(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】空圧締結具駆動工具及び工具システム
(51)【国際特許分類】
B25C 1/04 20060101AFI20240917BHJP
B25C 5/13 20060101ALI20240917BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
B25C1/04
B25C5/13
B25F5/00 C
B25F5/00 D
(21)【出願番号】P 2023521115
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021053522
(87)【国際公開番号】W WO2022076376
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519250431
【氏名又は名称】キョウセラ センコ インダストリアル ツールズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン, デリック シー.
(72)【発明者】
【氏名】クライン, クリストファー ディー.
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/031887(WO,A1)
【文献】特開平06-312381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 1/00-13/00;
B25F 1/00-5/02;
B25D 1/00-17/32;
B25B 21/00,23/00-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧締結具駆動工具(10)であって、
(a)作動シリンダ部分(38)、ハンドル部分(24)、マガジン部分(26)、ガイド本体部分(32)、出口端部分(28)、及び外部加圧ガス入口(46)と、
(b)前記作動シリンダ部分を少なくとも部分的に取り囲む外部ハウジング(20)と、
(c)前記作動シリンダ部分(38)が、
(i)内部に可動ピストン(36)を有する中空シリンダ(39)、及び前記ピストンと機械的に連通している細長いドライバ(34)であって、前記ドライバの動きが前記ピストンの動きに関連付けられる、細長いドライバ(34)と、
(ii)前記工具(10)に配置されたセンササブアセンブリ(120)と、を含み、
(d)前記ガイド本体部分(32)が、前記工具の動作中に前記ドライバ(34)の動きを含むドライバトラックを含み、
(e)前記マガジン部分(26)が、前記ガイド本体
部分(32)の前記ドライバトラックに送り込まれる少なくとも1つの締結具を含み、
(f)前記ドライバ(34)が、前記工具の前記出口端部分(28)から締結具を押し出すようなサイズ及び形状であり、
(g)加圧ガスを収容するための少なくとも1つの内部チャンバ(40)であって、前記少なくとも1つのチャンバが内部ハウジングサブアセンブリ(110)を含み、前記内部ハウジングサブアセンブリが、
(i)第1の処理回路(150)、第1のメモリ回路(152)、
第1の無線回路(160)、及び電源を含む、システムコントローラ(140)と、
(ii)前記システムコントローラ(140)の少なくとも一部分を覆う内部ハウジング(114)と、
(iii)前記内部ハウジング(114)の表面の少なくとも一部分に沿ったガス流デフレクタ(116)と、を含む、少なくとも1つの内部チャンバ(40)と、
(h)前記第1の無線回路(160)から前記外部ハウジングの開口部(136)を通って延びるアンテナ(129、134)と、
(i)前記センササブアセンブリ(120)が、
(i)センサ(128)と、
(ii)前記作動シリンダ部分(38)に取り付けるセンサ筐体(121)と、を含み、
(j)前記第1の処理回路(150)と前記センサ(128)との間の信号経路(119)であって、前記センサから前記第1の処理回路にセンサデータを送信するために使用される、信号経路(119)と、
を備える、空圧締結具駆動工具(10)。
【請求項2】
前記アンテナ(129、134)が、
(i)前記
第1の無線回路(160)から前記外部ハウジングの開口部(136)まで延びる第1の部分(129)と、
(ii)前記アンテナ(129)が続き、前記外部ハウジングの前記開口部(136)を通って延びる第2の部分と、
(iii)前記アンテナが続き、前記外部ハウジング(20)の外側まで延びている第3の部分(134)と、
の少なくとも3つの部分を含む、請求項1に記載の工具(10)。
【請求項3】
前記外部ハウジング(20)を貫通する前記アンテナの前記第3の部分(134)が、前記外部ハウジングの保護領域に配置される、請求項2に記載の工具(10)。
【請求項4】
前記保護領域が、前記外部ハウジング内の凹部を含む、請求項3に記載の工具(10)。
【請求項5】
(a)前記信号経路(119)が、
(i)導体と、
(ii)光ケーブルと、のうちの少なくとも1つを含む、
又は、
(b)前記センササブアセンブリ(120)が、
(i)前記中空シリンダ(39)の外壁の一部分に取り付けられるようなサイズ及び形状であるセンサハウジング(121)と、
(ii)第2の処理回路、第2のメモリ回路、及びインターフェース回路が取り付けられたプリント
回路基板(122)と、を含み、
(iii)前記プリント回路基板(122)が、前記センサハウジング(121)の内部空間内に取り付けられ、前記センサハウジングによって保護されている、
又は、
(c)前記信号経路(119)及び前記アンテナ(129)の少なくとも一部分が、覆い(118)によって保護され、前記一部分が、前記工具(10)の前記少なくとも1つの内部チャンバ内にある、
又は、
(d)(i)前記外部加圧ガス入口(46)が、外部加圧ガス源を前記工具に接続するために使用されており、
(ii)前記外部加圧ガス入口(46)が、前記ハンドル
部分(24)のベース部分に配置されており、
(iii)前記工具(10)が加圧ガスを収容しているとき、前記ガス流デフレクタ(116)が、前記第1の処理回路(150)及び前記信号経路(119)のうちの少なくとも1つから離れるようにガス流の少なくとも一部分を偏向させる、
又は、
(e)(i)前記アンテナ(129、134)が、ワイヤレス無線信号を外部無線受信機に送信し、
(ii)前記信号が、
前記センサデータ及び工具位置データのうちの少なくとも1つを含み得る、
請求項1に記載の工具(10)。
【請求項6】
(a)前記ピストン(36)に取り付けられた磁石(126)と、
(b)前記センササブアセンブリ(120)の前記プリント回路基板(122)に取り付けられたリードスイッチ(128)と、を更に含み、
(c)前記リードスイッチ(128)が、前記工具(10)のピストン動作サイクルを決定するために前記磁石(126)の動きを検出する、
請求項
5に記載の工具(10)。
【請求項7】
空圧締結具駆動工具(10)であって、
(a)作動シリンダ部分(38)、ハンドル部分(24)、マガジン部分(26)、ガイド本体部分(32)、出口端部分(28)、及び外部加圧ガス入口(46)と、
(b)前記作動シリンダ部分を少なくとも部分的に取り囲む外部ハウジング(20)と、
(c)前記作動シリンダ部分(38)が、内部に可動ピストン(36)を有する中空シリンダ(39)と、前記ピストンと機械的に連通している細長いドライバ(34)であって、前記ドライバの動きが前記ピストンの動きに関連付けられる、細長いドライバ(34)と、を含み、
(d)前記ガイド本体部分(32)が、前記工具(10)の動作中に前記ドライバの動きを含むドライバトラックを含み、
(e)前記マガジン部分(26)が、前記ガイド本体
部分(32)の前記ドライバトラックに送り込まれる少なくとも1つの締結具を含み、
(f)前記ドライバ(34)が、前記工具(10)の前記出口端部分(28)から締結具を押し出すようなサイズ及び形状であり、
(g)加圧ガスを収容するための少なくとも1つの内部チャンバ(40)であって、前記少なくとも1つのチャンバが内部ハウジングサブアセンブリ(110)を含み、前記内部ハウジングサブアセンブリが、第1の処理回路(150)、第1のメモリ回路(152)、第1の無線回路(160)、及び第1の電源を含むシステムコントローラ(140)を含む、少なくとも1つの内部チャンバ(40)と、
(h)前記第1の無線回路(160)から前記外部ハウジングの開口部(136)を通って延びるアンテナ(129、134)と、
(i)センササブアセンブリ(120)であって、
(i)センサ(128)と、
(ii)第2の処理回路(216)、第2のメモリ回路(222)、第2の無線回路(227)、及び前記センサ(128)との通信を確立するインターフェース回路(230)と、
(iii)前記工具(10)に取り付けるセンサ筐体(121)と、
を含む、センササブアセンブリ(120)と、
(j)前記第1の処理回路(150)と前記第2の処理回路(216)との間の信号経路であって、無線信号を使用して、前記第2の処理回路から前記第1の処理回路にセンサデータを送信するために使用される、信号経路と、
を備える、空圧締結具駆動工具(10)。
【請求項8】
(a)前記信号経路が、前記第1の無線回路(160)と前記第2の無線回路(227)との間で前記無線信号が通過することを可能にするのに十分なサイズの前記工具内の開口部(136)を含む、
又は、
(b)(i)前記アンテナ(129、134)が、ワイヤレス無線信号を外部無線受信機に送信し、
(ii)前記信号が、
前記センサデータ及び工具位置データのうちの少なくとも1つを含み得る、
又は、
(c)前記センサ(128)が、
(i)機械的な位置センサと、
(ii)近接センサと、
(iii)温度センサと、
(iv)圧力センサと、
(v)力センサと、
(vi)速度センサと、
(vii)距離センサと、
(viii)流量センサと、
(ix)地理的位置センサと、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項7に記載の工具(10)。
【請求項9】
(a)請求項8に記載の前記工具(10)と、
(
b)前記外部無線受信機を含むネットワークサーバ(250)、又は、(
c)前記外部無線受信機を含むワイヤレスポータブルコンピュータ(200)
と
を備える、
工具システム。
【請求項10】
空圧締結具駆動工具(10)であって、
(a)作動シリンダ部分(38)、ハンドル部分(24)、マガジン部分(26)、ガイド本体部分(32)、出口端部分(28)、及び外部加圧ガス入口(46)と、
(b)前記作動シリンダ部分を少なくとも部分的に取り囲む外部ハウジング(20)と、
(c)前記作動シリンダ部分(38)が、内部に可動ピストン(36)を有する中空シリンダ(39)と、前記ピストンと機械的に連通している細長いドライバ(34)であって、前記ドライバの動きが前記ピストンの動きに関連付けられる、細長いドライバ(34)と、を含み、
(d)前記ガイド本体部分(32)が、前記工具(10)の動作中に前記ドライバ(34)の動きを含むドライバトラックを含み、
(e)前記マガジン部分(26)が、前記ガイド本体
部分(32)の前記ドライバトラックに送り込まれる少なくとも1つの締結具を含み、
(f)前記ドライバ(34)が、前記工具(10)の前記出口端部分(28)から締結具を押し出すようなサイズ及び形状であり、
(g)
前記ハンドル部分は、
(i)外部加圧ガス源から加圧ガスを受ける外部エアコネクタ(46)と、
(ii)前記外部エアコネクタと流体連通する前記中空シリンダ(39)内で前記可動ピストン(36)を駆動する際に使用される加圧ガスを収容するための少なくとも1つの内部チャンバ(40)と、
(iii)内部チャンバ(40)内に位置し、内部チャンバ(40)を第1内部空間及び第2内部空間に分割するようなサイズ及び形状を有するガス流デフレクタ(116)であって、
