(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】GUI装置および基板処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240917BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2022147004
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】安平治 俊則
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-217608(JP,A)
【文献】特開2005-093922(JP,A)
【文献】国際公開第2022/162130(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を一時的に受け入れる受容部を複数有する基板処理システムのためのGUI装置であって、
前記受容部各々のステータス情報を取得する情報取得部と、
取得された前記ステータス情報を反映させた表示画像を出力する画像処理部と、
前記表示画像を表示する表示部と
を備え、
前記画像処理部は、前記表示画像として、
前記受容部の各々に対応するオブジェクトを、一の視点から前記基板処理システムを俯瞰した配置に応じた位置に配したシステム全景図に、少なくとも1つの前記オブジェクトにつき前記ステータス情報に基づく視覚情報を付加した画像を前記表示部に出力
し、
前記システム全景図は、機能が同一で多段積みされた複数の前記受容部に対応するオブジェクトを上下方向に並べてグループ化したモジュールを含む、GUI装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、互いに異なる複数の視点の前記システム全景図を出力する、請求項1に記載のGUI装置。
【請求項3】
ユーザーからの操作入力を受け付ける入力部を備え、
前記画像処理部は、前記操作入力に応じて複数の前記システム全景図から一を選択して前記表示部に表示させる、請求項2に記載のGUI装置。
【請求項4】
前記ステータス情報は、前記受容部が受け入れた前記基板に関する情報を含む、請求項1に記載のGUI装置。
【請求項5】
前記視覚情報は、前記受容部の各々が現に前記基板を有しているか否かを示す情報を含む、請求項4に記載のGUI装置。
【請求項6】
前記基板処理システムは、互いに協働して前記基板に所定の処理を施す複数の前記受容部を含む処理ユニットを少なくとも1組有し、
前記画像処理部は、前記処理ユニット内の前記受容部とそれ以外の前記受容部とを視覚的に区別した前記システム全景図を出力する、請求項1ないし5のいずれかに記載のGUI装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記システム全景図において互いに重なり合う複数の前記オブジェクトのうち前面表示する前記オブジェクトを切り替える、請求項1ないし5のいずれかに記載のGUI装置。
【請求項8】
基板を一時的に受け入れる複数の受容部と、
請求項1ないし5のいずれかに記載のGUI装置と
を備える、基板処理システム。
【請求項9】
互いに異なる位置に配設された複数の前記表示部を備え、
前記画像処理部は、前記表示部各々の配設位置に対応する視点の前記システム全景図を出力する、請求項
8に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を一時的に受け入れる受容部を複数含み基板を処理する基板処理システムに関し、特にそのユーザーインターフェース機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板や液晶表示装置用ガラス基板等の各種基板(以下、単に「基板」と称する)を処理する基板処理システムでは、システム各部の動作状況を集中的に、かつリアルタイムに表示してユーザーに提示するGUI(Graphical User Interface)装置が設けられることがある。例えば特許文献1には、複数の処理ユニットを含む基板処理システムにおいて、それらの処理ユニットが実際のシステム内での配置に近い状態で二次元マトリクス内の各位置に割り当てられたレイアウトが記載されている。そして、このレイアウト画面に、各処理ユニットにおける基板の有無や、基板が存在する場合にはその固有番号等の情報がテキスト表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在では、基板処理システムを構成する処理ユニットの数が多くなり、またそのレイアウトも複雑に入り組んだものとなっている。そのため、上記従来技術のような二次元マトリクス表示ではシステム全体の状態を表すことができないケースが生じてきている。また例えば、フットプリントの大きな基板処理システムでは、管理の利便性を高めるために複数箇所にGUI装置が設置されることがある。しかしながら、画一的なレイアウト表示である場合、画面上の配置と実際のシステム配置とが必ずしも一致しないため、オペレーターがこれらを関連付けて把握することが困難である。
【0005】
また例えば、この種の基板処理システムでは、互いに異なる複数種類の処理ユニットが処理順に並べて配置されるだけでなく、スループット向上のために、同一機能の処理ユニットが上下に積み重ねられる、いわゆる多段積みが行われることが一般的である。しかしながら、従来技術では、このような構成を視覚的に判りやすい形態で表示することができなかった。
【0006】
