(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】電流制限回路
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20240917BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G05F1/56 310S
H02M3/155 C
(21)【出願番号】P 2021549396
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2021109098
(87)【国際公開番号】W WO2023000367
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】202110816694.6
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】100204386
【氏名又は名称】松村 啓
(72)【発明者】
【氏名】李 浩然
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-157743(JP,A)
【文献】特開2003-203982(JP,A)
【文献】特開2011-30391(JP,A)
【文献】特開2012-160928(JP,A)
【文献】特開2007-133730(JP,A)
【文献】特開2006-115616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
H02M 3/00- 3/44
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流制限回路であって、
第1電圧端子と、第2電圧端子と、第1トランジスタと、電流制限モジュールと、を含み、
前記第1トランジスタは、その入力端子及び出力端子が前記第1電圧端子と前記第2電圧端子とが形成するルート上に直列接続され、及び
前記電流制限モジュールは、前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記電流制限モジュールは、制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力し、前記第1トランジスタの状態を制御することで、前記電流制限回路の電流制限値を調整可能にすることに用いられ、
前記電流制限モジュールは、昇圧ユニット、可変電圧ユニット、第1比較ユニット及び定電流ユニットを含み、
前記昇圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記昇圧ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記定電流ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記昇圧ユニットは、前記昇圧ユニットの第2端子の電圧を前記昇圧ユニットの第1端子の電圧よりも大きくすることに用いられ、前記可変電圧ユニットは可変電圧を出力することに用いられ、前記第1比較ユニットは、前記第1比較ユニットの第1端子の電圧及び前記第1比較ユニットの第2端子の電圧に基づいて、前記第1比較ユニットの第3端子から定電流ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記定電流ユニットは前記定電流ユニット制御信号の制御下で定電流を出力することに用いられ、
前記可変電圧ユニットが、前記可変電圧ユニットの第1端子と前記可変電圧ユニットの第2端子との間の電圧を可変にするものであり、前記定電流ユニットが、前記定電流ユニットの第2端子から定電流を出力するものである電流制限回路。
【請求項2】
前記昇圧ユニットはインダクタ、第2トランジスタ及びダイオードを含み、
前記インダクタの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記インダクタの第2端子と、前記第2トランジスタの第1端子とは前記ダイオードの第1端子に電気的に接続され、前記ダイオードの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第2トランジスタの第2端子は接地端子に電気的に接続される、請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項3】
前記電流制限回路の電流制限値は以下の式に基づいて得ることができ、
I=(V1-V2)/R
Iは前記電流制限回路の電流制限値であり、V1は可変電圧源が設定する電圧値であり、V2は前記ダイオードの電圧降下値であり、Rは前記インダクタのインピーダンス値である、請求項2に記載の電流制限回路。
【請求項4】
前記可変電圧ユニットは1つの可変電圧源を含み、前記可変電圧源の第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧源の第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続される、請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項5】
前記第1比較ユニットは第1比較器を含み、前記第1比較器の第1端子は前記可変電圧ユニットの第2端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続される、請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項6】
前記定電流ユニットは1つの定電流源を含み、前記定電流源の第1端子は前記第1比較ユニットの第3端子に電気的に接続され、前記定電流源の第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記定電流源の第3端子は接地端子に電気的に接続される、請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項7】
前記電流制限モジュールはタイミングユニット及び第2比較ユニットをさらに含み、
前記タイミングユニットは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較ユニットの第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記タイミングユニットは予め設定された時間間隔で比較ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記第2比較ユニットは、前記比較ユニット制御信号の制御下で、前記第2比較ユニットの第2端子の電圧及び前記第2比較ユニットの第3端子の電圧に基づいて、前記第2比較ユニットの第4端子から第1トランジスタ制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力することに用いられる、請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項8】
