(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240917BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240917BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240917BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240917BHJP
H10B 43/30 20230101ALI20240917BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240917BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H01L29/78 301F
H01L29/78 371
H10B43/30
H01L29/78 301G
H01L27/088 C
H01L27/088 H
(21)【出願番号】P 2020193694
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 悟
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002309(JP,A)
【文献】特開2018-170444(JP,A)
【文献】特開2018-186162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0103441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/30
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/78
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の第1領域上に第1元素を含有しない第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記半導体基板の第2領域上に前記第1元素を含有する第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、
前記半導体基板の第3領域上に前記第1元素を含有する第3ゲート絶縁膜を介して形成された第3ゲート電極とを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板の前記第1領域
、前記第2領域
および前記第3領域上に、前記第1ゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、
(b)前記第1絶縁膜上に、前記第1ゲート電極用の第1導電膜を形成する工程、
(c)前記半導体基板の前記第2領域上
および前記第3領域上の前記第1絶縁膜および前記第1導電膜を除去し、前記半導体基板の前記第1領域上の前記第1絶縁膜および前記第1導電膜を残す工程、
(d)前記半導体基板の前記第2領域上に、前記第2ゲート絶縁膜用の第2絶縁膜を形成する工程、
(e)前記半導体基板の前記第3領域上に、前記第3ゲート絶縁膜用の第3絶縁膜を形成する工程、
(
f)前記第2絶縁膜
、前記第3絶縁膜および前記第1導電膜上に、前記第1元素を含有する第1の膜を形成する工程、
(
g)前記第1の膜上に、前記第2ゲート電極用の第2導電膜を形成する工程、
(
h)前記第2導電膜をパターニングすることにより前記第2ゲート電極
および前記第3ゲート電極を形成し、前記第1導電膜をパターニングすることにより前記第1ゲート電極を形成する工程、
を有し、
前記第1元素は、Hf、AlまたはZrであり、
前記第1ゲート絶縁膜は、前記第1絶縁膜により形成され、
前記第2ゲート絶縁膜は、前記第2絶縁膜および前記第1の膜により形成され
、
前記第3ゲート絶縁膜は、前記第3絶縁膜および前記第1の膜により形成され、
前記第3絶縁膜は、電荷蓄積部を有する絶縁膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電膜および前記第2導電膜のそれぞれは、シリコン膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、酸化シリコン膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2絶縁膜は、酸化シリコン膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の膜は、ハフニウム膜、酸化ハフニウム膜、アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、ジルコニウム膜または酸化ジルコニウム膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1元素は、Hfである、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項
6記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の膜は、ハフニウム膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記
(f)工程では、前記第1の膜はスパッタリング法により形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(
h)工程は、
(
h1)前記第1導電膜上の前記第2導電膜を除去し、かつ、前記半導体基板の前記第2領域上に位置する前記第2導電膜をパターニングすることにより、パターニングされた前記第2導電膜からなる前記第2ゲート電極
と、前記半導体基板の前記第3領域上に位置する前記第2導電膜をパターニングすることにより、前記第3ゲート電極を形成する工程、
(
h2)前記(
h1)工程後、前記半導体基板の前記第1領域上に位置する前記第1導電膜をパターニングすることにより、パターニングされた前記第1導電膜からなる前記第1ゲート電極を形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(
h)工程は、
(
h3)前記第1導電膜上の前記第2導電膜を除去する工程、
(
h4)前記(
h3)工程後、前記第1導電膜および前記第2導電膜をパターニングすることにより、パターニングされた前記第1導電膜からなる前記第1ゲート電極と、パターニングされた前記第2導電膜からなる前記第2ゲート電極と
、パターニングされた前記第2導電膜からなる前記第3ゲート電極とを形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、例えば、トランジスタを有する半導体装置の製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、半導体基板にソース・ドレイン用の半導体領域を形成することにより、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を形成することができる。
【0003】
特開2008-41832号公報(特許文献1)には、ゲート絶縁膜にHfに代表されるHigh-k材料を導入したMISFETが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MISFETを有する半導体装置において、性能を向上させることが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板の第1領域および第2領域上に第1絶縁膜を形成する工程、(b)前記第1絶縁膜上に第1導電膜を形成する工程、(c)前記半導体基板の前記第2領域上の前記第1絶縁膜および前記第1導電膜を除去し、前記半導体基板の前記第1領域上の前記第1絶縁膜および前記第1導電膜を残す工程、を有する。半導体装置の製造方法は、更に、(d)前記半導体基板の前記第2領域上に第2絶縁膜を形成する工程、(e)前記第2絶縁膜および前記第1導電膜上に第1元素を含有する第1の膜を形成する工程、(f)前記第1の膜上に第2導電膜を形成する工程、を有する。半導体装置の製造方法は、更に、(g)前記第2導電膜をパターニングすることにより第2ゲート電極を形成し、前記第1導電膜をパターニングすることにより第1ゲート電極を形成する工程、を有する。前記第1ゲート電極は、前記半導体基板の前記第1領域上に前記第1元素を含有しない第1ゲート絶縁膜を介して形成され、前記第2ゲート電極は、前記半導体基板の前記第2領域上に前記第1元素を含有する第2ゲート絶縁膜を介して形成される。前記第1元素は、Hf、AlまたはZrである。前記第1ゲート絶縁膜は、前記第1絶縁膜により形成され、前記第2ゲート絶縁膜は、前記第2絶縁膜および前記第1の膜により形成される。
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板の第1領域および第2領域上に第2絶縁膜を形成する工程、(b)前記第2絶縁膜上に第1元素を含有する第1の膜を形成する工程、(c)前記第1の膜上に第2導電膜を形成する工程、を有する。半導体装置の製造方法は、更に、(d)前記半導体基板の前記第1領域上の前記第2絶縁膜、前記第1の膜および前記第2導電膜を除去し、前記半導体基板の前記第2領域上の前記第2絶縁膜、前記第1の膜および前記第2導電膜を残す工程、(e)前記半導体基板の前記第1領域上と前記第2導電膜上とに第1絶縁膜を形成する工程、を有する。半導体装置の製造方法は、更に、(f)前記第1絶縁膜上に第1導電膜を形成する工程、(g)前記第2導電膜をパターニングすることにより第2ゲート電極を形成し、前記第1導電膜をパターニングすることにより第1ゲート電極を形成する工程、を有する。前記第1ゲート電極は、前記半導体基板の前記第1領域上に前記第1元素を含有しない第1ゲート絶縁膜を介して形成され、前記第2ゲート電極は、前記半導体基板の前記第2領域上に前記第1元素を含有する第2ゲート絶縁膜を介して形成される。前記第1元素は、Hf、AlまたはZrである。前記第1ゲート絶縁膜は、前記第1絶縁膜により形成され、前記第2ゲート絶縁膜は、前記第2絶縁膜および前記第1の膜により形成される。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図2】
図1と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図3】
図1に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図4】
図3と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図5】
図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図6】
図5と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図7】
図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図8】
図7と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図9】
図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図10】
図9と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図11】
図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図12】
図11と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図13】
図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図14】
図13と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図15】
図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図16】
図15と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図17】
図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図18】
図17と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図19】
図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図20】
