(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】剥離用工具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20240917BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240917BHJP
B26B 27/00 20060101ALI20240917BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H02G1/12 021
H02G1/12 024
H02G1/12 036
H02G1/02
B26B27/00 G
B26D3/00 603Z
(21)【出願番号】P 2022546320
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2021031810
(87)【国際公開番号】W WO2022050240
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2020147480
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021111832
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】武田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】工藤 元謹
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-238123(JP,A)
【文献】特開2000-295728(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163398(WO,A1)
【文献】特開2015-46988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
H02G 1/02
B26B 27/00
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離用工具本体と、被覆線に向けて進退移動する刃体保持体と、刃体保持体に保持された刃体と、被覆線保持体とを含み、
剥離用工具本体は、本体部と、本体部の一方端部において、本体部から手前側に向かって突設され、被覆線保持体を固定するように形成された把持体とを含み、
刃体は、被覆線の一面に向けて突き出し設けられ、
被覆線保持体は、刃体が被覆線と接する側とは異なり、被覆線を刃体との間において保持することができる領域に配設され、被覆線保持体の被覆線の外周面に対応した面に形成された被覆線保持部は、刃体が被覆線と接する側とは異なり、被覆線を刃体との間において保持することができる面に接するように形成され、
刃体の先端と把持体の被覆線保持体の取り付け部との間に開放空間が形成され、
被覆線保持体は、前記開放空間において、被覆線保持部が刃体と向き合うように、取り付け部に着脱自在に取り付けられ、
剥離用工具が回転されて刃体が被覆線の被覆部を剥離する間、被覆線保持体の被覆線保持部が刃体によって剥離される前の被覆線の被覆部の外表面を覆い接するように構成されたことを特徴とする、剥離用工具。
【請求項2】
被覆線保持体は、被覆線保持体を複数種類を剥離用工具本体に配設されるように構成され、被覆線保持部が太い径の被覆線に接する被覆線保持部を備えた第1の被覆線保持体と、被覆線保持部が細い径の被覆線に接する被覆線保持部を備えた第2の被覆線保持体と備え、
第1の被覆線保持体は、太い径の断面略半円形状の第1の被覆線保持部が形成され、
第2の被覆線保持体は、細い径の断面略半円形状の第2の被覆線保持部が形成され、
前記第1の被覆線保持部及び第2の被覆線保持部は、被覆線の長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体の長手方向にのびた、請求項1に記載の剥離用工具。
【請求項3】
被覆線保持体は、刃体の先端と取り付け部との間に形成された開放空間において、被覆線保持部が刃体と向き合うように、取り付け部に着脱自在に取り付けられるブロック状に形成され、
刃体は、把持体とは反対側の被覆線の面に接し、被覆線保持体は、刃体と接する面とは異なる被覆線の面に接するように構成され、
把持体に取り付けられた被覆線保持体の被覆線保持部は、
被覆線に接した刃体とは異なり、被覆線を刃体との間において保持することができる領域において、被覆線に接して、剥離用工具が回転されて刃体が被覆線の被覆部を剥離する間、被覆線保持体の被覆線保持部が刃体によって剥離される前の被覆線の被覆部の外表面を覆い接するように構成されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の剥離用工具。
【請求項4】
被覆線保持体は、被覆線保持部とは離れた領域に、刃体保持体に対向する把持体に接合される第1の面と、前記第1の面とは異なった領域に、剥離用工具本体の本体部に接合される第2の面とを備え、
第1の被覆線保持体は、第1の面とは反対側の第3の面及び第2の面とは反対側の第4の面とに跨って穿設された断面略半円形状の第1の被覆線保持部が形成され、
第2の被覆線保持体は、第2の面とは反対側の第4の面に穿設された断面略半円形状の第2の被覆線保持部が形成され、
前記第1の被覆線保持部及び第2の被覆線保持部は、被覆線の長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体の長手方向にのびた、請求項1ないし3のいずれかに記載の剥離用工具。
【請求項5】
被覆線保持体は、平面状の第1の面と平面状の第2の面とが直交し、
被覆線保持体を取り付ける把持体における取り付け面は、被覆線保持体の第1の面と密接する平面状であり、
被覆線保持体を取り付ける本体部における取り付け面は、被覆線保持体の第2の面と密接する平面状であり、
被覆線保持体は、本体部の一方端部において本体部から手前側に向かって突設された、把持体に形成された被覆線保持体固定部によって固定され、且つ、
本体部の刃体に対向する取り付け部に形成された被覆線保持体固定部によって固定され、
被覆線保持体の被覆線保持部が刃体保持体に対向し、被覆線を取り囲むように形成された、請求項1ないし3のいずれかに記載の剥離用工具。
【請求項6】
前記被覆線保持体は、
被覆線保持部の正面視右側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる
一方のガイド体と、
被覆線保持部の正面視左側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる
他方のガイド体と、
を備え、
前記一方のガイド体及び前記他方のガイド体は、板状体で形成され、同一形状であり、
前記一方のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる被覆線保持部が
形成され、
前記他方のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる被覆線保持部が形成され、
前記ガイド体の被覆線保持部は、前記刃体に向いて前記刃体の外側に位置するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離用工具。
【請求項7】
前記被覆線保持体は、
被覆線保持部の正面視右側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第3のガイド体と、
被覆線保持部の正面視左側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第4のガイド体と、
を備え、
前記第3のガイド体及び前記第4のガイド体は、板状体で形成され、同一形状であり、
前記第3のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第3の被覆線保持部及び/又は揺動防止部が形成され、
前記第4のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第4の被覆線保持部及び/又は揺動防止部が形成され、
前記第3のガイド体の第3の被覆線保持部及び前記第4のガイド体の第4の被覆線保持部は、前記刃体に向いて前記刃体の外側に位置するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離用工具。
【請求項8】
前記被覆線保持体は、前記第3のガイド体と前記第4のガイド体との間に、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる被覆線保持体本体を備え、
前記被覆線保持体本体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる断面側形状が略半円形状である第4の被覆線保持部を備え、
前記第3のガイド体は、前記被覆線保持体本体の正面視右側に取り付けられ、前記第4のガイド体は、前記被覆線保持体本体の正面視左側に取付けられ、
前記第3のガイド体の第3の被覆線保持部及び前記第4のガイド体の第4の被覆線保持部と前記被覆線保持体本体の前記第4の被覆線保持部とは連続していることを特徴とする、請求
項7に記載の剥離用工具。
【請求項9】
被覆部の剥離する位置を決め、剥離した被覆部を一定方向に出力するように案内する一対の刃ガイドを備え、
前記刃ガイドを構成する第1刃ガイドは、側面側形状が略L字形状である板状体であり、その一端に被覆線の脱落を防止するための側面側形状が略長方形状である脱落防止部が形成されており、
前記第3のガイド体は、前記第1刃ガイドの前記脱落防止部の上端部と接触する第1の揺動防止部が形成されており、
前記
刃ガイドを構成する第2刃ガイドは
、側面側形状が略L字形状である板状体であり、その一端に被覆線の脱落を防止するための側面側形状が略長方形状である脱落防止部が形成されており、
前記第4のガイド体は、前記第1刃ガイドの前記脱落防止部の上端部と接触する第2の振動防止部が形成されていることを特徴とする、請求
項7に記載の剥離用工具。
【請求項10】
前記第3のガイド体は、前記第3のガイド体の第3の被覆線保持部の被覆部の径方向における外側において、被覆線を固定し且つ刃体が被覆線に深く入り込まないようにするための刃体固定部を備え、
前記第4のガイド体は、前記第4のガイド体の第4の被覆線保持部の被覆部の径方向における外側において、被覆線を固定し且つ刃体が被覆線に深く入り込まないようにするための刃体固定部を備えることを特徴とする、請求項7又は8に記載の剥離用工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被覆線の被覆部を剥離するための剥離用工具に関し、特に、例えば、被覆線の被覆部を芯線から剥離するに適する剥離用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高圧架空配電線は、撚った導電線、アルミ電線や太い単線からなる銅電線(芯線)を樹脂やゴムなどの絶縁体である被覆をその周りに被覆したものが使用されている。
【0003】
これらの被覆線の補修工事において、架設された被覆線の被覆部を剥離する作業を円滑にすることができる剥離工具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、架設電線は、地域や地方によって、異なった種類、特にその太さが異なったものが用いられている。
それゆえに、地域や地方によって、架設された電線に対応した剥離用工具を必要とする。
ところが、災害の復旧などにおいては、一度に多数の剥離用工具を必要とするが、他の地域や地方に対応する剥離用工具ではその種類が異なるために、災害の復旧現場において使用することが難しい。
そこで、地域や地方をまたいで利用できる剥離用工具を必要とする。
それゆえに、この発明の主たる目的は、1台の剥離用工具で多種類の被覆線に対応できる、剥離用工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1にかかる剥離用工具は、剥離用工具本体と、被覆線に向けて進退移動する刃体保持体と、刃体保持体に保持された刃体と、被覆線保持体とを含み、
剥離用工具本体は、本体部と、本体部の一方端部において、本体部から手前側に向かって突設され、被覆線保持体を固定するように形成された把持体とを含み、
刃体は、被覆線の一面に向けて突き出し設けられ、
被覆線保持体は、刃体が被覆線と接する側とは異なり、被覆線を刃体との間において保持することができる領域に配設され、被覆線保持体の被覆線の外周面に対応した面に形成された被覆線保持部は、刃体が被覆線と接する側とは異なり、被覆線を刃体との間において保持することができる面に接するように形成され、
刃体の先端と把持体の被覆線保持体の取り付け部との間に開放空間が形成され、
被覆線保持体は、前記開放空間において、被覆線保持部が刃体と向き合うように、取り付け部に着脱自在に取り付けられ、
剥離用工具が回転されて刃体が被覆線の被覆部を剥離する間、被覆線保持体の被覆線保持部が刃体によって剥離される前の被覆線の被覆部の外表面を覆い接するように構成されたことを特徴とする、剥離用工具である。
この発明の請求項2にかかる剥離用工具は、被覆線保持体は、被覆線保持体を複数種類を剥離用工具本体に配設されるように構成され、被覆線保持部が太い径の被覆線に接する被覆線保持部を備えた第1の被覆線保持体と、被覆線保持部が細い径の被覆線に接する被覆線保持部を備えた第2の被覆線保持体と備え、
第1の被覆線保持体は、太い径の断面略半円形状の第1の被覆線保持部が形成され、
第2の被覆線保持体は、細い径の断面略半円形状の第2の被覆線保持部が形成され、
前記第1の被覆線保持部及び第2の被覆線保持部は、被覆線の長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体の長手方向にのびた、請求項1に記載の剥離用工具である。
この発明の請求項3にかかる剥離用工具は、被覆線保持体は、刃体の先端と取り付け部との間に形成された開放空間において、被覆線保持部が刃体と向き合うように、取り付け部に着脱自在に取り付けられるブロック状に形成され、
刃体は、把持体とは反対側の被覆線の面に接し、被覆線保持体は、刃体と接する面とは異なる被覆線の面に接するように構成され、
