(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】ロボットの制御機器及びロボットの制御方法、ロボット
(51)【国際特許分類】
G05B 9/03 20060101AFI20240917BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G05B9/03
B25J19/06
(21)【出願番号】P 2022553158
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 CN2020139452
(87)【国際公開番号】W WO2021218204
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】202010340781.4
(32)【優先日】2020-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512306405
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンシーズ インク オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
【住所又は居所原語表記】Qianshan Jinji West Road,Zhuhai, Guangdong, 519070, P.R. CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 婀娜
(72)【発明者】
【氏名】黄 誠成
(72)【発明者】
【氏名】魏 佳欣
(72)【発明者】
【氏名】余 ▲顕▼才
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-193517(JP,A)
【文献】特開平08-171581(JP,A)
【文献】特開2015-000470(JP,A)
【文献】特開2005-115698(JP,A)
【文献】特開2017-100212(JP,A)
【文献】特開2018-101241(JP,A)
【文献】特表2005-518307(JP,A)
【文献】特開2019-191928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0122524(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/03
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの制御機器であって、第1コントローラと、第2コントローラと、第1安全回路と、第2安全回路と、を備え、前記第1安全回路と前記第2安全回路
が共に、1つの安全リレー及び2つの電界効果トランジスタを備え、
前記第1安全回路の前記安全リレー
及び前記第2安全回路の前記安全リレーの各々の常開接点は
、いずれも前記第1コントローラと前記第2コントローラに接続され、前記第1コントローラと前記第2コントローラは前記常開接点を介して
2つの前記安全リレーの運転状態を監視し、前記第1安全回路の2つの電界効果トランジスタと前記第2安全回路の2つの電界効果トランジスタは異なるタイプの電界効果トランジスタであり、前記第1コントローラと前記第2コントローラ
が共に、前記第1安全回路と前記第2安全回路に接続され、ロボットの外部からの警報信号のタイプを判別し、前記第1安全回路と前記第2安全回路が前記警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御することに用いられ、前記第1安全回路と前記第2安全回路の論理が逆である、制御機器。
【請求項2】
前記第1コントローラと前記第2コントローラとの間には第1通信リンクを備え、前記第1コントローラと前記第2コントローラは、前記第1通信リンクを介して前記第1安全回路と前記第2安全回路から返信されたデータにタイミングエラーがあるか否かをチェックし、前記第1安全回路と前記第2安全回路から返信されたデータにタイミングエラーがある場合、前記第1安全回路と前記第2安全回路を切断するように制御し、一警報情報を送信する、請求項1に記載の制御機器。
【請求項3】
前記第1通信リンクは、前記第1コントローラと前記第2コントローラのシリアルペリフェラルインタフェース間の通信リンクである、請求項2に記載の制御機器。
【請求項4】
前記第1コントローラと前記第2コントローラとの間には第2通信リンクをさらに備え、前記第1コントローラと前記第2コントローラは、それぞれ前記第2通信リンクを介して相手にプリセットバイトのデータを送信し、前記第1コントローラと前記第2コントローラのいずれか一方は、相手から送信された前記プリセットバイトのデータを受信しないと、前記第1安全回路と前記第2安全回路を切断するように制御し、他の一警報情報を送信する、請求項1に記載の制御機器。
【請求項5】
前記第2通信リンクは、前記第1コントローラと前記第2コントローラの入出力インタフェース間の通信リンクである、請求項4に記載の制御機器。
【請求項6】
前記第1コントローラと前記第2コントローラはさらに、
前記警報信号のタイプが第1タイプである場合、前記第1安全回路と前記第2安全回路を同時に切断し、前記ロボットの給電電源を切るように制御する制御動作と、
