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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】車両用構造部材を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 1/40 20060101AFI20240917BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20240917BHJP
   B60R 19/04 20060101ALI20240917BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
C21D1/40 C
B62D25/04 C
B60R19/04 M
C21D9/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021050031
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148375
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 享之
(72)【発明者】
【氏名】夫馬 渉
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-236560(JP,A)
【文献】特開2020-199522(JP,A)
【文献】特開昭57-035635(JP,A)
【文献】特開2017-131916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/40
B62D 25/04
B60R 19/04
C21D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用構造部材を製造する方法であって、
高張力鋼板をプレス成形することにより、ハット断面形状を有する長尺状のプレス成形体を形成する工程と、
スポット溶接機の一対の電極の間に前記プレス成形体を挟んで、圧力を加えながら通電することにより、前記プレス成形体の長手方向における所定位置に、前記長手方向に対して直交する直交方向に沿って連続するように配置された複数の熱影響軟化部を有する柔軟区域を形成する工程とを有する方法
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって
前記熱影響軟化部は、一対の前記電極による通電時の加圧力によって形成された前記プレス成形体の板厚よりも薄い厚さの打痕を有する、方法
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって
前記熱影響軟化部は、前記打痕の周囲に板厚方向両外側へ盛り上がるように形成された一対の盛り上がり部を有する、方法
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の方法であって
複数の前記熱影響軟化部は、前記打痕よりも外側の部分において互いに一部が重なるように配置されて前記柔軟区域を形成する方法
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法であって
複数の前記熱影響軟化部は、溶融固化されたナゲットが一直線上に位置するように配置され方法
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法であって
複数の前記熱影響軟化部は、溶融固化されたナゲットが千鳥状に位置するように配置され方法
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の方法であって
前記プレス成形体は、一対の縦壁部と、一対の前記縦壁部の一端を連結する連結壁部とによって形成される一対の稜線部を有し、
複数の前記熱影響軟化部は、一対の前記稜線部のそれぞれの近傍にのみ配置されて、前記直交方向に沿って配置された一対の前記柔軟区域を形成する、方法
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法であって
前記プレス成形体は、センターピラーリインフォースメントを含み、
前記柔軟区域は、前記センターピラーリインフォースメントの車両上下方向において、ベルトラインよりも下方側に設けられ方法
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法であって
前記プレス成形体は、バンパーリインフォースメントの長尺状に形成された本体部を含み、
