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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】シール材
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20240917BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20240917BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20240917BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240917BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
C09K3/10 Z
C08L71/00 A
C08L9/00
F16J15/10 Y
C08L23/08
C09K3/10 M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023032497
(22)【出願日】2023-03-03
(65)【公開番号】P2024124665
(43)【公開日】2024-09-13
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家泉 直文
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】木挽 一彦
(72)【発明者】
【氏名】伊東 隆男
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-048947(JP,A)
【文献】特開平05-140247(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106337797(CN,A)
【文献】特開2005-213499(JP,A)
【文献】特開2011-016907(JP,A)
【文献】特開2021-066844(JP,A)
【文献】特表2009-509012(JP,A)
【文献】特表2009-509305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/10- 3/18
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
F16J15/00- 15/14
C09J 7/00- 7/14
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・αオレフィン・ジエンゴムと、パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物と、を含有する未架橋ゴム組成物が架橋して形成されたシール材であって、
前記パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物が分子内に複数のアルケニル基を有するシール材。
【請求項2】
請求項1に記載されたシール材において、
前記エチレン・αオレフィン・ジエンゴムがエチレン・ブテン・ジエン三元共重合体を含むシール材。
【請求項3】
請求項1に記載されたシール材において、
前記未架橋ゴム組成物が共架橋剤を更に含有するシール材。
【請求項4】
請求項に記載されたシール材において、
前記共架橋剤が液状ポリブタジエンを含むシール材。
【請求項5】
請求項に記載されたシール材において、
前記共架橋剤の前記液状ポリブタジエンのビニル含有量が5質量%以上70質量%以下であるシール材。
【請求項6】
請求項1に記載されたシール材において、
前記エチレン・αオレフィン・ジエンゴムのエチレン含量が40質量%以上70質量%以下であるシール材。
【請求項7】
請求項1に記載されたシール材において、
前記エチレン・αオレフィン・ジエンゴムのジエン成分がエチリデンノルボルネンであり、そのジエン含量が3質量%以上10質量%以下であるシール材。
【請求項8】
請求項1に記載されたシール材において、
前記パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物が一液型材料であるシール材。
【請求項9】
請求項1に記載されたシール材において、
前記未架橋ゴム組成物における前記パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物の含有量が、前記エチレン・αオレフィン・ジエンゴム100質量部に対して5質量部以上40質量部以下であるシール材。
【請求項10】
請求項1に記載されたシール材において、
前記未架橋ゴム組成物が、前記エチレン・αオレフィン・ジエンゴムに分散した粉体フィラーを更に含有するシール材。
【請求項11】
請求項10に記載されたシール材において、
前記粉体フィラーは、PVdF樹脂フィラー、カーボンブラック及びシリカのうちの1種又は2種以上を含むシール材。
【請求項12】
請求項10に記載されたシール材において、
前記粉体フィラーの平均粒子径が0.01μm以上20μm以下であるシール材。
【請求項13】
請求項10に記載されたシール材において、
前記未架橋ゴム組成物における前記粉体フィラーの含有量が、前記エチレン・αオレフィン・ジエンゴム100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であるシール材。
