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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】スライドファスナー用装飾具
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/26 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
A44B19/26
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021098352
(22)【出願日】2021-06-11
(65)【公開番号】P2022189650
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500414589
【氏名又は名称】株式会社ドリームズ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 文香
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-074412(JP,U)
【文献】登録実用新案第3024093(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1282018(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1271268(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有するスライドファスナーの引き手に着脱可能に装着されるスライドファスナー用装飾具であって、
装飾具本体と、前記装飾具本体に形成されて所定方向に延びる挿入孔と、前記装飾具本体に形成された開口部と、前記挿入孔の内部に設けられると共にテーパ面が形成された突起と、を備え、
前記開口部は、前記所定方向に交差する方向に沿って前記挿入孔を開放し、
前記突起は、前記開口部に対向する位置に形成され、前記開口部に向かって前記挿入孔の内壁面から突出し、先端部が前記開口部に挿入されると共に、前記内壁面から所定の範囲に前記テーパ面が形成されていない基部を有し、
前記テーパ面は、前記基部と前記突起の先端との間に形成され、前記挿入孔の入口に臨むと共に、前記突起の先端に向かうにつれて前記挿入孔の奥に向かって傾斜する
ことを特徴とするスライドファスナー用装飾具。
【請求項2】
請求項1に記載されたスライドファスナー用装飾具において、
前記開口部は、前記突起の突出方向に沿って見たとき、前記挿入孔の入口側の内周面が前記入口に向かって突出した凸曲面を呈する
ことを特徴とするスライドファスナー用装飾具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたスライドファスナー用装飾具において、
前記突起の先端には、前記引き手の差し込み方向に沿って平坦な先端面が形成されている
ことを特徴とするスライドファスナー用装飾具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔を有するスライドファスナーの引き手に着脱可能に装着されるスライドファスナー用装飾具に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、装飾具本体に形成された凹部にスライドファスナーの引き手を差し込み可能とし、凹部の内側に形成された突起が、引き手に形成された貫通孔に入り込むことで引き手に装飾具本体が装着されるスライドファスナー用装飾具が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、装飾具本体が、底板と、底板の両側縁から起立する一対の側板とを備え、一対の側板の先端が内側に屈曲したスライドファスナー用装飾具が知られている(特許文献3参照)。この場合、底板及び一対の側板に囲まれた開放空間に引き手を差し込み、底板に形成された突起を引き手の貫通孔に入り込ませて装飾具本体を引き手に装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭55-23187号公報
【文献】実開昭56-155611号公報
【文献】実開昭55-136306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスライドファスナー用装飾具において、装飾具本体に形成された凹部にスライドファスナーの引き手を差し込んで装着する場合、引き手に形成された貫通孔に、凹部の内側に形成された突起が入り込んでいるか否かを、装飾具本体の外側から容易に確認できないという問題がある。
【0005】