前記柔軟区域は、前記本体部の長手方向における前記所定位置に形成され方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用構造部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用構造部材に関する技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載される金属シートを熱間スタンプ加工して硬化する方法では、熱間プレス成形によって略ハット形状の横断面形状に成形されたハット・ビームには、大部分よりも低い強度となる柔軟な区域が長手方向に対して直交するように設けられている。この柔軟な区域には、複数の柔軟な帯状域と、帯状域の間に形成されて帯状域よりも強度が高い幅狭帯状域が、長手方向に対して直交するように設けられている。各帯状域は、成形金型と成形体との間に間隙を設けることによって、熱間プレス成形における冷却速度が遅くなり、強度が他の大部分よりも低くなる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2008-516080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された金属シートを熱間スタンプ加工して硬化する方法では、ハット・ビームに柔軟区域を設けるためには、熱間プレス成形で行う必要があり、冷間プレス成形では柔軟区域を形成することができないという問題がある。また、成形金型と成形体との間に間隙を設ける必要があるため、柔軟区域を設定するエリアが限定され、設計自由度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、冷間プレス成形又は熱間プレス成形によって成形された長尺状のプレス成形体に、大部分よりも強度が低下した柔軟区域を長手方向に対して直交するように設けることができる車両用構造部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1発明は、高張力鋼板で形成されて、ハット断面形状にプレス成形された長尺状のプレス成形体と、前記プレス成形体の長手方向における所定位置に、前記長手方向に対して直交する直交方向に沿って複数の熱影響軟化部を連続するように配置して形成された柔軟区域と、を備え、前記熱影響軟化部は、スポット溶接機の一対の電極の間に前記プレス成形体を挟んで、圧力を加えながら通電することによって形成された、車両用構造部材である。
【0007】
第2発明は、上記第1発明に係る車両用構造部材において、前記熱影響軟化部は、一対の前記電極による通電時の加圧力によって形成された前記プレス成形体の板厚よりも薄い厚さの打痕を有する、車両用構造部材である。
【0008】
第3発明は、上記第2発明に係る車両用構造部材において、前記熱影響軟化部は、前記打痕の周囲に板厚方向両外側へ盛り上がるように形成された一対の盛り上がり部を有する、車両用構造部材である。
【0009】
第4発明は、上記第2発明又は第3発明に係る車両用構造部材において、複数の前記熱影響軟化部は、前記打痕よりも外側の部分において互いに一部が重なるように配置されて前記柔軟区域を形成している、車両用構造部材である。
【0010】
第5発明は、上記第1発明乃至第4発明のいずれか1の発明に係る車両用構造部材において、複数の前記熱影響軟化部は、溶融固化されたナゲットが一直線上に位置するように配置された、車両用構造部材である。
【0011】
第6発明は、上記第1発明乃至第4発明のいずれか1の発明に係る車両用構造部材において、複数の前記熱影響軟化部は、溶融固化されたナゲットが千鳥状に位置するように配置された、車両用構造部材である。
【0012】
第7発明は、上記第5発明又は第6発明に係る車両用構造部材において、前記プレス成形体は、一対の縦壁部と、一対の前記縦壁部の一端を連結する連結壁部とによって形成される一対の稜線部を有し、複数の前記熱影響軟化部は、一対の前記稜線部のそれぞれの近傍にのみ配置されて、前記直交方向に沿って配置された一対の前記柔軟区域を形成する、車両用構造部材である。
【0013】
第8発明は、上記第1発明乃至第7発明のいずれか1の発明に係る車両用構造部材において、前記プレス成形体は、センターピラーリインフォースメントを含み、前記柔軟区域は、前記センターピラーリインフォースメントの車両上下方向において、ベルトラインよりも下方側に設けられた、車両用構造部材である。
【0014】
第9発明は、上記第1発明乃至第7発明のいずれか1の発明に係る車両用構造部材において、前記プレス成形体は、バンパーリインフォースメントの長尺状に形成された本体部を含み、前記柔軟区域は、前記本体部の長手方向における前記所定位置に形成された、車両用構造部材である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記各発明の構成をとることによって、冷間プレス成形又は熱間プレス成形によってハット断面形状に成形された長尺状のプレス成形体に、大部分よりも強度が低下した柔軟区域を長手方向に対して直交するように設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る車両用構造部材の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す車両用構造部材のII矢視の平面図である。
図3】高張力鋼板に熱影響軟化部を形成する方法を説明する図である。
図4】熱影響軟化部を説明する断面図である。
図5】熱影響軟化部を説明する平面図である。
図6図1の柔軟区域の構成を説明する図である。
図7】本発明例1の3点曲げ強度試験の説明図である。
図8】本発明例1の3点曲げ強度試験の解析結果の一例を示す側面図である。
図9】比較例1の3点曲げ強度試験の説明図である。
