(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】グラスランの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60J 10/76 20160101AFI20240917BHJP
B60J 10/23 20160101ALI20240917BHJP
B60J 10/26 20160101ALI20240917BHJP
【FI】
B60J10/76
B60J10/23
B60J10/26
(21)【出願番号】P 2021131004
(22)【出願日】2021-08-11
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓郎
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-370542(JP,A)
【文献】実開平02-002230(JP,U)
【文献】特開平01-168519(JP,A)
【文献】特開2013-006493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア本体の上端部に設けられたドアサッシ部に装着されたグラスラン本体を押出成形によって成形し、
その後、前記グラスラン本体の車外側の側壁の先端部の外側面を切断し、
ドア本体のアウターパネルのフランジ部に取り付けられる意匠リップを成形金型によって型成形し、
前記意匠リップの型成形時に、前記車外側の側壁及び該車外側の側壁の前記切断された外側面を成形金型の内部に予めセットし、
前記成形金型の前記意匠リップを成形するキャビティと前記車外側の側壁の先端部側が収容される収容部との間に形成された凹部によって、型成形時に、前記意匠リップの成形材料が前記外側面の周囲を覆うように形成したことを特徴とするグラスランの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の車体開口部を開閉するドアのドアパネル(ドアサッシ)の内周に取り付けられて、ドアガラスを摺動案内するグラスランの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車のドアに取り付けられるグラスラン構造の一つとして、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
すなわち、自動車の例えばフロントドアは、ドアパネルであるアウターパネルとインナーパネルとをヘミング結合等により一体化したドア本体と、ドア本体の上側に設けられたアーチ状のドアサッシ部と、を有している。
【0004】
前記ドアサッシ部の内周には、ドアガラスとの間をシールする上辺部や縦辺部などからなるゴム製のグラスランが設けられている。また前記ドア本体のウエストラインには、直線状の下辺部であるインサイドシールが配設されている一方、
このグラスランは、上辺部と縦辺部などの直線部が押出成形によって形成されていると共に、前記インサイドシールも押出成形によって形成されている。また、インサイドシールを含む各直線部の突き合わせ端部の各コーナ部は型成形部によってそれぞれ接合されている。
【0005】
つまり、例えば、前記縦辺部の下端部とインサイドシールの長手方向の一端部が型成形によって接合されており、この型成形部側のグラスランは、インナーパネルの周縁に有するフランジ部に嵌着支持されたグラスラン本体と、該グラスラン本体の後述する車外側側壁の先端部に一体に接合されてアウターパネルの周縁に有するフランジ部に嵌着支持された意匠リップと、を備えている。
【0006】
グラスラン本体は、押出成形によって形成されて、ドアガラスの端部が対向する底壁と、該底壁の両側から立ち上がった車外側の側壁及び車内側の側壁と、該両側壁の対向内面に底壁側へ傾斜状に突出して、ドアガラスの両側面に摺動可能な複数の車外側シールリップと車内側シールリップと、を有している。また、車内側の側壁の先端部に折り返し状に支持リップが一体に設けられ、この支持リップと車内側の側壁との間にインナーパネルのフランジ部を嵌着させて支持されるようになっている。
【0007】
