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特許7555989センサモジュール、センサモジュール設置器具及びセンサモジュールの取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】センサモジュール、センサモジュール設置器具及びセンサモジュールの取付方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20240917BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G01D11/30 S
G01N29/24
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022044949
(22)【出願日】2022-03-22
(65)【公開番号】P2023139425
(43)【公開日】2023-10-04
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高峯 英文
(72)【発明者】
【氏名】廣川 潤子
(72)【発明者】
【氏名】渡部 一雄
(72)【発明者】
【氏名】釘宮 哲也
(72)【発明者】
【氏名】上野 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】碓井 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 永芳
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐樹
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-224037(JP,A)
【文献】特開2011-251560(JP,A)
【文献】特開2019-190894(JP,A)
【文献】特開2018-105846(JP,A)
【文献】特開平5-2688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00-13/28
G01N 29/00-29/52
G01M 13/00-13/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、
前記センサを保持して、前記センサを計測対象物側に押し付けて押圧力を与える押圧力付与部を有するセンサホルダと、
粘着力で前記センサホルダを計測対象物に粘着する粘着部と、
前記押圧力と前記粘着力との間の相対的な大小関係を変化させる変化機構と、
を備える
センサモジュール。
【請求項2】
前記粘着部は、電気剥離シートであり、
前記電気剥離シートはシート部と、電極と、を有し、
前記変化機構は、前記電極に電圧を付与して前記シート部に電流を流して前記粘着力を低下させる電圧付与部である
請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセンサモジュールと、
前記センサモジュールを把持するセンサモジュール把持部と、
を備える
センサモジュール設置器具。
【請求項4】
センサモジュール把持部は、前記センサを前記計測対象物側に押し付けて前記押圧力をさらに与える棒状部材をさらに備える
請求項3に記載のセンサモジュール設置器具。
【請求項5】
センサと、前記センサを保持して、前記センサを計測対象物側に押し付けて押圧力を与える押圧力付与部を有するセンサホルダと、粘着力で前記センサホルダを計測対象物に粘着する粘着部と、を有するセンサモジュールと、
前記センサモジュールを把持し、前記押圧力と前記粘着力との間の相対的な大小関係を変化させる変化機構を有するセンサモジュール把持部と、
を備える
センサモジュール設置器具。
【請求項6】
前記粘着部は、電気剥離シートであり、
前記電気剥離シートはシート部と、電極と、を有し、
前記変化機構は、前記電極に電圧を付与して前記シート部に電流を流して前記粘着力を低下させる電圧付与部である
請求項5に記載のセンサモジュール設置器具。
【請求項7】
前記押圧力付与部は、プランジャであり、
前記変化機構は、前記プランジャに接続して、所定のトルクを付与して前記押圧力を上昇させるプランジャ把持部である
請求項5に記載のセンサモジュール設置器具。
【請求項8】
前記押圧力付与部は、気体を内包した弾性体を有し、
前記変化機構は、前記気体を加熱して前記押圧力を上昇させるヒータである
請求項5に記載のセンサモジュール設置器具。
【請求項9】
前記変化機構は、前記粘着部に回転して挿入し前記粘着力を低下させるブレードをさらに有する
請求項3から請求項8のいずれか一項に記載のセンサモジュール設置器具。
【請求項10】
前記変化機構を操作する操作部を備える
請求項3から請求項9のいずれか一項に記載のセンサモジュール設置器具。
【請求項11】
前記センサモジュール把持部は、前記押圧力を上昇させる棒状部材をさらに備える
請求項3から請求項10のいずれか一項に記載のセンサモジュール設置器具。
【請求項12】
センサを保持したセンサホルダを計測対象物に取り付けるセンサモジュールの取付方法であって、
前記センサを前記計測対象物側に押し付けて押圧力を与えるステップと、
粘着力で前記センサホルダを前記計測対象物に粘着するステップと、
前記押圧力と前記粘着力との間の相対的な大小関係を変化させるステップと、
を備える
センサモジュールの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサモジュール、センサモジュール設置器具及びセンサモジュールの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、計測対象物の表面に設置して計測を行い、インフラの検査や診断などに活用するセンサが広く使用されている。特にAE(Acoustic Emission)センサを用いた計測は、計測中にセンサ面と計測対象物の表面との接触状態を保つ必要がり、接触状態の管理及び確認が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-190894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、センサ設置作業の負荷を低減することができるセンサモジュール、センサモジュール設置器具及びセンサモジュールの取付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のセンサモジュールは、センサと、センサホルダと、粘着部と、変化機構とを持つ。前記センサホルダは、前記センサを保持して、押圧力付与部を有する。前記押圧力付与部は、前記センサを計測対象物側に押し付けて押圧力を与える。前記粘着部は、粘着力で前記センサホルダを計測対象物に粘着する。前記変化機構は、前記押圧力と前記粘着力との間の相対的な大小関係を変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係るセンサモジュールの斜視図。
