(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】便器用吐水部品、吐水部品を有する便器、及び便器アセンブリ
(51)【国際特許分類】
E03D 11/00 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
E03D11/00 Z
E03D11/00 A
(21)【出願番号】P 2021025427
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000198802
【氏名又は名称】積水成型工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝志
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069874(JP,A)
【文献】特開2019-007278(JP,A)
【文献】実開昭60-087277(JP,U)
【文献】特開2006-316544(JP,A)
【文献】実開昭56-021073(JP,U)
【文献】特開2011-102516(JP,A)
【文献】実開昭60-181479(JP,U)
【文献】実開昭56-110188(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0275495(US,A1)
【文献】中国実用新案第207063078(CN,U)
【文献】中国実用新案第207109969(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器(200)に設けられる便器用吐水部品(100)で、便器のボウル面(210)に向かって当該便器用吐水部品から下方(190)及び左右方向(192)へ洗浄水を吐出する便器用吐水部品であって、
洗浄水吐出口(111a)を有し上記ボウル面に沿って設置される本体部(110)と、
洗浄水吐出口及び本体部に対向しかつ本体部との間に隙間(150)を形成して本体部と一体的に設けられる吐出口カバーで、洗浄水吐出口から吐出した洗浄水を、上記隙間を通して上記下方及び上記左右方向へ吐出させる吐出口カバー(130)と、
を備え、
本体部又は吐出口カバーは、
上記下方へ洗浄水を吐出させる第1隙間(151)を本体部と吐出口カバーとの間に形成させる第1領域(112A)と、
上記左右方向へ洗浄水を吐出させる第2隙間(152)を本体部と吐出口カバーとの間に形成させる第2領域(112B)とを有し、
上記第1隙間及び上記第2隙間は、互いに連通して上記隙間を構成しており、
上記吐出口カバーは、上記下方に向かって上記本体部側へ接近するように傾斜して
おり、
上記第1隙間の寸法は、上記第2隙間の寸法に比べて大きい、
ことを特徴とする便器用吐水部品。
【請求項2】
上記第1領域は、上記洗浄水吐出口から下方へ扇状に広がる扇形であり、上記第2領域は、上記扇形の両翼箇所(112AS)よりも上側にそれぞれ位置する三角形である、請求項
1に記載の便器用吐水部品。
【請求項3】
上記第1領域と上記第2領域との境界(112c)は、上記両翼箇所に位置し、各境界に位置する各境界線(112d)は、上記洗浄水吐出口よりも上側にて交差する、請求項
2に記載の便器用吐水部品。
【請求項4】
上記第1領域及び上記第2領域は、上記本体部が有し、上記吐出口カバーは、平坦板である、請求項1から
3のいずれかに記載の便器用吐水部品。
【請求項5】
上記第1領域及び上記第2領域は、上記下方及び上記左右方向へ延在し、上記洗浄水吐出口から下方及び左右方向に向かって第1隙間及び第2隙間の寸法が増加していく、請求項
4に記載の便器用吐水部品。
【請求項6】
上記吐出口カバーは、上記洗浄水吐出口から吐出される洗浄水の吐出圧に耐え得る剛性を有する金属板である、請求項
5に記載の便器用吐水部品。
【請求項7】
上記本体部は、上記吐出口カバーの取付座となる台座部(114)を有し、該台座部における吐出口カバーの取付面(114a)は、上記下方に向かって下り傾斜面であり、吐出口カバーを本体部側へ傾斜させる、請求項1から
6のいずれかに記載の便器用吐水部品。
【請求項8】
上記本体部は、上記吐出口カバーの取付座となる台座部(114)に吐出口カバーの取付面(114a)を有し、吐出口カバーは、上記取付面より下方側を、本体部側へ傾斜させている、請求項1から
6のいずれかに記載の便器用吐水部品。
【請求項9】
上記第1領域及び上記第2領域は、上記吐出口カバーが有し、上記本体部は、平坦である、請求項1から
3のいずれかに記載の便器用吐水部品。
【請求項10】
上記第1領域及び上記第2領域は、上記下方及び上記左右方向へ延在し、上記洗浄水吐出口から下方及び左右方向に向かって第1隙間及び第2隙間の寸法が増加していく、請求項
9に記載の便器用吐水部品。
【請求項11】
コーン状のボウル面(210)を有する洋式便器本体(220)と、
上記洋式便器本体の上側開口(221)の周囲部(221a)において、上記洋式便器本体の座位前部(222)における左右側部(222a,222b)にそれぞれ設けられ、上記座位前部での上記ボウル面における左右側部領域(211,212)へ洗浄水を吐出する、請求項1から
