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特許7555829平坦化装置、平坦化方法及び物品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】平坦化装置、平坦化方法及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
H01L21/30 578
H01L21/30 502D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021001035
(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公開番号】P2021125680
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】16/779,205
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セス ジェイ バーメスバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ウスカン ウストゥルク
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エリス ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】セヒュン イム
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-009994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、中央ゾーンと前記中央ゾーンを取り囲む周辺ゾーンとを確定する複数のランドを有するチャックと、を備える装置の、前記チャックで保持され、基板を平坦化するために用いられるスーパーストレートであって、
前記基板保持部で保持される基板を平坦化する際に、前記基板と接触する接触面を有する第1の側と、
中央部分と、前記中央部分を取り囲む周辺部分とを有する第2の側と、を有する本体を備え、
前記周辺部分は、前記中央部分に対して段差を構成するように低くなった面を含み、
前記スーパーストレートの前記第2の側は、前記チャックの前記複数のランドと接触することで保持される、
ことを特徴とするスーパーストレート。
【請求項2】
前記周辺部分は、前記チャックの前記複数のランドのうち最外周のランドで保持される、ことを特徴とする請求項1に記載のスーパーストレート。
【請求項3】
前記周辺部分は、前記本体と同心である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスーパーストレート。
【請求項4】
前記周辺部分は、前記第2の側の前記周辺部分の全体にわたって円周方向に延在する、段差を構成するように低くなった面を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスーパーストレート。
【請求項5】
前記第1の側は、前記第1の側から延在するメサを含み、前記接触面は、前記メサに設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスーパーストレート。
【請求項6】
前記メサのエッジは、前記本体のエッジからある半径方向幅の位置にある、
ことを特徴とする請求項に記載のスーパーストレート。
【請求項7】
前記第2の側の前記周辺部分は、前記メサの前記エッジから前記本体の前記エッジまでの前記半径方向幅より広い半径方向幅を有する、
ことを特徴とする請求項に記載のスーパーストレート。
【請求項8】
前記第2の側の前記周辺部分は、前記メサの前記エッジから前記本体の前記エッジまでの前記半径方向幅と等しい半径方向幅を有する、
ことを特徴とする請求項に記載のスーパーストレート。
【請求項9】
前記周辺部分は、前記中央部分と前記メサ前記エッジとの間に円周方向に延在する切り欠きをさらに備える、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のスーパーストレート。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスーパーストレートを、前記スーパーストレートの前記第2の側で、前記チャックによって保持する工程と
前記スーパーストレートのエッジに向かって延びる湾曲を有するように前記スーパーストレートを曲げるための圧力を加える工程と
を含むことを特徴とする平坦化方法。
【請求項11】
