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特許7556138部品供給具の収容構造体、及び、部品供給具の供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】部品供給具の収容構造体、及び、部品供給具の供給システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023516901
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2021016798
(87)【国際公開番号】W WO2022230054
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天内 真
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-068890(JP,A)
【文献】特開2000-223888(JP,A)
【文献】特開2006-108299(JP,A)
【文献】特開2002-246791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に搭載される部品を供給する部品供給具が収容される収容構造体であって、
内部に前記部品供給具を収容する収容空間を有する収容体と、
前記収容空間内に配されており、前記部品供給具を支持する支持部材と、
を備え、
前記収容体は、
前記収容体の側面に設けられている第1の開口であって、前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第1の開口と、
前記収容体の側面に設けられている第2の開口であって、平面視において前記第1の開口とは異なる方向から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第2の開口と、
を有し、
前記部品供給具は概略板状であり、前記部品供給具の板面を前記部品供給具の側面と定義した場合に、
前記支持部材は、
前記部品供給具の側面が水平方向を向く姿勢で前記部品供給具を支持するプレートと、
前記プレートから立ち上がっており、前記部品供給具から突出しているピンが挿入される挿入穴を有する壁部と、
を備える、部品供給具の収容構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の部品供給具の収容構造体であって、
前記第2の開口は、前記収容空間を基準に前記第1の開口とは逆側に設けられている、部品供給具の収容構造体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の部品供給具の収容構造体であって、
前記プレートは、前記部品供給具を前記壁部の壁面に直交する方向にガイドするガイド部を有する、部品供給具の収容構造体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の部品供給具の収容構造体であって、
前記第1の開口と前記第2の開口との間を前記支持部材が移動可能となるように前記支持部材が組み付けられたレールを備える、部品供給具の収容構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の部品供給具の収容構造体であって、
前記収容体は、前記第2の開口の下側から外に向かって張り出している拡張部であって、上面が前記収容空間の底面と面一に連なっている拡張部を有し、
前記レールは一端が前記収容空間内に位置し、他端が前記拡張部の前記上面に位置している、部品供給具の収容構造体。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の部品供給具の収容構造体であって、
前記収容空間内で前記支持部材を鉛直線周りに回転させる回転機構を備える、部品供給具の収容構造体。
【請求項7】
基板に搭載される部品を供給する部品供給具の供給システムであって、
前記部品供給具が収容される収容構造体と、
前記部品供給具を自動搬送する自動搬送装置と、
制御装置と、
を備え、
前記収容構造体は、
内部に前記部品供給具を収容する収容空間を有する収容体を備え、
前記収容体は、
前記収容体の側面に設けられている第1の開口であって、前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第1の開口と、
前記収容体の側面に設けられている第2の開口であって、平面視において前記第1の開口とは異なる方向から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第2の開口と、
を有し、
前記収容構造体は、
前記第2の開口を開閉する扉と、
前記扉をロックするロック機構と、
を備え、
前記自動搬送装置は、前記第1の開口から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れ可能であり、
前記制御装置は、前記自動搬送装置が前記第1の開口から前記部品供給具を出し入れするときは前記ロック機構によって前記扉をロックする、部品供給具の供給システム。
【請求項8】
請求項7に記載の部品供給具の供給システムであって、
前記扉がロックされているか否かを、前記第2の開口から作業する作業主体に報知する報知部を備える、部品供給具の供給システム。
【請求項9】
基板に搭載される部品を供給する部品供給具の供給システムであって、
前記部品供給具が収容される収容構造体と、
前記部品供給具を自動搬送する自動搬送装置と、
制御装置と、
を備え、
前記収容構造体は、
内部に前記部品供給具を収容する収容空間を有する収容体と、
前記収容空間内に配されており、前記部品供給具を支持する支持部材と、
を備え、
前記収容体は、
前記収容体の側面に設けられている第1の開口であって、前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第1の開口と、
前記収容体の側面に設けられている第2の開口であって、平面視において前記第1の開口とは異なる方向から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第2の開口と、
を有し、
前記支持部材は、
前記部品供給具を支持するプレートと、
前記プレートから立ち上がっている壁部と、
を有し、
前記収容構造体は、前記収容空間内で前記支持部材を鉛直線周りに回転させる回転機構を備え、
前記自動搬送装置は、前記第1の開口から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れ可能であり、
前記制御装置は、前記自動搬送装置が前記第1の開口から前記部品供給具を出し入れするときは前記壁部が前記第2の開口側となるように前記回転機構によって前記支持部材を回転させ、他の作業主体が前記第2の開口から前記部品供給具を出し入れするときは前記壁部が前記第1の開口側となるように前記回転機構によって前記支持部材を回転させる、部品供給具の供給システム。
【請求項10】
請求項9に記載の部品供給具の供給システムであって、
前記自動搬送装置が前記第1の開口から前記収容構造体に対する作業を行っているか否かを、前記第2の開口から作業する作業主体に報知する報知部を備える、部品供給具の供給システム。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の部品供給具の供給システムであって、
