(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】シャフトのためのブロック装置およびそのようなブロック装置を備える三脚
(51)【国際特許分類】
F16M 11/32 20060101AFI20240917BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240917BHJP
【FI】
F16M11/32 F
G03B17/56 B
(21)【出願番号】P 2021504377
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2019056166
(87)【国際公開番号】W WO2020021410
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】102018000007528
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595120057
【氏名又は名称】ヴィデンダム メディア ソリューションズ エス・ピー・エー
【氏名又は名称原語表記】VIDENDUM MEDIA SOLUTIONS S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Valsugana, 100, I-36022 CASSOLA (VI), ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スペッジオリン,パオロ
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-061879(JP,A)
【文献】中国実用新案第201107535(CN,Y)
【文献】独国特許発明第102008045183(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 11/24 - 11/32
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトのためのブロック装置(1;100)であって、
・ 第1の滑動軸(A1;A101)に沿って移動可能なシャフト(20;24)を受容する第1の座部(11a;111a)が形成されたハウジング(10;110)と、
・ 前記ハウジング内に形成された第2の座部(12;112)に受容され、前記第1の座部において前記ハウジングに対して前記シャフト(20;24)のブロック位置(C2;C102)から離されるようにおよびそれに向かうように第2の滑動軸(A2;A102)に沿って移動可能な作動部(30;130)と、
・ 前記ハウジング内に受容され、前記作動部と前記シャフトとの間に介在する第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)と、
を備え、
前記作動部は、前記ブロック位置(C2;C102)に向けて移動されたときに、前記ハウジング(10;110)に対して前記作動部(30;130)、前記第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)および前記シャフト(20;24)がブロックされるように、前記シャフト(20;24)と前記ハウジング(10;110)との両方に前記第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)を押し付けるように形成され、
前記第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)は、前記作動部(30;130)が前記ブロック位置(C2;C102)に向けて移動されたときに、互いから離されるように形成され
、
前記作動部(30;130)は、前記第2の滑動軸(A2;A102)に対して傾斜する第1および第2の傾斜面(34,35;134,135)を備え、前記第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)は、前記作動部(30;130)が前記ブロック位置(C2;C102)に向けて移動されたときに、前記第1および第2の傾斜面(34,35;134,135)によって、前記シャフト(20;24)と前記ハウジング(10;100)とに押し付けられるように形成された、対応する第1および第2の当接面(44,45;144,145)を備え、
前記第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)は、前記シャフト(20;24)の長手方向軸(Z)に平行な第3の滑動軸(A3;A103)に沿って移動する能力を有して、前記ハウジング(10;100)内に受容され、