これらのことから、近年の複雑なレイアウトを有する基板処理システムであっても、各部の状態を視覚的に判りやすく表示するGUI装置が求められている。しかしながら、そのような期待に応えることのできるGUI装置が提案されるには至っていない。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板処理システムの各部の状態を、複雑かつ大規模なシステムでもわかりやすく表示することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の態様は、基板を一時的に受け入れる受容部を複数有する基板処理システムのためのGUI(グラフィカル・ユーザーインターフェース)装置であって、前記受容部各々のステータス情報を取得する情報取得部と、取得された前記ステータス情報を反映させた表示画像を出力する画像処理部と、前記表示画像を表示する表示部とを備えている。ここで、前記画像処理部は、前記表示画像として、前記受容部の各々に対応するオブジェクトを、一の視点から前記基板処理システムを俯瞰した配置に応じた位置に配したシステム全景図に、少なくとも1つの前記オブジェクトにつき前記ステータス情報に基づく視覚情報を付加した画像を前記表示部に出力する。
【0009】
ここで、「受容部」とは、基板処理システムを構成する各種の構成のうち、基板を受け入れて一時的に留置する可能性のあるものを表す概念である。例えば、受け入れた基板に対し所定の処理を実行する処理部、基板を搬送する搬送機構等、基板に対する能動的な作用を有するもののほか、単に一時的な保管のために基板を受け入れるものも、ここでいう受容部に含まれ得る。
【0010】
上記のように構成された発明では、基板処理システム(以下、単に「システム」ということがある)の全体が、その俯瞰図に相当するシステム全景図として表示される。このため、画面上の配置と、現実のシステムにおける各部の配置とをよく一致させることが可能である。例えば、実際のシステムにおいて隣り合って配置される各部のほか、空間的に上下に配置されるもの、前後に配置されるもの等についても、それらを互いに区別しつつ、実際の配置を模したレイアウトで表示することが可能である。
【0011】
そして、こうして表示される受容部の各々に対して、各受容部から取得されたステータス情報に基づく視覚情報が付与された表示画像が、表示部に表示される。このため、ユーザー(オペレーター)は、表示画像を概観することで、システムが現在どのような状態であるかを簡単に把握することができる。すなわち、本発明によれば、基板処理システムの各部の状態をわかりやすく表示することが可能である。システム全景図は、機能が同一で多段積みされた複数の受容部に対応するオブジェクトを上下方向に並べてグループ化したモジュールを含む。基板処理システムではこのような多段積みは一般的に行われている。表示される画像もこれに類似した表現とすることにより、ユーザーは画像中のオブジェクトと実際の基板処理システムとの対応関係を容易に把握することが可能となる。
【0012】
また、この発明の他の一の態様は、基板を一時的に受け入れる複数の受容部と、上記した構成のGUI装置とを備える、基板処理システムである。このように構成された発明では、大規模かつ複雑なシステムであっても、当該システムの状態がわかりやすく表示部に表示されるため、システムを効率的に管理し運用することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、複数の受容部を表すオブジェクトが、基板処理システムの俯瞰図に相当するレイアウトで配置されたシステム全景図に、各受容部の状態が視覚情報として付与された画像が表示される。このため、大規模かつ複雑なシステムであっても、各部の状態をわかりやすく示すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る基板処理システムの一実施形態の概略構成を示す図である。
【
図2】GUI装置に表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る基板処理システムの一実施形態について説明する。この基板処理システムは、例えば半導体基板やガラス基板、プリント配線基板等の平板状の各種基板を受け入れて、予め定められた所定の処理を当該基板に施した後で払い出す処理システムである。ここでは一例として、液晶表示装置用ガラス基板に対して、レジスト液を塗布して露光し、現像、洗浄および乾燥処理を施すという一連の処理を行う処理システムを挙げて説明する。ただし、本実施形態の特徴はシステム全体の状態をユーザー(オペレーター)に示すGUI(グラフィカル・ユーザーインターフェース;Graphical User Interface)装置に特徴を有するものであり、基板に対する処理内容については例示のものに限定されず任意である。
【0016】
図1は本発明を適用な可能な基板処理システムの構成例を示すブロック図である。基板処理システム1は、基板処理の主体となる少なくとも1組の処理ユニット2、各処理ユニット2を統括的に制御して一連の処理を実行させる集中制御装置3、および、各処理ユニット2の動作状態を表示してオペレーターに報知するGUI装置4を備えている。
【0017】
処理ユニット2の構成は、当該処理ユニットの設置目的に応じて様々である。一般的な構成要素は、基板に対し何らかの処理を行う処理部21、基板を一時的に保管するバッファー23、それらの間で基板を搬送する搬送ロボット25、および、それらの動作を制御するコントローラー26などである。ただし、処理ユニットによっては、これらの構成の一部が複数備えられるケースや、逆に省かれるケースがあり得る。処理部21は基板に対して何らかの改質を行う主体であり、例えば、基板に対し洗浄処理を施す洗浄装置、基板に処理液を塗布する塗布装置、加熱や減圧により基板を乾燥させる乾燥装置などである。処理部21は、基板を収容するチャンバーを有する場合がある。
