(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】バッテリーの保護方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240917BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240917BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 A
H02H7/18
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2023526115
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2022012788
(87)【国際公開番号】W WO2023054907
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0130200
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0093894
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒョン・キム
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032987(JP,A)
【文献】国際公開第2020/012284(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0277916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の周期ごとに、バッテリーの状態データを測定する状態データ測定ステップと、
前記状態データ測定ステップにおいて測定されるバッテリーの状態データを用いて、バッテリーの状態が各バッテリーの保護動作項目ごとに予め設定された保護動作発生条件を充足するか否かを判断し、充足すると判断された項目のバッテリー保護動作を生じさせる保護動作発生ステップと、
前記保護動作発生ステップにより少なくとも一つ以上の項目のバッテリー保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データを用いて、予め設定された前記生じた項目の保護動作解除条件を充足するか否かを判断し、充足する場合に、前記生じた保護動作を解除してバッテリーが正常動作モードにて動作するようにする保護動作解除ステップと、
前記保護動作発生ステップにおいて生じた保護動作の項目が属する部類を区分し、前記保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを判断して、充足すると判断された場合に、当該部類に対応する所定の異常措置を取る異常措置ステップと、
を含むバッテリーの保護方法。
【請求項2】
前記異常措置ステップは、
前記保護動作発生ステップにおいて生じた保護動作の項目が第1及び第2の部類のどちらの部類に属するかを区分する部類区分ステップと、
前記部類区分ステップにおいて前記生じた保護動作の項目が属する部類を区分した後、前記生じた保護動作の発生状態が前記区分した部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを判断する異常措置充足有無判断ステップと、
前記異常措置充足有無判断ステップにおける判断の結果、充足すると判断された場合に、当該部類に対応する所定の異常措置を取る異常措置動作ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項3】
前記異常措置充足有無判断ステップにおいては、
前記生じた保護動作の項目が第1の部類に属する場合に、現在の周期まで当該項目の保護動作が生じた回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較する発生回数比較ステップを行って、前記生じた回数が第1の基準回数以上である場合に、前記第1の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断し、
前記生じた保護動作の項目が第2の部類に属する場合に、現在の周期まで当該項目の保護動作が生じた回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較する発生回数比較ステップと、当該保護動作の発生状態が基準時間以上続くか否かを確認する発生持続有無確認ステップとを行って、前記生じた回数が第1の基準回数以上であり、かつ、当該保護動作の発生状態が基準時間以上続いた状態である場合に、前記第2の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断することを特徴とする請求項2に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項4】
前記異常措置動作ステップにおいては、
前記生じた保護動作の項目が第1の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断された場合に、バッテリー状態確認の報知警報を提供する報知警報提供ステップと、現在メモリーに設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化ステップとを行い、
前記生じた保護動作の項目が第2の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断された場合に、現在メモリーに設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化ステップを行うことを特徴とする請求項3に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項5】
前記異常措置動作ステップにおいて前記報知警報提供ステップおよび制御値初期化ステップを行った後、同じ項目の保護動作が第2の基準回数以上さらに生じる場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する追加異常措置動作ステップをさらに含む請求項4に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項6】
前記第1の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性がある保護動作の項目が属する部類であり、
前記第2の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性が低い保護動作の項目が属する部類であることを特徴とする請求項2、請求項3及び請求項4のうちいずれか一項に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項7】
一定の周期ごとに、少なくとも二つ以上のバッテリーバンクを備えるバッテリーの状態データを測定する状態データ測定ステップと、
前記状態データ測定ステップにおいて測定されるバッテリーの状態データに基づいて、充電中の各バッテリーバンクの電圧が予め設定された過電圧保護動作発生条件を充足するか否かを比較して、充足するバッテリーバンクに対する過電圧保護動作を生じさせるバッテリー保護動作発生ステップと、
前記バッテリー保護動作発生ステップにおいて過電圧保護動作が生じた過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分を算出するバンク電圧差分算出ステップと、
前記バンク電圧差分算出ステップにおいて算出された電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較して、収まっている場合に、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに対する状態確認報知警報を発報する報知警報発報ステップと、
前記報知警報発報ステップにおいて状態確認報知警報を発報した後に、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が第1の基準回数以上生じ続けるか否かを確認して、生じ続けた場合に、前記バッテリーバンクに対して現在設定された緩衝電圧値を所定の基準電圧値分だけ、または現在設定された緩衝電圧値の所定の比率(%)分だけ下向き調節する緩衝電圧下向き調節ステップと、
を含むバッテリーの保護方法。
【請求項8】
前記緩衝電圧下向き調節ステップを通じて緩衝電圧を下向き調節した後に、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が第2の基準回数以上生じ続けるか否かを確認して、生じ続けた場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断するバッテリー動作永久遮断ステップをさらに含む請求項7に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項9】
前記所定の基準電圧差分の範囲は、第1の基準電圧差分以上であるが、第2の基準電圧差分未満に設定されることを特徴とする請求項7に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項10】
