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特許7556058絶縁油を用いた冷却構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】絶縁油を用いた冷却構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20240917BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240917BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240917BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240917BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240917BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20240917BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
H01M50/204 401H
H01M50/507
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022576861
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2021016281
(87)【国際公開番号】W WO2022103131
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0151349
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ア・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ウォン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-キ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・タンネンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヤンケ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ハラストージ
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-520067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0104927(US,A1)
【文献】特開2001-283937(JP,A)
【文献】特開2009-009853(JP,A)
【文献】特表2020-523756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6557
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6568
H01M 50/204
H01M 50/507
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセル及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在する複数の流路スペーサを含むセル積層体アセンブリと、
前記流路スペーサに前記バッテリーセルの冷却のための絶縁油を供給するモジュールインレットを備える前方バスバーフレームアセンブリであって、前記セル積層体アセンブリの長手方向の一側に結合されて前記複数のバッテリーセルを電気的に接続する前方バスバーフレームアセンブリと、
前記モジュールインレット及び前記流路スペーサを通過した絶縁油を外部に排出するモジュールアウトレットを備える後方バスバーフレームアセンブリであって、前記セル積層体アセンブリの前記長手方向の他側に結合されて前記複数のバッテリーセルを電気的に接続する後方バスバーフレームアセンブリと、
を含み、
前記流路スペーサは、
前記流路スペーサの内部に流れる前記絶縁油が前記バッテリーセルと接触するように中心部が開放された形態を有するスペーサボディを含み、
前記スペーサボディと前記バッテリーセルとの接触界面には第1ガスケットが介在している、
前記第1ガスケットは、前記中心部に形成される開放空間を通りながらバッテリーセルと接触する前記絶縁油が前記バッテリーセルと前記スペーサボディとの間の隙間から漏れることを防止する、バッテリーモジュール。
【請求項2】
複数のバッテリーセル及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在する複数の流路スペーサを含むセル積層体アセンブリと、