【0018】
図1に示すように、1つの処理ユニット2に、同一構成、同一機能を有する処理部21が複数設けられることがある。例えば、同一構成を有する複数の処理部21が多段積みされて1つの集合体を形成した状態で処理ユニット2に設けられることがある。このような処理ユニット2内の同一の処理部21の集合体22を、本明細書では「モジュール」と称する。広義には、単一の処理部21についても1つのモジュール22とみなすことができる。1つの処理ユニット2は、このようなモジュール22を複数含み得る。モジュール22間で処理部21の構成が同一である場合、異なる場合のいずれもがあり得る。
【0019】
バッファー23についても、同一構成のものが複数でモジュール24を形成していることがあり、また単一の処理ユニット2に複数のモジュール24が設けられる場合がある。例えば、処理前の基板を保管する入力バッファーと、処理後の基板を保管する出力バッファーとが個別に設けられる場合がある。また、処理ユニット2にバッファー23が設けられないケースもあり得る。
【0020】
これらの間における基板搬送を担う搬送ロボット25は、処理ユニット2内に1基または複数設けられる場合もあり、また設けられない場合もある。また処理ユニット2の動作を司るコントローラー26は通常1組設けられるが、処理ユニット2の構成が複雑である場合には複数設けられたり、また集中制御装置3により直接制御が可能であるために省かれたりすることがあり得る。
【0021】
またコントローラー26は、処理ユニット2内に設けられた各種センサーの出力などから把握される各処理部21、バッファー23、搬送ロボット25およびこれらに保持される基板の状態を、ステータス情報として集中制御装置3に送信する。
【0022】
このような処理ユニット2が、少なくとも1組設けられる。1つの処理ユニット2は、処理前の基板を外部から受け入れ、基板に対して所定の処理を施した上で、当該基板を払い出す。処理内容の異なる処理ユニット2を複数組み合わせることで、基板に対する様々な処理を実行することができる。また、処理内容が同じである複数の処理ユニット2を並列動作させることでスループット向上を図ることができる。
【0023】
集中制御装置3は、これらの処理ユニット2を統括的に制御する。すなわち、集中制御装置3は、CPU31、メモリー32、ストレージ33およびインターフェース部34などを備えている。CPU31は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)、SSD(半導体ディスク装置)などのストレージ33に予め記憶されている制御プログラムを実行して、各処理ユニット2に制御指令を与えてそれらの動作を司る。メモリー32はCPU31での演算に用いられるデータを一時的に記憶する。
【0024】
インターフェース部34は、各処理ユニット2およびGUI装置4との間のデータ通信を担う。各処理ユニット2の動作に伴って刻々と変わる各処理部21や基板のステータス情報については、各処理ユニット2からインターフェース部34を介して集中制御装置3に送信される。オペレーターからの操作指示を受け付けるための入力部がさらに設けられてもよい。
【0025】
GUI装置4は、このように各処理ユニット2から出力されるステータス情報を反映させたGUI画面を表示し、オペレーターに処理の進行状況を報知する。この目的のために、GUI装置4は、画像処理部41、メモリー42、ストレージ43、インターフェース部44、入力部45および表示部46などを備えている。
【0026】
画像処理部41は、後述する表示画像を作成するための各種の画像処理を実行する。メモリー42は画像処理部41での演算に用いられるデータを一時的に記憶する。ストレージ43は、画像処理部41が実行すべき制御プログラムや、表示画像を作成するためのレイアウトデータなど各種の画像データを記憶する。インターフェース部44は、集中制御装置3との間のデータ通信を担う。
【0027】
さらに、画像処理部4は、オペレーターからの操作入力を受け付ける入力部45と、オペレーターに各種情報を報知するための画像表示を行う表示部46とを備えている。入力部45は例えばキーボード、マウス等の入力デバイスを備え、表示部46は例えば液晶ディスプレイパネル等の出力デバイスを備える。入力部45と表示部46とが一体化されたタッチパネルとして構成されてもよい。
【0028】
GUI装置4は基板処理システム1に少なくとも1基設けられるが、2基以上設けられてもよい。例えば、処理ユニット2の数が多くフットプリントの大きい基板処理システム1では、複数の場所でシステムの状態を確認できるようにしておくことが好ましい。また、基板処理システム1内で、GUI装置4の配設位置を変更できるように、予め複数の接続ポイントが設けられていてもよい。
【0029】
集中制御装置3およびGUI装置4としては、パーソナルコンピューターやワークステーションとして一般的なハードウェア構成を有するコンピューター装置を用いることが可能である。特にGUI装置4については、タブレット型のコンピューター装置を好適に利用可能である。
【0030】
