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特許7556127蒸発装置及びその制御方法、冷凍ショーケース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】蒸発装置及びその制御方法、冷凍ショーケース
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/02 20060101AFI20240917BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
F25B39/02 H
F25D21/04 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023503212
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 CN2021121517
(87)【国際公開番号】W WO2022078210
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】202011084822.4
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512306405
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンシーズ インク オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
【住所又は居所原語表記】Qianshan Jinji West Road,Zhuhai, Guangdong, 519070, P.R. CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】苗 志強
(72)【発明者】
【氏名】孫 慶一鳴
(72)【発明者】
【氏名】李 福良
(72)【発明者】
【氏名】呉 明国
(72)【発明者】
【氏名】▲関▼ 煥豪
(72)【発明者】
【氏名】張 辰
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】実公昭57-58551(JP,Y2)
【文献】中国実用新案第208566975(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111449457(CN,A)
【文献】特開2013-245906(JP,A)
【文献】特開2009-074754(JP,A)
【文献】特開2003-083665(JP,A)
【文献】特開2013-242104(JP,A)
【文献】米国特許第05540276(US,A)
【文献】特公平02-052793(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第109737676(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/04
F25B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発装置(10)であって、
熱交換本体(1)を含み、前記熱交換本体(1)は第1方向(X方向)に沿って除湿領域(A)と着霜防止冷凍領域(B)を順に含み、前記除湿領域(A)は前記第1方向(X方向)に沿って吸気側に位置し、
前記熱交換本体(1)は冷媒が流れるための熱交換通路を有し、前記熱交換通路は、前記第1方向(X方向)に沿って間隔を空けて設けられ、前記第1方向(X方向)に垂直な第2方向(Y方向)に沿って延びている複数の第1通路セグメントと、自身が配置された熱交換通路における隣接する前記第1通路セグメントの同側端を連通する複数の第2通路セグメントと、を含み、
前記着霜防止冷凍領域(B)における前記第1通路セグメントの密度は、前記除湿領域(A)における前記第1通路セグメントの密度よりも小さく、
前記熱交換本体(1)は前記第1方向(X方向)に沿って前記着霜防止冷凍領域(B)の下流に位置する冷凍補強領域(C)をさらに含み、
前記着霜防止冷凍領域(B)における前記第1通路セグメントの数密度は、前記冷凍補強領域(C)における前記第1通路セグメントの数密度よりも小さい、ことを特徴とする蒸発装置(10)。
【請求項2】
前記第1方向(X方向)において、前記着霜防止冷凍領域(B)における隣接する前記第1通路セグメントの間隔は、前記冷凍補強領域(C)における隣接する前記第1通路セグメントの間隔よりも大きい、ことを特徴とする請求項に記載の蒸発装置(10)。
【請求項3】
前記第1方向(X方向)において、前記着霜防止冷凍領域(B)における隣接する前記第1通路セグメントの間隔は、前記除湿領域(A)における隣接する前記第1通路セグメントの間隔よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置(10)。
【請求項4】
同一の前記熱交換通路に対し、前記着霜防止冷凍領域(B)における前記第1通路セグメントの数は、前記除湿領域(A)における前記第1通路セグメントの数よりも多く、及び/又は、前記除湿領域(A)における前記第1通路セグメントの数は、前記冷凍補強領域(C)における前記第1通路セグメントの数よりも多い、ことを特徴とする請求項に記載の蒸発装置(10)。
【請求項5】
同一の前記熱交換通路に対し、前記除湿領域(A)における前記第1通路セグメントの数は着霜が発生しない前記第1通路セグメントの数に設定され、
前記着霜防止冷凍領域(B)における前記第1通路セグメントの数は、前記除湿領域(A)と前記着霜防止冷凍領域(B)が共同で気流における所定の百分率含有量の湿度を除去し、及び所定の熱交換量を実現するように設定され、及び/又は