また、底板と、底板の両側縁から起立する一対の側板とを装飾具本体が備えたスライドファスナー用装飾具では、底板に形成された突起が一対の側板の間に形成されている。このため、装飾具本体の外側から引き手に形成された貫通孔に突起が入り込んでいるか否かを確認することが可能である。しかしながら、このスライドファスナー用装飾具では、引き手を底板及び一対の側板に囲まれた開放空間に差し込み、内側に屈曲した側板の先端で引き手を保持している。そのため、引き手から装飾具本体が容易に外れるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、引き手への装着状態を容易に確認できると共に、引き手から容易に外れないスライドファスナー用装飾具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のスライドファスナー用装飾具は、貫通孔を有するスライドファスナーの引き手に着脱可能に装着される。そして、装飾具本体と、前記装飾具本体に形成されて所定方向に延びる挿入孔と、前記装飾具本体に形成された開口部と、前記挿入孔の内部に設けられると共にテーパ面が形成された突起と、を備えている。さらに、前記開口部は、前記所定方向に交差する方向に沿って前記挿入孔を開放し、前記突起は、前記開口部に対向する位置に形成され、前記開口部に向かって前記挿入孔の内壁面から突出し、先端部が前記開口部に挿入されると共に、前記内壁面から所定の範囲に前記テーパ面が形成されていない基部を有し、前記テーパ面は、前記基部と前記突起の先端との間に形成され、前記挿入孔の入口に臨むと共に、前記突起の先端に向かうにつれて前記挿入孔の奥に向かって傾斜する。
【発明の効果】
【0008】
この結果、本発明のスライドファスナー用装飾具は、引き手への装着状態を容易に確認できると共に、引き手から容易に外れない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のスライドファスナー用装飾具をスライドファスナーの引き手に装着した状態を示す斜視図である。
図2】実施例1のスライドファスナー用装飾具を示す外観斜視図である。
図3】実施例1のスライドファスナー用装飾具を示す正面図である。
図4図3におけるA-A断面図である。
図5】実施例1のスライドファスナー用装飾具を示す底面図である。
図6】実施例1のスライドファスナー用装飾具をスライドファスナーの引き手に装着する途中の状態を示す要部断面図である。
図7】実施例1のスライドファスナー用装飾具をスライドファスナーの引き手に装着した状態を示す要部断面図である。
図8】実施例1のスライドファスナー用装飾具をスライドファスナーの引き手に装着した状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のスライドファスナー用装飾具を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0011】
実施例1のスライドファスナー用装飾具10(以下、単に「装飾具10」と記載する)は、図1に示すように、貫通孔2を有するスライドファスナー(不図示)の引き手1に着脱可能に装着され、引き手1を装飾する。なお、引き手1は、スライドファスナーを開閉するスライダー3に取り付けられ、スライドファスナーの開閉時に引っ張られる。以下では、装飾具10への引き手1の装着方向(後述する挿入孔21への引き手1の差し込み方向)を「軸方向X」とし、軸方向Xに直交する方向であって、装飾具10に装着した引き手1の貫通孔2を貫通する方向を「上下方向Y」とし、軸方向X及び上下方向Yの双方に直交する方向を「幅方向Z」とする。なお、上下方向Yは、後述するように突起23の突出方向でもある。
【0012】
実施例1の装飾具10は、図2図5に示すように、装飾具本体20と、挿入孔21と、開口部22と、突起23と、を備えている。
【0013】
装飾具本体20は、合成樹脂製の充実材であり、引き手1に装着される。装飾具本体20の外形形状は、実施例1ではカメレオンを模した形状を呈しているが、これに限らない。装飾具本体20の外形形状は、例えば犬や猫等の動物、花等の動植物、乗り物、キャラクター等所望のモチーフを模した形状や、単なる直方体形状や円盤形状等の任意の形状にすることができる。また、装飾具本体20の大きさは、引き手1を差し込み可能な大きさであれば、任意の大きさとすることができる。装飾具本体20の材質である合成樹脂は、例えばPVC(polyvinyl chlorideポリ塩化ビニル)やシリコン、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)等を用いることができる。さらに、装飾具本体20には、任意の着色や模様等を施すことが可能である。
【0014】
挿入孔21は、装飾具本体20に形成され、所定方向である軸方向Xに沿って延びたへこみである。挿入孔21は、引き手1を差し込み可能な空間を有する。挿入孔21は、軸方向Xの一方の端部が装飾具本体20の外部に開放し、引き手1を差し込むための入口21aを構成している。ここで、入口21aは、全周にわたって装飾具本体20によって囲まれた開口になっている。入口21aの上下方向Yの寸法H及び幅方向Zの寸法W(図3参照)は、引き手1の大きさに応じて任意に設定される。また、挿入孔21は、図4に示すように、装飾具本体20を貫通しておらず、入口21aに対向する奥壁面21bを有している。
