(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】硝酸レダクターゼ活性の回復改善
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20240917BHJP
C12N 9/06 20060101ALI20240917BHJP
A23L 5/40 20160101ALI20240917BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N9/06
A23L5/40
(21)【出願番号】P 2020560960
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 EP2019061355
(87)【国際公開番号】W WO2019211428
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-22
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】DSMZ DSM25789
【微生物の受託番号】DSMZ DSM25011
【微生物の受託番号】DSMZ DSM32827
【微生物の受託番号】DSMZ DSM32828
【微生物の受託番号】DSMZ DSM27311
【微生物の受託番号】DSMZ DSM32779
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503260310
【氏名又は名称】セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ビアギテ ユーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ティーナ マリング トアスン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーチュ ナービン バロイ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン タポネン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコプ ソールトフト-イェンスン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0300591(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00259739(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01441027(EP,A1)
【文献】国際公開第2015/140211(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0140171(US,A1)
【文献】国際公開第2013/186348(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104745501(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1566323(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1566322(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12P
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥前に硝酸リダクターゼ活性を有する細菌と混合することで、凍結乾燥中の前記硝酸リダクターゼ活性を有する細菌の硝酸リダクターゼ活性を保持および/または増大するための、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質
を含有する調製物の使用であって、
前記硝酸リダクターゼ活性を有する細菌は、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)である、使用。
【請求項2】
前記
硝酸リダクターゼ活性を有する細菌と、前記アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物とが、濃縮培養物の中に含まれる、請求項1
に記載の使用
。
【請求項3】
前記アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質が、カゼインナトリウム、ジャガイモタンパク質、加水分解されたカゼイン、加水分解されたジャガイモタンパク質、加水分解されたエンドウ豆タンパク質、ヒスチジン、トリプトファン、グリシン、フェニルアラニンおよび酵母エキスからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記調製物がアミノ酸を含有し、前記アミノ酸が、ヒスチジン、トリプトファン、グリシンおよびフェニルアラニンからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項5】
前記調製物がペプチドを含有し、前記ペプチドが、加水分解されたカゼイン、加水分解されたジャガイモタンパク質、加水分解されたエンドウ豆タンパク質および酵母エキスからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記調製物がタンパク質を含有し、前記タンパク質が、カゼインまたはカゼイン塩、ジャガイモタンパク質、およびエンドウ豆タンパク質からなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を赤色化することと細菌培養物の分野に関する。特に本発明は、特定の生存率増強剤を用いることによる凍結および/または乾燥させた乳酸菌培養物(例えば、ブドウ球菌属の1つ以上の種)またはミクロコッカス科(Micrococcaceae)培養物(特に硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属(Staphylococcus)の1つ以上の種を含む培養物)の硝酸レダクターゼ活性の保持および/または増大、ならびに肉製品を赤色化するためのその培養物の使用に関する。最後に、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物を用いることにより、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の菌株など)の硝酸レダクターゼ活性を増大させる方法が本発明によって提供される。
【背景技術】
【0002】
発色と色安定性は加工肉製品の最も重要な品質特性であるため、肉産業にとって非常に重要である。特徴的な塩漬色は、ヘム色素(ミオグロビン、ヘモグロビン)の濃度、それらの化学的状態、添加物、例えば窒素酸化物および還元剤に由来する可能性がある。標準的な発酵肉製品(サラミなど)では、特徴的な塩漬色は、添加した亜硝酸塩/硝酸塩に由来する化合物と天然の赤いミオグロビンの間の化学反応の結果であり、明るい赤色のニトロシルミオグロビンが同時に形成される。このニトロシルミオグロビンの中では、軸方向リガンドである一酸化窒素(NO)が、ヘムの中心にあるFe2+に配位している。
【0003】
亜硝酸塩は、その望ましいあらゆる特性(発色、微生物学的安全性)にもかかわらず、ヒトの健康に対する安全性が疑問視されてきた。亜硝酸塩は、塩漬肉の中で、健康に関して疑問があるN-ニトロソアミンなどの望ましくない化合物の形成を引き起こす可能性がある。これらの化合物は、原則として、亜硝酸塩と、筋肉タンパク質中ならびに胃腸管の中の第二級アミンおよびアミノ酸との反応によって形成される可能性がある。
【0004】
発色を目的とした乳酸菌培養物またはミクロコッカス科培養物の種の使用は、これら培養物が、無機硝酸塩を還元して亜硝酸塩にし、この亜硝酸塩をさらに分解して、発色プロセスにおける活性化合物である上記の一酸化窒素(NO)にするといういくつかの株の能力に基づいている。高い硝酸レダクターゼ活性を有する菌株は肉の中で非常に速く発色することが報告されている(Meat science 2008年4月:第78巻(4):492~501ページ)。硝酸塩(nitrate)は、硝酸塩(nitrate salt)として直接提供すること、または天然の硝酸塩供給源(野菜粉末)を用いて間接的に提供することができよう。亜硝酸塩(nitrite salt)を添加する場合であっても、亜硝酸塩(nitrite)は一部が硝酸塩へと再変換されるため、特定の群からの菌株の添加が推奨される。
【0005】
市販の出発培養物は、一般に凍結培養物として流通している。低温状態の凍結培養物では、細胞内の多くの代謝活性が停止しているため、細胞を長期にわたってこの中断状態だが生きている状態に維持することができる。
