(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】ヘテロアリールスルホンをベースとするコンジュゲーションハンドル、これらの調製のための方法、および抗体薬物コンジュゲートの合成におけるこれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 47/64 20170101AFI20240917BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240917BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240917BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240917BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20240917BHJP
C07K 1/113 20060101ALI20240917BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20240917BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240917BHJP
【FI】
A61K47/64
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/02
A61K47/65
C07K1/113
C07K16/30
A61K47/60
(21)【出願番号】P 2022102984
(22)【出願日】2022-06-27
(62)【分割の表示】P 2017147506の分割
【原出願日】2017-07-31
【審査請求日】2022-06-27
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ジョージ ダッシン
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ エー. アブラミテ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エム, カサヴァント
(72)【発明者】
【氏名】イエ チェ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー フレデリック フィルツェン
(72)【発明者】
【氏名】マーク フラナガン
(72)【発明者】
【氏名】アダム マシュー ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】ルディヴィン モイネ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジョン オドネル
(72)【発明者】
【氏名】リー アール. ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー スター
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス エヌ.トゥミー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピー. ウッチェロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ヤング
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/144878(WO,A1)
【文献】Angewandte Chemie International Edition,2013年,Vol.52,No.48,pp.12592-12596
【文献】Bioconjugate Chemistry,2014年,Vol.25,pp.1402-1407
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物
[式中、
Hetは、
【化2】
からなる群から選択され、ここで、Hetはヘテロ原子に隣接する炭素原子を介してSに結合しており、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、2、3、4、または5であり、
pは、0、1、または2であり、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
rは、0、1、または2であり、
sは、0、1、または2であり、
tは、0または1であり、
wは、1であり、
Eは、次のとおり定義され:
・rが2であり、sが1または2である場合、各Eは、-C(R
1)
2-、-O-C(R
1)
2-C(R
1)
2-、および-C(R
1)
2-C(R
1)
2-O-からなる群から独立に選択され、
・rが2であり、sが0である場合、各Eは、-C(R
1)
2-、および-O-C(R
1)
2-C(R
1)
2-からなる群から独立に選択され、
・rが0または1であり、sが1または2である場合、各Eは、-C(R
1)
2-、および-C(R
1)
2-C(R
1)
2-O-からなる群から独立に選択され、
・rが0または1であり、sが0である場合、各Eは、独立に、-C(R
1)
2-である;
各R
1は、H、C
1~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキル、C
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルケニル、およびC
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキニルからなる群から独立に選択され、
R
2は、ハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
1~C
10アルキル、またはハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
5~C
12アリールであり、
各Xは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Xは、同じであるか、または異なり、
各Yは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Yは、同じであるか、または異なり、
各Zは、独立に、スペーサー要素であり、各スペーサー要素は、同じであるか、または異なり、
Dは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール、-(OCH
2CH
2)p-
H、-CO
2H、-NH
2、OH、-N
3、
【化3】
細胞毒性剤、ペプチド、タンパク質、核酸、成長因子、抗ウイルス剤、免疫学的薬剤、およびフルオロフォアもしくは他の造影剤からなる群から選択され、
Rは、独立にHまたはC
1~C
6アルキルである]。
【請求項2】
式(II)の化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物
[式中、
Pは、少なくとも1個の天然もしくは操作されたシステイン残基を含むペプチド配
列であり、
Sは、P内の硫黄原子であり、
Hetは、
【化5】
からなる群から選択され、ここで、Hetはヘテロ原子に隣接する炭素原子を介してSに結合しており、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、2、3、4、または5であり、
pは、0、1、または2であり、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
rは、0、1、または2であり、
sは、0、1、または2であり、
tは、0または1であり、
wは、1であり、
Eは、次のとおり定義され:
・rが2であり、sが1または2である場合、各Eは、-C(R
1)
2-、-O-C(R
1)
2-C(R
1)
2-、および-C(R
1)
2-C(R
1)
2-O-からなる群から独立に選択され、
・rが2であり、sが0である場合、各Eは、-C(R
1)
2-、および-O-C(R
1)
2-C(R
1)
2-からなる群から独立に選択され、
・rが0または1であり、sが1または2である場合、各Eは、-C(R
1)
2-、および-C(R
1)
2-C(R
1)
2-O-からなる群から独立に選択され、
・rが0または1であり、sが0である場合、各Eは、独立に、-C(R
1)
2-である;
各R
1は、H、C
1~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキル、C
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルケニル、およびC
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキニルからなる群から独立に選択され、
各Xは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Xは、同じであるか、または異なり、
各Yは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Yは、同じであるか、または異なり、
各Zは、独立に、スペーサー要素であり、各スペーサー要素は、同じであるか、または異なり、
Dは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール、-(OCH
2CH
2)p-
H、-CO
2H、-NH
2、OH、-N
3、
【化6】
細胞毒性剤、ペプチド、タンパク質、核酸、成長因子、抗ウイルス剤、免疫学的薬剤、およびフルオロフォアもしくは他の造影剤からなる群から選択され、
Rは、独立にHまたはC
1~C
6アルキル
であり、
R
2
は、ハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
1
~C
10
アルキル、またはハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
5
~C
12
アリールである]。
【請求項3】
Dが、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール、-(OCH
2CH
2)p-、-CO
2H、-NH
2、OH、-N
3、
【化7】
からなる群から選択され、
Rは、独立にHまたはC
1~C
6アルキル
であり、
R
2
は、ハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
1
~C
10
アルキル、またはハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
5
~C
12
アリールである、
請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
Dが、細胞毒性剤である、請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
Dが、アントラサイクリン、アウリスタチン、スプライソスタチン、CBIダイマー、CPIダイマー、CTIダイマー;CBI、CPIおよびCTIから選択される2つの異なるモノマーを含むダイマー;カリケアマイシン、エスペラミシンおよびネオカルチノスタチンから選択されてもよいエンジイン;デュオカルマイシン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN38、ツブリシン、ヘミアステリン、カンプトテシン、コンブレタスタチン、ドラスタチン、インドリノベンゾジアゼピンダイマー、ピロロベンゾジアゼピンダイマーおよびプラジエノライド、ならびにその立体異性体、もしくはアイソスターからなる群から選択される、請求項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
Dが、ドラスタチン、MMAD、MMAE、MMAF、PF-06380101、PF-06463377、PF-06456780、PF-06843982、PF-06874082、PF-06852321、PF-06757725、PF-06859944およびPF-06698970からなる群から選択される、請求項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
Zが、Z
A-(Z
B)
1~3または(Z
B)
1~3-Z
Aであり、
Z
Aが、Z
A1-Z
A2またはZ
A2-Z
A1であり、
Z
A1が、存在しないか、または-C(O)-、-C(S)-、-C(O)NR-、-C(O)C
1~C
6アルキル-、-C(O)NRC
1~C
6アルキル-、-C
1~C
6アルキル(OCH
2CH
2)
1~6-、-C(O)C
1~C
6アルキルNRC(O)-、-C(O)C
1~C
6アルキル(OCH
2CH
2)
1~6-、-C
1~C
6アルキル(OCH
2CH
2)
1~6-C(O)-、-C
1~C
6アルキル-S-S-C
1~C
6アルキルNRC(O)CH
2-、-C
1~C
6アルキル(OCH
2CH
2)
1~6NRC(O)CH
2-、-C(O)C
1~C
6アルキル-NRC(O)C
1~6アルキル-、-N=CR-フェニル-O-C
1~C
6アルキル-、-N=CR-フェニル-O-C
1~C
6アルキル-C(O)-、-C(O)-C
1~C
6アルキル(OCH
2CH
2)
1~6NRC(O)-、-C(O)C
1~C
6アルキル-フェニル(NR-C(O)C
1~C
6アルキル)
1~4-、-C(O)C
1~C
6アルキル(OCH
2CH
2)
1~6-NRC(O)C
1~C
6アルキル-、-C
1~C
6アルキル-、-S-、-C(O)-CH(NR-C(O)C
1~C
6アルキル)-C
1~C
6アルキル-および(-CH
2-CH
2-O-)
1~20からなる群から選択される1つもしくは複数の構成要素であり、
Z
A2が、
【化8】
-C(O)(CH
2)
nC(O)-であるか、または存在せず、
Z
Bが、存在しないか、または-C
1~C
6アルキレン-、-NRC
3~C
8-ヘテロシクリルNR-、-NRC
3~C
8-カルボシクリルNR-、-NRC
1~C
6アルキルNR-、-NRC
1~C
6アルキレン-、-S-、-NR-、-NRNR-、-O(CR
2)
1~4S-S(CR
2)
1~4N(R)-、-NRC
1~C
6-アルキレンフェニレンNR-、-NRC
1~C
6アルキレンフェニレンSO
2NR-、-OC
1~C
6アルキルS-SC
1~C
6アルキルC(COOR)NR-、-NRC(COOR)C
1~C
6アルキルS-SC
1~C
6アルキルO-からなる群から独立に選択され、
Rは、独立にHまたはC
1~C
6アルキルである、
請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
Zが、
【化9】
から選択される基である、請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
から選択される、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる添加剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
がんを処置するために用いるための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記がんが、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、肺がん、食道がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、皮膚がん、胃(胃の)がん、睾丸がん、白血病およびリンパ腫である、請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を含めたポリペプチドコンジュゲート中に組み込まれ、これらを作製するのに有用な新規なリンカー化合物および部分、ならびに関連するリンカーペイロード化合物(LP)を対象とする。本発明はさらに、上記のリンカー、リンカーペイロードおよび抗体薬物コンジュゲートを含む組成物、ならびにがんを含めた病的状態を処置するためのこれらのペイロード、ペイロードリンカーおよび抗体薬物コンジュゲートを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、低分子細胞毒性ペイロードに付着したモノクローナル抗体からなる治療モダリティである。ADCの抗体部分は、腫瘍組織において発現しているタンパク質抗原を認識し、これに結合する輸送ビヒクルとしての役割を果たしている。悪性細胞内または悪性細胞近くのペイロードの局所的な送達および放出は、抗原陰性の正常組織への損傷を低減させながら、患部組織への強力な細胞毒性剤の標的化された送達を可能とする。ADCの設計は、大分子および小分子薬物の長所を合わせ、各アプローチと関連する弱点を排除することを模索する。このように、多くのADCは、遊離薬物の全身毒性を最小化し、標的化ビヒクル、例えば、モノクローナル抗体(mAb)の抗腫瘍活性を増強するように設計されている。
【0003】
現在調査中のいくつかのADCは、マレイミドをベースとするリンカーを含有する。これらのADCにおいて、抗体コンジュゲーションは典型的には、下記に示すように遂行される。
【0004】
【0005】
多数の治験中のADC構築体におけるこのようなコンジュゲーションの使用は、システイン残基についてのマレイミドの高い反応性および選択性に起因し得る。さらに具体的には、ADCは、抗体を、抗体の曝露されたチオールと反応するマレイミドコンジュゲーションハンドルを含有するリンカーペイロードと共にインキュベートすることによって構築し得る。
【0006】
しかし、マレイミド部分と直接関連する不安定性の多数の例が存在する。例えば、Seattle Geneticsにおける研究者は、1F6-C4v2-mc-MMAFおよび1F6-C4v2-mc-vc-MMAFとして公知のマレイミドをベースとするADCが、概ね7日の半減期を伴って血漿タンパク質への曝露によって分解(低減した薬物抗体比において顕在化する)を受けることを示してきた。(Alleyら、「Contribution of Linker Stability to the Activities of Anticancer immunoconjugates」、Bioconjugate Chem.、2008、19、759。)Alleyは、そこで示すように、ADCのチオエーテル断片化、およびそれに続くCys34におけるアルブミンによる再び生じたマレイミドの捕獲を介して起こると考えられる、血清アルブミンmc-MMAF付加体形成についての質量分析のエビデンスをさらに提供する。
【0007】
【0008】
血漿安定性アッセイおよびグルタチオン(GSH)インキュベーション研究によって、同様のマレイミドが関連する不安定性が存在することが同様に示されてきたが、ここでADCは、下記で示すように、GSHの存在下で薬物抗体比(DAR)の低減を受けることが示されてきた。
【0009】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際特許出願第PCT/IB2015/050280号(WO2015/110935)
【文献】国際特許出願第PCT/IB2016/051465号
【文献】EP0404097
【文献】WO93/11161
【文献】国際特許出願第PCT/IB2012/056234号
【文献】WO2013/093809
【文献】WO2014/068443
【文献】WO2012/059882
【文献】WO2015/015448
【文献】WO2015/162563
【文献】米国特許第4,816,567号
【文献】米国特許第4,816,397号
【文献】米国特許第5,585,089号
【文献】国際公開第WO87/02671号
【文献】欧州特許第0184187号
【文献】欧州特許出願公開第0171496号
【文献】欧州特許出願公開第0173494号
【文献】国際公開第WO86/01533号
【文献】欧州特許出願公開第012023号
【文献】米国特許第5,225,539号
【文献】米国特許第5,625,126号
【文献】米国特許第5,633,425号
【文献】米国特許第5,569,825号
【文献】米国特許第5,661,016号
【文献】米国特許第5,545,806号
【文献】国際公開第WO97/34631号
【文献】US5,773,001
【文献】US6,214,345B1
【文献】US8,039,273_B2
【文献】US8,568,728B2
【文献】WO2013056070A2
【文献】US2013/0129753A1
【文献】US8399403B2
【文献】US2010/210593A1
【文献】WO2007/11968A2
【非特許文献】
【0011】
【文献】Alleyら、「Contribution of Linker Stability to the Activities of Anticancer immunoconjugates」、Bioconjugate Chem.、2008、19、759
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【文献】「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin
【文献】Dubowchik, G.M.ら、Bioconjug Chem、13、855~69(2002)
【文献】Yu-Xiu, Liu; Ming-Bo, Cui;Qi-Qi, Zhao;Qing-Min, Wang;Ying, Liu;Run-Qiu, Huang、Reduction of pyrimidine derivatives by LiAlH4、Journal of Chemical Research、2007、#8、p.490~493
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記に照らして、システインに対して匹敵する高い選択性および反応性を有するが、マレイミドリンカー構成要素と関連する不安定性を回避するリンカー技術を開発し、用いることは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、マレイミドをベースとしないADCリンカーおよびリンカー構成要素、これらの調製、ならびに対応するマレイミドをベースとするADCより安定的であるADCの調製におけるこれらの使用に関する。多くの場合、この改善された安定性は、改善された治療指数および/または他の有利な特性を有するADCをもたらす。
【0014】
このように、本発明は、用途が多いコンジュゲーションハンドル(目的の任意の抗体との完全なコンジュゲーションを、典型的には約1日以内で受けることができる)としての役割を果たす特定のシステイン選択的共有結合反応性基(CRG)を提供し、これは、生理学的条件下で1週間超えて実質的に未変化のDARを有する安定的なアキラルADCリンカーを提供する。
【0015】
本発明はまた、システイン含有、または単に硫黄含有部分を含み得るか、または含み得ない、他の生物学的構成要素、例えば、ペプチド、タンパク質、RNA(mRNA、siRNAを含めた)、ならびに単鎖および二本鎖DNAの連結およびコンジュゲーションを含む、ADC分野を超えて使用されるマレイミドをベースとしないリンカーおよびリンカー構成要素に関する。
【0016】
本発明はまた、システイン含有、または単に硫黄含有部分を互いに含み得るか、または含み得ない、複数の生物学的構成要素、例えば、ペプチド、タンパク質、RNA(mRNA、siRNAを含めた)、ならびに単鎖および二本鎖DNAの連結およびコンジュゲーションを含む、ADC分野を超えて使用されるマレイミドをベースとしないリンカーおよびリンカー構成要素に関する。
【0017】
本発明はまた、ADC分野において、およびADC分野を超えて使用されるマレイミドをベースとしないリンカー構成要素、特に、スルホンおよびアミドに結合している複素環リンカーを含み、式(I)を有する、リンカーペイロード:
【0018】
【化4】
およびその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、式中、
Hetは、1~4個のヘテロ原子を有する単環式、二環式または多環式のヘテロアリール環系であり、-SO
2-に結合している前記環系上の炭素原子は、前記環系上の少なくとも1個のヘテロ原子に隣接しており、前記ヘテロ原子は、N、OおよびSからなる群から選択され、
各Eは、-C(R
1)
2-、-O-C(R
1)
2-C(R
1)
2-(式中、rは、少なくとも2である)、および-C(R
1)
2-C(R
1)
2-O-(式中、sは、少なくとも1である)からなる群から独立に選択され、
各R
1は、H、C
1~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキル、C
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルケニル、およびC
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキニルからなる群から独立に選択され、
R
2は、ハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
1~C
10アルキル、またはハロゲンもしくはハロアルキルで置換されていてもよいC
5~C
12アリールであり、
各Xは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Xは、同じであるか、または異なり、
各Yは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Yは、同じであるか、または異なり、
各Zは、独立に、スペーサー要素であり、各スペーサー要素は、同じであるか、または異なり、
mは、0~5であり、nは、0~5であり、pは、0~2であり、qは、0~10であり、rは、0~2であり、sは、0~2であり、tは、0~1であり、wは、1~2であり、
Dは、細胞毒性剤である。
【0019】
上記の実施形態では、wは、好ましくは1である。
【0020】
スルホンおよびアミドに結合している複素環を有するこのようなリンカーペイロードは、マレイミドリンカーまたはそれどころか他の非マレイミドリンカーを使用して形成されるADCと比較して驚くほど安定的であるADCを形成することができることが見出されてきた。理論に束縛されるものではないが、このようなADCは典型的には、周知のSNAr反応機構を介して形成(すなわち、「コンジュゲート」)されると考えられる。
【0021】
本発明はさらに、上記のマレイミドをベースとしないリンカーペイロードを使用して形成されるADCに関し、前記ADCは、アミドに結合している複素環を有し、このようなADCは、式(II)を有し、
【0022】
【化5】
およびその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物であり、式中、
Pは、少なくとも1個の天然もしくは操作されたシステイン残基を含むペプチド配列であるか、またはPは、少なくとも1個の遊離の硫黄原子を含む部分であり、
Sは、P内の硫黄原子であり、
Hetは、1~4個のヘテロ原子を有する単環式、二環式または多環式のヘテロアリール環系であり、-S(O
2)-に結合している前記環系上の炭素原子は、前記環系上の少なくとも1個のヘテロ原子に隣接しており、前記ヘテロ原子は、N、OおよびSからなる群から選択され、
各Eは、-C(R
1)
2-、-O-C(R
1)
2-C(R
1)
2-(式中、rは、少なくとも2である)、および-C(R
1)
2-C(R
1)
2-O-(式中、sは、少なくとも1である)からなる群から独立に選択され、
各R
1は、H、C
1~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキル、C
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルケニル、およびC
2~C
6直鎖状もしくは分岐状アルキニルからなる群から独立に選択され、
各Xは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Xは、同じであるか、または異なり、
各Yは、独立に、アミノ酸であり、各アミノ酸Yは、同じであるか、または異なり、
各Zは、独立に、スペーサー要素であり、各スペーサー要素は、同じであるか、または異なり、
mは、0~5であり、nは、0~5であり、pは、0~2であり、qは、0~10であり、rは、0~2であり、sは、0~2であり、tは、0~1であり、wは、1~2であり、
Dは、細胞毒性剤である。
【0023】
上記の実施形態では、wは、好ましくは1である。
【0024】
本発明はまた、上記のリンカーペイロードおよびADCに関し、Het可変部分は、
【0025】
【0026】
本発明はさらに、上記のリンカーペイロードおよびADCに関し、Het可変部分は、
【0027】
【化7】
から選択され、式中、選択されたHet上のいずれかの結合は、Sと接合し得る(すなわち、Het構造は、いずれかの方向に「向く」ことができる)。
【0028】
本発明の別の実施形態では、本明細書において同定される化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を提供し、
Dは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール、-(OCH2CH2)p-、-CO2H、-NH2、OH、-N3、
【0029】
【0030】
この実施形態の一態様では、本明細書において同定される化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を提供し、Dは、細胞毒性部分である。別の態様では、請求項6に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を提供し、Dは、アントラサイクリン、アウリスタチン、スプライソスタチン、CBIダイマー、CPIダイマー、CTIダイマー(国際特許出願第PCT/IB2015/050280号(WO2015/110935)および同第PCT/IB2016/051465号に記載されているような、CBI、CPIおよび/またはCTIダイマー構成要素を含む「混合」ダイマーを含めた)、エンジイン(例えば、カリケアマイシン、エスペラミシンまたはネオカルチノスタチン)、デュオカルマイシン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN38、ツブリシン、ヘミアステリン、カンプトテシン、コンブレタスタチン、ドラスタチン、インドリノベンゾジアゼピンダイマー、ピロロベンゾジアゼピンダイマーおよびプラジエノライド、ならびにその立体異性体、アイソスター、類似体、もしくは誘導体からなる群から選択される。例えば、細胞毒性剤Dは、ドラスタチン、MMAD、MMAE、MMAF、PF-06380101、PF-06463377、PF-06456780、PF-06843982、PF-06874082、PF-06852321、PF-06757725、PF-06859944およびPF-06698970からなる群から選択されるアウリスタチンである実施形態。
【0031】
本発明のさらなる実施形態は、Dが、細胞毒性剤以外の何かであり、例えば、Dが、治療特性を有する部分(すなわち、治療剤)であり、ペプチド(複数可)、タンパク質(複数可)、核酸(複数可)、成長因子(複数可)、抗ウイルス剤(複数可)、もしくは免疫学的薬剤(複数可)を含むか、またはDが、フルオロフォア(複数可)もしくは他の造影剤(複数可)であるものを含む。Dが細胞毒性剤である場合と同様に、本発明は、Dが細胞毒性剤以外である化合物の安定性の調節を含む。
【0032】
本発明のまた別の実施形態では、本明細書に記載のような化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を提供し、
Zは、ZA-(ZB)1~3または(ZB)1~3-ZAであり、
ZAは、ZA1-ZA2またはZA2-ZA1であり、
ZA1は、存在しないか、または-C(O)-、-C(S)-、-C(O)NR-、-C(O)C1~C6アルキル-、-C(O)NRC1~C6アルキル-、-C1~C6アルキル(OCH2CH2)1~6-、-C(O)C1~C6アルキルNRC(O)-、-C(O)C1~C6アルキル(OCH2CH2)1~6-、-C1~C6アルキル(OCH2CH2)1~6-C(O)-、-C1~C6アルキル-S-S-C1~C6アルキルNRC(O)CH2-、-C1~C6アルキル(OCH2CH2)1~6NRC(O)CH2-、-C(O)C1~C6アルキル-NRC(O)C1~6アルキル-、-N=CR-フェニル-O-C1~C6アルキル-、-N=CR-フェニル-O-C1~C6アルキル-C(O)-、-C(O)-C1~C6アルキル(OCH2CH2)1~6NRC(O)-、-C(O)C1~C6アルキル-フェニル(NR-C(O)C1~C6アルキル)1~4-、-C(O)C1~C6アルキル(OCH2CH2)1~6-NRC(O)C1~C6アルキル-、-C1~C6アルキル-、-S-、-C(O)-CH(NR-C(O)C1~C6アルキル)-C1~C6アルキル-および(-CH2-CH2-O-)1~20からなる群から選択される1つもしくは複数の構成要素であり、
