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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】推定装置および推定方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240917BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20240917BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20240917BHJP
   A61B 5/22 20060101ALN20240917BHJP
【FI】
A63B69/36 541Z
A63B71/06 F
A61B5/11 210
A61B5/22 250
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020197313
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085566
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓雄
(72)【発明者】
【氏名】植田 美緒
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-099541(JP,A)
【文献】特開2017-029516(JP,A)
【文献】特開2018-026131(JP,A)
【文献】特開2017-200590(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104159644(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定装置であって、
前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得手段と、
前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得手段と、
前記動作情報と前記身体情報とに基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する、所定情報取得手段と、
複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記所定情報取得手段により取得された前記所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する、推定手段と、を備える推定装置。
【請求項2】
評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定装置であって、
前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得手段と、
前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得手段と、
前記動作情報に基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する、所定情報取得手段と、
複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記所定情報取得手段により取得された前記所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する、推定手段と、
前記推定された前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、前記身体情報に基づき、前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する、変換手段と、を備える推定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の推定装置において、
前記所定情報取得手段は、前記所定情報に、該所定情報に対応する時間に関する情報を含める、推定装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の推定装置において、
前記推定手段は、前記評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点における前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を、前記所定の時点を含む前後の所定の時間における前記所定情報に基づき推定する、推定装置。
【請求項5】
請求項1または3に記載の推定装置において、
記推定手段は、前記評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点を含む前後の所定の時間における前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を、前記所定の時点を含む前後の所定の時間における前記所定情報に基づき推定する、推定装置。
【請求項6】
請求項2に記載の推定装置において、
前記所定情報取得手段は、前記所定情報に、該所定情報に対応する時間に関する情報を含める、推定装置。
【請求項7】
請求項2または6に記載の推定装置において、
前記推定手段は、前記評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点における前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、前記所定の時点を含む前後の所定の時間における前記所定情報に基づき推定する、推定装置。
【請求項8】
請求項2または6に記載の推定装置において、
前記推定手段は、前記評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点を含む前後の所定の時間における前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、前記所定の時点を含む前後の所定の時間における前記所定情報に基づき推定する、推定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の推定装置において、
前記所定情報取得手段は、前記所定情報を次元圧縮する、推定装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の推定装置において、
前記所定情報取得手段は、前記評価対象のユーザによるスイングにおける所定の動作が規格化された所定の時間内に収まるように前記所定情報を時間的に正規化する、推定装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の推定装置において、
前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に基づき、前記評価対象のユーザによるスイングを評価する、評価手段をさらに備える、推定装置。
【請求項12】
評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定方法であって、
前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得ステップと、
前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得ステップと、
前記動作情報と前記身体情報とに基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する、所定情報取得ステップと、
複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記取得された所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する、推定ステップと、を含む推定方法。
【請求項13】
評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定方法であって、
前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得ステップと、
前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得ステップと、
前記動作情報に基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する、所定情報取得ステップと、