意匠リップは、コーナ部では型成形によって形成されて、車外側の側壁の先端部から車外方向へ折り返し状に折り曲げられていると共に、車外側の側壁の先端部から延びて車外方向へU字形状に折り返し状に形成されている。また、意匠リップと車外側の側壁との間、あるいはU字形状の意匠リップの間には、アウターパネルのフランジ部が嵌着されて、前記インナーパネルのフランジ部と協働してグラスラン全体を支持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記従来のようなグラスランにあっては、押出成形されたグラスラン本体の縦辺部の車外側の側壁の先端部外側面を型成形される意匠リップの基端部に接合するには、前記車外側の側壁の先端部の外側面を予め切断しておく。この切断された外側面側を、意匠リップを成形する射出成形機の成形金型内に配置する。この状態で、成形金型のキャビティ内に、溶融樹脂などの成形材料を注入して前記車外側の側壁の先端部外側面と意匠リップの基端部とを接合するようになっている。
【0010】
しかしながら、前記車外側の側壁の先端部の外側面を予め切断機で切断する際に、この車外側の側壁を切断機にセットする位置精度や、グラスラン本体の押出成形の成形精度の低下などに起因して、車外側の側壁の先端部の外側面の切断面(カット面)が直角方向ではなく斜め方向に切断されてしまう場合がある。
【0011】
このため、成形金型内で接合した前記外側面の切断面と意匠リップの基端部の端面との間に接合不良が発生して、グラスランをドアサッシ部に取り付けた際に、アウターパネルのフランジ部に対する意匠リップの支持力(嵌着力)が低下して、該意匠リップが前記フランジ部から浮き上がってしまい外観品質が低下するおそれがある。
【0012】
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、グラスラン本体と意匠リップとの接合時に、車外側の側壁の先端部外側面及びその周囲を意匠リップの成形材料で覆うことによって外側面と意匠リップとの間の接合不良の発生を防止し得るグラスランの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願請求項1に記載された発明は、車両のドア本体の上端部に設けられたドアサッシ部に装着されたグラスラン本体を押出成形によって成形し、
その後、前記グラスラン本体の車外側の側壁の先端部の外側面を切断し、
ドア本体のアウターパネルのフランジ部に取り付けられる意匠リップを成形金型によって型成形し、
前記意匠リップの型成形時に、前記車外側の側壁及び該車外側の側壁の前記切断された外側面を成形金型の内部に予めセットし、
前記成形金型の前記意匠リップを成形するキャビティと前記車外側の側壁の先端部側が収容される収容部との間に形成された凹部によって、型成形時に、前記意匠リップの成形材料が前記外側面の周囲を覆うように形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、グラスラン本体の車外側の側壁の先端部の外側面及びその周囲を意匠リップの成形材料で覆うことによって、前記外周面が斜めに切断された場合でも外側面と意匠リップとの接合不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のグラスラン構造が適用される自動車のフロントドアを車室内から視た側面図である。
【
図2】
図1のA部拡大図であって、ドアサッシ部を外した本実施形態のグラスラン構造を示している。
【
図5】本実施形態に供される意匠リップを成形する成形金型の要部断面図であって、具体的には、意匠リップとグラスラン本体の車外側の側壁の先端部とを接合する箇所の成形金型の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるグラスランの製造方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明のグラスラン構造が適用される自動車のフロントドアを車室内から視た側面図、
図2は
図1のA部拡大図、
図3は
図2のB-B線断面図、
図4は
図2のC-C線断面図である。
【0018】
図1に示すように、自動車の例えばフロントドア1は、ドア本体2と、ドア本体2の上側に設けられたアーチ状のドアサッシ部3と、を有している。
【0019】
ドア本体2は、
図3及び
図4に示すように、ドアパネルであるアウターパネル4とインナーパネル5とをヘミング結合等により一体化したものである。前記アウターパネル4は、端部が車内方向へほぼクランク状に折曲形成されて、周縁にフランジ部4aを有している。一方、インナーパネル5は、端部が車内側と車外側の側へほぼ逆U字形状に膨出形成されて、周縁のフランジ部5aが前記アウターパネル4のフランジ部4aと平行に下方向へ延びている。
【0020】
ドアサッシ部3は、
図3及び
