IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォーティメディックス・サージカル・ビー.ブイ.の特許一覧

特許7555957取り外し可能な部分を備えるステアリング可能な器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】取り外し可能な部分を備えるステアリング可能な器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
A61B1/005 524
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021559841
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 NL2020050239
(87)【国際公開番号】W WO2020218921
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】2022893
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2022896
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2023998
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517197509
【氏名又は名称】フォーティメディックス・アセッツ・ザ・セカンド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FORTIMEDIX ASSETS II B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ティッセン、マテウス・ヘンドリック・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】フェルベーク、マルセル・アントニウス・エリサベート
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-539472(JP,A)
【文献】特開2015-164591(JP,A)
【文献】特表2017-500902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61M 25/092
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング可能な長尺器具の管におけるストリップ形状の長手方向要素(102,1102,1200,1302)に結合し、前記長手方向要素から分離するように構成されたステアリングデバイス(500,700,1101,1202,1308)であって、前記長手方向要素は長手方向スロットによって分離され、前記長手方向要素には接続部(108,1104,1204)が設けられ、前記ステアリングデバイスは、
・第1の中心軸を有する第1のチャネル(508)の周りに配置された支持ユニット(502)と、ここで、前記第1のチャネル(508)は、前記支持ユニットの遠位側から近位側に延在し
・前記支持ユニット(502)上に回転可能に配置されたステアリングユニット(504)と、ここで、前記ステアリングユニット(504)は、前記ステアリングユニット(504)の回転の動きと共に動くように、前記ステアリング可能な長尺器具の複数の前記長手方向要素(102,1102,1302の前記接続部(108,1104,1204)を固定/解放するように配置され、
を備える、ステアリングデバイス(500,700,1101,1202,1308)。
【請求項2】
前記接続部は、前記長手方向要素の端部に、より広い部分(108,1104)の形態を有し、前記ステアリングユニット(504)は複数の穴(532,702)を備え、各穴は前記ステアリング可能な長尺器具における1つのストリップ形状の長手方向要素(102,1102,1302)の前記より広い部分(108,1104)に結合し、前記より広い部分から分離するように構成されている、請求項1に記載のステアリングデバイス。
【請求項3】
前記支持ユニット(502)はボール形状の要素(506)を備え、そのため、前記ステアリングユニット(504)が前記ボール形状の要素(506)の周りを回転することができ、前記第1のチャネル(508)は、前記ボール形状の要素(506)を通って延在する、請求項1又は2に記載のステアリングデバイス。
【請求項4】
前記ステアリングユニット(504)はステアリングプレート(516)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項5】
複数の前記穴は、前記ステアリングユニット(504)の円周から内向きに延在する複数の溝(532)であり、複数の前記溝(532)の各々は、1つの長手方向要素(102)を受け入れるように構成されている、請求項に記載のステアリングデバイス。
【請求項6】
複数の前記長手方向要素(102,1102,1302)を前記ステアリングユニット(504)に固定するためのロッキング機構を更に備える、請求項1~のいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項7】
前記ロッキング機構は、複数の前記長手方向要素(102,1102,1302)を前記ステアリングユニット(504)に固定するように構成されたロッキングプレートを備える、請求項に記載のステアリングデバイス。
【請求項8】
複数の前記長手方向要素(102,1102,1302)は、複数の開口部を通して前記ステアリングユニット(504)に固定され、前記ロッキングプレートは、複数の前記長手方向要素が複数の前記開口部から出てしまうことを前記ロッキングプレートが防止するように前記ステアリングユニットに接続する、請求項に記載のステアリングデバイス。
【請求項9】
前記ロッキングプレートは、複数の前記長手方向要素を複数の前記開口部に挿入するか又はそれから取り除くことができる開位置から、複数の前記長手方向要素が複数の前記開口部内に固定されるロック位置まで移動可能である、請求項に記載のステアリングデバイス。
【請求項10】
前記ロッキングプレートは、前記ステアリングユニットの円周から内向きに延在する開口部中に長手方向要素を固定するように軸方向に移動可能である、請求項に記載のステアリングデバイス。
【請求項11】
前記ロッキングプレートは、前記開位置から前記ロック位置まで動くように回転可能に移動可能である、請求項に記載のステアリングデバイス。
【請求項12】
前記ロッキングプレートは、前記ロッキングプレートの外周の周りに延在する複数の突出要素を備え、複数の前記突出要素の各々は、チャネル中に長手方向要素を受け入れて前記長手方向要素を固定するように構成されたフック形状の側面を備える、請求項1に記載のステアリングデバイス。
【請求項13】
複数の前記突出要素の各々は、前記長手方向要素が前記チャネル中に固定された前記ロック位置から前記開位置まで前記ロッキングプレートが回転するとき、前記長手方向要素が複数の前記突出要素の傾斜側面上で摺動し、それによって、複数の前記開口部から押し出されるように、前記チャネルの反対側に配置された前記傾斜側面を備える、請求項1に記載のステアリングデバイス。
【請求項14】
