(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】ポリマー、電解質及び電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0565 20100101AFI20240917BHJP
【FI】
H01M10/0565
(21)【出願番号】P 2023005889
(22)【出願日】2023-01-18
【審査請求日】2023-03-02
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516134855
【氏名又は名称】星歐光學股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉源
(72)【発明者】
【氏名】陳 柏村
(72)【発明者】
【氏名】陳 日賢
(72)【発明者】
【氏名】呂 怡柔
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承諭
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 鈞鴻
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-522648(JP,A)
【文献】特表2021-512200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0565
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の組成物であり、重合前駆体から重合されたポリマーであって、
前記重合前駆体は、
ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも3種類のモノマーを含み、
前記ポリマーは、直鎖のポリエステルを含み、末端に不活性基を有し、B-Cで表される構造を有し、
Bは前記ポリエステルであり、Cは前記不活性基であるポリマー。
【請求項2】
前記ポリマーは、
A1-B-Cで表される構造を有し、
A1の重合前駆体は一価アルコール又は一塩基酸であり、前記一価アルコールの炭素数又は前記一塩基酸の炭素数は少なくとも2以上であり、Bは前記ポリエステルであり、Cは前記不活性基であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリマーは、
C-A2-B-Cで表される構造を有し、
A2の重合前駆体は多価アルコール又は多塩基酸であり、前記多価アルコールの炭素数又は前記多塩基酸の炭素数は少なくとも2以上であり、Bは前記ポリエステルであり、Cは前記不活性基であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記重合前駆体に含まれるラクトンと環状ジエステルとの合計モル数はMlcであり、前記重合前駆体に含まれる炭酸エステルの合計モル数はMeであり、
0<Mlc/Me≦1という条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記重合前駆体に含まれるラクトンと環状ジエステルとの合計モル数はMlcであり、前記重合前駆体に含まれる炭酸エステルの合計モル数はMeであり、
2≦Mlc/Me<50という条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーの数平均分子量はMnであり、
100ダルトン≦Mn≦3000ダルトンという条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
前記ポリマーの重量平均分子量はMwであり、
100ダルトン≦Mw≦3000ダルトンという条件を満たすことを特徴とする、請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
前記ポリマーの重量平均分子量はMwであり、前記ポリマーの数平均分子量はMnであり、
1<Mw/Mn≦2.0という条件を満たすことを特徴とする、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
前記ポリマーの粘度はVCであり、
5cP<VC<5500cPという条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
前記ポリマーのガラス転移温度はTgであり、
-80℃<Tg<0℃という条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
前記ポリマーは、Trという温度範囲内で融点がなく、Trは、
-80℃<Tr<20℃という条件を満たすことを特徴とする、請求項10に記載のポリマー。
【請求項12】
電池の組成物である電解質であって、
重合前駆体から重合されたポリマーと、
前記ポリマーと均一に混合される金属塩類と、
を含み、
前記重合前駆体は、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも3種類のモノマーを含み、前記ポリマーは、ポリエステルを含み、
前記ポリエステルは直鎖であり、前記ポリマーの末端に不活性基を有し、前記ポリマーはB-Cで表される構造を有し、
Bは前記ポリエステルであり、Cは前記不活性基である電解質。
【請求項13】
前記電解質の導電率はCiであり、
1×10
-6S・cm
-1≦Ciという条件を満たすことを特徴とする、請求項12に記載の電解質。
【請求項14】
前記電解質は少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤はクラウンエーテルであることを特徴とする、請求項12に記載の電解質。
【請求項15】
請求項12に記載の電解質、
正極、
負極、及び
前記正極と前記負極の間に設けられるセパレータ
を含む電池。
【請求項16】
電池の組成物であり、重合前駆体から重合されたポリマーであって、
前記重合前駆体は、
ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも2種類のモノマーを含み、
前記ポリマーは、直鎖のポリエステルを含み、前記ポリマーの数平均分子量はMnであり、
100ダルトン≦Mn≦3000ダルトンという条件を満たすポリマー。
【請求項17】
前記ポリマーの末端に不活性基を有することを特徴とする、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
前記ポリマーは、
A1-B-Cで表される構造を有し、
A1の重合前駆体は一価アルコール又は一塩基酸であり、前記一価アルコールの炭素数又は前記一塩基酸の炭素数は少なくとも2以上であり、Bは前記ポリエステルであり、Cは前記不活性基であることを特徴とする、請求項17に記載のポリマー。
【請求項19】
前記ポリマーは、
C-A2-B-Cで表される構造を有し、
A2の重合前駆体は多価アルコール又は多塩基酸であり、前記多価アルコールの炭素数又は前記多塩基酸の炭素数は少なくとも2以上であり、Bは前記ポリエステルであり、Cは前記不活性基であることを特徴とする、請求項17に記載のポリマー。
【請求項20】
前記重合前駆体に含まれるラクトンと環状ジエステルとの合計モル数はMlcであり、前記重合前駆体に含まれる炭酸エステルの合計モル数はMeであり、
0<Mlc/Me≦1という条件を満たすことを特徴とする、請求項16に記載のポリマー。
【請求項21】
前記重合前駆体に含まれるラクトンと環状ジエステルとの合計モル数はMlcであり、前記重合前駆体に含まれる炭酸エステルの合計モル数はMeであり、
2≦Mlc/Me<50という条件を満たすことを特徴とする、請求項16に記載のポリマー。
【請求項22】
前記ポリマーの重量平均分子量はMwであり、
100ダルトン≦Mw≦3000ダルトンという条件を満たすことを特徴とする、請求項16に記載のポリマー。
【請求項23】
前記ポリマーの重量平均分子量はMwであり、前記ポリマーの数平均分子量はMnであり、
1<Mw/Mn≦2.0という条件を満たすことを特徴とする、請求項22に記載のポリマー。
【請求項24】
前記ポリマーの粘度はVCであり、
5cP<VC<5500cPという条件を満たすことを特徴とする、請求項16に記載のポリマー。
【請求項25】
前記ポリマーのガラス転移温度はTgであり、
-80℃<Tg<0℃という条件を満たすことを特徴とする、請求項16に記載のポリマー。
【請求項26】
前記ポリマーは、Trという温度範囲内で融点がなく、Trは、
-80℃<Tr<20℃という条件を満たすことを特徴とする、請求項25に記載のポリマー。
【請求項27】
電池の組成物である電解質であって、
重合前駆体から重合されたポリマーと、
前記ポリマーと均一に混合される金属塩類と、
を含み、
前記重合前駆体は、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも2種類のモノマーを含み、
前記ポリマーは、ポリエステルを含み、
前記ポリエステルは直鎖であり、前記ポリマーの数平均分子量はMnであり、
100ダルトン≦Mn≦3000ダルトンという条件を満たす電解質。
【請求項28】
前記電解質のイオン導電率はCiであり、
1×10
-6S・cm
-1≦Ciという条件を満たすことを特徴とする、請求項27に記載の電解質。
【請求項29】
前記電解質は少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤はクラウンエーテルであることを特徴とする、請求項27に記載の電解質。
【請求項30】
請求項27に記載の電解質、
正極、