把持体に取り付けられた被覆線保持体の被覆線保持部は、
被覆線に接した刃体とは異なり、被覆線を刃体との間において保持することができる領域において、被覆線に接して、剥離用工具が回転されて刃体が被覆線の被覆部を剥離する間、被覆線保持体の被覆線保持部が刃体によって剥離される前の被覆線の被覆部の外表面を覆い接するように構成されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の剥離用工具である。
この発明の請求項4にかかる剥離用工具は、被覆線保持体は、被覆線保持部とは離れた領域に、刃体保持体に対向する把持体に接合される第1の面と、前記第1の面とは異なった領域に、剥離用工具本体の本体部に接合される第2の面とを備え、
第1の被覆線保持体は、第1の面とは反対側の第3の面及び第2の面とは反対側の第4の面とに跨って穿設された断面略半円形状の第1の被覆線保持部が形成され、
第2の被覆線保持体は、第2の面とは反対側の第4の面に穿設された断面略半円形状の第2の被覆線保持部が形成され、
前記第1の被覆線保持部及び第2の被覆線保持部は、被覆線の長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体の長手方向にのびた、請求項1ないし3のいずれかに記載の剥離用工具である。
この発明の請求項5にかかる剥離用工具は、
被覆線保持体は、平面状の第1の面と平面状の第2の面とが直交し、
被覆線保持体を取り付ける把持体における取り付け面は、被覆線保持体の第1の面と密接する平面状であり、
被覆線保持体を取り付ける本体部における取り付け面は、被覆線保持体の第2の面と密接する平面状であり、
被覆線保持体は、本体部の一方端部において本体部から手前側に向かって突設された、把持体に形成された被覆線保持体固定部によって固定され、且つ、
本体部の刃体に対向する取り付け部に形成された被覆線保持体固定部によって固定され、
被覆線保持体の被覆線保持部が刃体保持体に対向し、被覆線を取り囲むように形成された、請求項1ないし3のいずれかに記載の剥離用工具である。
この発明の請求項6にかかる剥離用工具は、前記被覆線保持体は、
被覆線保持部の正面視右側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる一方のガイド体と、
被覆線保持部の正面視左側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる他方のガイド体と、
を備え、
前記一方のガイド体及び前記他方のガイド体は、板状体で形成され、同一形状であり、
前記一方のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる被覆線保持部が
形成され、
前記他方のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる被覆線保持部が形成され、
前記ガイド体の被覆線保持部は、前記刃体に向いて前記刃体の外側に位置するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離用工具である。
この発明の請求項7にかかる剥離用工具は、前記被覆線保持体は、被覆線保持部の正面視右側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第3のガイド体と、
被覆線保持部の正面視左側に被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第4のガイド体と、
を備え、
前記第3のガイド体及び前記第4のガイド体は、板状体で形成され、同一形状であり、
前記第3のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第3の被覆線保持部及び/又は揺動防止部が形成され、
前記第4のガイド体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる第4の被覆線保持部及び/又は揺動防止部が形成され、
前記第3のガイド体の第3の被覆線保持部及び前記第4のガイド体の第4の被覆線保持部は、前記刃体に向いて前記刃体の外側に位置するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離用工具である。
この発明の請求項8にかかる剥離用工具は、前記被覆線保持体は、前記第3のガイド体と前記第4のガイド体との間に、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる被覆線保持体本体を備え、
前記被覆線保持体本体は、被覆線と接触するとともに被覆線を回転させる断面側形状が略半円形状である第4の被覆線保持部を備え、
前記第3のガイド体は、前記被覆線保持体本体の正面視右側に取り付けられ、前記第4のガイド体は、前記被覆線保持体本体の正面視左側に取付けられ、
前記第3のガイド体の第3の被覆線保持部及び前記第4のガイド体の第4の被覆線保持部と前記被覆線保持体本体の前記第4の被覆線保持部とは連続していることを特徴とする、請求項6又は7に記載の剥離用工具である。
この発明の請求項9にかかる剥離用工具は、被覆部の剥離する位置を決め、剥離した被覆部を一定方向に出力するように案内する一対の刃ガイドを備え、
前記刃ガイドを構成する第1刃ガイドは、側面側形状が略L字形状である板状体であり、その一端に被覆線の脱落を防止するための側面側形状が略長方形状である脱落防止部が形成されており、
前記第3のガイド体は、前記第1刃ガイドの前記脱落防止部の上端部と接触する第1の揺動防止部が形成されており、
前記刃ガイドを構成する第2刃ガイドは、側面側形状が略L字形状である板状体であり、その一端に被覆線の脱落を防止するための側面側形状が略長方形状である脱落防止部が形成されており、
前記第4のガイド体は、前記第1刃ガイドの前記脱落防止部の上端部と接触する第2の振動防止部が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の剥離用工具である。
この発明の請求項10にかかる剥離用工具は、前記第3のガイド体は、前記第3のガイド体の第3の被覆線保持部の被覆部の径方向における外側において、被覆線を固定し且つ刃体が被覆線に深く入り込まないようにするための刃体固定部を備え、
前記第4のガイド体は、前記第4のガイド体の第4の被覆線保持部の被覆部の径方向における外側において、被覆線を固定し且つ刃体が被覆線に深く入り込まないようにするための刃体固定部を備えることを特徴とする、請求項7又は8に記載の剥離用工具である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、1台の剥離用工具よって、複数種の被覆線の剥離をすることができる剥離用工具を提供することができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明にかかる剥離用工具の一例を示す正面図解図である。
【
図2A】この発明にかかる剥離用工具の一例を示す左側面図解図である。
【
図2B】この発明にかかる剥離用工具の一例を示す背面図解図である。
【
図3】
図1に示す剥離用工具の縦断面図解図であり、(A)は全体を示す図であり、(B)は、被覆線保持体の脱着時の状態を示す図である。
【
図4A】この発明に係る被覆線保持体を示す図解図であり、(A)は側面図解図であり、(B)は、正面図解図であり、(C)は底面図解図であり、(D)は被覆線保持体の装着時の状態を示す図である。
【
図4B】この発明に係る被覆線保持体を示す斜視図解図である。
【
図5】この発明に係る別の被覆線保持体を用いた場合を示す、剥離用工具の正面図解図である。
【
図7A】この発明に係る別の被覆線保持体を示す図解図であり、(A)は側面図解図であり、(B)は平面図解図であり、(C)は底面図解図であり、(D)は組立図である。
【
図7B】この発明に係る別の被覆線保持体を示す斜視図解図である。
【
図8】この発明に係る別の被覆線保持体を用いた場合を示す、剥離用工具の正面図解図である。
【
図9】図面8に示す剥離用工具の側面図解図である。
【
図10A】この発明に係る被覆線保持体を示す図解図であり、(A)は側面図解図であり、(B)正面図解図である。
【
図10B】この発明に係る別の被覆線保持体を示す斜視図解図である。
【
図11】(A)は
図1に示す剥離用工具に用いられる刃体を示す正面図であり、(B)はその平面図であり、(C)はその側面図である。
【
図12A】(A)は
図1に示す剥離用工具に用いられる正面視右側の刃ガイドを示す側面図であり、(B)はその正面図であり、(C)は
図1に示す剥離用工具に用いられる正面視左側の刃ガイドを示す側面図であり、(D)はその正面図である。
【
図12B】(A)は、
図12Aに示す刃ガイドの変形例の正面視右側の刃ガイドを示す正面図であり、(B)はその側面図であり、(C)は、
図12Aに示す刃ガイドの変形例の正面視左側の刃ガイドを示す正面図であり、(D)はその側面図である。
【
図13】(A)は、
図1に示す剥離用工具に用いられる刃体保持部材を示す正面図解図であり、(B)は、その側面図解図である。
【
図14A】この発明に係る第4の実施の形態の剥離用工具の正面図解図である。
【
図16A】
図14図示被覆線保持体を示す図解図であり、(A)は側面図解図であり、(B)は平面図解図であり、(C)は底面図解図であり、(D)は組立図である。
【
図17】(A)は
図14に示す剥離用工具に用いられる正面視右側の刃ガイドを示す側面図であり、(B)はその正面図であり、(C)は
図14に示す剥離用工具に用いられる正面視左側の刃ガイドを示す側面図であり、(D)はその正面図である。
【
図18A】この発明に係る第5の実施の形態の剥離用工具の正面図解図である。
【
図20A】
図18図示被覆線保持体を示す図解図であり、(A)は側面図解図であり、(B)は平面図解図であり、(C)は底面図解図であり、(D)は組立図である。
【
図21】この発明にかかる剥離用工具の一例の剥離用工具本体を示す斜視図解図である。
【
図22A】剥離用工具本体に
図1、
図5及び
図8に示す被覆線保持体を取り付ける状態を示す斜視図解図である。
【
図22B】剥離用工具本体に
図14及び
図18に示す被覆線保持体を取り付ける状態を示す斜視図解図である。
【
図23】剥離用工具本体に被覆線保持体を取り付けた状態を示す斜視図解図である。
【
図24】被覆線の被覆部を剥ぎ取る状態を示す斜視図解図である。
【
図25】被覆線の被覆部を剥ぎ取る状態を示す図解図である。
【
図26】被覆線の被覆部を剥ぎ取る状態を示す図解図である。
【
図27A】
図1に示す剥離用工具の使用方法を説明するための図であり、被覆線に剥離用工具を取り付ける方法の説明図である。
【
図27B】
図1に示す剥離用工具の使用方法を説明するための図であり、被覆線に刃体を食い込ませる方法の説明図である。
【
図28】
図1に示す剥離用工具の使用方法を説明するための図であり、被覆線に剥離用工具を取り付けた後、被覆線から被覆部を剥離させる状態を示す説明図である。
【
図29】被覆線保持体により羽根つきの被覆線を保持した状態を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
本明細書において、上側(上)及び下側(下)とは、
図1及び
図2において示すように、本体部20の上に形成された把持体22の側を「上側(上)」といい、刃体18の下に形成された押圧軸14側を「下側(下)」という。
本明細書において、
図1に示す正面側を、前、前側又は手前側と言い、向こう側を後又は後ろ側と言う。
図1において、右側を右側と言い、左側を左側と言う。
【0012】
1.剥離用工具の構成
図1は、この発明にかかる剥離用工具の一例を示す正面図解図である。
図2Aは、この発明にかかる剥離用工具の一例を示す左側面図解図である。
図3は、
図1に示す剥離用工具の縦断面図解図である。
図4Aは、この発明に係る被覆線保持体を示す図解図であり、(A)は側面図解図であり、(B)は、正面図解図であり、(C)は底面図解図であり、(D)は被覆線保持体の装着時の状態を示す図である。
【0013】
本発明にかかる剥離用工具は、たとえば、
図21に示すように、操作器具Sを用いて、遠隔に、被覆部W2により被覆された被覆線Wの被覆材を剥離するための工具である。操作器具Sは、たとえば、絶縁棒S1を含み、その絶縁棒S1の先端には、鉤状に形成される先端係合部S2が設けられる。また、被覆線Wは、
図19に示すように、導電材料に形成される芯線W1を含み、その芯線W1を覆うように被覆部W2が設けられる。この被覆部W2の材料は、通常、ポリ塩化ビニルやポリエチレン等の合成樹脂または合成ゴムなどが挙げられる。
【0014】
剥離用工具10は、剥離用工具本体12と、被覆線Wに向けて進退移動する刃体保持体16と、刃体保持体16に保持された刃体18と、被覆線保持体100とを含む。
剥離用工具本体12は、本体部20と、本体部の一方端部において、本体部から手前側に向かって突設され、被覆線保持体100を固定するように形成された把持体22とを含む。
刃体18は、被覆線Wの一面に向けて突き出し設けられている。
被覆線保持体100は、刃体18が被覆線Wと接する側とは異なり、被覆線Wを刃体18との間において保持することができる領域に配設され、被覆線保持体100の被覆線Wの外周面に対応した面に形成された被覆線保持部102は、刃体18が被覆線Wと接する側とは異なり、被覆線Wを刃体18との間において保持することができる面に接するように形成されている。
刃体18の先端と把持体22の被覆線保持体100の第2の取り付け面(部)20bとの間は開放され、被覆線保持体100は、前記開放空間において、被覆線保持部102が刃体18と向き合うように、第2の取り付け面(部)20bに着脱自在に取り付けられる。
剥離用工具10が回転されて刃体18が被覆線Wの被覆部W2を剥離する間、被覆線保持体100の被覆線保持部102が刃体18によって剥離される前の被覆線Wの被覆部W2の外表面に接合するように構成されたことを特徴とする。
剥離用工具10は、剥離用工具本体12に進退移動自在に螺入される押圧軸14を備え、刃体保持体16は、押圧軸14の進退移動に伴い進退移動する。
【0015】
(a)剥離用工具本体
剥離用工具本体12は、本体部20を含む。本体部20は、直方体状に形成される。