前記冷凍補強領域(C)における前記第1通路セグメントの数は、前記熱交換本体(1)の全体的な熱交換量が要件を満たすように設定される、ことを特徴とする請求項に記載の蒸発装置(10)。
【請求項6】
前記熱交換本体(1)は、
基体(1')と、
前記基体(1')に取り付けられる熱交換管(2)と、を含み、
前記熱交換管(2)の内部に前記熱交換通路が形成され、前記熱交換管(2)は複数の第1管セグメント(21)と複数の第2管セグメント(22)を含み、前記第1管セグメント(21)の内部に前記第1通路セグメントが形成され、前記第2管セグメント(22)の内部に前記第2通路セグメントが形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置(10)。
【請求項7】
前記熱交換通路は、第3方向(Z方向)に沿って複数設けられ、複数の前記熱交換通路はいずれも前記第1方向(X方向)に沿ってそれぞれの第1端から冷媒を導入し、それぞれの第2端から冷媒を導出し、前記第3方向(Z方向)は前記第1方向(X方向)及び前記第2方向(Y方向)に垂直であり、
複数の前記熱交換通路は、少なくとも1組の隣接しかつ交差して設けられた前記熱交換通路を含み、交差して設けられた2つの熱交換通路のうち、それぞれ前記第1通路セグメントの同じ端に位置する前記第2通路セグメントは交差して設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置(10)。
【請求項8】
前記熱交換本体(1)の風上面(S)は、前記除湿領域(A)の第3方向(Z方向)に垂直でありかつ吸気側に向かう面と、前記除湿領域(A)の前記第1方向(X方向)に垂直な面とを含み、前記第3方向(Z方向)は前記第1方向(X方向)及び前記第2方向(Y方向)に垂直である、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置(10)。
【請求項9】
それぞれ前記熱交換通路の両端の入口(23)と出口(24)に連通する給液管(4)及び排気管(5)であって、前記給液管(4)に絞り素子(8)が設けられる給液管(4)及び排気管(5)と、
前記熱交換本体(1)の前記除湿領域(A)の温度を検出するように構成される第1温度検出部品(3)と、をさらに含み、
前記絞り素子(8)の開度は、前記第1温度検出部品(3)の検出値が所定の温度値を超えたときに大きくなり、前記第1温度検出部品(3)の検出値が所定の温度値を超えないときに小さくなるように設定される、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置(10)。
【請求項10】
前記給液管の温度を検出するように構成される第2温度検出部品(6)と、
前記排気管(5)の温度を検出するように構成される第3温度検出部品(7)と、をさらに含み、
前記絞り素子(8)の開度は、前記第3温度検出部品(7)と前記第2温度検出部品(6)の検出値の差に基づいて決定され、前記絞り素子(8)の開度と前記検出値の差には正の相関があるように構成される、ことを特徴とする請求項に記載の蒸発装置。
【請求項11】
請求項1に記載の蒸発装置(10)を含む、ことを特徴とする冷凍ショーケース。
【請求項12】
キャビネット(20)と、送風機(70)と、をさらに含み、
前記キャビネット(20)内に第1風路(30)及び第2風路(40)が設けられ、前記第1風路(30)は、前記キャビネット(20)の前後方向に沿って延び、前記キャビネット(20)の下部に設けられ、前記第2風路(40)は、前記キャビネット(20)の上下方向に沿って延び、前記キャビネット(20)の後部に設けられ、前記第2風路(40)の下部は前記第1風路(30)の後部に連通し、
前記送風機(70)は前記第1風路(30)内に設けられ、前記第1風路(30)に冷風を送るように構成され、前記冷風は前記第1風路(30)及び前記第2風路(40)を順に経た後に前記キャビネット(20)の前側面に冷エアーカーテンを形成し、
前記蒸発装置(10)は前記第2風路(40)の下方領域に設けられ、前記第1方向(X方向)は上下方向と一致している、ことを特徴とする請求項11に記載の冷凍ショーケース。
【請求項13】
前記第1風路(30)と前記第2風路(40)との間に設けられるバッフル(80)をさらに含み、
前記除湿領域(A)は前記バッフル(80)の下に位置し、前記着霜防止冷凍領域(B)と冷凍補強領域(C)は前記バッフル(80)の上に位置し、前記熱交換本体(1)の風上面(S)は前記除湿領域(A)の還気に正対する表面及び底面を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の冷凍ショーケース。
【請求項14】
第1温度検出部品(3)により前記熱交換本体(1)の前記除湿領域(A)の温度を検出するステップと、
前記第1温度検出部品(3)の検出値が所定の温度値を超えるか否かを判断し、前記所定の温度値を超えると絞り素子(8)の開度を大きくし、前記所定の温度値を超えないと前記絞り素子(8)の開度を小さくするステップであって、前記絞り素子(8)は蒸発装置(10)の給液管(4)に設けられ、前記給液管(4)は前記熱交換通路の入口(23)に連通するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の蒸発装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置の技術分野に関し、特に蒸発装置及びその制御方法、冷凍ショーケースに関する。
【0002】
本開示は、出願番号が202011084822.4で、出願日が2020年10月12日である中国出願を基とし、その優先権を主張し、当該中国出願の開示内容はここで全体として本開示に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
冷凍ショーケースは、食品、薬品等の物品を冷蔵、展示するためのキャビネットであり、様々な大売場、スーパーマーケット等で広く利用されている。
