(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】光散乱感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240917BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240917BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20240917BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20240917BHJP
C08F 290/12 20060101ALI20240917BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 501
G03F7/038 501
G03F7/031
C08F290/12
C08F2/50
(21)【出願番号】P 2021035126
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0031598
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アン,キフン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンシク
(72)【発明者】
【氏名】パク,スルギ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ゼ ウル
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-537064(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0023965(KR,A)
【文献】特表2020-501176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/038
G03F 7/031
C08F 290/12
C08F 2/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光散乱画素層を形成するための感光性樹脂組成物であって、
当該感光性樹脂組成物は、散乱粒子、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び溶剤を含み、
前記アルカリ可溶性樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有し、前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有する繰り返し単位が前記アルカリ可溶性樹脂を構成する繰り返し単位の全体100モル%に対し、
15~
45モル%の量で含まれたものであり、
前記光重合開始剤は、360nm以下の波長で最大吸収波長(λmax)を有するものであり、
当該感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層は表面粗さが50Å以上である、感光性樹脂組成物(ただし、感光性樹脂組成物が量子ドットを含む場合を除く)。
【請求項2】
当該感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層は、10μm厚さを基準に光源に対して輝度が60%以上である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記光源は青色光源である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記青色光源の波長は380nm~530nmの範囲である、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記散乱粒子は下記の数学式1を満たす、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【数1】
【請求項6】
前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有する繰り返し単位は、下記の化学式1で表される繰り返し単位である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】
前記式中、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層。
【請求項8】
請求項
7に記載の光散乱画素層を含むカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項
8に記載のカラーフィルタが備えられたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光散乱感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置に係り、より詳しくは、バックライトユニットまたは量子ドット画素層から流入される光の輝度を上昇させることができる光散乱感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、撮像素子や液晶表示装置(LCD)などで広く使用されるものであって、その応用範囲が拡大しつつある。
【0003】
近年、カラーフィルタを具現する方法の一つとして、顔料分散型の感光性樹脂を用いた顔料分散法が適用されている。しかし、このような顔料分散法では、光源から照射された光がカラーフィルタを透過する過程で光の一部がカラーフィルタに吸収されることで光効率が低下し、また、カラーフィルタに含まれている顔料の特性によって色再現性が低下するという問題点が生じている。
【0004】
こうした問題を解決することができる方案として、量子ドットを用いたカラーフィルタが提示された。例えば、大韓民国特許公開第10-2009-0036373号では、既存のカラーフィルタを量子ドット蛍光体からなる発光層に置き換えることで発光効率を向上させ、表示装置の表示品質を改善することができることを開示している。
【0005】
しかし、量子ドットを含むカラーフィルタの場合、量子ドットの効率、特に青色量子ドットの効率の低下に伴いカラーフィルタの性能がやや低下することがあり、且つ青色量子ドットの場合、高価であるため全体的な製造コストがアップするという問題点がある。
【0006】
そのため、青色光を放出する光源を使用し、赤量子ドット粒子を含有した赤色パターン層、及び緑量子ドット粒子を含有した緑色パターン層を備え、青色パターン層に対応する位置には量子ドット粒子を含有しない青色画素層を備えて、赤量子ドット粒子は赤色光を、緑量子ドット粒子は緑色光を放出し、青色画素層は青色光が素通しして青色を呈するカラーフィルタが提示された。
【0007】
ところが、青色の場合、直光が発生して色混合の際に鮮明な混合が難しくなる。こうした問題点を解決するために、青色画素層に散乱目的の散乱層を導入する技術が開発されている。しかし、散乱層を導入すると輝度低下の問題が生じる。そのため、青色画素の効率を改善させるための感光性樹脂組成物の開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、散乱層の導入による輝度低下の問題を改善することができる光散乱感光性樹脂組成物を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層を提供することである。
