(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】閾値電圧の検出方法、検出装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20240917BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240917BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240917BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240917BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 624B
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H10K59/12
(21)【出願番号】P 2021577048
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2021140624
(87)【国際公開番号】W WO2023108778
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】202111555328.6
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 維
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-503553(JP,A)
【文献】特開2011-002605(JP,A)
【文献】特開2010-008718(JP,A)
【文献】特開2008-310128(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112562557(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106097943(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
G09F 9/30
H10K 59/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートが第1ノードに電気的に接続され、ソース
が第1電源に電気的に接続され、
ドレイン
が第2ノードに電気的に接続される駆動トランジスタと、ゲートが走査線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が前記第1ノードに電気的に接続される第1トランジスタと、ゲートが制御線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が前記第2ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインに電気的に接続される第2トランジスタと、第1端子が前記第1ノードに電気的に接続され、第2端子が前記第2ノードに電気的に接続されるコンデンサと、発光素子と、を含む画素を提供するステップS1と、
前記駆動トランジスタがオンになるように前記第1ノードの電圧を初期化
し、1回目において、前記第1ノードを初期化する場合、前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線が所定のゲート電圧を前記第1ノードに供給し、前記制御線が前記第2トランジスタがオンになるように検出制御信号を供給し、前記サンプリングラインが所定のドレイン電圧を前記第2ノードに供給するステップS2と、
前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、かつ所定の時間が経過した後、前記第2ノードの電圧を検出するステップS3と、
前記第2ノードの電圧及び所定の電圧に基づいて初期閾値電圧を取得
し、前記所定の電圧は、前記所定のドレイン電圧よりも大きく、かつ、前記所定のゲート電圧と前記所定のドレイン電圧との差は、前記駆動トランジスタの閾値電圧よりも大きいステップS4と、
前記第2ノードの電圧と前記所定の電圧とを比較し、前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しい場合、前記初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得
し、複数の前記初期閾値電圧を取得し、かつ複数の前記初期閾値電圧に対して加算演算を行って、目標閾値電圧を取得し、前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しくない場合、前記ステップS2に戻るステップS5と、を含む、
閾値電圧の検出方法。
【請求項2】
n回目において、前記第1ノードを初期化する場合、前記ステップS2は、
前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線がVdata
n=Vdata
n-1+Vth
n-1を満たすように初期ゲート電圧を前記第1ノードに供給するステップを含み、
ここで、nは、初期化の回数を表し、Vdata
nは、n回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vdata
n-1は、n-1回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vth
n-1は、n-1回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、nは、1よりも大きい整数である、
請求項
1に記載の閾値電圧の検出方法。
【請求項3】
前記ステップS3は、
前記第1トランジスタがオフになるように制御し、前記第2トランジスタがオンになるように制御し、前記サンプリングラインがフローティング状態にあるように制御して、前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持するステップと、
所定の時間が経過した後、前記サンプリングラインにより前記第2ノードの電圧を検出するステップと、を含む、
請求項
1に記載の閾値電圧の検出方法。
【請求項4】
前記ステップS4は、
初期閾値電圧Vth
n=(Vtrg-Vs
n)×kを算出するステップを含み、
ここで、Vtrgは、前記所定の電圧を表し、Vs
nは、n回目において、前記第2ノードを検出する時の前記第2ノードの電圧を表し、Vth
nは、n回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、kは、定数であり、nは、0よりも大きい整数である、
請求項
1に記載の閾値電圧の検出方法。
【請求項5】
前記kの値は、0~1である、
請求項
4に記載の閾値電圧の検出方法。
【請求項6】
異なる前記画素の目標閾値電圧間の差に基づいて、異なる前記画素の閾値電圧間の差異情報の値を取得するステップをさらに含む、