前記流路スペーサに前記バッテリーセルの冷却のための絶縁油を供給するモジュールインレットを備える前方バスバーフレームアセンブリであって、前記セル積層体アセンブリの長手方向の一側に結合されて前記複数のバッテリーセルを電気的に接続する前方バスバーフレームアセンブリと、
前記モジュールインレット及び前記流路スペーサを通過した絶縁油を外部に排出するモジュールアウトレットを備える後方バスバーフレームアセンブリであって、前記セル積層体アセンブリの前記長手方向の他側に結合されて前記複数のバッテリーセルを電気的に接続する後方バスバーフレームアセンブリと、
を含み、
前記流路スペーサは、
前記流路スペーサの内部に流れる前記絶縁油が前記バッテリーセルと接触するように中心部が開放された形態を有するスペーサボディと、
前記スペーサボディの前記長手方向の一側に形成されて前記前方バスバーフレームアセンブリと締結されるスペーサインレットと、
前記スペーサボディの前記長手方向の他側に形成されて前記後方バスバーフレームアセンブリと締結されるスペーサアウトレットと、
を含む、バッテリーモジュール。
【請求項3】
前記スペーサボディと前記バッテリーセルとの接触界面には第1ガスケットが介在している、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記流路スペーサは、
前記スペーサボディの上端と下端とを連結し、前記スペーサボディの前記長手方向に沿って相互に離隔して位置する複数の絶縁油ガイドをさらに含む、請求項2又は3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記前方バスバーフレームアセンブリは、
前記モジュールインレットと反対側面に形成されて前記スペーサインレットと締結される前方フレーム締結部を備える前方バスバーフレームと、
前記前方バスバーフレーム上に設けられ、複数の前記バッテリーセルの電極リードと結合される前方バスバーと、
を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記後方バスバーフレームアセンブリは、
前記モジュールアウトレットと反対側面に形成されて前記スペーサアウトレットと締結される後方フレーム締結部を備える後方バスバーフレームと、
前記後方バスバーフレーム上に設けられ、複数の前記バッテリーセルの電極リードと結合される後方バスバーと、
を含む、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記前方フレーム締結部と前記スペーサインレットの結合面との間及び前記後方フレーム締結部と前記スペーサアウトレットの結合面との間には、それぞれ第2ガスケットが介在している、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記バッテリーモジュールは、
前記セル積層体アセンブリの積層方向の両側最外郭に位置する一対のバッテリーセルをそれぞれ覆う一対のサイドプレートをさらに含む、請求項6又は7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記サイドプレートは、
内部に絶縁油が流動可能な空間を備え、前記サイドプレートの前記長手方向の両側端部のそれぞれが前記前方フレーム締結部及び前記後方フレーム締結部と結合される、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁油を用いた冷却構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関し、より具体的には、モジュールハウジング内に流れ込んでバッテリーセルを冷却させる絶縁油がバスバーフレームの内部空間を通ってセル積層体アセンブリへと流れる構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【0002】
本出願は、2020年11月12日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0151349号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
冷却水を用いた間接水冷方式を採用するバッテリーモジュールの場合、冷却水がバッテリーセルと直接接触せず、バッテリーセルを収容するモジュールハウジングを通じて間接的に接触するため、その冷却性能に限界がある。また、冷却のための流路を形成するため、別途のヒートシンクなどの冷却装置をモジュールハウジングの外側に備えなければならず、バッテリーモジュールの全体体積が大きくなってエネルギー密度の損失が発生する。
【0004】
このような間接水冷方式の問題を解決するため、冷却のための絶縁油がモジュールハウジング内に直接流れ込んでバッテリーセルと直接接触可能な冷却構造を有するバッテリーモジュールの開発が求められている。
【0005】