図19と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図21】
図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図22】
図21と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図23】
図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図24】
図23と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図25】
図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図26】
図25と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図27】
図25に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図28】
図27と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図29】
図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図30】
図29と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図31】
図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図32】
図31と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図33】他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図34】
図33と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図35】
図33に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図36】
図35と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図37】他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図38】
図37と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図39】
図37に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図40】
図39と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図41】
図39に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図42】
図41と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図43】
図41に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図44】
図43と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図45】
図43に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図46】
図45と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図47】
図45に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図48】
図47と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図49】
図47に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図50】
図49と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図51】
図49に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図52】
図51と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図53】
図51に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図54】
図53と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図55】
図53に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図56】
図55と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図57】
図55に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図58】
図57と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
【0015】
ここで、メモリセル領域1Aは、半導体基板SBの主面において、不揮発性メモリのメモリセルが形成される領域である。また、トランジスタ形成領域1Bは、半導体基板SBの主面において、Hfを含有しないゲート絶縁膜を備えるトランジスタ(後述のMISFET4に対応)が形成される領域である。また、トランジスタ形成領域1Cは、半導体基板SBの主面において、Hfを含有するゲート絶縁膜を備えるトランジスタ(後述のMISFET5に対応)が形成される領域である。メモリセル領域1Aとトランジスタ形成領域1Bとトランジスタ形成領域1Cとは、同じ半導体基板SBに存在している。すなわち、メモリセル領域1Aとトランジスタ形成領域1Bとトランジスタ形成領域1Cとは、同一の半導体基板SBの主面における互いに異なる平面領域に対応している。また、不揮発性メモリのメモリセルは、直列に接続されたメモリトランジスタおよび制御トランジスタにより構成される。このため、メモリセル領域1Aのうち、制御トランジスタが形成される領域を制御トランジスタ形成領域1A1と称し、メモリセル領域1Aのうち、メモリトランジスタが形成される領域をメモリトランジスタ形成領域1A2と称することとする。制御トランジスタ形成領域1A1とメモリトランジスタ形成領域1A2とは、ゲート長方向(メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGのゲート長方向)において、隣り合っている。制御トランジスタ形成領域1A1は、制御ゲート電極CGが形成される領域を含んでおり、メモリトランジスタ形成領域1A2は、メモリゲート電極MGが形成される領域を含んでいる。なお、メモリトランジスタは、記憶用のMISFETであり、制御トランジスタは、メモリセル選択用のMISFETである。
【0016】
また、トランジスタ形成領域1Bに形成されるトランジスタ(MISFET4)とトランジスタ形成領域1Cに形成されるトランジスタ(MISFET5)は、いずれも周辺回路用のMISFETである。ここで、周辺回路とは、不揮発性メモリ以外の回路であり、例えば、CPUなどのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、入出力回路などである。
【0017】
なお、本実施の形態では、各MISFETがnチャネル型のMISFETである場合について説明するが、導電型を逆にして、pチャネル型のMISFETを形成することもできる。また、nチャネル型のMISFETとpチャネル型のMISFETの両方を形成することもできる。
【0018】
図1および
図2に示されるように、まず、例えば1~10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBを用意(準備)する。それから、半導体基板SBの主面に、活性領域を規定(画定)する素子分離領域(素子間分離絶縁領域)STを形成する。
【0019】
素子分離領域STは、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成することができる。例えば、半導体基板SBの主面に素子分離用の溝を形成した後、この素子分離用の溝内に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域STを形成することができる。
【0020】
次に、半導体基板SBのメモリセル領域1Aにp型ウエルPW1を、半導体基板SBのトランジスタ形成領域1Bにp型ウエルPW2を、半導体基板SBのトランジスタ形成領域1Cにp型ウエルPW3を形成する。p型ウエルPW1,PW2,PW3は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を半導体基板SBにイオン注入することなどによって形成することができる。p型ウエルPW1,PW2,PW3は、半導体基板SBの主面から所定の深さにわたって形成される。
【0021】
次に、
図3および
図4に示されるように、半導体基板SBの主面に絶縁膜GF1を形成する。絶縁膜GF1は、トランジスタ形成領域1Bに形成されるMISFET4のゲート絶縁膜用の絶縁膜である。絶縁膜GF1は、Hf(ハフニウム)を含有していない材料からなり、例えば酸化シリコン膜などからなり、熱酸化法またはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。絶縁膜GF1は、メモリセル領域1Aにおける半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW1の上面)と、トランジスタ形成領域1Bにおける半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW2の上面)と、トランジスタ形成領域1Cにおける半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW3の上面)とに形成される。また、
図3および
図4には、素子分離領域ST上にも絶縁膜GF1が形成された場合が示されているが、素子分離領域ST上に絶縁膜GF1が形成されない場合もあり得る。
【0022】
次に、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜GF1上に、シリコン膜PS1を形成する。シリコン膜PS1は、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができるが、成膜時はシリコン膜PS1をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変えることもできる。シリコン膜PS1にn型またはp型の不純物を導入する場合は、シリコン膜PS1の成膜時または成膜後にn型またはp型の不純物を導入することができる。メモリセル領域1A、トランジスタ形成領域1Bおよびトランジスタ形成領域1Cにおいて、シリコン膜PS1は絶縁膜GF1上に形成される。シリコン膜PS1は、トランジスタ形成領域1Bに形成されるMISFET4のゲート電極用の導電膜である。
【0023】
次に、
図5および
図6に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、メモリセル領域1Aのシリコン膜PS1および絶縁膜GF1と、トランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS1および絶縁膜GF1とを除去し、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS1および絶縁膜GF1は除去せずに残存させる。具体的には、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS1を覆い、かつ、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS1を露出するようなフォトレジスト膜(図示せず)を形成してから、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとして用いて、シリコン膜PS1をエッチングする。これにより、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS1および絶縁膜GF1を選択的に除去することができる。
【0024】
次に、
図7および