請求項1に記載の閾値電圧の検出方法。
【請求項7】
ゲートが第1ノードに電気的に接続され、ソース
が第1電源に電気的に接続され、
ドレイン
が第2ノードに電気的に接続される駆動トランジスタと、ゲートが走査線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が前記第1ノードに電気的に接続される第1トランジスタと、ゲートが制御線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が前記第2ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインに電気的に接続される第2トランジスタと、第1端子が前記第1ノードに電気的に接続され、第2端子が前記第2ノードに電気的に接続されるコンデンサと、発光素子と、を含む画素と、
前記駆動トランジスタがオンになるように前記第1ノードの電圧を初期化
し、1回目において、前記第1ノードを初期化する場合、前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線が所定のゲート電圧を前記第1ノードに供給し、前記制御線が前記第2トランジスタがオンになるように検出制御信号を供給し、前記サンプリングラインが所定のドレイン電圧を前記第2ノードに供給する初期化モジュールと、
前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、かつ所定の時間が経過した後、前記第2ノードの電圧を検出する検出モジュールと、
前記第2ノードの電圧及び所定の電圧に基づいて初期閾値電圧を取得
し、前記所定の電圧は、前記所定のドレイン電圧よりも大きく、かつ、前記所定のゲート電圧と前記所定のドレイン電圧との差は、前記駆動トランジスタの閾値電圧よりも大きい取得モジュールと、
前記第2ノードの電圧と前記所定の電圧とを比較する比較モジュールと、
前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しい場合、前記初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得
し、複数の前記初期閾値電圧を取得し、かつ複数の前記初期閾値電圧に対して加算演算を行って、目標閾値電圧を取得する計算モジュールと、
前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しくない場合、前記駆動トランジスタがオンになるように前記初期化モジュールに前記第1ノードの電圧を引き続き初期化させる戻りモジュールと、を含む、
閾値電圧の検出装置。
【請求項8】
n回目において、前記第1ノードを初期化する場合、前記初期化モジュールは、
前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線がVdata
n=Vdata
n-1+Vth
n-1を満たすように初期ゲート電圧を前記第1ノードに供給するために用いられ、
ここで、nは、初期化の回数を表し、Vdata
nは、n回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vdata
n-1は、n-1回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vth
n-1は、n-1回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、nは、1よりも大きい整数である、
請求項
7に記載の閾値電圧の検出装置。
【請求項9】
前記検出モジュールは、
前記第1トランジスタがオフになるように制御し、前記第2トランジスタがオンになるように制御し、前記サンプリングラインがフローティング状態にあるように制御して、前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、
所定の時間が経過した後、前記サンプリングラインにより前記第2ノードの電圧を検出するために用いられる、
請求項
7に記載の閾値電圧の検出装置。
【請求項10】
前記取得モジュールは、
初期閾値電圧Vth
n=(Vtrg-Vs
n)×kを算出するために用いられ、
ここで、Vtrgは、前記所定の電圧を表し、Vs
nは、n回目において、前記第2ノードを検出する時の前記第2ノードの電圧を表し、Vth
nは、n回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、kは、定数であり、nは、0よりも大きい整数である、
請求項
7に記載の閾値電圧の検出装置。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載の閾値電圧の検出装置を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示の技術分野に関し、具体的には、閾値電圧の検出方法、検出装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード表示装置は、駆動方式によって、パッシブマトリクス型とアクティブマトリクス型の2種類、即ち、直接アドレシングと薄膜トランジスタマトリクスアドレシングの2種類に大別されている。アクティブマトリクス型の駆動方式では、画素駆動回路には、有機発光ダイオードが発光するように駆動する駆動トランジスタが設けられる。駆動トランジスタが飽和領域で動作するため、駆動トランジスタを流れる電流の大きさは、駆動トランジスタ自体の閾値電圧及び移動度の影響を受けることがある。したがって、有機発光ダイオード表示装置の表示輝度の均一性を保証するために、異なるサブ画素間の閾値電圧の差異及び移動度の差異を補償する必要がある。
【0003】
従来の閾値電圧の検出方式は、駆動トランジスタに初期Vgs(ゲートソース間電圧)を設定し、ソースホロワ方式で駆動トランジスタのゲート電圧を変化しないように保持し、Vgs=Vth(駆動トランジスタの閾値電圧)状態になるように駆動トランジスタのソース電圧を上昇させ、駆動トランジスタを流れる電流の大きさがゼロに近いようにし、この状態での駆動トランジスタのソース電圧をサンプリングし、駆動トランジスタの閾値電圧を計算し、算出した閾値電圧を表示時のデータ電圧に重畳して、閾値電圧の差異の補償を実現し、閾値電圧の差異による表示輝度の不均一性を解消することである。
【0004】
しかしながら、検出中にVgsの低下、検出回路の寄生容量が単一のサブ画素の蓄積容量よりもはるかに大きくなることに伴い、駆動トランジスタのソース電圧の上昇がますます遅くなり、サブ画素の駆動トランジスタの閾値電圧を完全に検出するには、非常に長い時間が必要となる。これは、工場の生産能力及び検出装置の投入に大きな影響を与え、また、閾値電圧の検出が黒画面のみで行われるため、ユーザが電源を投入する前又は電源を遮断した後のスタンバイ時間が長くなり、ユーザの使用体験に大きな影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、駆動トランジスタの閾値電圧の検出時間を短縮することにより、駆動トランジスタの閾値電圧の検出効率を向上させ、ユーザの使用体験を向上させることができる閾値電圧の検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様において、本願によれば、
