(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】保管支援方法、保管支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0832 20230101AFI20240917BHJP
【FI】
G06Q10/0832
(21)【出願番号】P 2023521266
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2022020232
(87)【国際公開番号】W WO2022239865
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2021081737
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】上山 健治
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-40500(JP,A)
【文献】特開2016-170494(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108876238(CN,A)
【文献】特開2012-131546(JP,A)
【文献】特開2014-126320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するためにコンピュータによって実行される保管支援方法であって、
前記対象物の種類及び量と前記目的地と前記対象物の受取予定時刻とに関する情報を含む依頼情報と、前記対象物を梱包する容器内に断熱閉鎖空間を形成するための可動部材の前記容器内における位置情報と、を取得する取得工程と、
前記位置情報に基づいて算出された前記容器の伝熱面積と、前記対象物の現在温度に関する情報と、前記依頼情報と、に基づいて、前記目的地到着後から前記受取予定時刻までに前記対象物が受け取る熱量を算出する熱量算出工程と、
前記熱量算出工程で算出した熱量に基づいて、前記目的地到着後から前記受取予定時刻までに前記対象物を特定の保管条件で保管するために必要な蓄冷剤量を算出する蓄冷剤量算出工程と、
前記蓄冷剤量算出工程で算出した前記蓄冷剤量を出力する出力工程と、
を含む、保管支援方法。
【請求項2】
前記出力工程は、前記蓄冷剤量算出工程で算出した前記蓄冷剤量を前記対象物の輸送者に通知する蓄冷剤量通知工程を含む、請求項1に記載の保管支援方法。
【請求項3】
前記蓄冷剤量通知工程では、前記輸送者から送られた到着通知に対応して前記蓄冷剤量を前記輸送者に通知する、請求項2に記載の保管支援方法。
【請求項4】
前記蓄冷剤量算出工程で算出した前記蓄冷剤量に基づいて、蓄冷剤の追加要否を前記対象物の輸送者に通知する蓄冷剤要否通知工程をさらに含む、請求項1に記載の保管支援方法。
【請求項5】
前記蓄冷剤量算出工程で算出した前記蓄冷剤量に基づいて蓄冷剤の追加が必要であると判定された場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充するための制御指令を送出する蓄冷剤補充工程をさらに含む、請求項1に記載の保管支援方法。
【請求項6】
前記対象物の輸送者に前記保管条件を通知する保管条件通知工程をさらに含む、請求項1に記載の保管支援方法。
【請求項7】
前記依頼情報は、前記対象物の輸送を依頼する依頼者から送られたものである、請求項1に記載の保管支援方法。
【請求項8】
前記対象物の到着を、前記依頼者に通知する到着通知工程をさらに含む、請求項7に記載の保管支援方法。
【請求項9】
前記対象物の種類及び量に関する情報を、前記対象物を保管する保管者に通知する対象物情報通知工程をさらに含む、請求項1に記載の保管支援方法。
【請求項10】
輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するための方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記対象物の種類及び量と前記目的地と前記対象物の受取予定時刻とに関する情報を含む依頼情報と、前記対象物を梱包する容器内に断熱閉鎖空間を形成するための可動部材の前記容器内における位置情報と、を取得する取得工程と、
前記位置情報に基づいて算出された前記容器の伝熱面積と、前記対象物の現在温度に関する情報と、前記依頼情報と、に基づいて、前記目的地到着後から前記受取予定時刻までに前記対象物が受け取る熱量を算出する熱量算出工程と、
前記熱量算出工程で算出した熱量に基づいて、前記目的地到着後から前記受取予定時刻までに前記対象物を特定の保管条件で保管するために必要な蓄冷剤量を算出する蓄冷剤量算出工程と、
前記蓄冷剤量算出工程で算出した前記蓄冷剤量を出力する出力工程と、
を含む、プログラム。
【請求項11】
輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するための保管支援装置であって、
前記対象物の種類及び量と前記目的地と前記対象物の受取予定時刻とに関する情報を含む依頼情報と、前記対象物を梱包する容器内に断熱閉鎖空間を形成するための可動部材の前記容器内における位置情報と、を取得する取得部と、
前記位置情報に基づいて算出された前記容器の伝熱面積と、前記対象物の現在温度に関する情報と、前記依頼情報と、に基づいて、前記目的地到着後から前記受取予定時刻までに前記対象物が受け取る熱量を算出する熱量算出部と、
前記熱量算出部で算出した熱量に基づいて、前記目的地到着後から前記受取予定時刻までに前記対象物を特定の保管条件で保管するために必要な蓄冷剤量を算出する蓄冷剤量算出部と、
前記蓄冷剤量算出部で算出した前記蓄冷剤量を出力する出力部と、
を備える、保管支援装置。
【請求項12】
前記蓄冷剤量算出部で算出した前記蓄冷剤量に基づいて、蓄冷剤の追加要否を前記対象物の輸送者に通知する蓄冷剤要否通知部をさらに含む、請求項11に記載の保管支援装置。
【請求項13】
前記蓄冷剤量算出部で算出した前記蓄冷剤量に基づいて蓄冷剤の追加が必要であると判定された場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充する蓄冷剤補充部をさらに含む、請求項11に記載の保管支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管支援方法、保管支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アイスクリーム等の冷凍食品を所定の目的地へと輸送する際の温度管理に関する技術が種々提案されている。例えば現在においては、各保温保冷容器に対してそれぞれ必要な温度調整材の情報を表示することにより、担当者に当該温度調整材を設置させることを可能とするナビゲーションシート(情報表示体)に関する技術が提案されている(特許文献1参照)。かかる技術を採用すると、運送会社の管理者又は運転者は、保温保冷容器ごとにナビゲーションシートを参照し、必要な温度調整材の種類及び量等を決定して設置することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年においては、目的地において受領者が不在であるような場合に、輸送対象物を目的地に荷降ろしして配達完了とするケースが多くなっている。しかし、安易に荷降ろしを行ってしまうと、目的地到着時から受領時までの待機時間における温度管理を適切に行うことができず、輸送対象物の品質を低下させてしまう虞があった。