前記収容構造体に関する情報を出力する出力部を備える、部品供給具の供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、部品供給具の収容構造体、及び、部品供給具の供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に搭載される部品を供給する部品供給具が収容される収容構造体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のユニット保管庫(収容構造体に相当)は複数の部品実装機と同じ並びに設置されており、交換ロボットが基板の搬送方向に沿って移動してフィーダ(部品供給具に相当)を交換する。同文献の図1及び図5に示されているように、同文献に記載のユニット保管庫はフィーダが前側から出し入れされるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-14021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のユニット保管庫は部品実装装置と同じ並びに設置されることを想定して設計された構造体である。しかしながら、このようなユニット保管庫(以下、「収容構造体」という)は部品実装装置とは離れた場所に設置されることもある。従来は、部品実装装置とは離れた場所に設置される収容構造体に対する作業の作業効率を向上させることについて十分に検討されていなかった。
本明細書では、部品供給具が収容される収容構造体に対する作業の作業効率を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板に搭載される部品を供給する部品供給具が収容される収容構造体であって、内部に前記部品供給具を収容する収容空間を有する収容体を備え、前記収容体は、前記収容体の側面に設けられている第1の開口であって、前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第1の開口と、前記収容体の側面に設けられている第2の開口であって、平面視において前記第1の開口とは異なる方向から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第2の開口と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
部品供給具が収容される収容構造体に対する作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る作業場所の模式図
図2】実施形態1に係るフィーダ収容構造体に収容されるフィーダの側面図
図3図2におけるフィーダ収容構造体の支持部材に支持されているフィーダの背面図
図4】フィーダ収容構造体を右斜め前方から見た斜視図であって、第1の開口からフィーダ収容構造体にフィーダを出し入れする様子を示す斜視図
図5図4に示すフィーダ収容構造体を右斜め後方から見た斜視図
図6】実施形態2に係るフィーダ収容構造体の斜視図
図7】フィーダ収容構造体を右斜め前方から見た斜視図であって、第1の開口からフィーダ収容構造体にフィーダを出し入れする様子を示す斜視図
図8図6に示すフィーダ収容構造体を右斜め後方から見た斜視図
図9】フィーダ供給システムのブロック図
図10】制御装置の電気的構成を示すブロック図
図11】実施形態2に係るフィーダ供給システムにおいて作業者が作業を行うときの処理のフローチャート
図12】実施形態2に係るフィーダ供給システムにおいてフィーダ自動搬送装置が作業を行うときの処理のフローチャート
図13】実施形態3に係るフィーダ収容構造体を右斜め前方から見た斜視図
図14図13に示すフィーダ収容構造体を右斜め後方から見た斜視図
図15】フィーダ収容構造体の断面図
図16】制御装置の電気的構成を示すブロック図
図17】実施形態3に係るフィーダ供給システムにおいて作業者が作業を行うときの処理のフローチャート
図18】実施形態3に係るフィーダ供給システムにおいてフィーダ自動搬送装置が作業を行うときの処理のフローチャート
図19】実施形態4に係るフィーダ供給システムのブロック図
図20】他の実施形態に係る部品供給具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本実施形態の概要>
(1)本開示に係る部品供給具の収容構造体は、基板に搭載される部品を供給する部品供給具が収容される収容構造体であって、内部に前記部品供給具を収容する収容空間を有する収容体を備え、前記収容体は、前記収容体の側面に設けられている第1の開口であって、前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第1の開口と、前記収容体の側面に設けられている第2の開口であって、平面視において前記第1の開口とは異なる方向から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れするための第2の開口と、を有する。
【0009】
以降の説明において「作業主体」とは、ロボットと人とを包含した概念である。
部品実装装置とは離れた場所に設置される従来の収容構造体は、収容空間内に部品供給具を出し入れするための開口が1つだけであり、例えば収容構造体から部品供給具を取り出して表面実装機に搬送する自動搬送装置(ロボットの一例)と、収容構造体に部品供給具を収容する作業者(人の一例)とが同じ開口から作業していた。このため、自動搬送装置と作業者とがほぼ同じタイミングで収容構造体に対する作業を行おうとした場合、自動搬送装置は作業を行うために収容構造体に移動するが、作業者が収容構造体の開口の近くにいることから、作業者を検知して安全のために移動速度を減速したり、あるいは移動を停止したりする必要があった。このため移動時間のロスが生じ、作業効率を低下させる要因の一つとなっていた。
ここでは一方の作業主体がロボット(自動搬送装置)であり、他方の作業主体が人(作業者)である場合を例に説明したが、人同士あるいはロボット同士でも同様の課題が生じる。
【0010】
本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、部品供給具を出し入れするための開口を2つ(第1の開口及び第2の開口)有している。このため、例えば作業者が第2の開口から作業しているときに自動搬送装置が第1の開口から作業しようとした場合、第1の開口の近くに作業者(第2の開口から作業している作業者)がいる可能性が低くなるので、自動搬送装置は安全のために移動速度を減速したり移動を停止したりする回数を低減できる。このため、部品供給具が収容される収容構造体に対する作業の作業効率を向上させることができる。
【0011】
(2)前記第2の開口は、前記収容空間を基準に前記第1の開口とは逆側に設けられていてもよい。
【0012】
本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、第2の開口が、収容空間を基準に第1の開口とは逆側に設けられているので、例えば自動搬送装置が作業者を検知して移動速度を減速したり移動を停止したりする可能性をより低減できる。
【0013】
(3)前記収容空間内に配されており、前記部品供給具を支持する支持部材を備えてもよい。
【0014】
