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特許7555875エレベーターシステム及びエレベーターの制御方法
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  • 特許-エレベーターシステム及びエレベーターの制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】エレベーターシステム及びエレベーターの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240917BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20240917BHJP
   B66B 1/30 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
B66B1/14 F
B66B1/14 E
B66B13/14 Q
B66B1/30 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021075861
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170021
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高星 知和
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-234716(JP,A)
【文献】特開2004-338891(JP,A)
【文献】国際公開第2020/240783(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/230305(WO,A1)
【文献】特開平10-194642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のエレベーターかごで人の搬送と自律型ロボットの搬送とを両立させることができるエレベーターを含むエレベーターシステムであって、
エレベーターかご内を撮影するかご内カメラと、
前記エレベーターかごの運行を制御するエレベーター制御装置と、
を備え、
前記エレベーター制御装置は、前記かご内カメラの撮影結果を基に、前記エレベーターかごに前記自律型ロボットのみが乗車していることを確認したとき、前記エレベーターの運行に関する速度を、人が乗車するときの速度よりも速くし、
前記エレベーターの運行に関する速度は、前記エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度の少なくとも一つであり、
前記自律型ロボットは、前記エレベーター制御装置に対して、前記自律型ロボットの乗車階、乗車かご番号、行先階、及び、前記自律型ロボットの乗降速度を含むエレベーター乗車情報を送信する、
エレベーターシステム。
【請求項2】
前記エレベーター制御装置は、前記エレベーターかごに人が乗車していない状況で前記自律型ロボットのみが乗車/降車する場合は、前記自律型ロボットの乗降速度に応じて、
エレベータードアのドア開閉速度を、人が乗車/降車する場合よりも速くする
請求項に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
同一のエレベーターかごで人の搬送と自律型ロボットの搬送とを両立させることができるエレベーターの制御方法であって、
前記エレベーターかごに前記自律型ロボットのみが乗車しているとき、前記エレベーターの運行に関する速度を、人が乗車するときの速度よりも速くし、
前記エレベーターかごに人が乗車していない状況で前記自律型ロボットのみが乗車/降車する場合は、前記自律型ロボットの乗降速度に応じて、エレベータードアのドア開閉速度を、人が乗車/降車する場合よりも速くする
エレベーターの制御方法。
【請求項4】
前記エレベーターの運行に関する速度は、前記エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度の少なくとも一つである
請求項に記載のエレベーターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターシステム及びエレベーターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターが設置されたビル(建物)において、同一のエレベーターかごで人の搬送と自律型ロボットの搬送とを両立させることができるエレベーターシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1(特に、段落[0021])には、「利用者専用運転制御からロボット専用運転制御に円滑に移行させることができ、自律走行作業ロボットに所定の作業を確実に行わせることができる。したがって、利用者の搬送と、自律走行作業ロボットの搬送を両立させることができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-51617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エレベーターシステムでは、利用者の安全・安心を最優先に、利用者の乗り心地等を考慮しつつ、目的階に精度よく停止できるようにエレベーターの速度制御が行われている。一方、ビル管理ロボット等の自律型ロボットの場合には、乗り心地について特に考慮する必要性は低く、逆に、自律型ロボットの作業効率の向上の観点からは、自律型ロボットを目的階へ迅速に搬送できる方が好ましい。