10のいずれかに記載の便器用吐水部品(100)と、
上記周囲部において上記洋式便器本体の座位後部(223)に設けられ、上記ボウル面における後部領域(213)へ洗浄水を吐出する後部吐水部品(230)と、
を備えたことを特徴とする便器。
【請求項12】
第1洗浄水配管を有する第1吐水系(300)と、第1洗浄水配管とは別個の第2洗浄水配管が接続可能である第2吐水系(400)とを備え、第1吐水系又は第2吐水系のどちらかから便器へ洗浄水の吐出を行う便器アセンブリ(500)であって、
コーン状のボウル面(210)を有する洋式便器本体(220)と、
上記第1吐水系に備わる部品で、上記第1洗浄水配管と接続され、かつ、上記洋式便器本体の上側開口(221)の周囲部(221a)において、上記洋式便器本体の座位前部(222)における左右側部(222a、222b)にそれぞれ設けられて、上記座位前部での上記ボウル面における左右側部領域(211、212)へ洗浄水を吐出する、少なくとも2つの前部吐水部品(320)と、
上記第1吐水系に備わり、上記第1洗浄水配管と接続され、上記周囲部において上記洋式便器本体の座位後部(223)に設けられ、上記ボウル面における後部領域(213)へ洗浄水を吐出する後部吐水部品(230)と、
ここで上記第1洗浄水配管は、上記前部吐水部品及び上記後部吐水部品から吐出される洗浄水が人力によって供給される配管であり、
上記第2吐水系に備わるパイプで、上記第2洗浄水配管が連結可能な連結部(412)を有し、上記洋式便器本体の上側開口に沿って延在して、上記連結部から供給された洗浄水を上記後部領域及び上記左右側部領域へ吐出する吐水パイプ(410)と、
を備えたことを特徴とする便器アセンブリ。
【請求項13】
上記前部吐水部品は、請求項1から
10のいずれかに記載の便器用吐水部品である、請求項
12に記載の便器アセンブリ。
【請求項14】
上記第1吐水系に備わり、上記第1洗浄水配管と接続され第1洗浄水配管を通して人力によって洗浄水を上記後部吐水部品及び上記前部吐水部品から吐出させる吐水用ポンプ(350)をさらに備えた、請求項
12又は
13に記載の便器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トイレ用便器に取り付けられる便器用吐水部品、この吐水部品を設けた便器、及び便器アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば建築工事現場、屋外のイベント会場、災害発生時の避難所、等へ搬送されて設置可能である、簡易水洗式の仮設トイレが存在する。このような仮設の洋式トイレでは、便器のボウル面への洗浄水の吐出は、例えば、便器における座位後部の1箇所、さらには座位後部及び座位前部(1箇所)の計2箇所から行われている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、仮設ではなく常設の洋式トイレにあっては、便座下の便器周縁部に沿って便器本体に給水経路を形成し、該給水経路に開けた複数の吐水穴からボウル面へ流水する、あるいは上記給水経路に設けられボウル下方へ傾斜した流水路から、ボウル面へ螺旋状に吐水(旋回流水)することで、ボウル全面への流水を可能にした形態も存在する(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭59-076677号公報
【文献】特開2005-307650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の常設トイレのように、便器のボウル全面に流水することで、ボウル面における汚物付着の残留、及びこれに伴う悪臭発生という問題は、低減可能である。
一方、仮設トイレは、そもそも簡易タイプであるという認識があり、それに伴ってコスト面等から複雑構造が不可あるいは避けられる傾向にある。さらに、仮設トイレでは、設置形態から使用可能な洗浄水量が限られる場合が多い。よって、水量及び水圧の確保が比較的に容易な、常設トイレにおける上述のような構造を仮設トイレに適用することは、困難である。
これらのことから、特に仮設トイレでは、便器のボウル全面へ流水を行うという意識自体が希薄であったと思われ、ボウル面における汚物付着の残留、及びこれに伴う悪臭発生を抑制するという観点において、未だ工夫する余地がある。
【0006】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、常設、仮設を問わないが、特に仮設トイレ用としての、便器のボウル全面への吐水が可能な、便器用吐水部品、該吐水部品を有する便器、及び便器アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における便器用吐水部品は、便器に設けられる便器用吐水部品で、便器のボウル面に向かって当該便器用吐水部品から下方及び左右方向へ洗浄水を吐出する便器用吐水部品であって、
洗浄水吐出口を有し上記ボウル面に沿って設置される本体部と、
洗浄水吐出口及び本体部に対向しかつ本体部との間に隙間を形成して本体部と一体的に設けられる吐出口カバーで、洗浄水吐出口から吐出した洗浄水を、上記隙間を通して上記下方及び上記左右方向へ吐出させる吐出口カバーと、