図2図1のセンサモジュールの電極に電圧が印加(付与)される前の断面図。
図3図1のセンサモジュールの電極に電圧が印加(付与)された後の断面図。
図4】第2の実施形態に係るセンサモジュール設置器具の側面図。
図5図4のセンサモジュール設置器具のセンサモジュールを拡大した図。
図6】第3の実施形態に係るセンサモジュール設置器具のセンサモジュールを拡大した断面図。
図7図6のセンサモジュール設置器具のA-A断面を上側からみた状態を示す図。
図8図6のセンサモジュール設置器具のブレードを粘着部に挿入した状態を示す図。
図9】第4の実施形態に係るセンサモジュール設置器具のセンサモジュールを拡大した断面図。
図10図9のセンサモジュール設置器具のセンサモジュールを計測対象物から取り外した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のセンサモジュール、センサモジュール設置器具及びセンサモジュールの取付方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るセンサモジュール1の斜視図である。
以下の説明において、鉛直方向をZ方向とし、センサモジュール1が計測対象物4に接触する接触面側を上側Z1とし、上側Z1と反対方向を下側Z2とする。また、Z方向に対して垂直な水平面上において、センサモジュール1の長手方向をX方向(左右方向)とし、一方を左側X1とし、他方を右側X2とする。さらに、X方向に直交するセンサモジュール1の短手方向をY方向として、一方を前側Y1とし、他方を後側Y2とする。
【0009】
以下、センサモジュール1の構成について説明する。
センサモジュール1は、計測対象物4にセンサ5を接着させて、センサ5の計測中に計測対象物4とセンサ5との接着を保持するための器具である。センサモジュール1は、図1に示すように、センサ5と、センサホルダ2と、粘着部3と、電圧印加部(変化機構)33とを備える。
【0010】
計測対象物4は、例えば、橋梁や建造物等の社会インフラ構造物である。計測対象物4は、下側Z2にセンサ5が接触して計測可能な計測面4aを備える。ここで、本実施形態では、計測面4aは、例えばZ方向においてセンサ5から見て上側Z1に備えられる。計測面4aは、X方向とY方向とに沿う水平面上に備えられた建造物等の天井面である。ただし、計測面4aは、特に限定されず、Z方向においてセンサ5から見て下側Z2に備えられた床面であってもよいし、X方向またはY方向に備えられた側壁面であってもよい。計測面4aは、どの方向に備えられていてもよい。
【0011】
以下、センサ5の構成について説明する。
センサ5は、本実施形態では、計測対象物4に接触させて、計測対象物4の亀裂や振動等を計測するAEセンサ(超音波トランスジューサ)等のセンサである。センサ5は、計測対象物と対向する面にセンサ面5aを備える。センサ面5aは、上側Z1に備えられる。センサ5は、センサ面5aにカプラント等の接触触媒等を介して接触する。センサ面5aは、計測中に計測対象物4の計測面4aと接触した状態に保たれるように設置される。また、センサ5は、センサ面5aと反対側の下側Z2に下面5bを備える。センサ5は、特にAEセンサに限定されず、従来公知のセンサを用いることができる。
【0012】
センサ5は、センサホルダ2によって保持され、計測対象物4の計測面4aと接触しない状態で、センサホルダ2よりもZ方向の上側Z1に任意の突出量だけ突出する。
【0013】
以下、センサホルダ2の構成について説明する。
図2は、図1のセンサモジュール1の電極32に電圧が印加(付与)される前の断面図である。図3は、図1のセンサモジュール1の電極32に電圧が印加(付与)された後の断面図である。
センサホルダ2は、図1または図2に示すように、センサホルダ本体6と押圧力付与部7とを備える。
【0014】
センサホルダ本体6は、センサ5を保持する。センサホルダ本体6は、センサ保持部61と、取付部62と、を備える。
【0015】
センサ保持部61は、図2に示すように、Y方向の前側Y1から見て上側Zに開口を有する略U字状に形成されている。センサ保持部61は、底部611と、左保持側壁612と、右保持側壁613と、を備える。
【0016】
底部611は、センサ保持部61の底である。底部611は、センサ5の下側Z2に備えられる。底部611は、X方向とY方向とに沿う水平面上に略板状に形成される。底部611は、Z方向に貫通する貫通孔611hを備える。貫通孔611hは、底部611の中心に備えられる。
【0017】
左保持側壁612は、センサ保持部61の左側X1の側壁である。左保持側壁612は、センサ5の左側X1に備えられる。左保持側壁612は、Z方向とY方向とに沿う水平面上に略板状に形成される。左保持側壁612は、底部611の左側X1の端部からZ方向の上側Z1に立設する。
【0018】
右保持側壁613は、センサ保持部61の右側X2の側壁である。右保持側壁613は、センサ5の右側X2に備えられる。右保持側壁613は、Z方向とY方向とに沿う水平面上に略板状に形成される。右保持側壁613は、底部611の右側X1の端部からZ方向の上側Z1に立設する。
【0019】
取付部62は、センサホルダ2と計測対象物4とが粘着部3を介して接触する部分である。取付部62は、Z方向においてセンサホルダ2の最上端となる。取付部62は、左取付部621と右取付部622とを備える。
【0020】
左取付部621は、X方向とY方向とに沿う水平面上に略板状に形成される。左取付部621は、右側X2の右端を左保持側壁612の上端612aに接続され、左側X1に向かって延在している。左取付部621は、上側Z1に粘着面621aを備える。左取付部621の大きさや形状は、特に限定されず、後述の電気剥離シート部31及び電極32が取付け可能な大きさであればよい。
【0021】
右取付部622は、X方向とY方向とに沿う水平面上に略板状に形成される。右取付部622は、左側X2の左端を右保持側壁613の上端613aに接続され、右側X2に向かって延在している。右取付部622は、上側Z1に粘着面622aを備える。右取付部622の大きさや形状は、左取付部621と同様に、特に限定されず、後述の電気剥離シート部31及び電極32が取付け可能な大きさであればよい。
【0022】
左取付部621と右取付部622とは、後述の粘着部3を介して、計測対象物4の計測面4aに接触する。本実施形態では、取付部62は、左取付部621と右取付部622とを両方備えているが、どちらか一方を備えていればよい。また、左取付部621と右取付部622との大きさ及び形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