このような目的地到着時から受領時までの待機時間に起因する品質低下の問題は、輸送対象物が冷凍(冷蔵)食品であるような場合に顕著となる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するための保管支援方法、保管支援装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の第一の側面は、輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するためにコンピュータによって実行される保管支援方法であって、対象物の種類及び量と目的地と対象物の受取予定時刻とに関する情報を含む依頼情報と、対象物を梱包する容器内に断熱閉鎖空間を形成するための可動部材の容器内における位置情報と、を取得する取得工程と、位置情報に基づいて算出された前記容器の伝熱面積と対象物の現在温度に関する情報と依頼情報とに基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量を算出する熱量算出工程と、熱量算出工程で算出した熱量に基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で保管するために必要な蓄冷剤量を算出する蓄冷剤量算出工程と、蓄冷剤量算出工程で算出した蓄冷剤量を出力する出力工程と、を含むものである。
【0007】
また、本発明の第二の側面は、輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するための方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、当該方法は、対象物の種類及び量と目的地と対象物の受取予定時刻とに関する情報を含む依頼情報と、対象物を梱包する容器内に断熱閉鎖空間を形成するための可動部材の容器内における位置情報と、を取得する取得工程と、位置情報に基づいて算出された前記容器の伝熱面積と対象物の現在温度に関する情報と依頼情報とに基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量を算出する熱量算出工程と、熱量算出工程で算出した熱量に基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で保管するために必要な蓄冷剤量を算出する蓄冷剤量算出工程と、蓄冷剤量算出工程で算出した蓄冷剤量を出力する出力工程と、を含むものである。
【0008】
また、本発明の第三の側面は、輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するための保管支援装置であって、対象物の種類及び量と目的地と対象物の受取予定時刻とに関する情報を含む依頼情報と、対象物を梱包する容器内に断熱閉鎖空間を形成するための可動部材の容器内における位置情報と、を取得する取得部と、位置情報に基づいて算出された容器の伝熱面積と対象物の現在温度に関する情報と依頼情報とに基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量を算出する熱量算出部と、熱量算出部で算出した熱量に基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で保管するために必要な蓄冷剤量を算出する蓄冷剤量算出部と、蓄冷剤量算出部で算出した蓄冷剤量を出力する出力部と、を備えるものである。
【0009】
かかる方法及び構成を採用すると、対象物を梱包する容器内に断熱閉鎖空間を形成するための可動部材の容器内における位置情報に基づいて算出された容器の伝熱面積と、輸送される対象物の現在温度と、依頼情報(対象物の種類・量、目的地、対象物の受取予定時刻、等に関する情報)と、に基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量を算出するとともに、この熱量に基づいて目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で保管するために必要な蓄冷剤量を算出することができる。従って、目的地到着後から受取予定時刻までに、対象物を、特定の保管条件で適切に保管することが可能となる。
【0010】
本発明に係る保管支援方法において、出力工程は、蓄冷剤量算出工程で算出した蓄冷剤量を対象物の輸送者に通知する蓄冷剤量通知工程を含むことができる。
【0011】
かかる方法を採用すると、算出した蓄冷剤量を対象物の輸送者に通知することができるため、輸送者は、その通知された量の蓄冷剤を用いて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で適切に保管することができる。従って、蓄冷剤の使用量を適正化することができ、冷却に要するエネルギ消費を低減することが可能となる。
【0012】
本発明に係る保管支援方法において、蓄冷剤量通知工程では、輸送者から送られた到着通知に対応して蓄冷剤量を輸送者に通知することができる。
【0013】
かかる方法を採用すると、輸送者から送られた到着通知に対応して(すなわち対象物が目的地に到着したことを輸送者が通知した場合に)、蓄冷剤量を輸送者に通知することができる。従って、目的地に到着した輸送者が情報を待っているタイミングを見計らって蓄冷剤量に関する情報を通知することができるため、蓄冷剤量に関する情報が輸送者に伝達される可能性を高めることができる。従って、輸送者が適切な保管条件で保管することを支援することができる。
【0014】
本発明に係る保管支援方法において、蓄冷剤量算出工程で算出した蓄冷剤量に基づいて、蓄冷剤の追加要否を対象物の輸送者に通知する蓄冷剤要否通知工程をさらに含むことができる。同様に、本発明に係る保管支援装置において、蓄冷剤量算出部で算出した蓄冷剤量に基づいて、蓄冷剤の追加要否を対象物の輸送者に通知する蓄冷剤要否通知部をさらに含むことができる。
【0015】
かかる方法及び構成を採用すると、対象物の輸送者は、蓄冷剤の追加要否を速やかに知ることができるため、適切なタイミングで蓄冷剤を手配することができる。従って、輸送者が適切な保管条件で保管することを支援することができる。
【0016】
本発明に係る保管支援方法において、蓄冷剤量算出工程で算出した蓄冷剤量に基づいて蓄冷剤の追加が必要であると判定された場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充するための制御指令を送出する蓄冷剤補充工程をさらに含むことができる。同様に、本発明に係る保管支援装置において、蓄冷剤量算出部で算出した蓄冷剤量に基づいて蓄冷剤の追加が必要であると判定された場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充するための制御指令を送出する蓄冷剤補充部をさらに含むことができる。
【0017】
かかる方法及び構成を採用すると、蓄冷剤の追加が必要であると判定された場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充するための制御指令を送出することができるので、対象物の輸送者による蓄冷剤の手配を効率良くアシストすることができる。
【0018】
本発明に係る保管支援方法において、対象物の輸送者に保管条件を通知する保管条件通知工程を含むことができる。
【0019】
かかる方法を採用すると、目的地到着後から受取予定時刻までの特定の保管条件を、対象物の輸送者に通知することができるため、輸送者は、通知された保管条件を満たすために適切な処置を採ることができる。
【0020】
本発明に係る保管支援方法において、対象物の輸送を依頼した依頼者に、対象物の到着を通知する到着通知工程をさらに含むことができる。
【0021】
かかる方法を採用すると、対象物の輸送を依頼した依頼者は、対象物が目的地に到着したことを知ることができるため、その時点からいつでも(受取予定時刻の前であっても)目的地に行って対象物を受け取ることができる、という利点がある。