【0004】
現在、冷蔵エアーカーテンショーケースは開放式構造の影響を受けるため、環境における熱空気がキャビネット内に入って蒸発器に着霜しやすく、蒸発器の外面の熱抵抗が大きくなり、風抵抗が大きくなり、最終的に頻繁な霜落しによる消費電力量の上昇を引き起こす。現在業界においても様々な方法で着霜を減らすことが求められているが、いずれも蒸発器の着霜現象を良好に緩和することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、蒸発装置の着霜現象を良好に緩和することができる蒸発装置及びその制御方法、冷凍ショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様によれば、
熱交換本体を含み、
熱交換本体は第1方向に沿って除湿領域と着霜防止冷凍領域を順に含み、除湿領域は第1方向に沿って吸気側に位置し、
熱交換本体は冷媒が流れるための熱交換通路を有し、熱交換通路は、第1方向に沿って間隔を空けて設けられ、第1方向に垂直な第2方向に沿って延びている複数の第1通路セグメントと、自身が配置された熱交換通路における隣接する第1通路セグメントの同端を連通する複数の第2通路セグメントと、を含み、
着霜防止冷凍領域における第1通路セグメントの密度は除湿領域における第1通路セグメントの密度よりも小さい蒸発装置を提供する。
【0007】
いくつかの実施例では、熱交換本体は第1方向に沿って着霜防止冷凍領域の下流に位置する冷凍補強領域をさらに含み、
着霜防止冷凍領域における第1通路セグメントの密度は冷凍補強領域における第1通路セグメントの密度よりも小さい
【0008】
いくつかの実施例では、第1方向において、着霜防止冷凍領域における隣接する第1通路セグメントの間隔は除湿領域における隣接する第1通路セグメントの間隔よりも大きい。
【0009】
いくつかの実施例では、熱交換本体は第1方向に沿って着霜防止冷凍領域の下流に位置する冷凍補強領域をさらに含み、
第1方向において、着霜防止冷凍領域における隣接する第1通路セグメントの間隔は冷凍補強領域における隣接する第1通路セグメントの間隔よりも大きい。
【0010】
いくつかの実施例では、蒸発装置は熱交換本体を含み、熱交換本体は気流方向に沿って除湿領域と着霜防止冷凍領域を順に含み、除湿領域は吸気側に位置し、
熱交換本体は冷媒が流れるための熱交換通路を有し、熱交換通路は、気流方向に平行する第1方向に沿って間隔を空けて設けられ、第1方向に垂直な第2方向に沿って延びている複数の第1通路セグメントと、自身が配置された熱交換通路における隣接する第1通路セグメントの同端を連通する複数の第2通路セグメントと、を含み、
第1方向において、着霜防止冷凍領域における隣接する第1通路セグメントの間隔は除湿領域における隣接する第1通路セグメントの間隔よりも大きい。
【0011】
いくつかの実施例では、熱交換本体は気流方向に沿って着霜防止冷凍領域の下流に位置する冷凍補強領域をさらに含み、
第1方向において、着霜防止冷凍領域における隣接する第1通路セグメントの間隔は冷凍補強領域における隣接する第1通路セグメントの間隔よりも大きい。
【0012】
いくつかの実施例では、同一の熱交換通路に対し、着霜防止冷凍領域における第1通路セグメントの数は除湿領域における第1通路セグメントの数よりも多く、及び/又は除湿領域における第1通路セグメントの数は冷凍補強領域における第1通路セグメントの数よりも多い。
【0013】
いくつかの実施例では、同一の熱交換通路に対し、除湿領域の第1通路セグメントの数は着霜が発生しない第1通路セグメントの数に設定され、
着霜防止冷凍領域における第1通路セグメントの数は、除湿領域と着霜防止冷凍領域が共同で気流における所定の百分率含有量の湿度を除去し、及び所定の熱交換量を実現するように設定され、及び/又は
冷凍補強領域における第1通路セグメントの数は、熱交換本体の全体的な熱交換量が要件を満たすように設定される。
【0014】
いくつかの実施例では、熱交換本体は、
基体と、
基体に取り付けられる熱交換管と、を含み、
熱交換管の内部に熱交換通路が形成され、熱交換管は複数の第1管セグメントと複数の第2管セグメントを含み、第1管セグメントの内部に第1通路セグメントが形成され、第2管セグメントの内部に第2通路セグメントが形成される。
【0015】
いくつかの実施例では、熱交換通路は、第3方向に沿って複数設けられ、複数の熱交換通路はいずれも第1方向に沿ってそれぞれの第1端から冷媒を導入し、それぞれの第2端から冷媒を導出し、第3方向は第1方向及び第2方向に垂直であり、
複数の熱交換通路は少なくとも1組の隣接しかつ交差して設けられた熱交換通路を含み、交差して設けられた2つの熱交換通路のうちそれぞれ第1通路セグメントの同端に位置する第2通路セグメントは交差して設けられる。
【0016】
いくつかの実施例では、交差して設けられた2つの熱交換通路は熱交換本体の第3方向に沿う少なくとも一側に位置する。
【0017】
いくつかの実施例では、熱交換本体の風上面は、除湿領域の垂直な第3方向に垂直でありかつ吸気側に向かう面と、除湿領域(A)の第1方向に垂直な面とを含み、第3方向は第1方向及び第2方向に垂直である。
【0018】
いくつかの実施例では、熱交換本体の表面に疎水性コーティングが塗布される。
【0019】
いくつかの実施例では、熱交換装置は、それぞれ熱交換通路の両端の入口と出口に連通する給液管及び排気管であって、給液管に絞り素子が設けられる給液管及び排気管と、熱交換本体の除湿領域の温度を検出する第1温度検出部品と、をさらに含み、
絞り素子の開度は、第1温度検出部品の検出値が所定の温度値を超えたときに大きくなり、第1温度検出部品の検出値が所定の温度値を超えないときに小さくなるように設定される。
【0020】
いくつかの実施例では、熱交換装置は、
給液管の温度を検出するように構成される第2温度検出部品と、