前記ステアリングデバイスは、複数の前記長手方向要素が前記ステアリングユニットに固定されると、前記支持ユニットの周りの前記ステアリングユニットの回転の動きが前記ステアリングユニットに複数の前記長手方向要素を押させる及び/又は引っ張らせることになるように構成されている、請求項1~1のいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項15】
複数の前記長手方向要素を前記ステアリングユニットの固定位置に誘導するための誘導要素を更に備える、請求項1~1のいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項16】
前記接続部は開口部(1204)の形態を有し、前記ステアリングユニット(1212)は複数のステアリングアーム(1216)を有し、各ステアリングアームは1つのストリップ形状の長手方向要素(1200)における開口部(1204)に結合し、前記開口部から分離するように構成されている、請求項1に記載のステアリングデバイス。
【請求項17】
前記支持ユニット(1214)はボール形状の要素を備え、そのため、前記ステアリングユニット(1212)が、前記ボール形状の要素の周りを回転することができる、請求項16に記載のステアリングデバイス。
【請求項18】
前記ステアリングデバイスは、前記支持ユニット(1214)の周りで前記ステアリングユニット(1212)をステアリングすることによって、アーム形状要素(1216)が前記長手方向要素を引っ張るか又は押すように構成されている、請求項16又は17に記載のステアリングデバイス。
【請求項19】
ステアリングデバイスに接続するためのステアリング可能な長尺器具であって、前記長尺器具は、
遠位端と近位端とを有すると、
前記管における複数のストリップ形状の長手方向要素(102,1102,1200,1302)と、を備え、前記長手方向要素は、前記管において長手方向スロットによって分離されており、複数の前記長手方向要素の各々は、前記長尺器具を前記ステアリングデバイスに固定するための接続部(108,1104,1204)を前記近位端に備え、
前記接続部は、前記ステアリングデバイスにおける穴に結合し、前記穴から分離することが可能なように、前記長手方向要素の端部に、より広い部分(108,1104)の形態を有するか、又は
前記接続部は、前記ステアリングデバイスにおけるステアリングアーム(1216)に結合し、前記ステアリングアーム(1216)から分離することを可能にする、前記長手方向要素における開口部(1204)の形態を有する、ステアリング可能な長尺器具。
【請求項20】
複数の前記長手方向要素は、前記管の近位端で前記管の中心軸(103,806)から外向きに延在して配置されている、請求項19に記載のステアリング可能な長尺器具。
【請求項21】
長尺シャフトから外向きに延在するために前記長手方向要素を押しのけるように配置された円錐形状のデバイス(402,1106)を前記近位端に備える、請求項2に記載のステアリング可能な長尺器具。
【請求項22】
前記管の前記スロットは、レーザ切断するか又は水切断するかのうちのいずれかによって作製される、請求項19~21のいずれか一項に記載のステアリング可能な長尺器具。
【請求項23】
請求項19~22のいずれか一項に記載のステアリング可能な長尺器具と、請求項1~1のいずれか一項に記載のステアリングデバイスとを備える医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、手術などにおける侵襲性及び非侵襲性タイプの用途のためのステアリング可能な器具に関する。そのような器具は、例えば、胃鏡検査、結腸鏡検査、内視鏡検査、腹腔鏡検査、及び他の医療用途の分野において使用することができる。しかしながら、本発明によるステアリング可能な器具は、非医療用途にも使用することができる。後者の例は、手が届きにくい場所での機械的及び/又は電子的ハードウェアの検査及び/又は修理を含む。
【背景技術】
【0002】
[0002]標的領域を露出させるために大きい切開を必要とする外科的介入を、最小侵襲性外科的介入に変換すること、即ち、標的領域へのアクセスを確立するために自然開口部又は小さい切開のみを必要とすることは、周知であり、進行中のプロセスである。最小侵襲性外科的介入を行う際に、医師などの手術者は、ヒト又は動物の身体のアクセスポートを介してその身体内に侵襲性器具を導入及び誘導するように構成されたアクセスデバイスを必要とする。ヒト又は動物の患者に対する瘢痕組織形成及び疼痛を低減するために、アクセスポートは、好ましくは、皮膚及び下層組織における単一の小さい切開によって提供される。その点において、身体の自然開口部を使用する可能性は更に良好であろう。アクセスデバイスは、好ましくは、手術者が、侵襲性器具が提供する1つ以上の自由度を制御することを可能にする。このようにして、手術者は、人間工学的且つ正確な形で、ヒト又は動物の体内の標的領域において必要とされる動作を実行することができる。
【0003】
[0003]胃鏡検査、結腸鏡検査、内視鏡検査、腹腔鏡検査、等の分野におけるステアリング可能な外科用侵襲性器具は、当該技術分野において周知である。侵襲性器具は、そのナビゲーション及びステアリング能力を増強するステアリング可能な管形状のデバイスを備えることができる。そのようなステアリング可能な管形状のデバイスは、近位端部分と、少なくとも1つの偏向可能ゾーンを含む遠位端部分と、剛性又は可撓性の中間部分又はシャフトとを備え得、ステアリング可能な管形状のデバイスは、その近位端において、管形状のデバイスの中心軸に対して遠位偏向可能ゾーンを偏向させるように適合されたステアリング構成を更に備える。
【0004】
[0004]既知の器具の大部分は製造が複雑であり、結果として高価な器具となる。多くの場合、器具の遠位端は、ヒンジピン、コイル、又は可撓性プラスチック押出成形品との別個のリンクから構成される可撓性ゾーンを備える。ステアリングケーブルは、これらのリンクを通る穴を通して、及び/又は誘導アイ又はフックを通して誘導されるべきである。
【0005】
[0005]多くの先行技術のデバイスでは、ステアリング構成は、制御部材として、例えば1mm未満の直径を有する従来のステアリングケーブルを備え、ステアリングケーブルは、管形状のデバイスの遠位端部分における関連する偏向可能ゾーンと近位端部分におけるステアリング構成との間に配置される。代替として、制御部材は、例えば、管要素におけるレーザ切断によって形成される長手方向要素の1つ以上のセットによって実装され得る。上述のステアリング可能な管の設計及び製作並びにそのステアリング構成に関する更なる詳細は、例えば、WO2009/112060A1、WO2009/127236A1、WO2017/213491A1、及びWO2018/067004に記載されている。そのような器具は、長さが例えば1メートルを超える必要がない内視鏡手術において有利に使用することができる。
【0006】