【0006】
濃縮された凍結培養物は、製造容器の中に直接接種できるため市場において非常に興味深い。濃縮された凍結培養物を用いることにより、エンドユーザーは、そうでない場合に不可欠で時間がかかる中間的な発酵工程を回避する。この発酵工程の間に出発培養物は増幅されるため、エンドユーザーは、汚染のリスクが顕著に減る。濃縮培養物は、DVS(direct vat set(商標))培養物と呼ぶことができる。
【0007】
濃縮された凍結培養物の代替物として、濃縮された凍結乾燥DVS(商標)培養物を調製することができる。これら培養物は、冷凍せずに輸送できるという追加の利点を有する。
【0008】
一般に、生きている細胞の生存率に対して凍結と解凍が及ぼす可能性のある損傷効果は、細胞が脱水されることと、凍結させている間に細胞質の中に氷の結晶が形成されることに帰されてきた。
【0009】
F.J. Chavarriらの論文(Biotechnology letters、第10巻、第1号、11~16ページ(1988年)、「苦くないストレプトコッカス・ラクチス菌株からの濃縮された凍結出発材料のための凍結防止剤(Cryoprotective agents for frozen concentrated starters from non-bitter Streptococcus Lactis strains)」)には、凍結させた純粋なストレプトコッカス・ラクチス培養物を保管したときの生存率を、5%ラクトースまたは5%スクロースを添加することによって改善できることが記載されている。ラクトースまたはスクロースは凍結防止剤として機能した。ストレプトコッカス・ラクチスは、以前の名称がラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチスである。
【0010】
同様に、R. Carcobaらの論文(Eur Food Res Technol(2000年)第211巻、433~437ページ、「新規な出発菌株ラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチスCECT 5180の凍結細胞と凍結乾燥細胞の生存率と酸性化活性に対する凍結防止剤の影響(Influence of cryoprotectants on the viability and acidifying activity of frozen and freeze-dried cells of the novel starter strain Lactococcus lactis subsp. lactis CECT 5180)」)には、凍結させた純粋なラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチス培養物を保管したときの生存率を、さまざまな凍結防止剤(糖(ラクトース、スクロース、トレハロース)、グルタミン酸、ゼラチンなど)を添加することによって改善できたことが記載されている。
【0011】
凍結乾燥させた培養物の生存率は、他の凍結防止剤を用いて改善することもできる。例えばEP 0259739には、凍結乾燥させた培養物のためのいくつかの異なる凍結防止剤が記載されている。EP0259739には、ミクロコッカス科の細菌またはブドウ球菌科の種(ブドウ球菌属の種など)を安定化させるための薬剤は開示されていない。
【0012】
先行技術に関する他の多くの文献にも、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質を凍結防止剤として用いることが記載されている(US2001/008874、EP1867713、WO2013/186348、Champagneら、1991年、およびMendozaら、2013年を参照されたい)。これらの文献には、ミクロコッカス科の細菌、またはブドウ球菌科の種(ブドウ球菌属の種など)の安定化は開示されていない。
【0013】
さらに、既知の凍結防止剤を用いることがテストされたときでさえ、ミクロコッカス科の細菌またはブドウ球菌科の種(ブドウ球菌属の種など)などの細菌の凍結と乾燥の間に硝酸レダクターゼ活性が失われているという問題がある。そのため、保護を目的として(例えば凍結と乾燥の間の細菌の硝酸レダクターゼ活性を保持すること、または増大させることを目的として)、食品産業、特に食肉産業で用いられる濃縮培養物に添加できる有効な凍結防止剤が必要とされている。凍結中と乾燥中の硝酸レダクターゼの安定性が改善されると、食品の発色が改善される。
【発明の概要】
【0014】
本発明の発明者は、驚くべきことに、硝酸レダクターゼ活性を有する細菌(例えば硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌やミクロコッカス科の細菌の培養物)の培養物が、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の存在下では、凍結および乾燥中に、増大した安定性、および/または保持された硝酸レダクターゼ活性を有し、ミオグロビンを含有する食品を着色するためにその培養物を用いた際に赤色化を増大することを見いだした。本明細書に含まれている実施例は、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質を含有する調製物の、ブドウ球菌属の種の硝酸リダクターゼ活性に対する影響を実証し、そして、本発明の調製物が、炭水化物のみを含有する調製物よりも硝酸リダクターゼ活性を保持および/または増大できることを示している。
【0015】
したがって第1の態様では、本発明は、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種)を含み、さらに、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含む濃縮培養物に関する。
【0016】
本発明の第2の態様は、凍結させた濃縮培養物を作製する方法に関するものであり、この方法は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種)を混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料を包装すること、
を含んでいる。
【0017】
本発明の第3の態様は、乾燥させた濃縮培養物を作製する方法に関するものであり、この方法は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種)を混合し;
b)a)で得られた混合物を乾燥させて乾燥材料を取得し;
c)任意により、b)で得られた乾燥材料を粉砕し;
d)その乾燥材料を包装すること、
を含んでいる。
【0018】
本発明の第4の態様は、凍結乾燥させた濃縮培養物を作製する方法に関するものであり、この方法は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種)を混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料から水を昇華させてb)の材料を凍結乾燥させ;
d)c)の凍結乾燥材料を包装すること、
を含んでいる。
【0019】
本発明の第5の態様は、食品を赤色化する方法に関するものであり、この方法は、
本発明の濃縮培養物を食品に添加する工程と;
その食品を本発明の濃縮培養物とともに発酵させる、または熟成させる、または塩漬する工程、
を含んでいる。
【0020】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様による濃縮培養物を含む食品に関する。
【0021】
第7の態様では、本発明は、食品を赤色化するための、本発明の第1の態様による濃縮培養物の使用に関する。
【0022】
本発明の第8の態様は、乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(ブドウ球菌属の種など)からなる群から選択された細菌の硝酸レダクターゼ活性の保持および/または増大のための、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質またはその塩の使用に関する。
【0023】
本発明の第9の態様は、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種など)からなる群から選択された硝酸レダクターゼ活性を有する細菌の硝酸レダクターゼ活性を増大させるための方法に関するものであり、この方法は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種など)を混合し、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質と細菌を含む混合物を取得する工程と;