負極、及び
前記正極と前記負極の間に設けられるセパレータを含む電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、ポリマー、電解質及び電池に関し、特に、重合前駆体から重合されてゲル状態となる高分子ポリマー、並びにポリマーを含む電解質及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池としては、高エネルギー密度、高い動作電圧、速い充電速度及び長いサイクル寿命を研究開発の目標とするため、電池の高温性能及び安全性は、解決すべき主要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、従来から使用されてきた電解質は、液体の電解液を主とするが、有機溶媒を使用した液体電解液は、揮発しやすく電池の内部体積を膨れさせてしまい、漏れ現象も発生しやすく、これに加えて、高温に耐えられない電解液が過充放電又は高温高圧環境で非常に発火又は燃焼しやすい。一方、電池を充放電する時、生成されたリチウム金属が材料の格子配列と表面組成の欠陥の影響によって、電極表面に不均一に堆積してデンドライトリチウムが生成されるため、セパレータが破壊され、電池の短絡ひいては発火又は燃焼が招かれ、これに加えて有機溶媒がリチウム金属と化学反応して、不可逆的な副生成物を生成するため、界面インピーダンスが増加してイオン伝導効率に影響を与え、電池の容量、性能と寿命を低下させてしまう。従って、従来の液体電解質の代わりに固体電解質を使用することは、今後の研究の主流傾向となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示内容により提供されるポリマー、電解質及び電池には、重合前駆体から重合された高分子ポリマーが含まれ、ポリマーは、室温でゲル状態となり、固体電解質の優れた力学的性質を有するだけでなく、液体電解質の高イオン伝導特性も有する。また、本開示内容のポリマー及び電解質は、ラクトン、環状ジエステル及び炭酸エステルから重合されたゲル状態の高分子ポリマーを含み、電解質が揮発したり漏れたりしやすい等の安全上の問題を解決し、電池が比較的安全な充放電動作環境を有することを確保するのに寄与するだけでなく、電解質と電極の界面での十分な接触を増やし、界面分離を回避し、且つイオン伝導性能と安定性を効果的に高める。また、本開示内容のポリマーの構造の末端は、アルキル基、アルコキシ基、エステル基又は芳香族基等の不活性基で封鎖され、ポリマーが電極の表面に接触する時にリチウム金属と化学反応し、酸化物又は硫化物等の副生成物の生成によるリチウム金属の消費を効果的に減らし、金属デンドライトを抑制して電解質の化学的安定性を強化し、電池の安全性を向上させ、サイクル寿命を延長するのにさらに寄与する。
【0005】
本開示内容の一態様によれば、電池の組成物であり、重合前駆体から重合されたポリマーであって、前記重合前駆体は、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも3種類のモノマーを含み、前記ポリマーは、直鎖のポリエステルを含み、末端に不活性基を有し、B-Cで表される構造を有し、Bはポリエステルであり、Cは不活性基であるポリマーを提供する。
【0006】
本開示内容の別の態様によれば、電池の組成物である電解質であって、重合前駆体から重合されたポリマーと、前記ポリマーと均一に混合される金属塩類とを含み、前記重合前駆体は、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも3種類のモノマーを含み、前記ポリマーは、ポリエステルを含み、前記ポリエステルは直鎖であり、前記ポリマーの末端に不活性基を有し、前記ポリマーはB-Cで表される構造を有し、Bは前記ポリエステルであり、Cは前記不活性基である電解質を提供する。
【0007】
本開示内容の更なる態様によれば、前段落に記載の電解質、正極、負極、及び正極と負極との間に設けられるセパレータを含む電池を提供する。
【0008】
本開示内容の一態様によれば、また、電池の組成物であり、重合前駆体から重合されたポリマーであって、前記重合前駆体は、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも2種類のモノマーを含み、前記ポリマーは、直鎖のポリエステルを含み、ポリマーの数平均分子量はMnであり、100ダルトン≦Mn≦3000ダルトンという条件を満たすポリマーを提供する。
【0009】
本開示内容の別の態様によれば、また、電池の組成物である電解質であって、重合前駆体から重合されたポリマーと、前記ポリマーと均一に混合される金属塩類とを含み、前記重合前駆体は、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも2種類のモノマーを含み、前記ポリマーは、ポリエステルを含み、前記ポリエステルは直鎖であり、前記ポリマーの数平均分子量はMnであり、100ダルトン≦Mn≦3000ダルトンという条件を満たす電解質を提供する。
【0010】
本開示内容の更なる態様によれば、また、前段落に記載の電解質、正極、負極、及び正極と負極との間に設けられるセパレータを含む電池を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示内容の一態様の一実施形態は、電池の組成物であり、重合前駆体から重合されたポリマーであって、前記重合前駆体は、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも3種類のモノマーを含み、前記ポリマーが、直鎖のポリエステルを含むポリマーを提供する。それにより、本開示内容において、少なくとも3種類のモノマーからポリマーを重合し、ポリマーからなるゲル状態の高分子電解質によれば、電解質が揮発したり漏れたりしやすいという安全上の問題を解決し、電池が安全な充放電動作環境を有することを確保するのに寄与するだけでなく、更に電解質を電極界面に十分に接触させ、界面分離を回避し、イオン伝導性能と安定性を効果的に高める。
【0012】
本開示内容の一態様の別の実施形態は、電池の組成物であり、重合前駆体から重合されたポリマーであって、前記重合前駆体が、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも2種類のモノマーを含み、前記ポリマーが、直鎖のポリエステルを含むポリマーを提供する。それにより、ラクトン、環状ジエステル及び炭酸エステルから重合された高分子電解質は、電解質が揮発したり漏れたりしやすい等の安全上の問題を解決し、電池が比較的安全な充放電動作環境を有することを確保するのに寄与するだけでなく、電解質と電極の界面での十分な接触を増やし、界面分離を回避し、イオン伝導性能と安定性を効果的に高める。
【0013】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーは、末端に不活性基を有してよく、B-Cで表される構造を有し、Bはポリエステルであり、Cは不活性基である。それにより、本開示内容のポリマーの構造の末端は、アルキル基、アルコキシ基、エステル基又は芳香族基等の不活性基で封鎖され、電解質と電極との接触表面及び電解質とリチウム金属との化学反応を効果的に回避し、酸化物又は硫化物等の副生成物の生成によってリチウム金属を消費する現象を減らし、金属デンドライトの生成を抑制して電解質の電池内部での高化学的安定性を達成するのに寄与し、更に電池の安全性を向上させ、サイクル寿命を延長することができる。
【0014】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーの数平均分子量はMnであり、100ダルトン≦Mn≦3000ダルトンという条件を満たしてよい。それにより、分子量の大きさを制御することでゲル状態の高分子ポリマーを形成し、物理的特性の面で、力学的性質と高流動性を提供し、化学的特性の面で、電解質の揮発による電池の内部体積の膨れと漏れ現象の発生を効果的に回避することができる。又は、それは、100ダルトン≦Mn≦2800ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、150ダルトン≦Mn≦2600ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、200ダルトン≦Mn≦2500ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、250ダルトン≦Mn≦2200ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、300ダルトン≦Mn≦1800ダルトンという条件を満たしてよい。
【0015】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーは、A1-B-Cで表される構造を有してよく、A1の重合前駆体は一価アルコール又は一塩基酸であり、一価アルコールの炭素数又は一塩基酸の炭素数は少なくとも2以上であってよく、Bはポリエステルであり、Cは不活性基である。それにより、炭素数の大きい一価アルコール類又は一塩基酸類化合物を重合開始剤として添加することで、モノマー間の反応開始条件の違いによる重合の不均一を回避し、更に重合度を効果的に高め、好ましい重合反応温度も提供することができる。