本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、支持部材によって部品供給具を支持することにより、作業主体が収容構造体から部品供給具を取り出し易くなる。
【0015】
(4)前記支持部材は、前記部品供給具の側面が水平方向を向く姿勢で前記部品供給具を支持するプレートと、前記プレートから立ち上がっており、前記部品供給具から突出しているピンが挿入される挿入穴を有する壁部と、を備えてもよい。
【0016】
例えば、複数の部品供給具が、部品供給具の側面が上下方向を向く姿勢で重ねられて収容されていると、目的の部品供給具を取り出す際に手間がかかる。本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、支持部材は部品供給具の側面が水平方向を向く姿勢で部品供給具を支持するので、複数の部品供給具を横並び状に支持できる。このため、目的の部品供給具を取り出す際の手間を低減できる。
そして、本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、部品供給具に設けられているピンが挿入穴に挿入されることにより、部品供給具が横倒れしないように安定して支持することができる。
(5)前記プレートは、前記部品供給具を前記壁部の壁面に直交する方向にガイドするガイド部を有してもよい。
【0017】
本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、ガイド部によって部品供給具を壁部の壁面に直交する方向にガイドすることにより、部品供給具のピンを壁部の挿入穴に挿入し易くなる。
【0018】
(6)前記第1の開口と前記第2の開口との間を前記支持部材が移動可能となるように前記支持部材が組み付けられたレールを備えてもよい。
【0019】
本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、作業主体は作業がし易い位置に支持部材を移動させることにより、収容構造体に対する作業の作業効率が向上する。
【0020】
(7)前記収容体は、前記第2の開口の下側から外に向かって張り出している拡張部であって、上面が前記収容空間の底面と面一に連なっている拡張部を有し、前記レールは一端が前記収容空間内に位置し、他端が前記拡張部の前記上面に位置していてもよい。
【0021】
本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、作業主体は支持部材を収容体の外まで引き出せるので、収容構造体に対する作業の作業効率がより向上する。また、支持部材を収容体の外まで引き出すと、部品供給具を横方向から取り付けるだけでなく、上方から載置するあるいは上方から差し込むといった取り付け方法も選択可能になる。このため、一方の開口からは出し入れし易いが、他方の開口からは出し入れし難いといった課題が生じることを抑制できる。
【0022】
(8)前記収容空間内で前記支持部材を鉛直線周りに回転させる回転機構を備えてもよい。
【0023】
本開示に係る部品供給具の収容構造体によると、支持部材を回転させることにより、部品供給具の出し入れを任意の方向から行うことが可能になる。このため、第1の開口と第2の開口との配置の自由度が向上する。
【0024】
(9)本開示に係る部品供給具の供給システムは、基板に搭載される部品を供給する部品供給具の供給システムであって、(1)から(8)のいずれか一つに記載の部品供給具の収容構造体と、前記部品供給具を自動搬送し、前記第1の開口から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れ可能な自動搬送装置と、制御装置と、を備え、前記収容構造体は、前記第2の開口を開閉する扉と、前記扉をロックするロック機構と、を備え、前記制御装置は、前記自動搬送装置が前記第1の開口から前記部品供給具を出し入れするときは前記ロック機構によって前記扉をロックする。
【0025】
本開示に係る部品供給具の供給システムによると、自動搬送装置が第1の開口から部品供給具を出し入れするときは扉をロックするので、自動搬送装置と第2の開口から作業する作業主体とで収容構造体に対する作業が競合することを抑制できる。
更に、例えば第2の開口から作業する作業主体が人である場合は、扉がロックされているか否かを確認し、ロックされている場合は別の作業を行うことにより、作業の優先順位付けが容易になる。
【0026】
(10)前記扉がロックされているか否かを、前記第2の開口から作業する作業主体に報知する報知部を備えてもよい。
【0027】
本開示に係る部品供給具の供給システムによると、第2の開口から作業する作業主体は扉がロックされているか否かを報知部によって知ることができるので、扉がロックされているか否かを確認するために収容構造体まで移動する時間のロスを低減できる。また、複数の収容構造体がある場合に、第2の開口から作業する作業主体はどの収容構造体であれば作業が可能であるかを把握することが容易になる。このため、作業が可能な収容構造体で作業することにより、待ち時間のロスを低減できる。
【0028】
(11)本開示に係る部品供給具の供給システムは、基板に搭載される部品を供給する部品供給具の供給システムであって、(3)に記載の部品供給具の収容構造体と、前記部品供給具を自動搬送し、前記第1の開口から前記収容空間内に前記部品供給具を出し入れ可能な自動搬送装置と、制御装置と、を備え、前記支持部材は、前記部品供給具を支持するプレートと、前記プレートから立ち上がっている壁部と、を有し、前記収容構造体は、前記収容空間内で前記支持部材を鉛直線周りに回転させる回転機構を備え、前記制御装置は、前記自動搬送装置が前記第1の開口から前記部品供給具を出し入れするときは前記壁部が前記第2の開口側となるように前記回転機構によって前記支持部材を回転させ、他の作業主体が前記第2の開口から前記部品供給具を出し入れするときは前記壁部が前記第1の開口側となるように前記回転機構によって前記支持部材を回転させる。
【0029】
本開示に係る部品供給具の供給システムによると、自動搬送装置が第1の開口から作業するときは壁部が第2の開口側となるように支持部材を回転させることにより、他の作業主体が第2の開口から作業することを規制できる。一方、他の作業主体が第2の開口から作業するときは壁部が第1の開口側となるように支持部材を回転させることにより、自動搬送装置が第1の開口から作業することを規制できる。このため、自動搬送装置と他の作業主体とで収容構造体に対する作業が競合することを抑制できる。
【0030】
(12)前記自動搬送装置が前記第1の開口から前記収容構造体に対する作業を行っているか否かを、前記第2の開口から作業する作業主体に報知する報知部を備えてもよい。
【0031】
本開示に係る部品供給具の供給システムによると、自動搬送装置が第1の開口から収容構造体に対する作業を行っているか否かを、第2の開口から作業する作業主体が知ることができるので、自動搬送装置が第1の開口から収容構造体に対する作業を行っているか否かを確認するために収容構造体まで移動する時間のロスを低減できる。また、複数の収容構造体がある場合に、第2の開口から作業する作業主体はどの収容構造体であれば作業が可能であるかを把握することが容易になる。このため、作業が可能な収容構造体で作業することにより、待ち時間のロスを低減できる。
【0032】
(13)前記収容構造体に関する情報を出力する出力部を備えてもよい。