複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記取得された所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する、推定ステップと、
前記推定された前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、前記身体情報に基づき、前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する、変換ステップと、を含む推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置および推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフのレッスンにおいては、種々の計測器(トラックマン(ボール弾道測定器)、モーションセンサ、カメラなど)の測定結果を用いた、ユーザによるクラブのスイングの評価が行われている。このようなスイングの評価の中でも、特にユーザのスイング動作中の身体の運動エネルギーあるいは関節トルクなどを算出するような生体力学的な解析を含むスイング評価においては、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を求めることが重要である。
【0003】
ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を測定する方法としては、フォースプレートを用意し、ユーザがフォースプレートに乗った状態でスイングすることで、ゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力を測定する方法が考えられる。しかしながら、フォースプレートを用意することは、システムの高コスト化・大型化を招いてしまう。
【0004】
そこで、フォースプレートを用いずに、床反力を推定する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、ユーザに取り付けた慣性センサにより検出された加速度に基づき、ユーザの重心位置の加速度を算出し、算出した加速度と、クラブを含むユーザの身体の質量情報とに基づいて、ユーザの身体およびクラブを含む系全体に作用する床反力を推定する技術が記載されている。また、特許文献2には、ユーザのスイング中の身体所定部位の動作情報に基づき、予め設定された近似式および拘束条件を用いて、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-029516号公報
【文献】特開2020-099541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、ゴルファーの身体およびクラブを含む系全体に作用する床反力を推定する技術であり、床反力計を用いることなくユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができない。また、特許文献2に記載の技術は、一般的な人体の構成あるいは一般的なゴルフスイングの動作パターンに基づき設定された近似式および拘束条件を用いるため、平均的なスイングにおける床反力しか推定することができず、個々のユーザのスイングによる床反力を高精度に推定することができない。
【0007】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、より簡易かつ高精度に、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる、推定装置および推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様としての推定装置は、評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定装置であって、前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得手段と、前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得手段と、前記動作情報と前記身体情報とに基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する、所定情報取得手段と、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記所定情報取得手段により取得された前記所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する、推定手段と、を備える。
上記構成を有することにより、床反力推定モデルを用いることで、フォースプレートなどを用いることなく、より簡易に床反力を推定することができる。また、床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報と床反力との関係を、機械学習により学習して作成されるので、一般的なスイングから外れたユーザに対しても、より正確に床反力を推定することができる。したがって、より簡易かつ高精度に、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる。
【0009】
本発明の一態様としての推定装置は、評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定装置であって、前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得手段と、前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得手段と、前記動作情報に基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する、所定情報取得手段と、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記所定情報取得手段により取得された前記所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する、推定手段と、前記推定された前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、前記身体情報に基づき、前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する、変換手段と、を備える。
上記構成を有することにより、床反力推定モデルを用いることで、フォースプレートなどを用いることなく、より簡易に床反力に関する情報を推定し、推定下床反力に関する情報から床反力を求めることができる。また、床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報と床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成されるので、一般的なスイングから外れたユーザに対しても、より正確に床反力を推定することができる。したがって、より簡易かつ高精度に、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる。
【0010】
本発明に係る推定装置において、前記所定情報取得手段は、前記所定情報に、該所定情報に対応する時間に関する情報を含めることが好ましい。
上記構成を有することにより、所定情報に、その所定情報に対応する時間に関する情報(例えば、トップからの実際の時間あるいはトップからインパクトまでの時間を100%として規格化した場合のトップからの時間)が含まれることで、所定情報の基となったユーザの動作がスイング中のどのタイミングで行われた動作であるかを把握することができるので、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0011】
本発明に係る推定装置において、前記推定手段は、前記評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点における前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を、前記所定の時点を含む前後の所定の時間における前記所定情報に基づき推定することが好ましい。
上記構成を有することにより、所定の時点の前後の状態も加味して床反力を推定することができるので、床反力の推定精度の向上を図ることができる。
【0012】
本発明に係る推定装置において、前記推定手段は、前記評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点を含む前後の所定の時間における前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を、前記所定の時点を含む前後の所定の時間における前記所定情報に基づき推定することが好ましい。