図10】比較例1の3点曲げ強度試験の解析結果の一例を示す側面図である。
図11】センターピラーリインフォースメントに柔軟区域を設けた一例を示す図である。
図12】バンパーリインフォースメントの本体部に柔軟区域を設けた一例を示す図である。
図13】第2実施形態に係る車両用構造部材の一例を示す斜視図である。
図14図13の柔軟区域の構成を説明する図である。
図15】第3実施形態に係る車両用構造部材の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る車両用構造部材を具体化した第1実施形態乃至第3実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1実施形態に係る車両用構造部材1について図1乃至図12に基づいて説明する。尚、本発明は、サイドシル、ルーフサイドレール、フロントピラーリインフォースメント、センターピラーリインフォースメント、バンパーリインフォースメント、ドアビーム等にも同様に適用される。
【0018】
[第1実勢形態]
図1及び図2は、第1実施形態に係る車両用構造部材1の概略構成を示す。図1及び図2に示すように、車両用構造部材1は、高張力鋼板で形成され、冷間プレス成形又は熱間プレス成形によってハット断面形状に成形され長尺状のプレス成形体11と、このプレス成形体11の長手方向における所定位置(例えば、長手方向中央位置から距離L1だけ離れた位置)に形成された柔軟区域12と、から構成されている。
【0019】
プレス成形体11は、厚さ約0.6mm~2.6mm程度で、引張強度が1180MPa以上の冷間プレス用鋼板で、冷間プレス成形によって略ハット断面形状に成形されている。または、プレス成形体11は、厚さ約0.6mm~2.6mm程度で、引張強度が1500MPa以上の熱間プレス用鋼板で、熱間プレス成形によって略ハット断面形状に成形されている。
【0020】
具体的には、プレス成形体11は、相対向する一対の縦壁部11A、11Bと、一対の縦壁部11A、11Bの一方の側縁を連結する平面視略縦長矩形状の連結壁部11Cと、一対の縦壁部11A、11Bと連結壁部11Cとによって形成される一対の稜線部11D、11Eと、一対の縦壁部11A、11Bの他方の側縁、つまり、開口側の側縁から連結壁部11Cに対して略平行に外側方向へ折り曲げ形成された一対のフランジ部11F、11Gと、を有している。
【0021】
柔軟区域12は、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って、一方のフランジ部11Fの外側側縁から、他方のフランジ部11Gの外側側縁まで、ほぼ一定幅(例えば、約8mm~16mmの幅)で直線的に連続する帯状に設けられている。この柔軟区域12は、後述のように平面視略円形状に形成された複数の熱影響軟化部(以下、「HAZ軟化部」という。)22の一部が互いに重なるように一直線上に配置され(図6参照)、プレス成形体11の大部分(母材)よりも強度が低下した帯状部分を形成している。
【0022】
ここで、HAZ軟化部22の形成方法の一例について図3乃至図5に基づいて説明する。図3に示すように、先ず、プレス成形体11を一対の電極15によって挟み、所定荷重Pにより加圧しながら、スポット溶接機16を利用して通電して、抵抗発熱によりプレス成形体11の母材内部を溶融する。続いて、スポット溶接機16による通電を中止し、加圧を続けて、冷却した後、加圧を開放して各電極15をプレス成形体11から離す。
【0023】
一対の電極15は、プレス成形体11に接触する接触面15Aが、直径D1(例えば、D1=6mm~12mmである。)の円形の平坦面になったフラット形電極である。また、スポット溶接機16は、例えば、電源周波数50Hz又は60Hzの電流インバータ式スポット溶接機を利用できる。
【0024】
その結果、図4及び図5に示すように、プレス成形体11の母材内部に溶融固化したナゲット21が形成される。ナゲット21の直径(ナゲット径)は、例えば、電極15の接触面15Aの直径D1よりも少し小さい直径(例えば、直径4mm~10mm)に形成されている。ナゲット21のビッカース硬度は、プレス成形体11の母材とほぼ同じビッカース硬度である。また、ナゲット21の周囲には、熱影響によりプレス成形体11の母材よりも軟化したHAZ軟化部22が形成されている。HAZ軟化部22の直径(外径)D2は、ナゲット21の直径よりも、例えば、約4mm程度大きい直径(例えば、直径8mm~16mm)に形成されている。
【0025】
また、HAZ軟化部22の各電極15が接触する両面の略中央部には、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23が形成されている。各打痕23が形成された部分の板厚は、プレス成形体11の母材の板厚よりも約10%~30%程度薄い厚さに形成されている。また、各打痕23の直径は、例えば、電極15の接触面15Aの直径D1にほぼ等しい直径に形成されている。そして、各打痕23の外周部には、プレス成形体11の母材の表面よりも盛り上がった、つまり、板厚方向両外側へ盛り上がるように形成された一対の盛り上がり部25が形成されている。
【0026】