を備え、
本体部又は吐出口カバーは、
上記下方へ洗浄水を吐出させる第1隙間を本体部と吐出口カバーとの間に形成させる第1領域と、
上記左右方向へ洗浄水を吐出させる第2隙間を本体部と吐出口カバーとの間に形成させる第2領域とを有し、
上記第1隙間及び上記第2隙間は、互いに連通して上記隙間を構成しており、
上記吐出口カバーは、上記下方に向かって上記本体部側へ接近するように傾斜している、
ことを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
上記第1態様における便器用吐水部品は、本体部及び吐出口カバーを備え、本体部又は吐出口カバーは、第1領域及び第2領域を有し、また吐出口カバーは、下方に向かって本体部側へ接近するように傾斜している。よって、当該便器用吐水部品から下方へ第1領域における第1隙間から、各左右方向へ第2領域における第2隙間から、それぞれ洗浄水を便器のボウル面へ吐出することができる。したがって、当該便器用吐水部品を便器に備えることで、仮設トイレであっても、便器のボウル全面への吐水が可能となり、ボウル面における汚物付着の残留、及びこれに伴う悪臭発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態における便器アセンブリの概略構成を組立図形式で示した斜視図である。
【
図2】
図1に示す便器アセンブリを仮設トイレ用に展開した構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態における便器用吐水部品を有する便器への第1吐水系からの給水を説明するための斜視図である。
【
図4】
図1に示す便器アセンブリにおいて、第2吐水系からの給水を説明するための斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態における便器用吐水部品(前部吐水部品)の一例を示す斜視図である。
【
図5C】
図5Aに示す便器用吐水部品における第1領域及び第2領域部分を説明するための概略の斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態における便器用吐水部品の別例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態における便器用吐水部品によって吐水可能な便器ボウル面の領域を説明するための図である。
【
図9】
図1等に示す洋式便器本体における便器用吐水部品の取付位置を示すための図である。
【
図10】
図5Aに示す便器用吐水部品の変形例を示す断面図である。
【
図11A】本発明の一実施形態における便器に備わる後部吐水部品の平面図である。
【
図11B】
図11Aに示す後部吐水部品の側面図で、一部を断面で示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態である便器用吐水部品、この便器用吐水部品を備えた便器、及び便器アセンブリについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明及び添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
また、以下に説明する実施形態では、仮設トイレにおける洋式腰掛便器を例に採り説明を行うが、これに限定するものではなく、本発明は、仮設トイレ用のいわゆる和式便器、並びに、常設トイレにおける洋式及び和式の便器にも適用可能である。
【0012】
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態である便器アセンブリ500の概略構成について説明を行う。
本便器アセンブリ500は、便器200を備え、さらに、便器200へ洗浄水の吐出を人力にて行う吐水用ポンプ350を備えることもできる。このような便器アセンブリ500は、便器200が洋式便器本体220を有し、該洋式便器本体220における座位前部222の左右側部222a,222b、及び座位後部223の、少なくとも合計3箇所から洋式便器本体220のボウル面210へ洗浄水を吐水する構成を有する。
【0013】
ここで座位前部222とは、排泄に際し使用者が便器200に座った状態における使用者前面側を意味し、座位後部223とはその状態での使用者後面側を意味する。
図9を参照すると、平面視卵形の洋式便器本体220の長軸方向に沿って0度、180度としたとき、短軸に対して、0度側が座位前部222であり、180度側が座位後部223に相当する。
【0014】
また、長軸と短軸との交点である、洋式便器本体220における上側開口221の中心点221cを頂点とすると、上述の左右側部222a,222bは、短軸からそれぞれ約α度の角度位置に対応する。尚、本実施形態では、αは33度程度である。また、この角度αは、上述の値に限定されず、洗浄水の吐出圧力、流量等に応じて設計される変数である。
尚、本実施形態において、約40-約120(kg)の体重の人が吐水用ポンプ350に片足で全体重を乗せて踏み込んだ場合にて、吐出圧力は、一例として0.05-0.15(MPa)程度であり、吐出流量は、一例として100-200(ml)程度である。