【請求項14】
請求項に記載されたシール材において、
前記共架橋剤の前記液状ポリブタジエンの数平均分子量が2000以上15000以下であるシール材。
【請求項15】
請求項に記載されたシール材において、
前記未架橋ゴム組成物における前記共架橋剤の含有量が、前記エチレン・αオレフィン・ジエンゴム100質量部に対して0.3質量部以上30量部以下であるシール材。
【請求項16】
請求項1に記載されたシール材において、
前記未架橋ゴム組成物が架橋したゴム組成物は、JIS K6253-3:2012に基づいてタイプAデュロメータで測定される硬さがA40以上A70以下であり、かつ、JIS K6251:2017に基づいて測定される引張強さが2MPa以上、伸びEbが100%以上500%以下及び100%伸びにおける引張応力が1MPa以上6MPa以下であるシール材。
【請求項17】
請求項1に記載されたシール材において、
前記シール材がプラズマを使用する装置に使用されるシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素ゴムで形成されたシール材が広く知られている。例えば、特許文献1には、架橋性フッ素ゴムと反応性フッ素系化合物とを含有する未架橋ゴム組成物が架橋して形成されたシール材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5189728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、耐プラズマ性及び低温でのシール性が優れるシール材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エチレン・αオレフィン・ジエンゴムと、パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物とを含有する未架橋ゴム組成物が架橋して形成されたシール材であって、前記パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物が分子内に複数のアルケニル基を有する
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エチレン・αオレフィン・ジエンゴムと、パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物とを含有する未架橋ゴム組成物が架橋したものであることにより、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0008】
実施形態に係るシール材は、例えば半導体のエッチング装置やプラズマCVD装置のようなプラズマを使用する装置に使用されるOリングである。
【0009】
実施形態に係るシール材は、エチレン・αオレフィン・ジエンゴム(以下「A成分」という。)と、パーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物(以下「B成分」という。)とを含有する未架橋ゴム組成物が架橋したものである。
【0010】
実施形態に係るシール材によれば、A成分とB成分とを含有する未架橋ゴム組成物が架橋したものであることにより、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得ることができる。
【0011】
ここで、A成分としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(以下「EPDM」という。)、エチレン・ブテン・ジエン三元共重合体(以下「EBT」という。)等が挙げられる。A成分は、これらのうちの一方又は両方を含むことが好ましく、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得る観点から、少なくともEBTを含むことがより好ましい。
【0012】
A成分におけるαオレフィン成分としては、例えば、プロピレン、ブテン等が挙げられる。αオレフィン成分は、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得る観点から、ブテンであることが好ましい。A成分におけるジエン成分としては、例えば、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン等が挙げられる。ジエン成分は、上記と同様の観点から、エチリデンノルボルネンであることが好ましい。
【0013】
A成分におけるエチレン含量は、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得る観点から、好ましくは40質量%以上70質量%以下であり、αオレフィン成分がプロピレンの場合には、55質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、αオレフィンがブテンの場合には、48質量%以上53質量%以下であることがより好ましい。このエチレン含量は、ASTM D 3900に基づいて測定されるものである。
【0014】
ジエン成分がエチリデンノルボルネンの場合、A成分におけるENB含量(ジエン含量)は、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得る観点から、好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、αオレフィン成分がプロピレンの場合には、3.5質量%以上5.5質量%以下であることがより好ましく、αオレフィンがブテンの場合には、6.5質量%以上7.5質量%以下であることがより好ましい。このENB含量は、ASTM D 6047に基づいて測定されるものである。
