(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240917BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2022037667
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】飯生 信子
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-35400(JP,A)
【文献】特開2020-35140(JP,A)
【文献】特開2020-9339(JP,A)
【文献】特開2019-170408(JP,A)
【文献】特開2001-325362(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142451(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護者が介護する複数の被介護者から構成されるグループに属する前記複数の被介護者それぞれが有する一以上の症状を示す症状情報と、前記介護者が前記複数の被介護者を介護した場合に発生した、定常の介護業務とは異なる非定常の介護業務の業務負荷の量を示す負荷情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に関連付けて記憶されている前記症状情報と、前記負荷情報とを教師データとして生成された、複数の被介護者に対応する前記症状情報の入力に対し、前記負荷情報を出力するモデルに入力する情報として、前記介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者に対応する複数の前記症状情報を取得する入力情報取得部と、
前記入力情報取得部が取得した複数の前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得する負荷情報取得部と、
前記負荷情報取得部が取得した前記負荷情報を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記介護者に装着された加速度センサが測定した加速度と、当該加速度が測定された時刻とを示す加速度情報を取得し、前記加速度情報が示す加速度の傾向に基づいて前記介護者の前記非定常の介護業務の業務負荷の量を特定し、前記介護者に対して特定した業務負荷の量を示す前記負荷情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する前記症状情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる負荷量特定部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記介護者に装着された集音装置が集音した音声と、当該音声が収集された時刻とを示す音声情報を取得し、前記音声情報が示す音声の傾向に基づいて前記介護者の前記非定常の介護業務の業務負荷の量を特定し、前記介護者に対して特定した業務負荷の量を示す前記負荷情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する前記症状情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる負荷量特定部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部に関連付けて記憶されている前記症状情報と、前記負荷情報とを前記教師データとして、前記モデルを生成するモデル生成部をさらに有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記介護者の性格を示す性格情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する症状情報と、前記介護者に対応する前記負荷情報とを関連付けて記憶し、
前記モデル生成部は、前記記憶部において関連付けて記憶されている前記性格情報と、前記症状情報と、前記負荷情報とを前記教師データとし、前記性格情報と、前記症状情報との入力に対し、前記負荷情報を出力する前記モデルを生成し、
前記入力情報取得部は、前記予定グループに属する複数の被介護者に対応する前記症状情報と、当該複数の被介護者を介護する予定の前記介護者の前記性格情報とを取得し、
前記負荷情報取得部は、前記入力情報取得部が取得した前記性格情報及び前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記介護者の熟練度を示す熟練度情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する症状情報と、前記介護者に対応する前記負荷情報とを関連付けて記憶し、
前記モデル生成部は、前記記憶部において関連付けて記憶されている前記熟練度情報と、前記症状情報と、前記負荷情報とを前記教師データとし、前記熟練度情報と、前記症状情報との入力に対し、前記負荷情報を出力する前記モデルを生成し、
前記入力情報取得部は、前記予定グループに属する複数の被介護者に対応する前記症状情報と、当該複数の被介護者を介護する予定の前記介護者の前記熟練度情報とを取得し、
前記負荷情報取得部は、前記入力情報取得部が取得した前記熟練度情報及び前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得する、
請求項4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記負荷情報取得部は、前記モデルから出力される前記負荷情報と、前記定常の介護業務の業務負荷の量を示す定常負荷情報とを取得し、
前記出力部は、前記モデルから出力される前記負荷情報が示す負荷の量と、前記定常負荷情報が示す負荷の量とを示す情報を出力する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記入力情報取得部は、複数の既存のグループそれぞれに対し、新たな被介護者を追加した場合の複数の前記予定グループそれぞれに対応する前記症状情報を取得し、