また、本実施形態では、洋式便器本体220における上側開口221の中心点221cは、洋式便器本体220における後述の下側開口229の中心とは、
図9の0-180度方向においてズレている。よって、下側開口229の中心を頂点としたときには、上述の角度αは、43度程度になる。
【0015】
さらに便器アセンブリ500は、便器200において、人力によりボウル面210への洗浄水の吐水を行う第1吐水系300と、人力以外(例えば水頭圧)により便器への洗浄水の吐水を行う第2吐水系400との2つの吐水系統を有している。
【0016】
便器アセンブリ500は、以上のような構成を備えたことで、便器のボウル全面への吐水が可能となり、その結果、ボウル面210における汚物付着の残留、及びこれに伴う悪臭発生を抑制することが可能となる。
【0017】
また、便器アセンブリ500は、第1吐水系300及び第2吐水系400を有することで、これらのいずれからも洋式便器本体220へ洗浄水の吐出を行うことが可能となる。即ち、例えば仮設のような、既設の洗浄水配管が存在しない状況にあっては、第1吐水系300を用いて吐水が可能であり、一方、既設の洗浄水配管が存在する場合には、第2吐水系400を用いて、別途、必要部品の取付け、交換、並びに便器構造の変更、改造等を行うことなく、単に、第2吐水系400へ既設の洗浄水配管を連結する作業のみで、便器のボウル全面への吐水が可能となる。このように便器アセンブリ500は、トイレ設置箇所に対する適用性及び利便性の向上を図ることができるという効果も有する。
【0018】
このように構成された便器アセンブリ500には、例えば仮設(簡易)トイレの場合、
図1に示すように洋式便器本体220の下側開口229にフラッパアセンブリ10が接続され、これら洋式便器本体220及びフラッパアセンブリ10がカバー20で覆われ、さらにアダプター30が取り付けられる。
さらに仮設トイレの場合、
図2に示すように、カバー20及びアダプター30を取り付けた便器アセンブリ500は、洗浄水タンク50と共に床部材40に載置、固定される。また、洗浄水タンク50には、以下で説明する吐水用ポンプ350が装着される。
尚、洋式便器本体220、フラッパアセンブリ10、カバー20、アダプター30、床部材40、及び洗浄水タンク50は、樹脂材のブロー成形及び射出成形により作製可能である。
【0019】
以下には、便器アセンブリ500の各構成部品について、順にさらに詳しく説明する。
まず、便器200について説明を行う。
上述したように便器200は、洋式便器本体220を有し、該洋式便器本体220は、
図1等に示すように、大略コーン形状を有し、平面視でほぼ楕円(卵形)形状であり、大径の上側開口221と円形で小径の下側開口229との間にコーン状のボウル面210を有する。さらに便器200は、前部吐水部品320及び後部吐水部品230を有する。尚、前部吐水部品320は、便器アセンブリ500における名称及び付番であり、追って詳述する便器用吐水部品100として読み替えることができる。
【0020】
前部吐水部品320(100)は、洋式便器本体220における上側開口221の周囲部221aの場所で、洋式便器本体220の座位前部222における左右側部222a,222bにそれぞれ取り付けられる。このような前部吐水部品320は、座位前部222での、洋式便器本体220のボウル面210における左右側部領域211,212へ洗浄水を吐出する部品である。
【0021】
後部吐水部品230は、洋式便器本体220における上側開口221の周囲部221aの場所で、洋式便器本体220の座位後部223に設けられる。該後部吐水部品230は、座位後部223において、ボウル面210の後部領域213へ洗浄水を吐出する部品である。
これらの前部吐水部品320(100)及び後部吐水部品230については、追って詳しく説明する。
【0022】
第1吐水系300は、
図1及び
図3に示すように、第1洗浄水配管310と、上述した少なくとも2つ(本実施形態では2つ)の前部吐水部品320と、上述した、本実施形態では一つの後部吐水部品230とを有する。また第1吐水系300は、上述の吐水用ポンプ350を有することもでき、該吐水用ポンプ350は、第1洗浄水配管310に接続される(
図2のA部)。よって、第1洗浄水配管310は、人力により洗浄水が供給される配管である。
【0023】
このように吐水用ポンプ350が接続可能な第1洗浄水配管310は、後部吐水部品230に接続されると共に、後部吐水部品230にて分岐した各配管を介して、2つの前部吐水部品320にそれぞれ接続される。よって、第1洗浄水配管310に吐水用ポンプ350が接続されたときには、吐水用ポンプ350から送出される洗浄水が、後部吐水部品230及び前部吐水部品320を通して、洋式便器本体220のボウル面210へ吐出される。
【0024】
第2吐水系400は、
図1及び
図4に示すように、第1洗浄水配管310とは別個の第2洗浄水配管Xが接続可能な吐水系統であり、吐水パイプ410を有する。尚、
図1及び
図4に示す第2洗浄水配管Xは、第2吐水系400に備わる部品ではなく、説明の便宜上図示したものであり、例えば、水洗トイレ用の既設の洗浄水配管等が相当する。