図4にも示すように、アウターパネル4とインナーパネル5の間に形成されて、内周部が前記インナーパネル5に結合された図外のレインフォースブラケット(リテーナ)を有し、このリテーナの内周側に、長尺な横断面ほぼコ字形状のグラスラン10が嵌着状態に取り付けられている。また、前記ドア本体2のウエストラインには、直線状のインサイドシール11が配設されている(
図1参照)。
【0021】
グラスラン10は、ドアサッシ部3の内周面に沿った上辺部と縦辺部などによって構成され、各辺部の直線部が押出成形によって形成されていると共に、前記インサイドシール11も押出成形によって形成されている。また、インサイドシール11を含む各直線部の突き合わせ端部の各コーナ部Cは型成形部によってそれぞれ形成されている。
【0022】
つまり、
図2に示すように、グラスラン10の後述するグラスラン本体12の縦辺部の下端部12aとインサイドシール11の長手方向の一端部11aのコーナ部Cが型成形によって接合されている。
【0023】
このグラスラン10は、インナーパネル5の周縁に有するフランジ部5aに取り付けられたグラスラン本体12と、該グラスラン本体12の後述する車外側の側壁15の先端部15bに一体に接合された意匠リップ13と、を備えている。
【0024】
前記グラスラン本体12は、例えばEPDM(エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム)や熱可塑性エラストマーなどのゴム材を押出成形機によって押出成形されている。また、グラスラン本体12は、前述したように、縦辺部の下端部12aとドア本体2のインサイドシール11の長手方向の一端部11aの突き合わせ端部のコーナ部Cが型成形によって接合されている。
【0025】
グラスラン本体12は、
図1及び
図3、
図4に示すように、ドアガラス6の幅方向の車両後方側の一側面が対向する底壁14と、該底壁14の両側から立ち上がった車外側の側壁15及び車内側の側壁16と、該両側壁15,16の対向内面に底壁14側へ傾斜状に突出して、ドアガラス6の両側面に摺動可能な車外側シールリップ15aと車内側シールリップ16aと、を有している。
【0026】
グラスラン本体12の車外側の側壁15は、先端部15bの外側面15cが後述する意匠リップ13の基端部13aと接合する前に予め切断された切断面になっている。
【0027】
車内側の側壁16の先端部には、折り返し状に折り曲げられた支持リップ17が一体に設けられ、この支持リップ17と車内側の側壁16との間にインナーパネル5のフランジ部5aを嵌入(嵌着)させて支持されるようになっている。
【0028】
意匠リップ13は、例えばポリプロピレン(PP)などの軟質樹脂材によって形成され、前記コーナ部Cでは、
図5に示す成形金型20によって型成形されている。この意匠リップ13は、
図2に示すように、幅方向の長さLがグラスラン本体12側の一端部領域X1からインサイドシール11方向の中央部領域XC(図中上側から下側)に行くにしたがって漸次大きく形成されて、最大幅の中央部領域XCからインサイドシール11側の他端部領域X2に行くにしたがって漸次小さく形成されている。これによって、意匠リップ13は、側面視ほぼ三角形状に形成されている。
【0029】
具体的に説明すれば、この意匠リップ13は、一端部領域X1と他端部領域X2では、
図3に示すように、グラスラン本体12の車外側の側壁15の車外側シールリップ15aの一端が結合された先端部15bの外側面15cから車外側へ折り返し状に折り曲げられており、前記外側面15cに結合された基端部13aから先端部13bまでが車外側の側壁15に対して微小隙間をもって平行に形成されている。
【0030】
また、意匠リップ13は、一端部領域X1や他端部領域X2から漸次幅長さが大きくなる中央部領域XCでは、
図4に示すように、全体が断面ほぼU字形状に形成されており、基端部13aから延びた途中の部位13cから折り返し状に折り曲げられて先端部13b側の部位が基端部13a側の部位と微小隙間をもって平行に延びている。
【0031】
さらに、
図3及び
図4に示すように、意匠リップ13の一端部領域X1側や他端部領域X2側と車外側の側壁15との間、並びに中央部領域XCでは基端部13a側と先端部13b側の間に、アウターパネル4のフランジ部4aが嵌入されて、前記インナーパネル5のフランジ部5aと協働してグラスラン10全体が支持されるようになっている。なお、
図4の符番18は車内側のドアトリムである。
【0032】