本体部20において、剥離用工具本体12を被覆線Wに取り付けたとき、この被覆線Wを把持する側の面を正面とする。本体部20は、剥離用工具本体12を正面から見たとき、本体部20の一方端側に向かって幅が狭くなるように形成される。
【0016】
本体部20は、介在部20aの正面側に設けられた刃体18と対向する面(正面側の内側面)に、被覆線保持体100を取り付ける為の取り付け面が形成されている。
本体部20の取り付け面は、把持体22の下側に続く、刃体18と平行な第2の取り付け面(部)20bが形成され、更に、第2の取り付け面(部)20b の下側に続く、本体部20の内側に向いて凹む半円弧状の第3の取り付け部20dが形成され、この第2の取り付け面(部)20bと第3の取り付け部20dとにより、被覆線保持体100の第2の面112を固定するように形成されている。
本体部20の第2の取り付け面(部)20bには、第2突起部20cが正面側(刃体18が形成された側)に向けて突き出し設けられている。(
図3及び
図14図示)
【0017】
本体部20の他方端部において、本体部20から手前側(正面側)に向かって突設された把持体22が形成される。把持体22は、側面視略L字形状に形成される。把持体22の手前側には、把持体22の幅方向(被覆線Wののびる方向)にのびる把持部22aが設けられる。把持部22aの刃体18に向き合う面(内側面)には、平面状の取り付け面(第1の取り付け部22b)が形成されている。
【0018】
また、把持体22の幅方向の長さは、本体部20の他方端部側における幅方向の長さよりも長く形成される。把持体22の幅方向の長さは、刃体18により被覆線Wの被覆部W2を剥離するとき、安定して被覆線Wを把持できる長さが確保されている。
【0019】
把持体22は、把持部22a の下側面(刃体18と向き合う面)に刃体18の伸びる方向と直交する方向に伸びる第1の取り付け部22bが形成されており、第1の取り付け部22b に被覆線保持体100の第1の面110が接して、被覆線保持体100が固定されるように形成されている。
そして、把持部22a の中央に、第1の取り付け部22b の下側に被覆線保持体100を固定するための、第1突起部26が設けられている。
第1突起部26は、突起26aと、ボタン部材26bと、バネ部材26cとを備えており、常時は、突起26aがバネ部材26cの弾発力により刃体18の側に突き出し、被覆線保持体100の取り付け及び取り外しのときに、第1の取り付け部22bより突き出た突起26aが把持部22aの内側に凹むように構成されている。(
図3及び
図14図示)
【0020】
(b)被覆線保持体
被覆線保持体100は、刃体18の先端と、把持体22の取り付け面(第1の取り付け部22b)との間に形成された開放空間において、被覆線保持部102が刃体18と向き合うように、本体部20の第2の取り付け面(部)20bに着脱自在に取り付けられるブロック状に形成されている。
刃体18は、把持体22とは反対側である被覆線Wの下側面に接し、被覆線保持体100は、刃体18が接する面とは異なる被覆線Wの上側面に接するように構成されている。
把持体22に取り付けられた被覆線保持体100の被覆線保持部102は、被覆線Wの刃体18が接する面とは異なり、被覆線Wを刃体18との間において保持することができる領域において即ち把持体22とは反対側である下側面に接した刃体18とは反対側において、被覆線Wの把持体22とは反対側である刃体18が接する面とは異なる(反対側である)上側面に接して、剥離用工具10が回転されて刃体18が被覆線Wの被覆部W2を剥離する間、被覆線保持体100の被覆線保持部102が刃体18によって剥離される前の被覆線Wの被覆部W2の外表面に接するように構成されたことを特徴とする。
【0021】
被覆線保持体100は、平面状の第1の面110と平面状の第2の面112とが直交しており、
被覆線保持体100を取り付ける把持体22における取り付け面(第1の取り付け部22b)は、被覆線保持体100の第1の面110と密接する平面状であり、
被覆線保持体100を取り付ける本体部20(介在部20a)における取り付け面(第2の取り付け部20b)は、被覆線保持体100の第2の面112と密接する平面状である。
被覆線保持体100は、本体部20(介在部20a)の一方端部において本体部20(介在部20a)から手前側に向かって突設された第2突起部20cによって固定され、且つ、
把持体22の刃体18に対向する面に形成された第1の取り付け部22bに形成された第1突起部26によって固定され、
被覆線保持体100の被覆線保持部102は、刃体保持体16に対向し、被覆線Wを取り囲むように形成されている。
【0022】
被覆線保持体100は、複数種類の被覆線保持体100を剥離用工具本体12に配設されるように構成されており、被覆線保持部が太い径の被覆線Wに接する第1の被覆線保持部102Aを備えた第1の被覆線保持体と100Aと、被覆線保持部が細い径の被覆線Wに接する第2の被覆線保持部102Bを備えた第2の被覆線保持体100Bと備えている。
第1の被覆線保持体100Aは、太い径の断面略半円形状の第1の被覆線保持部102Aが形成され、
第2の被覆線保持体100Bは、細い径の断面略半円形状の第2の被覆線保持部102Bが形成され、
前記第1の被覆線保持部102A及び第2の被覆線保持部102Bは、被覆線Wの長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体100の長手方向にのびている。
【0023】
被覆線保持体100は、被覆線保持部102とは離れた領域に、刃体保持体16に対向する把持体22に接合される第1の面110と、前記第1の面110とは異なった領域に、剥離用工具本体12の本体部20(介在部20a)に接合される第2の面112とを備える。第1の面110と第2の面112とは、直交する平面状である。
第1の被覆線保持体100Aは、第1の面110とは反対側の第3の面114及び第2の面112とは反対側の第4の面116とを備えており、第3の面114と第4の面116とに跨って穿設された断面略半円形状の第1の被覆線保持部102Aが形成されている。
第2の被覆線保持体100Bは、第1の面110とは反対側の第3の面114及び第2の面112とは反対側の第4の面116を備えており、第2の面112とは反対側の第4の面116に穿設された断面略半円形状の第2の被覆線保持部102Bが形成されている。
第2の被覆線保持体100Bは、被覆線保持体本体104の第4の面116に第2の被覆線保持部102Bが形成されている。
前記第1の被覆線保持部102A及び第2の被覆線保持部102Bは、被覆線Wの長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体100の長手方向にのびている。
【0024】
第1の被覆線保持体100Aは、第4の面116における、長い径の断面略半円形状の第1の被覆線保持部102Aの近傍の先端部が、刃体18の先端に向いて刃体18の外側に位置するように形成され、且つ、被覆線Wを挟んで刃体18に接近したとき、第3の面114における、前記第1の被覆線保持部102Aの側の先端が、刃体18の先端に向いている。
【0025】
第2の被覆線保持体100Bは、第4の面116における、細い径の断面略半円形状の第2の被覆線保持部102Bの近傍の先端部が、刃体18に向いて刃体18の外側に位置するように形成され、且つ、被覆線Wを挟んで刃体18に接近したとき、第3の面114における、前記第2の被覆線保持部102Bの側の先端が刃体18の先端に向くように形成されている。
前記第1の被覆線保持部102A及び第2の被覆線保持部102Bは、被覆線Wの長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体100の長手方向にのびている。
【0026】
第2の被覆線保持体100Bは、
第2の被覆線保持部102Bが、被覆線Wの長手方向に沿ってのびるように、第2の被覆線保持体100Bの長手方向にのび、
第2の被覆線保持体100Bの被覆線保持体本体104の左右の両端側において、左右に分かれた第1のガイド体120Aと第2のガイド体120Bとが取り付けられている。
【0027】
第1のガイド体120Aと第2のガイド体120Bとは、板状体で形成され、同一形状であり、
第1のガイド体120A及び第2のガイド体120Bは、細い径の断面略半円形状の第2の被覆線保持部102Bの近傍の先端部が刃体18に向いて刃体18の外側に位置するように形成され、
且つ、被覆線Wを挟んで刃体18に接近したとき、第3の面114における、前記第2の被覆線保持部102Bの側の先端が刃体の先端に向くように形成されている。
第1のガイド体120Aは、第1のガイド体の第1の被覆線保持部122Aが第4の面116側に形成され、第2のガイド体120Bは、第2のガイド体の第2の被覆線保持部122Bが第4の面116側に形成されている。
第1の被覆線保持部102A及び第2の被覆線保持部102Bは、第1のガイド体の第1の被覆線保持部122A及び第2のガイド体の第2の被覆線保持部122Bと連続して被覆線Wの長手方向に沿ってのびるように、被覆線保持体100の長手方向にのびている。
【0028】
この実施の形態においては、第2の被覆線保持体100Bの第1のガイド体120A及び第2のガイド体120Bは、被覆線保持体本体104の両端に固定され、被覆線保持体本体104に形成された被覆線保持部102に続く被覆線保持部122が形成されており、更に、被覆線保持部122に対向するように、被覆線覆い部124が突き出し設けられている。
第1のガイド体120Aと第2のガイド体120Bとは、対称形に形成されている。したがって、被覆線保持体本体104の被覆線保持部102とガイド体120の被覆線保持部122とはつながり、それらが先に被覆線Wの表面に接するように構成されている。
ガイド体120は、被覆線Wのよじれや刃体18から外れることを防止している。被覆線Wの表面に、雪の付着を防止する羽根が突設されている被覆線Wの被覆部W2を剥離するときにより有効となる。
【0029】
(c)刃体保持体
刃体保持体16は、刃体保持部材30を含む。刃体保持部材30は、
図13に示すように、直方体状に形成される。刃体保持部材30は、軸支持部24に対向する一方主面(下側の面)と、把持体22に対向する他方主面(上側の面)を有する。また、刃体保持部材30は、刃体保持部材30の前記両主面に対して垂直な面であり、かつ剥離用工具本体12の本体部20に対向する面である両側面、すなわち手前側の前面および向こう側の後面を有する。さらに、刃体保持部材30は、刃体保持部材30の両主面および両側面に対して垂直な面であり、かつ本体部20に対して垂直な面である両端面、すなわち右側の面および左側の面を有する。
【0030】
刃体保持部材30の幅方向(すなわち、刃体保持部材30の両端面を結ぶ方向)の長さは、把持体22の幅方向の長さよりも短く形成される。刃体保持部材30は、その前面の上部側に刃体取付部30aが形成される。刃体取付部30aには、刃体18を取り付けるために、刃体保持部材30の一方側面(前面)の中間部から他方主面側(上端側)の範囲に刃体取付面30a1が設けられる。この刃体取付部30aにおける刃体取付面30a1は、刃体保持部材30の一方側面(前面)から他方側面(後面)に向かって、刃体18の厚みの大きさと略同一の大きさの厚みだけ段差が設けられる。
【0031】
また、刃体保持部材30の一方主面(下面)の略中央には押圧軸枢着用穴30cが形成される。押圧軸枢着用穴30cは、把持体22と軸支持部24とを結ぶ方向にのびる。押圧軸枢着用穴30cの深さは、押圧軸14の枢着部62におけるその軸方向の長さと略同一である。また、押圧軸枢着用穴30cの内径は、枢着部62の外径と略同一に形成される。
【0032】
さらに、刃体保持部材30の一方側面(前面)の下部側において、第1の抜け防止部材挿入用孔30dが穿設されている。第1の抜け防止部材挿入用孔30dは、刃体保持部材30の前面(手前側)から押圧軸枢着用穴30cに向かって貫通してのびている。
また、刃体保持部材30の他方側面(後面)の下部側において、第2の抜け防止部材挿入用孔30eが穿設されている。第2の抜け防止部材挿入用孔30eは、刃体保持部材30の背面(向こう側)から押圧軸枢着用穴30cに向かって貫通してのびている。
そして、抜け防止部材46が、第1の抜け防止部材挿入用孔30dおよび第2の抜け防止部材挿入用孔30eのうちの少なくともいずれか一方に螺入される。抜け防止部材46は、第1の抜け防止部材挿入用孔30dおよび第2の抜け防止部材挿入用孔30eのうちの少なくともいずれか一方において、抜け防止部材46の先端が、枢着用溝62aの底面に当接しないように配置される。
【0033】
また、刃体保持部材30の両端面には、複数のガイド取付用穴30fが穿設されている。ガイド取付用穴30fは、たとえば、各端面において3箇所ずつ設けられている。それぞれのガイド取付用穴30fは、各端面から、押圧軸枢着用穴30cに向かってのびる。
【0034】
押圧軸14が刃体保持体16に枢着されるとき、押圧軸14の枢着部62は、刃体保持部材30の押圧軸枢着用穴30cに挿入されている。このとき、第1の抜け防止部材挿入用孔30dおよび第2の抜け防止部材挿入用孔30eのうちの少なくともいずれか一方から枢着部62の枢着用溝62aに抜け防止部材46が突入されており、それぞれの抜け防止部材46は、枢着部62の第1支持部62bと第2支持部62cとにより挟むように支持されている。従って、押圧軸14の枢着部62は、刃体保持部材30に対して、回転可能に支持される。
【0035】
(d)刃体
刃体18について、
図11に基づいて説明する。
図11(a)は、
図1に示す剥離用工具に用いられる刃体を示す正面図である。
図11(B)は平面図である。
図11(C)は、その側面図である。
図11において、高さ方向は、刃体18が刃体保持部材30に取着されたときに、取着される際の上端縁とそれに相対する下端縁を結ぶ方向である。また、幅方向は、高さ方向に直交し、且つ刃体18の左端縁とそれに相対する右端縁を結ぶ方向である。更に、厚さ方向は、高さ方向と幅方向の両方に直交し、且つ刃体保持部材30と螺合する方向である。
