(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】車両用クリーナシステム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
B60S1/62 110
B60S1/62 120B
B60S1/62 110B
B60S1/62 110A
(21)【出願番号】P 2023074843
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2019525456の分割
【原出願日】2018-06-12
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2017115871
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017115874
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017115876
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017115878
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】河村 和貴
(72)【発明者】
【氏名】阪井 健
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-244417(JP,A)
【文献】特開2015-231765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 - 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の情報を取得可能なセンサを洗浄するセンサクリーナと、
ユーザが操作可能で、ユーザの操作に応じて信号を出力する操作部と、
前記操作部の出力する信号によらずに前記センサクリーナを作動させる自動洗浄モードを実行可能に構成されている制御部を有し、
前記制御部は、前記自動洗浄モードを実行中に前記操作部からの信号が入力されたときに前記センサクリーナを作動させ
、
前記制御部は、前記自動洗浄モードを実行中に、割込み禁止モードに設定されている場合は、前記操作部からの信号の入力に基づく前記センサクリーナの作動は実行しない、車両用クリーナシステム。
【請求項2】
洗浄液の残量が少ない場合に前記割込み禁止モードが設定される、請求項
1に記載の車両用クリーナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クリーナシステムに関する。
【0002】
また、本発明は、洗浄対象物を洗浄する車両用クリーナシステムおよび車両用クリーナシステムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0003】
車両用のヘッドランプクリーナが特許文献1などにより知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は自動運転可能な車両の開発が試みられている。自動運転を実現するにあたっては、LiDARやカメラなどの感度を良好に維持することが求められる。そこで、ヘッドランプを洗浄する他に、LiDARやカメラなどのセンサを洗浄するクリーナが求められている。
本発明は、センサクリーナを有する、使い勝手の良い車両用クリーナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
車両の周囲の情報を取得可能なセンサを洗浄するセンサクリーナと、
ユーザが操作可能で、ユーザの操作に応じて信号を出力する操作部と、
前記操作部の出力する信号によらずに前記センサクリーナを作動させる自動洗浄モードを実行可能に構成されている制御部を有し、
前記制御部は、前記自動洗浄モードを実行中に前記操作部からの信号が入力されたときに前記センサクリーナを作動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一側面によれば、センサクリーナを有する、使い勝手の良い車両用クリーナシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態~第三実施形態に係る車両用クリーナシステムを搭載した車両の上面図である。
【
図4】第一実施形態に係るモードA~Iを示すテーブルである。
【
図16】第二実施形態に係る車両用クリーナシステムが実行する処理のフローチャートである。
【
図17】第三実施形態に係るモード1のタイミングチャートである。
【
図20】モード1の変形例のタイミングチャートである。
【
図21】モード1の変形例のタイミングチャートである。
【
図22】本発明の変形例に係るクリーナシステムのタイミングチャートである。
【
図23】第四実施形態に係る車両用クリーナシステムを搭載した車両の上面図である。
【
図25】車両用クリーナシステムのブロック図である。
【
図26】車両用クリーナシステムの構成を示す模式図である。
【
図27】車両用クリーナシステムが備えるインジェクタの具体的構成を示す模式図である。
【
図28】車両用クリーナシステムの変形例に係るブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0010】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0011】
図1は、第一実施形態から第三実施形態に係る車両用クリーナシステム100(以下、クリーナシステム100と称す)が搭載された車両1の上面図である。車両1は、クリーナシステム100を備えている。本実施形態において、車両1は自動運転モードで走行可能な自動車である。
【0012】
まず、
図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。
図2は、車両システム2のブロック図を示している。
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、内部センサ5と、外部センサ6と、ランプ7(車両用ランプの一例)と、HMI8(Human Machine Interface)と、GPS9(Global Positioning System)と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。
【0013】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。車両制御部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。
【0014】
内部センサ5は、自車両の情報を取得可能なセンサである。内部センサ5は、例えば、加速度センサ、速度センサ、車輪速センサ及びジャイロセンサ等の少なくとも一つである。内部センサ5は、車両1の走行状態を含む自車両の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
内部センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。さらに、内部センサ5は、車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサを備えていてもよい。
【0015】
外部センサ6は、自車両の外部の情報を取得可能なセンサである。外部センサは、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の少なくとも一つである。外部センサ6は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を含む自車両の外部の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
カメラは、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラである。
レーダは、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。
LiDARとは、Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略語である。LiDARは、一般にその前方に非可視光を出射し、出射光と戻り光とに基づいて、物体までの距離、物体の形状、物体の材質、物体の色などの情報を取得するセンサである。
【0016】
あるいは、外部センサ6は、天候状態を検出する天候センサや車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサなどを備えていてもよい。
【0017】
ランプ7は、車両1の前部に設けられるヘッドランプやポジションランプ、車両1の後部に設けられるリヤコンビネーションランプ、車両の前部または側部に設けられるターンシグナルランプ、歩行者や他車両のドライバーに自車両の状況を知らせる各種ランプなどの少なくとも一つである。
【0018】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0019】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0020】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0021】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0022】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0023】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0024】
図1に戻り車両1は、外部センサ6として、前LiDAR6f、後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6l、カメラ6cを有している。前LiDAR6fは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後LiDAR6bは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。右LiDAR6rは車両1の右方の情報を取得するように構成されている。左LiDAR6lは車両1の左方の情報を取得するように構成されている。カメラ6cは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。
【0025】
なお、
図1に示した例では、前LiDAR6fは車両1の前部に設けられ、後LiDAR6bは車両1の後部に設けられ、右LiDAR6rは車両1の右部に設けられ、左LiDAR6lは車両1の左部に設けられた例を示しているが、本発明はこの例に限られない。例えば車両1の天井部に前LiDAR、後LiDAR、右LiDAR、左LiDARがまとめて配置されていてもよい。
【0026】
車両1は、ランプ7として、右ヘッドランプ7rと左ヘッドランプ7lを有している。右ヘッドランプ7rは車両1の前部のうちの右部に設けられ、左ヘッドランプ7lは車両1の前部のうちの左部に設けられている。右ヘッドランプ7rは左ヘッドランプ7lよりも右方に設けられている。
【0027】
車両1は、フロントウィンドウ1fと、リヤウィンドウ1bを有している。