前記チャックによって前記スーパーストレートを成形可能材料の方へ前進させて、前記スーパーストレートの第1の表面を前記成形可能材料に接触させる工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の平坦化方法。
【請求項12】
前記成形可能材料を固化させて前記基板の上に固体層を形成し、前記固体層から前記スーパーストレートを除去する工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の平坦化方法。
【請求項13】
基板を保持する基板保持部と、
中央ゾーンと前記中央ゾーンを取り囲む周辺ゾーンとを確定する複数のランドを有し、前記基板を平坦化するために用いられるスーパーストレートを保持するチャックと、を備える平坦化装置であって、
前記スーパーストレートは、
前記基板保持部で保持される前記基板を平坦化する際に、前記基板に接触する接触面を有する第1の側と、
中央部分と、前記中央部分を取り囲む周辺部分とを有し、前記チャックの前記複数のランドと接触することで保持される第2の側と、を有する本体を備え
前記周辺部分は、前記中央部分に対して段差を構成するように低くなった面を含み、
前記スーパーストレートは、前記第2の側が前記チャックの複数のランドと接触することで保持されることを特徴とする平坦化装置。
【請求項14】
前記チャックの前記複数のランドは、同じ高さを有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の平坦化装置。
【請求項15】
基板の上に成形可能材料を分配する工程と
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスーパーストレートを、前記スーパーストレートの前記第2の側で、前記チャックによって保持する工程と
前記スーパーストレートのエッジに向かって延在する湾曲を有するように前記スーパーストレートを曲げるための圧力を加える工程と
前記チャックによって前記スーパーストレートを成形可能材料の方へ前進させて、前記スーパーストレートの第1の表面を前記成形可能材料に接触させる工程と
前記成形可能材料を固化させて前記基板の上に固体層を形成する工程と
前記固体層から前記スーパーストレートを除去する工程と
前記固体層を有する前記基板を処理する工程と、
を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェハ処理に関し、より詳細には、半導体製造における表面の平坦化プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
平坦化技術は、半導体デバイスを製造する際に有用である。例えば、半導体デバイスを作成するためのプロセスは、基板への材料の追加および基板からの材料の除去を繰り返し含む。このプロセスは、不規則な高さ変動(すなわち、トポグラフィ)を有する層状基板を生成しうる。より多くの層が追加されるにつれて、基板高さ変動が増しうる。高さの変動は、層状基板に更なる層を追加する能力に対して負の影響を及ぼす。これとは別に、半導体基板(例えば、シリコンウェハ)自体は、常に完全に平坦ではなく、初期の表面高さの変動(すなわち、トポグラフィ)を含みうる。この問題に対処する1つの方法は、積層ステップの間に基板を平坦化することである。種々のリソグラフィパターニング方法は、平坦な表面上のパターニングから利益を得る。ArFレーザベースのリソグラフィでは、平坦化は焦点深度(DOF)、臨界寸法(CD)、および臨界寸法均一性を改善する。極端紫外リソグラフィー(EUV)では、平坦化はフィーチャ配置とDOFを改善する。ナノインプリントリソグラフィー(NIL)では、平坦化によりパターン転写後のフィーチャ充填とCD制御が改善される。
【0003】
インクジェットベース適応平坦化(IAP)と呼ばれることもある平坦化技術は、基板とスーパーストレートとの間に重合性材料の可変ドロップパターンを分配することを含み、ここでドロップパターンは基板トポグラフィに依存して変化する。次に、スーパーストレートを重合性材料と接触させ、その後、材料を基板上で重合させ、スーパーストレートを除去する。IAP技術を含む平坦化技術の改良が、例えば、全ウェハ処理および半導体デバイス製造を改良するために望まれている。
【発明の概要】
【0004】