【0033】
本開示に係る部品供給具の供給システムによると、作業主体はどの収容構造体にどの種類の部品供給具がいくつ収容されているかなどの収容構造体に関する情報を知ることが容易になる。
【0034】
本明細書によって開示される発明は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0035】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図5に基づいて説明する。以降の説明において上下方向、左右方向及び前後方向とは、図4に示す上下方向、左右方向及び前後方向を基準とする。以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0036】
(1)作業場所
図1を参照して、基板に搭載される部品を保持している部品テープをフィーダ10(部品供給具の一例)に取り付ける作業が行われる作業場所の一例について説明する。図1に示す作業場所16にはフィーダ10が保管されているフィーダ保管棚11、図示しない部品テープが保管されている部品テープ保管棚12、作業者13(作業主体の一例)がフィーダ10に部品テープを取り付ける作業を行う作業台14、複数のフィーダ収容構造体1(収容構造体の一例)などが配置されている。
【0037】
図1に示すフィーダ自動搬送装置15(作業主体及び自動搬送装置の一例)は、例えばフィーダ収容構造体1と図示しない表面実装機(部品実装装置の一例)との間でフィーダ10を自動で搬送する所謂AMR(Autonomous Mobile Robot)である。フィーダ自動搬送装置15はフィーダ収容構造体1からフィーダ10を自動で取り出す機能、及び、フィーダ10をフィーダ収容構造体1に自動で収容する機能を有している。
【0038】
フィーダ自動搬送装置15は所謂無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)であってもよい。その場合は作業者13が無人搬送車とフィーダ収容構造体1との間でフィーダ10を移動させてもよい。
ここではフィーダ自動搬送装置15によってフィーダ10が搬送される場合を例に説明したが、フィーダ収容構造体1と表面実装機との間でのフィーダ10の搬送は、搬送を担当する作業者(図示せず)によって行われることもある。
【0039】
(2)フィーダ
図2及び図3を参照して、フィーダ10の一例について説明する。フィーダ10は表面実装機に取り付けられて使用される装置であり、部品テープを間欠的に送り出して表面実装機に部品を1つずつ順に供給する。
【0040】
図2に示すように、フィーダ10はフィーダ本体10A及びフィーダ側コネクタ10Bを備えている。フィーダ本体10Aは前後方向に長く左右方向(紙面に垂直な方向)の幅が狭い概略箱状を呈している。フィーダ本体10Aの内部には部品テープを前側に送り出す電動式の送出装置(不図示)が収容されている。フィーダ側コネクタ10Bは表面実装機側の金属端子に嵌合接続されてフィーダ10と表面実装機とを通信可能に接続するためのコネクタである。フィーダ本体10Aの前側を向く面には位置決め用のピン10Cが上下に離間して2つ設けられている。
【0041】
(3)フィーダ収容構造体
図4及び図5を参照して、フィーダ収容構造体1について説明する。フィーダ10は部品テープが取り付けられた状態でフィーダ収容構造体1に収容されるが、便宜上、以降で説明する図面では部品テープを省略している。
【0042】
フィーダ収容構造体1は概略箱状の収容体31を備えている。収容体31には前後方向に貫通する貫通穴32が開けられている。収容体31における上下方向の断面を見て、貫通穴32は上下に長い長方形状である。貫通穴32の内側の空間33はフィーダ10が収容される収容空間の一例である。以降の説明では空間33のことを収容空間33という。
貫通穴32の前側の開口32A(以下、前側開口32Aという)は第1の開口の一例であり、後側の開口32B(以下、後側開口32Bという)は第2の開口の一例である。後側開口32Bは、収容空間33を基準に前側開口32Aとは逆側に設けられている。
【0043】
収容空間33の底面33Aにはフィーダ10の側面が左右方向を向く姿勢でフィーダ10を支持する支持部材35が固定されている。
図3に示すように、支持部材35は平板状のプレート35Aと、プレート35Aの上面に設けられて前後方向(図3において紙面に垂直な方向)に延びている複数の溝35Bとを有している。溝35Bの左右方向の幅はフィーダ10の左右方向の幅と同じか僅かに広い。フィーダ10は下端部が溝35Bに嵌まることにより、側面が左右方向を向く姿勢で支持部材35に支持される。溝35Bはフィーダ10を前後方向にガイドする役割も有している。溝35Bはガイド部の一例である。
【0044】
フィーダ本体10Aは、その下面に前後方向に延びる溝を有していてもよい。そして、支持部材35は、溝35Bに替えて、前後方向に延びる凸条を有していてもよい。そして、フィーダ本体10Aの下面の溝が支持部材35の凸条に嵌ることによってフィーダ10が支持されてもよい。その場合は凸条がガイド部の一例である。
【0045】
(4)作業の流れ
図1及び図4を参照して、フィーダ保管棚11に保管されているフィーダ10を表面実装機まで搬送する作業の流れについて説明する。
【0046】
作業1:作業者13は表面実装機で使用される予定のフィーダ10をフィーダ保管棚11から取り出すとともに、部品テープ保管棚12からそのフィーダ10に取り付ける部品テープを取り出す。
作業2:作業者13は作業台14でフィーダ10に部品テープを取り付ける。
作業3:作業者13は部品テープを取り付けたフィーダ10をフィーダ収容構造体1の後側開口32Bから支持部材35に取り付ける。
作業4:フィーダ自動搬送装置15(あるいはフィーダ10の搬送を担当する作業者)は、フィーダ収容構造体1の前側開口32Aからフィーダ10を取り出し、表面実装機まで搬送する。
【0047】
表面実装機で使用されなくなったフィーダ10をフィーダ保管棚11に戻す作業の流れは上述した作業の流れと逆になる。
【0048】
(5)実施形態の効果
フィーダ収容構造体1によると、フィーダ10を出し入れするための開口を2つ(前側開口32A及び後側開口32B)有している。このため、例えば作業者13が後側開口32Bから作業しているときにフィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業しようとした場合、前側開口32Aの近くに作業者13がいる可能性が低くなるので、フィーダ自動搬送装置15は安全のために移動速度を減速したり移動を停止したりする回数を低減できる。このため、フィーダ収容構造体1に対する作業の作業効率を向上させることができる。
【0049】
ここで、従来のフィーダ収容構造体(すなわち開口が1つのフィーダ収容構造体)の場合も、フィーダ収容構造体の数を増やすことにより、フィーダ自動搬送装置15と作業者13とで1つのフィーダ収容構造体に対する作業が競合する可能性を低減できる。しかしながら、その場合はフィーダ収容構造体の数が増えることによってコストが増加する上、設置のための面積も必要になるという課題がある。これに対し、フィーダ収容構造体1によると、フィーダ10を出し入れするための開口を2つ(前側開口32A及び後側開口32B)有しているので、フィーダ収容構造体1の数や設置面積を増やすくことなくフィーダ収容構造体1に対する作業の作業効率を向上させることができるという利点もある。