前記警報信号のタイプが第2タイプである場合、前記警報信号を前記ロボットのコントローラに送信し、前記ロボットのコントローラは走行を停止するまで前記ロボットが減速走行するように制御してから、前記第1安全回路と前記第2安全回路を同時に切断し、前記ロボットの給電電源を切るように制御する制御動作と、
前記警報信号のタイプが第3タイプである場合、前記警報信号を前記ロボットのコントローラに送信し、前記ロボットのコントローラは走行を停止するまで前記ロボットが減速走行するように制御する制御動作と、を実行することに用いられる請求項1に記載の制御機器。
【請求項7】
前記第1安全回路の2つの電界効果トランジスタはPMOS電界効果トランジスタであり、前記第2安全回路の2つの電界効果トランジスタはNMOS電界効果トランジスタである、請求項1に記載の制御機器。
【請求項8】
前記第1コントローラと前記第2コントローラの型番が異なる、請求項1に記載の制御機器。
【請求項9】
コントローラと、請求項1~8のいずれか1項に記載の安全制御機器とを含むロボット。
【請求項10】
前記コントローラに電力を供給するためのコントローラ電源と、
前記安全制御機器の安全回路に電力を供給するための安全制御機器電源と、を備え、前記安全制御機器電源は前記コントローラ電源とは異なる電源である、請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
ロボットの制御方法であって、
第1コントローラと第2コントローラがロボットの外部からの警報信号を取得し、前記警報信号のタイプを判別するステップと、
前記第1コントローラと前記第2コントローラが第1安全回路と第2安全回路が前記警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御するステップであって、前記第1コントローラと前記第2コントローラ
が共に、前記第1安全回路と前記第2安全回路に接続され、前記第1安全回路と前記第2安全回路の論理が逆であるステップとを含み、
前記第1安全回路と前記第2安全回路
が共に、1つの安全リレー及び2つの電界効果トランジスタを備え、
前記第1安全回路の前記安全リレー
及び前記第2安全回路の前記安全リレーの各々の常開接点は
、いずれも前記第1コントローラと前記第2コントローラに接続され、前記第1コントローラと前記第2コントローラは前記常開接点を介して
2つの前記安全リレーの運転状態を監視し、前記第1安全回路の2つの電界効果トランジスタと前記第2安全回路の2つの電界効果トランジスタは異なるタイプの電界効果トランジスタである制御方法。
【請求項12】
前記第1コントローラと前記第2コントローラが第1安全回路と第2安全回路が前記警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御するステップは、
前記警報信号のタイプが第1タイプである場合、前記第1安全回路と前記第2安全回路を同時に切断し、前記ロボットの給電電源を切るように制御することと、
前記警報信号のタイプが第2タイプである場合、前記警報信号を前記ロボットのコントローラに送信し、前記ロボットのコントローラは、運転を停止するまで前記ロボットが減速走行するように制御してから、前記第1安全回路と前記第2安全回路を同時に切断し、前記ロボットの給電電源を切るように制御することと、
前記警報信号のタイプが第3タイプである場合、前記警報信号を前記ロボットのコントローラに送信し、前記ロボットのコントローラは走行を停止するまで前記ロボットが減速走行するように制御することと、を含む請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
プロセッサに実行されると、記憶媒体を実現するコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
記憶されたプログラムを含み、
前記プログラムを実行すると、請求項11又は12に記載のロボットの制御方法を前記記憶媒体の所在する装置に実行させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
メモリと、
前記メモリに接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶された命令に基づいて、請求項11又は12に記載のロボットの制御方法を実行するように構成されるロボットの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ロボット制御の分野に関し、具体的には、ロボットの制御機器及びロボットの制御方法、ロボットに関する。
【0002】
本願は、中国出願番号が202010340781.4で、出願日が2020年4月26日である出願を基礎とし、且つその優先権を主張し、該中国特許出願の開示内容はここで全体として本願に取り込まれている。
【背景技術】
【0003】
産業用機械の安全性から、ロボットにおいては1つ又は複数の保護停止回路が必要とされる。この停止回路は、ロボットの全ての動きを停止したり、ロボットのドライバの動力を止めたり、ロボットシステムによって制御可能な他の危険を防止したりするなどの方式によってその安全上のリスクを解消する。停止機能は手動又は制御ロジックによって起動することができる。
