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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240917BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240917BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240917BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L27/04 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021151461
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2023043700
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 駿
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-099275(JP,A)
【文献】特開2013-118336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0348333(US,A1)
【文献】特開2011-254387(JP,A)
【文献】特開2021-040051(JP,A)
【文献】特開2015-115464(JP,A)
【文献】国際公開第2021/010210(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
各々が前記基板の上面上に互いに離れて設けられた第1導電体及び第2導電体と、
前記第1導電体の上面上に設けられ、前記第1導電体に電気的に接続された第1端を有する第1トランジスタと、
前記第2導電体の上面上に設けられ、前記第2導電体に電気的に接続された第1端を有する第2トランジスタと、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの上方において平板形状を有する第1部分を含み、前記第1トランジスタの第2端と前記第2トランジスタの前記第1端との間を電気的に接続する第3導電体と、
前記第1部分を介して互いに電気的に接続される第1端子及び第2端子と、
を備えた、
半導体装置。
【請求項2】
前記第3導電体は、
前記第1部分と前記第1端子との間を電気的に接続する第2部分と、
前記第1部分と前記第2端子との間を電気的に接続する第3部分と、
を更に含む、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板に対して固定された容器を更に備え、
前記第1端子及び前記第2端子は、前記容器の外側に設けられた、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1トランジスタの前記第2端と前記第1端子との間を、前記第3導電体を介することなく電気的に接続する第4導電体と、
前記第2トランジスタの前記第1端と前記第2端子との間を、前記第3導電体を介することなく電気的に接続する第5導電体と、
を更に備えた、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板に対して固定された容器を更に備え、
前記第1端子及び前記第2端子は、前記容器の外側に設けられた、
請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基板の上面上に前記第1導電体及び前記第2導電体と離れて設けられ、前記第1トランジスタの前記第2端に電気的に接続された第6導電体を更に備え、
前記第3導電体は、前記第6導電体と前記第2導電体との間を電気的に接続する、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1トランジスタの前記第2端と、前記第6導電体との間を電気的に接続する第7導電体を更に備え、
前記第1部分は、前記第7導電体の上方に設けられた、
請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1トランジスタの上方に設けられ、前記第1トランジスタの前記第2端に電気的に接続された第8導電体と、
前記第2トランジスタの上方に設けられ、前記第2トランジスタの前記第1端に電気的に接続された第9導電体と、
を更に備え、
前記第3導電体は、前記第8導電体と前記第9導電体との間を電気的に接続する、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3導電体は、前記第1部分と出力端子との間を電気的に接続する第4部分を更に含む、