前記負荷情報取得部は、前記入力情報取得部が取得した前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される、前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記負荷情報を取得し、
前記出力部は、前記複数の予定グループのうち、前記負荷情報が示す前記非定常の介護業務の業務負荷の量が相対的に少ない一以上の予定グループを特定し、前記新たな被介護者の追加を推奨する既存グループを示す情報として、特定した前記一以上の予定グループそれぞれに対応する前記既存のグループを示す情報を出力する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記負荷情報取得部は、前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記負荷情報を取得するとともに、前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記既存の複数のグループそれぞれの実際の介護業務の業務負荷の量を示す実負荷情報を取得し、
前記出力部は、前記複数の予定グループのうち、前記実負荷情報が示す前記業務負荷の量から、前記負荷情報が示す前記非定常の介護業務の業務負荷の量を減算した差分の量が相対的に少ない一以上の予定グループそれぞれに対応する前記既存のグループを示す情報を、前記新たな被介護者の追加を推奨する既存グループを示す情報として出力する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
介護者が介護する複数の被介護者から構成されるグループに属する前記複数の被介護者それぞれが有する一以上の症状を示す症状情報と、前記介護者が前記複数の被介護者を介護した場合に発生した、定常の介護業務とは異なる非定常の介護業務の業務負荷の量を示す負荷情報とを関連付けて記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に関連付けて記憶されている前記症状情報と、前記負荷情報とを教師データとして生成された、複数の被介護者に対応する前記症状情報の入力に対し、前記負荷情報を出力するモデルに入力する情報として、前記介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者に対応する複数の前記症状情報を取得するステップと、
取得した複数の前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得するステップと、
取得した前記負荷情報を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護を必要とする被介護者に対して介護作業が行われるようにするために、被介護者に対して介護者を割り当てるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介護施設においては、複数の被介護者をまとめたグループに対して介護者を割り当てて、当該介護者がグループ内の被介護者を介護する場合がある。グループ単位で介護者が被介護者を介護する場合、被介護者同士が干渉することにより想定外の業務が発生し、介護者が被介護者を介護しきれなくなるという問題が発生する。このため、グループを作成したり、既存のグループに新規の被介護者を追加したりする場合、介護者にかかる業務負荷を予め予測し、介護者に過大な業務負荷がかからないようなグループを作成することが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、介護者にかかる業務負荷を予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、介護者が介護する複数の被介護者から構成されるグループに属する前記複数の被介護者それぞれが有する一以上の症状を示す症状情報と、前記介護者が前記複数の被介護者を介護した場合に発生した、定常の介護業務とは異なる非定常の介護業務の業務負荷の量を示す負荷情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記記憶部に関連付けて記憶されている前記症状情報と、前記負荷情報とを教師データとして生成された、複数の被介護者に対応する前記症状情報の入力に対し、前記負荷情報を出力するモデルに入力する情報として、前記介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者に対応する複数の前記症状情報を取得する入力情報取得部と、前記入力情報取得部が取得した複数の前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得する負荷情報取得部と、前記負荷情報取得部が取得した前記負荷情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記介護者に装着された加速度センサが測定した加速度と、当該加速度が測定された時刻とを示す加速度情報を取得し、前記加速度情報が示す加速度の傾向に基づいて前記介護者の前記非定常の介護業務の業務負荷の量を特定し、前記介護者に対して特定した業務負荷の量を示す前記負荷情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する前記症状情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる負荷量特定部をさらに有してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記介護者に装着された集音装置が集音した音声と、当該音声が収集された時刻とを示す音声情報を取得し、前記音声情報が示す音声の傾向に基づいて前記介護者の前記非定常の介護業務の業務負荷の量を特定し、前記介護者に対して特定した業務負荷の量を示す前記負荷情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する前記症状情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる負荷量特定部をさらに有してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記記憶部に関連付けて記憶されている前記症状情報と、前記負荷情報とを前記教師データとして、前記モデルを生成するモデル生成部をさらに有してもよい。