b)任意により、a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得する工程と;
c)任意により、a)の混合物、または工程b)の凍結材料を乾燥させて乾燥材料を取得する工程と;
d)任意により、工程b)から得られた凍結材料、または工程c)の乾燥材料を包装して包装された製品を取得する工程、
を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本発明を記述する文脈(特に下記の請求項の文脈)の中で用いられる「a」「an」および「the」、ならびに同様の用語は、単数形と複数形の両方を包含すると解釈するが、本明細書にそうでないことが示されている場合や、文脈から明確に矛盾する場合は別である。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(including)」、「含む(containing)」という用語は、特に断わらない限り、オープンエンドな用語(すなわち「包含するが、それだけに限定されない」)と解釈する。本明細書では、数値の範囲への言及は、特に断わらない限り、その範囲に入るそれぞれ異なる数値に個別に言及する簡便な方法としてだけ機能することを想定しており、それぞれ異なる数値が本明細書で個別に言及されているかのようにして本明細書に組み込まれている。本明細書に記載されているどの方法も適切な任意の順番で実施することができるが、本明細書にそうでないことが示されている場合や、文脈から明確に矛盾する場合は別である。本明細書で用いられているどの実施例も、例示する用語(例えば「など」)も、特に断わらない限り、単に本発明をよりよく理解することだけが目的であり、本発明の範囲を制限することはない。本明細書に記載されていない用語は、本発明の実施にとって不可欠な記載されていないあらゆる要素を示すと解釈すべきである。
【0025】
本発明は、乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種)からなる群から選択された硝酸レダクターゼ活性を有する細菌と、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質とを含む濃縮培養物に関する。
【0026】
「硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌」という用語は、本明細書では、硝酸塩を亜硝酸塩に変換することのできる乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌を意味する。
【0027】
本明細書では、「乳酸菌」(LAB)という用語は、糖を発酵させて酸(乳酸(最も多く生成する酸)、酢酸、プロピオン酸が含まれる)を生成させるグラム陽性の微好気性または嫌気性の細菌を指す。工業的に最も有用な乳酸菌は、ラクトバシラス(Lactobacillales)目の種の中にたいてい見いだされ、例えばラクトコッカス属の種、ブドウ球菌属の種、ラクトバシラス属の種(L.フェルメントゥム(L. fermentum)、L.ペンソスス(L. pensosus)、およびL.プランタルム(L. Plantarum)など)、ロイコノストック属の種、ペディオコッカス属の種(P.ペントサセウス(P. pentosaceus)、およびP.アシディラクティシ(P. acidilactici)など)、ブレビバクテリウム属の種、エンテロコッカス属の種、ならびにプロピオニバクテリウム属の種がある。それに加え、絶対嫌気性細菌であるビフィズス菌のグループに属する乳酸産生菌(すなわち食品用出発培養物として単独で、または乳酸菌と組み合わせて用いられることがしばしばあるビフィドバクテリウム属の種)は、一般に、乳酸菌のグループに包含される。乳酸菌は、硝酸レダクターゼ活性を有する任意の乳酸菌であり得る。
【0028】
ラクトバシラス目とは別の科と目の一部だが、ブドウ球菌属の特定の細菌(例えばS.カルノーサス(S. carnosus)、S.エクオルム(S. equorum)、S.シウリ(S. sciuri)、S.ビツリヌス(S. vitulinus)、S.キシローサス(S. xylosus))さえ、LABと呼ばれてきた(Mogensen他(2002年)Bulletin of the IDF 第377号、10~19ページ)。
【0029】
本発明の好ましい一実施形態では、ラクトバシラス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)種は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen:DSMZ)にアクセッション番号DSM 25011で寄託されたラクトバシラス・ペントーサス菌株CHCC4196である。
【0030】
ブドウ球菌は、単独で、またはペアになって、または鎖になって、またはクラスターになって増殖するグラム陽性菌である。ブドウ球菌はブドウ球菌科のメンバーであり、ブドウ球菌科は、バシラス目とバシラス綱のメンバーである。ブドウ球菌属の種として、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の任意の種、例えばスタフィロコッカス・ビツリヌス(Staphylococcus vitulinus)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)、またはスタフィロコッカス・キシローサス(Staphylococcus xylosus)という種が可能である。ブドウ球菌属の興味ある他の株は、スタフィロコッカス・シムランス(S. simulans)、スタフィロコッカス・サプロフィティクス(S. saprophyticus)、スタフィロコッカス・レントゥス(S. lentus)、スタフィロコッカス・パステウリ(S. pasteuri)、スタフィロコッカス・シウリ(S. sciuri)、スタフィロコッカス・ヘモリティクス(S. haemolyticus)、スタフィロコッカス・ワルネリ(S. warneri)、スタフィロコッカス・エクオルム(S. equorum)、スタフィロコッカス・コーニイ(S. cohnii)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S. 表皮ブドウ球菌)(S. epidermidis)、スタフィロコッカス・ホミニス(S. hominis)、スタフィロコッカス・カピティス(S. capitis)、スタフィロコッカス・インテルメディウス(S. intermedius)、およびスタフィロコッカス・スクシヌス(S. succinus)である。したがって本発明の一実施形態では、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌は、スタフィロコッカス・ビツリヌス、スタフィロコッカス・カルノーサス、スタフィロコッカス・キシローサス、スタフィロコッカス・シムランス、スタフィロコッカス・サプロフィティクス、スタフィロコッカス・レントゥス、スタフィロコッカス・パステウリ、スタフィロコッカス・シウリ、スタフィロコッカス・ヘモリティクス、スタフィロコッカス・ワルネリ、スタフィロコッカス・エクオルム、スタフィロコッカス・コーニイ、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・ホミニス、スタフィロコッカス・カピティス、スタフィロコッカス・インテルメディウス、スタフィロコッカス・スクシヌスからなる群から選択された種であり、より好ましくは、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌は、スタフィロコッカス・ビツリヌス、スタフィロコッカス・カルノーサス、スタフィロコッカス・キシローサスからなる群から選択された種である。
【0031】
本発明の好ましい一実施形態では、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種は、硝酸レダクターゼ活性を有するスタフィロコッカス・ビツリヌス種、スタフィロコッカス・キシローサス種および/またはスタフィロコッカス・カルノーサス種である。
【0032】
より好ましい一実施形態では、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種は、スタフィロコッカス・カルノーサス種である。
【0033】