押圧力付与部7は、センサ5を計測対象物4側である上側Z1に押し付けて押圧力Pを与える。押圧力付与部7は、例えば、任意のバネ定数をもつ弾性のバネである。押圧力付与部7は、Z方向の上側Z1に上端部7aを備え、下側Z2に下端部7bを備える。上端部7aには、上設置板71が備えられる。上設置板71は、センサホルダ2によってセンサ5が保持された状態で、センサ5の下面5bに当接する。押圧力付与部7の下端部7bには、下設置板72が備えられる。下設置板72は、センサホルダ本体6の底部611の貫通孔611hを除く部分において底部611に固定されている。なお、上設置板71と下設置板72とは、必須の構成ではない。押圧力付与部7は、複数備えられていてもよい。
【0024】
押圧力付与部7は、センサ5が計測対象物4に接着しない状態においてセンサ5に押圧力(復元力)Pを備えない。押圧力付与部7は、下側Z2に力を与えられると、上側Z1に反発する押圧力Pを発生する。
【0025】
押圧力付与部7は、図2に示すように、センサホルダ2によってセンサ5が保持され、センサ5と計測対象物4とが接触するとセンサ5が突出量分だけ下側Z2に移動する。このとき、押圧力付与部7は、Z方向においてセンサ5が上側Z1に突出していた突出量と同じ量だけ縮む。押圧力付与部7は、復元力として上側Z1に押圧力Pを与える。押圧力Pは、押圧力付与部7の復元力によってセンサ5に与えられる。なお、センサホルダ2は、押圧力Pの分だけ下側Z2に反発する力が与えられる。押圧力Pは、公知の計算式により、突出量とバネ係数に比例して大きくなったり小さくなったりする。なお、突出量とバネ係数とは、任意の実数を設定することができる。
【0026】
以下、粘着部3の構成について説明する。
粘着部3は、図1から図3に示すように、Z方向において粘着力Qでセンサホルダ2を計測対象物4に粘着する。粘着部3は、従来公知の電気剥離シートを用いる。粘着部3は、電気剥離シート部(シート部)31と、電極32とを有する。
【0027】
電気剥離シート部(シート部)31は、Z方向とY方向とに沿う水平面上に沿って形成されたシート状である。電気剥離シート部31は、電極32の第一電極321と第二電極322との間に備えられる。電気剥離シート部31は、図示しない粘着剤等で第一電極321に接着され、センサホルダ2と一体化する。接着剤は、例えば電気剥離シート部31が第一電極321から剥がれ落ちない程度の強固な粘着力があるのが好ましい。
【0028】
電極32は、図2または図3に示すように、Z方向とY方向とに沿う水平面上に沿って形成された導電性を有する被粘着体のシートである。導電性を有する被粘着体としては、例えば、アルミニウム、スズドープ酸化インジウム、銅、鉄、銀、白金、金等の金属やそれら金属の合金等が挙げられる。電極32は、第一電極321と第二電極322とを備える。なお、電極32は、少なくとも電気剥離シート部31と接触する部分、及び電圧印加部33の各端子を接触させる部分において導電性があり、これらの部分が導通していればよい。また、電極32は複数備えられていてもよい。
【0029】
第一電極321は、センサホルダ本体6の左取付部621の粘着面621aと右取付部622の粘着面622aとに備えられる。第一電極321は、図示しない粘着剤等で左取付部621と右取付部622と接着され、センサホルダ2と一体化する。第一電極321は、左取付部621と右取付部622とのいずれか一方に備えられていてもよい。
【0030】
第二電極322は、図示しない粘着剤等で計測対象物4の計測面4aに接着される。第二電極322は、第一電極321の上側Z1に配置される。第一電極321と電気剥離シート部31と第二電極は322とはZ方向において下側Z2から上側X1に向かってこの順に重なるように並ぶ。
【0031】
粘着部3は、第一電極321及び第二電極は322に電圧が印加(付与)されると、電気剥離シート部31に電流が流れる。電気剥離シート部31は、電極32から剥離する。ここで、粘着部3の電気剥離シート部31と第一電極321とは、センサホルダ2に一体化されている。そのため、粘着部3は電気剥離シート部31と第二電極322との間から剥離する。
【0032】
以下、電圧印加部(変化機構)33の構成について説明する。
電圧印加部(変化機構)33は、押圧力Pと粘着力Qとの間の相対的な大小関係を変化させる。電圧印加部33は、電極32に電位差を生じるように電圧を印加(付与)する。すると、電圧印加部33は、粘着部3の粘着力Qを低下させて弱くする。
【0033】
電圧印加部33は、陽極端子33pと陰極端子33qとを備える。電圧印加部33は、図2及び図3に示すように、センサホルダ2を計測対象物4に接触させて取り付けた状態で、各端子を電極32に接続させる。本実施形態では、陽極端子部33pは、第一電極321に電気的に接続される。陰極端子33qは、第二電極322に電気的に接続される。陽極端子33p及び陰極端子33qは反対であってもよい。
【0034】
例えば、電圧印加部33には、電圧の印加(付与)を操作するスイッチ330が備えられていてもよい。スイッチ330は、電圧印加部33を入状態と切状態に操作する。スイッチ330は、入状態のとき電圧印加部33と電極32とを電気的に接続する。スイッチ330は、切状態のとき電圧印加部33と電極32とを電気的に接続しない。
【0035】
本実施形態のセンサモジュール1は、押圧力P及び重力などを含む外力が一定である場合、粘着部3の粘着力Qの強弱を押圧力Pに対して相対的に変更して、センサ5及びセンサホルダ2を計測対象物4から着脱可能にする。粘着部3は、電圧印加部33により押圧力Pに対して粘着力Qの強弱を相対的に変更可能である。
【0036】
電圧印加部33は、図2に示すように、計測対象物4にセンサホルダ2に取付ける前及び計測対象物4にセンサホルダ2に取付けて計測する状態において、電極32に電圧を印加(付与)しない。このときの粘着力Qを第一粘着力Q1とする。第一粘着力Q1は、センサホルダ2が計測対象物4から外れないように維持できる粘着力である。具体的には、第一粘着力Q1は、押圧力付与部7が計測対象物4に与える押圧力Pによりセンサホルダ2に働く反発力、図示しないセンサ5及びセンサホルダ2等の重力及び計測中に発生する風や振動等の下側Z2に働く外力を含んだセンサホルダ2を計測対象物4から剥離する力(以下、剥離力とする)よりも相対的に強くなるように設定される。
【0037】
また、粘着部3は、図3に示すように、センサ5による計測が完了した際に、電圧印加部33のスイッチ330よって電圧を印加(付与)すると、電極32が通電する。粘着部3は、下側Z2の第一電極321と上側Z1の第二電極322との間に電圧が加わり電気剥離シート部31に電流が流れる。電気剥離シート部31は、電極32から剥離する。ここで、粘着部3の電気剥離シート部31と第一電極321とは、センサホルダ2に一体化されている。そのため、粘着部3は電気剥離シート部31と第二電極322との間から剥離する。そのため粘着部3の粘着力Qは低下する。このときの粘着力Qを第二粘着力Q2とする。第二粘着力Q2は、第一粘着力Q1よりも弱い。また、第二粘着力Q2は、剥離力よりも弱い。そのため、センサ5及びセンサホルダ2は、剥離力によって計測対象物4から取り外される。