【0015】
未架橋ゴム組成物は、A成分がゴム成分の主体となるのであれば、A成分以外のゴム成分を含有していてもよい。A成分以外のゴム成分としては、例えば、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、水素化ニトリルゴム等が挙げられる。
【0016】
B成分は、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得る観点から、A成分に均一に混合されたパーフルオロポリエーテル骨格を有する化合物の液体材料であることが好ましく、一液型材料であることがより好ましい。
【0017】
B成分は、付加重合してA成分を架橋させる共架橋剤としての機能も果たすとともに、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得る観点から、分子内に複数のアルケニル基を有することが好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。アルケニル基は、上記と同様の観点から、これらのうちのビニル基が好ましい。分子内の複数のアルケニル基は、同一であっても、異なっていても、どちらでもよい。
【0018】
未架橋ゴム組成物におけるB成分の含有量は、優れた耐プラズマ性及び低温でのシール性を得る観点から、A成分100質量部に対し、好ましくは5質量部以上40質量部以下、より好ましくは15質量部以上35質量部以下、更に好ましくは20質量部以上30質量部以下である。
【0019】
B成分の市販材料としては、例えば、信越化学工業社製のSIFELが挙げられ、特にSIFEL3000シリーズが好ましい。
【0020】
未架橋ゴム組成物は、A成分に分散した粉体フィラーを含有していてもよい。粉体フィラーとしては、例えば、PVdF樹脂フィラー、カーボンブラック、シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等が挙げられる。粉体フィラーは、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましく、PVdF樹脂フィラー、カーボンブラック、及びシリカのうちの1種又は2種以上を含むことがより好ましく、プラズマ雰囲気で使用されてもパーティクルの発生が抑制される観点から、PVdF樹脂フィラーを含むことが更に好ましい。PVdF樹脂フィラーの市販材料としては、例えば、アルケマ社製のカイナーシリーズが挙げられる。
【0021】
カーボンブラックとしては、例えば、MT(N990)、FEF(N550)、GPF(N600)、FT(N880)等が挙げられる。カーボンブラックは、これらのうちのMTを含むことが好ましい。
【0022】
シリカとしては、例えば、ヒュームドシリカなどの乾式法シリカ、沈澱シリカなどの湿式法シリカが挙げられる。また、シリカは、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、ヘキサオルガノジシラザン、オルガノシロキサンオリゴマー等で表面が疎水化処理されていてもよい。シリカは、これらのうちの乾式法シリカを含むことが好ましく、オルガノクロロシランで表面が疎水化処理された乾式法シリカを含むことがより好ましく、ジメチルジクロロシランで表面が疎水化処理されたヒュームドシリカを含むことが更に好ましい。
【0023】
粉体フィラーの平均粒子径は、架橋後に優れた機械的特性が得られる観点から、好ましくは0.01μm以上20μm以下、より好ましくは0.1μm以上18μm以下、更に好ましくは5μm以上15μm以下、より更に好ましくは8μm以上12μm以下である。
【0024】
未架橋ゴム組成物における粉体フィラーの含有量は、架橋後に優れた機械的特性が得られる観点から、A成分100質量部に対し、好ましくは1質量部以上30質量部以下、好ましくは5質量部以上15質量部以下、より好ましくは8質量部以上12質量部以下である。
【0025】
未架橋ゴム組成物は、A成分を架橋させるための架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、ポリオール、ポリアミン、トリアジン等が挙げられる。架橋剤は、これらのうちの有機過酸化物が好ましい。
【0026】
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。架橋剤は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましく、ジクミルパーオキサイドを含むことがより好ましい。
【0027】
未架橋ゴム組成物における架橋剤の有機過酸化物の含有量は、A成分100質量部に対し、好ましくは1質量部以上6質量部以下、より好ましくは1.5質量部以上5質量部以下である。
【0028】
未架橋ゴム組成物は、架橋剤とともにA成分を架橋させるための共架橋剤を含有していてもよい。共架橋剤としては、例えば、液状ポリブタジエン、アミルフェノールジサルファイド重合物、m-フェニレンジマレイミド、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。共架橋剤は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましく、A成分との混練加工性が優れるとともに、架橋後に優れた機械的特性が得られる観点から、主鎖及び側鎖の両方に架橋点となる二重結合を有する低粘度の液状ポリブタジエンを含むことがより好ましい。