基板を平坦化するためのスーパーストレートが提供される。前記スーパーストレートは、第1の側と第2の側とを有する。前記第1の側には、接触面を有し、前記第2の側は、中央部分と、前記中央部分を取り囲む周辺部分とを有する第2の側と、を含む。前記周辺部分は、凹部領域を含む。前記凹部領域は、前記本体と同心であることが好しいが、これに限定されない。一実施形態において、前記凹部領域は、前記第2の側の前記周辺部分の全体にわたって円周方向に延在する、段差を構成するように低くなった面を含む。前記凹部領域は、前記第2の側の前記周辺部分の全体にわたって円周方向に延在する、テーパを構成するように低くなった面を含んでもよい。前記第1の側は、前記第1の側から延在するメサを含んでもよい。前記接触面は、前記メサに設けられてもよい。前記メサのエッジは、前記本体のエッジからある半径方向幅の位置にあってもよい。前記第2の側の前記凹部領域は、前記メサの前記エッジから前記本体の前記エッジまでの前記半径方向幅よりもより広い半径方向幅を有してもよい。前記第2の側の前記凹部領域は、前記メサの前記エッジから前記本体の前記エッジまでの前記半径方向幅と等しい半径方向幅を有してもよい。前記凹部領域は、前記中央部分と前記第2の側の前記エッジとの間に円周方向に延在するトレンチをさらに備えもよい。
【0005】
方法が提供される。前記方法は、次のステップを含む。スーパーストレートは、第1の側と第2の側とを有する。前記第1の側には、接触面を有し、前記第2の側は、中央部分と、前記中央部分を取り囲む周辺部分とを有する第2の側と、を含む。前記周辺部分は、凹部領域を含む。前記スーパーストレートは、前記スーパーストレートの前記第2の側で、チャックによって保持される。前記スーパーストレートのエッジに向かって延びる湾曲を有するように前記スーパーストレートを曲げるための圧力が加えられる。前記方法は、前記チャックによって前記スーパーストレートを成形可能材料の方へ前進させて、前記スーパーストレートの第1の表面を前記成形可能材料に接触させることを更に含んでもよい。前記成形可能材料は、固化されて、前記基板の上に固体層が形成され、前記固体層から前記スーパーストレートが除去されうる。
【0006】
装置が提供されうる。前記装置は、中央ゾーンを画定する複数のランドと、前記中央ゾーンを取り囲む周辺ゾーンとを含むチャックを備えうる。前記装置はまた、前記チャックによって保持されながら前記チャックの前記複数のランドと接触する第2の側を有するスーパーストレートを含みうる。前記スーパーストレートは、第1の側と第2の側とを有する。前記第1の側には、接触面を有する。前記第2の側は、中央部分と、前記中央部分を取り囲む周辺部分とを有する。前記チャックの前記複数のランドは、同じ高さを有してもよい。
【0007】
物品を形成するための方法が提供される。前記方法は、次のステップを含む。基板の上に成形可能材料が分配される。スーパーストレートは、その第2の側で、チャックによって保持される。スーパーストレートは、第1の側と第2の側とを有する。前記第1の側には、接触面を有し、前記第2の側は、中央部分と、前記中央部分を取り囲む周辺部分とを有する第2の側と、を含む。前記周辺部分は、凹部領域を含む。前記スーパーストレートのエッジに向かって延びる湾曲を有するように前記スーパーストレートを曲げるための圧力が加えられる。前記方法は、前記チャックによって前記スーパーストレートを成形可能材料の方へ前進させて、前記スーパーストレートの第1の表面を前記成形可能材料に接触させることを更に含んでもよい。前記成形可能材料は、固化されて、前記基板の上に固体層が形成され、前記固体層から前記スーパーストレートが除去されうる。前記固体層を有する前記基板は処理されて、前記物品が形成される。
【0008】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴、および利点は、添付の図面および提供される特許請求の範囲と併せて、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の特徴および利点が詳細に理解され得るように、本発明の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面に示される実施形態を参照することによってなされ得る。しかし、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、したがって、本発明は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
図1】装置を示す図。
図2A】平坦化プロセスを示す図。
図2B】平坦化プロセスを示す図。
図2C】平坦化プロセスを示す図。
図3A】スーパーストレート構造を示す図。
図3B】スーパーストレート構造を示す図。
図3C】スーパーストレート構造を示す図。
図4A】改良されたスーパーストレート構造を示す図。
図4B】改良されたスーパーストレート構造を示す図。
図5】一実施形態におけるスーパーストレートの周辺構造の断面図。
図6】別の実施形態におけるスーパーストレートの周辺構造の断面図。
図7】別の実施形態におけるスーパーストレートの周辺構造の断面図。
図8】裏側の周辺部に凹部領域が形成されたスーパーストレートを使用するプロセスを示す図。