ZA2は、-PABA-、-PABC-、-C(O)(CH2)nC(O)-であるか、または存在せず、
ZBは、存在しないか、または-C1~C6アルキレン-、-NRC3~C8-ヘテロシクリルNR-、-NRC3~C8-カルボシクリルNR-、-NRC1~C6アルキルNR-、-NRC1~C6アルキレン-、-S-、-NR-、-NRNR-、-O(CR2)1~4S-S(CR2)1~4N(R)-、-NRC1~C6-アルキレンフェニレンNR-、-NRC1~C6アルキレンフェニレンSO2NR-、-OC1~C6アルキルS-SC1~C6アルキルC(COOR)NR-、-NRC(COOR)C1~C6アルキルS-SC1~C6アルキルO-からなる群から独立に選択される。
【0033】
本発明のまたさらに別の実施形態では、本明細書に記載のような化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を提供し、
Zは、
【0034】
【0035】
本発明のさらなる実施形態では、
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【化30】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0057】
本発明のさらなる実施形態では、本明細書に記載のような化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる添加剤を含む医薬組成物を提供する。
【0058】
本発明のさらなる実施形態では、がんを処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療的有効量の本明細書に記載のような化合物または医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。この実施形態の一態様では、がんは、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、肺がん、食道がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、皮膚がん、胃(胃の)がん、睾丸がん、白血病およびリンパ腫である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明は、アミド官能基を含むヘテロアリールスルホンリンカー、システイン残基におけるチオール官能基と反応する関連するリンカーペイロード、およびこれらの反応によって形成されるこのように得られたコンジュゲートを対象とする。このようなコンジュゲートは、治療的および/または細胞毒性構成要素を含む抗体薬物コンジュゲートを含み、ならびにがんおよび他の病的状態を処置するためのこれらを使用する方法。本発明はまた、哺乳動物細胞または関連する病的状態の検出、診断、または処置のための、このような化合物および/またはコンジュゲートのインビトロ、インサイチュ、およびインビボでの使用方法に関する。
【0060】
定義および略語
特に断りのない限り、下記の用語および語句は、本明細書において使用する場合、下記の意味を有することが意図される。本明細書において商品名が使用されるとき、商品名は、文脈によって他の指示がない限り、生成物製剤、ジェネリック薬物、および商品名の製品の活性医薬成分(複数可)を含む。
【0061】
「抗体」(または「Ab」もしくは「AB」)という用語は、本明細書では最も広範な意味で使用され、具体的には、所望の生物活性を示す、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを包含する。無傷の抗体は、主に2つの領域:可変領域および定常領域を有する。可変領域は、標的抗原に結合し、標的抗原と相互作用する。可変領域は、特定の抗原上の特異的結合部位を認識し、これに結合する相補性決定領域(CDR)を含む。定常領域は、免疫系によって認識され、免疫系と相互作用し得る(例えば、Janewayら、2001、Immuno.Biology、第5版、Garland Publishing、New Yorkを参照されたい)。抗体は、任意のタイプまたはクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のものでもよい。抗体は、任意の適切な種から得たものでもよい。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトまたはマウス起源である。抗体は、例えば、ヒト、ヒト化またはキメラでもよい。
【0062】
「特異的に結合する」および「特異的結合」という用語は、所定の抗原に抗体が結合することを指す。抗体は、典型的には、少なくとも約1×107M-1の親和性で所定の抗原に結合し、さらに、所定の抗原またはそれと密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に結合する場合の親和性の少なくとも2倍大きな親和性で所定の抗原に結合する。
【0063】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書において使用する場合、実質的に均質な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、この集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る考えられる天然の変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均質な集団から得たものとしての抗体の性質を示し、何らかの特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されない。
【0064】
「モノクローナル抗体」という用語は特に、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一かまたは相同であり、一方で、鎖(複数可)の残部が、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、およびこのような抗体のフラグメントの対応する配列と同一かまたは相同である「キメラ」抗体であって、ただし所望の生物活性を示すものを含む。
【0065】
「無傷の抗体」は、抗体クラスごとに適宜、抗原結合性可変領域、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)、ならびに重鎖定常ドメインCH1、CH2、CH3およびCH4を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであり得る。
【0066】
無傷の抗体は、抗体のFc領域(例えば、天然配列Fc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因するこれらの生物活性を指す1つまたは複数の「エフェクター機能」を有し得る。抗体エフェクター機能の例は、補体依存性細胞毒性、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)および抗体依存性細胞媒介食作用を含む。
【0067】
「抗体フラグメント」は、好ましくは、抗原結合性領域またはその可変領域を含む、無傷の抗体の部分を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体、線状抗体、単鎖抗体分子、scFv、scFv-Fc、抗体フラグメント(複数可)から形成される多特異性抗体フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産生されるフラグメント(複数可)、または標的抗原(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原または微生物抗原)に免疫特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが含まれる。
【0068】
「可変」という用語は、抗体との関連で、配列において広範に異なる抗体の可変ドメインの特定の部分を指し、その特定の抗原についてのそれぞれの特定の抗体の結合および特異性において使用される。この可変性は、軽鎖および重鎖可変ドメインにおける「超可変領域」と称される3つのセグメントにおいて濃縮している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と称される。天然重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、3つの超可変領域によって接続した4つのFRを含む。
【0069】
「超可変領域」という用語は、本明細書において使用されるとき、抗原結合性に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は一般に、「相補性決定領域」または「CDR」(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基24~34(L1)、50~56(L2)および89~97(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける31~35(H1)、50~65(H2)および95~102(L3);Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991))からのアミノ酸残基、ならびに/または「超可変ループ」(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基26~32(L1)、50~52(L2)および91~96(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける26~32(H1)、53~55(142)および96~101(H3);ChothiaおよびLesk、1987、J.Mol.Biol.196:901~917)からのこれらの残基を含む。FR残基は、本明細書において定義したような超可変領域残基以外のこれらの可変ドメイン残基である。
【0070】
「単鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらのドメインは、一本鎖ポリペプチド中に存在する。典型的には、Fvポリペプチドは、VHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能とする。scFvの概説については、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269~315頁(1994)を参照されたい。
【0071】
「二特異性抗体」という用語は、2つの抗原結合性部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、フラグメントは、同じポリペプチド鎖中の可変軽ドメイン(VL)に接続した可変重ドメイン(VH)を含む。短すぎて、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合ができないリンカーを使用することによって、ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合させることを余儀なくされ、2つの抗原結合性部位を生じさせる。二特異性抗体は、例えば、EP0404097;WO93/11161;およびHollingerら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444~6448により詳細に記載されている。
【0072】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体である。大部分は、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギまたはヒトではない霊長類の超可変領域からの残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によって、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体において見出されない残基を含み得る。これらの修飾を行って、抗体の能力をさらに改良する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRの全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体は場合によりまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域を含む。さらなる詳細については、Jonesら、1986、Nature 321:522~525;Riechmannら、1988、Nature 332:323~329;およびPresta、1992、Curr.Op.Struct.Biol.2:593~596を参照されたい。
【0073】
本明細書において使用する場合、「単離された」とは、(a)自然源、例えば、植物もしくは動物の細胞、または細胞培養物、または(b)合成有機化学反応混合物の他の構成要素から分離していることを意味する。本明細書において使用する場合、「精製された」とは、単離されたとき、単離物が、単離物の重量によって、少なくとも95%、および別の態様において、少なくとも98%の化合物(例えば、コンジュゲート)を含有することを意味する。
【0074】
「単離された」抗体は、その自然環境の構成要素から同定および分離および/または回収された抗体である。その自然環境の汚染要素は、抗体についての診断用または治療上の使用を妨げる材料であり、このような要素としては、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が挙げられる。好ましい実施形態において、抗体は、(1)ローリー法によって決定した場合、抗体が95重量%超、最も好ましくは99重量%超になるまで、(2)スピニングカップ配列決定装置を使用することによって、N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クマシーブルー、もしくは好ましくは銀染色を使用して、還元条件もしくは非還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで精製される。抗体の自然環境の少なくとも1つの構成要素が存在しなくなることから、単離された抗体には、組換え細胞内の元の位置に存在する抗体も含まれる。しかし、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0075】
「アポトーシスを誘発する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡張、細胞断片化、および/または膜小胞(アポトーシス小体と称される)の形成によって決定されるような、プログラム細胞死を誘発する抗体である。細胞は、腫瘍細胞、例えば、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、結腸、甲状腺、膵臓または膀胱の細胞である。アポトーシスと関連する細胞事象を評価するために様々な方法が利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)転座は、アネキシン結合によって測定することができ、DNA断片化は、DNAラダリングによって評価することができ、DNA断片化と共に核/クロマチン凝縮は、低二倍体細胞における増加によって評価することができる。
【0076】
「治療有効量」という用語は、哺乳動物において疾患または障害を処置するのに有効な薬物の量を指す。がんの場合、治療有効量の薬物は、がん細胞の数を低減させ、腫瘍サイズを低減させ、末梢器官へのがん細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅延および好ましくは停止させ)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅延および好ましくは停止させ)、腫瘍増殖をある程度阻害し、かつ/またはがんと関連する症状の1つもしくは複数をある程度緩和し得る。薬物が存在するがん細胞の増殖を阻害し、かつ/または存在するがん細胞を死滅し得る程度まで、薬物は細胞増殖抑制性および/または細胞毒性であり得る。がん療法のために、有効性は、例えば、疾患の進行までの時間(TTP)をアセスメントすることによって、および/または奏効率(RR)を決定することによって測定することができる。
【0077】
「実質的な量」という用語は、混合物または試料の集団の大部分、すなわち、50%超を指す。
【0078】
「細胞内代謝物」という用語は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)上の細胞内の代謝過程または反応によって生じる化合物を指す。代謝過程または反応は、酵素的プロセス、例えば、ADCのペプチドリンカーのタンパク質分解的切断であり得る。細胞内代謝物には、これらに限定されないが、細胞中への侵入、拡散、取込みまたは輸送の後に、細胞内切断を受けた抗体および遊離薬物が含まれる。
【0079】
「細胞内で切断された」および「細胞内切断」という用語は、ADC上の細胞内の代謝過程または反応などを指し、これによって、共有結合的付着、例えば、薬物部分および抗体の間のリンカーが切断され、遊離薬物、または細胞内の抗体から解離したコンジュゲートの他の代謝物をもたらす。ADCの切断された部分は、このように細胞内代謝物である。
【0080】
「バイオアベイラビリティー」という用語は、患者に投与された所与の量の薬物の全身性アベイラビリティー(すなわち、血液/血漿レベル)を指す。バイオアベイラビリティーは、投与された剤形から全身循環に達する薬物の時間(速度)および総量(程度)の両方の測定値を示す定数項である。
【0081】
「細胞毒性活性」という用語は、ADCの細胞死滅性、細胞増殖抑制性もしくは抗増殖性の効果、または前記ADCの細胞内代謝物を指す。細胞毒性活性は、細胞の半分が残存する単位体積当たりの濃度(モルまたは質量)であるIC50値として表される場合もある。
【0082】
「障害」は、薬物または抗体薬物コンジュゲートによる処置の利益を受けるあらゆる状態である。これには、哺乳動物を対象となる障害に罹患しやすくする病的状態を含めた慢性および急性の障害または疾患も含まれる。本明細書において処置される障害の非限定的な例としては、良性および悪性のがん;白血病およびリンパ性悪性腫瘍、ニューロン、グリア、アストロサイト、視床下部および他の腺、マクロファージ、上皮、間質および胞胚腔の障害;ならびに炎症性、血管形成および免疫の障害が挙げられる。
【0083】
「がん」および「がんの」という用語は、調節不能な細胞増殖によって典型的には特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態または障害を指すか、またはそれらを表す用語である。「腫瘍」は、1つまたは複数のがん細胞を含む。
【0084】
「患者」の例には、これらに限定されないが、ヒト、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥および家禽が含まれる。例示的な実施形態において、患者は、ヒトである。
【0085】
「処置する」または「処置」という用語は、文脈によって他の指示がない限り、治療的処置、および再発を予防するための予防的措置を指し、その目的は、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、がんの発生または拡散を阻害または遅延させる(和らげる)ことである。本発明の目的のために、有益または所望の臨床結果には、これらに限定されないが、検出可能または検出不可能のいずれにせよ、症状の軽減、疾患の程度の低減、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅れまたは遅延、病態の寛解または緩和、および軽快(部分的または全体的のいずれにせよ)が含まれる。「処置」はまた、処置を受けない場合の予想される生存と比較して延長された生存を意味する場合がある。処置を必要としているものは、状態または障害を既に有するもの、および状態または障害を有する傾向があるものを含む。
【0086】
がんとの関連において、「処置すること」という用語は、腫瘍細胞、がん細胞、または腫瘍の増殖を阻害すること、腫瘍細胞またはがん細胞の複製を阻害すること、全体的な腫瘍量を和らげること、またはがん細胞の数を減少させること、および疾患と関連する1つまたは複数の症状を寛解させることのいずれかまたは全てを含む。
【0087】
自己免疫疾患との関連において、「処置すること」という用語は、これらに限定されないが、自己免疫性抗体を産生する細胞を含めた自己免疫性の病態と関連する細胞の複製を阻害すること、自己免疫性抗体負荷を和らげること、および自己免疫疾患の1つまたは複数の症状を寛解させることのいずれかまたは全てを含む。
【0088】
感染症との関連において、「処置すること」という用語は、感染症をもたらす病原体の増殖、増殖作用または複製を阻害すること、および感染症の1つまたは複数の症状を寛解させることのいずれかまたは全てを含む。
【0089】
「添付文書」という用語は、このような治療生成物の使用に関する適応症(複数可)、用法、投与量、投与、禁忌および/または警告についての情報を含有する、治療製品の市販のパッケージにおいて通例含まれる指示を指すために使用される。
【0090】
本明細書において使用する場合、「細胞」、「細胞系」および「細胞培養物」という用語は互換的に使用され、このような名称は全て、子孫を含む。「形質転換体」および「形質転換細胞」という語は、移行の数にこだわらずに、初代対象細胞および培養物またはこれらに由来する子孫を含む。また意図的なまたは偶発性の変異によって、子孫全てがDNA量において必ずしも正確に同一であるとは限らないことも理解されよう。最初の形質転換細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物活性を有する変異体子孫が含まれる。異なる名称も意図されるが、そのような場合は文脈から明らかである。
【0091】
他の指示がない限り、「アルキル」という用語は、それ自体で、または別の用語の部分として、示した数の炭素原子を有する直鎖または分岐状の飽和炭化水素を指す(例えば、「C1~C8」アルキルは、1~8個の炭素原子を有するアルキル基を指す)。炭素原子の数が示されていないとき、アルキル基は、1~8個の炭素原子、好ましくは、1~6個の炭素原子を有する。代表的な直鎖C1~C8アルキルには、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチルおよびn-オクチルが含まれ、一方、分岐状C1~C8アルキルには、これらに限定されないが、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、および-2-メチルブチルが含まれ、不飽和C2~C8アルキルには、これらに限定されないが、ビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニルおよび3-メチル-1-ブチニルが含まれる。
【0092】
他の指示がない限り、「アルキレン」は、それ自体で、または別の用語の部分として、述べた数の炭素原子、典型的には、1~18個の炭素原子の、親アルカンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することに由来する2つの一価ラジカル中心を有する、飽和の分岐鎖または直鎖または環状の炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルキレンラジカルには、これらに限定されないが、メチレン(-CH2-)、1,2-エチレン(-CH2CH2-)、1,3-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、1,4-ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)などが含まれる。「C1~C10」直鎖アルキレンは、式-(CH2)1~10-の直鎖飽和炭化水素基である。C1~C10アルキレンの例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オシチレン、ノニレンおよびデカレンが含まれる。本発明の特定の実施形態において、アルキレンは、1~9個、1~8個、1~7個、および1~6個の炭素を有する。
【0093】
他の指示がない限り、「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、完全飽和であり、または1~3度の不飽和を含有し、述べた数の炭素原子、ならびにO、N、Si、Sおよび/またはPからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子からなる、安定的な直鎖もしくは分岐鎖炭化水素、またはこれらの組合せを意味し、窒素および硫黄原子は、酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、四級化されていてもよい。ヘテロ原子(複数可)であるO、NおよびSは、ヘテロアルキル基の任意の内側の位置に配置されていてもよい。ヘテロ原子であるSiは、アルキル基が分子の残部に付着している位置を含めたヘテロアルキル基の任意の位置に配置されていてもよい。最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい。
【0094】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0095】
「ハロ(C1~6-アルキル)」とは、1~3個または1~2個のハロ基で置換されているC1~6-アルキル基を指し、C1~6-アルキルおよびハロは、本明細書に定義されている通りである。この用語は、例えば、CF3を含む。
【0096】
他の指示がない限り、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の部分として、ヘテロアルキル(上記で考察するような)に由来する二価基を意味する。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子はまた、鎖末端のいずれかまたは両方を占めることができる。
【0097】
他の指示がない限り、「アリール」は、それ自体で、または別の用語の部分として、親芳香族環系の単一の炭素原子からの1個の水素原子を除去して得られた、6~20個の炭素原子、好ましくは、6~14個の炭素原子の置換または非置換の一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。典型的なアリール基には、これらに限定されないが、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどに由来するラジカルが含まれる。置換芳香族基(例えば、アリール基)は、下記の基:C1~C8アルキル、-O-(C1~C8アルキル)、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2、-NHC(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)R’、-OH、ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2および-CNの1つまたは複数、好ましくは1~5つで置換することができる。各R’は、-H、C1~C8アルキル、C1~C8ヘテロアルキルおよびアリール、好ましくは、非置換アリールから独立に選択される。いくつかの実施形態において、置換芳香族基は、-NHC(=NH)NH2、-NHCONH2、-S(=O)2R’および-SR’の1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0098】
本明細書において「Het」(円内で示されることがある)とまた称される、用語「ヘテロアリール」は、本明細書において使用する場合、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有する、5~14員、例えば、5~6員の芳香族複素環式環を指す。ヘテロアリールは、単環式、二環式、または三環式環系であり得る。代表的なヘテロアリールは、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ピリミジル、アゼピニル、オキセピニル、およびキノキサリニルである。ヘテロアリールは、置換されていてもよい。典型的な置換基には、これらに限定されないが、-X、-R、-O-、-OR、-SR、-S-、-NR2、-NR3、=NR、-CX3、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO2、=N2、-N3、-NRC(=O)R、-C(=O)NR2、-SO3
-、-SO3H、-S(=O)2R、-OS(=O)2OR、-S(=O)2NR、-S(=O)R、-OP(=O)(OR)2、-P(=O)(OR)2、-PO3
2-、PO3H2、-AsO2H2、-C(=O)R、-C(=O)X、-C(=S)R、-CO2R、-CO2
-、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=S)SR、-C(=O)NR2、-C(=S)NR2、-C(=NR)NR2、C1~C20ヘテロアルキル、C6~C20アリール、C3~C8ヘテロシクリル、C3~C20カルボシクリル、保護基またはプロドラッグ部分が含まれ、各Xは、独立に、ハロゲン:-F、-Cl、-Br、または-Iであり、各Rは、独立に、-HまたはC1~C6アルキルである。
【0099】
「アリーレン」、「ヘテロアリーレン」という用語は、それぞれ、「アリール」および「ヘテロアリール」の二価のバージョン、ならびに「アリール」および「ヘテロアリール」を組み込む他の用語を指す。
【0100】
「ヒドロキシ」とは、基-OHを指す。
【0101】
「置換アルキル」とは、1個または複数個の水素原子が置換基でそれぞれ独立に置き換えられているアルキルを意味する。典型的な置換基には、これらに限定されないが、-X、-R、-O-、-OR、-SR、-S-、-NR2、-NR3、=NR、-CX3、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO2、=N2、-N3、-NRC(=O)R、-C(=O)NR2、-SO3
-、-SO3H、-S(=O)2R、-OS(=O)2OR、-S(=O)2NR、-S(=O)R、-OP(=O)(OR)2、-P(=O)(OR)2、-PO3
2-、PO3H2、-AsO2H2、-C(=O)R、-C(=O)X、-C(=S)R、-CO2R、-CO2
-、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=S)SR、-C(=O)NR2、-C(=S)NR2、-C(=NR)NR2、C1~C20ヘテロアルキル、C6~C20アリール、C3~C8ヘテロシクリル、保護基またはプロドラッグ部分が含まれ、各Xは、独立に、ハロゲンである-F、-Cl、-Br、または-Iであり、各Rは、独立に、-HまたはC1~C6アルキルである。ハロゲンで置換されている置換アルキルは、本明細書においてハロアルキルと称されることがある。アリール、アルキレン、ヘテロアルキレン、および本明細書に記載のようなアルキルまたはアルキレン部分を含有する、もしくは含有しない他の基はまた、同様に置換し得る。
【0102】
他の指示がない限り、「アラルキル」は、それ自体で、または別の用語の部分として、上記に定義されているようなアリール基で置換されている、上記に定義されているようなアルキル基を意味する。
【0103】
他の指示がない限り、「ヘテロ原子」とは、酸素、窒素、硫黄、またはリンを指す。構造における各ヘテロ原子は、同じであるか、または異なっていてもよい。
【0104】