図8に示されるように、半導体基板SBの主面(表面)上とシリコン膜PS1の表面(上面および側面)上とに、絶縁膜MZを形成する。メモリセル領域1Aにおいては、絶縁膜MZは、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW1の上面)に形成され、トランジスタ形成領域1Bにおいては、絶縁膜MZは、シリコン膜PS1の表面に形成され、トランジスタ形成領域1Cにおいては、絶縁膜MZは、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW3の上面)に形成される。
【0025】
絶縁膜MZは、メモリセル領域1A(のメモリトランジスタ形成領域1A2)に形成されるメモリトランジスタ3のゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層)を有する絶縁膜である。この絶縁膜MZは、絶縁膜MZ1と、絶縁膜MZ1上に形成された絶縁膜MZ2と、絶縁膜MZ2上に形成された絶縁膜MZ3とを有する積層膜(積層絶縁膜)からなる。絶縁膜MZ1,MZ3のそれぞれのバンドギャップは、絶縁膜MZ2のバンドギャップよりも大きい。ここで、絶縁膜MZ1と絶縁膜MZ3とは、それぞれ酸化シリコン膜により形成することができ、絶縁膜MZ2は、窒化シリコン膜により形成することができる。絶縁膜MZは、Hf(ハフニウム)を含有していない材料からなる。
【0026】
なお、図面を見やすくするために、
図7および
図8では、絶縁膜MZ1と絶縁膜MZ2と絶縁膜MZ3とからなる絶縁膜MZを、単に絶縁膜MZとして図示しているが、実際には、
図7において点線の円で囲まれた領域の拡大図に示されるように、絶縁膜MZは、絶縁膜MZ1と絶縁膜MZ2と絶縁膜MZ3との積層膜からなる。
【0027】
絶縁膜MZを形成するには、例えば、まず酸化シリコン膜からなる絶縁膜MZ1を熱酸化法により形成してから、絶縁膜MZ1上に窒化シリコン膜からなる絶縁膜MZ2をCVD法で堆積し、更に絶縁膜MZ2上に酸化シリコン膜からなる絶縁膜MZ3をCVD法または熱酸化法あるいはその両方で形成する。これにより、絶縁膜MZ1(酸化シリコン膜)と絶縁膜MZ2(窒化シリコン膜)と絶縁膜MZ3(酸化シリコン膜)とを有する絶縁膜MZを形成することができる。
【0028】
次に、
図9および
図10に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、トランジスタ形成領域1B,1Cの絶縁膜MZと、メモリセル領域1Aにおける制御トランジスタ形成領域1A1の絶縁膜MZとを除去し、メモリセル領域1Aにおけるメモリトランジスタ形成領域1A2の絶縁膜MZは除去せずに残存させる。具体的には、例えば、トランジスタ形成領域1B,1Cの絶縁膜MZとメモリセル領域1Aにおける制御トランジスタ形成領域1A1の絶縁膜MZとを露出し、かつ、メモリセル領域1Aにおけるメモリトランジスタ形成領域1A2の絶縁膜MZを覆うようなフォトレジスト膜(図示せず)を形成してから、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとして用いて絶縁膜MZをエッチングする。メモリセル領域1Aにおいて、制御トランジスタ形成領域1A1では(従って制御ゲート電極CG形成予定領域では)、絶縁膜MZが除去され、メモリトランジスタ形成領域1A2では(従ってメモリゲート電極MG形成予定領域では)、絶縁膜MZが残存する。
【0029】
次に、
図11および
図12に示されるように、半導体基板SBの主面(表面)上とシリコン膜PS1の表面(上面および側面)上とに、絶縁膜GF2を形成する。トランジスタ形成領域1Bにおいては、絶縁膜GF2は、シリコン膜PS1の表面に形成され、トランジスタ形成領域1Cにおいては、絶縁膜GF2は、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW3の上面)に形成される。メモリセル領域1Aにおいて、制御トランジスタ形成領域1A1では(従って絶縁膜MZが形成されていない領域では)、絶縁膜GF2は、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW1の上面)に形成される。メモリセル領域1Aにおいて、メモリトランジスタ形成領域1A2では(従って絶縁膜MZが形成されている領域では)、絶縁膜GF2は絶縁膜MZ上に形成される。
【0030】
絶縁膜GF2は、メモリセル領域1A(の制御トランジスタ形成領域1A1)に形成される制御トランジスタ2のゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、かつ、トランジスタ形成領域1Cに形成されるMISFET5のゲート絶縁膜用の絶縁膜でもある。絶縁膜GF2は、Hf(ハフニウム)を含有していない材料からなり、例えば酸化シリコン膜などからなり、熱酸化法またはCVD法などを用いて形成することができる。また、
図11および
図12には、素子分離領域ST上にも絶縁膜GF2が形成された場合が示されているが、素子分離領域ST上に絶縁膜GF2が形成されない場合もあり得る。
【0031】
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、
図13および
図14に示されるように、メモリセル領域1Aにおけるメモリトランジスタ形成領域1A2において絶縁膜MZ上に形成されている絶縁膜GF2と、トランジスタ形成領域1Bにおいてシリコン膜PS1上に形成されている絶縁膜GF2とを、除去する。この際、メモリセル領域1Aにおける制御トランジスタ形成領域1A1(従って絶縁膜MZが形成されていない領域)において半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に形成されている絶縁膜GF2は、除去せずに残存させ、また、トランジスタ形成領域1Cの絶縁膜GF2も、除去せずに残存させる。
【0032】
この段階(
図13および
図14の段階)では、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1では、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に絶縁膜GF2が形成され、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2では、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に絶縁膜MZが形成された状態になっている。また、この段階(
図13および
図14の段階)では、トランジスタ形成領域1Bでは、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に絶縁膜GF1が形成され、その絶縁膜GF1上にシリコン膜PS1が形成された状態になっており、また、トランジスタ形成領域1Cでは、半導体基板SB(p型ウエルPW3)上に絶縁膜GF2が形成されて状態になっている。
【0033】
次に、
図15および
図16に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、Hf含有膜HAを形成する。Hf含有膜HAは、Hf(ハフニウム)を含有する材料からなる。Hf含有膜HAとしては、酸化ハフニウム膜またはハフニウム膜(Hf膜)を好適に用いることができるが、ハフニウム膜(Hf膜)であれば、特に好適である。Hf含有膜HAは、好ましくはスパッタリング法により形成することができる。
【0034】
メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1では、Hf含有膜HAは絶縁膜GF2上に形成され、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2では、Hf含有膜HAは絶縁膜MZ上に形成され、トランジスタ形成領域1Bでは、Hf含有膜HAはシリコン膜PS1上に形成され、トランジスタ形成領域1Cでは、Hf含有膜HAは絶縁膜GF2上に形成される。Hf含有膜HAは、制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3およびMISFET5のしきい値電圧を調整する(しきい値電圧の絶対値を大きくする)ために、用いられる。
【0035】
なお、本実施の形態では、トランジスタのしきい値電圧を調整する(しきい値電圧の絶対値を大きくする)ためにゲート絶縁膜に導入する元素としてHf(ハフニウム)を適用した場合について説明している。このため、Hf含有膜HAを用いている。しかしながら、Al(アルミニウム)またはZr(ジルコニウム)をゲート絶縁膜に導入することによっても、トランジスタのしきい値電圧を調整する(しきい値電圧の絶対値を大きくする)ことができる。このため、本実施の形態および以下の実施の形態2,3では、Hf含有膜HAの代わりに、Al含有膜またはZr含有膜を用いることも可能である。Al含有膜は、Al(アルミニウム)を含有する材料からなり、酸化アルミニウム膜またはアルミニウム膜(Al膜)を好適に用いることができる。また、Zr含有膜は、Zr(ジルコニウム)を含有する材料からなり、酸化ジルコニウム膜またはジルコニウム膜(Zr膜)を好適に用いることができる。このように、トランジスタのしきい値電圧を調整する(しきい値電圧の絶対値を大きくする)ためにゲート絶縁膜に導入する元素としては、Hf(ハフニウム)、Al(アルミニウム)またはZr(ジルコニウム)が好ましいが、最も好ましいのは、Hf(ハフニウム)である。
【0036】
次に、
図17および
図18に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわちHf含有膜HA上に、シリコン膜PS2を形成する。シリコン膜PS2は、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができるが、成膜時はシリコン膜PS2をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変えることもできる。シリコン膜PS2にn型またはp型の不純物を導入する場合は、シリコン膜PS2の成膜時または成膜後にn型またはp型の不純物を導入することができる。メモリセル領域1A、トランジスタ形成領域1Bおよびトランジスタ形成領域1Cにおいて、シリコン膜PS2はHf含有膜HA上に形成される。シリコン膜PS2は、メモリセル領域1Aに形成される制御トランジスタ2のゲート電極用の導電膜と、メモリセル領域1Aに形成されるメモリトランジスタ3のゲート電極用の導電膜と、トランジスタ形成領域1Cに形成されるMISFET5のゲート電極用の導電膜とを兼ねている。
【0037】
次に、
図19および
図20に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてシリコン膜PS2をパターニングすることにより、パターニングされたシリコン膜PS2からなる制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE2を形成する。この際、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS2は除去される。制御ゲート電極CGは、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1に形成され、メモリゲート電極MGは、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2に形成され、ゲート電極GE2は、トランジスタ形成領域1Cに形成される。
【0038】
メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、制御ゲート電極CGで覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜GF2とは、シリコン膜PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、メモリゲート電極MGで覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜MZとは、シリコン膜PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2で覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜GF2とは、シリコン膜PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、トランジスタ形成領域1Bにおいて、シリコン膜PS2は、シリコン膜PS2のパターニング工程で除去される。また、トランジスタ形成領域1Bにおいて、Hf含有膜HAは、シリコン膜PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0039】
メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、制御ゲート電極CGの下の絶縁膜GF2およびHf含有膜HAは、エッチングされずに残存し、制御トランジスタ2のゲート絶縁膜CFとなる。メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、制御ゲート電極CGは、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に、絶縁膜GF2およびHf含有膜HAからなるゲート絶縁膜CFを介して形成されている。また、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、メモリゲート電極MGの下の絶縁膜MZおよびHf含有膜HAは、エッチングされずに残存し、メモリトランジスタ3のゲート絶縁膜MFとなる。ゲート絶縁膜MFは、電荷蓄積部(上記絶縁膜MZ2に対応)を有するゲート絶縁膜である。メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、メモリゲート電極MGは、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に、絶縁膜MZおよびHf含有膜HAからなるゲート絶縁膜MFを介して形成されている。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2の下の絶縁膜GF2およびHf含有膜HAは、エッチングされずに残存し、ゲート電極GE2を備えるMISFET5のゲート絶縁膜TF2となる。トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2は、半導体基板SB(p型ウエルPW3)上に、絶縁膜GF2およびHf含有膜HAからなるゲート絶縁膜TF2を介して形成されている。
【0040】
次に、
図21および
図22に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてトランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS1をパターニングすることにより、パターニングされたシリコン膜PS1からなるゲート電極GE1を形成する。この際、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cはフォトレジスト膜(図示せず)で覆っていることにより、メモリセル領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGと、トランジスタ形成領域1Cの半導体基板SB(p型ウエルPW2)およびゲート電極GE2とは、エッチングされない。ゲート電極GE1は、トランジスタ形成領域1Bに形成される。
【0041】
トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1の下の絶縁膜GF1は、エッチングされずに残存し、ゲート電極GE1を備えるMISFETのゲート絶縁膜TF1となる。トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1は、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に、絶縁膜GF1からなるゲート絶縁膜TF1を介して形成されている。
【0042】
このようにして、
図21および
図22の構造が得られる。
図21においては、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜MFを介してメモリゲート電極MGが形成され、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜CFを介して制御ゲート電極CGが形成されている。また、
図22においては、トランジスタ形成領域1Bにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜TF1を介してゲート電極GE1が形成され、トランジスタ形成領域1Cにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW3)上にゲート絶縁膜TF2を介してゲート電極GE2が形成されている。
【0043】
Hf含有膜HAは、Hf(ハフニウム)を含有しており、絶縁膜GF1,GF2はHf(ハフニウム)を含有していない。このため、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cの半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW3)上に形成されたゲート絶縁膜CF,MF,TF2は、いずれも、Hf(ハフニウム)を含有するゲート絶縁膜であり、トランジスタ形成領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に形成されたゲート絶縁膜TF1は、Hf(ハフニウム)を含有しないゲート絶縁膜である。
【0044】
次に、
図23および
図24に示されるように、n
-型半導体領域(不純物拡散層)EX1,EX2,EX3,EX4,EX5,EX6,EX7を、イオン注入法などを用いて形成する。具体的には、ヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW2,PW3)にイオン注入することで、n
-型半導体領域EX1,EX2,EX3,EX4,EX5,EX6,EX7を形成することができる。
【0045】
メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの両側の半導体基板SB(p型ウエルPW1)にn-型半導体領域EX1,EX2が形成され、メモリゲート電極MGの両側の半導体基板SB(p型ウエルPW1)にn-型半導体領域EX2,EX3が形成される。なお、n-型半導体領域EX2は、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間の半導体基板SB(p型ウエルPW1)に形成されている。また、トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1の両側の半導体基板SB(p型ウエルPW2)にn-型半導体領域EX4,EX5が形成される。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2の両側の半導体基板SB(p型ウエルPW3)にn-型半導体領域EX6,EX7が形成される。
【0046】
次に、半導体基板SBの主面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2を覆うように、絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)を形成してから、その絶縁膜をエッチバックすることにより、
図25および
図26に示されるように、サイドウォールスペーサSWを形成する。サイドウォールスペーサSWは、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2のそれぞれの両側壁上に形成される。
【0047】
次に、
図27および
図28に示されるように、n
+型半導体領域(不純物拡散層)SD1,SD2,SD3,SD4,SD5,SD6,SD7を、イオン注入法などを用いて形成する。具体的には、ヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2とそれらの側壁上のサイドウォールスペーサSWとをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW2,PW3)にイオン注入することで、n
+型半導体領域SD1~SD7を形成することができる。n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3の不純物濃度は、LDD(lightly doped drain)領域であるn
-型半導体領域EX1,EX2,EX3の不純物濃度よりも高い。また、n
+型半導体領域SD4,SD5の不純物濃度は、LDD領域であるn
-型半導体領域EX4,EX5の不純物濃度よりも高い。また、n
+型半導体領域SD6,SD7の不純物濃度は、LDD領域であるn
-型半導体領域EX6,EX7の不純物濃度よりも高い。
【0048】
メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGとその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側の半導体基板SB(p型ウエルPW1)に、n+型半導体領域SD1,SD2が形成され、メモリゲート電極MGとその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側の半導体基板SB(p型ウエルPW1)にn+型半導体領域SD2,SD3が形成される。なお、n+型半導体領域SD2は、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間の半導体基板SB(p型ウエルPW1)に形成されている。また、トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側の半導体基板SB(p型ウエルPW2)にn+型半導体領域SD4,SD5が形成される。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側の半導体基板SB(p型ウエルPW3)にn+型半導体領域SD6,SD7が形成される。
【0049】
次に、これまでに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0050】
このようにして、制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3、MISFET4およびMISFET5が形成される。制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3は、メモリセル領域1Aに形成され、MISFET4は、トランジスタ形成領域1Bに形成され、MISFET5は、トランジスタ形成領域1Cに形成される。
【0051】
制御トランジスタ2は、制御ゲート電極CGと、制御ゲート電極CGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)との間に介在するゲート絶縁膜CFと、ソース・ドレイン(ソースまたはドレイン)用のn+型半導体領域SD1,SD2とを有している。メモリトランジスタ3は、メモリゲート電極MGと、メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)との間に介在するゲート絶縁膜MFと、ソース・ドレイン用のn+型半導体領域SD2,SD3とを有しているが、制御トランジスタ2とメモリトランジスタ3とは、n+型半導体領域SD2を共有しており、直列に接続された状態になっている。すなわち、平面視において、n+型半導体領域SD1とn+型半導体領域SD2との間に制御ゲート電極CGが位置し、n+型半導体領域SD2とn+型半導体領域SD3との間にメモリゲート電極MGが位置している。n+型半導体領域SD1とn+型半導体領域SD2との間の半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に、ゲート絶縁膜CFを介して制御ゲート電極CGが形成され、n+型半導体領域SD2とn+型半導体領域SD3との間の半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に、ゲート絶縁膜MFを介してメモリゲート電極MGが形成されている。制御トランジスタ2とメモリトランジスタ3とにより、不揮発性メモリのメモリセルが形成される。
【0052】
MISFET4は、ゲート電極GE1と、ゲート電極GE1と半導体基板SB(p型ウエルPW2)との間に介在するゲート絶縁膜TF1と、ソース・ドレイン用のn+型半導体領域SD4,SD5とを有している。n+型半導体領域SD4とn+型半導体領域SD5との間の半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に、ゲート絶縁膜TF1を介してゲート電極GE1が形成されている。MISFET5は、ゲート電極GE2と、ゲート電極GE2と半導体基板SB(p型ウエルPW3)との間に介在するゲート絶縁膜TF2と、ソース・ドレイン用のn+型半導体領域SD6,SD7とを有している。n+型半導体領域SD6とn+型半導体領域SD7との間の半導体基板SB(p型ウエルPW3)上に、ゲート絶縁膜TF2を介してゲート電極GE2が形成されている。ゲート絶縁膜CF,MF,TF2は、いずれも、Hf(ハフニウム)を含有するゲート絶縁膜であり、ゲート絶縁膜TF1は、Hf(ハフニウム)を含有しないゲート絶縁膜である。別の見方をすると、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2は、いずれも、Hf(ハフニウム)が導入されたゲート絶縁膜であり、ゲート絶縁膜TF1は、Hf(ハフニウム)が導入されていないゲート絶縁膜である。