【0025】
吐水パイプ410は、上述の第2洗浄水配管Xが連結可能な連結部412を有すると共に、洋式便器本体220とは別の部材であって、洋式便器本体220の上側開口221に沿って延在して配置され、連結部412から供給された洗浄水を、ボウル面210における上述の後部領域213及び左右側部領域211,212、つまりボウル面210の全面へ吐出するパイプである。よって吐水パイプ410は、ボウル面210の全面へ吐水可能なように、ボウル面210に向かって開口された複数の吐水口を有する。尚、第1吐水系300を使用する場合、連結部412には、通常、閉止キャップが着脱可能に取り付けられ、封鎖されている。
また、
図1に示すように、洋式便器本体220の上側開口221側には、トップカバー250が載置され、トップカバー250は、洋式便器本体220と一体化されて固定される。吐水パイプ410は、このトップカバー250の周囲壁面251と、洋式便器本体220の上側開口221との間に配置され、外見上、隠れている。
【0026】
以下では、上述した前部吐水部品320(100)及び後部吐水部品230について、詳しく説明を行う。尚、ここでは、前部吐水部品(便器用吐水部品)に番号100を付して説明を行う。
まず、前部吐水部品100(便器用吐水部品100と読み替えてもよい)について、主に
図5A-
図5D(まとめて
図5と記す場合もある)から
図7を参照して説明する。
前部吐水部品100は、上述したように、洋式便器本体220における座位前部222の左右側部222a,222bの2箇所にそれぞれ取り付け可能な部品であり、上述の第1洗浄水配管310から供給された洗浄水を洋式便器本体220のボウル面210に向かって当該便器用吐水部品100から下方190及び左右方向192へ吐出する部品である。尚、下方190とは、重力方向に対応して洗浄水がボウル面210を流れ落ちる方向及びその両側付近への方向を指す。また、左右方向192は、下方190よりも上側に位置した、下方190に対する左右側の方向を意味する。
また、前部吐水部品100は、本実施形態では、左右側部222a,222bの少なくとも2箇所に設置されるが、必要に応じて、座位前部222において3箇所以上に設置されてもよい。
【0027】
また、前部吐水部品100として、
図7に示す第1タイプと、
図5A-
図5Dに示す第2タイプとがあり、いずれのタイプも、上述した前部吐水部品320として洋式便器本体220に設置することが可能である。ここで第2タイプは、第1タイプの改良型に相当する。よって第2タイプを改良型、第1タイプをプロトタイプと称する場合もある。
機能及び作用的には、以下に説明するように、本実施形態で使用している第2タイプ(改良型)が第1タイプ(プロトタイプ)よりも優れる。尚、以下では、第2タイプについて前部吐水部品100と称して、説明を行う。また、説明の便宜上、第1タイプについては、前部吐水部品100Pと付番し、第2タイプの前部吐水部品100と共通する、前部吐水部品100Pの構成部分については、前部吐水部品100と同じ符号を用いる。また上述のように、前部吐水部品320は、前部吐水部品100及び前部吐水部品100Pの両方を含む概念である。
【0028】
前部吐水部品100は、本実施形態では樹脂材で成形された本体部110と、本体部110と一体的に設けられ、本実施形態では金属板にてなる吐出口カバー130とを有する。
本体部110は、
図5及び
図6に示すように、隙間形成部112と、該隙間形成部112の上部に位置し吐出口カバー130の取付座となる台座部114とを有する。隙間形成部112は、本実施形態では平面視で大略半円形状を有し、吐出口カバー130とによって下記の隙間150を形成する部分である。本実施形態では、隙間形成部112及び台座部114は、一体成形されている。
また本体部110は、本体部110から延在するノズル111の洗浄水吐出口111aを隙間形成部112の上部に有し、隙間形成部112が洋式便器本体220のボウル面210に沿って設置される。尚、本実施形態では、洗浄水吐出口111aは、
図5Aに示すように、その出口面をボウル面210とほぼ平行にして配向しているが、その出口面を下方190側へ配向してもよい。また、ノズル111の内径について、
図5D及び
図6では、ノズル111の縦延在部分と、洗浄水吐出口111aを含む横延在部分とは、同径にて示しているが、横延在部分の内径は、縦延在部分よりも小さくしてもよく、また、横延在部分では、洗浄水吐出口111aに向かってテーパー状に拡がるように構成してもよい。これらの構成を採ることで、本体部110の成形を容易にすると共に、前部吐水部品100における、後述の、吐水圧力の調整を可能にし、洗浄効率向上に寄与することができる。
【0029】
ノズル111には、上述した第1洗浄水配管310が接続される。本実施形態では、ノズル111は、本体部110と一体成形されているが、本体部110に例えば着脱可能な形態であってもよい。この着脱形態では、ノズル111は、第1洗浄水配管310に含まれることになる。よって、本体部110は、ノズル111を有するものではなく、第1洗浄水配管310が本体部110に直接接続される構成を採ることもできる。
【0030】