他の指示がない限り、「C3~C8ヘテロシクリル」は、それ自体で、または別の用語の部分として、3~8個の炭素原子(また環員と称される)、およびN、O、PまたはSから独立に選択される1~4個のヘテロ原子環員を有し、かつ親環系の環原子からの1個の水素原子を除去して得られた、一価または二価の置換または非置換の芳香族または非芳香族の単環式または二環式環系を指す。同様に、他の指示がない限り、「C3~C10ヘテロシクリル」は、それ自体で、または別の用語の部分として、3~10個の炭素原子(また環員と称される)、およびN、O、PまたはSから独立に選択される1~4個のヘテロ原子環員を有し、かつ親環系の環原子からの1個の水素原子を除去して得られた、一価または二価の置換または非置換の芳香族または非芳香族の単環式または二環式環系を指す。ヘテロシクリルにおける1個または複数個のN、CまたはS原子は、酸化させることができる。ヘテロ原子を含む環は、芳香族または非芳香族でもよい。「ヘテロシクリル」という用語が、特定の数の炭素に関係なく用いられるとき、10個超の炭素を有するヘテロシクリル基、例えば、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個の炭素を有する環または環系はまた、C3~C10ヘテロシクリルと共に可能であり、包含される。同様に、「ヘテロシクリル」という用語が、特定の数の炭素に関係なく用いられるとき、3個未満の炭素を有するヘテロシクリル基、例えば、1個または2個を有する環は、可能であり、包含される。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、非芳香族ヘテロシクリル環または環系を指し、全ての炭素原子は飽和している(すなわち、水素または下記のような別の置換基に結合しており、二重結合または三重結合が存在しない)。特定の実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は典型的には、3~5員および1~2個のヘテロ原子を有する。特定の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、エポキシでもよい。
【0105】
特に断りのない限り、ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子または炭素原子においてそのペンダント基に付着しており、これによって安定的が構造をもたらされる。C3~C8ヘテロシクリルの代表例には、これらに限定されないが、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、ピラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェン、インドリル、ベンゾピラゾリル、ピロリル、チオフェニル(チオペン)、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、キノリニル、ピリミジニル、ピリジニル、ピリドニル、ピラジニル、ピリダジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリルおよびテトラゾリルが含まれる。C3~C8ヘテロシクリル、またはC3~C10ヘテロシクリルは、これらに限定されないが、C1~C8アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、-OR’、アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2、-NHC(O)R’、-S(=O)2R’、-S(O)R’、ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2および-CNを含めた7つまでの基で置換することができ、各R’は、-H、C1~C8アルキル、C1~C8ヘテロアルキルおよびアリールから独立に選択される。いくつかの実施形態において、置換ヘテロシクリルはまた、-NHC(=NH)NH2、-NHCONH2、-S(=O)2R’および-SR’の1つまたは複数を含むことができる。
【0106】
他の指示がない限り、「C3~C20カルボシクリル」は、それ自体でまたは別の用語の部分として、親環系の環原子からの1個の水素原子の除去に由来する、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員、14員、15員、16員、17員、18員、19員または20員の一価の置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和の非芳香族単環式または二環式炭素環式環である。好ましくは、C3~C20カルボシクリルは、3~14個、または3~6個の炭素を含む。代表的なC3~C8カルボシクリルには、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクタジエニル、ビシクロ(1.1.1.)ペンタン、およびビシクロ(2.2.2.)オクタンが含まれる。C3~C8カルボシクリル基は、非置換であるか、またはこれらに限定されないが、C1~C8アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、-OR’、アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2、-NHC(O)R’、-S(=O)2R’、-S(=O)R’、-OH、-ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2および-CNを含めた7個までの基で置換することができ、各R’は、-H、C1~C8アルキル、C1~C8ヘテロアルキルおよびアリールから独立に選択される。「C3~C8カルボシクロ」は、対応する二価部分である。
【0107】
他の指示がない限り、「ヘテロアラルキル」は、それ自体で、または別の用語の部分として、上記に定義されているような芳香族ヘテロシクリル基で置換されている上記に定義されているようなアルキル基を意味する。
【0108】
他の指示がない限り、「C3~C8カルボシクリル」は、それ自体で、または別の用語の部分として、親環系の環原子からの1個の水素原子または2個の水素原子を除去して得られた、3員、4員、5員、6員、7員または8員の一価または二価の置換または非置換の飽和または不飽和の非芳香族単環式または二環式の炭素環式環である。同様に、他の指示がない限り、「C3~C10カルボシクリル」は、それ自体で、または別の用語の部分として、親環系の環原子からの1個の水素原子を除去して得られた、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員または10員の一価または二価の置換または非置換の飽和または不飽和の非芳香族単環式または二環式の炭素環式環である。代表的なC3~C8カルボシクリルには、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクタジエニル、ビシクロ(111)ペンタン、およびビシクロ(222)オクタンが含まれる。C3~C8カルボシクリル基、またはC3~C10カルボシクリル基は、非置換であるか、またはこれらに限定されないが、C1~C8アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、-OR’、アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH2、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)2、-NHC(O)R’、-S(=O)2R’、-S(=O)R’、-OH、-ハロゲン、-N3、-NH2、-NH(R’)、-N(R’)2および-CNを含めた7つまでの基で置換されていてもよく、各R’は、-H、C1~C8アルキル、C1~C8ヘテロアルキルおよびアリールから独立に選択される。「カルボシクリル」という用語が、炭素の特定の数に関係なく用いられるとき、10個超の炭素を有するカルボシクリル基、例えば、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個の炭素を有する環系は、C3~C10カルボシクリルと共にまた可能であり、包含される。「シクロアルキル」という用語は、カルボシクリル環または環系を指し、全ての炭素原子は、飽和している(すなわち、水素または下記のような別の置換基に結合しており、二重結合または三重結合が存在しない)。
【0109】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ねることが出来ない特性を有する分子を指し、一方、「アキラル」という用語は、これらの鏡像パートナー上に重ねることが出来る分子を指す。
【0110】
「立体異性体」という用語は、同一の化学構造を有するが、空間中の原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0111】
「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラル中心を有し、その分子が互いの鏡像でない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、分光特性、および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分解能分析手順、例えば、電気泳動およびクロマトグラフィーで分離が可能である。
【0112】
本明細書において使用される立体化学の定義および規則は、一般にS.P.Parker編、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms、McGraw-Hill Book Company、New York(1984);およびElielおよびWilen、Stereochemistry of Organic Compounds、John Wiley&Sons,Inc.、New York(1994)に従う。多くの有機化合物は光学活性な形態で存在し、すなわち、これらは平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性な化合物を記載することにおいて、接頭辞DおよびL、またはRおよびSを使用して、そのキラル中心(複数可)の周りの分子の絶対配置を表す。接頭辞dおよびlまたは(+)および(-)を用いて、化合物による平面偏光の回転のサインを示し、(-)またはlは、化合物は左旋性であることを意味する。(+)またはdという接頭辞を伴う化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、これらが互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体はまた、エナンチオマーと称してもよく、このような異性体の混合物は、エナンチオマー混合物と称されることが多い。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物またはラセミ化合物と称され、これは化学反応またはプロセスにおいて立体選択または立体特異性がない場合に起こり得る。「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」という用語は、光学活性を欠いている2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0113】
アミノ酸「誘導体」は、親アミノ酸の共有結合的付着による、例えば、アルキル化、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などによる置換または修飾を有するアミノ酸を含む。「誘導体」の定義内にさらに含まれるものは、例えば、置換された連結、および当技術分野において公知の他の修飾を有するアミノ酸の1種または複数種の類似体である。
【0114】
「天然アミノ酸」とは、文脈によって他の指示がない限り、アルギニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、アラニン、ヒスチジン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トレオニン、システイン、メチオニン、ロイシン、アスパラギン、イソロイシン、およびバリンを指す。
【0115】
「薬学的に許容できる塩」という語句は、本明細書において使用する場合、化合物の薬学的に許容できる有機または無機塩を指す。化合物は典型的には、少なくとも1個のアミノ基を含有し、したがってこのアミノ基と酸付加塩を形成することができる。例示的な塩には、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))が含まれる。薬学的に許容できる塩は、別の分子、例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンを含むことが関与し得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容できる塩は、その構造中に複数個の電荷を帯びた原子を有し得る。複数の電荷を帯びた原子が薬学的に許容できる塩の部分である例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容できる塩は、1個もしくは複数個の電荷を帯びた原子および/または1つもしくは複数の対イオンを有することができる。
【0116】
「添加量」または「薬物添加量」または「ペイロード添加量」という用語は、ADC分子中の抗体毎の平均ペイロード数を表するか、またはそのような数を指す(「ペイロード」(複数可)は、本明細書において「薬物」(複数可)と互換的に使用される)。薬物添加量は、抗体1つ当たり薬物1~20の範囲であり得る。これは、DAR、または薬物対抗体比と称されることがある。本明細書に記載されているADCの組成物は典型的には、1~20、および特定の実施形態において、1~8、2~8、2~6、2~5および2~4のDARを有する。典型的なDAR値は、2、4、6および8である。抗体1つ当たりの平均薬物数、またはDAR値は、通常の手段、例えば、UV/可視分光法、質量分析法、ELISAアッセイ、およびHPLCによって特性決定し得る。定量的DAR値をまた決定し得る。場合によって、特定のDAR値を有する均質なADCの分離、精製、および特性決定は、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段によって達成し得る。DARは、抗体上の付着部位の数によって制限し得る。例えば、付着がシステインチオールである場合、抗体は、1つのみもしくはいくつかのシステインチオール基を有してもよく、またはそれを通してリンカー単位が付着し得る、1つのみもしくはいくつかの十分に反応性のチオール基を有してもよい。いくつかの実施形態において、システインチオールは、鎖間のジスルフィド結合を形成するシステイン残基のチオール基である。いくつかの実施形態において、システインチオールは、鎖間のジスルフィド結合を形成しないシステイン残基のチオール基である。典型的には、理論的最大未満の薬物部分が、コンジュゲーション反応の間に、抗体にコンジュゲートする。抗体は、例えば、リンカーまたはリンカー中間体と反応しない多くのリシン残基を含有し得る。最も反応性のリシン基のみが、反応性リンカー試薬と反応し得る。
【0117】
一般に、抗体は、リンカーを介して薬物に連結する可能性がある遊離および反応性のシステインチオール基を多く含有することはなく、含有したとしてもわずかである。抗体における大部分のシステインチオール残基はジスルフィド架橋として存在し、還元剤、例えば、ジチオスレイトール(DTT)で還元しなくてはならない。抗体は、変性条件に供されて、反応性求核基、例えば、リシンまたはシステインを曝露し得る。ADCの添加量(薬物/抗体比)は、(i)抗体に対して過剰なモル濃度の薬物-リンカーを制限すること、(ii)コンジュゲーションの反応時間または温度を制限すること、および(iii)システインチオール修飾のための部分的または制限的な還元的条件を含めて、いくつかの異なる様式で制御し得る。1つより多くの求核基が薬物-リンカーと反応する場合、このように得られた産物は、抗体毎の1つまたは複数の薬物部分の分布を伴うADCの混合物である。抗体毎の薬物の平均数は、例えば、抗体に対して特異的な、および薬物に対して特異的な、二重ELISA抗体アッセイによって混合物から計算し得る。個々のADCは、質量分析法によって混合物において同定し得、HPLC、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって分離し得る。
【0118】
下記は、本出願において他に定義または記載し得ない略語および定義の一覧である。DMSO(ジメチルスルホキシドを指す)、HRMS(高分解能質量分析法を指す)、DAD(ダイオードアレイ検出を指す)、TFA(2,2,2-トリフルオロ酢酸またはトリフルオロ酢酸を指す)、TFF(接線流濾過を指す)、EtOH(エタノールを指す)、MW(分子量を指す)、HPLC(高速液体クロマトグラフィーを指す)、分取HPLC(分取高速液体クロマトグラフィーを指す)、etc.(その他を指す)、トリチル(1,1’,1’’-エタン-1,1,1-トリイルトリベンゼンを指す)、THF(テトラヒドロフランを指す)、NHS(1-ヒドロキシ-2,5-ピロリジンジオンを指す)、Cbz(カルボキシベンジルを指す)、eq.(当量を指す)、n-BuLi(n-ブチルリチウムを指す)、OAc(アセテートを指す)、MeOH(メタノールを指す)、i-Pr(イソプロピルまたはプロパン-2-イルを指す)、NMM(4-メチルモルホリンを指す)、および「-」(表において、この時点でデータが利用可能でないことを指す)。
【0119】
本明細書において使用する場合、「H/C」または「H-(C)」とは、そのシステイン残基の1つを介して(リンカーまたは本発明の化合物に)結合している、HER2/neu受容体を妨げるトラスツズマブ(商品名HERCEPTIN(登録商標)で販売)または実質的に同様のモノクローナル抗体を指す。
【0120】
本明細書において使用する場合、「CD33-11A1-v1417-(C)」とは、そのシステイン残基の1つを介して(リンカーまたは本発明の化合物に)結合している、CD33に結合するモノクローナル抗体である抗CD33抗体を指す。
【0121】
本出願を通して使用するように、アミノ酸残基のナンバリング(例えば、114位におけるアラニン)は、Kabat法のEUインデックスに基づく。
【0122】
本明細書において使用する場合、「H-(A114C)」とは、重鎖の114位におけるアラニンと置換されたその操作されたシステインの1つを介して(リンカーまたは本発明の化合物に)結合している、HER2/neu受容体を妨げるモノクローナル抗体である操作されたトラスツズマブを指す。
【0123】
本明細書において使用する場合、「H-(kK183C)」とは、軽(カッパ)鎖の183位におけるリシンにおいて置換されたその操作されたシステインを介して(リンカーまたは本発明の化合物に)結合している、HER2/neu受容体を妨げるモノクローナル抗体である操作されたトラスツズマブを指す。
【0124】
本明細書において使用する場合、「H-(E380C)」とは、重鎖の380位におけるグルタメートにおいて置換されたその操作されたシステインを介して(リンカーまたは本発明の化合物に)結合している、HER2/neu受容体を妨げるモノクローナル抗体である操作されたトラスツズマブを指す。
【0125】
本明細書において使用する場合、「CD33-11A1-v1417-(K290C)-(K334C)」とは、重鎖の290位におけるリシンにおいて、および334位におけるリシンにおいて置換されたその操作されたシステインを介して(リンカーまたは本発明の化合物に)結合している、CD33に結合するモノクローナル抗体である操作された抗CD33抗体を指す。
【0126】
本明細書において使用する場合、「CD33-11A1-v1417-(K334C)-(K392C)」とは、重鎖の334位におけるリシンにおいて、および392位におけるリシンにおいて置換されたその操作されたシステインを介して(リンカーまたは本発明の化合物に)結合している、CD33に結合するモノクローナル抗体である操作された抗CD33抗体を指す。
【0127】
一般に、本明細書において使用する場合、「H-((AA1)###(AA2))」((AA1)および(AA2)は、第1および第2のアミノ酸である)とは、重鎖の###位における(AA1)において置換されたその操作された(AA2)を介して本発明の化合物に結合している、HER2/neu受容体を妨げるモノクローナル抗体である操作されたトラスツズマブを指し、###は、関連性のあるアミノ酸(複数可)の位置を表す。「k」または「カッパ」に言及する同様の表示法は、軽鎖のカッパ形態上の置換を示す。
【0128】
同様に、本明細書において使用する場合、「H-((AA1)###(AA2)-((AA3)####(AA4))」((AA1)、(AA2)、(AA3)および(AA4)は、第1、第2、第3および第4のアミノ酸である)とは、重鎖の###位(###は、関連性のあるアミノ酸(複数可)の位置を表す)において(AA1)において置換されたその操作された(AA2)を介して本発明の化合物に結合しており、かつまた重鎖の####位(####は、関連性のあるアミノ酸(複数可)の位置を表す)において(AA3)において置換されたその操作された(AA4)を介して本発明の化合物に結合している、HER2/neu受容体を妨げるモノクローナル抗体である操作されたトラスツズマブを指す。「k」または「カッパ」に言及する同様の表示法は、軽鎖のカッパ形態上の置換を示す。
【0129】
一般に、本明細書において使用する場合、「CD33-11A1-v1417-((AA1)###(AA2))((AA1)および(AA2)は、第1および第2のアミノ酸である)とは、重鎖の###位(###は、関連性のあるアミノ酸(複数可)の位置を表す)において(AA1)において置換されたその操作された(AA2)を介して本発明の化合物に結合している、CD33に結合している、モノクローナル抗体である操作された抗CD33抗体を指す。「k」または「カッパ」に言及する同様の表示法は、軽鎖のカッパ形態上の置換を示す。
【0130】
同様に、本明細書において使用する場合、「CD33-11A1-v1417-(AA1)###(AA2)+(AA3)####(AA4)/(AA2)###+(AA4)####」((AA1)、(AA2)、(AA3)および(AA4)は、第1、第2、第3および第4のアミノ酸である)とは、重鎖の###位(###は、関連性のあるアミノ酸(複数可)の位置を表す)において(AA1)において置換されたその操作された(AA2)を介して本発明の化合物に結合しており、また重鎖の####位(####は、関連性のあるアミノ酸(複数可)の位置を表す)において(AA3)において置換されたその操作された(AA4)を介して本発明の化合物に結合している、HER2/neu受容体を妨げる、モノクローナル抗体である操作されたトラスツズマブを指す。「k」または「カッパ」に言及する同様の表示法は、軽鎖のカッパ形態上の置換を示す。
【0131】
本明細書において使用する場合、「-PABC-」または「PABC」とは、構造:
【0132】
【0133】
本明細書において使用する場合、「-PABA-」または「PABA」とは、構造:
【0134】
【0135】
抗体単位(AbまたはAB)
上で述べたように、「抗体」(または「Ab」もしくは「AB」)という用語は、本明細書において最も広い意味で使用され、具体的には、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物活性を示す抗体フラグメントを包含する。さらに、本明細書に記載されている本発明の特定の態様は、抗体薬物コンジュゲートを指す一方で、コンジュゲートの抗体部分は、所与の標的細胞集団と関連する受容体、抗原または他の受容性部分と特異的に結合または反応的に会合もしくは複合体化するものと置き換え得ることがさらに想定される。例えば、抗体を含有する代わりに、本発明のコンジュゲートは、治療的にまたはその他の点で生物学的に修飾されることを求められる細胞集団の受容体、抗原または他の受容性部分に結合、複合体化、または反応するターゲティング分子を含有することができる。このような分子の例は、より小さな分子量のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド、レクチン、糖タンパク質、非ペプチド、ビタミン、栄養素輸送分子(これらに限定されないが、トランスフェリンなど)、または任意の他の細胞結合分子もしくは物質を含む。特定の態様において、抗体または他のこのようなターゲティング分子は、それと共に抗体または他のターゲティング分子が相互作用する特定の標的細胞集団に対して薬物を送達するように作用する。
【0136】
別の態様において、本発明は、式IIの抗体薬物コンジュゲート化合物に関し、Pは、トラスツズマブ、トラスツズマブ変異体(例えば、本明細書または国際特許出願第PCT/IB2012/056234号において開示されているトラスツズマブ変異体)、オレゴボマブ、エドレコロマブ、セツキシマブ、ビトロネクチン受容体(αvβ3)に対するヒト化モノクローナル抗体、アレムツズマブ、非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗HLA-DR抗体を含めた抗HLA-DR抗体、131I Lym-1、非ホジキンリンパ腫の処置のためのマウス抗HLA-Dr10抗体を含めた抗HLA-Dr10抗体、抗CD33抗体、ホジキン病または非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗CD22mAbを含めた抗CD22抗体、ラベツズマブ、ベバシズマブ、イブリツモマブチウキセタン、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、イピリムマブ、およびゲムツズマブから選択される抗体である。
【0137】
抗体単位上に存在し得るヘテロ原子は、硫黄(一実施形態において、抗体のスルフヒドリル基から)、酸素(一実施形態において、抗体のカルボニル、カルボキシルまたはヒドロキシル基から)、および窒素(一実施形態において、抗体の第一級または第二級アミノ基から)を含む。これらのヘテロ原子は、抗体の天然状態における抗体、例えば、天然の抗体上に存在することができ、または化学修飾によって抗体中に導入することができる。
【0138】
一実施形態において、抗体単位はスルフヒドリル基を有し、抗体単位はスルフヒドリル基の硫黄原子を介して結合する。
【0139】
さらに別の態様では、抗体は、天然または操作されたシステイン残基を有し、これらは本発明の化合物と反応し、したがって抗体単位の硫黄原子、および式(I)におけるR2SO2基を担持する炭素原子からなるチオエーテル結合を形成することができる。例えば、WO2013/093809(「Engineered Antibody Constant Regions for Site-Specific Conjugation and Methods and Uses Therefor」);およびWO2014/068443(「Spliceostatin Analogs」)を参照されたい。
【0140】
さらに、遊離の硫黄またはスルフヒドリル基は、下記のパラグラフにいて記載されているように、他の周知の方法によって導入し得る。
【0141】
別の実施形態において、抗体は、活性化したエステル(このようなエステルには、これらに限定されないが、N-ヒドロキシスクシンイミド、ペンタフルオロフェニル、およびp-ニトロフェニルエステルが含まれる)と反応することができるリシン残基を有し、このように、抗体単位の窒素原子、およびカルボニルからなるアミド結合を形成する。例えば、この実施形態の一態様では、抗体単位は、化学修飾されて1つまたは複数のスルフヒドリル基を導入することができる1つまたは複数のリシン残基を有する。リシンを修飾するために使用することができる試薬には、これらに限定されないが、N-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)および2-イミノチオラン塩酸塩(トラウト試薬)が含まれる。
【0142】
別の実施形態において、抗体単位は、化学修飾されて1つまたは複数のスルフヒドリル基を有することができる1つまたは複数の炭水化物基を有する。例えば、この実施形態の一態様では、抗体単位は、1個もしくは複数の炭水化物基を有し、これは酸化されて、アルデヒド基を提供することができる、(例えば、Laguzzaら、1989、J. Med. Chem.、32(3):548~55を参照されたい)。対応するアルデヒドは、反応部位、例えば、ヒドラジンまたはヒドロキシルアミン部分を含有する化合物、およびまた1個もしくは複数の遊離またはマスクされたスルフヒドリル基を含有するものとの結合を形成することができる。薬物の付着または会合のためのタンパク質の修飾のための他のプロトコルは、Coliganら、Current Protocols in Protein Science、第2巻、John Wiley&Sons(2002)(参照により本明細書中に組み込まれている)に記載されている。
【0143】
別の実施形態では、抗体単位は、トランスグルタミナーゼによって酵素的に触媒される条件下で第一級アミンと反応し、それによって抗体単位上のグルタミン残基の側鎖カルボニル基、およびアミンからなるアミド結合を形成させることができる、1個もしくは複数のグルタミン残基を有する。この実施形態の一態様では、グルタミン残基は、これらのそれぞれの全内容が参照により本明細書中に組み込まれている、WO2012/059882(「Engineered Polypeptide Conjugates and Methods for Making Thereof Using Transglutaminase」)、WO2015/015448(「Engineered Polypeptide Conjugates Using Transglutaminase」)、およびWO2015/162563(「Antibody-Drug Conjugates with High Drug Loading」)において記載されているような、内因性グルタミン、工学によって導入されるグルタミン含有タグ、および/または抗体工学によって反応性とされた内因性グルタミン、または操作されたトランスグルタミナーゼ(例えば、変化した基質特異性を有する)であり得る。この実施形態の別の態様では、抗体単位は、化学修飾されて、1個もしくは複数のスルフヒドリル基を導入することができる1個もしくは複数のグルタミン残基を有する。このような修飾は、トランスグルタミナーゼによって触媒される条件下で行うことができ、アミド結合は、グルタミン残基の側鎖カルボニル、および1個もしくは複数の遊離またはマスクされたスルフヒドリル基をまた含有する第一級アミンの間で形成される。
【0144】
コンジュゲートが、抗体の代わりに非免疫反応性タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド単位を含むとき、有用な非免疫反応性タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド単位には、これらに限定されないが、トランスフェリン、上皮増殖因子(「EGF」)、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来増殖因子、IL-2、IL-6、トランスフォーミング増殖因子(「TOP」)、例えば、TGF-αおよびTGF-β、ワクチニア増殖因子(「VGF」)、インスリンおよびインスリン様増殖因子IおよびII、ソマトスタチン、レクチンならびに低密度リポタンパク質からのアポタンパク質が含まれる。
【0145】
有用なポリクローナル抗体は、免疫化された動物の血清に由来する抗体分子の不均質な集団である。有用なモノクローナル抗体は、特定の抗原決定基(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、タンパク質、ペプチド、炭水化物、化学物質、核酸、またはそのフラグメント)に対する抗体の均質な集団である。対象の抗原に対するモノクローナル抗体(mAb)は、当技術分野において公知の任意の技術を使用することによって調製することができ、培養物中の連続細胞系による抗体分子の産生を実現する。
【0146】
有用なモノクローナル抗体には、これらに限定されないが、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、抗体フラグメント、またはキメラモノクローナル抗体が含まれる。ヒトモノクローナル抗体は、多数の当技術分野で公知の技術のいずれかによって作製し得る(例えば、Tengら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.80:7308~7312;Kozborら、1983、Immunology Today 4:72~79;およびOlssonら、1982、Meth.Enzymol.92:3~16)。
【0147】
抗体はまた、二重特異性抗体でもよい。二重特異性抗体を作製する方法は当技術分野において公知であり、下で考察する。
【0148】