【0028】
車両1は、クリーナシステム100を有している。クリーナシステム100は、車室の外に設けられた洗浄対象物を洗浄する、すなわち、これらの洗浄対象物に付着する水滴や泥や塵埃等の異物を洗浄媒体を用いて除去するシステムである。本実施形態において、クリーナシステム100は、前ウィンドウウォッシャ(以降、前WWと称す)101、後ウィンドウウォッシャ(以降、後WWと称す)102、前LiDARクリーナ(以降、前LCと称す)103、後LiDARクリーナ(以降、後LCと称す)104、右LiDARクリーナ(以降、右LCと称す)105、左LiDARクリーナ(以降、左LCと称す)106、右ヘッドランプクリーナ(以降、右HCと称す)107、左ヘッドランプクリーナ(以降、左HCと称す)108、カメラクリーナ109を有する。各々のクリーナ101~109は一つ以上のノズルを有し、ノズルから洗浄液または空気といった洗浄媒体を洗浄対象物に向けて吐出する。
【0029】
前WW101は、フロントウィンドウ1fの洗浄に利用可能である。後WW102は、リヤウィンドウ1bの洗浄に利用可能である。前LC103は、前LiDAR6fを洗浄可能である。後LC104は、後LiDAR6bを洗浄可能である。右LC105は、右LiDAR6rを洗浄可能である。左LC106は、左LiDAR6lを洗浄可能である。右HC107は、右ヘッドランプ7rを洗浄可能である。左HC108は、左ヘッドランプ7lを洗浄可能である。カメラクリーナ109は、カメラ6cを洗浄可能である。
【0030】
図3は、クリーナシステムのブロック図である。クリーナシステムは、クリーナ101~109の他に、前タンク111、前ポンプ112、後タンク113、後ポンプ114、クリーナスイッチ115、クリーナ制御部116(制御部)、モード切替スイッチ117を有している。
【0031】
前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、カメラクリーナ109は、前ポンプ112を介して前タンク111に接続されている。前ポンプ112は前タンク111に貯留された洗浄液を、前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、カメラクリーナ109に送る。
【0032】
後WW102と後LC104は、後ポンプ114を介して後タンク113に接続されている。後ポンプ114は後タンク113に貯留された洗浄液を後WW102と後LC104に送る。
【0033】
クリーナスイッチ115(操作部の一例)は、車両1の車室内部に設けられ、ユーザが操作可能な装置である。クリーナスイッチ115は、ユーザの操作に伴ってクリーナ作動信号を出力し、このクリーナ作動信号はクリーナ制御部116に入力される。
【0034】
各々のクリーナ101~109には、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象に吐出させるアクチュエータが設けられている。各々のクリーナ101~109に設けられたアクチュエータは、クリーナ制御部116に電気的に接続されている。また、クリーナ制御部116は、前ポンプ112、後ポンプ114、クリーナスイッチ115、車両制御部3にも電気的に接続されている。
【0035】
クリーナシステム100を動作させる信号が入力された場合に、クリーナ制御部116は例えば前ポンプ112を作動させて前タンク111から前WW101に洗浄液を送り、前WW101のアクチュエータを作動させて前WW101から洗浄液を吐出させる。
【0036】
クリーナ制御部116は、例えば前ポンプ112に電気信号を送信して前ポンプ112を作動させて前タンク111から前WW101に洗浄液を送り、前WW101のアクチュエータに電気信号を送信して前WW101から洗浄液を吐出させる。
【0037】
なお、本実施形態においては、車両制御部3がクリーナシステム100を作動させるクリーナ作動信号を送信するようにしてもよい。クリーナ作動信号はクリーナ制御部116に入力される。クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力されると、クリーナ制御部116は、例えば、前WW101のアクチュエータにウィンドウォッシャ作動信号(以降WW信号と呼ぶ)を送信して前WW101から洗浄液を吐出させる。また、クリーナ制御部116は、例えば、前LC103のアクチュエータに電気信号を送信して前LC103から洗浄液を吐出させる。このとき、必要であれば前ポンプ112に電気信号を送信して前ポンプ112を作動させて前タンク111から前WW101や前LC103に洗浄液を送る。
【0038】
なお、クリーナ作動信号は、上述したように車両制御部3が送信するように構成してもよいし、ユーザが操作可能なクリーナスイッチ115がクリーナ作動信号を送信するように構成してもよい。
【0039】
なお、ユーザに不用意にセンサクリーナ103~106,109を作動させたくない場合がある。例えば前タンク111や後タンク113の残量が少ない場合であって、クリーナシステム100が自動洗浄モードで洗浄液を節約しつつ洗浄している場合などである。
そこで、本実施形態においては、任意のタイミングでクリーナシステム100を割込み禁止モードとすることができる。例えば、ユーザが操作するボタンや、車両制御部3がクリーナ制御部116に割込み禁止モードとする電気信号を送信可能に構成されていてもよい。あるいは、何らかの条件判断を基に、クリーナ制御部116自身が割込み禁止モードを設定するように構成されていてもよい。割込み禁止モードに設定されている間は、ユーザがクリーナスイッチ115を操作してもクリーナ制御部116は各種クリーナ101~109を作動させない。このように、本実施形態のクリーナシステム100は、ユーザがクリーナスイッチ115を操作してもセンサクリーナ103~106,109が作動しないモードを設定することができ、様々な状況に柔軟に対応できる。
【0040】
<第一実施形態におけるクリーナシステムの動作>
次に、第一実施形態におけるクリーナシステム100の動作を説明する。
クリーナ制御部116は、クリーナシステム100を作動させるクリーナ作動信号が入力されると、WW101~102、HC107,108、センサクリーナ103~106,109の少なくとも1つを作動させるように構成されている。例えば乗員が車室内部に設けられたクリーナスイッチ115を操作すると、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される。あるいは、車両制御部3が適宜、クリーナ作動信号をクリーナ制御部116に送信する。例えば、カメラ6cが汚れていると車両制御部3が判断した場合、車両制御部3がクリーナ作動信号をクリーナ制御部116に送信する。あるいは、所定間隔ごとに、車両制御部3がクリーナ作動信号をクリーナ制御部116に送信する。
【0041】
図4は、本実施形態のクリーナシステム100が取り得るモードA~Iを示している。クリーナ制御部116は、
図4に示したモードA~Iを切替可能に構成されている。モードとは、所定回数のクリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力されたときに、クリーナ制御部116が各々の101~109を何回作動させるかを規定したものである。
【0042】
モードA~Iは、洗浄対象をフロント・リヤウィンドウ1f,1b、外部センサ6、ランプ7とグループ分けしたときに、クリーナ作動信号の入力回数に対する、それぞれを洗浄するWW101,102、LC103~106およびカメラクリーナ109、HC107,108の作動回数を規定したものである。
なお、本実施形態では、フロントウィンドウ1fを洗浄する前WW101とリヤウィンドウ1bを洗浄する後WW102とを同時に作動させるモードを説明しているが、前WW101と後WW102を作動させるタイミングが異なるモードを選択可能にクリーナ制御部116を構成してもよい。
【0043】
(モードA)
モードAは、フロント・リヤウィンドウ1f,1b、外部センサ6、ランプ7の順に優先的に洗浄するモードである。
図5に、クリーナ制御部116がモードAを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図5に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。WW101,102は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると1回作動される。HC107,108は、1~3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
【0044】
モードAによれば、優先的にフロントウィンドウ1fが洗浄され、乗員の視界を常に良好に保ちやすい。このためモードAは、乗員が車両1を運転するときに適している。
モードAによれば、外部センサ6の洗浄の優先度が、フロントウィンドウ1fよりは低いが、ランプ7よりも高い。このためモードAは、車両制御部3が外部センサ6を用いた運転モードを実行しているときに適している。
モードAによれば、ランプ7の洗浄の優先度が最も低い。このためモードAは、ランプ7を積極的に用いない、昼間の使用に適している。
以上より、モードAは、車両1が昼間に走行し、車両制御部3が運転支援モードを実行しているときに適している。
【0045】
(モードB)
モードBは、フロント・リヤウィンドウ1f,1b、ランプ7、外部センサ6の順に優先的に洗浄するモードである。
図6に、クリーナ制御部116がモードBを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図6に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。WW101,102は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると1回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、1~3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。HC107,108は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
【0046】
モードBによれば、優先的にフロントウィンドウ1fが洗浄され、乗員の視界を常に良好に保ちやすい。このためモードBは、乗員が車両1を運転するときに適している。
モードBによれば、ランプ7の洗浄の優先度がフロントウィンドウ1fより低く、外部センサ6より高い。このためモードBは、ランプ7を積極的に用いない昼間の使用に適している。
モードBによれば、外部センサ6の洗浄の優先度が最も低い。このためモードBは、車両制御部3が外部センサ6を積極的に用いない運転モードを実行しているときに適している。
以上より、モードBは、車両1が昼間に走行し、車両制御部3が手動運転モードを実行しているときに適している。
【0047】
(モードC)
モードCは、外部センサ6、フロント・リヤウィンドウ1f,1b、ランプ7の順に優先的に洗浄するモードである。