【0015】
開口部22は、装飾具本体20に形成された開口である。開口部22は、図4に示すように、軸方向Xに交差する上下方向Yに沿って挿入孔21の下側内壁面21cを貫通し、挿入孔21を開放する。なお、実施例1では、挿入孔21の延在方向である軸方向Xと、開口部22の延在方向とは直交しているが、これに限らない。開口部22は、下側内壁面21cを貫通して軸方向Xに交差し、挿入孔21を開放すればよい。そのため、開口部22は、挿入孔21から入口21a側に向かって次第に傾斜して挿入孔21を開放したり、入口21aから離れる方向に向かって次第に傾斜して挿入孔21を開放したりしてもよい。
【0016】
ここで、「挿入孔21の下側内壁面21c」は、挿入孔21の入口21aから奥壁面21bまでの間の内壁面のうち、上下方向Yに対向する二面のうちの軸方向Xの下側(一方)である。また、挿入孔21の入口21aから奥壁面21bまでの間の内壁面のうち、上下方向Yに沿って対向する二面のうちの軸方向Xの上側(他方)、つまり開口部22に対向する内壁面は「上側内壁面21d」とする。
【0017】
開口部22は、図5に示すように、上下方向Yに沿って見たときに、突起23を露出可能な開口面積を有している。また、開口部22は、実施例1では、上下方向Yに沿って見たとき、挿入孔21の入口21a側が湾曲した半円形と挿入孔21の奥側の矩形を組み合わせた形状を呈している。このため、開口部22は、上下方向Yに沿って見たとき、挿入孔21の入口21a側の所定範囲の内周面22αが入口21aに向かって突出した凸曲面を呈する。さらに、挿入孔21の入口21aから開口部22までの軸方向Xの最小距離L3(図5参照)は、入口21aを取り囲む装飾具本体20の過度な変形や破損を抑制することが可能な任意の距離に設定される。なお、凸曲面を呈する挿入孔21の所定範囲の内周面22αは、少なくとも挿入孔21に差し込まれた引き手1に上下方向Yで重複する範囲の内周面である。
【0018】
突起23は、開口部22に対向する位置に形成され、開口部22に向かって挿入孔21の上側内壁面21dから突出している(図4参照)。すなわち、突起23は、装飾具10に装着した引き手1の貫通孔2を貫通する方向である上下方向Yに沿って、上側内壁面21dから突出している。また、突起23は、装飾具本体20と一体成型されている。
【0019】
なお、実施例1では、上側内壁面21dが軸方向Xに沿って平坦に形成されているが、これに限らない。例えば、合成樹脂のひけによる装飾具本体20の変形等を抑制するため、上側内壁面21dを挿入孔21に対してへこんだ曲面等としてもよい。さらに、上側内壁面21dには、挿入孔21と奥壁面21bとの間に穴を設けて、ひけによる装飾具本体20の変形等を抑制してもよい。
【0020】
突起23は、引き手1の貫通孔2を貫通可能であって、引き手1を着脱する際に必要な強度と可撓性を担保する太さに設定されている。実施例1では、突起23は、挿入孔21の入口21a側が湾曲した半円柱と奥壁面21bに臨む角柱とを組み合わせた形状に形成されている。また、突起23から奥壁面21bまでの距離L1(図4参照)は、引き手1を挿入孔21に差し込んだ際、引き手1に押されて撓んだ突起23が奥壁面21bに干渉しない長さに設定されている。なお、奥壁面21bは、開口部22の内周面22aと面一になっている。さらに、突起23の上側内壁面21dからの突出長さL2(図4参照)は、引き手1を挿入孔21に差し込んだ際、貫通孔2を貫通する長さに設定されている。
【0021】
そして、突起23の外周面には、テーパ面24が形成されている。テーパ面24は、突起23の先端に向かうにつれて挿入孔21の奥、つまり奥壁面21b側に向かって傾斜する面である。テーパ面24は、突起23の外周面のうち、入口21aに臨む領域に形成されている。また、突起23は、上側内壁面21dから先端部23cに向かう所定の範囲に基部23aを有している。基部23aには、テーパ面24が形成されておらず、外形形状が半円柱と角柱を組み合わせた形状になっている。さらに、突起23は、軸方向Xに沿って平坦な先端面23bが先端に形成されている。このため、テーパ面24は、基部23aと先端面23bとの間に形成されている。なお、テーパ面24を形成しない基部23aの範囲は、引き手1の着脱時に必要な強度や可撓性を突起23に持たせることが可能な範囲とし、突起23の大きさ(太さ)や形状、材質等に応じて任意に設定される。
【0022】