前記第1の基準電圧差分は、前記第2の基準電圧差分の80%に相当する値であり、
前記第2の基準電圧差分は、セルの不釣り合い保護動作発生の判断基準に相当する値であることを特徴とする請求項9に記載のバッテリーの保護方法。
【請求項11】
一定の周期ごとに、バッテリーの状態データを測定する状態データ測定部と、
前記状態データ測定部により測定されるバッテリーの状態データを用いて、バッテリーの状態が各保護動作項目ごとに予め設定された保護動作発生条件を充足するか否かを判断して、充足すると判断された項目のバッテリー保護動作を生じさせるバッテリー保護動作発生部と、
前記バッテリー保護動作発生部により少なくとも一つ以上の項目の保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データを用いて、予め設定された当該項目の保護動作解除条件を充足するか否かを判断し、充足する場合に、前記生じた項目のバッテリー保護動作を解除するバッテリー保護動作解除部と、
前記バッテリー保護動作発生部において生じたバッテリー保護動作の項目が属する部類を区分し、前記保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを比較判断する異常措置充足条件比較判断部と、
前記異常措置充足条件比較判断部における判断の結果、前記バッテリー保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断されれば、前記区分された部類に対応する所定の異常措置を取る異常措置部と、
を備えるバッテリーの保護システム。
【請求項12】
前記異常措置充足条件比較判断部は、
前記バッテリー保護動作発生部において生じた保護動作の項目が予め設定された第1の部類または第2の部類に属するか否かを区分して、第1のまたは第2の区分信号を出力する保護動作項目分類部と、
前記保護動作項目分類部から第1及び第2の区分信号のうちのどちらか一方の区分信号が出力されれば、現在の周期まで当該項目が保護動作が生じた回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、回数充足信号を出力する発生回数比較部と、
前記保護動作項目分類部から第2の区分信号が出力される場合に、当該項目の保護動作の発生状態が基準時間以上続くか否かを比較して、以上である場合に、持続時間充足信号を出力する発生持続時間比較部と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項13】
前記異常措置部は、
前記保護動作項目分類部から第1の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部から回数充足信号が出力された場合に、バッテリー状態確認の報知警報を提供する状態確認報知部と、
前記保護動作項目分類部から第1の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部から回数充足信号が出力されるか、あるいは、前記保護動作項目分類部から第2の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部から回数充足信号が、かつ、前記発生持続時間比較部から持続時間充足信号が出力された場合に、現在メモリーに設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項14】
前記発生回数比較部は、前記異常措置部の状態確認報知部によりバッテリー状態確認の報知警報が提供された後、当該項目の保護動作が生じる回数が第2の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、追加の回数充足信号を出力することを特徴とする請求項13に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項15】
前記異常措置部は、
前記発生回数比較部から追加の回数充足信号が出力される場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する動作遮断部をさらに備える請求項14に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項16】
前記第1の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性がある保護動作の項目が属する部類であり、
前記第2の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性が低い保護動作の項目が属する部類であることを特徴とする請求項12に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項17】
一定の周期ごとに、少なくとも二つ以上のバッテリーバンクを備えるバッテリーの状態データを測定する状態データ測定部と、
前記状態データ測定部において測定されるバッテリーの状態データに基づいて、各バッテリーバンクの電圧が予め設定された過電圧保護動作発生条件を充足するか否かを比較して、充足するバッテリーバンクに過電圧保護動作を生じさせるバッテリー保護動作発生部と、
前記バッテリー保護動作発生部により過電圧保護動作が生じた過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較して、収まっている場合に、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクが異常措置充足条件を充足するか否かを判断する異常措置充足条件比較判断部と、
前記異常措置充足条件比較判断部における判断の結果、充足すると判断されれば、それに対応する所定の異常措置を取るように構成される異常措置部と、
を備えるバッテリーの保護システム。
【請求項18】
前記バッテリー保護動作発生部により少なくとも一つ以上のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データに基づいて、当該バッテリーバンクの電圧が予め設定された保護動作解除条件を充足するか否かを比較して、充足する場合に、当該バッテリーバンクに生じた保護動作を解除するバッテリー保護動作解除部をさらに備える請求項17に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項19】
前記異常措置充足条件比較判断部は、
前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較して、収まっている場合に、差分条件充足信号を出力する基準電圧差分範囲比較部と、
前記基準電圧差分範囲比較部から差分条件充足信号が出力された後、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、回数充足信号を出力する発生回数比較部と、
を備えることを特徴とする請求項17に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項20】
前記異常措置部は、
前記基準電圧差分範囲比較部から差分条件充足信号が出力されれば、バッテリー状態確認の報知警報を提供する状態確認報知部と、
前記発生回数比較部から回数充足信号が出力される場合に、当該バッテリーバンクに現在設定された緩衝電圧値を所定の基準電圧値だけ下向き調節する緩衝電圧調節部と、
を備えることを特徴とする請求項19に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項21】
前記発生回数比較部は、
前記緩衝電圧調節部における緩衝電圧の下向き調節後に、当該バッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける回数が第2の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、追加の回数充足信号を出力することを特徴とする請求項20に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項22】
前記異常措置部は、
前記発生回数比較部から追加の回数充足信号が出力される場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する追加の異常措置を取る動作遮断部をさらに備える請求項21に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項23】
前記所定の基準電圧差分の範囲は、第1の基準電圧差分以上であるが、第2の基準電圧差分未満に設定されることを特徴とする請求項19に記載のバッテリーの保護システム。
【請求項24】
前記第1の基準電圧差分は、前記第2の基準電圧差分の80%に相当する値であり、
前記第2の基準電圧差分は、セルの不釣り合い保護動作発生の判断基準に相当する値であることを特徴とする請求項23に記載のバッテリーの保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの保護方法およびシステムに係り、さらに詳しくは、バッテリー保護動作が生じた後、保護動作の解除(バッテリーの再使用)に関する追加のアルゴリズムを実現して、単なるバッテリー動作不良および安全性の問題(Safety issue)を予め防いでバッテリーを保護する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーは、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレットPCなどの小型電子機器の分野のみならず、電気自動車、エネルギー貯蔵システム(ESS)に至るまで多岐にわたる分野において幅広く利用されている。