図7に、クリーナ制御部116がモードCを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図7に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。WW101,102は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ制御部116にクリーナ作動信号が入力される度に作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると1回作動される。HC107,108は、1~3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
【0048】
モードCによれば、優先的に外部センサ6が洗浄され、外部センサ6の感度を常に良好に保ちやすい。このためモードCは、車両制御部3が外部センサ6を用いた運転モードを実行しているときに適している。
モードCによれば、フロントウィンドウ1fの洗浄の優先度が、外部センサ6よりは低いが、ランプ7よりも高い。このためモードCは、乗員の視界を良好に保ちやすい。
モードCによれば、ランプ7の洗浄の優先度が最も低い。このためモードCは、ランプ7を積極的に用いない、昼間の使用に適している。
以上より、モードCは、車両1が昼間に走行し、車両制御部3が完全自動運転モード、高度運転支援モード、または運転支援モードを実行しているときに適している。
【0049】
(モードD)
モードDは、ランプ7、フロント・リヤウィンドウ1f,1b、外部センサ6の順に優先的に洗浄するモードである。
図8に、クリーナ制御部116がモードDを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図8に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。WW101,102は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると1回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、1~3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。HC107,108は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
【0050】
モードDによれば、優先的にランプ7が洗浄され、夜間のユーザの視界を良好に保ちやすく、また、夜間に他者から自車両を認識させやすい。このためモードDは、夜間の使用に適している。
モードDによれば、フロントウィンドウ1fの洗浄の優先度が、ランプ7よりは低いが、外部センサ6よりも高い。このためモードDは、夜間でかつ、車両制御部3が手動運転モードを実行しているときに適している。
モードDによれば、外部センサ6の洗浄の優先度が最も低い。このためモードDは、外部センサ6を積極的に用いない手動運転に適している。
以上より、モードDは、車両1が夜間に走行し、車両制御部3が手動運転モードを実行しているときに適している。
【0051】
(モードE)
モードEは、外部センサ6、ランプ7、フロント・リヤウィンドウ1f,1bの順に優先的に洗浄するモードである。
図9に、クリーナ制御部116がモードEを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図9に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると1回作動される。WW101,102は、1~3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。HC107,108は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
【0052】
モードEによれば、優先的に外部センサ6が洗浄され、外部センサ6の感度を常に良好に保ちやすい。このためモードEは、車両制御部3が外部センサ6の出力を用いた運転モードを実行しているときに適している。
モードEによれば、ランプ7の洗浄の優先度が、外部センサ6よりは低いが、フロントウィンドウ1fよりも高い。このためモードEは、夜間の使用に適している。
モードEによれば、フロントウィンドウ1fの洗浄の優先度が最も低い。このためモードEは、ユーザがフロントウィンドウ1fを積極的に見ない、車両制御部3が手動運転モードを実行していないときに適している。
以上より、モードEは、車両1が夜間に走行し、車両制御部3が完全自動運転モードまたは高度自動運転モードを実行しているときに適している。
【0053】
(モードF)
モードFは、ランプ7、外部センサ6、フロント・リヤウィンドウ1f,1bの順に優先的に洗浄するモードである。
図10に、クリーナ制御部116がモードFを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図10に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると1回作動される。WW101,102は、1~3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。HC107,108は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
【0054】
モードFによれば、優先的にランプ7が洗浄され、夜間の外部センサ6のカメラ6cの感度を良好に保ちやすく、また、夜間に他者から自車両を認識させやすい。このためモードFは、特にカメラ6cを使った夜間の使用に適している。
モードFによれば、外部センサ6の洗浄の優先度が、ランプ7よりは低いが、フロントウィンドウ1fよりも高い。このためモードFは、夜間に車両制御部3が手動運転モード以外を実行しているときに適している。また、外部センサ6に汚れが生じにくい地域(例えば荒野ではなく市街地など)を走行する場合に適している。
モードFによれば、フロントウィンドウ1fの洗浄の優先度が最も低い。このためモードFは、ユーザがフロントウィンドウ1fを積極的に見ないときに適している。
以上より、モードFは、車両1が夜間、車両制御部3が完全自動運転モード、高度運転支援モードを実行しているときに適している。
モードFは、モードEよりもランプ7の洗浄の優先度が高く、外部センサ6の洗浄の優先度が低い。このためモードFは、モードEよりも、車両制御部3がカメラ6cから出力される情報に基づいて完全自動運転モード、高度運転支援モードを実行しているときに適している。
【0055】
(モードG)
モードGは、フロント・リヤウィンドウ1f,1bと外部センサ6、ランプ7の順に優先的に洗浄するモードである。フロント・リヤウィンドウ1f,1bと外部センサ6の優先順位は同じである。
図11に、クリーナ制御部116がモードGを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図11に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。WW101,102は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。HC107,108は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
【0056】
モードGによれば、優先的にフロントウィンドウ1fと外部センサ6が洗浄され、乗員の視界と外部センサ6の感度を常に良好に保ちやすい。
モードGによれば、ランプ7の洗浄の優先度が最も低い。このためモードGは、ランプ7を積極的に用いない、昼間の使用に適している。
以上より、モードGは、車両1が昼間に走行し、車両制御部3が完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モードまたは手動運転モードを実行しているときに適している。
モードGは、モードCよりも、フロントウィンドウ1fを清浄に保ち、乗員の視界を保ちやすいので、運転支援モードや乗員が車外の景色を楽しむ場合により適している。ただし、モードGは、モードCよりも洗浄媒体の消費量が多い。
【0057】
(モードH)
モードHは、フロント・リヤウィンドウ1f,1bとランプ7、外部センサ6の順に優先的に洗浄するモードである。フロント・リヤウィンドウ1f,1bとランプ7の優先順位は同じである。
図12に、クリーナ制御部116がモードHを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図12に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。WW101,102は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。HC107,108は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
【0058】
モードHによれば、優先的にフロントウィンドウ1fとランプ7が洗浄され、夜間のユーザの視界を良好に保ちやすく、また、夜間に他者から自車両を認識させやすい。このためモードHは、夜間の使用に適している。
モードHによれば、外部センサ6の洗浄の優先度が最も低い。このためモードHは、車両制御部3が外部センサ6を積極的に用いないモードを実行しているときに適している。
以上より、モードHは、車両1が夜間に走行し、車両制御部3が手動運転モードを実行しているときに適している。
モードHは、フロントウィンドウ1fを清浄に保ちやすいので、より車両1が夜間に走行し車両制御部3が手動運転モードを実行しているときに適している。ただし、モードHは、モードDよりも洗浄媒体の消費量が多い。
【0059】
(モードI)
モードIは、外部センサ6とランプ7、フロント・リヤウィンドウ1f,1bの順に優先的に洗浄するモードである。外部センサ6とランプ7の優先順位は同じである。
図13に、クリーナ制御部116がモードIを実行した場合のタイミングチャートを示す。
図4および
図13に示したように、フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が4回入力されると2回作動される。WW101,102は、1,3回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
外部センサ6を洗浄するLC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。LC103~106およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が4回入力されると4回作動される。HC107,108は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
【0060】
モードIによれば、優先的に外部センサ6とランプ7が洗浄され、夜間の外部センサ6、特にカメラ6cの感度を良好に保ちやすい。このためモードIは、夜間、車両制御部3が外部センサ6を積極的に用いる運転モードを実行しているときに適している。
モードIによれば、フロントウィンドウ1fの洗浄の優先度が最も低い。このためモードIは、ユーザが積極的に車両1を運転しないときに適している。
以上より、モードIは、車両1が夜間に走行し、車両制御部3が完全自動運転モード、高度運転支援モードを実行しているときに適している。
モードIは、モードE,Fよりも外部センサ6とランプ7をともに清浄に保ちやすい。このためモードIは、モードE,Fよりも車両1が夜間に走行し車両制御部3が完全自動運転モード、高度運転支援モードを実行しているときに適している。ただし、モードIは、モードE,Fよりも洗浄媒体の消費量が多い。