【0050】
フィーダ収容構造体1によると、後側開口32B(第2の開口)は、収容空間33を基準に前側開口32Aとは逆側に設けられているので、第2の開口が収容体31の左側の側面や右側の側面に設けられている場合に比べ、フィーダ自動搬送装置15が作業者13を検知して移動速度を減速したり移動を停止したりする回数をより低減できる。
【0051】
フィーダ収容構造体1によると、支持部材35によってフィーダ10を支持することにより、作業主体がフィーダ収容構造体1からフィーダ10を取り出し易くなる。
【0052】
<実施形態2>
実施形態2を図6ないし図12によって説明する。以降の説明では実施形態1と実質的に同一の構成要素には同一の符号を付すと共に詳細な説明を省略する。
【0053】
(1)フィーダ収容構造体
図6及び図7を参照して、実施形態2に係るフィーダ収容構造体201について説明する。フィーダ収容構造体201は後側開口32Bの下側から後側に向かって箱状に張り出している拡張部202を有している。拡張部202の上面202Aは収容空間33の底面33Aと面一に連なっている。
【0054】
収容空間33の底面33Aと拡張部202の上面202Aとには前後方向に延びる一対のスライドレール203が設けられている。スライドレール203は一端が収容空間33内に位置し、他端が拡張部202の上面202Aに位置している。スライドレール203は実施形態2に係る支持部材235を前後にスライドさせるための部材である。別の観点では、スライドレール203は、第1の開口32Aと第2の開口32Bとの間を支持部材235が移動可能となるように支持部材235が組み付けられた部材である。
【0055】
図7に示すように、フィーダ収容構造体201は後側開口32Bを開閉する扉204を有している。扉204は上端部の2か所がヒンジ204Aによってフィーダ収容構造体201に連結されている。閉じられている状態の扉204の後側を向く面には、作業者13が扉204を開閉するための把手204Bが左右両側に設けられている。なお、扉204とフィーダ収容構造体201とを連結するヒンジ204Aは、その数が1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。ヒンジ204Aの数は任意である。
図8に示すように、フィーダ収容構造体201の後側には扉204をロックするロック機構201Eが設けられている。ロック機構201Eは後述する制御装置211(図9参照)によって扉204のロック及びロックの解除が切り替えられる。
【0056】
図8に示すように、実施形態2に係る支持部材235は収容空間33の底面33Aに固定されておらず、2本のスライドレール203に支持されている。支持部材235はプレート35Aの上面から左右方向に沿って立ち上がっている壁部235Cを有している。より詳細には、プレート35Aの後側の縁部に沿って壁部235Cが立ち上がっている。壁部235Cは例えばプレート35Aの後側の縁部より前側の位置から立ち上がっていてもよい。
【0057】
壁部235Cには溝35Bごとにフィーダ10の2つのピン10Cが挿入される挿入穴235Dが上下に離間して2つ設けられている。フィーダ10の2つのピン10Cが挿入穴235Dに挿入されることにより、支持部材235に支持されているフィーダ10が横倒れし難くなる。
【0058】
支持部材235に壁部235Cが設けられているので、作業者13は支持部材235にフィーダ10を取り付けるとき、あるいは支持部材235に取り付けられているフィーダ10を取り外すとき、支持部材235が収容空間33内にある状態では壁部235Cが邪魔になってそれらの作業を行い難い。このため、図8に示すように、作業者13は支持部材235を後側に引き出して作業する。
【0059】
図7に示すように、扉204がロックされているときは、壁部235Cの後側に扉204があることにより、支持部材235が後側に引き出されることが防止される。このため、扉204がロックされているときは、フィーダ収容構造体201に対する作業は前側からしかできない。
【0060】
(2)フィーダ供給システム
図9を参照して、フィーダ供給システム210について説明する。フィーダ供給システム210はフィーダ保管棚11に保管されているフィーダ10を表面実装機に供給するためのシステムである。
フィーダ供給システム210は制御装置211、1台以上のフィーダ収容構造体201、及び、1台以上のフィーダ自動搬送装置15を備えている。フィーダ収容構造体201及びフィーダ自動搬送装置15は無線通信ネットワークを介して制御装置211と通信可能に接続されている。但し、フィーダ収容構造体201及びフィーダ自動搬送装置15は有線により制御装置211と通信可能に接続されていてもよい。
【0061】
制御装置211は、前側開口32Aからの作業と後側開口32Bからの作業との競合を抑制するために、フィーダ収容構造体201に対する作業を統制する装置である。制御装置211は所謂パーソナルコンピュータであり、CPU、ハードディスクなどの記憶部、液晶ディスプレイなどの表示部、キーボードやマウスなどの操作部などを備えている。
【0062】
図10を参照して、フィーダ収容構造体201の電気的構成について説明する。フィーダ収容構造体201は、制御部201A、通信部201B、表示灯201C(報知部の一例)、ブザー201D(報知部の一例)、ロック機構201E、開閉検知センサ201F、スライド前端センサ201G、スライド後端センサ201Hなどを備えている。
【0063】
制御部201AはCPUやRAMなどが1チップ化されたマイクロコンピュータである。制御部201AはFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などであってもよい。通信部201Bは制御部201Aが制御装置211と通信するための通信回路である。ロック機構201Eは扉204をロックする機構である。開閉検知センサ201Fは扉204の開閉を検知するセンサである。スライド前端センサ201Gは支持部材235がスライド方向の前端に位置しているか否かを検知するセンサである。スライド後端センサ201Hは支持部材235がスライド方向の後端に位置しているか否かを検知するセンサである。
【0064】
(3)制御装置の処理
制御装置211は、各フィーダ収容構造体201について、フィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業を行っているときは、フィーダ自動搬送装置15が作業中であるとしてフィーダ収容構造体201の表示灯201Cを点灯させる。制御装置211は、フィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業を行っていないときは表示灯201Cを消灯させる。このため、作業場所16で作業している作業者13は表示灯201Cを確認することにより、いずれのフィーダ収容構造体201に対する作業(後側開口32Bからの作業)が可能であるかを知ることができる。
【0065】
制御装置211は、各フィーダ収容構造体201について、後側開口32Bからの作業が可能になったとき(言い換えると前側開口32Aからの作業が終了したとき)にそのフィーダ収容構造体201のブザー201Dを例えば1回鳴動させ、後側開口32Bからの作業が不可になったとき(言い換えると前側開口32Aからの作業が開始されたとき)にブザー201Dを例えば2回鳴動させる。このため、作業者13は、いずれかのフィーダ収容構造体201に対する作業が可能になったこと、あるいは不可になったことをブザー201Dの鳴動回数から知ることができる。