[0006]場合によっては、ケーブルを収容するための一体化されたチャネルと共にプラスチック押出成形管を使用することができる。これにより、器具の構造が単純になる。しかしながら、ほとんどのプラスチックはかなり弱い。非常に長い器具、例えば1メートルよりも長い器具の場合、従って、器具の遠位端においてツールを操作するように構成されたステアリングケーブル及び作動ケーブルの両方のケーブルに加えられる大きい力に起因して問題が生じ得る。問題は、望ましくない切断、プラスチック管内のスリップスティック効果、及び多くの場合、ケーブル上の高すぎる摩擦であり得、ステアリングケーブルによるステアリングを困難にし、管理を困難にする。その上、多くのプラスチックの機械的特性は、器具全体の回転を妨げるいくつかの湾曲部を通して誘導されたかもしれない場合に使用中に器具を回転させることが可能であるべきであるために必要とされる十分に高いねじり剛性を保証するには貧弱すぎることがある。プラスチック管の別の欠点は、器具の遠位端においてツールを操作するための作動ケーブルを設けられている場合、作動ケーブル内の力が、押出成形プラスチック管内で許容される最大の長手方向の力を超える程度まで増大する可能性があることであり得る。もしそうであれば、許容可能な力でツールを操作することは不可能であろう。その上、プラスチック管が湾曲した配置にあり、大きい力が作動ケーブルに加えられる場合、ステアリングケーブルのためのチャネルは、特に屈曲/偏向部分において変形され得、そのため、ステアリングケーブルはクランプされ、チャネル内でもはや自由に動くことができず、このことから、遠位偏向可能ゾーンのステアリングの適切な動作を妨げる。
【0007】
[0007]1.5メートル長(又はそれより長い)の器具が適用され得る結腸鏡検査など、より長い器具が必要とされる医療用途では、ステアリング性、可撓性、剛性、及び精度に関する要件が著しく増大する。エンドエフェクタ作動下でもステアリング性、長手方向の剛性、ねじり剛性、耐久性、及び遠位端における機械的に作動されるツールの適用性に関して、先行技術のデバイスよりも良好な性能を有するそのような器具を開発することが所望される。
【0008】
[0008]医療用途では、患者に外科的処置を行うために使用された後の器具の汚染は、望ましくない術後合併症をもたらす問題となる可能性がある。汚染は、血液、他の体液、組織、等に起因し得る。汚染の結果として、器具は、器具が使用される次の患者の健康を脅かす可能性がある細菌、ウイルス、又は他の生物学的若しくは化学的物質を含み得る。
【0009】
[0009]この汚染を回避する1つの方法は、各使用前に器具の徹底的な洗浄及び滅菌を行うことを必要とする。多くの場合、洗浄プロセスは、全ての汚染を取り除くことが可能ではなく、及び/又は非常に高価である。従って、そのような器具で治療される患者に悪影響を及ぼすリスクが依然として存在する。汚染のリスクを防止するために、一度だけ使用され、一人の患者を治療した後に捨てられる使い捨て器具を使用することが好ましい。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明の第1の態様によると、長尺器具に接続するためのステアリングデバイスは、第1の中心軸を有する第1のチャネルを備える支持ユニットと、第1のチャネルは、支持ユニットの遠位側から近位側に延在し、ここにおいて、支持ユニットは、第1のチャネルの周りに配置される、 支持ユニット上に回転可能に配置されたステアリングユニットと、ステアリングユニットは、ステアリングユニットの回転の動きと共に動くように、器具の複数の長手方向要素を固定/解放するように配置される、 を備える。
【0011】
[0011]そのようなステアリングデバイスは、医療又は他の手術のための器具の容易な結合及び分離を可能にすることができる。長尺器具は、ステアリング目的で長手方向要素を使用することができ、ステアリングユニットによって制御される遠位端における屈曲及び動きを可能にする。長手方向要素が固定されるステアリングユニットを有することによって、長手方向要素を、適切なステアリングのために押す又は引っ張ることができ、これは、ステアリングデバイスからの器具の容易な接続及び切り離しを可能にする。これは、非技術者であっても、必要とされるときに器具をステアリングデバイスに迅速、確実且つ容易に結合することを可能にする。この単純な接続により、器具は使い捨て可能であり得、その一方で、より複雑なステアリングデバイス及びステアリングユニットの部分は再使用可能である。
【0012】
[0012]実施形態によると、支持ユニットは、ボール形状の要素を備え、そのため、ステアリングユニットは、ボール形状の要素の周りを回転することができ、第1のチャネルは、ボール形状の要素を通って延在する。そのようなボール形状の要素は、長手方向のステアリング要素のよじれ又はもつれを引き起こす可能性があるあらゆる動きを防止しながら、器具シャフトに対してステアリングユニットが必要とする動きを可能にすることができる。
【0013】
[0013]実施形態によると、ステアリングユニットは、ステアリングプレートと、空間中でのステアリングプレートの動きを可能にするために、1つ以上の軸を中心として接続された1つ以上のフレームとを備える。ステアリングプレートの任意の動きを可能にすることによって、器具の動きを、より精密に制御することができる。
【0014】
[0014]実施形態によると、ステアリングユニットは、第2のチャネルを備え、ボール形状の要素は、第2のチャネル中に配置され、それによって、ステアリングデバイスが器具の動きを非常に精密に制御することを可能にする。
【0015】
[0015]実施形態によると、ステアリングユニットは、複数の長手方向要素をステアリングユニットに接続するための複数のコネクタを備え、それによって、機器の動きを非常に精密に制御するためのステアリングデバイスによる押す及び引っ張る動きを可能にする。複数のコネクタは、1つの長手方向要素を受け入れるように構成された、ステアリングユニット内の複数の開口部を備え得、複数の開口部は、任意の適切な数であり得、任意の適切な形状を有し得る。複数のコネクタは、ステアリングユニットの円周から内向きに延在する複数の溝を備え得る。これは、長手方向要素をステアリングデバイスに容易に取り付ける及びそれから取り外すことを可能にする。
【0016】
[0016]実施形態によると、複数のコネクタは、ステアリングユニットから外向きに延在する複数のアーム形状の要素を備え得る。アーム形状の要素を、例えば、器具の長手方向要素中に導入し、そこから引き抜くことができるアーム形状の要素の端部又は任意の他の適切な部分を提供することによって、容易に器具に接続し、それから切り離すことができる。
【0017】
[0017]実施形態によると、ステアリングデバイスは、複数の長手方向要素をステアリングユニットに固定するためのロッキング機構を更に備える。これは、ロッキング機構をロックすることによって、使用中に長手方向要素が偶発的に解放されてしまう可能性を回避し、ロッキング機構を開放することによって、ステアリングユニットから器具を容易に解放することを可能にする。
【0018】
[0018]実施形態によると、ロッキング機構は、複数の長手方向要素をステアリングユニットに固定するように構成されたロッキングプレートを備え、複数の長手方向要素は、複数の開口部を通してステアリングユニットに固定され、ロッキングプレートは、複数の長手方向要素が複数の開口部から出てしまうことをロッキングプレートが防止するようにステアリングユニットに接続する。更に、ロッキングプレートは、複数の長手方向要素を複数の開口部に挿入するか又はそれから取り除くことができる開位置から、複数の長手方向要素が複数の開口部内に固定されるロック位置まで移動可能であり得る。これらは、器具及びステアリングデバイスを取り付ける及び取り外すことを可能にする有利な方法である。
【0019】
[0019]ロッキングプレートは、ステアリングユニットの円周から内向きに延在する開口部中に長手方向要素を固定するように軸方向に移動可能であり得る。更に、ロッキングプレートは、開位置からロック位置まで動くように回転可能に移動可能である。