本発明の好ましい一実施形態では、スタフィロコッカス・ビツリヌス種は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセッション番号DSM 25789で寄託されたスタフィロコッカス・ビツリヌス菌株CHCC10896、およびドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセッション番号DSM 27311で寄託されたスタフィロコッカス・ビツリヌス菌株CHCC11576と、これらの突然変異体からなる群から選択される。本発明の別の好ましい一実施形態では、スタフィロコッカス・カルノーサス種は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセッション番号DSM 32779で寄託されたスタフィロコッカス・カルノーサス CHCC4055と、その突然変異体である。
【0034】
ミクロコッカス科は、単独で、ペアになって、四つ組で、パケット(packets)で、不規則な塊になって、または鎖になって存在する球形細胞を含有するグラム陽性菌の1つの科である。遊離して生きている種、腐生種、寄生している種、病原性の種が存在する。属のタイプは、ミクロコッカス属である。ミクロコッカス科の細菌として、硝酸レダクターゼ活性を有するミクロコッカス科の任意の細菌が可能である。特に興味あるミクロコッカス科の細菌は、コクリア属の種である。
【0035】
ミクロコッカス科に属する他の種は、放線菌目(Actinomycetales)のアカリコメス属(Acaricomes)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、アウリティディバクター属(Auritidibacter)、シトリコッカス属(Citricoccus)、エンテラクチノコッカス属(Enteractinococcus)、コクリア属(Kocuria)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ネステレンコニア属(Nesterenkonia)、レニバクテリウム属(Renibacterium)、ロティア属(Rothia)、シノモナス属(Sinomonas)、ヤニエラ属(Yaniella)、ツィーエングリウエラ属(Zhihengliuella)である。したがって本発明の一実施形態では、硝酸レダクターゼ活性を有する細菌は、放線菌目のアカリコメス属、アルスロバクター属、アウリティディバクター属、シトリコッカス属、エンテラクチノコッカス属、コクリア属、ミクロコッカス属、ネステレンコニア属、レニバクテリウム属、ロティア属、シノモナス属、ヤニエラ、属、ツィーエングリウエラ属からなる群から選択された1つ以上の種である。より好ましい一実施形態では、硝酸レダクターゼ活性を有する細菌は、コクリア属の種からなる群から選択された1つ以上の種である。
【0036】
本発明の好ましい一実施形態では、コクリア属の種はコクリア・サルシシア(Kocuria salsicia)である。本発明のより好ましい一実施形態では、コクリア属の種は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセッション番号DSM 32827で寄託されたコクリア・サルシシア菌株CHCC5184と、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセッション番号DSM 32828で寄託されたコクリア・サルシシア菌株CHCC5185と、これらに由来する突然変異体から選択されたコクリア属の種である。
【0037】
本発明の好ましい一実施形態では、濃縮培養物は、硝酸レダクターゼ活性を有するコクリア属の種および/またはブドウ球菌属の種と、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物を含んでいる。したがって好ましい一実施形態では、濃縮培養物は、コクリア属の種とブドウ球菌属の種からなる群から選択された硝酸レダクターゼ活性を有する細菌と、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物を含んでいる。
【0038】
本発明の文脈では、「突然変異体(mutant)」という用語は、例えば遺伝子操作、および/または放射線、および/または化学的処理によって本発明の菌株から誘導される菌株と理解すべきである。突然変異体は、機能的に同等な突然変異体であること、例えば母菌株と(例えば硝酸レダクターゼ活性に関して)実質的に同じ特性、または改善された特性を有する突然変異体であることが好ましい。このような突然変異体は本発明の一部である。特に「突然変異体」という用語は、本発明の菌株に対して従来から使用されている任意の突然変異誘発処理(化学的突然変異誘発物質であるエチルメタンスルホン酸(EMS)やN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトログアニジン(NTG)を用いた処理、UV光を用いた処理が含まれる)を実施することによって得られた菌株、または自発的に生じる突然変異体を意味する。突然変異体は、いくつかの突然変異誘発処理(1回の処理は、1つの突然変異誘発処理の後にスクリーニング工程/選択工程を伴うと理解すべきである)を経ている可能性があるが、本発明では20回以下、または10回以下、または5回以下の処理(またはスクリーニング工程/選択工程)が実施されることが好ましい。本発明の好ましい突然変異体では、母菌株と比べて、細菌ゲノムの1%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、それどころか0.0001%未満のヌクレオチドが、別のヌクレオチドで置換されるか、欠失している。
【0039】
本発明の好ましい一実施形態では、種の硝酸レダクターゼ活性は、凍結処理または乾燥処理の後に、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質が存在していない種と比べて少なくとも10%(例えば少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%)改善されている。
【0040】
問題となるブドウ球菌属の種の硝酸レダクターゼ活性の改善率は、本明細書の実施例に記載されているように、例えばグリース試験の動力学的設定で(「比色分析と分光測光」、『Vogel's Textbook of Quantitative Chemical Analysis』、第5版、Longman社、702ページ、ISBN 0-582-44693-7を参照されたい)所与の時間における硝酸塩から亜硝酸塩への変換率(硝酸レダクターゼ活性)を求めることによってと、亜硝酸塩の濃度を測定することによって容易に求めることができる。
【0041】
アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質のみであっても、または他の成分を含んでいてもよい。アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質は、任意のアミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質であり得る。
【0042】
ペプチドおよびタンパク質は、動物由来または植物由来であり得る。
【0043】
具体的な目的のタンパク質は、これらに限定されるものではないが、大豆タンパク質、小麦タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ジャガイモタンパク質、綿実タンパク質、脱脂粉乳、カゼインナトリウム、ホエイタンパク質、肉タンパク質および/または任意の加水分解されたタンパク質を含む。本発明の好ましい実施形態では、タンパク質は、カゼイン(またはその塩、例えばカゼインナトリウム)およびジャガイモタンパク質からなる群から選択される。
【0044】
具体的な目的のペプチドは、これらに限定されるものではないが、酵母、大豆、小麦、エンドウ豆、ジャガイモ、綿実、無脂肪乳、カゼイン、ホエイ、肉および/または任意の加水分解されたタンパク質に由来するペプチドを含む。本発明の一実施形態では、加水分解されたタンパク質は、加水分解されたカゼイン、加水分解されたジャガイモタンパク質および加水分解されたエンドウ豆タンパク質からなる群から選択される。したがって、本発明の一実施形態では、ペプチドは、加水分解されたカゼイン、加水分解されたジャガイモタンパク質、加水分解されたエンドウ豆タンパク質および酵母エキスからなる群から選択される。
【0045】
本発明の一実施形態では、調製物は、いかなる種類のゼラチン、例えば魚、ウシまたはブタのゼラチンも含まない。
【0046】
アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニンおよび/またはヒスチジンからなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態では、アミノ酸は、ヒスチジン、トリプトファン、グリシンおよびフェニルアラニンからなる群から選択された1つまたは複数のアミノ酸である。
【0047】