【0038】
以下、センサモジュール1の作用について説明する。
センサモジュール1は、図2に示すように、計測対象物4に設置する。センサモジュール1の押圧力付与部7は、センサ5がセンサホルダ2によって保持されセンサ5と計測対象物4とが接触する状態において、Z方向の上側Z1に押圧力Pを備える。このとき、例えば、粘着部3がない場合には、センサ5及びセンサモジュール1は、重力などによって落下してしまう。本実施形態では、粘着部3を備えることで、センサモジュール1を計測対象物4に粘着させて、センサ5及びセンサモジュール2の保持状態を維持する。粘着部3は、第一粘着力Q1をもつ。第一粘着力Q1は、上述の剥離力も強い。第一粘着力Q1は、センサホルダ2が計測対象物4から外れないように維持できる粘着力である。なお、この状態において粘着部3の電圧印加部33のスイッチ330は、切状態であり、電極32に電圧を印加(付与)しない。センサ5は、以上の構成において亀裂や振動等の計測を行う。
【0039】
センサモジュール1は、図3に示すように、センサ5の計測が完了し、取り外す際に、粘着部3の電圧印加部33のスイッチ330を入状態にする。すると粘着部3の電圧印加部33は、電極32に電圧を印加(付与)する。第一電極321と、第二電極322との間には電圧がかかり、Z方向において間に挟まれた電気剥離シート部31には電流が流れる。電気剥離シート部31は、電極32から剥離する。ここで、粘着部3の電気剥離シート部31と第一電極321とは、センサホルダ2に一体化されている。そのため、粘着部3は電気剥離シート部31と第二電極322との間から剥離する。粘着部3の粘着力Qは低下し、第二粘着力Q2となる。第二粘着力Q2は、上述の剥離力よりも相対的に弱い。そのため、センサ5及びセンサホルダ2は、剥離力によって計測対象物4から取り外される。
【0040】
本実施形態によれば、センサ保持部61の底部611が、Z方向に貫通する貫通孔611hを備えるため、貫通孔611hから手や棒状部材等でセンサ5を上側Z1に押し込み、センサ5のセンサ面5aと計測対象物4の計測面4aとを確実に接着し、密着性を高めることができる。また、押圧力付与部7及び下設置板72が、底部611と同様に、Z方向において貫通孔611hと重なる位置に、Z方向に貫通する孔を有している場合は、図示しないセンサ5の電源ケーブル等を貫通孔611hに挿通させることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、センサホルダ2のセンサホルダ本体6が、取付部62を備えているため、センサ5に直接接着剤や接着テープ等を取り付けなくても、重力によって落下することなく天井面である計測面4aにセンサ5を取り付けることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、センサホルダ2が押圧力付与部7を備えることで、センサ5を計測対象物4に押圧力Pを与えて押し付けることができる。そのため、センサ5は、計測対象物4が振動してもセンサ面5aを計測面4aに接触させた状態を維持して計測することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、センサモジュール1は、押圧力付与部7によってセンサ5を計測対象物4に押圧力Pを与えて押し付けつつ、粘着部3によってセンサ5及びセンサホルダ2を粘着させて、計測対象物4から外れないように維持できる。
【0044】
また、本実施形態によれば、電圧印加部33により剥離力に対して、粘着部3の粘着力Qを第一粘着力Q1から第二粘着力Q2にする。つまり電圧印加部33は、粘着部3の粘着力Qの強弱を変更可能である。そのため、センサ5及びセンサホルダ2を計測対象物4から着脱可能に構成することができる。さらにセンサモジュール1は、押圧力Pと粘着力Qとの関係を簡便に管理することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、粘着部3に電気剥離シートを用いることで電圧を印加(付与)することにより短時間でセンサ5及びセンサホルダ2を対象計測物4から取り外すことができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、センサ設置作業の負荷を軽減して、容易にセンサ5を計測対象物4から取り外すことができる。また、センサモジュール1は電気剥離シートを張り替えるのみで繰り返し使用できるため、低コストで安定したセンサ設置作業を行うことができる。
【0047】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態についてセンサモジュールを備えたセンサモジュール設置器具を図4及び図5を参照して説明する。
これらの図において、図1から図3に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図4は、第2の実施形態に係るセンサモジュール設置器具10Aの側面図である。図5は、図4のセンサモジュール設置器具10Aのセンサモジュール1Aを拡大した図である。
センサモジュール設置器具10Aは、センサモジュール把持部8Aとセンサモジュール1Aとを有する。
【0049】
以下、センサモジュール把持部8Aの構成について説明する。
センサモジュール把持部8Aは、図4に示すように、センサモジュール1Aを把持して取り外しをすることができる。ここで、センサモジュール把持部8Aは、Z方向に沿う中心軸線Jを備える。センサモジュール把持部8Aは、支持部81と、カップ部82と、電圧印加部(変化機構)33Aと、棒状部材83と、を有する。
【0050】
支持部81は、上側Z1に備えられたカップ部82を支持する。支持部81は、中心軸線Jに沿って延在し、略棒筒状に形成される。支持部81は、後述の棒状部材や、配線ケーブル等が挿通可能な空洞部81hを内部に有する。支持部81は、支持部81は、側面に操作部84を備える。
【0051】
操作部84は、電圧印加部33Aのスイッチ330を操作可能である。操作部84は、支持部81の下側Z2に取り付けられる。操作部84は、無線によって遠隔で電圧印加部33Aのスイッチ330を操作してもよいし、有線ケーブルを用いて電圧印加部33Aに対して電気的に接続してもよい。
【0052】
カップ部82は、センサモジュール1Aを把持する。カップ部82は、第一カップ部821と、第一カップ部822と、を備える。
【0053】
第一カップ部821は、支持部81の上側Z1に備えられる。第一カップ部821は、Z方向の上側Z1が開口された凹部821aを有する。第一カップ部821は、中心軸線Jに沿う周方向に略カップ状に形成される。凹部821aは、第二カップ部822とセンサモジュール1Aとを把持できる程度の大きさに形成される。第一カップ部821は、下側Z2に貫通孔821hを備える。貫通孔821hの径は、後述の棒状部材83の外径よりも大きい。