【0016】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーは、C-A2-B-Cで表される構造を有してよく、ただし、A2の重合前駆体は多価アルコール又は多塩基酸であり、前記多価アルコールの炭素数又は前記多塩基酸の炭素数は少なくとも2以上であり、Bはポリエステルであり、Cは不活性基である。それにより、炭素数の大きい多価アルコール類又は多塩基酸類化合物を重合開始剤として添加し、残りの活性官能基を不活性基で封鎖することで、高分子ポリマーと金属塩類との反応を効果的に防止し、副生成物を生成して電池の内部構造を破壊することによって電池効率が低くなることを回避することができる。
【0017】
本開示内容のポリマーによれば、重合前駆体に含まれるラクトンと環状ジエステルとの合計モル数はMlcであり、重合前駆体に含まれる炭酸エステルの合計モル数はMeであり、0<Mlc/Me≦1という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの組成成分の質量比を制御することで金属塩類との均一な混合に適するようにし、イオンの伝達効率を向上させるのに寄与する。又は、それは、0.05≦Mlc/Me≦1という条件を満たしてよい。又は、それは、0.1≦Mlc/Me≦1という条件を満たしてよい。又は、それは、0.15≦Mlc/Me≦1という条件を満たしてよい。又は、それは、0.1≦Mlc/Me≦0.95という条件を満たしてよい。又は、それは、0.1≦Mlc/Me≦0.90という条件を満たしてよい。又は、それは、2≦Mlc/Me<50という条件を満たしてよい。又は、それは、2≦Mlc/Me≦45という条件を満たしてよい。又は、それは、2≦Mlc/Me≦40という条件を満たしてよい。又は、それは、2≦Mlc/Me≦35という条件を満たしてよい。又は、それは、2≦Mlc/Me≦30という条件を満たしてよい。又は、それは、2≦Mlc/Me≦25という条件を満たしてよい。
【0018】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーの重量平均分子量はMwであり、100ダルトン≦Mw≦3000ダルトンという条件を満たしてよい。それにより、分子量の大きさを制御することでゲル状態の高分子ポリマーを形成し、物理的特性の面で、力学的性質と高流動性を提供し、化学的特性の面で、電解質の揮発による電池の内部体積の膨れと漏れ現象の発生を効果的に回避する。又は、それは、100ダルトン≦Mw≦2800ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、150ダルトン≦Mw≦2600ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、200ダルトン≦Mw≦2500ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、300ダルトン≦Mw≦2200ダルトンという条件を満たしてよい。又は、それは、350ダルトン≦Mw≦1800ダルトンという条件を満たしてよい。
【0019】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーの重量平均分子量はMwであり、ポリマーの数平均分子量はMnであり、1<Mw/Mn≦2.0という条件を満たしてよい。これにより、ポリマーの分子量の多分散性によって、高分子量の良好な力学的性質を備えるとともに、低分子量の高流動性も備えるのに寄与し、電解質に支持特性と十分な浸潤特性を提供する。又は、それは、1<Mw/Mn≦1.9という条件を満たしてよい。又は、それは、1<Mw/Mn≦1.8という条件を満たしてよい。又は、それは、1<Mw/Mn≦1.7という条件を満たしてよい。又は、それは、1<Mw/Mn≦1.6という条件を満たしてよい。又は、それは、1.03≦Mw/Mn≦1.6という条件を満たしてよい。
【0020】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーの粘度はVCであり、5cP<VC<5500cPという条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの低粘度の特性によって、イオンの移動速度を向上させるのに寄与し、且つ高分子ポリマーの機械的性能を維持し、電池の安全性を補強することができる。又は、それは、5cP≦VC≦3500cPという条件を満たしてよい。又は、それは、5cP≦VC≦2000cPという条件を満たしてよい。又は、それは、5cP≦VC≦1000cPという条件を満たしてよい。又は、それは、10cP≦VC≦1000cPという条件を満たしてよい。又は、それは、10cP≦VC≦600cPという条件を満たしてよい。
【0021】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーのガラス転移温度はTgであり、-80℃<Tg<0℃という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーが低いガラス転移温度を有することで、ポリマーの室温での結晶化現象を減らすのに寄与し、イオンの移動効率を促進し、電解質の導電率を増やすことができる。又は、それは、-80℃≦Tg≦-5℃という条件を満たしてよい。又は、それは、-80℃≦Tg≦-10℃という条件を満たしてよい。又は、それは、-75℃≦Tg≦-10℃という条件を満たしてよい。又は、それは、-75℃≦Tg≦-15℃という条件を満たしてよい。又は、それは、-60℃≦Tg≦-20℃という条件を満たしてよい。
【0022】
本開示内容のポリマーによれば、ポリマーは、Trという温度範囲内で融点がなく、Trは、-80℃<Tr<20℃という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの融点が高い温度で生じる場合、ポリマーの結晶化度を減らし、更にイオンのポリマー内部での移動能力を増やし、電池の充放電性能を効果的に向上させるのに寄与する。
【0023】
上記した本開示内容のポリマーの全ての技術的特徴は、対応する効果を達成するように組み合わせて配置されてもよい。
【0024】
本開示内容の別の態様の一実施形態は、電池の組成物である電解質であって、重合前駆体から重合されたポリマーと、ポリマーと均一に混合される金属塩類とを含み、重合前駆体が、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも3種類のモノマーを含み、ポリマーが、ポリエステルを含む電解質を提供する。
【0025】
本開示内容の別の態様の別の実施形態は、電池の組成物である電解質であって、重合前駆体から重合されたポリマーと、ポリマーと均一に混合される金属塩類とを含み、重合前駆体が、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択される少なくとも2種類のモノマーを含み、ポリマーが、ポリエステルを含む電解質を提供する。
【0026】
それにより、高分子ポリマーを主体とする電解質が、室温でゲル状態となり、且つ金属塩類と均一に混合されることで、固体電解質の優れた力学的性質を有するだけでなく、液体電解質の高イオン伝導特性も有する。
【0027】
本開示内容の電解質によれば、電解質の導電率はCiであり、1×10-6S・cm-1≦Ciという条件を満たしてよい。それにより、充放電サイクルで、高イオン導電率が、電解質及び電解質の界面で高いイオン伝導性を提供し、電池の電気容量と性能を効果的に向上させることに寄与する。又は、それは、2×10-6S・cm-1≦Ciという条件を満たしてよい。又は、それは、5×10-6S・cm-1≦Ciという条件を満たしてよい。又は、それは、8×10-6S・cm-1≦Ciという条件を満たしてよい。又は、それは、1×10-5S・cm-1≦Ciという条件を満たしてよい。又は、それは、1.05×10-5S・cm-1≦Ciという条件を満たしてよい。
【0028】
本開示内容の電解質によれば、電解質は少なくとも1つの添加剤を含んでよく、添加剤はクラウンエーテルであってよい。それにより、添加剤は、電気化学的特性を向上させる助剤として、電池の充放電時の安定性を向上させる。
【0029】
本開示内容の更なる態様の一実施形態は、以上に記載の電解質、正極、負極、及び正極と負極との間に設けられるセパレータを含む電池を提供する。
【0030】
本開示内容に記載の不活性基は、アルキル基{Alkyl group;CH3-}、エーテル基{Ether group;-O-}、チオエーテル基{Thioether;-S-O-}、ケトン基{Ketone group;-CO-}、エステル基{Ester group;-COO-}、アシル基{Alkanoyl group;-CO}、ペルオキシ基{Hydroperoxy group;-OO-}、フェニル基{Phenyl group;-Ph}等を含有する低反応性の基であってよく、フェニル基を単位とするフェニルアルキル基、フェニルエーテル基、フェニルケトン基、フェニルアシル基、フェニルエステル基、フェニルペルオキシ基又は多環式芳香族基といった低反応基も使用可能である。本開示内容で不活性基ではない場合、高い反応性を有する基を指し、例えば、ヒドロキシ基{Hydroxy group;-OH}、アミノ基{Amine group;-NH2}、カルボキシル基{Carboxyl group;-COOH}等である。
【0031】