図9】裏側の周辺部分に凹部領域が形成されたスーパーストレートを使用して物品を形成するプロセスを示す図。 図面全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照符号および文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分を示すために使用される。さらに、本開示は、図面を参照して詳細に説明されるが、例示的な実施形態に関連してそのように行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される主題の開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に対して変更および修正を行うことができることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[平坦化システム]
図1は、とりわけ、基板102上の膜を平坦化するために使用され得る装置100を図示する。基板102は、基板チャック104に結合されてもよい。基板チャック104は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、静電チャック、電磁チャック等であってもよいが、これらに限定されない。
【0011】
基板102および基板チャック104は、基板位置決めステージ106によってさらに支持されてもよい。基板位置決めステージ106は、x-、y-、z-、θ-、ψ、及びφ-軸のうちの1つ又は複数に沿った並進及び/又は回転運動を提供することができる。また、基板位置決めステージ106、基板102、及び基板チャック104は、ベース(図示せず)の上に配置されてもよい。基板位置決めステージは、位置決めシステムの一部であってもよい。
【0012】
基板102から離間して配置されているのは、基板102に対向する作用面112を有するスーパーストレート108である。スーパーストレート108は、溶融シリカ、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属、硬化サファイアなどを含むがこれらに限定されない材料から形成されてもよい。一実施形態では、スーパーストレートは、UV光を容易に透過する。表面112は、一般に、基板102の表面と同じ面積サイズであるか、またはわずかに小さい。スーパーストレート108の表面112は、平坦な接触面を含むことができる。別の実施形態では、接触面は、基板102上に形成されるパターンの基礎を形成する任意のオリジナルパターンを画定するフィーチャを含むことができる。
【0013】
スーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118に連結されていてもよく、又は保持されていてもよい。スーパーストレートチャック118は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、静電チャック、電磁チャック、および/または他の同様のチャック型であってもよいが、これらに限定されない。スーパーストレートチャック118は、スーパーストレート108を横切って変化する応力、圧力、及び/又は歪みをスーパーストレート108に加えるように構成されてもよい。一実施形態では、スーパーストレートチャックは、同様に、UV光を容易に透過する。スーパーストレートチャック118は、ゾーンベースの真空チャック、アクチュエータアレイ、圧力ブラダなどのシステムを含み、これは、スーパーストレート108の裏面に圧力差を加えて、スーパーストレートを曲げ変形させることができる。一実施形態では、スーパーストレートチャック118は、圧力差をスーパーストレートの裏面に加えることができるゾーンベースの真空チャックを含み、以下でさらに詳述するように、スーパーストレートを曲げて、変形させる。
【0014】
スーパーストレートチャック118は、位置決めシステムの一部であるヘッド120に連結されてもよい。ヘッド120は、ブリッジ(図示せず)に移動可能に連結されてもよい。ヘッド120は、ボイスコイルモータ、圧電モータ、リニアモータ、ナットおよびスクリューモータなどの1つまたは複数のアクチュエータを含むことができ、これらのアクチュエータは、少なくともz軸方向、および潜在的に他の方向(例えば、x軸、y軸、θ軸、ψ軸、およびφ軸)に基板102に対してスーパーストレートチャック118を移動させるように構成される。
【0015】