吐出口カバー130は、本体部110における洗浄水吐出口111a及び本体部110に対向し、かつ本体部110との間に隙間150(
図5B、
図6)を形成する部品であり、上述のように台座部114を介して本体部110と一体的に設けられる。このような吐出口カバー130は、洗浄水吐出口111aから吐出した洗浄水を、隙間150を通して上述の下方190及び各左右方向192へ吐出させるカバーである。
また、符号290は、前部吐水部品100を洋式便器本体220へ設置する際のO-リングを示す。
また、吐出口カバー130は、本実施形態では
図5Bに示すように、平坦な金属板を用いており、洗浄水吐出口111aから吐出される洗浄水の吐出圧に対して耐え得る剛性、つまり吐出圧に対して変形しない程度の剛性を有する。ここで、変形しない程度とは、前部吐水部品100から下方190及び左右方向192への適切な洗浄水吐出が困難になる、換言すると、ボウル面210における左右側部領域211,212への洗浄水吐出が不十分になる、さらに言い換えると、吐出口カバー130と本体部110との間に形成される隙間150の寸法が変化する、ような変形程度を意味する。
金属板にてなる吐出口カバー130は、本実施形態では、締結部材の一例としてのボルトナットにて本体部110に取り付けられ固定される。
しかしながら吐出口カバー130は、金属製に限定されず、例えば、高剛性を有する樹脂材で作製してもよく、さらに、該高剛性樹脂材にて本体部110と一体成形してもよい。
【0031】
吐出口カバー130とによって形成される上述の隙間150に関連して、本体部110は、さらに以下の構成を有する。
即ち、
図5及び
図6を参照して、本体部110の隙間形成部112は、上述の下方190へ洗浄水を吐出させるため、吐出口カバー130との間に第1隙間151を形成する第1領域112Aと、上述の各左右方向192へ洗浄水を吐出させるため、吐出口カバー130との間に第2隙間152を形成する第2領域112Bとを有する。このような第1隙間151及び第2隙間152は、互いに連通して上述の隙間150を構成する。
【0032】
また、
図5Aに示すように、第1領域112Aは、平面視にて、洗浄水吐出口111aから下方190へ扇状に広がる扇形を有し、第2領域112Bは、平面視にて、扇形の第1領域112Aにおける両翼箇所112ASよりも上側にそれぞれ位置し、三角形状を有する。
【0033】
また、
図5及び
図6に示すように、本体部110に固定された吐出口カバー130の厚み方向138において、第1隙間151の寸法(厚み)は、第2隙間152の寸法に比べて大きい。
【0034】
さらに、第1隙間151が、下方190に沿って、換言すると半円形状の隙間形成部112の半径方向に沿って、洗浄水の流れる向き(吐出向き)に徐々に第1隙間151の寸法を増すように、第1領域112Aは、構成されている。換言すると、第1領域112Aは、下方190に沿って洗浄水の吐出向きに徐々に本体部110の厚さを減じるように構成されている。同様に、それぞれの第2隙間152についても、各左右方向192に沿って、換言すると上記半径方向に沿って、洗浄水の吐出向きに徐々に第2隙間152の寸法を増すように、各第2領域112Bは、構成されており、換言すると、各第2領域112Bは、各左右方向192に沿って洗浄水の吐出向きに徐々に本体部110の厚さを減じるように構成されている。
【0035】
したがって、本体部110は、第1領域112Aと第2領域112Bとの間に段差を有しており、第1領域112Aと、2つの第2領域112Bとの各境界112c(
図5A、
図6)は、それぞれの両翼箇所112ASに位置する。また、2つの境界112cにおける各境界線112d(
図5A)が洗浄水吐出口111aよりも上側にて交差するように、それぞれの両翼箇所112ASが形成されている。よって、本体部110における洗浄水吐出口111aは、第1領域112Aに配置されている。尚、境界線112dは、両翼箇所112ASの稜線とも言える。
【0036】
また、
図5Aに示すように、各境界線112dの交点を頂点とした、隙間形成部112の上端から各境界線112dまでの角度βは、本実施形態では、約30度である。尚、角度βは、上述の値に限定されず、洗浄水の吐出圧力及び流量等に依存して設計される変数である。尚、本実施形態において、上述したように、吐出圧力は、一例として0.05-0.15(MPa)程度であり、吐出流量は、一例として100-200(ml)程度である。
【0037】
また、
図5Bに示すように、本体部110の台座部114における吐出口カバー130の取付面114aは、本実施形態では、下方190側へ僅かに下り傾斜面としている。該構成により、台座部114に設置された吐出口カバー130は、下方190に向かって、若干、本体部110側へ近接するように配置されることになる。尚、傾斜面としないことも可能である。
【0038】
あるいはまた、取付面114aの下り傾斜面と共に、又は取付面114aを下り傾斜面とはせずに、吐出口カバー130において、取付面114aより下方190側の部分を、
図5Bに点線で示すように、下方190に向かって、若干、本体部110側へ近接するように屈曲あるいは湾曲させてもよい。尚、この点線は、実際よりも誇張して図示している。