【0010】
本発明のまた他の目的は、前記光散乱画素層を含むカラーフィルタを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、前記カラーフィルタを備えた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一方、本発明は、
光散乱画素層を形成するための感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物は、散乱粒子、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び溶剤を含み、
前記感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層は、表面粗さが50Å以上である感光性樹脂組成物を提供する。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層は、10μm厚さを基準に光源に対して輝度が60%以上であってよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記光源は青色光源であってよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記青色光源の波長は、380nm~530nmの範囲であってよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記散乱粒子は、下記の数学式1を満たすものであってよい。
【0017】
【0018】
本発明の一実施形態において、前記アルカリ可溶性樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有し、前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有する繰り返し単位が前記アルカリ可溶性樹脂を構成する繰り返し単位の全体100モル%に対し、10~50モル%の量で含まれたものであってよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有する繰り返し単位は、下記の化学式1で表される繰り返し単位であってよい。
【0020】
【0021】
前記式中、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記光重合開始剤は、360nm以下の波長で最大吸収波長(λmax)を有してよい。
【0023】
他の一方で、本発明は、前記感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層を提供する。
【0024】
また他の一方で、本発明は、前記光散乱画素層を含むカラーフィルタを提供する。
【0025】
また他の一方で、本発明は、前記カラーフィルタが備えられたことを特徴とする画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、光散乱画素層の表面粗さを50Å以上に制御することで光散乱画素層の輝度を上昇させることができる。また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、輝度を上昇させることができるため、散乱粒子の含量の調節が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0028】
本発明の一実施形態は、散乱粒子(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、及び溶剤(E)を含む光散乱画素層を形成するための感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層は表面粗さが50Å以上である感光性樹脂組成物に関する。
【0029】
前記表面粗さは、算術平均粗さであるRaを意味する。本発明において、前記光散乱画素層の表面粗さを測定する方法は特に制限されず、例えば、後述する実験例に提示された方法で測定してよい。
【0030】
本発明の一実施形態では、前記光散乱画素層の表面粗さを50Å以上、例えば、50Å~300Åの範囲に調節することで、バックライトユニットから流入される光の全反射を改善して輝度を上昇させることができる。前記光散乱画素層の表面粗さが50Å未満である場合は、光散乱画素層の輝度が低下することがある。
【0031】
前記光散乱画素層の表面粗さは、後述する感光性樹脂組成物に含まれる成分の種類や組成などを適宜変更することで調節することができる。
【0032】
前記感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層は、10μm厚さを基準に光源に対して輝度が60%以上確保されることを特徴とする。
【0033】
前記光源は青色光源であってよく、前記青色光源の波長は、380nm~530nmの範囲であってよい。
【0034】
前記輝度が60%以上であることで光散乱画素層と赤色画素層及び/又は緑色画素層の色混合バランスの調節に有利となる。
【0035】
散乱粒子(A)
本発明の一実施形態において、前記散乱粒子は、光源から放出された光の経路を増加させて全体的な光効率を高める役割をする。
【0036】
前記散乱粒子を含む本発明の感光性樹脂組成物は、青色光源によって青色画素の役割をするうえで好適に用いられ得るものであって、前記散乱粒子以外の着色剤を含む場合、光源から発生する青色光の透過効率が低下する問題点が生じることがある。そのため、本発明に係る感光性樹脂組成物は、散乱粒子以外の着色剤は含まないことが好ましい。
本発明において、前記散乱粒子は金属酸化物を含む。
【0037】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、In、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上の金属の酸化物を含んでよい。
【0038】
例えば、前記金属酸化物は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、MgO、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上を含んでよく、必要に応じてアクリレートのような不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も用いてよい。
【0039】
前記散乱粒子は、下記の数学式1を満たすものであってよい。
【0040】
【0041】
すなわち、粒径が100nm以上の散乱粒子の含量が、粒径が100nm未満の散乱粒子の含量と同一か、それより多くてよい。前記散乱粒子を構成する粒径が100nm以上の散乱粒子の含量と粒径が100nm未満の散乱粒子の含量とが前記数学式1を満たすことによって散乱効果が増大し、青色画素層の役割を遂行するうえで有利となる。
【0042】
前記散乱粒子は、カラーフィルタの発光強さが極大化できるように平均粒径及び組成物全体の中での含量が限定されてよい。
【0043】
