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特許7556020耐摩耗デバイス及び固定システムを備えたロータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】耐摩耗デバイス及び固定システムを備えたロータ
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/20 20060101AFI20240917BHJP
   B01F 27/052 20220101ALI20240917BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20240917BHJP
   B01F 27/07 20220101ALI20240917BHJP
   B01F 27/09 20220101ALI20240917BHJP
   B01F 35/95 20220101ALI20240917BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20240917BHJP
   B01F 35/10 20220101ALI20240917BHJP
【FI】
B29B7/20
B01F27/052
B01F27/70
B01F27/07
B01F27/09
B01F35/95
B01F27/112
B01F35/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022506637
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2020069058
(87)【国際公開番号】W WO2021018521
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】1908853
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】デュサルディエ ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】カルラヴァン セドリック
(72)【発明者】
【氏名】リエ イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー クレセンス
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-249621(JP,A)
【文献】中国実用新案第201389929(CN,Y)
【文献】特開2012-153114(JP,A)
【文献】特開2000-334732(JP,A)
【文献】実開昭62-174626(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/10
B29B 7/38
B01F 27/052
B01F 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部でロータが回転する混合容器を有する、ゴム混合物のための内部混合機で使用するためのロータ(100)であって、
各々が湾曲した輪郭をもつ先端部(104a)を有する1又は2以上のブレード(104)と、
前記少なくとも1つのブレードの前記先端部(104a)に着脱可能に固定された耐摩耗デバイスであって、前記耐摩耗デバイスは、前記先端部(104a)と相補的な曲率を有する下面(112)と前記容器の壁と相補的な曲率を有する上面(114)とによって輪郭が規定されたプレート(110)を有し、前記プレート(110)と前記容器の前記壁との間で混合物の通過を可能にしてそれらの間に最小隙間ゾーンを規定する、耐摩耗デバイスと、
前記ロータ(100)と係合するように、前記プレート(110)に対して位置決め及び締結された1又は2以上の締結システム(135)と、を備え、
前記締結システムの各々は、
保持ねじ(137)と、
中央ピン(143)を含むクランプ手段と、
を備え、
前記保持ねじ(137)は、
前記保持ねじ(137)が挿入される前記プレートのカウンタボア(110a)の直径に対応する円周面を有する細長い実質的に円筒形のねじ頭部(137a)であって、前記ねじ頭部(137a)は、係合面(137b’)が前記プレートの前記カウンタボア(110a)の肩部(110a’)に係合するように規定される係合端(137b)とアクセス端(137c)との間で所定の長さに沿って延び、さらに前記ねじ頭部の所定の長さに沿って延び、所定の断面形状を有する挿入経路(137d)を有する、ねじ頭部(137a)と、