【0039】
前部吐水部品100は、以上説明した構成を有することで、洗浄水吐出口111aから吐出した洗浄水が吐出口カバー130に当たり、ボウル面210に対して洗浄水の一部を下方190へ吐水し、残りの洗浄水を左右方向192へ吐水することが可能になる。具体的には、第1領域112Aに洗浄水吐出口111aが配置されることから、前部吐水部品100は、基本的には第1隙間151を通して洗浄水をボウル面210に対して下方190へ吐水することができ、さらに、前部吐水部品100の左右両側に第2領域112Bを設けたことで、洗浄水をボウル面210に対して左右方向192へそれぞれ吐水することができる。
【0040】
このとき、第1隙間151と第2領域112Bとの間に上述のように段差を設けたことで、つまり、第2隙間152を第1隙間151よりも狭くなるように構成したことで、第2隙間152における吐水圧力を、第1隙間151における吐水圧力よりも高くすることができる。したがって、2つの第2領域112Bの合計面積、言い換えると2つの第2隙間152の合計容積は、第1領域112Aの面積(第1隙間151の容積)よりも小さいが、高い吐水圧力によって、下方190の両翼側、つまり左右方向192の広い範囲へ吐水することが可能となる。
【0041】
よって、
図8に示す、ボウル面210における斜線部分の領域215へも前部吐水部品100から洗浄水を流すことができる。その結果、従来に比べてより広い範囲、つまり座位前部222におけるボウル面210の全面、及び座位後部223の一部領域まで、洗浄水の吐水を行うことが可能である。
【0042】
また、吐出口カバー130について、
図5B及び
図6に示すように、下方190への長さ寸法は、本体部110の長さ寸法と同等であるが、
図5Dに示すように、左右方向192への幅寸法は、本体部110の幅寸法よりも大きい。該構成により、第2隙間152から左右方向192へ吐出される、より高圧の洗浄水が洋式便器本体220の中央部側へ突出するのを防止でき、より良好にボウル面210に沿って左右方向192へ流水が可能となる。
【0043】
また、上述したように、吐出口カバー130を本体部110側へ近接させる構成を採ることで、前部吐水部品100からボウル面210への吐水圧力をより高めることができ、洗浄効率のさらなる向上を図ることが可能になる。
【0044】
また、前部吐水部品100の変形例として以下の構成を採ることもできる。
即ち、本実施形態では上述のように、第1隙間151及び第2隙間152を形成する手法として、本体部110に対して第1領域112A及び第2領域112Bを形成し、一方、吐出口カバー130は、平坦な板材を用いている。この構成の変形例として、本体部110と吐出口カバー130との構成を逆転させた形態を採ることもできる。尚、該変形例について、前部吐水部品100Cと記す。
即ち、
図10に示すように、前部吐水部品100Cにおける本体部110Cは、台座部114については、前部吐水部品100の本体部110のものと同様に構成しているが、本体部110における第1領域112A及び第2領域112Bに対応する、前部吐水部品100Cの本体部110Cにおける各領域は、平坦面にて構成している。
一方、前部吐水部品100Cの吐出口カバー130Cは、上述した第1領域112A及び第2領域112Bに対応した、第1領域132A及び第2領域132Bの各領域を有している。
このような前部吐水部品100Cにおいても、前部吐水部品100における上述の効果を奏することができる。
【0045】
次に、第1タイプ(プロトタイプ)の前部吐水部品100Pについて説明する。
図7に示すように、前部吐水部品100Pは、第2領域112Bを有さない点で、言い換えると第2領域112Bが第1領域112Aと同じ構成である点で、前部吐水部品100と異なる。その他の構成は、前部吐水部品100と同じであり、それらの詳しい説明は、ここでは省略する。
【0046】
このように前部吐水部品100Pは、上述の前部吐水部品100とほぼ同じ構成を有することから、基本的に前部吐水部品100における上述した効果を奏することができるが、第2領域112Bを有しないことから、前部吐水部品100に比べて、若干、左右方向192への吐水が弱くなる傾向が見られる。しかしながら、座位前部222におけるボウル面210の概ね全面に流水することは可能である。
【0047】
次に、さらに
図11A及び
図11B(まとめて
図11と記す場合もある。)を参照して、後部吐水部品230について説明を行う。
後部吐水部品230は、既に説明し、また
図1に示すように、上述の第1洗浄水配管310が接続され、第1洗浄水配管310から供給された洗浄水を、洋式便器本体220の座位後部223におけるボウル面210に向かって当該後部吐水部品230から下方194及び左右方向196へ吐出する部品である。このような後部吐水部品230は、洋式便器本体220の上側開口221の周囲部221aにおいて、
図9に示す180度の位置に設置される。
尚、下方194とは、重力方向に対応して洗浄水がボウル面210を流れ落ちる方向及びその両側付近への方向を指す。また、左右方向196は、下方194よりも上側に位置した、下方194に対する左右側の方向を意味する。
【0048】
