(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】方法、平坦化システム、および物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240917BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
H01L21/30 578
B29C59/02 Z
(21)【出願番号】P 2021568423
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 US2020070292
(87)【国際公開番号】W WO2021030823
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-03-28
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウストゥルク, ウスカン
(72)【発明者】
【氏名】バーメスバーガー, セス ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真樹
(72)【発明者】
【氏名】アギリ, アリレザ
(72)【発明者】
【氏名】シャックレトン, スティーブン シー
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ビュン-ジン
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-004826(JP,A)
【文献】特開2000-348392(JP,A)
【文献】特開2000-164905(JP,A)
【文献】特開2001-230393(JP,A)
【文献】特開2020-047649(JP,A)
【文献】特開2020-089876(JP,A)
【文献】特開2012-231056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とスーパーストレートとの間に硬化層を挟んだスタックに対して、
前記基板のエッジより外側の位置であって前記スーパーストレートの外周のうち一部の領域に機械的接触で外力を加えることにより、前記スーパーストレートと前記硬化層とが接する面の外周のうち一部の領域において前記スーパーストレートと前記硬化層とを分離して、前記スーパーストレートと前記硬化層との分離を開始する工程と、
前記一部の領域から、前記スーパーストレートと前記硬化層とが接する面の外周に沿って、前記スーパーストレートと前記硬化層とが分離した分離領域を広げる工程と、
前記外周に沿って前記分離領域を広げた状態で前記基板と前記スーパーストレートとが離れる方向に前記基板と前記スーパーストレートとの相対的な移動を開始して、前記スーパーストレートと前記硬化層との分離を完了させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
スーパーストレートチャックに前記スーパーストレートを保持させることと、
前記分離領域を広げる工程において、前記スーパーストレートの外周領域を撓ませるように、負の流体圧力を前記スーパーストレートチャックの周囲ゾーンに適用することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周囲ゾーンに前記負の流体圧力を適用しながら、前記スーパーストレートと前記硬化層とが分離した前記一部の領域に正の流体圧力を導入し続けることを更に含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記スーパーストレートと前記硬化層との分離を完了させるために、前記スーパーストレートを保持するスーパーストレートチャックの中央ゾーンに負の流体圧力を加えることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ピンが前記基板側から前記スーパーストレート側へ移動することで前記スーパーストレート
に機械的接触
で外力を加える、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板に対して前記スーパーストレートが張り出しエッジ部分を含むように、前記基板と前記スーパーストレートとを積層することと、
前記一部の領域に前記分離領域を生成するように前記張り出しエッジ部分に力を加えることと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記スーパーストレートに
前記外力を加える位置と、前記基板のノッチとを位置合わせすることと、
前記ノッチを介して前記スーパーストレートの前記位置に
前記外力を加えることと、
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
スーパーストレートを保持するためのスーパーストレートチャックと、
基板を保持するための基板チャックと、
前記基板と前記スーパーストレートとの間に硬化層を挟んだスタックに対して、前記基板のエッジより外側の位置であって前記スーパーストレートの外周のうち一部の領域に機械的接触で外力を加えて、前記スーパーストレートと前記硬化層とが接する面の外周のうち一部の領域において前記スーパーストレートと前記硬化層との分離を開始するように構成された力の供給源と、
を備える平坦化システム。
【請求項9】
前記スーパーストレートチャックはランドのパターンを含み、前記スーパーストレートチャックのエッジ付近に位置する前記ランドの1つは、前記スーパーストレートが前記スーパーストレートチャックに向かって撓むことを可能にするように、前記スーパーストレートチャックの内側部分に位置する他のランドの下方に窪んでいる、請求項
8に記載の平坦化システム。
【請求項10】
前記基板チャックはランドのパターンを含み、前記基板チャックのエッジに位置する前記ランドの1つは、前記基板が前記基板チャックに向かって撓むことを可能にするように、前記基板チャックの内側部分に位置する他のランドの下方に窪んでいる、請求項
8に記載の平坦化システム。
【請求項11】
前記力の供給源は、前記スタックの前記基板側から前記スーパーストレート側の方向への機械的押力を生成する機構を含む、請求項
8に記載の平坦化システム。
【請求項12】
前記基板は、そのエッジに配置されたノッチを含み、前記力の供給源は、前記ノッチを介して前記スーパーストレートに
前記外力を加える、請求項
8に記載の平坦化システム。
【請求項13】
前記力の供給源は、前記スーパーストレートに機械的接触で外力を加えるピンを含み、前記ピンが前記基板側から前記スーパーストレート側へ移動することで前記スーパーストレートに機械的接触で外力を加える、請求項
8に記載の平坦化システム。
【請求項14】
前記スーパーストレートチャックは、前記基板に対して前記スーパーストレートが張り出し部分を含むように前記スーパーストレートを保持するように構成され、
前記力の供給源は、前記スーパーストレートの前記張り出し部分に力を加えて前記一部の領域に分離領域を生成するように構成されている、
請求項
8に記載の平坦化システム。
【請求項15】
基板とスーパーストレートとの間に硬化層を形成する工程と、