【0010】
前記記憶部は、前記介護者の性格を示す性格情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する症状情報と、前記介護者に対応する前記負荷情報とを関連付けて記憶し、前記モデル生成部は、前記記憶部において関連付けて記憶されている前記性格情報と、前記症状情報と、前記負荷情報とを前記教師データとし、前記性格情報と、前記症状情報との入力に対し、前記負荷情報を出力する前記モデルを生成し、前記入力情報取得部は、前記予定グループに属する複数の被介護者に対応する前記症状情報と、当該複数の被介護者を介護する予定の前記介護者の前記性格情報とを取得し、前記負荷情報取得部は、前記入力情報取得部が取得した前記性格情報及び前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得してもよい。
【0011】
前記記憶部は、前記介護者の熟練度を示す熟練度情報と、前記介護者が介護する前記グループに属する前記複数の被介護者に対応する症状情報と、前記介護者に対応する前記負荷情報とを関連付けて記憶し、前記モデル生成部は、前記記憶部において関連付けて記憶されている前記熟練度情報と、前記症状情報と、前記負荷情報とを前記教師データとし、前記熟練度情報と、前記症状情報との入力に対し、前記負荷情報を出力する前記モデルを生成し、前記入力情報取得部は、前記予定グループに属する複数の被介護者に対応する前記症状情報と、当該複数の被介護者を介護する予定の前記介護者の前記熟練度情報とを取得し、前記負荷情報取得部は、前記入力情報取得部が取得した前記熟練度情報及び前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得してもよい。
【0012】
前記負荷情報取得部は、前記モデルから出力される前記負荷情報と、前記定常の介護業務の業務負荷の量を示す定常負荷情報とを取得し、前記出力部は、前記モデルから出力される前記負荷情報が示す負荷の量と、前記定常負荷情報が示す負荷の量とを示す情報を出力してもよい。
【0013】
前記入力情報取得部は、複数の既存のグループそれぞれに対し、新たな被介護者を追加した場合の複数の前記予定グループそれぞれに対応する前記症状情報を取得し、前記負荷情報取得部は、前記入力情報取得部が取得した前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される、前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記負荷情報を取得し、前記出力部は、前記複数の予定グループのうち、前記負荷情報が示す前記非定常の介護業務の業務負荷の量が相対的に少ない一以上の予定グループを特定し、前記新たな被介護者の追加を推奨する既存グループを示す情報として、特定した前記一以上の予定グループそれぞれに対応する前記既存のグループを示す情報を出力してもよい。
【0014】
前記負荷情報取得部は、前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記負荷情報を取得するとともに、前記複数の予定グループそれぞれに対応する前記既存の複数のグループそれぞれの実際の介護業務の業務負荷の量を示す実負荷情報を取得し、前記出力部は、前記複数の予定グループのうち、前記実負荷情報が示す前記業務負荷の量から、前記負荷情報が示す前記非定常の介護業務の業務負荷の量を減算した差分の量が相対的に少ない一以上の予定グループそれぞれに対応する前記既存のグループを示す情報を、前記新たな被介護者の追加を推奨する既存グループを示す情報として出力してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、介護者が介護する複数の被介護者から構成されるグループに属する前記複数の被介護者それぞれが有する一以上の症状を示す症状情報と、前記介護者が前記複数の被介護者を介護した場合に発生した、定常の介護業務とは異なる非定常の介護業務の業務負荷の量を示す負荷情報とを関連付けて記憶部に記憶させるステップと、前記記憶部に関連付けて記憶されている前記症状情報と、前記負荷情報とを教師データとして生成された、複数の被介護者に対応する前記症状情報の入力に対し、前記負荷情報を出力するモデルに入力する情報として、前記介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者に対応する複数の前記症状情報を取得するステップと、取得した複数の前記症状情報を前記モデルに入力し、前記モデルから出力される前記負荷情報を取得するステップと、取得した前記負荷情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、介護者にかかる業務負荷を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の概要を説明する図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る介護者情報の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る被介護者情報の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施の形態に係る介護者情報の一例を示す図である。
【