ここで、ナゲット21とHAZ軟化部22のビッカース硬度の一例を示す。プレス成形体11の母材が、引張強度が1180MPa以上の冷間プレス用鋼板の場合には、ナゲット21のビッカース硬度は、母材とほぼ同じ硬度のHV370~HV420程度で、HAZ軟化部22の最軟化部のビッカース硬度は、HV300程度まで低下した。また、プレス成形体11の母材が、引張強度が1500MPa以上の熱間プレス用鋼板の場合には、ナゲット21のビッカース硬度は、熱間プレス成形後の母材とほぼ同じ硬度のHV450程度で、HAZ軟化部22の最軟化部のビッカース硬度は、HV300程度まで低下した。
【0027】
次に、柔軟区域12における、ナゲット21及びHAZ軟化部22の配置構成について図6に基づいて説明する。図6に示すように、柔軟区域12には、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23の略中央部、つまり、ナゲット21の略中央部が、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直線27上に位置すると共に、HAZ軟化部22の打痕23よりも径方向外側の部分が、互いに重なるように、略等ピッチH1で配置されている。
【0028】
具体的には、各HAZ軟化部22は、打痕23よりも径方向外側の部分が、例えば、約30%~70%、好ましくは、約50%程度互いに重なった重なり部A1を形成して、略等ピッチH1で直線27上に位置するように連続して配置されている。従って、柔軟区域12の幅は、HAZ軟化部22の直径D2にほぼ等しい幅寸法に形成されている。尚、図1及び図2において、柔軟区域12における×印によって、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23の位置を模式的に示している。
【0029】
次に、第1実施形態に係る車両用構造部材1の作用効果について図7乃至図10に基づいて説明する。図7及び図9に示すように、本発明例1として第1解析モデル31を準備し、比較例1として第2解析モデル32を準備して、CAE(Computer Aided Engineering)解析により各解析モデル31、32の荷重-変位特性を解析した。尚、第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一符号は、第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0030】
図7に示すように、第1解析モデル31は、車両用構造部材1と同様の構成であり、ハット断面形状に成形され長尺状のプレス成形体11と、このプレス成形体11の長手方向中央位置から距離L1だけ離れた位置に形成された柔軟区域12と、から構成されている。柔軟区域12は、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って、一方のフランジ部11Fの外側側縁から、他方のフランジ部11Gの側縁まで、連続する帯状に設けられている。柔軟区域12には、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23(図7中、×印で示す。)を有し、HAZ軟化部22の一部が互いに重なるように一直線上に配置されたモデルである。
【0031】
図9に示すように、比較例1としての第2解析モデル32は、第1解析モデル31の構成から柔軟区域12を省略したモデルである。続いて、図7及び図9に示すように、これら第1解析モデル31と第2解析モデル32の両端を横断面半円形の各支持部材33によって水平に支持する。そして、各解析モデル31、32の長手方向中央位置に、半径R1の断面半円形で連結壁部11Cの幅よりも長いインパクター35により、下向きに荷重W1を付与し、各解析モデル31、32の荷重に対する変位量を解析した。
【0032】
図8に第1解析モデル31のCAEによる解析結果を示す。また、図10に第2解析モデル32の解析結果を示す。図8に示すように、第1解析モデル31では、柔軟区域12が形成された部分の撓みが最も大きくなっており、長手方向中央部の撓み、つまり、インパクター35が当接している位置の撓みよりも大きくなっている。一方、図10に示すように、第2解析モデル32では、柔軟区域12が省略されているため、長手方向中央部の撓み、つまり、インパクター35が当接している位置の撓みが最も大きくなっている。
【0033】
従って、プレス成形体11の所望する座屈位置に、長手方向に対して直交するように柔軟区域12を設けることによって、プレス成形体11の座屈位置を制御できるものと考えられる。また、電極15の接触面15Aの大きさ、つまり、直径D1や、一対の電極15に通電する電流値や加圧力等を変更することによって、打痕23が形成された部分の板厚や、HAZ軟化部22の大きさ、つまり、直径D2を変更できる。その結果、柔軟区域12の幅の大きさや強度を変更して、プレス成形体11の曲げ強度や座屈タイミングを制御できるものと考えられる。