本発明の一実施形態では、アミノ酸はヒスチジンである。 本発明の一実施形態では、アミノ酸はトリプトファンである。本発明の一実施形態では、アミノ酸はグリシンである。本発明の一実施形態では、アミノ酸はフェニルアラニンである。
【0048】
アミノ酸およびペプチドは、酵母エキスの形態でもあり得る。
【0049】
本発明の別のの実施形態では、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質は、カゼイン、またはその塩、例えばカゼインナトリウム、ジャガイモタンパク質、加水分解されたカゼイン、加水分解されたジャガイモタンパク質、加水分解されたエンドウ豆タンパク質、ヒスチジン、トリプトファン、グリシン、フェニルアラニン、および酵母エキスからなる群から選択された1つ以上の種である。本発明のそのような実施形態では、前記群の1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の種が選択され得る。
【0050】
本発明の一実施形態では、濃縮培養物は、カゼイン、またはその塩、例えばカゼインナトリウム、ジャガイモタンパク質、加水分解されたカゼイン、加水分解されたジャガイモタンパク質、加水分解されたエンドウ豆タンパク質、ヒスチジン、トリプトファン、グリシン、フェニルアラニン、および酵母エキスからなる群から選択された1つまたは複数のアミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)とを含む。
【0051】
タンパク質および/またはペプチドの量は、乾燥前または凍結前の全組成物を基準にして少なくとも0.05% w/w、例えば乾燥前または凍結前の全組成物を基準にして少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、例えば少なくとも0.6%である。タンパク質および/またはペプチドの量は、乾燥前または凍結前の全組成物を基準にして最大で5% w/w、例えば最大で4%、3%、例えば最大で2%である。
【0052】
アミノ酸の量は、乾燥前または凍結前の全組成物を基準にして少なくとも0.01% w/w、例えば乾燥前または凍結前の全組成物を基準にして少なくとも0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、例えば少なくとも0.06%である。アミノ酸の量は、乾燥前または凍結前の全組成物を基準にして最大で1% w/w、例えば最大で0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、例えば最大で0.1%である。
【0053】
タンパク質および/またはペプチドの量は、乾燥後または凍結後の全組成物を基準にして少なくとも0.2% w/w、例えば乾燥後または凍結後の全組成物を基準にして少なくとも0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.8%、1%、1.5%、2%である。タンパク質および/またはペプチドの量は、乾燥後または凍結後の全組成物を基準にして最大で20% w/w、例えば最大で16%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、例えば最大で4%である。
【0054】
アミノ酸の量は、乾燥後または凍結後の全組成物を基準にして少なくとも0.04% w/w、例えば乾燥後または凍結後の全組成物を基準にして少なくとも0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.15%、0.2%である。アミノ酸の量は、乾燥後または凍結後の全組成物を基準にして最大で5% w/w、例えば最大で4%、3%、2%、1%、0.5%、例えば最大で0.4%である。
【0055】
本発明の濃縮培養物はさらに、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖および/または多糖を含むことができる。
【0056】
二糖は、スクロース、ラクトースおよびマルトースからなる群から選択することができるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、本発明の濃縮培養物は、スクロースをさらに含むことができる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、濃縮培養物 は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、二糖(例えばスクロース)を含むか、またはこれらからなる。
【0057】
多糖はマルトデキストリンであり得るマルトデキストリンはDE(デキストロース当量(dextrose equivalent))によって分類され、3~20のDEを有する。DE値が大きいほど、グルコース鎖は短く、甘さはより甘く、溶解度はより大きく、熱抵抗はより小さい。好ましい一実施形態では、本発明の濃縮培養物は、3~20のDEが可能なマルトデキストリン(例えばマルトデキストリンDE 12)をさらに含む。したがって本発明の好ましい一実施形態では、濃縮培養物は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質またはその塩の調製物と、乳酸および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、多糖(例えばマルトデキストリン)を含むか、またはこれらからなる。
【0058】
本発明さらにより具体的な実施形態では、濃縮培養物は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、二糖(例えばスクロース)と、多糖(例えばマルトデキストリン)と、任意により水を含むか、またはこれらからなる。
【0059】
本発明の別のさらにより具体的な実施形態では、濃縮培養物は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、スクロースおよびマルトデキストリンと、任意により水を含むか、またはこれらからなる。
【0060】
本発明の別のさらに具体的な実施形態では、濃縮培養物は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、ブドウ球菌属の1つ以上の種(例えばスタフィロコッカス・カルノーサスの種)と、スクロースおよびマルトデキストリンと、任意により水を含むか、またはこれらからなる。
【0061】
本発明の濃縮培養物はさらに、クエン酸またはその塩(クエン酸塩、例えばクエン酸のナトリウム塩など)を含むことができる。本発明の具体的な実施形態では、培養物は、クエン酸三ナトリウムを含む。
【0062】
本発明の濃縮培養物を取得する方法は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)を混合することによる。混合後に、組成物を凍結または乾燥させることができる。
【0063】
アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質またはその塩と細菌を含む混合物が凍結されている態様では、凍結操作は、混合物を低温生成用の物体、流体、気体のいずれかと接触させることによって、例えば混合物を液体窒素と接触させることによって、例えば混合物を液体窒素の中に浸すことによって実現でき、そうすることでペレット、糸、紐のいずれかが形成される(そのうちでペレットが好ましい)。あるいは混合物を塊の状態でトレイに入れて凍結させた後、より小さな部分(例えばペレット)に分割し、または粉砕してより小さな粒子にすることができる。
【0064】
アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質またはその塩と細菌を含む混合物を乾燥させて乾燥材料を取得する態様では、乾燥操作は、本分野のさまざまな技術(例えば真空乾燥、スプレー乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、および/または脱水)を使用して実現することができる。好ましい一実施形態では、乾燥操作は、凍結乾燥またはスプレー乾燥によって実現され、特定の一実施形態では凍結乾燥によって実現される。
【0065】
乾燥法として、真空乾燥、および/または凍結乾燥、および/またはスプレー乾燥が可能だが、これらに限定されることはない。
【0066】
好ましい一実施形態では、乾燥培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物を乾燥させて乾燥材料を取得し;
c)任意により、b)で得られた乾燥材料を粉砕し;
d)その乾燥材料を包装することによって得られる。
【0067】
乾燥操作は、真空乾燥、および/または凍結乾燥、および/またはスプレー乾燥によって実現できるが、これらに限定されない。
【0068】