前記作動部(30;130)は、前記第3の滑動軸(A3,A103)に沿った前記第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)の移動中に、前記第1および第2のランナー(40a,40b;140a,140b)のガイドとして機能するように形成された、前記第1および第2の傾斜面(34,35;134,135)に隣接する少なくとも1つの突出部(34b,134b)を備える、
ブロック装置。
【請求項2】
前記第1および第2の傾斜面(34,35;134,135)は、互いに直交する3つの軸のいずれかに対して傾斜しており、前記軸のうちの1つは、前記第2の滑動軸(A2;A102)に平行である、請求項
1に記載のブロック装置。
【請求項3】
前記作動部は、カムレバー(16,116)に接続されたロッド(18,118)によって、前記第2の滑動軸(A2,A102)に沿って移動される、請求項1
または2に記載されたブロック装置。
【請求項4】
前記ハウジング(10,110)は、前記作動部(30,130)および前記第1および第2のランナーによって選択的にブロック可能である複数の前記シャフト(20,24)が滑動する複数の前記第1の座部(11a,111a)を備える、請求項1~
3のいずれか1項に記載のブロック装置。
【請求項5】
前記複数のシャフトの
うちの前記シャフト(20
)には、前記第1および第2のランナー(40a,40b
)が設けられ
、前記シャフト(24)には、前記第1および第2のランナー(140a,140b)が設けられる、請求項
4に記載のブロック装置。
【請求項6】
ビデオ/写真機器を支持するための三脚であって、
延長状態と収縮状態との間で互いに対して移動可能な複数のシャフトと、
所望の位置に前記シャフトをブロックするための少なくとも1つのブロック装置と、
を備え、
前記ブロック装置は、請求項1~
5のいずれか1項に従って構築されることを特徴とする、
三脚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトのためのブロック装置に関し、より詳細には、写真の技術分野において支持三脚に使用されるブロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオ/写真機器を支持するための装置を使用することは、写真の技術分野で広く知られており、その中でも特に一般的であり、アマチュアおよびプロフェッショナルのレベルで高く評価されている装置は、三脚と一脚である。これらの装置は、典型的には、1つまたは複数の脚部を備える。各脚部は、互いに対して滑動可能な複数の区画やシャフトから構成され、動作位置でビデオ/写真機器を有利に支持できるように延長することができ、また、装置自体の輸送および保管を容易にするために装置の全体的な寸法を縮小するように収縮することができる。
【0003】
ビデオ/写真の撮影中、具体的にはプロ品質の撮影中に、脚部に作用するねじり力によって生じる動きが可能な限り最小限に抑えられる、典型的には三脚である支持装置が特に重要である。この状態は、撮影中に生じ得るビデオ/写真機器の様々な動きや調整の間に、容易に起こり得る。
【0004】
この問題を解決または最小限に抑えるために、様々な技術的解決策が実施されてきた。その中には、シャフトの厚さを厚くしたり、(例えば炭素繊維を含む複合材料のような、高い弾性率を有する材料を使用して)シャフトの剛性を高めたり、互いに固定された平行な1対の脚部を製造したりすることによって得られたものが含まれる。この最後に述べた技術的解決策に関して、各脚部のシャフトがブロック装置によって所望の位置でブロックされる支持装置を製造することが知られている。ブロック装置は、ハウジングの内側で滑動可能なランナーを備える。ランナーは、シャフトに向けて移動可能であり、シャフトに当接してシャフト自体に対して半径方向に圧力を加えて、ハウジングに対してブロックされる。
【0005】
しかしながら、本出願人は、これらの支持装置のねじり安定性が完全に満足のいくものではないことを見出した。
【0006】
特に、本出願人は、上述したブロック装置が、シャフト、ランナーおよびハウジングの間に存在する遊びを排除することも大幅に低減することもできず、これにより、ねじり力が加えられた後の三脚の望ましくない動きを低減するのに不適切であることを観察した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によって対処される問題は、引用された従来技術を参照して上述した欠点の少なくとも1つを少なくとも部分的に克服するように構造的および機能的に構成された、シャフトのためのブロック装置およびそのようなブロック装置を備える三脚を提供することである。
【0008】