【0034】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係る車両用構造部材1では、複数のHAZ軟化部22が連続するように配置された柔軟区域12を、冷間プレス成形又は熱間プレス成形によって略ハット断面形状に成形されたプレス成形体11の長手方向における所定位置に、長手方向に対して直交するように形成することができる。これにより、車両用構造部材1に車両外側から高荷重が作用した際に、柔軟区域12を形成した位置において折れ曲がるように設定することができる。また、柔軟区域12を配置する箇所を調整することによって、車両用構造部材1の曲げ強度や座屈タイミングを制御することができる。
【0035】
また、一対の電極15の形状や、一対の電極15をプレス成形体11に加圧する加圧力や通電電流等を制御することによって、打痕23の大きさや、打痕23が形成された部分の板厚を調整して、車両用構造部材1の曲げ強度や座屈タイミングを容易に制御することができる。また、打痕23の周囲に盛り上がり部25が形成されることによって、打痕23が形成された部分の板厚の変化による車両用構造部材1の寸法変化を吸収することができ、寸法精度の向上を図ることができる。
【0036】
また、複数のHAZ軟化部22は、打痕23よりも外側の部分において互いに一部が重なるように配置されて柔軟区域12を形成している。これにより、複数のHAZ軟化部22を確実に連続するように配置することができると共に、柔軟区域12を形成する打痕23及びHAZ軟化部22の個数を少なくして、作業効率の向上を図ることができる。また、複数のHAZ軟化部22は、溶融固化されたナゲット21が一直線上に位置するように配置されている。これにより、柔軟区域12を一直線上に形成することができ、車両用構造部材1の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【0037】
ここで、センターピラーリインフォースメントに、第1実施形態に係る車両用構造部材1を適用した一例について図11に基づいて説明する。図11に示すように、センターピラー(不図示)の車幅方向外側に配置されるセンターピラーリインフォースメント41は、車幅方向内側に開口するハット断面形状の所定形状に形成されており、断面溝状の開口側の両端縁には、それぞれ外側へ略直角に折り曲げられたフランジ部42が設けられている。このセンターピラーリインフォースメント41は、上端縁部が取付部45を介してルーフサイドレール46に接続される。また、センターピラーリインフォースメント41は、下端縁部が取付部47を介してサイドシル48に接続されて、車両上下方向に配置される。
【0038】
また、センターピラーリインフォースメント41の全高において、下端から約1/3程度の高さの位置に、柔軟区域12(図6参照)が、長手方向に対して直交する直交方向に沿って、一方のフランジ部42の外側側縁から、他方のフランジ部42の外側側縁まで、帯状に設けられている。従って、柔軟区域12は、ベルトライン49よりも下方側に位置するように設けられている。これにより、車両外側からの側面衝突時に、センターピラーリインフォースメント41が柔軟区域12から折り曲げられるように折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができ、衝突物の車両室内側への侵入量の低減化を図ることができる。
【0039】
次に、バンパーリインフォースメントに、第1実施形態に係る車両用構造部材1を適用した一例について図12に基づいて説明する。図12に示すように、バンパーリインフォースメント51は、長手方向両端部、つまり、車幅方向両端部をバンパー支持部材52を介して不図示のフレーム部材に取り付けられる。バンパーリインフォースメント51は、車両前後方向内側へ開口するハット断面形状の所定形状に形成された本体部53と、本体部53の開口側を塞ぐように取り付けられた長尺状の蓋部(不図示)とによって、閉断面構造を形成している。
【0040】
尚、バンパーリインフォースメント51は、ハット断面形状の本体部53の開口側を塞ぐことなく、開き断面構造であってもよい。そして、バンパーリインフォースメント51は、本体部53の長手方向両端部、つまり、車幅方向両端部をバンパー支持部材52を介して不図示のフレーム部材に取り付けられるようにしてもよい。
【0041】
本体部53は、断面溝状の開口側の両端縁には、それぞれ外側へ略直角に折り曲げられたフランジ部53A(図12中、上方側だけを示している。)が設けられている。また、本体部53の長手方向において、全長を略3等分する2箇所の各位置に、柔軟区域12(図6参照)が、長手方向に対して直交する直交方向に沿って、一方のフランジ部53Aの外側側縁から、他方のフランジ部53Aの外側側縁まで、帯状に設けられている。これにより、車両衝突時に、バンパーリインフォースメント51が各柔軟区域12から折り曲げられるように折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る車両用構造部材61について図13及び図14に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一符号は、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0043】