【0066】
図11を参照して、作業者13がフィーダ収容構造体301に対する作業を行うときの制御装置211の処理についてより具体的に説明する。作業者13は、前側開口32Aからの作業が行われていないとき(言い換えると表示灯201Cが消灯しているとき)に任意のタイミングで作業を行うことができる。以下の処理は前側開口32Aからの作業が行われていないときに繰り返し実行される。
【0067】
S101では、制御装置211は支持部材235がスライド前端にあるかスライド後端にあるかをスライド前端センサ201G及びスライド後端センサ201Hの検知信号から判断する。支持部材235がスライド前端にある場合は、作業者13が後側開口32Bから作業していない状況であるといえる。一方、支持部材235がスライド後端にある場合は、作業者13が支持部材235を引き出して作業している状況であるといえる。制御装置211は、支持部材235がスライド前端にある場合(すなわち作業者13が作業していない場合)はS102に進み、スライド後端にある場合(すなわち作業者13が作業している場合)はS103に進む。
【0068】
S102では、制御装置211は扉204が開いているか否かを開閉検知センサ201Fの検知信号から判断する。支持部材235がスライド前端にあっても、扉204が開いている場合は、作業者13がこれから支持部材235をスライド後端に引き出して作業しようとしていると推測される。一方、支持部材235がスライド前端にあり、且つ、扉204が閉じている場合は、作業者13は作業をしようとしていない状況であるといえる。制御装置211は、扉204が開いている場合(すなわち作業者13が作業をしようとしていると推測される場合)はS103に進み、閉じている場合(すなわち作業者13が作業をしようとしていない場合)は本処理を終了する。
【0069】
S103では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15の作業許可フラグを非許可にする。
S104では、制御装置211は作業者13が後側開口32Bから作業中であるか否かを判断する。具体的には例えば、制御装置211は扉204が開いている場合は作業中であると判断し、閉じている場合は作業が終了したと判断する。制御装置211は、支持部材235がスライド後端にあるときは作業中であると判断し、スライド前端にあるときは作業が終了したと判断してもよい。制御装置211は、作業中である場合は一定時間が経過した後に再度S104を実行し、作業が終了した場合はS105に進む。
S105では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15の作業許可フラグを許可にする。
【0070】
図14を参照して、フィーダ自動搬送装置15がフィーダ収容構造体201に対する作業を行うときの制御装置211の処理について説明する。本処理はフィーダ自動搬送装置15の作業可否フラグが許可であるときに繰り返し実行される。
以降の説明では、制御装置211が表面実装機や他の制御コンピュータからフィーダ10の搬送要求を受けてフィーダ自動搬送装置15に作業を指令する場合を例に説明する。
【0071】
S201では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15に対して作業の開始を指令するか否かを判断する。具体的には例えば、制御装置211は表面実装機や他の制御コンピュータからフィーダ10の搬送要求があるか否かを判断し、搬送要求がある場合はフィーダ自動搬送装置15に対して作業の開始を指令すると判断する。制御装置211は、作業の開始を指令する場合はS202に進み、指令しない場合は本処理を終了する。
【0072】
S202では、制御装置211は表示灯201Cを点灯させてフィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業を行っていることを報知するとともに、ブザー201Dを2回鳴動させて後側開口32Bからの作業が不可になったことを報知する。
S203では、制御装置211はフィーダ収容構造体201の扉204をロックする。
【0073】
S204では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15に作業の開始を指令する。
S205では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15と通信し、フィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業中であるか否かを判断する。制御装置211は作業中である場合は一定時間が経過した後に再度S205を実行し、作業中でない場合(すなわち作業が終了した場合)はS206に進む。
【0074】
S206では、制御装置211は扉204のロックを解除する。
S207では、制御装置211は表示灯201Cを消灯させて後側開口32Bからの作業が可能であることを報知するとともに、ブザー201Dを1回鳴動させて後側開口32Bからの作業が可能になったことを報知する。
【0075】
(4)実施形態の効果
実施形態2に係るフィーダ収容構造体201によると、支持部材235によってフィーダ10の側面が水平方向を向く姿勢で支持されるので、複数のフィーダ10を横並び状に支持できる。このため、目的のフィーダ10を取り出す際の手間を低減できる。そして、フィーダ10に設けられているピン10Cが挿入穴235Dに挿入されることにより、フィーダ10が横倒れしないように安定して支持することができる。
【0076】
フィーダ収容構造体201によると、溝35Bによってフィーダ10を壁部235Cの壁面に直交する方向(前後方向)にガイドすることにより、フィーダ10のピン10Cを壁部235Cの挿入穴235Dに挿入し易くなる。
【0077】
フィーダ収容構造体201によると、支持部材235を前後方向に移動させるためのスライドレール203を備えるので、作業者13は作業がし易い位置に支持部材235を移動させることにより、フィーダ収容構造体201に対する作業の作業効率が向上する。
【0078】
フィーダ収容構造体201によると、スライドレール203は一端が収容体31の内部に位置し、他端が拡張部202の上面202Aに位置しているので、作業者13は支持部材235を収容体31の外まで引き出せる。このため、フィーダ収容構造体201に対する作業の作業効率がより向上する。また、支持部材235を収容体31の外まで引き出すと、フィーダ10を横方向から取り付けるだけでなく、上方から載置するあるいは上方から差し込むといった取り付け方法も選択可能になる。このため、一方の開口からは出し入れし易いが、他方の開口からは出し入れし難いといった課題が生じることを抑制できる。
【0079】
実施形態2に係るフィーダ供給システム210によると、フィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aからフィーダ10を出し入れするときは扉204をロックするので、フィーダ自動搬送装置15と作業者13とでフィーダ収容構造体201に対する作業が競合することを抑制できる。