また、上述した問題を鑑みて、本発明の目的は、加えられたねじり力に対抗することができ、これにより、高いレベルの剛性および安定性を得ることができる、シャフトのためのブロック装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、構築が容易であり、低コストで高レベルの安定性を有する三脚の製造を可能にする、シャフトのためのブロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付の特許請求の範囲に従って実現される、シャフトのためのブロック装置による本発明によって、上述した問題が解決されて上述した目的が達成される。
【0011】
したがって、本発明の第1の態様において、本発明は、第1の滑動軸に沿ってシャフトが滑動する第1の座部を含むハウジングと、ハウジング内に形成された第2の座部に受容され、第1の座部においてシャフトのブロック位置から離されるようにおよびそれに向かうように第2の滑動軸に沿って移動可能な作動部と、ハウジング内に受容され、作動部とシャフトとの間に介在する少なくとも1つのランナーと、を備える、シャフトのためのブロック装置に関する。
【0012】
作動部は、ブロック位置に向けて移動されたときに、ハウジングに対して作動部、少なくとも1つのランナーおよびシャフトがブロックされるように、シャフトとハウジングとの両方に少なくとも1つのランナーを押し付けるように形成される。
【0013】
この技術的解決策によって、作動部は、ブロック位置に向けて移動されたときに、ランナーによってシャフト自体の半径方向成分に応じてシャフトを押して、同時に、少なくとも第3の滑動軸の方向に関して、ランナーおよびハウジングに対してシャフトを固定する。
【0014】
上述した要素間を相互固定するためのこの協奏的機構によって、上述した従来技術と比較して、全体としてより高い剛性を有し、より安定であり、作動部とシャフトとの間に遊びがない装置が作製され得る。
【0015】
本発明の第2の態様において、本発明は、延長状態と収縮状態との間で互いに対して移動可能な複数のシャフトと、本発明の第1の態様に従って構築された、シャフトを所望の位置でブロックするための少なくとも1つのブロック装置と、を備える、ビデオ/写真機器を支持するための三脚に関する。
【0016】
上述した態様の少なくとも1つにおいて、本発明は、以下に示す好ましい特徴のうちの少なくとも1つを有してもよい。
【0017】
好ましくは、作動部は、作動部がシャフトから最大距離にあるシャフトの自在滑動位置と、作動部がシャフトから最小距離にあるシャフトのブロック位置との間で、第2の滑動軸に沿って移動可能である。
【0018】
一実施形態によれば、少なくとも1つのランナーは、ハウジング内に形成された第3の座部に受容される。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つのランナーは、第3の滑動軸に沿って移動する能力を有して、ハウジング内に受容される。
【0020】
好ましくは、作動部は、少なくとも、第2の滑動軸に対して傾斜する第1の傾斜面を備える。
【0021】
好ましくは、少なくとも1つのランナーは、作動部がブロック位置に向けて移動されたときに、第1の傾斜面によって、シャフトとハウジングとに押し付けられるように形成された、対応する第1の当接面を備える。
【0022】
このようにして、シャフトに対して(第2の滑動軸の配向に起因して)半径方向に配向された構成要素と、ハウジングに当接するまで少なくとも1つのランナーを移動させる構成要素と、を含む方向の組み合わせに応じて、第1の傾斜面が対応する第1の当接面を押すことを考慮すると、少なくとも1つのランナーを介して作動部によってシャフトに加えられる拘束力の伝達が生じる。
【0023】
一方がシャフトからの最大距離に相関し、他方がシャフトからの最小距離に相関する2つの動作位置を画定する第2の滑動軸は、シャフト自体の長手方向軸に平行にならないことは明らかである。
【0024】
好ましくは、作動部の第1の面は、第2の滑動軸および第3の滑動軸に対して傾斜している。
【0025】
したがって、後述する方向の組み合わせに応じて、第1の傾斜面が少なくとも1つのランナーの対応する第1の当接面を押すことを考慮すると、少なくとも1つのランナーを介して作動部によってシャフトに加えられる上述した拘束力の伝達は、最適化される。
【0026】
この方向の組み合わせによって、(上述したように)シャフトに対して半径方向に配向された構成要素と、ハウジングに固定されるまで少なくとも1つのランナーを移動させる第3の滑動軸に平行な構成要素と、が提供される。
【0027】
さらに、少なくとも1つのランナーは、第3の滑動軸の方向に移動可能であり、ハウジングに当接するまで、またはハウジングに対して、第1の傾斜面によって生じる並進移動に、より細かく、より効率的に追従することができる。
【0028】
好ましくは、第1の傾斜面は、互いに直交する3つの軸のいずれかに対して傾斜しており、その軸のうちの1つは、第2の滑動軸に平行である。
【0029】