本発明のより好ましい一実施形態では、凍結乾燥培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料から水を昇華させることによってb)の材料を凍結乾燥させ;
d)任意により、c)で得られた凍結乾燥材料を粉砕し;
e)その凍結乾燥材料を包装することによって得られる。
【0069】
本発明の別の好ましい一実施形態では、スプレー乾燥培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物をスプレー乾燥させてスプレー乾燥材料を取得し;
c)そのスプレー乾燥材料を包装することによって得られる。
【0070】
本発明の別の好ましい一実施形態では、凍結培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の1つ以上の種)と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料を包装することによって得られる。
【0071】
本発明の特定の一実施形態では、濃縮培養物はペレット化される。
【0072】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の濃縮培養物を取得する方法は、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種を混合物ことによる。得られた培養物はあとで乾燥または凍結させることができる。
【0073】
好ましい一実施形態では、乾燥培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物を乾燥させて乾燥材料を取得し;
c)任意により、b)で得られた乾燥材料を粉砕し;
d)その乾燥材料を包装することによって得られる。
【0074】
乾燥操作は、真空乾燥、および/または凍結乾燥、および/またはスプレー乾燥によって実現できるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明のより好ましい一実施形態では、凍結乾燥培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料から水を昇華させることによってb)の材料を凍結乾燥させ;
d)任意により、c)で得られた凍結乾燥材料を粉砕し;
e)その凍結乾燥材料を包装することによって得られる。
【0076】
本発明の別の好ましい一実施形態では、スプレー乾燥培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物をスプレー乾燥させてスプレー乾燥材料を取得し;
c)そのスプレー乾燥材料を包装することによって得られる。
【0077】
本発明の別の好ましい一実施形態では、凍結培養物は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物と、硝酸レダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種と、任意により他の諸成分を混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料を包装することによって得られる。
【0078】
本発明の特定の一実施形態では、濃縮培養物はペレット化される。
【0079】
本発明の1つの態様は、乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種)からなる群から選択された硝酸レダクターゼ活性を有する細菌の硝酸レダクターゼ活性を保持および/または増大させる方法に関する。したがってこの方法の一実施形態は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質またはその塩を含む調製物と、乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種など)からなる群から選択された硝酸レダクターゼ活性を有する細菌とを混合し、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質と細菌を含む混合物を取得する工程と;
b)任意により、a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得する工程と;
c)a)の混合物、または工程b)の凍結材料を乾燥させて乾燥材料を取得する工程と;
d)任意により、工程b)から得られた凍結材料、または工程c)の乾燥材料を包装して包装された製品を取得する工程、
を含んでいる。
【0080】
好ましい一実施形態では、硝酸レダクターゼ活性を有する細菌の硝酸レダクターゼ活性を保持および/または増大させるこの方法は、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(例えばブドウ球菌属の種など)からなる群から選択された硝酸レダクターゼ活性を有する細菌をと混合し、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質と細菌を含む混合物を取得する工程と;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得する工程と;
c)工程b)の凍結材料を乾燥させて乾燥材料を取得する工程と;
d)任意により、工程c)の乾燥材料を包装して包装された製品を取得する工程、
を含んでいる。
【0081】
本発明の1つの態様は、乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(ブドウ球菌属の種など)からなる群から選択された細菌の硝酸レダクターゼ活性の保持および/または増大のための、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質またはその塩を含む調製物の使用に関する。
【0082】
この態様では、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質またはその塩を含む調製物は、本明細書に記載の任意の実施形態によって規定することができる。さらに、乳酸菌およびミクロコッカス科の細菌(ブドウ球菌属の種など)からなる群から選択される細菌は、本明細書に記載の任意の実施形態に従って選択することができる。
【0083】
本発明はさらに、食品を赤色化する方法に関するものであり、この方法は、本発明の濃縮培養物を食品に添加し、この食品を濃縮培養物とともに発酵させること、または熟成させること、または塩漬することを含んでいる。
【0084】
食品として、ミオグロビンを含有する食品源に基づく任意の製品が可能である。好ましい一実施形態では、食品は肉製品である。
【0085】
肉製品として、肉を含む任意の製品が可能である。肉として、牛肉、豚肉、鶏肉、狩猟肉(game meat)、他の任意のカテゴリーの肉のいずれかが可能である。
【0086】
食品として、魚に基づく製品および/または甲殻類に基づく製品も可能である。
【0087】
好ましい一実施形態では、乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌を含む濃縮培養物を1.0×108~1.0×1012 CFU/kgの量で添加する。例えば1.0×109~1.0×1011 CFU/kgの乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌を添加する。この濃縮培養物は、乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌を2.0×109~5.0×1010 CFU/kgの量で添加することが好ましい。
【0088】
好ましい一実施形態では、ブドウ球菌属の種を含む濃縮培養物を1.0×108~1.0×1012 CFU/kgの量で添加する。例えば1.0×109~1.0×1011 CFU/kgのブドウ球菌属の種を添加する。この濃縮培養物は、ブドウ球菌属の種を2.0×109~5.0×1010 CFU/kgの量で添加することが好ましい。
【0089】
本発明は、上記の食品を赤色化する方法によって得ることのできる食品、または食品を赤色化するための使用によって得ることのできる食品にも関する。
【0090】
項目
【0091】
以下の項目が本発明をさらに説明している:
【0092】
1.硝酸リダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌の濃縮培養物であって、アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質の調製物を含む、濃縮培養物。
【0093】
2.前記ミクロコッカス科の細菌が、硝酸リダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種である、項1の濃縮培養物。