前記ねじ頭部(137a)の前記係合面(137b’)から延びる実質的に円筒形の細長いねじシャンク(139)であって、所定の直径を有する前記ねじシャンク(139)は、前記保持ねじ(137)が取り付けられる対応するロータねじ(100a)に保持され、前記ねじシャンク(139)は、前記ねじシャンクが前記ねじ頭部(137a)の挿入経路(137d)を通過するクランプ手段を受け入れる挿入端(139a)と、ロータ(100)に固定された反対側の端部(139b)との間で所定の長さに沿って延び、さらに前記ねじシャンク(139)の長さに沿って延びる取り付け導管(139c)を有する、ねじシャンク(139)と、
を備え、
前記中央ピン(143)は、
前記ねじ頭部(137a)の前記挿入経路(137d)の所定の断面形状に対応する断面形状を有するプラグ(145)であって、前記プラグ(145)は、前記プラグ(145)の係合面(145a’)が前記ねじ頭部(137a)の前記挿入経路(137d)の前記肩部(137d’)に対して係合するように規定される係合端(145a)と、反対側の外端(145b)との間で所定の長さに沿って延びるプラグ(145)と、
前記プラグ(145)の前記係合端(145a)から延びる実質的に円筒形の細長いロッド(147)であって、前記ロッド(147)は、内部に前記中央ピンを取り付けるための前記ねじシャンク(139)の前記取り付け導管(139c)に対応する所定の直径を有する、ロッド(147)と、を備えている、
ことを特徴とするロータ。
【請求項2】
前記プレート(110)の輪郭は、前記プレートの輪郭が螺旋に類似するように、回転方向に次第に進行する前記プレートの曲率半径によって規定される、
請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記プレートは、前記プレート(110)の長さに沿って軸線方向に延びる1又は2以上の冷却流路(120)を備え、前記冷却流路は、前記プレート(110)の輪郭に沿って配置され、前記ロータ(100)の主導管(124)から前記プレート(110)に対応する冷却剤を運ぶ供給導管(122)に接続される、
請求項1又は2に記載のロータ。
【請求項4】
シール手段をさらに備える、
請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記シール手段は、対応する溝(152)に配置されるOリング(150)を備える、
請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記溝(152)は、台形溝である、
請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記プレートの前記カウンタボア(110a)の各々は、対応するロータねじ(100a)と整列しており、対応する保持ねじ(137)は、前記保持ねじが前記ロータ(100)に対して嵌合される前記ロータねじと整列した前記カウンタボアを貫通することができるようになっている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項8】
前記締結システム(135)は、カムロックワッシャ(141)をさらに備え、前記カムロックワッシャは、前記ねじ頭部(137a)の前記係合端(137b)と前記プレートの前記カウンタボア(110a)の前記肩部(110a’)との間に配置される、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項9】
機械的締結システムをさらに備えている、
請求項1から8のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項10】
前記機械的締結システムは、位置決めキー(130)を備える、
請求項9に記載のロータ。
【請求項11】
前記位置決めキー(130)は、前記プレート(110)の下面(112)の対応する補強部材に係合する上面(130a)を有する平行キーを備え、前記位置決めキーは、対応する上部の溝(104a)に係合する、
請求項10に記載のロータ。
【請求項12】
内部で請求項1から11のいずれか1項に記載のロータが回転する少なくとも1つの混合容器を有する内部混合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ゴム混合物及びそれから調製される車両用タイヤの製造に関する。より詳細には、本発明は、ゴム混合物のための混合機で使用されるロータの耐摩耗デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー製造の分野では、原材料を混合するために内部混合機が使用される。「内部混合機」(又は「混合機」又は「MI」)とは、金属ラム及び2つの金属半容器(又は「容器」)を含む機械であって、それぞれが1又は2以上のブレードを有する金属ロータを含む機械(例えば、ポリマー用のバンベリー又はインターミックスタイプの機械)を意味する。混合物の材料が混合されると、製造過程にあるエラストマーに大きな応力がかかる。図1を参照して、容器20内に配置されかつ矢印Aの方向に回転するロータ10を参照してこの現象を説明すると、ロータ10は、相互に反対方向に回転できるように平行に配置された一対のロータの一部である。ロータ10はブレード12を有し、各ブレードは先端部12aを有する。先端部12aが回転すると、図1に示すように、円形経路12bを描く。容器20の壁20aと円形経路12bとの間には、隙間E12が規定される。入口22から容器20に入るゴム混合物の原料は、ロータブレードと各容器の壁との間の隙間E12を通過する。原料は、摩耗領域を生み出すことになる高いせん断力がもたらされる先端部12aを通過する。