【0005】
そこで、本発明は、人が乗っておらず、自律型ロボットのみの利用時には、自律型ロボットの目的階への移動時間を短縮できるようにしたエレベーターシステム及びエレベーターの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、
同一のエレベーターかごで人の搬送と自律型ロボットの搬送とを両立させることができるエレベーターを含むエレベーターシステムにおいて、エレベーターかごに自律型ロボットのみが乗車しているとき、エレベーターの運行に関する速度を、人が乗車するときの速度よりも速くする。また、エレベーターの運行に関する速度は、エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度の少なくとも一つであり、自律型ロボットは、エレベーター制御装置に対して、自律型ロボットの乗車階、乗車かご番号、行先階、及び、自律型ロボットの乗降速度を含むエレベーター乗車情報を送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エレベーターかごに自律型ロボットのみが乗車しているとき、自律型ロボットの目的階への移動時間を短縮することができるため、自律型ロボットの作業効率の向上を図ることができる。また、自律型ロボットのみの利用時の乗車時間を短縮することができるため、エレベーターシステムとして、エレベーターの運行効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベーターシステムの構成を示すブロック図である。
図2】建物内に複数台のエレベーターが並んで設けられたエレベーターフロアの構成の概略を模式的に示す概略斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るエレベーターシステムにおけるエレベーターの制御方法の処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
図4】本発明の一実施形態に係るエレベーターシステムにおけるエレベーターの制御方法の処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪本発明のエレベーターシステム≫
本発明のエレベーターシステムは、同一のエレベーターかごで人の搬送と自律型ロボットの搬送とを両立させることができるエレベーターを含むエレベーターシステムである。自律型ロボットとしては、ビルの警備(巡回・見回り)を行うビル管理ロボットや、ビル内のごみ回収、清掃などを行うビル清掃ロボットや、荷物の配達・配送を行う荷物搬送ロボットなどを例示することができる。
【0010】
エレベーターかごに自律型ロボットのみが乗車しているとき、人が乗車するときよりも速くする、エレベーターの運行に関する速度については、エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度の全てとすることが好ましいが、必ずしも全てである必要はなく、エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度の少なくとも一つであってもよい。
【0011】
本発明のエレベーターシステムでは、エレベーター制御装置による制御に当たって、自律型ロボットからエレベーター制御装置に対して、自律型ロボットの乗車階、乗車かご番号、行先階、及び、自律型ロボットの乗降速度を含むエレベーター乗車情報が送信されることになる。そして、エレベーター制御装置においては、エレベーターかごに人が乗車していない状況で自律型ロボットのみが乗車/降車する場合、自律型ロボットの乗降速度に応じて、エレベータードアのドア開閉速度を、人が乗車/降車する場合よりも速くする制御が行われる。
【0012】
[本発明の一実施形態に係るエレベーターシステム]
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベーターシステムの構成を示すブロック図である。また、図2は、建物(ビル)内に複数台のエレベーターが並んで設けられたエレベーターフロア(乗り場フロア)の構成の概略を模式的に示す概略斜視図である。以下では、自律型ロボットがビル管理ロボットの場合を例に挙げて説明することとする。
【0013】
ここでは、例えば図2に示すように、ビル(建物)内に1号機~n号機の複数台のエレベーター1_1~1_nが並んで設けられたエレベーターシステムを例示している。また、図2には、例えばn号機のエレベーター1_nの前で、一人の人2と、一台のビル管理ロボット3とがエレベーター1_nへの乗車を待っている状態を図示している。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るエレベーターシステム10は、エレベーター制御装置11、かご制御装置12、エレベーターかご13、ドア制御装置14、エレベータードア15、かご内カメラ16、乗り場カメラ17、及び、通信装置18を備えている。本実施形態に係るエレベーターシステム10はさらに、ロボット制御装置20及び通信装置21,22を備えている。エレベーターシステム10は、例えば、複数台のエレベーター1_1~1_nの各号機ごとに設けられる。