刃体18は、軸方向用切断刃18a、並びに一対の円周方向用切断刃18bおよび円周方向用切断刃18cを含む。円周方向用切断刃18bおよび18cは、軸方向用切断刃18aをその間に介在して、正面視右側の円周方向用切断刃18bと、正面視左側の円周方向用切断刃18cとに分かれている。刃体18の幅方向の長さは、刃体保持部材30の幅方向の長さと略同一である。刃体18の一方端辺(下辺)側は、刃体18の交換が可能なように、刃体保持部材30の刃体取付部30aに取着される。刃体18の他方端辺(上辺)側には、軸方向用切断刃18a、並びに円周方向用切断刃18bおよび18cが形成されている。円周方向用切断刃18bおよび18cは、軸方向用切断刃18aの左右両端から、一対の刃が剥離用工具本体12の把持部22aに把持された被覆線Wに向かってのび、軸方向用切断刃18aよりも被覆線Wに向かって先端部が突設している。円周方向用切断刃18bおよび18cは、円周方向用切断刃18bおよび18cののびる方向が、軸方向用切断刃18aののびる方向に対して垂直方向に配設されている。刃体18において、軸方向用切断刃18a並びに一対の円周方向用切断刃18bおよび18cが一体に形成される。
【0036】
軸方向用切断刃18aは、剥離用工具本体12の把持部22aに把持された被覆線Wに向かうに従って、また、刃が上端に向かうに従って、刃の厚さ方向において細くなっている。すなわち、刃の正面側と背面側との長さが、先端に向かうに従って徐々に短くなるテーパー状である。また、軸方向用切断刃18aは、被覆線Wの軸方向に沿って被覆部W2に食い込み、その後切断するために設けられている。
軸方向用切断刃18aは、刃体保持部材30に、剥離用工具本体12に把持された被覆線Wに対して、刃ののびる方向が平行になるように取り付けられ、刃体18が刃体保持部材30に取り付けられたとき、軸方向用切断刃18aは、刃体保持部材30の他方主面(上面)から被覆線保持体100の被覆線保持部102に把持された被覆線Wに向かって突設する。なお、軸方向用切断刃18aは片刃であることが好ましい。
【0037】
円周方向用切断刃18bおよび18cは、軸方向用切断刃18aをその間に介在して、正面視右側の円周方向用切断刃18bと、正面視左側の円周方向用切断刃18cとに分かれている。右側の円周方向用切断刃18bと、左側の円周方向用切断刃18cは、平行にのびていてもよい。右端の円周方向用切断刃18bと左端の円周方向用切断刃18cとは、略同一形状である。
円周方向用切断刃18bは、先端部18b1と支持部18b2とを有している。また、円周方向用切断刃18cは、先端部18c1と支持部18c2とを有している。先端部18b1と18c1とは、軸方向用切断刃18aの上端縁である刃先よりも突設した部分である。円周方向用切断刃18bの支持部18b2および円周方向用切断刃18cの支持部18c2において、軸方向用切断刃18aと連続し、軸方向用切断刃18a並びに一対の円周方向用切断刃18bおよび18cは、一体に形成される。また、右側の円周方向用切断刃18bと、左側の円周方向用切断刃18cは、剥離用工具本体12の把持部22aに把持された被覆線Wに向かってのび、軸方向用切断刃18aよりも被覆線Wに向かって、
右側の円周方向用切断刃18bの先端部18b1および左側の円周方向用切断刃18cの先端部18c1は、被覆部W2の厚みと同じもしくはそれよりも長く突設されていてもよい。そして、右側の円周方向用切断刃18bと、左側の円周方向用切断刃18cは、円周方向用切断刃18bと、円周方向用切断刃18cののびる方向が軸方向用切断刃18aののびる方向に対して垂直方向に配設されている。右側の円周方向用切断刃18bの先端部18b1と、左側の円周方向用切断刃18cの先端部18c1は、正面視略V字形の先の尖った切っ先であり、側面視略U字形(倒コの字型)で前側の角部と後側の角部が、先の尖った切っ先となっており、刃先は前側から後側に亘って連続する直線状である。また、右側の円周方向用切断刃18bと、左側の円周方向用切断刃18cは、被覆線Wの円周方向に沿って被覆部W2に同時に食い込み、その後切断するために設けられている。
円周方向用切断刃18bの支持部18b2および円周方向用切断刃18cの支持部18c2は、軸方向用切断刃18aの刃先に対向する鎬18gから右側の円周方向用切断刃18bの先端部18b1および左側の円周方向用切断刃18cの先端部18c1にかけて形成され、厚みは刃体支持部18fの厚さ方向の長さと同じ長さである。
右側の円周方向用切断刃18bと、左側の円周方向用切断刃18cとは、被覆線Wの被覆部W2を剥離する範囲、すなわち被覆線Wの軸方向における長さを規定する。なお、円周方向用切断刃18bおよび18cは、両刃であることが好ましい。
【0038】
刃体18の一方端辺(上辺)側には、刃体取付孔18dが形成されている。刃体取付孔18dには、刃体保持部材30に刃体18を取り付ける際に、刃体取付用部材18eが貫通され、刃体保持部材30の刃体取付用穴30bに螺合される。このように、刃体18は、刃体保持部材30の刃体取付部30aに取着される。刃体取付孔18dは、刃体取付用部材18eを螺入したとき、刃体取付用部材18eが突出しないように、すり鉢状に形成されている。
【0039】
刃体支持部18fは、軸方向用切断刃18a並びに円周方向用切断刃18bおよび18cと接続し、刃体取付孔18dを支持する。
【0040】
(e)刃ガイド
第1刃ガイド40および第2刃ガイド42について、
図12A及び12Bに基づいて説明する。
図12A(A)は
図1に示す剥離用工具に用いられる正面視右側のガイドを示す正面図であり、
図12A(B)はその側面図である。また、
図12A(C)は
図1に示す剥離用工具に用いられる正面視左側のガイドを示す正面図であり、
図12A(D)はその側面図である。
一対の刃ガイドは、被覆部W2の剥離する位置を決め、剥離した被覆部W2を一定方向に出力するように案内し、剥離した被覆部W2の落下を防止するものであって、第1刃ガイド40と第2刃ガイド42から構成されている。
図12Aの第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42は、全体が平面状の平板であるが、
図12Bの第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42は、屈曲された板状体である。
【0041】
第1刃ガイド40は、刃体保持部材30の右端面に取着される。第1刃ガイド40は、ガイド本体部40aを含む。ガイド本体部40aには、ガイド取付用孔40a1が形成されている。ガイド取付用孔40a1には、刃体保持部材30の右端面に第1刃ガイド40を取着する際に、ガイド取付用部材40a2が貫通され、刃体保持部材30のガイド取付用穴30fに螺合される。ガイド本体部40aの上端側には、押さえ部40a3が突設されている。また、ガイド本体部40aの前部において、折り曲げ部40a4を起点にして刃体18の幅方向の中央に向かって内側に脱落防止部40bが前方上側に向けて突設されている。そして、ガイド本体部40aの後部において、背面側ガイド支持部40cが突設されている。
第2刃ガイド42は、刃体保持部材30の左端面に取着される。第2刃ガイド42は、ガイド本体部42aを含む。ガイド本体部42aには、ガイド取付用孔42a1が形成されている。ガイド取付用孔42a1には、刃体保持部材30の左端面に第2刃ガイド42を取着する際に、ガイド取付用部材42a2が貫通され、刃体保持部材30のガイド取付用穴30fに螺合される。ガイド本体部42aの上端側には、押さえ部42a3が突設されている。また、ガイド本体部42aの前部において、折り曲げ部42a4を起点にして刃体18の幅方向の中央に向かって内側に脱落防止部42bが前方上側に向けて突設されている。そして、ガイド本体部42aの後部において、背面側ガイド支持部42cが突設されている。
なお、折り曲げ部40a4および42a4には、折り曲げるための溝が形成されていることが好ましいが、形成されていなくても良い。
【0042】
第1刃ガイド40の脱落防止部40bおよび第2刃ガイド42の脱落防止部42bが、前方上側に向けて突設されていることにより、被覆線Wの被覆部W2を剥離する位置を決めるために使用することができる。
また、第1刃ガイド40の脱落防止部40bおよび第2刃ガイド42の脱落防止部42bが、前方上側に向けて突設されていることにより、剥離した被覆線Wの被覆部W2を一定方向に出力するように案内することができる。
第1刃ガイド40の脱落防止部40bおよび第2刃ガイド42の脱落防止部42bが、それぞれ折り曲げ部40a4および42a4から脱落防止部40bおよび42bの上端まで刃体18の幅方向の中央に向かって内側に向かい合うことにより、刃体保持部材30の幅よりも脱落防止部40bの上端と脱落防止部42bの上端との幅の方が狭いので、剥離された被覆部W2が脱落防止部40bの下端と脱落防止部42bの下端との間に留まり、被覆部W2の落下を防止することができる。
また、
図2に示すように、側面から見ると、刃体18が第1刃ガイド40の脱落防止部40bおよび第2刃ガイド42の脱落防止部42bよりも剥離用工具本体12側に取付けられている。これにより、被覆線Wの被覆部W2を刃体18によって剥離させる際に、第1刃ガイド40と第2刃ガイド42よりも先に一対の円周方向用切断刃18b、18cを被覆部W2に食い込ませることができる。
【0043】
ガイド本体部40aの下端縁は、水平状押え部40a3側の下端縁と、該下端縁より一段下がって背面側ガイド支持部40c側の水平状下端縁とが連続している。
同様に、ガイド本体部42aの下端縁は、水平状押え部42a3側の下端縁と、該下端縁より一段下がって背面側ガイド支持部42c側の水平状下端縁とが連続している。
【0044】
第1刃ガイド40の背面側ガイド支持部40cと第2刃ガイド42の背面側ガイド支持部42cとの間には、背面側ガイド44が架設されている。背面側ガイド44は、本体部20の背面側に設けられ、棒状に形成されても良い。
【0045】
図1に示す剥離用工具10は、軸方向用切断刃18aとは別に一対の円周方向用切断刃18bおよび18cが設けられているので、剥離用工具10を被覆線Wを中心に回転させて被覆部W2の剥離を行う際に、円周方向用切断刃18bおよび18cにより被覆部W2を円周方向に容易に切断できるので、被覆部W2の剥離作業をスムーズに行うことができる。
【0046】
また、
図1に示す剥離用工具10は、刃体18の軸方向用切断刃18aならびに円周方向用切断刃18bおよび18cとが一体に形成されているので、刃体取付用部材18eを取り外すだけで、刃体保持体16から刃体18を取り外すことができる。被覆部W2を剥離するために必要な刃を全て交換することができるので、刃体18を再度、刃体保持体16に取り付けるための調整が容易であるから、剥離用工具10のメンテナンスが容易にできる。
【0047】
本体部20の一方端部において、把持体22の把持部22aに対向するように、本体部20から手前側に向かって軸支持部24が突設される。軸支持部24は、直方体状に形成される。軸支持部24は、把持体22に対向するように位置する両主面、すなわち上下に分かれた主面を有する。軸支持部24の一方主面における略中央には、押圧軸14を螺入するための螺子孔24aが、軸支持部24の一方主面から他方主面に貫通して穿設されている。螺子孔24aは、押圧軸14の軸方向(すなわち、把持体22と軸支持部24とを結ぶ方向)にのびる。
【0048】
(f)腕部
把持体22における背面側には、腕体50が設けられる。
腕体50は、腕部支持部50a、腕部50bおよび第2の係合部50cを含む。
【0049】
腕部支持部50aは、把持体22が本体部20に対して突設される方向とは反対方向であって、かつ押圧軸14がのびる方向に対して略垂直方向に向かって突設される。腕部支持部50aは、円筒状に形成される。また、腕部支持部50aの側面には、固定用孔50a1が穿設されている。腕部支持部50aには、腕部50bが連設される。
【0050】
腕部50bは、
図3に示すように、腕部本体部50b1と接続部50b2とを含む。腕部本体部50b1および接続部50b2は、それぞれ円柱状に形成されており、腕部本体部50b1の一方端側に接続部50b2が連設される。また、腕部本体部50b1の外径は、接続部50b2の外径よりも大きく形成される。接続部50b2には、その中間部において、腕部固定用螺子穴50b3が穿設されている。腕部固定用螺子穴50b3は、押圧軸14の軸方向および腕部50bの軸方向に対して直交する方向にのびる。そして、円柱状に形成される腕部50bの接続部50b2が、円筒状に形成された腕部支持部50aに嵌入される。したがって、接続部50b2の外径は、腕部支持部50aの内径と略同一の大きさである。腕部50bの接続部50b2が、腕部支持部50aに嵌入された状態で、腕部支持部50aの固定用孔50a1を貫通し、そして、接続部50b2の腕部固定用螺子穴50b3に、固定用部材50a2が螺入されて、腕部支持部50aと腕部50bとが固着される。
【0051】
腕部本体部50b1の他方端側の端面の略中央には、第2の係合部50cと連設するための係合部連設用螺子穴50b4が穿設されている。係合部連設用螺子穴50b4は、腕部本体部50b1の他方端側から一方端側に向かって(すなわち、腕部50bの軸方向に)のびている。
【0052】
腕部50bの他方端には第2の係合部50cが連設される。
第2の係合部50cは、リング部50c1、ベース部50c2および接続軸50c3を含む。リング部50c1は、リング状に形成される。ベース部50c2は、円柱状に形成され、その一方面側にリング部50c1が固着される。そして、ベース部50c2の他方面側の略中央に、接続軸50c3が形成される。接続軸50c3が、係合部連設用螺子穴50b4に嵌挿され、螺着されて、第2の係合部50cと腕部50bとが連設される。
【0053】
(g)押圧軸
押圧軸14は、把持体22と軸支持部24とを結ぶ方向に進退自在に移動し得る。押圧軸14は、
図2及び3に示すように、螺子部60、枢着部62および接続部64を含む。螺子部60は、円柱状に形成される。螺子部60の側面には、螺旋状の溝による螺子山が形成される。そして、押圧軸14の螺子部60が、軸支持部24の螺子孔24aに螺入される。そして、螺子部60が回転することによって、押圧軸14は、把持体22と軸支持部24とを結ぶ方向(上下方向)に進退自在に移動させることができる。螺子部60の一方端(把持体22に対向する側)には枢着部62が設けられ、他方端には接続部64が設けられる。
【0054】
枢着部62は、押圧軸14に刃体保持体16を枢着するために設けられる。枢着部62は、円柱状に形成され、その中間部に枢着用溝62aが形成される。そして、枢着用溝62aを上下方向から挟むように、第1支持部62bおよび第2支持部62cが設けられる。
【0055】