ゲートが第1ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第1電源に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第2ノードに電気的に接続される駆動トランジスタと、ゲートが走査線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が前記第1ノードに電気的に接続される第1トランジスタと、ゲートが制御線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が前記第2ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインに電気的に接続される第2トランジスタと、第1端子が前記第1ノードに電気的に接続され、第2端子が前記第2ノードに電気的に接続されるコンデンサと、発光素子と、を含む画素を提供するステップS1と、
前記駆動トランジスタがオンになるように前記第1ノードの電圧を初期化するステップS2と、
前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、かつ、所定の時間が経過した後、前記第2ノードの電圧を検出するステップS3と、
前記第2ノードの電圧及び所定の電圧に基づいて初期閾値電圧を取得するステップS4と、
前記第2ノードの電圧と前記所定の電圧とを比較し、前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しい場合、前記初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得するステップS5と、を含む閾値電圧の検出方法が提供される。
【0007】
本願に係る閾値電圧の検出方法は、前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しくない場合、前記ステップS2に戻る。
【0008】
本願に係る閾値電圧の検出方法において、前記ステップS2は、前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線がVdatan=Vdatan-1+Vthn-1を満たすように初期ゲート電圧を前記第1ノードに供給するステップを含み、
ここで、nは、初期化の回数を表し、Vdatanは、n回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vdatan-1は、n-1回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vthn-1は、n-1回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、nは、1よりも大きい整数である。
【0009】
本願に係る閾値電圧の検出方法において、1回目において、前記第1ノードを初期化する場合、前記ステップS2は、前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線が所定のゲート電圧を前記第1ノードに供給するステップと、前記制御線が前記第2トランジスタがオンになるように検出制御信号を供給し、前記サンプリングラインが所定のドレイン電圧を前記第2ノードに供給するステップと、を含む。
【0010】
本願に係る閾値電圧の検出方法において、前記所定の電圧は、前記所定のドレイン電圧よりも大きく、かつ、前記所定のゲート電圧と前記所定のドレイン電圧との差は、前記駆動トランジスタの閾値電圧よりも大きい。
【0011】
本願に係る閾値電圧の検出方法において、前記ステップS3は、前記第1トランジスタがオフになるように制御し、前記第2トランジスタがオンになるように制御し、前記サンプリングラインがフローティング状態にあるように制御して、前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持するステップと、所定の時間が経過した後、前記サンプリングラインにより前記第2ノードの電圧を検出するステップと、を含む。
【0012】
本願に係る閾値電圧の検出方法において、前記ステップS4は、初期閾値電圧Vthn=(Vtrg-Vsn)×kを算出するステップを含み、ここで、Vtrgは、前記所定の電圧を表し、Vsnは、n回目において、前記第2ノードを検出する時の前記第2ノードの電圧を表し、Vthnは、n回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、kは、定数であり、nは、0よりも大きい整数である。
【0013】
本願に係る閾値電圧の検出方法において、前記kの値は、0~1であることを特徴とする。
【0014】
本願に係る閾値電圧の検出方法において、前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しい場合、前記初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得するステップは、複数の前記初期閾値電圧を取得し、かつ複数の前記初期閾値電圧に対して加算演算を行って、目標閾値電圧を取得するステップを含む。
【0015】
本願に係る閾値電圧の検出方法は、異なる前記画素の目標閾値電圧間の差に基づいて、異なる前記画素の閾値電圧間の差異を取得するステップをさらに含む。
【0016】
第2態様において、本願によれば、
ゲートが第1ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第1電源に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第2ノードに電気的に接続される駆動トランジスタと、ゲートが走査線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が前記第1ノードに電気的に接続される第1トランジスタと、ゲートが制御線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が前記第2ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインに電気的に接続される第2トランジスタと、第1端子が前記第1ノードに電気的に接続され、第2端子が前記第2ノードに電気的に接続されるコンデンサと、発光素子と、を含む画素と、
前記駆動トランジスタがオンになるように前記第1ノードの電圧を初期化する初期化モジュールと、