装置100は、流体ディスペンサ122をさらに備えることができる。流体ディスペンサ122はまた、ブリッジに移動可能に連結されてもよい。一実施形態では、流体ディスペンサ122およびヘッド120は、すべての位置決め構成要素のうちの1つまたは複数を共有する。代替の実施形態では、流体ディスペンサ122およびヘッドは、互いに独立して移動する。流体ディスペンサ122は、液体形成可能材料124(例えば、光硬化性重合可能材料)の液滴を基板102上に堆積させるために使用されてもよく、堆積される材料の体積は、そのトポグラフィプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、基板102の領域にわたって変化する。異なる流体ディスペンサ122は、成形可能材料124を分配するために異なる技術を使用することができる。成形可能材料124が噴射可能である場合、インクジェットタイプのディスペンサを使用して成形可能材料を分配することができる。例えば、サーマルインクジェッティング、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ベースのインクジェッティング、バルブジェット、および圧電インクジェッティングは、ジェッタブル液体を分配するための一般的な技術である。
【0016】
装置100は、露光経路128に沿って化学線エネルギー、例えばUV放射線を方向付ける放射線源126を含む硬化システムをさらに備える。ヘッド120及び基板位置決めステージ106は、露光経路128と重ね合わせてスーパーストレート108及び基板102を位置決めするように構成することができる。放射線源126は、スーパーストレート108が成形可能材料128に接触した後、露光経路128に沿って化学線エネルギーを送る。図1は、スーパーストレート108が成形可能材料124と接触していないときの露光経路128を示す。これは、個々の構成要素の相対位置を容易に識別することができるように、例示の目的で行われる。当業者であれば、スーパーストレート108が成形可能な材料124と接触したときに、露光経路128が実質的に変化しないことを理解するであろう。
【0017】
装置100は、平坦化処理中にスーパーストレート108が成形可能材料124に接触するときに成形可能材料124の広がりを見るように配置されたカメラ136をさらに備える。図1は、フィールドカメラの撮像フィールドの光軸138を示している。図1に示すように、装置100は、化学線をカメラ136によって検出される光と結合する1つ以上の光学部品(ダイクロイックミラー、ビームコンバイナ、プリズム、レンズ、ミラー等)を含むことができる。カメラ136は、CCD、センサアレイ、ラインカメラ、および光検出器のうちの1つまたは複数を含むことができ、これらの光検出器は、スーパーストレート108の下の形成可能材料124と接触している領域と、スーパーストレート108の下の形成可能材料124と接触していない領域との間のコントラストを示す波長の光を集めるように構成される。カメラ136は、スーパーストレート108の下の成形可能材料124の広がり、および/または硬化した成形可能材料124からのスーパーストレート108の分離の画像を提供するように構成されてもよい。また、カメラ136は、形成可能材料124が表面112と基板表面との間のギャップの間に広がるにつれて変化する干渉縞を測定するように構成されてもよい。
【0018】
装置100は、基板チャック104、基板位置決めステージ106、スーパーストレートチャック118、ヘッド120、流体ディスペンサ122、放射線源126、および/またはカメラ136などの1つまたは複数の構成要素および/またはサブシステムと通信する1つまたは複数のプロセッサ140(コントローラ)によって、調整、制御、および/または指示されることができる。プロセッサ140は、非一時的コンピュータメモリ142に記憶されたコンピュータ可読プログラム内の命令に基づいて動作することができる。プロセッサ140は、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA、DSP、および汎用コンピュータのうちの1つ以上であり得るか、またはそれらを含み得る。プロセッサ140は、汎用のコントローラであってもよく、またはコントローラであるように構成された汎用のコンピューティングデバイスであってもよい。一時的でないコンピュータ可読可能メモリの例としては、RAM、ROM、CD、DVD、Blu-Ray、ハードドライブ、ネットワーク接続されたアタッチトストレージ(NAS)、イントラネット接続された一時的でないコンピュータ可読可能なストレージデバイス、およびインターネット接続された一時的でないコンピュータ可読可能なストレージデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