【0003】
この現象は、内部混合機の「一体」型のロータに見られ、摩耗領域が常にロータブレードの同じ場所にあることが観測されている。図2を参照すると、一体型の代表的なロータは、容器50内に配置されたロータ30によって表されている(ロータ30は、仏国特許第R2632873号に開示されている)。ロータ30は、ロータが矢印Bの方向に回転する回転軸を有する軸方向シャフト32を有する。軸方向シャフト32は、1又は2以上のブレード34が半径方向に延びる円周面32aを有する。ロータ30の回転軸に垂直な平面において、ブレード34の輪郭の曲率は、曲率中心C及び曲率半径Rによって規定される。この曲率は、容器50の壁の曲率に対応する。ブレード34のエッジ34aは、容器の壁50と一緒に、それに沿ってゴム混合物の材料が通過する隙間E30を規定する(図1の隙間E12に関連して説明したように)。
【0004】
非常に短い長さの領域が隙間E30に沿って存在し、そこでは実行される作業レベルが非常に集中的である。現在のゴム配合では、補強用のフィラー(例えば、高レベルのカーボンブラック及びシリカ)の比率がますます高くなっているため、生成されたエラストマーは、内部混合機の金属表面を高度に研磨する。同時に、混合サイクルは、最大の生産性を保証するように最適化される。
【0005】
摩耗は一様ではなく、ロータ自体が摩滅され、ブレードのようなロータの突き出た部分はさらに摩滅される。これは、ブレードと壁との間に望ましくない間隙の発達をもたらし、生産性及びゴム混合物の品質に悪影響を及ぼす。これらの間隙の発達の結果、混合機のロータに見られる早期摩耗の問題が発生する。混合機の残りの金属表面が同程度の摩耗を受けない限り、観察される摩耗は最大で数ミリにもなる可能性がある。ロータなどの機械部品の耐用年数は最大で50%も短くなる。これらのロータを交換するための停止時間(組立及び分解)は長く、コストがかかり、混合機の完全停止を必要とする。半製品のエラストマーの生産は、計画通りに行うことができない。
【0006】
この現象を抑えるための解決策として認められているものに、中国公開第201389929号に開示されているデバイスがある。このデバイスは、容器の円周面及び/又は単一ピースから機械加工されたロータブレードの表面に沿って取り付けられた1又は2以上の耐摩耗デバイスを含む。しかしながら、既知の各ロータは、ブレードの輪郭(すなわち、図1に示すようにブレードの輪郭を規定する、ロータの回転軸に垂直に切り取った平面断面図)と、ロータの表面上のブレードの位置決めとによって特徴付けられる。この解決策は,単一ピースから機械加工されたロータに耐摩耗デバイスを直接配置することのみが説明されており,その幾何学的形状及び対応するゴム混合性能への潜在的な影響については説明されていない.
【0007】
加えて,耐摩耗デバイスを追加すると冷却効率が低下する。しかしながら、ロータの他の領域に比べてブレード先端部の温度上昇が大きいため、ブレード先端部を冷却できることは特に重要である。従って、ロータは、混合サイクル中の混合物の温度を制御するために、ロータの内部に穴開けされた幾何学的流路の形態の冷却システムが備えることが多く、この温度は約150℃から170℃に達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】仏国特許第R2632873号
【文献】中国公開第201389929号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、ゴム分散、ゴム混合性能、及びゴム混合物の品質を保つために、本発明は、ロータブレードの摩耗が発生する領域に取り外し可能な耐摩耗デバイスを装着することに関する。耐摩耗デバイスは、その固定をもたらすように構成される、ロータに着脱可能に固定されるプレートを含む。ロータに取り付けられると、プレートは、ロータの幾何学的形状を変えることなく、摩耗したロータ部分を簡単に交換する手段を提供する。従って、ロータは、容易に交換可能な部品を含む2つの部品を含み、低コストで一体型のロータとして機能する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ロータが回転する混合容器をする内部混合機で使用するためのロータに関し、このロータは、
各々が予め定められた曲率の輪郭をもつ先端部を有する1又は2以上のブレードと、