【0022】
本発明に係る保管支援方法において、対象物の種類及び量に関する情報を、対象物を保管する保管者に通知する対象物情報通知工程をさらに含むことができる。
【0023】
かかる方法を採用すると、対象物を保管する保管者は、対象物の種類及び量に関する情報を取得することができるため、対象物と一緒に輸送される蓄冷剤の量を算出することができ、算出した量の蓄冷剤を対象物と一緒に輸送者に渡すことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するための保管支援方法、保管支援装置及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る保管支援装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る保管支援装置の物理的構成を説明するための構成図である。
【
図3】本発明の実施形態で使用される断熱容器の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の平面図である。
【
図5】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の位置情報を取得する位置情報取得部を説明するための説明図である。
【
図6】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図7】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図8】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図9】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図10】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図11】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図12】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図13】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
【
図14】本発明の実施形態で使用される断熱容器の蓋体に代えて仕切部材を採用した場合の説明図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る保管支援方法の各工程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれらに限定されるものではない。
【0027】
<保管支援装置>
まず、
図1を用いて、本発明の実施形態に係る保管支援装置1の機能的構成について説明する。
【0028】
本実施形態に係る保管支援装置1は、冷蔵又は冷凍された状態で輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するためのものであって、対象物の輸送を依頼する依頼者C等から送られる依頼情報等の各種情報を取得するための情報取得部10と、蓄冷剤量等の各種情報を算出するための情報算出部20と、情報算出部20で算出された蓄冷剤量等の各種情報を輸送者D等に対して出力する情報出力部30と、各種情報を記録する各種データベース40(依頼情報データベース41、梱包情報データベース42、輸送情報データベース43)と、を備えている。本実施形態における「対象物」には、冷凍された状態で輸送されるアイスクリーム等の冷凍食品のほか、冷蔵された状態で輸送される各種食品(野菜、果物、食肉、鮮魚、穀類、茶葉、コーヒー豆等)、花、医薬品等が含まれるものとする。なお、本実施形態においては、冷蔵(冷凍)された状態で輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援する装置及び方法を例示するが、常温で輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援する装置及び方法もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0029】
情報取得部10は、依頼者Cから送られる依頼情報を取得したり、保管支援装置1のユーザから入力された各種情報を受け付けたりするように機能するものであり、通信部14(
図2で後述)や入力部15(
図2で後述)で構成されている。依頼情報は、
図1に示すように、依頼者Cの保有する端末U
Cから通信ネットワークNを介して保管支援装置1の情報取得部10に入力される。端末U
Cとしては、情報表示部や情報入力部や通信手段を有する各種電子機器(デスクトップ型PC、ノート型PC、スマートフォン等)を採用することができる。通信ネットワークNは、複数のコンピュータを相互に接続可能な情報通信網であり、例えばインターネット等のグローバルな情報通信網であってよい。情報取得部10を介して取得された依頼情報は、依頼情報データベース41に格納される。
【0030】
依頼情報は、対象物の種類及び量に関する情報(例えば、「アイスクリーム(50kg)」、「食肉(100kg)」、「青果(400kg)」、「医薬品(10kg)」等)を含むものである。本実施形態においては、対象物の種類及び量に対応する容器の情報が梱包情報データベース42に記録されており、情報取得部10が依頼情報を取得すると、梱包情報データベース42からその対象物の種類及び量に対応する容器の情報が読み込まれて、後述する蓄冷剤量等の算出に用いられる。
【0031】
また、依頼情報は、対象物が輸送される目的地に関する情報(例えば、「東京都世田谷区***〇―△―□」等)を含むものである。本実施形態においては、目的地に関する情報に対応する輸送情報が輸送情報データベース43に記録されており、情報取得部10が依頼情報を取得すると、輸送情報データベース43からその目的地に対応する輸送情報が読み込まれて、後述する輸送時間や予想到着時刻の算出に用いられる。
【0032】
また、依頼情報は、対象物の受取予定時刻に関する情報(例えば、「2021年A月B日C時D分」等)を含むものである。受取予定時刻に関する情報は、後述する蓄冷剤量の算出に用いられる。なお、本実施形態においては、対象物を目的地に到着する時刻よりも後に依頼者Cが対象物を受け取ることを想定しているため、受取予定時刻は、対象物が目的地に到着する時刻よりも後の時刻となる。
【0033】
情報算出部20は、情報取得部10で取得した依頼情報、依頼情報に基づいて各種データベース40から読み込まれた情報(梱包情報及び輸送情報)、対象物の現在温度(目的地に到着した時点における対象物の温度)等の各種情報に基づいて、対象物を輸送する際に必要な蓄冷剤量(以下、「輸送時蓄冷剤量」と称する)を算出するとともに、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で冷却保管するために必要な蓄冷剤量(以下、「保管時蓄冷剤量」と称する)を算出するように機能するものである。
【0034】
情報算出部20は、以下の手順により、対象物を輸送する際に必要な蓄冷剤量(輸送時蓄冷剤量)を算出する。すなわち、情報算出部20は、情報取得部10で取得した依頼情報(対象物の種類・量及び目的地に関する情報)に基づき、梱包情報データベース42及び輸送情報データベース43から、その対象物の種類及び量に対応する断熱容器の情報と、その目的地に対応する輸送情報と、を読み込む。そして、情報算出部20は、輸送情報データベース43から読み込んだ情報に基づいて輸送時間及び予想到着時刻を算出し、これら算出した輸送時間等に関する情報と、梱包情報データベース42から読み込んだ容器の情報と、に基づいて輸送時蓄冷剤量を算出する。
