(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】蒸気発生器システム、蒸気発生器の圧力制御システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G21D 3/08 20060101AFI20240917BHJP
G21D 1/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G21D3/08 L
G21D1/00 S
(21)【出願番号】P 2023538761
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2021122297
(87)【国際公開番号】W WO2022134730
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】202011573183.8
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516267290
【氏名又は名称】中広核研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA NUCLEAR POWER TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE CO., LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】513047316
【氏名又は名称】中国広核集団有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519063462
【氏名又は名称】中国広核電力股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】朱建敏
(72)【発明者】
【氏名】陳天銘
(72)【発明者】
【氏名】王娜
(72)【発明者】
【氏名】胡友森
(72)【発明者】
【氏名】張薇
(72)【発明者】
【氏名】盧向暉
(72)【発明者】
【氏名】周▲ミン▼稼
(72)【発明者】
【氏名】王凱
(72)【発明者】
【氏名】王暁▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲ウェイ▼如
(72)【発明者】
【氏名】衛丹靖
(72)【発明者】
【氏名】李炳文
(72)【発明者】
【氏名】劉亦然
(72)【発明者】
【氏名】胡藝嵩
(72)【発明者】
【氏名】高雅心
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111780089(CN,A)
【文献】特開2012-047501(JP,A)
【文献】特表平03-504413(JP,A)
【文献】特開平08-233991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 1/00,3/08
F22D 5/28-5/30
F01K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫流式蒸気発生器の圧力制御システムであって、
貫流式蒸気発生器(10)、蒸気タービン(20)及び給水調整弁群(50)を含み、更に、
前記貫流式蒸気発生器(10)の出口圧力値を測定するための圧力偏差制御チャネル(31)と、
前記出口圧力値と目標圧力設定値の大きさを比較して圧力偏差信号を選択的に出力するための第1制御モジュラブロック(41)と、
前記貫流式蒸気発生器(10)の出口流量値及び前記給水調整弁群(50)の入口流量値を測定するための蒸気-水流量偏差制御チャネル(32)と、
前記出口流量値と前記入口流量値の差分値を計算し、前記差分値と前記圧力偏差信号を重畳して、微調整制御信号を出力する第2制御モジュラブロック(42)と、
前記蒸気タービン(20)の入口蒸気圧力値を測定するための負荷要求制御チャネル(33)と、
前記入口蒸気圧力値と切替閾値を比較して、高低負荷信号を選択的に出力するための第3制御モジュラブロック(43)と、を含み、
前記給水調整弁群(50)は、第1弁(51)と第2弁(52)を含み、前記第1弁(51)は前記高低負荷信号に基づき選択的に開放又は閉止され、前記第2弁(52)は前記高低負荷信号に基づき選択的に開放又は閉止される、ことを特徴とする貫流式蒸気発生器の圧力制御システム
であって、
前記微調整制御信号は微調整開度データを含み、前記第2弁(52)は、更に、前記微調整制御信号の前記微調整開度データに基づき第2弁開度が設定されることを特徴とする貫流式蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項2】
前記高低負荷信号は粗調整開度データを含み、前記第1弁(51)は、更に、前記粗調整開度データに基づき第1弁開度が設定されることを特徴とする請求項1に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項3】
前記システムは圧力制御装置(40)を更に含み、前記圧力制御装置(40)は、前記第1制御モジュラブロック(41)と、前記第2制御モジュラブロック(42)と、前記第3制御モジュラブロック(43)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項4】
前記蒸気-水流量偏差制御チャネル(32)は、第1蒸気-水流量偏差制御チャネル(321)と第2蒸気-水流量偏差制御チャネル(322)を含み、前記第1蒸気-水流量偏差制御チャネル(321)は前記貫流式蒸気発生器(10)の出口流量値を測定するために用いられ、前記第2蒸気-水流量偏差制御チャネル(322)は前記給水調整弁群(50)の入口流量値を測定するために用いられ、前記第1蒸気-水流量偏差制御チャネル(321)は、第2圧力トランスミッタと、第2アナログ量調整分配カードと、第2アナログ量入力基板カードと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項5】
