IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝機械株式会社の特許一覧

特許7555832摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置
<>
  • 特許-摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置 図1
  • 特許-摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置 図2
  • 特許-摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置 図3
  • 特許-摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
B23K20/12 346
B23K20/12 342
B23K20/12 340
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021005048
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109640
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝一
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 稔尚
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-305372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0102689(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0190100(US,A1)
【文献】米国特許第6302315(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸または主軸ヘッドに装着される本体と、
前記本体に回転自在に支持されかつ先端に接合ツールの装着部を有する加工軸と、
前記本体に支持されて前記装着部の両側に配置された一対の押圧部材と、を有し、
前記押圧部材は、円盤状の弾性材料で形成され、前記加工軸の回転軸と斜めに交差する回転軸まわりに回転自在に支持されていることを特徴とする摩擦攪拌接合アタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦攪拌接合アタッチメントにおいて、
前記本体は前記主軸に装着され、
前記本体には前記加工軸を回転駆動する回転駆動部が設置されることを特徴とする摩擦攪拌接合アタッチメント。
【請求項3】
請求項2に記載の摩擦攪拌接合アタッチメントにおいて、
前記回転駆動部は、前記主軸の軸心を通して供給されるエアで回転するエアモータであることを特徴とする摩擦攪拌接合アタッチメント。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合アタッチメントにおいて、
前記押圧部材は、回転軸に沿った断面形状における外周部の輪郭が円弧状であることを特徴とする摩擦攪拌接合アタッチメント。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合アタッチメントと、
前記摩擦攪拌接合アタッチメントに装着された前記接合ツールと、を有することを特徴とする摩擦攪拌接合ヘッド。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合アタッチメントと、
前記摩擦攪拌接合アタッチメントに装着された前記接合ツールと、
前記摩擦攪拌接合アタッチメントが装着された工作機械と、を有することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の接合手法として摩擦攪拌接合が用いられている。
摩擦攪拌接合においては、十分な摩擦熱を得るために、接合ツールの回転に高トルクが必要であり、従来は専用の摩擦攪拌接合装置が用いられてきた。一方、高トルクが得られるものであれば、汎用の工作機械を摩擦攪拌接合装置として用いることができる(特許文献1参照)。
前述した特許文献1では、接合するワークの表面に対して接合ツールの回転軸が垂直に配置されていた。これに対し、接合ツールの回転軸を傾斜させ、その先端側が移動方向の前側に変位するような姿勢とすることにより、ワークへの進入性および軟化した材料の抑え込み性を高めることがなされている。
このような接合ツールの回転軸の傾斜姿勢は、接合ツールを含む摩擦攪拌接合ヘッドや接合ツールを装着可能な摩擦攪拌接合アタッチメントに屈曲ジョイントを含む傾斜機構を設けて実現されるほか、工作機械の主軸を傾斜状態に調整することで実現される。
【0003】
前述した特許文献1を含め、従来の摩擦攪拌接合においては、接合するワークどうしの接合線は直線であり、この接合線に沿って回転する接合ツールを移動させていた。これに対し、より複雑な形状、例えば途中で屈曲する接合線や曲線状の接合線などに対して、摩擦攪拌接合の適用が求められている。そのために、接合ツールの移動方向だけでなく、接合ツールの傾きの向きについても容易に変更できることが求められている。