【0054】
支持部81は、第一カップ部821の下面821bに対して上端部81aを基点として下面821bと支持部81とがなす角度を自由に変更することができる。そのため、本実施形態によれば、センサモジュール把持部8Aは、カップ部82に設置されたセンサモジュール1Aを柔軟な角度で計測対象物4に添わせることができる。
【0055】
第二カップ部822は、第一カップ部821よりも上側Z1に備えられる。第二カップ部822は、下側Z2を第一カップ部821に固定される。第二カップ部822は、第一カップ部821と同様にZ方向の上側Z1が開口された凹部822aを有する。第二カップ部822は、中心軸線Jに沿う周方向に略カップ状に形成される。凹部822aは、センサモジュール1Aを把持できる程度の大きさに形成される。第二カップ部822は、下側Z2に貫通孔822hを備える。貫通孔822hは、貫通孔821hと同じ大きさであってもよいし、後述の棒状部材83が貫通できる程度の孔であってもよい。第二カップ部822は、貼付部823を備える。なお、第一カップ部821と、第一カップ部822とは一体化されていてもよい。
【0056】
電圧印加部(変化機構)33Aは、押圧力Pと粘着力Qとの間の相対的な大小関係を変化させる。電圧印加部33Aは、第1の実施形態のセンサモジュール1に備える電圧印加部33と同様の構成である。上述の電圧印加部33Aは、例えば第二カップ部822の側面に備えられる。電圧印加部33Aは、図5に示すように、センサモジュール1Aを計測対象物4に取り付けた状態で、センサモジュール把持部8Aをセンサモジュール1Aと計測対象物4とに近づける。このとき電圧印加部33Aは、各端子を電極32に接触させる。電圧印加部33Aの入切のスイッチ330は、操作部84によって操作される。
【0057】
貼付部823は、第二カップ部822の上側Z1の上面に備えられる。第一粘着力Q1よりも小さく、第二粘着力Q2よりも大きい粘着力を有する粘着テープである。貼付部823は、第二カップ部822の上面の一部に貼りつけてもよいし、全体に貼りつけてもよい。
【0058】
棒状部材83は、支持部81の空洞部81hに挿通される。棒状部材83は、Z方向に進退可能に設置されている。棒状部材83の上端部83aは、センサモジュール1Aの貫通孔611hから挿通し、下設置板72を介してセンサ5を計測対象物4側である上側Z1に押し込む。作業者は、支持部81を持った状態で棒状部材83を上下に進退させることで、例えば、センサ5に更に押圧力Pを加えることができる。そのため、棒状部材83は、押圧力Pを加えることによりセンサ5と計測対象物4とを確実に接着し、計測対象物4を正確に計測することができる。
【0059】
センサモジュール1Aの構成については、センサモジュール1Aが第1の実施形態のセンサモジュール1に備える電圧印加部33を備えていないことを除き、第1の実施形態と同様の構成である。なお、センサモジュール1Aの中心軸は、センサモジュール把持部8Aの中心軸線Jと略一致する。
【0060】
以下、センサモジュール設置器具10Aの作用について説明する。なお、センサモジュール1Aの作用については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
センサモジュール把持部8Aは、カップ部82によってセンサモジュール1Aを把持した状態で、センサモジュール1Aを計測対象物4の計測面4aまで移動する。センサモジュール1Aは、計測対象物4の計測面4aにおいて、粘着部3により粘着されて計測対象物4に取り付けられる。このとき、作業者により棒状部材83をZ方向に進退させてセンサ5を押し付けることにより、より確実にセンサモジュール1Aを設置することができる。
【0062】
センサモジュール1Aを計測対象物4の計測面4aに設置した後は、センサモジュール把持部8Aのみ取り除かれる。
【0063】
センサモジュール1Aは、センサ5の計測が完了し、取り外す際に、センサモジュール把持部8Aによって把持される。このとき電圧印加部33Aの各端子を電極32に接触させて電気的に接続する。操作部84により粘着部3の電圧印加部33Aのスイッチ330を入状態にすると、粘着部3は、第1の実施形態と同様に上下2つの電極32間に電圧をかけることができる。電極32間に電圧をかけることにより、電気剥離シート部31に電圧を加えて粘着力Qを第二粘着力Q2に低下させ、センサモジュール1Aを取り外すことができる。
【0064】
本実施形態によれば、作業を行う作業者が支持部81を持つことで、上側Z1に備えるカップ部82にセンサモジュール1Aを設置し、容易に高所の天井にセンサモジュール1Aを取り付けることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、作業者が、再度センサモジュール把持部8Aを用いて、手の届かない天井面などの高い位置からセンサモジュール1Aを容易に取り外すことができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、センサホルダ2が押圧力付与部7を備えることで、センサ5を計測対象物4に押圧力Pを与えて押し付けることができる。そのため、センサ5は、計測対象物4が振動してもセンサ面5aを計測面4aに接触させた状態を維持して計測することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、センサモジュール1Aは、押圧力付与部7によってセンサ5を計測対象物4に押圧力Pを与えて押し付けつつ、粘着部3によってセンサ5及びセンサホルダ2を粘着させて、計測対象物4から外れないように維持できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、電圧印加部33により剥離力に対して、粘着部3の粘着力Qを第一粘着力Q1から第二粘着力Q2にする。つまり電圧印加部33は、粘着部3の粘着力Qの強弱を変更可能である。そのため、センサ5及びセンサホルダ2を計測対象物4から着脱可能に構成することができる。さらにセンサモジュール1Aは、押圧力Pと粘着力Qとの関係を簡便に管理することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、操作部84が支持部81に取り付けられるため、支持部81を持つ作業者が容易に上側Z1に備えるセンサモジュール1Aの電圧印加部33Aのスイッチ330を操作することができる。そのため、Z方向に高い天井など、作業者の手の届かない範囲へセンサモジュール1Aの設置をしても容易に電圧印加部33Aを操作することができる。また、センサモジュール1Aは、短時間でセンサ5及びセンサホルダ2を対象計測物4から取り外すことができる。
【0070】