【0020】
[0020]別の実施形態では、ロッキングプレートは、ロッキングプレートの外周の周りに延在する複数の突出要素を備え、複数の突出要素の各々は、チャネル中に長手方向要素を受け入れて長手方向要素を固定するように構成されたフック形状の側面を備える。このようにして、長手方向要素は、ロッキングデバイスを右方向に回転させることによって容易に固定することができる。フック形状の側面の代わりに、突出要素は、長手方向要素がチャネル内に固定されることを可能にする任意の他の形状を有し得る。突出要素は、長手方向要素がチャネル中に固定されたロック位置から開位置までロッキングプレートが回転するとき、長手方向要素が複数の突出要素の傾斜側面上で摺動し、それによって、複数の開口部から押し出されるように、チャネルの反対側に配置された傾斜側面を備える。これは、ステアリングデバイスから器具を解放する非常に単純で有利な方法を提供する。ステアリングデバイスは、複数の長手方向要素がステアリングユニットに固定されると、支持ユニットの周りのステアリングユニットの回転の動きがステアリングユニットに複数の長手方向要素を押させる及び/又は引っ張らせることになるように構成される。
【0021】
[0021]本発明の実施形態によると、ステアリングデバイスに接続するための長尺器具は、遠位端と近位端とを有する長尺シャフトと、 シャフトに沿って延在する複数の長手方向要素と、ここにおいて、複数の長手方向要素の各々は、長尺器具をステアリングデバイスに固定するための接続部を近位端において備える、 を備える。
【0022】
[0022]本発明の実施形態によると、複数の長手方向要素は、長尺シャフトから外向きに延在して配置される。これは、長手方向要素が正しい取り付け位置に既に配置されているので、器具をステアリングデバイスから容易に接続するための利点を提供する。更に、長尺器具は、長尺シャフトから外向きに延在するために長手方向要素を押しのけるように配置された円錐形状のデバイスを近位端において備え得る。これは、長手方向要素が正しい取り付け位置に留まることを可能にする。
【0023】
[0023]本発明の実施形態によると、長尺器具の接続部分は、開口部を備え得る。これは、ステアリングデバイスのアーム形状の要素又は任意の他の適切な形状の要素を長手方向要素の開口部中に挿入することができるか、又はそれから引き抜くことができるので、器具及びステアリングデバイスの容易な接続及び切り離しを可能にする。
【0024】
[0024]長尺器具は、管を備え、複数の長手方向要素は、管において複数の長手方向スロットをレーザ切断するか又は水切断するかのうちのいずれかによって作製される。
【0025】
[0025]本発明の実施形態が、従属請求項に特許請求されている。
【0026】
[0026]本発明の更なる特徴及び利点は、非限定的且つ非排他的な実施形態による本発明の説明から明らかになるであろう。これらの実施形態は、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の他の代替形態及び等価の実施形態を想到し、実施することができることを理解するであろう。その上、異なる実施形態の別個の特徴は、たとえ明示的に図面に示されていなくても、又は本明細書で説明されていなくても、そのような組み合わせが物理的に不可能でない限り、組み合わせることができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの技術的等価物によってのみ限定される。
【0027】
[0027]本発明は、添付の図面を参照して以下でより詳細に議論され、図面では、同様の又は同じ参照符号は、同様の、同じ、又は対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】[0028]本発明の一実施形態による器具を示す。
図2】[0029]外向きに延在するように配置された長手方向要素を有する図1の器具を示す。
図3】[0030]図2の実施形態の代替の構造を示す。
図4図2の実施形態の代替の構造を示す。
図5】[0031]本発明の一実施形態による器具及びステアリングデバイスを示す。
図6】[0032]互いに結合された図5の器具及びステアリングデバイスを示す。
図7】[0033]図5のステアリングデバイスの代替の構造を示す。
図8A】[0034]ロック機構を更に備える互いに結合された図6の器具及びステアリングデバイスを示す。
図8B】ロック機構を更に備える互いに結合された図6の器具及びステアリングデバイスを示す。
図9A】[0035]3つの異なる位置の図8のロッキング機構の代替の構造を示す。
図9B】3つの異なる位置の図8のロッキング機構の代替の構造を示す。
図9C】3つの異なる位置の図8のロッキング機構の代替の構造を示す。
図10A】[0036]器具がステアリングデバイスに結合されているステアリングデバイスの実施形態を示す。
図10B】器具がステアリングデバイスに結合されているステアリングデバイスの実施形態を示す。
図10C】[0037]図10A~10Bに示す結合部の断面図を示す。
図10D図10A~10Bに示す結合部の断面図を示す。
図11A】[0038]器具がステアリングデバイスに結合されているステアリングデバイスの別の実施形態を示す。
図11B】器具がステアリングデバイスに結合されているステアリングデバイスの別の実施形態を示す。
図11C】器具がステアリングデバイスに結合されているステアリングデバイスの別の実施形態を示す。
図12】[0039]接続され、遠位端の偏向を伴うステアリングデバイスを有する器具一式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
同じ要素を示すために、異なる図において同じ参照番号が使用されるであろう。
【0030】
[0040]図1は、器具100の中心軸103を中心として配置された複数の長手方向要素102を備える器具100の非限定的な実施形態を示す。器具100は、医療又は他の手術において使用するための任意のステアリング可能な器具を表すように概略的に示されている。適切な器具構成は、2018年10月16日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「Steerable instrument comprising a tube element」と題されたNL2021823に見出すことができる。図1に示す長手方向要素102は、例えばWO2009/112060A1、WO2009/127236A1、WO2017/213491A1、及びWO2018/067004に詳細に説明されているように、管要素内の長手方向ストリップ形状の要素によって実装され、円筒管内でレーザ切断することから生じる長手方向スロット104によって分離され得るか、又は剛性ケーブル若しくはワイヤにより得る。
【0031】
[0041]これらの長手方向スロット104は、材料の厚さ全体を通って延在する。レーザ切断の代替として、他の技術、例えば水ジェットによる切断が使用され得る。また、3Dレーザ印刷などの他の方法が使用され得る。これらのスロットは、材料の厚さ全体を通って延在する。これは、レーザ切断への参照が成される以下に議論する他の実施形態にも当てはまる。
【0032】