【0004】
従来の技術において、同じ機能を有する安全モジュールを1つコピーし、2つのモジュールを互いのバックアップとし、安全警報信号が発生すると、2つの安全モジュールは同時に応答し、ロボットの動力源を切断するのが一般的であり、一方が失効すると、他方が警報信号に応答することができる。しかし、このような保護停止回路には深刻な回路同質化やセキュリティリスクが存在する。
【0005】
上記課題に対し、現在、効果的な解決手段が提供されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施例は、ロボットの保護停止回路に深刻な回路同質化やセキュリティリスクが存在するという技術的課題を少なくとも解決するために、ロボットの制御機器及びロボットの制御方法、ロボットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の実施例の一態様によれば、第1コントローラと、第2コントローラと、第1安全回路と、第2安全回路と、を備え、第1コントローラと第2コントローラのいずれか一方は、第1安全回路と第2安全回路に接続され、ロボットの外部からの警報信号のタイプを判別し、第1安全回路と第2安全回路が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御することに用いられ、第1安全回路と第2安全回路の論理が逆であるロボットの安全制御機器を提供する。
【0008】
いくつかの実施例では、第1コントローラと第2コントローラとの間には第1通信リンクを備え、第1コントローラと第2コントローラは、第1通信リンクを介して第1安全回路と第2安全回路から返信されたデータにタイミングエラーがあるか否かをチェックし、第1安全回路と第2安全回路から返信されたデータにタイミングエラーがある場合、第1安全回路と第2安全回路を切断するように制御し、第1警報情報を送信する。
【0009】
いくつかの実施例では、第1通信リンクは、第1コントローラと第2コントローラのシリアルペリフェラルインタフェース間の通信リンクである。
【0010】
いくつかの実施例では、第1コントローラと第2コントローラとの間には第2通信リンクをさらに備え、第1コントローラと第2コントローラは、それぞれ第2通信リンクを介して相手にプリセットバイトのデータを送信し、第1コントローラと第2コントローラのいずれか一方は、相手から送信されたプリセットバイトのデータを受信しない場合、第1安全回路と第2安全回路を切断するように制御し、第2警報情報を送信する。
【0011】
いくつかの実施例では、第2通信リンクは、第1コントローラと第2コントローラの入出力インタフェース間の通信リンクである。
【0012】
いくつかの実施例では、第1コントローラと第2コントローラはさらに、警報信号のタイプが第1タイプである場合、第1安全回路と第2安全回路を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御する制御動作と、警報信号のタイプが第2タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは走行を停止するまでロボットが減速走行するように制御してから、第1安全回路と第2安全回路を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御する制御動作と、警報信号のタイプが第3タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは走行を停止するまでロボットが減速走行するように制御する制御動作と、を実行することに用いられる。
【0013】
いくつかの実施例では、第1安全回路と第2安全回路のいずれか一方は、1つの安全リレー及び2つの電界効果トランジスタを備え、2つの安全リレーの常開接点はいずれも第1コントローラと第2コントローラに接続され、第1コントローラと第2コントローラは常開接点を介して2つの安全リレーの運転状態を監視し、第1安全回路の2つの電界効果トランジスタはPMOS電界効果トランジスタであり、第2安全回路の2つの電界効果トランジスタはNMOS電界効果トランジスタである。
【0014】
いくつかの実施例では、第1コントローラと第2コントローラの型番が異なる。
【0015】
本願の実施例の別の態様によれば、コントローラと、上記の安全制御機器とを含むロボットをさらに提供する。
【0016】
本願の実施例の別の態様によれば、第1コントローラと第2コントローラがロボットの外部からの警報信号を取得し、警報信号のタイプを判別するステップと、第1コントローラと第2コントローラが第1安全回路と第2安全回路が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御するステップであって、第1コントローラと第2コントローラのいずれか一方が、第1安全回路と第2安全回路に接続され、第1安全回路と第2安全回路の論理が逆であるステップと、を含むロボットの制御方法をさらに提供する。
【0017】