前記タイミングユニットはタイマーを含み、前記タイマーは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続される、請求項7に記載の電流制限回路。
【請求項9】
前記第2比較ユニットは第2比較器を含み、前記第2比較器の第1端子は前記タイミングユニットに電気的に接続され、前記第2比較器の第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較器の第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較器の第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続される、請求項7に記載の電流制限回路。
【請求項10】
前記固定電圧信号の電圧は第1電圧端子の電圧値の0.85倍と第1電圧端子の電圧の0.9倍との間の値をとる、請求項7に記載の電流制限回路。
【請求項11】
前記電流制限回路は第1コンデンサ、第2コンデンサ、第3コンデンサ及び抵抗器をさらに含み、
前記第1コンデンサの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記第2コンデンサの第1端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第3コンデンサの一端及び前記抵抗器の第1端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第1コンデンサの第2端子、前記第2コンデンサの第2端子、前記第3コンデンサの第2端子及び前記抵抗器の第2端子は接地端子に電気的に接続される、請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項12】
電流制限回路であって、
第1電圧端子と、第2電圧端子と、第1トランジスタと、電流制限モジュールと、を含み、
前記第1トランジスタは、その入力端子及び出力端子が前記第1電圧端子と前記第2電圧端子とが形成するルート上に直列接続され、及び 前記電流制限モジュールは、前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記電流制限モジュールは、制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力し、前記第1トランジスタの状態を制御することで、前記電流制限回路の電流制限値を調整可能にすることに用いられ、
前記電流制限モジュールは、昇圧ユニット、可変電圧ユニット、第1比較ユニット及び定電流ユニットを含み、
前記昇圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記昇圧ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記定電流ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記昇圧ユニットは、前記昇圧ユニットの第2端子の電圧を前記昇圧ユニットの第1端子の電圧よりも大きくすることに用いられ、前記可変電圧ユニットは可変電圧を出力することに用いられ、前記第1比較ユニットは、前記第1比較ユニットの第1端子の電圧及び前記第1比較ユニットの第2端子の電圧に基づいて、前記第1比較ユニットの第3端子から定電流ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記定電流ユニットは前記定電流ユニット制御信号の制御下で定電流を出力することに用いられ、
前記電流制限回路は第1コンデンサ、第2コンデンサ、第3コンデンサ及び抵抗器をさらに含み、
前記第1コンデンサの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記第2コンデンサの第1端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第3コンデンサの一端及び前記抵抗器の第1端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第1コンデンサの第2端子、前記第2コンデンサの第2端子、前記第3コンデンサの第2端子及び前記抵抗器の第2端子は接地端子に電気的に接続され、前記定電流ユニットが、前記定電流ユニットの第2端子から定電流を出力するものであ
り、前記可変電圧ユニットが、前記可変電圧ユニットの第1端子と前記可変電圧ユニットの第2端子との間の電圧を可変にするものである、電流制限回路。
【請求項13】
前記昇圧ユニットはインダクタ、第2トランジスタ及びダイオードを含み、
前記インダクタの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記インダクタの第2端子と、前記第2トランジスタの第1端子とは前記ダイオードの第1端子に電気的に接続され、前記ダイオードの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第2トランジスタの第2端子は接地端子に電気的に接続される、請求項12に記載の電流制限回路。
【請求項14】
前記電流制限回路の電流制限値は以下の式に基づいて得ることができ、
I=(V1-V2)/R
Iは前記電流制限回路の電流制限値であり、V1は可変電圧源が設定する電圧値であり、V2は前記ダイオードの電圧降下値であり、Rは前記インダクタのインピーダンス値である、請求項13に記載の電流制限回路。
【請求項15】
前記可変電圧ユニットは1つの可変電圧源を含み、前記可変電圧源の第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧源の第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続される、請求項12に記載の電流制限回路。
【請求項16】
前記第1比較ユニットは第1比較器を含み、前記第1比較器の第1端子は前記可変電圧ユニットの第2端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続される、請求項12に記載の電流制限回路。
【請求項17】
前記定電流ユニットは1つの定電流源を含み、前記定電流源の第1端子は前記第1比較ユニットの第3端子に電気的に接続され、前記定電流源の第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記定電流源の第3端子は接地端子に電気的に接続される、請求項12に記載の電流制限回路。
【請求項18】
前記電流制限モジュールはタイミングユニット及び第2比較ユニットをさらに含み、