上記構成を有することにより、所定の時点の前後の状態も加味して床反力を推定することができるので、床反力の推定精度の向上を図ることができる。
【0013】
本発明に係る推定装置において、前記所定情報取得手段は、前記所定情報を次元圧縮することが好ましい。
上記構成を有することにより、情報量を減らすことなく説明変数の数を減らすことができ、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0014】
本発明に係る推定装置において、前記所定情報取得手段は、前記評価対象のユーザによるスイングにおける所定の動作が規格化された所定の時間内に収まるように前記所定情報を時間的に正規化することが好ましい。
上記構成を有することにより、所定情報に含めるスイング中の時間に関する情報について、異なるスイング間でスイング局面(例えば、リリースやトップからインパクトまでの50%地点など)を合わせることが容易になり、結果として床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0015】
本発明に係る推定装置において、前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に基づき、前記評価対象のユーザによるスイングを評価する、評価手段をさらに備えることが好ましい。
上記構成を有することにより、推定した床反力に基づき、評価対象のユーザのスイングを評価することができる。
【0016】
本発明の一態様としての推定方法は、評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定方法であって、前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得ステップと、前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得ステップと、前記動作情報と前記身体情報とに基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する、所定情報取得ステップと、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記取得された所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する、推定ステップと、を含む。
上記構成を有することにより、床反力推定モデルを用いることで、フォースプレートなどを用いることなく、より簡易に床反力を推定することができる。また、床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報と床反力との関係を、機械学習により学習して作成されるので、一般的なスイングから外れたユーザに対しても、より正確に床反力を推定することができる。したがって、より簡易かつ高精度に、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる。
【0017】
本発明の一態様としての推定方法は、評価対象のユーザによるクラブのスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する推定方法であって、前記スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する、動作情報取得ステップと、前記評価対象のユーザの体重を含む、前記評価対象のユーザの身体情報を取得する、身体情報取得ステップと、前記動作情報に基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する、所定情報取得ステップと、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の前記所定情報と前記ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、前記取得された所定情報に基づき、前記評価対象のユーザによるスイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する、推定ステップと、前記推定された前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、前記身体情報に基づき、前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する、変換ステップと、を含む。
上記構成を有することにより、床反力推定モデルを用いることで、フォースプレートなどを用いることなく、より簡易に床反力に関する情報を推定し、推定した床反力に関する情報から床反力を求めることができる。また、床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報と床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成されるので、一般的なスイングから外れたユーザに対しても、より正確に床反力を推定することができる。したがって、より簡易かつ高精度に、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より簡易かつ高精度に、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる、推定装置および推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る推定装置の構成例を示す図である。
図2A図1に示す推定部による床反力の推定の一例を示す図である。
図2B図1に示す推定部による床反力の推定の他の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る推定装置の他の構成例を示す図である。
図4図1に示す推定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5図3に示す推定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図1に示す推定装置の動作の具体例を示すフローチャートである。
図7図1に示す推定装置の動作の別の具体例を示すフローチャートである。
図8図3に示す推定装置の動作の具体例を示すフローチャートである。
図9図3に示す推定装置の動作の別の具体例を示すフローチャートである。
図10図3に示す推定装置の動作のさらに別の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して例示説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る推定装置10の構成例を示す図である。本実施形態に係る推定装置10は、評価対象のユーザによるクラブのスイング中に、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する。また、本実施形態に係る推定装置10は、推定した床反力に基づき、ユーザによるクラブのスイングを評価する。
【0022】
図1に示す推定装置10は、動作情報取得手段としての動作情報取得部11と、身体情報取得手段としての身体情報取得部12と、所定情報取得手段としての所定情報取得部13と、推定手段としての推定部14と、評価手段としての評価部16とを備える。
【0023】
動作情報取得部11は、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位(各関節など)の三次元的な動作情報を取得する。動作情報取得部11は、動作情報として、ユーザの身体所定部位の加速度、角速度あるいは位置の三次元的なデータを取得する。動作情報取得部11は、動作情報として、ユーザの身体所定部位の姿勢のデータをさらに取得してよい。動作情報取得部11は、動作情報として、ユーザの左右の脚それぞれの足裏の面圧のデータをさらに取得してよい。動作情報取得部11は、評価対象のユーザがスイングに用いるクラブの所定部位(グリップ端、シャフト、ヘッドなど)の加速度、角速度、位置あるいは姿勢のデータをさらに取得してよい。このように種々の情報を取得することで、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0024】
動作情報取得部11は、ユーザの身体所定部位に取り付けられた慣性センサ、ユーザのスイングを撮影した動画像、深度センサ、モーションキャプチャあるいは足圧計などを用いて、動作情報を取得する。動作情報取得部11は、取得した動作情報を所定情報取得部13に出力する。