少なくとも1つのブレードの先端部に着脱可能に固定された耐摩耗デバイスであって、耐摩耗デバイスは、先端部と相補的な曲率を有する下面と、容器の壁と相補的な曲率を有する上面とによって輪郭が規定されたプレートを有し、プレートと容器の壁との間で混合物の通過を可能にしてそれらの間に最小隙間ゾーンを規定する、耐摩耗デバイスと、
ロータと係合するために、プレートに対して装着及び締結される1又は2以上の締結システムと、
を備えている。
【0011】
ある実施形態では、プレートの輪郭は、プレートの輪郭が螺旋に類似するように、時計回り方向に次第に進行する前記プレートの曲率半径によって規定される。
ある実施形態では、プレートは、プレートの長さに沿って軸方向に延びる1又は2以上の冷却流路を備え、冷却流路は、プレートの輪郭に沿って配置され、ロータの主導管からプレートに対応する冷却剤を運ぶ供給導管に接続される。
【0012】
ある実施形態では、ロータは、シール手段をさらに備える。いくつかのそのような実施形態では、シール手段は、対応する溝に配置されるOリングである。ある実施形態では、溝は、台形溝である。
【0013】
ある実施形態では、締結システムの各々は、
保持ねじと、
中央ピンを含むクランプ手段と、
を備え、
保持ねじは、
保持ねじが挿入されるプレートのカウンタボアの直径に対応する円周面を有する細長い実質的に円筒形のねじ頭部であって、ねじ頭部は、係合面がプレートのカウンタボアの肩部に係合するように規定される係合端とアクセス端との間で所定の長さに沿って延び、さらにねじ頭部の所定の長さに沿って延びて所定の断面形状を有する挿入経路を有する、ねじ頭部と、
ねじ頭部の係合面から延びる実質的に円筒形の細長いねじシャンクであって、所定の直径を有するねじシャンクは、保持ねじが取り付けられる対応するロータねじに保持され、ねじシャンクは、ねじシャンクがねじ頭部の挿入経路を通過するクランプ手段を受け入れる挿入端と、ロータに固定された反対側の端部との間で所定の長さに沿って延び、さらにねじシャンクの長さに沿って延びる取り付け導管を有する、ねじシャンクと、
を備え、
中央ピンは、
ねじ頭部の挿入経路の所定の断面形状に対応する断面形状を有するプラグであって、プラグは、プラグの係合面がねじ頭部の挿入経路の肩部に対して係合するように規定される係合端と反対側の外端との間で所定の長さに沿って延びるプラグと、
プラグの係合端から延びる実質的に円筒形の細長いロッドであって、ロッドは、内部に中央心ピンを取り付けるためのねじシャンクの取り付け導管に対応する所定の直径を有する、ロッドと、
を備える。
【0014】
ある実施形態では、プレートのカウンタボアの各々は、対応するロータねじと整列しており、対応する保持ねじは、保持ねじがロータに対して嵌合されるロータねじと整列したカウンタボアを貫通することができるようになっている。
【0015】
ある実施形態では、締結システムは、カムロックワッシャをさらに備え、カムロックワッシャは、ねじ頭部の係合端とプレートのカウンタボアの肩部との間に配置される。
【0016】
ある実施形態では、ロータは、機械的締結システムをさらに備える。いくつかのそのような実施形態では、機械的締結システムは、位置決めキーを備える。いくつかのそのような実施形態では、位置決めキーは、プレートの下面の対応する補強部材に係合する上面を有する平行キーを備え、位置決めキーは、対応する上部の溝に係合する。
ある実施形態では、ロータは2つのブレードを備え、ブレードは相互に反対方向に傾斜している。
【0017】
また、本発明は、内部で本発明のロータが回転する少なくとも1つの混合容器を有する内部混合機に関する。
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0018】
本発明の内容及び様々な利点は、以下の詳細な説明を、同じ参照番号がどこでも同一の要素を指定する添付図面と共に理解することでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既知の内部混合機のロータの回転軸に垂直に切り取った平面断面図である。
図2】従来技術の一体型ロータの輪郭を示す図である。
図3】本発明のロータ及び耐摩耗デバイスの分解部分図である。
図4図3の耐摩耗デバイスが使用される代表的なロータの斜視図である。
図5図3の耐摩耗デバイスが使用される別の代表的なロータの斜視図である。
図6】本発明のロータ及び耐摩耗デバイスの部分斜視図である。
図7】本発明のロータ及び耐摩耗デバイスの部分断面図である。
図8】ロータと耐摩耗デバイスとの間にシール手段を使用する本発明の実施形態の部分断面図である。
図9】ロータ及び耐摩耗デバイスをねじ締結システムで締結した状態の部分断面図であり、締結システムはロータに取り付けられている。
図10】ロータ及び耐摩耗デバイスをねじ締結システムで締結した状態の部分断面図であり、締結システムはロータに取り付けられている。
図11】ロータ及び耐摩耗デバイスをねじ締結システムで締結した状態の部分断面図であり、締結システムはロータに取り付けられている。