[0042]長手方向要素102は、各長手方向スロット104の近位端106において矩形スロット110をレーザ切断することによって実装され得るT字形状の接続部108を器具100の近位端106において備える。図1に示す器具100は、器具100の遠位端において少なくとも遠位偏向可能ゾーン(図1に図示せず)を更に備え得、長手方向要素102は、長手方向要素102を引っ張る又は押すことによって、遠位偏向可能ゾーンが所望の方向に偏向するように制御されるように、遠位偏向可能ゾーン(図1に図示せず)に接続される。鉗子又は任意の他の種類の適切なツールのようなツール(図1に図示せず)が、器具100の前記遠位端に配置され得る。図1に示す器具100はまた、長手方向要素102を部分的又は完全に覆う外管112を備え得る。更に、器具100は、シャフト112の内側に配置されたシャフト(図1には図示せず)も備え得、そのため、長手方向要素102は、前記シャフト112を取り囲むように配置される。
【0033】
[0043]図2は、図1に示す器具の非限定的な実施形態を示し、長手方向要素102は、器具200の近位端106においてシャフト202から外向きに延在するように配置される。長手方向要素102は、手動で屈曲させることによって、又は任意の他の適切な手段によって、外側に延在するように配置され得る。
【0034】
[0044]図3は、図2に示す器具の代替の非限定的な実施形態を示し、器具300は、シャフト202の周りに配置されたデバイス302を備え、デバイス302は、近位端304及び遠位端306を備え、近位端304は、円筒形状を備え、遠位端306は、円錐形状を備え、そのため、円錐形状は、長手方向要素102をシャフト202から外向きに押すように配置される。
【0035】
[0045]図4は、図2に示す器具の長手方向要素を拡張する代替の実例的な方法を示す。長手方向要素102は、円錐形状のデバイス402によって器具400の中心軸103から外向きに延在するように配置され、円錐形状のデバイス402は、長手方向要素102が円錐形状のデバイス402の外面によって拡張されるようにシャフト202を取り囲むように配置される。
【0036】
[0046]任意の他の適切なデバイス又は方法を、長手方向要素が器具の中心軸から外向きに延在するように、近位端において長手方向要素を配置するために使用することができることが理解されるべきである。
【0037】
[0047]図5は、器具が接続されている一実施形態によるステアリングデバイス500を示す。
【0038】
[0048]ステアリングデバイス500は、支持ユニット502及びステアリングユニット504を備える。支持ユニット502は、第1のチャネル508によって横断されるボール形状の要素506を備え、第1のチャネル508は、円形状を有し、ステアリングデバイス500の近位端510からステアリングデバイス500の遠位端512まで延在する。第1のチャネル508は、ステアリングデバイス500の近位端においてボール形状の要素506から延在し、それによって、ボール形状の要素から外向きに延在する中空管514を画定する。
【0039】
[0049]ステアリングユニット504は、ステアリングプレート516と、ステアリングプレート516の中心に位置する第2のチャネル518とを備え、第2のチャネル518は、円形状を備える。
【0040】
[0050]支持ユニット502は、ステアリングユニット504がボール形状の要素506の周りを回転することができ、且つ第1のチャネル508の中心軸520が第2のチャネル518の中心軸530と一致するように、第2のチャネル内に配置される。
【0041】
[0051]ステアリングプレート516は、ステアリングプレート516のステアリングユニットの円周から内向きに延在する複数の溝532を更に備え、溝532は、U字形状を有するが、異なる実施形態ではいくつかの異なる形状を取ることができる。
【0042】
[0052]ステアリングデバイス500は、以下の方法で器具200に取り付けられるように構成される。各長手方向要素は、溝532内に嵌合して溝532内に固定することができる接続部509を含む。この場合、T字形状の接続部は、溝内に入るためのより狭い部分と、接続されると長手方向要素の長手方向の動きが許容されないことを保証するための端部におけるより広い部分とによって形成される。器具の内側シャフト406は、器具の中心軸409が第1のチャネル508の中心軸520と一致するように、且つ長手方向要素408の接続部509が溝532と位置合わせするように、ステアリングデバイス500の遠位端に位置する支持ユニット502の第1のチャネル508の側面に導入される。長手方向要素408の接続部509が、次いで、溝内に押し込まれ、そのため、図6に示すように、T字形状の上側のより広い部分がステアリングプレートの近位側に固定される。
【0043】
[0053]図6に見られるように、ボール形状の要素506の周りでステアリングプレート516を動かすことによって、長手方向要素408は、ステアリングプレート516によって押されるか又は引っ張られ、それによって、遠位偏向を引き起こす(図6には図示せず)。
【0044】
[0054]図7は、図5のステアリングデバイス500の代替の実施形態を示し、ステアリングプレート516は、円周溝の代わりに複数の開口部702を備える。器具をステアリングデバイス700に取り付ける方法は、図5を参照して説明したものと同様であるが、この実施形態では、長手方向要素の接続部108は、ステアリングプレート516の受け入れ部分内に「カチッと入る」ように開口部に押し付けられる。この実施形態に見られるように、接続部は、ステアリングプレート516内の相補的な形状の受け入れ部分内にカチッと入り、それは、特徴的捕捉部(ここでは、接続部509のより広い「頂部」)を固定位置に誘導するための傾斜部及び中央開口部を有する。
【0045】
[0055]図8A及び8Bは、ロッキングプレート804の形態のロッキング機構を更に備える図6の実施形態を示す。
【0046】
[0056]図8A及び8Bに示すロッキング機構802は、開位置(図8Aに図示)と閉位置(図8Bに図示)との間で移動可能である。
【0047】
[0057]図8Aに見られるように、ステアリングデバイス500及び器具200は、図5を参照して説明したように、長手方向要素102が溝532内に配置されるように互いに結合される。図8Aはまた、長手方向要素102をステアリングユニット504に固定するためのロッキング機構802を示し、ロッキング機構802は、長手方向要素102を溝532に挿入するか又はそこから取り除くことができるように開位置にある。ロッキング機構802は、支持ユニット502の管514が開口部を通過することができるように、中央に開口部を有する円形状を有するロッキングプレート804を備える。ロッキングプレート804は、長手方向要素が溝から取り除かれる開位置から、長手方向要素が溝内に固定されるロック位置まで軸方向に移動可能であり、例えば、ロッキングプレート804は、中心軸806に沿ってステアリングデバイス500に向かって又はそれから離れるように動くことができ、及び/又は回転する形で動くことができる。
【0048】
[0058]図8Bは、ロッキングプレートをステアリングデバイスに向かって軸方向に動かすことによって、ロッキング機構が図8Aに示す開位置から図8Bのロック位置に動かされた図8Aの実施形態を示す。この動きは、ロッキングプレート804がステアリングプレート516及び/又は長手方向要素の接続部509にカチッと当たり、それによって長手方向要素が溝532又は開口部702から取り除かれるのを防止するまでである。ロッキング機構及び/又はプレート804は、長手方向要素がステアリングプレート516に固定されることを保証するためにステアリングプレート516に迅速且つ確実に結合することができる限り、いくつかの異なる形状であり得る。