第2実施形態に係る車両用構造部材61は、第1実施形態に係る車両用構造部材1とほぼ同じ構成である。但し、図13に示すように、車両用構造部材61は、プレス成形体11の長手方向における所定位置(例えば、長手方向中央位置から距離L1だけ離れた位置)に柔軟区域12に替えて柔軟区域62が設けられている点で異なっている。この柔軟区域62は、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って、一方のフランジ部11Fの外側側縁から、他方のフランジ部11Gの外側側縁まで、ほぼ一定幅(例えば、約8mm~16mmの幅)でジグザグ状に連続する帯状に設けられている。
【0044】
具体的には、図14に示すように、柔軟区域62には、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23の略中央部、つまり、ナゲット21の略中央部が、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って千鳥状に位置すると共に、HAZ軟化部22の打痕23よりも径方向外側の部分が、互いに重なるように、略等ピッチH2で配置されている。各HAZ軟化部22は、打痕23よりも径方向外側の部分が、例えば、約30%~70%、好ましくは、約50%程度互いに重なった重なり部A1を形成している。尚、図13において、柔軟区域62における×印によって、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23の位置を模式的に示している。
【0045】
これにより、第2実施形態に係る車両用構造部材61では、柔軟区域62をジグザグ状に折れ曲がるように形成することができ、見かけ上、プレス成形体11の長手方向における柔軟区域62の幅を大きくすることができる。その結果、車両用構造部材61に車両外側から高荷重が作用した際に、柔軟区域62を形成した位置において折れ曲がるように設定することができる。また、柔軟区域62を配置する箇所を調整することによって、車両用構造部材61の曲げ強度や座屈タイミングを制御することができる。従って、柔軟区域62をジグザグ状に折れ曲がるように形成することができ、車両用構造部材61の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【0046】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る車両用構造部材71について図15に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一符号は、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0047】
第3実施形態に係る車両用構造部材71は、第1実施形態に係る車両用構造部材1とほぼ同じ構成である。但し、図15に示すように、車両用構造部材71は、プレス成形体11の長手方向における所定位置(例えば、長手方向中央位置から距離L1だけ離れた位置)に柔軟区域12に替えて一対の柔軟区域72A、72Bが設けられている点で異なっている。
【0048】
具体的には、一対の柔軟区域72A、72Bは、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って、それぞれ各稜線部11D、11Eを跨ぐと共に、各稜線部11D、11Eの近傍にのみ直線的に連続する帯状に設けられている。尚、図15において、各柔軟区域72A、72Bにおける×印によって、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23の位置を模式的に示している。
【0049】
従って、第3実施形態に係る車両用構造部材71では、一対の稜線部11D、11Eのそれぞれの近傍にのみ、複数のHAZ軟化部22が、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って連続するように配置された一対の柔軟区域72A、72Bを形成することができる。これにより、車両用構造部材71に車両外側から高荷重が作用した際に、一対の柔軟区域72A、72Bを形成した位置において折れ曲がるように設定することができる。また、一対の柔軟区域72A、72Bを配置する箇所を調整することによって、車両用構造部材71の曲げ強度や座屈タイミングを制御することができる。
【0050】
尚、本発明は前記第1実施形態乃至第3実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形、追加、削除が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。尚、以下の説明において、前記第1実施形態乃至第3実施形態に係る各車両用構造部材1、61、71と同一符号は、前記第1実施形態乃至第3実施形態に係る各車両用構造部材1、61、71と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0051】
(A)例えば、各車両用構造部材1、61、71において、複数列の各柔軟区域12、62、72A、72Bを、プレス成形体11の長手方向に隣接させて、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って配置するようにしてもよい。また、隣接する複数列の各柔軟区域12、62、72A、72Bは、プレス成形体11の長手方向に隣接する各HAZ軟化部22の打痕23よりも径方向外側の部分を、互いに重なるよう配置するようにしてもよい。