図7】第5の実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施の形態>
[情報処理装置の概要]
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置1の概要を説明する図である。情報処理装置1は、介護施設において被介護者を介護する介護者の介護業務に係る業務負荷を示す負荷情報を出力するためのコンピュータである。
【0019】
図1に示すように、介護施設では、複数の被介護者が属する既存のグループが複数存在する。複数の既存のグループそれぞれにおいて、複数の被介護者は、一人の介護者により介護される。情報処理装置1は、介護施設に設けられているパーソナルコンピュータやタブレット端末等の端末2と通信可能に接続されている。端末2は、例えば介護施設の管理者が使用する端末である。
【0020】
情報処理装置1は、端末2から、複数の既存のグループそれぞれに属する複数の被介護者それぞれが有する一以上の症状を示す症状情報と、当該複数の既存のグループそれぞれにおいて複数の被介護者を介護する介護者の定常の介護業務とは異なる非定常介護業務に係る業務負荷の量を示す負荷情報とを取得する(
図1における(1))。情報処理装置1は、複数の既存のグループのそれぞれに対応する症状情報と、負荷情報とを取得する。定常の介護業務は、被介護者の身体状況の確認、食事配膳、洗濯等の生活の援助、被介護者の身体の状況に伴う食事、入浴、排せつ等の行動の援助等の予め定められている業務を示す。非定常介護業務は、被介護者のグルーピング等が一因とされる、被介護者の徘徊、暴力行為等に対処するための予め定められていない業務を示す。
【0021】
情報処理装置1は、複数の既存のグループのそれぞれに対応して取得した症状情報と、負荷情報とを教師データとし、複数の被介護者に対応する症状情報の入力に対し、負荷情報を出力するモデルを生成する(
図1における(2))。情報処理装置1は、介護施設の介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者に対応する症状情報を取得する(
図1における(3))。予定グループは、例えば、既存のグループに対して新たな被介護者を含めたグループ、又は複数の被介護者により新たに構成されるグループである。
【0022】
情報処理装置1は、予定グループに属する複数の被介護者に対応する症状情報を取得すると、取得した症状情報をモデルに入力し、当該モデルから出力される負荷情報を取得する(
図1における(4))。情報処理装置1は、取得した負荷情報を端末2に出力し、端末2に当該負荷情報を表示させる(
図1における(5))。このようにすることで、端末2を使用する介護施設の管理者や介護者等は、予定グループに対応する非定常の介護業務の業務負荷の量を予測することができる。
【0023】
[情報処理装置1の構成例]
続いて、情報処理装置1の構成について説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、介護者情報取得部131と、被介護者情報取得部132と、モデル生成部133と、入力情報取得部134と、負荷情報取得部135と、及び出力部136とを有する。
【0024】
通信部11は、インターネット等のネットワークを介して外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等である。記憶部12は、情報処理装置1を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部12は、情報処理装置1の制御部13を、介護者情報取得部131、被介護者情報取得部132、モデル生成部133、入力情報取得部134、負荷情報取得部135、及び出力部136として機能させるプログラムを記憶する。
【0025】
記憶部12は、介護者が介護する複数の被介護者から構成されるグループに属する複数の被介護者それぞれが有する一以上の症状を示す症状情報と、介護者が複数の被介護者を介護した場合に発生した、定常の介護業務とは異なる非定常の介護業務の業務負荷の量を示す負荷情報とを関連付けて記憶する。
【0026】
症状情報は、複数の被介護者が属するグループを識別するためのグループIDと、被介護者に関する情報とを含む被介護者情報に含まれている。負荷情報は、介護者が担当するグループのグループIDと、介護者に関する情報とを含む介護者情報に含まれている。症状情報と、負荷情報とは、被介護者情報と介護者情報とに共通に含まれるグループIDにより関連付けられている。
【0027】
図3は、第1の実施の形態に係る介護者情報の一例を示す図である。
図3に示すように、介護者情報は、介護者を識別するための介護者IDと、介護者の氏名と、介護者が介護を担当するグループのグループIDと、介護者の定常業務の業務負荷の量を示す負荷情報である定常負荷情報と、介護者の非定常業務の業務負荷の量を示す負荷情報である非定常負荷情報とを関連付けた情報である。介護者情報に記憶されている業務負荷の量は、実際に介護者が介護した場合における業務負荷の量を示している。なお、
図3に示す例では、介護者IDに、一組の定常負荷情報及び非定常業務負荷情報が関連付けられることとしたが、これに限らない。介護者IDには、例えば、毎月の定常負荷情報及び非定常業務負荷情報が関連付けられてもよい。
【0028】
図4は、第1の実施の形態に係る被介護者情報の一例を示す図である。
図4に示すように、被介護者情報は、被介護者を識別するための被介護者IDと、被介護者の氏名と、被介護者が属するグループのグループIDと、被介護者の症状を示す症状情報とを関連付けた情報である。症状には、例えば、帰宅願望、独り言、軽度認知症、場所の不理解等が含まれている。被介護者の症状は、例えば、介護施設への被介護者の入居時、又は被介護者の定期健診等において特定されるものとする。
【0029】
