(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20240917BHJP
A61N 1/39 20060101ALN20240917BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/39
(21)【出願番号】P 2021032641
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 宏人
【審査官】立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-063708(JP,A)
【文献】米国特許第5681322(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端から近位端へ長手軸方向に延在するシャフトであって、内腔と、前記内腔に連通する第1側孔と前記第1側孔より近位側の第2側孔とを有するシャフトと、
前記第1側孔の外側に配されている第1電極と、
前記第2側孔の外側に配されている第2電極と、
前記第1電極に電気的に接続されており前記第1側孔を通じて前記シャフトの前記内腔に延在している第1導線と、
前記第2電極に電気的に接続されており前記第2側孔を通じて前記シャフトの内腔に延在している第2導線と、
前記シャフトの前記内腔に配置され、該内腔を少なくとも第1内腔領域と第2内腔領域に仕切る仕切部材と、を有しており、
前記仕切部材は少なくとも1つの貫通口を有しており、
前記第1内腔領域に前記第1導線が配置されており、
前記第2内腔領域に前記第2導線が配置されているカテーテル。
【請求項2】
前記少なくとも1つの貫通口は、前記シャフトの長手軸方向に垂直な方向に前記仕切部材を貫通している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記少なくとも1つの貫通口は、前記シャフトの径方向に延在している請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの貫通口は、前記シャフトの長手軸方向に延在している請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記少なくとも1つの貫通口は複数の貫通口を有し、
前記複数の貫通口は、前記シャフトの長手軸方向に並んでいる請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記少なくとも1つの貫通口は複数の貫通口を有し、
前記複数の貫通口は、前記シャフトの径方向に並んでいる請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記仕切部材は前記シャフトの長手軸の中心側から前記シャフトの内壁側に向かって延在している少なくとも1つの仕切り部を有し、
前記少なくとも1つの仕切り部に前記少なくとも1つの貫通口が配されている請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記少なくとも1つの仕切り部は、前記シャフトの径方向に延在している請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記少なくとも1つの仕切り部は、前記シャフトの長手軸方向に延在している請求項7または8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記少なくとも1つの仕切り部は、複数の仕切り部を有し、
前記複数の仕切り部は、前記シャフトの周方向に並んでいる請求項7~9のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記仕切部材は、前記シャフトの長手軸方向に延在している筒状部を有し、
前記筒状部の外周に前記複数の仕切り部が配されている請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記少なくとも1つの仕切り部は、前記シャフトの内壁に固定されている請求項7~11のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記シャフトは、その内壁と前記仕切部材の間に間隙を有しており、
前記間隙は、前記第1導線の直径よりも小さく、かつ前記第2導線の直径よりも小さい請求項1~12のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項14】
除細動を行うときには、前記第2電極には、前記第1電極とは異なる極性の電圧が印加される請求項1~13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除細動、体内組織の焼灼、体内臓器の電位測定等に用いる電極カテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャフトに電極を備える電極カテーテルは、心房細動や心室細動等の不整脈を治療するために電気的刺激を付与するまたは体内組織の焼灼を行う、あるいは心臓等の臓器の電位を測定する医療器具として主に用いられている。電極カテーテルでは、内腔を有するシャフトの外側に複数の電極が配置される。電極の内側面に電気的に接続される導線はシャフトの内腔を通って外部機器、例えば除細動用電源装置や心電計まで延びている。特許文献1~2には電極を備えたデバイスの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-97084号公報