【0094】
3.前記ブドウ球菌属の種が、スタフィロコッカス・キシローサス、カルノーサスおよび/またはビツリヌスからなる群から選択される、項2の濃縮培養物。
【0095】
4.前記乳酸菌が、硝酸リダクターゼ活性を有するラクトバシラス・ペントーサスである、項1の濃縮培養物。
【0096】
5.前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニンおよび/またはヒスチジンからなる群から選択される、前記項のいずれか1項の濃縮培養物。
【0097】
6.前記ペプチドが、酵母、大豆、小麦、エンドウ豆、ジャガイモ、綿実、無脂肪乳、カゼイン、ホエイ、肉および/または任意の加水分解されたタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される、項1~4のいずれか1項に記載の濃縮培養物。
【0098】
7.前記タンパク質が、大豆タンパク質、小麦タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ジャガイモタンパク質、綿実タンパク質、脱脂粉乳、カゼインナトリウム、ホエイタンパク質、肉タンパク質および/または任意の加水分解されたタンパク質からなる群から選択される、項1~4のいずれか1項に記載の濃縮培養物。
【0099】
8.前記アミノ酸および/またはペプチドおよび/またはタンパク質が、酵母エキスの形態で存在する、前記項のいずれか1項に記載の濃縮培養物。
【0100】
9.単糖、二糖、三糖、オリゴ糖および/または多糖をさらに含む、前記項のいずれか1項の濃縮培養物。
【0101】
10.前記二糖を、スクロース、ラクトース、マルトースおよびトレハロースからなる群から選択することができる、項9の濃縮培養物。
【0102】
11.前記多糖がマルトデキストリンである、項9の組成物。
【0103】
12.クエン酸塩をさらに含み、ここで、前記クエン酸塩が、クエン酸またはクエン酸の塩のいずれかである、前記項のいずれか1項の組成物。
【0104】
13.前記濃縮培養物が乾燥している、前記項のいずれか1項の組成物。
【0105】
14.前記濃縮培養物が、凍結、凍結乾燥、真空乾燥、および/またはスプレー乾燥された組成物である、前記項のいずれか1項の組成物。
【0106】
15.項1の濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌とを混合すること、
を含む、方法。
【0107】
16.乾燥させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌とを混合し;
b)a)で得られた混合物を乾燥させて乾燥材料を取得し;
c)任意により、b)で得られた乾燥材料を粉砕し;ならびに
d)その乾燥材料を包装すること、
を含む、方法。
【0108】
17.前記乾燥を、真空乾燥、凍結乾燥および/またはスプレー乾燥によって実施する、項16の方法。
【0109】
18.凍結させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌とを混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料を包装すること、
を含む、方法。
【0110】
19.凍結乾燥させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌とを混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料から水を昇華させてb)の材料を凍結乾燥させ;
d)任意により、c)で得られた凍結乾燥材料を粉砕し;ならびに
)その凍結乾燥材料を包装すること、
を含む、方法。
【0111】
20.スプレー乾燥させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有する乳酸菌および/またはミクロコッカス科の細菌とを混合し;
b)a)で得られた混合物をスプレー乾燥させてスプレー乾燥材料を取得し;ならびに
)そのスプレー乾燥材料を包装すること、
を含む、方法。
【0112】
21.項2の濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種とを混合すること、
を含む、方法。
【0113】
22.前記ミクロコッカス科の細菌が、ブドウ球菌属の種である、項15~21のいずれか1項の方法。
【0114】
23.乾燥させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種とを混合し;
b)a)で得られた混合物を乾燥させて乾燥材料を取得し;
c)任意により、b)で得られた乾燥材料を粉砕し;ならびに
d)その乾燥材料を包装すること、
を含む、方法。
【0115】
24.凍結させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種とを混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料を包装すること、
を含む、方法。
【0116】
25.凍結乾燥させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種とを混合し;
b)a)で得られた混合物を凍結させて凍結材料を取得し;
c)その凍結材料から水を昇華させてb)の材料を凍結乾燥させ;
d)任意により、c)で得られた凍結乾燥材料を粉砕し;ならびに
e)その凍結乾燥材料を包装すること、
を含む、方法。
【0117】
26.スプレー乾燥させた濃縮培養物を作製する方法であって、
a)アミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質を含有する調製物と、硝酸リダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種とを混合し;
b)a)で得られた混合物をスプレー乾燥させてスプレー乾燥材料を取得し;ならびに
c)そのスプレー乾燥材料を包装すること、
を含む、方法。
【0118】
27.前記硝酸リダクターゼ活性を有するブドウ球菌属の種が、スタフィロコッカス・ビツリヌス種またはスタフィロコッカス・カルノーサス種である、項21~26のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
28.前記スタフィロコッカス・ビツリヌス種が、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセッション番号DSM 25789で寄託されたスタフィロコッカス・ビツリヌス種CHCC10896、またはドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセッション番号DSM 27311で寄託されたスタフィロコッカス・ビツリヌス種CHCC11576、およびこれに由来する突然変異体からなる群から選択される、項25に記載の方法。
【0120】
29.前記濃縮培養物をペレット化する、項15~28のいずれか1項に記載の方法。
【0121】
30.食品を赤色化する方法であって、
a)項1~14のいずれか1項に記載の組成物を肉製品に添加する工程と;
b)その肉製品を組成物とともに発酵させる、熟成させる、または塩漬する工程、
を含む、方法。
【0122】
31.前記食品が肉製品である、項30に記載の方法。
【0123】
32.食品を赤色化するための、項1~14のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【0124】
本発明の実施形態を非限定的な実施例によって以下に説明する。
【実施例】
【0125】
以下の方法を使用して硝酸レダクターゼ活性(NRA)を求めることができる。
【0126】
亜硝酸レダクターゼ活性は、亜硝酸塩を定量するためのグリース(Griess)試験によって求めることができる。この方法は動力学的実験として実施され、亜硝酸塩の形成(硝酸塩の変換)を時間の関数としてモニタリングする。反応速度を異なる細胞密度で取得する。
【0127】
結果は、活性な細胞1個につき単位時間に形成される亜硝酸塩として報告される。「ISO 19344:2015 ミルクと乳製品 - 出発培養物、プロバイオティクス、発酵製品 - フローサイトメトリーによる乳酸菌の定量(Milk and milk products - Starter cultures, probiotics and fermented products - Quantification of lactic acid bacteria by flow cytometry)」のプロトコルCに従い、乾燥サンプル1グラム当たりの活性な細胞の数が、フローサイトメトリーと、膜電位感受性染料DiOC2(3)を用いた染色によって測定される。