請求項1記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力を実現する半導体装置として、パワーモジュールが知られている。パワーモジュールは、複数のパワー半導体が集積された1個のパッケージとして構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-195138号公報
【文献】特開2012-120355号公報
【文献】特開2011-254387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路内に流れる電流を検出する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、基板と、各々が上記基板の上面上に互いに離れて設けられた第1導電体及び第2導電体と、上記第1導電体の上面上に設けられ、上記第1導電体に電気的に接続された第1端を有する第1トランジスタと、上記第2導電体の上面上に設けられ、上記第2導電体に電気的に接続された第1端を有する第2トランジスタと、上記第1トランジスタ及び上記第2トランジスタの上方において平板形状を有する第1部分を含み、上記第1トランジスタの第2端と上記第2トランジスタの上記第1端との間を電気的に接続する第3導電体と、上記第1部分を介して互いに電気的に接続される第1端子及び第2端子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の外部構造を示す斜視図。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す正面図。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す側面図。
図6】第2実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図7】第3実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図8】第4実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図9】第4実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す正面図。
図10】第4実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0008】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字又は数字を付加する場合がある。
【0009】
1. 第1実施形態
第1実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0010】
第1実施形態に係る半導体装置は、パワーモジュールである。第1実施形態に係る半導体装置は、例えば、鉄道車両用の電力変換装置、又は再生可能エネルギー発電システム用の産業用機器等に適用される。
【0011】
1.1 構成
第1実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
【0012】
1.1.1 外部構造
まず、第1実施形態に係る半導体装置の外部構造について説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の外部構造の一例を示す斜視図である。半導体装置1は、外部構造として、ベース基板10、ケース11、並びに蓋12及び13を備える。ベース基板10、ケース11、並びに蓋12及び13は、半導体装置1の容器を形成する。半導体装置1の容器内には、半導体素子を含む回路構成(図示せず)が収容される。
【0014】
ベース基板10は、半導体装置1の支持体である。ベース基板10は、平板形状を有する。ベース基板10は、半導体装置1の容器の下部に対応する。ベース基板10は、例えば、四隅にネジ穴を有する。ベース基板10は、ネジ穴を介して、半導体装置1の外部の機器(図示せず)に対して固定されることができる。ベース基板10は、例えば、銅(Cu)又はセラミックスを含む。
【0015】
ベース基板10の上面上に、ケース11が設けられる。ケース11は、角筒形状を有する絶縁体である。ケース11は、半導体装置1の容器の側部に対応する。ケース11は、ベース基板10に対して固定される。ケース11は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly-Phenylene Sulfide)を含む。
【0016】
ケース11の上面上に、蓋12及び13が設けられる。蓋12及び13は、平板形状を有する絶縁体である。蓋12及び13は、半導体装置1の容器の上部に対応する。蓋12及び13は、ケース11に対して固定される。蓋12及び13は、例えば、PPSを含む。
【0017】