【0025】
身体情報取得部12は、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する。身体情報取得部12は、身体情報として、ユーザの身長あるいはアドレス時の足幅のデータをさらに取得してよい。身体情報取得部12は、ユーザが使用するクラブに関するデータ(重量あるいはバランスなど)をさらに取得してよい。このように種々の情報を取得することで、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0026】
身体情報取得部12は、ユーザあるいは推定装置10を操作する操作者による入力により身体情報を取得してよい。身体情報取得部12は、ユーザと、そのユーザの身体情報とが対応付けられたデータベースから、評価対象のユーザの身体情報を取得してよい。身体情報取得部12は、動作情報取得部11により取得された動作情報に基づき、身体情報を推定して取得してよい。身体情報取得部12は、取得した身体情報を所定情報取得部13に出力する。
【0027】
所定情報取得部13は、動作情報取得部11により取得された動作情報および身体情報取得部12により取得された身体情報に基づき、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する。すなわち、所定情報とは、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定可能な情報である。所定情報取得部13は、所定情報として、ユーザの身体部位重心の加速度と、その身体部位の重量との乗算値、あるいは、身体部位の身体重心回りの角運動量のデータを取得する。あるいは、所定情報取得部13は、所定情報として、ユーザの身体所定部位の位置のデータを取得する。所定情報取得部13は、ユーザがスイングに使用するクラブの重心の加速度と、そのクラブの質量との乗算値、クラブの重心の位置、あるいは、クラブの身体重心回りの角運動量のデータをさらに取得してよい。このように種々の情報を取得することで、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0028】
所定情報取得部13は、動作情報取得部11が取得した動作情報を所定情報に含めてよい。所定情報取得部13は、所定情報に、その所定情報に対応する時間に関する情報を含めてよい。所定情報に対応する時間に関する情報とは、所定情報の基となったユーザの動作が行われた、スイングの所定の動作からの時間に関する情報である。時間に関する情報は、例えば、トップからの実際の時間あるいはトップからインパクトまでの時間を100%として規格化した場合のトップからの時間である。時間に関する情報により、所定情報の基となったユーザの動作がスイング中のどのタイミングで行われた動作であるかを把握することができる。所定情報取得部13は、評価対象のユーザの性別の情報を所定情報に含めてよい。所定情報取得部13は、評価対象のユーザが使用するクラブの種類(ドライバー、アイアンなど)の情報を所定情報に含めてよい。所定情報取得部13は、評価対象のユーザによるスイングの種類(フルスイング、ハーフスイング、アプローチなど)の情報を所定情報に含めてよい。所定情報取得部13は、評価対象のユーザの前後軸および左右軸に関する地面の傾き度合いなど、評価対象のユーザがスイングを行う環境に関する環境情報を所定情報に含めてよい。このように種々の情報を取得することで、床反力の推定の精度向上を図ることができる。例えば、スイング中の各タイミングにおけるおおよその床反力は既知である。そのため、スイング中の時間に関する情報を所定情報に含めることで、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0029】
所定情報取得部13は、評価対象のユーザによるスイングにおける所定の動作(例えば、トップからインパクトまでの動作)が規格化された所定の時間内に収まるように、所定情報を時間的に正規化してよい。こうすることで、所定情報に含めるスイング中の時間に関する情報について、異なるスイング間でスイング局面(例えば、リリースやトップからインパクトまでの50%地点など)を合わせることが容易になり、結果として床反力の推定の精度向上を図ることができる。また、前後の所定の時間を加味して床反力を推定する場合に、前後の所定の時間に係るスイング区間(例えば、トップからリリースなど)を一定にすることが可能になり、結果として床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0030】
所定情報取得部13は、所定情報を正規化(所定情報に含まれるパラメータの最小値を0とし、最大値を1とする)または標準化(所定情報に含まれるパラメータの平均を0とし、分散を1とする)してよい。上述したように、所定情報には種々の情報(パラメータ)が含まれることがある。この場合、特定のパラメータの値の範囲が大きいと、後述する床反力推定モデルの学習において、その特定のパラメータの影響が大きくなり、床反力の推定の精度が低下することがある。所定情報を正規化または標準化することで、特定のパラメータの影響が大きくなることを防ぎ、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0031】
所定情報取得部13は、主成分分析などの手法により、所定情報を次元圧縮してよい。上述したように、所定情報には種々の情報(説明変数)が含まれることがある。説明変数が多すぎると、後述する床反力推定モデルによる床反力の推定の精度が低下することがある。所定情報を次元圧縮することで、情報量を減らすことなく説明変数の数を減らすことができ、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0032】
所定情報取得部13は、取得した所定情報を推定部14に出力する。
【0033】
推定部14は、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する床反力推定モデルを用いて、所定情報取得部13により取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する。推定部14が用いる床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中に、所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力(実測値)との関係を機械学習により学習して作成されたモデルである。モデルの学習には、SGD(Stochastic Gradient Descent)、リッジ回帰、ニューラルネットワークあるいはLightGBMなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0034】
推定部14は、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、左右の脚それぞれに作用する3軸方向(X方向、Y方向およびZ方向)の力ベクトル(Fx,Fy,Fz)を推定する。X方向は、ゴルフボールの飛球線方向であり、Y方向はX方向と水平方向に直交する方向であり、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向である。推定部14は、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、圧力中心位置(COP)をさらに推定してよい。圧力中心位置(COP)は、ユーザが立つ床とユーザの左右の脚それぞれとの接触面に働く力の中心点である。推定部14は、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、左右の脚それぞれに作用するフリーモーメント(Mz)、床とユーザの左足との接触面に働く力の中心点(COP_L)あるいは床とユーザの右足との接触面に働く力の中心点(COP_R)をさらに推定してよい。
【0035】
推定部14は、図2Aに示すように、スイング中の所定の時点tにおける床反力を、時点tにおける所定情報に基づき推定してよい。推定部14は、図2Bに示すように、スイング中の所定の時点tにおける床反力を、時点tよりも前の時点t1から時点tよりも後の時点t2までの時間における所定情報に基づき推定してよい。時点tを含む所定の時間における所定情報に基づき、時点tにおける床反力を推定することで、時点tの前後の状態も加味して床反力を推定することができるので、床反力の推定の精度向上を図ることができる。また、推定部14は、評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点tを含む前後の所定の時間における評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を、時点tを含む前後の所定の時間における所定情報に基づき推定してよい。
