層に形成され、前記アンテナ部と接続される疑似同軸線路を備え、
前記疑似同軸線路は、外導体、および、信号線を有することを特徴とする、ダイポールアンテナである。

本発明の請求項2に係るダイポールアンテナは、
前記外導体および前記信号線がスルーホールにより構成されることを特徴とする、請求項1に記載のダイポールアンテナである。

本発明の請求項3に係るダイポールアンテナは、
前記信号線が3本以上の前記外導体に囲まれて配置されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のダイポールアンテナである。

本発明の請求項4に係るダイポールアンテナは、
前記信号線は、
前記アンテナ部の有する2つのアンテナ素子の間のギャップを通って配置されており、前記アンテナ部を励振するものであり、
一方の前記アンテナ素子に対して所定距離だけ離間して対向し、他方の前記アンテナ素子に接続されており、かつ、他方の前記アンテナ素子は前記疑似同軸回路により接地されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のダイポールアンテナである。

本発明の請求項5に係るダイポールアンテナは、
前記信号線は、
前記アンテナ部の有する2つのアンテナ素子の間のギャップを通って配置されており、前記アンテナ部を励振するものであり、
前記アンテナ部の有する2つの前記アンテナ素子に対して所定距離だけ離間して対向し、高周波電流または高周波電流が供給される側と反対側の終端は開放されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のダイポールアンテナである。

本発明の請求項6に係るダイポールアンテナは、
前記誘電体層は、第一誘電体層と第二誘電体層を有し、
前記アンテナ部は前記第二誘電体層上に設けられており、
前記信号線の少なくとも一部は前記第一誘電体層上に設けられ、ギャップ線路を形成することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のダイポールアンテナである。

本発明の請求項7に係るダイポールアンテナは、
前記誘電体層のうち、前記アンテナ部が設けられている側と反対側に、伝送線路を有する伝送層を有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のダイポールアンテナである。

本発明の請求項8に係る偏波共用アンテナは、
請求項1ないし7のいずれかに記載のダイポールアンテナを2つ備え、2つの前記ダイポールアンテナは互いに直交することを特徴とする、偏波共用アンテナである。

本発明の請求項9に係る偏波共用アンテナは、
2つの前記ダイポールアンテナは異なる前記誘電体層上に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の偏波共用アンテナである。

本発明の請求項10に係るアレーアンテナは、
分配回路または合成回路を有し、請求項1ないし7のいずれかに記載のダイポールアンテナを複数有する、または、請求項8または9に記載の偏波共用アンテナを複数有することを特徴とする、アレーアンテナである。