本発明において、「平均粒径」とは、数平均粒径のことであってよく、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した像から求めることができる。具体的に、FE-SEM又はTEMの観察画像から幾つかのサンプルを抽出し、これらのサンプルの径を測定して算術平均した値から得ることができる。
【0044】
例えば、本発明の散乱粒子に含まれた前記金属酸化物は、平均粒径が30~500nm、好ましくは、30~300nmの範囲であってよい。前記金属酸化物の平均粒径が前記範囲を満たす場合、散乱効果が増大して、前記散乱粒子を含む感光性樹脂組成物が青色光源によって青色画素の役割を遂行することができるため好ましい。また、組成物中に沈む現像を抑えて均一な品質の表面を得ることができるため、前記範囲内で平均粒径を適宜調節して用いればよい。
【0045】
前記散乱粒子は、前記感光性樹脂組成物中の固形分全体100重量%に対し、0.1~50重量%の範囲で含まれてよく、好ましくは、0.5~30重量%の範囲で含まれてよく、より好ましくは、0.5~20重量%の範囲で含まれてよい。前記散乱粒子が前記範囲内で含まれると、優れた発光強さを有する散乱ピクセルの製造が可能になるという利点がある。具体的に、前記散乱粒子が前記範囲内で含まれると、得ようとする発光強さの確保が容易になり、且つ組成物の安定性低下を抑制することができるという利点がある。
一方、本発明の感光性樹脂組成物は硬化時に青色光源によって青色画素の役割を遂行するのに用いられ得るものであり、前記散乱粒子以外の着色剤を含む場合、光源から発光する青色光の透過効率が低下するという問題点が生じることがある。
【0046】
そのため、本発明では散乱粒子以外の着色剤は含まないことを特徴とする。
【0047】
アルカリ可溶性樹脂(B)
前記アルカリ可溶性樹脂は、光や熱の作用による反応性及びアルカリ溶解性を有し、散乱粒子をはじめとした固形分の分散媒として作用し、結着樹脂の機能を遂行する。
【0048】
具体的に、前記アルカリ可溶性樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有し、前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有する繰り返し単位が、前記アルカリ可溶性樹脂を構成する繰り返し単位の全体100モル%に対し、10~50モル%の量で含まれることが光散乱画素層の表面粗さの制御の面から好ましい。
【0049】
前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有する繰り返し単位が、前記アルカリ可溶性樹脂を構成する繰り返し単位の全体100モル%に対し、10モル%未満の量で含まれると、パターン断面のテーパー角度(taper angle)が不良になることがあり、また、50モル%超の量で含まれれると、リフロー(reflow)特性が上がって残渣及びテーパー・ドラッギング(taper dragging)が生じることがあり、且つ光散乱画素層の輝度が低下することがある。
【0050】
前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有する繰り返し単位は、下記の化学式1で表される繰り返し単位であってよい。
【0051】
【0052】
前記式中、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。
【0053】
前記グリシジル(メタ)アクリレート由来の置換基を有するアルカリ可溶性樹脂は、不飽和カルボキシル基含有単量体及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られてよい。
【0054】
前記不飽和カルボキシル基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの分子中に2個以上のカルボキシル基を有する不飽和多価カルボン酸などが挙げられる。
【0055】
前記不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、桂皮酸などが挙げられる。
【0056】
前記不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。
【0057】
前記不飽和多価カルボン酸は酸無水物であってもよく、具体的には、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、前記不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-(メタ)アクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などが挙げられる。前記不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0058】
前記カルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いていてよい。
【0059】
前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;及びポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基又はモノメタクリロイル基を有する巨大単量体などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いてよい。
【0060】
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、20~200(KOHmg/g)の範囲が好ましい。酸価が前記範囲内であると、現像液中への溶解性が向上し、非-露出部が溶解し易くなり且つ感度が増加して、結果的に露出部のパターンが現像時に残って残膜率(film remaining ratio)を改善することから好ましい。ここで酸価とは、重合体1gを中和するのに要する水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することで求めることができる。
【0061】
また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;テトラヒドロフランを溶離液とする)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、略して「重量平均分子量」という)が3,000~200,000、好ましくは、5,000~100,000の範囲であるアルカリ可溶性樹脂が好ましい。分子量が前記範囲内であると、コーティングフィルムの硬度が向上して、残膜率が高く、現像液中の非-露出部の溶解性に優れ且つ解像度が向上する傾向があることから好ましい。
【0062】
前記アルカリ可溶性樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は1.5~6.0の範囲が好ましく、1.8~4.0の範囲がより好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が1.5~6.0の範囲内であると、現像性に優れることから好ましい。
【0063】
前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、感光性樹脂組成物中の固形分全体100重量%に対し、通常5~85重量%、好ましくは、10~80重量%、より好ましくは、50~75重量%の範囲で含まれてよい。アルカリ可溶性樹脂(B)が前記範囲内で含まれると、現像液に対する溶解性が十分になって非画素部分の基板上に現像残渣が生じ難く、且つ現像時に露光部の画素部分の膜減少が生じ難くて非画素部分の漏れ性が良好になる傾向があることから好ましい。