以上のようなベース基板10、ケース11、並びに蓋12及び13が組み立てられることによって、容器の内部には、回路構成を配置するための空間が形成される。以下の説明では、ベース基板10とケース11との接触面に平行な平面を、XY平面とする。XY平面内において、ベース基板10の長辺方向及び短辺方向を、それぞれX方向及びY方向とする。ベース基板10に対するケース11の延伸方向を、Z方向又は上方向とする。+X方向視、+Y方向視、及び-Z方向視はそれぞれ、正面視、側面視、及び平面視に対応する。
【0018】
また、半導体装置1は、端子14、15、16、及び17を更に備える。
【0019】
端子14、15、16、及び17はそれぞれ、半導体装置1の外部の機器と、内部の回路構成と、の間を電気的に接続するブスバー(図示せず)の端部である。図1の例では、2個の端子14、2個の端子15、3個の端子16、及び8個の端子17が示される。なお、端子14、15、16、及び17の各々の数は、図1の例に限らず、任意の数に設計され得る。
【0020】
2個の端子14は、入力端子である。2個の端子14は、P(Positive)極性を有する。2個の端子14は、互いに電気的に接続される。2個の端子14は、ケース11と蓋13との間にY方向に並んで配置される。
【0021】
2個の端子15は、入力端子である。2個の端子15は、N(Negative)極性を有する。2個の端子15は、互いに電気的に接続される。2個の端子15は、蓋12と蓋13との間にY方向に並んで配置される。
【0022】
3個の端子16は、出力端子である。3個の端子16は、AC(Alternating Current)端子とも呼ばれる。3個の端子16は、互いに電気的に接続される。3個の端子16は、ケース11と蓋12との間にY方向に並んで配置される。
【0023】
8個の端子17は、制御端子及びモニタ端子である。制御端子は、例えば、半導体装置1の回路構成に含まれる半導体素子を駆動するか否かを制御するための端子である。モニタ端子は、例えば、半導体装置1の回路構成の電気的特性をモニタするための端子である。8個の端子17は、蓋12のX方向に沿って対向する2辺上にそれぞれ4個ずつ配置される。
【0024】
1.1.2 回路構成
次に、第1実施形態に係る半導体装置の回路構成について説明する。
【0025】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図である。図2の例では、半導体装置1は、内部の回路構成に含まれる電気的素子として、トランジスタTup及びTlow、並びにインダクタンスLを含む場合が示される。
【0026】
トランジスタTup及びTlowは、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタである。トランジスタTup及びTlowは、n型トランジスタである。トランジスタTup及びTlowは、直列に接続される。
【0027】
インダクタンスLは、半導体装置1の回路構成における寄生インダクタンスである。インダクタンスLは、トランジスタTupとTlowとの間を直列に接続する。
【0028】
具体的には、トランジスタTupは、ノードPに接続されたドレイン端と、インダクタンスLの第1端に接続されたソース端と、ノードG1に接続されたゲート端と、を有する。トランジスタTlowは、インダクタンスLの第2端に接続されたドレイン端と、ノードNに接続されたソース端と、ノードG2に接続されたゲート端と、を有する。インダクタンスLの第1端、及びトランジスタTupのソース端は、ノードM1に共通接続される。インダクタンスLの第2端、及びトランジスタTlowのドレイン端は、ノードAC及びノードM2に共通接続される。
【0029】
ノードP、N、ACはそれぞれ、端子14、15、及び16に対応する。ノードG1及びG2はそれぞれ、端子17のうちの互いに異なる2個の制御端子に対応する。ノードM1及びM2はそれぞれ、端子17のうちの互いに異なる2個のモニタ端子に対応する。
【0030】
以上のような構成により、半導体装置1の内部の半導体素子を、半導体装置1の外部から供給される電圧によって制御することができる。
【0031】
なお、半導体装置1の回路構成は、図2の例に限られない。例えば、トランジスタTup及びTlowは、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)であってもよい。また、図2の例では、トランジスタTup及びTlowがそれぞれ1個ずつ示されるが、これに限られない。例えば、トランジスタTup及びTlowの各々は、互いに並列に接続された複数のトランジスタによって構成されていてもよい。
【0032】
1.1.3 内部構造
次に、第1実施形態に係る半導体装置の内部構造について説明する。