さらに、挿入孔21は、突起23が形成された位置における上下方向Yの高さL4(上側内壁面21dから下側内壁面21cまでの距離、図4参照)が、突起23の上側内壁面21dからの突出長さL2よりも短く設定されている。このため、図4に示すように、突起23の先端部23cは、開口部22に挿入されている。言い換えると、突起23の先端部23cは、X方向において、開口部22と重なり合ってる(図3参照)。なお、突起23の開口部22への挿入長さは、引き手1を引っ張る力と突起23の強度や可撓性とに基づいて、引き手1を引っ張った際、引き手1からの装飾具10の脱落を抑制する長さに設定されている。また、実施例1の装飾具10では、開口部22を介して突起23の先端部23cが装飾具本体20の外部に突出することはなく、突起23は装飾具本体20の内部に収まっている。
【0023】
以下、実施例1の装飾具10の作用を説明する。
【0024】
実施例1の装飾具10は、図1に示すように、スライドファスナーの開閉に使用される引き手1を挿入孔21に差し込み、引き手1に形成された貫通孔2を突起23が貫通することで引き手1に装着される。
【0025】
すなわち、装飾具10を引き手1に装着する際、図6に示すように、入口21aから挿入孔21に差し込まれた引き手1の先端部1aが突起23に干渉し、引き手1を押し込んでいくことで突起23が変形する。そして、突起23が引き手1の先端部1aを乗り越えると、突起23が自身の弾性力で元の形状に戻り、図7に示すように引き手1に形成された貫通孔2に入り込む。つまり、突起23が貫通孔2を貫通する。これにより、引き手1が突起23に引っ掛かり、引き手1が挿入孔21から抜けることなく装飾具10を引き手1に装着することができる。
【0026】
また、装飾具10を引き手1から取り外すには、引き手1を挿入孔21から引き出す。これにより、突起23は、引き手1を差し込むときとは逆の方向(入口21a側)に向かって変形し、突起23が引き手1の先端部1aを乗り越えることで、貫通孔2から突起23が抜ける。このため、引き手1と突起23との引っ掛かりが解消し、装飾具10を引き手1から取り外すことができる。
【0027】
このように、実施例1の装飾具10は、装飾具本体20に形成した挿入孔21に引き手1を差し込んで装着し、引き手1を挿入孔21から引き出すことで取り外すことができる。なお、突起23には、挿入孔21の入口21aに臨むと共に、突起23の先端に向かうにつれて挿入孔21の奥に向かって傾斜したテーパ面24が形成されている。このため、引き手1に押し込まれた突起23を容易に変形させることができる一方、入口21a側に向かって突起23を変形しにくくできる。つまり、装飾具10の装着するときに必要な引き手1の押し込み力よりも、装飾具10を取り外すときに必要な引き手1の引っ張り力の方が大きくなる。これにより、装飾具10を容易に装着可能とすると共に、引き手1から外れにくくできる。
【0028】
また、装飾具10の着脱時に、引き手1の先端部1aを開口部22に向けて傾けることで、突起23が引き手1の先端部1aを乗り越えやすくなり、突起23を大きく変形させることなく装飾具10の着脱が可能となる。
【0029】
そして、実施例1の装飾具10では、装飾具本体20に形成された挿入孔21が、軸方向Xに延びるへこみであり、挿入孔21の入口21aは、全周にわたって装飾具本体20によって囲まれた開口である。そのため、挿入孔21に差し込まれた引き手1は、周囲が装飾具本体20で囲まれることになり、上下方向Yや幅方向Zに引っ張られても装飾具10から容易に外れることはない。これにより、装飾具10を引き手1から外れにくくできる。
【0030】
さらに、装飾具10の装飾具本体20には、挿入孔21の延在方向である軸方向Xに交差する方向に沿って挿入孔21を開放する開口部22が形成され、突起23が、開口部22に向かって挿入孔21の上側内壁面21dから突出している。このため、開口部22を突起23の突出方向(上下方向Y)に沿って見たとき、図8に示すように、開口部22を介して、突起23が引き手1の貫通孔2を貫通しているか否か目視することができる。これにより、装飾具10の引き手1への装着状態を、装飾具本体20の外側から容易に確認することができる。
【0031】
また、実施例1の装飾具10では、挿入孔21の突起23が形成された位置における上下方向Yの高さL4が、突起23の上側内壁面21dからの突出長さL2よりも短く設定されており、突起23の先端部23cが、開口部22に挿入されている。そのため、突起23の長さL2に拘らず、挿入孔21の高さL4を低く設定することができる。すなわち、挿入孔21の高さL4を、引き手1の厚みと同程度の寸法に設定することができる。
【0032】
また、突起23が開口部22に挿入されたことで、引き手1の貫通孔2を突起23が貫通した状態での引き手1の上下方向Yの移動を、下側内壁面21c及び上側内壁面21dによって規制することができる。このため、突起23が貫通孔2から抜けてしまうことを抑え、引き手1から装飾具10が容易に脱落しないようにできる。
【0033】
これにより、引き手1を挿入孔21に差し込んだ際、引き手1が上下方向Yに傾くことを抑制でき、装飾具10をさらに外れにくくできる。
【0034】