このような要求に対し、本出願人は、工作機械の主軸に装着される本体と、本体に回転自在に支持されかつ接合ツールを装着可能な加工軸と、加工軸を回転駆動する回転駆動部とを有し、回転駆動部として主軸からのセンタースルーエアで駆動されるエアモータを用いる摩擦攪拌接合アタッチメントを開発している(特願2020-075490号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-127881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
汎用の工作機械を用いて摩擦攪拌接合を行う場合、ワークは工作機械のテーブル表面に沿って平坦に保持される。しかし、接合時の発熱によりワークが変形し、接合線に沿った一部が浮き上がることがあり、接合される他方のワークに対して段差などを生じると適切な接合ができなくなる可能性がある。
ワークの浮き上がりに対し、ワークの表側(裏当て部材と反対側)からワークを押圧する押さえ部材の追加が考えられるが、汎用の工作機械ではそのような機構の追加は難しい。また、接合線が直線でなく多様な曲線である場合など、接合ツールに先行して押さえ部材でワークを押さえることはさらに難しい。
一方、押圧部材がワークに摺動するものである場合、摩擦抵抗やワーク表面への擦り傷などが生じる可能性がある。さらに、ワークが接合線に沿って凹凸を有する場合、押圧部材が凹凸と干渉して移動を妨げられる可能性がある。
このようなことから、構造が簡素で、多様な接合に適応でき、かつワークの浮き上がりを防止できる手段の開発が求められていた。
【0006】
本発明の目的は、構造が簡素で、多様な接合に適応でき、かつワークの浮き上がりを防止できる摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントは、工作機械の主軸または主軸ヘッドに装着される本体と、前記本体に回転自在に支持されかつ先端に接合ツールの装着部を有する加工軸と、前記本体に支持されて前記装着部の両側に配置された一対の押圧部材と、を有し、前記押圧部材は、円盤状の弾性材料で形成され、前記加工軸の回転軸と斜めに交差する回転軸まわりに回転自在に支持されていることを特徴とする。
【0008】
このような本発明では、装着部に接合ツールを装着して加工軸を回転させることで、ワークに対する摩擦攪拌接合を行うことができる。この際、一対の押圧部材をワークに押し付けることで、接合ツールの両側においてワークの浮き上がりを防止できる。
押圧部材は、円盤状に形成されかつ回転自在に支持されているため、接合ツールがワークに対して移動する際に、ワークに転動することで追従できる。これにより、ワークに対する摩擦を避け、ワークに凹凸があっても乗り越えることができ、常時安定した状態でワークを押圧できる。
さらに、押圧部材は、弾性材料で形成され、かつ回転軸が加工軸に対して斜め、つまりワーク表面に対しても斜めに配置されているため、予めワークに押圧する際に押圧力で弾性変形させておくことで、ワークに対して常時安定した押圧力を発生できる。
【0009】
本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントにおいて、前記本体は前記主軸に装着され、前記本体には前記加工軸を回転駆動する回転駆動部が設置されることが好ましい。
このような本発明では、本体が主軸に装着されるため、工作機械において主軸の回転角度位置を制御することで、本体ないし接合ツールの傾きの向きを自由に変更できる。
これにより、接合ツールの回転軸を傾斜させ、その先端側が移動方向の前側に変位するような姿勢とすることにより、ワークへの進入性および軟化した材料の抑え込み性を高めることができる。
なお、本体は主軸ヘッドに装着され、加工軸は主軸に接続されていてもよい。多軸制御の工作機械であれば、主軸ヘッドの向きの制御により本体の向きを変更できる。
【0010】
本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントにおいて、前記回転駆動部は、前記主軸の軸心を通して供給されるエアで回転するエアモータであることが好ましい。
このような本発明では、主軸からのエアを用いることで、外部動力の供給などが必要なく、動力源を容易に確保できる。
なお、本発明の回転駆動部としては、主軸ヘッドからケーブルを介して電力供給される電動モータとしてもよい。
【0011】
本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントにおいて、前記押圧部材は、回転軸に沿った断面形状における外周部の輪郭が円弧状であることが好ましい。
このような本発明では、押圧部材がワークに対して斜めに押圧される際に、押圧力で押圧部材が弾性変形しても、円弧形状の任意の一部が常に同様な状態でワークに接触することができる。
【0012】
本発明の摩擦攪拌接合ヘッドは、前述した本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントと、前記摩擦攪拌接合アタッチメントに装着された前記接合ツールと、を有することを特徴とする。
このような本発明では、前述した本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントと同様な効果を得ることができる。
【0013】
本発明の摩擦攪拌接合装置は、前述した本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントと、前記摩擦攪拌接合アタッチメントに装着された前記接合ツールと、前記摩擦攪拌接合アタッチメントが装着された工作機械と、を有することを特徴とする。