【0033】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図である。図4は、第1実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す正面図である。図5は、第1実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す側面図である。図3では、蓋12及び13、並びにブスバーが省略される。図4及び図5では、ケース11、蓋12及び13、並びにブスバーが省略される。
【0034】
半導体装置1の内部構造は、ベース基板10上に設けられる。具体的には、半導体装置1は、内部構造として、絶縁基板20、導電体21、22、24、31、32、34、及び40、並びに半導体素子23及び33を備える。
【0035】
図3図5の例では、導電体21は、導電体21a及び21bを含む。導電体22は、導電体22a及び22bを含む。半導体素子23は、6個の半導体素子23a及び6個の半導体素子23bを含む。導電体24は、6個の導電体24a及び6個の導電体24bを含む。導電体31は、導電体31a及び31bを含む。導電体32は、導電体32a及び32bを含む。半導体素子33は、6個の半導体素子33a及び6個の半導体素子33bを含む。導電体34は、6個の導電体34a及び6個の導電体34bを含む。導電体21、22、及び24、並びに半導体素子23は、上アームAUを構成する。導電体31、32、及び34、並びに半導体素子33は、下アームALを構成する。導電体40は、上アームAUと下アームALとの間を電気的に接続する。
【0036】
絶縁基板20は、半導体装置1の回路構成を支持する絶縁性の基板である。絶縁基板20は、ベース基板10の上面上に設けられる。絶縁基板20は、例えば、窒化シリコン(SiN)を含む。絶縁基板20の上面上に、上アームAU及び下アームALの各々の構成が設けられる。
【0037】
まず、上アームAUの構成について説明する。
【0038】
導電体21a、21b、22a、及び22bは、上アームAUの配線パターン(導電体)である。導電体21a、21b、22a、及び22bは、絶縁基板20の上面上に互いに離れて設けられる。導電体21a及び21bは、図示せぬブスバーを介して、端子14に接続される。導電体22a及び22bは、導電体40を介して、導電体31a及び31bに接続される。
【0039】
半導体素子23a及び23bは、トランジスタTupである。半導体素子23a及び23bはそれぞれ、導電体21aの上面上及び導電体21bの上面上に設けられる。半導体素子23a及び23bの各々は、下面にドレイン端を有する。これにより、半導体素子23a及び23bのドレイン端はそれぞれ、導電体21a及び21bと電気的に接続される。また、半導体素子23a及び23bの各々は、上面にソース端を有する。
【0040】
導電体24a及び24bは、ボンディングワイヤである。導電体24aは、半導体素子23aの上面のうちソース端に対応する部分と、導電体22aの上面との間を接続する。導電体24bは、半導体素子23bの上面のうちソース端に対応する部分と、導電体22bの上面との間を接続する。これにより、半導体素子23a及び23bのソース端はそれぞれ、導電体22a及び22bと電気的に接続される。
【0041】
次に、下アームALの構成について説明する。
【0042】
導電体31a、31b、32a、及び32bは、下アームALの配線パターン(導電体)である。導電体31a、31b、32a、及び32bは、絶縁基板20の上面上のうち導電体21a、21b、22a、及び22bから離れた位置に、互いに離れて設けられる。導電体31a及び31bは、図示せぬブスバーを介して、端子16に接続される。導電体32a及び32bは、図示せぬブスバーを介して、端子15に接続される。
【0043】
半導体素子33a及び33bは、トランジスタTlowである。半導体素子33a及び33bはそれぞれ、導電体31aの上面上及び導電体31bの上面上に設けられる。半導体素子33a及び33bの各々は、下面にドレイン端を有する。これにより、半導体素子33a及び33bのドレイン端はそれぞれ、導電体31a及び31bと電気的に接続される。また、半導体素子33a及び33bの各々は、上面にソース端を有する。
【0044】
導電体34a及び34bは、ボンディングワイヤである。導電体34aは、半導体素子33aの上面のうちソース端に対応する部分と、導電体32aの上面との間を接続する。導電体34bは、半導体素子33bの上面のうちソース端に対応する部分と、導電体32bの上面との間を接続する。これにより、半導体素子33a及び33bのソース端はそれぞれ、導電体32a及び32bと電気的に接続される。
【0045】
次に、上アームAUと下アームALとの間を接続する導電体40の構成について説明する。
【0046】
導電体40は、例えば、一体に形成された導電体である。導電体40は、インダクタンスLに対応する。図3図5の例では、導電体40は、脚部41及び42、架橋部43、44、及び45、並びにリード46及び47を含む。脚部41は、脚部41a及び41bを含む。脚部42は、脚部42a及び42bを含む。
【0047】