(A)加圧ガスの大部分は前記ガス流デフレクタによって前記第1内部空間に向かって導かれ、
(B)前記加圧ガスの前記大部分は前記ガス流デフレクタによって前記第2内部空間から離れるように導かれる、ガス流デフレクタ(116)と、
を有し、
(h)第1の処理回路(150)、第1のメモリ回路(152)、
第1の無線回路(160)、及び第1の電源を含む、データ取得システム(140)と、
(i)前記第1の無線回路(160)から外部ハウジングの開口部(136)を通って延びるアンテナ(129、134)と、
(j
)センササブアセンブリ(120)
であって、
(i)センサ(128)と、
(ii)前記工具(10)に取り付けるセンサ筐体(121)と、を含
むセンササブアセンブリ(120)と、
(k)前記第1の処理回路(150)と前記センサ(128)との間の信号経路(119)であって、前記センサから前記第1の処理回路にセンサデータを送信するために使用される、信号経路(119)と、
を備え、
(l)前記第1の無線回路(160)が、前記センサデータを前記工具(10)から外部ワイヤレスコンピュータ(200)に送信する、
空圧締結具駆動工具(10)。
【請求項11】
(a)請求項10に記載の前記工具と、
(b)前記センサデータを受信する第2の無線回路(227)を含む前記外部ワイヤレスコンピュータ(200)と
備える、工具システム。
【請求項12】
前記外部ワイヤレスコンピュータ(200)が、
(a)(i)第2の処理回路と、
(ii)第2のメモリ回路と、
(iii)前記第2の無線回路と、
(iv)電源への接続と、
を含む、ワイヤレスネットワークサーバ(250)と、
(b)(i)第3の処理回路(216)と、
(ii)第3のメモリ回路(222)と、
(iii)タッチスクリーンディスプレイ(219)と、
(iv)前記第2の無線回路(227)と、
(v)オンボード電源(218)と、
を含む、ワイヤレスポータブルコンピュータ(200)と、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の
工具システム。
【請求項13】
(a)前記第1の無線回路(160)による前記センサデータの送信が、前記第1の処理回路(150)によって制御され、かつ
(i)所定の時間間隔と、
(ii)前記センサデータに基づく所定のイベントと、
のうちの少なくとも1つを含む、所定のイベント時に発生する、
又は、
(b)前記センサ(128)が、
(i)機械的な位置センサと、
(ii)近接センサと、
(iii)温度センサと、
(iv)圧力センサと、
(v)力センサと、
(vi)速度センサと、
(vii)距離センサと、
(viii)流量センサと、
(ix)地理的位置センサと、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項10に記載の工具(10)。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年10月6日に出願された「PNEUMATIC FASTENING TOOL WITH WIRELESS SENSOR PACKAGE」と題された米国仮特許出願第63/088,164号に対する優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される技術は、概して、空圧締結具駆動工具に関し、特に、釘又はステープルを基材材料に発射するタイプの空圧駆動工具に関する。具体的には、外部無線機とワイヤレスで通信するセンサパッケージを有し、それによって追跡及び精査のために容易に送信することができる工具動作データをリモート位置に提供する空圧締結具駆動工具として、実施形態を開示する。
【0003】
センサパッケージは、バッテリ、第1のコントローラ、及びワイヤレス無線機を有する第1のハウジングサブアセンブリを含む。この第1のハウジングはカバーで囲まれているので、工具を動作させるために使用される加圧ガスは、コントローラの動作に干渉しない。このカバーは、流れている加圧ガスをコントローラから遠ざけておくのにも役立つガス流デフレクタを呈する。ケーブル及びアンテナサブアセンブリ(S/A)は、S/Aの第1の端部でコントローラに接続され、両方とも開口部を通って第1のハウジングを出る。ケーブル及びアンテナは、流れる加圧ガスがそれらの動作に干渉しないように覆われる。
【0004】
センサパッケージは、少なくとも1つのセンサを有する第2のハウジングサブアセンブリを含む。被覆ケーブルは、(S/Aケーブルの)第2の端部でセンサパッケージに接続されており、これにより、コントローラとセンサとの間の通信が可能になる。センサパッケージは工具の動作を監視し、そのデータを記憶することができる。データは、後に、分析のためにアンテナを介して外部コンピュータにワイヤレスで送信することができる。
【0005】
ハウジングの内側部分からアウター(外側)部分までアンテナが通り抜けることができるように、工具の外部ハウジングに開口部が設けられている。エポキシ又は同様の覆いを使用して、その開口部を封止し、アンテナを所定の位置に保持して、通常の工具使用からの保護をもたらす。外部ハウジング開口部ができるだけ小さくなるように、アンテナの覆いは取り外し可能である。
【0006】
連邦政府支援の研究又は開発に関する陳述
なし。
【背景技術】
【0007】
釘又はステープルを打ち込むための空圧締結具工具は一般的である。典型的には、そのような「エアツール」は、ピストンを含む作動シリンダを有するハウジングを備える。このピストンは、ステープル又は釘を基材に順次打ち込むために使用されるドライバブレードに接続されている。このような工具の最も重要な特徴のうちの1つは、これらの工具が加圧ガスの外部供給源で機械的に動作するので、工具を作動させるのに電力を必要としないことである。
【0008】
これらのタイプの工具に共通する問題は、使用及び動作サイクルを監視するための高度な方法がないことである。充電式バッテリ又は線間電圧などの電力源がなければ、このような工具において電子監視システムを使用することはできない。
【発明の概要】
【0009】
したがって、電源で動作し、ワイヤレス通信のためのアンテナを有する無線機と、システムコントローラとしての処理回路とを含むセンサパッケージを有する空圧締結具駆動工具を提供することが有利である。
【0010】
別の利点は、電源で動作する内部センサパッケージを有し、第1のセンサパッケージ部分がハンドル内に取り付けられ、第2のセンサパッケージ部分が作動シリンダの外部シリンダ壁に取り付けられ、被覆ケーブルが両部分を電気的に接続する、空圧締結具駆動工具を提供することである。
【0011】
更に別の利点は、電源で動作し、アンテナを有する無線機を含む内部センサパッケージを有し、工具ハウジングが、工具の外側までアンテナが通り抜ける開口部を呈する、空圧締結具駆動工具を提供することである。
【0012】
更に別の利点は、電源で動作する内部センサパッケージと、システムコントローラを含むハンドル内に取り付けられた内部ハウジング部分とを有する、空圧締結具駆動工具を提供することである。
【0013】
更なる利点は、電源で動作する内部センサパッケージと、システムコントローラを含む内部ハウジング部分とを有し、内部ハウジング部分がシステムコントローラを加圧ガス流から保護する、空圧締結具駆動工具を提供することである。
【0014】
更に別の利点は、電源で動作する内部センサパッケージと、内部ハウジング部分と、被覆ケーブル部分とを有し、内部ハウジング部分がガス流デフレクタを介して被覆ケーブル部分を保護する、空圧締結具駆動工具を提供することである。
【0015】
更に別の利点は、センサデータを取得し、ワイヤレスデータ送信(無線)回路を使用して取得したデータを所定の時間又はイベントにおいてネットワークサーバに報告し、よって、この電子システムをIoTデバイスにする、内部データ取得システムを有する空圧締結具駆動工具を提供することである。
【0016】
追加的な利点及び他の新規な特徴は、以下の説明において一部が記載され、一部は、以下を検討することで当業者には明らかとなることになる、又は、本明細書で開示される技術を実践することで習得することができる。
【0017】
前述の利点及び他の利点を達成するために、一態様によれば、空圧締結具駆動工具/マシンが提供され、空圧締結具駆動工具/マシンは、(a)作動シリンダ部分、ハンドル部分、マガジン部分、ガイド本体部分、出口端部分、及び外部加圧ガス入口と、(b)作動シリンダ部分を少なくとも部分的に取り囲む外部ハウジングと、(c)作動シリンダ部分が、(i)内部に可動ピストンを有する中空シリンダ、及びピストンと機械的に連通している細長いドライバであって、ドライバの動きがピストンの動きに関連付けられる、細長いドライバと、(ii)工具に配置されたセンササブアセンブリと、を含み、(d)ガイド本体部分が、工具の動作中にドライバの動きを含むドライバトラックを含み、(e)マガジン部分が、ガイド本体のドライバトラックに送り込まれる少なくとも1つの締結具を含み、(f)ドライバが、工具の出口端部分から締結具を押し出すようなサイズ及び形状であり、(g)加圧ガスを収容するための少なくとも1つの内部チャンバであって、少なくとも1つのチャンバが内部ハウジングサブアセンブリを含み、内部ハウジングサブアセンブリが、(i)第1の処理回路、第1のメモリ回路、無線回路、及び電源を含む、システムコントローラと、(ii)システムコントローラの少なくとも一部を覆う内部ハウジングと、(iii)内部ハウジングの表面の少なくとも一部に沿ったガス流デフレクタと、を含む、少なくとも1つの内部チャンバと、(h)第1の無線回路から外部ハウジングの開口部を通って延びるアンテナと、(i)センササブアセンブリが、(i)センサと、(ii)作動シリンダ部分に取り付けるセンサ筐体と、を含み、(j)第1の処理回路とセンサとの間の信号経路であって、センサから第1の処理回路にセンサデータを送信するために使用される、信号経路と、を備える。
【0018】
別の態様によれば、空圧締結具駆動工具/マシンが提供され、空圧締結具駆動工具/マシンは、(a)作動シリンダ部分、ハンドル部分、マガジン部分、ガイド本体部分、出口端部分、及び外部加圧ガス入口と、(b)作動シリンダ部分を少なくとも部分的に取り囲む外部ハウジングと、(c)作動シリンダ部分が、内部に可動ピストンを有する中空シリンダと、ピストンと機械的に連通している細長いドライバであって、ドライバの動きがピストンの動きに関連付けられる、細長いドライバと、を含み、(d)ガイド本体部分が、工具の動作中にドライバの動きを含むドライバトラックを含み、(e)マガジン部分が、ガイド本体のドライバトラックに送り込まれる少なくとも1つの締結具を含み、(f)ドライバが、工具の出口端部分から締結具を押し出すようなサイズ及び形状であり、(g)加圧ガスを収容するための少なくとも1つの内部チャンバであって、少なくとも1つのチャンバが内部ハウジングサブアセンブリを含み、内部ハウジングサブアセンブリが、第1の処理回路、第1のメモリ回路、第1の無線回路、及び第1の電源を含むシステムコントローラを含む、少なくとも1つの内部チャンバと、(h)第1の無線回路から外部ハウジングの開口部を通って延びるアンテナと、(i)センササブアセンブリであって、(i)センサと、(ii)第2の処理回路、第2のメモリ回路、第2の無線回路、及びセンサとの通信を確立するインターフェース回路と、(iii)工具に取り付けるセンサ筐体と、を含む、センササブアセンブリと、(j)第1の処理回路と第2の処理回路との間の信号経路であって、無線信号を使用して、第2の処理回路から第1の処理回路にセンサデータを送信するために使用される、信号経路と、を備える。
【0019】