図12図9から11に示した完全な締結システムの装着後の部分断面図である。
図13】ロータの取り外し時の図9から図11の締結システムを示す。
図14】ロータの取り外し時の図9から図11の締結システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
同じ番号が同一の構成要素を特定する図面を参照すると、図3は、ロータの耐用年数を延ばして、ゴム混合物による摩耗に耐える能力を高めるための耐摩耗デバイスが設けられたロータ100を示す。ロータ100は、1又は2以上のブレード104を有する、上述したような一体型ロータとして示されている。ロータは、本技術分野で知られている構成から選択できることを理解されたい(例えば、ロータは、タンジェンシャルロータ、噛み合いロータ、又は同等のロータとすることができる)。ロータ100は、鋼(普通の鋼又は高強度鋼)などの金属材料で作られている。別の金属又は同等の材料を使用し得ること理解されたい(例えば、ステンレス鋼、チタンなど)。ロータ100の任意の部分には、公知の化学的保護膜を施すことができる。
【0021】
耐摩耗デバイスの配置及び取り付けは、ブレード104の先端部104aに関して行われる。ロータ100は、プレート110の結合を可能にするブレード104の先端部104aを作るために機械加工される。ロータ100の回転軸に垂直な平面において、先端部104aの輪郭の曲率は、ロータの曲率中心及びロータの曲率半径によって規定される。
【0022】
図3を再び参照し、さらに図4図7及び図8を参照すると、耐摩耗デバイスは、ロータ100に着脱可能に取り付けられるプレート110を含む。プレート110の輪郭は、プレートの下面112及び上面114によって規定される。下面112は、ブレード104(及び/又は、2又は3以上のブレードを有する実施形態におけるブレード)へのプレート110の直接的な嵌合を容易にするために、先端部104aの曲率と相補的な曲率を有する。図8では、表面112と104aとの間の接合部が円形にできることが示されており、これにより、ロータ100及びプレート110の機械加工が容易になる。
【0023】
上面114は、プレート110と容器の壁との間に混合物の通過を可能にする最小距離の領域を規定するために、容器の壁と相補的な曲率を有する。ロータ100の回転軸に垂直な平面において、プレート110の輪郭は、プレートの所定の曲率中心及びプレートの所定の曲率半径によって規定される。図示の実施形態では、プレート110の輪郭は、プレートの輪郭が螺旋に類似するように、時計回りの方向に次第に進行する曲率半径によって規定される(すなわち、下面112に沿って形成された曲線が長手方向の軸の周りを回転する)。
【0024】
従って、プレート110の輪郭は、当業者が理解するように、ロータの幾何学的形状及び容器の幾何学的形状と相補的である。図3を参照すると、代表的なロータ100は、耐摩耗デバイスが取り付けられる機械加工されたブレード104を有する。ロータ100のいくつかの実施形態では、機械加工されていない第2のブレード104’は、同一の輪郭を有する両方のブレードと一体化させることができる(図5及び6参照)。ロータ100の他の実施形態では、代表的なロータ100は、機械加工された2つのブレード104を有し、耐摩耗デバイスは第1のブレードに取り付けられる。第2のブレードは、両方のブレードが同一の輪郭を有するように、耐摩耗デバイス(図示せず)の直接的な取り付けを保証するように機械加工されている。ロータ100は、選択された混合機及び/又は選択されたゴム混合物のレシピに応じて、複数のブレードを組み込むことができることを理解されたい。2つの代表的なロータ100及び複数のブレードを組み込んだロータに関して、ロータの輪郭は、一体型ロータの輪郭に類似する。
【0025】
図3及び図4を再び参照し、さらに図5及び図6を参照すると、プレート110は、プレート110の長さに沿って軸方向に延びる冷却流路120を有する。冷却流路120は、プレート110の輪郭に沿って配置され(図6参照)、供給導管122に接続されている。供給導管122は、ロータ100(図6参照)の主導管124からプレート110に対応する冷却剤(水又は他の既知の冷却剤など)を運ぶ。冷却流路120、供給導管122及び主導管124は、一緒になってプレート110内の制御回路を形成し、当業者に理解されるように、混合サイクル中の混合物の温度を調節する。図示の実施形態に関して、プレート110は4つの冷却流路120を有するが、冷却流路の数は必要に応じて変化することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明は、プレート110とロータ100との間のシールシステムにも関する。図7及び図8をさらに参照すると、本発明の1つの実施形態は、供給導管122をシールするために溝152に配置されたOリング150であるシール手段を含む。この実施形態では、溝152は、耐摩耗デバイスの組立/分解時にシールを失わないように、台形の溝である。Oリングは、同等のシール又は他の同等のシール手段で置き換えることができることを理解されたい。また、溝を別の有用な幾何学的形状で形成できることも理解されたい。