上記のように構成された基板処理システム1では、基板処理の進行に伴って各処理ユニット2から出力されるステータス情報が、GUI装置4の表示画面に反映される。具体的には、GUI装置4の画像処理部41が、インターフェース部44を介して集中制御装置3からステータス情報を取得し、予め用意された画面レイアウトにステータス情報に基づく視覚情報を付与して表示画像を生成する。画像処理部41が生成した表示画像の画像データは表示部46に出力されて、これに対応する画像が表示部46に表示される。
【0031】
本実施形態のGUI表示は、画像レイアウトおよび表示態様に特徴を有するものであり、そのような画像を生成するための技術としては、既存のグラフィック画像処理技術を適用することが可能である。そのため、表示される画像における特徴を主に説明し、画像処理の内容についての説明は省略する。
【0032】
図2はGUI装置に表示される画像の一例を示す図である。また、
図3は
図2の画像の凡例を示す図である。この画像100には、基板処理システム(以下、単に「システム」ということがある)1が有する各構成が網羅的に表されている。具体的には、この画像100では、システム内の各構成に対応するオブジェクトが、システム内での空間的配置に準じて配置されている。各オブジェクトは簡略化、模式化されており必ずしも実際の形状を表さないが、立体的構造を示すためにそれぞれ斜視図を用いて三次元的に表現されている。画像を見やすくするために各オブジェクトは適宜デフォルメされてよいが、概略の寸法比をできるだけ実物と合わせるようにしておくのが好ましい。
【0033】
また、それらの配置は、上方のある視点から見下ろした場合の俯瞰図に対応したものとなっている。これにより、基板処理システム1の平面的なレイアウトだけでなく、上下方向および奥行き方向の情報まで含んだ配置を1つの画面に表すことができる。つまり、この画像100は、システム全体を上方から俯瞰したシステム全景図ということができる。
【0034】
各図における方向を統一的に示すために、
図2に示すようにXYZ直交座標系を設定する。XY平面が基板処理システム1の設置空間における水平面を表し、Z方向が鉛直方向を表す。より具体的には、(-Z)方向が鉛直下向き方向である。
【0035】
まず
図3(a)を参照しつつ
図2の見方を説明する。
図2と
図3(a)とを対比するとわかるように、
図2では、「ユニット名」と「ポジション名」とにより各部が特定されている。例えば
図2では「Cleaner」、「SB」等と記載される「ユニット名」は、システム内の処理ユニット2の名称を表している。
【0036】
また、「ポジション名」はシステム内の各ポジションに対し付された名称である。ここで、「ポジション」は、処理部21、バッファー23、搬送ロボット25等を統一的に扱うための概念であり、システム内で1つの基板が存在し得る区画を示す最小単位である。すなわち、システムに投入された1つの基板のある時刻における位置は、いずれか1つのポジションにより特定することができる。また原則として各ポジションは基板を1つずつ保持し得るが、1ポジションに2以上の基板が同時に存在するケースもある。例えば、大型の基板に対応できるよう構成された処理部21に対し、段取り替えにより複数の小型基板を投入するようなケースである。その他、基板に対し能動的に処理を施すか否かに関わらず、基板に対する一連の処理において一定の期間、基板を受け入れてこれを保持する主体はいずれも1つの「ポジション」となり得る。この意味において、「ポジション」は本発明の「受容部」に対応する概念である。
【0037】
後述するように、システム中の各部および基板の状態はこのポジション単位で管理される。すなわち、システム内の各ポジションにつき、当該ポジションの動作状況、当該ポジションに基板が存在するか否か、存在する場合にはその基板に関する情報などが、ステータス情報として表示画像100の作成に利用される。
【0038】
例えば、それぞれが1つの基板を扱う処理部21の各々は、それぞれが1つの「ポジション」に該当する。したがって、同一構成の複数の処理部21を有するモジュール22には、処理部21の数と同じだけのポジションがある。言い換えれば、同一構成の複数の処理部21が提供する複数のポジションを1つにまとめて1つのモジュールとすることができる。互いに同一機能であるから、1つのモジュール内の各ポジションには共通のポジション名が使用される。つまり、「モジュール化されたポジション」と考えればよい。
【0039】
また、バッファー23についても、それ自体は基板に対して特定の作用をしないものの、一連の処理のうちの一部の期間、基板を占有する主体となることから管理対象とされる。つまり、それぞれが1つの基板を収容するバッファー23の1つ1つが、1つの「ポジション」として扱われる。複数のバッファー23を含むモジュール24についても、上記と同様の扱いとする。
【0040】
搬送ロボット25については、同時に1つの基板のみを扱うものは1つのポジションに該当する。ただし、後出の多ハンド搬送ロボット(MHU)では、各ハンドが1つずつ基板を扱うことができるから、それぞれのハンドが1つのポジションに該当する。したがって、当該多ハンド搬送ロボットは、複数のポジションを含む1つのモジュールとみなされる。
【0041】
ある時刻において、1つのポジションP1に基板が存在するとき、
図3(a)左側に示すように、当該ポジションに基板を示すオブジェクトSが表示される。基板が存在しない場合には、このオブジェクトは表示されない。このような表示の切り替えを行うには、例えば、元画像において各ポジションに基板に対応するオブジェクトを予め配置しておき、ステータス情報に応じてその表示/非表示を選択することができる。
【0042】
また、