【0003】
ところが、この種のバッテリーは、多岐にわたる分野において使える効率性および利便性を有するのに対し、エネルギー密度が高いといった特性により、何らかの原因により過熱すれば発火してしまうというリスクを抱えている。特に、最近のバッテリー発火事故の急増には目を見張るものがあり、これに伴い、バッテリー市場それ自体に不安感が増すことにより、バッテリーの向上した安全性の確保が重要な課題として取り上げられている。
【0004】
バッテリーの安全性を確保するための手段として、過充電、過放電、過電流、短絡からバッテリーを保護するバッテリー保護回路が用いられている。一般に、バッテリー保護回路は、セットされた値の他に、非正常的な充/放電、ショート(Short)、過温度(Over Temperature)などを感知した場合に、当該保護動作を生じさせて異常措置を取った後、バッテリーの状態が予め設定された解除条件を満たす場合に前記保護動作を解除してバッテリーの正常な動作を可能にしている。
【0005】
一方、バッテリー状態は、実際に正常であるものの、バッテリーが外部のシステムと通信したりシステムと結合したりしたときに生じる非正常的なノイズ(noise)などにより保護動作が生じたり、セット値が変更されて動作不良として受け付けられたりするといった場面が頻繁に発生している。
【0006】
ところが、従来の過充電、過放電、ショート、過熱などの保護動作が感知された状態で、予め設定された解除条件を充足すれば、上記の保護動作を解除してバッテリーを正常モードに切り替えるという方式は、単なるバッテリー動作不良からのバッテリーの保護に困難さがある。このような従来の技術は、下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特許公開公報特開2010-259125号
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2021-0033295号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した不都合を解決するために案出されたものであって、単なるバッテリー動作不良に対する再使用条件の補完および安全性の問題(Safety issue)に対する保護動作の補強を図ることにより、バッテリーの安全性を確保することのできる方法およびシステムを提供するところにその目的がある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、バッテリーバンク間の電圧の不釣り合いによる特定のバッテリーバンクの使い過ぎを防いでバッテリーの安全性を確保することのできる方法およびシステムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るバッテリーの保護方法は、一定の周期ごとに、バッテリーの状態データを測定する状態データ測定ステップと、前記状態データ測定ステップにおいて測定されるバッテリーの状態データを用いて、バッテリーの状態が各バッテリーの保護動作項目ごとに予め設定された保護動作発生条件を充足するか否かを判断し、充足すると判断された項目のバッテリー保護動作を生じさせる保護動作発生ステップと、前記保護動作発生ステップにより少なくとも一つ以上の項目のバッテリー保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データを用いて、予め設定された前記生じた項目の保護動作解除条件を充足するか否かを判断し、充足する場合に、前記生じた保護動作を解除してバッテリーが正常動作モードにて動作するようにする保護動作解除ステップと、前記保護動作発生ステップにおいて生じた保護動作の項目が属する部類を区分し、前記保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを判断して、充足すると判断された場合に、当該部類に対応する所定の異常措置を取る異常措置ステップと、を含む。
【0011】
具体的に、前記異常措置ステップは、前記保護動作発生ステップにおいて生じた保護動作の項目が第1及び第2の部類のどちらの部類に属するかを区分する部類区分ステップと、前記部類区分ステップにおいて前記生じた保護動作の項目が属する部類を区分した後、前記生じた保護動作の発生状態が前記区分した部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを判断する異常措置充足有無判断ステップと、前記異常措置充足有無判断ステップにおける判断の結果、充足すると判断された場合に、当該部類に対応する所定の異常措置を取る異常措置動作ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
一方、前記異常措置充足有無判断ステップにおいては、前記生じた保護動作の項目が第1の部類に属する場合に、現在の周期まで当該項目の保護動作が生じた回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較する発生回数比較ステップを行って、前記生じた回数が第1の基準回数以上である場合に、前記第1の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断し、前記生じた保護動作の項目が第2の部類に属する場合に、現在の周期まで当該項目の保護動作が生じた回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較する発生回数比較ステップと、当該保護動作の発生状態が基準時間以上続くか否かを確認する発生持続有無確認ステップとを行って、前記生じた回数が第1の基準回数以上であり、かつ、当該保護動作の発生状態が基準時間以上続いた状態である場合に、前記第2の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断することを特徴とする。
【0013】
一方、前記異常措置動作ステップにおいては、前記生じた保護動作の項目が第1の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断された場合に、バッテリー状態確認の報知警報を提供する報知警報提供ステップと、現在メモリーに設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化ステップとを行い、前記生じた保護動作の項目が第2の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断された場合に、現在メモリーに設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化ステップを行うことを特徴とする。
【0014】
一方、前記バッテリーの保護方法は、前記異常措置動作ステップにおいて前記報知警報提供ステップおよび制御値初期化ステップを行った後、同じ項目の保護動作が第2の基準回数以上さらに生じる場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する追加異常措置動作ステップをさらに含む。
【0015】
一方、前記第1の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性がある保護動作の項目が属する部類であり、前記第2の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性が低い保護動作の項目が属する部類であることを特徴とする。
【0016】
本発明の別の実施形態に係るバッテリーの保護方法は、一定の周期ごとに、少なくとも二つ以上のバッテリーバンクを備えるバッテリーの状態データを測定する状態データ測定ステップと、前記状態データ測定ステップにおいて測定されるバッテリーの状態データに基づいて、充電中の各バッテリーバンクの電圧が予め設定された過電圧保護動作発生条件を充足するか否かを比較して、充足するバッテリーバンクに対する過電圧保護動作を生じさせるバッテリー保護動作発生ステップと、前記バッテリー保護動作発生ステップにおいて過電圧保護動作が生じた過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分を算出するバンク電圧差分算出ステップと、前記バンク電圧差分算出ステップにおいて算出された電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較して、収まっている場合に、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに対する状態確認報知警報を発報する報知警報発報ステップと、前記報知警報発報ステップにおいて状態確認報知警報を発報した後に、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が第1の基準回数以上生じ続けるか否かを確認して、生じ続けた場合に、前記バッテリーバンクに対して現在設定された緩衝電圧値を所定の基準電圧値分だけ、または現在設定された緩衝電圧値の所定の比率(%)分だけ下向き調節する緩衝電圧下向き調節ステップと、を含む。