この技術的解決策によって、第1の方向がシャフトの軸に対して半径方向に向けられ、第2の方向が第3の滑動軸に平行に向けられ、第3の方向が第3の滑動軸に垂直な方向に向けられる3つの方向を含む方向の組み合わせが生じるため、作動部、少なくとも1つのランナー、シャフトおよびハウジングの間にもたらされ得る固定をさらに増大させることができる。
【0030】
このようにして、作動部、ランナー、シャフトおよびハウジングを互いに堅固に固定することを可能にするそれらの間の協奏的機構をさらに向上させることができる。
【0031】
好ましくは、ブロック装置は、ハウジング内に受容される第1および第2のランナーを備える。第1および第2のランナーは、作動部がブロック位置に向けて移動されたときに、互いから離されるように形成される。
【0032】
この構成によって、第1および第2のランナーが互いに当接するように移動して、第3の滑動軸の反対方向においてブロックされるため、作動部、ランナー、シャフトおよびハウジングの間で得られる固定がさらに最適化される。
【0033】
一実施形態によれば、第3の滑動軸は、シャフトの長手方向軸に平行である。
【0034】
この技術的解決策によって、ハウジング上で少なくとも1つのランナーによって生じる固定動作が、シャフトに対するハウジングの滑動可能な方向に平行な方向に正確に向けられることが保証される。これにより、システムの剛性が最適化される。
【0035】
好ましくは、作動部は、第1の傾斜面に隣接する少なくとも1つの突出部を備える。突出部は、第3の滑動軸に沿った少なくとも1つのランナーのためのガイドとして機能するように形成される。
【0036】
これにより、第1の傾斜面と対応する第1の当接面との間の、第3の滑動軸に対して横方向の相互移動の制御性を向上させることができる。
【0037】
一実施形態によれば、作動部は、カムレバーに接続されたロッドによって、第2の滑動軸に沿って移動される。
【0038】
この技術的解決策によって、ユーザは、ブロック位置から離されるようにおよびそれに向かうように、作動部を効率的且つ実質的に移動させることができる。
【0039】
好ましくは、ハウジングは、少なくとも1つのランナーによって作動部が選択的に作動することができる複数のシャフトを滑動させる複数の第1の座部を備える。
【0040】
これにより、一部のシャフトはブロックされ得、他のシャフトには単に自在滑動または一定の拘束が得られる。
【0041】
代替的に、ハウジングは、複数のシャフトが滑動する複数の第1の座部と、取り付けられた少なくとも1つの別のシャフトの端部が固定される少なくとも1つの孔と、を備える。
【0042】
好ましくは、作動部は、複数のシャフトが滑動する複数の第1の座部と、複数のシャフトの各シャフトについて少なくとも1つのランナーが滑動する対応する複数の第3の座部と、を備える。
【0043】
この解決策によって、より均一で、制御され、効果的に生成されることが望ましい固定動作を分散させて、作動部と複数のシャフトとの間に生じ得る遊びを最小限に抑えることができる。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、上述した特徴の少なくとも1つを有する複数のブロック装置を備えるブロックシステムが設けられる。複数のブロック装置の各々は、少なくとも1つの対応するシャフトをブロック解除またはブロックするように作用する。
【0045】
この解決策によって、異なるシャフトを並進移動させることができ、これにより、滑動部位が定義される。この滑動部位の各々は、高いレベルのねじり剛性を有し、全体として、それらが適用される写真/ビデオ機器を支持する脚部の最大長および最小長が定義される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の特徴および利点は、非限定的な一例として添付の図面を参照して記載するいくつかの好ましい実施形態の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【
図1】シャフトのためのブロックシステムと、本発明に従って実現された、シャフトのための2つのブロック装置と、を備える、ビデオ/写真機器を支持するための装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の支持装置の第1の実施形態を模式的に示す正面部分斜視図である。
【
図3】支持要素を省略した、
図1の支持装置を拡大して模式的に示す斜視図であり、シャフトのためのブロック装置の一実施形態が図示されている。
【
図4】
図1の支持装置を模式的に示す背面部分斜視図である。
【
図5】作動部を省略した、
図4の支持装置を模式的に示す斜視図である。
【
図6】カム機構のためのハウジングおよびレバーを省略した、
図2の装置の斜視図である。
【
図7】
図6の作動部のみを模式的に示す斜視図である。
【
図8】ハウジングを省略した、