【0049】
[0059]図9A、9B、及び9Cは、図8のロッキング機構の代替の構造を示す。
【0050】
[0060]図9A、9B、及び9Cに示すロッキング機構1000は、ロッキングプレート1002を備える。ロッキングプレート1002は、ロッキングプレート1002をステアリングプレート516に対して回転可能に据え付けることができるように配置された開口部を備える。ロッキングプレート1002は、ロッキングプレートの外周の周りに延在する複数の突出要素1004を備える。突出要素1004の各々は、チャネルを形成するフック形状の側面1006と、傾斜側面1008とを備える。
【0051】
[0061]図9Aは、長手方向要素102をステアリングプレート516の溝532から取り除くことができるように、各長手方向要素102が突出要素のフック形状の側面1006と隣接する突出要素の傾斜側面との間に位置する位置にあるロッキング機構1000を示す。
【0052】
[0062]ロッキングプレート1002は、図9Aに示す開位置から図9Bに示すロック位置まで軸方向に時計回りに回転されるように構成される。図9Aに示すロッキングプレート1002は、長手方向要素がフック形状の側面によって画定されるチャネル1010の内側にあるまで、突出要素の各々のフック形状の側面が対応する長手方向要素102に向かって動くように軸方向に時計回りに回転され、それによって、長手方向要素102がチャネル1010内に固定される図9Bに示すロック位置に達する。
【0053】
[0063]図9Cは、ロック位置から長手方向要素が溝から取り除かれた取り外し位置まで軸方向に時計回りに回転された後の図9Bに示すロッキングデバイスを示す。ロッキングプレートを反時計回りに軸方向に回転させることによって、突出要素の各々の傾斜側面は、対応する長手方向要素102に向かって動き、そのため、長手方向要素は、傾斜側面上を摺動し、傾斜側面1008によってその対応する溝から押し出され、それによって、長手方向要素102が溝から外れる図9Cに示す取り外し位置に達する。
【0054】
[0064]図10A~10Dは、器具1100、ステアリングデバイス1101、及びロッキング機構1103を備える本発明による別の実施形態を示す。図10A及び10Bは、共に結合された器具及びステアリングデバイスを示し、ロッキング機構は、図10Aでは開位置にあり、図10Bでは閉位置にある。図10C及び10Dは、共に結合されている器具1100及びステアリングデバイスの断面図を示す。
【0055】
[0065]図10A~10Dは、図1の器具のような器具1100を示し、長手方向要素1102の接続部1104は、T字形状の代わりに円形状を有する。
【0056】
[0066]図10A~10Dに示すロッキング機構1103は、図9A~9Cに示すロッキングプレート1002と同様に動作するロッキング部分を有する半球形状を備える。ロッキング機構1103は、接続部1104又は長手方向要素1102を受け入れるためのスロットを含む。長手方向要素1102は、受け入れ溝1108に通じる円錐セクション1106の曲率に従うことによって所定位置に滑り込ませることができる。図10Cに見られるように、円錐セクション1106は、開位置にあるときにロッキング機構1103により近づくように動かされる。これは、溝1108へのより容易な挿入(及び長手方向要素を取り除くこと)を可能にする。長手方向要素1102が溝内に固定されると、ロッキング機構1103が回転して長手方向要素を溝内の所定位置に固定する。これは、図10A及び10Dに示す。ロック位置へのそのような回転の動きはまた、円錐セクション1106をロッキング機構1103に対して軸方向に延在させる。これは、長手方向要素の適切な張力付与を保証して、器具の適切な屈曲及び偏向を保証する。器具は、ロッキング機構1103を回転させ、それに続いて器具をステアリングデバイス1101から軸方向に引き離すという同じステップで容易に取り除くことができる。図10Bに見られるように、ロッキング機構1103が開位置まで回転されると、長手方向要素1102は、ステアリングデバイスからの器具の容易な取り外しのために溝1108から押し出される。回転は、例えば、把持部分の使用を通して手動で行うか、又は自動化することができる。
【0057】
[0067]図11A~11Cは、本発明の別の実施形態による器具及びステアリングデバイスの代替の構造を示す。
【0058】
[0068]器具1202は、長手方向要素1200を覆う外管1206を備える。外管1206は、複数の開口部1208を備える。器具1202の長手方向要素1200はまた、外管1206の開口部1208と重複する複数の開口部1204を備える。外管の開口部1208及び長手方向要素1200の開口部1204は、対応する円筒管におけるレーザ切断から生じ得る。
【0059】
[0069]これらの開口部1204及び1208は、材料の厚さ全体を通って延在する。レーザ切断の代替として、他の技術、例えば水ジェットによる切断が使用され得る。また、3Dレーザ印刷などの他の方法が使用され得る。
【0060】
[0070]図11Bは、器具1202及びステアリングデバイス1210を示し、ステアリングデバイス1210及び器具1202は取り外されている。ステアリングデバイス1210は、ステアリングユニット1212及び支持ユニット1214を備え、ステアリングユニット1212は、図5の支持ユニット502及びステアリングユニット504と同様に支持ユニット1214上に回転可能に据え付けられる。ステアリングユニット1212は、ステアリングユニット1212に固定して接続され、複数の長手方向要素1200をステアリングユニット1212に接続するためにステアリングユニットから外向きに延在する複数のアーム形状の要素1216を備える。
【0061】
[0071]図11Cは、アーム形状の要素1216の端部を長手方向要素1200の開口部1204内に挿入することによって共に接続された図11Bの器具1202及びステアリングデバイス1210を示し、そのため、支持ユニット1214の周りでステアリングユニット1212をステアリングすることによって、アーム形状の要素1216は、器具1202の遠位端(図12A~Cには図示せず)を制御するために長手方向要素1200を引っ張るか又は押す。
【0062】
[0072]図12は、器具100の遠位端1305に偏向を引き起こすステアリングプレート1300の偏向の例を示す。アクチュエータ1301は、ヒンジ軸1303の周りで内側フレーム1304に接続される。他の実施形態は、空間内でのステアリングプレート1300の任意の移動を可能にするために、別のヒンジ軸を有する別のフレームを含むことができる。ステアリングユニットは、手動で、又はロボットを通して、又はその2つの組み合わせを通して制御することができる。アクチュエータ1301は、遠位端がある特定の方向に偏向されるように内側フレーム1304を動かす。これは、いくつかの長手方向要素に張力を、他の長手方向要素に弛緩を生じさせ、それによって、遠位端に偏向を引き起こす。いくつかの実施形態は、ステアリングデバイス1308に図示する同じ動きに対して遠位端の反対の偏向を引き起こすように、遠位端において異なるように接続された(例えば180°回転された)長手方向要素を含むことができる。