【0017】
一方、前記バッテリーの保護方法は、前記緩衝電圧下向き調節ステップを通じて緩衝電圧を下向き調節した後に、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が第2の基準回数以上生じ続けるか否かを確認して、生じ続けた場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断するバッテリー動作永久遮断ステップをさらに含む。
【0018】
ここで、前記所定の基準電圧差分の範囲は、第1の基準電圧差分以上であるが、第2の基準電圧差分未満に設定されることを特徴とする。
【0019】
具体的に、前記第1の基準電圧差分は、前記第2の基準電圧差分の80%に相当する値であってもよく、前記第2の基準電圧差分は、セルの不釣り合い保護動作発生の判断基準に相当する値であることを特徴とする。
【0020】
本発明の一実施形態に係るバッテリーの保護システムは、一定の周期ごとに、バッテリーの状態データを測定する状態データ測定部と、前記状態データ測定部により測定されるバッテリーの状態データを用いて、バッテリーの状態が各保護動作項目ごとに予め設定された保護動作発生条件を充足するか否かを判断して、充足すると判断された項目のバッテリー保護動作を生じさせるバッテリー保護動作発生部と、前記バッテリー保護動作発生部により少なくとも一つ以上の項目の保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データを用いて、予め設定された当該項目の保護動作解除条件を充足するか否かを判断し、充足する場合に、前記生じた項目のバッテリー保護動作を解除するバッテリー保護動作解除部と、前記バッテリー保護動作発生部において生じたバッテリー保護動作の項目が属する部類を区分し、前記保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを比較判断する異常措置充足条件比較判断部と、前記異常措置充足条件比較判断部における判断の結果、前記バッテリー保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断されれば、前記区分された部類に対応する所定の異常措置を取る異常措置部と、を備える。
【0021】
具体的に、前記異常措置充足条件比較判断部は、前記バッテリー保護動作発生部において生じた保護動作の項目が予め設定された第1の部類または第2の部類に属するか否かを区分して、第1のまたは第2の区分信号を出力する保護動作項目分類部と、前記保護動作項目分類部から第1及び第2の区分信号のうちのどちらか一方の区分信号が出力されれば、現在の周期まで当該項目が保護動作が生じた回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、回数充足信号を出力する発生回数比較部と、前記保護動作項目分類部から第2の区分信号が出力される場合に、当該項目の保護動作の発生状態が基準時間以上続くか否かを比較して、以上である場合に、持続時間充足信号を出力する発生持続時間比較部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
一方、前記異常措置部は、前記保護動作項目分類部から第1の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部から回数充足信号が出力された場合に、バッテリー状態確認の報知警報を提供する状態確認報知部と、前記保護動作項目分類部から第1の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部から回数充足信号が出力されるか、あるいは、前記保護動作項目分類部から第2の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部から回数充足信号が、かつ、前記発生持続時間比較部から持続時間充足信号が出力された場合に、現在メモリーに設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化部と、を備えることを特徴とする。
【0023】
一方、前記発生回数比較部は、前記異常措置部の状態確認報知部によりバッテリー状態確認の報知警報が提供された後、当該項目の保護動作が生じる回数が第2の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、追加の回数充足信号を出力することを特徴とする。
【0024】
このため、前記異常措置部は、前記発生回数比較部から追加の回数充足信号が出力される場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する動作遮断部をさらに備える。
【0025】
一方、前記第1の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性がある保護動作の項目が属する部類であり、前記第2の部類は、発熱や発火を含む安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性が低い保護動作の項目が属する部類であることを特徴とする。
【0026】
本発明の別の実施形態に係るバッテリーの保護システムは、一定の周期ごとに、少なくとも二つ以上のバッテリーバンクを備えるバッテリーの状態データを測定する状態データ測定部と、前記状態データ測定部において測定されるバッテリーの状態データに基づいて、各バッテリーバンクの電圧が予め設定された過電圧保護動作発生条件を充足するか否かを比較して、充足するバッテリーバンクに過電圧保護動作を生じさせるバッテリー保護動作発生部と、前記バッテリー保護動作発生部により過電圧保護動作が生じた過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較して、収まっている場合に、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクが異常措置充足条件を充足するか否かを判断する異常措置充足条件比較判断部と、前記異常措置充足条件比較判断部における判断の結果、充足すると判断されれば、それに対応する所定の異常措置を取るように構成される異常措置部と、を備える。
【0027】
一方、前記バッテリーの保護システムは、前記バッテリー保護動作発生部により少なくとも一つ以上のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データに基づいて、当該バッテリーバンクの電圧が予め設定された保護動作解除条件を充足するか否かを比較して、充足する場合に、当該バッテリーバンクに生じた保護動作を解除するバッテリー保護動作解除部をさらに備える。
【0028】
一方、前記異常措置充足条件比較判断部は、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較して、収まっている場合に、差分条件充足信号を出力する基準電圧差分範囲比較部と、前記基準電圧差分範囲比較部から差分条件充足信号が出力された後、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、回数充足信号を出力する発生回数比較部と、を備えることを特徴とする。
【0029】
一方、前記異常措置部は、前記基準電圧差分範囲比較部から差分条件充足信号が出力されれば、バッテリー状態確認の報知警報を提供する状態確認報知部と、前記発生回数比較部から回数充足信号が出力される場合に、当該バッテリーバンクに現在設定された緩衝電圧値を所定の基準電圧値だけ下向き調節する緩衝電圧調節部と、を備えることを特徴とする。
【0030】
一方、前記発生回数比較部は、前記緩衝電圧調節部における緩衝電圧の下向き調節後に、当該バッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける回数が第2の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、追加の回数充足信号を出力することを特徴とする。
【0031】
このため、前記異常措置部は、前記発生回数比較部から追加の回数充足信号が出力される場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する追加の異常措置を取る動作遮断部をさらに備える。
【0032】
一方、前記所定の基準電圧差分の範囲は、第1の基準電圧差分以上であるが、第2の基準電圧差分未満に設定されることを特徴とする。
【0033】