図3(a)右側に示すオブジェクトは、複数のポジションが多段積みにより1つのモジュールを構成することを視覚的に表現したものである。このようにしてモジュールを表現することで、実際のシステム内で処理部21等が多段積みされていることをイメージしやすくなる。
【0043】
ここで、1つのモジュール中の複数ポジションのうち、ポジションP2に表示されるオブジェクトS2と、ポジションP3に表示されるオブジェクトS3とに異なる視覚効果が与えられている。例えば異なる色付けやハッチング処理により差別化することができる。このように、基板に対応するオブジェクトS2,S3に付与する視覚効果を異ならせることで、基板の状態の違いを視覚的に表す視覚情報とすることができる。例えば、正常な基板と、処理中にエラーが生じた基板とを区別する目的で、このような視覚効果を用いることができる。また例えば、処理前の基板と処理後の基板とを区別する目的にも利用可能である。
【0044】
基板を搬送するコンベアー等も、ここでいう「ポジション」に該当する。例えば後述する「Developer」ユニットでは、
図3(b)に示すように、コンベアーを表す「CV」ポジションが横方向に複数(この例では3つ)並べて記載されている。このことは、これらが全体として基板を一定方向に搬送するコンベアーとして働くが、各ポジションに1つずつ基板を保持し得ることを示すものである。したがって、基板の有無を示すオブジェクトS4,S5はポジションごとに表示される。3つの「CV」ポジションは、当該コンベアーが最大3枚の基板を保持可能であることを意味する。
【0045】
また、ここではシステム内での基板の位置および状態を把握することを主眼として、そのことに直接関係しない、つまり「ポジション」に該当しないシステム中の構成については表示が省かれている。例えば、後述する「Coater」ユニットは基板にレジスト液を塗布する塗布装置であり、塗布の主体であるノズルを備えている。したがって、例えば
図3(c)に示すように、ノズルNが記載されてもよいが、ノズルNは上記にいう「ポジション」には該当しないため、ここでは記載を省くものとする。
【0046】
これらを踏まえて、
図2の画像100を説明する。画像100は、平面視において概ねU字型に各部が配置された基板処理システム1を俯瞰したときの全景を模式的に示している。したがって、画面内のオブジェクトの配置は実際の基板処理ステム1における各部の配置に準じたものとなっており、オペレーターは画面と現物とを見比べて、それらの対応関係を容易に把握することができる。
【0047】
図の左端下側から未処理の基板が搬入され、基板は矢印で示される搬送方向Dtに概ね沿って搬送されながら各種の処理を受け、最終的に図の左端上側から外部へ搬出される。基板の搬送方向Dtに沿って、システムの構成を順に説明する。なお、このシステム構成自体は基板にレジスト膜を形成する基板処理システムとして一般的なものであるから、各部の構造および動作についての詳しい説明は省略する。
【0048】
未処理の基板は、図示しないインデクサーを介して、処理ユニット2の1つである「Cleaner」ユニットに搬入される。Cleanerユニットでは、搬送方向Dtに沿って、「TT(ターンテーブル)」、「CV(入力コンベアー)」、「UV(UV照射部)」、「RB(ロールブラシ)」、「Air(エアナイフ)」、「CV(出力コンベアー)」の各ポジションが配置される。基板はこれらの各ポジションを順に通過しながら洗浄処理を受ける。
【0049】
搬送方向DtにおいてCleanerユニットの下流側には、処理ユニット2の1つである「DB(脱水ベーク)」ユニットが配置される。DBユニットには、「InBF(入力バッファー)」、「MHU(多ハンド搬送ロボット)」、「HAP(疎水化処理部)」、「CP(クールプレート)」、「OutBF(出力バッファー)」等の各ポジションが配置されている。このうちHAPポジションは他のオブジェクトに隠れて見えていないが、後述する反対側からの全景図(
図4)には明りょうに表れる。
【0050】
ここで、Cleanerユニットに含まれる各ポジションと、これと隣り合うDBユニットに含まれる各ポジション(モジュール)とは、画像100内で異なる色付けで表現されている。そのため、図示されるように空間的に入り組んだシステム構成であっても、各ポジションがどの処理ユニットに属するものかを容易に知得することが可能である。以下においても同様に、隣り合う処理ユニットを互いに異なる色で表すことで、ユニット間の区別を明確にすることができる。なお、処理ユニット間の区別は色分けに限らず、種々の表現方法により実現可能である。
【0051】
DBユニットに続いて、「Coater」ユニットが配置される。Coaterユニットでは、基板にレジスト材料を含む塗布液(レジスト液)が塗布される。すなわち、Coaterユニットには、「TT(ターンテーブル)」、「CV(コンベアー)」、「St(入力ステージ)」、「Coat(塗布ステージ)」、「St(出力ステージ)」の各ポジションが配置されている。
図2には示されないが、
図3(c)に示したように塗布ステージ上にはノズルNが配置されており、入力ステージ、塗布ステージおよび出力ステージ上を搬送される基板に対しノズルNから塗布液を吐出することで、基板に塗布膜が形成される。
【0052】
Coaterユニットの次に、「Dry(乾燥)」ユニットが配置される。Dryユニットは基板に対し減圧乾燥処理を行う。このために、Dryユニットには、「MHU(多ハンド搬送ロボット)」、「Dry(減圧乾燥部)」の各ポジションが配置される。ここで、Dryポジションは、MHUの右側に2ポジション、奥側に1ポジションの計3ポジション設けられている。
【0053】