【0052】
これにより、冷間プレス成形又は熱間プレス成形によって成形されたプレス成形体11に、大部分よりも強度が低下した各柔軟区域12、62、72A、72Bの幅を見かけ上、大きくすることができる。その結果、各車両用構造部材1、61、71に車両外側から高荷重が作用した際に、各柔軟区域12、62、72A、72Bを形成した位置において折れ曲がるように設定することができ、各車両用構造部材1、61、71の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを更に容易に設定することができる。
【0053】
(B)また、例えば、車両用構造部材1において、各柔軟区域12、62、72A、72Bを任意に組み合わせて、プレス成形体11の長手方向に隣接させて、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って配置するようにしてもよい。また、隣接する各柔軟区域12、62、72A、72Bは、プレス成形体11の長手方向に隣接する各HAZ軟化部22の打痕23よりも径方向外側の部分を、互いに重なるよう配置するようにしてもよい。
【0054】
これにより、冷間プレス成形又は熱間プレス成形によって成形されたプレス成形体11に、大部分よりも強度が低下した部分(柔軟区域)のプレス成形体11の長手方向における幅を見かけ上、大きくすることができる。その結果、車両用構造部材1に車両外側から高荷重が作用した際に、各柔軟区域12、62、72A、72Bを形成した位置において折れ曲がるように設定することができ、車両用構造部材1の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを更に容易に設定することができる。
【0055】
(C)また、例えば、車両用構造部材71において、一対の柔軟区域72A、72Bは、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って、それぞれ各稜線部11D、11Eを跨ぐと共に、各稜線部11D、11Eの近傍にのみジグザグ状に連続する帯状に設けてもよい。具体的には、一対の柔軟区域72A、72Bには、一対の電極15による通電時の加圧力によって形成された各打痕23の略中央部、つまり、ナゲット21の略中央部が、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って千鳥状に位置すると共に、HAZ軟化部22の打痕23よりも径方向外側の部分が、互いに重なるように、略等ピッチH2で配置されてもよい。
【0056】
これにより、車両用構造部材71では、一対の柔軟区域72A、72Bをジグザグ状に折れ曲がるように形成することができ、見かけ上、プレス成形体11の長手方向における一対の柔軟区域72A、72Bの幅を大きくすることができる。その結果、車両用構造部材71に車両外側から高荷重が作用した際に、一対の柔軟区域72A、72Bを形成した位置において折れ曲がるように設定することができる。また、一対の柔軟区域72A、72Bを配置する箇所を調整することによって、車両用構造部材71の曲げ強度や座屈タイミングを制御することができる。従って、一対の柔軟区域72A、72Bをジグザグ状に折れ曲がるように形成することができ、車両用構造部材71の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【0057】
(D)また、例えば、電極15のプレス成形体11に接触する接触面15Aは、円形の平坦面に限らず、三角形、四角形、五角形、六角形等、多角形の平坦面でもよい。これにより、HAZ軟化部22の打痕23の形状、つまり、盛り上がり部25の形状を三角形、四角形、五角形、六角形等にすることができる。その結果、各柔軟区域12、62、72A、72Bを構成するHAZ軟化部22の重なり部A1の面積を大きくすることができ、各車両用構造部材1、61、71の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを更に容易に設定することができる。
【0058】
(E)また、例えば、図11に示すセンターピラーリインフォースメント41の柔軟区域12に替えて、柔軟区域62(図13参照)をセンターピラーリインフォースメント41の長手方向に対して直交する直交方向に沿って配置してもよい。また、図11に示すセンターピラーリインフォースメント41の柔軟区域12に替えて、一対の柔軟区域72A、72Bをセンターピラーリインフォースメント41の各稜線部に、センターピラーリインフォースメント41の長手方向に対して直交する直交方向に沿って配置してもよい。
【0059】
これにより、車両外側からの側面衝突時に、センターピラーリインフォースメント41が各柔軟区域62、72A、72Bから折り曲げられるように折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができ、衝突物の車両室内側への侵入量の低減化を図ることができる。
【0060】