【0035】
容器の情報は、梱包情報データベース42に記録されており、情報取得部10で取得した対象物の種類及び量に対応した情報が選定されて読み込まれる。例えば、対象物が「アイスクリーム」であり、その量が「50kg」である場合には、容積0.4m3(縦50cm、横80cm、高さ100cm)の略直方体状の断熱容器が選定される。また、本実施形態においては、対象物の種類及び量に応じて、断熱容器の熱還流率K(Kcal/(m2・h・℃))及び伝熱面積A(m2)が選定される。例えば、対象物が「アイスクリーム」であり、その量が「50kg」である場合には、断熱容器の熱還流率Kは0.3(Kcal/(m2・h・℃))、伝熱面積Aは2.6(m2)となる。なお、本実施形態で使用される断熱容器の具体例や伝熱面積Aの算出方法については、後に詳述することとする。
【0036】
対象物を目的地まで輸送するために要する輸送時間は、依頼情報に含まれる目的地に関する情報に加えて、予め設定されている初期情報(対象物の保管場所の位置情報、輸送用車両の仕様、等)や、目的地に関する情報等から設定される各種輸送に関する情報(輸送経路、輸送距離、等)に基づいて算出することができる。これら初期情報や輸送に関する情報は、輸送情報として輸送情報データベース43に記録されており、依頼情報として目的地に関する情報が入力されると、その目的地に関する輸送情報が輸送情報データベース43から読み込まれるようになっている。例えば、対象物の保管場所の位置情報が「埼玉県深谷市〇〇〇町(深谷工場)」であり、目的地の位置情報が「東京都世田谷区△△△(世田谷店)」であり、輸送経路が「陸路」である場合には、想定される輸送距離が「100km」と算出でき、輸送用車両の仕様に基づき平均巡航速度が「50km/h」と想定されることから、輸送時間は「2時間」と算出される。そして、出発時刻に輸送時間を加えることにより、予想到着時刻が算出される。
【0037】
情報算出部20は、このように梱包情報データベース42から読み込んだ容器の情報と、算出した輸送時間等に関する情報と、に基づいて、輸送時蓄冷剤量を算出する。
【0038】
また、情報算出部20は、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で冷却保管するために必要な蓄冷剤量(保管時蓄冷剤量)を、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受ける熱量と、蓄冷剤の潜熱と、に基づいて算出することができる。上記の熱量は、断熱容器の伝熱面積と、対象物の現在温度と、対象物の保冷時間と、に基づいて算出することができる。例えば、情報算出部20は、以下の手順により保管時蓄冷剤量Xを算出する。
【0039】
すなわち、情報算出部20は、まず、断熱容器に取り付けられた図示されていない温度センサを介して得られた対象物の現在温度(目的地に到着した時点における対象物の温度)と、情報取得部10で取得した依頼情報と、に基づいて、受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量Qを算出する。具体的には、情報算出部20は、既に述べた断熱容器の熱還流率K(Kcal/(m2・h・℃))及び伝熱面積A(m2)と、目的地に到着した時点における外気温t1(℃)と、対象物の現在温度t2(℃)と、目的地に到着した時刻から受取予定時刻までに要する保冷時間T(h)と、に基づき、受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量Q(Kcal)を以下の式によって算出する。すなわち、情報算出部20は、本発明における熱量算出部として機能するものである。
Q=K×A×(t1-t2)×T … (1)
【0040】
次いで、使用される蓄冷剤の潜熱をH(Kcal/kg)とすると、情報算出部20は、算出された熱量Qを潜熱Hで除することにより、保管時蓄冷剤量X(kg)を算出することができる。
X= Q/H … (2)
使用される蓄冷剤の潜熱Hに関する情報は、梱包情報データベース42に記録されている。情報取得部10により対象物の種類及び量が取得されると、その種類及び量に応じた蓄冷剤及びその潜熱Hに関する情報が梱包情報データベース42から読み込まれ、蓄冷剤量Xの算出に使用される。すなわち、情報算出部20は、本発明における蓄冷剤量算出部としても機能するものである。
【0041】
本実施形態においては、断熱容器の伝熱面積Aを、断熱容器内の蓋の位置に関する情報に基づいて算出してもよい。例えば、断熱容器の底面から蓋の下面までの距離d(蓋の位置に関する情報)に断熱容器の側面の長さLSを乗じて得られる断熱容器の有効側面積ASと、断熱容器の底面積ABと、蓋の面積ALと、を加算することにより伝熱面積Aを算出することができる。また、断熱容器の底面から蓋の下面までの距離d(蓋の位置に関する情報)に断熱容器の底面積ABを乗じることにより断熱容器の容積を算出することもできる。蓋の位置に関する情報は、後述するように、断熱容器及び蓋の少なくとも何れか一方に取り付けた位置情報取得部130等から取得することができる。なお、「蓋の位置に関する情報」としては、断熱容器の底面から蓋の下面までの距離dに代えて(又はこれに加えて)、距離dを断熱容器の深さd0(底面から開口部までの距離)で除した値r(=d/d0)を採用することもできる。例えば、この値rに断熱容器の全側面積AS0を乗じることにより、断熱容器の有効側面積ASを算出することができる。ここで、断熱容器の深さd0から蓋の厚さを減じた値は、断熱容器の底面から蓋の下面までの距離dの最大値となる。
【0042】
また、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受ける熱量Qと、蓄冷剤の潜熱Hと、断熱容器内部の熱容量Cと、に基づいて保管時蓄冷剤量Xを算出してもよい。この場合、目的地到着後から受取予定時刻までの断熱容器内部の温度変化Δt(又は受取予定時刻における断熱容器内部の温度tr)が予め定められた条件を満たすような蓄冷剤量を、保管時蓄冷剤量Xとして算出することができる。なお、断熱容器内部の熱容量Cは、断熱容器の容積から算出してもよく、断熱容積の蓋の位置に基づいて算出してもよい。
【0043】
具体的には、下記手順により保管時蓄冷剤量Xを算出することができる。まず、情報算出部20は、既に述べた断熱容器の熱還流率K(Kcal/(m2・h・℃))及び伝熱面積A(m2)と、目的地に到着した時点における外気温t1(℃)と、対象物の現在温度t2(℃)と、目的地に到着した時刻から受取予定時刻までに要する保冷時間T(h)と、蓄冷剤の潜熱H(Kcal/kg)と、断熱容器内部の熱容量C(Kcal/℃)と、に基づき、受取予定時刻までの断熱容器内部の温度変化Δt(℃)を以下の式によって算出する。
Δt={K×A×(t1-t2)×T-H}/C … (3)
なお、対象物が発する正又は負の熱量Qother(Kcal)(例えば、呼吸熱)を考慮した下記の式を用いてもよい。
Δt={K×A×(t1-t2)×T-H+Qother}/C … (3′)
【0044】
或いは、受取予定時刻までの断熱容器内部の温度変化Δt(℃)を算出する代わりに、受取予定時刻における断熱容器内部の温度tr(℃)を以下の式によって算出する。
tr=t2+{K×A×(t1-t2)×T-H}/C … (4)
なお、対象物が発する正又は負の熱量Qother(Kcal)(例えば、呼吸熱)を考慮した下記の式を用いてもよい。
tr=t2+{K×A×(t1-t2)×T-H+Qother}/C … (4′)
【0045】