図5の装置を模式的に示す斜視図であり、作動部が図示されている。
【
図9】
図5のブロック装置の詳細を模式的に示す部分詳細斜視図である。
【
図10】
図5のブロック装置の詳細を模式的に示す部分詳細斜視図である。
【
図11】本発明に従って構築された、シャフトのためのブロック装置の第2の実施形態を模式的に示す正面斜視図である、
【
図12】
図11のブロック装置を模式的に示す背面斜視図である。
【
図13】作動部を省略した、
図12の装置を模式的に示す斜視図である。
【
図14】カム機構のためのハウジングおよびレバーを省略した、
図12の装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明に従って構築された、シャフトのための2つのブロック装置1および100を含む、シャフトのためのブロックシステム200を備える、ビデオ/写真機器のための支持体を示す。
【0048】
支持体および構成要素の空間的構成が容易に理解されるように、
図1、
図2、
図4、
図6、
図7、
図11、
図12および
図13には、上述した機器の支持体が通常配置される水平支持平面に対する垂直方向によって軸Zが識別され得る3軸座標系X,Y,Zが含まれる。
【0049】
ビデオ/写真機器のための支持体は、三脚の脚部であり、複数の剛性シャフト20,21,22,23,24を備え、その頂点には、プレートが配置される。プレートには、例えば3/8インチねじのような取り付け要素が設けられる。これは、図示しない従来のビデオ/写真機器を三脚に取り付けるために設けられる。
【0050】
まず、
図1~
図10を参照すると、本発明に従って構築された、シャフトのためのブロック装置の第1の実施形態が参照符号1によって全体として示されている。
【0051】
好ましくは、シャフトのためのブロック装置1は、シャフト20,21がそれぞれの第1の座部11a,11bで滑動可能なハウジング10を備える。
【0052】
図3を参照すると、一実施形態によれば、ハウジング10は、シャフト20が第1の滑動軸A1に沿って滑動する第1の座部11aを備える。
【0053】
図2を参照すると、この第1の滑動軸A1は、シャフト20,21,22,23,24の長手方向軸Z1と、3軸座標系X,Y,Zの縦軸Zとに平行である。
【0054】
図2および
図5に示す実施形態では、2つのシャフト20,21がハウジング10に対して第1の座部11a,11bにおいて滑動可能であり、シャフト22,23が適切な凹部に固定されて、ハウジング10に固定的に接合される。中央シャフト24は、ハウジング10に固定されないが、移動限界停止部に到達したときに、それに当接するように移動する。
【0055】
以下に示す主題の側面は、シャフト20および21の両方に対称的に適用される。好ましくは、ハウジング10は、シャフト20から最大距離にある滑動位置から、シャフト20から最小距離にあるブロック位置C2まで、第2の滑動軸A2に沿って移動されることで作動部30が滑動する第2の座部12を備える。
【0056】
図4および
図6を参照すると、第2の滑動軸A2は、3軸座標系X,Y,Zの水平軸Xに平行である。
【0057】
ブロック装置1は、シャフト20および21に作用する作動部30を備える。作動部30は、後述するように、作動部30とシャフト20,21との間に介在する少なくとも1つの対応するランナー40aおよび40cによって、各シャフトをブロックする。
【0058】
有利には、作動部30は、
図3、
図5、
図8および
図10に示すように、カムレバー16によってユーザが容易に使用可能な移動機構15に接続される。より詳細には、
図4および
図5に示すように、カムレバー16は、その第1の端部の反対側の第2の端部において作動部30に固定されたロッド18の第1の端部にヒンジで接続されたピン17を有する。また、この移動機構15は、カムレバー16と作動部30との間に介在する例えばばね19のような弾性動作要素を備える。引き続き
図5を参照すると、カムレバー16が閉じられてカムレバー16をハウジング10から最小距離まで移動させると、レバー16の偏心の回転によって、ピン17がハウジング10から離されて、第2の滑動軸A2に沿って、作動部30がシャフト20および21に向けて移動される。
【0059】
このとき、作動部30の動きによってばね19が圧縮され、カムレバー16が反対方向に回転すると、蓄えられたその弾性エネルギーが解放される。これにより、シャフト20,21から離れる作動部30の動きが促進される。
【0060】
図5、
図9、
図10および
図13を参照すると、好ましくは、ハウジング10は、少なくとも1つのランナー40aが第3の滑動軸A3に沿って滑動する第3の座部13を備える。
【0061】
作動部30は、ブロック位置C2に向けて移動されたときに、ハウジング10に対して作動部30、少なくとも1つのランナー40aおよびシャフト20がブロックされるように、シャフト20とハウジング10とに少なくとも1つのランナー40aを押し付けるように形成される。