図4に示す例では、症状を示す項目に対応する値が1である場合、被介護者が当該項目に対応する症状を有していることを示している。また、症状を示す項目に対応する値が0である場合、被介護者が当該項目に対応する症状を有していないことを示している。例えば、被介護者ID「CR001」に対応する帰宅願望及び軽度認知症の値が「1」、独り言及び場所の理解の値が「0」である。これは、被介護者ID「CR001」の被介護者が帰宅願望、軽度認知症の症状を有しており、独り言、場所の不理解の症状を有していないことを示している。
【0030】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、情報処理装置1に係る機能を制御する。制御部13は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、介護者情報取得部131、被介護者情報取得部132、モデル生成部133、入力情報取得部134、負荷情報取得部135、及び出力部136として機能する。
【0031】
介護者情報取得部131は、介護者に関する情報を取得する。具体的には、介護者情報取得部131は、介護者に関する情報の登録要求を端末2から受け付けると、介護者に関する情報の入力を受け付ける介護者情報入力画面を端末2に表示させる。介護者情報取得部131は、介護者情報入力画面を介して端末2から、介護者に関する情報を取得する。例えば、介護者情報取得部131は、介護者に関する情報として、
図3に示す介護者の介護者ID、介護者の氏名、当該介護者が介護を担当するグループのグループID、定常負荷情報、非定常負荷情報を取得する。介護者情報取得部131は、端末2から介護者に関する情報を取得すると、取得した情報を介護者情報として記憶部12に記憶させる。
【0032】
被介護者情報取得部132は、被介護者に関する情報を取得する。具体的には、被介護者情報取得部132は、被介護者に関する情報の登録要求を端末2から受け付けると、被介護者に関する情報の入力を受け付ける被介護者情報入力画面を端末2に表示させる。被介護者情報取得部132は、被介護者情報入力画面を介して端末2から、被介護者に関する情報を取得する。例えば、被介護者情報取得部132は、被介護者に関する情報として、
図4に示す被介護者の被介護者ID、被介護者の氏名、被介護者の症状情報を取得する。被介護者情報取得部132は、端末2から被介護者に関する情報を取得すると、取得した情報を被介護者情報として記憶部12に記憶させる。
【0033】
モデル生成部133は、記憶部12に関連付けて記憶されている被介護者の症状情報と、負荷情報とを教師データとして、複数の被介護者に対応する症状情報の入力に対し、非定常負荷情報を出力するモデルを生成する。
【0034】
まず、モデル生成部133は、複数のグループそれぞれに対応する非定常負荷情報を特定する。モデル生成部133は、非定常負荷情報に関連付けられているグループIDを特定し、被介護者情報において、当該グループIDに関連付けられている複数の症状情報を特定する。これにより、モデル生成部133は、複数のグループそれぞれに対応する、非定常負荷情報と、複数の症状情報とを特定する。モデル生成部133は、特定した非定常負荷情報と、複数の症状情報とに基づいて教師データを複数生成し、当該複数の教師データを用いて、複数の被介護者に対応する症状情報の入力に対し、非定常負荷情報を取得するモデルを生成する。
【0035】
例えば、モデルは、制御部13により実行されるプログラムであり、制御部13により実行されることにより、入力された複数の被介護者それぞれの症状情報に基づいて、グループに属する複数の被介護者の組み合わせの特徴を示すグループ特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成部と、当該生成した特徴ベクトルが入力されたことに応じて、非定常負荷情報を推定して出力する推定部として機能する。
【0036】
モデル生成部133は、まず、介護者の非定常負荷情報と関連付けられた複数の被介護者それぞれの複数の症状情報に基づいて、複数の被介護者それぞれの特徴を示すとともに、他の被介護者との関係を示すn次元の被介護者特徴ベクトルを生成する。例えば、モデル生成部133は、
図4に示す被介護者の症状の有無を示す値と、他の被介護者の症状の有無を示す値とのコサイン類似度を、他の被介護者との関係を示す情報として生成し、当該情報を含む被介護者特徴ベクトルを生成する。このようにすることで、情報処理装置1は、複数の被介護者が有する症状に基づく被介護者同士の関係を加味して非定常負荷情報を出力するモデルを生成することができる。
【0037】
モデル生成部133は、複数の被介護者のそれぞれに対して生成したn次元の被介護者特徴ベクトルを構成する各要素の値を合計し、複数の被介護者の組み合わせの特徴を示すグループ特徴ベクトルを算出する。ここで、グループ特徴ベクトルには、グループに属する被介護者の人数に対応する情報が含まれていてもよい。モデル生成部133は、算出したグループ特徴ベクトルを入力ベクトルとする。また、モデル生成部133は、一人の介護者の非定常負荷情報を出力ベクトルとし、生成した入力ベクトルと、当該出力ベクトルとの組み合わせを教師データとする。モデル生成部133は、複数のグループのそれぞれに対応して複数の教師データを生成する。
【0038】
モデル生成部133は、教師データに含まれる入力ベクトルの入力に対し、当該組み合わせに含まれる出力ベクトルが出力されるようにモデルを構成する推定部の機械学習を行う。これにより、特徴ベクトル生成部と推定部とを有し、複数の被介護者それぞれに対応する複数の症状情報の入力に対し、非定常負荷情報を出力するモデルが生成される。
【0039】
入力情報取得部134は、モデル生成部133が生成したモデルに入力する情報として、介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者それぞれに対応する症状情報を取得する。例えば、入力情報取得部134は、予定グループに関する情報の入力要求を端末2から受け付けると、予定グループに属する複数の被介護者それぞれの被介護者IDと、予定グループを担当し、当該複数の被介護者を介護する介護者の介護IDとの入力を受け付ける予定グループ受付画面を端末2に表示させる。入力情報取得部134は、予定グループ受付画面を介して端末2から、予定グループに属する複数の被介護者の被介護者IDと、当該複数の被介護者を介護する介護者の介護者IDとを取得する。入力情報取得部134は、記憶部12に記憶されている被介護者情報において、取得した複数の被介護者それぞれの被介護者IDに関連付けられている複数の症状情報を取得する。