動作上、平坦化ヘッド120、基板位置ステージ106、又はこれらの両方は、スーパーストレート108と基板102との間の距離を変化させて、成形可能材料124で満たされた所望の空間(3次元で有界な物理的広がり)を規定する。例えば、ヘッド120を基板に向かって移動させ、スーパーストレート108に力を加えて、スーパーストレートが、以下でさらに詳述するように、成形可能材料124の液滴に接触し、それを広げるようにすることができる。
[平坦化プロセス]
平坦化プロセスは、図2A-2Cに概略的に示されるステップを含む。図2Aに示すように、成形可能材料124は、液滴の形で基板102の上に分配される。前述のように、基板表面は、これまでの処理動作に基づいて知ることができる、又は、プロフィルメータ、AFM、SEM、又は、Zygo NewView 8200のような、光干渉効果に基づく光学表面プロファイラを使用して測定することができる。堆積された成形可能材料124の局所的な体積密度は、基板トポグラフィに応じて変化する。次に、スーパーストレート108は、成形可能材料124と接触するように配置される。
【0019】
図2Bは、スーパーストレート108が成形可能材料124と完全に接触した後であるが、重合プロセスが開始する前の後接触ステップを示す。スーパーストレート108が成形可能材料124に接触すると、液滴は併合されて、スーパーストレート108と基板102との間の空間を満たす成形可能材料膜144を形成する。好ましくは、充填プロセスは、非充填欠陥を最小限に抑えるために、スーパーストレート108と基板102との間に空気または気泡が捕捉されることなく、均一に行われる。成形可能材料124の重合プロセスまたは硬化は、化学線(例えば、UV線)で開始されてもよい。例えば、図1の放射線源126は、化学線を提供し、形成可能材料膜144を硬化、固化、および/または架橋させ、基板102上に硬化した平坦化層146を画定することができる。あるいは、成形可能材料フィルム144の硬化は、熱、圧力、化学反応、他の種類の放射線、またはこれらの任意の組合せを使用することによって開始されてもよい。一旦硬化されると、平坦化層146が成形され、スーパーストレート108は、そこから分離されうる。図2Cは、スーパーストレート108の分離後の基板102上の硬化した平坦化層146を示す。
【0020】
スーパーストレート108の接触表面がパターンフィーチャを含む代替の実施形態では、上述したのと同様のプロセスを実行して、基板102上にパターン化層を形成することができる(例えば、「ウェハ全体」パターン化)。全ウェハ処理は、生物学的または光学的デバイス製造と同様に半導体デバイス製造において有用である。このようなウェハ全体の処理は、さらに、局所的な膜厚を所望の局所的な膜厚の機能として調整することができるように適合させることができる。
【0021】
成形可能能料の液滴が広がり、併合し、そしてスーパーストレートと基板との間のギャップを充填するときにスーパーストレート108と基板との間の空気又はガスの泡の捕捉を最小限に抑えるための1つの方式は、スーパーストレートを基板の中央の成形可能材料と初期接触させ、次いで、中心から周囲に向かって接触が半径方向に進行するように、スーパーストレートを位置決めすることである。これには、接触が進むにつれて、スーパーストレート又は基板全体、又はその両方の撓み又は反りが、基板に対するスーパーストレートの湾曲したプロファイルを作り出すことが必要である。この湾曲は、基板とのスーパーストレートの接触が中心から基板の周囲に向かって進むにつれてガス又は空気が排出されることを容易にし、空気又はガスの捕捉に対する緩和を助ける。スーパーストレート又は基板の撓み又は反りは、例えば、スーパーストレートの裏面周囲に対する保持真空の印加を介してスーパーストレートを保持しながら、スーパーストレートの裏面中央に圧力を加える真空チャックを用いることによって達成することができる。図3Aおよび図3Bは、そのような状態でスーパーストレートチャック118によって保持されたスーパーストレート108の断面を示し、図3Cは、図3Bの拡大周辺部分を示す。図3Aでは、成形可能材料の液滴が基板102上に分配され、スーパーストレート108がスーパーストレートチャック118によって保持されている。図3Bにおいて、スーパーストレート108は、成形可能材料124と接触するように前進される。図示のように、スーパーストレート108は、基板102の上に配置された成形可能材料124と部分的に接触する第1の側112(表側とも言う)を含む。これは、スーパーストレートチャック118によってチャックされたスーパーストレート108を保持するようにスーパーストレートチャック118の周辺ゾーン118pを通ってスーパーストレート108の第2の側114の周辺部108pに真空を加えながら、スーパーストレートチャック118の内部ゾーン118iを通ってスーパーストレート108の第2の側114(裏側とも言う)の中央部108cに圧力を与えることによってなされる。