【文献】特表2006-506195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャフトの内腔には複数の導線が配置されるが、シャフトの内腔は狭くなっているため導線間が短絡する可能性があり得る。そこで、本発明は、導線間が短絡しにくいカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成し得た本発明のカテーテルの一実施態様は、遠位端から近位端へ長手軸方向に延在するシャフトであって、内腔と、内腔に連通する第1側孔と第1側孔より近位側の第2側孔とを有するシャフトと、第1側孔の外側に配されている第1電極と、第2側孔の外側に配されている第2電極と、第1電極に電気的に接続されており第1側孔を通じてシャフトの内腔に延在している第1導線と、第2電極に電気的に接続されており第2側孔を通じてシャフトの内腔に延在している第2導線と、シャフトの内腔に配置され、該内腔を少なくとも第1内腔領域と第2内腔領域に仕切る仕切部材と、を有しており、仕切部材は少なくとも1つの貫通口を有しており、第1内腔領域に第1導線が配置されており、第2内腔領域に第2導線が配置されている点に要旨を有する。本発明に係るカテーテルでは、仕切部材によってシャフトの内腔が仕切られているため、第1内腔領域に配置された第1導線は第2内腔領域へ移動しにくくなり、また第2内腔領域に配置された第2導線も第1内腔領域へ移動しにくくなる。その結果、第1導線と第2導線が接触しにくくなり導線間の短絡を防ぐことができる。また、貫通口を介して第1内腔領域と第2内腔領域が連通するため、シャフトの内腔に滅菌用のガス等の流体を行き渡らせやすくなる。
【0006】
少なくとも1つの貫通口は、シャフトの長手軸方向に垂直な方向に仕切部材を貫通していてもよい。少なくとも1つの貫通口は、シャフトの径方向に延在していてもよく、シャフトの長手軸方向に延在していてもよい。
【0007】
少なくとも1つの貫通口は複数の貫通口を有し、複数の貫通口は、シャフトの長手軸方向に並んでいてもよい。また、少なくとも1つの貫通口は複数の貫通口を有し、複数の貫通口は、シャフトの径方向に並んでいてもよい。
【0008】
仕切部材はシャフトの長手軸の中心側からシャフトの内壁側に向かって延在している少なくとも1つの仕切り部を有し、少なくとも1つの仕切り部に少なくとも1つの貫通口が配されていてもよい。少なくとも1つの仕切り部は、シャフトの径方向に延在していてもよく、シャフトの長手軸方向に延在していてもよい。少なくとも1つの仕切り部は、複数の仕切り部を有し、複数の仕切り部は、シャフトの周方向に並んでいてもよい。
【0009】
仕切部材は、シャフトの長手軸方向に延在している筒状部を有し、筒状部の外周に複数の仕切り部が配されていてもよい。
【0010】
少なくとも1つの仕切り部は、シャフトの内壁に固定されていてもよい。
【0011】
シャフトは、その内壁と仕切部材の間に間隙を有しており、間隙は、第1導線の直径よりも小さく、かつ第2導線の直径よりも小さくてもよい。
【0012】
カテーテルにおいて、除細動を行うときには、第2電極には、第1電極とは異なる極性の電圧が印加されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカテーテルによれば、第1内腔領域に配置された第1導線は第2内腔領域へ移動しにくくなり、また第2内腔領域に配置された第2導線も第1内腔領域へ移動しにくくなる。その結果、第1導線と第2導線が接触しにくくなり導線間の短絡を防ぐことができる。また、貫通口を介して第1内腔領域と第2内腔領域が連通するため、シャフトの内腔に滅菌用のガス等の流体を行き渡らせやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施態様に係るカテーテルの側面図である。
【
図2】
図1に示したカテーテルのII-II断面図(一部側面図)である。
【
図3】
図1に示したカテーテルのIII-III断面図(一部側面図)である。
【
図4】
図3に示したカテーテルのIV-IV断面図である。
【
図6】
図5に示した仕切部材の変形例を示す平面図である。
【
図7】
図5に示した仕切部材の他の変形例を示す平面図である。
【
図8】
図4に示したカテーテルの変形例を示す断面図である。
【
図9】
図4に示したカテーテルの他の変形例を示す断面図である。
【
図10】
図4に示したカテーテルの他の変形例を示す断面図である。
【
図11】
図4に示したカテーテルの変形例を示す断面図(一部平面図)である。
【
図12】
図11に示したカテーテルのXII-XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0016】
カテーテルは、例えば、心房細動や心室細動等の不整脈の治療や診断に利用される。不整脈の治療では、例えば、カテーテルの電極に高周波電流を流すことにより除細動や体内組織の焼灼を行うことができる。不整脈の診断では、カテーテルを患者の体内に挿入し、電極を心臓の診断対象組織やその近傍に配置して、当該組織の電位を測定することにより心電図を得ることができる。カテーテルは、心腔内除細動用カテーテルであってもよい。
【0017】
本発明のカテーテルの一実施態様は、遠位端から近位端へ長手軸方向に延在するシャフトであって、内腔と、内腔に連通する第1側孔と第1側孔より近位側の第2側孔とを有するシャフトと、第1側孔の外側に配されている第1電極と、第2側孔の外側に配されている第2電極と、第1電極に電気的に接続されており第1側孔を通じてシャフトの内腔に延在している第1導線と、第2電極に電気的に接続されており第2側孔を通じてシャフトの内腔に延在している第2導線と、シャフトの内腔に配置され、該内腔を少なくとも第1内腔領域と第2内腔領域に仕切る仕切部材と、を有しており、仕切部材は少なくとも1つの貫通口を有しており、第1内腔領域に第1導線が配置されており、第2内腔領域に第2導線が配置されている点に要旨を有する。本発明に係るカテーテルでは、仕切部材によってシャフトの内腔が仕切られているため、第1内腔領域に配置された第1導線は第2内腔領域へ移動しにくくなり、また第2内腔領域に配置された第2導線も第1内腔領域へ移動しにくくなる。その結果、第1導線と第2導線が接触しにくくなり導線間の短絡を防ぐことができる。また、貫通口を介して第1内腔領域と第2内腔領域が連通するため、シャフトの内腔に滅菌用のガス等の流体を行き渡らせやすくなる。
【0018】
図1~
図12を参照しながらカテーテルの構成例について説明する。
図1は本発明の一実施態様に係るカテーテルの側面図である。
図2は
図1に示したカテーテルのII-II断面図(一部側面図)である。
図3は