更に別の態様によれば、空圧締結具駆動工具/マシンが提供され、空圧締結具駆動工具/マシンは、(a)作動シリンダ部分、ハンドル部分、マガジン部分、ガイド本体部分、出口端部分、及び外部加圧ガス入口と、(b)作動シリンダ部分を少なくとも部分的に取り囲む外部ハウジングと、(c)作動シリンダ部分が、内部に可動ピストンを有する中空シリンダと、ピストンと機械的に連通している細長いドライバであって、ドライバの動きがピストンの動きに関連付けられる、細長いドライバと、を含み、(d)ガイド本体部分が、工具の動作中にドライバの動きを含むドライバトラックを含み、(e)マガジン部分が、ガイド本体のドライバトラックに送り込まれる少なくとも1つの締結具を含み、(f)ドライバが、工具の出口端部分から締結具を押し出すようなサイズ及び形状であり、(g)中空シリンダ内で可動ピストンを駆動する際に使用される加圧ガスを収容するための少なくとも1つの内部チャンバと、(h)第1の処理回路、第1のメモリ回路、無線回路、及び第1の電源を含む、データ取得システムと、(i)第1の無線回路から外部ハウジングの開口部を通って延びるアンテナと、(j)センササブアセンブリが、(i)センサと、(ii)工具に取り付けるセンサ筐体と、を含み、(k)第1の処理回路とセンサとの間の信号経路であって、センサから第1の処理回路にセンサデータを送信するために使用される、信号経路と、を備え、(l)第1の無線回路が、センサデータを工具から外部ワイヤレスコンピュータに送信する。
【0020】
更に他の利点は、本技術を実施するために想到される最良の形態のうちの1つにおける好ましい実施形態が説明及び示されている、以下の説明及び図面から、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書で開示される技術は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全てその原理から逸脱することなく、様々な明白な態様において修正が可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本明細書で開示される技術のいくつかの態様を示すものであり、説明及び請求項と共に、本技術の原理を説明する役割を果たす。図面では、
【0022】
【
図1】本明細書に開示される技術の原理に従って構成された、センサパッケージを有する空圧締結具駆動工具の左側面図である。
【0023】
【0024】
【
図3】アンテナの外部部分を示す、
図1の工具のハウジングの拡大図である。
【0025】
【0026】
【
図5】
図1の工具の第2のセンササブアセンブリの拡大切り欠き図である。
【0027】
【
図6A】内部カバーが取り付けられた
図1の工具の第1のセンササブアセンブリの切り欠き側面図である。
【0028】
【
図6B】内部カバーのない
図1の工具の第1のセンササブアセンブリの切り欠き側面図である。
【0029】
【0030】
【
図8】第2のセンササブアセンブリを示す、
図1の工具の拡大切り欠き斜視図である。
【0031】
【
図9A】カバーのない
図1の工具の第1のセンササブアセンブリの切り欠き斜視図である。
【0032】
【
図9B】カバーが取り付けられた
図1の工具の第2のセンササブアセンブリの切り欠き斜視図である。
【0033】
【
図10A】
図1の工具の第2のセンササブアセンブリの平面図である。
【0034】
【0035】
【0036】
【
図11A】
図1の工具の第1のセンササブアセンブリの背面斜視図である。
【0037】
【0038】
【
図12A】
図1の工具の第1のセンササブアセンブリの右側正面図である。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【
図13A】カバーのない
図12Aの第1のセンササブアセンブリの正面斜視図である。
【0044】
【0045】
【
図14】
図1の締結具駆動工具の主要な電子及び電気構成要素のいくつかを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照するが、その実施例は添付図面に示されており、同様の数字は、図面全体を通して同じ要素を示す。
【0047】
本明細書で開示される技術は、その適用において、以下の説明に記載するか若しくは図面に示す、構成要素の構成及び配置の詳細に限定されるものではない点を理解されたい。本明細書で開示する技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で使用する表現及び用語は、説明を目的とするものであって、限定するものと見なされるべきではない点も理解されたい。本明細書における、「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びそれらの変化形の使用は、その後に列挙する項目及びそれらの等価物、並びに追加的な項目を包含することを意味する。特に限定しない限り、本明細書における用語「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、又は「取り付けられた(mounted)」、及びそれらの変化形は、広範に使用され、直接的及び間接的な接続、結合、若しくは取り付けを包含する。更には、用語「接続された」又は「結合された」、及びそれらの変化形は、物理的又は機械的な接続若しくは結合に限定されない。更には、用語「~と連通している」又は「~と連通して」とは、何らかの方式で互いに信号又は情報を伝え合う、2つの異なる物理的要素又は仮想的要素を指し、この場合、その信号又は情報の伝達が直接的であるか、あるいは、それらの間に、信号又は情報の伝達に同様に関与する追加的な物理的要素若しくは仮想的要素が存在しているかは問わない。更には、用語「~と連通して」とはまた、「連通」の一方の端部(「第1の端部」)が、発生する特定の推進力(機械的移動、水圧式又は空圧式の状態変化)の「原因」であり得、かつ「連通」の他方の端部(「第2の端部」)が、その移動/状態変化の「影響」を受けることが可能な、機械式、水圧式、又は空圧式システムを指すこともでき、この場合、「第1の端部」と「第2の端部」との間に中間構成要素が存在しているか否かは問わない。製品が、磁場に依存する移動部品を有するか、又は何らかの形で磁場の変化を検出する場合、又は、磁場の使用によって一方の電子デバイスから別の電子デバイスにデータが受け渡される場合には、それらの状況を、互いに「磁気通信している」事項として言及することが可能であり、この場合、「通信」の一方の端部が磁場を誘起することができ、他方の端部が、その磁場を受信して、その磁場から作用を受ける(又は、他の方式で影響を受ける)ことができる。
【0048】
例えば第1の入口、第2の入口など、要素名に先行する用語「第1」又は「第2」は、類似若しくは関連する要素、結果、又は概念を区別するための識別目的のために使用されており、必ずしも順序を意味することを意図するものではなく、用語「第1」又は「第2」は、別途指示のない限り、追加的な類似若しくは関連する要素、結果、又は概念の包含を排除することを意図するものでもない。
【0049】
更には、本明細書で開示する実施形態は、説明の目的のために、構成要素の大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示及び説明される場合がある、ハードウェア及び電子構成要素又はモジュールの両方を含むことを理解されたい。
【0050】
しかしながら、当業者は、この発明を実施するための形態を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態では、本明細書に開示される技術の電子ベースの態様がソフトウェアで実装され得ることを認識するであろう。したがって、複数のハードウェア及びソフトウェアベースのデバイス、並びに複数の異なる構造構成要素が、本明細書に開示する技術を実装するために利用され得ることに留意されたい。更に、ソフトウェアが利用される場合、そのようなソフトウェアを実行する処理回路は汎用コンピュータ(マイクロコントローラチップなど)のものであってもよく、その一方で、特にこの技術を具体的に実装するために設計され得る専用コンピュータによって他の方法で実行され得る全ての機能を果たすことができる。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「回路」は、集積回路チップ(又はその一部分)などの実際の電子回路を表すことができること、又は、論理状態マシン若しくは別の形態の処理要素(逐次処理回路を含む)を含む、マイクロプロセッサ若しくはASICなどの処理回路によって実行される機能を表すことができることが理解されるであろう。特定のタイプの回路は、いくつかのタイプのアナログ回路又はデジタル回路であってもよいが、そのような回路は、場合により、論理状態マシン又は逐次プロセッサによってソフトウェアで実装され得る。換言すれば、本明細書に開示される技術に使用される所望の機能(復調機能など)を実行するために処理回路が使用される場合、「復調回路」と呼ばれることがある特定の「回路」が存在しなくてもよいが、ソフトウェアによって実行される復調「機能」が存在することになる。これらの可能性の全ては、本発明者らによって想到され、「回路」を検討する際の本技術の原理内である。
【0052】
ここで
図1を参照すると、参照符号10によって概して示されている空圧締結具駆動工具が、その左側から見た状態で示されている。工具10は、一端に締結具出口部分28を有し、反対側の遠位端にキャップ22を有するアウターハウジング及びエアシリンダ部分20を有する。取り外し可能な締結具マガジン26が、出口部分28の近くに取り付けられている。工具10はまた、トリガ30を有するハンドル24を含む。ハンドル24の一端には、外部ガス供給コネクタ46、典型的にはエアホース継手がある。
【0053】
ここで
図2を参照すると、工具10は、その右側から見た状態で示されている。外部アンテナ部分134は、アウターハウジング20上のハンドル24のすぐ上に見える。この外部アンテナ部分134は、内部無線回路(又はワイヤレス無線機)160に接続されているアンテナ129(
図11A参照)の端部分である。アンテナ129は、アウターハウジング20内の開口部(又は貫通穴)136を通って出る。シール138は、外部アンテナ部分134を保護し、加圧ガスが漏れないようにアウターハウジング20を密閉する。シール138は、一例として、エポキシ混合物であってもよい。
【0054】
ここで
図3を参照すると、外部アンテナ部分134が拡大図で示されている。シール138は、工具内部の保護、カバー、及び圧力維持のために必要である。典型的な作業日を通して、工具10は、例えば、衝撃、落下、温度変化、及び他の過酷な条件を受けることがある。シール138は、外部アンテナ部分134を損傷から保護する。また、シール138は、圧縮ガスが工具内に存在する場合に、工具10を加圧状態に保つ。空圧締結具駆動工具は加圧ガスで動作するため、シール性が良くないと加圧ガスが開口部136から漏出し、したがって工具の性能が低下する。このシール138は、アウターハウジング20の凹部における「保護ゾーン」である。
【0055】
ここで
図4を参照すると、工具10が切り欠き図で示されている。加圧ガスは外部エアコネクタ46から入り、ハンドル内部のエアチャンバ40に一時的に貯留される。トリガ30を引くと、適切なバルブが作動し、加圧ガスがピストン36を工具10の出口端部分28に向かって付勢する。ドライバ(又はドライバブレード)34がピストン36に取り付けられており、ドライバ34はピストン36と共に移動する。ドライバ34は、マガジン26から受け取った締結具を、ガイド本体32内のドライバトラックを通して、出口端部分28から、基材(木材などの工作物)の中に押し出す。ピストン36はピストンシール44(Oリングなど)を有し、ピストンは作動シリンダ38内に制限されている。作動シリンダ38はまた、最初はピストンの「上方」に、締結具を駆動するため、次にピストンの「下方」に、シリンダの上部の初期位置にピストンを戻すために、動作中に加圧ガスを含む。ピストンストップ42は、動作中にピストン36の衝撃を緩和するのを助けるために設けられている。