【0128】
硝酸レダクターゼ活性を求めるため、凍結乾燥させた細菌をリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7)の中に4つの異なる濃度で懸濁させ、各サンプルが、0.6、1.3、1.9、2.5×109個の活性な細胞/mlとなるようにする。磁性撹拌棒を懸濁液に入れた後、無機油の層を最上部に置いてサンプルを環境中の酸素から保護する。温度を45℃に平衡させた後、グルコースと硝酸塩を含むリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7)をサンプルに添加する。10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後に、懸濁液の小さなアリコートを吸引し、リン酸(1 M)へと移して亜硝酸塩の濃度を求める。
【0129】
グリース-イロスベー(Griess-Ilosvay)試薬(スルファニル酸と1-ナフチルアミンを含む酢酸)を、リン酸の中に希釈したサンプルに添加する。暗所でしばらく(5~30分間)インキュベートした後、亜硝酸塩とグリース試薬のジアゾ化生成物の分光光度測定を実施する(540 nmでの吸光度)。亜硝酸塩標準曲線を用いることにより、調べるサンプル中の亜硝酸塩の濃度を吸光度の測定値を用いて計算することができる。次いで硝酸塩の変換率を異なる希釈度(細胞濃度)のサンプルについて求めることができ、そこから今度は細胞1個当たりの硝酸塩変換率を求めることができる。単位時間に形成される亜硝酸塩の濃度と細胞濃度の関係は、許容可能であるためには決定係数が0.975超(R2>0.975、相関係数、R>0.95)にならねばならない。
【0130】
実施例1:
スタフィロコッカス・カルノーサスの凍結乾燥材料の調製
15種の異なる溶液を、以下の表1に従って調製した。
【0131】
【0132】
表1から、乾燥成分の量は、15種全ての溶液について最終溶液の乾物と同様に同じであったことがわかる。これは、全ての調製物が、試験されるべき10の異なるペプチド、タンパク質およびアミノ酸を除いて、等しかったことを意味している。
アミノ酸を2つの異なるレベルで試験した。
【0133】
31 gの各調製物を、250gの濃縮物(スタフィロコッカス・カルノーサス)と混合した。混合後に、サンプルを、凍結乾燥および粉砕前に-50℃で維持した。問題となるブドウ球菌属の種の硝酸塩から亜硝酸塩への変換率(硝酸リダクターゼ活性)の決定は、本明細書の実施例に記載されているように、所与の時間における亜硝酸塩の濃度をグリース試験の動力学的設定(「比色分析と分光測光(Colorimetry and Spectrophotometry)」、『Vogel's Textbook of Quantitative Chemical Analysis』、第5版、Longman社、702ページ。ISBN 0-582-44693-7を参照されたい)で測定することによって求めた。結果を表2に示す。
【0134】
【0135】
アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質は、NRAに対して顕著に肯定的な効果を有することが結論付けられる。
【0136】
参考文献
EP 0259739 MILES LABORATORIES, INC.
US 2011/008874
EP 1867713 (Kyowa Hakko)
WO 2013/186348
Colorimetry and Spectrophotometry” Vogel's Textbook of Quantitative Chemical Analysis, 5th Edition. Longman. p. 702. ISBN 0-582-44693-7
Carcoba et al. (Eur Food Res Technol (2000) 211, 433 - 437, “Influence of cryoprotectants on the viability and acidifying activity of frozen and freeze-dried cells of the novel starter strain Lactococcus lactis subsp. lactis CECT 5180”
Champagne et al: The freeze-drying of ..., Canadian Institute of food science and technology journal, vol. 24, July 1991, pages 118-128
Chavarri et al., “Cryoprotective agents for frozen concentrated starters from non-bitter Streptococcus Lactis strains”, (Biotechnology letters, vol 10, 1, 11- 16 (1988)
Gotterup et al., “Colour formation in fermented sausages by meat-associated staphylococci with different nitrite- and nitrate-reductase activities”, Meat science 2008 Apr; 78(4): 492-501
Mendoza et al: “Survival and beneficial properties of lactic acid bacteria from raniculture subjected to freeze-drying and storage”, Journal of applied Microbiology, Vol. 116, January 2014, pages 158-162
Mogensen et al., “Inventory of microorganisms with a documented history of use in food”, (2002) Bulletin of the IDF No. 377, 10-19
【0137】
寄託と、専門家のみへの試料分譲(expert solution)
【0138】
寄託した下記の微生物は、本特許が認められる日付までは専門家だけが入手できるようにされることを出願人は要求する。
【0139】
2012年3月15日にドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)GmbH(インホッフェンシュトラーセ7B、D-38124 ブラウンシュヴァイク、ドイツ国)にアクセッション番号DSM 25789で寄託されたスタフィロコッカス・ビツリヌスCHCC10896。
【0140】
2013年6月11日にドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)GmbH(インホッフェンシュトラーセ7B、D-38124 ブラウンシュヴァイク、ドイツ国)にアクセッション番号DSM 27311で寄託されたスタフィロコッカス・ビツリヌス菌株CHCC11576。
【0141】
2018年3月20日にドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)GmbH(インホッフェンシュトラーセ7B、D-38124 ブラウンシュヴァイク、ドイツ国)にアクセッション番号DSM 32779で寄託されたスタフィロコッカス・カルノーサス菌株CHCC4055。
【0142】
2011年7月12日にドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)GmbH(インホッフェンシュトラーセ7B、D-38124 ブラウンシュヴァイク、ドイツ国)にアクセッション番号DSM 25011で寄託されたラクトバシラス・ペントーサス菌株CHCC4196。
【0143】
2018年6月5日にドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)GmbH(インホッフェンシュトラーセ7B、D-38124 ブラウンシュヴァイク、ドイツ国)にアクセッション番号DSM 32827で寄託されたコクリア・サルシシア菌株CHCC5184。
【0144】
2018年6月5日にドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)GmbH(インホッフェンシュトラーセ7B、D-38124 ブラウンシュヴァイク、ドイツ国)にアクセッション番号DSM 32828で寄託されたコクリア・サルシシア菌株CHCC5185。
【0145】
これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に従ってなされた。