【0040】
負荷情報取得部135は、入力情報取得部134が取得した複数の症状情報を、モデル生成部133が生成したモデルに入力し、当該モデルから非定常負荷情報を取得する。例えば、負荷情報取得部135は、制御部13にモデルを実行させ、実行中のモデルに対して入力情報取得部134が取得した複数の症状情報を入力する。負荷情報取得部135は、モデルから出力された非定常負荷情報を取得する。また、負荷情報取得部135は、記憶部12に記憶されている介護者情報において、入力情報取得部134が取得した介護者IDに関連付けられている定常負荷情報を取得する。
【0041】
出力部136は、負荷情報取得部135が取得した非定常負荷情報と、定常負荷情報とを出力する。出力部136は、非定常負荷情報と、定常業務負荷情報との他に、非定常負荷情報が示す非定常業務の負荷の量と、定常負荷情報が定常業務の負荷の量とを合計した負荷の量をさらに出力してもよい。
【0042】
続いて、情報処理装置1における処理の流れを説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートの開始前に記憶部12に介護者情報と被介護者情報が記憶されているものとする。
【0043】
まず、モデル生成部133は、複数のグループIDのうち、未選択の一つのグループIDを選択する(S1)。モデル生成部133は、記憶部12に記憶されている介護者情報と被介護者情報とを参照し、選択したグループIDに関連付けられている症状情報と、非定常負荷情報とを特定する(S2)。モデル生成部133は、特定した症状情報と、非定常負荷情報とに基づいてモデルの学習に用いる教師データを生成する(S3)。
【0044】
まず、モデル生成部133は、全てのグループIDを選択したか否かを判定する(S4)。モデル生成部133は、全てのグループIDを選択したと判定すると、S5に処理を移し、生成した複数の教師データを用いてモデルを生成する。モデル生成部133は、全てのグループIDを選択していないと判定すると、S1に処理を移す。
【0045】
モデル生成部133によりモデルが生成された後、介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者それぞれに対応する症状情報を取得する(S6)。
続いて、負荷情報取得部135は、入力情報取得部134が取得した複数の症状情報を、モデル生成部133が生成したモデルに入力し、当該モデルから予定グループに対応する非定常負荷情報を取得する(S7)。出力部136は、負荷情報取得部135が取得した予定グループに対応する非定常負荷情報を出力する(S8)。
【0046】
[第1の実施の形態における効果]
以上の通り、第1の実施の形態に係る情報処理装置1は、記憶部12に関連付けて記憶されている症状情報と、負荷情報とを教師データとして生成された、複数の被介護者に対応する症状情報の入力に対し、負荷情報を出力するモデルに入力する情報として、介護者が介護する予定の予定グループに属する複数の被介護者に対応する複数の症状情報を取得する。そして、情報処理装置1は、取得した複数の症状情報をモデルに入力し、モデルから出力される負荷情報を取得して端末2に出力する。このようにすることで、情報処理装置1の利用者は、予定グループに属する複数の被介護者を介護する介護者にかかる業務負荷を予測することできる。また、情報処理装置1の利用者は、想定される複数の予定グループそれぞれに対応する負荷情報を取得し、相対的に負荷情報が示す負荷が少ない予定グループを選択することにより、介護者に過大な業務負荷がかからないグループを作成することができる。
【0047】
<第2の実施の形態>
[介護者の性格情報にさらに基づいて非定常負荷情報を取得する]
続いて、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る情報処理装置1は、複数の被介護者それぞれに対応する複数の症状情報に基づいて非定常負荷情報を取得した。これに対し、第2の実施の形態に係る情報処理装置1は、介護者の性格を示す性格情報と、複数の症状情報とに基づいて非定常負荷情報を取得する点で第1の実施の形態と異なる。以下に、第2の実施の形態に係る情報処理装置1について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0048】
図6は、第2の実施の形態に係る介護者情報の一例を示す図である。
図6に示す例では、介護者IDに介護者の性格を示す性格情報が関連付けられていることが確認できる。介護者の性格情報は、例えば、パーソナリティ特性の分類するための特性5因子である開放性、誠実性、外向性、協調性、情報不安定性それぞれのスコアを示す情報を含んでいる。特性5因子のスコアは、例えば、介護者から性格診断等のアンケート等に対する回答を受け付け、アンケート結果に基づいて算出される。
【0049】
モデル生成部133は、介護者の性格を示す性格情報と、複数の症状情報との入力に対し、非定常負荷情報を出力するモデルを生成する。モデル生成部133は、グループIDをキーとして、介護者情報に含まれている性格情報及び非定常負荷情報と、当該非定常負荷情報に対応し、被介護者情報に含まれている複数の症状情報とを特定する。
【0050】
モデル生成部133は、特定した性格情報と、非定常負荷情報と、複数の症状情報との組み合わせを教師データとし、介護者の性格情報と、複数の被介護者に対応する症状情報との入力に対し、非定常負荷情報を出力するモデルを生成する。例えば、モデル生成部133は、特定した性格情報と、複数の症状情報とに基づいて、モデルに入力する入力ベクトルとしてのグループ特徴ベクトルを生成するとともに、非定常負荷情報に基づいてモデルから出力される出力ベクトルを生成する。モデル生成部133は、生成した入力ベクトルと、当該出力ベクトルとの組み合わせを教師データとする。