前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、かつ、所定の時間が経過した後、前記第2ノードの電圧を検出する検出モジュールと、
前記第2ノードの電圧及び所定の電圧に基づいて初期閾値電圧を取得する取得モジュールと、
前記第2ノードの電圧と前記所定の電圧とを比較する比較モジュールと、
前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しい場合、前記初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得する計算モジュールと、を含む閾値電圧の検出装置が提供される。
【0017】
本願に係る閾値電圧の検出装置は、前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しくない場合、前記駆動トランジスタがオンになるように前記初期化モジュールに前記第1ノードの電圧を引き続き初期化させる戻りモジュールをさらに含む。
【0018】
本願に係る閾値電圧の検出装置において、前記初期化モジュールは、前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線がVdatan=Vdatan-1+Vthn-1を満たすように初期ゲート電圧を前記第1ノードに供給するために用いられ、
ここで、nは、初期化の回数を表し、Vdatanは、n回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vdatan-1は、n-1回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vthn-1は、n-1回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、nは、1よりも大きい整数である。
【0019】
本願に係る閾値電圧の検出装置において、前記検出モジュールは、前記第1トランジスタがオフになるように制御し、前記第2トランジスタがオンになるように制御し、前記サンプリングラインがフローティング状態にあるように制御して、前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、所定の時間が経過した後、前記サンプリングラインにより前記第2ノードの電圧を検出するために用いられる。
【0020】
本願に係る閾値電圧の検出装置において、前記取得モジュールは、初期閾値電圧Vthn=(Vtrg-Vsn)×kを算出するために用いられ、ここで、Vtrgは、前記所定の電圧を表し、Vsnは、n回目において、前記第2ノードを検出する時の前記第2ノードの電圧を表し、Vthnは、n回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、kは、定数であり、nは、0よりも大きい整数である。
【0021】
第3態様において、本願によれば、閾値電圧の検出装置を備える表示装置であって、前記閾値電圧の検出装置は、
ゲートが第1ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第1電源に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第2ノードに電気的に接続される駆動トランジスタと、ゲートが走査線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が前記第1ノードに電気的に接続される第1トランジスタと、ゲートが制御線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が前記第2ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインに電気的に接続される第2トランジスタと、第1端子が前記第1ノードに電気的に接続され、第2端子が前記第2ノードに電気的に接続されるコンデンサと、発光素子と、を含む画素と、
前記駆動トランジスタがオンになるように前記第1ノードの電圧を初期化する初期化モジュールと、
前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、かつ所定の時間が経過した後、前記第2ノードの電圧を検出する検出モジュールと、
前記第2ノードの電圧及び所定の電圧に基づいて初期閾値電圧を取得する取得モジュールと、
前記第2ノードの電圧と前記所定の電圧とを比較する比較モジュールと、
前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しい場合、前記初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得する計算モジュールと、を含む表示装置が提供される。
【0022】
本願に係る表示装置において、前記閾値電圧の検出装置は、前記第2ノードの電圧が前記所定の電圧と等しくない場合、前記駆動トランジスタがオンになるように前記初期化モジュールに前記第1ノードの電圧を引き続き初期化させる戻りモジュールをさらに含む。
【0023】
本願に係る表示装置において、前記初期化モジュールは、前記走査線が前記第1トランジスタがオンになるように走査信号を供給し、前記データ線がVdatan=Vdatan-1+Vthn-1を満たすように初期ゲート電圧を前記第1ノードに供給するために用いられ、
ここで、nは、初期化の回数を表し、Vdatanは、n回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vdatan-1は、n-1回目において、前記第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vthn-1は、n-1回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、nは、1よりも大きい整数である。
【0024】
本願に係る表示装置において、前記検出モジュールは、前記第1トランジスタがオフになるように制御し、前記第2トランジスタがオンになるように制御し、前記サンプリングラインがフローティング状態にあるように制御して、前記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、所定の時間が経過した後、前記サンプリングラインにより前記第2ノードの電圧を検出するために用いられる。
【0025】
本願に係る表示装置において、前記取得モジュールは、初期閾値電圧Vthn=(Vtrg-Vsn)×kを算出するために用いられ、ここで、Vtrgは、前記所定の電圧を表し、Vsnは、n回目において、前記第2ノードを検出する時の前記第2ノードの電圧を表し、Vthnは、n回目において、前記第2ノードの電圧を検出する時の前記初期閾値電圧を表し、kは、定数であり、nは、0よりも大きい整数である。
【発明の効果】
【0026】