請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の方法を用いて、前記スーパーストレートと前記硬化層との分離を完了させる工程と、
前記硬化層を加工することによって物品を製造する工程と、
を含む物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板プロセスに関し、より詳細には、半導体製造における表面の平坦化に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦化技術は、半導体デバイスを製造する際に有用である。例えば、半導体デバイスを作成するためのプロセスは、基板への材料の追加と基板からの材料の除去とを繰り返し含む。このプロセスは、不規則な高さばらつき(即ち、トポグラフィ)を有する層状の基板を生成することができ、より多くの層が追加されるにつれて、基板高さばらつきが増大しうる。高さばらつきは、層状の基板にさらなる層を追加する能力に負の影響を及ぼす。これとは別に、半導体基板(例えば、シリコンウェハ)自体は、常に完全な平坦ではなく、初期表面高さばらつき(即ち、トポグラフィ)を含みうる。この問題に対処する1つの方法は、積層ステップの間に基板を平坦化することである。種々のリソグラフィパターニング方法は、平面表面上のパターニングから利益を得る。ArFiレーザベースのリソグラフィにおいて、平坦化は、焦点深度(DOF)、臨界寸法(CD)、および臨界寸法の均一性を改善する。極端紫外リソグラフィ(EUV)では、平坦化は、フィーチャ配置およびDOFを改善する。ナノインプリントリソグラフィ(NIL)では、平坦化は、フィーチャ充填およびパターン転写後のCD制御を改善する。
【0003】
インクジェットベース適応平坦化(IAP)と呼ばれることもある平坦化技術は、基板とスーパーストレートとの間に重合性材料の可変の滴下パターンを分配することを含み、ここで滴下パターンは基板トポグラフィに依存して変化する。次いで、スーパーストレートを重合性材料と接触させ、その後、材料を基板上で重合させ、スーパーストレートを除去する。IAP技法を含む平坦化技術の改良は、例えば、全ウエハプロセスおよび半導体デバイス製造を改良するために望まれている。
【発明の概要】
【0004】
方法が提供される。当該方法は、少なくとも基板とスーパーストレートとのスタックのエッジ上のポイントに少なくとも1つのクラックを生成することと、前記クラックを外周に沿って伝播させることと、前記基板からの前記スーパーストレートの分離を完了させるように前記スーパーストレートを前記基板に対して移動させることと、を含む。当該方法は、前記クラックを生成するために、前記エッジ上の前記ポイントにおける前記基板と前記スーパーストレートとの間に正の流体圧力を導入することを更に含んでもよい。前記正の流体圧力は、クリーンドライエア、ヘリウム、または窒素の流れを含む。当該方法は、負の流体圧力でスーパーストレートチャックに前記スーパーストレートを保持させることと、前記スタックの前記エッジに沿って前記クラックを伝搬させるように、負の流体圧力の高い流れを前記スーパーストレート上の周囲ゾーンに適用することと、を更に含んでもよい。
【0005】
前記スーパーストレート上の前記周囲ゾーンに前記負の流体圧力の高い流れが適用されている間、前記正の流体圧力が前記分離された部分に連続的に導入される。前記スーパーストレートは、スーパーストレートチャックで前記基板から離れる方向に移動されてもよい。当該方法は、スーパーストレートチャックで前記基板からの前記スーパーストレートの前記分離を完了させるように、前記スーパーストレート上の中央ゾーンに負の流体圧力を加えることを更に含んでもよい。当該方法は、前記クラックを生成するように前記スーパーストレートのエッジ上の前記ポイントに力を加えることを更に含んでもよい。前記スタックの前記エッジの他のポイントにおける前記基板と前記スーパーストレートとの間に正の流体圧力を加えることによって、他のクラックが生成されてもよい。前記力は、正の流体圧力または機械的接触を導入することによって加えられてもよい。
【0006】
当該方法は、前記スーパーストレートが張り出しエッジ部分を含むように、前記基板と前記スーパーストレートとを積層することと、クラックを生成するように前記張り出しエッジ部分に力を加えることと、を更に含んでもよい。前記スーパーストレートの他のエッジ部分は、前記基板のエッジ部分のノッチと位置合わせされてもよく、前記基板と前記スーパーストレートとの間に他のクラックを生成するように、前記他のエッジ部分に力が加えられる。
【0007】
チャッキングシステムも提供される。当該システムは、負の流体圧力でスーパーストレートを保持するように構成されたスーパーストレートチャックと、基板と共に積層された前記スーパーストレートのエッジ上のポイントに力を加え、前記エッジの前記ポイントにおける前記基板と前記スーパーストレートとの間にクラックを生成するように構成された力の供給源と、を含む。前記スーパーストレートチャックはランドのパターンを含み、前記スーパーストレートチャックのエッジ付近に位置する前記ランドの1つは、前記スーパーストレートが前記クラックを生成しながら前記スーパーストレートチャックに向かって撓むことを可能にするように、前記スーパーストレートチャックの内側部分に位置する他のランドの下方に窪んでいる。当該チャッキングシステムは、負の流体圧力で前記基板を保持するように構成された基板チャックを更に備えてもよい。前記基板チャックはランドのパターンを含み、前記基板チャックのエッジに位置する前記ランドの1つは、前記基板が前記クラックを生成しながら前記基板に向かって撓むことを可能にするように、前記基板チャックの内側部分に位置する他のランドの下方に窪んでいる。
【0008】
前記力の供給源は、横方向の機械的押力を生成する機構、または、前記スーパーストレートの前記エッジに向かう正の流体圧力の供給源を含む。前記基板は、そのエッジに配置されたノッチを含み、前記力の供給源は、前記ノッチを介して前記スーパーストレートに加えられる負の流体圧力の供給源を含む。当該チャッキングシステムは、前記スーパーストレートチャックを通して前記負の流体圧力を前記スーパーストレートに加えるための負の流体圧力の供給源を更に備えてもよい。前記スーパーストレートチャックは、前記スーパーストレートが張り出し部分を含むように前記スーパーストレートを保持するように構成されている。前記力の供給源は、前記スーパーストレートの前記張り出し部分に力を加えて前記クラックを発生させるように構成されている。
【0009】
物品を製造する方法が提供される。当該方法は、基板とスーパーストレートとの間に積層された硬化材料を形成することと、基板とスーパーストレートとの間のエッジにおけるポイントに少なくとも1つのクラックを生成することと、前記クラックを外周に沿って伝播させることと、前記硬化材料から前記スーパーストレートを分離することと、を含む。