【0062】
一実施形態によれば、作動部30は、第2の滑動軸A2および第3の滑動軸A3に対して傾斜する少なくとも1つの第1の傾斜面34を備える。
【0063】
図に示す実施形態において、好ましくは、第3の滑動軸A3は、軸Zに平行である。
【0064】
図7を参照すると、好ましくは、作動部30は、ハウジング10の内側に挿入されたときに第2の滑動軸A2に垂直な主展開軸Lに従って細長い形状を有する。この主展開軸Lは、3軸座標系X,Y,Zの軸Xに平行である。
【0065】
作動部30は、実質的に平行六面体状の細長い形状を有する本体31を備える。本体31には、互いに反対側の第1の端部32および第2の端部33が画定される。
【0066】
さらに、作動部30は、第1の端部32の領域において第1の傾斜面34および第2の傾斜面35を備え、第2の端部33の領域において第3の傾斜面36および第4の傾斜面37を備える。
【0067】
引き続き
図7を参照すると、第1の傾斜面34および第2の傾斜面35は、入射しており、有利には、第2の滑動軸A2および主展開軸Lによって画定される(すなわち3軸座標系X,Y,Zの軸XおよびYによって画定される)対称性を有する横方向平面に対して対称である傾斜を有する。
【0068】
換言すると、第1の傾斜面34および第2の傾斜面35は、作動部がハウジング10の内側に挿入されたときに頂点がシャフト20に向けられる楔部の側面に対応する。
【0069】
第1の端部32ならびに第1の傾斜面34および第2の傾斜面35について説明したこれらの特徴は、第2の端部33ならびに第3の傾斜面36および第4の傾斜面37にもそれぞれ適用される。
【0070】
好ましくは、少なくとも1つのランナー40aは、作動部30がブロック位置C2に向けて移動されたときに、第1の傾斜面34によって、シャフト20とハウジング10とに押し付けられるように形成された、対応する第1の当接面44を備える。
【0071】
第1のランナー40aは、接触するシャフト20と同様の曲率半径を含む湾曲した基本面を有する。したがって、第1のランナーの基本面とシャフトの面との間に、形状に適合する接続が生じる。
【0072】
これにより、少なくとも1つのランナー40aと、それが支持されるシャフトとの間の効果的な接触と滑動能力とが確保される。
【0073】
一実施形態によれば、好ましくは、第1の傾斜面34、第2の傾斜面35、第3の傾斜面36および第4の傾斜面37は、平面である。
図5、
図8、
図9および
図10を参照すると、有利には、対応する第1の当接面44、第2の当接面45、第3の当接面46および第4の当接面47もまた、平面である。また、傾斜面および対応する当接面の追加の代替形態も設けられる。これには、例えば、凹面、凸面、または作動部30と少なくとも1つのランナー40aとの間の相互固定動作を増加および向上させることができる特定のリブ(ribbing)が設けられた面が含まれる。
【0074】
上述した傾斜面34,35,36,37および対応する当接面44,45,46,47は、互いに接触するように配置されたときに、形状に適合する接続が生じるように形成される。換言すると、この形状によって、対応する第1の当接面44、第2の当接面45、第3の当接面46および第4の当接面47は、滑動軸A2に沿って作動部30と共に移動するようにまたは作動部30から離されるように、一方を他方に容易に滑動させて、第1の傾斜面34、第2の傾斜面35、第3の傾斜面36および第4の傾斜面37を効果的に補完することができる。
【0075】
引き続き
図7を参照すると、好ましくは、第1の傾斜面34は、そのうちの1つの軸が第2の滑動軸A2に平行な互いに直交する3軸のいずれかに対して傾斜している。換言すると、第1の傾斜面34および第2の傾斜面35は、作動部がハウジング10の内側に挿入されたときにシャフト20に向けられる頂点を有する上述した楔部の側面に対応する。シャフト20に対する楔部の頂点の配向方向は、横方向であり、展開軸Lに対して垂直ではない(すなわち、第2の滑動軸A2に対して平行ではなく、横方向である)。
【0076】
このように、楔部の側壁である第1の傾斜面34および第2の傾斜面35は、第2の滑動軸A2および展開軸Lによって画定される横方向平面に平行ではなく、(3軸座標系X,Y,Zの平面XYによって画定される)その横方向平面への突出さえも第2の滑動軸A2や展開軸Lに平行ではない。
【0077】
図9を参照すると、好ましくは、装置1は、第3の座部13に受容される第1のランナー40aおよび第2のランナー40bを備える。第1のランナー40aおよび第2のランナー40bは、作動部30がブロック位置C2に向けて移動されたときに、互いから離されるように形成される。
【0078】