【0064】
光重合性化合物(C)
本発明の感光性樹脂組成物に含有される光重合性化合物は、光及び後述する光重合開始剤の作用で重合することができる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0065】
前記単官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0066】
前記2官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0067】
前記多官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレイテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシレイテッドジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテッドジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0068】
前記光重合性化合物の市販される例としては、ミウォンスペシャリティケミカル社製のMiramer M600などがあるが、これに限定されるものではない。
【0069】
前記光重合性化合物は、感光性樹脂組成物中の固形分全100重量%に対し、5~60重量%、好ましくは、10~50重量%の範囲で含まれてよく、前記範囲内で含まれると、画素部の強度や平滑性の面で好ましいという利点がある。
【0070】
前記光重合性化合物が前記範囲未満で含まれると、塗膜の強度がやや低下することがあり、また、前記光重合性化合物が前記範囲を超えて含まれると、平滑性がやや低下することがあることから、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0071】
光重合開始剤(D)
本発明の一実施形態において、前記光重合開始剤としては、感光性樹脂組成物に一般的に用いられる光重合開始剤を用いてよい。
【0072】
例えば、前記光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、チオキサントン系、オキシム系、ベンゾイン系、ビイミダゾール系化合物などを用いてよい。
【0073】
アセトフェノン系化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オンのオリゴマーなどが挙げられ、これらのうち、好ましくは、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オンを用いてよい。
【0074】
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0075】
トリアジン系化合物としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト 1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト 1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジンなどが挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0076】
オキシム系化合物としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられ、市販品として、BASF社製のIrgacure OXE 01、OXE 02が代表的なものである。
ベンゾイン系化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタルなどが挙げられる。
【0077】
ビイミダゾール系化合物としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、4,4’,5,5’位のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。
【0078】
特に、光散乱画素層の表面粗さの制御の面から、360nm以下の波長で最大吸収波長(λmax)を有することが好ましい。
【0079】
具体的に、最大吸収波長(λmax)値が360nm以下の光重合開始剤の例としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-、2-(o-ベンゾイルオキシム)(市販名:Irgacure OXE-01)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(市販名:Irgacure 369)などが挙げられる。
【0080】
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物中の固形分100重量%に対し、0.01~10重量%、好ましくは、0.01~5重量%の範囲で用いてよい。このような含量範囲は、光重合性化合物の光重合速度及び最終得られる塗膜の物性を考慮したうえである。前記光重合開始剤の含量が前記範囲未満であると、重合速度が低いため全体的な工程時間が長引くことがあり、反対に前記範囲を超えると、過度な反応によって架橋反応が過剰となって塗膜の物性が却って低下することがあることから、前記範囲内で適宜用いる。
【0081】
また、光重合開始剤と共に光重合開始補助剤を用いてよいが、前記光重合開始剤と共に光重合開始補助剤を用いると、感光性樹脂組成物が一層高感度になって生産性が向上するため好ましい。前記光重合開始補助剤として、好ましくは、アミン及びカルボン酸化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いてよい。
【0082】
このような光重合開始補助剤は、光重合開始剤1モル当たりに通常、10モル以下、好ましくは、0.01~5モルの範囲内で用いることが好ましい。前記範囲内で光重合開始補助剤を用いると、重合効率を高めて生産性の向上効果を期待することができる。
【0083】
溶剤(E)
本発明の一実施形態において、前記溶剤(E)は、感光性樹脂組成物が適当な粘性を有し、且つ残りの成分を容易に溶解させ得るものであればその種類は特に制限されず、感光性樹脂組成物の分野で用いられている各種の有機溶剤を用いてよい。
【0084】
その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、及びメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0085】
これらの溶剤のうち、塗布性、乾燥性の面から、好ましくは、沸点が100℃~200℃の有機溶剤を用いてよく、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類を用いてよく、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどを用いてよい。これらの溶剤は、それぞれ単独で又は2種類以上混合して用いてよい。
【0086】