抗体は、標的細胞(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原、もしくは微生物抗原)に免疫特異的に結合する抗体、または腫瘍細胞もしくはマトリックスに結合する他の抗体の機能的活性フラグメント、誘導体もしくは類似体でもよい。これに関しては、「機能的活性」とは、フラグメント、誘導体または類似体が、このフラグメント、誘導体または類似体が由来する抗体が認識したものと同じ抗原を認識する抗抗イディオタイプ抗体を誘発することができることを意味する。具体的には、例示的な実施形態において、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、抗原を特異的に認識するCDR配列に対してC末端にあるフレームワークおよびCDR配列の欠失によって増強することができる。どのCDR配列が抗原に結合するかを決定するために、CDR配列を含有する合成ペプチドは、当技術分野において公知の任意の結合アッセイ方法(例えば、BIAコアアッセイ)によって、抗原による結合アッセイにおいて使用することができる(CDR配列の場所については、例えば、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、Md.;Kabat Eら、1980、J.Immunology 125(3):961~969を参照されたい)。
【0149】
他の有用な抗体には、これらに限定されないが、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fvs、単鎖抗体、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体、scFv、scFv-FV、または抗体と同じ特異性を有する任意の他の分子などの抗体のフラグメントが含まれる。
【0150】
さらに、組換え抗体、例えば、標準的な組換えDNA技術を使用して作製することができる、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、有用な抗体である。キメラ抗体は、異なる部分が、異なる動物種に由来する分子、例えば、マウスモノクローナルに由来する可変領域、およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するものである。(例えば、全内容が参照により本明細書中に組み込まれている、米国特許第4,816,567号;および米国特許第4,816,397号を参照されたい)。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)、およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する、非ヒト種からの抗体分子である。(例えば、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている米国特許第5,585,089号を参照されたい)。このようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の組換えDNA技術によって、例えば、それらの各々が参照により本明細書中にその全体が組み込まれている、国際公開第WO87/02671号;欧州特許第0184187号;欧州特許出願公開第0171496号;欧州特許出願公開第0173494号;国際公開第WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願公開第012023号;Berterら、1988、Science 240:1041~1043;Liuら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439~3443;Liuら、1987、J.Immunol.139:3521~3526;Sunら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214~218;Nishimuraら、1987、Cancer.Res.47:999~1005;Woodら、1985、Nature 314:446~449;およびShawら、1988、J.Natl.Cancer Inst.80:1553~1559;Morrison、1985、Science 229:1202~1207;Oiら、1986、BioTechniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら、1986、Nature 321:552~525;Verhoeyanら、1988、Science 239:1534;およびBeidlerら、1988、J.Immunol.141:4053~4060に記載されている方法を使用して産生することができる。
【0151】
完全ヒト抗体が特に望ましく、内因性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して産生することができる。トランスジェニックマウスを、通常の様式で、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドの全部または一部で免疫化する。抗原に対するモノクローナル抗体は、通常のハイブリドーマ技術を使用して得ることができる。トランスジェニックマウスが持つヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再配置され、それに続いてクラススイッチおよび体細胞変異を受ける。このように、このような技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要について、LonbergおよびHuszar、1995、Int.Rev.Immunol.13:65~93を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、ならびにこのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察について、例えば、これらの各々が参照により本明細書中にその全体が組み込まれている、米国特許第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号を参照されたい。他のヒト抗体は、例えば、Abgenix,Inc.(現在は、Amgen、Freemont、Calif.)およびMedarex(Princeton、N.J.)から商業的に得ることができる。
【0152】
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択」と称される技術を使用して生じさせることができる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス抗体を使用して、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導する。(例えば、Jespersら、1994、Biotechnology、12:899~903を参照されたい)。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーを含めた当技術分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる(例えば、HoogenboomおよびWinter、1991、J.Mol.Biol.、227:381;Marksら、1991、J.Mol.Biol.、222:581;QuanおよびCarter、2002、The rise of monoclonal antibodies as therapeutics,In Anti-IgE and Allergic Disease、JardieuおよびFick編、Marcel Dekker、New York、N.Y.、第20章、427~469頁を参照されたい)。
【0153】
他の実施形態において、抗体は、抗体の融合タンパク質、またはその機能的活性フラグメントであり、例えば、抗体は、抗体からではない別のタンパク質(またはタンパク質のその一部、好ましくは少なくとも10、20もしくは50のアミノ酸部分)のアミノ酸配列のN末端またはC末端において共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して融合している。好ましくは、抗体またはそのフラグメントは、定常ドメインのN末端における他のタンパク質に共有結合で連結している。
【0154】
すなわち、抗体は、このような共有結合的付着によって、抗体がその抗原結合性免疫特異性を保持することが可能となる限り、任意のタイプの分子の共有結合的付着によって修飾されている類似体および誘導体を含む。これらに限定されないが、例えば、抗体の誘導体および類似体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞抗体単位または他のタンパク質への連結などによってさらに修飾されたものを含む。多数の化学修飾のいずれかを、これらに限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンなどの存在下での代謝合成を含めた公知の技術によって行うことができる。さらに、類似体または誘導体は、1種または複数種の非天然のアミノ酸を含有することができる。
【0155】
抗体は、Fc受容体と相互作用する、アミノ酸残基における修飾(例えば、置換、欠失または付加)を有することができる。特に、抗体は、抗FcドメインおよびFcRn受容体の間の相互作用において関与していると同定されるアミノ酸残基における修飾を有することができる(例えば、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている国際公開第WO97/34631号を参照されたい)。
【0156】
がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体は、商業的に得ることができ、または当業者には公知の任意の方法、例えば、化学合成もしくは組換え発現技術によって産生することができる。がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、例えば、GenBankデータベースもしくは同様のデータベース、文献から、または通例のクローニングおよび配列決定によって得ることができる。
【0157】
特定の実施形態において、がんの処置のために公知の抗体を使用することができる。がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体は、商業的に得ることができ、または当業者に公知の任意の方法、例えば、組換え発現技術によって産生することができる。がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、例えば、GenBankデータベースもしくは同様のデータベース、文献から、または通例のクローニングおよび配列決定によって得ることができる。がんの処置のために利用可能な抗体の例には、これらに限定されないが、卵巣がんの処置のためのマウス抗体であるOVAREX;結腸直腸がんの処置のためのマウスIgG2a抗体であるPANOREX(Glaxo Wellcome、NC);上皮増殖因子陽性がん、例えば、頭頸部がんの処置のための抗EGFR IgGキメラ抗体であるセツキシマブERBITUX(Imclone Systems Inc.、NY);肉腫の処置のためのヒト化抗体であるVitaxin(MedImmune、Inc.、MD);慢性リンパ球性白血病(CLL)の処置のためのヒト化IgG1抗体であるCAMPATH I/H(Leukosite、MA);非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗HLA-DR抗体であるSMART ID10(Protein Design Labs,Inc.、CA);非ホジキンリンパ腫の処置のための放射性標識したマウス抗HLA-Dr10抗体であるONCOLYM(Techniclone,Inc.、CA);ホジキン病または非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗CD2mAbであるALLOMUNE(BioTransplant、CA);ならびに結腸直腸がんの処置のためのヒト化抗CEA抗体であるCEACIDE(Immunomedics、NJ)が含まれる。
【0158】
がん診断および治療のための有効な細胞標的を発見する試みにおいて、研究者は、1種または複数種の正常な非がん細胞(複数可)上と比較して、1種または複数種の特定のタイプ(複数可)のがん細胞の表面上に特異的に発現している膜貫通ポリペプチドまたはその他の点で腫瘍に関連するポリペプチドを同定することを探究してきた。しばしば、このような腫瘍に関連するポリペプチドは、非がん細胞の表面上と比較して、がん細胞の表面上により豊富に発現している。このような腫瘍に関連する細胞表面抗原ポリペプチドの同定は、抗体をベースとする治療によって破壊するために、がん細胞を特異的に標的とする能力を生じさせてきた。
【0159】
リンカー単位
リンカーは、薬物および抗体を連結して、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成するために使用することができる二官能性化合物である。このようなコンジュゲートは、例えば、腫瘍に関連する抗原に対するイムノコンジュゲートの形成において有用である。このようなコンジュゲートは、腫瘍細胞への細胞毒性薬の選択的送達を可能とする。ADCにおいて、リンカーは、ペイロードを抗体に付着させる役割を果たす。
【0160】
本発明のコンジュゲートは、化学的または酵素的に切断されると、薬物の誘導体であり得る薬物または活性剤の放出を最終的にもたらす切断要素を組み込んでもよいリンカーを含有する。切断要素の例には、これらに限定されないが、化学的に切断されるアシルヒドラゾン、例えば、US5,773,001に記載されているもの、酵素的に切断されるジペプチドまたはジペプチド-p-アミノベンジルカルバメート配列、例えば、US6,214,345B1に記載されているもの、酵素的に切断されるグルクロニドまたはグリコシド部分、例えば、US8,039,273_B2およびUS8,568,728B2に記載されているものなどが含まれる。本発明の特定の実施形態では、さらなる自壊性スペーサー要素、例えば、p-アミノベンジルカルバメート部分、置換もしくは非置換N,N-ジアミノエチルまたはN,N-ジアミノプロピル部分を、リンカー単位中に組み込み得る。
【0161】
本発明の特定の実施形態では、リンカーは、「切断不可能」であってもよく、この場合、リンカー内に化学的または酵素的に感受性の結合は存在しない。これらの場合、薬物または活性剤は、抗体自体の酵素的異化作用を介して放出されることが想定され、それによってリンカーを有する薬物、および無傷の抗体に由来する1つもしくは複数のアミノ酸を放出する。
【0162】
本発明の特定の実施形態では、リンカー単位を、薬物に最初に付着させてもよく、次いで、薬物リンカー要素を、別々の転換において、抗体または抗体フラグメントに付着させる。
【0163】
本発明の他の実施形態では、リンカー単位を、最初に抗体または抗体フラグメントに付着させてもよく、次いで、薬物または薬物誘導体を、別々の転換において、抗体リンカーまたは抗体フラグメントリンカーに付着させる。
【0164】
化合物およびその抗体薬物コンジュゲートの合成
本発明の化合物およびコンジュゲートは、例示において下記で概要を述べた合成手順を使用して作製することができるものを含む。下でより詳細に記載するように、本発明の化合物およびコンジュゲートは、反応部位を有するリンカー単位のセクションを使用して調製することができる。一態様では、システイン残基のチオール基(またはセレノシステイン残基のセレノール基)に対して選択的に反応性である第2の反応部位を有する、リンカー単位の第2のセクションが導入される。下でより詳細に記載するように、コンジュゲートは、薬物、プローブ、または造影剤への結合のための反応部位を有するリンカーのセクションを使用し、抗体に対する反応部位を有するリンカー単位の別のセクションを導入して調製することができる。一態様では、リンカー単位は、抗体単位、例えば、抗体上に存在するチオール求核基と選択的に反応性である求電子基を有する反応部位を有する。求電子基は、抗体付着のための好都合な部位を提供する。抗体の求核基のヘテロ原子は、リンカー単位上の求電子基に対して反応性であり、リンカー単位への共有結合を形成する。
【0165】
本発明の化合物およびコンジュゲートはまた、段階的な調製を使用して作製することができるものを含む。
【0166】
本発明の式Iの特定の化合物は、当業者には公知の、求核芳香族置換反応(SNAr)を受けることができるチオール反応性求電子基を含有し、ポリペプチドまたは抗体単位上に存在するチオール部分は、式IにおけるR2SO2基の置換を伴って求電子基と反応する。この反応は、ポリペプチドまたは抗体単位上の硫黄原子、および式IにおけるR2SO2基を従前に担持した求電子基の芳香族炭素原子の間の新規な共有結合を実現する。本発明の一態様では、ポリペプチドまたは抗体単位のチオール基は、遊離もしくはキャップされた形態で天然であり得るか、または天然のスルフィド結合中に存在し得、反応性チオールの遊離を伴うそのチオール基のアンキャッピングをもたらす試薬、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、システイン、トリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などによる従前の処理を必要とし得る。本発明の別の態様では、ポリペプチドまたは抗体単位のチオール基は、工学によって導入し得、遊離もしくはキャップされた形態で存在し得、反応性チオールの遊離を伴うそのチオール基のアンキャッピングをもたらす試薬、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、システイン、トリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などによる従前の処理を必要とし得る。本発明の別の態様では、ポリペプチドまたは抗体単位のチオール基は、ポリペプチドまたは抗体単位と、ポリペプチドまたは抗体単位への付着のための反応性部分を含有し、反応性チオールの遊離を伴うそのチオール基のアンキャッピングをもたらす試薬、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、システイン、トリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などによる従前の処理を必要とし得る1個もしくは複数の遊離、キャップされたもしくは保護されたチオール基をまた含有する化合物との、化学反応または酵素反応によって導入し得る。
【0167】
本発明の態様では、ポリペプチドまたは抗体単位上に存在するチオール基の反応は、例えば、リシン側鎖上に存在するアミン基、アルギニン側鎖上に存在するアミジン基、ヒスチジン側鎖上に存在するイミダゾール基、セリンもしくはトレオニン側鎖上に存在するアルコール基、またはチロシン側鎖上に存在するフェノール基を含めた他の潜在的求核基の存在下で、式Iにおけるチオール反応性求電子基との選択反応を受けることができる。
【0168】
組成物および投与方法
他の実施形態において、本発明の別の態様は、有効量の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲート、ならびに薬学的に許容できる担体またはビヒクルを含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、組成物は、動物またはヒトへの投与に適している。
【0169】
本医薬組成物は、組成物が患者に投与されることが可能となる任意の形態でもよい。例えば、組成物は、固体または液体の形態でもよい。典型的な投与経路には、これらに限定されないが、非経口、目および腫瘍内が含まれる。非経口投与は、皮下注射、静脈内、筋内または胸骨内の注射または注入技術を含む。一態様において、組成物は、非経口的に投与される。特定の実施形態において、組成物は、静脈内に投与される。
【0170】
医薬組成物は、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートが患者への組成物の投与によって生物が利用可能となることが可能となるように製剤することができる。組成物は、1つまたは複数の投与量単位の形態を取ることができ、例えば、錠剤は、単一の投与量単位でよく、液体形態の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの容器は、複数の投与量単位を保持することができる。
【0171】
医薬組成物の調製において使用される材料は、使用される量で無毒性のものであってもよい。医薬組成物中の活性成分(複数可)の最適な投与量は、種々の要因によって決まることは当業者には明らかである。関連要因には、これらに限定されないが、動物のタイプ(例えば、ヒト)、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの特定の形態、投与の様式、ならびに用いる組成物が含まれる。
【0172】
組成物が、例えば、錠剤または散剤形態であるように、薬学的に許容できる担体またはビヒクルは、固体または微粒子でもよい。担体(複数可)は、液体でもよい。さらに、担体(複数可)は、微粒子でもよい。
【0173】
組成物は、液体の形態、例えば、溶液剤、乳剤または懸濁剤でもよい。注射による投与のための組成物において、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散化剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤および等張剤の1つまたは複数をまた含むことができる。
【0174】
液体組成物はまた、これらが溶液剤、懸濁剤かまたは他の同様の形態かに関わらず、下記の1つまたは複数を含むことができる。無菌賦形剤、例えば、注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、不揮発性油、例えば、溶媒または懸濁媒としての役割を果たすことができる合成モノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば、酢酸、クエン酸、リン酸またはアミノ酸、および浸透圧の調節のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口組成物は、ガラス、プラスチックまたは他の材料でできた、アンプル、使い捨て注射器または複数回用量バイアル中に封入することができる。生理食塩水は、例示的なアジュバントである。注射可能な組成物は好ましくは、無菌である。
【0175】
特定の障害または状態の処置において有効である本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの量は、障害または状態の性質によって決まり、標準的な臨床技術によって決定することができる。さらに、インビトロまたはインビボでのアッセイを場合によって用い、最適な投与量範囲の同定を助けることができる。組成物中に用いられる正確な用量はまた、投与経路、および疾患または障害の重症度によって決まり、医師の判断および各患者の状況によって決定すべきである。
【0176】
組成物は、適切な投与量が得られるように、有効量の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートを含む。典型的には、この量は、組成物の重量によって少なくとも約0.01%の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートである。例示的な実施形態において、非経口投与量単位が、約0.01%~約2重量%の量の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートを含有するように、医薬組成物を調製する。
【0177】
静脈内投与のために、組成物は、患者の体重1kg当たり約0.01~約100mgの本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートを含むことができる。一態様において、組成物は、患者の体重1kg当たり約1~約100mgの本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートを含むことができる。別の態様において、投与される量は、約0.1~約25mg/kg体重の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの範囲である。
【0178】
一般に、患者に投与される本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの投与量は典型的には、約0.01mg/kg~約20mg/kg患者の体重である。一態様において、患者に投与される投与量は、約0.01mg/kg~約10mg/kg患者の体重である。別の態様において、患者に投与される投与量は、約0.1mg/kg~約10mg/kg患者の体重である。さらに別の態様において、患者に投与される投与量は、約0.1mg/kg~約5mg/kg患者の体重である。また別の態様において、投与される投与量は、約0.1mg/kg~約3mg/kg患者の体重である。さらに別の態様において、投与される投与量は、約1mg/kg~約3mg/kg患者の体重である。
【0179】
本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートは、任意の好都合な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって投与することができる。投与は、全身性または局所でもよい。様々な送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどにおけるカプセル化は公知であり、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートを投与するために使用することができる。特定の実施形態において、複数種の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートを、患者に投与する。
【0180】
特定の実施形態において、1種または複数種の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートを、処置を必要とする領域において局所的に投与することが望ましくてもよい。限定としてではなく、例えば、手術の間の局所注入;例えば、手術後の創傷被覆材と併せた局所適用;注射による;カテーテルを用いた;またはインプラントを用いた(インプラントは、膜、例えば、シラスティック膜、もしくは繊維を含めた多孔性、非多孔性、もしくはゼラチン質材料のものである)によって、これは達成することができる。一実施形態において、投与は、がん、腫瘍または新生物または前新生物組織の部位(または以前の部位)における直接の注射によってなされてもよい。別の実施形態において、投与は、自己免疫疾患の徴候の部位(または以前の部位)における直接の注射によってなされてもよい。
【0181】
さらに別の実施形態において、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートは、これらに限定されないがポンプなどの制御放出系で送達することができ、または様々なポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施形態において、制御放出系は、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの標的、例えば、肝臓の近くに配置することができ、それによって、全身性用量の1画分のみを必要とする(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、前掲、第2巻、115~138頁(1984)を参照されたい)。Langer(Science 249:1527~1533(1990))による概説において考察されている他の制御放出系を、使用することができる。
【0182】
「担体」という用語は、賦形剤、アジュバントまたは添加剤を指し、これと共に化合物またはその抗体薬物コンジュゲートが投与される。このような医薬担体は、液体、例えば、水、および石油、動物、野菜または合成起源のものを含めた油でもよい。担体は、食塩水などでもよい。さらに、助剤、安定化剤および他の薬剤を使用することができる。一実施形態において、患者に投与するとき、化合物またはコンジュゲートおよび薬学的に許容できる担体は、無菌である。化合物またはコンジュゲートが静脈内に投与されるとき、水は例示的な担体である。食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液はまた、特に、注射可能な溶液のための液体担体として用いることができる。本組成物はまた、必要に応じて、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することができる。
【0183】
本組成物は、溶液剤、ペレット、散剤、持続放出製剤の形態、または使用に適した任意の他の形態を取ることができる。適切な医薬担体の他の例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martinに記載されている。
【0184】
一実施形態において、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートは、動物、特に、人間への静脈内投与のために適合された医薬組成物としての通例の手順によって製剤される。典型的には、静脈内投与のための担体またはビヒクルは、無菌の等張緩衝水溶液である。必要な場合、組成物はまた、可溶化剤を含むことができる。静脈内投与のための組成物は、局所麻酔剤、例えば、注射の部位における疼痛を緩和するリグノカインを場合により含むことができる。一般に、成分は、別々に、または単位剤形、例えば、密封された容器、例えば、活性剤の量を示すアンプルもしくはサッシェ中の、凍結乾燥した粉末もしくは水を含有しない濃縮物として、一緒に混合して供給される。本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートが注入によって投与される場合、例えば、無菌の医薬品グレードの水または食塩水を含有する注入ボトルで分注することができる。本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートが注射によって投与される場合、投与の前に成分を混合することができるように、注射用滅菌水、または食塩水のアンプルを提供することができる。
【0185】
組成物は、固体または液体の投与量単位の物理的形態を変更する様々な材料を含むことができる。例えば、組成物は、活性成分の周りのコーティングシェルを形成する材料を含むことができる。コーティングシェルを形成する材料は典型的には不活性であり、例えば、糖、セラック、および他の腸溶性コーティング剤から選択することができる。代わりに、活性成分をゼラチンカプセル中に入れてもよい。
【0186】
固体または液体形態であろうと、本組成物は、がんの処置において使用される薬理学的薬剤を含むことができる。
【0187】
化合物およびその抗体薬物コンジュゲートの治療上の使用
本発明の別の態様は、がんを処置するための、本発明の化合物およびその抗体薬物コンジュゲートを使用する方法に関する。
【0188】
本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートは、腫瘍細胞もしくはがん細胞の増殖を阻害し、腫瘍もしくはがん細胞においてアポトーシスをもたらし、または患者におけるがんを処置するために有用である。本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートは、したがって、動物のがんの処置のための種々の状況において使用することができる。前記コンジュゲートを使用して、腫瘍細胞またはがん細胞へ本発明の化合物を送達することができる。理論に束縛されるものではないが、一実施形態において、コンジュゲートの抗体は、がん細胞または腫瘍細胞と関連する抗原に結合し、または会合し、コンジュゲートは、受容体仲介エンドサイトーシスまたは他の内部移行機序によって、腫瘍細胞またはがん細胞内に取り込まれる(内部移行する)ことができる。抗原は腫瘍細胞もしくはがん細胞に付着することができ、または腫瘍細胞もしくはがん細胞と関連する細胞外マトリックスタンパク質でもよい。特定の実施形態において、いったん細胞内にあれば、1つまたは複数の特異的ペプチド配列は、1つまたは複数の腫瘍細胞またはがん細胞に関連するプロテアーゼによって酵素的にまたは加水分解的に切断され、コンジュゲートからの本発明の化合物の放出がもたらされる。次いで、放出された本発明の化合物は、細胞内で自由に移動し、細胞毒性または細胞増殖抑制活性を誘発する。コンジュゲートはまた細胞内プロテアーゼによって切断され、本発明の化合物を放出することができる。代わりの実施形態において、本発明の化合物は、腫瘍細胞またはがん細胞の外側のコンジュゲートから切断され、本発明の化合物はそれに続いて細胞に侵入する。