いくつかの実施例では、第1コントローラと第2コントローラが第1安全回路と第2安全回路が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御するステップは、警報信号のタイプが第1タイプである場合、第1安全回路と第2安全回路を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御することと、警報信号のタイプが第2タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは、運転を停止するまでロボットが減速運転するように制御してから、第1安全回路と第2安全回路を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御することと、警報信号のタイプが第3タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは走行を停止するまでロボットが減速走行するように制御することとを含む。
【0018】
本願の実施例のさらなる態様によれば、プロセッサに実行されると、上記実施例のいずれかに記載のロボットの制御方法を実現するコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0019】
本願の実施例のさらなる態様によれば、メモリと、前記メモリに接続されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記メモリに記憶された命令に基づいて、上記実施例のいずれかに記載のロボットの制御方法を実行するロボットの制御装置をさらに提供する。
【0020】
本願の実施例では、第1コントローラと、第2コントローラと、第1安全回路と、第2安全回路と、を備え、第1コントローラと第2コントローラのいずれか一方は、第1安全回路と第2安全回路に接続され、ロボットの外部からの警報信号のタイプを判別し、第1安全回路と第2安全回路が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御することに用いられ、第1安全回路と第2安全回路の論理が逆である、ロボットの安全制御機器を提供し、本願に係る安全制御機器は、デュアルCPUによって正逆論理が制御されたデュアル安全回路設計を採用し、ロボットの安全回路とバックアップ安全回路の同質化による失効という課題を回避し、それにより、ロボットの運転安定性や安全性を向上させるという技術的効果を実現し、ロボットの保護停止回路に深刻な回路同質化やセキュリティリスクが存在するという技術的課題を解決する。
【0021】
ここで説明される図面は、本願の理解をさらに深めることに用いられ、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は、本願を説明することに用いられ、本願を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係るロボットの安全制御機器の構造図である。
【
図2】本願の別のいくつかの実施例に係るロボットの安全制御機器の構造図である。
【
図3】本願のさらなるいくつかの実施例に係るロボットの安全制御機器の構造図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る安全回路の回路図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係るロボットの構造図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例に係るロボットの制御方法のフローチャートである。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係るロボットの制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者が本願の解決手段をよりよく理解するために、以下に、本願の実施例における図面を参照し、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。なお、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要せずに得られた全ての他の実施例は、本願の特許範囲に属すべきである。
【0024】
なお、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における用語「第1」、「第2」などは類似する対象を区別することに用いられ、必ずしも特定の順序又は前後順序を説明することに用いられる必要はない。このように使用されるデータは、本明細書に記載される本願の実施例が本明細書に図示又は説明されたものを除いた順序で実施できるように、適切な場合に交換可能であることを理解されたい。さらに、用語「含む」、「有する」、及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又は装置は明確に列挙されたステップ又はユニットに限定されるものではなく、明確に列挙されていない、又はこれらのプロセス、方法、製品又は装置に固有の他のステップ又はユニットを含むことができる。
【0025】
本願の実施例によれば、ロボットの安全制御機器の実施例を提供する。なお、図面のフローチャートに示されたステップは、1組のコンピュータが実行可能な命令のコンピュータシステムにおいて実行することができ、フローチャートに論理的な順序が示されているが、場合によっては、これらと異なる順序で示され又は説明されたステップを実行してもよい。