【0061】
(モード1~11)
また、クリーナシステム100は、
図4に示したモードA~Iと、
図14に示したモード1~11とを組み合わせ可能に構成されている。
モード1~11は、洗浄対象を外部センサ6に限った場合の、クリーナ作動信号の入力回数に対する、LC103~106およびカメラクリーナ109の作動回数を規定したものである。例えばモードIでかつモード5というモードI5がクリーナ制御部116に設定されることがある。モードI5は、
図15に示したようなモードとなる。
【0062】
クリーナ制御部116がモードI5を実行すると、
図15に示すようにクリーナシステム100は以下のように作動する。
フロント・リヤウィンドウ1f,1bを洗浄するWW101,102は、クリーナ作動信号が8回入力されると4回作動される。WW101,102は、1,3,5,7回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4,6,8回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
前LiDAR6fおよびカメラ6cを洗浄する前LC103およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号が8回入力されると8回作動される。前LC103およびカメラクリーナ109は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
後LiDAR6bを洗浄する後LC104は、クリーナ作動信号が8回入力されると2回作動される。後LC104は、1~3,5~7回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、4,8回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
左右LiDAR6r,6lを洗浄する左右LC105,106は、クリーナ作動信号が8回入力されると4回作動される。左右LC105,106は、1,3,5,7回目のクリーナ作動信号が入力されても作動されず、2,4,6,8回目のクリーナ作動信号が入力されると作動される。
ランプ7を洗浄するHC107,108は、クリーナ作動信号が8回入力されると8回作動される。HC107,108は、クリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力される度に作動される。
【0063】
モードI5は、車両1が夜間に走行し、車両制御部3が完全自動運転モード、高度運転支援モードを実行しているときに適している。また、モードI5は、車両1の前方の情報を取得する前LiDAR6fおよびカメラ6cの洗浄の優先度が高い。これに比べて、後LiDAR6bや左右LiDAR6r,6lの洗浄の優先度は低い。このため、車両1が右左折や後退する頻度が少ない、例えば高速道を走行するときに適している。また、後LiDAR6bや左右LiDAR6r,6lの洗浄の頻度を下げているので、洗浄媒体を節約できる。以上より、モードI5は、車両1が夜間に高速道を走行し、車両制御部3が完全自動運転モード、高度運転支援モードを実行しているときに適している。
【0064】
このように、クリーナシステム100は、外部センサ6について、どのセンサを優先的に洗浄させるかを選択可能に構成されている。これにより、洗浄媒体を節約しつつ車両1の置かれた状況により適した洗浄状態を得ることができる。
【0065】
上述したように、クリーナ制御部116はモードA~Fにおいて、所定回数のクリーナ作動信号に応じてWW101,102の作動回数とHC107,108の作動回数とセンサクリーナ103~106,109の作動回数の少なくとも2つ以上が異なるように、ウィンドウォッシャとランプクリーナおよびセンサクリーナを作動させる。また、モードG~Iについても、モード2~11と組み合わせれば各種クリーナ101~109の少なくとも2つ以上が異なるようにクリーナ101~109が作動する。
【0066】
本実施形態のクリーナシステム100によれば、クリーナ作動信号の回数に応じて作動するWW101,102の作動回数とHC107,108の作動回数とセンサクリーナ103~106,109の作動回数の少なくとも2つ以上が異なる。このため、洗浄媒体を節約しつつシーンに応じて必要になる洗浄対象物を清浄に保ちやすくなる。
【0067】
例えば、車両制御部3が自動運転モードを実行している場合には、WW101,102よりもセンサクリーナ103~106,109の作動回数が多いモードC、E~G,Iを選択する。これにより、WW101,102、HC107,108、センサクリーナ103~106,109を同じ作動回数で作動させた場合に比べて、洗浄媒体を節約しつつ外部センサ6の感度を保つことできる。
【0068】
あるいは、車両の周囲が明るい場合には、WW101,102とセンサクリーナ103~106,109の作動回数をHC107,108の作動回数よりも多くする。これにより、WW101,102、HC107,108、センサクリーナ103~106,109を同じ作動回数で作動させた場合に比べて、洗浄媒体を節約しながらフロントウィンドウ1fを清浄に保ちユーザの視界を確保しつつ外部センサ6の感度を保つことできる。
【0069】
このように、洗浄媒体を節約しながらシーンに適したように各種クリーナを作動させることができるため、クリーナシステム100の使い勝手が高められている。
【0070】
上述したクリーナシステム100において、クリーナ制御部は、所定回数のクリーナ作動信号の入力に応じたWW101,102の作動回数とHC107,108の作動回数とセンサクリーナ103~106,109の作動回数の大小関係が変更可能に構成されている。
これにより、様々なシーンに対応して、最適なモードA~I,1~11を選択することができる。
【0071】
上述したクリーナシステム100において、ユーザの入力に応じて、所定回数のクリーナ作動信号の入力に応じたWW101,102の作動回数とHC107,108の作動回数とセンサクリーナ103~106,109の作動回数の大小関係が変更可能に構成されている。
これにより、ユーザの意図に基づいてモードA~I,1~11を変更できるので、ユーザの意図するシーンに適したモードでクリーナシステム100を作動させることができる。
【0072】
上述したクリーナシステム100において、車両1の自動運転状態および手動運転状態に応じて、所定回数のクリーナ作動信号の入力に応じたWW101,102の作動回数とHC107,108の作動回数とセンサクリーナ103~106,109の作動回数の大小関係が変更可能に構成されている。
これにより、自動運転であるか手動運転であるかの状態に基づいてクリーナシステム100のモードA~I,1~11が変更されるので、自動運転で求められる外部センサ6の清浄度を維持しやすくするモードを選択したり、手動運転で求められるフロントウィンドウ1fやランプ7の清浄度を維持しやすくするモードを選択できる。
【0073】
上述したクリーナシステム100において、車両1を自動運転させる車両制御部3が出力する車両1の自動運転状態および手動運転状態を示す信号に応じて、所定回数のクリーナ作動信号の入力に応じたWW101,102の作動回数とHC107,108の作動回数とセンサクリーナ103~106,109の作動回数の大小関係が変更可能に構成されている。
車両制御部3がクリーナシステム100に自動運転/手動運転の状態を入力し、ユーザがクリーナシステム100を操作する必要がないので、ユーザの負担が軽減されている。
【0074】
また、クリーナシステム100は、車室内に設けられたモード切替スイッチ117(
図3参照)をユーザが操作することにより、各種モードを変更可能に構成されている。また、車両制御部3は、内部センサ5の出力や、外部センサ6の出力、実行している運転モードに応じて、モード切替信号を出力するように構成されている。例えば、車両制御部3は、時刻、周囲の明るさ、車速、加速度、ナビゲーション情報、の少なくとも一つに応じて、モード切替信号を出力する。クリーナシステム100は、この車両制御部3が出力するモード切替信号に応じて各種モードA~I,1~11を変更可能に構成されている。
【0075】
このように、上述したクリーナシステム100において、時刻、周囲の明るさ、車速、加速度、ナビゲーション情報、の少なくとも一つに応じて、所定回数のクリーナ作動信号の入力に応じたWW101,102の作動回数とHC107,108の作動回数とセンサクリーナ103~106,109の作動回数の大小関係が変更可能に構成されている。
これにより、ユーザが選択しなくても、特定のシーンに応じた最適なモードが選択されるので、ユーザの負担が軽減されている。なお、ナビゲーション情報とは、地図情報、走行ルート情報、右左折情報、走行レーン情報などを含む、目的地まで車両を移動させるための情報である。
【0076】
上述したクリーナシステム100は、検出方法が互いに異なる複数の外部センサをそれぞれ洗浄する複数のセンサクリーナ103~106,109を有する。クリーナ制御部は、所定回数の信号に応じて複数の作動回数のうち少なくとも2つ以上が互いに異なるように、センサクリーナ103~106,109を作動させる。
例えばLiDAR6f,6r,6b,6lとカメラ6cなど、検出方法が異なる外部センサ6は求められるシーンが異なる場合が多い。例えば、霧が濃い中ではカメラ6cよりも前LiDAR6fから出力される情報が重要になる。そこで、センサの種類ごとに所定回数のクリーナ作動信号に応じてセンサクリーナ103~106,109の作動回数を異ならせるようにモード1~11を選択することにより、特定のシーンに応じた特定の外部センサ6の清浄度を維持しやすくなる。
【0077】
上述したクリーナシステム100は、設けられる位置が互いに異なる複数の外部センサ6f,6b,6r,6lをそれぞれ洗浄する複数のセンサクリーナ103~106を有する。
クリーナ制御部116は、所定回数のクリーナ作動信号に応じて複数のセンサクリーナ103~106の作動回数のうち少なくとも2つ以上が互いに異なるように、センサクリーナ103~106を作動させる。
設けられている場所が異なる複数の外部センサ6は、求められるシーンが異なる場合が多い。例えば、車両1の前進時には前LiDAR6fから出力される情報が重要になり、車両1の後退時には後LiDAR6bから出力される情報が重要になり、車両1の右折時には右LiDAR6rから出力される情報が重要になり、車両1の左折時には左LiDAR6lから出力される情報が重要になる。そこで、外部センサ6の配置場所ごとに所定回数の信号に応じたセンサクリーナ103~106,109の作動回数を異なるようにモード1~11を選択することで、特定のシーンで必要となる外部センサ6の清浄度を維持しやすくなる。
【0078】
<第二実施形態におけるクリーナシステムの動作>
次に、第二実施形態におけるクリーナシステム100の動作を説明する。
図16は、本実施形態のクリーナシステム100が実行する処理のフローチャートである。
図16に示した処理は、クリーナシステム100のクリーナ制御部116が実行する。
図16に示すように、クリーナ制御部116は、自動洗浄モードを実行する(ステップS01)。自動洗浄モードとは、ユーザの操作に応じて信号を出力するクリーナスイッチ115(操作部の一例)の出力する信号によらずに、センサクリーナ103~106,109を作動させるモードである。
【0079】