【0056】
エアチャンバ40内には、第1のセンササブアセンブリ(S/A)110と、第2のセンササブアセンブリ(S/A)120とがある。(第1のセンサS/A110は、「システムコントローラ」サブアセンブリと呼ばれることもある)。第1のセンサS/A110は、外部エアコネクタ46の近位で、ハンドル24内に取り付けられている。第1のセンサS/A110は、第1のハウジング112と、第1のハウジングカバー114と、第1のハウジングカバー114を第1のハウジング112に保持する複数のカバー締結具115と、を含む。ガス流デフレクタ116は、第1のハウジングカバー114に取り付けられている。このガス流デフレクタ116は、加圧ガス流の主力を内部ハウジング構成要素、及び内部配線から遠ざけるような形状である。
【0057】
エアチャンバ40を流れる加圧ガスには、現場で工具を使用する際に拾い上げた金属粒子、油、埃、及び他の粒子が含まれていることが多いことに留意されたい。これらの余分な粒子は全て、第1のハウジング112内に存在する繊細な回路及び構成要素から遠ざける必要がある。第1のハウジング112及びその第1のハウジングカバー114は、これらの粒子を、第1のハウジング112内に取り付けられた内部回路及び他の繊細な構成要素から遠ざける。
【0058】
第2の(センサ及びアンテナ)カバー118は、第1のハウジング112に接続された第1の端部と、第2のハウジング121に接続された第2の端部とを有する。この第2のハウジング(又は「筐体」)121は、第2のセンサS/A120の一部であり、この筐体121を使用して、第2のセンサS/A120を作動シリンダ38の外部シリンダ壁39に取り付ける。第2のカバー(又は「覆い」)118は、加圧ガス中の余分な粒子を繊細なケーブルから遠ざける。第1のセンサS/A110及び第2のセンサS/A120は、センサケーブル119によって電気的に接続されていることに留意されたい(
図11A及び
図11Bを参照)。第2のカバー118は、センサケーブル119及びアンテナケーブル129を保護する。
【0059】
図示された実施形態では、第2のハウジング121はセンサ128を含む。このセンサは、どのような工具のメトリックを測定する必要があるかに応じて、様々なセンサで構成されてもよい。磁気リードスイッチを使用して、例えば、ピストンの動作サイクルを監視してもよい。別の例として、温度センサを使用して、工具の内部温度を測定してもよい。また、例えば、機械的な位置センサ(「リミットスイッチ」としても知られている)、又は圧力センサ(おそらく温度補償付き)、又はショックセンサ(工具が過剰な距離から落とされた、若しくは、例えばハンマとして誤用されたかどうかを判断する)などの、他のセンサを使用してもよい。
【0060】
図5は、第2のセンサS/A120の拡大図を示す。センサ128は、第2のプリント回路基板(「PCB」)122に接続するリード線124を呈する。第2のPCB122は第2のハウジング121に取り付けられており、その第2のハウジング121は外部シリンダ壁39に取り付けられている。センサケーブル119は、第2のPCB122に直接接続する。この第2のハウジング121は、センサ128がピストン36の動きを検出することができるように、作動シリンダ38に近接して取り付けられている。センサ128は、例えば、ピストンに取り付けられた磁石126を検出するリードスイッチであってもよい(
図8を参照)。
【0061】
2つのセンササブアセンブリ110及び120を設けることにより、この全体的な電子パッケージが、ワイヤレス報告機能を有するデータ取得システムとなる。第1のセンササブアセンブリ110は、最初に少なくとも1つのセンサ(例えば、センサ128)からセンサデータを受信し、次にそのデータを(所定の時間間隔で、又は所定のイベント時に)外部コンピュータ(例えば、ネットワークサーバ250)に送信するようにプログラムされたマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサ150を含むので、「システムコントローラサブアセンブリ」又は「プロセッササブアセンブリ」とも呼ばれることがある。市販の空圧「エア」工具は、従来、このようなオンボードデータ取得システム、特にワイヤレス報告機能を備えたものを有していなかった。このタイプのセンサ及び報告システムはまた、「IoT」デバイス(一般に「モノのインターネット」と称する)と呼ばれることもある。
【0062】
ここで
図6Aを参照すると、ハンドル部分24及び第1のセンサS/A110が部分切り欠き図で示されている。
図6Aは、複数の締結具115を介して第1のハウジング112上に保持された第1のハウジングカバー114を示す。動作中、加圧ガスが底部から上方へ(この図では)と流れ、エアチャンバ40に入る。ガス流デフレクタ116は、このガス流を第2のカバー118から離れるように導き、これはまた、第1のハウジング112のその単一の開口部から空気を偏向させる。この偏向は、第1のハウジング112の内部に取り付けられた内部要素の中に、加圧ガス中の粒子を入れないようにするのに役立つ。
【0063】
ここで
図6Bを参照すると、ハンドル部分24及び第1のセンサS/A110が、第1のハウジングカバー114が取り外された状態で示されている。バッテリ130は、第1のセンサS/A110及び第2のセンサS/A120に電力供給する第1のハウジング112の内部に取り付けられている。第1のプリント回路基板(「PCB」)132もまた、第1のハウジング112の内部に取り付けられている。この第1のPCB132はプライマリコントローラを含み、工具で使用されるセンサを制御するソフトウェアを実行するための命令を含むそのメモリ回路を含む。センサケーブル119は、第1のPCB132(ここでは第2のカバー118によって保護されて示されている)に直接接続されていることに留意されたい。
【0064】
ここで
図7を参照すると、第2のカバー118が、エアチャンバ40内に示されている。動作中に工具が壊れないように工具10の構造健全性を維持するために、エアチャンバ40は完全に開口したチャンバではない。工具内部のいくつかの開口した容積及び通路がエアチャンバ40を構成し、第2のカバー118は開口部の1つを通り抜ける。
【0065】
ガス流デフレクタ116は、第1のハウジングカバー114から離れるように垂直方向に延びる。ガス流デフレクタ116は、ハンドル部分24の他方の側に接するように十分に離れて(すなわち、
図7の閲覧者の方に)延びてもよく、その結果、流入する加圧ガスが第1のハウジング112の一部から完全に離れるように強制される。
【0066】
第2のセンサS/A120は、ハンドル24の上部に近接した位置で、作動シリンダ38の外部シリンダ壁39に取り付けられていることに留意されたい。この配置は、センサケーブル119の長さを可能な限り短く保つために好ましい。当然ながら、エアチャンバ40に第2のハウジング121のための空間がある限り、第2のセンサS/A120を外部シリンダ壁39の他の位置に配置することもできる。当然、これはセンサケーブル119の長さを延長することを意味し、それに対応して第2のカバー118の長さが増加することになる。同様の方法で、アンテナケーブル129はまた、同様に他の位置でアウターハウジング20を出ることがある。アンテナケーブル129の長さは、第2のカバー118の長さと同様に、増加される必要がある。
図2及び
図3に示すアンテナケーブル129の配置は、アンテナケーブルの長さを最小限に抑えつつ、第2のカバー118による保護も最大化できるための、単なる好ましい位置にすぎない。センサケーブル119及びアンテナケーブル129が広く異なる場所に配置された場合、2つの別個の保護カバーが必要とされる可能性が高く、一方はセンサケーブル用であり、他方はアンテナ用である。
【0067】
ここで
図8を参照すると、センサ128は、ピストン36に取り付けられた磁石126に近接して示されている。
図8では、好ましいセンサはリードスイッチであり、これは磁石126によって生成された磁場の存在を検出し、その状態の変化がコントローラによって検出され、次いでコントローラがピストン動作サイクルの数を決定する。しかしながら、センサ128は、磁場の存在を検出することもできるホール効果センサなどの他のタイプのセンサを備えてもよい。
【0068】
ここで
図9Aを参照すると、第1のセンサS/A110が、第1のハウジングカバー114なしで示されている。バッテリ130及び第1のPCB132は、第1のハウジング112の内部に若干の奥行きをもって取り付けられている。言い換えれば、バッテリ130及び第1のPCB132は、第1のハウジングカバー114と同一平面にない。第1のハウジングはケーブル開口部117を含み、ここでは第2のカバー118(保護シース、すなわちケーブルのアウタージャケットとして機能する)が開口部を通り抜けるように示されている。このケーブル開口部117は、汚れ及び粒子が第1のハウジング112に入る主な場所であり、ガス流デフレクタ116の特定の配置に関する一因である。
【0069】
ガス流デフレクタ116は、
図9Bに示すように、外部ガスコネクタ46から第1のハウジング112の端部まで延びており、流入する加圧ガスをケーブル開口部117から離れるように偏向させる。ケーブル開口部117は、ガス流デフレクタ116の片側にあり、外部ガスコネクタ46からの流入ガスは、ガス流デフレクタの反対側にある。もちろん、エアチャンバ40が加圧ガスで満たされると、ガス流デフレクタ116は、次の駆動サイクルが発生するまで、ケーブル開口部117から離れるガス流を偏向させることはない。工具10が締結具を駆動すると、エアチャンバ40は次いで迅速に再充填され、ガス流デフレクタ116が、流入する加圧ガスの突進をケーブル開口部117から離れるように偏向させる。
【0070】
図10A~
図10Cは、第2のセンサS/A120を示す。
図10Aでは、センサ128は、電気リード線124を介して第2のPCB122に取り付けられ、全て第2のハウジング121内に取り付けられている。
図10Bでは、第2のハウジング121は大きな湾曲部分125を有して示されており、この湾曲部分125は外部シリンダ壁39に嵌合する。この実施形態では、第2のPCB122は、第2のハウジング121の内部で平坦であることに留意されたい。センサ筐体(又は「ハウジング」)121のサイズ及び形状は、様々なタイプ、サイズ、及び形状のセンサに適合するように容易に変更することができることが理解されるであろう。例えば、センサがひずみゲージである場合、筐体は、あるタイプの接着剤によって工具の表面に適用される、保護材料又は見積りの比較的薄い層であってもよい。
【0071】
ここで
図10Cを参照すると、第2のPCB122が、第2のハウジング121の奥深くに取り付けられていることが示されている。センサ128は、第2のPCB122から離れるように垂直方向に延びており、このPCB122の深い取り付けによって、センサ128が部分的に保護される。センサ128は湾曲部分125の近くに取り付けられており、その結果、ピストン36に取り付けられた磁石126の動きを容易に検出することができる。
【0072】
図11A及び
図11Bは、第1のセンサハウジング110、並びにセンサケーブル119及びアンテナケーブル129を示す。