【0026】
図1は、本願のいくつかの実施例に係るロボットの安全制御機器の構造図である。
図1に示すように、この安全制御機器は、
第1コントローラ10と、第2コントローラ12と、第1安全回路14と、第2安全回路16と、を備え、第1コントローラ10と第2コントローラ12のいずれか一方は、第1安全回路14と第2安全回路16に接続され、ロボットの外部からの警報信号のタイプを判別し、第1安全回路14と第2安全回路16が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御することに用いられ、第1安全回路14と第2安全回路16の論理が逆である。
【0027】
本願のいくつかの実施例によれば、第1コントローラ10と第2コントローラ12の型番が異なる。
【0028】
具体的に実施する際に、第1コントローラ10と第2コントローラ12として、異なるメーカの異なる型番のCPUを採用することによっても、回路の同質化による失効という課題を回避することができる。
【0029】
図1に示すように、第1コントローラ10と第2コントローラ12は、いずれも、第1安全回路14と第2安全回路16に接続され、各安全入力信号の状態を判別し、安全回路の状態を監視し、ロボットが異常状態にあると検出した場合、安全回路におけるMOSトランジスタが安全回路を切断し、ロボットの給電電源を切るように制御することに用いられる。
【0030】
上記安全制御機器により、デュアルCPUによって正逆論理が制御されたデュアル安全回路の設計を採用し、ロボットの安全回路とバックアップ安全回路の同質化による失効という課題を回避し、それにより、ロボットの運転安定性や安全性を向上させるという技術的効果を実現する。
【0031】
図2は、本願の別のいくつかの実施例に係るロボットの安全制御機器の構造図である。
図2に示すように、第1コントローラ10と第2コントローラ12との間には第1通信リンク18を備え、第1コントローラ10と第2コントローラ12は、第1通信リンク18を介して第1安全回路14と第2安全回路16から返信されたデータにタイミングエラーがあるか否かをチェックし、第1安全回路14と第2安全回路16から返信されたデータにタイミングエラーがある場合、第1安全回路14と第2安全回路16を切断するように制御し、
一警報情報を送信する。
【0032】
本実施例では、第1通信リンク18は、第1コントローラ10と第2コントローラ12のシリアルペリフェラルインタフェース間の通信リンクである。
【0033】
2つの安全回路にタイミングエラーが生じることを回避するために、2つのコントローラの間はシリアルペリフェラルインタフェースSPIによって相互チェックを行い、2つの安全回路が2つのコントローラに送信したデータにタイミングエラーがあるか否かをチェックする。タイミングエラーがある場合、第1安全回路と第2安全回路の両方を切断するように制御し、警報情報を送信する。音声警報情報の送信は、音声で放送できるか、又はRS485インタフェースを介して警報情報をコントローラと通信接続された端末装置に送信できる。上記タイミングチェックプロセスにより、2つの安全回路から返信されたデータにタイミングエラーが生じることを回避することができる。
【0034】
図3は、本願のさらなるいくつかの実施例に係るロボットの安全制御機器の構造図である。
図3に示すように、第1コントローラ10と第2コントローラ12との間には第2通信リンク110をさらに備え、第1コントローラ10と第2コントローラ12は、それぞれ、第2通信リンク110を介して相手にプリセットバイトのデータを送信し、第1コントローラ10と第2コントローラ12のいずれか一方は、相手から送信されたプリセットバイトのデータを受信しないと、第1安全回路14と第2安全回路16を切断するように制御し、
他の一警報情報を送信する。
【0035】
本願のいくつかの実施例によれば、第2通信リンク110は第1コントローラ10と第2コントローラ12の入出力インタフェース間の通信リンクである。
2つのコントローラは、1つのI/Oインタフェースを介して直接接続された第2通信リンクを有し、2つのコントローラは、該第2通信リンクを介して固定バイトのデータを定時的に送信し、そのうちの一方が相手から送信されたデータを受信できないと、すぐに保護状態に入る。具体的には、2つの安全回路を切断するように制御し、警報情報を送信する。音声警報情報の送信は、音声で放送できるか、又は警報情報をコントローラと通信接続されたユーザ端末に送信できる。
【0036】
本願に係る安全制御機器は、2つのCPUがいずれも正常に動作する場合にのみ、正常に動作することができるので、上記方法によって2つのCPUの運転状態を検出することで、安全制御機器の運転安定性を向上させることができる。
【0037】