接続部64には、第1の係合部66が固着して連設される。接続部64は、円柱状に形成される。接続部64には、その中間部において係合部固定用孔64aが貫通して穿設されている。係合部固定用孔64aは、押圧軸14の軸方向に対して直交する方向にのびる。
【0056】
第1の係合部66は、リング部66aとベース部66bとを含む。リング部66aは、リング状に形成される。ベース部66bは、円筒状に形成される。ベース部66bの一方側には、リング部66aが固着され、他方側は、開口している。また、ベース部66bの側面には、固定用孔66b1が穿設されている。そして、押圧軸14の接続部64は第1の係合部66のベース部66bに嵌入される。第1の係合部66は、押圧軸14の接続部64が第1の係合部66のベース部66bに嵌入された状態で、第1の係合部66におけるベース部66bの固定用孔66b1および接続部64の係合部固定用孔64aに棒状の固定用部材66cが嵌挿されて、第1の係合部66と押圧軸14の接続部64とが固着される。
これにより、第1の係合部66を回転させることで、第1の係合部66の回転と同時に螺子部60を回転させることができる。第1の係合部66は、リング状に形成されるリング部66aを有する。リング部66aは、たとえば、操作器具Sの鉤状に形成される先端係合部S2を係合させるために設けられる。
【0057】
(h)規制部材
押圧軸14の螺子部60において、軸支持部24と第1の係合部66との間の領域には、規制部材68が配置される。規制部材68は、軸支持部24と接触することによって、押圧軸14が、把持体22の配置される方向に移動するのを規制するために設けられる。規制部材68は、
図1及び
図3に示すように、ドーナツ状に形成される。規制部材68のリングの内側面には雌螺子が形成されており、押圧軸14の螺子部60に螺入される。規制部材68には、規制部材固定用孔68aが穿設されている。規制部材固定用孔68aは、その外側面における4方向から、すなわち、各方向が90度に間隔をあけて、リング中心に向かって形成されている。規制部材固定用孔68aには、規制部材固定用部材68bが螺入されており、規制部材固定用部材68bを押圧軸14の螺子部60に当接させることで、規制部材68を螺子部60の所望の位置で固定させることができる。
【0058】
さらに、
図1に示す剥離用工具10は、規制部材68があることで、被覆線Wの径に応じて、作業前に規制部材68により押圧軸14の進退方向の移動を規制するように配置させておくことで、芯線W1に対して傷をつけることなく、被覆部W2のみを剥離するように、刃体保持体16の移動距離を設定することができる。
なお、被覆線Wの線径に応じて、芯線W1を傷つけることのない程度に被覆線Wに対して刃体を食い込ませるのに必要な移動距離(すなわち、被覆部W2の厚みの大きさに対応)は予め決まっているので、その必要な移動距離に基づき、螺子部60における規制部材68の位置を決定することができる。
【0059】
また、さらに、
図1に示す剥離用工具10は、本体部20において、把持体22が突設される方向とは反対方向であって、かつ押圧軸14がのびる方向に対して略垂直方向に向かってのびる腕部50bを有し、腕部50bの一方端側は腕部支持部50aを介して本体部20と接続され、腕部50bの他方端側には第2の係合部50cを有するので、第1の係合部66および腕体50の第2の係合部50cを操作器具Sの先端係合部S2に引っ掛けることで、操作器具Sによる遠隔操作により、被覆線Wを中心として剥離用工具10を容易に一回転させることができる。
【0060】
また、
図1に示す剥離用工具10は、刃体保持部材30の両端に配置される一対の第1刃ガイド40および第2刃ガイド42を有し、一対の第1刃ガイド40および第2刃ガイド42は、被覆部W2の剥離する位置を決め、剥離した被覆部W2を一定方向に出力するように案内し、剥離した被覆部W2の落下を防止するものである。
そして、
図12Bに示す第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42は、刃体保持部材30側の内面に折り曲げ部40a4,42a4を有し、折り曲げ部40a4,42a4を起点として、折り曲げ部40a4,42a4の外側の脱落防止部40b,42bを刃体18の幅方向の中央に向かって内側に向かい合い、かつ刃体保持部材30の幅よりも脱落防止部40b,42bの下端の間の幅の方が狭いため、剥離された被覆部W2が脱落防止部40b,42bの下端の間に留まり、被覆部W2の落下を防止することができる。
【0061】
また、
図1に示す剥離用工具10は、背面側ガイド44を備えるので、刃体18が被覆線Wから被覆部W2を剥離するときに、刃体18が、手前方向に移動することで刃体18が被覆線の外周において滑ることを防止し、軸方向用切断刃18aならびに一対の円周方向用切断刃18bおよび18cが被覆線Wの被覆部W2にしっかりと食い込ませることができる。
【0062】
(第1及び第2の実施の形態)
【0063】
この実施の形態においては、
図1ないし
図4及び
図14において示すように、本体部20は、柱状体の上端部分において、正面側(刃体18側)に向けて突き出し設けられた把持体22と、柱状体の中間部分において、正面側(刃体18側)に向けて突き出し設けられた、刃体保持体16を構成する第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42と、柱状体の下端部分において、正面側(刃体18側)に向けて突き出し設けられた軸支持部24とを備える。
本体部20は、正面側において、それを構成する柱状体の中央線と平行に延びる押圧軸14を設けられており、押圧軸14は、それを構成する螺子部60が、軸支持部24に形成された螺子孔24aに 上下動自在に取り付けられている。
押圧軸14の上端には、刃体保持体16を構成する刃体保持部材30が取り付けられており、刃体保持部材30の正面側には、刃体18が取り付けられている。
刃体18が取り付けられた刃体保持部材30は、押圧軸14の上下動によって把持体22に向けて近づいたり離れたりするように構成されている。
【0064】
本体部20は、正面側において、把持体22と刃体保持部材30との間に、被覆線保持体100を取り付けるための開放空間が形成されている。
本体部20は、介在部20aの正面側に設けられた刃体18と対向する面(正面側の内側面)に、被覆線保持体100を取り付ける取り付け面が形成されている。
本体部20の取り付け面は、把持体22の下側に続く、刃体18と平行な第2の取り付け面(部)20bが形成され、更に、第2の取り付け面(部)20b の下側に続く、本体部20の内側に向いて凹む半円弧状の第3の取り付け部20dが形成されて、被覆線保持体100の第2の面112を固定するように形成されている。
本体部20の第2の取り付け面(部)20b には、第2突起部20c が正面側(刃体18が形成された側)に向けて突き出し設けられている。
【0065】
この実施の形態においては、把持体22は、側面視において、本体部20より水平方向に前方に伸びる略板状体であり、正面視において、被覆線Wの伸びる方向に伸びるその幅が刃体18の幅より長い板状体であり、側面視において、軸支持部24及び刃体保持体16の本体部20から水平に伸びる支持部分と平行に伸びて、刃体保持体16との間に被覆線保持体100を配設するための開放空間が形成されるように構成されている。
【0066】
この実施の形態においては、刃体保持体16は、正面略方形の横長柱状体で構成され、正面視において刃体18の主面を固定するために幅方向にのび且つ垂直方向に伸び、側面視において、本体部20から水平方向にのびかつ本体部20と平行に垂直方向に伸びる、略L字型の柱状である。
【0067】
この実施の形態においては、刃体18は、正面側と背面側にほぼ平面の主面を備えており、背面側の主面において、刃体保持体16の垂直方向への立ち上がり部分に固定されている。
刃体18の刃の先は、側面視において、刃体保持体16の平行方向へ伸びる支持部分より上方に向けて伸びた刃本体の先端(上端)に位置しており、正面視において、被覆線Wの伸びる方向に伸びる略板状体で構成されている。
【0068】
この実施の形態においては、第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42は、刃体18の両端に位置するように、刃体保持体16に配設された板状であり、正面視において螺子部60側より上方に向けて垂直方向に伸び、第1刃ガイド40と第2刃ガイド42との間に刃体18が配設されるように構成され、側面視において本体部20側より前方に向けて伸びる略L字型の板状体であり、本体部20側より離れた先端の立ち上がり部分(脱落防止部40bおよび脱落防止部42b)が刃体18の先端の刃先より若干上部に位置するように伸びる板状体で構成されている。
【0069】
この実施の形態においては、垂直方向に伸びる押圧軸14の螺子部60を支持する軸支持部24は、本体部20から突き出し設けられた略柱状体が幅方向に伸び、側面視において本体部20から水平方向に延びる、ブロック状体である。
【0070】
この実施の形態においては、把持体22は、把持体22と本体部20に支持された刃体保持体16とにより、略Uの字型で、それらの間に被覆線保持体100を配設するための空間が形成されるように構成されている。
この実施の形態においては、押圧軸14が把持体22に向けて伸び、刃体18が正面視略方形状で、その刃先が把持体22に向けて突き出て被覆線Wに平行に伸びる。
被覆線保持体100は、把持体22に固定されたとき、被覆線保持部102が被覆線Wの表面に沿って伸びるように刃体18の刃先に沿って平行に伸びるように構成されている。
被覆線保持部102は、刃体18が接する被覆線Wの反対側において、30%以上50%以下被覆線Wの表面を覆うように、被覆線Wに接するように構成されている。
被覆線保持部102と刃体18とによって、被覆線Wを挟持し、刃体18が被覆線Wに食い込み、剥離用工具が回転されて刃体18が被覆線Wの被覆部W2を剥離する間、被覆線保持部102は、被覆線Wの表面に接し、被覆線Wの表面を滑りながら、刃体18が食い込んだ被覆線Wの被覆部W2を剥離することができるように構成されている。
【0071】
この実施の形態においては、第1の被覆線保持体100Aは、被覆線保持部102が、第3の面114を延長した面と第4の面116を延長した面とが交差する領域即ち隅部分において形成されており、刃体18の刃先側に開口するように構成されている。
【0072】
この実施の形態においては、第2の被覆線保持体100Bは、被覆線保持部102が、第3の面114の下方の刃体保持体16の脱落防止部40bの近傍において形成されており、刃体18の刃先側に開口するように構成されている。
【0073】
この実施の形態においては、第1のガイド体120A及び第2のガイド体120Bは、第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42の外側に位置しており、刃体18の両端より外側に離れた位置において被覆線保持体本体104に固定された板状体である。
第1のガイド体120A及び第2のガイド体120Bは、正面視において把持体22側より下方に向けて、垂直方向に伸び、第1のガイド体120Aと第2のガイド体120Bとの間に第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42並びに刃体18が配設されるように構成され、側面視において把持体22側より下方に向けて伸びる略L字型の板状体であり、本体部20側より離れた先端の被覆線覆い部124の部分が第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42の先端部分(脱落防止部40bおよび脱落防止部42b)より若干下部に位置するように伸びる板状体で構成されている。
【0074】
この実施の形態においては、第1突起部26は、把持部22aに、第1取り付け面(部)22bの表面より出没自在になるように構成され、被覆線保持体100の被覆線保持体本体104の取り付け面から垂直方向に出入りすることができるように形成された突起26aと、突起26aの上部に突起26aを上下動させるボタン部材26bとを備えている。そして、ボタン部材26bは、バネ部材26cを介して突起26aに取り付けられている。
第1突起部26は、螺子部60の軸線方向において、螺子部60の先端に向いて、把持部22aに配設されている。
【0075】
この実施の形態においては、第2突起部20cは、第2の取り付け部20bの中央において、水平方向に向けて突き出し設けられ、第1突起部26の突起26aとは交差する方向に向いて突き出し設けられている。
即ち、第2突起部20cは、刃体18の主面の伸びる方向とは、交差する方向に伸びており、第1突起部26の突起26aは、刃体18の主面の伸びる方向と平行な方向に伸びている。
【0076】
この実施の形態においては、被覆線保持体100は、把持体22に取り付けられる第1の面110に、第1突起部26の突起26aが嵌合する固定穴106が穿ち設けられている。
固定穴106は、略角柱状体の被覆線保持体本体104の第1の面110の中央に形成されており、被覆線保持体100を把持体22に固定したとき、被覆線保持体本体104の垂直方向の線と螺子部60の垂直方向の軸線と第1突起部26の突起26aの垂直方向の中心線とが重なるように、一直線状の垂直線VL1上に形成されている。
第1の被覆線保持体100Aの第1の被覆線保持部102A及び第2の被覆線保持体100Bの第2の被覆線保持部102Bは、一直線状の垂直線VL1よりも刃体18側に偏って形成されている。従って、第1の被覆線保持体100A及び第2の被覆線保持体100Bに固定された被覆線Wは、一直線状の垂直線VL1よりも刃体18側に偏るように剥離用工具10に取り付けられる。
【0077】
被覆線保持体100の被覆線保持体本体104は、略角柱状体であり、本体部20の第2突起部20cを嵌合する固定穴108が、第2の面112に穿ち設けられている。
【0078】
(第3の実施の形態)
次に、前記実施の形態の剥離用工具の変形例である別の実施の形態について、主として
図9及び
図10において示すように、説明する。
この実施の形態の剥離用工具は、前記実施の形態の第1の被覆線保持体100Aの変形例である第3の被覆線保持体100Cを、着脱自在に、本体部20の第2の取り付け部20bに取り付けられるように構成されている。