脚部41a、41b、42a、及び42bは、架橋部43、44、及び45を支持する部分である。脚部41a及び41bはそれぞれ、導電体22a及び22bの上面上に設けられる。脚部42a及び42bはそれぞれ、導電体31a及び31bの上面上に設けられる。脚部41a、41b、42a、及び42bは、Z方向に延びる。脚部41a、41b、42a、及び42bの各々の上端の位置は、導電体24a、24b、34a、及び34bの上端の位置より高い。
【0048】
架橋部43、44、及び45は、上アームAU及び下アームALの上方において、上アームAUと下アームALとの間を接続する部分である。架橋部43は、脚部41aの上端に接続された第1端と、脚部41bの上端に接続された第2端と、を有する。架橋部43は、架橋部45に対して、導電体24a及び24bを並列に接続する。架橋部44は、脚部42aの上端に接続された第1端と、脚部42bの上端に接続された第2端と、を有する。架橋部44は、架橋部45に対して、導電体34a及び34bを並列に接続する。架橋部45は、架橋部43に接続された第1端と、架橋部44に接続された第2端と、を有する。架橋部43、44、及び45は、XY平面内に延びる。図3の例では、架橋部43及び44は、Y方向に延びる平板形状を有する。架橋部45は、X方向に延びる平板形状を有する。
【0049】
脚部41a、41b、42a、及び42b、並びに架橋部43、44、及び45の組成及び形状(幅、長さ、厚さ等)は、有意な大きさのインダクタンスLが発生するように調整される。これにより、導電体40の両端間に生じる誘導起電力が有意な値となる。
【0050】
なお、脚部41a、41b、42a、及び42bは、例えば、互いに同等の形状を有する。架橋部43及び44は、例えば、同等の形状を有する。架橋部45の第1端は、例えば、架橋部43の第1端と第2端との中間位置に接続される。架橋部45の第2端は、例えば、架橋部44の第1端と第2端との中間位置に接続される。これにより、導電体40による導電体22a、22b、31a、及び32bの間の電位差が抑制される。
【0051】
リード46は、ノードM1に対応する端子17と、インダクタンスLの第1端との間を接続する部分である。リード46は、例えば、架橋部43に接続された第1端と、ノードM1に対応する端子17に接続された第2端と、を有する。
【0052】
リード47は、ノードM2に対応する端子17と、インダクタンスLの第2端との間を接続する部分である。リード47は、例えば、架橋部44に接続された第1端と、ノードM2に対応する端子17に接続された第2端と、を有する。
【0053】
以上のような構成により、ノードM1及びM2にそれぞれ対応する2個の端子17を介して、導電体40の両端間に生じる誘導起電力をモニタすることができる。そして、当該誘導起電力に基づき、トランジスタTupとトランジスタTlowとの間を流れる電流を検出することができる。
【0054】
1.2 第1実施形態に係る効果
第1実施形態によれば、半導体装置1の回路構成内に流れる電流を検出することができる。本効果について以下に説明する。
【0055】
導電体40は、半導体素子23のソース端と半導体素子33のドレイン端との間を接続する。具体的には、導電体40の脚部41及び42はそれぞれ、導電体22及び31上に設けられる。導電体40は、半導体素子23及び33の上方において、平板形状を有する架橋部43、44、及び45を含む。これにより、架橋部43、44、及び45は、絶縁基板20上に形成される配線パターンに依存せずに幅、及び長さ等の形状を設計することができる。このため、配線パターンに影響を与えることなく、導電体40の両端間に生じるインダクタンスLの大きさを、電流検出可能な程度に大きく、かつサージの発生を抑制可能な程度に小さい範囲に調整することができる。したがって、トランジスタTup及びTlow間を流れる電流を検出するための負荷を軽減することができる。
【0056】
また、導電体40は、ノードM1に対応する端子17と、架橋部43、44、及び45との間を接続するリード46を含む。導電体40は、ノードM2に対応する端子17と、架橋部43、44、及び45との間を接続するリード47を含む。これにより、ノードM1及びM2にそれぞれ対応する2個の端子17を介して、インダクタンスLに基づいて、トランジスタTup及びTlow間を流れる電流を検出することができる。
【0057】
また、絶縁基板20は、容器に固定される。容器は、ベース基板10、ケース11、並びに蓋12及び13を含む。端子14、15、16、及び17は、容器の外側に設けられる。これにより、パワーモジュールの外部から、パワーモジュール内の回路構成であるトランジスタTup及びTlow間を流れる電流をモニタすることができる。
【0058】
また、架橋部43、44、及び45は、導電体24及び34の上方に位置する。これにより、架橋部43、44、及び45の形状を、ワイヤボンディングのレイアウトに依存することなく設計することができる。このため、インダクタンスLの設計負荷を軽減することができる。