図16に示したように、クリーナ制御部116は、割込み禁止モードか否かを判定する工程を実行する(ステップS05)。割込み禁止モードであれば(ステップS05:Yes)、クリーナ制御部116は、ステップS02を実行することなく自動洗浄モードを実行し続け、汚れ信号の有無を判定する(ステップS03)。
【0080】
次に、割込み禁止モードでなければ(ステップS05:No)、クリーナ制御部116は所定間隔おきにクリーナスイッチ115が出力する信号が入力されているか否かを確認する(ステップS02)。クリーナ制御部116は、クリーナスイッチ115が出力する信号が入力されていない場合(ステップS02:No)、クリーナ制御部116は汚れ信号が入力されているかを判定する(ステップS03)。
【0081】
本実施形態においては、LiDAR6f,6b,6r,6lおよびカメラ6cは自身の感度が低下したことを認識可能に構成されている。LiDAR6f,6b,6r,6lおよびカメラ6cは、所定間隔おきに自身の感度をチェックする。LiDAR6f,6b,6r,6lおよびカメラ6cは、自身の感度が所定の閾値より低下した場合に自身が汚れていると判定し、汚れ信号をクリーナ制御部116に送信する。
【0082】
クリーナ制御部116は、汚れ信号を受信したときに(ステップS03:Yes)、汚れ信号を送信したLiDAR6f,6b,6r,6lまたはカメラ6cに対応するセンサクリーナ103~106,109を作動させる(ステップS04)。なお、外部センサ6f,6b,6r,6l,6c自体に汚れていると判定させる機能を持たせず、外部センサ6f,6b,6r,6l,6cが汚れたことを判定する汚れ検出部が、外部センサ6f,6b,6r,6l,6cとは別に設けられていてもよい。
【0083】
汚れ信号が入力されていなければ(ステップS03:No)、クリーナ制御部116はセンサクリーナ103~106,109を作動させず、割込み禁止モードか否かを判定する工程(ステップS05)に戻る。
【0084】
クリーナ制御部116が所定間隔おきにクリーナスイッチ115が出力する信号が入力されているか否かを判定したときに、クリーナスイッチ115が出力する信号が入力されている場合(ステップS02:Yes)、クリーナ制御部116はセンサクリーナ103~106,109の少なくとも一つを作動させる(ステップS04)。クリーナ制御部116がセンサクリーナ103~106,109の少なくとも一つを作動させた後は、ステップS05に戻る。
【0085】
自動運転モードで走行する車両1においては、外部センサ6の感度を良好に維持することが求められるため、センサクリーナ103~106,109の作動頻度はウィンドウォッシャ101,102などの作動頻度と比べて多くなる。このため、外部センサ6が汚れる度にユーザがセンサクリーナ101,109を作動させるのはユーザの負担が大きくなる。しかし、本実施形態に係るクリーナシステム100によれば、自動洗浄モードによって、ユーザの負担が軽減されている。また、外部センサ6の種類によっては、ユーザが外部センサ6の汚れに気が付きにくい。本実施形態に係るクリーナシステム100によれば、自動洗浄モードによってユーザが外部センサ6が汚れているかに注意を払う必要がなく、ユーザの負担が軽減されている。
一方で、自動洗浄モードで外部センサ6を清浄に保つことができるとは言っても、ユーザが好きなタイミングで外部センサ6を洗浄したい場合がある。そこで、本実施形態のクリーナシステム100によれば、割込み禁止モードではない場合(ステップS05:No)、ユーザが好きなタイミングで外部センサ6を洗浄できる(ステップS02:Yes)。このように、本実施形態のクリーナシステム100は、ユーザの負担軽減という点と、ユーザが好きなタイミングで洗浄できる点とを両立することができ、使い勝手が高められている。
【0086】
なお、本実施形態においてクリーナ制御部116は、クリーナスイッチ115からの信号が入力されてセンサクリーナ103~106,109を作動させた後も、自動洗浄モードを実行し続けるように構成されている。
本実施形態によれば、ユーザがクリーナスイッチ115を操作した後も自動洗浄モードが維持されるのでユーザの操作負担が軽減される。
なお、ユーザがクリーナスイッチ115を操作した後に自動洗浄モードを終了し、その後はユーザがクリーナスイッチ115を操作する都度センサクリーナ103~106,109を作動させるように構成してもよい。自動洗浄モードの実行中は、ユーザが洗浄液の消費量を把握しにくい。したがって、前タンク111や後タンク113の残量が少ない場合などは、ユーザが自身で洗浄液の消費量を把握しやすいように、クリーナスイッチ115を操作した後に自動洗浄モードを終了することも好ましい。
【0087】
なお、ユーザに不用意にセンサクリーナ103~106,109を作動させたくない場合がある。例えば前タンク111や後タンク113の残量が少ない場合であって、クリーナシステム100が自動洗浄モードで洗浄液を節約しつつ洗浄している場合などである。
そこで、本実施形態においては、任意のタイミングでクリーナ制御部116は割込み禁止モードとすることができる。例えば、ユーザが操作するボタンや、車両制御部3がクリーナ制御部116に割込み禁止モードとする電気信号を送信可能に構成されていてもよい。あるいは、何らかの条件判断を基に、クリーナ制御部116自身が割込み禁止モードを設定するように構成されていてもよい。
このようにクリーナ制御部116が割込み禁止モードを実行可能に構成する場合、
図16に示したように、ユーザによるクリーナスイッチ115の入力の有無を判定する工程の前に、割込み禁止モードか否かを判定する工程を実行する(ステップS05)。割込み禁止モードを実行中であれば、クリーナ制御部116は、ステップS02を実行することなく自動洗浄モードを実行し続け、汚れ信号の有無を判定する(ステップS03)。
このように、本実施形態のクリーナシステム100は、ユーザがクリーナスイッチ115を操作してもセンサクリーナ103~106,109が作動しないモードを設定することができ、様々な状況に柔軟に対応できる。
【0088】
なお、クリーナシステム100はクリーナスイッチ115の出力に応じてセンサクリーナ103~106,109を作動させると説明したが、クリーナシステム100はクリーナスイッチ115の出力に応じてセンサクリーナ103~106,109とともにウィンドウォッシャ101,102を作動させるように構成してもよい。フロントウィンドウ1fと外部センサ6は時間とともに同程度汚れるものである。そこで、ユーザが汚れを発見しやすいフロントウィンドウ1fを洗浄しようとする際に、外部センサ6も合わせて洗浄すると合理的である。なお、クリーナ103~106,109とウィンドウォッシャ101,102とを同時に作動するように構成してもよいし、両者が時間差で作動するように構成してもよい。
【0089】
なお、上述した実施形態では割込み禁止モードか否かを判定する工程を含んだフローを説明したが、割込み禁止モードか否かを判定する工程は省略し、クリーナスイッチ115が出力する信号が入力された時にいつでもセンサクリーナ103~106,109を作動させるようにクリーナ制御部116を構成してもよい。
【0090】
なお、上述した実施形態では自動洗浄モードの実行中は、汚れ信号の入力に応じてセンサクリーナ103~106,109を作動させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。自動洗浄モードの実行中は、所定時間間隔で汚れの有無によらずセンサクリーナ103~106,109を作動させる、所定走行距離の間隔で汚れの有無によらずセンサクリーナ103~106,109を作動させる、エンジンを始動する度に汚れの有無によらずセンサクリーナ103~106,109を作動させる、などの構成としてもよい。クリーナ制御部116はこのように、どのように自動洗浄モードを実行させるかの各種モードが切り替え可能に構成されていてもよい。例えば、車内に設けられ、ユーザによって操作可能なモード切替スイッチ117(
図3参照)が出力する信号を受信したときに、このような各種モードの切替を実行可能に構成されていてもよい。
【0091】
<第三実施形態におけるクリーナシステムの動作>
次に、第三実施形態におけるクリーナシステム100の動作を説明する。
図17は、クリーナシステム100のタイミングチャートを示す。
図17において、上方から下方に向かって、クリーナ作動信号、WW作動信号、LC作動信号が示されている。LC作動信号とは、クリーナ制御部116が、LiDAR6f,6b,6r,6lを洗浄するセンサクリーナ103~106の少なくとも一つを作動させる時に作動させたいセンサクリーナ103~106に送信する電気信号である。
【0092】
図17に示すように、クリーナ制御部116はクリーナ作動信号が一回入力される度に、一回のWW作動信号を前WW101に出力し、一回のLC作動信号を作動させたいセンサクリーナ103~106に出力するように構成されている。WW作動信号とLC作動信号は同時に出力されている。以降の説明において、
図17に示したタイミングチャートを実行するモードをモード1と呼ぶ。
このように本実施形態のクリーナシステム100は、LC103~106を前WW101の作動に応じて作動させるクリーナ制御部116を有している。
なお、LC作動信号を全てのLC103~106に送信して全てのLC103~106を作動させるように構成してもよいし、前LC103のみに送信して前LC103のみを作動させるように構成してもよい。
【0093】
ところで、LiDAR6f,6b,6r,6lの汚れは車室内にいるユーザからは直接視認することができず、またLiDAR6f,6b,6r,6lの汚れに起因する感度の低下もユーザが直接把握することが難しい。また、LiDAR6f,6b,6r,6lを洗浄するセンサクリーナ103~106,109を駆動するためだけのスイッチを車室内に設けると、ユーザの操作の負担を増やしてしまう。
そこで本発明者は、フロントウィンドウ1fが汚れているときはLiDAR6f,6b,6r,6lも汚れている可能性が高いことに気が付いた。例えばフロントウィンドウ1fに埃が付着しているときは、前LiDAR6f、後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6lにも埃が付着している可能性が高い。そこで、ユーザが前WW101を作動させるときにLC103~106も作動させると、ユーザの負担の増大を招かずにLiDAR6f,6b,6r,6lを清浄な状態に保ちやすい。そこで、本実施形態のクリーナシステム100は、LC103~106を前WW101の作動に応じて作動させるので、使い勝手がよい。
なお、フロントウィンドウ1fと同様にリヤウィンドウ1rもユーザが汚れていることに気が付きやすい。このため、LC103~106を後WW102の作動に応じて作動させるように構成してもよい。あるいは、LC103~106を前WW101と後WW102の少なくとも一方の作動に応じて作動させるように構成してもよい。
【0094】
なお、
図17に示したタイミングチャートにおいては前WW101を一回作動させる度にLC103~106の少なくとも一つを、前WW101と同時に一回作動させるモード1を示したが、本実施形態のクリーナシステムはモード1以外のモードを実行可能とされていてもよい。
図18は、本実施形態のクリーナシステム100が実行するモード2のタイミングチャートを示している。
図19は、本実施形態のクリーナシステム100が実行するモード3のタイミングチャートを示している。
【0095】