更に、作業者13は扉204がロックされているか否かを確認し、扉204がロックされている場合は別の作業を行うことにより、作業の優先順位付けが容易になる。
【0080】
フィーダ供給システム210によると、扉204がロックされているか否かを作業者13に報知する報知部(表示灯201C及びブザー201D)を備えているので、作業者13は扉204がロックされているか否かを報知部によって知ることができる。このため、扉204がロックされているか否かを確認するためにフィーダ収容構造体201まで移動する時間のロスを低減できる。また、複数のフィーダ収容構造体201がある場合に、作業者13はどのフィーダ収容構造体201であれば作業が可能であるかを把握することが容易になる。このため、作業が可能なフィーダ収容構造体201で作業することにより、待ち時間のロスを低減できる。
【0081】
<実施形態3>
実施形態3を図13ないし図18によって説明する。以降の説明では実施形態2と実質的に同一の構成要素には同一の符号を付すと共に詳細な説明を省略する。
図13及び図14に示すように、実施形態3に係るフィーダ収容構造体301の外形は実施形態1に係るフィーダ収容構造体301の外形と同じであるが、左右方向の幅が実施形態1に係るフィーダ収容構造体301の幅より広い。実施形態3に係る支持部材335は実施形態2に係る支持部材235と実質的に同一であり、プレート35Aの上面からプレート35Aの幅方向(図13での左右方向)に沿って壁部235Cが立ち上がっている。より詳細には、プレート35Aの後側の縁部に沿って壁部235Cが立ち上がっている。
【0082】
図15に示すように、フィーダ収容構造体301は、収容空間33の底面33Aを構成している底壁310の下側に機械室311が位置しており、機械室311に支持部材335を鉛直線周りに180度回転させるモータ312(回転機構の一例)が収容されている。図13及び図14に示すように、壁部235Cが後側にあるときは前側からフィーダ10を出し入れ可能であるが、後側からは壁部235Cが邪魔になって出し入れ不能となる。逆に、壁部235Cが前側にあるときは後側からフィーダ10を出し入れ可能であるが、前側からは壁部235Cが邪魔になって出し入れ不能となる。
【0083】
図16を参照して、実施形態3に係るフィーダ収容構造体301の電気的構成について説明する。フィーダ収容構造体301は通信部201B、表示灯201C(報知部の一例)、ブザー201D(報知部の一例)、モータ312、及び、操作ボタン313を備えている。操作ボタン313は作業者13がフィーダ収容構造体301に作業の開始及び終了を通知するためのボタンである。
【0084】
フィーダ収容構造体301は、作業者が操作ボタン313を押下すると制御装置211に作業の開始を通知する。実施形態3に係る制御装置211はフィーダ収容構造体301から作業の開始が通知されると、そのフィーダ収容構造体301に、壁部235Cが前側となるように支持部材335を回転させるよう指示する。フィーダ収容構造体301は制御装置211から回転を指示されると、壁部235Cが前側となるように支持部材335を回転させる。
【0085】
(1)制御装置の処理
図17を参照して、作業者13がフィーダ収容構造体301に対する作業を行うときの制御装置211の処理について説明する。作業者13は、表示灯201Cが消灯しているとき、任意のタイミングで作業を開始する。作業者13は、作業を開始するとき、フィーダ収容構造体301の操作ボタン313を押下する。本処理は操作ボタン313が押下されると開始される。
【0086】
S301では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15の作業許可フラグを非許可にする。
S302では、制御装置211は壁部235Cが前側となるように支持部材335を回転させるよう指示する。既に壁部235Cが前側である場合は、S302はスキップされる。
【0087】
S303では、制御装置211は作業者13が後側開口32Bから作業中であるか否かを判断する。具体的には、制御装置211はフィーダ収容構造体301の操作ボタン313が押下されるまでは作業中であると判断し、押下された場合は作業が終了したと判断する。制御装置211は、作業中である場合は一定時間が経過した後に再度S303を実行し、作業が終了した場合はS304に進む。
S304では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15の作業許可フラグを許可にする。
【0088】
図18を参照して、フィーダ自動搬送装置15がフィーダ収容構造体301に対する作業を行うときの制御装置211の処理について説明する。本処理はフィーダ自動搬送装置15の作業可否フラグが許可であるときに繰り返し実行される。
【0089】
S401では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15に対して作業の開始を指令するか否かを判断し、作業の開始を指令する場合はS401に進み、指令しない場合は本処理を終了する。
S402では、制御装置211は表示灯201Cを点灯させて後側開口32Bからの作業が不可であることを報知するとともに、ブザー201Dを2回鳴動させて後側開口32Bからの作業が不可になったことを報知する。
【0090】
S403では、制御装置211は壁部235Cが後側となるように支持部材335を回転させるよう指示する。既に壁部235Cが後側である場合は、S403はスキップされる。
S404では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15に作業の開始を指令する。
【0091】
S405では、制御装置211はフィーダ自動搬送装置15と通信し、フィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業中であるか否かを判断する。制御装置211は作業中である場合は一定時間が経過した後に再度S405を実行し、作業中でない場合(すなわち作業が終了した場合)はS406に進む。
S406では、制御装置211は表示灯201Cを消灯させて後側開口32Bからの作業が可能であることを報知するとともに、ブザー201Dを1回鳴動させて後側開口32Bからの作業が可能になったことを報知する。
【0092】
(2)実施形態の効果
実施形態3に係るフィーダ収容構造体301によると、フィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業するときは壁部235Cが後側開口32B側となるように支持部材335を回転させることにより、作業者13が後側開口32Bから作業することを規制できる。一方、作業者13が後側開口32Bから作業するときは壁部235Cが前側開口32A側となるように支持部材335を回転させることにより、フィーダ自動搬送装置15が前側開口32Aから作業することを規制できる。このため、フィーダ自動搬送装置15と作業者13とでフィーダ収容構造体301に対する作業が競合することを抑制できる。
【0093】
<実施形態4>
実施形態4は実施形態2又は実施形態3の変形例である。ここでは実施形態2の変形例として説明する。
図19を参照して、実施形態4に係るフィーダ供給システム410について説明する。フィーダ供給システム410は実施形態2に係るフィーダ供給システム210の構成に加えて、1台以上の作業者端末401(出力部の一例)を備えている。作業者端末401も通信ネットワークを介して制御装置211と通信可能に接続されている。