前記タイミングユニットは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較ユニットの第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記タイミングユニットは予め設定された時間間隔で比較ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記第2比較ユニットは、前記比較ユニット制御信号の制御下で、前記第2比較ユニットの第2端子の電圧及び前記第2比較ユニットの第3端子の電圧に基づいて、前記第2比較ユニットの第4端子から第1トランジスタ制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力することに用いられる、請求項12に記載の電流制限回路。
【請求項19】
前記タイミングユニットはタイマーを含み、前記タイマーは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、
前記第2比較ユニットは第2比較器を含み、前記第2比較器の第1端子は前記タイミングユニットに電気的に接続され、前記第2比較器の第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較器の第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較器の第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続される、請求項18に記載の電流制限回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は表示技術分野に関し、具体的には、電流制限回路に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル業界では、従来の電源管理集積チップはAVDD電圧のスタートアップ過程中で電流制限の動作を行い、その目的は、絶縁トランジスタをゆっくりとオンにし、AVDD電圧を穏やかに確立し、過大の電流が発生してループにおける他の電子部品を損傷するのを防止することである。
【0003】
しかし、従来設計の欠点はAVDDに対する電流制限値が固定であり変わらないことである。この電流制限値が小さすぎる場合、電源管理集積チップは重負荷で起動する状況下で、電流制限されるため、電圧が所定の時間内に確立できないことを引き起こし、それにより起動が失敗し、この電流制限値が大きすぎる場合にも、電源管理集積チップはバックエンド負荷に短絡が発生するとき、長時間の大電流によって部品の破損を引き起こし、例えば、ソースドライバが破損して発火する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は電流制限回路を提供し、電流制限回路の電流制限値を調整可能にすることができ、それにより電源管理集積チップの重負荷での起動が失敗することを防止し、及び電源管理集積チップの短絡での起動による破損を防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様では、本願は電流制限回路を提供し、
第1電圧端子と、第2電圧端子と、第1トランジスタと、電流制限モジュールと、を含み、
前記第1トランジスタは、その入力端子及び出力端子が前記第1電圧端子と前記第2電圧端子とが形成するルート上に直列接続され、及び
前記電流制限モジュールは、前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記電流制限モジュールは、制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力し、前記第1トランジスタの状態を制御することで、前記電流制限回路の電流制限値を調整可能にすることに用いられる。
【0006】
本願が提供する電流制限回路では、前記電流制限モジュールは、昇圧ユニット、可変電圧ユニット、第1比較ユニット及び定電流ユニットを含み、
前記昇圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記昇圧ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記定電流ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記昇圧ユニットは、前記昇圧ユニットの第2端子の電圧を前記昇圧ユニットの第1端子の電圧よりも大きくすることに用いられ、前記可変電圧ユニットは可変電圧を出力することに用いられ、前記第1比較ユニットは、前記第1比較ユニットの第1端子の電圧及び前記第1比較ユニットの第2端子の電圧に基づいて、前記第1比較ユニットの第3端子から定電流ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記定電流ユニットは前記定電流ユニット制御信号の制御下で定電流を出力することに用いられる。
【0007】
本願が提供する電流制限回路では、前記昇圧ユニットはインダクタ、第2トランジスタ及びダイオードを含み、
前記インダクタの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記インダクタの第2端子と、前記第2トランジスタの第1端子とは前記ダイオードの第1端子に電気的に接続され、前記ダイオードの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第2トランジスタの第2端子は接地端子に電気的に接続される。
【0008】
本願が提供する電流制限回路では、前記電流制限回路の電流制限値は以下の式に基づいて得ることができ、
I=(V1-V2)/R
Iは前記電流制限回路の電流制限値であり、V1は可変電圧源が設定する電圧値であり、V2は前記ダイオードの電圧降下値であり、Rは前記インダクタのインピーダンス値である。
【0009】
本願が提供する電流制限回路では、前記可変電圧ユニットは1つの可変電圧源を含み、前記可変電圧源の第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧源の第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続される。
【0010】
本願が提供する電流制限回路では、前記第1比較ユニットは第1比較器を含み、前記第1比較器の第1端子は前記可変電圧ユニットの第2端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続される。
【0011】
本願が提供する電流制限回路では、前記定電流ユニットは1つの定電流源を含み、前記定電流源の第1端子は前記第1比較ユニットの第3端子に電気的に接続され、前記定電流源の第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記定電流源の第3端子は接地端子に電気的に接続される。
【0012】
本願が提供する電流制限回路では、前記電流制限モジュールはタイミングユニット及び第2比較ユニットをさらに含み、