図1に示したカテーテルのIII-III断面図(一部側面図)である。
図4は
図3に示したカテーテルのIV-IV断面図である。
図5は
図2~
図4に示した仕切部材の平面図である。
図6~
図7は
図5に示した仕切部材の他の変形例を示す平面図である。
図8~
図10は
図4に示したカテーテルの他の変形例を示す断面図である。
図11は
図4に示したカテーテルの変形例を示す断面図(一部平面図)である。
図12は
図11に示したカテーテルのXII-XII断面図である。カテーテル1は、シャフト2と、第1電極31と、第2電極32と、第1導線41と、第2導線42と、仕切部材60と、を有している。
【0019】
カテーテル1の遠位側とは、シャフト2の長手軸方向xの遠位端側であって処置対象側を指す。カテーテル1の近位側とは、シャフト2の長手軸方向xの近位端側であって使用者の手元側を指す。各部材をその長手軸方向で二等分割したときの近位側を近位部、遠位側を遠位部と称することがある。
【0020】
シャフト2は長手軸方向xと径方向と周方向pを有している長尺な部材である。シャフト2は、遠位端から近位端に長手軸方向xに延在している。カテーテル1はシャフト2の遠位端側から患者の体内に挿入される。シャフト2の近位部には術者が把持するハンドル70が好ましく接続される。シャフト2はその内部に、シャフト2の進行をガイドするガイドワイヤの挿通路を有していてもよい。カテーテル1は、長手軸方向xに延在しているガイドワイヤを含んでいてもよい。
【0021】
シャフト2は内腔20を有している。内腔20は長手軸方向xに延在している。内腔20は1つのシャフト2に対して複数設けられていてもよいが、1つのみ設けられていることが好ましい。シャフト2はその内腔20に導線を配置するため、好ましくは筒状構造を有している。シャフト2の内腔20は、シャフト2の長手軸方向xの全体にわたって配されており、シャフト2の遠位端側と近位端側にそれぞれ開口が設けられていることが好ましい。
【0022】
シャフト2の遠位端部には先端チップ72が配されていてもよい。先端チップ72は、導電性材料から構成されていてもよく、絶縁性材料から構成されていてもよい。先端チップ72によってシャフト2の遠位端側の開口の一部または全部が塞がれていてもよい。
【0023】
シャフト2は可撓性を有していることが好ましい。これにより体腔形状に沿ってシャフト2を変形させることができる。形状保持のため、シャフト2は弾性を有していることが好ましい。シャフト2は樹脂、金属、または樹脂と金属の組み合わせから構成されていることが好ましい。シャフト2としては、樹脂チューブ;金属管;線材を所定のパターンで配置することで形成された中空体;上記中空体の内面または外面の少なくともいずれか一方に樹脂をコーティングしたもの;またはこれらを組み合わせたもの、例えばこれらを長手方向に接続したものが挙げられる。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。線材が所定のパターンで配置された中空体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが挙げられる。線材は、一または複数の単線であってもよく、一または複数の撚線であってもよい。線材の断面の形状は、例えば、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状であってもよい。長円形状には楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれ、以降の説明でも同様である。網目構造の種類は特に制限されず、コイルの巻き数や密度も特に制限されない。網目構造やコイルは、シャフト2の長手方向全体に亘って一定の密度で形成されてもよく、シャフト2の長手方向の位置によって密度が異なるように形成されてもよい。金属管の可撓性を高めるために、金属管の外側表面には切込みや溝が形成されていてもよい。切込みや溝の形状は、直線状、円弧状、環状、らせん状やこれらの組み合わせとすることができる。シャフト2が筒状の樹脂チューブである場合、シャフト2は単層または複数層から構成することができ、長手軸方向xまたは周方向pの一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
【0024】
シャフト2の構成材料として樹脂を用いることにより、シャフト2に可撓性や弾性を付与しやすくなる。シャフト2の構成材料として金属を用いることにより、カテーテル1の送達性を向上させることができる。シャフト2を構成する樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等の合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。シャフト2を構成する金属としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、炭素鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、Ni-Ti合金、Co-Cr合金、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。シャフト2は異なる材料または同じ材料による積層構造としてもよい。
【0025】
シャフト2は湾曲可能に構成されている。シャフト2は平面的に湾曲してもよく、立体的に湾曲してもよい。シャフト2が平面的に湾曲するとは、シャフト2の湾曲する部分の遠位端と近位端が、湾曲前後において略同一平面上にあるということである。立体的に湾曲するとは、シャフト2の湾曲する部分について、湾曲前にその部分の遠位端と近位端が位置する平面と、湾曲後にそれらが位置する平面とが異なっているということである。すなわち、湾曲によってシャフト2が捻れることをいう。
【0026】
シャフト2は複数の側孔を有している。側孔はシャフト2の壁、詳細には周壁に配される。側孔は、シャフト2の外から内腔20まで貫通するように配される。側孔を通じて電極に接続された導線を内腔20に挿入することができる。