絶縁油を用いた直接冷却構造を有するバッテリーモジュールの場合、効率的な冷却のための流路構造を開発することも重要であるが、その他にも絶縁油がモジュールハウジング及びエンドプレートの外側へと漏れないように気密性を維持することが非常に重要である。
【0006】
モジュールハウジング内に注入された絶縁油がバッテリーセルと直接接触する構造を有するバッテリーモジュールの場合、モジュールハウジング内に満たされる絶縁油がモジュールハウジングの外側に漏れなくするため、多くの位置に気密構造を適用しなければならない。
【0007】
例えば、長手方向の両側が開放された形態を有するモノフレームが適用されたバッテリーモジュールの場合、モノフレームの両側開口部を覆うエンドプレート及び/または絶縁プレートとモノフレームとの結合部位で油漏れが発生しないように気密構造を適用せねばならない。また、通常、エンドプレート及び/または絶縁プレートの外側に高電位端子が露出するが、このような高電位端子の外部露出のための孔も絶縁油の油漏れが発生し易い位置に該当するため、ここにも気密構造を適用せねばならない。
【0008】
このように、多くの位置に気密構造を適用することはバッテリーモジュールの製造工程を複雑にし、これは製造コストの上昇につながる。したがって、モジュールハウジングに対する気密構造が省略可能であるか、または、モジュールハウジングに対する気密構造を簡素化できるように、モジュールハウジング内に収容される部品自体に気密構造が適用されたバッテリーモジュールの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーモジュールの冷却のための絶縁油をバッテリーセルのボディと直接接触させて冷却効率を極大化し、このような絶縁油直接接触構造で発生し易い絶縁油漏れを効果的に防止することを目的とする。
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、他の課題は下記の発明の説明から通常の技術者に明らかに理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセル及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在する複数の流路スペーサを含むセル積層体アセンブリと、前記流路スペーサに前記バッテリーセルの冷却のための絶縁油を供給するモジュールインレットを備える前方バスバーフレームアセンブリであって、前記セル積層体アセンブリの長手方向の一側に結合されて前記複数のバッテリーセルを電気的に接続する前方バスバーフレームアセンブリと、前記モジュールインレット及び前記流路スペーサを通過した絶縁油を外部に排出するモジュールアウトレットを備える後方バスバーフレームアセンブリであって、前記セル積層体アセンブリの前記長手方向の他側に結合されて前記複数のバッテリーセルを電気的に接続する後方バスバーフレームアセンブリと、を含む。
【0012】
前記流路スペーサは、前記流路スペーサの内部に流れる前記絶縁油が前記バッテリーセルと接触するように中心部が開放された形態を有するスペーサボディと、前記スペーサボディの前記長手方向の一側に形成されて前記前方バスバーフレームアセンブリと締結されるスペーサインレットと、前記スペーサボディの前記長手方向の他側に形成されて前記後方バスバーフレームアセンブリと締結されるスペーサアウトレットと、を含み得る。
【0013】
前記スペーサボディと前記バッテリーセルとの接触界面には第1ガスケットが介在し得る。
【0014】
前記流路スペーサは、前記スペーサボディの上端と下端とを連結し、前記スペーサボディの前記長手方向に沿って相互に離隔して位置する複数の絶縁油ガイドをさらに含み得る。
【0015】
前記前方バスバーフレームアセンブリは、前記モジュールインレットと反対側面に形成されて前記スペーサインレットと締結される前方フレーム締結部を備える前方バスバーフレームと、前記前方バスバーフレーム上に設けられ、複数の前記バッテリーセルの電極リードと結合される前方バスバーと、を含み得る。
【0016】
前記後方バスバーフレームアセンブリは、前記モジュールアウトレットと反対側面に形成されて前記スペーサアウトレットと締結される後方フレーム締結部を備える後方バスバーフレームと、前記後方バスバーフレーム上に設けられ、複数の前記バッテリーセルの電極リードと結合される後方バスバーと、を含み得る。
【0017】
前記前方フレーム締結部と前記スペーサインレットの結合面との間及び前記後方フレーム締結部と前記スペーサアウトレットの結合面との間には、それぞれ第2ガスケットが介在し得る。
【0018】
前記バッテリーモジュールは、前記セル積層体アセンブリの積層方向の両側最外郭に位置する一対のバッテリーセルをそれぞれ覆う一対のサイドプレートをさらに含み得る。
【0019】
前記サイドプレートは、内部に絶縁油が流動可能な空間を備え、前記サイドプレートの前記長手方向の両側端部のそれぞれが前記前方フレーム締結部及び前記後方フレーム締結部と結合され得る。
【0020】