【0027】
図3から8を再び参照し、さらに図9から12を参照すると、プレート110は、ブレード104の先端部104aに着脱可能に固定される。トルク伝達を実現するために、この固定は、位置決めキー(又は「キー」)130と、1又は2以上のねじ締結システムとを有する機械的な締結システムによって実現される。
【0028】
キー130は、キーねじ131によって先端部104aに固定される所定の全長を有する平行キーで表される(図3及び図5参照)。キー130は、先端部104aの対応する溝(図示せず)に係合し、キーの上面130aがプレート110の下面112の対応する凹部(図示せず)に係合できるようになっている。この締結は、同等のキー(例えば、タイプA、B、Cの平行キー又はディスクキー)によって行うことができることを理解されたい。
【0029】
プレート110をロータ100に着脱可能に固定するために、ねじ締結システムは、対応する保持ねじを締結するために使用される。本発明のねじ締結システム(又は「締結システム」)135は、保持ねじ137が挿入されるプレートのカウンタボア110aの直径に対応する円周面を有する実質的に円筒形の細長いねじ頭部137aを有する保持ねじ(又は「ねじ」)137を含む。ねじ頭部137aは、プレートのカウンタボア110aの肩部110a’と係合するように係合面137b’が規定されている係合端137bと(図14参照)、保持ねじの挿入、締結、取り外しの動作を行うために保持ねじへのアクセスを可能にするアクセス端137cとの間で所定の長さに沿って延びる。ねじ頭部137aの長さに沿って延びる挿入経路137dは、締結システムの対応するクランプ(後述)の幾何学的形状に対応する断面形状を有する。クランプ手段は、ロータ100に対する保持ねじ137の取り付けを行うために、挿入経路137dに挿入されることになる。
【0030】
また、保持ねじ137は、ねじ頭部137aの係合面137b’から延びる実質的に円筒形の細長いねじシャンク139を含む。ねじシャンク139は、所定の直径のねじを有し、保持ねじ137が取り付けられる対応するロータ100aのねじ付きボアに保持される。ねじシャンク139は、ねじシャンクがねじ頭部137aの挿入経路137dを通過するクランプ手段を受け入れる挿入端139aと、ロータ100に固定された反対側の端部139bとの間で所定の長さに沿って延びる。取り付け導管139cは、ねじシャンク139の長さに沿って延び、締結システム135(図10、12、14参照)の対応するクランプ手段を受け入れる。
【0031】
プレートの各カウンタボア110aは対応するロータねじ100aと整列し、対応する保持ねじ137は、保持ねじがロータ100に対して配置されるロータねじと整列したプレートのカウンタボアを貫通することができるようになっている。ロータ100に対する保持ねじ137の位置決め及び締結を行うために、各保持ねじ137は、対応するプレート110aのカウンタボアに挿入される(図9参照)。各保持ねじ137は、ねじ頭部137aの係合面137b’がプレート110のカウンタボアの肩部110a’に対して係合するまで、公知の手段で(例えば、トルクレンチを用いて、予め定められた予圧トルクで)締結される。
【0032】
締結システム135の1つの実施形態では、締結システムは、追加的にカムロックワッシャ141を含む。カムロックワッシャ141は、ロータ100に対する保持ねじの緩みを防止するために、各保持ねじ137と共に使用することができる。この実施形態では、カムロックワッシャ141は、ねじ頭部137aの係合端と、プレートのカウンタボア110aの肩部110a’との間に配置される。この実施形態の場合、カムロックワッシャ141は、保持ねじ137を装着する前に、プレートのカウンタボア110aに装着される。カムロックワッシャ141は、市販されている(例えば、Nord-Lock社から供給されるカムロックワッシャのタイプ)。
【0033】
また、締結システム135は、保持ねじ137と共に供給されるクランプを含む。クランプは、プラグとして機能する中央ピン(又は「ピン」)143を含む。ロータ100に対する保持ねじ137の組み立てを実現するために、中央ピン143は、中央ピンが挿入されるねじ頭部137aの挿入経路137dの幾何学的形状に対応する断面形状を有するプラグ145を含む。図示の実施形態では、この断面形状は、プラグ145及び挿入経路137dに関して六角形である(図12参照)。もちろん、他の幾何学的形状も使用可能である。プラグ145は、プラグの係合面145a’がねじヘッド137aの挿入経路137dの肩部137d’に対して係合するように規定されている係合端145aと、反対側の外端145bとの間で所定の長さに沿って延びる。