【0059】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0060】
第2実施形態に係る半導体装置は、ノードACに対応する端子16と半導体装置1の回路構成とを電気的に接続するブスバーが、導電体40と一体に形成される点において、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成について主に説明する。第1実施形態と同等の構成については、適宜その説明を省略する。
【0061】
2.1 半導体装置の内部構造
図6は、第2実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図である。図6は、第1実施形態における図3に対応する。
【0062】
導電体40は、端子接続部48を更に含む。端子接続部48は、ノードACに対応する端子16と、架橋部43との間を接続する部分である。端子接続部48は、例えば、脚部41及び42、架橋部43、44、及び45、並びにリード46及び47と共に、一体に形成される。
【0063】
なお、図6の例では、端子接続部48が架橋部43に接続される場合が示されるが、これに限られない。例えば、端子接続部48は、脚部41及び42、並びに架橋部44及び45のいずれかに接続されてもよい。
【0064】
2.2 第2実施形態に係る効果
第2実施形態によれば、導電体40は、端子接続部48を介して、端子16と接続される。これにより、トランジスタTup及びTlowの間の電気的経路と、端子16との間を電気的に接続する部品を導電体40とは別に設けることを回避できる。このため、半導体装置1の部品数を削減することができる。したがって、半導体装置1内の設計に対する負荷を軽減することができる。
【0065】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0066】
第3実施形態に係る半導体装置は、ノードM1及びM2にそれぞれ対応する2個の端子17が導電体40とは異なる部品によって半導体装置1内の回路構成と電気的に接続される点において、第1実施形態及び第2実施形態に係る半導体装置と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成について主に説明する。第1実施形態と同等の構成については、適宜その説明を省略する。
【0067】
3.1 半導体装置の内部構造
図7は、第3実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図である。図7は、第1実施形態における図3に対応する。
【0068】
導電体40は、脚部41及び42、並びに架橋部43、44、及び45によって構成される。
【0069】
半導体装置1は、導電体51及び52を更に備える。
【0070】
導電体51は、ノードM1に対応する端子17と、インダクタンスLの第1端との間を接続する導電体である。導電体51は、導電体22bの上面上に接続された第1端と、ノードM1に対応する端子17に接続された第2端と、を有する。
【0071】
導電体52は、ノードM2に対応する端子17と、インダクタンスLの第2端との間を接続する導電体である。導電体52は、導電体31aの上面上に接続された第1端と、ノードM2に対応する端子17に接続された第2端と、を有する。
【0072】
なお、図7の例では、導電体51及び52がそれぞれ導電体22b及び31aに接続される場合が示されるが、これに限られない。例えば、導電体51は、導電体22aに接続されてもよい。導電体52は、導電体31bに接続されてもよい。
【0073】
3.2 第3実施形態に係る効果
第3実施形態によれば、ノードM1及びM2にそれぞれ対応する2個の端子17は、導電体40とは異なる導電体51及び52によって、トランジスタTup及びTlowの間に電気的に接続される。これにより、導電体40に依存することなく、モニタ位置を自由に設計することができる。
【0074】
補足すると、ノードM1及びM2にそれぞれ対応する2個の端子は、ソースセンス端子としても機能し得る。ソースセンス端子によるモニタ位置は、トランジスタTup及びTlowのスイッチング速度に影響する場合がある。第3実施形態によれば、導電体51及び52はそれぞれ、導電体22a及び22b、並びに導電体31a及び31bとの接続位置の調整に関する自由度が高い。このため、トランジスタTup及びTlowのスイッチング速度を容易に調整することができる。
【0075】
なお、第3実施形態に係る半導体装置には、第1実施形態における構成に限らず、第2実施形態における構成を適用可能である。この場合、第3実施形態に係る半導体装置は、第2実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0076】
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0077】