右側のDryポジション(モジュール)の上方には「CV(コンベアー)」が3つ並べて配置されている。これは、実際にコンベアーが上方に配置されていることを示している。また、これらのCVポジションのうち、最も左側の1つと右側の2つとの間で、オブジェクトの色が異なっている。これは、左側のCVポジションがDryユニットに属するものである一方、右の2つのCVポジションは隣接するSBユニットに属するものであることを意味する。処理ユニットごとの色分けは、このような区別も可能にする。
【0054】
続く「SB(ソフトベーク)」ユニットでは、基板を加熱することで、形成されたレジスト膜をより強固なものとする。SBユニットは、上記したCVポジションの他、基板を加熱する「HP(ホットプレート)」、加熱された基板を冷却する「CP(クールプレート)」、これらの間で基板を搬送する「MHU(多ハンド搬送ロボット)」の各ポジションを有する。
【0055】
「Interface」ユニットは、システムの手前側(-Y)側に配置された各処理ユニット2で処理された基板を、(+Y)側の処理ユニット2に受け渡す。なお、図示の都合上、(-Y)側の処理ユニットと(+Y)側の処理ユニットとが離されているが、実際にはもっと近い位置関係にある。Interfaceユニットは、「TT(ターンテーブル)」、「MHU(多ハンド搬送ロボット)」、「ExpA」、「ExpB」、および「BF」ポジションを有する。ExpA,ExpBポジションは、2基の露光機を表している。また、BFポジションはバッファーである。
【0056】
基板処理システム1の(+Y)側では、基板の搬送方向Dtの最上流側に「Titler」ユニットが配置される。Titlerユニットは2つのポジション「TitlerA」、「TitlerB」を有しており、これらは基板に適宜のマーキングを付す2基のタイトラーを表している。
【0057】
続いて、「Developer」ユニットが配置される。Developerユニットは露光された基板を現像する。すなわち、Developerユニットは、「CV(コンベアー)」ポジションに続いて、「Dev1」~「Dev4」の4ポジションに区分された現像部、「Rinse(リンス処理部)」、「Air(エアナイフ)」の各ポジションを有し、さらに3つの「CV(コンベアー)」ポジションを有する。これらにより、露光済みの基板が現像されリンス処理される。
【0058】
基板の搬送方向Dtの最下流側に、「HB(ハードベーク)」ユニットが設けられる。HBユニットは現像後のレジスト膜を加熱して完全に硬化させる。HBユニットは、「InBF(入力バッファー)」、「HP(ホットプレート)」、「IMC(自然冷却部)」、「OutBF(出力バッファー)」およびこれらの間で基板を受け渡す「MHU(多ハンド搬送ロボット)」の各ポジションを有する。処理後の基板は、図示しないインデクサーにより出力バッファーから外部へ搬出される。
【0059】
図2において、符号MPは「メインパネル」の略であり、基板処理システム1におけるGUI装置4の設置場所を表している。この例ではシステムの左下および右上の2箇所にメインパネルMPが設置されているが、右上のDeveloperユニット近傍にある1つの表示はブラックアウトされている。これは、現在の画面管理には左下のCleanerユニット近くにあるメインパネルMPが使用されており、右上のメインパネルMPでは操作が行えないことを表している。2つのメインパネルMPからの操作が競合するのを避けるためである。
【0060】
実際の表示画像の作成に際しては、画像処理部41は、集中制御装置3から取得したステータス情報に基づき、各ポジションにおける基板の有無やその状態、装置の稼働状況等の各種情報を刻々と画像に反映させる。例えば、現に基板が存在するポジションには、基板を表すオブジェクトが表示される。特に、正常な基板とエラーが生じた基板とを区別して表示することで、エラーが生じた基板の所在を速やかにユーザーに報知することが可能になる。
【0061】
また、エラーが生じたポジション、モジュールまたは処理ユニットを、正常な処理ユニットとは異なる視覚効果を付して表示するようにすれば、エラーの発生箇所をユーザーに報知することができる。
【0062】
また、各ポジションの状態、例えば処理中、準備中、待機中、異常等に応じて、当該ポジションのオブジェクトに特有の視覚効果を付与して表示するようにしてもよい。
【0063】
このように、本実施形態の表示画像100では、基板処理システム1の全体構造が実物の構造に準じて立体的に表現されているため、ユーザー(オペレーター)は、画面内の各部と、実際のシステムにおける各部との対応関係を容易に把握することができる。これにより、システムの運用管理を容易にすることができる。例えばいずれかのポジションでエラーが発生したとき、表示からエラーの発生箇所を早期に突き止めて必要な措置を講じることができる。またこのような情報は、エラー原因を探求する上でも有用なものとなる。
【0064】
次に、オペレーターの操作に応じた表示画像の変化態様について説明する。上記のように、この実施形態の表示画像100は、従来の二次元表示より格段に情報が増えており、システム管理を容易にするものである。しかしながら、次に説明するように、オペレーターの操作に応じて画面表示を変化させることで、さらに多くの情報をオペレーターに提供することが可能になる。
【0065】
図4は表示画像の他の例を示す図である。この表示画像200は、