図2ではシャフト2は少なくとも第1側孔11と第2側孔12を有しており、第2側孔12は第1側孔11より近位側にある。第1側孔11と第2側孔12はシャフト2の内腔20に連通している。1つのシャフト2に配される側孔の数は2以上であればよく、電極の数に応じて設定することができる。
図1~
図2に示すカテーテル1において、図示していないがシャフト2は第2側孔12よりも近位側に6つの側孔を有しており、これら側孔にそれぞれ電極が配されている。
【0027】
第1側孔11と第2側孔12はシャフト2の長手軸方向xに並んでいてもよい。第1導線41を第1内腔領域21に、第2導線42を第2内腔領域22に配置しやすくするために、第1側孔11と第2側孔12はシャフト2の周方向pの異なる位置に配されていることが好ましい。例えば、周方向pにおいて第1側孔11の中心と第2側孔12の中心は45°以上ずれた位置にあることが好ましく、60°以上ずれた位置にあることがより好ましく、90°以上ずれた位置にあることがさらに好ましく、また180°以下、140°以下、120°以下ずれた位置にあってもよい。
図2では周方向pにおける第1側孔11の中心と第2側孔12の中心が180°ずれた位置にある。
【0028】
シャフト2を長手軸方向xに垂直な方向から見たときの側孔の形状は、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状とすることができる。側孔は、その中心軸がシャフト2の径方向と一致していてもよく、その中心軸がシャフト2の遠位側から近位側に向かって径方向の外側から内側に延在するように配されていてもよい。
【0029】
シャフト2の側孔の外側には電極が配されている。電極は、除細動用、焼灼用、電位測定用、電位測定時の参照用のうち少なくともいずれか1つの機能を有することができる。参照用の電極とは、例えばグランド電極である。
図2では、第1側孔11の外側に第1電極31が配され、第2側孔12の外側に第2電極32が配されている。
図1~
図2では第1電極31が最遠位の電極であるが、最遠位にあることは必須ではない。
図1~
図2では第2電極32は第1電極31よりも1つ近位側にある電極であるが、第1電極31と第2電極32の間に別の電極が配されていてもよい。
【0030】
第1電極31と第2電極32以外に、カテーテル1は一または複数の電極を有していてもよい。
図1では第2電極32よりも近位側に第3電極33、第4電極34、第5電極35、第6電極36、第7電極37、第8電極38が近位側に向かって順に配されている。第8電極38が最近位の電極である。シャフト2が有する全ての側孔の外側に電極がそれぞれ1つ配されることが好ましい。
【0031】
電極の形状としては、例えば、リング状、リングに切れ込みが入った断面C字の形状、線材を巻回したコイル状が挙げられる。電極をシャフト2の外からかしめることでシャフト2に電極を取り付けることができる。電極は、シャフト2に配置された任意の形状のシート、薄板またはチップであってもよい。
【0032】
電極は導電性材料から構成されていればよく、金属、または樹脂と金属を含む混合物から構成することができる。詳細には、電極の構成材料としては導電性樹脂、白金、白金イリジウム合金、ステンレス、タングステン等の金属を用いることができる。電極を導電性樹脂から構成する場合、硫酸バリウムや酸化ビスマス等の造影剤を混合してもよい。
【0033】
導線は、電極と、カテーテル1の外部機器、例えば除細動用電源装置、焼灼用電源装置、心電計などを電気的に接続するものである。導線は、電極に電気的に接続され、側孔を通って内腔20に延在している。シャフト2内で導線は仕切部材60の外に配されていることが好ましい。すなわち、導線が仕切部材60に内包されるように配されていないことが好ましい。
図2では、第1導線41が第1電極31に電気的に接続されており第1側孔11を通じてシャフト2の内腔20に延在している。第2導線42は、第2電極32に電気的に接続されており第2側孔12を通じてシャフト2の内腔20に延在している。このように1つの電極に対して1つの導線が接続されていることが好ましい。簡略化のため
図3および
図4では第1導線41および第2導線42のみを示しているが、第3電極33~第8電極38にもそれぞれ導線が接続されている。
【0034】
導線は、導電性を有していればよく、例えば、銅線、鉄線、ステンレス鋼線、ピアノ線、タングステン線、ニッケルチタン線等を用いることができる。隣接する部材との短絡を防ぐため、導線の長手軸方向の両端部以外の部分は被覆チューブ等の被覆材で覆われていてもよい。被覆材は絶縁性材料から構成されていればよい。電極と導線はレーザー溶接、抵抗溶接、接着剤による接着等の方法で接続することができる。
【0035】
仕切部材60は、シャフト2の内腔20に配置されており、内腔20を少なくとも第1内腔領域21と第2内腔領域22に仕切るものである。仕切部材60は少なくとも1つの貫通口64を有している。第1内腔領域21に第1導線41が配置されており、第2内腔領域22に第2導線42が配置されている。カテーテル1では、仕切部材60によってシャフト2の内腔20が仕切られているため、第1内腔領域21に配置された第1導線41は第2内腔領域22へ移動しにくくなり、また第2内腔領域22に配置された第2導線42も第1内腔領域21へ移動しにくくなる。その結果、第1導線41と第2導線42が接触しにくくなり導線間の短絡を防ぐことができる。また、貫通口64を介して第1内腔領域21と第2内腔領域22が連通するため、シャフトの内腔に滅菌用のガス等の流体を行き渡らせやすくなる。
【0036】
仕切部材60は、シャフト2を湾曲させるための操作ワイヤもしくは弾性部材、またはシャフト2の進行をガイドするガイドワイヤを収容する収容部材として機能してもよい。
【0037】
図2~
図3に示すように仕切部材60は遠位端61と近位端62を有している。仕切部材60の形状は特に限定されないが、シャフト2の長手軸方向xに延在している長尺な部材であることが好ましい。仕切部材60は全体として、例えば、筒形状、板形状、板の一部が曲げられた形状、コイル形状、長手方向とこれに直交する幅方向を有し長手方向の位置によって幅の大きさが異なっている形状(例えばフィッシュボーン形状)、またはこれらを組み合わせた形状を有していてもよい。