第3の被覆線保持体100Cは、長い径の断面略円弧状の第3の被覆線保持部102Cが形成され、
本体部20の介在部20aは、第2の取り付け部20bに続いて第3の取り付け部20dが形成されている。
第2の取り付け部20bは、平面状であり、
第3の取り付け部20dは、前記第3の被覆線保持部102Cと同じ直径の円弧状の被覆線保持部22cを形成するように構成されており、本体部20の第2の取り付け部20bに取り付けられた
第3の被覆線保持体100Cの第3の被覆線保持部102Cに続いて断面略半円弧状の被覆線保持部22cを構成するように、第3の被覆線保持体100Cを取り付ける面に穿ち設けられている。
従って、この実施の形態においては、第3の被覆線保持体100Cの第3の被覆線保持部102Cと本体部20の被覆線保持部22cとを合わせた被覆線保持部をもって被覆線Wを保持することができる。
【0079】
第3の被覆線保持体100Cの第3の被覆線保持部102Cは、一直線状の垂直線VL1よりも本体部20側に少し偏って形成されている。従って、第3の被覆線保持体100Cに固定された被覆線Wが一直線状の垂直線VL1よりも本体部20側に少し偏るように剥離用工具10は被覆線Wに取り付けられる。
【0080】
(第4の実施の形態)
次に、前記実施の形態の剥離用工具の変形例である第4の実施の形態について、主として
図14及び
図15に基づいて、説明する。
第4の実施の形態の剥離用工具10は、第1の実施の形態の剥離用工具10の変形例である。
第4の実施の形態の剥離用工具10は、第1の実施の形態の剥離用工具10の把持体22と刃体保持部材30との間に取り付けられていた第1の被覆線保持体100Aに代えて、把持体22と刃体保持部材30との間に第4の被覆線保持体100Dが取り付けられている点が異なる。
これ以外の点は、第1の実施の形態の剥離用工具10と同じであり説明を省略する。
【0081】
本体部20は、正面側において、把持体22と刃体保持部材30との間に、第4の被覆線保持体100Dを取り付けるための開放空間が形成されている。
本体部20は、介在部20aの正面側に設けられた刃体18と対向する面(正面側の内側面)に、第4の被覆線保持体100Dを取り付ける取り付け面が形成されている。
本体部20の取り付け面は、把持体22の下側に続く、刃体18と平行な第2の取り付け面(部)20bが形成され、更に、第2の取り付け面(部)20bの下側に続く、本体部20の内側に向いて凹む半円弧状の第3の取り付け部20dが形成されて、第4の被覆線保持体100Dの第2の面112を固定するように形成されている。
本体部20の第2の取り付け面(部)20bには、第2突起部20cが正面側(刃体18が形成された側)に向けて突き出し設けられている。
【0082】
この実施の形態においては、把持体22は、側面視において、本体部20より水平方向に前方に伸びる略板状体であり、正面視において、被覆線Wの伸びる方向に伸びる、その幅が刃体18の幅より長い板状体であり、側面視において、軸支持部24及び刃体保持体16の本体部20から水平に伸びる支持部分と平行に伸びて、刃体保持体16との間に第4の被覆線保持体100Dを配設するための開放空間が形成されるように構成されている。
【0083】
この第4の実施の形態の剥離用工具は、前記第1の実施の形態の第1の被覆線保持体100Aの変形例である第4の被覆線保持体100Dを、着脱自在に、本体部20の介在部20a及び第2の取り付け部20bに取り付けられるように構成されている。
第4の被覆線保持体100Dは、長い径の断面略円弧状の第4の被覆線保持部102Dが形成され、
本体部20の介在部20aは、第2の取り付け部20bに続いて第3の取り付け部20dが形成されている。
第2の取り付け部20bは、平面状であり、第3の取り付け部20dは、前記第4の被覆線保持部102Dと同じ直径の円弧状の被覆線保持部22cを形成するように構成されており、本体部20の第2の取り付け部20bに取り付けられた第4の被覆線保持体100Dの第4の被覆線保持部102Dに続いて断面略半円弧状の被覆線保持部22cを構成するように、第4の被覆線保持体100Dを取り付ける面に穿ち設けられている。
【0084】
第4の被覆線保持体100Dは、刃体18の先端と、把持体22の取り付け面(第1の取り付け部22b)との間に形成された開放空間において、第4の被覆線保持部102Dが刃体18と向き合うように、本体部20の取り付け部20bに着脱自在に取り付けられるブロック状に形成されている。
刃体18は、把持体22とは反対側である被覆線Wの下側面に接し、第4の被覆線保持体100Dは、刃体18が接する面とは異なる被覆線Wの上側面に接するように構成されている。
把持体22に取り付けられた第4の被覆線保持体100Dの第4の被覆線保持部102Dは、被覆線Wの刃体18が接する面とは異なり、被覆線Wを刃体18との間において保持することができる領域において即ち把持体22とは反対側である下側面に接した刃体18とは反対側において、被覆線Wの把持体22とは反対側である刃体18が接する面とは異なる(反対側である)上側面に接して、剥離用工具10が回転されて刃体18が被覆線Wの被覆部W2を剥離する間、第4の被覆線保持体100Dの第4の被覆線保持部102Dが刃体18によって剥離される前の被覆線Wの被覆部W2の外表面に接するように構成されたことを特徴とする。
【0085】
第4の被覆線保持体100Dは、被覆線保持体本体104を備え、被覆線保持体本体104の正面視右側に被覆線Wと接触する第3のガイド体120Cと、正面視左側に被覆線Wと接触する第4のガイド体120Dと、を備える。
第3のガイド体120C及び第4のガイド体120Dは、板状体で形成され、それぞれ同一形状であり、第3のガイド体120Cは、被覆線Wと接触する接触面側形状が略半円形状である第3のガイド体の第3の被覆線保持部122Cが形成され、第4のガイド体120Dは、被覆線Wと接触する接触面側形状が略半円形状である第4のガイド体の第4の被覆線保持部122Dが形成されている。
第3のガイド体の第3の被覆線保持部122Cと第4のガイド体の第4の被覆線保持部122Dは、本体部20に取り付けられたとき、刃体18に向いて刃体18の左右端縁の外側に位置するように形成されている。
【0086】
第4の被覆線保持体100Dは、被覆線Wを保持する被覆線保持体本体104に取り付けられた第3のガイド体120Cと第4のガイド体120Dに対してそれらの間に刃体18が介在するように形成されている。
【0087】
被覆線保持体本体104は、刃体18に向いて刃体18の外側に位置するように形成された断面形状が略半円形状である第4の被覆線保持部102Dと、正面視右側側面に本体右側面部104aと、正面視左側側面に本体左側面部104bと、を備える。
第3のガイド体120Cは、被覆線保持体本体104の本体右側面部104aと向かい合う側面に被覆線保持体本体104に取り付けるための第1の取り付け面138を有し、第3のガイド体120Cの第1の取り付け面138を被覆線保持体本体104の本体右側面部104aに固定することによって、第3のガイド体120Cは、被覆線保持体本体104に取り付けられる。
第4のガイド体120Dは、被覆線保持体本体104の本体左側面部104bと向かい合う側面に被覆線保持体本体104に取り付けるための第1の取り付け面138を有し、第4のガイド体120Dの第1の取り付け面138を被覆線保持体本体104の本体左側面部104bに固定することによって、第4のガイド体120Dは、被覆線保持体本体104に取り付けられる。
第3のガイド体の第3の被覆線保持部122C及び第4のガイド体の第4の被覆線保持部122Dと被覆線保持体本体104の第4の被覆線保持部102Dとは連続している。
【0088】
第3のガイド体120Cは、被覆線保持体本体104の正面視右側に取り付けられた場合には、側面側形状が略倒れL字形状である。
第3のガイド体120Cは、上端縁を構成する第1の端縁130と、下端縁を構成する第4の端縁136と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された前側の右端縁を構成する第2の端縁132と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された後ろ側の左端縁を構成する第3の端縁134とを備えており、その内側面に第1の取り付け面138が形成されている。
第4のガイド体120Dは、被覆線保持体本体104の正面視左側に取り付けられた場合には、側面側形状が略倒れL字形状である。
第4のガイド体120Dは、上端縁を構成する第1の端縁130と、下端縁を構成する第4の端縁136と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された前側の右端縁を構成する第2の端縁132と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された後ろ側の左端縁を構成する第3の端縁134とを備えており、その内側面に第1の取り付け面138が形成されている。
【0089】
第3のガイド体120Cは、上端縁を構成する第1の端縁130が被覆線保持体本体104の第1の面110と同じ高さ位置に固定され、下端縁を構成する第4の端縁136が被覆線保持体本体104の第3の面114より低く伸びており、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された前側の右端縁を構成する第2の端縁132が被覆線保持体本体104の第4の面116より前側に位置するように形成されてその第4の面116より伸びた領域に第1の揺動防止部142が形成され、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された後ろ側の左端縁を構成する第3の端縁134が被覆線保持体本体104の第3の面114より長く伸びて、第4の端縁136の上側の近傍に係止部144bが形成されるように構成されている。
第4のガイド体120Dは、前記第3のガイド体120Cと同様に構成されている。
【0090】
第3のガイド体120Cは、第2の端縁132側に第1の揺動防止部142を備えており、又、第3の端縁134側に第2の揺動防止部144を備えている。
第1の揺動防止部142及び第2の揺動防止部144は、第4の被覆線保持体100Dが剥離用工具本体12に取り付けられ、被覆線Wの被覆部を剥離するときに、第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42と接触して、第3のガイド体120Cががたつくことを防止するために構成されている。
第4のガイド体120Dは、第2の端縁132側に第1の揺動防止部142を備えており、又、第3の端縁134側に第2の揺動防止部144を備えている。
第1の揺動防止部142及び第2の揺動防止部144は、第4の被覆線保持体100Dが剥離用工具本体12に取り付けられ、被覆線Wの被覆部を剥離するときに、第1刃ガイド40及び第2刃ガイド42と接触して、第4のガイド体120Dががたつくことを防止するために構成されている。
【0091】
第3のガイド体120Cは、第4のガイド体の第4の被覆線保持部122Dの第4の面116の側の端部の近傍に位置して、被覆線Wの固定及び刃体18の刃先が被覆線Wの被覆部W2に入り込みすぎないようにするための、被覆線固定部140を備えている。
被覆線固定部140は、この実施の形態においては、第4のガイド体の第4の被覆線保持部122Dに接し合った被覆線Wの赤道の近傍で、且つ被覆線Wの赤道の表面から被覆線Wの径方向における外側で、被覆線Wの表面とは1mm以上2mm以下の間隔をおいて、刃体18の刃先の前側即ち被覆線Wから離れる側であって、被覆線固定部140を構成する突起の先端が被覆線Wの赤道と同じ高さ位置において、第4の被覆線保持体100Dが本体部20に取り付けられるように構成されている。
なお、ここで言う赤道とは、水平方向に伸びる被覆線Wの横断面における被覆線Wの中心を通り、鉛直線に直角な平面が被覆線Wの表面と交わる線を言う。
第4のガイド体120Dは、前記第3のガイド体120Cと同様に、構成されている。
【0092】
第3のガイド体120Cの被覆線固定部140は、第3のガイド体の第3の被覆線保持部122Cと第1の揺動防止部142との間において形成され、水平方向に伸びる第1の揺動防止部142及び円弧状の第3の被覆線保持部102Cから下方向に向けて刃体18と向き合うように突き出した、側面側形状が略円錐形状の突起で形成されている。
第4のガイド体120Dの被覆線固定部140は、前記第3のガイド体120Cの被覆線固定部140と同様に、構成されている。
【0093】
刃体18の下部には、刃体18と連設するように刃体18を保持するための直方体状に形成された刃体保持部材30が位置する。
刃体保持部材30の正面視右側であるとともに、第3のガイド体120Cの下部に被覆線Wの剥離する位置を決め、剥離した被覆線Wの表面を一定方向に出力するように案内し、剥離した被覆線Wの表面の落下を防止する第1刃ガイド40が配置される。
刃体保持部材30の正面視左側であるとともに、第4のガイド体120Dの下部に被覆線Wの剥離する位置を決め、剥離した被覆線Wの表面を一定方向に出力するように案内し、剥離した被覆線Wの表面の落下を防止する第2刃ガイド42が配置される。
【0094】
第3のガイド体120Cの第1の取り付け面138を有する側面とは反対の側面と第4のガイド体120Dの第1の取り付け面138を有する側面とは反対の側面との間の被覆線保持体本体104の長手方向の距離は、第1刃ガイド40の刃体保持部材30の右端面に取着される側面とは反対の側面と第2刃ガイド42の刃体保持部材30の左端面に取着される側面とは反対の側面との間の被覆線保持体本体104の長手方向の距離よりも短い。
【0095】
第1刃ガイド40は、第1刃ガイド40が刃体保持体16の正面視右側に取り付けられた場合には、側面側形状が略L字形状である板状体であり、上側の水平面の被接触部40dから上側に向けて、被覆線Wの脱落を防止するための側面側形状が略長方形状である脱落防止部40bが形成されている。
第3のガイド体120Cは、第1刃ガイド40の脱落防止部40bの上端部と接触する第1の接触部142aが形成されている。
第3のガイド体120Cは、第1の接触部142aの手前側において下方向に向けて、第1の接触部142aと連設するように側面側形状が略長方形状の係止部142bが形成されている。
第3のガイド体120Cの係止部142bは、第1刃ガイド40の脱落防止部40bの内側面に係止する。