前記タイミングユニットは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較ユニットの第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記タイミングユニットは予め設定された時間間隔で比較ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記第2比較ユニットは、前記比較ユニット制御信号の制御下で、前記第2比較ユニットの第2端子の電圧及び前記第2比較ユニットの第3端子の電圧に基づいて、前記第2比較ユニットの第4端子から第1トランジスタ制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力することに用いられる。
【0013】
本願が提供する電流制限回路では、前記タイミングユニットはタイマーを含み、前記タイマーは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続される。
【0014】
本願が提供する電流制限回路では、前記第2比較ユニットは第2比較器を含み、前記第2比較器の第1端子は前記タイミングユニットに電気的に接続され、前記第2比較器の第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較器の第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較器の第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続される。
【0015】
本願が提供する電流制限回路では、前記固定電圧信号の電圧は、第1電圧端子の電圧の0.85倍と第1電圧端子の電圧の0.9倍との間の値をとる。
【0016】
本願が提供する電流制限回路では、前記電流制限回路は第1コンデンサ、第2コンデンサ、第3コンデンサ及び抵抗器をさらに含み、
前記第1コンデンサの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記第2コンデンサの第1端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第3コンデンサの一端及び前記抵抗器の第1端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第1コンデンサの第2端子、前記第2コンデンサの第2端子、前記第3コンデンサの第2端子及び前記抵抗器の第2端子は接地端子に電気的に接続される。
【0017】
第2態様では、本願は電流制限回路をさらに提供し、
第1電圧端子と、第2電圧端子と、第1トランジスタと、電流制限モジュールと、を含み、
前記第1トランジスタは、その入力端子及び出力端子が前記第1電圧端子と前記第2電圧端子とが形成するルート上に直列接続され、及び
前記電流制限モジュールは、前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記電流制限モジュールは、制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力し、前記第1トランジスタの状態を制御することで、前記電流制限回路の電流制限値を調整可能にすることに用いられ、
前記電流制限モジュールは、昇圧ユニット、可変電圧ユニット、第1比較ユニット及び定電流ユニットを含み、
前記昇圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記昇圧ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧ユニットの第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較ユニットの第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記定電流ユニットの第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記昇圧ユニットは、前記昇圧ユニットの第2端子の電圧を前記昇圧ユニットの第1端子の電圧よりも大きくすることに用いられ、前記可変電圧ユニットは可変電圧を出力することに用いられ、前記第1比較ユニットは、前記第1比較ユニットの第1端子の電圧及び前記第1比較ユニットの第2端子の電圧に基づいて、前記第1比較ユニットの第3端子から定電流ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記定電流ユニットは前記定電流ユニット制御信号の制御下で定電流を出力することに用いられ、
前記電流制限回路は第1コンデンサ、第2コンデンサ、第3コンデンサ及び抵抗器をさらに含み、
前記第1コンデンサの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記第2コンデンサの第1端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第3コンデンサの一端及び前記抵抗器の第1端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第1コンデンサの第2端子、前記第2コンデンサの第2端子、前記第3コンデンサの第2端子及び前記抵抗器の第2端子は接地端子に電気的に接続される。
【0018】
本願が提供する電流制限回路では、前記昇圧ユニットはインダクタ、第2トランジスタ及びダイオードを含み、
前記インダクタの第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記インダクタの第2端子と、前記第2トランジスタの第1端子とは前記ダイオードの第1端子に電気的に接続され、前記ダイオードの第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第2トランジスタの第2端子は前記接地端子に電気的に接続される。
【0019】
本願が提供する電流制限回路では、前記電流制限回路の電流制限値は以下の式に基づいて得ることができ、
I=(V1-V2)/R、
Iは前記電流制限回路の電流制限値であり、V1は可変電圧源が設定する電圧値であり、V2は前記ダイオードの電圧降下値であり、Rは前記インダクタのインピーダンス値である。
【0020】
本願が提供する電流制限回路では、前記可変電圧ユニットは1つの可変電圧源を含み、前記可変電圧源の第1端子は前記第1電圧端子に電気的に接続され、前記可変電圧源の第2端子は前記第1比較ユニットの第1端子に電気的に接続される。
【0021】
本願が提供する電流制限回路では、前記第1比較ユニットは第1比較器を含み、前記第1比較器の第1端子は前記可変電圧ユニットの第2端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第2端子は前記第1トランジスタの入力端子に電気的に接続され、前記第1比較器の第3端子は前記定電流ユニットの第1端子に電気的に接続される。
【0022】