一方、上記の課題を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーパック及び自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、バッテリーモジュールの冷却のための絶縁油がバッテリーセルのボディと直接的に接触することで、冷却効率を極大化させることができる。
【0022】
また、本発明の一態様によれば、絶縁油直接接触構造を採用しながらも、モジュールハウジングの内部に流れる絶縁油の油漏れを効果的に防止することができる。
【0023】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した分解斜視図である。
図3】冷却のための絶縁油の流れを示した図であって、図1のY-Y’線に沿った断面図である。
図4】冷却のための絶縁油の流れを示した図であって、図1のY-Y’線に沿った断面図である。
図5】本発明によるセル積層体アセンブリを示した部分拡大図である。
図6図1のX-X’線に沿った断面図である。
図7】本発明による前方バスバーフレームアセンブリ(後方バスバーフレームアセンブリ)を示した図である。
図8】本発明による前方バスバーフレームアセンブリの内部流路を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使われた用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0026】
まず、図1図5を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、セル積層体アセンブリ100、前方バスバーフレームアセンブリ200、及び後方バスバーフレームアセンブリ300を含む。また、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、上述した構成要素の他に、一対のサイドプレート400をさらに含み得る。
【0027】
前記セル積層体アセンブリ100は、複数のバッテリーセル110、及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在する複数の流路スペーサ120を含む。
【0028】
前記バッテリーセル110としては、セルボディ111、及びセルボディ111の長手方向(X軸に平行な方向)に沿って反対方向に引き出される一対の電極リード112を備えるパウチ型バッテリーセルが用いられ得る。
【0029】
前記流路スペーサ120は、前方バスバーフレームアセンブリ200と締結され、前方バスバーフレームアセンブリ200の内部に形成される流路と連通される流路を備える。前記流路スペーサ120は、スペーサボディ121、スペーサインレット122a、及びスペーサアウトレット122bを含む。また、前記流路スペーサ120は、上述する構成要素の他に、複数の絶縁油ガイド123をさらに含み得る。
【0030】
前記スペーサボディ121は、流路スペーサ120の内部に流れる絶縁油がバッテリーセル110のセルボディ111と接触するように、中心部が開放された形態を有する。前記スペーサインレット122aは、スペーサボディ121の長手方向の一側に形成されて前方バスバーフレームアセンブリ200と締結される。前記スペーサアウトレット122bは、スペーサボディ121の長手方向の他側に形成されて後方バスバーフレームアセンブリ300と締結される。このような構造によって、前記前方バスバーフレームアセンブリ200の内部に形成された流路を通過した絶縁油は、スペーサインレット122aを通ってスペーサボディ121の内部に流れ込む。前記スペーサボディ121の内部に流れ込んだ絶縁油は、セルボディ111と接触して冷却機能を果たした後、スペーサアウトレット122bを通って後方バスバーフレームアセンブリ300の内部に形成された流路に移動する。
【0031】
一方、図5及び図6を参照すると、前記絶縁油ガイド123は、スペーサボディ121の上端と下端とを連結し、複数の絶縁油ガイド123はそれぞれスペーサボディ121の長手方向(X軸と平行な方向)に沿って相互に離隔して位置する。
【0032】
前記絶縁油ガイド123は、スペーサボディ121の中心部に形成された開放空間内に位置する。前記絶縁油ガイド123は、流路スペーサ120の幅方向(Z軸に平行な方向)に沿って複数回折り曲げられ、このような折り曲げられた形態によって、流路スペーサ120の一側に位置する第1バッテリーセル110Aと接する第1接触領域123a、及び流路スペーサ120の他側に位置する第2バッテリーセル110Bと接する第2接触領域123bを含む。前記第1接触領域123aと第2接触領域123bとは、流路スペーサ120の幅方向(Z軸に平行な方向)に沿って交互に位置する。
【0033】
前記第1接触領域123aと第2バッテリーセル110Bとの間には絶縁油が流動可能な第1ガイド流路120aが形成され、第2接触領域123bと第1バッテリーセル110Aとの間には絶縁油が流動可能な第2ガイド流路120bが形成される。前記第1ガイド流路120aと第2ガイド流路120bとは、流路スペーサ120の幅方向(Z軸と平行な方向)に沿って交互に形成される。