具体的に、前記第1の基準電圧差分は、前記第2の基準電圧差分の80%に相当する値であってもよく、前記第2の基準電圧差分は、セルの不釣り合い保護動作発生の判断基準に相当する値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、単なるバッテリー動作不良に対する再使用条件を補完し、かつ、発火、発熱などといった安全性の問題(Safety issue)に対する保護動作を補強して、安全性の問題として顕在化することを予め防ぐことにより、バッテリーの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態1に係るバッテリーの保護方法を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態2に係るバッテリーの保護方法を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るバッテリーの保護システムを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係るバッテリーの保護システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施の形態に何ら限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0037】
以下、添付図面に基づいて、本発明について詳しく説明する。
【0038】
1.本発明において用いる用語
【0039】
1.1.バッテリー保護動作の項目
【0040】
バッテリー保護動作の項目とは、非正常的な充/放電、ショート(Short)、過温度などからバッテリーを保護するために動作する、通常的によく知られている各バッテリー保護動作の種類を意味する。
【0041】
前記バッテリー保護動作の項目は、過電圧保護(OVP:Over Voltage Protection)、低電圧保護(UVP:Under Voltage Protection)、放電過電流保護(DOCP:Discharge Over Current Protection)、充電過電流保護(COCP:Charge Over Current Protection)、放電過温度保護(DOTP:Discharge Over Temperature Protection)、放電低温度保護(DUTP:Discharge Under Temperature Protection)、充電過温度保護(COTP:Charge Over Temperature Protection)、充電低温度保護(CUTP:Charge Under Temperature Protection)、ショート回路保護(Short circuit Protection)、セルの不釣り合い保護(Cell imbalance Protection)、FETエラー保護(FET error Protection)を含む。
【0042】
1.2.第1及び第2の部類
【0043】
本発明においては、上述した各バッテリー保護動作の項目のうち、発火、発熱などといった安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性がある項目を第1の部類に、そうではない項目を第2の部類に区分してセットしている。
【0044】
第1の部類は、バッテリー保護動作の項目のうち、安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性がある項目が属する部類であって、過電圧保護(OVP:Over Voltage Protection)、充電過電流保護(COCP:Charge Over Current Protection)、セルの不釣り合い保護(Cell imbalance Protection)、FETエラー保護(FET error Protection)がここに属する。
【0045】
第2の部類は、バッテリー保護動作の項目のうち、安全性の問題(Safety issue)として顕在化する可能性が低い項目が属する部類であって、低電圧保護(UVP:Under Voltage Protection)、放電過電流保護(DOCP:Discharge Over Current Protection)、放電過温度保護(DOTP:Discharge Over Temperature Protection)、放電低温度保護(DUTP:Discharge Under Temperature Protection)、充電過温度保護(COTP:Charge Over Temperature Protection)、充電低温度保護(CUTP:Charge Under Temperature Protection)、ショート回路保護(Short circuit Protection)がここに属する。
【0046】
1.3.状態データ
【0047】
本発明において測定するバッテリーの状態データは、各バッテリーセルの電圧、電流、シャント抵抗(Shunt Resistor)の電流、シャント抵抗(Shunt Resistor)の両端の電圧、サーミスター(Thermistor)の温度値を含んでいてもよい。
【0048】
このような状態データを用いて、各項目のバッテリー保護動作の発生/解除の有無を判断することは、保護動作の項目ごとに公知となっている技術を用いて行う。
【0049】
例えば、過電圧/低電圧/過電流/低電流の保護動作の場合、測定される電圧/電流値がそれぞれのセットされた基準値以上/以下であるかを比較して、発生有無を判断してもよい。FETエラー保護動作の場合、充/放電電界効果トランジスター(FET)をオフにしたにも拘わらず、シャント抵抗の電流値がセットされた基準値以上であると確認されれば、生じたと判断してもよい。過温度/低温度の保護動作の場合に、測定されるサーミスター温度値がそれぞれのセットされた基準値以上/以下であるかを比較して、発生有無を判断してもよい。ショート回路保護動作の場合、シャント抵抗の両端にかかる電圧値とシャント抵抗値を用いて発生有無を判断してもよい。
【0050】
2.本発明に係るバッテリーの保護方法
【0051】
本発明に係るバッテリーを保護する方法は、2種類の実施形態から構成される。
【0052】
<実施形態1:バッテリー保護動作の項目に応じた異常措置にてバッテリーを保護する方式>
【0053】
図1は、本発明の実施形態1に係るバッテリーの保護方法を示す図である。
【0054】
図1を参照すると、実施形態1は、各バッテリー保護動作の項目を安全性の問題(Safety issue)の顕在化の可能性の有無に応じて二つの部類に区分し、保護動作の発生状態が前記区分された部類に対応する条件を充足するか否かに応じて異常措置を取って、実際には正常であるものの、ノイズなどによる単なるバッテリー動作不良に対する補完をし、かつ、安全性の問題(Safety issue)の顕在化を予め防ぐ方式にてバッテリーを保護するように構成される。
【0055】
2.1.状態データ測定ステップ(S100)
【0056】
状態データ測定ステップ(S100)は、一定の周期ごとに、バッテリーの状態データを測定するステップである。
【0057】
2.2.保護動作発生ステップ(S200)
【0058】
保護動作発生ステップ(S200)は、前記状態データ測定ステップ(S100)において測定されるバッテリーの状態データを用いて、バッテリーの状態が各バッテリーの保護動作項目ごとに予め設定されたバッテリー保護動作発生条件を充足するか否かを判断し、充足すると判断された項目のバッテリー保護動作を生じさせるステップである。
【0059】
2.3.保護動作解除ステップ(S300)
【0060】
保護動作解除ステップ(S300)は、前記保護動作発生ステップ(S200)により少なくとも一つ以上の項目のバッテリー保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データを用いて、予め設定された前記生じた項目のバッテリー保護動作解除条件を充足するか否かを判断し、充足する場合に、前記生じたバッテリー保護動作を解除して、バッテリーが正常動作モードにて動作するようにするステップである。生じた保護動作の解除有無を判断する方式もまた、公知の技術を用いるものである。
【0061】
2.4.異常措置ステップ(S400)
【0062】
異常措置ステップ(S400)は、前記保護動作発生ステップ(S200)において生じたバッテリー保護動作の項目が属する部類を区分し、前記バッテリー保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを判断して、充足すると判断された場合に、当該部類に対応する所定の異常措置を取るステップである。
【0063】
このような異常措置ステップ(S400)は、下記のような細かいステップを含む。
【0064】
2.4.1.部類区分ステップ(S410)
【0065】
まず、前記保護動作発生ステップ(S200)において生じたバッテリー保護動作の項目が第1の部類と第2の部類のどちらの部類に属するかを区分する部類区分ステップ(S410)を行う。
【0066】
ここで、叙上のように、第1の部類は、発熱や発火などといった安全性(Safety)に関する問題(issue)として顕在化する可能性がある保護動作の項目が属する部類であり、第2の部類は、発熱や発火などといった安全性(Safety)に関する問題(issue)として顕在化する可能性が低い保護動作の項目が属する部類である。
【0067】
2.4.2.異常措置充足有無判断ステップ(S420)
【0068】
異常措置充足有無判断ステップ(S420)は、前記部類区分ステップ(S410)において前記生じたバッテリー保護動作の項目が属する部類を区分した後、前記生じたバッテリー保護動作の発生状態が前記区分した部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを判断するステップである。
【0069】