図11Aは、第1のハウジングカバー114の反対側にある第1のハウジング112の底部111を示す。ガス流デフレクタ116は、円形部分113のすぐ隣に見ることができることに留意されたい。この円形部分113は、外部ガスコネクタ46の隣に取り付けられている。また、センサケーブル119及びアンテナケーブル129が両端部でどのように分離しているかにも留意されたい。これは、アンテナケーブル129がアウターハウジング120を通って出るという事実に起因する。アンテナケーブル129がアウターハウジング120を出ない場合、工具が構成される材料が、アンテナケーブル129を通して送信される無線信号を減衰又は遮断する場合があることに留意されたい。図示された実施形態では、アンテナ129がアウターハウジング120を出ると、クリアな無線信号を送信することができる。
【0073】
ここで
図11Bを参照すると、センサケーブル119とアンテナケーブル129の分離の別の図と共に、ガス流デフレクタ116が示されている。第2のカバー118は、アンテナケーブル129がセンサケーブル119から分離する部分まで完全に延びていないが、所望により、各別個の構成要素に対して保護シース(又はジャケット)を含めることができることに留意されたい。
【0074】
図12A~
図12Eは、第1のハウジングS/A110のより多くの図を示す。
図12Aは、第1のハウジング112から(この図では)水平方向に離れるように延びるガス流デフレクタ116を示す。
図12Bは、第1のハウジングカバー114と反対側の底部111を図示する。
図12Cは、ガス流デフレクタ116を含む第1のハウジングカバー114を示す。
図12Dは、
図12Aの反対側の側面図である。
【0075】
ここで
図12Eを参照すると、第1のハウジングS/A110は、外部ガスコネクタ46を通して見ている
図12Eの閲覧者に示されている。流入する加圧ガスは、円形部分113の半分を通って、第1のハウジングカバー114の下を流れ、ガス流デフレクタ116の(この図では)右側に流れる。
図12Eに示すように、第1のハウジング上部カバー112は中実であるため、第1のハウジングカバー114の上方にはガスは流れない。
【0076】
ここで
図13Aを参照すると、第1のハウジング112が、第1ハウジングカバー114が取り外された状態で示されている。バッテリ130及び第1のPCB132は、各構成要素が第1のハウジングカバー114と同一平面でないように、第1のハウジング112内に幾分凹んで取り付けられていることが示されている。
【0077】
ここで
図13Bを参照すると、第1のハウジング112が、第1ハウジングカバー114なしで再び示されている。この正面図では、円形部分113が第1のハウジング112ほど広くないことが分かることに留意されたい。
【0078】
ここで
図14を参照すると、システムコントローラ140を示すハードウェア回路ブロック図が提供されている。工具のシステムコントローラは、典型的には、処理回路(又は「CPU」)として機能するマイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータ集積回路150を含む。バッテリ130は、第1のセンサS/A110及び第2のセンサS/A120に電力を供給する。また、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び読み取り専用メモリ(ROM)デバイスを含む少なくとも1つのメモリ回路152も、典型的にはシステムコントローラ140の一部をなす。ユーザ入力情報(特定の工具モデルに適用可能な場合)を記憶するために、EEPROM、NVRAM、又はフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリデバイスが典型的に含まれる。
【0079】
処理回路150は、入出力インターフェース回路154を使用することにより、外部入出力と通信する。処理回路150、メモリ回路152、及び(I/O)インターフェース回路154は、システムバス156を介して互いに通信し、このシステムバス156は、アドレス線、データ線、及びシステム設計者によって決定される割り込みを含む様々な他の信号線を伝送する。
【0080】
I/O回路154は、センサ及びユーザ制御スイッチなどの入力型デバイス、並びにモータ及びインジケータランプなどの出力型デバイスが特定の工具モデルに組み込まれている場合、そのような電子デバイスを含む様々な外部デバイスと通信するための適切な電子機器を有する。I/Oインターフェース回路154と実際の入出力デバイスとの間の信号は、信号経路、典型的には、符号158の下でグループ化されたいくつかの導体によって伝送される。
【0081】
工具10用の入力デバイスは、磁気センサ128を含む様々なセンサを含むことができる。出力デバイスのうちの1つは、外部ワイヤレスコンピュータ又はワイヤレスネットワークサーバ250と通信するために使用されるワイヤレス無線機160を含む。
【0082】
CPU150が、互換性のあるワイヤレスデータリンクを使用する別個のワイヤレスポータブルコンピュータ200などの他の外部デバイスと通信することができるように、ワイヤレス無線機160の形態のデータインターフェースがこの実施形態に含まれる。(ワイヤレスポータブルコンピュータは、この技術のいくつかの実施形態において、「モバイルデバイス」、「WPC」、又は「スマートフォン」と呼ばれることもある)。ワイヤレスポータブルコンピュータ200はまた、低電力無線機227を含み、これは、所望により、専有され得るプロトコルを使用してワイヤレス無線機160と通信する。しかしながら、無線機160及び227は、無線機160と227との間のメッセージにおけるデータ構造は確かに暗号化され得るか、そうでなければ独自の方法でフォーマットされ得るが、Bluetoothなどの多くの様々な通信プロトコルを使用し得る。無線機160及び227は更に、まだ発明されていないタイプのワイヤレス通信デバイスを含む、厳密に無線原理で動作しない可能性のある他のタイプのワイヤレス通信デバイスを含み得る。本明細書では、そのようなワイヤレス通信デバイスは、典型的には「無線機」と呼ばれるが、本特許文書では、それらは、「短距離ワイヤレス通信デバイス」、又は「低電力ワイヤレス通信デバイス」と呼ばれることもある。
【0083】
ワイヤレスポータブルコンピュータ200は、マイクロプロセッサ(CPU)216、ランダムアクセスメモリ(RAM)222、読み出し専用メモリ(ROM)223、及び入出力インターフェース回路230を含む。低電力無線機227は、I/O回路230を介してCPU216との間でデータを通信する。また、ワイヤレスポータブルコンピュータ200は、ディスプレイ219、キーパッド214、及び電源218(典型的にはバッテリ)を含む。特にスマートフォン又はワイヤレスタブレットコンピュータ上では、ディスプレイ219及び(仮想)キーパッド219は、「タッチスクリーンディスプレイ」として知られる単一の全体構造に組み合わされてもよいことに留意されたい。
【0084】
工具10の範囲内でワイヤレスポータブルコンピュータ200を使用することにより、ユーザは工具に保存されている情報にリモートでアクセスすることができる。分析するために様々なセンサデータをダウンロードすることができ、ファームウェアをアップロードすることができる。全地球測位システム(GPS)受信機などの位置技術が工具10にインストールされている場合、工具の地理的位置も同様に監視することができる。いくつかの現場では、使用中の工具の地理的位置を知ることにより、工具が建物の生産エリア、建物の修理エリア、又はおそらく建物のメンテナンスエリアで使用されているかどうかなど、ユーザ挙動に関する追加情報を提供することができる。
【0085】
工具のワイヤレス無線機160はまた、無線リンクを使用して、ネットワークサーバ250に「接続」する能力を有するように設計される。これは、データが工具のシステムコントローラ150によって収集され、センサデータを、例えば、インターネット260を介してリモート中央コンピュータに転送するための主な方法である。ネットワークサーバ250は、所望により、それ自体が中央コンピュータとして機能する能力の一部又は全部を含むことができる。しかしながら、ほとんどではないにしても多くの状況において、所与の「計装」工具10についてセンサパッケージによって取得されているデータは、その工具10が実際に使用されている建物から離れたリモート位置に転送される。したがって、適切なネットワークサーバ250は、当然ながら、その工具のデータを記憶するためのメモリを備えたコンピュータを含むが、工具のデータをリモート中央コンピュータに、典型的にはインターネット260を介して、潜在的には「クラウド」に送信して、人員がそのデータを「クラウド」から取り出して中央コンピュータにダウンロードするのに好都合になるまで一時的に記憶するための通信回路も含む。
【0086】
WPC200はセルラー無線機228を含んでもよく、これは、WPCがスマートフォンとして一般的に知られているインテリジェントな携帯電話である場合に典型的である。その場合、WPC200のユーザは、ユーザが工具のワイヤレス無線機
160と接触している間であっても、望ましい場合には、インターネットを介して中央コンピュータと連絡を取る能力を有する。ネットワークサーバ250が何らかの理由でオフラインであった場合に、このような認可ユーザが、工具の取得データを、最初にスマートフォン(WPC200)に、次にインターネット260に、最終的に中央コンピュータに送信(ダウンロード)される手動アップロードとして「手動」で転送することは、更に可能であろう。このタイプの動作は、おそらく標準的な動作手順ではないが、
図14に図示するように、このシステム全体の能力の範囲内であることは確かであろう。
【0087】
次に
図15を参照すると、エア工具10に取り付けられたシステムコントローラ140と共に使用するために推奨される重要な論理ステップのいくつかを示すフローチャートが提示されている。最初にシステムコントローラの電源を入れると、マイクロコンピュータ150は、ステップ300でその変数状態を初期化する。次に、決定ステップ302は、コントローラ140が、データ取得システムとしてプログラミングを実行する「実行」モードに入るべきかどうか、又はコントローラが別のエンティティによってそれ自体をセットアップすることを可能にする「プログラム」モードに入るべきかどうかを決定する。
【0088】
プログラムモード
【0089】
ステップ302の結果が「プログラム」である場合、システムコントローラは、外部ソース、典型的には、スマートフォン若しくはワイヤレスタブレットコンピュータなどのワイヤレスポータブルコンピュータ(例えば、
図14のアイテム200)を使用している人間から情報を受信することを予期するか、又は外部ソースは、工具上のシステムコントローラ140に命令を送信するためにネットワークサーバを介して通信する中央コンピュータであり得る。一般的に言えば、システムコントローラ140は、常に少なくとも1回「セットアップ」される必要があり(以下に説明するとおり)、後にそのセットアップ属性の一部を変更するため、又は所望により、その同じコントローラ140を第1のエア工具から取り外し、次いで第2のエア工具に据え付けることを可能にするために、完全に又は部分的にセットアップされる能力を有するべきである。
【0090】
記述のこの部分では、システムコントローラ140は、それ自体が特定のエア工具で動作するように構成されることを可能にするデータを待っている、真新しい構成要素であると仮定する。ステップ310において、外部ソースは、特定の工具モデル番号及びシリアル番号、又はこの特定のシステムコントローラが単一の工具で識別されることを可能にする他の同等の情報を入力する。そのタイプの情報は、システムコントローラのメモリ回路152内の不揮発性メモリに記憶され、その所与のシステムコントローラ140がその所与の工具から取り外されない限り変更されるべきではない。このステップは、コントローラの工具への「結合ステップ」と呼ぶことができる。
【0091】