本願に係る閾値電圧の検出方法は、新しい検出時系列により、検出中に駆動トランジスタを流れる駆動電流が一定であることを実現し、その後に、繰り返し方式で、駆動トランジスタのドレインの電圧を複数回繰り返した後、検出時間内に所定の電圧まで上昇させることにより、目標閾値電圧を取得する。このような方法では、駆動トランジスタを流れる駆動電流は、従来のソースホロワ検出方法のように時間とともに減少することがなく、かつ検出時間及び所定の電圧により電流の大きさを制御できるため、検出中に検出回路への充電速度が速く、駆動トランジスタの目標閾値電圧の検出効率を向上させ、ユーザの使用体験を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願の実施例に係る閾値電圧の検出方法のフローチャートである。
【
図2】本願の実施例に係る画素の等価回路の概略図である。
【
図3】
図2に示す画素の等価回路の概略時系列図である。
【
図4】本願の実施例に係る2分法の繰り返し計算を説明する概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る2分法の繰り返し計算と一般的な繰り返し計算との比較の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0029】
また、本願の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」などは、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序を説明するためのものではない。用語「含む」、「備える」及びそれらの何らかの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願に用いられるトランジスタは、ソースとドレインが対称であるため、ソースとドレインを互いに変換することができる。図面における形態に応じて、トランジスタの中間端子をゲート、信号入力端子をソース、信号出力端子をドレインとして規定する。
【0030】
図1は、本願の実施例に係る閾値電圧の検出方法のフローチャートである。
図1に示すように、本願の実施例に係る閾値電圧の検出方法は、以下のステップS1~S5を含む。
【0031】
ステップS1では、ゲートが第1ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第1電源に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第2ノードに電気的に接続される駆動トランジスタと、ゲートが走査線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第1ノードに電気的に接続される第1トランジスタと、ゲートが制御線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第2ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインに電気的に接続される第2トランジスタと、第1端子が第1ノードに電気的に接続され、第2端子が第2ノードに電気的に接続されるコンデンサと、発光素子と、を含む画素を提供する。
【0032】
なお、本願の実施例に係る画素は、例示的なものに過ぎず、当業者が具体的な必要に応じて画素を設定することができる。つまり、本願の実施例に係る画素は、上述した部品を含むだけではなく、他の部品をさらに含んでもよい。例えば、発光素子に対する発光制御をさらに向上させるために、第1電源と駆動トランジスタの間にトランジスタを設け、及び/又は、第2ノードと発光素子の間にトランジスタを設けてもよい。
【0033】
駆動トランジスタは、駆動トランジスタ及び発光素子を流れる駆動電流を制御する。第1トランジスタは、走査線によって供給された走査信号の制御下で、データ線によって供給された電圧を第1ノード(駆動トランジスタのゲート)に供給する。第2トランジスタは、制御線によって供給された制御信号の制御下で、サンプリングラインによって供給された電圧を第2ノード(駆動トランジスタのドレイン)に供給し、また、第2トランジスタは、制御線によって供給された制御信号の制御下で、サンプリングラインに電気的に接続された第2ノードを検出する。発光素子は、有機発光層を含む有機発光ダイオードであってもよく、無機材料で形成された無機発光素子であってもよい。
【0034】
他の実施例において、駆動トランジスタ、第1トランジスタ及び第2トランジスタは、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ、酸化物半導体薄膜トランジスタ又は非晶質シリコン薄膜トランジスタのうちの1種又は複数種であってよい。異なるタイプのトランジスタ間の異質性による画素への影響を回避するために、本願の実施例に係る画素のトランジスタは同じタイプのトランジスタであってもよい。
【0035】
本願の実施例に係る閾値電圧の検出方法では、繰り返し操作(第1ノードの電圧に対する複数回の初期化、及び第2ノードの電圧に対する複数回の検出)と、新しい検出時系列を組み合わせて、第2ノードの電圧の定電流検出を実現することにより、検出効率を大幅に向上させることができる。
【0036】
具体的には、
図2、
図3に示すようである。
図2は、本願の実施例に係る画素の等価回路の概略図である。
図3は、
図2に示す画素の等価回路の概略時系列図である。
【0037】
図2に示すように、本願の実施例に係る画素は、駆動トランジスタDT、第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、コンデンサCst及び発光素子Dを含む。駆動トランジスタDTは、ゲートが第1ノードgに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第1電源ELVDDに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第2ノードsに電気的に接続される。第1トランジスタT1は、ゲートが走査線S1に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線DAに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第1ノードgに電気的に接続される。第2トランジスタT2は、ゲートが制御線S2に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第2ノードsに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインVSに電気的に接続され、サンプリングラインVSは、第1スイッチ素子Sampの第1端子に電気的に接続され、第1スイッチ素子Sampの第2端子は、検出源ADCに電気的に接続され、サンプリングラインVSは、第2スイッチ素子Spreの第1端子に電気的に接続され、第2スイッチ素子Spreの第2端子は、初期電源Vprerに電気的に接続され、コンデンサCstは、第1端子が第1ノードgに電気的に接続され、第2端子が第2ノードsに電気的に接続される。