具体的に、前記生じたバッテリー保護動作の項目が第1の部類に属する場合に、現在の周期まで当該項目のバッテリー保護動作が生じた累積回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較する発生回数比較ステップ(S422-A)を行う。前記生じた累積回数が第1の基準回数以上であれば、第1の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断する。
【0070】
前記生じた累積回数、すなわち、同じ項目のバッテリー保護動作が生じた回数が第1の基準回数に満たない場合には、当該項目のバッテリー保護動作解除条件の充足有無に応じて、バッテリーが正常に動作可能なように別途の異常措置を取らない。
【0071】
一方、前記生じたバッテリー保護動作の項目が第2の部類に属する場合、現在の周期まで当該項目のバッテリー保護動作が生じた累積回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較する発生回数比較ステップ(S422-B)および当該バッテリー保護動作が生じた状態が基準時間以上続いているか否かを確認する発生持続有無確認ステップ(S424)を行う。前記生じた累積回数、すなわち、同じ項目のバッテリー保護動作が生じた回数が第1の基準回数以上であり、かつ、保護動作の発生状態が基準時間以上続いた状態であれば、第2の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断する。
【0072】
ここで、前記第1の基準回数は、例えば、3回に設定され、前記基準時間は、例えば、10分に設定されてもよい 。
【0073】
2.4.3.異常措置動作ステップ(S430)
【0074】
異常措置動作ステップ(S430)は、前記異常措置充足有無判断ステップ(S420)における判断の結果、充足すると判断された場合に、当該部類に対応する所定の異常措置を取るステップである。この実施形態において、所定の異常措置は、後述する状態確認報知警報の発報措置、バッテリー制御値の初期化措置を含んでいてもよく、さらにバッテリー動作遮断の異常措置を含む。
【0075】
具体的に、前記生じたバッテリー保護動作の項目が第1の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断された場合に、バッテリー状態の確認を知らせる状態確認報知警報を提供する報知警報提供ステップ(S432-A)および現在メモリー(例えば、RAM)に設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化ステップ(S434-A)を行う。
【0076】
一方、前記生じたバッテリー保護動作の項目が第2の部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断された場合に、現在メモリー(RAM)に設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる制御値初期化ステップ(S434-B)を行う。
【0077】
ここで、メモリー設定値を初期化することは、例えば、読み込み専用メモリー(ROM)の値を読み込んで(reading)、ランダムアクセスメモリー(RAM)に書き込む(writing)形で実現されてもよい。
【0078】
2.4.4.追加の異常措置動作ステップ(S440)
【0079】
追加の異常措置動作ステップ(S440)は、前記異常措置動作ステップ(S430)において第1の部類に対応する異常措置を取った後、同じ項目のバッテリー保護動作が第2の基準回数以上さらに生じる場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する追加の異常措置を取る。
【0080】
第1の部類に属する項目のバッテリー保護動作の場合に、前記異常措置動作ステップ(S430)を通じてバッテリー状態確認の報知警報を提供し、かつ、メモリーを初期化させる1次異常措置を取ったにも拘わらず、同じ項目のバッテリー保護動作が繰り返し行われ続ける場合にバッテリーの劣化を招くため、これを予め遮断するために当該バッテリー保護動作が第2の基準回数さらに生じると、バッテリー動作を永久的に遮断するのである。
【0081】
ここで、前記第2の基準回数は、例えば、2回に設定されてもよい。
【0082】
<実施形態2:セルの不釣り合い保護動作が生じる前に異常措置にてバッテリーを保護する方式>
【0083】
図2は、本発明の実施形態2に係るバッテリーの保護方法を示す図である。
【0084】
図2を参照すると、実施形態2は、特定のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じたとき、当該バッテリーバンクと最も低い電圧のバッテリーバンクとの間の電圧差分が基準条件を充足する場合に、異常措置として、1次的にバッテリー状態確認報知を提供し、かつ、緩衝電圧を下げて当該バッテリーバンクの過充電を防ぐといった措置を取り、以降にも当該バッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける場合に、バッテリー動作を永久的に遮断する2次措置を取って安全性の問題(Safety issue)の顕在化を予め防ぐ方式にてバッテリーを保護するように構成される。
【0085】
2.1.状態データ測定ステップ(S1000)
【0086】
状態データ測定ステップ(S1000)は、一定の周期ごとに、バッテリーの状態データを測定するステップである。
【0087】
2.2.バッテリー保護動作発生ステップ(S2000)
【0088】
バッテリー保護動作発生ステップ(S2000)は、前記状態データ測定ステップ(S1000)において測定されるバッテリーの状態データに基づいて、充電中の各バッテリーバンクの電圧が予め設定された過電圧保護動作発生条件を充足するか否かを比較して、充足するバッテリーバンクに対する過電圧保護動作を生じさせる。
【0089】
2.3.バンク電圧差分算出ステップ(S3000)
【0090】
バンク電圧差分算出ステップ(S3000)は、前記バッテリー保護動作発生ステップ(S2000)において過電圧保護動作が生じた過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分を算出するステップである。
【0091】
2.4.報知警報発報ステップ(S4000)
【0092】
報知警報発報ステップ(S4000)は、前記バンク電圧差分算出ステップ(S3000)において算出された電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較して、収まっている場合に、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに対する状態確認報知警報を発報するステップである。
【0093】
ここで、前記所定の基準電圧差分の範囲は、第1の基準電圧差分以上であるが、第2の基準電圧差分未満に設定される。
【0094】
このとき、前記第1の基準電圧差分は、前記第2の基準電圧差分の所定の範囲に収まっていてもよいが、例えば、80%に相当する値であってもよい。前記第2の基準電圧差分は、バッテリー保護動作の項目のうち、セルの不釣り合い保護動作の発生を判断する条件に相当する値であってもよい。
【0095】
換言すれば、過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと最も低い電圧のバッテリーバンクとの間の電圧差分がセルの不釣り合い保護動作レベルの所定の範囲以上である場合に、一実施形態を挙げると、80%以上である場合に、状態確認報知警報を発報するのである。
【0096】
このように設定する理由は、たとえバッテリーバンク間の電圧差分の状態がセルの不釣り合い保護動作の条件には達していない前であっても、不釣り合いの状態による特定のバッテリーバンクの使い過ぎに起因して早い退化および発熱や発火などといった安全性の問題(Safety issue)へと進んでしまうことを予め防ぐためである。
【0097】
2.5.緩衝電圧下向き調節ステップ(S5000)
【0098】
緩衝電圧下向き調節ステップ(S5000)は、前記報知警報発報ステップ(S4000)における状態確認報知警報の発報後に、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が第1の基準回数以上生じ続けるか否かを確認して、生じ続けた場合に、当該バッテリーバンクに対して現在設定されている緩衝電圧値を所定の基準電圧値だけ下向き調節するステップである。緩衝電圧の下向き調節に際しては、既に設定された緩衝電圧を、所定の基準電圧ずつ、例えば、0.5Vずつ下向き調節したり、所定のパーセンテージ(%)ずつ下向き調節したりする方式を採択することができる。
【0099】
2.6.バッテリー動作永久遮断ステップ(S6000)
【0100】
バッテリー動作永久遮断ステップ(S6000)は、前記緩衝電圧下向き調節ステップ(S6000)を通じて緩衝電圧を下向き調節した後に、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が第2の基準回数以上さらに生じるか否かを確認して、生じた場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する。
【0101】