排気管の温度を検出するように構成される第3温度検出部品と、をさらに含み、
絞り素子の開度は、第3温度検出部品と第2温度検出部品の検出値の差に基づいて決定され、絞り素子の開度と検出値の差には正の相関があるように構成される。
【0021】
いくつかの実施例では、熱交換管の直径範囲は6mm~13mmである。
【0022】
本開示の第2態様によれば、上記実施例の蒸発装置を含む冷凍ショーケースを提供する。
【0023】
いくつかの実施例では、冷凍ショーケースは、
キャビネットと、送風機と、をさらに含み、
キャビネット内に第1風路及び第2風路が設けられ、第1風路は、キャビネットの前後方向に沿って延び、キャビネットの下部に設けられ、第2風路は、キャビネットの上下方向に沿って延び、キャビネットの後部に設けられ、第2風路の下部は第1風路の後部に連通し、
前記送風機は、第1風路内に設けられ、第1風路に冷風を送るように構成され、冷風は第1風路及び第2風路を順に経た後にキャビネットの前側面に冷エアーカーテンを形成し、
蒸発装置は第2風路の下方領域に設けられ、第1方向は上下方向と一致している。
【0024】
いくつかの実施例では、冷凍ショーケースは、
第1風路と第2風路との間に設けられるバッフルをさらに含み、
除湿領域はバッフルの下に位置し、着霜防止冷凍領域と冷凍補強領域はバッフルの上に位置し、熱交換本体の風上面は除湿領域の還気に正対する表面及び底面を含む。
【0025】
本開示の第3態様によれば、
第1温度検出部品により熱交換本体の除湿領域の温度を検出するステップと、
第1温度検出部品の検出値が所定の温度値を超えるか否かを判断し、所定の温度値を超えると絞り素子の開度を大きくし、所定の温度値を超えないと絞り素子の開度を小さくするステップとであって、絞り素子は蒸発装置の給液管に設けられ、給液管は熱交換通路の入口に連通するステップと、を含む。
【0026】
いくつかの実施例では、絞り素子の開度を調整する必要がある場合には、制御方法は、
第2温度検出部品により給液管の温度を検出するステップと、
第3温度検出部品により熱交換通路の出口に連通する排気管の温度を検出するステップと、
第3温度検出部品と第2温度検出部品の検出値の差に基づいて絞り素子の開度を決定するステップであって、絞り素子の開度と検出値の差には正の相関があるステップと、をさらに含む。
【発明の効果】
【0027】
本開示の実施例の蒸発装置は、気流が蒸発装置に沿って第1方向において流れ、第1通路セグメントに垂直であり、気流が蒸発装置を経る時に、各領域で様々な効果が順に発生する。熱交換本体の吸気側に近い領域では、環境から吸気する気体の温度が相対的に高いため着霜しにくいが、空気中の湿度が大きく、除湿領域により除湿効果を最適化することができ、気流が除湿領域の蒸発熱交換を経た後にも、気流には依然として水蒸気が存在し、さらに冷凍する時に着霜しやすく、着霜防止冷凍領域における隣接する第1通路セグメントの間隔を大きくすることにより、霜の付着量を減らすことができ、それにより着霜現象を改善する。
【0028】
ここで説明した図面は本開示に対する更なる理解を提供することに用いられ、本出願の一部を構成し、本開示の例示的な実施例及びその説明は本開示を説明することに用いられ、本開示に対する不当な限定を構成しない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の蒸発装置のいくつかの実施例のxz平面内での2つの端面の構造概略図である。
図2】本開示の冷凍ショーケースのいくつかの実施例の構造概略図である。
図3】本開示の蒸発装置のいくつかの実施例の気流の概略図である。
図4】本開示の蒸発装置のいくつかの実施例の原理の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示について詳細に説明する。以下の段落では、実施例の異なる態様についてより詳細に説明する。組み合わせてはならないことを明示的に示さない限り、このように限定された各態様は他の任意の態様又は複数の態様と組み合わせてもよい。特に、好ましい又は有利であると考えられる任意の特徴を、好ましい又は有利であると考えられる他の1つ又は複数の特徴と組み合わせてもよい。
【0031】
本開示に記載されている「第1」、「第2」等の用語は説明の便宜上、同じ名称を有する異なる構成部品を区別することに用いられ、前後又は主従関係を表すものではない。
【0032】
また、素子が別の素子の「上」に位置すると言われる場合には、当該素子は別の素子の上に直接的に存在してもよく、あるいは別の素子の上に間接的に存在してもよく、それらの間に1つ以上の中間素子が挿入されてもよい。また、素子が別の素子に「接続される」と言われる場合には、当該素子は別の素子に直接接続されていてもよく、あるいは別の素子に間接的に接続されていてもよく、それらの間に1つ以上の中間素子が挿入されていてもよい。以下の説明では、同じ符号は同じ素子を示す。
【0033】
本開示では、「上」、「下」、「頂」、「底」、「前」、「後」、「内」、及び「外」などにより示される方向又は位置関係の記述が採用されているが、これは単に本開示を説明しやすくするためのものであり、指示された装置が特定の方向を有したり、特定の方向で構成、操作されなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本開示の特許範囲を限定すると理解すべきではない。
【0034】
図1乃至図4に示すように、本開示は、冷凍に用いられる蒸発装置10を提供し、熱交換本体1を含み、前記熱交換本体1は第1方向に沿って除湿領域Aと着霜防止冷凍領域Bを順に含み、除湿領域Aは第1方向に沿って吸気側に位置する。熱交換本体1は冷媒が流れるための熱交換通路を有し、熱交換通路は、第1方向に沿って間隔を空けて設けられ、第1方向に垂直な第2方向に沿って延びている複数の第1通路セグメントと、位置する熱交換通路における第1通路セグメントの同端を連通する複数の第2通路セグメントと、を含む。ここでは、着霜防止冷凍領域Bにおける隣接する第1通路セグメントの密度は、除湿領域Aにおける第1通路セグメントの密度よりも小さい。