【0029】
液状ポリブタジエンは、1,2付加重合部分と1,4付加重合部分とを含む。液状ポリブタジエンにおける1,2付加重合部分の含有量(ビニル含有量)は、好ましくは1質量%以上95質量%以下、より好ましくは5質量%以上70質量%以下である。液状ポリブタジエンの数平均分子量は、好ましくは2000以上15000以下、より好ましくは8000以上10000以下である。
【0030】
未架橋ゴム組成物における共架橋剤の含有量は、A成分100質量部に対し、好ましくは0.3質量部以上30量部以下であり、液状ポリブタジエン、m-フェニレンジマレイミドの場合には、5質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、アミルフェノールジサルファイド重合物の場合には、0.5質量部以上1.5質量部以下であることがより好ましく、トリアリルイソシアヌレートの場合には、2質量部以上6質量部以下がより好ましい。
【0031】
未架橋ゴム組成物は、必要に応じて、加工助剤、老化防止剤、可塑剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等のその他のゴム配合剤を含有していてもよい。
【0032】
実施形態に係るシール材は、以上のA成分及びB成分を含有する未架橋ゴム組成物を調製し、その未架橋ゴム組成物を架橋させる、つまり、ゴム成分のA成分を架橋させることにより製造することができる。したがって、シール材は、未架橋ゴム組成物を架橋させたゴム組成物で形成される。このときの架橋手段としては、典型的には、加熱及び加圧して架橋剤により未架橋ゴム組成物を架橋させる方法が挙げられる。また、この場合、加熱及び加圧による一次架橋処理を行った後、加熱炉内に所定時間保持する二次架橋処理、又は、放射線を照射する二次架橋処理を行ってもよい。
【0033】
シール材を形成するゴム組成物の硬さHsは、好ましくはA40以上A70以下、より好ましくはA50以上A60以下である。この硬さHsは、JIS K6253-3:2012に基づいてタイプAデュロメータで測定されるものである。
【0034】
ゴム組成物Xの引張強さTbは、好ましくは2MPa以上、より好ましくは5MPa以上、更に好ましくは8MPa以上である。ゴム組成物の伸びEbは、好ましくは100%以上500%以下、より好ましくは130%以上250%以下、更に好ましくは150%以上200%以下である。ゴム組成物の100%伸びにおける引張応力S100は、好ましくは1MPa以上6MPa以下、より好ましくは2MPa以上5MPa以下、更に好ましくは3MPa以上4MPa以下である。これらの引張強さTb、伸びEb、及び100%伸びにおける引張応力S100は、JIS K6251:2017に基づいて測定されるものである。
【実施例
【0035】
(未架橋ゴム組成物)
以下の実施例1乃至14及び比較例1乃至2の未架橋ゴム組成物を調製した。それぞれの構成は表1にも示す。
【0036】
<実施例1>
EPDM(三井EPT3070 三井化学社製、エチレン含量:58質量%、ENB含量:4.7質量%)をA成分とし、このA成分100質量部に対して、B成分(SIFEL3000シリーズ X-71-359 信越化学工業社製)24質量部、PVdF樹脂フィラー(カイナーMG 15 アルケマ社製、平均粒子径:10μm)10質量部、架橋剤の有機過酸化物(ジクミルパーオキサイド)4質量部、及び共架橋剤の液状ポリブタジエン1(NISSO-PB B-3000 日本曹達社製、ビニル含有量:90%以上、数平均分子量:3200)10質量部を配合して混練した未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例1とした。
【0037】
<実施例2>
EBT(メタロセンEBT K-9330M 三井化学社製、エチレン含量:50質量%、ENB含量:7.1質量%)をA成分とし、このA成分100質量部に対して、B成分24質量部、PVdF樹脂フィラー10質量部、架橋剤の有機過酸化物2質量部、及び共架橋剤の液状ポリブタジエン2(クラプレンLBR-352 クラレ社製、ビニル含有量:5乃至70%、数平均分子量:9000)15質量部を配合して混練した未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例2とした。
【0038】
<実施例3>
液状ポリブタジエン2の配合量を、A成分100質量部に対して10質量部としたことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例3とした。
【0039】
<実施例4>
液状ポリブタジエン2の配合量を、A成分100質量部に対して20質量部としたことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例4とした。
【0040】
<実施例5>
架橋剤の有機過酸化物の配合量を、A成分100質量部に対して3質量部としたことを除いて実施例3と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例5とした。
【0041】
<実施例6>
架橋剤の有機過酸化物の配合量を、A成分100質量部に対して3質量部としたことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例6とした。