【0038】
第1スイッチ素子Sampは、サンプリングラインVSと検出源ADCとの間の回路をオン又はオフにする。第2スイッチ素子Spreは、サンプリングラインVSと初期電源Vprerとの間の回路をオン又はオフにする。検出源ADCは、サンプリングラインVSの電圧を検出する。初期電源Vprerは、所定のドレイン電圧をサンプリングラインVSに提供する。
【0039】
図2、
図3に示すように、画素の駆動時系列は、複数の繰返し期間t1(t2)を含み、各繰返し期間t1(t2)は、いずれも初期化期間t11(t21)、所定の期間t12(t22)及び検出期間t13(t23)を含む。例えば、1回目に初期化し、第2ノードsの電圧を1回目に検出する場合、第1繰返し期間t1は、第1初期化期間t11、第1所定の期間t12及び第1検出期間t13を含み、2回目に初期化し、第2ノードの電圧を2回目に検出する場合、第2繰返し期間t2は、第2初期化期間t21、第2所定の期間t22及び第2検出期間t23を含む。
【0040】
具体的には、第1初期化期間t11において、走査線S1は、第1トランジスタT1がオンになるように走査信号を供給し、データ線DAによって提供された所定のゲート電圧が第1ノードgに供給されることにより、第1ノードgの電圧が所定のゲート電圧と等しくなり、それとともに、第1初期化期間t11において、制御線S2は、第2トランジスタT2がオンになるように制御信号を供給し、第1スイッチ素子Sampがオフになり、第2スイッチ素子Spreがオンになり、初期電源Vprerによって提供された所定のドレイン電圧が第2ノードsに供給されることにより、第2ノードsの電圧が所定のドレイン電圧と等しくなる。第1所定の期間t12において、走査線S1は、走査信号の供給を停止し、第1トランジスタT1がオフになることにより、第1ノードgがフローティング状態になり、それとともに、第1スイッチ素子Sampと第2スイッチ素子Spreがオフになり、制御線S2は、制御信号を引き続き供給し、第2トランジスタT2がオンになることにより、サンプリングラインVSがフローティング状態になり、このとき、駆動電流は、サンプリングラインVSを充電させて、第2ノードsの電圧を上昇させる。第1ノードgがフローティング状態になり、容量結合効果により、コンデンサCst両端の電位差が変化しないように保持され、つまり、第1ノードgと第2ノードsの間の電圧差が変化しないため、駆動トランジスタDTを流れる駆動電流が変化せず、定電流機能が実現される。第1検出期間t13において、制御線S2は、制御信号を引き続き供給し、第2トランジスタT2がオンになり、第1スイッチ素子Sampがオンになり、検出源ADCは、第2ノードsを検出する。
【0041】
具体的には、第2初期化期間t21において、走査線S1は、第1トランジスタT1がオンになるように走査信号を供給し、データ線DAによって提供された所定のゲート電圧が第1ノードgに供給されることにより、第1ノードgの電圧が所定のゲート電圧と等しくなるり、それとともに、第2初期化期間t21において、制御線S2は、第2トランジスタT2がオンになるように制御信号を供給し、第1スイッチ素子Sampがオフになり、第2スイッチ素子Spreがオンになるり、初期電源Vprerによって提供された所定のドレイン電圧が第2ノードsに供給されることにより、第2ノードsの電圧が所定のドレイン電圧と等しくなる。第2所定の期間t22において、走査線S1は、走査信号の供給を停止し、第1トランジスタT1がオフになることにより、第1ノードgがフローティング状態になり、それとともに、第1スイッチ素子Sampと第2スイッチ素子Spreがオフになり、制御線S2は、制御信号を引き続き供給し、第2トランジスタT2がオンになることにより、サンプリングラインVSがフローティング状態になり、このとき、駆動電流は、サンプリングラインVSを充電させて、第2ノードsの電圧を上昇させる。第1ノードgがフローティング状態になり、容量結合効果により、コンデンサCst両端の電位差が変化しないように保持され、つまり、第1ノードgと第2ノードsの間の電圧差が変化しないため、駆動トランジスタDTを流れる駆動電流が変化せず、定電流機能が実現される。第2検出期間t23において、制御線S2は、制御信号を引き続き供給し、第2トランジスタT2がオンになり、第1スイッチ素子Sampがオンになり、検出源ADCは、第2ノードsを検出する。
【0042】
ステップS2では、駆動トランジスタがオンになるように第1ノードの電圧を初期化する。
【0043】
本願の実施例において、第1ノードg及び第2ノードsを複数回初期化する必要がある。なお、第1ノードgの複数回の初期化は、連続的ではなく、第1ノードgを毎回初期化する値はいずれも異なり、第2ノードsの複数回の初期化は、連続的ではなく、第2ノードsを毎回初期化する値はいずれも同じである。例えば、第1ノードgを1回目に初期化した後、まず、他のステップを実行し、他のステップの実行を完了した後、第1ノードgを2回目に初期化してよく、第1ノードgの1回目の初期化後の電圧と、第1ノードgの2回目の初期化後の電圧とは等しくない。第2ノードsを1回目に初期化した後、まず、他のステップを実行し、他のステップの実行を完了した後、第2ノードsを2回目に初期化してよく、第2ノードsの1回目の初期化後の電圧と、第2ノードsの2回目の初期化後の電圧とは等しい。
【0044】
具体的には、1回目において、第1ノードgを初期化する場合、ステップS2は、走査線S1が第1トランジスタT1がオンになるように走査信号を供給し、データ線DAが所定のゲート電圧を第1ノードgに供給するステップと、制御線S2が第2トランジスタT2がオンになるように制御信号を供給し、サンプリングラインVSが所定のドレイン電圧を第2ノードsに供給するステップと、を含む。n回目において、第1ノードgを初期化する場合、ステップS2は、走査線S1は第1トランジスタT1がオンになるように走査信号を供給し、データ線DAが初期ゲート電圧を第1ノードgに供給するステップを含み、ここで、Vdatan=Vdatan-1+Vthn-1、nは、初期化の回数を表し、Vdatanは、n回目において、第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vdatan-1は、n-1回目において、第1ノードを初期化する時の初期ゲート電圧を表し、Vthn-1は、n-1回目において、第2ノードの電圧を検出する時の初期閾値電圧を表し、nは、1よりも大きい整数である。
【0045】
本願の実施例において、第1ノードgの1回目の初期化後の電圧は、所定のゲート電圧であり、所定のゲート電圧は必要に応じて設定することができる。第1ノードgのn回目の初期化後の電圧は、以上の等式に基づいて算出することができる。第2ノードsの初期化後の第2ノードsの電圧は、所定のドレイン電圧と等しく、所定のドレイン電圧は必要に応じて設定することができる。
【0046】