本実施形態によれば、カップ部82は、貼付部823を備えるため、センサモジュール1Aを取り付ける際にカップ部82からセンサモジュール1Aが外れてしまうのを抑制することができる。また、貼付部823の粘着力は、第一粘着力Q1よりも小さい。そのため、センサモジュール1Aを計測対象物4の計測面4aに押し付け、センサモジュール1Aと計測対象物4との間で十分強い第一粘着力Q1が形成された場合には、センサモジュール把持部8Aのみを取り外し、センサモジュール1Aを計測対象物4に設置することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、センサモジュール1Aと計測対象物4の計測面4aとの間の粘着力が第二粘着力Q2となる場合、センサモジュール1Aを容易に計測対象物4から取り外すことができる。
【0072】
(変形例)
電圧印加部は、センサモジュール把持部ではなくセンサモジュールに備えていてもよい。
【0073】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態についてセンサモジュールを備えたセンサモジュール設置器具を図6から図8を参照して説明する。
これらの図において、図1から図5に示す第1の実施形態及び第2の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
図6は、第3の実施形態に係るセンサモジュール設置器具10Bのセンサモジュール1Bを拡大した断面図である。図7は、図6のセンサモジュール設置器具10BのA-A断面を上側Z1からみた状態を示す図である。図8は、図6のセンサモジュール設置器具10Bのブレード92を粘着部3Bに挿入した状態を示す図である。
センサモジュール設置器具10Bは、センサモジュール把持部8Bとセンサモジュール1Bとを有する。センサモジュール把持部8Bは、支持部81と、カップ部82と、変化機構9と、棒状部材83と、を有する。また、支持部81は、操作部84Bを備える。操作部84Bは、後述のプランジャ把持部91の回転の入切のスイッチを操作可能な操作部841Bと、ブレード92の回転の入切のスイッチを操作可能な操作部842Bとを備える。
【0075】
以下、変化機構9の構成について説明する。
変化機構9は、押圧力Pと粘着力Qとの間の相対的な大小関係を変化させる。変化機構9は、プランジャ把持部91とブレード92とを備える。
【0076】
プランジャ把持部91は、後述のプランジャ7Bに所定のトルクを付与する。プランジャ把持部91は、第二カップ部822の凹部822aの底部に備えられる。プランジャ把持部91は、操作部841Bによって回転され、プランジャ7Bに所定のトルクを付与する。プランジャ把持部91の大きさや形状については、特に限定されず、プランジャ7Bを把持してトルクを付与できればよい。また、プランジャ把持部91は、手動で回転させてもよい。
【0077】
ブレード92は、図7及び図8に示すように、粘着部3Bに対して挿入可能に備えられている。ブレード92は、図7に示すように、中心軸線Jに沿う周方向の一方側に刃先920を備え、刃先920を一辺として略三角形状に形成されている。ブレード92は、例えば二つ備えられており、中心軸線Jを挟んで左側X1と右側X2との両側に形成される。ブレード92の基端部92aは、第二カップ部822の凹部822aの上縁部に接続される。ブレード92は、図7に示すように、基端部92aから先端部92bにかけて中心軸線Jの周方向における幅が小さくなるように形成される。また、ブレード92は、図8に示すように、基端部92aから先端が中心軸線Jを向くように延在する。ブレード92は、センサモジュール把持部8Bの操作部842Bによって中心軸線Jに沿う周方向の一方側に回転すると、周方向の一方側から粘着部3Bに刃先920を挿入する。すると、ブレード92は、粘着部3Bに挿入して粘着部3Bを削り、粘着力Qを低下させて弱くする。なお、ブレード92の個数は、特に限定されない。また、ブレード92の大きさや形状は、特に限定されない。ブレード92は、例えば中心軸線Jに沿う周方向に沿って全体に形成された略ドーナツ状であってもよい。また、刃先920は必須の構成ではない。
【0078】
以下、センサモジュール1Bの構成について説明する。
センサモジュール1Bは、図6に示すように、センサ5と、センサホルダ2Bと、粘着部3Bと、を備える。センサ5は、第1~第2の実施形態と同様の構成である。
【0079】
以下、センサホルダ2Bの構成について説明する。
センサホルダ2Bは、図6に示すように、センサホルダ本体6とプランジャ(押圧力付与部)7Bとを備える。センサホルダ本体6は、第1の実施形態と同様の構成である。ここで、センサ保持部61の底部611の備える貫通孔611hは、後述のプランジャ7Bと螺合する雌ネジ部611fを内側面に備えたねじ孔である。
【0080】
プランジャ(押圧力付与部)7Bは、貫通孔611hに備えられる。プランジャ7Bは、貫通孔611hの雌ネジ部611fと螺合する雄ネジ部7Bfを備える。プランジャ7Bは、貫通孔611hに螺合してZ方向に進退可能である。プランジャ7Bは、Z方向に進退してセンサ5に押圧力Pを与える。
【0081】
プランジャ7Bは、本実施形態では、Z方向において中間に貫通孔611hがくるようにセンサホルダ本体6に備えられる。また、プランジャ7Bは、上側Z1にはセンサ5が載置される。このとき、センサ5とセンサホルダ2Bとの上面が略同じ高さになる。センサモジュール1Bは、この状態で計測対象物4に取り付けられる。なお、上記に限定されず、センサホルダ2Bとの上面よりもセンサ5が下側Z2に載置されていればよい。
【0082】
プランジャ7Bは、Z方向の上側Z1に前進すると、プランジャ7Bの上側Z1に備えた先端部7Baによってセンサ5を押し込むことができる。このときプランジャ7Bは、センサ5を計測対象物4に押し付けて押圧力Pを与える。この時の押圧力Pを第一押圧力PB1とする。また、プランジャ7Bは、センサ5を計測対象物4に押し付けて第一押圧力PB1よりも強い第二押圧力PB2を与える。第二押圧力PB2は、後述の第一粘着力QB1よりも強い。また、プランジャ7Bは、Z方向の下側Z2に後退すると、与えていた各押圧力Pを弱めることができる。ここで、プランジャ7BのZ方向の長さは、特に限定されないが、上側Z1に前進してセンサ5を押し込んだ状態で、プランジャ7Bの下側Z2が十分に貫通孔611hから十分に突出して後述のプランジャ把持部91によってトルクを付与できる程度の長さを備えているのが好ましい。
【0083】
プランジャ把持部91は、中心軸線Jに沿う周方向においてプランジャ7Bを一方側W1に回すとプランジャ7BをZ方向の上側Z1に前進させる。プランジャ7Bは、センサ5を押し込み、押圧力Pを与えることができる。また、プランジャ把持部91は、中心軸線Jに沿う周方向において一方側と反対方向の他方側W2にプランジャ7Bを回すとプランジャ7Bを後退させる。すると、プランジャ7Bは、押圧力Pを低下させて弱くすることができる。ただし、回転の方向は特に限定されず、一方側W1と他方側W2とが反対に構成されていてもよい。