【0034】
前記絶縁油ガイド123は、スペーサボディ121の中心部に形成される開放空間の一部を区画して第1ガイド流路120a及び第2ガイド流路120bを形成する。これにより、前記流路スペーサ120の幅方向(Z軸に平行な方向)の全体にかけて絶縁油が均一な量で流れることができ、絶縁油の流速が一定水準以上に維持されるように絶縁油の流れをガイドできる。
【0035】
一方、前記スペーサボディ121の中心部に形成される開放空間を通りながらバッテリーセル110と接触する絶縁油がバッテリーセル110とスペーサボディ121との間の隙間から漏れることを防止するため、スペーサボディ121とバッテリーセル110のセルボディ111との接触界面には第1ガスケットG1が介在し得る。
【0036】
図1図4図7及び図8を参照すると、前記前方バスバーフレームアセンブリ200は、セル積層体アセンブリ100の長手方向(X軸に平行な方向)の一側に結合されて複数のバッテリーセル110を電気的に接続する。
【0037】
前記前方バスバーフレームアセンブリ200は、前方バスバーフレーム210及び複数の前方バスバー220を含む。また、前記前方バスバーフレームアセンブリ200は、一対のモジュール端子230をさらに含み得る。
【0038】
前記前方バスバーフレーム210は、その外側面上に連結されて絶縁油の注入口として機能するモジュールインレットP1、及びモジュールインレットP1と反対側面に形成されて流路スペーサ120のスペーサインレット122aと締結される複数の前方フレーム締結部211を備える。
【0039】
前記前方バスバーフレーム210の内部には絶縁油が流動可能な流路が形成され、このような流路はモジュールインレットP1と連通される。また、前記前方バスバーフレーム210の内部に形成された流路は、前方フレーム締結部211に形成された孔と連通される。したがって、前記モジュールインレットP1から前方バスバーフレーム210の内部に流れ込んだ絶縁油は、前方バスバーフレーム210の内部に形成された流路を通って流路スペーサ120に流れ込む。すなわち、前記前方フレーム締結部211は、前方バスバーフレーム210から流路スペーサ120へと絶縁油を供給するための供給ポートとして機能する。
【0040】
前記前方フレーム締結部211は、前方バスバーフレーム210からセル積層体アセンブリ100に向かう方向に突設され、バッテリーモジュールの幅方向(Y軸に平行な方向)に沿って相互に離隔して複数個備えられる。それぞれの前方フレーム締結部211は、複数の流路スペーサ120と一対一で結合される。
【0041】
前記前方フレーム締結部211とスペーサインレット122aの結合面との間には、絶縁油の油漏れ防止のための第2ガスケットG2が介在し得る。また、前記前方フレーム締結部211とスペーサインレット122aとの締結力強化及び気密性向上のため、前方フレーム締結部211上にはセル積層体アセンブリ100に向かって突設されてスペーサインレット122aに挿入される前方挿入部211aが備えられ得る。このような前方挿入部211aと第2ガスケットG2が一緒に適用される場合、油漏れを防止する効果を極大化可能である。
【0042】
前記前方バスバー220は、前方バスバーフレーム210上に設けられ、複数のバッテリーセル110の電極リード112と結合されてバッテリーセル110同士を電気的に接続する。前記電極リード112は、前方バスバーフレーム210上に形成されるスリット及び/または孔の間を通過して前方バスバー220と結合される。
【0043】
前記一対のモジュール端子230は、前方バスバーフレーム210上に設けられ、前方バスバーフレーム210の長手方向(Y軸に平行な方向)の両側にそれぞれ位置する。前記一対のモジュール端子230は、セル積層体アセンブリ100を構成するバッテリーセル110のうち最外郭に配置されるバッテリーセル110の電極リード112と連結されて高電位端子として機能する。
【0044】
前記後方バスバーフレームアセンブリ300は、外観は前方バスバーフレームアセンブリ200と非常に類似の構造を有する。ただし、前記後方バスバーフレームアセンブリ300は、前方バスバーフレームアセンブリ200と比べて、その取付け位置がバッテリーモジュールの後方であるという点、モジュールインレットP1の代わりにモジュールアウトレットP2を備えるという点、及びモジュール端子230を備えないという点で相違するだけで、その他の構成は実質的に同じであるか又は類似する。
【0045】
したがって、前記後方バスバーフレームアセンブリ300については、上述した前方バスバーフレームアセンブリ200と重なる部分に対しては詳細な説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0046】