【0010】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴、および利点は、添付の図面および提供される特許請求の範囲と併せて、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の特徴および利点が詳細に理解されうるように、本発明の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面に示される実施形態を参照することによってなされうる。しかしながら、添付の図面は本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、したがって、本発明は他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【0012】
【0013】
【0014】
【
図3A】
図3aは、一実施形態におけるマルチゾーンストレートチャックを示す;
【
図3B】
図3bは、一実施形態におけるマルチゾーンストレートチャックを示す;
【0015】
【
図4A】
図4aは、基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す;
【
図4B】
図4bは、基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す;
【
図4C】
図4cは、基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す;
【
図4D】
図4dは、基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す;
【
図4E】
図4eは、基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す;
【0016】
【0017】
【
図6A】
図6aは、一実施形態における基板とスーパーストレートとのスタックの縁部で開始される分離クラックを示す;
【
図6B】
図6bは、このような分離クラックを開始させるための格納式ピンと基板ノッチとの位置合わせを示す;
【0018】
【
図6C】
図6bは、別の実施形態における基板とスーパーストレートのスタックのエッジで開始される分離クラックを示す;
【0019】
【
図7A】
図7aは、分離クラックが開始されてスタックの周囲に伝播されるときの、基板とスーパーストレートとのスタックの上面図を示す;
【
図7B】
図7bは、分離クラックが開始されてスタックの周囲に伝播されるときの、基板とスーパーストレートとのスタックの上面図を示す;
【
図7C】
図7cは、分離クラックが開始されてスタックの周囲に伝播されるときの、基板とスーパーストレートとのスタックの上面図を示す;
【0020】
【
図8】
図8は、分離された基板およびスーパーストレートを示す;
【0021】
【0022】
【
図10】
図10は、更なる実施形態における基板とスーパーストレートとのスタックの縁部で開始される分離クラックを示す;
【0023】
【
図11A】
図11aは、改善されたゾーン封止を有する別の実施形態におけるマルチゾーン・スーパーストレートチャックを示す;
【
図11B】
図11bは、改善されたゾーン封止を有する別の実施形態におけるマルチゾーン・スーパーストレートチャックを示す;
【0024】
【0025】
図面全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照符号および文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分を示すために使用される。さらに、本開示は、図面を参照して詳細に説明されるが、説明に役立つ例示的な実施形態に関連してそのように行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される主題の開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に対して変更および修正を行うことができることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
平坦化システム
図1は、平坦化のためのシステムを示す。平坦化システム100は、基板102上の膜を平坦化するために使用される。基板102は、基板チャック104に結合されうる。基板チャック104は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、静電チャック、電磁チャック等であってもよいが、これらに限定されない。
【0027】
基板102および基板チャック104は、基板位置決めステージ106によってさらに支持されうる。基板位置決めステージ106は、x-、y-、z-、θ-、ψ、及びφ-軸のうちの1以上に沿った並進運動および/または回転運動を提供することができる。また、基板位置決めステージ106、基板102、および基板チャック104は、ベース(図示せず)上に位置決めされてもよい。基板位置決めステージは、位置決めシステムの一部であってもよい。
【0028】
基板102から離間して配置されているのは、基板102に対向する作用面112を有するスーパーストレート108である。スーパーストレート108は、限定されるものではないが、溶融シリカ、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属、硬化サファイアなどを含む材料から形成されてもよい。一実施形態では、スーパーストレートは、UV光を容易に透明する。表面112は、一般に、基板108の表面と同じ面積サイズであるか、または僅かに小さい。
【0029】
スーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118に連結され、または保持されうる。スーパーストレートチャック118は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、静電チャック、電磁チャック、および/または他の同様のチャック型であってもよいが、これらに限定されない。スーパーストレートチャック118は、スーパーストレート108を横切って変化する応力、圧力、および/または歪みをスーパーストレート108に加えるように構成することができる。一実施形態では、スーパーストレートチャックは、同様に、UV光を容易に透過する。スーパーストレートチャック118は、ゾーンベースの真空チャック、アクチュエータアレイ、圧力ブラダ(bladder)などのシステムを含んでもよく、このシステムは、テンプレートを湾曲させて変形させるためにスーパーストレート108の裏面に圧力差を加えることができる。一実施形態では、スーパーストレートチャック118は、圧力差をスーパーストレートの裏面に加えることができるゾーンベースの真空チャックを含み、本明細書で更に詳述するようにスーパーストレートを湾曲させて変形させる。
【0030】
スーパーストレートチャック118は、位置決めシステムの一部である平坦化ヘッド120に結合されうる。平坦化ヘッド120は、ブリッジに移動可能に結合されうる。平坦化ヘッド120は、スーパーストレートチャック118を少なくともz軸方向、および潜在的に他の方向(例えばx、y-、θ-、ψ-、φ-軸)に基板102に対して移動させるように構成された、ボイスコイルモータ、圧電モータ、リニアモータ、ナットおよびネジモータなどの1以上のアクチュエータを含みうる。
【0031】