第4実施形態に係る半導体装置は、半導体素子23及び33の各々のソース端に接続される配線パターンが半導体素子23及び33の上面上に設けられる点において、第1実施形態乃至第3実施形態に係る半導体装置と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成について主に説明する。第1実施形態と同等の構成については、適宜その説明を省略する。
【0078】
4.1 半導体装置の内部構造
図8は、第4実施形態に係る半導体装置の内部の平面レイアウトの一例を示す平面図である。図9は、第4実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す正面図である。図10は、第4実施形態に係る半導体装置の内部の立体構造の一例を示す側面図である。図8図9、及び図10はそれぞれ、第1実施形態における図3図4、及び図5に対応する。
【0079】
半導体装置1は、内部構造として、絶縁基板20、導電体40’、61、63、71、及び73、半導体素子62及び72、並びに配線基板64、65、74、及び75を含む。
【0080】
図8図10の例では、導電体61は、導電体61a及び61bを含む。半導体素子62は、6個の半導体素子62a及び6個の半導体素子62bを含む。導電体63は、導電体63a及び63bを含む。配線基板64は、配線基板64a及び64bを含む。配線基板65は、配線基板65a及び65bを含む。導電体71は、導電体71a及び71bを含む。半導体素子72は、6個の半導体素子72a及び6個の半導体素子72bを含む。導電体73は、導電体73a及び73bを含む。配線基板74は、配線基板74a及び74bを含む。配線基板75は、配線基板75a及び75bを含む。導電体61及び63、半導体素子62、並びに配線基板64及び65は、上アームAUを構成する。導電体71及び73、半導体素子72、並びに配線基板74及び75は、下アームALを構成する。導電体40’は、上アームAUと下アームALとの間を接続する。
【0081】
まず、上アームAUの構成について説明する。
【0082】
導電体61a及び61bは、トランジスタTupに対する下方の配線パターン(導電体)である。導電体61a及び61bは、絶縁基板20の上面上に互いに離れて設けられる。
【0083】
半導体素子62a及び62bは、トランジスタTupである。半導体素子62a及び62bはそれぞれ、導電体61aの上面上及び導電体61bの上面上に設けられる。半導体素子62a及び62bの各々は、下面にドレイン端を有する。また、半導体素子62a及び62bの各々は、上面にソース端を有する。
【0084】
導電体63a及び63bは、金属のスペーサである。導電体63a及び63bはそれぞれ、導電体61aの上面上及び導電体61bの上面上に設けられる。導電体63a及び63bの高さは、例えば、半導体素子62a及び62bの高さと等しい。
【0085】
配線基板64a及び64bは、トランジスタTupに対する上方の配線パターン(導電体)を含む。配線基板64a及び64bはそれぞれ、半導体素子62aの上面上及び半導体素子62bの上面上に設けられる。これにより、半導体素子62a及び62bのソース端はそれぞれ、配線基板64a及び64bと電気的に接続される。配線基板64a及び64bは、導電体40’を介して、配線基板75a及び75bに接続される。
【0086】
配線基板65a及び65bは、PCB(Printed Circuit Board)基板である。配線基板65a及び65bは、トランジスタTupに対する上方の配線パターン(導電体)を含む。配線基板65a及び65bは、平板形状を有する導電体でもよい。配線基板65a及び65bはそれぞれ、導電体63aの上面上及び導電体63bの上面上に設けられる。これにより、半導体素子62a及び62bのドレイン端はそれぞれ、配線基板65a及び65bと電気的に接続される。配線基板65a及び65bは、図示せぬブスバーを介して、端子14に接続される。
【0087】
次に、下アームALの構成について説明する。
【0088】
導電体71a及び71bは、トランジスタTlowに対する下方の配線パターン(導電体)である。導電体71a及び71bは、絶縁基板20の上面上のうち導電体61a及び61bから離れた位置に、に互いに離れて設けられる。
【0089】
半導体素子72a及び72bは、トランジスタTlowである。半導体素子72a及び72bはそれぞれ、導電体71aの上面上及び導電体71bの上面上に設けられる。半導体素子72a及び72bの各々は、下面にドレイン端を有する。また、半導体素子72a及び72bの各々は、上面にソース端を有する。
【0090】
導電体73a及び73bは、金属のスペーサである。導電体73a及び73bはそれぞれ、導電体71aの上面上及び導電体71bの上面上に設けられる。導電体73a及び73bの高さは、例えば、半導体素子72a及び72bの高さと等しい。
【0091】