次いで、情報算出部20は、式(3)又は式(3′)で算出したΔt、或いは、式(4)又は式(4′)で算出したtrが、予め定められた条件(例えば、予め定められた範囲内、予め定められた上限以下、予め定められた下限以上、等)を満たすように、保管時蓄冷剤量Xを算出する。
【0046】
なお、式(1)、(3)、(3′)、(4)及び(4′)で用いられる熱還流率Kとしては、断熱容器全体の熱還流率Kに替えて(或いはこれに加えて)、断熱容器の各部材ごとの熱還流率を用いることもできる。例えば、断熱容器の側面部材に対応した熱還流率K
S、断熱容器の底面部材に対応した熱還流率K
B、蓋部材に対応した熱還流率K
L、をそれぞれ用いることができる。この場合、ある面に複数の部材が存在する場合、当該複数の部材の熱還流率の合計値を用いてもよい。具体的には、例えば
図5において、天板115(後述)の熱還流率と蓋体120の熱還流率との合計値を、蓋部材の熱還流率K
Bとして用いることができる。
【0047】
このように各部材ごとの熱還流率を用いる場合は、上記式(1)、(3)、(3′)、(4)及び(4′)におけるK×Aの項として各部材ごとに熱還流率と伝熱面積の積を求め、これらを合計した値を用いてもよい。このような場合、例えば、K×Aの項として、
ΣKi×Ai (iは側面に対応するS、底面に対応するB、および蓋に対応するL)
を用いることができる。具体的には、例えば式(1)を
Q=(ΣKi×Ai)×(t1-t2)×T
=(KS×AS+KB×AB+KL×AL)×(t1-t2)×T …(1′)
と修正したものを用いることができる。
【0048】
特定の保管条件としては、(1)保冷時間T(h)経過後における対象物の「温度変化」が、予め定められた範囲内、予め定められた上限以下、予め定められた下限以上、等となるような条件、或いは、(2)保冷時間T(h)経過後における対象物の「温度」が、予め定められた範囲内、予め定められた上限以下、予め定められた下限以上等となるような条件、等が挙げられる。情報算出部20は、既に述べたように、かかる条件で対象物を保管するために必要な蓄冷剤量(保管時蓄冷剤量)を算出する。
【0049】
特定の保管条件は、対象物の種類や量等に応じて適宜設定することができる。例えば、以下の具体例(a)~(f)が挙げられる。
(a)保管環境(外気温t1):27℃、保冷時間T:8時間、設定温度(保冷時間経過後の対象物の温度):-18℃以下
(b) 保管環境(外気温t1):5℃、保冷時間T:10時間、設定温度(保冷時間経過後の対象物の温度):-18℃以下
(c) 保管環境(外気温t1):25℃、保冷時間T:7時間、対象物の現在温度:20℃、対象物の温度変化:±2℃以内
(d) 保管環境(外気温t1):25℃、保冷時間T:7時間、対象物の現在温度:5℃、対象物の温度変化:±2℃以内
(e) 保管環境(外気温t1):25℃、保冷時間T:数日、対象物の現在温度:5℃、対象物の温度変化:±3℃以内
(f) 保管環境(外気温t1):実測値、保冷時間T:3時間、対象物の現在温度:実測値、対象物の温度変化:±2℃以内
具体例(f)は、市場に到着した青果(対象物)が土間に荷降ろしされるケースを想定しており、外気温t1や青果の現在温度はそのときの状況によって種々変化し得るが、何れにしても、青果を荷降ろししてから3時間経過した後の温度変化を現在温度から±2℃以内にする、という条件である。
【0050】
なお、保管時蓄冷剤量を算出する際に、断熱容器内部のガス濃度を考慮してもよい。ガス濃度としては、酸素濃度、二酸化炭素濃度等を用いることができる。特に、対象物が「青果」である場合には、ガス濃度と呼吸量との間に相関関係がある。すなわち、酸素濃度が高いと、青果の呼吸量が多くなり(呼吸熱が高くなり)青果の温度が上昇するため、蓄冷剤量を増大させる必要がある。一方、酸素濃度が低いと、青果の呼吸量(呼吸熱)が抑制されて青果の温度上昇も抑制されるため、蓄冷剤量を低減させることができる。このように、ガス濃度に応じて青果が発生する呼吸熱を考慮して、保管時蓄冷剤量を算出してもよい。例えば、酸素濃度が所定の閾値よりも高い(低い)場合に、その閾値との差分に比例して保管時蓄冷剤量を増大(低減)させることができる。
【0051】
情報出力部30は、情報算出部20で算出された蓄冷剤量等の各種情報を、輸送者D等に対して出力するように機能するものであり、通信部14(
図2で後述)や表示部16(
図2で後述)で構成されている。情報算出部20で算出された蓄冷剤量や、各種データベース40から読みだして蓄冷剤量の算出に使用した各種情報は、
図1に示すように、保管支援装置1の情報出力部30から通信ネットワークNを介して輸送者Dの保有する端末U
Dに出力される。端末U
Dとしては、端末U
Cと同様に、情報表示部や情報入力部や通信手段を有する各種電子機器を採用することができる。
【0052】
本実施形態における情報出力部30は、輸送者Dから送られた到着通知を情報取得部10を介して取得した場合に、その到着通知に対応して、情報算出部20で算出された蓄冷剤量を輸送者Dに出力(通知)するように構成されている。この際、情報出力部30は、輸送者Dに対して、保管条件も併せて通知するように構成されている。
【0053】
また、情報出力部30は、情報取得部10を介して依頼情報を取得した場合に、対象物を保管する保管者Pの端末UPに、対象物の種類及び量に関する情報を出力(通知)するように構成されている。端末UPとしては、端末UCと同様に、情報表示部や情報入力部や通信手段を有する各種電子機器を採用することができる。さらに、情報出力部30は、対象物が目的地に到着した場合に、その事実を依頼者Cの端末UCに出力(通知)するように構成されている。
【0054】
さらに、情報出力部30は、情報算出部20で算出した蓄冷剤量Xを輸送者Dに単に通知するだけではなく、算出した蓄冷剤量Xに基づいて蓄冷剤の追加要否を判定し、その判定結果を輸送者Dに通知するようにも構成されている。具体的には、情報出力部30は、予め算出しておいた輸送時蓄冷剤量と、今回算出した蓄冷剤量X(保管時蓄冷剤量)と、を比較して蓄冷剤の追加が必要か否かを判定し、追加が必要であると判定した場合にはその旨を輸送者Dに通知する。一方、情報出力部30は、輸送時蓄冷剤量と保管時蓄冷剤量Xとを比較して蓄冷剤の追加が不要であると判定した場合にも、その旨を輸送者Dに通知する。すなわち、情報出力部30は、本発明における蓄冷剤要否通知部としても機能する。
【0055】
さらにまた、情報出力部30は、情報算出部20で算出した蓄冷剤量Xに基づいて蓄冷剤の追加が必要であると判定した場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充するような制御指令を送出する。具体的には、情報出力部30は、予め算出しておいた輸送時蓄冷剤量と今回算出した保管時蓄冷剤量Xとを比較して蓄冷剤の追加が必要であると判定した場合に、どの程度の(例えば3kgの)蓄冷剤を追加すべきかを算出し、その追加すべき(例えば3kgの)蓄冷剤が自動的に供給されるように、図示されていない蓄冷剤補充装置に対して制御指令を送出する。かかる制御指令を受けた蓄冷剤補充装置は、追加すべき(例えば3kgの)蓄冷剤を輸送者Dに対して供給する。すなわち、情報出力部30は、本発明における蓄冷剤補充部としても機能するものである。
【0056】
次に、
図2を用いて、本実施形態に係る保管支援装置1を実現するための物理的構成について説明する。
【0057】
保管支援装置1は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read only Memory)13、通信部14、入力部15及び表示部16を有しており、これらの各構成はバスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では保管支援装置1が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、保管支援装置1は、複数台のコンピュータから構成されてもよい。例えば、表示部16は、複数台のディスプレイから構成されてもよい。また、