【0189】
特定の実施形態において、コンジュゲートは、コンジュゲーション特異的な腫瘍またはがん薬物ターゲティングを提供し、このように、本発明の化合物の一般毒性を低減させる。
【0190】
別の実施形態において、抗体単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に結合する。
【0191】
別の実施形態において、抗体単位は、腫瘍細胞またはがん細胞の表面上にある腫瘍細胞またはがん細胞抗原に結合する。
【0192】
別の実施形態において、抗体単位は、腫瘍細胞またはがん細胞と関連する細胞外マトリックスタンパク質である、腫瘍細胞またはがん細胞抗原に結合する。
【0193】
特定の腫瘍細胞またはがん細胞についての抗体単位の特異性は、最も効果的に処置される腫瘍またはがんを決定するために重要であり得る。
【0194】
本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートで処置することができる特定のタイプのがんには、これらに限定されないが、膀胱、乳房、子宮頸部、結腸、子宮内膜、腎臓、肺、食道、卵巣、前立腺、膵臓、皮膚、胃、および精巣の癌腫;ならびにこれらに限定されないが、白血病およびリンパ腫を含めた血液由来のがんが含まれる。
【0195】
がんのための多様式治療。これらに限定されないが、腫瘍、転移、または制御されない細胞増殖によって特徴付けられる他の疾患もしくは障害を含めたがんは、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの投与によって処置または阻害することができる。
【0196】
他の実施形態において、それを必要としている患者に、有効量の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲート、ならびに化学療法剤を投与することを含む、がんを処置する方法を提供する。一実施形態において、化学療法剤は、それによってがんの処置が不応性であると見出されてこなかったものである。別の実施形態において、化学療法剤は、それによってがんの処置が不応性であると見出されてきたものである。本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートは、がんのための処置として手術をまた受けた患者に投与することができる。
【0197】
いくつかの実施形態において、患者はまた、さらなる処置、例えば、放射線療法を受ける。特定の実施形態において、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートは、化学療法剤または放射線療法と同時に投与される。別の特定の実施形態において、化学療法剤または放射線療法は、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの投与の前に、または投与に続けて投与する。
【0198】
化学療法剤は、一連のセッションに亘り投与することができる。化学療法剤のいずれかの1つまたは組合せ、このような標準的な化学療法剤(複数可)を投与することができる。
【0199】
さらに、本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートによるがんの処置の方法は、化学療法または放射線療法に代わるものとして提供されるが、化学療法または放射線療法は、毒性がありすぎると証明されてきており、または証明することができ、例えば、処置される対象にとって許容されないまたは耐えられない副作用をもたらす。処置される患者は、場合によって、どのような処置が許容されまたは耐えられると見出されるかによって、別のがん処置、例えば、手術、放射線療法または化学療法で処置することができる。
【0200】
本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートはまた、インビトロまたはエキソビボの様式で、例えば、これらに限定されないが、白血病およびリンパ腫を含めた特定のがんの処置のために使用することができ、このような処置は、自己幹細胞移植が関与する。これは、動物の自己造血幹細胞を収集し、ここから全てのがん細胞を一掃し、次いで、動物の残存する骨髄細胞集団を、付随的な高線量の放射線療法を伴いもしくは伴わずに、高用量の本発明の化合物および/またはその抗体薬物コンジュゲートの投与によって根絶し、幹細胞移植片を動物中に再注入する複数ステップのプロセスを含み得る。次いで、骨髄機能が元に戻る間に支持療法を提供し、患者を回復させる。
【0201】
本発明を下記の実施例においてさらに記載するが、これは本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0202】
実験手順
実験を一般に、酸素感受性もしくは水分感受性試薬または中間体を用いた場合は特に、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。適切な場合、無水溶媒を含めて市販の溶媒および試薬は一般に、それ以上精製することなく使用した(一般に、Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WisconsinからのSure-Seal(商標)製品)。生成物は、さらなる反応を受けるか、または動物実験を受ける前に、全体的に真空下で乾燥させた。質量分析データは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、大気圧化学イオン化(APCI)またはガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)の計測手段から報告する。核磁気共鳴(NMR)データについての化学シフトは、用いた重水素化溶媒からの残留ピークを参照した百万分率(ppm、δ)で表す。
【0203】
他の実施例または方法における手順を参照する合成について、反応プロトコル(反応の長さおよび温度)は変化し得る。一般に、反応に続いて、薄層クロマトグラフィー、LCMSまたはHPLCを行い、適当な場合、後処理に供した。精製は、実験毎に変化し得る。一般に、溶離液/勾配のために使用する溶媒および溶媒比は、適当な保持時間を実現するために選択した。
【0204】
HRMSは、Agilent6220TOF LC/MSで行った。
【0205】
分析のために使用するHPLC、LCMS、およびSEC条件
プロトコルA:カラム:Waters Acquity UPLC BEH、2.1mm×50mm、C18、1.7μm;移動相A:水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:0.1分に亘り5%B、0.7分に亘り5%~95%B、0.1分に亘り95%B;流量:1.25mL/分、温度:60℃;検出:200~450nm;MS(+)範囲100~1200ダルトン;注入量:5μL;機器:Waters Acquity。
【0206】
プロトコルB:カラム:Phenomenex Luna C18(2)、150×3.0mm、5μm;移動相A:水中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:8.5分に亘り0%~100%B;流量:1.5mL/分、温度:制御せず;検出:DAD、210nm;注入量:10μL;機器:Agilent1100HPLC
【0207】
プロトコルC:カラム:Phenomenex Luna C18(2)、150×3.0mm、5μm;移動相A:水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:1.5分に亘り5%B、8.5分に亘り5%~100%B、次いで、1分間100%B;流量:0.75mL/分、温度:25℃;検出:DAD、215nm、254nm;MS(+)範囲150~2000ダルトン;注入量:10μL;機器:Agilent1200LCMS。
【0208】
プロトコルD:カラム:Waters Acquity UPLC BEH、2.1mm×50mm、C18、1.7μm;移動相A::水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:0.1分に亘り5%B、0.7分に亘り5%~95%B、0.1分に亘り95%B;流量:1.25mL/分、温度:60℃;検出:200~450nm;MS(+)範囲100~1200ダルトン;注入量:5μL;機器:Waters Acquity。
【0209】
プロトコルE:カラム:Waters Acquity HSS T3、C18、2.1×50mm、1.7μm;移動相A:水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:0.1分に亘り5%B、2.5分に亘り5%~95%B、95%B、0.35分;流量:1.25mL/分、温度:60℃;検出:200~450nm;MS(+)範囲100~2000m/z;注入量:5μL;機器:Waters Acquity UPLC。
【0210】
プロトコルF:カラム:YMC-pack ODS-A、150mm×4.6mm、5μm;移動相A:水中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:10分に亘り0%~95%B、5分に亘り95%B;流量:1.0mL/分。検出:220nm。
【0211】
プロトコルG:カラム:YMC-pack ODS-A、150mm×4.6mm、5μm;移動相A:水中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:10分に亘り65%~100%B、5分に亘り100%B;流量:1.0mL/分。検出:220nm。
【0212】
プロトコルH:カラム:Phenomenex Luna C18(2)、150×3.0mm、5μm;移動相A:水中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:20分に亘り0%~100%B;流量:1.5mL/分、温度:制御せず、検出:DAD210nm;注入量:10μL;機器:Agilent1100HPLC。
【0213】
プロトコルI:カラム:Waters Acquity HSS T3、C18、2.1×50mm、1.7μm;移動相A:水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:0.1分に亘り5%B、5分に亘り5%~95%B、95%B、0.35分;流量:1.25mL/分、温度:60℃;検出:200~450nm;MS(+)範囲100~2000m/z;注入量:5μL;機器:Waters Acquity UPLC。
【0214】
プロトコルJ:カラム:Ultimate XB-C18、50mm×3.0mm、3μm;移動相A:水中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:1分に亘り1%~5%B、5分に亘り5%~100%B、2分に亘り100%B、次いで、2分に亘り1%B;流量:1.2mL/分。検出:220nm。
【0215】
プロトコルK:カラム:Ultimate XB-C18、30mm×5.0mm、3μm;移動相A:水中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:1分に亘り1%~5%B、5分に亘り5%~100%B、2分に亘り100%B、次いで、2分に亘り1%B;流量:1.2mL/分。検出:220nm。
【0216】
プロトコルL:カラム:Agilent Poroshell300SB-C8、75×2.1mm、2.6μm;移動相A:水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:初期条件:4分に亘り20%B~45%B;流量:1.0mL/分、温度:60℃;検出:220nm;MS(+)範囲400~2000Da;注入量:10μL;機器:Agilent1100LC、Waters MicromassZQ MS。MaxEnt1を使用して、デコンボリューションを行った。
【0217】
プロトコルM:カラム:TSK-gel G3000SWxl、300×7.8mm、10μm;移動相:2%アセトニトリルを有するリン酸緩衝溶液(PBS、1×、pH7.4);定組成;流量:1mL/分、温度:室温;注入量:5μL;機器:Agilent1100HPLC。
【0218】
プロトコルN:カラム:GE Superdex200(5/150GL);移動相:2%アセトニトリルを有するリン酸緩衝溶液(PBS、1×、pH7.4);定組成;流量:0.25mL/分、温度:室温;注入量:10μL;機器:Agilent1100HPLC。
【0219】
プロトコルO:カラム:Waters Acquity HSS T3、C18、2.1×50mm、1.7μm;移動相A:水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:0.1分に亘り5%B、0.1~1.0分に亘り5%~95%B、1.0~1.1分間、95%B;流量:1.25mL/分、温度:60℃;検出:200~450nm;MS(+)範囲100~2000m/z;注入量:5μL;機器:Waters Acquity UPLCおよびWaters Acquity SQシステム。
【0220】
プロトコルP:カラム:Waters Acquity HSS T3、C18、2.1×50mm、1.7μm;移動相A:水中の0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v);勾配:0.1分に亘り5%B、0.1~2.6分に亘り5%~95%B、2.6~2.95分間、95%B;流量:1.25mL/分、温度:60℃;検出:200~450nm;MS(+)範囲100~2000m/z;注入量:5μL;機器:Waters Acquity UPLCおよびWaters Acquity SQシステム。
【0221】
プロトコルQ:カラム:Waters Xbridge、C18、2×50mm、5μm;移動相A:水中の10mMのNH4HCO3;移動相B:アセトニトリル;勾配:0.6分に亘り1~5%B、0.6~3.4分に亘り5~100%B;流量:0.8mL/分、温度:室温;注入量:10μL;機器:Agilent1200HPLC。
【0222】
精製のために使用されるHPLC条件:
方法A:カラム:Phenomenex Luna C18、100×30mm、10μm;移動相A:水中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:メタノール中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:20分に亘り10%~90%B;流量:20mL/分、温度:制御せず、検出:DAD210nm、254nm;注入量:不定;機器:Gilson。
【0223】
方法B:カラム:Phenomenex Luna C18(2)、150×21.2mm、5μm;移動相A:水中の0.02%トリフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル中の0.02%トリフルオロ酢酸;勾配:1.5分に亘り1%B、8.5分に亘り1%~50%B;流量:27mL/分;検出:DAD210~360nm;MS(+)範囲150~2000ダルトン;機器:Waters FractionLynx。
【0224】
方法C:カラム:Phenomenex Luna C18、100×30mm、10μm;移動相A:水中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:メタノール中の0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:20分に亘り20%~80%B;流量:20mL/分、温度:制御せず、検出:DAD210nm、254nm;注入量:不定;機器:Gilson。
【0225】
方法D:カラム:Phenomenex Synergi Max-RP C12、250×50mm、10μm;移動相A:水中の0.2%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル(v/v);勾配:30分に亘り15%~45%B、5分に亘り95%B;流量:80mL/分、温度:制御せず、検出:UV210nm、254nm;MS(+)範囲:100~1000ダルトン;注入量:不定;機器:島津製LC-20AP。
【0226】
いくつかの例では、これらに限定されないが、勾配、流量、または調節剤組成における変化などの、LCMSおよびHPLC分取精製条件のための溶出条件に対するいくつかの軽微な変更を行った。適用可能なとき、このような変更は、本明細書において一覧表示される特定の手順において示される。
【0227】
一般手順:
一般手順A:ジエチルアミンを使用したFmoc除去
Fmoc含有化合物のジクロロメタン中溶液に、ジエチルアミンを加え、1:1~1:10のジエチルアミン:ジクロロメタンの比を得た。反応進行をLCMS(またはHPLCもしくはTLC)によってモニターした。反応は通常、3時間以内に完了した。溶媒を真空中で除去するか、または場合によって、窒素流下で濃縮し、残渣を逆相クロマトグラフィーによって精製した。
【0228】
一般手順B:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)とのアミドカップリング。
撹拌したアミン(1.0当量)および酸(1.0~2.0当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)またはN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)中溶液に、HATU(1.0~2.0当量)、それに続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.0~4.0当量)を加えた。反応進行を、LCMS(またはHPLCもしくはTLC)によってモニターした。反応は通常、3時間以内に完了した。溶媒を真空中で除去した。残渣をシリカゲルまたは逆相クロマトグラフィーによって精製した。
注意:全てのLCMSデータは、特に断りのない限り、プロトコルA(1.5分の方法)に基づく。
【0229】
5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-カルボン酸(#1)の調製
【0230】
【化33】
アセトン(30mL)中の5-メチルスルファニル-ピラジン-2-カルボン酸(0.73g、4.3mmol、1当量)およびオキソン(15.4g、22mmol、約6当量)の混合物を、45℃にて概ね20時間激しく撹拌した。冷却した(室温)反応混合物を濾過し、濾過ケークをアセトン(2×20mL)およびアセトニトリル(10mL)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。粗材料を、20分に亘り0.1%ギ酸を含有する水中の0~30%アセトニトリルの勾配溶離を使用して100g C18カラム上の逆相クロマトグラフィーによって精製し、5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-カルボン酸、#1(0.25g、29%)を白色固体として得た。LCMS (プロトコルE): m/z 202.9 [M+H]
+, 保持時間= 0.23分;
1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 9.35-9.32 (m, 2H), 3.40 (s, 3H).
【0231】
中間体#2
2-(メチルスルホニル)ベンゾ[d]チアゾール-6-カルボン酸(#2)の調製
【0232】
【化34】
2-(メチルスルホニル)ベンゾ[d]チアゾール-6-カルボン酸(30mg、8%)を、上記の5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-カルボン酸、#1の手順と類似の手順に従うことによって、2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸(WO2013056070A2における化合物12)(0.33g、1.44mmol)、オキソン(7.0g、11mmol)、およびアセトン(10mL)から合成した。LCMS (プロトコルE): m/z 257.9 [M+H]
+, 保持時間= 0.85分;
1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 13.45 (br s, 1H), 9.02-9.00 (m, 1H), 8.37-8.22 (m, 1H), 8.24-8.21
(m, 1H), 3.62 (s, 3H).
【0233】
N,2-ジメチル-N-[6-({[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]アラニル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#6)の調製
【0234】
【化35】
ステップ1。N-(6-{[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]アミノ}-N-メチルヘキサンアミド)-2-メチルプロパン酸(#3)の合成
6-{[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸(1g、3mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL、0.15M)中溶液に、HATU(1.108g、2.8mmol)、それに続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1mL、5mmol)を加えた。この反応混合物を、2-メチル-2-(メチルアミノ)プロパン酸(332mg、2.83mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1mL、5mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中溶液に滴下添加した。このように得られた茶色溶液を室温にて撹拌した。90分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、塩酸の1N水溶液(×3)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮乾固し、このように得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0.1%酢酸を有するヘプタン中の50%~100%酢酸エチル)によって精製した。プールした生成物含有画分を蒸発させ、表題化合物#3(415mg、30%)をピンク色がかったゴム状物として得た。LCMS: m/z 453.20 [M+H]
+, 保持時間 =
0.89分;
1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.76 (d, J=7.6 Hz, 2 H) 7.60 (d,
J=7.3 Hz, 2 H) 7.39 (t, J=7.5 Hz, 2 H) 7.28 - 7.34 (m, 2 H) 4.33 - 4.45 (m, 2
H) 4.17 - 4.28 (m, 1 H) 3.12 - 3.22 (m, 2 H) 2.97 (s, 3 H) 2.30 - 2.39 (m, 2 H)
1.58 - 1.68 (m, 2 H) 1.47 - 1.56 (m, 2 H) 1.43 (s, 6 H) 1.31 - 1.39 (m, 2 H).
【0235】
ステップ2。N-(6-{[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサノイル)-N,2-ジメチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#4)の合成
氷で冷やした水浴中の#3(194mg、0.429mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)中溶液に、N-メチルモルホリン(140μL)を加え、それに続いてイソプロプレニルクロロホルメート(47.8μL、1.3mmol)を滴下添加した。1時間後、この反応混合物を、N-{(2R,3R)-3-メトキシ-3-[(2S)-1-{(3R,4S,5S)-3-メトキシ-5-メチル-4-[メチル(L-バリル)アミノ]ヘプタノイル}ピロリジン-2-イル]-2-メチルプロパノイル}-L-フェニルアラニン(US2013/0129753A1における実施例#114)(211mg、0.311mmol)のイソプロパノール(1mL)およびテトラヒドロフラン(1mL)中溶液に滴下添加した。2時間後、LCMS分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで、残渣を、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の20~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製した。プールした生成物含有画分を凍結乾燥し、表題化合物#4(82mg、25%)を白色固体として得た。LCMS:m/z1053.6[M+H]+、保持時間=2.10分;HPLC(プロトコルB):保持時間=8.034分。
【0236】
ステップ3。N-(6-アミノヘキサノイル)-N,2-ジメチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#5)の合成
上記の一般手順Aによれば、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の20~70%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)による逆相クロマトグラフィーによる精製の後に、#4(81mg、0.077mmol)、ジクロロメタン(1mL、0.08M)およびジエチルアミン(0.3mL、3mmol)から、#5(59mg)を非結晶質ガラス状物として合成した。LCMS:m/z831.5[M+H]+、保持時間=0.69分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.240分。
【0237】
ステップ4。N,2-ジメチル-N-[6-({[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]アラニル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#6)の合成
5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-カルボン酸、#1(5.5mg、0.027mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3mL、0.017mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.1mL)中溶液に、HATU(7.9mg、0.020mmol)を加えた。約15分後、#5(13.5mg、0.016mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(6mL、0.033mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL)中溶液を、反応混合物に加えた。45分後、LC-MS分析は、反応が完了したことを示し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の20~95%アセトニトリル勾配溶離を利用した)によって混合物を逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物A(1.9mg、12%)を得た。LC-MS:m/z1013.5[M-H+],1039.5[M+Na+]保持時間=1.61分;HPLC(プロトコルH):保持時間=10.090分。
【0238】
N,2-ジメチル-N-[6-({[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]アラニル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#7)の調製
【0239】
【化36】
4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-NMM)(11.6mg、0.042mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(10μL)を、テトラヒドロフラン(0.5mL)中の2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸、#2(11.0mg、0.043mmol)の混合物に室温にて加えた。1時間後、この混合物を、#5(21mg、0.022mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)中溶液に加えた。さらに1時間後、LCMSは、反応が完了したことを示した。反応混合物をアセトニトリルで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の20~80%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物#7(3.3mg、3%)を得た。LCMS:m/z1070.4[M+H]
+、保持時間=0.89分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.722分;
【0240】
2-メチル-1-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#10)の調製
【0241】
【化37】
ステップ1。1-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,25-ジオキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-イル]-2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-tert-ブトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#8)の合成
上記の一般手順Bによれば、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中の10~100%アセトン)の後で、2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-tert-ブトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#239)(237mg、0.302mmol)、1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-酸(201mg、0.332mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(210μL、1.21mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)およびHATU(133mg、0.332mmol)から、#8(238mg、59%)を白色の泡として合成した。LCMS: m/z 1344.1 [M+H]
+, 保持時間 =
2.33分; HPLC (プロトコルF): 保持時間 = 10.301分;
1H NMR (400 MHz,
CDCl3): δ 7.76 (d, 2H), 7.59 (d, 2H), 7.39 (m, 2H),
7.33 (m, 2H), 7.26-6.83 (m, 5H), 5.44 (br, 1H), 4.72-4.62 (m, 2H), 4.41 (d,
2H), 4.16 (m, 2H), 3.76-3.31 (m, 39H), 3.08-2.99 (m, 5H), 2.60-2.25 (m, 6H),
1.93-1.46 (m, 13H), 1.46 (m, 1H), 1.38 (s, 9H), 1.19 (m, 4H), 0.99-0.84 (m,
13H).