図18に示したように、WW作動信号を1回出力させる度に、LC作動信号を2回出力するように構成してもよい。車両1が完全自動運転モードで走行している場合には、フロントウィンドウ1fを清浄に保つことよりもLiDAR6f,6b,6r,6lを清浄に保つことの優先度が高い。そこでモード2はWW作動信号の出力回数よりもLC作動信号の出力回数が多くなるように設定されており、車両1が完全自動運転モードで走行している場合に適したモードである。モード2において、WW作動信号を1回出力させる度にLC作動信号を3回以上出力するように構成してもよい。
【0096】
図19に示したように、WW作動信号を2回出力させる度に、LC作動信号を1回出力するように構成してもよい。車両1が手動運転モードあるいは運転支援モードで走行している場合には、LiDAR6f,6b,6r,6lを清浄に保つことよりもフロントウィンドウ1fを清浄に保つことの優先度が高い。そこでモード3はLC作動信号の出力回数よりもWW作動信号の出力回数が多くなるように設定されており、車両1が手動運転モードあるいは運転支援モードで走行している場合に適したモードである。モード3において、WW作動信号を3回以上出力させる度にLC作動信号を1回出力するように構成してもよい。
【0097】
本実施形態のクリーナシステム100は、車室内に設けられたモード切替スイッチ117(
図3参照)の出力に応じて、以上のようなモード1~3を切り替え可能に構成されている。あるいは、車両制御部3が運転モードを判定し、判定結果に応じてモード1~3を切り替えるモード切替信号をクリーナ制御部116に送信可能に構成されていてもよい。これにより、運転モードなどの状況に適した洗浄モードを実行することができ、フロントウィンドウ1fやリヤウィンドウ1r、LiDAR6f,6b,6r,6lが必要とされるときに清浄な状態に保ちやすい。
【0098】
なお、上述したモード1~3は、WW作動信号の立ち上がり信号とLC作動信号の立ち上がり信号が同時になる例を説明したが、本発明はこれに限られない。
図20および
図21はモード1の変形例のタイミングチャートを示す。
【0099】
図20に示すように、WW作動信号の立ち上がり信号に遅れてLC作動信号の立ち上がり信号が出力されるように構成してもよい。また、WW作動信号の立ち下がり信号と同時または遅れてLC作動信号の立ち上がり信号が出力されるように構成してもよい。
あるいは、
図21に示すように、LC作動信号の立ち上がり信号に遅れてWW作動信号の立ち上がり信号が出力されるように構成してもよい。また、LC作動信号の立ち下がり信号と同時または遅れてWW作動信号の立ち上がり信号が出力されるように構成してもよい。
【0100】
特に
図3に示したように前WW101とLC103~106とが共通の前タンク111・前ポンプ112に接続されている場合には、前WW101を作動させると前ポンプ112からLC103~106の間の配管内の洗浄液の圧力が低下する。このため、前WW101が作動中にLC103~106を作動させると、前WW101やLC103~106から吐出される洗浄液の吐出圧が低下することがある。このため、
図20や
図21に示したように、前WW101の作動タイミングとLC103~106の作動タイミングを異ならせると、前WW101やLC103~106から高い吐出圧で洗浄液を吐出させやすい。
【0101】
また、クリーナ制御部116は、上述したWW作動信号とLC作動信号とを連動させて出力する連動モードと、WW作動信号とLC作動信号とを連動させない独立モードと、を組み合わせて実行可能に構成されていてもよい。
図22は本発明の変形例に係るクリーナシステム100のタイミングチャートを示す。
【0102】
図22に示すように本変形例において、クリーナ制御部116は、所定時間おきにLC作動信号を出力させるようにクリーナ作動信号を出力する。このとき、所定時間おきに出力するLC作動信号はWW作動信号と連動させず(独立モード)、WW作動信号を出力しない。しかし、ユーザが操作するクリーナスイッチ115(
図3参照)から出力されるクリーナ作動信号がクリーナ制御部116に入力された場合には、クリーナ制御部116はWW作動信号とLC作動信号とを連動させ、WW作動信号とLC作動信号とを同時に出力する(連動モード)。
【0103】
このような構成によれば、所定時間おきに、また、ユーザがクリーナスイッチ115を操作したときもLC103~106が作動するのでLiDAR6f,6b,6r,6lを清浄な状態に保ちやすい。一方で、前WW101はユーザがクリーナスイッチ115を操作したときにのみ作動するのでユーザに違和感を与えない。このように、クリーナ制御部116に入力されるクリーナ作動信号がどこから発信されたかに応じて連動モードと独立モードを使い分けるようにクリーナ制御部116が構成されていてもよい。
なお独立モードは、所定時間おきにクリーナを作動させる信号を出力する他に、車両が所定距離を走行する度にクリーナを作動させる信号を出力するように構成してもよい。
【0104】
次に、第四実施形態に係る車両用クリーナシステムを説明する。
第四実施形態に係る車両用クリーナシステム1100(以降、クリーナシステム1100と称す)の各要素の参照符号には、第一実施形態に係るクリーナシステム100の要素に付した参照符号に1000を加えたものを付した。第一実施形態と共通する第四実施形態の要素については説明を省略する。
【0105】
図23は、本実施形態に係るクリーナシステム1100が搭載された車両1001の上面図である。本実施形態の車両1001は、上記第一実施形態で説明した車両1(
図1参照)におけるカメラ6cを備えていない構成となっている。
【0106】
図23に示すように、車両1001は、ウィンドウシールドとして、フロントウィンドウ1001fとリヤウィンドウ1001bを有している。
【0107】
また、車両1001は、クリーナシステム1100を有している。クリーナシステム1100は、車室の外に設けられた洗浄対象物を洗浄する、すなわち、これらの洗浄対象物に付着する水滴や泥や塵埃等の異物を、洗浄媒体を用いて除去するシステムである。本実施形態において、クリーナシステム1100は、前ウィンドウウォッシャノズル(以降、前WWノズルと称す)1101、後ウィンドウウォッシャノズル(以降、後WWノズルと称す)1102、前LiDARクリーナノズル(以降、前LCノズルと称す)1103、後LiDARクリーナノズル(以降、後LCノズルと称す)1104、右LiDARクリーナノズル(以降、右LCノズルと称す)1105、左LiDARクリーナノズル(以降、左LCノズルと称す)1106、右ヘッドランプクリーナノズル(以降、右HCノズルと称す)1107、左ヘッドランプクリーナノズル(以降、左HCノズルと称す)1108を有する。
【0108】
前WWノズル1101は、フロントウィンドウ1001fの洗浄に利用可能である。後WWノズル1102は、リヤウィンドウ1001bの洗浄に利用可能である。前LCノズル1103は、前LiDAR1006fを洗浄可能である。後LCノズル1104は、後LiDAR1006bを洗浄可能である。右LCノズル1105は、右LiDAR1006rを洗浄可能である。左LCノズル1106は、左LiDAR1006lを洗浄可能である。右HCノズル1107は、右ヘッドランプ1007rを洗浄可能である。左HCノズル1108は、左ヘッドランプ1007lを洗浄可能である。
【0109】
図25は、クリーナシステムのブロック図である。クリーナシステムは、ノズル1101~1108の他に、タンク1111、ポンプ1112(単一のポンプの一例)、操作部1115、制御部1116(クリーナ制御部の一例)を有している。本実施形態において、各々のノズル1101~1108は洗浄液を洗浄対象に向かって吐出可能に構成されている。
【0110】
ノズル1101~1108は、ポンプ1112を介してタンク1111に接続されている。ポンプ1112は、タンク1111に貯留された洗浄液を、ノズル1101~1108にそれぞれ送る。
【0111】
操作部1115は、車両1001のユーザが操作可能な装置である。操作部1115は、ユーザの操作に伴って信号を出力し、この信号は制御部1116に入力される。例えば操作部1115は、車室内部に設けられたスイッチなどで構成することができる。
【0112】
各々のノズル1101~1108には、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象に吐出させるアクチュエータが設けられている。各々のノズル1101~1108に設けられたアクチュエータは、制御部1116に電気的に接続されている。また、制御部1116は、ポンプ1112、操作部1115、車両制御部1003にも電気的に接続されている。
【0113】
例えば制御部1116にフロントウィンドウ1001fを洗浄させる信号が入力された場合には、制御部1116はポンプ1112を作動させてタンク1111から前WWノズル1101に洗浄液を送り、前WWノズル1101のアクチュエータを作動させて前WWノズル1101から洗浄液を吐出させる。
【0114】
図26は、クリーナシステム1100の構成を示す模式図である。
図26に示すように、ポンプ1112はタンク1111に取り付けられている。ポンプ1112は、例えばモータ駆動の遠心型ポンプであり、制御部1116(ポンプ制御部の一例)に電気的に接続されている。制御部1116は、ポンプ1112を一定の回転数で回転させることで、ポンプ1112と後述の各インジェクタ1130との間の管路1120内の洗浄液を常時加圧させている。ポンプ1112と、車両前側の各ノズル(すなわち、前WWノズル1101、前LCノズル1103、右LCノズル1105、左LCノズル1106、右HCノズル1107、左HCノズル1108)との間は、管路1120を介してそれぞれ接続されている。また、ポンプ1112と、車両後側の各ノズル(すなわち、後WWノズル1102および後LCノズル1104)との間は、管路1125を介して接続されている。具体的には、管路1120は、分岐部1121を有し、分岐部1121から前WWノズル1101と、複数のLCノズル1103,1105,1106と、複数のHCノズル1107,1108へ向けて管路1120が分岐するように構成されている。分岐部1121には、洗浄液の逆流を防止するためのチェックバルブ1122が設けられている。分岐部1121と、複数のLCノズル1103,1105,1106との間には、各LCノズル1103,1105,1106に管路1120を分岐するための分岐部1123が設けられている。同様に、分岐部1121と、複数のHCノズル1107,1108との間には、各HCノズル1107,1108に管路1120を分岐するための分岐部1124が設けられている。また、管路1125は、分岐部1126を有し、分岐部1126から後WWノズル1102と後LCノズル1104へ向けて管路1125が分岐するように構成されている。分岐部1126には、チェックバルブ1127が設けられている。
【0115】
分岐部1121(チェックバルブ1122)と前側の各ノズル1101,1103,1105~1108との間にはインジェクタ1130(噴射作動部の一例)がそれぞれ設けられている。具体的には、各インジェクタ1130は、各ノズル1101,1103,1105~1108の近傍、すなわち、管路1120のポンプ1112側の端部とは反対側の端部付近に配置されている。また、分岐部1126(チェックバルブ1127)と後側の各ノズル1102,1104との間にもインジェクタ1130がそれぞれ設けられている。インジェクタ1130は、各ノズル1101~1108からそれぞれの洗浄対象物へ向けての洗浄液の噴射を制御するためのものである。インジェクタ1130は、制御部1116と電気的に接続され、制御部1116からの信号を受けて、インジェクタ1130内部の洗浄液の流路の開閉動作がなされる。