本願が提供する電流制限回路では、前記定電流ユニットは1つの定電流源を含み、前記定電流源の第1端子は前記第1比較ユニットの第3端子に電気的に接続され、前記定電流源の第2端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、前記定電流源の第3端子は接地端子に電気的に接続される。
【0023】
本願が提供する電流制限回路では、前記電流制限モジュールはタイミングユニット及び第2比較ユニットをさらに含み、
前記タイミングユニットは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較ユニットの第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較ユニットの第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続され、
前記タイミングユニットは予め設定された時間間隔で比較ユニット制御信号を出力することに用いられ、前記第2比較ユニットは、前記比較ユニット制御信号の制御下で、前記第2比較ユニットの第2端子の電圧及び前記第2比較ユニットの第3端子の電圧に基づいて、前記第2比較ユニットの第4端子から第1トランジスタ制御信号を前記第1トランジスタの制御端子に出力することに用いられる。
【0024】
本願が提供する電流制限回路では、前記タイミングユニットはタイマーを含み、前記タイマーは前記第2比較ユニットの第1端子に電気的に接続され、
前記第2比較ユニットは第2比較器を含み、前記第2比較器の第1端子は前記タイミングユニットに電気的に接続され、前記第2比較器の第2端子は前記第2電圧端子に電気的に接続され、前記第2比較器の第3端子は固定電圧信号にアクセスし、前記第2比較器の第4端子は前記第1トランジスタの制御端子に電気的に接続される。
【発明の効果】
【0025】
[有利な効果]
本願が提供する電流制限回路は、電流制限モジュールによって制御信号を第1トランジスタの制御端子に出力し、第1トランジスタの状態を制御することで、電流制限回路の電流制限値を調整可能にし、それにより電源管理集積チップの重負荷での起動が失敗することを防止し、及び電源管理集積チップの短絡での起動による破損を防止することができる。
【0026】
本願の実施例の技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述中に使用される必要がある図面に対して簡単な紹介を行い、明らかに、以下の記述における図面は単に本願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働をしない前提下で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願の実施例が提供する電流制限回路の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例が提供する電流制限回路の別の構造模式図である。
【
図3】本願の実施例が提供する電流制限回路のさらなる構造模式図である。
【
図4】本願の実施例が提供する電流制限回路の回路模式図である。
【
図5】昇圧ユニットの充電過程の原理模式図である。
【
図6】昇圧ユニットの放電過程の原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願の実施例の図面と併せて、本願の実施例の技術的手段に対して明確、完全な記述を行う。明らかなように、記述される実施例は単に本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労働をしない前提下で取得するすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。理解されるべきであるように、ここに記述される具体的な実施形態は本願を説明及び解釈することのみに用いられ、本願を制限することに用いられない。本願の特許請求の範囲及び明細書における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等は異なる対象を区別することに用いられ、特定の順序を記述することに用いられない。
【0029】
本願の実施例は電流制限回路を提供し、電流制限回路の電流制限値を調整可能にすることができ、それにより電源管理集積チップの重負荷での起動が失敗することを防止し、及び電源管理集積チップの短絡での起動による破損を防止することができる。以下において詳細説明を行う。説明する必要があるように、以下の実施例の記述順序は実施例の好ましい順序に対する限定ではない。本願のすべての実施例に採用されるトランジスタは薄膜トランジスタ又は電界効果トランジスタ又は特性が同じである他のデバイスであってもよい。
【0030】
また、本願の実施例に採用されるトランジスタはP型トランジスタ及び/又はN型トランジスタの2種類を含んでもよい。ここで、P型トランジスタはゲートが低レベルであるとき、ソースがドレインと導通し、ゲートが高レベルであるとき、ソースがドレインと遮断する。N型トランジスタはゲートが高レベルであるとき、ソースがドレインと導通し、ゲートが低レベルであるとき、ソースがドレインと遮断する。
【0031】
図1に参照されるように、
図1は本願の実施例が提供する電流制限回路の構造模式図である。
図1に示すように、本願の実施例が提供する電流制限回路10は第1電圧端子A、第2電圧端子B、第1トランジスタT1及び電流制限モジュール100を含む。第1トランジスタT1の入力端子及び第1トランジスタT1の出力端子は第1電圧端子Aと第2電圧端子Bとが形成するルート上に直列接続される。電流制限モジュール100は第1トランジスタT1の制御端子に電気的に接続される。電流制限モジュール100は、制御信号を第1トランジスタT1の制御端子に出力し、第1トランジスタT1の状態を制御することで、電流制限回路10の電流制限値を調整可能にすることに用いられる。理解できるように、第1トランジスタT1の第1端子はトランジスタのソース又はドレインのうちの一方であり、第1トランジスタT1の第2端子はトランジスタのソース又はドレインのうちの他方であり、第1トランジスタT1の制御端子はトランジスタのゲートである。
【0032】
説明する必要があるように、第1電圧端子Aは電源管理チップの作動電圧入力端子であってもよく、第2電圧端子BはAVDD電圧出力端子であってもよい。表示パネル業界では、電源管理集積チップはAVDD電圧のスタートアップ過程中で電流制限の動作を行い、その目的は、第1トランジスタT1をゆっくりとオンにし、AVDD電圧を穏やかに確立し、過大の電流が発生してループにおける他の電子部品を損傷するのを防止することである。
【0033】
電流制限回路10の電流制限値が小さすぎる場合、電源管理集積チップは重負荷で起動する状況下で、電流制限されるため、電圧が所定の時間内に確立できないことを引き起こし、それにより起動が失敗し、電流制限回路10の電流制限値が大きすぎる場合にも、電源管理集積チップはバックエンド負荷に短絡が発生するとき、長時間の大電流によって部品の破損を引き起こす。本願の実施例では、電流制限回路10の電流制限値は調整可能なものである。即ち、本願の実施例の電流制限回路10は実際の状況に基づいて電流制限回路10の電流制限値を設定することができ、電流制限回路10の電流制限値を調整可能にすることができ、それにより電源管理集積チップの重負荷での起動が失敗することを防止し、及び電源管理集積チップの短絡での起動による破損を防止することができる。