これは、前記報知警報発報ステップ(S4000)および緩衝電圧下向き調節ステップ(S5000)を通じて過電圧保護動作発生のバッテリーバンクの過充電を防ぐための1次異常措置を取ったにも拘わらず、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける場合に、安全性の問題(Safety issue)が懸念されるため、たとえセルの不釣り合い保護動作が生じる前であっても、バッテリー動作を永久的に遮断する追加の異常措置を取って安全性の問題(Safety issue)の顕在化を予め防いでバッテリーを保護するのである。
【0102】
3.本発明に係るバッテリーの保護システム
【0103】
本発明に係るバッテリーの保護システムは、2種類の実施形態から構成される。
【0104】
<実施形態1:バッテリー保護動作の項目に応じた異常措置にてバッテリーを保護する方式>
【0105】
図3は、本発明の実施形態1に係るバッテリーの保護システムの構成を示す図である。
【0106】
図3を参照すると、実施形態1に係るバッテリーの保護システムは、各バッテリー保護動作の項目を安全性の問題(Safety issue)の顕在化の可能性の有無に応じて二つの部類に区分し、保護動作の発生状態が前記区分された部類に対応する条件を充足するか否かに応じて、叙上の異常措置を取って、実際には正常であるものの、ノイズなどによる単なるバッテリー動作不良に対する補完をし、かつ、安全性の問題(Safety issue)の顕在化を予め防ぐ方式にてバッテリーを保護するように構成される。
【0107】
3.1.バッテリー(図示せず)
【0108】
本発明のバッテリーは、複数のバッテリーセルを備える少なくとも二つ以上のバッテリーバンクを備える。
【0109】
3.2.状態データ測定部100
【0110】
状態データ測定部100は、一定の周期ごとに、バッテリーの状態データを測定する構成要素である。
【0111】
本発明において測定するバッテリーの状態データは、叙上のように、各バッテリーセルの電圧、電流、シャント抵抗(Shunt Resistor)の電流、シャント抵抗(Shunt Resistor)の両端の電圧、サーミスター(Thermistor)の温度値を含んでなり、これらをそれぞれ測定する方式は、公知の技術を用いるものである。
【0112】
3.3.バッテリー保護動作発生部200
【0113】
バッテリー保護動作発生部200は、前記状態データ測定部100により測定されるバッテリーの状態データを用いて、バッテリーの状態が各バッテリーの保護動作項目ごとに予め設定されたバッテリー保護動作発生条件を充足するか否かを判断して、充足すると判断された項目のバッテリー保護動作を生じさせる。
【0114】
バッテリー保護動作を生じさせることは、例えば、当該項目のバッテリー保護動作の発生を示す保護動作発生信号を出力する形で実現されてもよい。
【0115】
3.4.バッテリー保護動作解除部300
【0116】
バッテリー保護動作解除部300は、前記バッテリー保護動作発生部200により少なくとも一つ以上の項目のバッテリー保護動作が生じた後、前記状態データ測定部100により測定されるバッテリーの状態データを用いて、予め設定された当該項目のバッテリー保護動作解除条件を充足するか否かを判断し、充足する場合前記生じた項目のバッテリー保護動作を解除する構成要素である。
【0117】
バッテリー保護動作を解除することは、例えば、当該項目のバッテリー保護動作の解除を示す保護動作解除信号を出力する形で実現されてもよい。
【0118】
3.5.異常措置充足条件比較判断部400
【0119】
異常措置充足条件比較判断部400は、前記バッテリー保護動作発生部200において生じたバッテリー保護動作の項目が属する部類を区分し、当該バッテリー保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足するか否かを比較判断する構成要素である。
【0120】
このような異常措置充足条件比較判断部400は、下記のような細かい構成要素を備えていてもよい。
【0121】
3.5.1.保護動作項目分類部410
【0122】
保護動作項目分類部410は、前記バッテリー保護動作発生部200において生じたバッテリー保護動作の項目が予め設定された第1の部類または第2の部類に属するか否かを区分/分類する作業を行う。保護動作の項目分類は、上述した項目ごとの保護動作の発生信号を入力されて区分して行ってもよい。
【0123】
生じたバッテリー保護動作の項目が第1の部類に属する場合に、例えば、このことを示す第1の区分信号を出力してもよい。
【0124】
一方、生じたバッテリー保護動作の項目が第2の部類に属する場合に、例えば、このことを示す第2の区分信号を出力してもよい。
【0125】
3.5.2.発生回数比較部420
【0126】
発生回数比較部420は、前記保護動作項目分類部410により前記生じたバッテリー保護動作の項目が第1の部類または第2の部類に属するものとして区分されれば、現在の周期まで同じ項目のバッテリー保護動作が生じた累積回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、回数充足信号を出力する。
【0127】
より具体的に、前記保護動作項目分類部410から第1及び第2の区分信号のうちのどちらか一方の区分信号が出力されれば、その信号に相当するバッテリー保護動作が現在の周期まで生じた累積回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、このことを示す回数充足信号を出力してもよい。
【0128】
ここで、前記第1の基準回数は、例えば、3回に設定されてもよい。
【0129】
一方、発生回数比較部420は、後述する異常措置部500におけるバッテリー状態確認の報知警報の提供後に、前記バッテリー保護動作発生部200において前記バッテリー状態確認の報知警報に相当する項目のバッテリー保護動作が生じる回数が第2の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、追加の回数充足信号を出力する。
【0130】
ここで、前記第2の基準回数は、例えば、2回に設定されてもよい。
【0131】
3.5.3.発生持続時間比較部430
【0132】
発生持続時間比較部430は、前記保護動作項目分類部410により前記生じたバッテリー保護動作の項目が第2の部類に属するものとして区分された場合に、当該バッテリー保護動作の発生状態が基準時間以上続くか否かを確認して、以上である場合に、持続時間充足信号を出力する。
【0133】
換言すれば、前記保護動作項目分類部410から第2の区分信号が出力される場合に、当該バッテリー保護動作の発生状態が基準時間以上続くか否かを比較して、以上である場合に、このことを示す持続時間充足信号を出力してもよい。
【0134】
バッテリー保護動作の発生状態が保たれる時間は、例えば、生じたバッテリー保護動作に対するバッテリー保護動作解除部300からの保護動作解除信号が出力される時間/時点を通じて取得する形で実現されてもよい。
【0135】
ここで、前記基準時間は、例えば、10分に設定されてもよい。
【0136】
3.6.異常措置部500
【0137】
異常措置部500は、前記異常措置充足条件比較判断部400における判断の結果、バッテリー保護動作の発生状態が前記区分された部類に相当する異常措置充足条件を充足すると判断された場合に、前記区分された部類に対応する所定の異常措置を取る構成要素である。
【0138】
このような異常措置部500は、下記のような細かい構成要素を備えていてもよい。
【0139】
3.6.1.状態確認報知部510
【0140】
状態確認報知部510は、前記保護動作項目分類部410から第1の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部420から回数充足信号が出力された場合に、異常措置として、バッテリー状態確認の報知警報を提供する。
【0141】
換言すれば、安全(発火、発熱)に対する問題として顕在化する可能性がある第1の部類に属する同じ項目のバッテリー保護動作が第1の基準回数(例えば、3回)以上生じる場合に、ユーザーにバッテリー状態確認の報知警報を提供するのである。
【0142】
3.6.2.制御値初期化部520
【0143】
制御値初期化部520は、前記保護動作項目分類部410から第1の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部420から回数充足信号が出力された場合、または前記保護動作項目分類部410から第2の区分信号が出力された状態で、前記発生回数比較部420から回数充足信号が、かつ、前記発生持続時間比較部430から持続時間充足信号が出力された場合に、異常措置として、現在メモリー(RAM)に変更されて設定されたバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させる。
【0144】
換言すれば、安全(発火、発熱)に対する問題として顕在化する可能性がある第1の部類に属する同じ項目のバッテリー保護動作の発生回数が第1の基準回数(例えば、3回)以上である場合であるか、あるいは、安全(発火、発熱)に対する問題として顕在化する可能性がある第2の部類に属する項目のバッテリー保護動作の発生回数が第1の基準回数(例えば、3回)以上であり、かつ、当該バッテリー保護動作が生じた状態で該動作が基準時間以上続く場合であれば、現在のバッテリー制御値を初期のバッテリー制御値に初期化させてバッテリーを初期の正常モードに戻すのである。