図2~
図7では仕切部材60が細長い板形状である例を示している。
【0038】
仕切部材60はシャフト2の長手軸方向xの一部にのみ配されていることが好ましい。また、仕切部材60はシャフト2の長手軸方向xの全体に配されていないことが好ましい。
【0039】
仕切部材60の遠位端61はシャフト2の遠位端と一致していてもよい。また、
図2のように仕切部材60の遠位端61はシャフト2の遠位端よりも近位側に位置していてもよく、最遠位の側孔(
図2では第1側孔11)の遠位端よりも遠位側に位置していてもよい。また、仕切部材60は、先端チップ72の内部に配置されていてもよい。
【0040】
図3に示すように、仕切部材60の近位端62は、最近位の側孔の近位端よりも近位側に位置していてもよい。仕切部材60の近位端62は、シャフト2の近位端よりも遠位側に位置していてもよい。また、仕切部材60がシャフト2の近位端から延出しており、仕切部材60の近位端62がシャフト2の近位端よりも近位側に位置していてもよい。その場合、仕切部材60の一部がハンドル70の内部に配置されることとなる。
【0041】
仕切部材60はシャフト2の湾曲に伴って湾曲することが好ましい。このため、仕切部材60は可撓性を有していることが好ましい。また、仕切部材60は弾性を有していてもよい。仕切部材60は、シャフト2の好ましい構成材料として挙げた材料から構成することができる。仕切部材60の構成材料は、シャフト2の構成材料と同じであってもよく異なっていてもよい。
【0042】
仕切部材60はシャフト2の長手軸の中心側からシャフト2の内壁5側に向かって延在している少なくとも1つの仕切り部63を有していることが好ましい。この構成により、シャフト2のプロファイルの増加を防ぎながら、各内腔領域が適度な大きさになるように内腔20を仕切ることができる。
【0043】
シャフト2の長手軸方向xに垂直な断面において、仕切り部63は直線状に延在していてもよく、曲線状に延在していてもよい。また、シャフト2の長手軸方向xに垂直な断面において、仕切り部63はシャフト2の周方向pに曲がるように延在していてもよい。例えば、シャフト2の長手軸中心側からシャフト2の内壁5側にかけて周方向pにおける仕切り部63の位置が変わるように延在していてもよい。
【0044】
少なくとも1つの仕切り部63は、シャフト2の径方向に延在していることが好ましい。この構成により、シャフト2のプロファイルの増加を防ぎながら、各内腔領域が適度な大きさになるように内腔20を仕切ることができる。例えば
図4では仕切り部63がシャフト2の径方向に延在している。仕切り部63がシャフト2の長手軸の中心を通るようにシャフト2内に仕切部材60が配置されている。
【0045】
図2~
図3および
図5~
図7に示すように、少なくとも1つの仕切り部63は、シャフト2の長手軸方向xに延在していることが好ましい。これにより、シャフト2の長手軸方向xの広範囲で導線間の短絡を防ぎやすくなる。
【0046】
仕切り部63は、シャフト2の長手軸の中心側からシャフト2の内壁5側に向かって突出するように延在している凸部であることが好ましい。凸部は、突起でもよく、シャフト2の長手軸方向xに延在している突条でもよい。
【0047】
シャフト2の長手軸方向xに垂直な断面において、仕切り部63は、シャフト2の内壁5側に向かって先細りとなる形状を有していてもよい。
【0048】
少なくとも1つの仕切り部63は、仕切部材60の少なくとも一部を構成していればよい。また、少なくとも1つの仕切り部63が、仕切部材60の全体を構成していてもよい。この構成により、シャフト2内のスペースを有効活用することができる。例えば
図2~
図4では仕切部材60が長尺な平板形状の1つの仕切り部63を有している。仕切部材60を内腔20に配置することで、仕切り部63を挟んだ一方側を第1内腔領域21に、仕切り部63を挟んだ他方側を第2内腔領域22に分けることができる。
【0049】
少なくとも1つの板形状の仕切り部63を組み合わせることによって仕切部材60が構成されていてもよい。仕切部材60の仕切り部63の厚さは
図4のように一定であってもよく、
図8のようにシャフト2の長手軸の中心側からシャフト2の内壁5側にかけて薄くなっている部分を有していてもよい。また全ての仕切り部63がシャフト2の内壁5側に向かって薄くなっていてもよい。複数の仕切り部63のうち少なくとも1つの厚さが一定であり、残りがシャフト2の内壁5側に向かって薄くなっている部分を有していてもよい。
【0050】
仕切り部63はシャフト2の長手軸方向xの一部にのみ配されていることが好ましい。また、仕切り部63はシャフト2の長手軸方向xの全体に配されていないことが好ましい。
【0051】
仕切部材60の長手軸方向の一部にのみ仕切り部63が配されていてもよく、仕切部材60の長手軸方向の全体に仕切り部63が配されていてもよい。
【0052】
仕切り部63の少なくとも一部が、最近位の側孔よりも近位側に配されていることが好ましい。例えば
図3では仕切り部63が最近位の側孔よりも近位側の位置まで存在している。これによりシャフト2の近位部での導線間の短絡を防ぐことができる。なお、仕切り部63の近位端が、最近位の側孔の近位端よりも遠位側に位置していてもよい。
【0053】
仕切り部63の少なくとも一部が、最近位の側孔よりも遠位側に配されていてもよく、最遠位の側孔よりも遠位側に配されていてもよい。例えば
図2では仕切り部63の遠位端が最遠位の第1側孔11の遠位端より遠位側にある。この構成によりシャフト2の広範囲で導線間の短絡を防ぐことができる。
【0054】
シャフト2の近位端側に近いほどシャフト2内に存在する導線の数が増えるため、仕切り部63はシャフト2の近位部に配されていることが好ましい。なお、仕切り部63は、最近位の側孔の近位端よりも遠位側に配されていなくてもよい。また、カテーテル1が第1電極31と第2電極32以外に一または複数の電極を有している場合、仕切り部63は、第1電極31と同じ極性の電圧が印加される電極の内側にある側孔の近位端よりも遠位側に配されていなくもよい。
【0055】