【0034】
図2に参照されるように、
図2は本願の実施例が提供する電流制限回路の別の構造模式図である。
図2に示すように、電流制限モジュール100は昇圧ユニット101、可変電圧ユニット102、第1比較ユニット1031及び定電流ユニット104を含む。昇圧ユニット101の第1端子は第1電圧端子Aに電気的に接続される。昇圧ユニット101の第2端子は第1トランジスタT1の入力端子に電気的に接続される。可変電圧ユニット102の第1端子は第1電圧端子Aに電気的に接続される。可変電圧ユニット102の第2端子は第1比較ユニット1031の第1端子に電気的に接続される。第1比較ユニット1031の第2端子は第1トランジスタT1の入力端子に電気的に接続される。定電流ユニット104の第2端子は第1トランジスタT1の制御端子に電気的に接続される。理解できるように、本願の実施例は昇圧ユニット101、可変電圧ユニット102、第1比較ユニット1031及び定電流ユニット104によって電流制限回路10の電流制限値を調整可能にする。
【0035】
いくつかの実施例では、
図3に参照されるように、
図3は本願の実施例が提供する電流制限回路のさらなる構造模式図である。ここで、
図3に示される電流制限回路10と
図2に示される電流制限回路10との相違点は、
図3に示される電流制限回路10が第2比較ユニット1032及びタイミングユニット105をさらに含むことである。
【0036】
具体的には、
図3に示すように、電流制限モジュール100は昇圧ユニット101、可変電圧ユニット102、比較ユニット103、定電流ユニット104及びタイミングユニット105を含む。比較ユニット103は第1比較ユニット1031及び第2比較ユニット1032を含む。昇圧ユニット101の第1端子は第1電圧端子Aに電気的に接続される。昇圧ユニット101の第2端子は第1トランジスタT1の入力端子に電気的に接続される。可変電圧ユニット102の第1端子は第1電圧端子Aに電気的に接続される。可変電圧ユニット102の第2端子は第1比較ユニット1031の第1端子に電気的に接続される。第1比較ユニット1031の第2端子は第1トランジスタT1の入力端子に電気的に接続される。第1比較ユニット1031の第3端子は定電流ユニット104の第1端子に電気的に接続される。定電流ユニット104の第2端子は第1トランジスタT1の制御端子に電気的に接続される。タイミングユニット105は第2比較ユニット1032の第1端子に電気的に接続される。第2比較ユニット1032の第2端子は第2電圧端子Bに電気的に接続される。第2比較ユニット1032の第3端子は固定電圧信号Mにアクセスする。第2比較ユニット1032の第4端子は第1トランジスタT1の制御端子に電気的に接続される。理解できるように、本願の実施例は昇圧ユニット101、可変電圧ユニット102、第1比較ユニット1031、第2比較ユニット、定電流ユニット104及びタイミングユニット105によって電流制限回路10の電流制限値及び電流制限時間を調整可能にする。
【0037】
ここで、昇圧ユニット101は1種の一般的なスイッチ直流昇圧回路であり、それは第2トランジスタQの導通及び遮断によって、インダクタLがエネルギーを蓄積及び放出するように制御し、それにより昇圧ユニット101の出力電圧を入力電圧よりも高くする。即ち、本願の実施例では、昇圧ユニット101は、昇圧ユニット101の第2端子の電圧を昇圧ユニット101の第1端子の電圧よりも大きくすることに用いられる。理解できるように、昇圧ユニット101の第1端子は入力電圧が入力する一端であり、昇圧ユニット101の第2端子は出力電圧が出力する一端である。
【0038】
ここで、可変電圧ユニット102は実際の電源から抽象化される1種のモデルであり、流れる電流の大きさにかかわらず、その両端で常に所定の電圧を維持することができる。可変電圧ユニット102は2つの基本的な性質を有する。第1に、その端子電圧は流れる電流と関係がなく、第2に、可変電圧ユニット102自体の電圧は一定であるが、流れる電流は任意である。即ち、本願の実施例では、可変電圧ユニット102は1つの可変電圧を出力することに用いられ、可変電圧は実際の必要に応じて設定することができる。
【0039】
ここで、比較ユニット103は第1比較ユニット1031及び第2比較ユニット1032を含む。比較ユニット103は2つ又は複数のデータ項目に対して比較を行って、それらが同じであるか否かを決定し、又はそれらの間の大きさ関係及び並び順序を決定することを比較と呼ぶ。この比較機能を実現できる回路又は装置を比較ユニットと呼ぶ。比較ユニットの機能は2つの電圧の大きさを比較することであり(出力電圧の高レベル又は低レベルを用いて、2つの入力電圧の大きさ関係を示す)、「+」入力端子の電圧が「-」入力端子よりも高いとき、電圧比較器の出力は高レベルであり、「+」入力端子の電圧が「-」入力端子よりも低いとき、電圧比較器の出力は低レベルである。
【0040】
本願の実施例では、第1比較ユニット1031は、第1比較ユニット1031の第1端子の電圧及び第1比較ユニット1031の第2端子の電圧に基づいて、第1比較ユニット1031の第3端子から定電流ユニット104の制御信号を出力することに用いられ、第2比較ユニット1032は、比較ユニット制御信号の制御下で、第2比較ユニット1032の第2端子の電圧及び第2比較ユニット1032の第3端子の電圧に基づいて、第2比較ユニット1032の第4端子から第1トランジスタT1の制御信号を第1トランジスタT1の制御端子に出力することに用いられる。
【0041】
説明する必要があるように、第1比較ユニット1031の第1端子は「-」入力端子であり、第1比較ユニット1031の第2端子は「+」入力端子であり、第1比較ユニット1031の第3端子は出力端子である。第1比較ユニット1031の第1端子の電圧が第1比較ユニット1031の第2端子の電圧よりも大きいとき、第1比較ユニット1031の第3端子から出力される定電流制御信号は低レベルであり、第1比較ユニット1031の第1端子の電圧が第1比較ユニット1031の第2端子の電圧よりも小さいとき、第1比較ユニット1031の第3端子から出力される定電流制御信号は高レベルである。第2比較ユニット1032の第1端子はイネーブル端子であり、第2比較ユニット1032の第2端子は「+」入力端子であり、第2比較ユニット1032の第3端子は「-」入力端子であり、第2比較ユニット1032の第4端子は出力端子である。第2比較ユニット1032の第1端子が高レベルであるとき、第2比較ユニット1032は作動を開始し、第2比較ユニット1032の第1端子が低レベルであるとき、第2比較ユニット1032は作動を停止する。第2比較ユニット1032の第2端子の電圧が第2比較ユニット1032の第3端子の電圧よりも大きいとき、第2比較ユニット1032の第4端子から出力される第1トランジスタT1の制御信号は高レベルであり、第2比較ユニット1032の第2端子の電圧が第2比較ユニット1032の第3端子の電圧よりも小さいとき、第2比較ユニット1032の出力端子から出力される第1トランジスタT1の制御信号は低レベルである。