【0035】
いくつかの実施例では、熱交換本体1は、第1方向に沿って着霜防止冷凍領域Bの下流に位置する冷凍補強領域Cをさらに含む。ここでは、着霜防止冷凍領域Bにおける第1通路セグメントの密度は冷凍補強領域Cにおける第1通路セグメントの密度よりも小さい。
【0036】
いくつかの実施例では、蒸発装置10は、熱交換本体1を含み、熱交換本体1は気流方向に沿って除湿領域A及び着霜防止冷凍領域Bを順に含み、除湿領域Aは吸気側に位置し、着霜防止冷凍領域Bは除湿領域Aの下流に位置する。
【0037】
熱交換本体1は冷媒が流れるための熱交換通路を有し、熱交換通路は入口23と出口24を有し、入口23は液状冷媒が流入することに用いられ、出口24はガス状冷媒が流出することに用いられる。熱交換本体1は冷媒が流れるための熱交換通路を有し、熱交換通路は複数の第1通路セグメントと複数の第2通路セグメントを含む。複数の第1通路セグメントは、第1方向xに沿って間隔を空けて設けられ、第1方向xに垂直な第2方向yに沿って延び、第1方向xは気流方向に平行であり、第2通路セグメントは位置する熱交換通路における隣接する第1通路セグメントの同端を連通する。例えば、第1通路セグメントは直線セグメントであってもよく、第2通路セグメントはU字状、円弧状又は他の湾曲形状を採用してもよい。
【0038】
いくつかの実施例では、図1に示すように、熱交換本体1は、基体1'と、基体1'に取り付けられる熱交換管2とを含み、熱交換管2の内部に熱交換通路が形成され、熱交換管2は複数の第1管セグメント21と複数の第2管セグメント22を含み、第1管セグメント21の内部に第1通路セグメントが形成され、第2管セグメント22の内部に第2通路セグメントが形成される。熱交換管2は複数の第1管セグメント21と複数の第2管セグメント22を含み、複数の第1管セグメント21は、気流方向に平行な第1方向xに沿って間隔を空けて設けられ、第1方向xに垂直な第2方向yに沿って延び、第2管セグメント22は、位置する熱交換通路における隣接する第1管セグメント21の同端を連通する。任意選択的に、熱交換通路は熱交換本体1に直接開かれている。
【0039】
ここでは、第1方向xにおいて、着霜防止冷凍領域Bにおける隣接する第1通路セグメントの間隔は、除湿領域Aにおける隣接する第1通路セグメントの間隔よりも大きい。
【0040】
該実施例では、気流は蒸発装置10に沿って第1方向xにおいて流れ、第1通路セグメントに垂直であり、蒸発装置10の最大側面に垂直ではないため、気流が蒸発装置10を経る時に、各領域で様々な効果が発生する。
【0041】
熱交換本体1の吸気側に近い領域では、環境から吸気する気体の温度が相対的に高いため、該領域に着霜しにくくなるが、空気中の湿度が大きく、除湿領域Aの蒸発作用により、空気中の水蒸気を凝縮することができ、除湿領域Aにおける隣接する第1通路セグメントの間隔を小さくすることにより除湿効果を最適化する。
【0042】
気流が除湿領域Aの熱交換を経た後にも、気流には依然として水蒸気が存在し、気流の温度が多少低下し、着霜防止冷凍領域Bの更なる冷凍を経ると、このときの気流中の水蒸気が熱交換本体1の表面に凝縮して着霜しやすく、着霜防止冷凍領域Bにおける隣接する第1通路セグメントの間隔を大きくすることにより、霜の付着量を減らすことができ、これにより着霜現象を緩和し、そして、気流が着霜防止冷凍領域Bを経た後にさらに除湿する。これにより、該実施例は、蒸発装置10の着霜を緩和するとともに、熱交換及び除湿の効果を確保することができ、蒸発装置10の総合性能を向上させる。
【0043】
いくつかの実施例では、図1に示すように、熱交換本体1は、気流方向に沿って着霜防止冷凍領域Bの下流に位置する冷凍補強領域Cをさらに含み、冷凍補強領域Cは排気側に位置する。ここでは、第1方向xにおいて、着霜防止冷凍領域Bにおける隣接する第1通路セグメントの間隔は、冷凍補強領域Cにおける隣接する第1通路セグメントの間隔よりも大きい。
【0044】
該実施例では、気流は除湿領域Aと着霜防止冷凍領域Bを順に経た後、気流における水蒸気の含有量が大幅に低下し、冷凍補強領域Cを介してさらに冷凍する過程において、熱交換本体1に着霜しにくく、したがって、冷凍補強領域Cにおける隣接する第1通路セグメントの間隔を小さくすることにより、蒸発装置10に必要な全体的な熱交換量が確保され得る。図1には、着霜防止冷凍領域Bにおける第1通路セグメントの気流方向における配置が比較的疎であり、除湿領域A及び冷凍補強領域Cでは第1通路セグメントの気流方向における配置が比較的密である。したがって、蒸発装置10の着霜を緩和するとともに、熱交換及び除湿効果を確保し、蒸発装置10の総合性能を向上させる。
【0045】
いくつかの実施例では、図1に示すように、同一の熱交換通路に対し、着霜防止冷凍領域Bにおける第1通路セグメントの数は、除湿領域Aにおける第1通路セグメントの数よりも多い。例えば、除湿領域Aにおける第1通路セグメントの数は3~5であり、着霜防止冷凍領域Bにおける第1通路セグメントの数は6~8である。
【0046】
いくつかの実施例では、同一の熱交換通路に対し、除湿領域Aにおける第1通路セグメントの数は、冷凍補強領域Cにおける第1通路セグメントの数よりも多い。例えば、冷凍補強領域Cにおける第1通路セグメントの数は2くらいである。
【0047】
いくつかの実施例では、同一の熱交換通路に対し、除湿領域Aにおける第1通路セグメントの数は着霜が発生しない第1通路セグメントの数に設定される。環境空気の温度が高いため、環境空気が熱交換本体1を経たときに、気流の湿度が最大であるが、温度が高いため着霜しにくく、しかし冷凍が進むにつれ、気流の温度が低下すると着霜しやすい。そのため、熱交換本体1のうち着霜しやすい領域と着霜しにくい領域との間の臨界位置に基づいて、除湿領域Aにおける第1通路セグメントの数を確定することができ、このようにして、除湿領域Aにおける第1通路セグメントを密に設定して除湿効果を確保できるだけでなく、除湿領域Aの着霜を防止することもできる。