図2に示される表示画像100を、背面側から見たものに相当する。つまり、表示画像100では手前側に合ったオブジェクトが奥側に、奥側にあったオブジェクトが手前側に表示されている。したがって、基板の搬送方向Dtは右側上方から反時計回りにU字を描く。前記した通り、この実施形態のGUI装置4はシステムの俯瞰図に相当する画像を表示するが、その際の視点が、オペレーターの操作により変更可能である。
【0066】
基板処理システム1において、GUI装置4の設置場所が複数ある場合、または設置場所を変更可能である場合には、その設置場所により、オペレーターは異なる方向からシステムを見渡すことになる。ここで、GUI装置4に表示される画像におけるシステムレイアウトが一義的である場合、設置場所を変えれば表示画像と実物との対応関係が崩れてしまうことになる。これはシステムの管理に際しては大いに不便である。
【0067】
この問題に対応するために、本実施形態では、GUI装置4の複数の設置場所に応じて、画像中のシステムレイアウトを切り替えるようにしている。すなわち、互いに異なる視点から俯瞰したシステム全景図が予め準備されており、GUI装置4がどの位置で使用されるかにより、それに応じたレイアウトが適用される。表示の切り替えは、入力部45を介したオペレーターの操作入力に応じて行うことができる。
【0068】
また、レイアウト配置の都合上、ある視点方向からでは他のオブジェクトに隠されて見えなくなってしまうオブジェクトが生じることがある。視点を変えた表示を可能とすることで、このような問題も解消することができる。
【0069】
また、異なる位置に設置された複数のGUI装置4に、その位置に応じたレイアウトの画像がそれぞれ表示されるようにしてもよい。この場合でも、複数の端末から競合する操作入力が行われるのを避けるために、いずれか1つのGUI装置4のみに操作が許可されるようなインターロックが設けられることが望ましい。
図4では、
図2とは逆にCleanerユニット側のメインパネルMPがブラックアウトされており、Developerユニット側のメインパネルMPでのみ操作が可能であることを示している。
【0070】
また例えば、タブレット端末のような可搬型のGUI装置4においては、GUI装置4の位置が変わるのに対応して、画面内でのシステムレイアウトが切り替わるように構成されてもよい。種々の視点からの俯瞰図に対応するレイアウトが予め用意されていてもよく、また各オブジェクトの三次元座標を設定しておき、各種の方向から見たシステムのレイアウトをその都度生成するようにしてもよい。
【0071】
図5は表示画像の他の例を示す図である。この実施形態のような立体的な表示によっても、手前のオブジェクトに隠されて奥側のオブジェクトが見えない場合があり得る。この問題の解消方法として、例えば次のような方法がある。
図5(a)は
図2の一部を抜粋したものであり、この例では、奥側の「BF」および「MHU」の各モジュールが手前のオブジェクト(モジュール)に隠されている。このような場合、オペレーターが奥側のオブジェクトにポインターを置いたときに、隠れているオブジェクトが前面に表示されるようにすることができる。
【0072】
例えばポインターが
図5(a)に示す位置P4に置かれたとき、
図5(b)に示すように、隠れていたBFポジションのオブジェクトが前面表示される。また、ポインターが位置P5に置かれたとき、
図5(c)に示すように、隠れていたMHUポジションのオブジェクトが前面表示される。このとき、前面表示されたオブジェクトが強調表示されるようにしてもよい。
【0073】
図6は表示画像の他の例を示す図である。
図6(a)に示すように、いずれかのポジション(またはモジュール)がクリックされたとき、
図6(b)に示すように、当該ポジションにおける詳細なステータス情報が表示されるようにすることができる。例えばポップアップウィンドウにステータス情報を表示させることができる。表示すべき情報としては、当該ポジションの稼働状況、当該ポジションにある基板の情報(例えばシリアル番号や処理経過等)を用いることができる。この場合、システム全景図に付与される視覚情報はテキスト情報である。どのような情報を表示するかは任意である。
【0074】
以上のように、この実施形態の基板処理システム1では、GUI装置4の表示部46に、当該基板処理システム1の俯瞰図を模した立体的なシステム全景図が表示され、その中の各オブジェクトに、システム内各部の状態を反映させた各種の視覚効果、テキスト等の視覚情報が付与される。これにより、刻々と変化する各部の状態が1つの画像に集約されて表示され、ユーザー(オペレーター)に対し、多くの情報をわかりやすく提示することができる。
【0075】
また、ユーザー操作に応じて、システムを俯瞰する視点を変更したり、重なり合うオブジェクトの表示順序を入れ替えたり、システム各部の詳細な情報をテキストとして示したりする機能が付加されている。このため、ユーザーは、システム全体の動作状況を観察しつつ、必要に応じてその一部について詳細な情報を取得することができ、システム管理に役立てることができる。
【0076】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、各ポジション、モジュール、処理ユニットおよび基板に付す視覚効果としてハッチングや濃淡を用いている。しかしながら、ステータス情報に基づく視覚情報をオブジェクトに付す方法はこれに限定されない。
【0077】
例えば、カラー表示できる表示部46では、各種の情報を色によって区別して表現することが可能である。また例えば、早急に確認を要するポジション等に対応するオブジェクトを点滅させたり、注意喚起のためのマークやピクトグラムを近傍に表示させたりすることができる。また例えば、そのようなオブジェクトを拡大表示したり、強調表示させたりすることもできる。このような視覚情報の付与は、ポジション単位、モジュール単位、処理ユニット単位等、必要に応じて任意の単位で行うことができる。