【0042】
ここで、定電流ユニット104は実際の電源から抽象化する1種のモデルであり、その端子は、その両端の電圧の大きさにかかわらず、常に外部に所定の電流を提供する。定電流ユニット104は2つの基本的な性質を有する。第1に、それが提供する電流は固定値であり、それは両端の電圧と関係がなく、第2に、定電流ユニット104自体の電流は一定であるが、その両端の電圧は任意である。即ち、本願の実施例では、定電流ユニット104は定電流ユニット制御信号の制御下で定電流を出力することに用いられ、定電流は実際の必要に応じて設定することができる。
【0043】
ここで、タイミングユニット105は電流制限時間を設定するレジスタである。即ち、本願の実施例では、タイミングユニット105は予め設定された時間間隔で比較ユニット制御信号を出力することに用いられる。第2比較ユニット1032の第1端子が比較ユニット制御信号を受信するとき、第2比較ユニット1032は作動を開始し、第2比較ユニット1032の第1端子が比較ユニット制御信号を受信していないとき、第2比較ユニット1032は作動を停止する。
【0044】
具体的には、
図4に参照されるように、
図4は本願の実施例が提供する電流制限回路の回路模式図である。
図3、
図4を併せて示すように、昇圧ユニット101はインダクタL、第2トランジスタQ及びダイオードD1を含む。インダクタLの第1端子は第1電圧端子Aに電気的に接続される。インダクタLの第2端子、第2トランジスタQの第1端子はダイオードD1の第1端子に電気的に接続される。ダイオードD1の第2端子は第1トランジスタT1の入力端子に電気的に接続される。第2トランジスタQの第2端子は接地端子GNDに電気的に接続される。ここで、昇圧ユニット101の作動過程は充電及び放電の両部分に分けられてもよい。
【0045】
図5、
図6に参照されるように、
図5は昇圧ユニット101の充電過程の原理模式図である。
図6は昇圧ユニット101の放電過程の原理模式図である。
図4、
図5を併せて示すように、充電過程中で、第2トランジスタQは導通し、理解できるように、第2トランジスタQについては、ここで、1本の線で第2トランジスタQの入力端子と第2トランジスタQの出力端子を直接接続することに相当する。このとき、入力電圧はインダクタLを流れる。ダイオードD1はコンデンサがグランドに放電することを防止する。入力が直流電気であるため、インダクタL上の電流は所定の比率で線形的に増加し、この比率はインダクタLの大きさと関係がある。インダクタLの電流増加に伴って、インダクタLにいくつかのエネルギーが蓄積する。
図4、
図6を併せて示すように、放電過程中で、第2トランジスタQが切断される。第2トランジスタQが切断されるとき、インダクタLの電流維持特性のため、インダクタLを流れる電流はすぐに0にならず、充電完了時の値からゆっくりと0になる。一方、元の回路が切断されており、それで、インダクタLは新しい回路を介してのみ放電でき、即ちインダクタLはコンデンサへの充電を開始し、コンデンサの両端の電圧が高くなり、このとき、電圧は入力電圧よりも高くなり、昇圧が完了する。
【0046】
具体的には、
図3、
図4を併せて示すように、可変電圧ユニット102は1つの可変電圧源を含む。可変電圧源の第1端子は第1電圧端子Aに電気的に接続される。可変電圧源の第2端子は第1比較ユニット1031の第1端子に電気的に接続される。いくつかの実施例では、可変電圧ユニット102はその特性が同じであるデバイスであってもよい。即ち、可変電圧ユニット102は可変電圧を提供できる他のデバイスであってもよい。
【0047】
ここで、電流制限回路10の電流制限値は以下の式に基づいて得ることができる。
I=(V1-V2)/R
ここで、Iは電流制限回路の電流制限値であり、V1は可変電圧源が設定する電圧値であり、V2はダイオードD1の電圧降下値であり、RはインダクタLのインピーダンスである。例えば、インダクタLのインピーダンスが50ミリオームであり、ダイオードD1の電圧降下が350ミリボルトであるときに、可変電圧源の電圧が400ミリボルトに設定されるとき、電流制限回路の電流制限値は1アンペアである。インダクタLのインピーダンスが50ミリオームであり、ダイオードD1の電圧降下が350ミリボルトであるとき、可変電圧源の電圧が450ミリボルトに設定されるとき、電流制限回路の電流制限値は2アンペアである。インダクタLのインピーダンスが50ミリオームであり、ダイオードD1の電圧降下が350ミリボルトであるときに、可変電圧源の電圧が500ミリボルトに設定されるとき、電流制限回路の電流制限値は3アンペアである。インダクタLのインピーダンスが50ミリオームであり、ダイオードD1の電圧降下が350ミリボルトであるとき、可変電圧源の電圧が5500ミリボルトに設定されるとき、電流制限回路の電流制限値は4アンペアである。これに基づいて、本願の実施例は可変電圧源の電圧値を設定することによって、電流制限回路の複数種の電流制限値を増加することができる。
【0048】
具体的には、
図3、
図4を併せて示すように、第1比較ユニット1031は第1比較器を含む。第1比較器の第1端子は可変電圧ユニット102の第2端子に電気的に接続される。第1比較器の第2端子は第1トランジスタT1の入力端子に電気的に接続される。第1比較器の第3端子は定電流ユニット104の第1端子に電気的に接続される。
【0049】
ここで、第1比較器の第1端子は「-」入力端子であり、第1比較器の第2端子は「+」入力端子であり、第1比較器の第3端子は出力端子である。第1比較器の第1端子の電圧が第1比較器の第2端子の電圧よりも大きいとき、第1比較器の第3端子から出力される定電流制御信号は低レベルであり、第1比較器の第1端子の電圧が第1比較器の第2端子の電圧よりも小さいとき、第1比較器の第3端子から出力される定電流制御信号は高レベルである。
【0050】
ここで、第1比較器は、第1電圧端子Aの電圧と可変電圧源の電圧とを加算した和と第1トランジスタT1の第1端子の電圧を比較する。第1電圧端子Aの電圧と可変電圧源の電圧とを加算した和が第1トランジスタT1の第1端子の電圧よりも大きいとき、第1比較器は低レベルを出力し、第1電圧端子Aの電圧と可変電圧源の電圧とを加算した和が第1トランジスタT1の第1端子の電圧よりも小さいとき、第1比較器は高レベルを出力する。
【0051】
具体的には、
図3、
図4を併せて示すように、定電流ユニット104は1つの定電流源を含む。定電流源の第1端子は第1比較ユニット1031の第3端子に電気的に接続される。定電流源の第2端子は第1トランジスタT1の制御端子に電気的に接続される。定電流源の第3端子は接地端子GNDに電気的に接続される。説明する必要があるように、いくつかの実施例では、定電流ユニット104は特性が同じである他のデバイスであってもよい。即ち、定電流ユニット104は定電流を提供できる他のデバイスであってもよい。ここで、定電流源の第1端子が高レベルであるとき、定電流源は作動し、定電流源の第1端子が低レベルであるとき、定電流源は遮断する。