【0036】
図1を再び参照すると、推定部14は、推定した床反力を評価部16に出力する。
【0037】
評価部16は、推定された床反力に基づき、評価対象のユーザによるスイングを評価する。評価部16は、例えば、スイングの評価として、ユーザのスイング動作についての運動状態を示す値を求めてよい。運動状態を示す値とは、クラブのヘッドスピードに対するユーザの身体の各部位の寄与率、各関節のパワー、各関節のトルク、関節間力あるいはスイング中のユーザの運動エネルギーなどである。評価部16は、求めた運動状態を示す値に基づき、評価対象のユーザに適したクラブに関する情報、あるいは、ユーザに適した運動に関する運動支援情報などを出力してよい。なお、上述した運動状態を示す値を求める方法としては種々の方法があるため、説明を省略する。
【0038】
図1においては、ユーザの動作情報と身体情報とに基づき所定情報を取得し、床反力推定モデルを用いて、取得した所定情報に基づき、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0039】
図3は、本実施形態に係る推定装置10の他の構成例を示す図である。図3において、図1と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0040】
図3に示す推定装置10は、動作情報取得手段としての動作情報取得部11Aと、身体情報取得部12と、所定情報取得手段としての所定情報取得部13Aと、推定手段としての推定部14Aと、変換手段としての変換部15と、評価部16とを備える。図3に示す推定装置10は、図1に示す推定装置10と比較して、動作情報取得部11、所定情報取得部13および推定部14をそれぞれ、動作情報取得部11A、所定情報取得部13Aおよび推定部14Aに変更した点と、変換部15を追加した点と、が異なる。
【0041】
動作情報取得部11Aは、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する。動作情報取得部11Aは、動作情報として、ユーザの身体所定部位の加速度あるいは角速度のデータを取得する。動作情報取得部11Aは、動作情報として、ユーザの身体所定部位の位置のデータをさらに取得してよい。
【0042】
動作情報取得部11Aは、動作情報取得部11と同様に、動作情報として、ユーザの身体所定部位の姿勢のデータをさらに取得してよいし、ユーザの左右の脚それぞれの足裏の面圧のデータをさらに取得してよい。動作情報取得部11Aは、動作情報取得部11と同様に、評価対象のユーザがスイングに用いるクラブの所定部位の加速度、角速度、位置あるいは姿勢のデータを取得してよい。
【0043】
動作情報取得部11Aは、ユーザの身体所定部位に取り付けられた慣性センサ、ユーザのスイングを撮影した動画像、深度センサ、モーションキャプチャあるいは足圧計などを用いて、動作情報を取得する。動作情報取得部11Aは、取得した動作情報を所定情報取得部13Aに出力する。
【0044】
所定情報取得部13Aは、動作情報取得部11Aにより取得された動作情報に基づき、スイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する。このように、所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と異なり、ユーザの身体情報を用いず、動作情報だけを用いて所定情報を取得する。所定情報取得部13Aは、所定情報として、スイング中のユーザの身体所定部位の加速度あるいは角速度のデータを取得する。所定情報取得部13Aは、所定情報として、スイング中のユーザの身体所定部位の位置あるいは姿勢のデータをさらに取得してよい。床反力に関する情報の詳細は後述する。
【0045】
所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と同様に、動作情報を所定情報に含めてよい。所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と同様に、所定情報に、スイング中の時間に関する情報を含めてよい。所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と同様に、評価対象のユーザの性別の情報を所定情報に含めてよいし、評価対象のユーザが使用するクラブの種類を所定情報に含めてよい。所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と同様に、評価対象のユーザによるスイングの種類の情報を所定情報に含めてよいし、環境情報を所定情報に含めてよい。
【0046】
所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と同様に、評価対象のユーザによるスイングにおける所定の動作が所定の時間内に収まるように、所定情報を時間的に正規化してよい。所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と同様に、所定情報を正規化または標準化してよい。所定情報取得部13Aは、所定情報取得部13と同様に、所定情報を次元圧縮してよい。
【0047】
所定情報取得部13Aは、取得した所定情報を推定部14Aに出力する。
【0048】
推定部14Aは、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する床反力推定モデルを用いて、所定情報取得部13Aにより取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する。推定部14Aが用いる床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の、所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報(実測値)との関係を機械学習により学習して作成されたモデルである。モデルの学習には、SGD、リッジ回帰、ニューラルネットワークあるいはLightGBMなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0049】
推定部14Aは、床反力に関する情報として、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fx,Fy,Fz)を、評価対象のユーザの体重で除算した除算値を推定する。推定部14Aは、床反力に関する情報として、圧力中心位置(COP)を推定する。推定部14Aは、床反力に関する情報として、圧力中心位置(COP)の変位、あるいは、足幅内の圧力中心位置と左右の脚それぞれとの距離の比をさらに推定してよい。推定部14Aは、床反力に関する情報として、3軸方向のうちの少なくとも一方向の力ベクトルを、評価対象のユーザの体重で除算した除算値を推定してよい。推定部14Aは、床方向に関する情報として、圧力中止位置(COP)を通る鉛直軸回りのフリーモーメントMzを、評価対象のユーザの体重で除算した除算値を推定してよい。
【0050】
推定部14Aは、推定部14と同様に、スイング中の所定の時点tにおける床反力に関する情報を、時点tにおける所定情報に基づき推定してよい。推定部14Aは、推定部14と同様に、スイング中の所定の時点tにおける床反力に関する情報を、時点tよりも前の時点t1から時点tよりも後の時点t2までの時間における所定情報に基づき推定してよい。時点tを含む所定の時間における所定情報に基づき、時点tにおける床反力に関する情報を推定することで、時点tの前後の状態も加味して床反力に関する情報を推定することができるので、床反力の推定の精度向上を図ることができる。また、推定部14Aは、評価対象のユーザによるスイング中の所定の時点tを含む前後の所定の時間における評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、時点tを含む前後の所定の時間における所定情報に基づき推定してよい。
【0051】
推定部14Aは、推定した床反力に関する情報を変換部15に出力する。
【0052】
変換部15は、推定部14Aから床反力に関する情報が入力され、身体情報取得部12から身体情報が入力される。すなわち、図3に示す推定装置10においては、身体情報取得部12により取得された身体情報は、変換部15に入力される。変換部15は、推定部14Aにより推定された、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、身体情報取得部12により取得された身体情報に基づき、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する。変換部15は、例えば、床反力に関する情報に身体情報に含まれるユーザの体重を乗算して、床反力としての、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fx,Fy,Fz)、あるいは、圧力中心位置を通る鉛直軸回りのフリーモーメントMzに変換する。変換部15は、床反力に関する情報を身体情報に基づき変換して得られた床反力を評価部16に出力する。