【0094】
作業者端末401は所謂パーソナルコンピュータであり、液晶ディスプレイなどの表示部を備えている。作業者端末401は携帯電話やタブレットコンピュータなどの携帯可能な端末装置であってもよい。
作業者端末401は制御装置211からフィーダ収容構造体201に関する情報を受信して表示部に表示(出力の一例)する。フィーダ収容構造体201に関する情報とは、フィーダ収容構造体201に収容されているフィーダ10の種類、フィーダ10の数、プレート35A(支持部材)に配置された各フィーダ10のプレート35A上での位置、扉204が開いているか否か、扉204がロックされているか否かなどである。フィーダ収容構造体201に関する情報はこれらに限定されず、必要に応じてフィーダ収容構造体201に関する任意の情報を表示することができる。
【0095】
実施形態4に係るフィーダ供給システム410によると、フィーダ収容構造体201に関する情報を出力する作業者端末401を備えているので、作業者13はどのフィーダ収容構造体201にどの種類のフィーダ10がいくつ収容されているかなどのフィーダ収容構造体201に関する情報を知ることが容易になる。
【0096】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0097】
(1)上記実施形態1に係るフィーダ収容構造体1はスライドレール203を備えていないが、実施形態1に係るフィーダ収容構造体1もスライドレール203を備えていてもよい。実施形態1に係るフィーダ収容構造体1の場合も、スライドレール203を備えると、後側開口32Bから作業する作業者13は作業がし易い位置に支持部材35を移動させることにより、フィーダ収容構造体1に対する作業の作業効率が向上する。
【0098】
(2)上記実施形態1では後側開口32B(第2の開口)が、収容空間33を基準に前側開口32A(第1の開口)とは逆側に設けられている場合を例に説明した。これに対し、例えば第1の開口が収容体31の前側の側面31Aに開口している場合に、第2の開口は収容体31の左側の側面あるいは右側の側面に開口していてもよい。
更には、平面視において異なる3つの方向からフィーダ10の出し入れが可能となるように、前側開口32A及び後側開口32B以外の第3の開口が収容体31の側面(左右の側面のどちらか一方)に開けられていてもよい。言うまでもなく、平面視における異なる4つの方向からフィーダ10を出し入れ可能となるように、第4の開口が収容体31の側面に開けられていてもよい。
【0099】
(3)上記実施形態1のフィーダ収容構造体1は、収容空間33内で支持部材35を鉛直線周りに回転させる回転機構を備えてもよい。このようにすると、支持部材35を回転させることにより、フィーダ10の出し入れを任意の方向から行うことが可能になる。このため、第1の開口32Aと第2の開口32Bとの配置の自由度が向上する。
【0100】
(4)上記実施形態2ではプレート35Aが壁部235Cを備えている場合を例に説明したが、プレート35Aは壁部235Cを備えていなくてもよい。
【0101】
(5)上記実施形態2では制御装置211がフィーダ自動搬送装置15に作業を指令する場合を例に説明したが、フィーダ自動搬送装置15への作業の指令は表面実装機や他の制御コンピュータが行ってもよい。実施形態3についても同様である。
【0102】
(6)上記実施形態2及び3はフィーダ自動搬送装置15と作業者13との間で作業を統制する例であるが、前側開口32Aから作業する作業者と後側開口32Bから作業する作業者13との作業を統制することも可能である。その場合は、第1の開口から作業する作業者は携帯端末を携帯しており、携帯端末を介して制御装置211から作業の指令を受けたり、前側開口32Aからの作業の許可/非許可を確認したりすることになる。
【0103】
(7)上記実施形態3ではフィーダ収容構造体301の後側開口32Bに扉204が設けられていないが、フィーダ収容構造体301にも扉204を設けてもよい。
【0104】
(8)上記実施形態4では出力部として作業者端末401を例に説明したが、出力部は制御装置211であってもよい。
【0105】
(9)上記実施形態では部品テープが取り付けられているフィーダ10を、フィーダ収容構造体1を介して受け渡す場合を例に説明したが、フィーダ10だけを、フィーダ収容構造体1を介して受け渡してもよい。
【0106】
(10)上記実施形態ではフィーダ供給システム210(制御装置211)が、各フィーダ収容構造体201について後側開口32Bからの作業が可能か否かを作業者13に知らせるために、ブザー201Dの鳴動回数を異ならせる例について説明した。しかしながら、本開示によるフィーダ供給システム210は、後側開口32Bからの作業が可能になったとき、および、後側開口32Bからの作業が不可能になったときのブザー201Dから発せられる音をそれぞれ異ならせることによって、フィーダ収容構造体201に対する作業が可能になったこと、あるいは不可になったことを作業者13に知らせてもよい。
【0107】
(11)上記実施形態では部品供給具としてフィーダ10を例に説明したが、部品供給具はこれに限られない。例えば図20に示すように、部品供給具は複数の部品が載置されているトレイ501であってもよい。トレイ501は表面実装機が備えるトレイフィーダにセットされて使用される。トレイフィーダはトレイ501が載置されるパレットを複数段有するマガジンを備えており、実装する部品が載置されているトレイ501が載置されているパレットをマガジンから引き出して表面実装機に供給する。
【0108】
部品供給具がトレイ501である場合、収容構造体の内部にはトレイ501を上下複数段に支持する支持部材が配される。収容構造体にはトレイ501が載置されているパレットが収容されてもよい。パレットを収容する場合は、収容構造体の内部にはパレットを上下複数段に支持する支持部材が配される。収容構造体にはパレットを複数段有するマガジンが収容されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1: フィーダ収容構造体(収容構造体の一例)
10: フィーダ(部品供給具の一例)
10C: ピン
13:作業者(作業主体の一例)
15: フィーダ自動搬送装置(作業主体の一例)
31: 収容体
32A: 前側開口(第1の開口の一例)
32B: 後側開口(第2の開口の一例)
33: 収容空間
33A: 底面
35: 支持部材
35A: プレート
35B: 凸条(ガイド部の一例)
35D: 挿入穴
201: フィーダ収容構造体
201C: 表示灯(報知部の一例)
201D: ブザー(報知部の一例)
201E: ロック機構
202: 拡張部
202A: 上面
203: スライドレール(レールの一例)
204: 扉
210: フィーダ供給システム
211: 制御装置
235: 支持部材
235C: 壁部
301: フィーダ収容構造体
311: 制御装置
312: モータ(回転機構の一例)
335: 支持部材
401: 作業者端末(出力部の一例)
410: フィーダ供給システム
501:トレイ(部品供給具の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
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図20