前記後方バスバーフレームアセンブリ300は、後方バスバーフレーム310、及び複数の後方バスバー(図示せず)を含む。前記後方バスバーは、取付け位置が相違するだけで、形状及び機能的な面で前方バスバー220と実質的に同一である。
【0047】
前記後方バスバーフレーム310は、その外側面上に連結されて絶縁油の出口として機能するモジュールアウトレットP2、及びモジュールアウトレットP2と反対側面に形成されて流路スペーサ120のスペーサアウトレット122bと締結される複数の後方フレーム締結部311を備える。
【0048】
前記後方バスバーフレーム310の内部には、絶縁油が流動可能な流路が形成され、該流路はモジュールアウトレットP2と連通される。また、前記後方バスバーフレーム310の内部に形成された流路は、後方フレーム締結部311に形成された孔と連通される。したがって、前記流路スペーサ120のスペーサアウトレット122bを通って後方バスバーフレーム310の内部に流れ込んだ絶縁油は、後方バスバーフレーム310の内部に形成された流路を通過してモジュールアウトレットP2からバッテリーモジュールの外部に排出される。すなわち、前記後方フレーム締結部311は、流路スペーサ120を通過した絶縁油を後方バスバーフレーム310の内部に収容するための収容ポートとして機能する。
【0049】
前記後方フレーム締結部311は、後方バスバーフレーム310からセル積層体アセンブリ100に向かう方向に突設され、バッテリーモジュールの幅方向(Y軸に平行な方向)に沿って相互に離隔して複数個備えられる。それぞれの後方フレーム締結部311は、複数の流路スペーサ120と一対一で結合される。
【0050】
前記後方フレーム締結部311とスペーサアウトレット122bの結合面との間には、絶縁油の油漏れ防止のための第2ガスケットG2が介在し得る。また、前記後方フレーム締結部311とスペーサアウトレット122bとの締結力強化及び気密性向上のため、後方フレーム締結部311上にはセル積層体アセンブリ100に向かって突設されてスペーサアウトレット122bに挿入される後方挿入部311aが備えられ得る。このような後方挿入部311aと第2ガスケットG2が一緒に適用される場合、油漏れを防止する効果を極大化可能である。
【0051】
前記一対のサイドプレート400は、セル積層体アセンブリ100の積層方向(Y軸に平行な方向)の両側最外郭にそれぞれ位置する一対のバッテリーセル110をそれぞれ覆う。前記サイドプレート400は、その長手方向(X軸に平行な方向)の両側端部がそれぞれ前方バスバーフレームアセンブリ200及び後方バスバーフレームアセンブリ300と締結され得る。
【0052】
一方、前記サイドプレート400は、内部に絶縁油が流動可能な空間を備え得、モジュールインレットP1及びモジュールアウトレットP2と連通されるため、その長手方向(X軸に平行な方向)の一側は流路スペーサ120のスペーサインレット122aと締結され、その長手方向(X軸に平行な方向)の他側は流路スペーサ120のスペーサアウトレット122bと締結され得る。この場合、前記サイドプレート400は、セル積層体アセンブリ100を積層方向(Y軸に平行な方向)の両側から支持する支持プレートとして機能できるだけでなく、セル積層体アセンブリ100の積層方向の最外郭に配置されたバッテリーセル110に対する冷却機能も果たすことができる。
【0053】
上述したように、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、バッテリーモジュールの冷却のための絶縁油をセルボディと直接接触させることで冷却効率を極大化すると同時に、このような絶縁油直接接触構造で発生し易い絶縁油漏れも効果的に防止することができる構造を有する。
【0054】
一方、本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、上述したような本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを一つ以上含む。また、本発明の一実施形態による自動車は、上述したような本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールまたはバッテリーパックを含む。
【0055】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100 セル積層体アセンブリ
110 バッテリーセル
111 セルボディ
112 電極リード
120 流路スペーサ
121 スペーサボディ
122a スペーサインレット
122b スペーサアウトレット
123 絶縁油ガイド
200 前方バスバーフレームアセンブリ
210 前方バスバーフレーム
211 前方フレーム締結部
220 前方バスバー
230 モジュール端子
300 後方バスバーフレームアセンブリ
310 後方バスバーフレーム
311 後方フレーム締結部
400 サイドプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8