本願のいくつかの実施例では、第1コントローラ10と第2コントローラ12は、さらに、警報信号のタイプが第1タイプである場合、第1安全回路14と第2安全回路16を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御する制御動作と、警報信号のタイプが第2タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは走行を停止するまでロボットが減速走行するように制御してから、第1安全回路14と第2安全回路16を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御する制御動作と、警報信号のタイプが第3タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは走行を停止するまでロボットが減速走行するように制御する制御動作と、を実行することに用いられる。
【0038】
国際標準要求に準じてロボットの安全モジュールの具体的な設計と組み合わせ、ロボットが制御可能に停止するか否かによって、停止信号は以下の3種の停止信号タイプに分けられる。
0類:外部の突然の停電又は急停止信号が有効であり、ロボットの動力源を切断するか、又は自由停止又はブレーキ停止をトリガするものであって、制御不可能な停止である。
1類:ロボットを急速に停止させ、現在の計画経路を保持し、ロボットが停止した後、ロボットの動力源を切断するものであって、制御可能な停止である。
2類:ロボットを急速に停止させ、現在の計画経路を保持し、ロボットが停止した後、ドライバを制御し、ロボットの動力源を切断しないものであって、制御可能な停止である。
【0039】
本願に係る上記産業用ロボットの安全制御機器は、産業用ロボットに直接適用することができ、外部から入力された安全信号を分類し、0類の停止信号(上記第1タイプの警報信号)が発生する場合、安全モジュールはソフトウェアが制御しない場合にハードウェアによってロボットの動力源を直接切断することができ、このように、ソフトウェアの処理エラーによる安全回路の故障を回避し、1類の停止信号(上記第2タイプの警報信号)が発生する場合、ソフトウェアによって安全回路を切断し、ロボットの動力源を切断することができ、2類の停止信号(上記第3タイプの警報信号)が発生する場合、安全制御機器は警報情報をロボットのコントローラにアップロードし、ロボットのコントローラはロボットが減速停止するように制御する。
【0040】
本願のいくつかの実施例によれば、第1安全回路14と第2安全回路16のいずれか一方は、1つの安全リレー及び2つの電界効果トランジスタを備え、2つの安全リレーの常開接点はいずれも第1コントローラと第2コントローラに接続され、第1コントローラと第2コントローラは常開接点を介して2つの安全リレーの運転状態を監視し、第1安全回路の2つの電界効果トランジスタはPMOS電界効果トランジスタであり、第2安全回路の2つの電界効果トランジスタはNMOS電界効果トランジスタである。
【0041】
図4は、本願のいくつかの実施例に係る安全回路の回路図である。
図4に示すように、K11とK12は、安全リレーであり、強制ガイド接点を有し、安全回路の状態を確保するために、安全リレーの1組の常開接点は、第1コントローラ10及び第2コントローラ12に接続され、安全リレーの状態を監視することに用いられ、安全リレーの接点の接着を回避する。安全リレー補助接点の信号をコントローラにフィードバックすることで、安全リレーに対する監視を実現し、安全回路が安全で確実に運転することを確保できる。
【0042】
ロボットの安全インタフェースの安全信号は下表に示され、安全インタフェースには電源、安全入力及び安全出力信号が含まれる。
【0043】
ここでは、安全入力信号は、安全ゲート、ティーチペンダント急停止1、ティーチペンダント急停止2、外部急停止1、外部急停止2、リミットスイッチを含む。
【0044】
【0045】
急停止処理フロー:急停止信号が発生し、例えばティーチペンダントが急停止したり、外部が急停止したりし、安全回路が切断されると、2つの安全リレーのコイルが切断され、この時、安全リレーの常閉接点がオフになり、常開接点がオンにされ、動作信号が光結合によって2つのコントローラに伝送され、2つのコントローラは信号をサーボドライバに伝送し、サーボドライバは減速する。安全リレーの出力は、リレーを介してサーボドライバの主回路の電源を直接遮断することで、緊急制動の目的を達成する。
【0046】
SAFE_OUT1+とSAFE_OUT1-、SAFE_OUT2+とSAFE_OUT2-は安全出力信号であり、Q15とQ16はPMOSトランジスタであり、Q14とQ18はNMOSトランジスタであり、これにより、回路の同質化を回避し、信頼性を向上させ、安全出力信号は以下の方式で接続される。一般的な従来設計は、1種類のMOSトランジスタの設計方法を採用することが多く、2種類のデバイス及び論理タイプの設計方法が見られず、デバイスに失効などの故障が発生した場合に1種類のデバイス(MOSトランジスタ)の失効による故障のリスクを効果的に回避、低減する。本願が採用するMOSトランジスタの解決手段は、2種類の異なるタイプのスイッチデバイスを使用する。1つはNMOSトランジスタ(ハイレベルが有効である)であり、もう1つはPMOSトランジスタ(ローレベルが有効である)である。これらは2種類の異なる論理制御の手段であり、ソフトウェア論理にも相互検出と保護の役割を果たし、1種類の制御論理を使用することによるエラーの発生のリスクが高いことを回避し、それにより、より良好に安全制御を行う。安全出力信号でサーボドライバの交流コンタクタを直接制御し、交流コンタクタは0類の停止信号(外部停電以外の場合)が発生したときにサーボドライバの動力源を切る。2つの回路がいずれも正常である場合にのみ、安全に出力し、正常に動作できる。