本発明は、以上の構成により、ダイポールアンテナに起因する、広帯域な電気特性が得られる。
また、従来のパッチアンテナと比較して、良好な交差偏波識別度特性、アイソレーション特性が得られるため、偏波MIMOやビームフォーミングに対して、より好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図2】本発明の一実施例における疑似同軸線路の構成例を示す。
図3】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図4】本発明の一実施例における疑似同軸線路の構成例を示す。
図5】本発明の一実施例における疑似同軸線路の構成例を示す。
図6】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図7】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図8】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図9】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図10】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図11】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図12】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図13】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図14】本発明の一実施例におけるダイポールアンテナの構成例を示す。
図15】本発明の一実施例における偏波共用アンテナの構成例を示す。
図16】本発明の一実施例における偏波共用アンテナの構成例を示す。
図17】本発明の一実施例における偏波共用アンテナの構成例を示す。
図18】本発明の一実施例におけるアレーアンテナの構成例を示す。
図19】本発明の一実施例におけるアレーアンテナの構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施例における係るダイポールアンテナ100の構成例を示す。
ダイポールアンテナ100は、誘電体層300上に設けられたアンテナ部110を有する。
【0011】
疑似同軸線路200が誘電体層300に形成され、アンテナ部110と接続される。なお、疑似同軸線路がアンテナ部と接続される、および「アンテナ部と接続される疑似同軸線路」とは、外導体210が接続されることを意味し、後述のように信号線220は必ずしもアンテナ部110に電気的に接続されるとは限らない。また、疑似同軸線路がアンテナ部と接続される、および、「アンテナ部と接続される疑似同軸線路」とは、外導体と信号線を有する疑似同軸線路が同一のアンテナ素子に接続されることを意味する。
本実施例では、後述のショートバラン構成となっている。
【0012】
図2は、本発明の一実施例における疑似同軸回路の構成例を示す。
疑似同軸線路200は、外導体210、および、信号線220を有する。
本実施例において、外導体210および信号線220はスルーホールにより構成される。
本構成により、外導体210および信号線220の形成が容易となる。
【0013】
一実施例において、ダイポールアンテナ100で送信または受信される電波の周波数が28GHz以上である。24.7~30.2GHzで実施してもよく、24.7GHz以上とすることもできる。
本構成により、5G規格にも対応できる。
【0014】
図3は本発明の一実施例におけるダイポールアンテナ100の構成例を示す。また、図4は本発明の一実施例における疑似同軸線路200の構成例を示す。
本実施例において、アンテナ部110には3本以上の疑似同軸線路200が接続される。
そして、信号線220は3本以上の外導体210に囲まれて配置されている。「外導体210に囲まれて配置されている」とは、断面において、周囲の3本以上の外導体210を結ぶ面内に、信号線220のうち垂直方向に延びる部分の半分以上が配置されていることを意味する。したがって、図4に示される構成以外に、図5に示される疑似同軸線路200の構成例などでもよい。
本構成により、信号線220からの影響および信号線220への影響の双方が外導体210により抑制でき、外部からの影響、外部への影響、交差偏波識別度やアイソレーション特性が改善される。つまり、疑似同軸線路200の構造を採用することにより、アンテナの特性などが改善できる。
【0015】
図3および図4に示されるように、ダイポールアンテナ100は中心に垂直方向に対称軸を備え、外導体210および信号線220も対称軸に対称に配置することができる。この場合、より一層、前述の特性などが改善される。図5に示される構成でも同様である。
【0016】
図6は本発明における一実施例におけるダイポールアンテナ100の構成例を示す。本実施例では4本の外導体210が1本の信号線220を囲んでいる。
信号線220を囲む外導体210は、5本以上であってもよい。
1のダイポール素子に接続される信号線220は複数であってもよい。本構成であれば、ダイポールアンテナ100の制御において精度を向上できる。
また、1の外導体210が構成上複数の疑似同軸線路200に属する構成でもよい。この構成であれば、少ない数の外導体210により、効率よく信号線220同士の影響などを抑制することができる。
【0017】
図7は本発明の一実施例におけるダイポールアンテナ100の回路の構成例を模式的に示す。
信号線220には高周波電圧または高周波電流が供給される。
【0018】
信号線220は、アンテナ部110の有する2つのアンテナ素子111の間のギャップGを通って配置されており、アンテナ部110を励振するものである。