【0015】
上記の構成のエレベーターシステム10において、エレベーター制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、エレベーターシステム10全体の制御を行う。具体的には、エレベーター制御装置11は、かご制御装置12を介してエレベーターかご13の昇降制御を行う。また、エレベーター制御装置11は、ドア制御装置14を介してエレベータードア15の開閉制御を行う。
【0016】
かご内カメラ16は、エレベーターかご13の例えば天井に設置され、エレベーター制御装置11による制御の下に、エレベーターかご13の内部を撮影し、その撮影結果をエレベーター制御装置11に供給する。乗り場カメラ17は、エレベーターフロアの例えば天井に、複数台のエレベーター1_1~1_nの各々に対応して設置された複数台の乗り場カメラ17_1~17_nから成り、エレベーター1_1~1_nの各々の前の乗り場を撮影し、その撮影結果をエレベーター制御装置11に供給する。かご内カメラ16及び乗り場カメラ17としては、例えば、CMOSイメージセンサを搭載した監視カメラなどを用いることができる。
【0017】
エレベーター制御装置11は、かご内カメラ16の撮影結果を基に、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車していることを確認する。具体的には、エレベーター制御装置11は、エレベーターかご13にビル管理ロボット3が乗車している場合において、かご内カメラ16から与えられるエレベーターかご1内の撮影結果を基に、エレベーターかご13に乗っているかご内人数を確認する。この場合、確認する乗車人数については、エレベーターかご13に乗車しているビル管理ロボット3を除く実人数とする。これにより、エレベーター制御装置11は、確認したかご内人数が0のときは、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車していると把握することができるし、確認したかご内人数が0以外(1以上)のときは、エレベーターかご13にビル管理ロボット3以外に少なくとも一人の利用者が乗車していると把握することができる。
【0018】
また、エレベーター制御装置11は、乗り場カメラ17(17_1~17_n)から与えられる、対応する号機の乗り場の撮影結果を基に、対応する号機の乗り場で待機している乗車人数を確認する。そして、エレベーター制御装置11は、乗り場で待機している乗車人数に応じて、エレベータードア15の開閉時間の制御を行う。因みに、乗り場で待機しているビル管理ロボット3については、後述するように、ビル管理ロボット3からエレベーター制御装置11に対して乗車する旨のエレベーター乗車情報が与えられることになる。
【0019】
ロボット制御装置20は、CPU等によって構成され、ビル管理ロボット3の制御、及び、ビル管理ロボット3から送信されるエレベーター乗車情報をエレベーター制御装置11に中継する。具体的には、ビル管理ロボット3は、ロボット本体3Aと通信装置3Bとから構成され、ロボット制御装置20に電気的に接続された通信装置21に対して、通信装置3Bを介して、ロボットの乗車階、乗車かご番号、行先階、乗降速度、エレベーターかご13の発進速度、走行速度、停止速度、及び、エレベータードア15のドア開閉速度等のエレベーター乗車情報を送信する。
【0020】
ビル管理ロボット3の通信装置3Bとロボット制御装置20側の通信装置21とは、Wi-Fi(登録商標)や無線LAN等の無線通信網23を介して通信可能となっている。一方、エレベーター制御装置11側の通信装置18とロボット制御装置20側の通信装置22とは、インターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワーク網24を介して通信可能となっている。ネットワーク網24の接続方法については、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0021】
上述したように、本実施形態に係るエレベーターシステム10は、同一のエレベーターかご13で人の搬送と自律型ロボット(本例では、ビル管理ロボット3)の搬送とを両立させることができるエレベーターを含むエレベーターシステムである。そして、上記の構成のエレベーターシステム10において、エレベーター制御装置11は、かご内カメラ16の撮影結果を基に、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車していることを確認したとき、エレベーターかご13の発進速度、運行速度、及び、停止速度を、人が乗車するときの速度よりも速くする制御を行う。
【0022】
エレベーター制御装置11による制御の下に、上述した制御を行うことにより、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車しているとき、ビル管理ロボット3の目的階への移動時間(搬送時間)を短縮することができる。したがって、ビル管理ロボット3の作業効率の向上を図ることができる。また、ビル管理ロボット3のみの利用時の乗車時間を短縮することができるため、エレベーターシステム10として、エレベーター1の運行効率の向上を図ることができる。