【0053】
なお、Hf含有膜HAの代わりにAl含有膜を用いた場合は、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2は、いずれも、Al(アルミニウム)を含有するゲート絶縁膜となり、ゲート絶縁膜TF1は、Al(アルミニウム)を含有しないゲート絶縁膜となる。別の見方をすると、Hf含有膜HAの代わりにAl含有膜を用いた場合は、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2は、いずれも、Al(アルミニウム)が導入されたゲート絶縁膜となり、ゲート絶縁膜TF1は、Al(アルミニウム)が導入されていないゲート絶縁膜となる。また、Hf含有膜HAの代わりにZr含有膜を用いた場合は、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2は、いずれも、Zr(ジルコニウム)を含有するゲート絶縁膜となり、ゲート絶縁膜TF1は、Zr(ジルコニウム)を含有しないゲート絶縁膜となる。別の見方をすると、Hf含有膜HAの代わりにZr含有膜を用いた場合は、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2は、いずれも、Zr(ジルコニウム)が導入されたゲート絶縁膜となり、ゲート絶縁膜TF1は、Zr(ジルコニウム)が導入されていないゲート絶縁膜となる。
【0054】
次に、サリサイド技術を用いて、
図29および
図30に示されるように、金属シリサイド層SLを形成する。金属シリサイド層SLは、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3,SD4,SD5,SD6,SD7、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2の各上部に形成することができる。
【0055】
次に、
図31および
図32に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1,GE2およびサイドウォールスペーサSWを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜IL1を形成する。絶縁膜IL1の形成後、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて絶縁膜IL1の上面を平坦化する。それから、絶縁膜IL1にコンタクトホールを形成してから、コンタクトホール内に導電性のプラグPGを形成する。それから、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL1上に絶縁膜IL2を形成してから、この絶縁膜IL2に配線溝を形成した後、配線溝内に配線M1をシングルダマシン技術を用いて形成する。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0056】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0057】
なお、制御トランジスタ2のゲート絶縁膜CFは、絶縁膜GF2と絶縁膜GF2上に形成されたHf含有膜HAとにより形成されており、
図19~
図32では、ゲート絶縁膜CFを、絶縁膜GF2とその上のHf含有膜HAとの積層膜として図示している。しかしながら、ゲート絶縁膜CFが、絶縁膜GF2とHf含有膜HAとの積層膜である場合だけでなく、ゲート絶縁膜CFが、絶縁膜GF2とHf含有膜HAとの混合層(ミキシング層)からなる場合もあり得る。例えば、Hf含有膜HA形成後の種々の加熱工程において、絶縁膜GF2とその上のHf含有膜HAとが混合されて混合層となる場合もあり得、また、絶縁膜GF2上のHf含有膜HAが絶縁膜GF2に拡散する場合もあり得る。
【0058】
同様に、メモリトランジスタ3のゲート絶縁膜MFが、絶縁膜MZとHf含有膜HAとの積層膜である場合だけでなく、ゲート絶縁膜MFが、絶縁膜MZとHf含有膜HAとの混合層(ミキシング層)からなる場合もあり得る。同様に、MISFET5のゲート絶縁膜TF2が、絶縁膜GF2とHf含有膜HAとの積層膜である場合だけでなく、ゲート絶縁膜TF2が、絶縁膜GF2とHf含有膜HAとの混合層(ミキシング層)からなる場合もあり得る。
【0059】
次に、本発明者の検討の経緯について説明する。
【0060】
半導体装置には、種々の回路が形成されており、必要に応じた特性を備えたトランジスタが使用される。例えば、オフ時のリーク電流が低いトランジスタが必要な場合がある。オフ時のリーク電流が低いトランジスタは、例えば、スタンバイ時やスリープ時にも動作する回路(スタンバイ時の電源供給回路など)に用いられる。また、オン電流が大きいトランジスタが必要な場合がある。オン電流が大きいトランジスタは、例えば、デバイスの動作時に利用される回路(CPUの演算回路など)に用いられる。
【0061】
オフ時のリーク電流が低いトランジスタは、トランジスタのしきい値電圧(の絶対値)を大きくすることにより実現できる。しきい値電圧を大きくする手法としては、トランジスタのチャネル形成領域の不純物濃度を高くする手法がある。しかしながら、チャネル形成領域の不純物濃度を高くした場合には、しきい値電圧を大きくすることはできるが、接合リーク電流の増加や、特性のランダムばらつきの増加という問題が生じる懸念がある。そこで、本発明者は、ゲート絶縁膜にHigh-k材料であるHf(ハフニウム)を導入することにより、トランジスタのしきい値電圧を大きくすることを検討した。ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入することにより、トランジスタのしきい値電圧を大きくすることができるとともに、リーク電流の増加や特性のランダムばらつきの増加という問題が生じるのを抑制または防止することができる。
【0062】
なお、トランジスタのしきい値電圧を大きくするために、High-k材料の代表例としてHf(ハフニウム)をゲート絶縁膜に導入する場合について説明しているが、トランジスタのしきい値電圧を大きくするためにゲート絶縁膜に導入する元素として、Hf(ハフニウム)の他にも、Al(アルミニウム)またはZr(ジルコニウム)を用いることも可能である。
【0063】
しかしながら、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入した場合には、トランジスタのしきい値電圧を大きくすることはできるが、しきい値電圧が大きくなったことに伴いオン電流(トランジスタのオン時にそのトランジスタに流れる電流)が小さくなってしまう。このため、オフ時のリーク電流を低くするには、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入することが適しており、一方、オン電流を大きくするには、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入しないことが適していることになる。これは、Hf(ハフニウム)の代わりに、Al(アルミニウム)またはZr(ジルコニウム)を用いた場合も同様である。
【0064】
そこで、オフ時のリーク電流が低いことが要求されるトランジスタには、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入したトランジスタを適用し、オン電流が大きいことが要求されるトランジスタには、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入しないトランジスタを適用する。これにより、使用される回路に応じて要求される特性を備えたトランジスタを半導体装置に形成することができるため、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0065】
このため、共通の半導体基板SBに、Hf(ハフニウム)を導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタと、Hf(ハフニウム)を導入しないゲート絶縁膜を有するトランジスタとの両方を形成することができる製造工程を検討した。その結果、上記
図1~
図32を参照して説明した製造工程により、共通の半導体基板SBに、Hf(ハフニウム)を導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタと、Hf(ハフニウム)を導入しないゲート絶縁膜を有するトランジスタとを、容易かつ的確に形成することができる。
【0066】
ここで、共通の半導体基板にHf(ハフニウム)を導入したゲート絶縁膜とHf(ハフニウム)を導入しないゲート絶縁膜との両方を形成する手法として、次の手法が考えられる。すなわち、半導体基板の主面にゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を形成してから、更にHf含有膜(上記Hf含有膜HAに相当)を半導体基板の主面全面に形成した後で、Hfを導入しないゲート絶縁膜を形成すべき領域(上記トランジスタ形成領域1Bに相当)において、Hf含有膜を除去する。その後、Hfを導入しないゲート絶縁膜を形成すべき領域(上記トランジスタ形成領域1Bに相当)に、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を再度形成する。これにより、Hfを導入したゲート絶縁膜と、Hfを導入しないゲート絶縁膜とを、半導体基板の主面に形成することができる。
【0067】
しかしながら、この手法の場合、Hfを導入しないゲート絶縁膜を形成すべき領域(上記トランジスタ形成領域1Bに相当)に、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を再度形成する際に、既に形成してあるHf含有膜の汚染や変質が懸念され、Hfを導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタ(上記MISFET5に相当)の特性が低下したり、変動する虞がある。また、Hfを導入しないゲート絶縁膜を形成すべき領域(上記トランジスタ形成領域1Bに相当)に、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を再度形成する際に、他の領域のゲート絶縁膜の厚さが増加することが懸念され、Hfを導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタの特性が設計値からずれてしまう虞がある。
【0068】
上記
図1~
図32を参照して説明した本実施の形態の製造工程では、制御トランジスタ2のゲート絶縁膜CFと、メモリトランジスタ3のゲート絶縁膜MFと、MISFET5のゲート絶縁膜TF2とは、Hf(ハフニウム)を含んでおり、すなわちHf(ハフニウム)が導入されている。このため、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2にHf(ハフニウム)が導入されていない場合に比べて、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2にHf(ハフニウム)が導入されている場合は、制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3およびMISFET5のそれぞれのしきい値電圧を大きくすることができ、それによって、オフ時のリーク電流を低く(小さく)することができる。また、上記
図1~
図32を参照して説明した本実施の形態の製造工程では、MISFET4のゲート絶縁膜TF1は、Hf(ハフニウム)を含んでおらず、すなわちHf(ハフニウム)が導入されていない。このため、ゲート絶縁膜TF1にHf(ハフニウム)が導入されている場合に比べて、ゲート絶縁膜TF1にHf(ハフニウム)が導入されていない場合は、MISFET4のしきい値電圧を小さくすることができ、それによって、MISFET4のオン電流を大きくすることができる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0069】