本開示内容に記載の一価アルコールは、1つのヒドロキシ基を含有するアルコールであり、その炭素数が少なくとも2以上であり、ヒドロキシ基は任意の位置の置換基であってもよく、IUPAC命名法によると、主な官能基を含有する最も長い炭素鎖を主鎖とし、官能基に最も近い炭素を1番目の炭素と標記し、数字で置換基の当該炭素に対する位置を表し、炭素鎖の長さによって、その数字は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等であってよく、一価アルコールは、アトロプ異性、シス-トランス異性、立体配座異性、ジアステレオ異性又は鏡像異性等の任意の立体化学構造であってよい。一価アルコールは、1-ヘキサノール{Hexan-1-ol}、2-ヘキサノール{Hexan-2-ol}、3-ヘキサノール{Hexan-3-ol}、2-メチル-1-ペンタノール{2-Methylpentan-1-ol}、3-メチル-1-ペンタノール{3-Methylpentan-1-ol}、4-メチル-1-ペンタノール{4-Methylpentan-1-ol}、2-メチル-2-ペンタノール{2-Methylpentan-2-ol}、3-メチル-2-ペンタノール{3-Methylpentan-2-ol}、4-メチル-2-ペンタノール{4-Methylpentan-2-ol}、2-メチル-3-ペンタノール{2-Methylpentan-3-ol}、3-メチル-3-ペンタノール{3-Methylpentan-3-ol}、2,2-ジメチル-1-ブタノール{2,2-Dimethylbutan-1-ol}、2,3-ジメチル-1-ブタノール{2,3-Dimethylbutan-1-ol}、3,3-ジメチル-1-ブタノール{3,3-Dimethylbutan-1-ol}、2,3-ジメチル-2-ブタノール{2,3-Dimethylbutan-2-ol}、3,3-ジメチル-2-ブタノール{3,3-Dimethylbutan-2-ol}、2-エチル-1-ブタノール{2-Ethylbutan-1-ol}等の異性体を含んでよく、一価アルコールは、エタノール{Ethanol}、1-プロパノール{Propan-1-ol}、1-ブタノール{Butan-1-ol}、1-ペンタノール{Pentan-1-ol}、フェノキシエタノール{2-Phenoxyethanol}、3-フェノキシ-1-プロパノール{3-Phenoxy-1-propanol、プロピレングリコールフェニルエーテル}、1-フェノキシ-2-プロパノール{1-Phenoxy-2-propanol、プロピレングリコールフェニルエーテル}、又は上記の組み合わせを含んでもよい。
【0032】
本開示内容に記載の一塩基酸は、1つのモノプロトン酸を含有し、化合物に1つのカルボキシル基を有するカルボン酸であり、且つ炭素数が少なくとも2以上であり、カルボキシル基は任意の位置の置換基であってもよく、IUPAC命名法によると、主な官能基を含有する最も長い炭素鎖を主鎖とし、前記官能基に最も近い炭素を1番目の炭素と標記し、数字で置換基の当該炭素に対する位置を表し、炭素鎖の長さによって、その数字は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等であってよく、一塩基酸は、アトロプ異性、シス-トランス異性、立体配座異性、ジアステレオ異性又は鏡像異性等の任意の立体化学構造であってよい。前記一塩基酸は、エタン酸{Ethanoic acid}、プロパン酸{Propanoic acid}、ブタン酸{Butanoic acid}、ペンタン酸{Pentanoic acid}、ヘキサン酸{Hexanoic acid}、ヘプタン酸{Heptanoic acid}、オクタン酸{Octanoic acid}、ノナン酸{Nonanoic acid}、デカン酸{Decanoic acid}、安息香酸{Benzoic acid}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0033】
本開示内容に記載の多価アルコールは、複数のヒドロキシ基を含有するアルコールであり、且つ炭素数が少なくとも2以上であり、複数のヒドロキシ基は任意の位置の置換基であってもよく、IUPAC命名法によると、主な官能基を含有する最も長い炭素鎖を主鎖とし、官能基に最も近い炭素を1番目の炭素と標記し、数字で置換基の当該炭素に対する位置を表し、炭素鎖の長さによって、各置換基の位置の数字はいずれも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等であってよく、多価アルコールは、アトロプ異性、シス-トランス異性、立体配座異性、ジアステレオ異性又は鏡像異性等の任意の立体化学構造であってよい。多価アルコールは、エチレングリコール{Ethane-1,2-diol}、1,3-プロパンジオール{Propane-1,3-diol}、1,4-ブタンジオール{Butane-1,4-diol}、1,5-ペンタンジオール{Pentane-1,5-diol}、1,6-ヘキサンジオール{Hexane-1,6-diol}、1,7-ヘプタンジオール{Heptane-1,7-diol}、1,8-オクタンジオール{Octane-1,8-diol}、1,9-ノナンジオール{Nonane-1,9-diol}、1,10-デカンジオール{Decane-1,10-diol}、1,2,3-プロパントリオール{Propane-1,2,3-triol、グリセリン}、トリメチロールエタン{2-(Hydroxymethyl)-2-methylpropane-1,3-diol}、トリメチロールプロパン{2-Ethyl-2-(hydroxymethyl)propane-1,3-diol}、ペンタエリスリトール{2,2-Bis(hydroxymethyl)propane-1,3-diol}、リビトール{D-ribitol}、キシリトール{meso-Xylitol}、ソルビトール{(2S,3R,4R,5R)-Hexane-1,2,3,4,5,6-hexol}、イノシトール{(1R,2S,3r,4R,5S,6s)-Cyclohexane-1,2,3,4,5,6-hexol}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0034】
本開示内容に記載の多塩基酸は、複数のモノプロトン酸を含有し、化合物に複数のカルボキシル基を含有するカルボン酸であり、且つ炭素数が少なくとも2以上であり、複数のカルボキシル基は任意の位置の置換基であってもよく、IUPAC命名法によると、主な官能基を含有する最も長い炭素鎖を主鎖とし、官能基に最も近い炭素を1番目の炭素と標記し、数字で置換基の当該炭素に対する位置を表し、炭素鎖の長さによって、各置換基の位置の数字はいずれも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等であってよく、多塩基酸は、アトロプ異性、シス-トランス異性、立体配座異性、ジアステレオ異性又は鏡像異性等の任意の立体化学構造であってよい。多塩基酸は、エタン二酸{Ethanedioic acid}、プロパン二酸{Propanedioic acid}、ブタン二酸{Butanedioic acid}、ペンタン二酸{Pentanedioic acid}、ヘキサン二酸{Hexanedioic acid}、ヘプタン二酸{Heptanedioic acid}、オクタン二酸{Octanedioic acid}、ノナン二酸{Nonanedioic acid}、デカン二酸{Decanedioic acid}、2-ヒドロキシブタン二酸{2-Hydroxybutanedioic acid}、メチルマロン酸{Methylpropanedioic acid}、cis-ブテン二酸{(Z)-But-2-enedioic acid}、trans-ブテン二酸{(E)-But-2-enedioic acid}、1,2-ベンゼンジカルボン酸{1,2-Benzenedicarboxylic acid}、1,3-ベンゼンジカルボン酸{1,3-Benzenedicarboxylic acid}、1,4-ベンゼンジカルボン酸{1,4-Benzenedicarboxylic acid}、2-ヒドロキシ安息香酸{2-Hydroxybenzoic acid}、フェニルボロン酸{Phenylboronic acid}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0035】
本開示内容に記載のラクトン{Lactone}は、1-オキサシクロアルカン-2-オン{1-oxacycloalkan-2-one}構造を含んでよく、ヒドロキシ基とカルボン酸を含む化合物を指し、分子内縮合により環状カルボン酸エステルモノマーを形成し、環を形成するヒドロキシ基の位置と環内の炭素原子の数によって多様な組み合わせが可能であり、α-アセトラクトン{Oxiran-2-one;α-acetolactone}、β-プロピオラクトン{Oxetan-2-one;β-propiolactone}、γ-ブチロラクトン{Oxolan-2-one;γ-butyrolactone}、γ-バレロラクトン{5-Methyloxolan-2-one;γ-valerolactone}、σ-バレロラクトン{Oxan-2-on;σ-valerolactone}、γ-カプロラクトン{5-Ethyloxolan-2-one;γ-caprolactone}、ε-カプロラクトン{Oxepan-2-one;ε-caprolactone}、δ-グルコノラクトン{D-Glucono-1,5-lactone;δ-gluconolactone}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0036】