(F)また、例えば、図12に示すバンパーリインフォースメント51の本体部53において、2箇所に設けられた各柔軟区域12に替えて、柔軟区域62(図13参照)を本体部53の2箇所のそれぞれに、本体部53の長手方向に対して直交する直交方向に沿って配置してもよい。また、図12に示すバンパーリインフォースメント51の本体部53において、2箇所に設けられた各柔軟区域12に替えて、一対の柔軟区域72A、72Bを本体部53の2箇所のそれぞれの各稜線部に、本体部53の長手方向に対して直交する直交方向に沿って配置してもよい。
【0061】
これにより、車両衝突時に、バンパーリインフォースメント51が、本体部53の2箇所に設けられた各柔軟区域62から折り曲げられるように折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。また、バンパーリインフォースメント51が、本体部53の2箇所の各稜線部のそれぞれに設けられた一対の柔軟区域72A、72Bから折り曲げられるように折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【0062】
(G)また、例えば、プレス成形体11は、略ハット断面形状に限らず、溝状の断面形状であってもよい。つまり、プレス成形体11は、一対の縦壁部11A、11Bと、一対の縦壁部11A、11Bの一端を連結する連結壁部11Cと、によって構成されるようにしてもよい。そして、各柔軟区域12、62は、プレス成形体11の長手方向に対して直交する直交方向に沿って、一方の縦壁部11Aの外側側縁から、他方の縦壁部11Bの外側側縁まで直線的に連続する帯状、又は、ジグザグ状に連続する帯状に設けられてもよい。
【0063】
これにより、プレス成形体11に車両外側から高荷重が作用した際に、各柔軟区域12、62を形成した位置において折れ曲がるように設定することができる。従って、各柔軟区域12、62を配置する箇所を調整することによって、プレス成形体11によって構成される車両用構造部材の曲げ強度や座屈タイミングを制御することができる。
【0064】
(H)また、前記第1発明乃至第9発明は、以下の効果を奏する。例えば、第1発明に係る車両用構造部材によれば、複数の熱影響軟化部が連続するように配置された柔軟区域を、プレス成形によってハット断面形状に成形された長尺状のプレス成形体の長手方向における所定位置に、長手方向に対して直交するように設けることができる。これにより、車両用構造部材に車両外側から高荷重が作用した際に、当該所定位置において折れ曲がるように設定することができる。また、柔軟区域の長さや配置する箇所を調整することによって、車両用構造部材の曲げ強度や座屈タイミングを制御することができる。
【0065】
また、第2発明に係る車両用構造部材によれば、一対の電極の形状や、一対の電極をプレス成形体に加圧する加圧力や通電電流等を制御することによって、打痕の大きさや厚さ、及び、熱影響軟化部(HAZ軟化部)の大きさを調整して、車両用構造部材の曲げ強度や座屈タイミングを容易に制御することができる。また、第3発明に係る車両用構造部材によれば、打痕の周囲に盛り上がり部が形成されることによって、打痕の厚さの変化による車両用構造部材の寸法変化を吸収することができ、寸法精度の向上を図ることができる。
【0066】
また、第4発明に係る車両用構造部材によれば、複数の熱影響軟化部を確実に連続するように配置することができると共に、柔軟区域を形成する熱影響軟化部の個数を少なくして、作業効率の向上を図ることができる。また、第5発明に係る車両用構造部材によれば、柔軟区域を一直線上に形成することができ、車両用構造部材の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【0067】
また、第6発明に係る車両用構造部材によれば、柔軟区域をジグザグ状に折れ曲がるように形成することができ、車両用構造部材の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。また、第7発明に係る車両用構造部材によれば、一対の稜線部のそれぞれの近傍にのみ複数の熱影響軟化部を直交方向に沿って配置して、一対の柔軟区域を各稜線部を跨ぐように形成することによって、車両用構造部材の折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【0068】
また、第8発明に係る車両用構造部材によれば、車両外側からの側突時における、センターピラーリインフォースメントの折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。また、第9発明に係る車両用構造部材によれば、車両衝突時における、バンパーリインフォースメントの折れ曲がり位置、曲げ強度、座屈タイミングを容易に設定することができる。
【符号の説明】
【0069】
1、61、71 車両用構造部材
11 プレス成形体
11A、11B 縦壁部
11C 連結壁部
11D、11E 稜線部
11F、11G フランジ部
12、62、72A、72B 柔軟区域
15 電極
16 スポット溶接機
21 ナゲット
22 熱影響軟化部(HAZ軟化部)
23 打痕
25 盛り上がり部
41 センターピラーリインフォースメント
51 バンパーリインフォースメント
53 本体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15