内部ゾーン118iは、離間した内側ランド180iによって画定される。周辺ゾーン118pは、外側ランド180oおよび最も外側の内側ランド180iによって部分的に画定される。その結果、スーパーストレート108の第1の側部112の内部部分108cは、接触界面で反り又は撓んでいるが、スーパーストレート108の周辺部分108pは、チャック118の周辺ゾーン118pに対して平坦にチャックされたままである。次いで、周辺ゾーン108pでの真空が解放されて成形可能材料拡散プロセスを完了すると、平坦な周辺部分は、ガスまたは空気をトラップしうる方法で、成形可能材料の残りの液滴と接触する。これは、スーパーストレート108の周辺部分108pが基板102と平行に配向されてしまい、ガスまたは空気の排出を容易にする基板102に対する事前の湾曲プロファイルを欠いているためである。
【0022】
同様の現象は、硬化層146からのスーパーストレート108の分離に影響を及ぼす可能性がある。スーパーストレート108と硬化層146との間の分離亀裂を開始させるために、スーパーストレート、基板、又はその両方のエッジは、分離亀裂を開始又は発生させるために曲げなければならない。ここで、硬化層146からスーパーストレート108を、周囲から中心に進む方法で、分離することも望ましい。これは、分離速度および加えられる力を制御するために有利でありうる。そして、これにより、基板102からの硬化層146の層間剥離などの分離欠陥の発生を低減または軽減することができる。基板102に対してスーパーストレート108が湾曲したプロファイルを作成することにより、クラックを開始させ、そのような周囲から中心に進む分離をしやすくすることができる。しかしながら、スーパーストレート108の周辺部分108pにおける真空の最初の適用は、分離のまさに最初に所望の湾曲を誘発することができない。これは、スーパーストレート108の周辺部108pにスーパーストレートチャック118の周辺部118pを通して初期真空を印加することにより、亀裂を生じさせ分離欠陥を緩和することができるような所望の曲線プロファイルを発生させることなく、周辺部108pを直ちにスーパーストレートチャック118に対して平行に配向してしまうからである。
[スーパートレート構造]
図4Aおよび図4Bは、空気捕捉の上述の問題を解決し、スーパーストレートと基板上の硬化層との間の分離を容易にするスーパーストレート構造の実施形態を示す。図示のように、スーパーストレート108は、接触面112aを有する第1の側112(表側とも言う)と、中央部分108cおよびそれを取り囲む周辺部分108pを有する第2の側114(裏側とも言う)とを含む本体を有し、周辺部分108pは、凹部領域200を含む。凹部領域200は、半径方向幅を有し、第2の側114の周辺部分108pにわたって円周方向に延在する、段差を構成するように低くなった面114aを含む。あるいは、凹部領域200は、周辺部分108pからテーパを構成するように低くなりうる。動作時(図4Bに最も明確に示されるように)、真空がスーパーストレートチャック118の周辺ゾーン118pに供給され、正の圧力がスーパーストレートチャック118の内部ゾーン118iに供給されると、スーパーストレート108の中央部分108cは、成形可能材料124と接触する前に基板102に向かって湾曲し、一方、凹部領域200は、外側ランド180oに対してチャックされ、スーパーストレート108のエッジまで延びる湾曲した輪郭を誘発する。湾曲の程度は、凹部領域200の段差の高さおよび周辺ゾーン108pの幅に依存する。このような態様で湾曲を延在させることにより、空気又はガスの捕捉及び分離欠陥の両方を軽減することができる。
【0023】
スーパーストレート108の接触面112aは、任意的に、第1の側112から延びるメサ120に設けられてもよい。メサ120のエッジは、スーパーストレートのエッジからある半径方向幅の位置に位置しており、成形可能材料124の広がりを接触面112aの領域内に閉じ込めることを助け、基板またはスーパーストレートのエッジへの成形可能材料の望ましくない広がり(このような拡がりは、後続の処理において欠陥をもたらしうる)を制限する流体制御表面として作用する。
【0024】