【0048】
いくつかの実施例では、着霜防止冷凍領域Bにおける第1通路セグメントの数は、除湿領域Aと着霜防止冷凍領域Bが共同で気流における所定の百分率含有量の湿度を除去し、及び所定の熱交換量を実現するように設定される。該領域は本体の熱交換領域であり、気流における大部分の水蒸気を除去して除湿効果を確保し、気流が冷凍補強領域Cを経る時に着霜することを防止できるだけでなく、本体の熱交換を実現することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、冷凍補強領域Cにおける第1通路セグメントの数は、熱交換本体1の全体的な熱交換量が要件を満たすように設定される。着霜防止冷凍領域Bにおいて第1通路セグメントの間の第1方向xにおける間隔が大きいため、着霜を防止することができるが、熱交換性能を弱め、冷凍補強領域Cにより密な第1通路セグメントにより熱交換性能をさらに強化することができ、これにより、熱交換本体1の全体的な熱交換要件が確保される。
【0050】
いくつかの実施例では、熱交換通路は第3方向z(すなわち熱交換本体1の厚さ方向)に沿って複数設けられ、複数の熱交換通路は、いずれも第1方向xに沿ってそれぞれの第1端から冷媒を導入し、それぞれの第2端から冷媒を導出し、第3方向zは第1方向x及び第2方向yに垂直である。ここでは、複数の熱交換通路は、少なくとも1組の隣接しかつ交差して設けられた熱交換通路を含み、交差して設けられた2つの熱交換通路のうち、それぞれ第1通路セグメントの同端に位置する第2通路セグメントは交差して設けられる。図1の左図に示すように、交差して設けられた2つの熱交換通路のうち、それぞれ第1通路セグメントの一端に位置する第2通路セグメントは交差して設けられ、図1の右図に示すように、交差して設けられた熱交換通路のうちそれぞれ第1通路セグメントの他端に位置する第2通路セグメントは平行に設けられる。
【0051】
蒸発装置10は風路内に設けられ、風路の幅方向(すなわち第3方向z)に沿う風速が均一であるとは限らないため、熱交換本体1の局所的な温度が低すぎ、着霜が深刻になる。交差式の熱交換通路レイアウトを採用することにより、熱交換の均一性を向上させ、局所的な温度が低すぎることによる局所着霜を防止することができる。
【0052】
いくつかの実施例では、図1に示すように、交差して設けられた2つの熱交換通路は、熱交換本体1の第3方向zに沿う少なくとも一側に位置する。例えば、熱交換本体1の第3方向に沿う両側縁領域にはそれぞれ1組の交差する熱交換通路が設けられる。任意選択的に、この2組の交差する熱交換通路の間に、必要に応じて交差する熱交換通路を追加できる。
【0053】
蒸発装置10は風路内に設けられ、例えば、冷凍ショーケースの風路内に設けられ、風路の空気流動のコアンダ効果のため、気流は風路壁に高速流動を生成し、そして、蒸発装置10は2つの板により挟まれて固定され、板と熱交換本体1との間に一定の隙間があるため、風抵抗が小さく、風速も速くなる。図3に示すように、第3方向zに沿って両側に位置する風速Q1とQ3は中央の風速Q2よりも速く、その結果、熱交換本体1の局所的な温度が低すぎ、着霜が深刻になる。交差式の熱交換通路レイアウトを採用することにより、熱交換の均一性を向上させ、局所的な温度が低すぎることによる局所着霜を防止することができる。
【0054】
図1の右図に示すように、熱交換本体1は4本の熱交換管2を含み、左から右へ順に、第1熱交換管2A、第2熱交換管2B、第3熱交換管2C及び第4熱交換管2Dを含む。これらのうち、第1熱交換管2Aと第2熱交換管2Bは交差して設けられ、第3熱交換管2Cと第4熱交換管2Dは交差して設けられる。
【0055】
いくつかの実施例では、図2に示すように、熱交換本体1の風上面Sは除湿領域Aの第3方向に垂直でありかつ吸気側に向かう面と、除湿領域Aの第1方向に垂直な面とを含み、第3方向は第1方向及び第2方向に垂直である。
【0056】
該実施例は熱交換本体1における除湿領域Aの底面及び側面のいずれも吸気口内に露出させ、これにより熱交換本体1の風上面積を大きくすることができ、環境温度が高く、風上面に着霜しにくい。例えば、蒸発装置10がショーケースに設けられる場合には、還気温度が10℃以上であるため、風上面に着霜しにくく、これにより除湿領域Aにおける第1通路セグメントの間隔を密に設定することができ、それにより着霜が発生することなく除湿効果を最適化することが確保される。
【0057】
いくつかの実施例では、熱交換本体1の表面に疎水性コーティングが塗布される。熱交換通路が熱交換管2により形成された構造において、熱交換管2にフィンが設けられてもよく、この場合、疎水性コーティングが熱交換管2の表面及びフィンの表面に塗布されてもよい。
【0058】
該実施例は、疎水性コーティングを塗布することにより、第1管セグメントの間隔が異なる実施例と組み合わせて着霜をより効果的に抑制することができる。理由としては、疎水性コーティングが凝縮水と熱交換本体1の表面との接触角を大きくさせ、それにより気流中の水蒸気が蒸発冷凍の過程においてフィンの表面に球状に凝縮し、熱交換本体1との接触面積が小さくなり、凍結しにくくなり、最終的にフィン上の凝縮水が凍結する時のフィンが所定の温度値(例えば-2℃)の過冷度を有するようにし、着霜時の過冷度を向上させ、霜点温度を低減することができる。
【0059】