【0063】
[0073]図12に見られるように、ステアリングプレート1300の任意の3次元平面内の動き及び回転の動き、従って器具100の任意の屈曲又は回転を可能にするために、ステアリングデバイス1308を通した懸架及び制御は複雑になる可能性がある。器具の長手方向要素1302が固定されるステアリングプレート1300を使用し、ロッキングプレートへの迅速であるが単純且つ確実な結合を提供することによって、使い捨て器具を可能にしながらステアリングデバイス1308を再使用することができる。これは、より複雑なステアリングデバイス1308を可能にし、特にロボット用途に有用である。
【0064】
[0074]異なる実施形態に記載する異なるステアリング可能な器具は、手動で操作される場合に近位端において配置されるハンドルを含むことができるか(図12を参照)、又は器具の遠位端をステアリングするため及び/若しくは器具の遠位端において配置されたツールを操作するためにロボットステアリングユニットを含むことができる。そのようなツールは、例えば、カメラ、手動マニピュレータ、例えば一対の鋏、エネルギー源、例えば電気、超音波、又は光エネルギー源を使用するマニピュレータであり得る。器具は、遠位端に適用されるツールのタイプに関して制限を有しない。ハンドル又はロボットステアリングユニット及び/又は接続のタイプは、遠位端において適用されるツールのタイプ、意図される使用、及び他の器具又は動作要件に応じて選択されるであろう。
【0065】
[0075]また、ステアリングユニットは、ボール形状として説明しているが、異なる実施形態では異なる形状にすることができる。いくつかの実施形態では、ステアリングユニットのステアリングプレートは、異なるように(例えばチャネル又はロッキングプレートに直接)接続され得、及び/又は支持ユニットを含まないことがある。長手方向要素は、ステアリングユニットの異なる部分に、様々な異なる方法で、典型的にはステアリングユニットの周りに円周方向に接続され得る。異なる器具は、所望の偏向能力に応じて異なる数の長手方向要素を含むことができる。
【0066】
[0076]適切な数の長手方向要素を使用し、器具の全長に沿った適切な位置においてそれらを接続することによって、任意の数の偏向又は屈曲ゾーンを含むことができる。遠位端1305及び長手方向要素は、同じ長手方向の管をレーザ切断することによって作製され得る。遠位端は、任意の数の屈曲可能ゾーンを有し得る。
【0067】
[0077]手術又は処置が完了すると、いくつかの実施形態に関連して説明しているように、器具100をステアリングデバイスから容易且つ迅速に切り離すことができる。
【0068】
[0078]器具100は次いで破棄することができ、ステアリングデバイスは、更なる手術のために、新しい清潔な器具100と共に使用するために利用可能である。いくつかの実施形態では、器具100は、再使用の準備のための洗浄及び衛生化のために送ることができる。そのような実施形態では、洗浄を必要とする部分を切り離す能力は、適切な洗浄及び滅菌を行うことができることを保証するのに役立ち得る。例えば、切り離された器具は、衛生化チャンバ内に配置することができるのに対して、切り離されなかった器具は、サイズ及び/又は他の敏感な部分に起因しないことがある。
【0069】
[0079]背景技術で議論したように、再使用された過去の器具は、安全な再使用のために広範な洗浄及び除染作業を経る必要があった。これは、必ずしも全ての汚染物質を除去しない時間の掛かるプロセスであった。いくつかのステアリング可能な器具は、洗浄を試みる時間、コスト、及びリスクを回避するために使い捨てであったが、毎回手術後に器具一式を廃棄することは、非常にコストが掛かる。迅速、容易且つ確実な形で器具100に結合し、器具100から分離することができるステアリングデバイスを使用することによって、汚染を受ける器具の一部のみを廃棄する(又はいくつかの状況では洗浄及び滅菌する)ことができ、他の部分は、広範な除染プロセスを必要とせずに安全に再使用することができる。そのような器具のステアリング部分は複雑で比較的高価な部分であり得るので、ステアリング部分から器具の露出部分を分離することが可能であり、露出部分のみを廃棄することは、大きい経済的利益であり、より少ない廃棄物をもたらす。器具とステアリングデバイスのとの間の迅速且つ単純な結合を使用することは、使用場所において、非訓練者又は非技術者による、再使用可能なステアリングデバイスへの使い捨て器具100の迅速な結合及び分離を可能にする。
【0070】
[0080]WO2009/112060A1、WO2009/127236A1、WO2017/213491A1、及びWO2018/067004は、本発明を適用することができる実施形態を示し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
[0081]器具100は、例えば、WO2009/112060A1、WO2009/127236A1、WO2017/213491A1、及びWO2018/067004に詳細に説明されるように、長手方向要素1302が、円筒管内のレーザ切断から生じる長手方向スロットによって分離された管内の長手方向ストリップ形状の要素によって実装され、遠位端の屈曲可能な部分が同じ管内でレーザ切断を実行して実装され得るように製造され得る。レーザ切断の代替として、他の技術、例えば水ジェットによる切断が使用され得る。また、3Dレーザ印刷などの他の方法が使用され得る。これらのスロットは、材料の厚さ全体を通って延在する。これは、上記で議論した他の実施形態にも当てはまる。
【0072】
[0082]本明細書に記載する例及び実施形態は、本発明を限定するのではなく、例示する役割を果たす。異なる実施形態からの要素は、そのような組み合わせに互換性がない場合を除き、図に示さない実施形態を形成するように組み合わせることができる。当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を設計することが可能であろう。特許請求の範囲において括弧内に配置された参照符号は、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。特許請求の範囲又は説明において別個のエンティティとして説明する項目は、説明する項目の特徴を組み合わせる単一の項目又は複数のハードウェア項目として実装され得る。
【0073】
[0083]本発明は、添付の特許請求の範囲及びその技術的等価物によってのみ限定されることが理解されるべきである。本文書及びその特許請求の範囲では、「備える(to comprise)」という動詞及びその活用形は、具体的に言及されていない項目を排除することなく、その語に続く項目が含まれることを意味するように、それらの非限定的な意味で使用される。加えて、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、その要素が1つ及び1つしか存在しないことを文脈が明確に要求しない限り、その要素が1つよりも多く存在する可能性を排除しない。不定冠詞「a」又は「an」は、このことから、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 長尺器具に接続するためのステアリングデバイス(500,700,1210)であって、