図9に示すように、第1のランナー40aおよび第2のランナー40bは、ハウジング10の内側に挿入されたときに作動部30の横方向平面に平行である対称平面に対して互いに対称である傾斜面の形態を有する対応する第1の当接面44および第2の当接面45を有する(
図8参照)。この場合、この形態によって、対応する第1の当接面44および第2の当接面45は、滑動軸A2に沿って互いに向かうようにまたは互いから離されるように移動する作動部30の動きに応じて、一方を他方に容易に滑動させて、作動部30の第1の傾斜面34および第2の傾斜面35を効果的に補完することができる。
【0079】
第3の座部13の内側に初めて挿入されたときに、第1のランナー40aおよび第2のランナー40bは、薄い舌部39(または接続要素)を介して互いに固定される。薄い舌部39は、作動部30がブロック位置C2に初めて移動された際に破断するように意図されている。
【0080】
引き続き
図9を参照すると、第1のランナー40aおよび第2のランナー40bは、ハウジング30の当接部14と接触しながら、第3の滑動軸A3に沿って移動する。特に、これらの当接部14は、作動部30の平面要素14bまたは作動部自体から突出する突出部14によって構成され得る。
【0081】
引き続き
図9を参照すると、有利には、第3の滑動軸A3は、シャフト20の長手方向軸Zに平行である。
【0082】
また、上述した考察は、第2のシャフト21に一般的に同様に受容される第3のランナー40cおよび第4のランナー40dにも適用されるように意図されている。
【0083】
好ましくは、作動部30は、第1の傾斜面34に隣接する少なくとも1つの突出部34bを備える。少なくとも1つの突出部34bは、対応する第1の当接面44の第3の滑動軸A3に沿ったガイトとして機能するように形成される。
【0084】
図7を参照すると、この突出部34bは、第2の滑動軸A2および展開軸Lによって画定される横方向平面に垂直な軸に沿った主展開部を有する。好ましくは、突出部34bは、上述した横方向平面に向かう方向にテーパ状になる点状の形状を有する。
【0085】
同時に複数のシャフトをブロックすることが望ましい場合、作動部30は、それぞれのシャフトと相互作用する複数のランナーを同時に移動させることができる傾斜面を有する必要がある。
図2~
図9に示すように、作動部が作用することが望ましい各シャフトに対して、少なくとも1つのランナーが存在することが重要である。
【0086】
図1を参照すると、第1のブロック装置1と三脚の脚部の支持足部との間に介在する第2のブロック装置100が示されている。
【0087】
この第2のブロック装置100は、(単一のシャフト24に作用するようにおよびそれをブロックするように形成されているという点を除いて)第1のブロック装置と実質的に同一である。したがって、第1のブロック機構1に関して上述した特徴は、第2のブロック装置100にも適用される。ここでは、ハウジング10はハウジング110に置き換えられ、シャフト20は、第1の滑動軸A101に沿って第1の座部111aの内側で移動するシャフト24に置き換えられ、作動部30は、第2の滑動軸A102に沿って第2の座部112の内側で移動する作動部130に置き換えられ、少なくとも1つのランナー40aは、第3の滑動軸A103に沿って第3の座部113の内側で移動する少なくとも1つのランナー140aに置き換えられる。
【0088】
図11、
図12および
図13の3軸座標系X,Y,Zを考慮すると、第1の滑動軸A101および第3の滑動軸A103は、軸Zに平行であり、第2の滑動軸A102は、軸Xに平行である。
【0089】
したがって、第2のブロック装置100の作動部130は、第2の滑動軸A102に沿って、作動部がシャフト24から最大距離にある滑動位置から、作動部がシャフト24から最小距離にあるブロック位置C102へ移動されて、第2の座部112に沿って滑動する。この場合、作動部130がブロック位置C102に向けて移動されたときに、ハウジング110に対して作動部130、少なくとも1つのランナー140aおよびシャフト24がブロックされるように、少なくとも1つのランナー140aをシャフト24とハウジング110とに押し付けるように移動する。
【0090】
図11は、ハウジング110がシャフト22および23のための非貫通孔を有し、中央シャフト24が第1の座部111a内を滑動する第2のブロック装置100を示す。
【0091】
また、この場合、作動部130は、ロッド118によって作動部130自体に接続されたカムレバー116を備える移動機構115によって移動される。
【0092】
作動部130は、好ましくは平面展開を含む第1の傾斜面134および第2の傾斜面135を有する。第1のランナー140aおよび第2のランナー140bは、第1の傾斜面134および第2の傾斜面135に平行な空間的展開を含む、対応する第1の傾斜面144および第2の傾斜面145を有する。
【0093】