システムコントローラ140が特定の工具10に結合されると、そのシステムコントローラの実際の「使用」を構成するために一連のステップが実行される必要がある。ここで、どのタイプ(又は複数のタイプ)のセンサ(単数又は複数)がこの特定の工具10に取り付けられるか、また、このシステムコントローラによって監視される必要があるセンサがこの工具上にいくつあるかをシステムコントローラに知らせるステップ320が実行される。単一のセンサのみがあってもよいが、それでもその情報は、コントローラのメモリ内にハードコードされるか、又はステップ320の間にそのメモリにアップロードされるかのいずれかで、システムコントローラに提供される必要がある。このタイプの情報には、例えば、工具製造業者によって配布される様々なタイプのエア工具上に取り付けられ得る、様々なタイプ及びモデルのセンサに対する独自の指定が含まれると思われる。
【0092】
いくつかの異なるモデルの工具に取り付けられる多くの異なるタイプのセンサが存在し得ることが理解されるであろう。例えば、単一の工具が2つの圧力センサを有し得、それらのセンサは、2つの異なるモデル番号(第1の圧力範囲のための1つのセンサ、及び異なる第2の圧力範囲のための第2のセンサ)であり得る。当然ながら、単一の工具上に2つ又は3つの異なるセンサがあってもよく、各センサは異なるタイプのものであってもよく、例えば、磁気近接センサ、圧力センサ、及び衝撃荷重(力又は加速度)センサがあってもよく、全てがその1つの工具に取り付けられ、全てがその単一のシステムコントローラ140と通信する。
【0093】
ステップ322において、データ取得の「モード」がここで、所与の工具について決定され得る。(なお、「決定される」とは、この情報が通常、外部エンティティによってこのシステムコントローラにアップロードされるか、又はこのセットアップモードの一部として、システムコントローラによって読み取られるデフォルト値が存在し得ることである)。典型的には、あるタイプのセンサは、所与の電圧範囲にわたって、デジタル(オン-オフ、若しくはバイナリ)信号として、又はアナログ信号として、そのデータを出力する。例えば、サーモスタットは、「高温警報」信号をデジタル信号として生成することができる。あるいは、温度センサを使用して、所定の温度範囲(例えば、0~100セ氏温度の温度範囲に対応する0~5ボルトDCの電圧範囲)にわたるアナログ電圧を生成することができ、そのアナログ電圧は、A/D(アナログ-デジタル)変換器によってサンプリングされて、システムコントローラ140によって理解される数値を生成し、次いで、「高温警報」を表す閾値を(入力信号の)その数値と数値的に比較して、高温状態が存在するかどうかを判定することができる。これらの概念は、データ取得システムを扱う技術者及び他のシステム設計者によってよく理解されている。
【0094】
別の例として、デジタル信号カウンタを実装して、工具10が何回の動作サイクルを経ているかを経時的に把握することができる。デジタル出力を有する近接センサが使用されると仮定すると、工具の何らかの構造部材がその近接センサのそばを通過するたびに、電圧又は電流パルス(正方向又は負方向のいずれか)がそのセンサから出力される。近接センサが磁気センシングである場合、例えば永久磁石をその構造部材に取り付けることができ、磁石がその磁気近接センサの「検出ゾーン」を通過すると、磁石は状態を変化させる。
【0095】
いずれにせよ、動作サイクルをカウントするためにセンサによってデジタル信号が生成されることが工具の設計で確立されると、それらのカウントがシステムコントローラ140によって検出(又は「取得」)される方法(又は「モード」)は、多くの可能性を有する。例えば、各カウントパルスは、そのICチップ上の割り込みラインを使用することによって、又はその入力信号ラインを(例えば、「データ」ラインとして、又はそのICチップ上のデジタル入力ラインとして)連続的に感知することによって、マイクロコントローラ150によって直接検出することができる。あるいは、追加のハードウェアカウンタチップ(
図14には図示せず)をシステムコントローラ140に追加することができ、この場合、カウンタは、近接センサの出力信号を連続的に監視し、カウンタがデジタル信号をマイクロコントローラ150に出力する前に、所定数のカウントを累積する。このように、マイクロコントローラへの割り込みの頻度を最小限に抑えて、そのカウント情報を取得することができる。
【0096】
ステップ324において、このデータ収集活動の結果を報告する「モード」が、ここで所与の工具について決定され得る。(ここでも、このタイプの情報は通常、外部エンティティによってこのシステムコントローラにアップロードされる、又はこのセットアップモードの一部として、システムコントローラによって読み取られるデフォルト値が存在し得る)。また、結果を報告する方法及び頻度は、このシステムコントローラによって監視されているセンサのタイプに応じて、大幅に変化し得ることが理解されるであろう。例えば、デジタル出力センサは、「サイクリックデータ」又は「閾値データ」のいずれかを生成すると思われる。言い換えれば、サイクルカウントがシステムコントローラ140によって監視され、累積されている場合、システムコントローラが、結果として生じるデータをどのように記憶し、報告するかを知るために、タイミング及び他の構成可能な情報を指定する必要がある。例えば、システムコントローラは、反応する前に所与の数の「カウント」(25カウント又は100カウントなど)を累積することができ、次に、その現在超過したカウント値をシステムコントローラ140に搭載された不揮発性メモリに記憶することができ、これは、より大きい数の実際のサイクルカウントを表す累積された(より小さい)整数を含む。更に、別の(おそらく異なる)閾値を使用して、システムコントローラ140が今、ワイヤレスメッセージを外部ワイヤレスコンピュータに送信すべきかどうかを決定することができる。
【0097】
別の例として、センサがアナログ出力信号を生成する場合、その値を経時的に追跡することができる。平均値が所望の情報である場合、そのアナログ値を所定の時間間隔でサンプリングし、メモリに記憶すると同時に、同じデータポイントの以前に取得されたサンプルと平均化することもできる。更に、システムコントローラ140に、その時間間隔(例えば、1時間)の平均値を追跡し、その平均値(例えば、温度又は圧力)を記憶し、次に直接サンプリングされている「平均値」を消去し、次の時間間隔(次の1時間)にわたって取得される新しい平均値からやり直すように知らせる、指定された時間間隔を入力することができる。
【0098】
更に、アナログセンサは、関心のある「高い」値及び「低い」値を有する情報を生成し得る。例えば、工具の高温及び低温を追跡することが望ましい場合があり、それらのタイプの値は、それが重要なデータである場合、工具の動作サイクルごとにサンプリングすることができ、システムメモリ回路152内の2つの異なるメモリの位置は、指定された時間間隔(例えば、1時間)にわたる最大及び最小のセンサ読み取り値の数値を記憶することができる。時間間隔が経過すると、所望により、これらの高い及び低い読み取り値をワイヤレスネットワークコンピュータに送信することができ、次の1時間の間、最小及び最大の読み取り値の新しいセットを累積し始めることができる。
【0099】
いずれにせよ、工具10に取り付けられる各センサは、ステップ320、322、及び324の動作によってシステムコントローラ140に提供されるいくつかのタイプの構成情報、すなわち、その「セットアップ」情報を有する。これらのステップが完了すると、決定ステップ326は、セットアップコンピュータ(又は人間のユーザ)に、この工具のために依然として構成される必要がある別のセンサがあるかどうかを尋ねる(?)。はいの場合、論理フローはステップ320に戻り、そのセンサをセットアップする。いいえの場合、論理フローはステップ330に進む。
【0100】
ステップ330において、データ報告の「タイプ」又は「モード」が決定される(又は、外部コンピュータ若しくは人間のユーザによって「入力」される)。任意のデータ取得システムと同様に、システムコントローラ140は、何らかの外部コマンドを受信することなく、その取得されたデータを報告する頻度、又はそのデータを報告するかどうかを覚える必要がある。このタイプの動作機能は、様々な最終ユーザに対して、又は異なるタイプの工具に対して異なる可能性が高く、したがって、おそらく現場で構成可能であるはずである。もちろん、このような決定を行うのはシステム設計者次第である。
【0101】
特定の工具のためのシステムコントローラ140が、例えば、1日に1回報告することになっている場合、その報告を1日のうちのどの時間に、誰に(又はどのエンティティに)送信するかを正確に知る必要がある。更に、そのような報告メッセージが、電子メールアドレス、若しくはウェブポータルに送信されるか、又は誰か若しくは何かがそのメッセージを受けるかどうかも分からずに単に無線メッセージとして無線を介して送信するだろうか?これは全て「データ報告のタイプ」として構成可能であり、ステップ330は、それらの命令をシステムコントローラ140に提供することである。もちろん、工具10の使用を開始するときにシステムコントローラ140を実際にプログラムする人が現場にいない場合のために、マイクロコントローラ150によって使用されるデフォルト設定がファームウェアに提供されているであろう。
【0102】
ステップ332において、システムコントローラ140には、ステップ310で開始されたこの「プログラムモード」の一部として、構成情報を提供することが許可される認可ユーザが「誰」であるかについての情報が提供される。もちろん、「工場」の認可ユーザによる使用のために、1つ以上のデフォルト設定が存在する。しかし、ステップ332は、それが望ましい場合には、現場の人員の何人かを認可ユーザのリストに追加することを可能にする。全体的なソフトウェア設計は、(決定ステップ302において)最初にプログラムモードに入るようにシステムコントローラに命令する能力を含め、システムコントローラ140と「話す」ためにそのような認可ユーザ(工場においてを含む)に依存すると思われることに留意されたい。
【0103】
セットアップ構成が終了すると、プログラムモードは、ステップ334で他のコンピュータ動作機能に戻る。システムコントローラ140は、マルチタスクシステムとして動作するように設計される可能性が高く、これにより、ある条件下で「プログラムモード」及び「実行モード」の両方であり得るように、その処理機能を本質的に「時分割」することが可能になることが理解されるであろう。明らかに、その能力は、例えば、ステップ332で追加のユーザを入力する能力など、両方のモードで機能を実行しながら特定の設定のみを再構成することができるように制限されるべきである。
【0104】
実行モード
【0105】
サブモード「メッセージ受信」
【0106】
決定ステップ302での結果が「実行」である場合、論理フローは、現場の人間のユーザなどの外部ソースからメッセージがちょうど受信されたかどうかを判定する、別の決定ステップ350に進む。結果が「なし」である場合、最後の動作サイクル以降にメッセージが受信されておらず、論理フローは、以下で説明するステップ370に進む。しかしながら、結果が「ユーザメッセージ受信」である場合、論理フローは、メッセージを送信したユーザの真正性を検証するステップ352に進む。そのような認証は、この工具/マイクロコントローラシステムのシステム設計者によって所望されるように、任意の数のパスワード又は復号アルゴリズムによって実行され得る。もちろん、ユーザの認証情報が検証ステップ352に失敗した場合、論理フローは実行モードの最初に戻る(ステップ302からステップ350)。
【0107】