少なくとも1つの仕切り部63は、複数の仕切り部63を有していてもよい。この構成によりシャフト2の内腔20を複数の内腔領域に仕切りやすくなる。シャフト2の内腔20に配される仕切り部63の数は、1以上であればよく、2以上であることが好ましく、3以上、4以上であってもよく、また8以下、7以下とすることも許容される。
【0056】
複数の仕切り部63は、シャフト2の周方向pに並んでいることが好ましい。この構成によりシャフト2の内腔20を複数の内腔領域に仕切りやすくなる。複数の仕切り部63は、シャフト2の周方向pで等間隔に並んでいてもよい。例えば
図8では周方向pにおいて2つの仕切り部63の中心が180°ずれた位置にあり、
図9では3つの仕切り部63の中心が120°ずれた位置にあり、
図10では4つの仕切り部63の中心が90°ずれた位置にある。
【0057】
複数の仕切り部63は、シャフト2の遠位端側から近位端側に向かって周回するように並んでいてもよい。例えば、複数の仕切り部63がらせん状に配されていてもよい。この場合、各内腔領域もらせん状に延在する。
【0058】
シャフト2の長手軸方向xから見て、複数の仕切り部63は回転対称の形状を有していてもよく、シャフト2の長手軸の中心を通る直線に対して線対称の形状を有していてもよい。複数の仕切り部63はそれぞれ同じ形状を有していてもよく互いに異なる形状を有していてもよい。
【0059】
仕切部材60が複数の仕切り部63が有している場合、少なくとも1つの仕切り部63が、最遠位の側孔の遠位端の位置から最近位の側孔の近位端の位置まで延在していることが好ましい。また、全ての仕切り部63が、最遠位の側孔の遠位端の位置から最近位の側孔の近位端の位置まで延在していることがより好ましい。
【0060】
仕切部材60は、シャフト2の長手軸方向xに延在している筒状部65を有し、筒状部65の外周に複数の仕切り部63が配されていることが好ましい。
図10では、筒状部65の周りに4つの仕切り部631~634が配されている。各仕切り部は長手軸方向xに延在している突条である。この構成により、筒状部65の内腔66にガイドワイヤなどの部材を通すことができ、かつ仕切り部631~634によって第1導線41と第2導線42が接触しにくくなる。
【0061】
仕切部材60によって形成される内腔領域の数は2以上であればよく、3以上、4以上であってもよく、8以下、7以下であってもよい。複数の内腔領域はシャフト2の周方向pに並んでいることが好ましい。複数の内腔領域は貫通口64を介して連通していることが好ましい。
【0062】
仕切部材60が、シャフト2の内腔20を少なくとも第1内腔領域21と第2内腔領域22と第3内腔領域23とに仕切るものである場合、第1内腔領域21には第1導線41が配され、第2内腔領域22には第2導線42が配され、第3内腔領域23にはいかなる導線も配置されないことが好ましい。これにより、第3内腔領域23には第1導線41および第2導線42とは別の部材を配置することができる。
図9では、仕切部材60が仕切り部631,632,633を有している。各仕切り部はそれぞれ複数の貫通口64を有している。仕切り部631が内腔20を第1内腔領域21と第2内腔領域22に仕切っており、仕切り部632が内腔20を第2内腔領域22と第3内腔領域23に仕切っており、仕切り部633が内腔20を第3内腔領域23と第1内腔領域21に仕切っている。
【0063】
シャフト2の周方向pにおいて、第1内腔領域21と第2内腔領域22と第3内腔領域23がこの順に配されていることが好ましい。仕切り部63で第3内腔領域23を形成することで第1導線41が第2内腔領域22へ、または第2導線42が第1内腔領域21へより一層移動しにくくなる。
【0064】
仕切部材60が、シャフト2の内腔20を少なくとも第1内腔領域21と第2内腔領域22と第3内腔領域23と第4内腔領域24とに仕切るものであってもよい。その場合、シャフト2の周方向pにおいて第1内腔領域21、第3内腔領域23、第2内腔領域22、第4内腔領域24はこの順に配されており、第3内腔領域23と第4内腔領域24にはいかなる導線も配置されないことが好ましい。第3内腔領域23と第4内腔領域24によって、第1内腔領域21と第2内腔領域22を離すことができるため、第1導線41と第2導線42が接触しにくくなる。また、第3内腔領域23と第4内腔領域24には導線とは別の部材を配置することもできる。
図10では、仕切部材60が有している仕切り部631~634によって、内腔20が第1内腔領域21~第4内腔領域24の4つに仕切られている。
【0065】
仕切部材60には少なくとも1つの貫通口64が設けられる。貫通口64は、仕切部材60の一部を突き抜けるように形成されている。貫通口64はその開口縁が閉じていることが好ましい。貫通口64は仕切部材60の外縁よりも内側に配されていることが好ましい。貫通口64に加えて、仕切部材60はその外縁の一部が切り欠かれた切り欠き部を有していてもよい。切り欠き部によっても第1内腔領域21と第2内腔領域22を連通させることができる。切り欠き部としては例えばスリットが挙げられる。
【0066】
1つの仕切部材60に配される貫通口64の数は特に限定されないが、2個以上、5個以上、10個以上あってもよく、50個以下、40個以下、30個以下であってもよい。
【0067】
貫通口64の大きさは特に限定されないが、導線が貫通口64を通過しないようにするためには、貫通口64の外径または短手方向の長さが第1導線41および第2導線42の直径よりも小さいことが好ましい。なお、貫通口64の外径、長手方向の長さ、または短手方向の長さが第1導線41および第2導線42の直径よりも大きくてもよい。
【0068】
図4および
図8~
図10に示すように、仕切部材60がシャフト2の長手軸の中心側からシャフト2の内壁5側に向かって延在している少なくとも1つの仕切り部63を有し、少なくとも1つの仕切り部63に少なくとも1つの貫通口64が配されていることが好ましい。このように仕切り部63に貫通口64を設けることで、貫通口64を介して第1内腔領域21と第2内腔領域22が連通しやすくなる。
【0069】
図8~