本開示内容に記載の環状ジエステル{Lactone cyclic ester}は、2つの同じ又は異なる化合物のいずれにもヒドロキシカルボン酸{Hydroxy acid}を含有し、エステル化縮合により形成された多環式ジエステルモノマーであってよく、グリコリド{1,4-Dioxane-2,5-dione;glycolide}、ラクチド{3,6-Dimethyl-1,4-dioxane-2,5-dione;lactide}、又は上記の組み合わせを含んでよく、原子の空間配列の差異によって形成された立体異性体によれば、ラクチドは、更にLL-ラクチド{(R,R)-3,6-Dimethyl-1,4-dioxane-2,5-dione;LL-lactide}、DD-ラクチド{(S,S)-3,6-Dimethyl-1,4-dioxane-2,5-dione;DD-lactide}、DL-ラクチド{(meso)-3,6-Dimethyl-1,4-dioxane-2,5-dione;DL-lactide}に詳しく分けられる。又は、ヒドロキシ基を含有するカルボン酸化合物は、開環反応せずに、直接共重合してポリマーを形成してもよく、2-ヒドロキシ酢酸{2-Hydroxyacetic acid;glycolic acid}、3-ヒドロキシプロピオン酸{3-Hydroxypropanoic acid;lactic acid}、4-ヒドロキシブタン酸{4-Hydroxybutanoic acid}、5-ヒドロキシペンタン酸{5-Hydroxyvaleric acid}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0037】
本開示内容に記載の炭酸エステル{Carbonate ester}は、炭酸分子におけるヒドロキシ基の水素原子の一部又は全部がアルキル基により置換された化合物であってよく、環状炭酸エステル及び直鎖炭酸エステルに分けられ、直鎖炭酸エステルは、ジメチルカーボネート{Dimethyl carbonate;DMC}、ジエチルカーボネート{Diethyl carbonate;DEC}、ジプロピルカーボネート{Dipropyl carbonate;DPC}、エチルメチルカーボネート{Ethyl methyl carbonate;EMC}、メチルプロピルカーボネート{Methyl propyl carbonate;MPC}、エチルプロピルカーボネート{Ethyl propyl carbonate;EPC}、メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート{Methyl 2,2,2-Trifluoroethyl Carbonate;FEMC}を含んでよい。環状炭酸エステルは、エチレンカーボネート{1,3-Dioxolan-2-one;Ethylene carbonate;EC}、プロピレンカーボネート{4-Methyl-1,3-dioxolan-2-one;Propylene carbonate;PC}、トリメチレンカーボネート{1,3-Dioxan-2-one;Trimethylene carbonate;TMC}、1,2-ブチレンカーボネート{4-Ethyl-1,3-dioxolan-2-one;1,2-Butylene carbonate}、2,3-ブチレンカーボネート{(4R,5S)-4,5-Dimethyl-1,3-dioxolan-2-one;cis-2,3-Butylene carbonate}、1,2-ペンチレンカーボネート{1,2-Pentylene carbonate}、2,3-ペンチレンカーボネート{2,3-Pentylene carbonate}、ビニレンカーボネート{2H-1,3-Dioxol-2-one;Vinylene carbonate;VC}、ビニルエチレンカーボネート{4-Vinyl-1,3-dioxolan-2-one;Vinylethylene carbonate;VEC}、フルオロエチレンカーボネート{4-Fluoro-1,3-dioxolan-2-one;Fluoroethylene carbonate;FEC}、ジフルオロエチレンカーボネート{trans-4,5-Difluoro-1,3-dioxolan-2-one;Difluoroethylene carbonate;DFEC}、ビニレントリチオカーボネート{1,3-Dithiole-2-thione;Vinylene trithiocarbonate}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0038】
本開示内容に記載の開環重合は、環状化合物モノマーが開裂して化学的に結合することで鎖状モノマーとなることであり、開始剤を加えてモノマーの化学反応活性を促進し、モノマーのフリーラジカルの付加重合と共重合反応を誘発し、分子鎖のより長いポリマーを形成してよい。
【0039】
本開示内容に記載の開始剤は、1-ヘキサノール{Hexan-1-ol}、3-フェノキシ-1-プロパノール{3-Phenoxy-1-propanol}、エタン酸{Ethanoic acid}、エチレングリコール{Ethane-1,2-diol}等の一価アルコール、一塩基酸、多価アルコール又は多塩基酸等であってもよく、過酸化水素{Hydrogen peroxide}、過酸化ベンゾイル{Diphenylperoxyanhydride}、ペルオキシアセチルナイトレート{Acetic nitric peroxyanhydride}、ジ-tert-ブチルペルオキシド{2-(tert-Butylperoxy)-2-methylpropane}、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート{Tert-Butyl peroxy-2-ethylhexanoate}、アゾジイソブチロニトリル{2,2’-Azobis(2-methylpropionitrile)}、アゾビスイソヘプタンニトリル{2,2’-Azodi(2,4-dimethylvaleronitrile)}、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン{1-Hydroxycyclohexyl phenyl ketone}、フッ素化ジフェニルチタノセン{Bis(2,6-difluoro-3-(1-hydropyrrol-1-YL)phenyl)titanocene}、ジカルボニルビス(シクロペンタジエニル)チタン{Dicarbonylbis(η5-cyclopentadienyl) titanium}、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン{2-Hydroxy-2-methylpropiophenone}、イソプロピルチオキサントン{2-Isopropylthioxanthone}、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル{Ethyl 4-dimethylaminobenzoate}、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン{2,2-bimethoxy-2-phenylacetophenone}、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド{Phenyl bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphine oxide}、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリン{2-methyl-4’-(methylthio)-2-morpholino-propiopheno}、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン{2-Benzyl-2-(dimethylamino)-4’-morpholinobutyrophenone}、ベンゾフェノン{Diphenylmethanone}、4-クロロベンゾフェノン{4-Chlorobenzophenone}、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン{4,4’-Bis(diethylamino)-benzophenone}、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン{4-(4-Methylphenylthio)benzophenone}、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル{2-ethylhexyl 4-(dimethylamino)benzoate}、フェニルグリオキシル酸メチル{Methyl phenylglyoxylate}、2-ベンゾイル安息香酸メチル{Methyl 2-benzoylbenzoate}、フェニルトリブロモメチルスルホン{Phenyl tribromomethyl sulfone}、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール{2,2’-Bis(2-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-1,2’-biimidazole}、クリスタルバイオレット{4-[bis[4-(dimethylamino)phenyl]methyl]-N,N-dimethylaniline}、又は上記の組み合わせ等のアルキルペルオキシド、アルキルヒドロペルオキシド、ペルオキシエステル、アゾ化合物、ベンゾフェノン類化合物、アルキルアリールケトン類化合物、ベンジル類化合物を含む過酸化物、アリールケトン類であってもよく、開始剤の添加モル数の比は、設計に応じて調整可能であり、例えば、開始剤の添加モル数の比はpとされ、重合前駆体の合計モル数の比はqとされ、p、qは、いずれも0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という0~10のうちの任意の整数であってよい。