・第1の中心軸を有する第1のチャネル(508)を備える支持ユニット(502)と、ここで、前記第1のチャネル(508)は、前記支持ユニットの遠位側から近位側に延在し、前記支持ユニットは、前記第1のチャネル(508)の周りに配置されるものであり、
・前記支持ユニット(502)上に回転可能に配置されたステアリングユニット(504)と、ここで、前記ステアリングユニット(504)は、前記ステアリングユニット(504)の回転の動きと共に動くように、器具の複数の長手方向要素(102)を固定/解放するように配置されるものであり、
を備える、ステアリングデバイス(500,700,1210)。
[2] 前記支持ユニット(502)は、ボール形状の要素(506)を備え、そのため、前記ステアリングユニット(504)は、前記ボール形状の要素(506)の周りを回転することができ、前記第1のチャネル(508)は、前記ボール形状の要素(506)を通って延在する、[1]に記載のステアリングデバイス(500,700,1210)。
[3] 前記ステアリングユニット(504)は、ステアリングプレート(516)を備える、[1]又は[2]に記載のステアリングデバイス(500,700,1210)。
[4] 前記ステアリングユニット(504)は、第2のチャネルを備え、前記ボール形状の要素(506)は、前記第2のチャネル中に配置される、[1]~[3]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス(500,700,1210)。
[5] 前記ステアリングユニット(504)は、前記複数の長手方向要素(102)を前記ステアリングユニット(504)に接続するための複数のコネクタ(532,702)を備える、[1]~[4]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス(500,700,1210)。
[6]前記複数のコネクタは、前記ステアリングユニット(504)中に複数の開口部(702)を備え、前記複数の開口部(702)の各々は、1つの長手方向要素(102)を受け入れるように構成される、[5]に記載のステアリングデバイス(700)。
[7] 前記複数のコネクタは、前記ステアリングユニット(504)の円周から内向きに延在する複数の溝(532)を備え、前記複数の溝(532)の各々は、1つの長手方向要素(102)を受け入れるように構成される、[5]に記載のステアリングデバイス(500)。
[8] 前記複数のコネクタは、前記ステアリングユニットから外向きに延在する複数のアーム形状の要素を備える、[5]に記載のステアリングデバイス(1210)。
[9] 前記複数の長手方向要素(102)を前記ステアリングユニット(504)に固定するためのロッキング機構を更に備える、[1]~[8]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス(500,700)。
[10] 前記ロッキング機構は、前記複数の長手方向要素(102)を前記ステアリングユニット(504)に固定するように構成されたロッキングプレートを備える、[9]に記載のステアリングデバイス(500,700)。
[11] 前記複数の長手方向要素(102)は、複数の開口部を通して前記ステアリングユニット(504)に固定され、前記ロッキングプレートは、前記複数の長手方向要素が前記複数の開口部から出てしまうことを前記ロッキングプレートが防止するように前記ステアリングユニットに接続する、[10]に記載のステアリングデバイス(500,700)。
[12] 前記ロッキングプレートは、前記複数の長手方向要素を前記複数の開口部に挿入するか又はそれから取り除くことができる開位置から、前記複数の長手方向要素が前記複数の開口部内に固定されるロック位置まで移動可能である、[11]に記載のステアリングデバイス。
[13] 前記ロッキングプレートは、前記ステアリングユニットの円周から内向きに延在する開口部中に長手方向要素を固定するように軸方向に移動可能である、[12]に記載のステアリングデバイス。
[14] 前記ロッキングプレートは、前記開位置から前記ロック位置まで動くように回転可能に移動可能である、[12]に記載のステアリングデバイス。
[15] 前記ロッキングプレートは、前記ロッキングプレートの外周の周りに延在する複数の突出要素を備え、前記複数の突出要素の各々は、チャネル中に長手方向要素を受け入れて前記長手方向要素を固定するように構成されたフック形状の側面を備える、[14]に記載のステアリングデバイス。
[16] 前記複数の突出要素の各々は、前記長手方向要素が前記チャネル中に固定された前記ロック位置から前記開位置まで前記ロッキングプレートが回転するとき、前記長手方向要素が前記複数の突出要素の傾斜側面上で摺動し、それによって、前記複数の開口部から押し出されるように、前記チャネルの反対側に配置された前記傾斜側面を備える、[15]に記載のステアリングデバイス。
[17] 前記ステアリングデバイスは、前記複数の長手方向要素が前記ステアリングユニットに固定されると、前記支持ユニットの周りの前記ステアリングユニットの回転の動きが前記ステアリングユニットに前記複数の長手方向要素を押させる及び/又は引っ張らせることになるように構成される、[1]~[16]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
[18] 前記複数の長手方向要素を前記ステアリングユニットの固定位置に誘導するための誘導要素を更に備える、[1]~[17]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
[19] 前記ステアリングデバイスのための外側ハウジングを備える、[1]~[18]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
[20] ステアリングデバイスに接続するための長尺器具であって、前記長尺器具は、
遠位端と近位端とを有する長尺シャフトと、
前記長尺シャフトに沿って延在する複数の長手方向要素と、を備え、前記複数の長手方向要素の各々は、前記長尺器具を前記ステアリングデバイスに固定するための接続部を前記近位端において備える、
長尺器具。
[21] 前記複数の長手方向要素は、前記長尺シャフトから外向きに延在して配置される、[20]に記載の長尺器具。
[22] 前記長尺シャフトから外向きに延在するために前記長手方向要素を押しのけるように配置された円錐形状のデバイスを前記近位端において備える、[21]に記載の長尺器具。
[23] 前記接続部は、開口部を備える、[20]に記載の長尺器具。
[24] 前記長尺器具は、管を備え、前記複数の長手方向要素は、前記管において複数の長手方向スロットをレーザ切断するか又は水切断するかのうちのいずれかによって作製される、[20]~[23]のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
[25] [20]~[24]のうちのいずれか一項に記載の長尺器具と、[1]~[19]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイスとを備える医療デバイス。
[26] [20]~[24]のうちのいずれか一項に記載の長尺器具を製造する方法。
[27] [1]~[19]のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイスを製造する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12