【0047】
その他の信号処理フローは以下の通りである。
安全ゲート:安全ゲート信号は1類の停止信号に属し、安全制御機器は、安全ゲート信号を受信すると、安全警報信号をロボットのコントローラに送信し、コントローラは、サーボモジュールに減速運転を通知し、続いて信号を安全制御機器に返信し、安全制御機器は、安全回路を切断し、サーボ動力源を切断する。
リミット信号:リミット信号は2類の停止信号に属し、安全モジュールは、リミット信号を受信すると、安全警報信号をロボットのコントローラに送信し、コントローラは、サーボモジュールに減速運転するよう通知し、続いて信号を安全モジュールに返信し、安全に出力し、サーボドライバの動力源を切断せず、手動でロボットを安全領域内に戻した後に警報信号をクリアすることができる。
他の警報信号は2類の停止信号に属し、安全コントローラがこのような信号を受信すると、サーボドライバは減速停止し、イネーブル信号を切断せず、警報が解消された後に現在の軌跡を保持し続けて動くことができる。
【0048】
本願の実施例に係る安全制御機器は、追加のPLC制御モジュールを追加する必要がなく、占有スペースが小さく、配線や取り付けが容易になり、コンパクト型制御キャビネットの取付要件を満たすことができ、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせて制御する解決手段を採用することで、ソフトウェアとハードウェアのいずれも安全回路を切断するように制御することができ、緊急時にソフトウェアの関与を必要とせず、ハードウェアを用いてサーボドライバの主電源を切ることができ、産業用ロボットの安全で確実な運転を確保することができ、また、ロボットに入力された警報信号の分類処理も実現できる。
【0049】
図5は、本願のいくつかの実施例に係るロボットの構造図である。
図5に示すように、該ロボットは、コントローラ50と、上記の安全制御機器52と、を備える。
【0050】
ロボットのコントローラ50の電源が故障することによる安全制御機器52の安全回路の失効を回避するためには、安全制御機器52の安全回路が使用する安全制御機器電源は、ロボットのコントローラ50が使用するコントローラ電源とは異なるものでなければならない。
【0051】
なお、
図5に示す実施例の好ましい実施態様は、
図1に示す実施例の関連説明を参照することができ、ここで説明を省略する。
【0052】
図6は、本願のいくつかの実施例に係るロボットの制御方法のフローチャートである。
図6に示すように、該方法は、
第1コントローラと第2コントローラがロボットの外部からの警報信号を取得し、警報信号のタイプを判別するステップS602と、
第1コントローラと第2コントローラが第1安全回路と第2安全回路が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御するステップS604であって、第1コントローラと第2コントローラのいずれか一方が、第1安全回路と第2安全回路に接続され、第1安全回路と第2安全回路の論理が逆であるステップS604とを含む。
【0053】
本願のいくつかの実施例によれば、ステップS604は、警報信号のタイプが第1タイプである場合、第1安全回路と第2安全回路を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御することと、警報信号のタイプが第2タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは、運転を停止するまでロボットが減速運転ようにするように制御してから、第1安全回路と第2安全回路を同時に切断し、ロボットの給電電源を切るように制御することと、警報信号のタイプが第3タイプである場合、警報信号をロボットのコントローラに送信し、ロボットのコントローラは走行を停止するまでロボットが減速走行するように制御することと、を含む方法によって実現されてもよい。
【0054】
なお、
図6に示す実施例の好ましい実施態様は、
図1に示す実施例の関連説明を参照することができ、ここで説明を省略する。
【0055】
本願の実施例は、プロセッサに実行されると、上記実施例のいずれかに記載のロボットの制御方法を実現するコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0056】
記憶媒体は、第1コントローラと第2コントローラがロボットの外部からの警報信号を取得し、警報信号のタイプを判別する機能と、第1コントローラと第2コントローラが第1安全回路と第2安全回路が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御する機能であって、第1コントローラと第2コントローラのいずれか一方が第1安全回路と第2安全回路に接続され、第1安全回路と第2安全回路の論理が逆である機能とを実行するプログラムを記憶することに用いられる。
【0057】
本願の実施例は、メモリと、前記メモリに接続されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記メモリに記憶された命令に基づいて、上記実施例のいずれかに記載のロボットの制御方法を実行するように構成されるロボットの制御装置をさらに提供する。