平坦化システム100は、流体ディスペンサ122を更に備えうる。また、流体ディスペンサ122は、ブリッジに移動可能に連結されうる。一実施形態では、流体ディスペンサ122および平坦化ヘッド120は、すべての位置決め構成要素のうちの1以上を共有する。代替の実施形態では、流体ディスペンサ122および平坦化ヘッドは互いに独立して移動する。流体ディスペンサ122は、液体の形成可能材料124(例えば、光硬化性重合可能材料)の液滴を基板102上に堆積させるために使用されてもよく、堆積される材料の体積は、そのトポグラフィプロファイルに少なくとも部分的に基づいて基板102の領域にわたって変化する。異なる流体ディスペンサ122は、成形可能材料124を分配(ディスペンス、供給)するために異なる技術を使用することができる。成形可能材料124が噴射可能である場合、インクジェットタイプのディスペンサが、成形可能材料を分配するために使用されうる。例えば、サーマルインクジェッティング、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ベースのインクジェッティング、バルブジェット、および圧電インクジェッティングは、噴射可能な液体を分配するための一般的な技術である。
【0032】
平坦化システム100は、露光経路128に沿って化学線エネルギ、例えばUV放射線を方向付ける放射線源126を含む硬化システムを更に含みうる。平坦化ヘッド120および基板位置決め状態106は、露光経路128と重ね合わせてスーパーストレート108と基板102とを位置決めするように構成されうる。放射線源126は、スーパーストレート108が成形可能材料128に接触した後、露光経路128に沿って化学線エネルギを送る。
図1は、スーパーストレート108が成形可能材料124と接触していないときの露光経路128を示す。これは、個々の構成要素の相対位置を容易に識別することができるように、例示の目的で行われる。当業者であれば、上板108が成形可能材料124と接触したときに、露光経路128が実質的に変化しないことを理解するのであろう。
【0033】
平坦化システム100は、平坦化プロセス中にスーパーストレート108が成形可能材料124に接触するときに成形可能材料124の拡がりを見るように配置されたカメラ136をさらに備えてもよい。
図1は、フィールドカメラの画像フィールドの光軸138を示している。
図1に示されるように、平面化システム100は、化学線とカメラ136によって検出される光とを組み合わせる1以上の光学要素(ダイクロイックミラー、ビームコンバイナ、プリズム、レンズ、ミラーなど)を含んでもよい。カメラ136は、形成可能材料124に接触するスーパーストレート108の下の領域と、形成可能材料124に接触しないスーパーストレート108の下の領域との間のコントラストを示す波長で光を集めるように構成された、CCD、センサアレイ、ラインカメラ、および光検出器のうちの1以上を含んでもよい。カメラ136は、スーパーストレート108の下の成形可能材料124の拡がり、および/または、硬化した成形可能材料124からのスーパーストレート108の分離の画像を提供するように構成されてもよい。また、カメラ136は、形成可能材料124が表面112と基板表面との間のギャップの間に広がるにつれて変化する干渉縞を測定するように構成されてもよい。
【0034】
平坦化システム100は、基板チャック104、基板位置決めステージ106、スーパーストレートチャック118、平坦化ヘッド120、流体ディスペンサ122、放射線源126、および/またはカメラ136などの1以上のの構成要素および/またはサブシステムと通信する1以上のプロセッサ140(コントローラ)によって、調整、制御、および/または指示されうる。プロセッサ140は、非一時的コンピュータメモリ142に記憶されたコンピュータ可読プログラム内の命令に基づいて動作することができる。プロセッサ140は、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA、DSP、および汎用コンピュータのうちの1以上でありうるか、またはそれらを含みうる。プロセッサ140は、汎用のコントローラであってもよく、またはコントローラであるように構成された汎用のコンピューティングデバイスであってもよい。非一時的コンピュータ可読可能メモリの例としては、RAM、ROM、CD、DVD、Blu-Ray、ハードドライブ、ネットワーク接続されたアタッチトストレージ(NAS)、イントラネット接続された非一時的コンピュータ可読可能ストレージデバイス、およびインターネット接続された非一時的コンピュータ可読可能ストレージデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
動作中、平坦化ヘッド120、基板位置ステージ106、又は両方は、スーパーストレート118と基板102との間の距離を変化させて、成形可能材料124で満たされる所望の空間(3次元における有界の物理的拡がり)を規定する。例えば、平坦化ヘッド120は、本明細書で更に詳述されるように、スーパーストレートが成形可能材料124の液滴に接触し、それを拡げるように、基板に向かって移動され、スーパーストレート108に力を加える。
【0036】
平坦化プロセス
平坦化プロセスは、
図2a~
図2cに概略的に示されるステップ(工程)を含む。
図2aに示されるように、成形可能材料124は、基板102上に液滴の形状で分配される。前述したように、基板表面は、以前のプロセス操作に基づいて既知でありうる、または、プロファイルメータ、AFM、SEM、またはZygo NewView 8200のような光学干渉効果に基づく光学表面プロファイラを使用して測定されうる幾つかのトポグラフィを有する。堆積された成形可能材料124の局所体積密度は、基板トポグラフィに応じて変化する。次いで、スーパーストレート108は、成形可能材料124と接触させるように位置決めされる。
【0037】
図2bは、スーパーストレート108が成形可能材料124と完全に接触した後であるが、重合プロセスが開始する前の接触後ステップを示す。スーパーストレート108が成形可能材料124に接触すると、液滴は、スーパーストレート108と基板102との間の空間を満たす成形可能材料の膜144を形成するように合併(merge)する。好ましくは、充填プロセスは、非充填欠陥を最小限に抑えるために、スーパーストレート108と基板102との間に空気またはガスの気泡が捕捉されることなく、均一に行われる。成形可能材料124の重合プロセスまたは硬化は、化学線(例えば、UV線)で開始されうる。例えば、
図1の放射線源126は、形成可能材料の膜144を硬化、固化、および/または架橋させ、硬化した平坦化層146を基板102上に画定する化学線を提供することができる。あるいは、成形可能材料の膜144の硬化は、熱、圧力、化学反応、他の種類の放射線、またはこれらの任意の組合せを使用することによって開始されてもよい。一旦硬化されると、平坦化層146が形成され、スーパーストレート108がそこから分離されうる。
図2cは、スーパーストレート108の分離後における基板102上の硬化した平坦化層146を示す。次いで、基板および硬化層は、例えば、パターニング、硬化、酸化、層形成、堆積、ドーピング、平坦化、エッチング、成形可能材料の除去、ダイシング、ボンディング、およびパッケージングなどを含む、デバイス(物品)製造のための追加の公知のステップおよびプロセスを受けることができる。基板は、複数の物品(デバイス)を製造するために処理されてもよい。