【0116】
図27は、インジェクタ1130の具体的構成を示す模式図である。ここでは、複数のインジェクタ1130のうち前WWノズル1101に対応して設けられるインジェクタ1130を例示して説明する。
インジェクタ1130は、シリンダ1201と、シリンダ1201内を摺動する磁性体からなる弁体1203と、シリンダ1201の外側に配置されたソレノイド1205とを有している。ソレノイド1205は、制御部1116(噴射作動部制御部の一例)に電気的に接続され、制御部1116からの信号入力により、通電/非通電が制御される。シリンダ1201には、管路1120から洗浄液を吸入するための吸入口1207と、前WWノズル1101に向けて洗浄液を吐出するための吐出口1209とが形成されている。また、シリンダ1201内部には、弁体1203を吐出口1209に向けて常時付勢するためのスプリング1211が配置されている。
【0117】
シリンダ1201の吸入口1207は、ポンプ1112に接続された管路1120に接続されており、ポンプ1112が作動している間はシリンダ1201内に常時加圧された洗浄液が供給されている。また、シリンダ1201の吐出口1209と前WWノズル1101とは管路1128を介して接続されている。なお、吐出口1209は、前WWノズル1101に直接接続されていてもよい。
【0118】
図27に示すように、制御部1116の制御によるソレノイド1205の通電時には、弁体1203はソレノイド電磁力により吸引され、スプリング1211の付勢力に抗して
図27の下方に移動する。これにより、吐出口1209が開放され、ポンプ1112から吸入口1207を介してシリンダ1201内に供給された洗浄液が弁体1203に形成された開口部1213を通って流れ、吐出口1209から管路1128を介して前WWノズル1101に供給される。
【0119】
一方、制御部1116の制御によるソレノイド1205の非通電時には、弁体1203はスプリング1211の付勢力により
図27の上方に移動し、シリンダ1201の吐出口1209を閉鎖する。このため、前WWノズル1101への洗浄液の注入は停止する。このようにして、制御部1116は、ユーザが操作するスイッチなどの操作部1115から出力される信号に基づいて、インジェクタ1130を作動させることにより、各ノズル1101~1108への洗浄液の供給開始および供給停止を制御可能である。
【0120】
以上説明したように、本実施形態のクリーナシステム1100においては、単一のポンプ1112と各ノズル1101~1108との間に各ノズル1101~1108からそれぞれの洗浄対象物へ向けての洗浄液の噴射を制御するインジェクタ1130を設けている。そして、制御部1116は、ポンプ1112によって管路1120,1125内の洗浄液を常時加圧させるとともに、インジェクタ1130を個別に作動させて各ノズル1101~1108から洗浄液を噴射させる。これにより、制御部1116は、複数のノズル1101~1108のうち必要なものからだけ洗浄液を噴射させることができるため、洗浄液を節約しつつシーンに応じて必要になる洗浄対象物を清浄に保ちやすくなる。
【0121】
制御部1116は、複数の洗浄モード(個別制御モード、部分連動モード、全体連動モード)で各インジェクタ1130の作動を制御可能である。個別制御モードは、各ノズル1101~1108からの洗浄液の噴射を個別に制御可能なモードである。個別制御モードでは、制御部1116は、操作部1115から出力される信号に基づいて、各インジェクタ1130を個別に作動させる。部分連動モードは、ノズル1101~1108のうち特定の二つ以上のノズルからの洗浄液の噴射を連動して制御可能なモードである。部分連動モードでは、制御部1116は、例えば、前WWノズル1101のインジェクタ1130と前LCノズル1103のインジェクタ1130を連動させ、後WWノズル1102のインジェクタ1130と後LCノズル1104のインジェクタ1130とを連動させ、右LCノズル1105のインジェクタ1130と右HCノズル1107のインジェクタ1130とを連動させ、左LCノズル1106のインジェクタ1130と左HCノズル1108のインジェクタ1130とを連動させるように、それぞれ作動させることができる。全体連動モードは、全てのノズル1101~1108からの洗浄液の噴射を連動して制御可能なモードである。すべての洗浄対象物に対して洗浄液を噴射すべきと判断される場合は、制御部1116は、全体連動モードを選択し、すべてのノズル1101~1108のインジェクタ1130を作動させる。このように、制御部1116が、複数の洗浄モードを有していることで、クリーナ(ノズル1101~1108)が使用されるシーンに応じてモードを適宜選択して、効率的に洗浄対象物を洗浄することができる。
【0122】
制御部1116は、ノズル1101~1108のうち少なくとも一つが、その他のノズルのうちの少なくとも一つのノズルに対して、洗浄液の噴射量、噴射圧、噴射時間、噴射回数の少なくとも一つが異なるように、各インジェクタ1130を制御してもよい。あるいは、ノズル1101~1108のうち少なくとも一つが、その他のノズルのうちの少なくとも一つのノズルに対して、ノズルの開口部の形状や、洗浄液の噴射形状、噴射面積が異なるように、各ノズル1101~1108を形成してもよい。例えば、それぞれの洗浄対象物(フロントウィンドウ1001f、リヤウィンドウ1001b、前LiDAR1006f、後LiDAR1006b、右LiDAR1006r、左LiDAR1006l、右ヘッドランプ1007r、左ヘッドランプ1007l)の汚れを検知するための汚れセンサを設けておいてもよい。例えば、汚れセンサによる検知により前LiDAR1006fの汚れ度が右LiDAR1006rや左LiDAR1006lの汚れ度よりも高いと判定された場合には、制御部1116は、前LiDAR1006fに対する前LCノズル1103からの洗浄液の噴射圧を右LiDAR1106rや左LiDAR1006lに対する右LCノズル1105や左LCノズル1106からの洗浄液の噴射圧よりも高くしたり、洗浄液の噴射時間を長くしたり、洗浄液の噴射回数を多くしたりすることができる。このように複数のノズル間で洗浄液の噴射方式を異ならせることで、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式かつ低コストで洗浄することができる。
【0123】
<種々の変形例>
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0124】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これら4つのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、いずれか一つのみを実行可能であってもよい。例えば、車両の運転モードは、完全自動運転モードのみを含んでいてもよい。
【0125】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0126】
上述した実施形態では、クリーナシステム100,1100を自動運転可能な車両に搭載した例を説明したが、クリーナシステム100,1100は自動運転不可能な車両に搭載してもよい。
【0127】
なお、上述した第一実施形態におけるタイミングチャートは一例であって本発明はこれに限られない。上述したタイミングチャートでは、信号の4回、8回あたりの各々のクリーナの作動回数を定めた例を説明したが、本発明はこれらに限られない。また、上述したタイミングチャートでは、信号の入力と同時に各々のクリーナを作動させる例を説明したが、クリーナ作動信号の入力から遅延させて各々のクリーナを作動させてもよい。
【0128】
なお、上述した第一実施形態においては、クリーナスイッチ115を操作するとクリーナシステム100が様々な洗浄対象のうちの一つ以上を洗浄するように構成した例を説明した。つまり、ユーザが洗浄対象を特定せず、クリーナシステム100が洗浄対象を特定する。しかしながら、クリーナスイッチ115とは別にユーザがカメラ6cを洗浄したいときに操作するカメラ洗浄ボタンを設けておき、カメラ洗浄ボタンが操作されたときにカメラクリーナ109を作動させるようにクリーナシステム100を構成してもよい。このような構成によれば、ユーザが洗浄したい洗浄対象を特定したときは特定された洗浄対象を洗浄することを許容しつつ、かつ、上述した実施形態のようにユーザが特に意識することなくクリーナシステム100が優先度の高い洗浄対象を順に洗浄してユーザの負担を軽減することができる。
【0129】
上述した第一実施形態においては、複数のモードが選択可能に構成されたクリーナシステム100を説明したが、単一のモードのみが記録媒体に記録されており、クリーナ制御部116が特定のモードのみを実行するように構成してもよい。もっともクリーナシステム100は、最適なシーンに合わせてモードを選択できるように、上述したモードA~I,1~11の少なくとも二つ以上を実行可能に構成されていることが好ましい。
【0130】
また、上述した第一実施形態から第三実施形態では、クリーナシステム100は、外部センサ6を含む構成として説明したが、クリーナシステム100は、外部センサ6を含まない構成としてもよい。もっとも、クリーナシステム100が外部センサ6を含んだアセンブリ体として構成されていると、外部センサ6に対するクリーナ103~106,109の位置決め精度を高めやすいので好ましい。また、クリーナシステム100の車両1への搭載時に、外部センサ6も一緒に組み込むことができるので、車両1への組み付け性も高められる。
【0131】
上述した第一実施形態から第三実施形態では、外部センサ6を洗浄するとして、LiDAR6f,6b,6r,6lを洗浄する103~106、およびカメラ6cを洗浄する109を説明したが、本発明はこれに限られない。クリーナシステム100は、レーダを洗浄するクリーナなどを、センサクリーナ103~106,109の代わりに有していてもよいし、センサクリーナ103~106,109とともに有していてもよい。
【0132】
なお、LiDAR6f,6b,6r,6lなどの外部センサ6は、検出面と、検出面を覆うカバーを有していることがある。外部センサ6を洗浄するクリーナは、検出面を洗浄するように構成されていてもよいし、センサを覆うカバーを洗浄するように構成されていてもよい。
【0133】
クリーナシステム100が吐出する洗浄媒体は、空気や水、あるいは洗剤を含む洗浄液などを含む。フロント・リヤウィンドウ1f,1b、ヘッドランプ7r,7l、LiDAR6f,6b,6r,6l、カメラ6cのそれぞれに吐出する洗浄媒体は、相異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0134】
なお上述した第一実施形態から第三実施形態では、クリーナ101,103,105~109が前タンク111に接続され、クリーナ102,104が後タンク113に接続された例を説明したが、本発明はこれに限られない。
クリーナ101~109が単一のタンクに接続されていてもよい。クリーナ101~109がそれぞれ互いに異なるタンクに接続されていてもよい。
あるいは、クリーナ101~109が、その洗浄対象の種類ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、LC103~106が共通の第一タンクに接続され、HC107,108が、第一タンクと異なる第二タンクに接続されるように構成してもよい。