そして、意匠リップ13は、基端部13aが型成形時においてグラスラン本体12の車外側の側壁15の先端部15bの外側面15c、つまり切断面に接合されている。すなわち、意匠リップ13の基端部13aは、端面がグラスラン本体12の車外側の側壁15の外側面15cに、
図5に示す射出成形機の成形金型20を用いて接合されている。
【0033】
図5は意匠リップ13の中央部領域XCとグラスラン本体12の車外側の側壁15の先端部15bとを接合する箇所の成形金型20を示している。
【0034】
成形金型20は、離型可能な複数の第1、第2、第3型部21,22,23などによって構成され、内部に意匠リップ13を成形するキャビティ24を有すると共に、該キャビティ24の側部に、予め押出成形されたグラスラン本体12の車外側の側壁15と車外側シールリップ15aを収容する収容部25を有している。
【0035】
また、収容部25を構成する第2型部22と第3型部23との間には、車外側の側壁15の先端部15bの外側面15c(切断面)と意匠リップ13の基端部13aの端面を接合するための連通部26が形成されている。この連通部26の一部には、型成形時に、意匠リップ13の基端部13aの成形材料が前記先端部15bの外側面15c(切断面)の周囲を覆うような凹部26aが形成されている。
【0036】
なお、
図5では意匠リップ13の中央部領域XCの成形と該中央部領域XCとグラスラン本体12の車外側の側壁15の先端部15bの外側面15cとを接合する成形金型20を示しているが、意匠リップ13の一端部領域X1と他端部領域X2と車外側の側壁15の先端部15bの外側面15cとを接合する成形金型には、前記凹部26aに相当するものがない。
〔グラスランの製造方法〕
以下、前記グラスランの製造方法、特に、グラスラン本体12の車外側の側壁15と意匠リップ13を接合する方法について説明する。
【0037】
グラスラン本体12の直線部を押出成形機によって長尺な押出成形品を形成する。その後、グラスラン本体12の車外側の側壁15の先端部15bの外側面15cを予め切断しておく。これは、例えば、外側面15cの表面を平坦にして意匠リップ13の基端部13aとの良好な接合性を確保するなどのためである。
【0038】
一方、コーナ部C側では、前記意匠リップ13を射出成形機の成形金型20で型成形によって成形するが、この意匠リップ13の型成形時に、前記グラスラン本体12の車外側の側壁15の底壁14の一部や車外側の側壁15及び切断された外側面15c側の部位を収容部25の内部に予めセットする。このセット位置は、前記連通部26に形成された凹部26a内に外側面15cの一部を配置する。
【0039】
その後、キャビティ24内に、意匠リップ13の成形材料であるポリプロピレン(PP)などの溶融された軟質樹脂材を注入する。これにより、キャビティ24に沿って意匠リップ13が成形されると共に、連通部26の凹部26a内にも充填されて車外側の側壁15の外側面15cとこの外側面15cの周囲の一部を覆う形で前記意匠リップ13とを接合する。
【0040】
これによって、車外側の側壁15の外側面15c及び外側面15cの周囲は、意匠リップ13の成形材料である軟質樹脂材によって覆われた形になることから、外側面15cの切断面がたとえ斜めになっている場合であっても外側面15cと意匠リップ13の基端部13aの端面との接合不良の発生を防止できる。
【0041】
すなわち、前述したように、押出成形されたグラスラン本体12の車外側の側壁15の外側面15cを予め切断機で切断する際に、この車外側の側壁15を切断機にセットする位置精度や、グラスラン本体12の押出成形の成形精度の低下などに起因して、外側面15cの切断面が意匠リップ13の基端部13a端面に対して平行方向ではなく斜め方向に切断されてしまう場合がある。これによって、意匠リップ13の基端部13aの端面と車外側の側壁15の先端部外側面15cとの接合不良を起こすおそれがあった。特に、このような接合不良を起こす領域は、意匠リップ13の中央部領域XCで顕著である。
【0042】
しかし、本実施形態では、凹部26aによってグラスラン本体12の車外側の側壁15の外側面15cやその周囲が、意匠リップ13の成形材料で覆われることから、外側面15cの切断面がたとえ斜めになっている場合であっても外側面15cと意匠リップ13との接合不良の発生を十分に抑制することができる。この結果、アウターパネル4のフランジ部4aに対する意匠リップ13の支持力の低下が抑制でき、前記フランジ部4aに対する安定かつ確実な取り付け性が得られることからフランジ部4aからの浮き上がりなどの発生を抑制できる。
【0043】