【0038】
スーパーストレートと基板との間の平坦化材料の拡がり、充填および硬化
成形可能材料液滴が拡がり、合併し、スーパーストレートと基板との間のギャップを充填するときに、スーパーストレート108と基板との間の空気またはガスの気泡の捕捉を最小限に抑えるための1つのスキームは、基板の中央における成形可能材料と初期接触させ、更に接触してから、中心から周囲に向かって放射状に進むように、スーパーストレートを位置決めすることである。これには、スーパーストレート内に曲率プロファイルを作り出すために、スーパーストレートまたは基板またはその両方の撓み(deflection)または湾曲(bowing)が必要である。しかしながら、スーパーストレート108が典型的には基板102と同じまたは類似の面積寸法であるとすると、有用なスーパーストレート全体の湾曲曲率プロファイルは、スーパーストレートの大きな垂直方向の撓みと、スーパーストレートチャックおよび平坦化アセンブリによる付随する垂直方向の動作との両方を必要とする。このような大きな垂直方向の撓みおよび動作は、制御、精度、およびシステム設計上の考慮事項にとって望ましくない場合がある。このようなスーパーストレート・プロファイルは、例えば、スーパーストレートの内部領域に背圧を加えることによって得ることができる。しかしながら、そうすることにより、スーパーストレートチャック上にスーパーストレートを保持したままにするためには、依然として外周保持領域が必要とされる。成形可能材料の液滴が拡がって合併する間にスーパーストレートおよび基板の周辺縁部の両方が平坦にチャックされる場合、この平坦なチャック領域には利用可能なスーパーストレートの曲率プロファイルが存在しないであろう。これは、液滴の拡がりおよび合併を損なうことがあり、これはまた、当該領域において非充填欠陥をもたらしうる。加えて、成形可能材料の拡がりおよび充填が完了すると、結果として生じるスーパーストレートチャック、チャックされたスーパーストレート、成形可能材料、基板、および基板チャックのスタックは、過拘束システムとなりうる。これは、結果として生じる平坦化膜の層の不均一な平坦化プロファイルを引き起こしうる。即ち、このような過拘束システムでは、表裏面の平坦度を含む、スーパーストレートチャックからの全ての平坦度誤差またはばらつきが、スーパーストレートに伝達され、平坦化膜の層の均一性に影響を与える可能性がある。
【0039】
上記課題を解決するために、一実施形態では、
図3aおよび
図3bに示されるように、マルチゾーン・スーパーストレートチャック118が提供される。スーパーストレートチャック118は、中心ゾーン301と、中心ゾーン301の周りの一連のリングゾーン303とを含む。リングゾーン303は、スーパーストレートチャック118のエッジ、外周、または周縁の周囲の周囲リングゾーン303bと、中心ゾーン301と周囲リングゾーン303bとの間に位置する複数の内側リングゾーン303aとに画定されうる。複数のリングゾーン303は、スーパーストレートチャック118の表面から突出する一連のランド307によって画定されうる。
図3aおよび
図3bに示されるように、ランド307は、中央ゾーン301の周りに形成されうる。リングゾーン303の各々には、スーパーストレートチャック118を介して接続し、それによって保持されたスーパーストレートに圧力源が正圧(陽圧)または負圧(陰圧)、例えば真空、を加えることを可能にするために、少なくとも1つのポート305が形成される。
【0040】
図3bは、スーパーストレートチャック118の側断面図を示す。ランド307の各々は、高さを有するスーパーストレートチャック118の表面から突出する。ランド307は、周囲リングゾーン303bを取り囲む周囲ランド307bと、中央ゾーン301と周囲リングゾーン303bとの間の一連の内側ランド307aとを含む。
図3bに示されるように、内側ランド307aは実質的に同じ高さを有するが、周囲ランド307bの高さは内側ランド307aの高さよりも低い。スーパーストレートチャック118の中心ゾーン301は、圧力源(図示せず)が、関連するチャネル308およびポート305を通して空気またはガスの圧力を加えて、保持されたスーパーストレートの中心部分を撓ませることができるように、円形キャビティの形状でありうる。同様に、真空圧力は、同じチャネルおよびポートを通して中心ゾーン301に加えられてもよい。スーパーストレートチャック118の中心ゾーン301は、保持されたスーパーストレートの中心部分と位置合わせされうる。同様に、周囲リングゾーン303aは、保持されたスーパーストレートの外周または周縁と位置合わせされうる。周囲リングゾーン303には、同様に、圧力または真空を加えるためのそれぞれのチャネル308およびポート305が設けられている。
【0041】
図4a~
図4eを参照すると、堆積された成形可能材料124の液滴を接触させ、拡げ、合併させるためのプロセスが示されている。
図4aに示すように、スーパーストレート108を成形可能材料124に接触させる前に、正圧(矢印Pで示す)がポート305を通してスーパーストレートチャック118の中心ゾーン301、保持されたスーパーストレート108に加えられ、スーパーストレート108の中心部分を成形可能材料124に向かって撓ませる。圧力Pは、
図4aに示されるように、所定の範囲で初期撓みを制御し、スーパーストレート108の所定の曲率を維持するために、中心ゾーン301に加えられる。一方、負圧、好ましくは真空(矢印Vで示す)は、リングゾーン303内のポート305を通してスーパーストレート108に加えられ、スーパーストレートチャック118と共にスーパーストレート108を保持する。次いで、スーパーストレート108を、
図4bに示すように、成形可能材料124の液滴と初期接触させる。
【0042】
次いで、中心ゾーン301に近位の内側リングゾーン303aから逐次的に真空(V)を解放することにより、スーパーストレート108の撓みは、中心部分から半径外側方向に拡張される。このようにして、成形可能材料の液滴は、接触され、拡げられ、合併されて、スーパーストレートが基板と接触し、基板に一致するにつれて半径方向外向きに進む流体フロントエンドを有する膜層を形成する。真空が内側リングゾーン303aから逐次的に解放されるとき、中心ゾーン301を通して加えられる圧力Pは、所望の値に維持される。また、真空が解放された内側リングゾーン303a内のチャネル308及びポート305を通して、圧力Pがスーパーストレート108に加えられうる。
図4cに示される実施形態では、真空は、内側ゾーン301に最も近い3つの内側リング303aから逐次的に解放され、真空が逐次的に解放されるにつれて圧力Pが逐次的に加えられる。平坦化ヘッドは、この逐次的な真空解放および加圧中に下方に移動されうる。
【0043】
次いで、スーパーストレート108の撓みは、周辺リングゾーン303bを介して印加される真空Vが維持される間、真空が全ての内側リングゾーン303aから解放されるまで逐次的に半径方向に更に拡張される。内輪ゾーン303aの各々に対して、真空が解放されると圧力Pも加えられる。