図10のように仕切部材60が複数の仕切り部63を有し、複数の仕切り部63のそれぞれに少なくとも1つの貫通口64が配されていることがより好ましい。これによりシャフト2内に形成される全ての内腔領域を連通させることができるため、内腔20の広範囲に滅菌用のガス等の流体を行き渡らせやすくなる。
【0070】
仕切部材60が複数の仕切り部63を有している場合、複数の仕切り部63のうち少なくとも1つに貫通口64が配され、残りの仕切り部63には貫通口が配されていなくてもよい。
【0071】
仕切部材60が筒状部65と、筒状部65の外周に配されている少なくとも1つの仕切り部63とを有している場合、貫通口64が少なくとも1つの仕切り部63に配され、筒状部65には配されていなくてもよい。また、仕切部材60が筒状部65と、筒状部65の外周に配されている少なくとも1つの仕切り部63とを有している場合、貫通口64が筒状部65に配され、仕切り部63には配されていなくてもよい。
【0072】
仕切部材60が筒状部65と、筒状部65の外周に配されている少なくとも1つの仕切り部63とを有している場合、貫通口64が筒状部65と少なくとも1つの仕切り部63の両方に配されていることが好ましい。これにより仕切り部63によって形成される内腔領域間だけでなく、筒状部65の内腔66も各内腔領域と連通しやすくなり、シャフト2の内腔20に滅菌用ガス等の流体をより一層行き渡らせやすくなる。
【0073】
貫通口64による仕切部材60の貫通方向は特に限定されないが、少なくとも1つの貫通口64はシャフト2の長手軸方向xに垂直な方向に仕切部材60を貫通していることが好ましい。この構成により、貫通口64の形成が行いやすくなる。
【0074】
仕切り部63が板形状、または壁形状である場合、貫通口64はその仕切り部63の厚さ方向に貫通しているものでもよい。
【0075】
貫通口64の形状は特に限定されず、例えば円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせとすることができる。貫通口64の形状は、帯状または線状であってもよい。貫通口64は長手方向と短手方向を有していてもよい。仕切部材60が複数の貫通口64を有している場合、複数の貫通口64の形状はそれぞれ同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0076】
図5~
図7に示すように、少なくとも1つの貫通口64は、シャフト2の径方向に延在していることが好ましい。導線は概ねシャフト2の長手軸方向xに延在するため、このように貫通口64を延在させることで例えば第1内腔領域21にある第1導線41の一部が貫通口64を通じて第2内腔領域22にはみ出すことを防ぐことができる。
【0077】
図5~
図7に示すように、少なくとも1つの貫通口64は、シャフト2の長手軸方向xに延在していることが好ましい。このように貫通口64を延在させることによって、貫通口64を広範囲に形成しやすくなり、内腔領域同士が連通しやすくなる。
【0078】
貫通口64は、シャフト2の径方向における長さと長手軸方向xにおける長さの差が±5%以内であってもよい。
図5では貫通口64のシャフトの径方向における長さと長手軸方向xにおける長さが同じである例を示している。
図6に示すように、貫通口64は、シャフト2の径方向における長さが、シャフト2の長手軸方向xにおける長さより長くてもよい。また、
図7に示すように、貫通口64は、シャフト2の長手軸方向xにおける長さが、シャフト2の径方向における長さより長くてもよい。
【0079】
貫通口64のシャフト2の径方向における長さは、第1導線41の直径よりも短くかつ第2導線42の直径よりも短いことが好ましい。これにより、貫通口64から第1導線41や第2導線42が他の内腔領域にはみ出にくくなる。なお、貫通口64のシャフト2の径方向における長さは、第1導線41の直径および第2導線42の直径よりも長くてもよい。
【0080】
以下では複数の貫通口64の配置例について説明する。
図5~
図7に示すように、複数の貫通口64は、シャフト2の長手軸方向xに並んでいることが好ましい。この構成により、長手軸方向xの広範囲で第1内腔領域21と第2内腔領域22を連通させやすくなる。
【0081】
図5および
図7に示すように、複数の貫通口64は、シャフト2の径方向に並んでいることが好ましい。この構成により、シャフト2の径方向の広範囲で第1内腔領域21と第2内腔領域22を連通させやすくなる。
【0082】
長手軸方向xにおいて、隣り合う2つの貫通口64間の距離はその2つの貫通口64の各長さよりも長いことが好ましい。これにより、貫通口64から第1導線41や第2導線42が他の内腔領域にはみ出にくくなる。なお、長手軸方向xにおいて、隣り合う2つの貫通口64間の距離はその2つの貫通口64の各長さより短くてもよい。
【0083】
シャフト2の径方向において、隣り合う2つの貫通口64間の距離はその2つの貫通口64の各長さよりも長いことが好ましい。これにより、貫通口64から第1導線41や第2導線42が他の内腔領域にはみ出にくくなる。なお、シャフト2の径方向において、隣り合う2つの貫通口64間の距離はその2つの貫通口64の各長さより短くてもよい。
【0084】
シャフト2の径方向において隣り合う2つの貫通口64間の距離は、第1導線41の直径より長く、かつ第2導線42の直径よりも長いことが好ましい。
【0085】
仕切部材60はシャフト2に対して移動可能であってもよい。仕切部材60が移動できることで導線が適度に移動しやすくなるため、シャフト2や仕切部材60の湾曲による導線の突っ張りを防ぐことができる。仕切部材60は、シャフト2に対して長手軸方向xにスライド可能であってもよく、仕切部材60はシャフト2に対して回転可能であってもよい。
【0086】
仕切部材60がシャフト2の長手軸周りに回転するように内腔20に配されていてもよい。但し、シャフト2内で第1導線41と第2導線42が一定の範囲でのみ移動可能なように、シャフト2に対する仕切部材60の回転範囲は90°以下であることが好ましく、60°以下がより好ましく、45°以下がさらに好ましい。なお、シャフト2に対する仕切部材60の回転範囲は5°以上、10°以上または20°以上であってもよい。
【0087】