いくつかの実施例では、熱交換管2の直径範囲は6mm~13mmであり、例えば、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、10.5mm、11mm、11.5mm、12mm、12.5mm及び13mmである。具体的な実施例では、熱交換管2の直径は9.52mmである。従来の熱交換管の第1管セグメントを等間隔の蒸発器として採用すると、熱交換管2の直径が小さい場合に着霜しやすい。本開示の実施例においては、第1管セグメントの間隔が異なる熱交換管を採用することにより、除湿領域Aを吸気に暴露させ、疎水性コーティングを塗布することで、着霜を効果的に抑制することができる。したがって、熱交換管2の直径を小さくすることができ、これにより蒸発装置10の厚さ及び寸法を小さくすることができ、風路空間への占有を少なくする。蒸発装置10が冷凍ショーケースに用いられる場合、二重温度エアーカーテンを2層設けることができ、環境熱及び水蒸気の侵入を効果的に遮断する。
【0060】
図4に示すように、本開示の蒸発装置10は、給液管4と、排気管5と、第1温度検出部品3とをさらに含む。給液管4及び排気管5はそれぞれ各熱交換通路の両端の入口23及び出口24に連通し、給液管4に絞り素子8が設けられ、例えば電子膨張弁又は毛細管等を採用してもよい。第1温度検出部品3は、熱交換本体1の除湿領域Aに設けられ、熱交換本体1の除湿領域Aの温度を検出するように構成される感温パケットを採用してもよい。
【0061】
ここでは、絞り素子8の開度は、第1温度検出部品3の検出値が所定の温度値(除湿領域A)を超えたときに大きくなり、第1温度検出部品3の検出値が所定の温度値を超えないときに小さくなる。絞り素子8の開度は、コントローラにより自動的に調節することができる。
【0062】
該実施例では、除湿領域Aの温度を検出することにより、除湿領域Aの温度に基づいて絞り素子8の開度をタイムリーに調整し、蒸発装置10の過熱度を変更し、それにより除湿領域Aに着霜が発生しないことを確保し、除湿領域の大きさ及び除湿温度を制御することができる。
【0063】
いくつかの実施例では、蒸発装置10は、給液管4に設けられ、給液管4の温度を検出するように構成される第2温度検出部品6と、排気管5に設けられ、排気管5の温度を検出するように構成される第3温度検出部品7をさらに含む。ここでは、絞り素子8の開度は、第3温度検出部品7と第2温度検出部品6の検出値の差に基づいて決定され、絞り素子8の開度と検出値の差には正の相関がある。
【0064】
該実施例は、第1温度検出部品3により絞り素子8の調整傾向を判断した上で、さらに第3温度検出部品7と第2温度検出部品6の温度差に基づいて絞り素子8の調整量を定量的に決定することができ、より優れた霜抑制効果を達成しながら熱交換効果が確保される。
【0065】
具体的な実施例では、蒸発装置10は冷凍ショーケースに用いられ、給液管4と排気管5に給液温度感温パケットと排気温度感温パケットをそれぞれ配置することにより、管の温度をリアルタイムに検出し、排気管5と給液管4の温度差により電子膨張弁のステップ数を調節することで、蒸発装置10の過熱度を制御することができる。また、除湿領域Aの温度を検出し、該温度が-2℃よりも大きい場合、コントローラは電子膨張弁の開度を大きくするように制御し、過熱度を小さくする。この温度が-2℃未満の場合、電子膨張弁の開度を小さくして過熱度を大きくするように制御する。これにより、蒸発器の一定の過熱度を保持することができ、蒸発器の底部の除湿領域Aの管の温度を-2℃以上にし、該領域での着霜防止や除湿の作用を果たす。
【0066】
次に、本開示は、上記実施例の蒸発装置10をさらに含む冷凍ショーケースをさらに提供する。例えば、冷凍ショーケースは縦型ショーケースであってもよい。
【0067】
冷凍ショーケースは開放式構造の影響を受けるため、環境における熱空気がキャビネット内に入って蒸発装置に着霜しやすい。本開示の蒸発装置10を採用することにより、優れた霜抑制作用を果たすことができ、熱交換本体1の表面の着霜を大幅に低減させ、それにより熱交換本体1の表面の熱抵抗及び通風抵抗の増大を防止することができ、それにより熱交換現象を改善し、ショーケースの消費電力量を低減させ、ショーケースの温度を安定化させる。
【0068】
いくつかの実施例では、図2に示すように、冷凍ショーケースは、キャビネット20と、送風機70とをさらに含む。ここでは、キャビネット20内に第1風路30及び第2風路40が設けられる。第1風路30は、キャビネット20の前後方向に沿って延び、キャビネット20の下部に設けられ、第2風路40は、キャビネット20の上下方向に沿って延び、キャビネット20の後部に設けられ、第2風路40の下部は第1風路30の後部に連通する。送風機70は、第1風路30内に設けられ、第1風路30に冷風を送るように構成され、冷風は第1風路30及び第2風路40を順に経た後にキャビネット20の前側面に冷エアーカーテンを形成する。
【0069】
蒸発装置10は、第2風路40の下方領域に設けられ、第1方向xが上下方向に一致している。これにより、送風機70が吸入した空気は第2風路40に沿って流れ、蒸発装置10の最小側面に沿って蒸発装置10を経ることができ、これにより、気流が蒸発装置10を流れる時に様々な効果を順に得ることが実現される。
【0070】
さらに、キャビネット20内に、キャビネット20の前後方向に沿って延び、キャビネット20の頂部に設けられる第3風路50がさらに設けられ、第3風路50の後部は第2風路40の頂部に連通する。これにより、送風機70により吸入された気流は、第1風路30、第2風路40、第3風路50の順に流れ、最終的にショーケースの前側から上から下に向かって第1エアーカーテンを形成することができる。
【0071】
さらに、キャビネット20の上部に導流機構が設けられ、導流機構に導流通路60が設けられ、導流通路60の導流出口は前記冷風出口の前側に設けられ、外部環境風が他の送風機により導流機構に送られて導流出口から吹き出され、これにより、第1エアーカーテンの前側に第2エアーカーテンを形成することができる。第2エアーカーテンの温度は第1エアーカーテンよりも高い。これにより、外部環境とキャビネット20の貯蔵領域との熱交換が低減され、ショーケースの冷蔵効果が向上する。