【0084】
以下、粘着部3Bの構成について説明する。
粘着部3Bは、例えば従来公知の粘着剤または粘着テープを用いる。粘着部3Bは、センサホルダ2Bと計測対象物4の計測面4aとの間に備えられる。粘着部3Bは、あらかじめセンサホルダ2Bまたは計測対象物4の計測面4aに塗布または貼り付けられ、センサ5及びセンサホルダ2Bを取り付けた時に、第一押圧力PB1を含む剥離力よりも強い第一粘着力QB1でセンサホルダ2Bを計測対象物4に粘着する。なお、粘着部3BはZ方向においてブレード92が挿入できる程度の高さを有するのが好ましい。粘着部3Bは、ブレード92によって削られると、粘着力Qが第一押圧力PB1よりも弱い第一粘着力QB2となる。
【0085】
本実施形態のセンサモジュール1Bは、上述の実施形態と同様に、計測対象物4に対して押圧力Pと粘着力Cとの間の相対的な大小関係を変化させて、センサ5及びセンサホルダ2を計測対象物4から着脱することができる。
【0086】
本実施形態では、プランジャ7Bは、粘着部3Bの粘着力Qが一定である場合に、押圧力Pの大小関係を変化させてセンサ5及びセンサホルダ2Bを計測対象物4から着脱可能に構成することができる。プランジャ7Bは、センサ5を計測対象物4に押し付けて第一押圧力PB1を与えることができる。第一押圧力PB1は、第一粘着力QB1よりも弱い。また、プランジャ7Bはさらにセンサ5を計測対象物4に押し付けて第二押圧力PB2を与えることができる。第一押圧力PB1よりも強く、第一粘着力QB1よりも強い。そのため、センサ5及びセンサホルダ2Bは、剥離力によって計測対象物4から取り外すことができる。
【0087】
また、本実施形態では、粘着部3Bは、プランジャ7Bの押圧力Pが一定である場合に、粘着力Qの大小関係を変化させてセンサ5及びセンサホルダ2Bを計測対象物4から着脱可能に構成することができる。粘着部3Bは、変化機構9のブレード92が回転して挿入することにより、粘着部3Bの粘着力Qを低下して弱くすることができる。粘着部3Bは、上述の第一押圧力PB1よりも強い第一粘着力QB1を有する。具体的には、計測対象物4にセンサホルダ2Bに取付ける前及び計測対象物4にセンサホルダ2Bに取付けたのち、プランジャ7Bは第一押圧力PB1を与える。粘着部B3は、第一押圧力PB1を含む剥離力よりも強い第一粘着力QB1を有する。第一粘着力QB1は、センサホルダ2が計測対象物4から外れないように維持できる粘着力である。
【0088】
また、ブレード92は、センサ5による計測が完了した際に、周方向の一方側から粘着部3Bに刃先920を挿入する。ブレード92は、粘着部3Bに対して挿入したのち回転され、粘着部3Bをはがし粘着力Qを低下させて弱くする。このとき粘着部3Bの第二粘着力QB2となる。第二粘着力QB2は、第一粘着力QB1よりも弱い。また、第二粘着力QB2は、剥離力よりも弱い。そのため、センサ5及びセンサホルダ2Bは、剥離力によって計測対象物4から取り外すことができる。以上のように、粘着部3Bは、ブレード92により押圧力Pに対して粘着力Qの強弱を変更可能にすることができる。
【0089】
本実施形態によれば、プランジャ7Bが、Z方向の上側Z1に前進してセンサ5に押圧力Pを与えることができる。そのため、センサ5は、計測対象物4が振動してもセンサ面5aを計測面4aに接触させた状態を維持して計測することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、プランジャ7Bが、Z方向の下側Z2に後退してセンサ5に与えた押圧力Pを低下して弱めることができる。そのため、センサ5に押圧力Pを与えすぎた場合にプランジャ把持部91を調節して、センサ5に適度な押圧力Pを与えることができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、センサモジュール設置器具10Bは、プランジャ7Bによってセンサ5を計測対象物4に第一押圧力PB1を与えて押し付けつつ、粘着部3Bによってセンサ5及びセンサホルダ2Bを粘着させて、計測対象物4から外れないように維持できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、センサモジュール設置器具10Bは、プランジャ7Bによってさらにセンサ5を計測対象物4に第一粘着力QB1よりも強い第二押圧力PB2を与えてセンサ5及びセンサホルダ2Bを、計測対象物4から外すことができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、ブレード92が、回転可能であり、粘着部3Bに対して挿入可能に備えられている。そのため、ブレード92が、粘着部3Bに対して挿入したのち回転して、粘着部3Bの粘着力を低下させて弱くし、容易にセンサモジュール1Bを取り外すことができる。
【0094】
本実施形態によれば、押圧力付与部7Cまたは粘着部3Bは、力の強弱を相対的に変更可能である。そのため、センサモジュール設置器具10Bは、センサ5及びセンサホルダ2を計測対象物4から着脱可能に構成することができる。さらにセンサモジュール設置器具10Bは、押圧力Pと粘着力Qとの関係を簡便に管理することができる。
【0095】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態についてセンサモジュールを備えたセンサモジュール設置器具を図9及び図10を参照して説明する。
これらの図において、図1から図8に示す第1~第3の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0096】
図9は、第4の実施形態に係るセンサモジュール設置器具10Cのセンサモジュール1Cを拡大した断面図である。図10は、図9のセンサモジュール設置器具10Cのセンサモジュール1Cを計測対象物4から取り外した状態を示す図である。
センサモジュール設置器具10Cは、センサモジュール把持部8Cとセンサモジュール1Cとを有する。センサモジュール把持部8Cは、支持部81と、カップ部82と、ヒータ部(変化機構)9Cと、棒状部材83と、を有する。また、支持部81は、操作部84Cを備える。操作部84Cは、ヒータ部9Cの加熱の入切のスイッチを操作可能である。
【0097】
ヒータ部9Cは、第二カップ部822に内蔵される。ヒータ部9Cは、操作部84Cによって操作される。すると、ヒータ部9Cは、公知の技術により第二カップ部822の凹部822aを加熱して、外部よりも高い温度に保つ。
【0098】
以下、センサモジュール1Cの構成について説明する。
センサモジュール1Cは、図6に示すように、センサ5と、センサホルダ2Cと、粘着部3Bと、を備える。粘着部3Bは、第3の実施形態と同様の構成であり、センサホルダ2Cが計測対象物4から外れないように維持できる第一粘着力QB1を備える。センサ5は、第1~第3の実施形態と同様の構成である。