【0096】
第2刃ガイド42は、第2刃ガイド42が刃体保持体16の正面視左側に取り付けられた場合には、側面側形状が略L字形状である板状体であり、上側の水平面から上側に向けて、被覆線Wの脱落を防止するための側面側形状が略長方形状である脱落防止部42bが形成されている。
第4のガイド体120Dは、第2刃ガイド42の脱落防止部42bの上端部と接触する第1の接触部142aが形成されている。
第4のガイド体120Dは、第1の接触部142aの手前側において下方向に向けて、第1の接触部142aと連設するように側面側形状が略長方形状の係止部142bが形成されている。
第4のガイド体120Dの係止部142bは、第2刃ガイド42の脱落防止部42bの内側面に係止する。
【0097】
第3のガイド体120Cは、第3のガイド体の第3の被覆線保持部122Cの後ろ側で、第3の端縁134の前側において、被覆線Wの外周面を覆う第2の被覆線覆い部126が形成されている。
第1刃ガイド40は、第1刃ガイド40の脱落防止部40bより後ろ側において、手前側から後ろ側に向かう方向の水平面に第3のガイド体120Cと向かい合う被接触部40dを有している。
第3のガイド体120Cの第2の被覆線覆い部126の下端には、第1刃ガイド40の被接触部40dに圧接する係止部144bを有している。
【0098】
第4のガイド体120Dは、第4のガイド体の第4の被覆線保持部122Dの後ろ側で、第3の端縁134の前側において、被覆線Wの外周面を覆う第2の被覆線覆い部126が形成されている。
第2刃ガイド42は、第2刃ガイド42の脱落防止部42bのより後ろ側において、手前側から後ろ側に向かう方向の水平面に第4のガイド体120Dと向かい合う被接触部42dを有している。
第4のガイド体120Dの第2の被覆線覆い部126の下端には、第2刃ガイド42の被接触部42dに圧接する係止部144bを有している。
【0099】
第3のガイド体120Cの第2の被覆線覆い部126は、被覆線覆い部126の下端に形成された係止部144bの面積が大きくなるように、側面側形状が下方向に向けて側面側水平方向の長さが長くなる略台形形状で形成されている。
第4のガイド体120Dの第2の被覆線覆い部126は、被覆線覆い部126の下端に形成された係止部144bの面積が大きくなるように、側面側形状が下方向に向けて側面側水平方向の長さが長くなる略台形形状で形成されている。
【0100】
第3のガイド体120Cの第1の接触部142aは、第3のガイド体120Cが被覆線保持体本体104の正面視右側に取り付けられた場合には、側面側形状が略直線形状である。
第4のガイド体120Dの第1の接触部142aは、第4のガイド体120Dが被覆線保持体本体104の正面視左側に取り付けられた場合には、側面側形状が略直線形状である。
【0101】
第3のガイド体120Cの第2の接触部144aは、第3のガイド体120Cが被覆線保持体本体104の正面視右側に取り付けられた場合には、側面側形状が略直線形状である。
第4のガイド体120Dの第2の接触部144aは、第4のガイド体120Dが被覆線保持体本体104の正面視左側に取り付けられた場合には、側面側形状が略直線形状である。
【0102】
図22Bに示すように、第4の被覆線保持体100Dは、本体部20の把持体22と刃体保持部材30との間の開放空間に取り付けられる。
第4の被覆線保持体100Dの第4の被覆線保持部102Dは、一直線状の垂直線VL1よりも本体部20側に少し偏って形成されている。従って、第4の被覆線保持体100Dに固定された被覆線Wが一直線状の垂直線VL1よりも本体部20側に少し偏るように剥離用工具10は被覆線Wに取り付けられる。
【0103】
剥離用工具10が被覆線Wに取り付けられると、第3のガイド体120Cの被覆線固定部140の第4の被覆線保持体100Dの第4の面116と向かい合う側の側面は被覆線Wと接触し、また、第4のガイド体120Dの被覆線固定部140の第4の被覆線保持体100Dの第4の面116と向かい合う側の側面は被覆線Wと接触し、第4のガイド体の第4の被覆線保持部122Dの第4の面116の側の端部の近傍に位置して、被覆線Wの固定及び刃体18の刃先が被覆線Wの被覆部W2に入り込みすぎないようにする。
【0104】
後に説明するが、剥離用工具10は、被覆線Wへ取り付けられて、剥離用工具10を回転させて被覆線Wの被覆部W2を遠隔で剥離する。
そして、被覆線Wを第3のガイド体120Cの被覆線固定部140及び第4のガイド体120Dの被覆線固定部140に固定すると、剥離用工具10を被覆線Wに取り付けて回転させても、刃体18は被覆線Wの被覆部W2に入り込みすぎることはないので、剥離用工具10を回転させて被覆線Wから被覆部W2を剥離しても被覆線Wの芯線W1を傷つけることはない。
【0105】
この実施の形態では、第3のガイド体120Cの被覆線保持体本体104に取り付けられている面の反対の面と第4のガイド体120Dの被覆線保持体本体104に取り付けられている面の反対の面との間の被覆線保持体本体104の長手方向の距離は、第1刃ガイド40の被覆線保持体本体104に取り付けられている面の反対の面と第2刃ガイド42の被覆線保持体本体104に取り付けられている面の反対の面との間の被覆線保持体100の長手方向の距離よりも短い。
これにより、この第4の実施の形態では、
第3のガイド体120Cの第1の接触部142aは、第1刃ガイド40の脱落防止部40bの上端部と接触し、
第4のガイド体120Dの第1の接触部142aは、第2刃ガイド42の脱落防止部42bの上端部と接触し、
第3のガイド体120Cの第2の揺動防止部144の第4の被覆線保持体100Dの第4の面116に向かう側の側面が、第1刃ガイド40の被接触部40dの第4の被覆線保持体100Dの第4の面116から離れる側の側面と圧接し、
第4のガイド体120Dの第2の揺動防止部144の第4の被覆線保持体100Dの第4の面116に向かう側の側面が、第2刃ガイド42の被接触部42dの第4の被覆線保持体100Dの第4の面116から離れる側の側面と圧接し、
第3のガイド体120Cの係止部144bは、第1刃ガイド40の被接触部40dと接触し、
第4のガイド体120Dの係止部144bは、第2刃ガイド42の被接触部40dと接触する。
これによって、第3のガイド体120Cは第1刃ガイド40に動かないように取り付けられ、第4のガイド体120Dは第2刃ガイド42に動かないように取り付けられるので、剥離用工具10を被覆線Wに取り付けて回転させても第4の被覆線保持体100Dは揺さ振られることはない。
このため、剥離用工具10を回転させて被覆線Wを剥離しても、刃体18が被覆線Wの被覆部W2に十分に入り込まないことによって、被覆線Wの被覆部W2の剥離が不十分になること、または、刃体18が被覆線Wの被覆部W2に入り込みすぎることによって、被覆線Wの芯線W1を傷つけることはなくなる。
【0106】
(第5の実施の形態)
次に、前記実施の形態の剥離用工具の変形例である第5の実施の形態について、主として
図18及び
図19に基づいて、説明する。
第5の実施の形態の剥離用工具10は、第3の実施の形態の剥離用工具10の変形例である。
第5の実施の形態の剥離用工具10は、第3の実施の形態の剥離用工具10の把持体22と刃体保持部材30との間に取り付けられていた第3の被覆線保持体100Cに代えて、把持体22と刃体保持部材30との間に第5の被覆線保持体100Eが取り付けられている点が異なる。
これ以外の点は、第3の実施の形態の剥離用工具10と同じであり説明を省略する。
【0107】
本体部20は、正面側において、把持体22と刃体保持部材30との間に、第5の被覆線保持体100Eを取り付けるための開放空間が形成されている。
本体部20は、介在部20aの正面側に設けられた刃体18と対向する面(正面側の内側面)に、第5の被覆線保持体100Eを取り付ける取り付け面が形成されている。
本体部20の取り付け面は、把持体22の下側に続く、刃体18と平行な第2の取り付け面(部)20bが形成され、更に、第2の取り付け面(部)20bの下側に続く、本体部20の内側に向いて凹む半円弧状の第3の取り付け部20dが形成されて、第5の被覆線保持体100Eの第2の面112を固定するように形成されている。
本体部20の第2の取り付け面(部)20bには、第2突起部20cが正面側(刃体18が形成された側)に向けて突き出し設けられている。
【0108】
この第5の実施の形態の剥離用工具は、前記第3の実施の形態の第3の被覆線保持体100Cの変形例である第5の被覆線保持体100Eを、着脱自在に、本体部20の介在部20a及び第2の取り付け部20bに取り付けられるように構成されている。
第5の被覆線保持体100Eは、長い径の断面略円弧状の第5の被覆線保持部102Eが形成され、
本体部20の介在部20aは、第2の取り付け部20bに続いて第3の取り付け部20dが形成されている。
第2の取り付け部20bは、平面状であり、第3の取り付け部20dは、前記第4の被覆線保持部102Dと同じ直径の円弧状の被覆線保持部22cを形成するように構成されており、本体部20の第2の取り付け部20bに取り付けられた第5の被覆線保持体100Eの第5の被覆線保持部102Eに続いて断面略半円弧状の被覆線保持部22cを構成するように、第5の被覆線保持部102Eを取り付ける面に穿ち設けられている。
【0109】
第5の被覆線保持体100Eは、刃体18の先端と、把持体22の取り付け面(第1の取り付け部22b)との間に形成された開放空間において、第5の被覆線保持部102Eが刃体18と向き合うように、本体部20の取り付け部20bに着脱自在に取り付けられるブロック状に形成されている。
刃体18は、把持体22とは反対側である被覆線Wの下側面に接し、第5の被覆線保持部102Eは、刃体18が接する面とは異なる被覆線Wの上側面に接するように構成されている。
把持体22に取り付けられた第5の被覆線保持体100Eの第5の被覆線保持部102Eは、被覆線Wの刃体18が接する面とは異なり、被覆線Wを刃体18との間において保持することができる領域において即ち把持体22とは反対側の下側面に接した刃体18とは反対側において、被覆線Wの把持体22とは反対側である刃体18が接する面とは異なる(反対側である)上側面に接して、剥離用工具10が回転されて刃体18が被覆線Wの被覆部W2を剥離する間、第5の被覆線保持体100Eの第5の被覆線保持部102Eが刃体18によって剥離される前の被覆線Wの被覆部W2の外表面に接するように構成されたことを特徴とする。
【0110】
第5の被覆線保持体100Eは、被覆線保持体本体104を備え、被覆線保持体本体104の正面視右側に被覆線Wと接触する第5のガイド体120Eを備え、正面視左側に被覆線Wと接触する第6のガイド体120Fを備える。
第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fは、側面視略L字型の板状体で形成され、それぞれ同一形状であり、第5の被覆線保持体100Eは、被覆線Wと接触する接触面側形状が略半円形状である第5のガイド体の第5の被覆線保持部122Eが形成され、第6のガイド体120Fは、被覆線Wと接触する接触面側形状が略半円形状である第6のガイド体の第6の被覆線保持部122Fが形成されている。
第5のガイド体の第5の被覆線保持部122Eと第6のガイド体の第6の被覆線保持部122Fは、刃体18に向いて刃体18の外側に位置するように形成されている。
【0111】
第5の被覆線保持体100Eは、被覆線Wを保持する被覆線保持体本体104に取り付けられた第5のガイド体120Eと第6のガイド体120Fとの間に、刃体18が介在するように形成されている。
【0112】
被覆線保持体本体104は、被覆線Wを保持する、刃体18に向いて刃体18の外側に位置するように形成された断面形状が略半円形状である第5の被覆線保持部102Eと、正面視右側側面に本体右側面部104aと、正面視左側側面に本体左側面部104bと、を備える。
第5のガイド体120Eは、被覆線保持体本体104の本体右側面部104aと向かい合う側面に被覆線保持体本体104に取り付けるための第2の取り付け面139を有し、第5のガイド体120Eの第2の取り付け面139を被覆線保持体本体104の本体右側面部104aに固定することによって、第5のガイド体120Eは、被覆線保持体本体104に取り付けられる。
第6のガイド体120Fは、被覆線保持体本体104の本体左側面部104bと向かい合う側面に被覆線保持体本体104に取り付けるための第2の取り付け面139を有し、第6のガイド体120Fの第2の取り付け面139を被覆線保持体本体104の本体左側面部104bに固定することによって、第6のガイド体120Fは、被覆線保持体本体104に取り付けられる。
第5のガイド体の第5の被覆線保持部122E及び第6のガイド体の第6の被覆線保持部122Fと被覆線保持体本体104の第5の被覆線保持部102Eとは連続している。
【0113】
刃体18の下部には、刃体18と連設するように刃体18を保持するための直方体状に形成された刃体保持部材30が位置する。
刃体保持部材30の正面視右側であるとともに、第5のガイド体120Eの下部に被覆線Wの剥離する位置を決め、剥離した被覆線Wの表面を一定方向に出力するように案内し、剥離した被覆線Wの表面の落下を防止する第1刃ガイド40が配置される。
刃体保持部材30の正面視左側であるとともに、第6のガイド体120Fの下部に被覆線Wの剥離する位置を決め、剥離した被覆線Wの表面を一定方向に出力するように案内し、剥離した被覆線Wの表面の落下を防止する第2刃ガイド42が配置される。
【0114】
第5のガイド体120Eは、被覆線保持体本体104の正面視右側に取り付けられた場合には、側面側形状が略L字形状である。
第5のガイド体120Eは、上端縁を構成する第1の端縁130と、下端縁を構成する第4の端縁136と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された前側の右端縁を構成する第2の端縁132と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された後ろ側の左端縁を構成する第3の端縁134とを備えており、その内側面に第1の取り付け面138が形成されている。
第6のガイド体120Fは、被覆線保持体本体104の正面視左側に取り付けられた場合には、側面側形状が略L字形状である。