配線基板74a及び74bは、PCB基板である。配線基板74a及び74bは、トランジスタTlowに対する上方の配線パターン(導電体)を含む。配線基板74a及び74bは、平板形状を有する導電体でもよい。配線基板74a及び74bはそれぞれ、半導体素子72aの上面上及び半導体素子72bの上面上に設けられる。これにより、半導体素子72a及び72bのソース端はそれぞれ、配線基板74a及び74bと電気的に接続される。配線基板74a及び74bは、図示せぬブスバーを介して、端子15に接続される。
【0092】
配線基板75a及び75bは、トランジスタTlowに対する上方の配線パターン(導電体)を含む。配線基板75a及び75bはそれぞれ、導電体73aの上面上及び導電体73bの上面上に設けられる。これにより、半導体素子72a及び72bのドレイン端はそれぞれ、配線基板75a及び75bと電気的に接続される。配線基板75a及び75bは、図示せぬブスバーを介して、端子16に接続される。
【0093】
次に、上アームAUと下アームALとの間を接続する導電体40’の構成について説明する。
【0094】
導電体40’の構成は、設けられる部材が異なる点を除いて、第1実施形態における導電体40の構成と同等である。図8図10の例では、導電体40’は、脚部41’及び42’、架橋部43’、44’、及び45’、並びにリード46’及び47’を含む。脚部41’は、脚部41a’及び41b’を含む。脚部42’は、脚部42a’及び42b’を含む。
【0095】
脚部41a’及び41b’はそれぞれ、配線基板64a及び64bの上面上に設けられる。脚部42a’及び42b’はそれぞれ、配線基板75a及び75bの上面上に設けられる。脚部41a’、41b’、42a’、及び42b’は、Z方向に延びる。
【0096】
架橋部43’、44’、及び45’、並びにリード46’及び47’の構成は、第1実施形態における架橋部43、44、及び45、並びにリード46及び47の構成と同等であるため、説明を省略する。
【0097】
以上のような構成により、ノードM1及びM2にそれぞれ対応する2個の端子17を介して、導電体40’の両端間に生じる誘導起電力をモニタすることができる。そして、当該誘導起電力に基づき、トランジスタTupとトランジスタTlowとの間を流れる電流を検出することができる。
【0098】
4.2 第4実施形態に係る効果
第4実施形態によれば、配線基板64は、半導体素子62の上面上に設けられる。配線基板75は、導電体73の上面上に設けられる。導電体40’は、配線基板64、65、74、及び75よりも上方において、配線基板64と配線基板75との間を接続する。これにより、導電体40’の脚部41’及び42’と半導体素子62及び72とを異なる高さに配置することができる。このため、絶縁基板20上における半導体素子62及び72の実装面積を増やすことができる。したがって、半導体装置1内の実装密度を向上させることができる。
【0099】
なお、第4実施形態に係る半導体装置には、第1実施形態における構成に限らず、第2実施形態及び第3実施形態における構成を適用可能である。この場合、第4実施形態に係る半導体装置は、第2実施形態及び第3実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0100】
5. 変形例等
なお、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態は、上述の例に限らず、種々の変形を適用可能である。
【0101】
例えば、上述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態では、上アームAU及び下アームALの各々が、符号の末尾にそれぞれ“a”及び“b”が付く互いに同等な2組の構成群を有する場合について説明したが、これに限られない。上アームAU及び下アームALの各々は、当該構成群を1組、又は3組以上有していてもよい。
【0102】
また、例えば、上述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態では、1つの絶縁基板20の上面上に上アームAU及び下アームALが設けられる場合について説明したが、これに限られない。上アームAU及び下アームALの各々は、別々の絶縁基板の上面上に設けられてもよい。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1…半導体装置、10…ベース基板、11…ケース、12,13…蓋、14,15,16,17…端子、20…絶縁基板、21,22,24,31,32,34,40,51,52,61,63,71,73…導電体、23,33,62,72…半導体素子、41,42…脚部、43,44,45…架橋部、46,47…リード、48…端子接続部、64,65,74,75…配線基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10