あるいは、クリーナ101~109が、その洗浄対象の配置位置ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、前WW101と前LC103とカメラクリーナ109が共通の前タンクに接続され、右LC105と右HC107が共通の右タンクに接続され、後WW102と後LC104が共通の後タンクに接続され、左LC106と左HC108が共通の左タンクに接続されるように構成してもよい。
【0135】
また上述した第一実施形態から第三実施形態では、クリーナ101~109に設けられたアクチュエータを作動させることによりクリーナ101~109から洗浄媒体を吐出させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。
クリーナ101~109のそれぞれに常閉バルブが設けられており、タンクとクリーナ101~109との間が常に高圧となるようにポンプが作動されており、クリーナ101~109に設けられたバルブをクリーナ制御部116が開けることにより、クリーナ101~109から洗浄媒体を吐出させるように構成してもよい。
あるいは、クリーナ101~109のそれぞれがそれぞれ個別のポンプに接続されており、それぞれのポンプを個別にクリーナ制御部116が制御することにより、クリーナ101~109からの洗浄媒体の吐出を制御するように構成してもよい。この場合、クリーナ101~109のそれぞれに相異なるタンクに接続されていてもよいし、共通のタンクに接続されていてもよい。
【0136】
クリーナ101~109には、洗浄媒体を吐出する1つ以上の吐出穴が設けられている。クリーナ101~109は、洗浄液を吐出する1つ以上の吐出穴と、空気を吐出する1つ以上の吐出穴とが設けられていてもよい。
【0137】
各々のクリーナ101~109は、それぞれ個別に設けてもよいし、複数をユニット化して構成してもよい。例えば、右LC105と右HC107を単一のユニットとして構成してもよい。右ヘッドランプ7rと右LiDAR6rとが一体化された態様に対して、右LC105と右HC107を単一のユニットとして構成するとよい。
【0138】
また、上記の第四実施形態においては、ポンプ1112と各ノズル1101~1108のインジェクタ1130が、ともに制御部1116により制御される構成となっているがこの例に限られない。例えば、ポンプ1112を制御するポンプ制御部と、各インジェクタ1130を制御するインジェクタ制御部(噴射作動部制御部)が別個で設けられてもよい。また、上記第四実施形態では、各ノズル1101~1108に対応してそれぞれ別個のインジェクタ1130が設けられているが、例えば、複数のLCノズル1103,1105,1106に対して1つのインジェクタ1130を設けたり、複数のHCノズル1107,1108に対して1つのインジェクタ1130を設けたりする構成を採用してもよい。この場合には、例えば、管路1120における分岐部1121と分岐部1123との間に複数のLCノズル1103,1105,1106に対応するインジェクタ1130を設けることが好ましい。また、例えば、管路1120における分岐部1121と分岐部1124の間に複数のHCノズル1107,1108に対応するインジェクタ1130を設けることが好ましい。
【0139】
上述した第四実施形態では、ノズル1101~1108がタンク1111に接続されている構成を例示したが、本実施形態はこれに限られない。
図28は、変形例にかかるクリーナシステム1100A,1100Bに係るブロック図である。
図28に示すように、クリーナシステム1100Aは、前WWノズル1101、前LCノズル1103、右LCノズル1105、左LCノズル1106、右HCノズル1107、左HCノズル1108、前タンク1111A、前ポンプ1112A(単一のポンプの一例)、制御部1116A(クリーナ制御部の一例)を有している。前WWノズル1101、前LCノズル1103、右LCノズル1105、左LCノズル1106、右HCノズル1107、左HCノズル1108は、前ポンプ1112Aを介して前タンク1111Aに接続されている。前ポンプ1112Aは、前タンク1111Aに貯留された洗浄液を、ノズル1101,1103,1105~1108にそれぞれ送る。
【0140】
また、クリーナシステム1100Bは、後WWノズル1102、後LCノズル1104、後タンク1113、後ポンプ1114(単一のポンプの一例)、制御部1116B(クリーナ制御部の一例)を有している。後WWノズル1102と後LCノズル1104は、後ポンプ1114を介して後タンク1113に接続されている。後ポンプ1114は、後タンク1113に貯留された洗浄液を後WWノズル1102と後LCノズル1104にそれぞれ送る。
【0141】
図28に示すように、車両1001の前部と後部とでクリーナシステムを分けて構成してもよい。この場合にも、単一の前ポンプ1112Aと前側の各ノズル1101,1103,1105~1108との間を管路で接続するとともに、各ノズル1101,1103,1105~1108からそれぞれの洗浄対象物へ向けての洗浄液の噴射を制御するインジェクタ1130を各ノズル1101,1103,1105~1108に対応して設けている。そして、制御部1116Aは、前ポンプ1112Aによって管路内の洗浄液を常時加圧させるとともに、インジェクタ1130を個別に作動させて各ノズル1101,1103,1105~1108から洗浄液を噴射させる。また、同様に、単一の後ポンプ1114と後側の各ノズル1102,1104との間を管路で接続するとともに、各ノズル1102,1104からそれぞれの洗浄対象物へ向けての洗浄液の噴射を制御するインジェクタ1130を各ノズル1102,1104に対応して設けている。そして、制御部1116Bは、後ポンプ1114によって管路内の洗浄液を常時加圧させるとともに、インジェクタ1130を個別に作動させて各ノズル1102,1104から洗浄液を噴射させる。これにより、単一のポンプ1112A,1114を備えた各クリーナシステム1100A,1100Bにおいて、制御部1116A,1116Bは、複数のノズル1101~1108のうち必要なものからだけ洗浄液を噴射させることができるため、洗浄液を節約しつつシーンに応じて必要になる洗浄対象物を清浄に保ちやすくなる。
【0142】
ノズル1101~1108がそれぞれ互いに異なるタンクに接続されていてもよい。あるいは、ノズル1101~1108が、その洗浄対象の種類ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、LiDAR用のノズル1105~1108が共通の第一タンクに接続され、ランプ用のノズル1107,1108が、第一タンクと異なる第二タンクに接続されるように構成してもよい。
あるいは、ノズル1101~1108が、その洗浄対象の配置位置ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、前WWノズル1101と前LCノズル1103が共通の前タンクに接続され、右LCノズル1105と右HCノズル1107が共通の右タンクに接続され、後WWノズル1102と後LCノズル1104が共通の後タンクに接続され、左LCノズル1106と左HCノズル1108が共通の左タンクに接続されるように構成してもよい。
これらの場合にも、単一のポンプにより、管路内の洗浄液を常時加圧させるとともに、インジェクタ1130を個別に作動させて各ノズル1101~1108から洗浄液を噴射させる構成を採用することで、洗浄液を節約しつつシーンに応じて必要になる洗浄対象物の清浄度を維持することができる。
【0143】
上述した第四実施形態では、外部センサを洗浄するノズルとして、LiDARを洗浄するノズル1103~1106を説明したが、本発明はこれに限られない。クリーナシステム1100は、カメラを洗浄するノズル、レーダを洗浄するノズルなどを、ノズル1103~1106の代わりに有していてもよいし、ノズル1103~1106とともに有していてもよい。また、検出方法の異なる複数の外部センサ(例えば、LiDARとカメラ)や車両1001における搭載位置が互いに異なる複数の外部センサ(例えば、前LiDARと後LiDAR)に対して、それぞれ対応する複数のセンサクリーナ(センサクリーナノズル)を含んでいた場合に、制御部1116は、複数のセンサクリーナでの洗浄方式が互いに異なるように、これらのセンサクリーナを作動させてもよい。LiDARとカメラなど、検出方法が異なる外部センサは求められるシーンが異なる場合が多い。そこで、外部センサの種類ごとに洗浄方式を異ならせることで、特定のシーンに応じたセンサごとに清浄度を維持しやすくなる。
【0144】
なお、LiDARなどの外部センサは、検出面と、検出面を覆うカバーを有していることがある。外部センサを洗浄するノズルは、検出面を洗浄するように構成されていてもよいし、センサを覆うカバーを洗浄するように構成されていてもよい。
【0145】
クリーナシステムが吐出する洗浄媒体は、空気や水、あるいは洗剤を含む洗浄液などを含む。フロント・リヤウィンドウ、ヘッドランプ、LiDARのそれぞれに吐出する洗浄媒体は、相異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0146】
ノズル1101~1108には、洗浄媒体を吐出する1つ以上の吐出穴が設けられている。ノズル1101~1108は、洗浄液を吐出する1つ以上の吐出穴と、空気を吐出する1つ以上の吐出穴とが設けられていてもよい。
【0147】
各々のノズル1101~1108は、それぞれ個別に設けてもよいし、複数をユニット化して構成してもよい。例えば、右LCノズル1105と右HCノズル1107を単一のユニットとして構成してもよい。右ヘッドランプ1007rと右LiDAR1006rとが一体化された態様に対して、右LCノズル1105と右HCノズル1107を単一のユニットとして構成するとよい。
【0148】
また、上記の第四実施形態では、制御部1116への作動信号の入力は、ユーザが操作するスイッチなどの操作部1115から出力される信号に基づいているが、例えば車両の各部に搭載された汚れセンサが汚れを検出したときに出力する信号が制御部1116に入力されるように構成されていてもよい。
あるいは、汚れセンサが汚れを検出したときに出力する信号が車両制御部1003(ECUまたは自動運転制御部)に入力され、車両制御部1003から各種クリーナノズルの少なくとも一つを作動させる信号が制御部1116に入力されるように構成されていてもよい。
センサが汚れを検出したときに出力する信号が車両制御部1003に入力され、車両制御部1003から各種クリーナの少なくとも一つを作動させる信号が各種クリーナに入力されるように構成されていてもよい。この場合には、制御部1116が車両制御部1003の一部として実装される。
【0149】
本出願は、2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115871号、2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115874号、2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115876号、および2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115878号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。