Hf含有膜HAは、メモリセル領域1Aに形成される制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3の各ゲート絶縁膜CF,MFと、トランジスタ形成領域1Cに形成されるMISFET5のゲート絶縁膜TF2とには必要であるが、トランジスタ形成領域1Bに形成されるMISFET4のゲート絶縁膜TF1には必要ではない。しかしながら、Hf含有膜HAの成膜工程において、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1CにのみHf含有絶縁膜HAを形成し、かつ、トランジスタ形成領域1BにはHf含有膜HAが形成されないようにすることは困難である。それに対して、本実施の形態では、上記
図13および
図14のように、トランジスタ形成領域1Bでは、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜用の絶縁膜GF1とゲート電極用の導電膜(ここではシリコン膜PS1)とが形成され、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cでは、半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW3)上にゲート絶縁膜用の絶縁膜(ここでは絶縁膜GF2または絶縁膜MZ)は形成されているが、ゲート電極用の導電膜(シリコン膜PS1,PS2)は形成されていない状態で、Hf含有膜HAを形成する。これにより、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cでは、ゲート絶縁膜用の絶縁膜(ここでは絶縁膜GF2,MZ)上にHf含有膜HAが形成されることになるため、Hf(ハフニウム)を含有するゲート絶縁膜CF,MF,TF2を形成することができる。また、トランジスタ形成領域1Bでは、Hf含有膜HAは、ゲート絶縁膜用の絶縁膜GF1上ではなく、シリコン膜PS1上に形成されるため、Hf(ハフニウム)を含有しないゲート絶縁膜TF1を形成することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、絶縁膜GF1,GF2,MZは、Hf含有膜HAを形成する前に形成している。このため、絶縁膜GF1,GF2,MZの各形成工程が、Hf含有膜HAに悪影響を及ぼすことはない。このため、Hfを導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタの特性の低下や変動を防ぎ、所望の特性を有するトランジスタを形成することができる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0071】
上記
図1~
図32を参照して説明した本実施の形態の製造工程では、制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3およびMISFET5のゲート絶縁膜CF,MF,TF2にHf(ハフニウム)を導入し、MISFET4のゲート絶縁膜TF1にはHf(ハフニウム)を導入しない場合について説明した。変形例として、制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3、MISFET4およびMISFET5のうちのいずれか1つ以上において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入し、かつ、制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3、MISFET4およびMISFET5のうちのいずれか1つ以上において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入しない場合もあり得る。これは、本実施の形態だけでなく、以下の実施の形態2,3においても同様である。
【0072】
例えば、MISFET4においてゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入し、制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3の一方において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入し、かつ、制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3の他方において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入しない場合もあり得る。また、MISFET4においてゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入せず、制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3の一方において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入し、かつ、制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3の他方において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入しない場合もあり得る。また、MISFET4においてゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入し、かつ、制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3の両方において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入しない場合もあり得る。また、MISFET4においてゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入せず、かつ、制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3の両方において、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入する場合もあり得る。また、MISFET4においてゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入し、MISFET5においてゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入せず、かつ、メモリセル(制御トランジスタ2およびメモリトランジスタ3)自体を設けない場合もあり得る。いずれの場合においても、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入したトランジスタのゲート電極は、パターニングされた上記シリコン膜PS2により形成され、ゲート絶縁膜にHf(ハフニウム)を導入しないトランジスタのゲート電極は、パターニングされた上記シリコン膜PS1により形成される。
【0073】
(実施の形態2)
図33~
図36は、本実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0074】
本実施の形態2の半導体装置の製造工程は、上記
図17および
図18の構造を得るまでは、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略し、上記
図17および
図18の構造を得た後の工程について説明する。
【0075】
本実施の形態2では、上記実施の形態1と同様にしてシリコン膜PS2形成工程まで行うことにより、上記
図17および
図18の構造を得た後、
図33および
図34に示されるように、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS2およびHf含有膜HAを、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて除去する。この際、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cはフォトレジスト膜(図示せず)で覆っていることにより、メモリセル領域1Aのシリコン膜PS2およびHf含有膜HAと、トランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS2およびHf含有膜HAとは、エッチングされずに残存する。これにより、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cは、シリコン膜PS2は形成されているが、シリコン膜PS1は形成されていない状態となり、トランジスタ形成領域1Bは、シリコン膜PS1は形成されているが、シリコン膜PS2は形成されていない状態となる。
【0076】
次に、
図35および
図36に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS2とトランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS1とをパターニングすることにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE2およびゲート電極GE1を形成する。制御ゲート電極CGは、パターニングされたシリコン膜PS2からなり、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1に形成される。また、メモリゲート電極MGは、パターニングされたシリコン膜PS2からなり、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2に形成される。また、ゲート電極GE1は、パターニングされたシリコン膜PS1からなり、トランジスタ形成領域1Bに形成される。また、ゲート電極GE2は、パターニングされたシリコン膜PS2からなり、トランジスタ形成領域1Cに形成される。
【0077】
メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、制御ゲート電極CGで覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜GF2とは、シリコン膜PS1,PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、メモリゲート電極MGで覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜MZとは、シリコン膜PS1,PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1で覆われた部分以外の絶縁膜GF1は、シリコン膜PS1,PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2で覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜GF2とは、シリコン膜PS1,PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0078】
メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、制御ゲート電極CGの下に残存する絶縁膜GF2およびHf含有膜HAが、制御トランジスタ2のゲート絶縁膜CFとなる。また、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、メモリゲート電極MGの下に残存する絶縁膜MZおよびHf含有膜HAが、メモリトランジスタ3のゲート絶縁膜MFとなる。また、トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1の下に残存する絶縁膜GF1が、MISFET4のゲート絶縁膜TF1となる。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2の下に残存する絶縁膜GF2およびHf含有膜HAが、MISFET5のゲート絶縁膜TF2となる。
【0079】
このようにして、
図35および
図36の構造が得られるが、
図35および
図36の構造は、上記
図21および
図22の構造と同様である。すなわち、
図35においては、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜MFを介してメモリゲート電極MGが形成され、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜CFを介して制御ゲート電極CGが形成されている。また、
図36においては、トランジスタ形成領域1Bにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜TF1を介してゲート電極GE1が形成され、トランジスタ形成領域1Cにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW3)上にゲート絶縁膜TF2を介してゲート電極GE2が形成されている。