このような本発明では、前述した本発明の摩擦攪拌接合アタッチメントと同様な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、構造が簡素で、多様な接合に適応でき、かつワークの浮き上がりを防止できる摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の摩擦攪拌接合装置を示す斜視図。
図2】第1実施形態の摩擦攪拌接合アタッチメントを示す斜視図。
図3】第1実施形態の摩擦攪拌接合アタッチメントの装着状態を示す側面図。
図4】本発明の第2実施形態の摩擦攪拌接合アタッチメントを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図3には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、本実施形態の摩擦攪拌接合装置1は、縦型主軸を有する汎用の工作機械2に、本発明に基づく摩擦攪拌接合アタッチメント10と、摩擦攪拌接合用の汎用の接合ツール20と、を装着して構成される。
【0017】
工作機械2は、ワーク9が固定されるテーブル3と、先端に工具を装着可能な主軸4と、主軸4を回転自在に支持する主軸ヘッド5と、主軸ヘッド5を任意位置へ移動させる移動機構6と、を備えている。
移動機構6は、水平なガイドバー61に支持されたスライダ62を有し、主軸ヘッド5はスライダ62から下向きに支持されている。従って、スライダ62に対して主軸ヘッド5を昇降させることで、主軸4の先端をZ軸方向の指定された位置に移動可能である。また、ガイドバー61に沿ってスライダ62を移動させることで、主軸4の先端をX軸方向の指定された位置に移動可能である。
【0018】
主軸4は、回転軸Rが垂直(Z軸方向)とされ、主軸ヘッド5内の駆動モータにより回転軸R廻り(C軸方向)に回転可能かつ指定された角度位置に停止可能である。
テーブル3は、ベッド7に設置された駆動機構により、垂直な軸線廻り(C軸方向)に回転可能、かつ指定された角度位置に停止可能である。
これらのテーブル3、主軸4、主軸ヘッド5および移動機構6は、それぞれベッド7の上面に設置され、全体を開閉自在なカバー8で囲うことができる。
【0019】
主軸4には、本発明に基づく摩擦攪拌接合アタッチメント10を介して接合ツール20が装着されている。ここで、摩擦攪拌接合アタッチメント10に接合ツール20を装着することで、本発明の摩擦攪拌接合ヘッド19が構成される。
【0020】
図2において、摩擦攪拌接合アタッチメント10は、工作機械2の主軸4に装着される本体11と、本体11に回転自在に支持されかつ先端に接合ツール20の装着部131を有する加工軸13と、加工軸13を回転駆動する回転駆動部14と、本体11に支持されて装着部131の両側に配置された一対の押圧部材16と、を有する。
【0021】
本体11は、規格に基づくテーパーシャンク12で主軸4に装着可能であるとともに、軸心に沿ってセンタースルーホール121を有し、センタースルーホール121には主軸4からセンタースルーエアが供給可能である。
【0022】
回転駆動部14は、高圧空気により回転するエアモータで構成され、センタースルーホール121を通して主軸4から供給されるセンタースルーエアにより回転し、加工軸13を回転駆動可能である。
【0023】
押圧部材16は、それぞれ円盤状の弾性材料で形成され、加工軸13の回転軸Rと斜めに交差する回転軸Aまわりに回転自在に支持されている。
押圧部材16の外周部161は、径方向の断面形状の輪郭が半円形状つまり中心角約180度の円弧状に形成されている。
【0024】
本体11において、加工軸13の回転中心は、主軸4の回転軸Rに対して0~5度程度の僅かな角度だけ傾斜して設置されている。
加工軸13の回転中心が傾斜する方向は、一対の押圧部材16の回転軸Aとそれぞれ直交する方向(後述する図3の図面直交方向)とされている。
【0025】
図3において、本実施形態の摩擦攪拌接合アタッチメント10を用いて摩擦攪拌接合を行う際には、装着部131に接合ツール20を装着したうえで、摩擦攪拌接合アタッチメント10を主軸4に装着する。そして、主軸4からセンタースルーホール121を通してセンタースルーエアを供給し、回転駆動部14が加工軸13および接合ツール20を回転駆動させるとともに、接合ツール20をワーク9における接合部分W1,W2の接合線WLに近接させる。
回転する接合ツール20が接合線WLに導入されるとともに、押圧部材16がワーク9の表面に接触する。押圧部材16をワーク9に接触させる際には、押圧部材16が弾性変形して撓んだ状態(図3の一点鎖線参照)となるように十分な押圧力を付与する。
【0026】
ここで、主軸4により摩擦攪拌接合アタッチメント10の向きを調整し、加工軸13が傾斜する方向を接合線WLに沿わせる。この状態で、主軸4を接合線WLに沿って移動させることで、接合ツール20により接合線WLで摩擦攪拌接合が行われる。押圧部材16は、接合ツール20の両側でそれぞれワーク9の接合部分W1,W2を押圧しつつ、接合ツール20の移動とともに接合部分W1,W2に転動し、これにより接合ツール20が摩擦攪拌している部位での接合部分W1,W2の浮き上がりが防止される。
【0027】
このような本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