換言すれば、意匠リップ13のアウターパネル4のフランジ部4aに対する取り付け不良によるグラスラン10の外観品質の低下を防止できる。
【0044】
また、外側面15cの切断面の高い切断精度が要求されなくなるので、切断加工作業性が良好になる。
【0045】
さらに、意匠リップ13の型成形時に、連通部26の凹部26aの周壁が堰き止め壁として機能することから、連通部26から成形材料の外部への流出を防止することができる。
【0046】
前述した
図5に示す成形金型20による接合によって、意匠リップ13の中央部領域XCでは、凹部26aにより基端部13aの端縁と車外側の側壁15の先端部外側面15cとの間に微小な段差が生じているが、一端部領域X1や他端部領域X2では、成形金型20に凹部を有していないことから段差がなく、基端部13aの端縁と車外側の側壁15の先端部外側面15cとは連続した面になっている。
【0047】
なお、前記凹部26aによって形成される段差は、意匠リップ13の一端部領域X1と他端部領域X2から中央部領域XCにわたって漸次変化して、一端部、他端部領域X1,X2の接合箇所から中央部領域XCまで漸次3mm~5mmの高さに変化するようになっている。この中央部領域XCの前記段差は、外部から視認されることはないので、外観品質が低下することはない。
【0048】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えばグラスラン10や意匠リップ13の形状や構造を任意に変更することも可能である。
【0049】
また、グラスラン本体の押出成形部などを熱可塑性エラストマーなどによって形成したが、さらに全体の材質をさらに高剛性あるいは低剛性のものに変更することも可能である。また、部分的に材質を変更することも可能であり例えば、車外側シールリップ15aや車内側シールリップ16aをスポンジゴムなどで形成することも可能である。
【0050】
また、本発明のグラスランは、フロントドアの他にリアドアにも適用可能であることはいうまでもない。
【0051】
以上説明した実施形態に基づくグラスラン構造やグラスランの製造方法としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0052】
その一つの態様において、グラスラン構造としては、車両のドア本体の上端部に設けられたドアサッシ部に装着され、押出成形によって成形されたグラスラン本体と、型成形によって成形され、該型成形時に、前記グラスラン本体の車外側の側壁の予め切断された先端部の外側面に接合される意匠リップと、を備えたグラスラン構造であって、前記意匠リップの型成形時に、該意匠リップの成形材料で前記車外側の側壁の前記切断された外側面及び該外側面の周囲を覆った。
【0053】
別の好ましい態様として、グラスランの製造方法としては、車両のドア本体の上端部に設けられたドアサッシ部に装着されたグラスラン本体を押出成形によって成形し、
その後、前記グラスラン本体の車外側の側壁の先端部の外側面を切断し、
ドア本体のアウターパネルのフランジ部に取り付けられる意匠リップを成形金型によって型成形し、
前記意匠リップの型成形時に、前記車外側の側壁及び該車外側の側壁の前記切断された外側面を成形金型の内部に予めセットし、
その後、前記車外側の側壁の先端部の外側面及び該外側面の周囲を、前記意匠リップの成形材料によって覆った。
【0054】
さらに好ましくは、前記成形金型の前記意匠リップを成形するキャビティと前記車外側の側壁の先端部側が収容される収容部との間に形成された凹部によって、型成形時に、前記意匠リップの成形材料が前記外周面の周囲を覆うように形成した。
【0055】
これらの発明の態様によれば、グラスラン本体の車外側の側壁と意匠リップとの接合時に、車外側の側壁の切断面である外側面及びその周囲を意匠リップの成形材料で覆ったことによって外側面と意匠リップとの間の接合不良の発生を防止することが可能になる。
【符号の説明】
【0056】
1…フロントドア
3…ドアサッシ
4…アウターパネル
4a…フランジ部
5…インナーパネル
5a…フランジ部
6…ドアガラス
10…グラスラン
11…インサイドシール(下辺部)
11a…一端部
12…グラスラン本体(縦辺部)
12a…下端部
13…意匠リップ
13a…基端部
13b…先端部
14…底壁
15…車外側の側壁
15a…車外側シールリップ
15b…先端部
15c…外側面(切断面)
16…車内側の側壁
16a…車内側シールリップ
C…コーナ部
X1…一端部領域
X2…他端部領域
XC…中央部領域