【0242】
ステップ2。1-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-tert-ブトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#9)の合成
上記の一般手順Aによれば、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~75%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)による逆相クロマトグラフィーによる精製の後で、#8(800mg、0.595mmol)、ジクロロメタン(20mL)およびジエチルアミン(2mL、20mmol)から、#9(400mg、54%)を非結晶質固体として合成した。LCMS:m/z1122.1[M+H]+、保持時間=0.81分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.282分。
【0243】
ステップ3。2-メチル-1-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#10)の合成
白色の2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(25.0mg、0.124mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)中懸濁液に室温にて、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(22mg、0.12mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(18μL、0.165mmol)を加えた。懸濁液は濃厚で僅かに黄色となった。N,N-ジメチルアセトアミド(0.2mL)を加え、反応混合物を室温にて撹拌した。2時間後、LCMSは、完全な活性化を示した。無色の#9(44mg、0.033mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)中溶液を、従前の反応混合物に加えた。40分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を窒素の強力な流れ下で濃縮し、ジクロロメタン(0.5mL)で希釈し、トリフルオロ酢酸を加えた(1.5mL)。2時間後、LCMS分析は、Boc-脱保護反応が完了したことを示した。混合物をDMSOで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~80%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物#10(18.2mg、44%)を固体として得た。LCMS(プロトコルC):m/z1250.6[M+H]+、保持時間=8.252分。
【0244】
2-メチル-1-{23-[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#11)の調製
【0245】
【化38】
白色の5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-カルボン酸、#1(24.1mg、0.119mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)中懸濁液に室温にて、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(21mg、0.12mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(24.8μL、0.225mmol)を加えた。懸濁液は濃厚で僅かに黄色となった。N,N-ジメチルアセトアミド(0.2mL)を加え、溶解性を助長させた。反応混合物を室温にて撹拌した。2時間後、LCMSは、完全な活性化を示した。無色の化合物#9(66mg、0.045mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)中溶液を、従前の反応混合物に加えた。40分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を窒素の強力な流れ下で濃縮し、ジクロロメタン(0.5mL)で希釈し、トリフルオロ酢酸を加えた(1.5mL)。1時間後、LCMS分析は、Boc-脱保護反応が完了したことを示した。混合物をDMSOで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~80%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物#11(12.9mg、23%)を固体として得た。LCMS:m/z1249.5[M+H]
+、保持時間=0.92分;HPLCMS(プロトコルC):m/z1250.6[M+H]
+、保持時間=8.384分。
【0246】
2-メチル-1-{23-[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#14)の調製
【0247】
【化39】
ステップ1。1-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,25-ジオキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-イル]-2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#12)の合成
一般手順Bによれば、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中の10~100%アセトン)の後で、2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#117)(115mg、0.146mmol)、1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-酸(97.6mg、0.161mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(102μL、0.584mmol)、N,N-ジメチルホルムアミドおよびHATU(64.4mg、0.161mmol)から、#12(164mg、86%)を白色の泡として合成した。LCMS: m/z 1302.1 [M+H]
+, 保持時間 =
2.17分; HPLC (プロトコルG): 保持時間 = 4.158分;
1H NMR (400 MHz,
CDCl3): δ 7.77 (d, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.39 (m, 2H),
7.33 (m, 2H), 7.22-6.95 (m, 7H), 5.44 (br, 1H), 4.86-4.70 (m, 3H), 4.42 (d,
2H), 4.24 (m, 3H), 3.87-3.55 (m, 29H), 3.38-3.32 (m, 9H), 3.10 (m, 4H), 2.61
(m, 2H), 2.41-2.39 (m, 3H), 1.91-1.62 (m, 13H), 1.30 (br 1H), 1.20 (d, 3H),
1.00-0.84 (m, 12H).
【0248】
ステップ2。1-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-2-メチル-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#13)の合成
氷で冷やした水浴中の#12(88mg、0.068mmol、1当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中溶液に、水酸化リチウム(36mg、1.5mmol)の水(0.4mL)溶液を加えた。20分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示し、窒素の強力な流れ下で濃縮し、残渣を方法Bによって逆相クロマトグラフィーによって精製し、化合物#13(189mg、71%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルC):m/z1065.7[M+H]+、保持時間=6.959分。
【0249】
ステップ3:2-メチル-1-{23-[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-プロリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#14)
白色の2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸、#2(5mg、0.02mmol)のテトラヒドロフラン(0.1mL)中懸濁液に、室温にて4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)(5mg、0.018mmol)、それに続いて1滴のN-メチルモルホリンを加えた。反応混合物を室温にて撹拌した。2時間後、LCMSは、完全な活性化を示した。N,N-ジメチルアセトアミド(0.1mL)中の#13の無色溶液(10mg、0.009mmol)を、従前の反応混合物に加えた。室温にて一晩撹拌した後、LCMS分析は、反応が完了したことを示し、次いで、DMSOで希釈し、方法A(調節剤:トリフルオロ酢酸;勾配:水中の20~90%アセトニトリル)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物#14(0.9mg、8%)を無色ガラス状物として得た。LCMS:m/z1304.4[M+H]+、保持時間=1.70分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.412分。
【0250】
N-[6-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#19)の調製
【0251】
【化40】
ステップ1:Fmoc-AmCapValCitPABC-OH(#15)の合成:Fmoc-6-アミノヘキサン酸(4.2g、11.40mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中溶液を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.8mL、2.82g、21.8mmol、1.8当量)およびHATU(5.6g、14.75mmol、1.25当量)で処理し、混合物を室温にて10分間撹拌した。L-バリル-N
5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド
2[ValCitPABA](Dubowchik, G.M.ら、Bioconjug Chem、13、855~69(2002)
5における化合物64)(5.6g、14.75mmol、1.25当量)を、次いで混合物に加え、撹拌を室温にて15時間続けた。ジクロロメタンを加えて、生成物が沈殿し、これを濾過し、空気乾燥させ、5.9g(100%)の所望の材料をオフホワイト固体として得た。この材料を、更には精製せずにそれに続く反応において直接使用した。MS(ES)m/z:715.6[M+H]
+。
【0252】
ステップ2:FmocAmCapValCitPABC-PNP(#16)の合成:FmocAmCapValCitPABA-OH、#15(500mg、0.7mmol)、およびビス-(4-ニトロフェニル)カーボネート(638mg、2.1mmol、3当量)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)中溶液を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(365μL、270mg、2.1mmol、3当量)で処理し、反応物を室温にて一晩撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、このように得られた残渣を、15分に亘りジクロロメタン中の0%~25%メタノールの勾配溶離、それに続いてジクロロメタン中の25%メタノールの定組成溶離を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。プールした生成物含有画分を蒸発させて、402mg(68%)の所望の生成物をオフホワイト固体として得た。MS(ES)m/z:880.3[M+H]+。
【0253】
ステップ3:N-(6-アミノヘキサノイル)-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#18)の合成
2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#54)(105mg、0.141mmol)、FmocAmCapValCitPABC-PNP、#16(138mg、0.157mmol)、HOAt(6.40mg、0.047mmol)、および2,6-ルチジン(91uL、84mg、0.783mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.4mL)中溶液を、45℃にて21時間加熱した。さらなるFmocAmCapValCitPABC-PNP、#16(31mg、0.035mmol)、HOAt(3.83mg、0.028mmol)、および2,6-ルチジン(16uL、15mg、0.141mmol)を次いで加え、反応物を40℃にてさらに6時間加熱し、次いで、室温にて一晩保持した。LCMS分析は、反応物が化合物#17および#18の混合物を含有したことを示した。ピペリジン(0.5mL)を加え、反応物を室温にて1時間撹拌した。LCMS分析は、Fmoc-脱保護反応が完了したことを示し、反応物を濃縮し、残渣を精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の10~85%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、97mg(54%)の所望の生成物(#18)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルI):m/z1062.3[M+H]+、保持時間=2.36分。
【0254】
ステップ4:N-[6-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#19)の合成
N-(6-アミノヘキサノイル)-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、#18(100mg、0.061mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中溶液に、2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(41mg、0.2mmol)、それに続いて2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(35mg、0.20mmol)およびN-メチルモルホリン(50μL、0.46mmol)を加えた。反応混合物を室温にて2日間撹拌し、次いで、DMSOで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~90%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物#19(52mg、59%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルC):m/z1445.6[M+H]+、723.5[M+2H]/2+、保持時間=8.721分。
【0255】
N-[6-({[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#26)
【0256】
【化41】
ステップ1。メチル6-{[(5-クロロピラジン-2-イル)カルボニル]アミノ}ヘキサノエート(#20)の合成
5-クロロピラジン-2-カルボン酸(500mg、3.1mmol)およびメチル-6-アミノヘキサノエート塩酸塩(688mg、3.71mmol)のジクロロメタン(15mL)中溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(711mg、3.71mmol、1.2当量)を加えた。反応物を室温にて18時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(75mL)で希釈し、1Nの塩酸(15mL)で洗浄した。層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル(ヘプタン中の20%~70%酢酸エチルによる勾配溶離)上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、メチル6-{[(5-クロロピラジン-2-イル)カルボニル]-アミノ}ヘキサノエート、#20(378mg、43%)を白色固体として得た。LCMS (プロトコルE): m/z 308.2 [M+Na+], 保持時間 = 1.25分;
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6):
δ ppm 9.00 (d, J=1.22 Hz, 1 H), 8.96 (t, J=5.99 Hz, 1
H), 8.87 (d, J=1.47 Hz, 1 H), 3.58 (s, 3 H), 3.29 (q, J=6.85 Hz, 2 H), 2.30 (t,
J=7.46 Hz, 2 H), 1.50 - 1.59 (m, 4 H), 1.25 - 1.33 (m, 2 H).
【0257】
ステップ2。メチル6-({[5-(メチルスルファニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノエート(#21)の合成
メチル6-{[(5-クロロピラジン-2-イル)カルボニル]アミノ}ヘキサノエート、#20(374mg、1.31mmol)のジメチルスルホキシド(8mL)中溶液に、ナトリウムチオメトキシド(184mg、2.62mmol)を加えた。反応物を室温にて18時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム(10mL)で洗浄した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮し、メチル6-({[5-(メチルスルファニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノエート(262mg、67%)、#21を白色固体として得た。LCMS (プロトコルE): m/z 298.2 [M+H]+, 保持時間 = 1.35分; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6):
δ 8.96 (d, J=1.47 Hz, 1 H), 8.77 (t, J=5.87 Hz, 1 H),
8.64 (d, J=1.71 Hz, 1 H), 3.58 (s, 3 H), 3.27 (q, J=6.77 Hz, 2 H), 2.62 (s, 3
H), 2.30 (t, J=7.34 Hz, 2 H), 1.49 - 1.59 (m, 4 H), 1.23 - 1.33 (m, 2 H).
【0258】
ステップ3。6-({[5-(メチルスルファニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸(#22)の合成
メチル6-({[5-(メチルスルファニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノエート、#21(50mg、0.17mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中溶液に、水酸化リチウム(8mg、0.3mmol)の水(0.3mL)溶液を加えた。反応物を室温にて3時間撹拌した。反応物をジクロロメタン(25mL)で希釈し、1Nの塩酸(6mL)を加えた。層を分離し、有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮し、6-({[5-(メチルスルファニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#22(43mg、90%)を白色固体として得た。LCMS (プロトコルE): m/z 284.2 [M+H]+, 保持時間 = 1.07分; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6):
δ 11.98 (br. s., 1 H), 8.97 (d, J=1.47 Hz, 1 H), 8.77
(t, J=5.87 Hz, 1 H), 8.64 (d, J=1.47 Hz, 1 H), 3.28 (q, J=6.85 Hz, 2 H), 2.62
(s, 3 H), 2.20 (t, J=7.34 Hz, 2 H), 1.48 - 1.57 (m, 4 H), 1.25 - 1.33 (m, 2 H).
【0259】
ステップ4。6-({[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸(#23)の合成
6-({[5-(メチルスルファニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#22(40mg、0.14mmol)のジクロロメタン(2mL)中懸濁液に、m-クロロ過安息香酸(126mg、0.56mmol)を加えた。反応物を室温にて18時間撹拌した。反応物を濾過し、固体を集め、6-({[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#23(33mg、74%)を白色固体として得た。LCMS (プロトコルA): m/z 316.2 [M+H]+, 保持時間 = 0.54分; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6):
δ 11.97 (br. s., 1 H), 9.34 (d, J=1.47 Hz, 1 H), 9.25
(d, J=1.22 Hz, 1 H), 9.18 (t, J=5.99 Hz, 1 H), 3.40 (s, 3 H), 3.29 - 3.36 (m, 2
H), 2.21 (t, J=7.34 Hz, 2 H), 1.49 - 1.60 (m, 4 H), 1.31 (五重線, J=7.58 Hz, 2 H).
【0260】
ステップ5。N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#24)の合成
2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#54)(50mg、0.067mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)中溶液に、N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(US8399403B2における化合物10)(52mg、0.081mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.05mL、0.3mmol)、2,6-ルチジン(0.03mL、0.3mmol)、および1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(11mg、0.081mmol)を加えた。反応物を45℃にて24時間撹拌し、次いで、室温に冷却し、2日間撹拌した。粗反応物を濾過し、濾液を方法Cによって逆相HPLCによって精製し、#24(46mg、55%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルE):m/z1248.8[M+H]+、保持時間=1.83分。
【0261】
ステップ6。L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#25)の合成
トリフルオロ酢酸(0.1mL、1mmol)を、#24(45mg、0.036mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に加え、反応物を室温にて20分間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、#25(50mg)を白色固体として得て、これを更には精製せずに直接使用した。LCMS(プロトコルE):m/z1149.2[M+H]+、保持時間=1.50分。
【0262】
ステップ7。N-[6-({[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#26)の合成
6-({[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#23(5mg、0.02mmol)、およびL-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、#25(10mg、0.007mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL、0.04mmol)中溶液に、(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)(3mg、0.008mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.002mL、0.014mmol)を加えた。反応物を室温にて24時間撹拌した。粗反応物を濾過し、濾液を方法Cによって逆相HPLCによって直接精製し、表題化合物、#26(3.7mg、37%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルE):m/z1491.8[M+HCO2
-]、保持時間=1.74分。
【0263】
N-[6-({[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#30)の調製
【0264】
【化42】
ステップ1。メチル6-({[2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)-ヘキサノエート(#27)の合成
2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸
4(500mg、2.22mmol)およびメチル6-アミノヘキサノエート塩酸塩(494mg、2.66mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(510mg、2.66mmol)を加えた。反応物を室温にて18時間撹拌した。反応物を水(15mL)およびジクロロメタン(75mL)で希釈した。水層をジクロロメタン(50mL)で逆抽出した。合わせた有機層をブライン(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中の50%~100%酢酸エチル)によって精製し、メチル6-({[2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)-ヘキサノエート、#27(189mg、24%)を黄固体として得た。LCMS (プロトコルE): m/z 353.2 [M+H]
+, 保持時間 = 1.45分;
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6):
δ 8.53 (t, J=5.62 Hz, 1 H), 8.48 (d, J=1.22 Hz, 1 H), 7.87
- 7.94 (m, 2 H), 3.58 (s, 3 H), 3.24 - 3.31 (m, 2 H), 2.82 (s, 3 H), 2.32 (t,
J=7.34 Hz, 2 H), 1.56 (tt, J=14.58, 7.31 Hz, 4 H), 1.29 - 1.38 (m, 2 H).
【0265】
ステップ2。6-({[2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸(#28)の合成
メチル6-({[2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)-ヘキサノエート、#27(50mg、0.14mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中溶液に、水酸化リチウム(15mg、0.61mmol)の水(0.3mL)溶液を加えた。2時間後、反応物をジクロロメタン(30mL)で希釈し、1Nの塩酸でpH=3に酸性化した。水層をジクロロメタン(15mL)で逆抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮し、6-({[2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#28(40mg、83%)を黄色固体として得て、これを更には精製せずに次のステップで使用した。LCMS (プロトコルA): m/z 339.2 [M+H]+, 保持時間 = 0.71分; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6):
δ 8.65 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.53 (t, J=5.5 Hz, 1H), 8.48
(d, J=1.2 Hz, 1H), 8.02 (dd, J=8.3, 1.7 Hz, 1H), 7.87-7.95 (m, 2H), 3.27 (q,
J=6.7 Hz, 2H), 2.82 (s, 3H), 2.22 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.54 (五重線, J=7.5 Hz, 4H), 1.29-1.38 (m, 2H).
【0266】
ステップ3。6-({[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸(#29)の合成
6-({[2-(メチルスルファニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#28(39mg、0.12mmol、1当量)のジクロロエタン(2mL)中懸濁液に、m-クロロ過安息香酸(103mg、0.46mmol、4当量)を加えた。反応物を室温にて24時間撹拌した。反応物を濾過し、固体を集め、6-({[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#29(27mg、63%)を黄色固体として得て、これを更には精製せずに次のステップで使用した。LCMS (プロトコルE): m/z 371.2 [M+H]+, 保持時間 = 0.98分; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)
δ: 11.96 (br. s., 1 H), 8.80 (s, 1 H), 8.70 - 8.76 (m,
1 H), 8.33 (d, J=8.80 Hz, 1 H), 8.11 - 8.15 (m, 1 H), 3.62 (s, 3 H), 3.27 -
3.32 (m, 2 H), 2.23 (t, J=7.34 Hz, 2 H), 1.56 (dq, J=14.82, 7.45 Hz, 4 H), 1.31
- 1.39 (m, 2 H).
【0267】
ステップ4。N-[6-({[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}-アミノ)ヘキサノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#30)の合成
6-({[2-(メチルスルホニル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#29(6mg、0.02mmol)、およびL-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、#25(9.6mg、0.007mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL、0.04mmol)中溶液に、(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)(3mg、0.008mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.002mL、0.014mmol)を加えた。反応物を室温にて24時間撹拌した。粗反応混合物を濾過し、濾液を方法Cによって逆相HPLCによって精製し、表題化合物、#30(2.3mg、22%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルE):m/z1502.3[M+2H+]、保持時間=1.79分。
【0268】
N-{23-[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#35)の調製
【0269】
【化43】
ステップ1。N-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,25-ジオキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-イル]-L-バリル-N
5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#31)の合成
一般手順Bによれば、氷冷の撹拌したL-バリル-N
5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド[ValCitPABA](化合物64、Dubowchik, G.M.ら、Bioconjug Chem、13、855~69(2002)
5(1800mg、4.744mmol)、1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-酸(2.73g、4.74mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(736mg、5.69mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(12mL)中溶液に、HATU(2160mg、5.69mmol)を加えた。反応物を、LCMSによって完了するまで室温にて撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチル中で希釈し、このように得られた固体を濾過によって集め、表題化合物、#31(1.9g、43%)を黄色固体として得た。LCMS (プロトコルD): m/z 937.2 [M+H]
+, 保持時間 = 0.785分;
1H NMR (400 MHz,
DMSO): δ 9.89 (m, 1H), 8.10-8.08 (d, 1H), 7.89-7.86 (m,
2H), 7.70-7.68 (d, 2H), 7.55-7.53 (d, 2H), 7.43-7.41 (m, 2H), 7.34-7.31 (m,
2H), 7.24-7.22 (d, 1H), 5.97 (br, 1H), 5.41 (s, 2H), 5.11-5.08 (m, 1H),
4.43-4.20 (m, 5H), 3.59-3.58 (d, 2H), 3.49-3.48 (m, 18H), 3.41-3.38 (m, 4H),
2.40-2.33 (m, 2H), 1.99-1.94 (m, 1H), 1.69-1.17 (m, 6H), 0.86-0.82 (m, 6H).
【0270】
ステップ2。N-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,25-ジオキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-イル]-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#32)の合成
氷で冷やした水浴中の撹拌した黄色のN-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,25-ジオキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-イル]-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、#31(9.35g、9.978mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(56mL)中溶液に、ビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(9.11g、29.9mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1550mg、12.0mmol)を加えた。室温にて1.5時間撹拌した後、TLC(ジクロロメタン:メタノール:水酸化アンモニウム10:1:0.1)は、反応の完了を示した。反応混合物をtert-ブチルメチルエーテル(2L)に滴下添加し、30分間撹拌した。白色の沈殿物が形成され、濾過し、表題化合物#32(7.2g、65.5%)を白色固体として得た。LCMS (プロトコルD): m/z 1102.2 [M+H]+,
1124.2 [M+Na+] 保持時間 = 0.882分; 1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 10.07
(s, 1H), 8.32-8.30 (d, 2H), 8.15-8.14 (d, 1H), 7.89-7.87 (d, 3H), 7.70-7.64 (m,
4H), 7.58-7.55 (d, 2H), 7.42-7.40 (m, 4H), 7.34-7.30 (m, 3H), 5.98 (br, 1H),
5.42 (s, 2H), 5.24 (s, 2H), 4.39-4.20 (m, 5H), 3.61-3.59 (d, 2H), 3.49-3.47 (m,
18H), 3.15-2.93 (m, 6H), 2.40-2.33 (m, 2H), 1.99-1.94 (m, 1H), 1.69-1.25 (m,
5H), 0.87-0.82 (m, 6H).