【0058】
プロセッサがプログラムを実行すると、第1コントローラと第2コントローラがロボットの外部からの警報信号を取得し、警報信号のタイプを判別する機能と、第1コントローラと第2コントローラが第1安全回路と第2安全回路が警報信号のタイプに対応する制御命令を実行するように制御する機能であって、第1コントローラと第2コントローラのいずれか一方が第1安全回路と第2安全回路に接続され、第1安全回路と第2安全回路の論理が逆である機能とが実行される。
【0059】
図7は、本願のいくつかの実施例に係るロボットの制御装置のブロック図である。
図7に示すように、制御装置は、メモリ710と、該メモリ710に接続されたプロセッサ720と、を備え、プロセッサ720は、メモリ710に記憶された命令に基づいて、上記のいずれかの実施例における制御方法を実行する。
【0060】
メモリ710は、例えば、システムメモリや永続的な不揮発性記憶媒体などを含んでもよい。システムメモリには、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、ブートローダー(Boot Loader)やその他のプログラムなどが記憶されている。
【0061】
制御装置は、さらに、入出力インタフェース730、ネットワークインタフェース740、ストレージインタフェース750などを含んでもよい。これらのインタフェース730、740、750、メモリ710、及びプロセッサ720は、例えばバス700を介して接続されてもよい。ここで、入出力インタフェース730は、ディスプレイ、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入出力機器に接続インタフェースを提供する。ネットワークインタフェース740は、各種のネットワーク機器に接続インタフェースを提供する。ストレージインタフェース750は、SDカードやUSBメモリなどの外付け記憶機器に接続インタフェースを提供する。本願の上記実施例では、各実施例に対する説明はそれぞれ重点があり、ある実施例で詳述されない部分は、他の実施例の関連説明を参照することができる。
【0062】
本願に係るいくつかの実施例では、開示された技術的内容は他の形態で実装できると理解すべきである。ここでは、上記説明された装置の実施例は単に例示的なものであり、例えば前記ユニットの分割は、論理機能分割であってもよく、実際に実装される時に他の分割方式を有してもよく、例えば複数のユニット又はコンポーネントを組み合わせたり、別のシステムに統合したりしてもよく、いくつかの特徴はなくてもよく、実行しなくてもよい。また、表示又は議論された互いの結合、直接結合又は通信接続はいくつかのインタフェース、ユニット又はモジュールを介した間接的な結合又は通信可能な接続であってもよく、電気的又は他の形態であってもよい。
【0063】
前記分離部材として説明されたユニットは、物理的に分離されてもよいし、物理的に分離されなくてもよく、ユニットとして示される部材は、物理的なユニットであってもよいし、物理的なユニットでなくてもよく、すなわち、1箇所に位置してもよく、又は複数のユニットに分布してもよい。実際の必要に応じてそのうちの一部又は全てのユニットを選択して本実施例の解決手段の目的を実装することができる。
【0064】
また、本願の各実施例における各機能ユニットは1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットが個別で物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上記統合されたユニットはハードウェアの形態で実装されてもよいし、ソフトウェア機能ユニットの形態で実装されてもよい。
【0065】
前記統合されたユニットは、ソフトウェア機能ユニットの形態で実装され且つ独立した製品として販売又は使用される場合、1つのコンピュータの読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。このような理解に基づき、本願の技術的解決手段では、本質的に又は従来技術に寄与する部分又は該技術的解決手段の全部又は一部はソフトウェア製品の形態で具現化することができ、該コンピュータソフトウェア製品は1つの記憶媒体に記憶され、一台のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ又はネットワーク装置などであってもよい)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させる複数のコマンドを含む。前記記憶媒体は、USBメモリ、リードオンリーメモリ(ROM:ReGREEd-OnlyMemory)、ランダムアクセスメモリ(RGREEM:RGREEndom GREEccess Memory)、ポータブルハードディスク、磁気ディスク又は光ディスクなどの様々なプログラムコードを記憶できる媒体を含む。
【0066】
以上は本願の好ましい実施例に過ぎず、なお、当業者であれば、本願の原理から逸脱することなく、いくつかの改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾も本願の特許範囲と見なされるべきである。