本実施形態では、装着部131に接合ツール20を装着して加工軸13を回転させることで、ワーク9に対する摩擦攪拌接合を行うことができる。この際、一対の押圧部材16をワーク9に押し付けることで、接合ツール20の両側においてワーク9の接合部分W1,W2の浮き上がりを防止できる。
押圧部材16は、円盤状に形成されかつ回転自在に支持されているため、接合ツール20がワーク9に対して移動する際に、ワーク9に転動することで追従できる。これにより、ワーク9に対する摩擦を避け、ワーク9に凹凸があっても乗り越えることができ、常時安定した状態でワーク9を押圧できる。
さらに、押圧部材16は、弾性材料で形成され、かつ回転軸Aが加工軸13に対して斜め、つまりワーク9の表面に対しても斜めに配置されているため、予めワーク9に押圧する際に押圧力で弾性変形させておくことで、ワーク9に対して常時安定した押圧力を発生できる。
【0028】
本実施形態では、本体11は主軸4に装着されるため、工作機械2において主軸4の回転角度位置を制御することで、本体11ないし接合ツール20の傾斜の向きを自由に変更できる。
これにより、接合ツール20の回転軸Rを傾斜させ、その先端側が移動方向の前側に変位するような姿勢とすることにより、ワーク9への進入性および軟化した材料の抑え込み性を高めることができる。
【0029】
本実施形態では、回転駆動部14をエアモータとしたため、主軸4からのエアを用いることで、外部動力の供給などが必要なく、動力源を容易に確保できる。
【0030】
本実施形態では、押圧部材16は、回転軸Aに沿った断面形状における外周部161の輪郭が半円形状としたため、押圧部材16がワーク9に対して斜めに押圧される際に、押圧力で押圧部材が弾性変形しても、円弧形状の任意の一部が常に同様な状態でワーク9に接触することができる。
【0031】
図4には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と基本構成が共通であるが、回転駆動部14に対するエアの供給経路が異なる。このため、第1実施形態との共通部分についての重複する説明は省略し、以下異なる部分について説明する。
【0032】
前述した第1実施形態では、本体11にセンタースルーホール121を設け、主軸4から供給されるセンタースルーエアにより回転駆動部14を回転させていた。
これに対し、本実施形態では、図4に示すように、本体11の外周に外周部材17が装着されている。
外周部材17は、本体11の外周に回転軸Rまわりに回転自在に装着されており、延長部材171およびサブシャンク172により主軸ヘッド5に接続可能である。
サブシャンク173から外周部材17にかけてエア通路が形成され、主軸ヘッド5からのエアが供給可能である。外周部材17と本体11との間には、外周部材17の内周面または本体11の外周面に形成された環状溝を介して回転駆動部14へのエア供給が可能である。
【0033】
本実施形態では、回転駆動部14の駆動エアを主軸ヘッド5から供給することができる。このため、主軸4にセンタースルーエアの供給機能がない場合でも、主軸ヘッド5にエア供給配管を形成することで、回転駆動部14へのエア供給が容易である。
また、外周部材17を用いることで、外周部材17だけを主軸ヘッド5に対して固定すればよく、本体11は外周部材17に対して回転自在であるため、主軸4による本体11ないし接合ツール20の傾斜の向き調整を自由に行うことができる。
【0034】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、押圧部材16を円盤状の弾性材料としたが、接合ツール20がワーク9に対して移動する際にワーク9に転動できれば多角形状であってもよく、あるいは板状に限らず、弾性部材を円柱状に形成したローラなどであってもよい。
前記実施形態において、押圧部材16は進行方向前側が後側よりも広くなるような姿勢としてもよい。このような姿勢とすることで、押圧部材16がワーク9に転動する際にセルフセンタリング効果を生じて接合ツール20の進行方向のぶれを抑制できる。
前記実施形態では、回転駆動部14としてエアモータを用いたが、本発明の回転駆動部としては、主軸ヘッド5からケーブルを介して電力供給される電動モータとしてもよい。
前記実施形態では、本体11を主軸4に装着し、主軸4により向き変え可能な構成としたが、本体11を主軸ヘッド5に装着してもよい。この場合、加工軸13を主軸4に接続し、主軸4の回転力により接合ツール20を回転駆動することができる。この場合でも、工作機械2が多軸制御であれば、主軸ヘッド5の向きの制御により本体11ないし接合ツール20の傾きの向きを変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、摩擦攪拌接合アタッチメント、摩擦攪拌接合ヘッドおよび摩擦攪拌接合装置に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
1…摩擦攪拌接合装置、2…工作機械、3…テーブル、4…主軸、5…主軸ヘッド、6…移動機構、7…ベッド、8…カバー、9…ワーク、10…摩擦攪拌接合アタッチメント、11…本体、12…テーパーシャンク、121…センタースルーホール、13…加工軸、131…装着部、14…回転駆動部、16…押圧部材、161…外周部、17…外周部材、171…延長部材、172…サブシャンク、173…サブシャンク、19…摩擦攪拌接合ヘッド、20…接合ツール、61…ガイドバー、62…スライダ、A…押圧部材の回転軸、R…加工軸の回転軸、W1,W2…接合部分、WL…接合線。
図1
図2
図3
図4