仕切部材60は、シャフト2に対して移動可能に固定されていてもよい。仕切部材60は、シャフト2に対して回転可能に固定されていてもよい。例えば、仕切部材60が係合部を有し、シャフト2が係合部と係合する被係合部を有していてもよい。
【0088】
仕切部材60の過度な位置ずれによる導線の潰れを生じにくくするために、仕切部材60はシャフト2に対して長手軸方向xにスライドしないようにシャフト2に固定されていてもよい。同様の趣旨から、仕切部材60がシャフト2に対して回転しないように仕切部材60がシャフト2に固定されていてもよい。
【0089】
少なくとも1つの仕切り部63がシャフト2に接触していてもよい。例えば、少なくとも1つの仕切り部63がシャフト2の内壁5に固定されていてもよい。シャフト2に対して仕切部材60が動きにくくなるため、カテーテル1の使用中に各内腔領域の大きさが維持され、その結果第1導線41や第2導線42の潰れが生じにくくなる。例えば
図4、
図8~
図10では、仕切部材60が仕切り部63を有しており、シャフト2の径方向における仕切り部63の外方端がシャフト2の内壁5に固定されている。
【0090】
仕切部材60が有する複数の仕切り部63のうち少なくとも1つがシャフト2の内壁5に固定され、残りの仕切り部63が内壁5に固定されていなくてもよい。シャフト2の内壁5に固定されている仕切り部63は、その長手軸方向の一部のみがシャフト2に固定されていてもよく、長手軸方向の全体がシャフト2に固定されていてもよい。なお、仕切部材60の全ての仕切り部63がシャフト2の内壁5に固定されていてもよい。
【0091】
シャフト2は、その内壁5と仕切部材60の間に間隙を有していてもよい。その場合、間隙は、第1導線41の直径よりも小さく、かつ第2導線42の直径よりも小さいことが好ましい。シャフト2と仕切部材60の間に間隙が設けられていることにより、貫通口64に加えて間隙を介して第1内腔領域21と第2内腔領域22が互いに連通するため、シャフト2の内腔20に滅菌用のガス等の流体をより一層行き渡らせやすくなる。また、間隙がこのような大きさに設定されていることにより、間隙を介しての第1導線41の第2内腔領域22への移動や第2導線42の第1内腔領域21への移動を防ぐことができる。例えば
図11では、シャフト2は間隙181,182を有している。間隙181の大きさは、第1導線41の直径よりも小さくかつ第2導線42の直径よりも小さくなっている。また、間隙182の大きさも、第1導線41の直径よりも小さくかつ第2導線42の直径よりも小さくなっている。第1内腔領域21に配置された第1導線41は間隙181,182を通過できないため第2内腔領域22へ移動しにくくなり、第2内腔領域22に配置された第2導線42もまた間隙181,182を通過できないため第1内腔領域21へ移動しにくくなる。
【0092】
図11~
図12のようにシャフト2の内壁5と仕切部材60との間には複数の間隙が存在していてもよい。その場合、複数の間隙のうちの少なくとも1つの間隙の大きさが、第1導線41の直径よりも小さく、かつ第2導線42の直径よりも小さいことが好ましく、最も大きい間隙の大きさが第1導線41の直径よりも小さく、かつ第2導線42の直径よりも小さいことがより好ましい。
【0093】
図12のように周方向pにおいて隣り合う2つの内腔領域の間に、カテーテル1が有する全ての導線の直径よりも小さい間隙が配されていることが好ましい。このように間隙が形成されるように仕切部材60を設けることで、異なる極性の電圧が印加される電極に接続されている導線間の短絡を防ぐことができる。
【0094】
仕切り部63とシャフト2の内壁5との間隙が第1導線41の直径よりも小さく、かつ第2導線42の直径よりも小さくなっていることが好ましい。また、全ての仕切り部63とシャフト2の内壁5との間隙がそれぞれ全ての導線の直径より小さいことがより好ましい。
【0095】
図12のようにシャフト2の径方向における仕切り部63の外方端とシャフト2の内壁5との間隙が第1導線41の直径よりも小さく、かつ第2導線42の直径よりも小さいことが好ましい。また、仕切部材60が有する全ての仕切り部63について、シャフト2の径方向における仕切り部63の外方端とシャフト2の内壁5との間隙がそれぞれ全ての導線の直径より小さいことがより好ましい。
【0096】
図11に示すように複数の仕切り部63のうちの少なくとも1つがシャフト2の長手軸方向xに延在し、その少なくとも1つの仕切り部63は長手軸方向xの一部でシャフト2の内壁5と接触していないことが好ましい。この構成により、シャフト2の内壁5と接触していない部分ではシャフト2の内壁5と仕切り部63との間に間隙を形成することができる。
【0097】
全ての仕切り部63がそれぞれ長手軸方向xの一部がシャフト2の内壁5と接触しており、残りの部分がシャフト2の内壁5と接触していなくてもよい。この構成により、第1内腔領域21と第2内腔領域22をより一層連通させやすくなる。
【0098】
カテーテル1を用いて除細動を行ってもよい。除細動を行うときには、第2電極32には、第1電極31とは異なる極性の電圧が印加されることが好ましい。仕切部材60によって第1導線41と第2導線42が接触しにくくなり、第1電極31と第2電極32に対して異なる極性の電圧を印加しても第1導線41と第2導線42の短絡を防ぐことができる。
【0099】
カテーテル1が第1電極31と第2電極32以外に一または複数の電極を有している場合、第1電極31と同じ極性の電圧が印加される電極に接続されている導線が第1内腔領域21に配され、第2電極32と同じ極性の電圧が印加される電極に接続されている導線が第2内腔領域22に配されることが好ましい。これにより導線間の短絡を防ぐことができる。第1内腔領域21および第2内腔領域22にはそれぞれ複数の導線が配されていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1:カテーテル
2:シャフト
5:内壁
11:第1側孔、12:第2側孔
181、182:間隙
20:内腔
21:第1内腔領域、22:第2内腔領域、23:第3内腔領域、24:第4内腔領域
31:第1電極、32:第2電極
41:第1導線、42:第2導線
60:仕切部材
63:仕切り部
64:貫通口
65:筒状部