ユーザの認証情報が検証されると仮定すると、決定ステップ354は、ユーザが工具を実行モードから外し、代わりにプログラムモードに「移行」することを望むかどうかを判定する。答えがはいである場合、(この例のフローチャートでは)ステップ310において、工具は実行モードアクティビティを停止し、そのプログラムモードアクティビティにジャンプする。この例では、工具は両方のモードで同時に動作し続けることはない。
【0108】
ステップ354の結果がいいえであると仮定すると、工具は、実行モードでその機能を継続するが、ステップ360において、認可ユーザによって入力されている新しいコマンドをも読み取る。ユーザは、工具のシステムコントローラ140から、ユーザのワイヤレスポータブルコンピュータ200上のディスプレイ219に表示されるデータメッセージを受信することによって、ユーザが実装することができる様々なタイプのコマンドのメニューを提供され得る。ステップ362は、その情報をユーザに提供し、それらのタイプのコマンドのいくつかは、以下を含むことができる。(a)システムコントローラのメモリ152に記憶されたデータを表示するために、レポートが生成されるように命令する、(b)現在の工具の状態を表示するレポートを命令する、(c)所定の期間にわたって、又は直前のそのようなレポートが求められてからの時間にわたって発生した任意の異常を表示するレポートを命令する、(d)工具の設計者が、そのような認可ユーザに利用可能であるべきと決定する任意の他のタイプの適切なレポート又はステータスメッセージ。
【0109】
「新しい」コマンドが入力されると、論理フローはステップ364に進み、実行モードで動作し続ける(ステップ302からステップ350)。
【0110】
外部ソースからのメッセージをチェックし、それに従うことについて上述したステップ(すなわち、ステップ350~ステップ362)は、インターネットなどのネットワークを介して、リモートコンピュータによって生成することができることが理解されるであろう。更に、これは、そのリモートコンピュータを制御しているエンティティによって決定される自動機能であり得る。実際、この工具のシステムコントローラ140に対する報告機能は、システムコントローラ140が動作データの任意のタイプのレポートを送信する前に、そのようなメッセージがそのリモートコンピュータから受信されることを要求するようにセットアップされ得る。それは全て、工具のシステム設計者がどのようにしてこの特定の工具をプログラムするかを決定するかに厳密に依存し、
図15のフローチャートは、それが所望の目標である場合、その様態で動作する計装工具のシステムを作成するための柔軟性を提供する。
【0111】
あるいは、工具のシステム設計者が、所定の時間間隔で、又は所定のイベントの発生時に、工具が1つ以上のリモートコンピュータにレポートを自動的に送信するように望む場合、
図15のフローチャートは、その様態で動作する計装工具のシステムを作成するための柔軟性をも提供する(以下でより詳細に説明する)。ここで、工具のシステムコントローラ140が、その動作データを自動的に報告するように(プログラムモードにおけるそのセットアップ属性によって)構成される場合、この工具はモノのインターネット(すなわち「IoT」)の一員になり、これは、電子通信分野においてより一般的になりつつある傾向であるように思われることに留意されたい。
【0112】
実行モード
【0113】
サブモード「データ取得」
【0114】
ステップ350の結果が「なし」である場合、ステップ370では、工具10に取り付けられたセンサ(単数又は複数)からデータを取得することを開始(又は継続)する。システムコントローラ140は、この特定の工具に関連するセンサのタイプ(単数又は複数)及び数を知らされる必要がある。もちろん、そもそもその情報は、工具が実行モードに入ることを許可される前に、プログラムモードにおいて予め入力されているべきである。
【0115】
ステップ372において、その構成(又はセットアップ)情報がマイクロコントローラ150によって迅速に検査され、次いでコンピュータソフトウェアがそれに応じて実行を続けることになる。このステップ372は、このタイプのシステムコントローラが初期化(ステップ300において)の直後にその実行モードに直接ジャンプするようにプログラムされてもよく、その場合、システムコントローラがこの工具の環境でどのように動作するべきかが分かるように、ステップ372、374、及び376を実行しなければならないことを明確にするために、ここで説明されるだけである。
【0116】
ステップ374において、システムコントローラ140は、データ取得サンプリングが達成される「方法」を決定するために、構成(又はセットアップ)情報を迅速に検査する。上述したように、センサ(単数又は複数)は、特にアナログ出力を有するセンサに対して、とりわけ温度センサなどの比較的動きの遅い出力である場合に、指定された時間間隔でサンプリングされてもよく、又は、センサ(単数又は複数)は、デジタル出力信号をカウントすることによって、またおそらく、マイクロコントローラ150がデジタル出力信号のうちの1つの状態変化を見落とさないことを保証するために、ノンマスカブル割り込みを含む割り込みを使用することによって、監視されることになる。
【0117】
ここで、ステップ376が実行されて、サンプリングされた又は収集されたデータがどのように、かつどこに記憶されるべきかを迅速に決定する。システムコントローラのメモリ回路152内のメモリ位置がデータ記憶位置となると考えられるが、ここでは更なる改善が必要である。プログラムモードで入力された(又は工場で予めプログラムされた)セットアップデータで指定されるように、各タイプのセンサは、メモリに保存されるべき2つ以上の属性を有してもよい。例えば、温度センサは、指定された時間間隔ごとに、その最大値及び最小値に関して追跡されるべきデータを生成することができ、更に、平均(又は統合)数値をリアルタイムで連続的に計算し、次いで記憶し、「次の」時間間隔のために再記憶して、前の間隔値は消去するか、又は最初に外部コンピュータに送信することができるが、これらは全てセットアップデータにおいて指定されたとおりである。
【0118】
最後に、論理フローにおいてステップ378に達し、工具のシステムコントローラ140のデータ取得機能は、セットアップされたプログラムモードにおいて以前に構成されたものとして(又は「工場」で予めプログラムされたものとして)、センサ出力信号(単数又は複数)をサンプリングし、そのデータを以前に構成されたものとして記憶し、そのデータを報告することによって、実行を開始する。これらのデータ取得ステップは、ステップ380で指定されるように、所定の日時に自動的に発生するプログラムされた「停止」機能がない限り、無期限に途切れなく継続される。
【0119】
その所定の時間/日付(ステップ380)に達するまで、又はそのような停止時間がない場合は無期限に、実行モードはステップ382で継続され、論理フローは実行モードの開始に戻るように導かれる(ステップ302からステップ350)。
【0120】
図15のフローチャートの論理ステップは、システム設計者が望むならば、容易に変更及び短縮することができる柔軟なシステムを示していることが理解されるであろう。これらの図示されたステップのうちのいくつかは、特定のタイプの工具又は特定のタイプのセンサにとって望ましくない場合がある。
【0121】
上述の工具において使用され得る1つの選択肢は、ワイヤレスセンサを使用することである。例えば、ワイヤレス圧力センサを、事実上工具のどこにでも設置することができ、その圧力読み取り値は、低電力無線回路を使用してシステムコントローラに送信することができる。もちろん、システムコントローラは、これらの圧力読み取り値のメッセージを受け取るために互換性のある無線受信機を必要とする。加えて、工具自体は、電波が例えば金属構造部材によって遮断されることなく送信機と受信機との間を移動することができるように、物理的に設計される必要がある。
【0122】
様々なタイプのワイヤレスセンサが、そのような工具データ取得システムにおいて使用され得る。例えば、米国では「タイヤ空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System、TPMS)」が乗用車に義務付けられて以来、既に数百万の自動車にワイヤレス圧力センサが使用されている。これらのセンサは、低周波無線を使用して車両の搭載コンピュータシステムと通信する。TPMSシステムの唯一の重大な欠点は、所与の圧力センサのバッテリがその電荷を失うと、センサ全体を交換しなければならないことである。しかしながら、本明細書に開示される空圧工具のためのデータ取得システムでは、工具コンピュータシステム全体が、典型的には、バッテリ(例えば、バッテリ130)によって電力供給されているため、工具の寿命が終了する前にそのバッテリがその電荷を失った場合、いずれにせよ工具を整備する必要があり、ワイヤレスセンサ(又はそのバッテリ電源)も、必要に応じて、同時に交換することができる。(ワイヤレスセンサバッテリが、工具のコンピュータシステムバッテリ130よりも長持ちする可能性が高い)。
【0123】
別の可能なタイプのワイヤレスセンサは、それが動作している間にそれ自体の電荷を生成するように設計することができ、そのセンサの場所でのバッテリの必要性を潜在的に最小限に抑えるか、又はなくすことができる。例えば、「磁気ピックアップ」が可動磁石を検出するために使用された場合(磁石が近接センサとして機能する磁気ピックアップの「ターゲット」でもあり得る)、その可動磁石は(その磁界を介して)電荷を磁気ピックアップに与えることができ、その電荷は小さい低電圧(かつ小さい物理的サイズの)コンデンサに送られて、動作サイクルをカウントするためにその電荷を蓄積し、工具のデータ取得システムコントローラに報告信号を送信するときにセンサの低電力無線送信機に電力を供給することもできる。
【0124】
そのようなシステムの1つの利点は、非ワイヤレスセンサとシステムコントローラとの間を移動する導体(又は光ファイバケーブル)の必要性を排除することができることであり、それは、整備のために到達しづらいか、又はシステムコントローラに接続されるそのような導体(又は光ケーブル)で到達しづらい工具上の位置にセンサが配置される場合、有意な制約を排除することができる。工具上で使用されているセンサ(単数又は複数)のタイプ(単数又は複数)に関わらず、工具のシステムコントローラ自体は依然として無線回路を含むが、その無線機は、外部世界、すなわち、工具の内部データ取得システムによって収集されているデータを受信することになっているワイヤレス外部コンピュータ又はネットワークサーバと通信するために使用される。
【0125】
ワイヤレスセンサが工具のハウジングの外部に配置された場合、そのセンサの無線出力信号が工具のハウジング内部に配置された(ワイヤレス)システムコントローラに容易に到達するように、ハウジングを貫通する何らかのタイプのアンテナ(又は他の導波管)が望ましいことに留意されたい。アンテナ129は、その機能と、システムコントローラのワイヤレス信号を(外界の)ワイヤレス外部コンピュータ又はネットワークサーバ250に送信するその元の機能との両方を実行するように設計され得る。
【0126】
ワイヤレスシステムコントローラなどの電子構成要素のうちのいくつかを含む内部加圧空気貯蔵チャンバは、本明細書に開示される技術の原理から逸脱することなく、工具全体のほぼどこにでも配置することができることが理解されるであろう。図示された実施形態は、この内部チャンバを工具のハンドル部分24内に示すが、その内部チャンバは、文字通りそこに配置される必要はない。
【0127】