本願の実施例において、所定のゲート電圧と所定のドレイン電圧との差は、駆動トランジスタDTの閾値電圧よりも大きく、初期ゲート電圧と所定のドレイン電圧との差は、駆動トランジスタDTの閾値電圧よりも大きく、第1ノードgと第2ノードsが初期化されると、駆動トランジスタDTがオンになることができる。
【0047】
ステップS3では、駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、かつ、所定の時間が経過した後、第2ノードの電圧を検出する。
【0048】
本願の実施例において、第2ノードsの電圧を複数回検出する必要がある。なお、第2ノードsの電圧の複数回の検出は、連続的ではない。例えば、第2ノードsの電圧を1回目に検出した後、まず、他のステップを実行し、他のステップの実行を完了した後、第2ノードsの電圧を2回目に検出してよい。
【0049】
具体的には、ステップS3は、具体的には、第1トランジスタT1がオフになるように制御し、第2トランジスタT2がオンになるように制御し、サンプリングラインVSがフローティング状態にあるように制御することにより、駆動トランジスタDTを流れる駆動電流を変化しないように保持するステップと、所定の時間が経過した後、サンプリングラインVSにより第2ノードsの電圧を検出するステップと、を含む。第1トランジスタT1がオフになるため、第1ノードgがフローティング状態になり、第2トランジスタT2がオンになり、サンプリングラインVSがフローティング状態になり、このとき、駆動電流は、サンプリングラインVSを充電させて、第2ノードsの電圧を上昇させる。第1ノードgがフローティング状態になり、容量結合効果により、コンデンサCst両端の電位差が変化しないように保持され、つまり、第1ノードgと第2ノードsの間の電圧差が変化しないため、駆動トランジスタDTを流れる駆動電流が変化せず、定電流機能が実現される。
【0050】
ステップS4では、第2ノードの電圧及び所定の電圧に基づいて初期閾値電圧を取得する。
【0051】
本願の実施例において、複数の初期閾値電圧を取得する必要がある。例えば、第2ノードsの電圧を1回目に検出した後、第2ノードsの1回目の検出後の電圧及び所定の電圧に基づいて第1初期閾値電圧を取得し、第2ノードsの電圧を2回目に検出した後、第2ノードsの2回目の検出後の電圧及び所定の電圧に基づいて第2初期閾値電圧を取得する。
【0052】
具体的には、ステップS4は、初期閾値電圧Vthn=(Vtrg-Vsn)×kを算出するステップを含み、ここで、Vtrgは、所定の電圧を表し、Vsnは、n回目において、第2ノードを検出する時の上記第2ノードの電圧を表し、Vthnは、n回目において、上記第2ノードの電圧を検出する時の初期閾値電圧を表し、kは、定数であり、nは、0よりも大きい整数である。
【0053】
なお、本願の実施例において、駆動トランジスタDTを流れる駆動電流の定電流特性により、検出条件及び駆動トランジスタDT自体の特性が一定の条件を満たす場合、繰り返して検出した第2ノードsの電圧が所定の電圧に対して上下に変動して、収束できないか、又は所定の電圧に収束する第2ノードSの電圧を検出するためにより多くの繰り返し回数を必要とすることを引き起こす。これにより、本願の実施例は、2分法を利用して、検出効率のさらなる向上、及び検出効果が収束しないという状況の改善を実現する。具体的には、以下のとおりである。
【0054】
図4は、本願の実施例に係る2分法による繰り返し計算を説明する概略図である。
図4に示すように、第2ノードSに対する電圧繰り返し検出に伴い、各電圧関係が一定の条件を満たす場合、各回繰り返し検出した第2ノードSの電圧は、所定の電圧に対して上下に変動する。このとき、各電圧関係は、下式を満たす。
【0055】
【0056】
上記等式の関係を満たす場合、引き続き第2ノードsの電圧を繰り返し検出すれば、所定の電圧に収束しにくくなり、あるいは、このような関係に近いほど、収束速度が遅くなる。この状況を回避し、かつ繰り返しの完了を加速するために、計算プロセスを変更して物理的条件のバランス状態を崩す(即ち、上記等式を満たさないようにする)必要があるため、2分法により係数項kを導入する。
【0057】
2分法の数学的定義は、以下のとおりである。区間[a,b]において連続すると共にf(a)×f(b)<0を満たす関数y=f(x)に対して、関数f(x)の零点の位置する区間を2つの部分に連続的に分割することにより、区間の両端点を零点に徐々に接近させ、さらに零点の近似値を求める方法は2分法と呼ばれる。2分法により、Vs=Vtrgの場合、関数の零点となり、この場合のVg電圧は求めるべき解であり、連続的な繰り返しプロセスは、解の区間を徐々に狭めるプロセスであり、狭める方式は、Vgn-1に各回繰り返し計算したVthnを累加することであり、Vthnに係数k(0<k<1)を乗算すると、Vgn=Vgn-1+Vthnのため、係数kによりVthnの値を変更することはVgnの値を変更することになり、Vgnの値を連続して変更すると、等式のバランスを崩すため、真の解に接近することを実現することができる。
【0058】
つまり、本願の実施例において、kの値は、0~1である。kの値は、繰り返し収束の速度に直接関連し、小さすぎても大きすぎても、繰り返し回数を増加させる。
【0059】
他の実施例において、kの値は、0.4、0.5、0.6、0.7であってよい。
【0060】
例えば、
図5に示すようである。
図5は、本願の実施例に係る2分法の繰り返し計算と一般的な繰り返し計算との比較の概略図である。
図5に示すように、所定の電圧が2.5Vである場合、一般的な繰り返し計算に比べて、2分法を用いる繰り返し計算は、繰り返し収束を加速することができ、所定の電圧が4Vである場合、一般的な繰り返し計算に比べて、2分法を用いる繰り返し計算は、繰り返しの収束しない異常を解決することができる。つまり、本願の実施例において、kの値及び所定の電圧の値を設定することにより、さらに繰り返しの収束しないという問題を解決することができる。一実施形態において、kの値は、0.5であり、所定の電圧の値は、2.5Vである。別の実施形態において、kの値は、0.5であり、所定の電圧の値は、4Vである。
【0061】
本願の実施例において、所定の電圧は、所定のドレイン電圧よりも大きいため、検出中に駆動トランジスタを流れる駆動電流の大きさを特定することができ、所定の電圧及び駆動電流が大きければ大きいほど、サンプリングラインの充電速度が速くなるため、検出する所定の期間を短縮し、さらに検出効率を向上させることができる。
【0062】
ステップS5では、第2ノードの電圧と所定の電圧とを比較し、第2ノードの電圧が所定の電圧と等しい場合、初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得する。
【0063】
さらに、当該閾値電圧の検出方法は、第2ノードの電圧が所定の電圧と等しくない場合、ステップS2に戻る。
【0064】