前記溶剤は、感光性樹脂組成物の全体100重量%に対し、通常、50~90重量%、好ましくは、50~85重量%の範囲で含まれてよい。前記溶剤の含有量が前記範囲を満たす場合、ロールコータ、スピンコータ、スリットアンドスピンコータ、スリットコータ(ダイコータとも称することがある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布したときに塗布性が良好になる傾向があるため好ましい。
【0087】
添加剤(F)
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、前記の成分の他、必要に応じて添加剤(F)をさらに含んでよい。
【0088】
前記添加剤(F)の種類はユーザの必要に応じて決められてよく、本発明で特に限定するものではないが、例えば、充填剤、他の高分子化合物、熱硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤などが挙げられる。
【0089】
前記充填剤としては、例えば、ガラス、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
【0090】
前記他の高分子化合物としては、具体的に、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0091】
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などがあり、その他、商品名として、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(POLYFLOW)(共栄社化学(株)製)、エフトップ(EFTOP)((株)トーケムプロダクツ製)、メガファック(MEGAFAC)(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラッド(Flourad)(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード(Asahi guard)、サーフロン(Surflon)(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(SOLSPERSE)(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKAケミカルズ社製)、PB821(味の素(株)製)などが挙げられる。
【0092】
前記密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0093】
前記酸化防止剤としては、具体的に、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールなどが挙げられる。
【0094】
前記凝集防止剤としては、具体的に、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0095】
これらの添加剤のうち含量が例示されていない添加剤の場合、本発明の効果を損なわない範囲内で当業者が適宜追加して用いてよい。例えば、前記添加剤は、感光性樹脂組成物の全体100重量%に対し、0.05~10重量%、好ましくは、0.1~10重量%、より好ましくは、0.1~5重量%の範囲で用いてよいが、これに限定されるものではない。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、前記添加剤は酸化防止剤を含んでよく、このように酸化防止剤をさらに含む場合、硬化物を形成するための工程のうちのポストベークの際の熱による老化を防止する効果を期待することができるという利点がある。
【0097】
前記酸化防止剤は、例えば、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、及びフェノール系酸化防止剤からなる群より選ばれる1種以上を含んでよく、この場合、ディスプレイの製作後に光源によって生じ得る黄変の発生を抑制させることができる。前記酸化防止剤は、フェノール系-リン系化合物、フェノール系-硫黄系化合物、リン系-硫黄系化合物、又はフェノール系-リン系-硫黄系化合物の組み合わせで用いられてもよい。
【0098】
前記フェノール系酸化防止剤の種類は特に制限されないが、具体的な例としては、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエトキシ]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ペンタエリトリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5,-トリメチル-2,4,6,-トリス(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ桂皮酸アミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾール、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル 3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,1,5-トリス(4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及びテトラキス[メチレン-3-(3,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニルプロピオネート)]メタンなどが挙げられる。
【0099】
これらのフェノール系酸化防止剤のうち、耐熱性及び耐熱変色防止の面から、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエトキシ]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5,-トリメチル-2,4,6,-トリス(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリトリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ桂皮酸アミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及び2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾールが好ましい。
【0100】
市販品としては、Irganox 1010(BASF社製)、Sumilizer BBM-S(住友化学社製)、ADK STAB AO-80(ADEKA社製)、Sumilizer GP(住友化学社製)、Irganox 1035(BASF社製)などが挙げられる。
【0101】
前記リン系酸化防止剤の種類は特に制限されないが、具体的な例としては、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルデ-ベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシルオキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’ジイルビスホスホナイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル、ホスホン酸などが挙げられる。