【0271】
ステップ3。N-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#33)の合成
2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#54)(189mg、0.254mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)中溶液に、N-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,25-ジオキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-イル]-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、#32[PF-06452175](336mg、0.305)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.2mL、1mmol)、2,6-ルチジン(0.1mL、1mmol)および1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(42mg、0.31mmol)を加えた。反応物を45℃にて一晩撹拌し、それに引き続いてLCMS分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を、20分に亘り0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の30~100%アセトニトリルの勾配溶離を使用して50g C18カラム上の逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物、#33(156mg、36%)をゴム状物として得た。LCMS:m/z1705.8[M+H]+、保持時間=1.01分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.225分。
【0272】
ステップ4。N-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#34)の合成
N-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、#33(150mg、0.088mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中溶液に、ジエチルアミン(1mL、10mmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、次いで、20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~100%アセトニトリルの勾配溶離を使用して50g C18カラム上の逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#34(60mg、46%、純度>99%)を白色固体として得た。LCMS:m/z1483.9[M+H]+、保持時間=1.39分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.282分。
【0273】
ステップ5。N-{23-[5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#35)の合成
N-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩、#34(24.3mg、0.015mmol)および5-(メチルスルホニル)ピラジン-2-カルボン酸、#1(8.3mg、0.041mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)中溶液に、室温にてN-メチルモルホリン(1滴、約20uL)および4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM、12.5mg、0.045mmol)を加えた。このように得られたオレンジ色の懸濁液は、時間と共により濁った。30分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示し、反応混合物をDMSOで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の20~90%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#35(19.7mg、79%)をガラス状物として得た。LCMS:m/z1668.7[M+H]+、保持時間=1.70分;HPLCMS(プロトコルC):m/z1669.9[M+H]+、835.5[M/2+H+]保持時間=8.627分。
【0274】
N-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(2-{[({(1S)-1-(クロロメチル)-3-[(3-{[(1S)-1-(クロロメチル)-5-(ホスホノオキシ)-1,2-ジヒドロ-3H-ベンゾ[e]インドール-3-イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1]ペンタ-1-イル)カルボニル]-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル}オキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#39)の調製
【0275】
【化44】
ステップ1。N-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-L-バリル-N
5-カルバモイル-N-[4-(4,7,10,10-テトラメチル-3,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカ-1-イル)フェニル]-L-オルニチンアミド、酢酸塩(#36)の合成
N-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,25-ジオキソ-2,7,10,13,16,19,22-ヘプタオキサ-4-アザペンタコサン-25-イル]-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、#32(308.0mg、0.279mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(2mL)中溶液に、tert-ブチルメチル[2-(メチルアミノ)エチル]カルバメート
6(56.0mg、0.30mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(49mg、0.36mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.2mL、1mmol)および2,6-ルチジン(0.1mL、0.8mmol)を加えた。反応物を45℃にて一晩撹拌し、それに引き続いてLCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物を室温に冷却し、ピペリジン(1mL、10mmol)を加えた。15分後、LCMSは、アミンへの変換を伴って、Fmoc保護の完全な喪失を示した。混合物を窒素の強力な流れ下で濃縮し、このように得られた残渣を、20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の10~70%アセトニトリルの勾配溶離を使用して50g C18カラム上の逆相クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物#36(290mg、定量的)をゴム状物として得た。LCMS:m/z1014.8[M+H]
+、保持時間=0.61分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.179分。
【0276】
ステップ2。N-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(4,7,10,10-テトラメチル-3,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカ-1-イル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#37)の合成
酸2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(281.0mg、1.39mmol)、およびN-(21-アミノ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサヘンイコサン-1-オイル)-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(4,7,10,10-テトラメチル-3,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカ-1-イル)フェニル]-L-オルニチンアミドの酢酸塩、#36(290.0mg、0.312mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(2mL)中溶液に、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(241mg、1.37mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(200μL、1.8mmol)を加えた。反応混合物を室温にて一晩撹拌し、それに引き続いてLCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物を、20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の10~90%アセトニトリルの勾配溶離を使用した50g C18カラム上の逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#37(138.6mg、40%)を白色固体として得た。LCMS: m/z 1113.5 [M+H]+, 保持時間 =
0.81分; HPLC (プロトコルB): 保持時間 = 5.774分; 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) d ppm 9.39 (s, 2 H) 7.65 (d, J=4.7 Hz, 2 H) 7.36 (d, J=8.2 Hz,
2 H) 5.10 (s, 2 H) 4.55 (dd, J=8.8, 4.9 Hz, 1 H) 4.17 - 4.28 (m, 1 H) 3.76 -
3.83 (m, 2 H) 3.70 - 3.76 (m, 2 H) 3.58 - 3.70 (m, 22 H) 3.30 - 3.37 (m, 8 H)
3.09 - 3.28 (m, 2 H) 2.95 - 3.03 (m, 3 H) 2.90 (s, 1 H) 2.80 (s, 2 H) 2.59 (t,
J=6.0 Hz, 2 H) 2.36 (s, 3 H) 2.20 (s, 1 H) 2.09 - 2.19 (m, 1 H) 1.89 - 2.01 (m,
1 H) 1.72 - 1.86 (m, 1 H) 1.54 - 1.71 (m, 2 H) 1.47 (s, 9 H) 1.02 (t, J=6.2 Hz,
6 H).
【0277】
ステップ3。N-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N5-カルバモイル-N-{4-[({メチル[2-(メチルアミノ)エチル]カルバモイル}オキシ)メチル]フェニル}-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩#38の合成
N-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(4,7,10,10-テトラメチル-3,8-ジオキソ-2,9-ジオキサ-4,7-ジアザウンデカ-1-イル)フェニル]-L-オルニチンアミド、#37(136.0mg、0.122mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(0.5mL、7mmol)を加えた。20分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示し、反応混合物を窒素流下で濃縮し、DMSOで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の5~60%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物#38(126mg、91.5%)をゴム状物として得た。LCMS:m/z1014.8[M+H]+、保持時間=0.61分;HPLC(プロトコルB):保持時間=4.280分。
【0278】
ステップ4:N-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16、19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(2-{[({(1S)-1-(クロロメチル)-3-[(3-{[(1S)-1-(クロロメチル)-5-(ホスホノオキシ)-1,2-ジヒドロ-3H-ベンゾ[e]インドール-3-イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1]ペンタ-1-イル)カルボニル]-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル}オキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#39)の合成
N-{23-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-23-オキソ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサ-22-アザトリコサン-1-オイル}-L-バリル-N5-カルバモイル-N-{4-[({メチル[2-(メチルアミノ)エチル]カルバモイル}オキシ)メチル]フェニル}-L-オルニチンアミドのトリフルオロ酢酸塩、#38(37.9mg、0.0336mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)中溶液、および(1S)-1-(クロロメチル)-3-[(3-{[(1S)-1-(クロロメチル)-5-(ホスホノオキシ)-1,2-ジヒドロ-3H-ベンゾ[e]インドール-3-イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1]ペンタ-1-イル)カルボニル]-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル4-ニトロフェニルカーボネート(28mg、0.034mmol)の溶液を合わせた。1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(4.58mg、0.0336mmol)、それに続いて2,6-ルチジン(15.7mL、0.135mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(23.7mL、0.135mmol)を加えた。反応混合物は直ちに黄色となり、反応物を室温にて一晩放置した。粗反応混合物を、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の0~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって直接精製し、表題化合物#39(21.3mg、37%)をガラス状物として得た。LCMS:m/z1707.7[M+H]+、保持時間0.82分。
【0279】
N-アセチル-3-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)-L-アラニル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#43)の調製
【0280】
【化45】
ステップ1:N-アセチル-3-{[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]アミノ}-L-アラニン(#40)の合成
Boc-N-β-Fmoc-L-ジアミノプロピオン酸(346mg、0.811mmol)のジクロロメタン(2mL)中懸濁液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、無色溶液がもたらされた。30分後、濃厚な白色の反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をピリジンで希釈し、氷で冷やした水浴で冷却し、次いで、無水酢酸(250uL、2.68mmol)を滴下添加した。20分後、反応混合物を減圧下で濃縮し、ジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の10~80%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#40(169mg、56%)をガラス状物として得た。LCMS (プロトコルA): m/z 369.3 [M+H]
+, 保持時間 = 0.92分; HPLC (プロトコルB): 保持時間 = 6.065分.1H
NMR (400 MHz, メタノール-d4) d ppm 7.79 (d, J=7.8 Hz, 2 H)
7.64 (d, J=7.4 Hz, 2 H) 7.38 (t, J=7.4 Hz, 2 H) 7.31 (t, J=7.4 Hz, 2 H) 4.55
(t, J=5.9 Hz, 1 H) 4.33 (d, J=6.6 Hz, 2 H) 4.20 (t, J=6.8 Hz, 1 H) 3.60 (dd,
J=14.2, 4.5 Hz, 1 H) 3.45 (dd, J=14.0, 7.4 Hz, 1 H) 1.97 (s, 3 H)
【0281】
ステップ2:N-アセチル-3-{[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]アミノ}-L-アラニル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#41)の合成
氷で冷やした水浴中で、L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩、#25(40.0mg、0.032mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(400μL)中溶液に、N-アセチル-3-{[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]アミノ}-L-アラニン、#40(11.7mg、0.0317mmol)、HATU(25.0mg、0.066mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(81.9μL、0.475mmol)を加えた。反応物を15分間撹拌し、次いで、ジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#41(9.7mg、20%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1500.0[M+H]+、保持時間=1.11分;HPLC(プロトコルB):保持時間=7.449分。
【0282】
ステップ3。N-アセチル-3-アミノ-L-アラニル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#42)の合成
氷で冷やした水浴中の#41(9.0mg、0.006mmol)のアセトニトリル(1mL)中溶液に、水酸化リチウム(10mg、0.2mmol)の水(0.1mL)溶液を加えた。45分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示し、次いで、酢酸で中和し、ジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の15~90%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#42(2.8mg、30%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1298.8[M+H]+、保持時間=0.80分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.717分。
【0283】
ステップ4。N-アセチル-3-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)-L-アラニル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#43)の合成
酸2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(20.0mg、0.099mmol)およびN-アセチル-3-アミノ-L-アラニル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミドのトリフルオロ酢酸塩、#43(2.8mg、0.0022mmol)の混合物を、メタノールおよびトルエンで希釈し、濃縮乾固した。これをさらに2回繰り返した。N,N-ジメチルアセトアミド(0.5mL)中のこのように得られた混合物に、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(5mg、0.03mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(50μL、0.45mmol)を加えた。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、それに引き続いてLCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の10~80%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#43(1.0mg、31%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1461.8[M+H]+、保持時間=0.93分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.362分。
【0284】
N-[(2S)-2-(アセチルアミノ)-4-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ブタノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#46)の調製
【0285】
【化46】
ステップ1。N-{(2S)-2-(アセチルアミノ)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ブタノイル}-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N
5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#44)の合成
氷で冷やした水浴中で、L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N
5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩、#25(60.0mg、0.048mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(600μL)中溶液に、Ac-Dab(Boc)-OH(23.2mg、0.0891mmol)、HATU(33.4mg、0.0878mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(23.0μL、0.13mmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#44(18.7mg、29%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1391.9[M+H]
+、保持時間=0.98分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.643分。
【0286】
ステップ2。N-[(2S)-2-(アセチルアミノ)-4-アミノブタノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#45)の合成
トリフルオロ酢酸(1mL、10mmol)を#44(13.6mg、0.0098mmol)のアセトニトリル(2mL)中溶液に加え、反応物を室温にて20分間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、表題化合物#45(13.7mg)を白色固体として得て、これを更には精製せずに直接使用した。LCMS(プロトコルE):m/z1290.9[M+H]+、保持時間=0.84分。
【0287】
ステップ3。N-[(2S)-2-(アセチルアミノ)-4-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ブタノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#46)の合成
N-[(2S)-2-(アセチルアミノ)-4-アミノブタノイル]-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミドのトリフルオロ酢酸塩、#45(13.7mg、0.00975mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)中溶液に、2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(27.9mg、0.138mmol)および2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(24.0mg、0.137mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(200μL、1.8mmol)を加えた。反応混合物を室温にて10分間撹拌し、それに引き続いてLCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の10~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#46(8.0mg、56%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1475.0[M+H]+、保持時間=0.94分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.344分。
【0288】
N2-アセチル-N5-{[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}-L-オルニチル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#52)の調製
【0289】
【化47】
ステップ1。N
2-アセチル-N
5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチン(#47)[Ac-Orn(Boc)-OH]の合成
N
5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチン、[H-Orn(Boc)-OH](5.0g、21.5mmol)のTHF:水(80:20mL)溶液に、炭酸カリウムの水溶液(11.9g、50mLの水中86.1mmol)をゆっくりと加えた。混合物を5分間撹拌し、次いで、氷で冷やした水浴で冷却し、その後、塩化アセチル(3.38g、43.1mmol)を滴下添加した。混合物を室温にて2.5時間撹拌し、それによってTLC(ジクロロメタン:メタノール:酢酸=100:10:)は、反応が完了したことを示した。混合物を減圧下で濃縮し、このように得られた水性混合物を、塩酸の3M水溶液によってpH=2.0に酸性化し、次いで、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮し、表題化合物#47(5.8g、98%)を白色固体として得た。HPLC (プロトコルJ): 保持時間
= 2.94分.
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.51 (br. s., 1H), 8.10 (d, J=7.5 Hz, 1H), 6.82 (br. s., 1H),
4.13 (d, J=5.0 Hz, 1H), 2.90 (d, J=6.0 Hz, 2H), 1.84 (s, 3H), 1.65 (br. s.,
1H), 1.51 (d, J=9.0 Hz, 1H), 1.43-1.35 (m, 11H).
【0290】
ステップ2:N2-アセチル-N5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチル-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#48)の合成
N2-アセチル-N5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチン#47[Ac-Orn(Boc)-OH](875mg、3.19mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中溶液を、HATU(1210mg、3.19mmol)で処理した。30分後、混合物を氷で冷やした水浴で冷却し、L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド2[ValCitPABA](化合物64、Dubowchik, G.M.ら、Bioconjug Chem、13、855~69(2002)5(1100mg、2.899mmol)、それに続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.5mL、1113mg、8.61mmol)を加えた。混合物を撹拌し、室温に到達させた。2時間後、MTBEを加え、生成物を沈殿させ、これを濾過し、ジクロロメタン(150mL)に20分間分散させた。混合物を濾過し、ジクロロメタン:メタノール(10:1)で洗浄し、次いで、空気乾燥させ、表題化合物#48(1400mg、76%)を灰色固体として得た。この材料を、更には精製せずにそれに続く反応において直接使用した。HPLC (プロトコルJ): 保持時間
= 3.16分. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 9.96 (s, 1H), 8.12 (d, J=1.0 Hz, 1H), 8.05 (d,
J=8.0 Hz, 1H), 7.73 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.55 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.25 (d, J=8.0
Hz, 2H), 6.80 (t, J=5.3 Hz, 1H), 6.00 (t, J=5.3 Hz, 1H), 5.78 (s, 1H), 5.44 (s,
2H), 5.11 (t, J=5.8 Hz, 1H), 4.45 (d, J=1.0 Hz, 1H), 4.42 - 4.34 (m, J=1.0,
1.0, 1.0 Hz, 1H), 4.32 - 4.23 (m, 1H), 4.21 (t, J=8.5 Hz, 1H), 3.09 - 2.85 (m,
4H), 1.99 (qd, J=6.4, 13.4 Hz, 1H), 1.86 (s, 3H), 1.76 - 1.65 (m, J=9.5 Hz,
1H), 1.64 - 1.53 (m, J=9.0 Hz, 2H), 1.51 - 1.43 (m, 2H), 1.43 - 1.35 (m, 11H),
0.87 (d, J=7.0 Hz, 3H), 0.84 (d, J=6.5 Hz, 3H).
【0291】
ステップ3:N2-アセチル-N5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチル-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#49)の合成
氷で冷やした水浴中で、N2-アセチル-N5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチル-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、#48(1400mg、2.202mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(25mL)中溶液を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(767μL、569mg、4.40mmol)を有するビス-(4-ニトロフェニル)カーボネート(1.34g、4.40mmol)で処理し、反応物を室温にて6時間撹拌した。反応混合物をMTBE中に注ぎ、20分後、固体を濾過によって単離し、ジクロロメタン(150mL)で洗浄し、次いで、空気乾燥させ、表題化合物#49(1.3g、74%)を白色固体として得た。この材料を、更には精製せずにそれに続く反応において直接使用した。LCMS (プロトコルK): m/z 801.3 [M+H]+,
m/z 823.3 [M+Na]+ 保持時間 = 4.066分; HPLC (プロトコルJ): 保持時間 = 2.63分. 1H NMR (400MHz,
DMSO-d6) d = 10.21 - 10.02 (m, 1H), 8.39 - 8.27 (m, 2H), 8.20 - 7.95 (m, 2H), 7.76
- 7.53 (m, 5H), 7.42 (d, J=8.0 Hz, 2H), 6.84 - 6.72 (m, 1H), 6.07 - 5.92 (m,
1H), 5.48 - 5.39 (m, 2H), 5.29 - 5.20 (m, 2H), 4.47 - 4.10 (m, 3H), 3.06 - 2.81
(m, 4H), 2.10 - 1.92 (m, 1H), 1.91 - 1.79 (m, 3H), 1.76 - 1.53 (m, 3H), 1.37
(br. s., 14H), 0.94 - 0.74 (m, 6H)
【0292】
ステップ4:N2-アセチル-N5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#50)の合成
2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#54)[Aur-0101](113mg、0.152mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(4mL)中溶液に、N2-アセチル-N5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチル-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、#49(124.5mg、0.155mmol)、HOAt(24mg、0.18mmol)、2,6-ルチジン(44.3μL、41mg、0.38mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(66.9μL、50mg、0.38mmol)を加えた。オレンジ色の反応混合物を45℃にて一晩加熱した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物#50(82.2mg、38%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルC):m/z1405.9[M+H]+、保持時間=0.95分。HPLC(プロトコルB):保持時間=6.735分。
【0293】
ステップ5:N2-アセチル-L-オルニチル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#51)の合成
トリフルオロ酢酸(1mL、10mmol)を、N2-アセチル-N5-(tert-ブトキシカルボニル)-L-オルニチル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、#50(82.2mg、0.0585mmol)のアセトニトリル(2mL)中溶液に加え、反応物を室温にて15分間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、表題化合物#51(90mg)を白色固体として得て、これを更には精製せずに直接使用した。LCMS(プロトコルE):m/z1304.9[M+H]+、保持時間=0.81分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.804分。
【0294】
ステップ6:N2-アセチル-N5-{[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}-L-オルニチル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#52)の合成
N2-アセチル-L-オルニチル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミドのトリフルオロ酢酸塩、#51(88.0mg、0.067mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(0.5mL)中溶液に、2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(68.2mg、0.337mmol)および2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(59.2mg、0.337mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(74μL、68.2mg、0.675mmol)を加えた。オレンジ色の反応混合物を室温にて90分間撹拌し、それに引き続いてLCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の10~80%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#52(98.4mg、98%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1489.8[M+H]+、保持時間=0.92分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.342分。
【0295】
N2-アセチル-N6-{[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}-L-リジル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#58)の調製
【0296】
【化48】
ステップ1:N
2-アセチル-N
6-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジル-L-バリル-N
5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#53)の合成
氷で冷やした水浴中で、Ac-Lys(Boc)-OH(15.2g、52.7mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(250mL)中溶液を、HATU(20.0g、52.7mmol)で処理した。30分後、L-バリル-N
5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド
2(Dubowchik, G.M.ら、Bioconjug Chem、13、855~69(2002)
5における化合物64)(20g、52.7mmol)、それに続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン(12.8mL、9.54g、73.8mmol)を加えた。混合物を室温に到達させた。2時間後、反応混合物をMTBE中に注ぎ、生成物を沈殿させ、これを濾過し、ジクロロメタン:メタノール(10:1、800mL)に20分間分散させた。混合物を濾過し、空気乾燥させ、方法Dによって分取-HPLCによって精製した。減圧下で濃縮した後、残渣をクロロホルム:イソプロピルアルコール4:1中に注いだ。固体を濾過によって集め、空気乾燥させ、表題化合物#53(15.0g、44%)を白色固体として得た。HPLC (プロトコルJ): 保持時間
= 3.63分.
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6)
δ = 9.95 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.09 (d, J=7.5 Hz, 1H),
8.03 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.72 (d, J=9.0 Hz, 1H), 7.57 - 7.51 (m, J=8.5 Hz, 2H),
7.27 - 7.20 (m, J=8.5 Hz, 2H), 6.77 (t, J=5.5 Hz, 1H), 5.98 (t, J=5.8 Hz, 1H),
5.43 (s, 2H), 5.11 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.43 (d, J=5.5 Hz, 2H), 4.41 - 4.35 (m,
1H), 4.29 - 4.21 (m, 1H), 4.19 (dd, J=7.0, 8.5 Hz, 1H), 3.07 - 2.92 (m, 2H),
2.91 - 2.84 (m, 2H), 2.34 (s, 1H), 1.98 (qd, J=6.7, 13.6 Hz, 1H), 1.84 (s, 3H),
1.72 - 1.50 (m, 3H), 1.43 - 1.33 (m, 12H), 1.25 (dd, J=10.3, 15.8 Hz, 3H), 0.86
(d, J=6.5 Hz, 3H), 0.83 (d, J=6.5 Hz, 3H).