【0072】
図2に示すように、蒸発装置10は、第2風路40の下方領域に設けられ、第1方向xが上下方向に一致しており、第3方向zが前後方向に一致している。除湿領域Aは下方に位置し、冷凍補強領域Cは上方に位置し、着霜防止冷凍領域Bは除湿領域Aと冷凍補強領域Cとの間の領域に位置する。該実施例は、蒸発装置10を垂直に設けることにより、気流が第2風路40内に下から上へ流れる時に、順に様々な効果を得る。
【0073】
いくつかの実施例では、図1に示すように、除湿領域Aにおける熱交換管2が着霜しにくいため、第1管セグメント21の管間隔を密に設定することで、除湿効果を最適化することができ、例えば25.4mmx22mmの管間隔に設定することができる。着霜防止冷凍領域Bの空気は除湿領域Aを経た後、除湿領域Aよりも温度が低く、湿度が小さく、冷凍補強領域Cよりも温度が高く、湿度が大きいため、着霜防止冷凍領域Bの熱交換管2は着霜しやすい。そのため、第1管セグメント21の管間隔を比較的疎に設けることで、着霜を減らし、例えば50.8mmx22mmの管間隔を設定することができ、フィンの表面温度を向上させ、着霜付着面を減らし、該領域内の蒸発器の着霜防止能力を向上させ、着霜による霜詰まりを回避する。冷凍補強領域Cの空気は温度が比較的低く、湿度が比較的小さく、着霜に必要な水蒸気源がないため、第1管セグメント21の管間隔を比較的密に設定してもよく、これにより、熱交換が補強され、蒸発装置10の全体的な熱交換要件が確保される。
【0074】
いくつかの実施例では、図2に示すように、本開示の冷凍ショーケースは、第1風路30と第2風路40との間に設けられるバッフル80をさらに含み、バッフル80は蒸発装置10の前側に水平に設けられてもよい。ここでは、除湿領域Aはバッフル80の下に位置し、着霜防止冷凍領域B及び冷凍補強領域Cはバッフル80の上に位置し、熱交換本体1の風上面Sは除湿領域Aの還気に正対する表面及び底面を含む。
【0075】
該実施例では、熱交換本体1の除湿領域Aをバッフル80から露出させ、熱交換本体1全体をバッフルの上方に設ける従来技術の方式に比べ、除湿領域Aを吸気口内に露出させることができ、すなわち除湿領域Aの底面と前側面はいずれも吸気口内に露出し、これにより、熱交換本体1の風上面積を大きくすることができ、ショーケースの還気温度が高く、風上面に着霜しにくい。例えば、蒸発装置10がショーケースに設けられている場合には、還気温度が10℃以上であるため、風上面に着霜しにくい。これにより、除湿領域Aにおける第1通路セグメントの間隔を密に設定することができ、それにより着霜が発生しないことを確保しながら除湿効果を最適化する。
【0076】
具体的な実施例では、第1管セグメントが等間隔熱交換管を採用した蒸発器を本開示のような第1管セグメントの間隔が異なる熱交換管を採用した蒸発器と比べ、冷凍ショーケースの比較は以下のとおりである。
【0077】
【表1】
【0078】
最後に、本開示は上記実施例に基づく蒸発装置10の制御方法をさらに提供し、いくつかの実施例では、
第1温度検出部品3により熱交換本体1の除湿領域Aの温度を検出するステップと、
第1温度検出部品3の検出値が所定の温度値を超えるか否かを判断し、所定の温度値を超えると絞り素子8の開度を大きくし、所定の温度値を超えないと絞り素子8の開度を小さくするステップであって、絞り素子8は蒸発装置10の給液管4に設けられ、給液管4は熱交換通路の入口23に連通するステップと、を含む。
【0079】
該実施例では、除湿領域Aの温度を検出することにより、除湿領域Aの温度に基づいて絞り素子8の開度をタイムリーに調整し、過熱度を変更し、それにより除湿領域Aに着霜が発生しないことを確保し、除湿領域の大きさ及び除湿温度を制御することができる。
【0080】
いくつかの実施例では、絞り素子8の開度を調整する必要がある場合には、制御方法は、
第2温度検出部品6により給液管4の温度を検出するステップと、
第3温度検出部品7により排気管5の温度を検出するステップと、
第3温度検出部品7と第2温度検出部品6の検出値の差に基づいて、絞り素子8の開度を決定するステップであって、絞り素子8の開度と検出値の差には正の相関があるステップと、をさらに含む。
【0081】
該実施例は、第1温度検出部品3により絞り素子8の調整傾向を判断した上で、さらに第3温度検出部品7と第2温度検出部品6の温度差に基づいて絞り素子8の調整量を定量的に決定することができ、それにより、より優れた霜抑制効果を達成しながら熱交換効果が確保される。
【0082】
以上、本開示に係る蒸発装置及びその制御方法、冷凍ショーケースを詳細に説明した。本明細書では具体的な実施例を適用して本開示の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本開示の方法及びその核心思想を理解するためのものである。なお、当業者であれば、本開示の原理から逸脱することなく、本開示に対していくつかの改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾も本開示の請求項の特許範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1、熱交換本体
1'、基体
2、熱交換管
21、第1管セグメント
22、第2管セグメント
23、入口
24、出口
2A、第1熱交換管
2B、第2熱交換管
2C、第3熱交換管
2D、第4熱交換管
3、第1温度検出部品
4、給液管
5、排気管
6、第2温度検出部品
7、第3温度検出部品
8、絞り素子
A、除湿領域
B、着霜防止冷凍領域
C、冷凍補強領域
S、風上面
x、第1方向
y、第2方向
z、第3方向
10、蒸発装置
20、キャビネット
30、第1風路
40、第2風路
50、第3風路
60、導流通路
70、送風機
80、バッフル
図1
図2
図3
図4