信号線220は、アンテナ部110の有する2つのアンテナ素子111のうち、一方のアンテナ素子111に対して、アンテナ素子111の下側から所定距離だけ離間して対向し、ギャップ間を通って、他方のアンテナ素子111に接続されており、かつ、他方のアンテナ素子111は疑似同軸回路により接地されている、ショートバラン構成である。信号線220のアンテナ部110への接続は、アンテナ素子111の端部が望ましい。
【0019】
ここで、「接地されている」とは、直接接地されていることだけでなく、接地用の端子や導線などに接続されているや、接地用の端子や導線などに接続するための端子等に接続されていることを含む。
本実施例において、24.7~30.2GHzでー10dB以下のリターンロスが得られる。
【0020】
図8は本発明の一実施例におけるダイポールアンテナ100の回路の構成例を模式的に示す。
信号線220には高周波電圧または高周波電流が供給される。
【0021】
信号線220は、アンテナ部110の有する2つのアンテナ素子111の間のギャップGを通って配置されており、アンテナ部110を励振するものである。
信号線220は、アンテナ部110の有する2つのアンテナ素子111に対してアンテナ素子111の下側から所定距離だけ離間して対向し、高周波電流または高周波電流が供給される側と反対側の終端は他の回路に電気的に接続されずに開放されている、オープンバラン構成である。
【0022】
図9および図10はダイポールアンテナ100の構成例を模式的に示す。
図9はショートバラン構成を、図10はオープンバラン構成を示す。
【0023】
誘電体層300は、第一誘電体層301と第二誘電体層302を有する。
第二誘電体層302上にアンテナ部110が設けられている。
また、信号線220の少なくとも一部は第一誘電体層301上に設けられ、ギャップ線路221を形成する。ギャップ線路221は、アンテナ部110に対して信号線220が所定距離離間して配置されることにより、アンテナ部110に必要な電位を供給する。
【0024】
図11図12はダイポールアンテナ100の構成例を模式的に示す。
図11はショートバラン構成を、図12はオープンバラン構成を示す。
本実施例では、誘電体層300のうち、アンテナ部110が設けられている側と反対側に、伝送線路230を有する伝送層310を有する。伝送層310においてアンテナに必要な回路を構成することができる。
図13に示されるように第二誘電体層を有するショートバラン構成や、図14に示されるように第二誘電体層を有するオープンバラン構成としてもよい。
【0025】
図15は本発明の一実施例における偏波共用アンテナ101の構成例を模式的に示す。
偏波共用アンテナ101は、これまで述べたダイポールアンテナ100を2つ備え、2つのダイポールアンテナ100は互いに直交する。
疑似同軸線路200を3本以上設ける本構成では、交差偏波識別度や2つのアンテナ部110同士のアイソレーション特性が特に改善され、24.7~30.2GHzでー10dBのリターンロスと共に、25dB程度のアイソレーション特性が得られる。
【0026】
図16図17は本発明の一実施例における偏波共用アンテナ101の構成例を模式的に示す。
図16はショートバラン構成を、図17はオープンバラン構成を示す。
【0027】
第一誘電体層301の上に第二誘電体層302が形成され、第二誘電体層302の上に第三誘電体層303が形成されている。
2つのダイポールアンテナ100は異なる誘電体層300上に形成されている。つまり、1つのダイポールアンテナ100は第二誘電体層302上に形成され、このダイポールアンテナ100と直交するもう1つのダイポールアンテナ100は第三誘電体層303上に形成されている。
【0028】
スペースが許す場合には、第二誘電体層302や第三誘電体層303に複数のダイポールアンテナ100を形成することもできる。
本構成により、設置面積や特性などに応じて、2以上のダイポールアンテナ100を容易に設計し形成することができる。
【0029】
図18は本発明の一実施例におけるアレーアンテナ102の構成例を示す。
図19に示されるように、アレーアンテナ102は分配回路321または合成回路322を有する。また、先述の偏波共用アンテナ101を複数有する。
【0030】
本実施例においては、分配合成部320が分配回路321および合成回路322を有しており、分配回路321および合成回路322は複数の偏波共用アンテナ101に接続されている。
アレーアンテナ102はこれまで述べたダイポールアンテナ100を複数有する構成とすることもできる。
【0031】
以上のような構成により、ダイポールアンテナに起因する、広帯域な電気特性が得られるとともに、従来のパッチアンテナと比較して、良好な交差偏波識別度特性、アイソレーション特性が得られるため、偏波MIMOやビームフォーミングにおいて大変有利である。
特に、多層基板などを用いることができるため、給電回路の引き回しも容易に実現できる。
さらに、パッチアンテナと比較して、交差偏波が少なくMIMOの効果が高まるのみでなく、ビーム幅を広げる、狭める、サイドローブを下げるなどの柔軟な素子指向性の変更ができ、設計の自由度が高い。
【0032】
本発明は以上の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施例を含むことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
100 ダイポールアンテナ
101 偏波共用アンテナ
102 アレーアンテナ

110 アンテナ部
111 アンテナ素子

200 疑似同軸線路
210 外導体
220 信号線
221 ギャップ線路
230 伝送線路

300 誘電体層
301 第一誘電体層
302 第二誘電体層
303 第三誘電体層
310 伝送層
320 分配合成部
321 分配回路
322 合成回路

G ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19