図2で示す構成は一例に過ぎず、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。さらに、構成の一部が遠隔地に設けられてもよい。例えば、ROM13の一部を遠隔地に設け、通信ネットワークを介して通信可能に構成してもよい。
【0058】
CPU11は、ROM13等に記録されたコンピュータプログラム等を実行することにより本実施形態における演算処理等を行う演算部であって、情報算出部20を構成するものである。CPU11は、プロセッサを備える。CPU11は、RAM12、ROM13、通信部14及び入力部15等から種々の情報(プロセスデータを含む)を受け取り、演算処理結果等を表示部16に表示させたり、RAM12及び/又はROM13に格納させたりする。
【0059】
RAM12は、キャッシュメモリとして機能するものであって、情報算出部20の一部を構成することができる。RAM12は、例えばSRAM及びDRAM等の揮発性半導体記憶素子で構成されてよい。
【0060】
ROM13は、メインメモリとして機能するものであって、情報算出部20の一部を構成することができる。ROM13は、例えばフラッシュメモリ等の電気的に情報を書き換え可能な不揮発性半導体記憶素子又は磁気的に情報を書き換え可能なHDDで構成されてよい。ROM13は、例えば、本実施形態における各種演算処理を実行するためのコンピュータプログラム及びデータを記憶することができる。
【0061】
RAM12及びROM13は、保管支援装置1の各種データベース40(依頼情報データベース41、梱包情報データベース42、輸送情報データベース43)を構成する。
【0062】
通信部14は、保管支援装置1を他の装置に接続するためのインターフェースであって、情報取得部10及び情報出力部30を構成する。通信部14は、インターネット等の通信ネットワークNに接続される。
【0063】
入力部15は、保管支援装置1のユーザからデータの入力を受け付けるものであって、情報取得部10の一部を構成することができる。入力部15は、例えば、キーボードやタッチパネルを含んでよい。
【0064】
表示部16は、CPU11による演算結果を視覚的に表示するものであって、情報出力部30の一部を構成することができる。表示部16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)から構成されてよい。
【0065】
上記のような物理的構成において、主としてCPU11がコンピュータプログラムを実行することにより、保管支援装置1を構成する各機能部を実現することが可能である。なお、保管支援装置1は、タブレット端末で構成されてもよい。タブレット端末で保管支援装置1を構成することで、保管支援装置1を持ち歩くことができ、例えば移動しながら保管支援装置1を操作することができる。
【0066】
<断熱容器>
次に、
図3~
図14を用いて、本実施形態で用いられる断熱容器100の構成について説明する。本実施形態に係る断熱容器100は、
図3に示すように、容器本体110と蓋体120とを備えており、その内部に冷凍食品等の対象物を蓄冷剤とともに収納して輸送及び保管に供されるものである。
【0067】
容器本体110は、
図3に示すように、平面視略矩形状の底壁111と、底壁111の各辺から立ち上がるように連接された4つの側壁112と、を有して略直方体状に構成されている。容器本体110の底壁111及び側壁112によって略直方体状の収納空間113が形成され、収納空間113の上部にはこれに連なる開口部114が形成されている。
【0068】
容器本体110の底壁111及び側壁112は何れも、所定厚さを有する平面視略矩形状の断熱材パネルで構成されている。かかる断熱材パネルとしては、例えば、50m2・Kl/W以下の熱抵抗を有するとともに、0.15N/mm2以上の曲げ強度を有する断熱材で構成した断熱材パネルを採用することができる。底壁111及び側壁112を構成する断熱材パネルの縦横寸法及び厚さは、断熱容器100に収納される対象物の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0069】
蓋体120は、変形可能な板状の部材であり、容器本体110の開口部114から収納空間113へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部121が容器本体110の側壁112の内面に密着するように構成されている。本実施形態における蓋体120は、
図4に示すように、複数の部分(第一部分120A及び第二部分120B)に分割されるとともに第一部分120A及び第二部分120B同士が連結弾性部122で連結されることによって構成されており、その平面形状は、容器本体110の開口部114の平面形状に対応するように略矩形状とされている。
【0070】
蓋体120は、連結弾性部122が圧縮されることにより、第一部分120A及び第二部分120B同士の間隔が狭められてその投影面積が縮小される一方、連結弾性部122の圧縮が開放されることにより第一部分120A及び第二部分120B同士の間隔が広げられてその投影面積が拡大されるように構成されている。なお、本明細書において「投影面積」とは、被投影対象(例えば蓋体120)の真上から光を照射したときにできる影の面積をいう。
【0071】
蓋体120を構成する第一部分120A及び第二部分120Bは何れも、容器本体110の底壁111及び側壁112と同様に、所定厚さを有する平面視略矩形状の断熱材パネルで構成することができる。これら第一部分120A及び第二部分120Bを連結する連結弾性部122としては、ポリウレタン製のスポンジと、アルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)と、から構成した蛇腹構造を採用することができる。ポリウレタン製のスポンジに含まれる空気層と、気密性の高いアルミ蒸着PETと、の組み合わせにより、高い断熱性能を得ることができる。
【0072】
蓋体120の各部分120A・120Bを構成する断熱材パネルの縦横寸法及び厚さや、連結弾性部22の圧縮開放時の厚さは、容器本体110の開口部114のサイズに応じて適宜設定することができる。本実施形態においては、連結弾性部122が圧縮されていない状態における蓋体120の投影面積が、容器本体110の開口部114の投影面積よりも若干大きくなるように、第一部分120A及び第二部分120Bの縦横寸法及び連結弾性部122の圧縮開放時の厚さを設定している。
【0073】
蓋体120は、かかる構成を有することにより、容器本体110の開口部114から収納空間113へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部121が容器本体110の側壁112の内面に密着するように構成されている。このため、容器本体110の底壁111と、容器本体110の側壁112の一部(底壁111寄りの部分)と、蓋体120と、からなる断熱閉鎖空間を収納空間113の内部に形成することができ、この断熱閉鎖空間に対象物を収納して運搬等に供することができる。この際、収納する対象物の容積に応じて蓋体120の位置(蓋体120の周縁部121と容器本体110の側壁112とが密着する位置)を変更することにより、断熱閉鎖空間の容積を変更することができる。すなわち、本実施形態における蓋体120は、本発明における可動部材に相当するものである。例えば収納する対象物の容積が減少した場合には、蓋体120の位置を容器本体110の底壁111側にシフトさせた状態で蓋体120の周縁部121を容器本体110の側壁112に密着させ、比較的小さい容積の断熱閉鎖空間を形成することができる。従って、収納する対象物の容積が変わっても、それに応じて断熱閉鎖空間の容積を変更することができ、比熱の高い空気が断熱閉鎖空間内に存在することを抑制することができるので、断熱効率の低下を抑制することが可能となる。