【0052】
具体的には、
図2、
図3を併せて示すように、タイミングユニット105はタイマーを含む。タイマーは第2比較ユニット1032の第1端子に電気的に接続される。説明する必要があるように、いくつかの実施例では、タイミングユニット105は特性が同じである他のデバイスであってもよい。即ち、タイミングユニット105はタイミング機能を有する他のデバイスであってもよい。ここで、タイマーは予め設定された時間間隔で高レベル信号を出力する。例えば、タイマーは、異なる測定時間スケール、例えば4ミリ秒、6ミリ秒、8ミリ秒又は10ミリ秒を設定することができる。
【0053】
具体的には、
図3、
図4を併せて示すように、第2比較ユニット1032は第2比較器を含む。第2比較器の第1端子はタイミングユニット105に電気的に接続される。第2比較器の第2端子は第2電圧端子Bに電気的に接続される。第2比較器の第3端子は固定電圧信号Mにアクセスする。第2比較器の第4端子は第1トランジスタT1の制御端子に電気的に接続される。
【0054】
ここで、第2比較器の第1端子はイネーブル端子であり、第2比較器の第2端子は「+」入力端子であり、第2比較器の第3端子は「-」入力端子であり、第2比較器の第4端子は出力端子である。第2比較器の第1端子が高レベルであるとき、第2比較器は作動を開始し、第2比較器の第1端子が低レベルであるとき、第2比較器は作動を停止する。第2比較器の第2端子の電圧が第2比較器の第3端子の電圧よりも大きいとき、第2比較器の第4端子から出力される第1トランジスタT1の制御信号は高レベルであり、第2比較器の第2端子の電圧が第2比較器の第3端子の電圧よりも小さいとき、第2比較器の出力端子から出力される第1トランジスタT1の制御信号は低レベルである。
【0055】
ここで、第2比較器の第1端子が高レベルであるとき、第2比較器は作動し、第2比較器の第1端子が低レベルであるとき、第2比較器は遮断する。第2比較器は第2電圧端子Bの電圧と固定電圧信号Mの電圧を比較する。第2電圧端子Bの電圧が可変信号の電圧よりも大きいとき、第1比較器は高レベルを出力し、第2電圧端子Bの電圧が可変信号の電圧よりも小さいとき、第1比較器は低レベルを出力する。
【0056】
ここで、固定電圧信号Mの電圧値は、第1電圧端子Aの電圧値の0.85倍と第1電圧端子Aの電圧値の0.9倍との間の値をとる。いくつかの実施例では、固定電圧信号Mの電圧値は、第1電圧端子Aの電圧値の0.85倍と第1電圧端子Aの電圧値の0.9倍との間の値をとるように設定されてもよい。別のいくつかの実施例では、第1電圧端子Aと第2比較ユニット1032の第3端子との間に1つの乗算器を直列接続して、固定電圧信号Mの電圧値を、第1電圧端子Aの電圧値の0.85倍と第1電圧端子Aの電圧値の0.9倍との間の値をとるようにさせてもよい。
【0057】
さらに、可変電圧源の電圧を400ミリボルトに設定することを例として説明する。第1電圧端子Aと第2電圧端子Bとが形成するルート上の電流は第1電圧端子Aから入力され、インダクタL、ダイオードD1、及び第1トランジスタT1を通過して第2電圧端子Bに到達する。第1電圧端子Aと第1トランジスタT1の第1端子との間の電圧差を測定することによって、且つ可変電圧源の電圧(現在、可変電圧源の電圧を400ミリボルトに設定する)と比較する。第1電圧端子Aと第1トランジスタT1の第1端子との間の電圧差が400ミリボルトよりも小さいとき、定電流源はスタートアップし、且つ20マイクロアンペアの電流で第1トランジスタT1の制御端子の電位を連続的に引き下げることで、第1トランジスタT1を徐々にオンにし、第1電圧端子Aは第2電圧端子Bに充電する。第1電圧端子Aと第1トランジスタT1の第1端子との間の電圧差が400ミリボルトよりも大きいとき、定電流源はオフになり、20マイクロアンペアの電流で第1トランジスタT1の制御端子の電位を引き下げなくなり、第1トランジスタT1をハーフオン状態にし、電流制限の目的を達成する。
【0058】
さらに、タイマーが4ミリ秒に設定され、固定電圧信号Mが第1端子の電圧の0.9倍に設定されることを例として説明する。タイマーは電流制限時間を設定するレジスタであり、現在、4ミリ秒に設定される。以下のことを示す。第1トランジスタT1のオンを開始点としてタイミングを行い、4ms後に第2電圧端子Bの電圧値を測定し、第2電圧端子Bの電圧値が第1電圧端子Aの電圧の0.9倍よりも大きいと、電源ループが正常であると判定し、第1トランジスタT1のオンを維持し、第2電圧端子Bの電圧値が第1電圧端子Aの電圧の0.9倍よりも小さいと、ループ中に負荷短絡が発生する恐れがあると代表し、第1トランジスタT1をオフにし、バックエンドの電子部品を保護する。
【0059】
いくつかの実施例では、可変電圧ユニット102、第1比較ユニット1031、定電流ユニット104、タイミングユニット105及び第2比較ユニット1032はいずれも電源管理チップ内に設置され、昇圧ユニット101及び第1トランジスタT1は電源管理チップ外に設置される。
【0060】
いくつかの実施例では、本願の実施例が提供する電流制限回路は第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3及び抵抗器Rrをさらに含む。ここで、第1コンデンサC1の第1端子は第1電圧端子Aに電気的に接続される。第2コンデンサC2の第1端子は第1トランジスタT1の入力端子に電気的に接続される。第3コンデンサC3の一端及び抵抗器Rrの第1端子は第2電圧端子Bに電気的に接続される。第1コンデンサC1の第2端子、第2コンデンサC2の第2端子、第3コンデンサC3の第2端子及び抵抗器Rrの第2端子は接地端子GNDに電気的に接続される。
【0061】
本願の実施例が提供する電流制限回路は、電流制限モジュールによって制御信号を第1トランジスタの制御端子に出力し、第1トランジスタの状態を制御することで、電流制限回路の電流制限値及び電流制限時間を調整可能にし、それにより電源管理集積チップの重負荷での起動が失敗することを防止し、及び電源管理集積チップの短絡での起動による破損を防止することができる。
【0062】
以上、本願の実施例が提供する電流制限回路に対して詳細な紹介を行っており、本明細書では具体的な例を応用して本願の原理及び実施形態に対して詳しい述べを行っており、以上の実施例の説明は本願の方法及びそのコアアイデアを理解するのを助けることのみに用いられる。同時に、当業者にとって、本願のアイデアにより具体的な実施形態及び応用範囲に対して変更を行うことができ、以上のように、本明細書の内容は本願に対する制限として理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0063】
10 電流制限回路
100 電流制限モジュール
101 昇圧ユニット
102 可変電圧ユニット
103 比較ユニット
104 定電流ユニット
105 タイミングユニット
1031 第1比較ユニット
1032 第2比較ユニット