【0051】
モデル生成部133は、教師データに含まれる入力ベクトルの入力に対し、当該組み合わせに含まれる出力ベクトルが出力されるようにモデルを構成する推定部の機械学習を行うことにより、介護者の性格情報と、複数の被介護者に対応する症状情報との入力に対し、非定常負荷情報を出力するモデルを生成する。
【0052】
入力情報取得部134は、予定グループに属する複数の被介護者に対応する症状情報と、当該複数の被介護者を介護する予定の介護者の性格情報とを取得する。入力情報取得部134は、予定グループ受付画面を介して、予定グループに属する複数の被介護者の被介護者IDと、当該複数の被介護者を介護する介護者の介護者IDとを端末2から取得する。入力情報取得部134は、記憶部12に記憶されている介護者情報において、取得した介護者IDに関連付けられている性格情報を取得する。負荷情報取得部135は、入力情報取得部134が取得した性格情報及び症状情報をモデルに入力し、モデルから出力される非定常負荷情報を取得する。
【0053】
このようにすることで、情報処理装置1は、介護者の性格を加味した非定常負荷情報を特定することができるので、性格情報を用いない場合に比べて、非定常負荷情報の予測精度を高めることができる。
【0054】
<第3の実施の形態>
[介護者の熟練度にさらに基づいて非定常負荷情報を取得する]
続いて、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態に係る情報処理装置1は、介護者の熟練度に基づいて非定常負荷情報を取得する点で第1の実施の形態と異なる。
【0055】
第3の実施の形態において、介護者情報は、介護者の介護者IDと、介護者の氏名と、グループIDと、定常負荷情報と、非定常負荷情報と、介護者の熟練度を示す熟練度情報を関連付けて記憶する。熟練度は、例えば、介護施設における勤務年数、介護施設における総勤務時間、職層に基づいて算出される数値であるものとするが、これに限らず、勤務年数、総勤務時間、職層等の情報を組み合わせたものであってもよい。
【0056】
モデル生成部133は、記憶部12においてグループIDを介して関連付けられている熟練度情報と、症状情報と、負荷情報とを教師データとし、熟練度情報と、症状情報との入力に対し、非定常負荷情報を出力するモデルを生成する。例えば、モデル生成部133は、グループIDをキーとして、介護者情報に含まれている熟練度情報及び非定常負荷情報と、当該非定常負荷情報に対応し、被介護者情報に含まれている複数の症状情報とを特定する。モデル生成部133は、特定した熟練度情報と、非定常負荷情報と、複数の症状情報との組み合わせを教師データとし、介護者の熟練度情報と、複数の被介護者に対応する症状情報との入力に対し、非定常負荷情報を出力するモデルを生成する。
【0057】
入力情報取得部134は、予定グループに属する複数の被介護者に対応する症状情報と、当該複数の被介護者を介護する予定の介護者の熟練度情報とを取得する。入力情報取得部134は、予定グループ受付画面を介して、予定グループに属する複数の被介護者の被介護者IDと、当該複数の被介護者を介護する介護者の介護者IDとを端末2から取得する。入力情報取得部134は、記憶部12に記憶されている介護者情報において、取得した介護者IDに関連付けられている熟練度情報を取得する。負荷情報取得部135は、入力情報取得部134が取得した熟練度情報及び症状情報をモデルに入力し、モデルから出力される負荷情報を取得する。このようにすることで、情報処理装置1は、介護者の熟練度を加味した非定常負荷情報を取得することができるので、非定常負荷情報の予測精度を高めることができる。
【0058】
<第4の実施の形態>
[新たな被介護者が属するグループを情報処理装置1が特定する]
続いて、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態に係る情報処理装置1は、既存のグループに対して新たに被介護者を追加する場合に、被介護者を追加する既存グループを特定する点で第1の実施の形態と異なる。
【0059】
第4の実施の形態において、入力情報取得部134は、既存のグループに新たに追加する新規被介護者の症状情報を取得する。入力情報取得部134は、新規被介護者の症状情報の入力を受け付ける新規被介護者情報の入力画面を端末2に表示させ、端末2から新規被介護者情報の症状情報を取得する。
【0060】
入力情報取得部134は、新規被介護者情報の症状情報を取得すると、複数の既存のグループそれぞれに対し、新たな被介護者を追加した場合の複数の予定グループそれぞれに対応する症状情報を取得する。まず、入力情報取得部134は、被介護者情報を参照し、複数の既存のグループのグループIDのそれぞれに関連付けられている症状情報を取得することにより、複数の既存グループそれぞれに対応する症状情報を取得する。入力情報取得部134は、複数の既存グループそれぞれに対応する症状情報に、新規被介護者情報の症状情報を追加することにより、新たな被介護者を追加した場合の複数の予定グループそれぞれに対応する症状情報を取得する。
【0061】
負荷情報取得部135は、入力情報取得部134が取得した複数の予定グループそれぞれに対応する症状情報をモデル生成部133が生成したモデルに入力し、当該モデルから出力される、複数の予定グループそれぞれに対応する非定常負荷情報を取得する。
【0062】
出力部136は、複数の予定グループのうち、非定常負荷情報が示す非定常の介護業務の業務負荷と定常の介護業務の業務負荷の合計量が相対的に少ない一以上の予定グループを特定し、新たな被介護者の追加を推奨する既存グループを示す情報として、特定した一以上の予定グループそれぞれに対応する既存のグループを示す情報を出力する。ここで、定常の介護業務の業務負荷の量は、予め見積られている業務負荷の量であってもよい。また、この場合において、出力部136は、特定した一以上の予定グループそれぞれに対応する既存のグループを示す情報とともに、当該既存のグループの被介護者を介護する介護者の介護者ID及び介護者の氏名の少なくともいずれかを出力してもよい。