図4dに示されるように、真空が全ての内側リングゾーン303aから解放されたとき、スーパーストレート108は、周囲ゾーン303bを通して加えられた真空Vを介してスーパーストレートチャック118によって保持されたままである基板108の周縁部を除いて、基板102に適合するように撓ませられる。したがって、スーパーストレート108のエッジは、基板102の周縁部上に分配された成形可能材料の液滴の最終的な拡がりおよび合併のために、撓んだ、湾曲した状態のままである。また、内側ランド307aよりも低い周囲ランド307bは、このような湾曲の維持を容易にする。
【0044】
次いで、
図4eにおいて、スーパーストレート108を完全にスーパーストレートチャック118から解放するために、周囲リングゾーン303bを通して加えられる真空Vが解放される。これは、複数の利点を提供する。第一に、湾曲した状態で保持されていた周囲リングゾーン303bからスーパーストレート108の周縁部を解放することによって、残りの成形可能材料の液滴の拡がりおよび合併を同じ中心から外周の半径方向の様式で完了させることができ、したがって、空気またはガスの捕捉および結果としての非充填欠陥を最小化し続けることができる。具体的には、内側ランド307aに対して窪んでいる周囲ランド307bは、スーパーストレート108が解放前に所望の曲率を維持することを可能にする。第二に、スーパーストレートチャック118からスーパーストレート108を完全に解放することによって、チャッキング条件によるスーパーストレート108のいずれの過拘束も除去され、それによって、このような拘束条件のために起こりうる局所的な不均一な平坦化が低減される。第三に、スーパーストレートチャック118からのスーパーストレート108の解放によって、いずれのチャックの非平坦性の誤差またはばらつきのスーパーストレート108への伝達が除去され、それによって、局所的な非均一な平坦化のばらつきも低減される。
【0045】
スーパーストレート108が解放されると、平坦化層を形成するように成形可能材料を硬化させるため、硬化エネルギが印加される。前述のように、硬化源は、成形可能材料124を硬化させるための光ビームであってもよい。一実施形態では、光ビームのサイズは、スーパーストレートの直径を参照して調整または制御されうる。光ビームは、所定の角度で基板に入射するように制御することもできる。硬化中、硬化源に対する基板102の横方向位置(即ち、X-Y平面内)が調整されうる。硬化プロセスの後、スーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118によって再保持され、その後、スーパーストレート108は、本明細書でさらに説明されるように基板から分離される。
【0046】
図5は、
図3および
図4に示されるように記載された平坦化プロセスのフローチャートを示す。ステップ501において、成形可能材料の液滴124が基板102上に分配される。スーパーストレート108の中心ゾーンは、ステップS502において成形可能材料の液滴124に向かって撓ませられる。次いで、撓んだスーパーストレート108は、ステップS503において、成形可能材料124と接触するようにスーパーストレートチャック118によって前進される。スーパーストレート108の撓みは、ステップS504において、中心ゾーンからスーパーストレート108の外周に向かって拡張される。次いで、スーパーストレートチャック118によって、例えば、スーパーストレート108の外周に印加された真空によってスーパーストレート108を保持するための力の印加が停止され、ステップS506においてスーパーストレート108がスーパーストレートチャック118から解放(即ち、デチャック)される。成形可能材料124は、ステップS507で硬化される。硬化後、スーパーストレート108は、硬化した成形可能材料146からスーパーストレート108を分離するために、スーパーストレートチャック118によって再保持される。
【0047】
例えば、成形可能材料124としてUV光硬化性材料を使用する場合、スーパーストレートチャック118は、高UV光透過性UV硬化で(例えば、
図1に示されるように、カメラ136によって撮像するための高い光透過性と同様に)透明であることが望ましい。上述したように、空気供給チャネル308およびポート305、ゾーン303、並びにランド307は、
図3および
図4に示されるように、スーパーストレートに一体化されている。これらの構造は、UV硬化のための問題を引き起こしうる。特に、チャネル308およびランド307の下の領域におけるUV透過率は、このようなフィーチャ(特徴)を有さない領域と比較して著しく減少する可能性があり、成形可能材料の硬化不足または不均一な硬化をもたらす。この現象は、「シャドウ効果」と呼ばれることがある。シャドウ効果は、ランド307のエッジにおいて特に重要である。さらに、スーパーストレート100がランド307にチャックされるとき、2つの表面が互いに光学的に接触しないので、薄いエアギャップが存在する。このタイプの薄いギャップは、UVを完全に遮断することがある。この現象は、ランドとスーパーストレートとの間の「薄膜効果」として知られている。
【0048】
上記の「シャドウ効果」に対する1つの解決策は、スーパーストレートチャックからスーパーストレートをデチャック(即ち、解放)した後に、x、yおよび/またはθ座標におけるウェハステージ上のスーパーストレートおよび基板のスタックの移動を含む。UV露光中にこの様式でウェハステージを移動させることにより、チャネル、ポート、およびランドの下に残っていたであろうスーパーストレートおよび基板の領域を、チャックのフィーチャが存在しないスーパーストレートチャックの下の領域に周期的に移動させることができる。必要とされる相対運動は、以下の式(1)から推定することができる:
ここで、I
mは運動範囲にわたる所望の平均強度であり、I
hはチャックのフィーチャのない領域にわたる高強度(即ち、最大または「最大」強度)であり、I
lは対象フィーチャにおける強度(即ち、最低または「低」強度)であり、w
hはI
mを達成するための推定運動範囲であり、w
lは対象フィーチャ幅(例えば、ランド、ポート、またはチャネルの幅)である。例えば、フィーチャのない領域での100%のUV透過を仮定し、所望のI
mをその値の90%と仮定し、さらにw
i=1mmと仮定すると、式(1)から、相対運動の所望の範囲w
h=8.0mmとなる。あるいは、UV源は、スーパーストレートチャックに入射するUV光の角度を変化させるように、スーパーストレートチャックに対して当該UV源を傾けたり傾斜させたりすることによって移動することができ、これによって、対象フィーチャ付近のシャドウ効果も低減することができる。「薄膜効果」は、スーパーストレートとスーパーストレートチャックとの間に十分なギャップを作り出すようにz軸方向に相対的に移動させることによって、例えば、スーパーストレートをデチャックし、ウェハステージをスーパーストレートチャックから離れるようにz方向に移動させることによって回避することができる。上記の種々の解決策は、特定の領域における全UV線量の均一性を改善し、シャドウ効果および薄膜効果を最小限に抑えるために、個別にまたは組み合わせて適用することができる。様々な実施形態では、適用されるUV光ビームが基板またはスーパーストレートよりも小さくても、同じサイズであっても、または大きくてもよい。一実施形態では、適用されるUV光ビームは、基板の全体をUV光に露光し続けながら、上記の相対運動w