【0145】
3.6.3.動作遮断部530
【0146】
動作遮断部530は、前記発生回数比較部420から追加の回数充足信号が出力される場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する追加の異常措置を取るように構成される。
【0147】
第1の部類に属する項目のバッテリー保護動作の場合に、前記状態確認報知部510および制御値初期化部520によりバッテリー状態確認の報知警報を提供し、かつ、メモリーを初期化させる1次異常措置を取ったにも拘わらず、同じ項目のバッテリー保護動作が繰り返し行われ続ける場合に、バッテリーの劣化を招くため、これを予め遮断するために、同じ項目のバッテリー保護動作が第2の基準回数さらに生じると、バッテリー動作を永久的に遮断するのである。
【0148】
<実施形態2:セルの不釣り合い保護動作が生じる前に異常措置にてバッテリーを保護する方式>
【0149】
図4は、本発明の実施形態2に係るバッテリーの保護システムの構成を示す図である。
【0150】
図4を参照すると、実施形態2に係るバッテリーの保護システムは、特定のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じたとき、当該バッテリーバンクと最も低い電圧のバッテリーバンクとの間の電圧差分が基準条件を充足する場合に、1次的にバッテリー状態確認報知を提供し、かつ、緩衝電圧を下げて当該バッテリーバンクの過充電を防ぐ措置を取り、以降にも当該バッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける場合に、バッテリー動作を永久的に遮断する2次措置を取って安全性の問題(Safety issue)の顕在化を予め防ぐ方式にてバッテリーを保護するように構成される。このような実施形態2に係るシステムの場合に、叙上の実施形態1に係るシステムの一部の構成要素は同様に備えるが、後述する構成要素をさらに備えていてもよく、あるいは、一部の構成要素の機能が変更されて実現されてもよい。したがって、実施形態2に係るシステムについては、実施形態1と比較したときに同一の構成や機能についての説明は省略し、追加されたり相違点があったりする構成要素/機能に重点をおいて説明をする。
【0151】
3.3.バッテリー保護動作発生部200
【0152】
バッテリー保護動作発生部200は、叙上の状態データ測定部100により測定されるバッテリーの状態データに基づいて、各バッテリーバンクの電圧が予め設定された過電圧保護動作発生条件を充足するか否かを比較して、充足するバッテリーバンクに過電圧保護動作を生じさせる。例えば、過電圧保護動作発生信号を出力してもよい。ここで、過電圧保護動作発生信号は、当該バッテリーバンクを識別可能な識別番号を含んでいてもよい。
【0153】
過電圧保護動作の発生があったバッテリーバンクを、以下においては、過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと称して説明することがある。
【0154】
3.4.バッテリー保護動作解除部300
【0155】
バッテリー保護動作解除部300は、前記バッテリー保護動作発生部200により少なくとも一つ以上のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じた後に測定されるバッテリーの状態データに基づいて、当該バッテリーバンクの電圧が予め設定された過電圧保護動作解除条件を充足するか否かを比較して、充足する場合に、当該バッテリーバンクに生じた保護動作を解除する構成要素である。例えば、過電圧保護動作解除信号を出力してもよい。
【0156】
3.5.異常措置充足条件比較判断部400
【0157】
異常措置充足条件比較判断部400は、前記バッテリー保護動作発生部200により過電圧保護動作が生じた過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを判断し、収まっている場合に、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクが異常条件の充足条件を充足するか否かを比較判断するように構成される。
【0158】
3.5.1.基準電圧差分範囲比較部410
【0159】
基準電圧差分範囲比較部410は、前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分を算出する電圧差分算出部(図示せず)を備えていてもよい。なお、前記電圧差分算出部(図示せず)において算出された電圧差分が所定の基準電圧差分の範囲に収まっているか否かを比較し、収まっている場合に、このことを示す差分条件充足信号を出力してもよい。
【0160】
ここで、前記所定の基準電圧差分の範囲は、第1の基準電圧差分以上であるが、第2の基準電圧差分未満に設定される。
【0161】
このとき、前記第1の基準電圧差分は、前記第2の基準電圧差分の80%に相当する値に設定されてもよい。
【0162】
換言すれば、過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと最も低い電圧のバッテリーバンクとの間の電圧差分がセルの不釣り合い保護動作レベルの所定の範囲以上、一実施形態を挙げると、80%以上である場合に、差分条件充足信号を出力するのである。
【0163】
3.5.2.発生回数比較部420
【0164】
発生回数比較部420は、前記基準電圧差分範囲比較部410から差分条件充足信号が出力された後、当該過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける回数が第1の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、回数充足信号を出力してもよい。
【0165】
ここで、前記第1の基準回数は、例えば、3回に設定されてもよい。
【0166】
一方、発生回数比較部420は、後述する緩衝電圧調節部520における緩衝電圧の下向き調節後に、当該バッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける回数が第2の基準回数以上であるか否かを比較して、以上である場合に、追加の回数充足信号を出力してもよい。
【0167】
ここで、前記第2の基準回数は、例えば、2回に設定されてもよい。
【0168】
3.6.異常措置部500
【0169】
異常措置部500は、前記異常措置充足条件比較判断部400における判断の結果、充足すると判断された場合に、それに対応する所定の異常措置を取るように構成される。
【0170】
3.6.1.状態確認報知部510
【0171】
状態確認報知部510は、前記基準電圧差分範囲比較部410から過電圧保護動作発生のバッテリーバンクと前記過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに比べて最も低い電圧を有するバッテリーバンクとの間の電圧差分が基準電圧差分の範囲に収まっている状態であることを示す差分条件充足信号が出力される場合に、異常措置として、バッテリー状態確認の報知警報を提供する。
【0172】
3.6.2.緩衝電圧調節部520
【0173】
緩衝電圧調節部520は、前記発生回数比較部420から前記差分条件充足信号に相当する過電圧保護動作発生のバッテリーバンクに第1の基準回数以上過電圧保護動作が生じたことを示す回数充足信号が出力される場合に、異常措置として、当該バッテリーバンクに現在設定されている緩衝電圧値を所定の基準電圧値だけ下向き調節する。
【0174】
緩衝電圧の下向き調節に際して、例えば、緩衝電圧の下向き信号を出力してもよい。
【0175】
3.6.3.動作遮断部530
【0176】
動作遮断部530は、前記発生回数比較部420から緩衝電圧が下向き調節されたバッテリーバンクに過電圧保護動作が第2の基準回数さらに生じたことを示す追加の回数充足信号が出力される場合に、バッテリーの動作を永久的に遮断する追加の異常措置を取るように構成される。
【0177】
前記状態確認報知部510および緩衝電圧調節部520により過電圧保護動作発生のバッテリーバンクの過充電を防ぐための1次異常措置を取ったにも拘わらず、同バッテリーバンクに過電圧保護動作が生じ続ける場合に、安全性の問題(Safety issue)が懸念されるため、たとえセルの不釣り合い保護動作が生じる前であっても、バッテリー動作を永久的に遮断する追加の異常措置を取って安全性の問題(Safety issue)の顕在化を予め防いでバッテリーを保護するのである。
【0178】
上述したような実施形態1または実施形態2に係る構成要素は、バッテリー動作を制御する主集積回路(Main IC)内に実装されてもよい。
【0179】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【0180】
本発明の説明の欄および図面において用いられた符号の意味は、下記の通りである。
【符号の説明】
【0181】
100:状態データ測定部
200:バッテリー保護動作発生部
300:バッテリー保護動作解除部
400:異常措置充足条件比較判断部
410:保護動作項目分類部
420:発生回数比較部
430:発生持続時間比較部
500:異常措置部
510:状態確認報知部
520:制御値初期化部
530:動作遮断部