【0102】
これらのリン系酸化防止剤のうち、耐熱性及び耐熱変色防止の面から、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及び6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなどが好ましい。
【0103】
前記硫黄系酸化防止剤の種類は特に制限されないが、具体的な例としては、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル-ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリトリチル-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、2-メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0104】
これらの硫黄系酸化防止剤のうち、耐熱性及び耐熱変色防止の面から、2,2-ビス({[3(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル-ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾールなどが好ましい。
【0105】
前記酸化防止剤は、本発明に係る感光性樹脂組成物中の固形分全体100重量%を基準に、0.1~30重量%、好ましくは、0.5~20重量%の範囲で含まれてよい。前記酸化防止剤の含量が前記範囲を満たす場合、輝度低下の問題の解決の面から有利となる。
本発明の一実施形態は、上述した感光性樹脂組成物から形成される光散乱画素層に関する。
【0106】
また、本発明の一実施形態は、上述した光散乱画素層を含むカラーフィルタに関する。本発明の一実施形態に係るカラーフィルタは、基板上に上述した感光性樹脂組成物を塗布し所定のパターンで露光及び現像して形成される光散乱画素層を含むことを特徴とする。
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法について詳しく説明する。
【0107】
本発明に係る感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する方法は、当該技術分野で公知の方法を用いてよく、通常、塗布段階;露光段階;及び除去段階を含む。本発明に係る感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、光硬化及び現像を行ってパターンを形成することで、光散乱画素層(青色ピクセル用画素層)として用いることができるようになる。前記光散乱画素層は、光源から光が導入しないときは散乱によって白色に見えることがある。
具体的に、前記感光性樹脂組成物を、何も塗布されていないガラス基板またはSiNx(保護膜)が500~1,500Åの厚さで塗布されているガラス基板上にスピン塗布、スリット塗布などの好適な方法にて2.0~3.4μmの厚さで塗布する。塗布後はカラーフィルタに必要なパターンを形成するように光を照射する。光の照射後、塗布層をアルカリ現像液で処理すると塗布層の非照射部分が溶解しカラーフィルタに必要なパターンが形成される。このような過程を必要なR、G、B色の数だけ繰り返し行うことで、所望のパターンを有するカラーフィルタを得ることができる。また、前記過程で、現像によって得られた画像パターンをさらに加熱し、または活性線照射などによって硬化させることで耐クラック性や耐溶剤性などをさらに向上させることができる。
【0108】
本発明の一実施形態は、上述したカラーフィルタが備えられた画像表示装置に関する。
本発明に係るカラーフィルタは、通常の液晶表示装置(LCD)だけでなく、電界発光表示装置(EL)、プラズマ表示装置(PDP)、電界放出表示装置(FED)、有機発光素子(OLED)、量子ドット発光ダイオード(Quantum Dot Light-Emitting Diode、QLED)などの各種の画像表示装置に適用可能である。
【0109】
本発明に係る画像表示装置は、上述したカラーフィルタを備えたことを除いては、当該技術分野において知られた構成を含む。
【実施例】
【0110】
以下、実施例、比較例及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例、比較例及び実験例は、単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないことは当業者にとって自明である。
【0111】
合成例1:アルカリ可溶性樹脂B-1の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコを準備し、さらに、N-ベンジルマレイミド5モル%、シクロヘキシルメタクリレート15モル%、メチルメタクリレート5モル%、ロジンメタクリレート20モル%、及びアクリル酸55モル%からなる単量体100重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、撹拌・混合してモノマー滴下ロートを準備し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌・混合して連鎖移動剤滴下ロートを準備した。
次いで、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次いで、モノマー及び連鎖移動剤の、滴下ロートからの滴下を開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間進行し、1時間後に110℃に昇温して、3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、前記単量体100モル%に対してグリシジルメタクリレート45モル%、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、その後、室温まで冷却して、重量平均分子量11,100、固形分基準酸価70mgKOH/gのアルカリ可溶性樹脂を得た。
【0112】
合成例2:アルカリ可溶性樹脂B-2の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコを準備し、さらに、N-ベンジルマレイミド10モル%、シクロヘキシルメタクリレート25モル%、メチルメタクリレート5モル%、ロジンメタクリレート25モル%及びアクリル酸35モル%からなる単量体100重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、撹拌・混合してモノマー滴下ロートを準備し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌・混合して連鎖移動剤滴下ロートを準備した。
【0113】
次いで、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次いで、モノマー及び連鎖移動剤の、滴下ロートからの滴下を開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間進行し、1時間後に110℃に昇温して、3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、前記単量体100モル%に対してグリシジルメタクリレート30モル%、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、その後、室温まで冷却して、重量平均分子量11,600、固形分基準酸価50mgKOH/gのアルカリ可溶性樹脂を得た。