【0074】
本実施形態においては、
図5に示すように、容器本体110内部における蓋体120の位置(蓋体120の周縁部121と容器本体110の側壁112とが密着する位置)を検出する位置情報取得部130を、容器本体110の開口部114に固定される天板115に設けておき、位置情報取得部130で検出した蓋体120の位置に関する情報が保管支援装置1の情報取得部10に送られるようにしておく。位置情報取得部130は、例えば
図5に示すように、天板115の下面から蓋体120の上面までの距離を測定するセンサ部131と、センサ部131で測定した距離と側壁112の高さと蓋体120の厚さとに基づいて容器本体110の底壁111の上面から蓋体120の下面までの距離を算出する演算部132と、演算部132で算出した距離に関する情報(すなわち蓋体120の位置に関する情報)を保管支援装置1の情報取得部10に送る情報通信部133と、を有することができる。ここで、演算部132を、天板115に設ける代わりに保管支援装置1の内部に設けておき、センサ部131で測定した距離に関する情報を情報通信部133で保管支援装置1に送り、保管支援装置1で蓋体120の位置情報を算出してもよい。
【0075】
なお、蓋体120の位置情報を取得する方法は、上記のような演算による方法に限られるものではない。例えば、演算部132を省略するとともにセンサ部131を蓋体120に設けておき、センサ部131で測定した蓋体120の位置情報(容器本体110の底壁111の上面から蓋体120の下面までの距離)を、天板115に設けた情報通信部133へと有線又は無線で送るような構成を採用し、情報通信部133を介して保管支援装置1へと蓋体120の位置情報を送ることもできる。また、容器本体110の側壁112の内面に、蓋体120を係止させるためのレールを上下方向にわたって所定間隔で複数段設けるとともに各レール近傍にセンサ部131を設けておき、レールの何段目に蓋体120が位置するかをセンサ部131で検出し、その検出した位置情報を情報通信部133へと有線又は無線で送るような構成を採用してもよい。或いは、容器本体110の側壁112の内面の上下に異なる色を付けておき(例えば、容器本体110の側壁112の上方1/4の領域を赤色で着色する一方、下方3/4の領域を青色で着色しておき)、蓋体120がどの色の領域に位置するかをセンサ部131で検出し、その検出した位置情報を情報通信部133へと有線又は無線で送るような構成を採用することもできる。
【0076】
保管支援装置1は、情報取得部10で取得した蓋体120の位置に関する情報を用いて、断熱容器100の伝熱面積Aや容積を算出し、これら伝熱面積Aや容積を用いて、蓄冷剤量Xを算出する。また、断熱容器100の内部(容器本体110の底壁111と、容器本体110の側壁112の一部(底壁111寄りの部分)と、蓋体120と、からなる断熱閉鎖空間)には、図示されていない温度センサが設けられており、収納された対象物の温度に関する情報をリアルタイムで検出して保管支援装置1の情報取得部10に送ることができるようになっている。
【0077】
なお、断熱容器100(蓋体120)の構成は必ずしも上記のようなものでなくてもよく、収納する対象物の容積に応じて蓋体の位置(蓋体の周縁部と容器本体の側壁とが密着する位置)を変更することにより、断熱閉鎖空間の容積を変更することができるものであればよい。
【0078】
例えば、
図6~
図13は、本実施形態における断熱容器100の変形例を示したものである。
【0079】
蓋体120を構成する第一部分120A及び第二部分120Bの平面形状は必ずしも同一でなくてもよく、例えば
図6に示すように、第一部分120Aの面積を小さくする一方、第二部分120Bの面積を大きくしてもよい。また、蓋体120を構成する第一部分120A及び第二部分120Bの平面形状は必ずしも矩形状でなくてもよく、例えば
図7に示すように、第一部分120A及び第二部分120Bの平面形状を台形状にし、これらを組み合わせて平面視略矩形状の蓋体120を構成してもよい。なお、蓋体120の少なくとも一つの部分(
図6では第一部分120Aのみ、
図7では第一部分120A及び第二部分120B)の表面に、使用者によって把持される把持部123を設けることもできる。
【0080】
蓋体120を構成する部分は必ずしも二つでなくてもよく、例えば
図8~
図11に示すように、四つの部分(第一部分120A、第二部分120B、第三部分120C、第四部分120D)に分割し、これら四つの部分を連結弾性部122で連結してもよい。
図8は、四つの部分が全て同一平面形状で同一面積を有する場合の変形例であり、
図9は、四つの部分のうち二つの面積を小さくする一方、残り二つの面積を大きくした場合の変形例であり、
図10は、四つの部分の全てが異なる平面形状及び面積を有する場合の変形例である。また、
図8~
図10は、四つの部分の平面形状が全て矩形(長方形)状である場合の変形例を示したが、
図11の変形例のように、四つの部分のうち二つの平面形状を五角形状とする一方、残り二つの平面形状を三角形状とすることもできる。何れにしても、蓋体120の平面形状は、容器本体110の開口部114の平面形状に対応するように略矩形状とされている。
【0081】
また、
図12及び
図13に示すように、三つの部分(第一部分120A、第二部分120B、第三部分120C)を連結弾性部122で連結することにより平面視略矩形状の蓋体120を構成してもよい。
図12は、蓋体120の長手方向両端部に比較的小さい面積の部分(第一部分120A及び第三部分120C)を配置し、長手方向中央部に比較的大きい面積の部分(第二部分120B)を配置して連結し、長手方向両端部に配置した二つの部分(第一部分120A及び第三部分120C)の表面に把持部123を設けた場合の変形例である。
図13は、三つの部分の全てが異なる平面形状及び面積を有する場合の変形例である。何れにしても、蓋体120の平面形状は、容器本体110の開口部114の平面形状に対応するように略矩形状とされている。
【0082】
なお、断熱容器100の断熱閉鎖空間の容積を変更する部材(可動部材)は、蓋体120に限られるものではなく、例えば、
図14に示すような仕切部材140を蓋体120に代えて採用することもできる。仕切部材140の構成は、既に説明した蓋体120と同様の構成(変形可能な板状の部材であり、容器本体110の開口部114から収納空間113へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部が容器本体110の底壁111の上面と天板115の下面に密着するような構成)を採用することができる。すなわち、
図4及び
図6~
図13で既に説明した蓋体120を鉛直方向に立てて仕切部材140として使用することができる。そして、容器本体110内部における仕切部材140の位置(仕切部材140の周縁部と容器本体110の底壁111及び天板115とが密着する位置)を、
図5に示すような位置情報取得部130を用いて検出して保管支援装置1に送り、断熱容器100の伝熱面積A等の算出に用いることができる。
【0083】
<保管支援方法>
続いて、
図15のフローチャートを用いて、本実施形態に係る保管支援方法について説明する。本方法は、冷蔵又は冷凍された状態で輸送される対象物の目的地到着後の保管を支援するために、コンピュータ(保管支援装置1)によって実行されるものである。