後部吐水部品230は、樹脂材にて成形された部品で、洋式便器本体220の上側開口221の周囲部221aに沿って上記180度から左右の各90度の方へ延在する翼部232と、該翼部232と一体成形されて第1洗浄水配管310が接続されるノズル234とを有する。ノズル234は、洋式便器本体220の外側へ突出するように配置される。
【0049】
ノズル234は、第1洗浄水配管310のうち、吐水用ポンプ350と接続される主第1洗浄水配管310Aが接続される一つの後部用ノズル234aと、該ノズル234にて分岐して各前部吐水部品100にそれぞれ接続される第1洗浄水配管(説明の便宜上、分岐第1洗浄水配管310Bと記す)が接続される2つの前部用ノズル234bとを有する。図示するように、後部用ノズル234aは、各前部用ノズル234bに比べて大きい内径を有する。
【0050】
翼部232は、
図11Bに示すように、後部用ノズル234a内の流路と連通する吐水経路232aを有する。該吐水経路232aは、翼部232内を翼部232に沿って延在し、ボウル面210側へ開放されている。よって、主第1洗浄水配管310Aを通り供給された洗浄水は、吐水経路232aを介して翼部232の全長にわたってボウル面210へ吐水され、下方194及び左右方向196へ流出される。
【0051】
ここで、上述のように後部吐水部品230用の後部用ノズル234aの内径は、前部吐水部品100用の前部用ノズル234bの内径よりも大きく、また、後部吐水部品230には主第1洗浄水配管310Aから直線的に洗浄水が流入することから、前部吐水部品100よりも後部吐水部品230の方が吐水量は、多い。さらに、翼部232を含めてサイズも、後部吐水部品230の方が前部吐水部品100よりも大きい。したがって、洋式便器本体220における座位後部223におけるボウル面210に対しては、一つの後部吐水部品230から吐水を行い、座位前部222におけるボウル面210に対しては、2つの前部吐水部品100から吐水を行うように構成している。
このように構成される後部吐水部品230によれば、洋式便器本体220における座位後部223におけるボウル面210の全面に吐水することが可能である。
【0052】
以上のように構成される、前部吐水部品(便器用吐水部品)100を有する便器200を備えた便器アセンブリ500の動作及び作用、並びに使用方法について、以下に説明する。
説明したように、便器アセンブリ500は、第1吐水系300及び第2吐水系400を有し、これらのいずれからも洋式便器本体220へ洗浄水の吐出を行うことが可能である。
便器アセンブリ500が例えば仮設トイレとして使用され、第1吐水系300を用いる場合には、便器アセンブリ500に備わることができる吐水用ポンプ350におけるピストン部分を、使用者が操作する(例えば踏む)ことで、洗浄水タンク50内の洗浄水は、第1洗浄水配管310の主第1洗浄水配管310Aを通り、後部吐水部品230へ供給されると共に、後部吐水部品230にて分岐して第1洗浄水配管310における各分岐第1洗浄水配管310Bを通り、2つの前部吐水部品100へそれぞれ供給される。そして、この洗浄水は、後部吐水部品230から洋式便器本体220の座位後部223におけるボウル面210に、及び、2つの前部吐水部品100から座位前部222におけるボウル面210に、それぞれ吐水され、ボウル面210の全面へ吐水される。
【0053】
したがって、ボウル面210における汚物付着の残留、及びこれに伴う悪臭発生を抑制することが可能となる。
【0054】
一方、既設の洗浄水配管が存在する状況にあっては、第2吐水系400を用いることができる。
この場合、第2吐水系400における連結部412に、既設の、上述した第2洗浄水配管Xを連結する。そして第2洗浄水配管Xに備わる吐水用器具を操作することで、第2洗浄水配管Xを通った洗浄水は、第2吐水系400へ供給され、連結部412を介して吐水パイプ410の複数の吐水口からボウル面210の全面へ吐水される。
その結果、ボウル面210における汚物付着の残留、及びこれに伴う悪臭発生を抑制することが可能となる。
尚、第1吐水系300と第2吐水系400とを併用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、水洗トイレ用便器に取り付けられる便器用吐水部品、この吐水部品を設けた便器、及び便器アセンブリに適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
100…便器用吐水部品、110…本体部、111a…洗浄水吐出口、
112A…第1領域、112B…第2領域、112AS…両翼箇所、
112c…境界、112d…境界線、
130…吐出口カバー、
150…隙間、151…第1隙間、152…第2隙間、
190…下方、192…左右方向、
200…便器、210…ボウル面、220…洋式便器本体、221…上側開口、
221a…周囲部、222…座位前部、222a,222b…左右側部、
211,212…左右側部領域、223…座位後部、213…後部領域、
230…後部吐水部品、
300…第1吐水系、320…前部吐水部品、
400…第2吐水系、410…吐水パイプ、412…連結部、
500…便器アセンブリ。