【0042】
<実施例7>
架橋剤の有機過酸化物の配合量を、A成分100質量部に対して4質量部としたことを除いて実施例3と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例7とした。
【0043】
<実施例8>
PVdF樹脂フィラーに代えて、カーボンブラックのMT(THERMAX N990 Cancarb社製、平均粒子径:0.3μm)を、A成分100質量部に対して10質量部配合するとともに、共架橋剤の液状ポリブタジエン2に代えて、共架橋剤のアミルフェノールジサルファイド重合物(サンセラーAP 三新化学社製)を、A成分100質量部に対して1質量部配合したことを除いて実施例7と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例8とした。
【0044】
<実施例9>
カーボンブラックのMTに代えて、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性の乾式シリカ(アエロジルR972 エボニック社製、平均粒子径:0.02μm)を、A成分100質量部に対して10質量部配合したことを除いて実施例8と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例9とした。
【0045】
<実施例10>
共架橋剤の液状ポリブタジエン2に代えて、共架橋剤のアミルフェノールジサルファイド重合物を、A成分100質量部に対して1質量部配合したことを除いて実施例7と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例10とした。
【0046】
<実施例11>
共架橋剤の液状ポリブタジエン2に代えて、共架橋剤のm-フェニレンジマレイミド(バルノックPM 大内新興化学工業社製)を、A成分100質量部に対して10質量部配合したことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例11とした。
【0047】
<実施例12>
共架橋剤の液状ポリブタジエン2に代えて、共架橋剤のトリアリルイソシアヌレート(TAIC 三菱ケミカル社製)を、A成分100質量部に対して4質量部配合したことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例12とした。
【0048】
<実施例13>
PVdF樹脂フィラーの配合量を、A成分100質量部に対して12質量部配合したことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例13とした。
【0049】
<実施例14>
PVdF樹脂フィラーの配合量を、A成分100質量部に対して18質量部配合したことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを実施例14とした。
【0050】
<比較例1>
B成分を配合していないことを除いて実施例2と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを比較例1とした。
【0051】
<比較例2>
B成分を配合していないことを除いて実施例9と同一配合の未架橋フッ素ゴム組成物を作製し、それを比較例2とした。
【0052】
【表1】
【0053】
(試験方法及びその結果)
上記未架橋ゴム組成物を架橋させたゴム組成物の試験片を作製し、それを用いて以下の試験を実施した。その結果を表2及び3に示す。
【0054】
<硬さ>
実施例1乃至14及び比較例1乃至2のそれぞれの未架橋ゴム組成物を架橋させて作製した厚さ2mmのシート状のゴム組成物を3枚重ねて試験片とし、JIS K6253-3:2012に基づいて、タイプAデュロメータを用い、加圧板を試験片に接触させた瞬間値として硬さHsを測定した。
【0055】
<引張特性>
実施例1乃至14及び比較例1乃至2のそれぞれの未架橋ゴム組成物を架橋させて作製したシート状のゴム組成物からダンベル状3号形の試験片を切り出し、JIS K6251:2017に基づいて、引張強さTb、伸びEb、及び100%伸びにおける引張応力S100を測定した。
【0056】
<耐プラズマ性>
実施例1乃至13及び比較例1乃至2のそれぞれの未架橋ゴム組成物を架橋させて作製したAS-214 Oリングを試験片とし、それをプラズマ暴露装置(神港精機社製)にセットするとともに、Oガス及びCFガスを50:1の体積比で混合した混合ガスを用い、周波数2.45GHz、圧力100Pa、及び出力1500Wの条件で発生させたプラズマに30分間曝露した。そして、そのときの発塵の有無を目視で確認した。また、その前後の質量から下記式に基づいて質量減少率を算出した。
質量減少率(%)={(曝露前質量-曝露後質量)/曝露前質量}×100
【0057】
<Heリーク試験>
実施例2、7、及び10並びにフッ素ゴム及びシリコーンゴムのそれぞれの未架橋ゴム組成物を架橋させて作製したAS-214 Oリングを試験片とし、それをHeリーククディテクター(INFICON社製)にセットするとともに、試験温度23℃及び-50℃のそれぞれにおいて、He流量80ml/min及びOリングつぶし率25%とする条件でのHeリーク量を測定した。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、シール材の技術分野について有用である。