【0080】
以降の工程は、本実施の形態2も上記実施の形態1と同様であり、上記
図23~
図32を参照して説明した工程が行われるが、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0081】
上記実施の形態1では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてシリコン膜PS2をパターニングして制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE2を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてシリコン膜PS1をパターニングしてゲート電極GE1を形成する工程とが、別の工程であった。
【0082】
それに対して、本実施の形態2では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてシリコン膜PS2をパターニングして制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE2を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてシリコン膜PS1をパターニングしてゲート電極GE1を形成する工程とは、同じ工程である。すなわち、本実施の形態では、同じ工程において、シリコン膜PS1とシリコン膜PS2とをパターニングして、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1,GE2を一緒に形成する。
【0083】
ゲート電極形成用の導電膜をパターニングしてゲート電極を形成する際に使用するフォトマスク(フォトレジスト膜を露光するために使用するフォトマスク)は、高精度に作製する必要があるため、高価である。このため、本実施の形態2では、同じ工程でシリコン膜PS1,PS2をパターニングして、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1,GE2を一緒に形成するため、ゲート加工用の高精度のフォトマスクの必要枚数が、上記実施の形態1の場合よりも少なくて済む。このため、本実施の形態2では、半導体装置の製造コストを更に抑制することができる。
【0084】
(実施の形態3)
図37~
図58は、本実施の形態3の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0085】
本実施の形態3の半導体装置の製造工程は、上記
図1および
図2の構造を得るまでは、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略し、上記
図1および
図2の構造を得た後の工程について説明する。
【0086】
本実施の形態3では、上記実施の形態1と同様にしてp型ウエルPW1,PW2,PW3形成工程まで行うことにより、上記
図1および
図2の構造を得た後、
図37および
図38に示されるように、半導体基板SBの主面(表面)上に、絶縁膜MZを形成する。絶縁膜MZは、メモリセル領域1Aにおける半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW1の上面)と、トランジスタ形成領域1Bにおける半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW2の上面)と、トランジスタ形成領域1Cにおける半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW3の上面)とに形成される。絶縁膜MZは、メモリセル領域1A(のメモリトランジスタ形成領域1A2)に形成されるメモリトランジスタ3のゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層)を有する絶縁膜であり、絶縁膜MZの構成は、本実施の形態3も、上記実施の形態1と同様である。
【0087】
なお、図面を見やすくするために、
図37および
図38では、絶縁膜MZ1と絶縁膜MZ2と絶縁膜MZ3とからなる絶縁膜MZを、単に絶縁膜MZとして図示しているが、実際には、
図37において点線の円で囲まれた領域の拡大図に示されるように、絶縁膜MZは、絶縁膜MZ1と絶縁膜MZ1上の絶縁膜MZ2と絶縁膜MZ2上の絶縁膜MZ3との積層膜(積層絶縁膜)からなる。絶縁膜MZ1,MZ2,MX3の材料と形成法は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。
【0088】
次に、
図39および
図40に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、トランジスタ形成領域1B,1Cの絶縁膜MZと、メモリセル領域1Aにおける制御トランジスタ形成領域1A1の絶縁膜MZとを除去し、メモリセル領域1Aにおけるメモリトランジスタ形成領域1A2の絶縁膜MZは除去せずに残存させる。この工程は、上記
図9および
図10の工程と同様の手法により行うことができる。
【0089】
次に、
図41および
図42に示されるように、半導体基板SBの主面(表面)上に絶縁膜GF2を形成する。トランジスタ形成領域1Bにおいては、絶縁膜GF2は、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW2の上面)に形成され、トランジスタ形成領域1Cにおいては、絶縁膜GF2は、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW3の上面)に形成される。メモリセル領域1Aにおいて、制御トランジスタ形成領域1A1では(従って絶縁膜MZが形成されていない領域では)、絶縁膜GF2は、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW1の上面)に形成される。メモリセル領域1Aにおいて、メモリトランジスタ形成領域1A2では(従って絶縁膜MZが形成されている領域では)、絶縁膜GF2は絶縁膜MZ上に形成される。絶縁膜GF2は、メモリセル領域1Aに形成される制御トランジスタ2のゲート絶縁膜用の絶縁膜と、トランジスタ形成領域1Cに形成されるMISFET5のゲート絶縁膜用の絶縁膜とを兼ねている。絶縁膜GF2の材料と形成法は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。
【0090】
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、
図43および
図44に示されるように、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において絶縁膜MZ上に形成されている絶縁膜GF2を除去する。この際、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に形成されている絶縁膜GF2は、除去せずに残存させ、また、トランジスタ形成領域1B,1Cの絶縁膜GF2も、除去せずに残存させる。
【0091】
この段階(
図43および
図44の段階)では、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1では、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に絶縁膜GF2が形成され、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2では、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に絶縁膜MZが形成された状態になっている。また、この段階(
図43および
図44の段階)では、トランジスタ形成領域1Bでは、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に絶縁膜GF2が形成され、トランジスタ形成領域1Cでは、半導体基板SB(p型ウエルPW3)上に絶縁膜GF2が形成されて状態になっている。
【0092】
次に、
図45および
図46に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、Hf含有膜HAを形成する。Hf含有膜HAの材料と形成法は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1では、Hf含有膜HAは絶縁膜GF2上に形成され、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2では、Hf含有膜HAは絶縁膜MZ上に形成され、トランジスタ形成領域1B,1Cでは、Hf含有膜HAは絶縁膜GF2上に形成される。
【0093】
次に、
図47および
図48に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわちHf含有膜HA上に、シリコン膜PS2を形成する。シリコン膜PS2の材料と形成法は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。メモリセル領域1A、トランジスタ形成領域1Bおよびトランジスタ形成領域1Cにおいて、シリコン膜PS2はHf含有膜HA上に形成される。シリコン膜PS2は、メモリセル領域1Aに形成される制御トランジスタ2のゲート電極用の導電膜と、メモリセル領域1Aに形成されるメモリトランジスタ3のゲート電極用の導電膜と、トランジスタ形成領域1Cに形成されるMISFET5のゲート電極用の導電膜とを兼ねている。
【0094】
次に、
図49および
図50に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS2とHf含有膜HAと絶縁膜GF2とを除去する。この際、メモリセル領域1Aのシリコン膜PS2、Hf含有膜HA、絶縁膜GF2および絶縁膜MZは、除去せずに残存させ、また、トランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS2、Hf含有膜HAおよび絶縁膜GF2も、除去せずに残存させる。具体的には、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS2を覆い、かつ、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS2を露出するようなフォトレジスト膜(図示せず)を形成してから、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとして用いて、シリコン膜PS2をエッチングする。これにより、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS2、Hf含有膜HAおよび絶縁膜GF2を選択的に除去することができる。
【0095】
次に、
図51および
図52に示されるように、半導体基板SBの主面に絶縁膜GF1を形成する。絶縁膜GF1は、トランジスタ形成領域1Bに形成されるMISFET4のゲート絶縁膜用の絶縁膜である。絶縁膜GF1の材料と形成法は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。トランジスタ形成領域1Bにおいては、絶縁膜GF1は、半導体基板SBの表面(すなわちp型ウエルPW2の上面)に形成され、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cにおいては、絶縁膜GF1は、シリコン膜PS2の表面に形成される。
【0096】
次に、
図53および
図54に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜GF1上に、シリコン膜PS1を形成する。シリコン膜PS1の材料と形成法は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。メモリセル領域1A、トランジスタ形成領域1Bおよびトランジスタ形成領域1Cにおいて、シリコン膜PS1は絶縁膜GF1上に形成される。シリコン膜PS1は、トランジスタ形成領域1Bに形成されるMISFET4のゲート電極用の導電膜である。
【0097】
次に、
図55および
図56に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてシリコン膜PS1をパターニングすることにより、パターニングされたシリコン膜PS1からなるゲート電極GE1を形成する。この際、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS1と絶縁膜GF1とは除去される。ゲート電極GE1は、トランジスタ形成領域1Bに形成される。