hに適応する寸法だけ基板よりも大きくすることができる。
【0049】
硬化された平坦化膜の層からのスーパーストレートの分離
成形可能材料が硬化され、平坦化膜の層が形成されると、形成された層からスーパーストレートを除去または剥離することが必要である。しかしながら、スーパーストレートおよび基板が同一または同様の面積寸法を有する場合には、形成された層からスーパーストレートを完全に分離するために、必要に応じてスーパーストレートと形成された層との間に分離クラックを開始および伝播させることは困難である。この問題は、
図6~8に示される構造および方法によって解決することができる。
図6aおよび
図6bに示されるように、基板チャック604は、基板102上のノッチ608と位置合わせ可能なチャックの外周に位置する格納可能なピン606を含む。このようなノッチ(例えば、ウェハノッチ)は、プロセス中およびハンドリング中にウェハを配向する目的のために半導体ウェハに共通である。動作中、格納可能なピン606は、基板102上に位置するノッチ608と位置合わせされて位置決めされる。分離を開始するために、ピン606は、
図6aに示されるように、ノッチ608を通って上方に移動し、スーパーストレート108のエッジのポイント610に接触する。ピン606によって加えられる力は、スーパーストレート108と基板102上の硬化層146との間の分離クラック601を開始させるのに十分である。クラック601が生成されると、スーパーストレートチャック118のポート305を通る真空圧力の適用によって、スーパーストレート108のエッジがスーパーストレートチャック118に向かって撓ませられる。これは、スーパーストレートチャック118のランド307bが隣接ランド307aより短いことによって容易になり、これによって、スーパーストレート108のエッジが基板102から離れてスーパーストレートチャック118に向かって撓ませられる空間が提供される。クラック601を生成するために加えられる力は、スーパーストレート、平坦化膜の層、および基板の幾何学的および物理的条件に依存することができる。あるいは、クラック601は、
図6cに示されるように、基板102とスーパーストレート108との間に正圧を導入することによって生成されてもよい。ここで、基板チャック614は、正の流体圧力源(図示せず)に接続されたノズル616を含む。ノズル616の活性化により、正の流体圧力P
Iは、分離クラック601を開始するのに十分な力で、ノズル616を通してスーパーストレート118のエッジのポイント610に送達される。正の流体圧力は、クリーンドライエア、ヘリウム、または窒素の流れを含みうる。クラック601を生成する間、スーパーストレート102はスーパーストレートチャック118内に保持され、基板102は基板チャック104によって保持される。
【0050】
図7~
図8は分離の進行を示す。
図7aは、スーパーストレート118が基板上に形成された層と(斜線領域によって示されるように)完全に接触している上下図を示す。
図7bにおいて、分離クラック601は、上述のように開始される。一旦クラック601が開始されると、スーパーストレート108のエッジと係合し、分離クラック601を外側ゾーンリング303bの周りに伝播させるように、スーパーストレートチャック118の外側リングゾーン303bに負圧または真空の高い流れが加えられる。この伝播は、矢印Cで示されるように、ノッチ608から両方向に円周方向に進行する。外側リングゾーン303bの周りのクラック601の伝播を補助するために、クラック伝播が進行することにつれて、基板102とスーパーストレート108との間に追加の横方向の空気の流れ(図示せず)が供給されうる。
図7cは、外側リングゾーン303bの周りに完全に伝播したクラック601を示す。
【0051】
分離クラックが外側リングゾーンの周りに完全に伝播したら、上向き運動がスーパーストレート108のZ軸方向に沿って加えられ、基板上の硬化層からのスーパーストレート108の分離を完了することができる。
図8は、基板102から完全に分離されたスーパーストレート108を示す。分離を完了する際に、基板102に対するスーパーストレート108の著しい上向きの運動は、スーパーストレート108と基板102との間の残りの接触領域に剪断応力を誘起しうる。あるいは、Z方向の運動は、より早い所望の位置で停止させることができ、分離は、内側および/または中央リングゾーンへの継続的な真空圧の印加を通して進め、結論付けることができる。このような剪断応力は、継続的な分離の間、内側リングゾーン303aおよび/または中央ゾーン301のうちの1以上に真空を加えることによって最小化することができる。
【0052】
図9は、
図7および
図8に記載され、示された分離プロセスのフローチャートを示す。ステップS901において、分離クラックがスーパーストレート108と硬化層との間で開始される。次いで、ステップS902において、分離クラックがスーパーストレート108の外周の周りに伝播される。ステップS903において、スーパーストレートの残りが硬化層から分離される。上述の実施形態では、スーパーストレート108と基板102との分離は、押しピンまたは空気圧などの機械的力によってクラックを生成するステップと、外側ゾーンに真空圧を加えてクラックを伝播させ、スーパーストレート108をしっかりと保持し、スーパーストレート108をZ方向に上向きに移動させ、スーパーストレートが上向きにデチャックすることを回避するのに十分な安全な力で基板102から離すステップと、分離を完了するために上向きのZ方向に移動中にスーパーストレート108の中央に真空を加えるステップとを含む。あるいは、または上記のZ方向の運動方式と組み合わせて、分離の伝搬は、基板(図示せず)の1以上の側面から高圧で面内(または横方向)方向の流れを連続的に適用することによって影響を受けることもできる。
【0053】
図6の実施形態では、機械的ピン606(
図6a)または流体ノズル616(
図6b)のいずれかによって、ウェハノッチ608を通して加えられる上向きの力によって、クラック開始が開始される。
図10は、分離クラックを開始するように構成された基板チャックの更なる実施形態を示す。ここで、基板チャック624は、スーパーストレート108と基板とが非同心円状に配置されたときに分離クラックを開始させることができる別個の格納可能なピン626を含む。この非同心円状の配置は、基板102を張り出すスーパーストレート108の部分628をもたらす。クラック602は、ピン626の移動を介して張り出し部分110に力を加えることによって生成されうる。あるいは、張り出し部分608は、基板よりもわずかに大きいスーパーストレートを使用することによって得ることもできる。このようにして、スーパーストレート108は、依然として、基板102と同心円状に配置されうる。いずれの場合も、基板チャック624は、分離クラックを開始させるためのスーパーストレート外周の周りの複数のポイントを生成するために、
図6aまたは
図6bの実施形態などにおいて、またはその他の方法で、ピン626から離間して配置された機械的ピンまたはノズルをさらに含むことができる。
【0054】
スーパーストレートチャック