第2ノードSの電圧と所定の電圧とを比較し、第2ノードSの電圧が所定の電圧と等しくない場合、ステップS2に戻る。つまり、本願の実施例に係る閾値電圧の検出方法では、まず、ステップS1を実行し、次にステップS2を実行し、次にステップS3を実行し、次にステップS4を実行し、第2ノードの電圧が所定の電圧と等しくない場合、第2ノードの電圧が所定の電圧と等しくなるまで引き続きステップS2、ステップS3及びステップS4を実行し、その後に、初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得する。
【0065】
具体的には、第2ノードSの電圧が所定の電圧と等しい場合、初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得するステップは、具体的には、複数の初期閾値電圧を取得し、かつ複数の初期閾値電圧に加算演算を行って、目標閾値電圧を取得するステップを含む。
【0066】
本願に係る閾値電圧の検出方法は、新しい検出時系列により、検出中に駆動トランジスタを流れる駆動電流が一定であることを実現し、その後に、繰り返し方式で、駆動トランジスタのドレインの電圧を複数回繰り返した後、検出時間内に所定の電圧まで上昇させることにより、目標閾値電圧を取得する。このような方法では、駆動トランジスタを流れる駆動電流は、従来のソースホロワ検出方法のように時間とともに減少することがなく、かつ検出時間及び所定の電圧により電流の大きさを制御できるため、検出中に検出回路への充電速度が速く、駆動トランジスタの目標閾値電圧の検出効率を向上させ、ユーザの使用体験を向上させることができる。
【0067】
さらに、本願の実施例に係る閾値電圧の検出方法は、異なる画素の目標閾値電圧間の差に基づいて、異なる画素の閾値電圧間の差異情報の値を取得するステップをさらに含む。
【0068】
なお、算出した目標閾値電圧は、駆動トランジスタの真の閾値電圧ではなく、異なる駆動トランジスタの真の閾値電圧の差異情報を含む値であり、真の閾値電圧ではないが、補償で閾値電圧の差異をなくすことができるため、同様に表示の不均一性を解消するという目的を達成することができる。
【0069】
本願に係る閾値電圧の検出方法は、新しい検出時系列により、検出中に駆動トランジスタを流れる駆動電流が一定であることを実現し、その後に、繰り返し方式で、駆動トランジスタのドレインの電圧を複数回繰り返した後、検出時間内に所定の電圧まで上昇させることにより、目標閾値電圧を取得する。このような方法では、駆動トランジスタを流れる駆動電流は、従来のソースホロワ検出方法のように時間とともに減少することがなく、かつ検出時間及び所定の電圧により電流の大きさを制御できるため、検出中に検出回路への充電速度が速く、駆動トランジスタの目標閾値電圧の検出効率を向上させ、ユーザの使用体験を向上させることができ、また、補償で閾値電圧の差異をなくして、表示の不均一性を解消するという目的を達成することができる。
【0070】
本願の実施例に係る閾値電圧の検出装置は、
ゲートが第1ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が第1電源に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が第2ノードに電気的に接続される駆動トランジスタと、ゲートが走査線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方がデータ線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方が上記第1ノードに電気的に接続される第1トランジスタと、ゲートが制御線に電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの一方が上記第2ノードに電気的に接続され、ソース及びドレインのうちの他方がサンプリングラインに電気的に接続される第2トランジスタと、第1端子が前記第1ノードに電気的に接続され、第2端子が前記第2ノードに電気的に接続されるコンデンサと、発光素子と、を含む画素と、
上記駆動トランジスタがオンになるように上記第1ノードの電圧を初期化する初期化モジュールと、
上記駆動トランジスタを流れる駆動電流を変化しないように保持し、かつ所定の時間が経過した後、上記第2ノードの電圧を検出する検出モジュールと、
上記第2ノードの電圧及び所定の電圧に基づいて初期閾値電圧を取得する取得モジュールと、
上記第2ノードの電圧と上記所定の電圧とを比較する比較モジュールと、
上記第2ノードの電圧が上記所定の電圧と等しくない場合、上記駆動トランジスタがオンになるように上記初期化モジュールに上記第1ノードの電圧を引き続き初期化させる戻りモジュールと、
上記第2ノードの電圧が上記所定の電圧と等しい場合、上記初期閾値電圧に基づいて目標閾値電圧を取得する計算モジュールと、を含む。
【0071】
なお、本願に係る閾値電圧の検出装置は、上述した閾値電圧の検出方法を採用し、詳細については、以上の説明を参照すればよく、ここでは説明を省略する。
【0072】
本願に係る閾値電圧の検出装置は、新しい検出時系列により、検出中に駆動トランジスタを流れる駆動電流が一定であることを実現し、その後に、繰り返し方式で、駆動トランジスタのドレインの電圧を複数回繰り返した後、検出時間内に所定の電圧まで上昇させることにより、目標閾値電圧を取得する。このような方法では、駆動トランジスタを流れる駆動電流は、従来のソースホロワ検出方法のように時間とともに減少することがなく、かつ検出時間及び所定の電圧により電流の大きさを制御できるため、検出中に検出回路への充電速度が速く、駆動トランジスタの目標閾値電圧の検出効率を向上させ、ユーザの使用体験を向上させることができ、また、補償で閾値電圧の差異をなくして、表示の不均一性を解消するという目的を達成することができる。
【0073】
本願の実施例に係る表示装置は、上述した閾値電圧の検出装置を含み、詳細については、以上の説明を参照すればよく、ここでは説明を省略する。
【0074】
本願に係る表示装置は、新しい検出時系列により、検出中に駆動トランジスタを流れる駆動電流が一定であることを実現し、その後に、繰り返し方式で、駆動トランジスタのドレインの電圧を複数回繰り返した後、検出時間内に所定の電圧まで上昇させることにより、目標閾値電圧を取得する。このような方法では、駆動トランジスタを流れる駆動電流は、従来のソースホロワ検出方法のように時間とともに減少することがなく、かつ検出時間及び所定の電圧により電流の大きさを制御できるため、検出中に検出回路への充電速度が速く、駆動トランジスタの目標閾値電圧の検出効率を向上させ、ユーザの使用体験を向上させることができ、また、補償で閾値電圧の差異をなくして、表示の不均一性を解消するという目的を達成することができる。
【0075】
以上は、本願の実施例に過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。本願の明細書及び図面の内容を利用してなされた等価構造又は等価フロー変換、又は他の関連する技術分野における直接又は間接運用は、いずれも同様に本願の保護範囲に含まれる。