【0040】
本開示内容に記載の重合前駆体は、少なくとも1種類のモノマーからなってよく、モノマーは、ラクトン、環状ジエステル又は炭酸エステルから選択され、各モノマーの添加モル数の比は、設計に応じて調整可能であり、例えば、ラクトンの添加モル数の比はaとされ、環状ジエステルの添加モル数の比はbとされ、炭酸エステルの添加モル数の比はcとされ、a、bとcは、いずれも0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という0~10のうちの任意の整数であってよい。
【0041】
本開示内容に記載の触媒は、活性化エネルギーの低い反応経路を補助して全体的な化学反応速度を加速し、開環して重合するように活性化したものであってよく、ポリエステル型多価アルコール、ピリジン類化合物、有機アミン類化合物、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機炭酸の金属塩類、無機酸、無機炭酸の金属塩類、又は上記の組み合わせから選択されてよく、イミノ基{HC-N}又はアルキルイミノ基{RC=N}を含有するスズ、亜鉛、アルミニウム又は他のアルカリ金属化合物を含んでもよい。
【0042】
本開示内容に記載の架橋剤は、複数の線状分子が相互に結合して架橋し、ネットワーク構造を形成し、電解質の電気化学的安定性を補強するように、ポリマーの調製時に添加されてよく、イソシアネート類化合物、エーテル基含有エポキシ樹脂類化合物、アルコール類化合物、アミン類化合物、アジリジン類化合物、又はビニル基含有化合物から選択されてよい。
【0043】
本開示内容に記載の金属塩類は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、LiC4BO8、LiTFSI、LiFSI、LiNO3、LiGaCl4等を含む無機酸リチウム塩、LiCF3SO3、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3等のフッ素含有スルホン酸リチウム塩、LiBF2(C2O4){LiDFOB}、LiB(C2O4)2{LiBOB}、又は上記の組み合わせであってよく、上記金属塩類は、様々な異なる酸化状態を有してよい。
【0044】
本開示内容に記載の正極材料は、リン酸鉄リチウム{LiFePO4}、リチウムマンガン酸化物{LiMnO2、LiMn2O4}、リチウムコバルト酸化物{LiCoO2}、リチウムニッケル酸化物{LiNiO2}、リチウムニッケルコバルト酸化物{LiNiCoO2}、リチウムニッケルマンガン酸化物{LiNiMnO4}、リチウムマンガンコバルト酸化物{LiCoMnO2、LiCoMnO4}、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物{LiNiCoMnO2、LiNiCoMnO4}、又は上記の組み合わせ等の、リチウム又は少なくとも1つの金属を含有するリチウム複合金属酸化物であってよく、上記のリチウム複合金属酸化物は、様々な異なる酸化状態を有してよい。
【0045】
本開示内容に記載の負極材料は、金属リチウム、炭素系材料{グラファイト、Graphite}、シリコン系材料{シリコン、酸化シリコン、シリコン炭素複合体、シリコン合金、又はシリコン粒子とポリマーで形成されたコアシェル複合体}、リチウム含有金属酸化物{Li4Ti5O12}、又は上記の組み合わせであってよい。
【0046】
本開示内容に記載のセパレータは、多孔質構造を有するフィルムであってよく、ポリエチレン{PE}、ポリプロピレン{PP}、ポリエチレンテレフタラート{PET}、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体{ABS}、エポキシ樹脂等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル繊維の単層又は多層膜を含んでよく、又は表面に少なくとも1つのMg(OH)2、MgO、BaSO4、SnO2、NiO、CaO、Al2O3、ZnO、SiO2、TiO2等の無機セラミック複合フィルムを含んでよく、又は上記の組み合わせであり、上記の無機セラミック複合フィルムは、様々な異なる酸化状態を有してよい。
【0047】
本開示内容に記載の添加剤は、エーテル基含有環状化合物、芳香族化合物、リン含有化合物、ホウ素含有化合物、無機酸化物、1,3-プロパンスルトン{Oxathiolane 2,2-dione}、1-プロペン1,3-スルトン{Prop-1-ene-1,3-sultone}、又は上記の組み合わせであってよい。
【0048】
本開示内容に記載のエーテル基含有環状化合物である添加剤は、クラウンエーテル{Crown ether}であってよく、クラウンエーテルは、ビニルオキシ基{-CH2CH2O-}を主な繰り返し単位構造とし、9-クラウン-3{1,4,7-Trioxonane;9-Crown-3}、12-クラウン-4{1,4,7,10-Tetraoxacyclododecane;12-Crown-4}、15-クラウン-5{1,4,7,10,13-Pentaoxacyclopentadecane;15-Crown-5}、18-クラウン-6{1,4,7,10,13,16-Hexaoxacyclooctadecane;18-Crown-6}、21-クラウン-7{1,4,7,10,13,16,19-Heptaoxacycloheneicosane;21-Crown-7}、ジベンゾ-18-クラウン-6{6,7,9,10,17,18,20,21-Octahydrodibenzo[b,k][1,4,7,10,13,16]hexaoxacyclooctadecine;Dibenzo-18-crown-6}、ジアザ-18-クラウン-6{1,4,10,13-tetraoxa-7,16-diazacyclooctadecane;Diaza-18-crown-6}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0049】
本開示内容に記載の芳香族化合物である添加剤は、メトキシベンゼン{Methoxybenzene}、エチニルアニソール{1-Ethynyl-4-methoxybenzene}、tert-ブチルベンゼン{tert-Butylbenzene}、フルオロベンゼン{Fluorobenzene}、1,2-ジフルオロベンゼン{1,2-Difluorobenzene}、ジフェニルエーテル{1,1’-Oxydibenzene}、ターフェニル{1,4-Diphenylbenzene}、4-tert-ブチル-2-フルオロアニリン{2-Fluoro-4-(2-methyl-2-propanyl)aniline}、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン{N-[3-(Trimethoxysilyl)propyl]aniline}、又は上記の組み合わせを含んでよい。
【0050】
本開示内容に記載のリン含有化合物である添加剤は、亜リン酸トリス(トリメチルシリル){Tris(trimethylsilyl) phosphite;TMSPi}、亜リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル) {Tris(2,2,2-trifluoroethyl) phosphite}、亜リン酸トリフェニル{Triphenyl phosphite}、エトキシ(ペンタフルオロ)シクロトリホスファゼン{1,3,5,2,4,6-triazatriphosphorine;2-ethoxy-2,4,4,6,6-pentafluoro-2,2,4,4,6,6-hexahydro-}、又は上記の組み合わせであってよい。
【0051】
本開示内容に記載のホウ素含有化合物である添加剤は、ホウ酸トリメチル{Trimethyl borate}、ホウ酸トリス(トリメチルシリル){Tris(trimethylsilyl) borate}、トリメチルボロキシン{2,4,6-trimethyl-1,3,5,2,4,6-trioxatriborinane}、又は上記の組み合わせであってよい。
【0052】
本開示内容に記載の無機酸化物である添加剤は、リチウムランタンジルコニウム酸化物{LiLaZrO}、リチウムランタンジルコニウムタンタル酸化物{LiLaZrTaO}、リチウムランタンチタン酸化物{LiLaTiO}、リン酸リチウム{LiPO}、フルオロリン酸リチウム{LiPOF}、リン酸リチウムチタン{LiTiPO}、リン酸リチウムアルミニウムゲルマニウム{LiAlGeP}、リン酸リチウムアルミニウムチタン酸化物{LiAlTiPO}、リチウムゲルマニウムリン酸硫化物{LiGePSO}、リチウムスズリン酸硫化物{LiSnPSO}、鉛ジルコニウムチタン酸化物{PbZrTiO}、鉛ランタンジルコニウムチタン酸化物{PbLaZrTiO}、バリウムチタン酸化物{BaTiO}等の様々な異なる酸化状態を有してよい複合材料、又は、高分子電解質の結晶化度を低下させ、更にイオン導電率と電解質の物理的又は機械的強度を増やし、電池のサイクル寿命を延長するのに寄与することができるAl2O3、TiO2、SiO2、SnO2、NiO、ZnO、CaO、MgO、ZrO2、CeO2、Y2O3等であってよい。
【0053】
本開示内容に記載の直鎖は、モノマーが主に一方向に重合して長い直鎖状ポリマーとなることを表す。
【0054】