【0023】
エレベーター制御装置11はさらに、エレベーターかご13に人が乗車していない状況でビル管理ロボット3のみが乗車/降車する場合は、ビル管理ロボット3から与えられるエレベーター乗車情報からビル管理ロボット3の乗降速度を取得し、当該乗降速度に応じて、エレベータードア15の開閉速度を、人が乗車/降車する場合よりも速くする制御を行う。このように、ビル管理ロボット3の乗降速度に合わせてエレベータードア15の開閉速度を制御することで、ビル管理ロボット3の乗降時間を短縮することができるため、ビル管理ロボット3の目的階への移動時間を短縮することができる。
【0024】
[本発明の一実施形態に係るエレベーターの制御方法]
続いて、上記の構成のエレベーターシステム10におけるエレベーターの制御方法について、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は、本発明の一実施形態に係るエレベーターシステムにおけるエレベーターの制御方法の処理手順の一例を示すフローチャート(その1、その2)である。
【0025】
本実施形態に係るエレベーターの制御方法の一連の処理は、エレベーター制御装置11による制御の下に実行される処理である。エレベーター制御装置11は、ビル管理ロボット3からロボットの乗車階、乗車かご番号、行先階、乗降速度、エレベーターかご13の発進速度、運行速度、停止速度、及び、エレベータードア15のドア開閉速度等のエレベーター乗車情報を受信することで、以下の一連の処理を実行する。
【0026】
エレベーター制御装置11は、ビル管理ロボット3が送信したエレベーター乗車情報を受信し(ステップS11)、次いで、受信したエレベーター乗車情報のデータ解析を行う(ステップS12)。エレベーター制御装置11は、データ解析によって、ロボットの乗車階、乗車かご番号、行先階、乗降速度、エレベーターかご13の発進速度、運行速度、停止速度、及び、エレベータードア15のドア開閉速度等のエレベーター乗車情報を取得することができる。
【0027】
次に、エレベーター制御装置11は、乗り場カメラ17を起動し、乗り場カメラ17の撮影結果を基に乗り場で待機している乗車人数を確認し(ステップS13)、次いで、エレベーターかご13の到着を検知したら(ステップS14)、乗り場で待機しているのがビル管理ロボット3のみであるか否かを判断する(ステップS15)。
【0028】
ステップS15の判断処理において、エレベーター制御装置11は、乗り場カメラ17の撮影結果から、乗り場で待機している乗車人数が0の場合は、乗り場で待機しているのがビル管理ロボット3のみであると判断し、乗り場で待機している乗車人数が1以上の場合は、乗り場で待機しているのがビル管理ロボット3のみでないと判断する。
【0029】
エレベーター制御装置11は、乗り場で待機しているのがビル管理ロボット3のみであると判断した場合(S15のYES)、エレベータードア15のドア開閉速度を変更し、変更したドア開閉速度にてエレベータードア15の開閉処理を行う(ステップS16)。ドア開閉速度の変更については、ビル管理ロボット3からエレベーター乗車情報の一つとして予め与えられている乗降速度に応じてドア開閉速度を、人が乗車/降車するときのドア開閉速度よりも速い速度に変更する。
【0030】
また、エレベーター制御装置11は、乗り場で待機しているのがビル管理ロボット3のみでないと判断した場合(S15のNO)、人が乗車/降車するときのドア開閉速度と同じ通常時通りのドア開閉速度、即ち、ビル管理ロボット3からエレベーター乗車情報の一つとして予め与えられているドア開閉速度にてエレベータードア15の開閉処理を行う(ステップS17)。
【0031】
エレベータードア15の開閉処理後、エレベーター制御装置11は、かご内カメラ16の撮影結果を基に、エレベーターかご13に乗車しているかご内人数を確認し(ステップS18)、次いで、エレベーターかご13に乗車しているのがビル管理ロボット3のみであるか否かを判断する(ステップS19)。
【0032】
ステップS19の判断処理において、エレベーター制御装置11は、かご内カメラ16の撮影結果から、エレベーターかご13に乗っているかご内人数が0のときは、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車していると判断し、0以外のとき(即ち、1以上のとき)は、エレベーターかご13にビル管理ロボット3以外に少なくとも一人が乗車していると判断する。
【0033】
エレベーター制御装置11は、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車していると判断した場合(S19のYES)、エレベーターかご13の発進速度、運行速度、及び、停止速度を変更し、変更した発進速度及び運行速度にてエレベーターかご13を発進させる(ステップS20)。
【0034】
ここで、エレベーターかご13の発進速度、運行速度、及び、停止速度については、利用者の安全・安心を最優先に、利用者の乗り心地等を考慮して設定されている。これに対して、ステップS20における発進速度、運行速度、及び、停止速度の変更処理では、利用者の安全・安心、乗り心地等を考慮した発進速度、運行速度、及び、停止速度よりも速い速度に変更する。
【0035】