【0114】
合成例3:アルカリ可溶性樹脂B-3の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコを準備し、さらに、N-ベンジルマレイミド5モル%、シクロヘキシルメタクリレート25モル%、メチルメタクリレート5モル%、ロジンメタクリレート40モル%及びアクリル酸25モル%からなる単量体100重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、撹拌・混合してモノマー滴下ロートを準備し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌・混合して連鎖移動剤滴下ロートを準備した。
【0115】
次いで、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次いで、モノマー及び連鎖移動剤の、滴下ロートからの滴下を開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間進行し、1時間後に110℃に昇温して、3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、前記単量体100モル%に対してグリシジルメタクリレート15モル%、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、その後、室温まで冷却して、重量平均分子量11,500、固形分基準酸価62mgKOH/gのアルカリ可溶性樹脂を得た。
【0116】
合成例4:アルカリ可溶性樹脂B-4の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコを準備し、さらに、N-ベンジルマレイミド5モル%、シクロヘキシルメタクリレート5モル%、メチルメタクリレート10モル%、ロジンメタクリレート10モル%及びアクリル酸70モル%からなる単量体100重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、撹拌・混合してモノマー滴下ロートを準備し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌・混合して連鎖移動剤滴下ロートを準備した。
【0117】
次いで、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次いで、モノマー及び連鎖移動剤の、滴下ロートからの滴下を開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間進行し、1時間後に110℃路昇温して、3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。
【0118】
次いで、前記単量体100モル%に対してグリシジルメタクリレート60モル%、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、その後、室温まで冷却して、重量平均分子量12,300、固形分基準酸価74mgKOH/gのアルカリ可溶性樹脂を得た。
【0119】
実施例及び比較例:感光性樹脂組成物の製造
下記表1の組成にてそれぞれの成分を混合して感光性樹脂組成物を製造した(重量%)。
【0120】
【0121】
(A)散乱粒子(白色粒子):TiO2(デュポン社製、R102、210nm)
(B-1)アルカリ可溶性樹脂:合成例1
(B-2)アルカリ可溶性樹脂:合成例2
(B-3)アルカリ可溶性樹脂:合成例3
(B-4)アルカリ可溶性樹脂:合成例4
(C-1)光重合性化合物:ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(Kayarad DPHA、日本化薬社製)
(D-1)光重合開始剤:Irgacure OXE01(BASF社製)、λmax:327nm
(D-2)光重合開始剤:NCI-831(ADEKA社),λmax:365nm
(F-1)酸化防止剤:Sumilizer GP(住友化学社製)
(F-2)エポキシ樹脂:ESCN 195XL(住友化学社製)
(F-3)レベリング剤:F-554(DIC社製)
(E-1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
実験例:
前記実施例及び比較例で製造された感光性樹脂組成物を用いて下記のように光散乱画素層を製造し、このときの表面粗さ及び青色光源に対する輝度を下記のような方法にて測定し、その結果を下記の表2に表した。
【0122】
<光散乱画素層基板の製造>
前記実施例及び比較例で製造された感光性樹脂組成物を用いて光散乱画素層基板を製造した。すなわち、前記感光性樹脂組成物のそれぞれをスピンコーティング法にてガラス基板上に塗布した後、加熱板上に載置し、100℃の温度で3分間維持して溶剤を除去し、塗膜を形成させた。
【0123】
次いで、前記塗膜上に横×縦20mm×20mmの正方形の透過パターンと1~100μmのラインパターンを有する試験フォトマスクを載置し、試験フォトマスクとの間隔を100μmにして紫外線を照射した。
【0124】
このとき、紫外線光源としてはウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプ(商品名:USH-250D)を利用し、大気雰囲気下、200mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射を行い、特別な光学フィルタは使用しなかった。
【0125】
前記紫外線が照射された塗膜を、pH10.5のKOH水溶液現像溶液に浸漬して現像を行った。この塗膜が形成された基板を蒸留水を用いて洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥し、230℃の加熱オーブンで20分間加熱して、光散乱画素層基板を製造した。このようにして製造された光散乱画素層の厚さは10μmであった。
【0126】
(1)表面粗さ
表面粗さ測定器としてDEKTAK(Veeco社製)装備を用いて前記光散乱画素層の表面粗さ(surface roughness)を測定した(単位:Å)。
【0127】
(2)青色光源に対する輝度
前記実施例及び比較例で製造された感光性樹脂組成物を用いて製造された光散乱画素層基板の基板面に青色発光素子を配置した後、輝度測定器(CAS 140 CT、Instrument System社製)を用いて青色光源に対する輝度を測定した。当該輝度は、光散乱画素層基板なしに青色光源だけを載置し測定時の輝度値を100%にし、これに対する相対的な値にして求めた。
【0128】
【0129】
前記表2に表したように、本発明に係る光散乱画素層の表面粗さが50Å以上の実施例1~3の感光性樹脂組成物は、光散乱画素層の表面粗さが50Å未満の比較例1~2の感光性樹脂組成物に比べて、青色光源に対する輝度が上昇することを確認することができる。
【0130】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。