【0034】
また、中央ピン143は、プラグ145の係合端145aから延びる細長い実質的に円筒形のシャンク147を含む。シャンク147は、中央ピン143が取り付けられるねじ本体139の取り付け導管139cに対応する所定の直径を有する。シャンク147の直径及び取り付け導管139cの直径は、締まり嵌めを実現するように定められており、それにより、大きな外力なしでは中央ピン143を移動させることができない。
【0035】
締結システム135を挿入して締結するために、中央ピン143は、ねじ頭部137aの挿入経路137dに配置される。中央ピン143のプラグ145は、保持ねじ137の中に収まり、挿入流路137dの肩部137d’に当接する(図10及び図12も参照)。次に、保持ねじ137及びプラグ145は、プレートの外面(例えば、上面114)と同一平面になるように切断される(図11及び図12参照)。この切断は、限定されるものではないが、研削手段又は他の携帯式切断手段を含む公知の手段によって行うことができる。
【0036】
これらの作業は、保持ねじ137及びプラグ145を含む全ての締結システムに対して繰り返される。切断後、保持ねじ137及びプラグ145は、プレート110の上面114の外形に適合する形状を有し、何らかの混合物の滞留領域を回避することができる。
【0037】
図3から図12を再び参照し、さらに図13及び図14を参照すると、プレート110を交換する必要がある場合、締結システム135は、ハンマー及びスナップリング(図示せず)を用いて取り除かれる。スナップリング及びハンマーを用いて、中央ピン143を押し戻して、保持ねじ137の凹部(例えば、図12に示す六角形の凹部)を解放する。プラグ145の外端145bの凹部に対応する特定のエンドキャップ(例えば、図14の六角形のエンドキャップ200)が挿入される。エンドキャップ200は、プラグ145の外端145bの表面と同じ角度で切断される。エンドキャップ200に装着されたラチェットレンチなどの工具を用いて、保持ネジ137を緩める。これらの作業は、プレート110に締結されている全ての保持ネジ137に対して繰り返される。
【0038】
プレート110のような耐摩耗デバイスを追加することで、一体型ロータと同じ形状を実現することができる。従って、添加物の微小分散(ブレードと容器の壁との間の通路によってもたらされる)と成分分布(各容器内ロータ100に沿った容器間の材料の質量移動によって達成される)の効果が損なわれることはない。
【0039】
プレート110が摩耗すると(頭部及びプラグがある場合、又は頭部及びプラグがない場合)、プレートを交換するために現場での介入が行われる。加えて、ロータの摩耗した部分をより簡単に交換できるという事実は、より頻繁な交換を可能にし、その結果、容器の壁とロータとの間の隙間変動を制限する。従って、停止時間及び関連コストが制限されると同時にゴム分散、ゴム混合性能、ゴム混合物品質が維持される。
【0040】
摩耗の問題は、簡単にロータの正確な寸法に機械加工及びカスタマイズすることができる耐摩耗デバイスを用いて簡単に解決できる。開示されたプレートは、非常に短い再稼働時間でもって新しく購入したロータだけでなく既に使用中のロータにも適用できる。工業生産を保証するために必要なロータの交換は、生産性を損なうことなく、本発明の耐摩耗性デバイスの交換に限定することができる。プレート及びロータは、各ロータに対して少なくとも1つの追加プレートを含む1又は2以上のキットで供給することができる。従って、プレートは、予想される組立/分解に関連する時間及び投資を低減するために、必要に応じて利用できる。加えて、ロータプレートの使用は、ロータの動作パラメーターを変更しない。
【0041】
被覆を施すことができない(例えば、寸法が制限された真空炉内で)寸法及び重量の一体型ロータ又は他の既知のロータタイプについては、特定の被覆を施すことができない。開示された発明は、耐摩耗性デバイスに被覆を施すことを可能にし、例えば、限定されるものではないが、物理的気相成長(PVD)(例えば窒化クロム)、化学的気相成長(CVD)(例えば窒化チタン)及びそれらの等価物を含む、既に被覆が施されたデバイスをキットで追加することで、ユーザーの選択肢を増やすことができる。
【0042】
用語「少なくとも1つ」及び「1又は2以上」は、同義的に使用される。「aとbとの間」で示される範囲は、「a」及び「b」の値を含む。
本発明をもたらす特定の実施形態が図示及び説明されるが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、修正を行うことができることを理解されたい。従って、特許請求の範囲に記載されたものを除いて、記載された発明の範囲にはいかなる制限も課されるべきではない。
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