【0053】
図1に示す推定装置10によれば、複数のユーザのスイングそれぞれから得られた、所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力とを学習して作成された床反力推定モデルを用いて床反力を推定する。また、図3に示す推定装置10によれば、複数のユーザのスイングそれぞれから得られた、所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報とを学習して作成された床反力推定モデルを用いて床反力に関する情報を推定し、推定した床反力に情報を身体情報に基づき床反力に変換する。
【0054】
そのため、本実施形態に係る推定装置10によれば、フォースプレートなどの大型・高コストの機器を用いることなく、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を簡易に推定することができる。また、複数のユーザのスイングそれぞれから得られた所定情報を学習して作成された床反力推定モデルを用いることで、平均的なスイングから外れたスイングであっても、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を高精度に推定することができる。したがって、本実施形態に係る推定装置10によれば、より簡易かつ高精度に、ユーザによるクラブのスイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる。
【0055】
上述したように、図1に示す推定装置10においては、動作情報と、ユーザの体重を含む身体情報とに基づき、所定情報(説明変数)を取得し、床反力推定モデルを用いて、床反力(目的変数)を推定する。図3に示す推定装置10においては、動作情報に基づき、所定情報(説明変数)を取得し、床反力推定モデルを用いて、床反力に関する情報(目的変数)を推定し、推定した床反力に関する情報をユーザの体重を含む身体情報により床反力に変換する。このように、身体情報(体重)を用いることで、説明変数のデータと目的変数のデータとを対応させ、床反力の推定の精度向上を図ることができる。
【0056】
次に、本実施形態に係る推定装置10の動作について説明する。
【0057】
まず、図1に示す推定装置10の動作について説明する。図4は、図1に示す推定装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、推定装置10による推定方法を説明するための図である。
【0058】
動作情報取得部11は、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する(ステップS11)。動作情報取得部11は、例えば、動作情報として、ユーザの身体所定部位の加速度、角速度あるいは位置のデータを取得する。
【0059】
身体情報取得部12は、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する(ステップS12)。
【0060】
所定情報取得部13は、動作情報と身体情報とに基づき、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する(ステップS13)。所定情報取得部13は、例えば、所定情報として、スイング中のユーザの身体部位重心の加速度と、その身体部位の重量との乗算値、および、その身体部位の身体重心回りの角運動量のデータを取得する。所定情報取得部13は、例えば、所定情報として、ユーザの身体所定部位の位置のデータを取得する。
【0061】
推定部14は、床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する(ステップS14)。推定部14が用いる床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の、所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力(実測値)との関係を機械学習により学習して作成されたモデルである。
【0062】
評価部16は、推定部14により推定された床反力に基づき、評価対象のユーザのスイングを評価する(ステップS15)。
【0063】
このように、本実施形態に係る推定装置10による推定方法は、動作情報取得ステップ(ステップS11)と、身体情報取得ステップ(ステップS12)と、所定情報取得ステップ(ステップS13)と、推定ステップ(ステップS14)と、を含む。動作情報取得ステップでは、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する。身体情報取得ステップでは、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する。所定情報取得ステップでは、動作情報と身体情報とに基づき、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する。推定ステップでは、床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する。
【0064】
次に、図3に示す推定装置10の動作について説明する。図5は、図3に示す推定装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、推定装置10による推定方法を説明するための図である。図5において、図4と同様の処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0065】
動作情報取得部11Aは、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する(ステップS21)。動作情報取得部11は、例えば、動作情報として、ユーザの身体所定部位の加速度あるいは角速度のデータを取得する。
【0066】
所定情報取得部13Aは、動作情報に基づき、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する(ステップS22)。所定情報取得部13Aは、例えば、所定情報として、スイング中のユーザの身体所定部位の加速度あるいは角速度のデータを取得する。
【0067】
推定部14Aは、床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する(ステップS23)。推定部14Aが用いる床反力推定モデルは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の、所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報(実測値)との関係を機械学習により学習して作成されたモデルである。推定部14Aは、例えば、床反力に関する情報として、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fx,Fy,Fz)を評価対象のユーザの体重で除算した除算値、あるいは、圧力中心位置(COP)を推定する。
【0068】
変換部15は、推定された評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、身体情報に基づき、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する(ステップS24)。変換部15は、例えば、床反力に関する情報に身体情報に含まれるユーザの体重を乗算して、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fx,Fy,Fz)、あるいは、圧力中心位置を通る鉛直軸回りのフリーモーメントMzに変換する。
【0069】