メサ120及び凹部領域200は、例えば標準的なリソグラフィ又は機械加工技術を用いてスーパーストレート108上に材料を追加することにより、又は、スーパーストレート108から材料を除去することによって、本体108の表側112及び裏側114上に独立して形成することができる。例えば、表側112及び裏側114が独立にエッチングされて、凹部領域200の所望の段差高さ、表側112からのメサの所望の高さ又は延長、及びスーパーストレート108のエッジの所望の厚さを規定することができる。凹部領域200の特定の寸法および幾何学的な態様は、スーパーストレート性能の特定のニーズに従って変化しうる。図5に示すように、スーパーストレート108は、内側の厚さT及びエッジの厚さETを有する。スーパーストレート108の裏側114上の凹部領域200は、スーパーストレートのエッジまで円周方向に延在する半径方向幅BWと、段差を構成するように低くなった面114aから第2の側114の表面へのBHの段差高さとを有する。幅BWおよび段差高さBHは、上述したように、チャックと共に使用される場合、対応するスーパーストレートチャックの周辺ゾーンの半径方向幅、およびスーパーストレートの所望の曲げ性能を参照して決定することができる。表側112において、メサ120は、表側112の表面から段差高さFHと、スーパーストレートのエッジから半径方向ギャップ幅FWで延在する。ここでも、段差高さFHおよびギャップ幅は、所望の流体制御特性に基づいて決定される。図5に示すような実施形態では、幅BWはFWに等しい。あるいは、これらの幅は、例えば、図6に示される実施形態に示されるように、等しくなくてもよく、特定の実施形態では、スーパーストレートは、ガラスで作製されてよく、149~165mmの範囲の半径、0.3mm~1.5mmの範囲の中央部分厚さT、および0.5~20mmの範囲の凹部領域幅BW、および0.002~0.05mmの範囲の段差高さBHを有しうる。表側メサが組み込まれる場合、メサ高さFHは、0.002~0.1mmの範囲とすることができ、メサからスーパーストレートのエッジまでのギャップ幅FWは、0.5mm~20mmの範囲とすることができる。
【0025】
図7において、スーパーストレート108は、周辺領域にわたって円周方向に延在するトレンチ220(または切欠き)の形態の凹部領域を含む。トレンチ220は、ノッチ220がスーパーストレートチャックの外側ランドの少なくとも部分的挿入を受け入れることができるように、高さBH及び幅BW寸法を有する。その際、前述の例と同様に、スーパーストレート108のエッジまで延在する湾曲したプロファイルを同様に誘発することができる。
【0026】
図8は、スーパーストレートの裏側の周辺部分に凹部領域を有するスーパーストレートを用いる方法のプロセスフローを示す図である。ステップS801において、スーパーストレートの裏側表面の周辺部分に凹部領域を有するスーパーストレートが提供される。ステップS802において、スーパーストレートは、その裏側がスーパーストレートチャックによって保持される。ステップS803では、スーパーストレートのエッジにわたって延在する湾曲でスーパーストレートが曲がるようにスーパーストレートに圧力が加えられる。
【0027】
図9は、物品を形成するための方法のプロセスフローを示す。ステップS901では、成形可能材料が基板上に分配される。ステップS902では、スーパーストレートの裏側表面の周辺部分に凹部領域を有するスーパーストレートが準備される。ステップS903では、スーパーストレートは、その第2の側がチャックによって保持される。ステップS904において、スーパーストレートのエッジに向かって延在する曲率でスーパーストレートを曲げるために圧力が加えられる。次いで、ステップS905にでは、スーパーストレートは、成形可能材料と接触するようにチャックによって基板に向かって前進される。次に、ステップS906において、基板上に固体層が形成されるように成形可能材料が固化される。ステップS907では、固体層からスーパーストレートが除去され、ステップS908では、固体層を有する基板を処理して物品が作製される。すなわち、基板および固体層は、次いで、例えば、パターニング、硬化、酸化、層形成、堆積、ドーピング、平坦化、エッチング、成形可能材料の除去、ダイシング、ボンディング、およびパッケージングなどを含む、デバイス(物品)製造のための追加の既知のステップおよびプロセスを受ける。さらに、基板は、複数の物品(デバイス)を製造するために処理されてもよい。
【0028】
様々な態様のさらなる修正および代替実施形態は、この説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。本明細書で示され、説明される形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることが理解されるべきである。要素および材料は、本明細書に図示され、説明されたものと置き換えることができ、部品およびプロセスは、逆にすることができ、特定の特徴は、独立して利用することができ、すべて、この説明の恩恵を受けた後に当業者には明らかになるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9