【0063】
なお、出力部136は、負荷情報取得部135が取得した非定常負荷情報が示す非定常の介護業務の業務負荷と定常の介護業務の業務負荷の合計量が相対的に少ない一以上の予定グループに対応する既存グループを、新たな被介護者の追加を推奨する既存グループとして特定したが、これに限らない。出力部136は、複数の予定グループのうち、非定常負荷情報が示す非定常の介護業務の業務負荷の量が相対的に少ない一以上の予定グループを、新たな被介護者の追加を推奨する既存グループとして特定してもよい。また、出力部136は、実際の介護業務の負荷の量を示す実負荷情報にさらに基づいて、新たな被介護者の追加を推奨する既存グループを特定してもよい。
【0064】
この場合、負荷情報取得部135は、複数の予定グループそれぞれに対応する非定常負荷情報を取得するとともに、複数の予定グループそれぞれに対応する既存の複数のグループそれぞれの実際の介護業務の業務負荷の量を示す実負荷情報を取得する。例えば、負荷情報取得部135は、記憶部12に記憶されている介護者情報を参照し、複数の予定グループそれぞれに対応する既存の複数のグループそれぞれの非定常負荷情報及び定常負荷情報を実負荷情報として取得する。
【0065】
出力部136は、複数の予定グループのうち、実負荷情報が示す業務負荷の量から、非定常負荷情報が示す非定常の介護業務の業務負荷の量を減算した差分の量が相対的に少ない一以上の予定グループそれぞれに対応する既存のグループを選択する。出力部136は、選択した既存グループを示す情報を、新たな被介護者の追加を推奨する既存グループを示す情報として出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、新たな被介護者を既存グループに追加する場合における介護施設の管理者や介護者の検討作業に係る負荷を軽減することができる。
【0066】
<第5の実施の形態>
[介護者に装着された機器を用いて非定常介護業務の業務負荷の量を特定する]
続いて、第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態に係る情報処理装置1は、介護者に装着された機器を用いて非定常介護業務の業務負荷の量を特定する点で第1の実施の形態と異なる。
【0067】
図7は、第5の実施の形態に係る情報処理装置1の構成を示す図である。
図7に示すように、第5の実施の形態に係る情報処理装置1の制御部13は、負荷量特定部137をさらに有する。
【0068】
負荷量特定部137は、介護者に装着された加速度センサが測定した加速度と、当該加速度が測定された時刻とを示す加速度情報と、当該介護者の介護者IDとを取得し、当該加速度情報と、介護者IDとを記憶部12に記憶させる。負荷量特定部137は、記憶部12に記憶された加速度情報が示す加速度の傾向に基づいて介護者の非定常の介護業務の業務負荷の量を特定する。
【0069】
例えば、非定常業務では、介護者が介護施設内を頻繁に移動することがあるため、加速度が大きくなる。これに対し、予め介護者の定常の介護業務を行った場合に加速度センサが測定した加速度に基づいて、定常業務において発生する加速度の範囲を特定する。負荷量特定部137は、加速度情報を参照し、所定期間(例えば1カ月間)において加速度センサが測定した加速度が、定常業務において発生する加速度の範囲を超えた時間を算出することにより、非定常の介護業務の業務負荷の量を特定する。
【0070】
なお、負荷量特定部137は、加速度センサが測定した加速度を用いて介護者の非定常の介護業務の業務負荷の量を特定したが、これに限らない。負荷量特定部137は、介護者に装着された集音装置が集音した音声と、当該音声が収集された時刻とを示す音声情報を取得し、音声情報が示す音声の傾向に基づいて介護者の非定常の介護業務の業務負荷の量を特定してもよい。
【0071】
例えば、非定常業務では、介護者の声が大きくなることがあるため、音声が大きくなる。これに対し、予め介護者の定常の介護業務を行った場合に集音した音声の大きさに基づいて、定常業務において発生する音声の大きさの範囲を特定する。負荷量特定部137は、音声情報を参照し、所定期間(例えば1カ月間)において集音装置が集音した音声が、定常業務において発生する音声の大きさの範囲を超えた時間を算出することにより、非定常の介護業務の業務負荷の量を特定する。また、負荷量特定部137は、加速度センサが測定した加速度と、集音装置が集音した音声とに基づいて、介護者の非定常の介護業務の業務負荷の量を特定してもよい。
【0072】
負荷量特定部137は、介護者に対して特定した業務負荷の量を示す負荷情報と、介護者が介護するグループに属する複数の被介護者に対応する症状情報とを関連付けて記憶部12に記憶させる。例えば、負荷量特定部137は、介護者の非定常の介護業務の業務負荷の量を特定すると、介護者情報に含まれる、当該介護者の介護者IDに関連付けられている非定常負荷情報を、特定した非定常の介護業務の業務負荷の量を示す情報に更新する。介護者情報には、グループIDが含まれており、当該グループIDは、被介護者情報において症状情報に関連付けられていることから、介護者情報に含まれている更新された非定常負荷情報は、グループIDを介して、症状情報に関連付けられることとなる。このようにすることで、情報処理装置1は、介護者が、非定常の介護業務の業務負荷の量を申告する必要なく、非定常の介護業務の業務負荷の量を特定することができる。
【0073】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0075】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 介護者情報取得部
132 被介護者情報取得部
133 モデル生成部
134 入力情報取得部
135 負荷情報取得部
136 出力部
137 負荷量特定部