また、実施例1の装飾具10では、突起23は、上側内壁面21dから所定の範囲である基部23aにテーパ面24が形成されておらず、基部23aの外形形状は半円柱と角柱を組み合わせた形状になっている。これにより、軸方向Xに作用する力に対する基部23aの強度を、テーパ面24が形成された部分よりも高めることができる。これのため、装飾具10の着脱時に、突起23の過度な変形を抑制することができ、引き手1から装飾具10を外れにくくできる。また、突起23の破損を抑制することができる。
【0035】
さらに、実施例1の装飾具10では、開口部22が、上下方向Yに沿って装飾具本体20を見たとき、挿入孔21の入口21a側の所定範囲の内周面22αが入口21aに向かって突出した凸曲面を呈している。このため、挿入孔21を矩形状とし、内周面22αが軸方向Xに対して直交する場合と比べて、挿入孔21の入口21aから開口部22までの軸方向Xの最小距離L3が、過度に小さくなってしまうことを抑えることができる。これにより、入口21aを取り囲む装飾具本体20、特に下側内壁面21cに必要な強度を持たせることが可能となる。そして、引き手1の着脱時に、挿入孔21の入口21aと開口部22との間の装飾具本体20に力がかかっても、装飾具本体20の破損を防止することができる。
【0036】
また、実施例1の装飾具10では、突起23の先端に、軸方向Xに沿って平坦な先端面23bが形成されている。これにより、突起23の先端が引き手1に接触した際、突起23の先端部23cが引き手1に引っ掛かり、擦れたり変形したりすることを抑制できる。このため、突起23の損傷を防止することができる。
【0037】
以上、本発明の装飾具10を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0038】
実施例1の装飾具10では、挿入孔21の上下方向Yの高さL4が突起23の突出長さL2よりも短く設定され、突起23の先端部23cが開口部22に挿入された例を示したが、これに限らない。例えば、挿入孔21の上下方向Yの高さL4と、突起23の突出長さL2とをほぼ同じ長さに設定し、突起23の先端部23cが開口部22に挿入されないように設定してもよい。
【0039】
実施例1の装飾具10では、突起23が半円柱と角柱を組み合わせた形状に形成されているが、これに限らない。突起23は、引き手1を着脱する際に必要な強度と可撓性を担保できればよく、突起23の外形は、例えば円柱形状や角柱形状であってもよい。また、突起23には、挿入孔21の入口21aに臨むと共に、突起23の先端に向かうにつれて挿入孔21の奥に向かって傾斜したテーパ面24が形成されればよいので、突起23の外形を、円錐形や角錐形状としてもよい。
【0040】
さらに、実施例1の装飾具10では、突起23が、テーパ面24の形成されていない基部23aと、軸方向Xに沿って平坦な先端面23bとを有し、基部23aと先端面23bとの間にテーパ面24が形成された例を示したが、これに限らない。例えば、上記の基部23a又は上記の先端面23bのいずれか一方を設けなくてもよいし、突起23の全長にわたってテーパ面24を形成することで、上記の基部23a及び先端面23bの双方を設けなくてもよい。
【0041】
また、実施例1の装飾具10では、挿入孔21の入口21aが、装飾具本体20を軸方向Xに沿って見たときにほぼ矩形を呈する形状に形成され、挿入孔21がほぼ直方体の空間となっているが、これに限らない。入口21aの形状や挿入孔21の形状は、引き手1を差し込み可能であれば、任意の形状に設定することができる。すなわち、例えば軸方向Xに沿って見たときに入口21aを円形とし、挿入孔21を円筒状の空間としてもよいし、入口21aを矩形とし、挿入孔21を角筒状の空間としてもよい。また、挿入孔21を入口21aから奥壁面21bに向かって上下方向Yや幅方向Z、或いはその双方へ次第に広がる空間としてもよい。
【0042】
実施例1の装飾具10では、挿入孔21が装飾具本体20を貫通せず奥壁面21bを有する例を示したが、これに限らない。例えば、挿入孔21が装飾具本体20を貫通してもよいし、挿入孔21の内部を縮小或いは拡大する段差面を下側内壁面21cや上側内壁面21d等に有していてもよい。
【0043】
実施例1の装飾具10では、装飾具本体20を合成樹脂製とし、突起23を装飾具本体20と一体成型した例を示したが、これに限らない。突起23に引き手1を着脱する際に必要な強度と可撓性を持たせればよいので、装飾具本体20と突起23とを別体で形成してもよいし、装飾具本体20は合成樹脂以外の材質によって形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 引き手
1a 先端部
2 貫通孔
10 スライドファスナー用装飾具(装飾具)
20 装飾具本体
21 挿入孔
21a 入口
21b 奥壁面
21c 下側内壁面
21d 上側内壁面(内壁面)
22 開口部
23 突起
23a 基部
23b 先端面
23c 先端部
24 テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8