しかしながら、オペレータの使用を容易にするために工具が手持ち式である場合、当然ながら、工具の全体的なサイズ及び重量は重要な要因であり、かなり大きな内部チャンバ内に電子構成要素を含むことは、通常、工具の設計者にとって理にかなっている。更に、そのような「エア工具」の全てではないがそのほとんどは、それらのハンドルの底部にエアホース継手を含み、更にまた、同じハンドルの主要部分内に大きな内部加圧空気貯蔵チャンバを含む。これは、人間のユーザが工具を容易に動かすことができるように工具の「バランスをとる」ことと、締結具を打ち込むときに工具を適切に「狙いを定める」こととを含む論理的な理由のために行われ、大きなハンドルを有することにより、ユーザの手が工具を保持している場所の近く(同じくハンドル上にあるトリガの近く)に、工具の質量中心のための良好な場所を本質的に提供する。
【0128】
「主要な」電子構成要素が、加圧空気(又は何らかの他のガス)を一時的に貯蔵する内部チャンバ内に配置されていない場合であっても、工具全体の一部に通す必要がある電気配線又は少なくとも1つのアンテナが依然として存在し、その配線/アンテナは、可能であれば、加圧空気の移動から保護されるべきである。エアデフレクタを含むカバー又は何らかの他の構造は、そのような電子又は電気構成要素を含むそのような「エア工具」において望ましいと思われる。(「エア工具」内部のほぼ全ての内部容積は、機能している工具の動作サイクルの少なくとも一部の間のどこかで、加圧ガスがそこを通って流れることを可能にすることに留意されたい。
【0129】
本明細書で例示される実施形態のうちの一部は、明確性の目的のために、本明細書の図面のうちの一部に含まれている、それらの構成要素の全てを有するものではない点に留意されたい。とりわけ以前の設計に関して、そのようなアウターハウジング及び他の構成要素の実施例を見るために、読者には、Sencoによって所有されている他の米国特許及び出願を参照されたい。同様に、工具の機能を制御するために電子コントローラが「どのように」動作するかについての情報は、Sencoによって所有されている他の米国特許及び出願に見出される。更には、本発明の工具技術の他の態様は、以前の米国特許及び公開された出願で開示されている情報を含めて、譲受人であるKyocera Senco Industrial Tools,Inc.によって販売されている、従来の締結具駆動工具において存在し得る。そのような刊行物の例は、米国特許第6,431,425号明細書;米国特許第5,927,585号明細書;米国特許第5,918,788号明細書;米国特許第5,732,870号明細書;米国特許第4,986,164号明細書;米国特許第4,679,719号明細書;米国特許第8,011,547号明細書、米国特許第8,267,296号明細書、米国特許第8,267,297号明細書、米国特許第8,011,441号明細書、米国特許第8,387,718号明細書、米国特許第8,286,722号明細書、米国特許第8,230,941号明細書、及び米国特許第8,763,874号明細書;また、米国特許出願公開第2016/0288305号明細書及び米国特許出願公開第2018/0178361号明細書である。これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0130】
図15のフローチャートに関連して説明される論理動作は、(例えばマイクロプロセッサ技術を使用することによって)順序論理を使用して、又は論理状態マシンを使用して、又は別個の論理によって、実装され得ることが理解されるであろう。並列プロセッサを使用しても実装され得る。1つの好ましい実施形態では、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ(例えば、マイクロプロセッサ150)を使用して、ASIC内のメモリセルに記憶されたソフトウェア命令を実行してもよい。実際、RAM及び実行可能ROMと併せて、マイクロプロセッサ(又は、更に言えば、マイクロコントローラ150)全体が、本明細書に開示される技術の1つのモードで、単一のASIC内に含まれ得る。当然ながら、図面に示すこれらの論理動作を実装するために、本明細書に開示される技術の原理から逸脱することなく、他のタイプの回路を使用することができる。いずれにせよ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、論理状態マシンに基づいているかどうかに関わらず、これらのタスクを達成するために別個の論理要素を使用することで、又はまだ発明されていない計算デバイスのタイプによって、何かしらのタイプの処理回路が提供される。また、典型的なRAMチップ、EEROMチップ(フラッシュメモリを含む)に基づくかどうかに関わらず、データ及び他の動作情報(例えばメモリ回路152に記憶されている、取得されたセンサデータなど)を記憶するために別個の論理要素を使用して、又はまだ発明されていないメモリデバイスのタイプを使用することで、何かしらのタイプのメモリ回路が提供される。概して、特定の電子製品のメモリ回路は、その同じ特定の電子製品の処理回路によって実行可能な命令を含む。
【0131】
図15のフローチャートに示し、かつ上述した正確な論理動作は、本明細書に開示される技術の原理から逸脱することなく、おそらく厳密ではないが同様に機能するように幾分修正することができることが理解されるであろう。これらのフローチャートに記載されている決定ステップ及び他の命令の一部の厳密な性質は、締結具駆動工具(例えば、Senco釘打ち機又はねじ締め工具に関与するもの)の特定の将来モデルを対象としており、多くの場合には、全体的な発明の結果は同じでありながら、締結具駆動工具の他のモデル又はブランドと共に使用するために、確実に類似しているが、ある程度異なる工程が取られることになる。
【0132】
移動部品を有する、又は(処理回路及びメモリ回路を有するコンピュータなどの)機能を実行する、本明細書に記載される任意のタイプの製品は、単に何らかの無生物装置としてではなく、「マシン」と見なされるべきであることが更に理解されるであろう。そのような「マシン」デバイスは、電動工具、プリンタ、電子錠などを、それらの例示的なデバイスがそれぞれ特定の移動部品を有するため、自動的に含むべきである。更に、有用な機能を実行するコンピュータ化されたデバイスもまた、マシンと見なされるべきであり、そのような用語は、多くの場合、多くのそのようなデバイスを説明するために使用され、例えば、ソリッドステート留守番電話は、移動動部品を有さなくてもよいが、周知の有用な機能を実行するため、それでも一般に「マシン」と呼ばれる。
【0133】
加えて、人間のユーザに情報を示すためのディスプレイを含み、人間のユーザがコマンド又はデータを入力することができるように「ユーザ操作入力回路」をも含むコンピューティング製品は、「タッチスクリーンディスプレイ」として知られる単一のデバイスと共に提供され得ることが理解されるであろう。言い換えれば、特許請求の範囲が「ディスプレイ」及び「ユーザ操作入力回路」を2つの別個の要素として列挙している場合、単一のタッチスクリーンディスプレイは、実際には全く同じものである。タッチスクリーンディスプレイは、通常、仮想キーパッドを含み、したがって、「ユーザ操作入力回路」は、典型的には、特にスマートフォン及びタブレットコンピュータ上に仮想キーパッドを備えることに留意されたい。更に、この状況では、「仮想」という語は、ハードウェアキーパッドではないことを意味し、より具体的には、「仮想」は、処理回路によって実行されているソフトウェアのためにディスプレイスクリーン上に形成される(すなわち、「作成される」)ことを意味する。
【0134】
本明細書で使用するとき、用語「近位」は、2つの対象物がおそらくは互いに隣接するように、1つの物理的物体を第2の物理的物体と接近して配置する意味を有し得るが、必ずしもそれらの間に配置された第3の物体が存在しないことを必要としない。本明細書で開示される技術では、「雄型位置決め構造体」が「雌型位置決め構造体」の「近位」に配置されることになる場合があり得る。一般に、このことは、2つの雄型構造体及び雌型構造体が、互いに物理的に当接していることを意味し得るか、又はこのことは、2つの雄型構造体及び雌型構造体が連続表面に沿って互いに実際に接触するか否かに関わらず、一方の構造体を互いに対して所定の方向に向けて、かつX-Y(例えば、水平及び垂直)位置に本質的に保持する、特定のサイズ及び形状によって、それらが互いに「嵌合される」ことを意味し得る。又は、任意のサイズ及び形状(雄型、雌型、又は他の形状であるかに関わらず)の2つの構造体は、それらが物理的互いに当接するか否かに関わらず、互いに幾分近くに配置される場合もあるが、そのような関係は、依然として「近位」と呼ぶことが可能である。又は、特定の点に対する2つ以上のあり得る位置を、棒の端部の「近くに(near)」ある又は棒の端部「に(at)」あるなどの、物理的物体の正確な属性に関連して指定することができ、それらのあり得る、近く/に、の位置の全てを、その棒の端部の「近位」と見なすことが可能である。更に、用語「近位」はまた、単一の対象物に厳密に関連する意味を有することができ、単一の物体は2つの端部を有し得るものであり、「遠位端」は、対象基準点(又は領域)から幾分遠く離れて配置された端部であり、「近位端」は、その同じ対象基準点(又は領域)に幾分接近して配置されるであろう他方の端部である。
【0135】
本明細書で説明及び/又は図示されている様々な構成要素は、本明細書で開示される技術の原理から逸脱することなく、複数の部品に含めて製造すること、又は、これらの構成要素のそれぞれに対して一体型部品として製造することを含めた、様々な方法で製造することができる点が理解されるであろう。例えば、以下の特許請求の範囲の列挙された要素として含まれる構成要素は、一体型部品として製造される場合があり、又は、その構成要素は、一体に組み立てられるいくつかの個々の部品の、組み合わせた構造体として製造される場合もある。しかしながら、その「複数部品の構成要素」は、特許請求されている列挙された要素が、本明細書では一体型構造体としてのみ説明及び図示されていると思われる場合であっても、依然として、請求項の解釈の侵害目的に対して特許請求されている列挙された要素の範囲内に含まれることになる。
【0136】
「背景技術」及び「発明を実施するための形態」で引用された全ての文献は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本明細書で開示される技術に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0137】
好ましい実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されている。網羅的であること、又は、本明細書で開示される技術を、開示される厳密な形態に限定することを意図するものではなく、本明細書で開示される技術は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。本明細書で説明又は図示されるいずれの実施例も、非限定的な実施例として意図されており、本明細書で開示される技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の教示を考慮することで、それらの実施例又は好ましい実施形態の、多くの修正若しくは変形が可能である。実施形態は、本明細書で開示される技術の原理、及びその実際的な適用を例示するために選択及び説明されており、それによって、当業者が、様々な実施形態で、及び、想到される特定の用途に適した様々な修正と共に、本明細書で開示される技術を利用することを可能にしている。それゆえ、本出願は、本明細書で開示される技術の、その一般原理を使用したあらゆる変形、使用、又は適応を網羅することを意図している。更には、本出願は、本明細書で開示されるこの技術が関連し、添付の請求項の範囲内に含まれる、当該技術分野における既知又は慣習的な実践の範囲内となるように、本開示からのそのような逸脱を網羅することを意図している。