また、この場合、第1のランナー140aおよび第2のランナー140bは、それらが支持されるシャフト24と同様の曲率半径を有する湾曲した基本面を有する。
【0094】
有利には、第1のランナー140aおよび第2のランナー140bは、作動部130がブロック位置に初めて移動された際に破断するように意図されている薄い舌部139(または接続要素)を介して、互いに固定される。
【0095】
好ましくは、作動部130は、第1の傾斜面134に隣接する少なくとも1つの突出部134bを備える。少なくとも1つの突出部134bは、第3の滑動軸A103に沿った、対応する第1の当接面144のガイドとして機能するように形成される。
【0096】
図12を参照すると、この突出部134bは、第1の滑動軸A101に平行な主展開部を有する。好ましくは、突出部134bは、テーパ状の点状の形状を有する。
【0097】
本発明に含まれる一実施形態によれば、上述した特徴の少なくとも一部を有する複数のブロック装置1;100を備えるブロックシステム200が提供される。ここで、各ブロック装置1;100は、対応するシャフト20;24をブロック解除またはブロックすることで機能する。
【0098】
再び
図1を参照すると、図示されている三脚の脚部を含むビデオ/写真機器のための支持体は、2つのシャフト20,21に同時に作用する第1のブロック装置1と、シャフト24のみに作用する脚部の支持端部近傍の位置に配置された第2のブロック装置と、を備える。
【0099】
ブロック装置1は、以下に非限定的な一例として示すように使用される。
【0100】
三脚の脚部を含むビデオ/写真機器のための支持体が
図1に示されている。支持体は、脚部を備え、脚部は、脚部のシャフトのすべてが互いに接近して脚部が最小の範囲を有する収縮状態と、シャフトが互いに離間して脚部が最大の範囲を有する延長状態との間で、所望の長さに延長可能である。
【0101】
有利には、ユーザは、第2のブロック装置100のカムレバー116を回転することができ、これにより、作動部130を滑動位置にして、シャフト24に対する第2のブロック装置100の自在滑動を許容することができる。有利には、シャフト24には、第2のブロック装置100に対するシャフト24の最大滑動長を画定する移動限界停止部160が設けられる。
【0102】
シャフト24に対して第2のブロック装置100の所望の位置が特定されると、ユーザは、カムレバー116を閉位置にして、レバー116の偏心を回転させ、ロッド118を移動させる。ロッド118は、作動部130を1対のランナー140a,140bに向けて移動させる。これにより、作動部130およびハウジング110に対するシャフト24の滑動がブロックされる。
【0103】
さらに、ユーザは、必要に応じて、第1のブロック装置1に作用するように脚部の長さを変化させることもできる。
【0104】
この場合、カムレバー16を個々の座部から係合解除することにより、作動部30がシャフト20および21から離され得る。これにより、所定の座部の内側での自在滑動が許容される。
【0105】
シャフト20,21に対して第1のブロック装置1の新しい位置が画定されると、ユーザは、カムレバー16を反回転させ、カムレバー16を個別のクランプ位置に移動させて、システムをブロックすることができる。ここで、ロッド18は、シャフト20,21に向けて作動部30を半径方向に移動させ、2対のランナー40a,40bおよび40c,40dをハウジング10に当接するように移動させる。これにより、作動部30、シャフト20,21、2対のランナー40a,40bおよび40c,40d、ならびにハウジング10が互いに対してブロックされる。
【0106】
第1のブロック装置1と第2のブロック装置100との間の固定距離は、2つのブロック装置内に形成された座部または孔で受容されるシャフト22,23の長さによって厳密に画定される。
【0107】
したがって、本発明に従って構築された発明を含む三脚の脚部を有するビデオ/写真機器の支持体によって、従来技術で定義された技術的解決策によって得られるものよりも優れた品質のビデオ/写真露出を得ることができることに留意されたい。
【0108】
実際、作動部とシャフトとの間に介在する少なくとも1つのランナーの存在によって、作動部が半径方向に、且つ第3の滑動軸の少なくとも1つの追加の平行成分または垂直成分に応じてブロック位置に移動されたときに、それらが固定され、作動部とハウジングとの間に存在する遊びを排除しないにしても、大幅に減少させる。このようにして、2つの脚部部分が屈曲したときにそれらの部分の間で起こり得る回転を防ぐことができる。
【0109】
したがって、本発明は、引用された従来技術を参照して上述した欠点を克服しながら、多くの利点を提供する。
【0110】
言うまでもなく、本願の具体的且つ偶発的な要件を満たす目的で、当業者は、添付の特許請求の範囲の定義から逸脱することなく、上述した発明をさらに修正および変形することができる。