上述したように、スーパーストレート108は、好ましくは、スーパーストレートと、チャッキング表面から延びるランド307によって画定されるリングゾーン303内のチャッキング表面との間の容積に圧力または真空(負圧)を加えるスーパーストレートチャック118によって保持または支持される。最も外側のランド307aとは別に、内側ランド307bは、隣接する内側ランド307b間のギャップの深さが一定のままであるように、同じ高さを有することが好ましい。ランドの高さ(即ち、ギャップの深さ)は、通常、ガス充填または排気応答時間、ランド剛性特性、膨張または収縮などの熱効果の制限を最小化する等の理由から、非常に小さく、例えば、約数十ミクロンから数千ミクロンのオーダーに保たれる。作動中、ゾーンのランドに対してスーパーストレートを保持させるようにリングゾーンに真空が加えられると、スーパーストレート-ランド境界に真空シールが生成される。しかしながら、十分な力または圧力がチャッキング真空の反対方向にスーパーストレートに加えられると、基板は、チャックのランドから持ち上げられうる。スーパーストレートとランドとの間の特定のギャップでは、真空シールが破損するか、または漏れて、ゾーン内の真空圧力が低下するか、またはゼロにさえなる。次いで、スーパーストレートは、チャックから意図せずにデチャックされるようになる。更に、スーパーストレートがデチャック状態にならない場合であっても、例えば、
図4および
図5のプロセスにおいて隣接リングゾーンの真空圧を逐次的に解放する場合に、真空漏れは、必要とされる制御レベルを乱す可能性がある。また、外側ランドにおけるこのような漏れは、
図4~
図5のプロセスにおいて、スーパーストレートの所望の外側エッジ曲率の制御された保持に負の影響を与える可能性がある。同様に、外側ランドの漏れは、
図7~
図9のプロセスにおいて、分離クラックの開始・伝搬を妨げる可能性がある。
【0055】
このような望ましくない漏れに対抗するために、
図11aおよび
図11bに示されるように、トレンチ構造1109を組み込んだスーパーストレートチャック1118が提供される。スーパーストレートチャック118と同様に、スーパーストレートチャック1118は、一連の内側ランド307aと、スーパーストレートチャック1118の表面1119から突出する周囲ランド307bとに画定することができる複数のランド307を同様に含む。
図11bおよび
図12に示されるように、表面1119は、スーパーストレート108を保持または維持するための保持または維持表面である。一連の内側ゾーン303aは、ランド307aによって画定される。リングゾーン303の少なくとも1つでは、チャック1118の表面から窪んだトレンチ1109が形成される。トレンチは、同心円状であってもよく、リングゾーンの対応するランドの間に配置されてもよい。内側リングゾーン303aに形成されたトレンチ1109aは、関連する内側リングゾーンの幅に対して、チャック1118の中心から遠位の位置に位置決めされる。対照的に、周辺リングゾーン303bに形成されたトレンチ1109bは、外側ゾーンリングの幅に対して基板チャック1118の中心に近接する領域に位置決めされる。すなわち、内側リングゾーン303aに形成されたトレンチ1109aは、対応する内側リングゾーン303aの外径に形成されており、一方、周囲リングゾーン303bに形成されたトレンチ1109bは、周囲ゾーン303bの内径に形成されている。
【0056】
動作において、トレンチ1109は、トレンチの遠位側のランドにスーパーストレート間のギャップが存在してもスーパーストレートに作用し続ける高真空圧力の均一な供給源を提供するバッファとして作用する。このようにして、真空の逐次的な外向き半径方向の解放、および、中央ゾーンと隣接するリングゾーンとへの正圧の適用は、制御された方法で続行されうる。即ち、遠位ランドにギャップを生成するのに十分にスーパーストレートを撓ませることができる量で、隣接する内側ゾーンに正圧が加えられたとしても、所与のリングゾーン内に加えられた真空圧力を維持することができる。言い換えれば、トレンチ1109を設けることにより、意図するプロセスを中断することなく、いくらかの漏れを許容することができる。同様に、より小さな外側ランドの高さを有する周囲リングゾーン内に位置するトレンチ1109bは、外側ランドに小さなギャップが存在する場合でも、外側リングゾーン内で適切な真空圧力を維持するように動作する。これにより、多少の漏洩があっても、堆積された成形可能材料の液滴の最終的な拡がりおよび合併(
図4d参照)と、分離クラックの発生および伝搬(
図6参照)との両方のために、スーパーストレートの外周を所望の曲率に保持することが可能になる。
【0057】
図12は、例示的なトレンチ構造1109bの拡大断面図である。所望の真空緩衝性能を達成するために必要なリングゾーン内の特定のトレンチ寸法および関連する位置は、スーパーストレートチャックのランド高さおよびリングゾーン幅に依存する。
図12に示される例では、トレンチ1109bがリングゾーン303b内に位置し、チャック表面から窪んでいる。この例では、外側ランド307bは、内側ランド307aの高さh
2より低い高さh
1を有する。典型的な使用において、ランド高さの差は、約5ミクロン~約50ミクロンの範囲でありうる。リングゾーン303bは、幅dを有する。トレンチ1109bは、ランド307bから距離d
1のところに第1のエッジがあり、ランド307aから距離d
2のところに第2のエッジがあるように配置される。トレンチ1109bは、深さh
3および幅d
3を有する。この実施形態では、これらのパラメータの関係が以下の条件を満たす:
h
1<h
2
h
3>10h
2
d
3<0.5d
d
1>d
2+d
3
トレンチ1109bを圧力供給源(図示せず)に接続するポート305は、トレンチと交差するか、さもなければトレンチ内に配置される。ポートがトレンチと交差しない場合、必要な高圧を維持することができず、トレンチは無効になる。上記実施形態では、外側ランドh
1は、漏れの発生が予想される場所である。内側リングトレンチ1109bの場合、ランド高さは同じ、即ちh
1=h
2とすることができる。この場合、距離d
1は、漏れが予想される指定のランド(即ち、h
1またはh
2)から測定される。例えば、
図11aおよび
図11bの実施形態では、内側リングゾーン303aは、
図4~5に関連するプロセスで説明したように、リングゾーンの逐次的な真空解放およびその後の加圧中の内側ランドでの漏れに対して緩和するために、それらのそれぞれのリングゾーンの外側ランド(チャック中心から半径方向に測定されるように)により近い位置に配置されたトレンチ1109aを含む。
【0058】
様々な態様の更なる修正および代替の実施形態は、この説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。本明細書で示され、説明される形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることが理解されるべきである。要素および材料は本明細書に図示され、説明されたものと置き換えることができ、部品およびプロセスは逆にすることができ、特定の特徴は独立して利用することができ、すべて、この説明の恩恵を受けた後に当業者には明らかになるのであろう。