本開示内容に記載の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography;GPC)を採用したものであり、高分子ポリマーの分子量の大きさと分布を測定するために使用可能であり、主に高分子が固定相(Stationary Phase)を通過して大きさの異なりによって分離されることを利用し、分子量の大きいものは、その保持時間が短く、逆に、分子量の小さいものは、その保持時間が長い。ポリマーに対して、標準品の保持時間(溶離ボリュームであってもよい)及び分子量の検量線と比較し、ポリマーの相対分子量の大きさを得て、これによって重量平均分子量と数平均分子量を求め、更にポリマーの分子量の分散性を把握することができる。
【0055】
本開示内容に記載の重量平均分子量は、統計学的な観点から記述され、全体分子量と個別分子量に分けられる。全体分子量は、保持時間(溶離ボリュームであってもよい)と相対濃度の関係データにおいて、被測定範囲を全体ピークとし、加重平均して全体ピーク値を得て、標準品の検量線と比較し、ポリマーの全体分子量を求めることができる。個別分子量は、保持時間(溶離ボリュームであってもよい)と相対濃度の関係データにおいて、被測定範囲内で個別ピークを明らかに区別することができ、その区別標準は、まず被測定範囲内の最大相対濃度値を得て、相対濃度値が少なくとも最大相対濃度値の5%以上であることを満たすピークを、保持時間の短い順に第1のピーク値、第2のピーク値、第3のピーク値、第4のピーク値、第5のピーク値、第6のピーク値、第7のピーク値、第8のピーク値、第9のピーク値、第10のピーク値等と順次命名し、このように類推し、且つ個別に標準品の検量線と比較し、前記ポリマーの個別分子量を求めることができ、最大相対濃度値の2%を被測定範囲の選択時のカットオフ標準とし、個別ピークのオーバーラップ割合が大き過ぎることで区別し難い場合、全体分子量のみを計算すればよい。
【0056】
本開示内容に記載の導電率は、電気化学インピーダンス分光法(Electrochemical impedance spectroscopy;EIS)を採用したものであり、ポリマー又は電解質に1Hz~1000kHz、振幅50mVの交流を印加し、抵抗値を計測し、更にCi=(1/R)×(L/A)という式により導電率を計算し、ただし、Ci(S・cm-1)は導電率であり、R(Ω)は抵抗値であり、L(cm)は両電極のピッチであり、A(cm2)は被測定物と電極の断面積であり、L/Aは導電率係数(cm-1)として表されてよい。
【0057】
本開示内容に記載の電気化学的安定性は、リニアスイープボルタンメトリ(Linear sweep voltammetry;LSV)を採用したものであり、0.1V/sのスイープ速度で、Li/Li+相対電圧が-5V~5Vにある条件で循環して測定され、対応して生じた電流と電位の関係の変化結果を得ることができる。
【0058】
本開示内容に記載の引火点は、物質が大気圧で揮発したガスが火源と接触すると発火する最低温度を表すことができ、測定方法は、オープンカップ式とクローズドカップ式に分けることができ、オープンカップ式はクリーブランドオープンカップ法であってよく、使用される計器としてASTM D92が挙げられ、クローズドカップ式はペンスキーマルテンス(Pensky-Martens)クローズドカップ法、タグクローズドカップ法と小規模クローズドカップ法であってよく、使用される計器としてASTM D56、ASTM D93、ASTM D7094が挙げられる。ポリマーの引火点はFpp(℃)とされ、80℃<Fpp<500℃、100℃<Fpp<400℃、120℃<Fpp<350℃、150℃<Fpp<250℃、又は200℃<Fpp<500℃という条件を満たす。電解質の引火点はFpe(℃)とされ、80℃<Fpe<500℃、100℃<Fpe<400℃、120℃<Fpe<350℃、150℃<Fpe<250℃、又は200℃<Fpe<500℃という条件を満たす。本開示内容に記載のゲル状態のポリマー又はゲル状態の電解質は、引火点範囲が20℃~80℃の市販されている液体電解質と比べ、高い引火点を有し、高温耐性機能を備えることを表し、電池の使用時の安全性を高め、サイクル寿命を延長し、過熱によって電池内部が短絡して安全上の懸念が招かれることを回避するのに寄与する。
【0059】
本開示内容に記載のポリマーは、モノマーの重合効率を向上させ、又はリチウム塩の溶解度を増やし、又は導電率を向上させるように、脱水と精製、抽出、大気での高温加熱、高温蒸留、高温真空乾燥、低温真空乾燥等の再処理が行われてよい。
【0060】
本開示内容に記載の分子量は、その表し方として数平均分子量と重量平均分子量であってよい。数平均分子量は、分子数で平均分子量を統計し、高分子ポリマーの全ての分子の総重量を分子の総モル数で割ったものである。重量平均分子量は、重量で平均分子量を統計し、高分子ポリマーの各量体の分子量に総重量におけるその割合をかけたものである。重量平均分子量と数平均分子量の比は、高分子ポリマーの分子量の分散程度を表すことができ、比が1に近いほど、分子量の分布状況が均一であることを表し、比の数値が大きいほど、分子量の分布状況が分散することを表す。
【0061】
本開示内容に記載の電池は、正極、負極、セパレータ、及び電解質を含んでよく、セパレータは、正極と負極との間に設けられてよく、電解質は電池全体の内部構造に満ちてよい。
【0062】
本開示内容に記載の電池は、一次電池又は二次電池であってよく、一次電池又は二次電池の電気化学的キャリアは、ボタン型キャリア、巻回型キャリア又は積層型キャリアのうちの少なくとも1つであってよく、デジタルカメラ、携帯電話、ノートパソコン、ゲーム機のハンドル等の、軽量・薄型の設計を必要とする携帯型電子製品に適用可能であり、軽量電気自動車、電気自動車等の大型蓄電産業にも適用可能である。
【0063】
上記実施形態に基づき、以下、具体的な実施例を提案して詳細に説明する。
【0064】
<第1の比較例>
【0065】
表1には、第1の比較例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第1の比較例に係るポリマーを含む電解質の性質が示され、Meは重合前駆体に含まれる炭酸エステルの合計モル数であり、Mlcは重合前駆体に含まれるラクトンと環状ジエステルとの合計モル数であり、Tgはポリマーのガラス転移温度であり、Tmはポリマーの融点であり、VCはポリマーの粘度であり、Fppはポリマーの引火点であり、Mwはポリマーの重量平均分子量であり、Mnはポリマーの数平均分子量であり、Rは電解質の抵抗値であり、L/Aは電解質の導電率係数であり、Ciは電解質の導電率の数値である。
【表1】
【0066】
以下の各比較例と実施例のパラメータの定義は、何れも第1の比較例の表1におけるパラメータの定義と同じであるため、以下、繰り返して説明しない。
【0067】
<第2の比較例>
【0068】
表2には、第2の比較例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第2の比較例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表2】
【0069】
<第3の比較例>
【0070】
表3には、第3の比較例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第3の比較例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表3】
【0071】
<第4の比較例>
【0072】
第4の比較例は、重合されていない異なるモノマーの性質を示し、表4には、第4の比較例に係る材料の性質、材料の分子量の詳細な数値及び第4の比較例に係る材料を含む電解質の性質が示されている。
【表4】
【0073】
<第1の実施例>
【0074】
表5には、第1の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第1の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表5】
【0075】
<第2の実施例>
【0076】
表6には、第2の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第2の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表6】
【0077】
<第3の実施例>
【0078】
表7には、第3の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第3の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表7】
【0079】
<第4の実施例>
【0080】
表8には、第4の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第4の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表8】
【0081】
<第5の実施例>
【0082】
表9には、第5の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第5の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表9】
【0083】
<第6の実施例>
【0084】
表10には、第6の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第6の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表10】