【0098】
トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1で覆われた部分以外の絶縁膜GF1は、シリコン膜PS1のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1の下に残存する絶縁膜GF1が、MISFET4のゲート絶縁膜TF1となる。トランジスタ形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE1は、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に、絶縁膜GF1からなるゲート絶縁膜TF1を介して形成されている。また、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cにおいて、シリコン膜PS1は、シリコン膜PS1のパターニング工程で除去される。また、メモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cにおいて、絶縁膜GF1は、シリコン膜PS1のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0099】
次に、
図57および
図58に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてメモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS2をパターニングすることにより、パターニングされたシリコン膜PS2からなる制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE2を形成する。この際、トランジスタ形成領域1Bはフォトレジスト膜(図示せず)で覆っていることにより、トランジスタ形成領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW2)およびゲート電極GE1は、エッチングされない。制御ゲート電極CGは、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1に形成され、メモリゲート電極MGは、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2に形成され、ゲート電極GE2は、トランジスタ形成領域1Cに形成される。
【0100】
メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、制御ゲート電極CGで覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜GF2とは、シリコン膜PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、メモリゲート電極MGで覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜MZとは、シリコン膜PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2で覆われた部分以外のHf含有膜HAと絶縁膜GF2とは、シリコン膜PS2のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0101】
メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、制御ゲート電極CGの下に残存する絶縁膜GF2およびHf含有膜HAが、制御トランジスタ2のゲート絶縁膜CFとなる。また、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、メモリゲート電極MGの下に残存する絶縁膜MZおよびHf含有膜HAが、メモリトランジスタ3のゲート絶縁膜MFとなる。ゲート絶縁膜MFは、電荷蓄積部(上記絶縁膜MZ2に対応)を有するゲート絶縁膜である。また、トランジスタ形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2の下に残存する絶縁膜GF2およびHf含有膜HAが、MISFET5のゲート絶縁膜TF2となる。
【0102】
このようにして、
図57および
図58の構造が得られるが、
図57および
図58の構造は、上記
図21および
図22の構造と同様である。すなわち、
図57においては、メモリセル領域1Aのメモリトランジスタ形成領域1A2において、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜MFを介してメモリゲート電極MGが形成され、メモリセル領域1Aの制御トランジスタ形成領域1A1において、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜CFを介して制御ゲート電極CGが形成されている。また、
図58においては、トランジスタ形成領域1Bにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜TF1を介してゲート電極GE1が形成され、トランジスタ形成領域1Cにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW3)上にゲート絶縁膜TF2を介してゲート電極GE2が形成されている。
【0103】
以降の工程は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様であり、上記
図23~
図32を参照して説明した工程が行われるが、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0104】
また、本実施の形態3の変形例として、
図53および
図54の構造を得た後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてメモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS1および絶縁膜GF1を除去する工程を行うこともできる。この際、トランジスタ形成領域1Bはフォトレジスト膜で覆っていることにより、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS1および絶縁膜GF1は残存する。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてメモリセル領域1Aおよびトランジスタ形成領域1Cのシリコン膜PS2とトランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS1とをパターニングすることにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1,GE2を形成して、
図57および
図58の構造を得ることができる。
【0105】
本実施の形態3においても、共通の半導体基板SBに、Hf(ハフニウム)を導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタ(ここでは制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3およびMISFET5)と、Hf(ハフニウム)を導入しないゲート絶縁膜を有するトランジスタ(ここではMISFET4)とを、容易かつ的確に形成することができる。
【0106】
上記
図37~
図58を参照して説明した製造工程では、制御トランジスタ2のゲート絶縁膜CFと、メモリトランジスタ3のゲート絶縁膜MFと、MISFET5のゲート絶縁膜TF2とは、Hf(ハフニウム)を含んでおり、すなわちHf(ハフニウム)が導入されている。このため、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2にHf(ハフニウム)が導入されていない場合に比べて、ゲート絶縁膜CF,MF,TF2にHf(ハフニウム)が導入されている場合は、制御トランジスタ2、メモリトランジスタ3およびMISFET5のそれぞれのしきい値電圧を大きくすることができ、それによってオフ時のリーク電流を低く(小さく)することができる。また、上記
図37~
図58を参照して説明した製造工程では、MISFET4のゲート絶縁膜TF1は、Hf(ハフニウム)を含んでおらず、すなわちHf(ハフニウム)が導入されていない。このため、ゲート絶縁膜TF1にHf(ハフニウム)が導入されている場合に比べて、ゲート絶縁膜TF1にHf(ハフニウム)が導入されていない場合は、MISFET4のしきい値電圧を小さくすることができ、それによってオン電流を大きくすることができる。
【0107】
また、本実施の形態3とは異なり、上記
図45および
図46の構造を得た後、シリコン膜PS2を形成する前に、トランジスタ形成領域1BのHf含有膜HAおよび絶縁膜GF2を除去してから、トランジスタ形成領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW2)の表面に絶縁膜GF1を形成し、その後、シリコン膜PS2を形成することも考えられる。この場合は、そのシリコン膜PS2をパターニングすることにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1,GE2を形成することができるため、シリコン膜PS1を形成しなくともよくなる。しかしながら、この場合、Hf含有膜HAが露出した状態で、絶縁膜GF1形成工程を行う必要があるため、Hf含有膜HAの汚染や変質が懸念され、Hfを導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタの特性が低下したり、変動する虞がある。また、絶縁膜GF1を熱酸化法により形成する場合は、絶縁膜GF1形成時に絶縁膜GF2の厚さが増加することが懸念され、Hfを導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタの特性が設計値からずれてしまう虞がある。
【0108】
それに対して、本実施の形態3では、上記
図45および
図46の構造を得た後、上記
図47および
図48のようにシリコン膜PS2を形成し、その後、上記
図49および
図50のように、トランジスタ形成領域1Bのシリコン膜PS2,Hf含有膜HAおよび絶縁膜GF2を除去する。その後、
図51および
図52のように、トランジスタ形成領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW2)の表面に絶縁膜GF1を形成している。このため、本実施の形態3の場合、絶縁膜GF1形成工程は、Hf含有膜HAがシリコン膜PS2で覆われた状態で行われることになる。これにより、絶縁膜GF1形成工程において、Hf含有膜HAの汚染や変質を抑制または防止することができる。また、絶縁膜GF1を熱酸化法により形成する場合でも、絶縁膜GF1形成時に絶縁膜GF2の厚さが増加することを抑制または防止できる。このため、Hfを導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタの特性の低下や変動を防ぎ、所望の特性を有するトランジスタを形成することができる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0109】
また、上記実施の形態1,2の場合は、絶縁膜GF1形成工程は、Hf含有膜HAを形成する前に行われるため、絶縁膜GF1形成工程がHf含有膜HAに悪影響を及ぼすことはない。このため、Hfを導入したゲート絶縁膜を有するトランジスタの特性の低下や変動を防ぎ、所望の特性を有するトランジスタを形成することができる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0111】
1A メモリセル領域
1A1 制御トランジスタ形成領域
1A2 メモリトランジスタ形成領域
1B,1C トランジスタ形成領域
2 制御トランジスタ
3 メモリトランジスタ
4,5 MISFET
CF ゲート絶縁膜
CG 制御ゲート電極
EX1,EX2,EX3,EX4,EX5,EX6,EX7 n-型半導体領域
GE1,GE2 ゲート電極
GF1,GF2 絶縁膜
HA Hf含有膜
IL1,IL2 絶縁膜
M1 配線
MF ゲート絶縁膜
MG メモリゲート電極
MZ,MZ1,MZ2,MZ3 絶縁膜
PG プラグ
PS1,PS2 シリコン膜
PW1,PW2,PW3 p型ウエル
SB 半導体基板
SD1,SD2,SD3,SD4,SD5,SD6,SD7 n+型半導体領域
SL 金属シリサイド層
ST 素子分離領域
SW サイドウォールスペーサ
TF1,TF2 ゲート絶縁膜