【0099】
以下、センサホルダ2Cの構成について説明する。
センサホルダ2Cは、図9または図10に示すように、センサホルダ本体6と押圧力付与部7Cとを備える。センサホルダ本体6は、第1~第3の実施形態と同様の構成である。
【0100】
押圧力付与部7Cは、気体を内包した弾性体である。押圧力付与部7Cは、センサ保持部61の底部611に載置される。内包された気体は、特に限定されないが、本実施形態では、空気が内包されている。押圧力付与部7Cは、例えば球体状に形成される。なお、押圧力付与部7Cの形状は特に限定されない。また押圧力付与部7Cの大きさは特に限定されないが、弾性変形してZ方向に縮み、X方向またはY方向に延びた時に余裕があるように、X方向またはY方向において底部611よりも幅が小さく形成するのが好ましい。
【0101】
押圧力付与部7Cは、図10に示すように、センサ5が上側Z1に載置された状態で、Z方向においてセンサ5がセンサホルダ2Cよりも上側Z1に任意の突出量だけ突出する。センサモジュール1Cは、図9に示すように、この状態で計測対象物4に取り付けられるとセンサ5が突出量だけ下側Z2に移動し、弾性体の押圧力付与部7Cは、突出量だけZ方向に弾性変形する。このとき、押圧力付与部7Cは、復元力によりセンサ5を計測対象物4に押し付けて第一押圧力PC1を与える。
【0102】
センサモジュール1Cを取り外す際は、センサモジュール1Cのセンサ保持部61がセンサモジュール把持部8Cの第二カップ部822の凹部822aに収容される。このとき押圧力付与部7Cも第二カップ部822の凹部822aに収容される。第二カップ部822に内蔵されたヒータ部9Cによって第二カップ部822の凹部822aが加熱されると、押圧力付与部7Cに内包した気体が熱膨張する。押圧力付与部7Cは、気体が熱膨張する分だけ弾性変形して、センサ5に対して第一押圧力PC1よりも強い第二押圧力PC2を与える。本実施形態では、第二押圧力PC2は、第一粘着力QB1よりも強い。
【0103】
以下、センサモジュール1Cの作用について説明する。
センサモジュール1Cは、計測対象物4に設置する。センサモジュール1Cは、センサホルダ2Cによってセンサ5を保持する。この状態において押圧力付与部7Cは、図9に示すように、センサ5に第一押圧力PC1を与えることができる。このとき、センサホルダ2Cは、粘着部3Bによって計測対象物4に粘着され、保持状態を維持される。このとき、粘着部3Bは、第一粘着力QB1をもつ。第一粘着力QB1は、上述の剥離力よりも強い。第一粘着力QB1は、センサホルダ2Cが計測対象物4から外れないように維持できる粘着力である。センサ5は、以上の構成において亀裂や振動等の計測を行う。
【0104】
センサモジュール1Cは、センサ5の計測が完了し、取り外す際に、ヒータ部9Cによって第二カップ部822の凹部822aを加熱する。すると、押圧力付与部7Cに内包した気体が熱膨張する。押圧力付与部7Cは、気体が熱膨張する分だけ弾性変形して、センサ5に対して第一押圧力PC1よりも強い第二押圧力PC2を与える。第二押圧力PC2は、第一粘着力QB1よりも強い。そのため、センサ5及びセンサホルダ2Bは、計測対象物4から取り外すことができる。
【0105】
本実施形態によれば、押圧力付与部7Cは、弾性体であるため、弾性変形して上側Z1に突出したセンサを計測対象物4に押し付けるとともに、復元力により押圧力Pを与えることができる。そのため、センサ5は、計測対象物4が振動してもセンサ面5aを計測面4aに接触させた状態を維持して計測することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、押圧力付与部7Cによってセンサ5を計測対象物4に第一押圧力PC1を与えて押し付けつつ、粘着部3Bによってセンサ5及びセンサホルダ2Cを粘着させて、計測対象物4から外れないように維持できる。
【0107】
また、本実施形態によれば、ヒータ部9Cによって押圧力付与部7Cに内包した気体が熱膨張する。押圧力付与部7Cは、気体が熱膨張する分だけ弾性変形して、センサ5に対して第一粘着力QB1よりも強い第二押圧力PC2を与えることができる。そのため、容易にセンサモジュール1Cを取り外すことができる。
【0108】
(変形例)
上述の実施形態のセンサホルダ本体は、底部にセンサの重心が来るようなカップ状で形成されていてもよい。この構成により、センサが、落下してしまう恐れを削減することができる。また、センサモジュールは常にセンサがセンサモジュールから脱落しないように設計されるのが望ましい。
【0109】
また、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態の粘着部は、加熱やUV照射により粘着力が低下することで、剥離可能な粘着シートであってもよい。
【0110】
また、上述の第4の実施形態の変化機構はヒータ部であったが、ヒータ部でなく、押圧力付与部7Cにさらに気体を内部に送り込む送込部を変化機構としてもよい。送込部は、例えば押圧力付与部7Cにチューブ等を接続し、チューブを通して気体を送り込む。送込部は、例えばエアーコンプレッサーや、自転車の空気入れ等である。この場合においても、押圧力付与部7Cは、気体が増幅する分だけ膨張して、センサ5に対して第一粘着力QB1よりも強い第二押圧力PC2を与えることができる。そのため、容易にセンサモジュール1Cを取り外すことができる。
【0111】
上述の実施形態では、本発明の構成を採用するセンサモジュールまたはセンサモジュール設置器具として、AEセンサを用いた例を例示した。しかしながら、本発明の構成はその他のセンサに採用されていてもよい。
【0112】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、前記押圧力と前記粘着力との間の相対的な大小関係を変化させる変化機構を持つことにより、センサ設置作業の負荷を低減することができる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0114】
10A、10B、10C…センサモジュール設置器具、1、1B、1C…センサモジュール、2、2B、2C…センサホルダ、3、3B…粘着部、31…電気剥離シート部(シート部)、32…電極、33、33A…電圧印加部(変化機構)、4…計測対象物、5…センサ、6…センサホルダ本体、61…センサ保持部、62…取付部、7、7C…押圧力付与部、7B…プランジャ(押圧力付与部)、8A、8B、8C…センサモジュール把持部、81…支持部、82…カップ部、83…棒状部材、84、84B、84C…棒状部材、9…変化機構、9C…ヒータ部(変化機構)、91…プランジャ把持部、92…ブレード、330…スイッチ、P…押圧力、Q…粘着力
図1
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図10