【0084】
まず、保管支援装置1の情報取得部10は、依頼者Cの保有する端末UCから通信ネットワークNを介して送られた依頼情報を取得する(依頼情報取得工程:S1)。依頼情報取得工程S1で取得する依頼情報には、既に述べているように、対象物の種類及び量に関する情報と、対象物が輸送される目的地に関する情報と、対象物の受取予定時刻に関する情報と、が含まれる。
【0085】
また、保管支援装置1の情報取得部10は、対象物を梱包する断熱容器100内に断熱閉鎖空間を形成するための蓋体(可動部材)120の断熱容器100内における位置情報を、断熱容器100の天板115に設けた位置情報取得部130を介して取得する(位置情報取得工程:S2)。依頼情報取得工程S1及び位置情報取得工程S2は、本発明における取得工程を構成するものである。
【0086】
次いで、保管支援装置1の情報算出部20は、依頼情報取得工程S1で取得した依頼情報と、位置情報取得工程S2で取得した蓋体120の位置情報に基づいて算出された断熱容器100の伝熱面積Aと、断熱容器100に取り付けられた温度センサを介して得られた対象物の現在温度(目的地到着時における対象物の温度)に関する情報と、に基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量Qを算出する(熱量算出工程:S3)。伝熱面積Aや熱量Qの具体的な算出方法については、既に述べた通りである。
【0087】
次いで、保管支援装置1の情報算出部20は、熱量算出工程S3で算出した熱量Qに基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で冷却保管するために必要な蓄冷剤量(保管時蓄冷剤量)Xを算出する(蓄冷剤量算出工程:S4)。保管時蓄冷剤量Xの具体的な算出方法については、既に述べた通りである。
【0088】
次いで、保管支援装置1の情報出力部30は、蓄冷剤量算出工程S2で算出した蓄冷剤量Xを、通信ネットワークNを介して輸送者Dの保有する端末UDに出力(通知)する(蓄冷剤量出力工程:S5)。この際、情報出力部30は、既に述べたとおり、輸送者Dから端末UDを介して送られた到着通知に対応して、保管条件とともに蓄冷剤量Xを輸送者Dの端末UDに出力(通知)する。また、情報出力部30は、蓄冷剤量算出工程S4で算出した蓄冷剤量Xに基づいて、蓄冷剤の追加要否を輸送者Dに通知する。すなわち、蓄冷剤量出力工程S5は、本発明における蓄冷剤量通知工程、保管条件通知工程及び蓄冷剤要否通知工程を含む。
【0089】
蓄冷剤量X、保管条件及び蓄冷剤量要否の通知を受けた輸送者Dは、その情報に従って、蓄冷剤量Xを適宜調整することができる。例えば、保管時蓄冷剤量が輸送時蓄冷剤量を上回る場合には、輸送時蓄冷剤量に所要量の蓄冷剤を追加して保管時蓄冷剤量とする。一方、保管時蓄冷剤量が輸送時蓄冷剤量を下回る(すなわち輸送時に過冷却であった)場合には、輸送時蓄冷剤量から所要量の蓄冷剤を取り除いて保管時蓄冷剤量とする。
【0090】
なお、情報出力部30は、情報取得部10を介して依頼情報を取得した時点で、対象物を保管する保管者Pの端末UPに、対象物の種類及び量に関する情報を出力(通知)するとともに、対象物が目的地に到着した時点で、その事実を依頼者Cの端末UCに出力(通知)する。すなわち、情報出力部30によって、本発明における対象物情報通知工程及び到着通知工程が実施される。また、情報出力部30は、蓄冷剤量算出工程S4で算出した蓄冷剤量Xに基づいて蓄冷剤の追加が必要であると判定された場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充するための制御指令を、図示されていない蓄冷剤補充装置に送出することもできる。かかる制御指令を受けた蓄冷剤補充装置は、追加すべき蓄冷剤を輸送者Dに対して供給することができる。すなわち、情報出力部30によって、本発明における蓄冷剤補充工程が実際され得る。
【0091】
以上説明した実施形態に係る保管支援方法においては、対象物を梱包する断熱容器100内に断熱閉鎖空間を形成するための蓋体120の断熱容器100内における位置情報に基づいて算出された断熱容器100の伝熱面積Aと、冷蔵又は冷凍された状態で輸送される対象物の現在温度と、依頼情報(対象物の種類・量、目的地、対象物の受取予定時刻、等に関する情報)と、に基づいて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物が受け取る熱量Qを算出するとともに、この熱量Qに基づいて目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で冷却保管するために必要な蓄冷剤量(保管時蓄冷剤量)Xを算出することができる。従って、目的地到着後から受取予定時刻までに、対象物を、特定の保管条件で適切に冷却保管することが可能となる。
【0092】
また、以上説明した実施形態に係る保管支援方法においては、算出した蓄冷剤量を対象物の輸送者Dに通知することができるため、輸送者Dは、その通知された量の蓄冷剤を用いて、目的地到着後から受取予定時刻までに対象物を特定の保管条件で適切に保管することができる。
【0093】
また、以上説明した実施形態に係る保管支援方法においては、輸送者Dから送られた到着通知に対応して(すなわち対象物が目的地に到着したことを輸送者Dが通知した場合に)、蓄冷剤量を輸送者Dに通知することができる。従って、目的地に到着した輸送者Dが情報を待っているタイミングを見計らって蓄冷剤量に関する情報を通知することができるため、蓄冷剤量に関する情報が輸送者Dに伝達される可能性を高めることができる。
【0094】
また、以上説明した実施形態に係る保管支援方法においては、算出した蓄冷剤量Xに基づいて、蓄冷剤の追加要否を対象物の輸送者に通知することができる。従って、対象物の輸送者Dは、蓄冷剤の追加要否を速やかに知ることができるため、適切なタイミングで蓄冷剤を手配することができる。
【0095】
また、以上説明した実施形態に係る保管支援方法においては、算出した蓄冷剤量Xに基づいて蓄冷剤の追加が必要であると判定された場合に、追加が必要な蓄冷剤を補充するための制御指令を送出することができるので、対象物の輸送者Dによる蓄冷剤の手配を効率良くアシストすることができる。
【0096】
また、以上説明した実施形態に係る保管支援方法においては、目的地到着後から受取予定時刻までの特定の保管条件を、対象物の輸送者Dに通知することができるため、輸送者Dは、通知された保管条件を満たすために適切な処置を採ることができる。
【0097】
また、以上説明した実施形態に係る保管支援方法において、対象物の輸送を依頼した依頼者Cは、対象物が目的地に到着したことを知ることができるため、その時点からいつでも(受取予定時刻の前であっても)目的地に行って対象物を受け取ることができる、という利点がある。
【0098】
また、以上説明した実施形態に係る保管支援方法において、対象物を保管する保管者Pは、対象物の種類及び量に関する情報を取得することができるため、対象物と一緒に輸送される蓄冷剤の量を算出することができ、算出した量の蓄冷剤を対象物と一緒に輸送者Dに渡すことができる。
【0099】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0100】
1…保管支援装置
10…情報取得部
20…情報算出部(熱量算出部、蓄冷剤量算出部)
30…情報出力部(蓄冷剤要否通知部、蓄冷剤補充部)
100…断熱容器
120…蓋体(可動部材)
140…仕切部材(可動部材)
S1…依頼情報取得工程
S2…位置情報取得工程
S3…熱量算出工程
S4…蓄冷剤量算出工程
S5…蓄冷剤量出力工程(蓄冷剤要否通知工程、蓄冷剤補充工程)