このように、本実施形態に係る推定装置10による推定方法は、動作情報取得ステップ(ステップS21)と、身体情報取得ステップ(ステップS12)と、所定情報取得ステップ(ステップS22)と、推定ステップ(ステップS23)と、変換ステップ(ステップS24)とを含む。動作情報取得ステップでは、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する。身体情報取得ステップでは、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する。所定情報取得ステップでは、動作情報に基づき、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する。推定ステップでは、床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する。変換ステップでは、推定された評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、身体情報に基づき、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する。
【0070】
次に、本実施形態に係る推定装置10の動作を、具体例を挙げてより詳細に説明する。
【0071】
図6は、図1に示す推定装置10の動作の具体例を示すフローチャートである。
【0072】
動作情報取得部11は、動作情報として、評価対象のユーザの身体所定部位およびユーザがスイングに用いるクラブの所定部位の位置のデータを取得する(ステップS31)。動作情報取得部11は、例えば、ユーザの身体所定部位およびクラブの所定部位に取り付けられた慣性センサの検出結果から上述したデータを取得する。
【0073】
身体情報取得部12は、評価対象のユーザの身体情報として、ユーザの体重のデータを取得する(ステップS32)。身体情報取得部12は、例えば、操作者の入力によりデータを取得する。身体情報取得部12は、データベースに当該ユーザの体重などのデータが予め記憶されている場合には、データベースからデータを取得してよい。
【0074】
所定情報取得部13は、動作情報(評価対象のユーザの身体所定部位およびクラブの所定部位の位置のデータ)と、身体情報(ユーザの体重のデータ)とに基づき、所定情報を取得する(ステップS33)。具体的には、所定情報取得部13は、所定情報として、身体所定部位の重心の加速度と身体所定部位の重量との乗算値、身体重心回りの身体所定部位の角運動量、身体所定部位の位置、身体重心回りのクラブの角運動量およびクラブの所定部位の位置とを取得する。所定情報取得部13は、取得した所定情報を正規化する。
【0075】
推定部14は、予め用意された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、左右の脚それぞれに作用する3軸方向の力ベクトル(Fx,Fy,Fz)と、圧力中心位置(COP)と、圧力中心位置を通る鉛直軸回りのフリーモーメントMzと、を推定する(ステップS34)。
【0076】
評価部16は、推定部14により推定された床反力と、ユーザの動作情報とに基づき、評価対象のユーザの身体部位のスイングへの寄与を算出する(ステップS35)。
【0077】
図7は、図1に示す推定装置10の動作の別の具体例を示すフローチャートである。
【0078】
動作情報取得部11は、動作情報として、評価対象のユーザの身体所定部位およびユーザがスイングに用いるクラブの所定部位の加速度、角速度および姿勢のデータを取得する(ステップS41)。動作情報取得部11は、例えば、ユーザの身体所定部位およびクラブの所定部位に取り付けられた慣性センサの検出結果から上述したデータを取得する。
【0079】
身体情報取得部12は、評価対象のユーザの身体情報として、ユーザの体重データを取得する(ステップS42)。
【0080】
所定情報取得部13は、動作情報(評価対象のユーザの身体所定部位およびユーザがスイングに用いるクラブの所定部位の加速度、角速度および姿勢のデータ)と、身体情報(ユーザの体重のデータ)とに基づき、所定情報を取得する(ステップS43)。具体的には、所定情報取得部13は、所定情報として、身体所定部位の重心の加速度と身体所定部位の重量との乗算値および身体所定部位の位置を取得する。所定情報取得部13は、取得した所定情報を正規化する。
【0081】
推定部14は、予め用意された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fx,Fy,Fz)を推定する(ステップS44)。
【0082】
評価部16は、推定部14により推定された床反力と、ユーザの動作情報とに基づき、評価対象のユーザの関節トルクを算出する(ステップS45)。そして、評価部16は、算出した関節トルクと、推定された床反力とに基づき運動支援情報を決定する(ステップS46)。
【0083】
図8は、図3に示す推定装置10の動作の具体例を示すフローチャートである。
【0084】
動作情報取得部11Aは、動作情報として、評価対象のユーザの身体所定部位の加速度および角速度のデータおよびクラブのヘッドスピードのデータを取得する(ステップS51)。動作情報取得部11Aは、例えば、ユーザの身体所定部位に取り付けられた慣性センサの検出結果から上述したデータを取得する。
【0085】
身体情報取得部12は、評価対象のユーザの身体情報として、ユーザの体重データを取得する(ステップS52)。
【0086】
所定情報取得部13Aは、動作情報(評価対象のユーザの身体所定部位の加速度および角速度のデータおよびクラブのヘッドスピードのデータ)に基づき、所定情報を取得する(ステップS53)。具体的には、所定情報取得部13Aは、所定情報として、身体所定部位(例えば、肩、腰および左手首)の加速度、角速度および姿勢のデータを取得する。所定情報取得部13Aは、取得した所定情報を正規化する。
【0087】
推定部14Aは、予め用意された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力の関する情報として、左右の脚それぞれに作用するZ方向の力ベクトル(Fz)を体重で除算した除算値(Fz/体重)と、圧力中心位置(COP)の変位とを推定する(ステップS54)。
【0088】
変換部15は、推定された床反力に関する情報を、ユーザの身体情報に基づき床反力に変換する。具体的には、変換部15は、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fz)と、圧力中心位置(COP)とを算出する(ステップS55)。
【0089】
評価部16は、変換部15により算出された左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fz)および圧力中心位置(COP)と、動作情報とに基づき、ユーザの運動エネルギーを算出する(ステップS56)。
【0090】
図9は、図3に示す推定装置10の動作の別の具体例を示すフローチャートである。
【0091】
動作情報取得部11Aは、動作情報として、評価対象のユーザの身体所定部位の加速度および角速度のデータおよびクラブのヘッドスピードのデータを取得する(ステップS61)。動作情報取得部11Aは、例えば、ユーザの身体所定部位に取り付けられた慣性センサの検出結果から上述したデータを取得する。
【0092】
身体情報取得部12は、評価対象のユーザの身体情報として、ユーザの体重のデータおよびアドレス時の足幅のデータを取得する(ステップS62)。身体情報取得部12は、例えば、操作者の入力により、これらのデータを取得する。身体情報取得部12は、データベースに当該ユーザの体重などのデータが予め記憶されている場合には、データベースからユーザの体重のデータおよびアドレス時の足幅のデータを取得してよい。
【0093】
所定情報取得部13Aは、動作情報(ユーザの体重のデータおよびアドレス時の足幅のデータ)に基づき、所定情報を取得する(ステップS63)。具体的には、所定情報取得部13Aは、所定情報として、身体所定部位の加速度、角速度および姿勢のデータを取得する。所定情報取得部13Aは、取得した所定情報を正規化する。
【0094】
推定部14Aは、予め用意された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力の関する情報として、左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fz)を体重で除算した除算値(Fz/体重)と、左右の脚の位置の中点を基準とした圧力中心位置の変位(COP変位)を足幅で除算した除算値(COP変位/足幅)とを推定する(ステップS64)。
【0095】
変換部15は、推定された床反力に関する情報を、ユーザの身体情報に基づき床反力に変換する。具体的には、変換部15は、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fz)および圧力中心位置(COP)を算出する(ステップS65)。
【0096】
評価部16は、変換部15により算出された左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fz)および圧力中心位置(COP)と、動作情報とに基づき、ユーザの運動エネルギーを算出する(ステップS66)。