第6のガイド体120Fは、上端縁を構成する第1の端縁130と、下端縁を構成する第4の端縁136と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された前側の右端縁を構成する第2の端縁132と、第1の端縁130と第4の端縁136との間に形成された後ろ側の左端縁を構成する第3の端縁134とを備えており、その内側面に第1の取り付け面138が形成されている。
第5のガイド体120Eは、第5の被覆線保持体100Eの第2の面112の側の被覆線Wの中心を通る赤道線と交わる部分までのびて被覆線Wの表面と接触する第3の被覆線覆い部128が形成されている。
第6のガイド体120Fは、第5の被覆線保持体100Eの第4の面116の側の端部と連設するように、第5の被覆線保持体100Eの第2の面112の側の後ろ側にのび且つ被覆線Wの中心を通る赤道線と交わる部分までのびて被覆線Wの表面と接触する第3の被覆線覆い部128が形成されている。
第3の被覆線覆い部128は、被覆線保持体本体104の保護、特に被覆線保持体本体104の下端部の近傍を保護する機能を備えている。
【0115】
第5のガイド体120Eの第3の被覆線覆い部128及び第6のガイド体120Fの第3の被覆線覆い部128は、第5のガイド体120Eが被覆線保持体本体104の正面視右側に取り付けられ及び第6のガイド体120Fが被覆線保持体本体104の正面視左側に取り付けられた場合には、側面側形状が略円弧形状である。
【0116】
図22Bに示すように、第5の被覆線保持体100Eは、本体部20の把持体22と刃体保持部材30との間の開放空間に取り付けられる。
第5の被覆線保持体100Eの第5の被覆線保持部102Eは、一直線状の垂直線VL1よりも本体部20側に少し偏って形成されている。従って、第5の被覆線保持体100Eに固定された被覆線Wが一直線状の垂直線VL1よりも本体部20側に少し偏るように剥離用工具10は被覆線Wに取り付けられる。
【0117】
剥離用工具10が被覆線Wに取り付けられると、被覆線Wは、被覆線保持体本体104の第5の被覆線保持部102E、
第5のガイド体120Eの第5のガイド体の第5の被覆線保持部122E及び第3の被覆線覆い部128の第5のガイド体の第5の被覆線保持部122E側の側面、
第6のガイド体120Fの第6のガイド体の第6の被覆線保持部122F及び第3の被覆線覆い部128の第6のガイド体の第6の被覆線保持部122Fの側の側面と接触する。
【0118】
後に説明するが、剥離用工具10は被覆線Wへ取り付けられて、剥離用工具10を回転させて被覆線Wから被覆部W2を遠隔で剥離する。
第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fには第3の被覆線覆い部128が形成されているので、剥離用工具10を被覆線Wに取り付けて回転させても、被覆線Wの被覆部W2の剥離が不十分になること、または、刃体18が被覆線Wの被覆部W2に入り込みすぎて、被覆線Wの芯線W1を傷つけることはなくなる。
ここで、第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fには第3の被覆線覆い部128が形成されていれば、剥離用工具10を被覆線Wに取り付けて回転させても、被覆線Wの被覆部W2の剥離が不十分になること、または、刃体18が被覆線Wの被覆部W2に入り込みすぎて、被覆線Wの芯線W1を傷つけることはなくなる理由について説明する。
第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fに第3の被覆線覆い部128が形成されていなければ、剥離用工具10を被覆線Wに取り付けて、剥離用工具10を回転させると、被覆線Wの被覆部W2は第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fの前側から後ろ側に向かう側に向けて、把持体22の後ろ側から前側に向かう方向を長軸とする楕円形状に変形する。
より具体的には、第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fに第3の被覆線覆い部128が形成されていなければ、被覆線保持体本体104の把持体22の後ろ側から前側に向かう側の下端部の厚みが2.0mm以上2.5mm以下になるので、剥離用工具10を回転させると、被覆線Wの被覆部W2は把持体22の後ろ側から前側に向かう側に向けて、把持体22の後ろ側から前側に向かう方向を長軸とする楕円形状に変形する。
しかし、第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fには第3の被覆線覆い部128が形成されていれば、剥離用工具10を回転させても、被覆線Wの被覆部W2は第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fに形成された第3の被覆線覆い部128の第6のガイド体の第6の被覆線保持部122F側の側面によって押されるので、被覆線Wの被覆部W2は把持体22の後ろ側から前側に向かう側に向けて、把持体22の後ろ側から前側に向かう方向を長軸とする楕円形状に変形することはない。
このため、第5のガイド体120E及び第6のガイド体120Fに第3の被覆線覆い部128が形成されていれば、被覆線Wの被覆部W2は把持体22の後ろ側から前側に向かう側に向けて、把持体22の後ろ側から前側に向かう方向を長軸とする楕円形状に変形することはないので、剥離用工具10を被覆線Wに取り付けて回転させても、刃体18が被覆線Wの被覆部W2に十分に入り込まないことによって、刃体18が被覆線Wの被覆部W2に入り込みすぎることによって、被覆線Wの芯線W1を傷つけることはなくなる。
【0119】
2.剥離用工具の操作手順
次に、以上の構成からなる剥離用工具10を被覆線Wへ取り付け、剥離用工具10を用いて、被覆線Wから被覆部W2を遠隔で剥離する、剥離用工具の操作手順について説明する。
図26ないし
図27は、
図18に示す剥離用工具の使用方法を説明するための図であり、剥離用工具により被覆線から被覆部W2を剥離するための操作手順を示す。
次に、以上の構成からなる剥離用工具10を被覆線Wへ取り付け、剥離用工具10を用いて、被覆線Wから被覆部W2を遠隔で剥離する、剥離用工具の操作手順について説明する。
図26ないし
図27は、
図18に示す剥離用工具の使用方法を説明するための図であり、剥離用工具により被覆線から被覆部W2を剥離するための操作手順を示す。
【0120】
まず、
図19Aにおいて示すように、腕部50bを、クイックややっとこ等の操作器具Sの先端係合部S2で把持して、被覆線Wの後ろ側から、クイックややっとこ等の操作器具Sで吊り下げた剥離用工具10における把持体22の下に取り付けられた被覆線保持体100の被覆線保持部102と第1刃ガイド40と第2刃ガイド42とのあいだに被覆線Wの一部分を挟むようにして、被覆線Wに剥離用工具10を取り付ける。
【0121】
次に、被覆線保持体100の被覆線保持部102に被覆線Wの表面を合わせ、第1の係合部66に操作器具Sの絶縁棒S1の先端に設けられた先端係合部S2を係合させ、絶縁棒S1を回転させて押圧軸14を回転させることにより刃体保持部材30に固定された刃体18を被覆線Wに食い込ませる。
【0122】
次に、第2の係合部50cに、クイックややっとこなどの操作器具Sの先端係合部S2を引っ掛けて、第2の係合部50c側を引き下げるように回す(
図28(A))。
【0123】
剥離用工具本体12が180度回転された状態になるので、次に、腕体50に操作器具Sを押し出すように回す(
図28(B))。
【0124】
剥離用工具本体12がさらに90度回転された状態になるので、第1の係合部66に操作器具Sの先端係合部S2をひっかけて引き込むように回す(
図28(C))。
【0125】
以上のようにして、剥離用工具本体12を、180度+90度+90度回すことにより、被覆線の周囲を360度回転させると、被覆部W2が全周にわたって剥ぎ取られた状態になる(
図28D)。
【0126】
操作器具Sの先端係合部S2を第1の係合部66に引っ掛けた状態で第1の係合部66を押圧軸14の軸を中心として時計の回転方向とは逆方向に回転させることで、押圧軸14を軸回転させ、それにより、刃体保持体16を被覆線W側から離れる方向に移動させる。そして、被覆線Wから剥離用工具10を外す。
【0127】
図24及び25は、刃体が被覆線から被覆部W2を剥離させている状態を示す斜視図解図である。
図27に示すように、剥離用工具10が一回転することにより、被覆部W2は被覆線Wから剥離される。被覆部W2は、
図25に示すように、刃体18によって、被覆部W2が被覆線Wから剥離される。
図24に示すように、刃体18を被覆線Wの被覆部W2に食い込ませると、
図26に示すように被覆部W2には、刃体18の軸方向用切断刃18aにより被覆部W2の軸方向の切断線L1が形成され、剥離用工具10を、被覆線Wを中心に回転させると、円周方向用切断刃18bおよび18cにより被覆部W2の円周方向の切断線L2が形成される。
【0128】
図29に示すように、剥離用工具10は、羽根つきの被覆線Wの被覆部W2を剥離することもできる。
【0129】
刃体18は、剥離用工具10を使用しない時には、
図30に図示したような刃体カバー90を、その正面側に被せて保護すれば良い。刃体カバー90は、それに配設されたマグネットをもって固定するようにすれば良い。
【0130】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0131】
たとえば、
図1に示す剥離用工具は、押圧軸が、剥離用工具本体に対して進退移動自在に螺入されているが、これに限るものではなく、押圧軸は、剥離用工具本体に対して、進退移動自在であれば、どのように剥離用工具本体に対して設けられていてもよい。
【0132】
また、
図1に示す剥離用工具は、規制部材が押圧軸に螺入されているが、これに限るものではなく、必ずしも規制部材が螺入されていなくてもよい。
【0133】
さらに、
図1に示す剥離用工具は、本体部の背面側に腕体が設けられているが、これに限るものではなく、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0134】
さらにまた、
図1に示す剥離用工具は、背面側ガイドが本体部の背面側に配置されているが、これに限るものではなく、必ずしも背面側ガイドを有さなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
この発明に係る剥離用工具は、たとえば、操作棒による遠隔操作により、被覆部W2により被覆された被覆線から被覆部W2を剥離するのに好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0136】
10 剥離用工具
12 剥離用工具本体
14 押圧軸
16 刃体保持体
18 刃体
18a 軸方向用切断刃
18b 右側の円周方向用切断刃
18b1 先端部
18b2 支持部
18c 左側の円周方向用切断刃
18c1 先端部
18c2 支持部
18d 刃体取付孔
18e 刃体取付用部材
18f 刃体支持部
18g 鎬
20 本体部
20a 介在部
20b 第2の取り付け面(部)
20c 第2突起部
20d 第3の取り付け部
22 把持体
22a 把持部
22b 第1の取り付け部
22c 被覆線保持部
24 軸支持部
24a 螺子孔
26 第1突起部
26a 突起
26b ボタン部材
26c バネ部材
30 刃体保持部材
30a 刃体取付部
30a1 刃体取付面
30b 刃体取付用穴
30c 押圧軸枢着用穴
30d 第1の抜け防止部材挿入用孔
30e 第2の抜け防止部材挿入用孔
30f ガイド取付用穴
40 第1刃ガイド
42 第2刃ガイド
40a,42a ガイド本体部
40a1,42a1 ガイド取付用孔
40a2,42a2 ガイド取付用部材
40a3,42a3 押さえ部
40a4,42a4 折り曲げ部
40b,42b 脱落防止部
40c,42c 背面側ガイド支持部
40d,42d 被接触部
44 背面側ガイド
46 抜け防止部材
50 腕体
50a 腕部支持部
50a1 固定用孔
50a2 固定用部材
50b 腕部
50b1 腕部本体部
50b2 接続部
50b3 腕部固定用螺子穴
50b4 係合部連設用螺子穴
50c 第2の係合部
50c1 リング部
50c2 ベース部
50c3 接続軸
60 螺子部
62 枢着部
62a 枢着用溝
62b 第1支持部
62c 第2支持部
64 接続部
64a 係合部固定用孔
66 第1の係合部
66a リング部
66b ベース部
66b1 固定用孔
66c 固定用部材
68 規制部材
68a 規制部材固定用孔
68b 規制部材固定用部材
90 刃体カバー
100 被覆線保持体
100A 第1の被覆線保持体
100B 第2の被覆線保持体
100C 第3の被覆線保持体
100D 第4の被覆線保持体
100E 第5の被覆線保持体
102 被覆線保持部
102A 第1の被覆線保持部
102B 第2の被覆線保持部
102C 第3の被覆線保持部
102D 第4の被覆線保持部
102E 第5の被覆線保持部
104 被覆線保持体本体
104a 本体右側面部
104b 本体左側面部
106,108 固定穴
110 第1の面
112 第2の面
114 第3の面
116 第4の面
120 ガイド体
120A 第1のガイド体
120B 第2のガイド体
120C 第3のガイド体
120D 第4のガイド体
120E 第5のガイド体
120F 第6のガイド体
122 被覆線保持部
122A 第1のガイド体の第1の被覆線保持部
122B 第2のガイド体の第2の被覆線保持部
122C 第3のガイド体の第3の被覆線保持部
122D 第4のガイド体の第4の被覆線保持部
122E 第5のガイド体の第5の被覆線保持部
122F 第6のガイド体の第6の被覆線保持部
124 第1の被覆線覆い部
126 第2の被覆線覆い部
128 第3の被覆線覆い部
130 第1の端縁
132 第2の端縁
134 第3の端縁
136 第4の端縁
138 第1の取り付け面
139 第2の取り付け面
140 被覆線固定部
142 第1の揺動防止部
144 第2の揺動防止部
142a 第1の接触部
144a 第2の接触部
142b 係止部
144b 係止部
W 被覆線
W1 芯線
W2 被覆部
S 操作器具
S1 絶縁棒
S2 先端係合部
L1 軸方向の切断線
L2 円周方向の切断線
VL1 垂直線