また、エレベーター制御装置11は、エレベーターかご13にビル管理ロボット3以外に少なくとも一人の利用者が乗車していると判断した場合(S19のNO)、人が乗り降りするときの通常の発進速度及び運行速度にてエレベーターかご13を発進させる(ステップS21)。
【0036】
次に、エレベーター制御装置11は、途中停止階で人又はビル管理ロボット3の乗車があるか否かを判断し(ステップS22)、乗車有りと判断した場合(S22のYES)、ステップS18に戻る。乗車無しと判断した場合(S22のNO)、エレベーター制御装置11は、途中停止階で人又はビル管理ロボット3の降車があるか否かを判断し(ステップS23)、降車有りと判断した場合は(S23のYES)、ステップS18に戻る。
【0037】
エレベーター制御装置11は、途中停止階で、人又はビル管理ロボット3の降車が無いと判断した場合は(S23のNO)、エレベーター1を行先階まで運行し(ステップS24)、次いで、ステップS16で変更した停止速度でエレベーターかご13を行先階に停止させる(ステップS25)。
【0038】
次に、エレベーター制御装置11は、ステップS19の場合と同様に、エレベーターかご13に乗車しているのがビル管理ロボット3のみであるか否かを判断する(ステップS26)。そして、エレベーター制御装置11は、エレベーターかご13に乗車しているのがビル管理ロボット3のみであると判断した場合(S26のYES)、ステップS16で変更したドア開閉速度にてエレベータードア15の開閉処理を行い(ステップS27)、人が乗車していると判断した場合(S26のNO)、通常時通りのドア開閉速度にて開閉処理を行う(ステップS28)。
【0039】
行先階でのエレベータードア15の開閉処理が終わることで、行先階にビル管理ロボット3が到着したことになり(ステップS29)、エレベーター制御装置11は、本実施形態に係るエレベーターの制御方法の上述した一連の処理を終了する。
【0040】
上述した本実施形態に係るエレベーターの制御方法の一連の処理により、上記の構成のエレベーターシステム10において、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車しているとき、エレベーターかご13の発進速度、運行速度、及び、停止速度を、人が乗車するときの速度よりも速くする制御を行うことができる。
【0041】
上記の制御を行うことにより、エレベーターかご13にビル管理ロボット3のみが乗車しているとき、ビル管理ロボット3の目的階への移動時間を短縮することができる。したがって、ビル管理ロボット3の作業効率の向上を図ることができる。また、ビル管理ロボット3のみの利用時の乗車時間(搬送時間)を短縮することができるため、エレベーターシステム10として、エレベーター1の運行効率の向上を図ることができる。
【0042】
さらに、エレベーターかご13に人が乗車していない状況でビル管理ロボット3のみが乗車/降車する場合は、ビル管理ロボット3の乗降速度に応じて、エレベータードア15の開閉速度を、人が乗車/降車する場合よりも速くする制御を行う。この制御により、ビル管理ロボット3の乗降時間を短縮することができるため、ビル管理ロボット3の目的階への移動時間を短縮することができる。
【0043】
[変形例]
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。すなわち、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0044】
例えば、上記した実施形態では、自律型ロボットとして、ビルの警備(巡回・見回り)を行うビル管理ロボットの場合を例に挙げて説明したが、本発明は、ビル管理ロボットへの適用に限られるものではなく、ビル(建物)内のごみ回収、清掃などを行うビル清掃ロボットや、荷物の配達・配送を行う荷物搬送ロボットなど、自律型ロボット全般に適用可能である。
【0045】
また、上記した実施形態では、エレベーターシステムとして、ビル(建物)内に複数台のエレベーターが並んで設けられたエレベーターシステムを例に挙げて説明したが、本発明は、複数台のエレベーターを含むエレベーターシステムへの適用に限られるものではなく、エレベーターが一台のみのエレベーターシステムに対しても同様に適用することができる。
【0046】
さらに、上記した実施形態では、エレベーター1の運行に関する速度として、エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度を例に挙げ、エレベーターかごにビル管理ロボットのみが乗車している場合に、エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度の全てについて変更するとしたが、必ずしも全てである必要はない。すなわち、エレベーターかごの運行速度、発進速度、及び、停止速度の少なくとも一つを変更した場合であっても、自律型ロボットの目的階への移動時間の短縮効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1(1_1~1_n)…エレベーター、2…人(利用者)、3…管理ロボット、10…エレベーターシステム、11…エレベーター制御装置、12…かご制御装置、13…エレベーターかご、14…ドア制御装置、15…エレベータードア、16…かご内カメラ、17…乗り場カメラ、20…ロボット制御装置
図1
図2
図3
図4