【0078】
また、上記実施形態では、システム全体の動作を統括制御する集中制御装置3とGUI装置4とが個別の装置として構成されているが、例えば1つのコンピューター装置が両者の機能を兼備する構成であってもよい。また、1つのシステム内に複数のメインパネルMPを配置する構成とする場合には、それぞれに独立したGUI装置4が設けられる必要は必ずしもなく、画像処理部41等を共用する複数の表示部46が各所に配置されるようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態の基板処理システム1は、本発明に係るGUI装置を装備した基板処理システムの一例として示したものであり、システム構成は上記に限定されず任意である。また、既存の基板処理システムに付加される外付けのGUI装置として、本発明が実施されてもよい。
【0080】
さらに、基板は上記した液晶表示装置用ガラス基板に限定されるものではなく、有機EL表示装置用ガラス基板およびPDP用ガラス基板などのFPD用基板、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、カラーフィルター用基板、記録ディスク用基板、太陽電池用基板、電子ペーパー用基板等の精密電子装置用基板などが本発明の「基板」に含まれる。
【0081】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、この発明に係るGUI装置においては、画像処理部は、互いに異なる複数の視点のシステム全景図を出力するように構成されてよい。例えば、ユーザーからの操作入力を受け付ける入力部をさらに設け、画像処理部は、操作入力に応じて複数のシステム全景図から一を選択して表示部に表示させるようにすることができる。
【0082】
システム全景を俯瞰図として立体的に表示することで、表示される画像と実際の基板処理システムとの対応関係を把握しやすくなる。その効果は、画像が、その表示される位置から見た基板処理システムの姿に近い形で表現されているときに特に顕著なものとなる。複数の視点のシステム全景図を出力可能とすることで、種々の位置において画像と実際の基板処理システムとの間で見え方を揃えることが可能になる。また、基板処理システムを立体的に表すとき、一の方向からでは他のオブジェクトに隠されて見えないオブジェクトが生じ得るが、視点を変えての表示を可能とすることで、そのようなオブジェクトも表示させることができる。
【0083】
また例えば、ステータス情報は、受容部が受け入れた基板に関する情報を含んでいてもよい。この場合、視覚情報には、受容部の各々が現に基板を有しているか否かを示す情報を含ませることができる。このような情報を表示に反映させることで、基板処理システム内で基板が現在どこにあり、かつそれがどのような状態であるかを適切にユーザーに提示することができる。
【0084】
また例えば、画像処理部は、機能が同一で多段積みされた複数の受容部に対応するオブジェクトを上下方向に並べてグループ化したモジュールを含むシステム全景図を出力するように構成されてもよい。基板処理システムではこのような多段積みは一般的に行われている。表示される画像もこれに類似した表現とすることにより、ユーザーは画像中のオブジェクトと実際の基板処理システムとの対応関係を容易に把握することが可能となる。
【0085】
また、このようなGUI装置において、基板処理システムは、互いに協働して基板に所定の処理を施す複数の受容部を含む処理ユニットを少なくとも1組有し、画像処理部は、処理ユニット内の受容部とそれ以外の受容部とを視覚的に区別したシステム全景図を出力するように構成されてもよい。例えば、一の処理ユニットに含まれる受容部と、その近傍にある他の処理ユニットに含まれる受容部とに、色分けのような異なる視覚効果を与えることができる。このような構成によれば、複数の処理ユニットが複雑に入り組んだ場合でも、各処理ユニットの範囲が明確に示されるので、ユーザーにとってはシステムの状況を把握しやすくなる。
【0086】
また例えば、画像処理部は、システム全景図において互いに重なり合う複数のオブジェクトのうち前面表示するオブジェクトを切り替えるように構成されてもよい。このような構成によれば、通常は他のオブジェクトに隠されてしまうオブジェクトを優先的に表示することが可能になる。また、これを可能としておくことで、オブジェクトが他のオブジェクトに隠されてしまうことを避けるための措置を講じなくてもよくなり、システム全景図におけるレイアウト設計の自由度が高くなる。
【0087】
また、本発明のGUI装置を備える基板処理システムは、互いに異なる位置に配設された複数の表示部を備えてもよく、この場合、画像処理部は、表示部各々の配設位置に対応する視点のシステム全景図を出力することができるように構成されるのが好ましい。このような構成によれば、どの位置にある表示部に対しても、当該位置から見た基板処理システムの姿に準じた画像を表示させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
この発明は、各種の基板処理システムに適用することが可能でありその処理内容は限定されないが、特に複数の処理ユニットを備え比較的規模の大きなシステムにおいて好適である。
【符号の説明】
【0089】
1 基板処理システム
2 処理ユニット
3 集中制御装置
4 GUI装置
41 画像処理部
44 インターフェース部(画像取得部)
45 入力部
46 表示部