【0085】
<第7の実施例>
【0086】
表11には、第7の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第7の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表11】
【0087】
<第8の実施例>
【0088】
表12には、第8の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第8の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表12】
【0089】
<第9の実施例>
【0090】
表13には、第9の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第9の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表13】
【0091】
<第10の実施例>
【0092】
表14には、第10の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第10の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表14】
【0093】
<第11の実施例>
【0094】
表15には、第11の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第11の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表15】
【0095】
<第12の実施例>
【0096】
表16には、第12の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第12の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表16】
【0097】
<第13の実施例>
【0098】
表17には、第13の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第13の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表17】
【0099】
<第14の実施例>
【0100】
表18には、第14の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第14の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表18】
【0101】
<第15の実施例>
【0102】
表19には、第15の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第15の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表19】
【0103】
<第16の実施例>
【0104】
表20には、第16の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第16の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表20】
【0105】
<第17の実施例>
【0106】
表21には、第17の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第17の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表21】
【0107】
<第18の実施例>
【0108】
表22には、第18の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第18の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表22】
【0109】
<第19の実施例>
【0110】
表23には、第19の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第19の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表23】
【0111】
<第20の実施例>
【0112】
表24には、第20の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第20の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表24】
【0113】
<第21の実施例>
【0114】
表25には、第21の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第21の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表25】
【0115】
<第22の実施例>
【0116】
表26には、第22の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第22の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表26】
【0117】
<第23の実施例>
【0118】
表27には、第23の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第23の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表27】
【0119】
<第24の実施例>
【0120】
表28には、第24の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第24の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表28】
【0121】
<第25の実施例>
【0122】
表29には、第25の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第25の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表29】
【0123】
<第26の実施例>
【0124】
表30には、第26の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第26の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表30】
【0125】
<第27の実施例>
【0126】
表31には、第27の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第27の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表31】
【0127】
<第28の実施例>
【0128】
表32には、第28の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第28の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表32】
【0129】
<第29の実施例>
【0130】
表33には、第29の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第29の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表33】
【0131】
<第30の実施例>
【0132】
表34には、第30の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第30の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表34】
【0133】
<第31の実施例>
【0134】
表35には、第31の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第31の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表35】
【0135】
<第32の実施例>
【0136】
表36には、第32の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第32の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表36】
【0137】
<第33の実施例>
【0138】
表37には、第33の実施例に係るポリマーの性質、ポリマーの分子量の詳細な数値及び第33の実施例に係るポリマーを含む電解質の性質が示されている。
【表37】
【0139】
具体的には、実施例33においてASTM D93を使用してテストしたFppは128℃であり、実施例33においてASTM D7094を使用してテストしたFppは122℃であった。
【0140】
本開示内容は、実施形態により前述の通りに開示されたが、実施形態が本開示内容を限定するものではなく、当業者であれば、本開示内容の精神と範囲から逸脱しない限り、種々の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示内容の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。