【0097】
図10は、図3に示す推定装置10の動作のさらに別の具体例を示すフローチャートである。
【0098】
動作情報取得部11Aは、動作情報として、評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な位置のデータを取得する(ステップS71)。動作情報取得部11Aは、例えば、単一または複数のカメラでスイング中のユーザを撮影した画像から上述したデータを取得する。
【0099】
身体情報取得部12は、評価対象のユーザの身体情報として、ユーザの体重のデータおよびアドレス時の足幅のデータを取得する(ステップS72)。身体情報取得部12は、例えば、操作者の入力により、ユーザの体重のデータを取得し、スイング中のユーザを撮影した画像から足幅のデータを取得する。
【0100】
所定情報取得部13Aは、動作情報(評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な位置のデータ)に基づき、所定情報を取得する(ステップS73)。具体的には、所定情報取得部13Aは、所定情報として、身体所定部位の加速度、角速度および位置のデータを取得する。所定情報取得部13Aは、取得した所定情報を正規化する。
【0101】
推定部14Aは、予め用意された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力の関する情報として、左右の脚それぞれに作用するZ軸方向の力ベクトル(Fz)を体重で除算した除算値(Fz/体重)および左右の脚の位置の中点を基準とした圧力中心位置の変位(COP変位)を足幅で除算した除算値(COP変位/足幅)を推定する(ステップS74)。
【0102】
変換部15は、推定された床反力に関する情報を、ユーザの身体情報に基づき床反力に変換する。具体的には、変換部15は、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力として、左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fz)と、圧力中心位置(COP)とを算出する(ステップS75)。
【0103】
評価部16は、変換部15により算出された左右の脚それぞれに作用する力ベクトル(Fz)および圧力中心位置(COP)と、動作情報とに基づき、ユーザの運動エネルギーを算出する(ステップS76)。
【0104】
このように、本実施形態に係る推定装置10は、動作情報取得部11と、身体情報取得部12と、所定情報取得部13と、推定部14とを備える。動作情報取得部11は、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する。身体情報取得部12は、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する。所定情報取得部13は、動作情報と身体情報とに基づき、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する。推定部14は、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する。
【0105】
また、本実施形態に係る推定方法は、動作情報取得ステップと、身体情報取得ステップと、所定情報取得ステップと、推定ステップとを含む。動作情報取得ステップでは、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する。身体情報取得ステップでは、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する。所定情報取得ステップでは、動作情報と前記身体情報とに基づき、前記スイング中に前記評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を説明する所定情報を取得する。推定ステップでは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する。
【0106】
床反力推定モデルを用いて床反力を推定するため、フォースプレートなどの大型・高コストの機器を用いることなく、床反力を簡易に推定することができる。また、複数のユーザのスイングそれぞれから得られた所定情報を学習して作成された床反力推定モデルを用いることで、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を高精度に推定することができる。そのため、より簡易かつ高精度に、ユーザによるクラブのスイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる。
【0107】
また、本実施形態に係る推定装置10は、動作情報取得部11Aと、身体情報取得部12と、所定情報取得部13Aと、推定部14Aと、変換部15とを備える。動作情報取得部11Aは、スイング中の前記評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する。身体情報取得部12は、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する。所定情報取得部13Aは、動作情報に基づき、スイング中評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する。推定部14Aは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する。変換部15は、推定された評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、身体情報に基づき、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する。
【0108】
また、本実施形態に係る推定方法は、動作情報取得ステップと、身体情報取得ステップと、所定情報取得ステップと、推定ステップと、変換ステップとを含む。動作情報取得ステップでは、スイング中の評価対象のユーザの身体所定部位の三次元的な動作情報を取得する。身体情報取得ステップでは、評価対象のユーザの体重を含む、評価対象のユーザの身体情報を取得する。所定情報取得ステップでは、動作情報に基づき、スイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を説明する所定情報を取得する。推定ステップでは、複数のユーザについて求められた、クラブのスイング中の所定情報とユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報との関係を、機械学習により学習して作成された床反力推定モデルを用いて、取得された所定情報に基づき、評価対象のユーザによるスイング中に評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を推定する。変換ステップでは、推定された評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に関する情報を、身体情報に基づき、評価対象のユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力に変換する。
【0109】
床反力推定モデルを用いて床反力に関する情報を推定し、身体情報に基づき床反力に変換するため、フォースプレートなどの大型・高コストの機器を用いることなく、床反力を簡易に推定することができる。また、複数のユーザのスイングそれぞれから得られた所定情報を学習して作成された床反力推定モデルを用いることで、ユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を高精度に推定することができる。そのため、より簡易かつ高精度に、ユーザによるクラブのスイング中にユーザの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができる。
【0110】
本発明に係る推定装置および推定方法は、上述した実施形態に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
10 推定装置
11,11A 動作情報取得部(動作情報取得手段)
12 身体情報取得部(身体情報取得手段)
13,13A 所定情報取得部(所定情報取得手段)
14,14A 推定部(推定手段)
15 変換部(変換手段)
16 評価部(評価手段)
図1
図2A
図2B
図3
図4
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図7
図8
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図10