【0297】
ステップ2:N2-アセチル-N6-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジル-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド(#55)の合成。氷で冷やした水浴中で、N2-アセチル-N6-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジル-L-バリル-N5-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、#53(12.0g、18.5mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(150mL)中溶液を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.42mL、4.77g、36.9mmol)を有するビス-(4-ニトロフェニル)カーボネート(11.2g、36.9mmol)で処理し、反応物を室温にて3時間撹拌した。反応混合物をMTBE中に注ぎ、20分後、固体を濾過によって単離し、ジクロロメタン(1L)で洗浄し、次いで、空気乾燥させ、表題化合物#55(12.5g、83.1%)を黄色固体として得た。この材料を、更には精製せずにそれに続く反応において直接使用した。LCMS (プロトコルK): m/z 815.2 [M+H]+,
保持時間 = 4.101分; HPLC (プロトコルJ): 保持時間 = 4.58分. 1H
NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 10.12 (s, 1H),
8.35 - 8.29 (m, J=9.0 Hz, 2H), 8.13 (d, J=7.0 Hz, 1H), 8.03 (d, J=7.5 Hz, 1H),
7.74 - 7.62 (m, 3H), 7.60 - 7.55 (m, J=9.0 Hz, 2H), 7.42 (d, J=8.5 Hz, 2H),
6.77 (br. s., 1H), 6.03 - 5.96 (m, 1H), 5.44 (s, 2H), 5.25 (s, 2H), 4.44 - 4.35
(m, 1H), 4.29 - 4.16 (m, 2H), 3.09 - 2.84 (m, 5H), 2.74 (s, 1H), 2.04 - 1.91
(m, 1H), 1.85 (s, 3H), 1.69 (br. s., 1H), 1.60 (d, J=9.0 Hz, 2H), 1.46 (br. s.,
2H), 1.37 (s, 12H), 1.24 (br. s., 2H), 1.11 (s, 2H), 0.86 (d, J=7.0 Hz, 3H),
0.83 (d, J=6.5 Hz, 3H).
【0298】
ステップ3:N2-アセチル-N6-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1i)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#56)の合成
2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#54)(88mg、0.12mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)中溶液に、AcLys(Boc)ValCitPABC-PNP、#55(100mg、0.123mmol)、HOAt(17.2mg、0.126mmol)、2,6-ルチジン(34.8μL、32mg、0.30mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(52.6μL、39mg、0.30mmol)を加えた。オレンジ色の反応混合物を45℃にて一晩加熱した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の20~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物#56(85.2mg、51%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルC):m/z1419.9[M+H]+、1442.9[M+Na]+保持時間=0.97分。HPLC(プロトコルB):保持時間=6.836分。
【0299】
ステップ4:N2-アセチル-L-リジル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、トリフルオロ酢酸塩(#57)の合成
トリフルオロ酢酸(1mL、10mmol)を、N2-アセチル-N6-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1i)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド、#56(85.2mg、0.0601mmol)のアセトニトリル(2mL)中溶液に加え、反応物を室温にて15分間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、表題化合物#57(90mg)を白色固体として得て、これを更には精製せずに直接使用した。LCMS(プロトコルE):m/z1318.9[M+H]+、保持時間=0.81分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.813分。
【0300】
ステップ5:N2-アセチル-N6-{[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}-L-リジル-L-バリル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミド(#58)の合成
N2-アセチル-L-リジル-N5-カルバモイル-L-オルニチル-N-{4-[(8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-5,5,10-トリメチル-3,6,9-トリオキソ-8-(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカ-1-イル]フェニル}-N5-カルバモイル-L-オルニチンアミドのトリフルオロ酢酸塩、#57(90.0mg、0.068mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(0.5mL)中溶液に、2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(69.0mg、0.341mmol)および2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(59.9mg、0.341mmol)、それに続いてN-メチルモルホリン(200μL、180mg、1.8mmol)を加えた。オレンジ色の反応混合物を室温にて90分間撹拌し、それに引き続いてLCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘り0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の10~80%アセトニトリルの修正した勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#58(91.7mg、89%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1503.8[M+H]+、保持時間=0.92分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.360分。
【0301】
N-({[4-(ベータ-D-グルコピラヌロノシルオキシ)-3-({N-[6-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]-ベータ-アラニル}アミノ)ベンジル]オキシ}カルボニル)-2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#66)の調製
【0302】
【化49】
ステップ1。メチル6-({[2-(メチルスルファニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノエート(#59)の合成
2-(メチルスルファニル)ピリミジン-5-カルボン酸(US2010/210593A1における実施例29;Yu-Xiu, Liu; Ming-Bo, Cui;Qi-Qi, Zhao;Qing-Min, Wang;Ying, Liu;Run-Qiu, Huang、Reduction of pyrimidine derivatives by LiAlH
4、Journal of Chemical Research、2007、#8、p.490~493)(228mg、1.34mmol)およびメチル6-アミノヘキサノエート塩酸塩(497mg、2.68mmol)のジクロロメタン(6mL)中溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(68mg、0.36mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.5mL、3mmol)を加えた。反応物を室温にて18時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中の20%~100%酢酸エチル)によって精製し、メチル6-({[2-(メチルスルファニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノエート、#59(131mg、33%)を白色固体として得た。LCMS (プロトコルE): m/z 298.4 [M+H]
+, 保持時間 = 1.21分;
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6):
δ
1H NMR (500MHz,
DMSO-d
6) δ = 8.97 (s, 2H), 8.67 (t, J=5.4
Hz, 1H), 3.58 (s, 3H), 3.33 (s, 2H), 3.29 - 3.23 (m, 2H), 2.57 (s, 3H), 2.32
(t, J=7.5 Hz, 2H), 1.54 (d五重線, 4H), 1.36 - 1.28 (m,
2H).
【0303】
ステップ2。6-({[2-(メチルスルファニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸(#60)の合成
メチルメチル6-({[2-(メチルスルファニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノエート、#59(63mg、0.21mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中溶液に、水酸化リチウム(21mg、0.86mmol)の水(0.3mL)溶液を加えた。3時間後、反応物をジクロロメタンで希釈し、1Nの塩酸でpH=2へと酸性化した。水層をジクロロメタンで逆抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮し、6-({[2-(メチルスルファニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#60(53mg、88%)を白色固体として得て、これを更には精製せずに次のステップで使用した。LCMS (プロトコルA): m/z 284.19 [M+H]+,
保持時間 = 0.93分; 1H NMR
(500 MHz, DMSO-d6): δ 11.99 (s, 1H), 8.97
(s, 2H), 8.67 (t, J=5.5 Hz, 1H), 3.29 - 3.17 (m, 2H), 2.57 (s, 3H), 2.22 (t,
J=7.3 Hz, 2H), 1.53 (五重線, J=7.4 Hz, 4H), 1.39 - 1.24
(m, 2H).
【0304】
ステップ3。6-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸(#61)の合成
6-({[2-(メチルスルファニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#60(146mg、0.515mmol)のジクロロメタン(2mL)中懸濁液に、m-クロロ過安息香酸(272mg、1.55mmol)を加えた。反応物を室温にて3時間撹拌した。反応物を濾過し、固体を集め、6-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#61(58mg、36%)を黄色固体として得て、これを更には精製せずに次のステップで使用した。LCMS (プロトコルE): m/z 338.3 [M+Na]+,
314.4 [M-H]+, 保持時間 = 0.57分; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.36 (d, J=1.6 Hz, 1 H) 9.25 (d, J=1.6 Hz, 1 H) 9.13 (br. s., 1 H)
3.43 - 3.50 (m, 2 H) 3.33 (s, 3 H) 2.31 (t, J=7.4 Hz, 2 H) 1.62 - 1.73 (m, 4 H)
1.38 - 1.49 (m, 2 H).
【0305】
ステップ4。N-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(#62)の合成
6-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、#61(14.2mg、0.045mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(5.6mg、0.049mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(8.6mg、0.045mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.5mL、3mmol)を加えた。反応物を室温にて72時間撹拌した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の10~90%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物(9.2mg、50%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルE):m/z413.3[M+H]+、保持時間=0.65分。
【0306】
ステップ5。N-[({3-({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]-ベータ-アラニル}アミノ)-4-[(2,3,4-トリ-O-アセチル-6-メチル-ベータ-D-グルコピラヌロノシル)オキシ]ベンジル}オキシ)カルボニル]-2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#64)の合成
N,N-ジメチルアセトアミド(5mL)中の2-({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]-ベータ-アラニル}アミノ)-4-({[(4-ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニルメチル-2,3,4-トリ-O-アセチル-ベータ-D-グルコピラノシドウロン酸、#63(WO2007/11968A2における化合物7)(585mg、0.54mmol)および2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(US2013/0129753A1における実施例#54)(105mg、0.141mmol)(412.0mg、0.554mmol)の混合物に、HOAt(85mg、0.62mmol)、2,6-ルチジン(216μL、200mg、0.1.9mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(327μL、250mg、1.9mmol)を加えた。オレンジ色の反応混合物を45℃にて1.5時間加熱し、次いで、室温にて一晩撹拌した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の30~100%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物#64(307.9mg、37%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルC):m/z1519.0[M+H]+、保持時間=1.09分。HPLC(プロトコルB):保持時間=8.559分。
【0307】
ステップ6。N-({[3-(ベータ-アラニルアミノ)-4-(ベータ-D-グルコピラヌロノシルオキシ)ベンジル]オキシ}カルボニル)-2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、酢酸塩(#65)の合成
氷で冷やした水浴中で、N-[({3-({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]-ベータ-アラニル}アミノ)-4-[(2,3,4-トリ-O-アセチル-6-メチル-ベータ-D-グルコピラヌロノシル)オキシ]ベンジル}オキシ)カルボニル]-2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、#64(119.0mg、0.0784mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(2mL)中溶液に、水酸化リチウムの水溶液(461μL、46.1mg、1.10mmol)を加えた。10分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示し、次いで、酢酸で中和し、ジメチルスルホキシドおよびメタノールで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%酢酸を含有する水中の15~70%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相クロマトグラフィーによって直接精製し、表題化合物#65(34.8mg、36.5%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルA):m/z1155.9[M+H]+、保持時間=0.73分;HPLC(プロトコルB):保持時間=5.532分。
【0308】
ステップ7。N-({[4-(ベータ-D-グルコピラヌロノシルオキシ)-3-({N-[6-({[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}アミノ)ヘキサノイル]-ベータ-アラニル}アミノ)ベンジル]オキシ}カルボニル)-2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド(#66)の合成
N-({[3-(ベータ-アラニルアミノ)-4-(ベータ-D-グルコピラヌロノシルオキシ)ベンジル]オキシ}カルボニル)-2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、酢酸塩、#65(26.0mg、0.019mmol)およびN-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボキサミド、#62(9.2mg、0.022mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(30μL、22mg、0.17mmol)を加えた。反応物を室温にて1.5時間撹拌した。粗反応混合物をジメチルスルホキシドで希釈し、精製方法Aの修正したバージョン(20分に亘る0.02%トリフルオロ酢酸を含有する水中の15~90%アセトニトリルの勾配溶離を利用した)によって逆相HPLCによって直接精製し、表題化合物#66(3.7mg、13.5%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルE):m/z1453.4[M+H+]、保持時間=0.84分;HPLC(プロトコルB):保持時間=6.225分。
【0309】
【0310】
ステップ1。tert-ブチル[16-(11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-13,16-ジオキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザヘキサデカ-1-イル]カルバメート(#67)の合成
1-{[4-(11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-4-オキソブタノイル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオン(0.10g、0.25mmol)およびtert-ブチル(2-{2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル)カルバメート(0.073g、0.25mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.05mL、0.3mmol)で処理し、溶液を室温にて撹拌した。約1時間後、反応物を濃縮し、12gのシリカゲル上で精製し、25分に亘りジクロロメタン中の0~20%メタノールで溶出させた。生成物含有画分を合わせ、濃縮し、所望の化合物、#67、(0.12g、83%)を無色油状物として得た。LCMS(プロトコルP):m/z580.5[M+H]+、保持時間=1.75分
【0311】
ステップ2。N-(2-{2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル)-4-(11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-4-オキソブタンアミド(#68)の合成
tert-ブチル[16-(11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-13,16-ジオキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザヘキサデカ-1-イル]カルバメート(0.119g、0.205mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液を、4MのHCl/ジオキサン溶液(1mL、4mmol)で処理し、反応物を室温にて撹拌した。約30分後、反応物を濃縮し、残渣を4gのシリカゲル上で精製し、25分に亘りジクロロメタン中の0~100%メタノールで溶出させた。生成物含有画分を合わせ、濃縮し、所望の化合物、#68、(0.084g、79%)を粘性油状物として得た。LCMS(プロトコルO):m/z480.4[M+H]+、保持時間=0.63分
【0312】
ステップ3。N-[16-(11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-13,16-ジオキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザヘキサデカ-1-イル]-2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(#69)の合成
2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(0.032g、0.16mmol)のジクロロメタン(3mL)中溶液を、HATU(0.060g、0.16mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミンDIEA(0.05mL、0.31mmol)で処理した。約3分後、N-(2-{2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル)-4-(11,12-ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-4-オキソブタンアミド(0.080g、0.16mmol)のジクロロメタン(2mL)中溶液を加え、反応物を室温にて撹拌した。約1.5~2時間後、反応物を濃縮し、残渣を12gのシリカゲル上で精製し、25分に亘りジクロロメタン中の0~20%メタノールで溶出させた。生成物含有画分を合わせ、濃縮し、所望の化合物、#69(0.070g、68%)を油状物として得た。LCMS(プロトコルP):m/z664.5[M+H]+、保持時間=1.46分。
【0313】
【0314】
ステップ1。6-アジド-N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-L-ノルロイシンアミド(#70)の合成
6-アジド-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ノルロイシン(4.9g、18mmol)の無水ジクロロメタン(80mL)中溶液に、0℃にてトリエチルアミン(17.2mL、126mmol)、それに続いてT3P(16.6mL、27.9mmol、EtOAc中50%)を加え、混合物を0℃にて30分間撹拌した。N,N-ジメチルエタン-1,2-ジアミン(2.38g、27.0mmol)の無水ジクロロメタン(20mL)中溶液を加え、混合物を0℃にて撹拌し、15℃に一晩温めた。次いで、混合物を飽和水性NaHCO3でクエンチし、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和水性NaHCO3(100mL)、水(100mL)で洗浄し、次いで、濃縮した。このように得られた残渣を40gのシリカゲル上で精製し、1:1のEtOAc:ジクロロメタンから10:1のEtOAc:メタノールの混合勾配で溶出させた。生成物含有画分をプールし、濃縮し、所望の化合物、#70(3.15g、51%収率)を黄色油状物として得た。LCMS(プロトコルO):m/z342.9[M+H]+、保持時間=0.536分。
【0315】
ステップ2。3-[(2-{[6-アジド-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ノルロイシル]アミノ}エチル)(ジメチル)アンモニオ]プロパン-1-スルホネート(#71)の合成
6-アジド-N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-L-ノルロイシンアミド(3.98g、11.6mmol)および1,3-プロパンスルトン(2.24g、18.4mmol)の無水EtOAc(70mL)中溶液、および反応混合物を窒素の雰囲気下で90℃にて16時間撹拌した。この期間に続いて、いくらかの白色の沈殿物が現れ、混合物を室温に冷却させ、一晩撹拌した。次いで、白色の沈殿物を濾過し、無水EtOAc(3×10mL)で洗浄し、乾燥させ、所望の生成物、#71(4.31g、79.8%)を白色固体として得た。LCMS(プロトコルQ):m/z466.3[M+H]+、保持時間=2.354分
【0316】
ステップ3。3-[{2-[(6-アジド-L-ノルロイシル)アミノ]エチル}(ジメチル)アンモニオ]-プロパン-1-スルホネート(#72)の合成
3-[(2-{[6-アジド-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ノルロイシル]アミノ}エチル)(ジメチル)アンモニオ]プロパン-1-スルホネート(0.2g、0.4mmol)のメタノール(10.8mL)およびジクロロメタン(2mL)中溶液を、4MのHCl/ジオキサン溶液(1mL、4mmol)で処理し、溶液を窒素雰囲気下で室温にて一晩撹拌した。反応物を濃縮し、次のステップにおいて精製をせずに直接使用した。LCMS(プロトコルO):m/z365.2[M+H]+、保持時間=0.61分
【0317】
ステップ4。3-[{2-[(6-アジド-N-{[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]カルボニル}-L-ノルロイシル)アミノ]エチル}(ジメチル)アンモニオ]プロパン-1-スルホネート(#73)の合成
3-[{2-[(6-アジド-L-ノルロイシル)アミノ]エチル}(ジメチル)アンモニオ]-プロパン-1-スルホネート塩酸塩(0.2g、0.5mmol)の無水ジメチルスルホキシド(1.66mL)中溶液を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.193g、1.50mmol、0.3mL)、2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-カルボン酸(0.111g、0.55mmol)、およびHATU(0.190g、0.50mmol)で逐次的に処理し、混合物を室温にて約1時間撹拌した。次いで、混合物を加熱せずに真空下で濃縮し、このように得られた残渣を12gのシリカゲル上で精製し、ジクロロメタン、それに続いてジクロロメタン中の0~100%メタノールの勾配で20分に亘り溶出させた。生成物含有画分をプールし、窒素流(加熱を伴わない)下で濃縮し、所望の生成物、#73を黄色の泡として得た。LCMS(プロトコルO):m/z549.3[M+H]+、保持時間=0.49分
【0318】
抗体薬物コンジュゲートの例示
コンジュゲーション手順A:抗体の内部ジスルフィド(天然システイン残基)へのリンカーペイロードのコンジュゲーションのための代表的な手順。H-(C)-#10の合成。
ダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS、Lonza、pH7.4)中の市販のHerceptin抗体(Genentech)溶液を、2.6当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP、DPBS中の5mM溶液)を添加することによって還元した。反応物を37℃にて1時間インキュベートし、次いで、周囲温度に冷却した。7当量のリンカーペイロード[化合物#10、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)中の10mM溶液]を加えることによってコンジュゲーションを行った。さらなるDMAを反応混合物に加えて、最終反応混合物中の15%(v/v)の総有機溶媒構成要素を達成した。反応物を周囲温度にて1時間インキュベートした。次に、反応混合物をGE Sephadexゲル脱塩カラムおよびDPBS(pH7.4)溶離液によって脱塩した。粗コンジュゲートを、GE Superdex200(10/300GL)カラムおよびDPBS(pH7.4)溶離液を有するGE AKTA Explorerシステムを使用してサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。
【0319】
コンジュゲーション手順B:抗体の操作されたシステイン残基へのコンジュゲーションの代表例:H-(E380C)-#30の調製。
20mMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)溶液(133μL、100当量)を、最終抗体濃度が5mMのEDTA(507μLのPBS/EDTA)を含有するPBS緩衝液中の5mg/mL(0.84mLの最終容量)であるように、抗体(4.2mg)に加えた。反応物を37℃にて1.5時間静置した後、50kDMWカットオフスピン濃縮装置(サイクル毎に3×2mLの洗浄、10×濃度)を使用して、抗体を5mMのEDTAを含有するPBSに緩衝液交換した。このように得られた抗体を、5mMのEDTAを含有するPBSを使用して824μLまで希釈し、新たに調製した1:1PBS/エタノール中のデヒドロアスコルビン酸(DHA)の50mM溶液(最終DHA濃度、約1mM)で処理し、4℃にて一晩放置した。50kDMWカットオフスピン濃縮装置(サイクル毎に3×2mLの洗浄、10×濃度)を使用して、抗体/DHA混合物を5mMのEDTAを含有するPBSに緩衝液交換した。このように得られた抗体(90μL、1.5mgのAb)を、PBS(204.3μL)およびN,N-ジメチルアセトアミド(30μL)に再懸濁させ、DMA中の5.7μL(Abに対して5×リンカーペイロード)の10mMのベンゾチアゾールペイロード(化合物30)で処理した。37℃にて24時間静置させた後、材料を、0.4mLの最終容量、DAR=1.6および濃度2.02mg/mLまで、(上記のように)PBS(サイクル毎に3×2mLの洗浄、10×濃度)に緩衝液交換した。
【0320】
例示されるADC:
下記の表(表1および表2)において概要を述べるように、上記のコンジュゲーション手順Aおよび本明細書において開示されているリンカーペイロードを使用して、抗CD33mAb、CD33-11A1-v1417-hG1、および抗Her2mAb、Her2-PTを使用して、ならびに上記のコンジュゲーション手順Bを使用して、本明細書に記載されているリンカーペイロードを使用して、114位(H-(A114C))および183位(H-(kK183C))における操作されたシステイン残基を担持する種々の抗Her2mAb、ならびに290位および334位(CD33-11A1-v1417-(K290C)-(K334C))ならびに334位および392位(CD33-11A1-v1417-(K334C)-(K392C))における操作されたシステイン残基を担持する種々の抗CD33mAbについて上記の手順をまた行った。
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
GSH可逆性研究の代表例:
H-(E380C)-#30の溶液(50mM中2.02mg/ml、pH7.4のPBS緩衝液、99μL、0.2mgのAb)に、さらなる50mMのpH7.4のPBS緩衝液(31.3μL)、それに続いて25mMの水性グルタチオン(GSH)溶液(2.7μL)を加え、10μMの最終タンパク質濃度を生じさせた。対照試料(GSHを有さない)を、PBSで10μMまで希釈した99μLのADCから同様に調製した。GSH-処理したADC試料および対照ADC試料を、37℃にてインキュベートし、0日目、4日目、および6日目において試料採取した。一定分量を過剰なTCEPで還元し、LC/MSによる添加量について分析した。比較物質として部位特異的にコンジュゲートされたmc-MMAD(H-(E380C)-mcMMAD)およびvc-0101(H-(E380C-mcValCitPABC-Aur0101)と共に、この研究、および本明細書に記載されている他のADCについてのさらなる研究の結果を、下記の表(表3)において示す。
【0329】
【0330】
In vitroでの細胞アッセイ手順
Her2-標的を発現している(BT474(乳がん)、N87(胃がん)、MDA-MB-361-DYT2(乳がん))、またはHer2を発現していない(MDA-MB-468、HT29)細胞、またはCD33-標的を発現しているHL60、HEL92.1.7、NB4、またはCD33を発現していない(ラージ)細胞を、処理の前に96ウェル細胞培養プレートに24時間添加した。細胞を、3倍段階希釈した抗体薬物コンジュゲートまたは遊離化合物(すなわち、抗体は、薬物にコンジュゲートしていない)によって10の濃度にて2連で処置した。細胞生存率を、処置の96時間後にCellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖MTSアッセイ(Promega、Madison WI)によって決定した。相対的細胞生存率を、未処置対照の百分率として決定した。IC50値を、4パラメーターロジスティックモデル#203を使用してXLfit v4.2(IDBS、Guildford、Surry、UK)で計算した。結果を表4(Herceptinコンジュゲートについて)または表5(CD33コンジュゲートについて)において下記で示す。
【0331】
【0332】
【0333】