前記圧力偏差制御チャネル(31)は、第1圧力トランスミッタ、第1アナログ量調整分配カード及び第1アナログ量入力基板カードを含むことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項6】
前記負荷要求制御チャネル(33)は、第3圧力トランスミッタと、第3アナログ量調整分配カードと、第3アナログ量入力基板カードと、を含むことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項7】
貫流式蒸気発生器の圧力制御方法であって、
請求項1~
6のいずれか1項に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御システムによって、
S1.前記貫流式蒸気発生器(10)の出口圧力値を測定し、前記出口圧力値が目標圧力設定値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合には圧力偏差信号を出力し、
S2.前記貫流式蒸気発生器(10)の出口流量値及び前記給水調整弁群(50)の入口流量値を測定して、前記出口流量値と前記入口流量値の差分値を計算し、前記差分値と前記圧力偏差信号を重畳して微調整制御信号を出力し、
S3.前記蒸気タービン(20)の入口蒸気圧力値を測定し、前記入口蒸気圧力値が切替閾値を超えているか否かを判断して、超えている場合には、高低負荷信号を出力して前記第1弁(51)と前記第2弁(52)を同時に開放し、超えていない場合には、前記第1弁(51)を閉止し、前記第2弁(52)を開放する、
とのステップを実行することを特徴とする貫流式蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項8】
前記高低負荷信号は粗調整開度データを更に含み、前記方法は、前記第1弁(51)が、更に、前記粗調整開度データに基づき第1弁開度が設定される、とのステップを更に含むことを特徴とする請求項
7に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項9】
前記微調整制御信号は微調整開度データを含み、前記方法は、前記第2弁(52)が、更に、前記微調整制御信号の前記微調整開度データに基づき第2弁開度が設定される、とのステップを更に含むことを特徴とする請求項
7に記載の貫流式蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項10】
蒸気発生器の圧力制御システムであって、
蒸気発生器(10)の出口圧力値を測定し、前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して圧力偏差値を取得するための第1制御モジュール(61)と、
蒸気発生器(10)の出口流量値及び給水調整弁群(50)の入口流量値を測定し、前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出して、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳することで、前記給水調整弁群(50)の第1弁(51)を制御する第1開度値を取得するための第2制御モジュール(62)と、
蒸気タービン(20)の入口蒸気圧力値を測定し、前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群(50)の第2弁(52)を制御する第2開度値を取得するための第3制御モジュール(63)と、を含むことを特徴とする蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項11】
前記第2弁(52)の第2開度値は第2開度データを含み、前記第1弁(51)は、更に、前記第2開度データに基づき第1弁開度が設定されることを特徴とする請求項
10に記載の蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項12】
前記第1弁(51)の第1開度値は第1開度データを含み、前記第2弁(52)は、更に、前記第1開度データに基づき第2弁開度が設定されることを特徴とする請求項
10に記載の蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項13】
前記第1制御モジュール(61)は、第1制御チャネル(31)及び第1制御モジュラブロック(41)を含み、前記第1制御チャネル(31)は、蒸気発生器(10)の出口圧力値を測定するために用いられ、前記第1制御モジュラブロック(41)は、前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して、圧力偏差値を取得するために用いられることを特徴とする請求項
10~
12のいずれか1項に記載の蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項14】
前記第2制御モジュール(62)は、第2制御チャネル(32)及び第2制御モジュラブロック(42)を含み、前記第2制御チャネル(32)は、蒸気発生器(10)の出口流量値及び給水調整弁群(50)の入口流量値を測定するために用いられ、前記第2制御モジュラブロック(42)は、前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出して、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳するために用いられることを特徴とする請求項
10~
12のいずれか1項に記載の蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項15】
前記第2制御チャネル(32)は、第1偏差制御チャネル(321)と第2偏差制御チャネル(322)を含み、前記第1偏差制御チャネル(321)は前記蒸気発生器(10)の出口流量値を測定するために用いられ、前記第2偏差制御チャネル(322)は前記給水調整弁群(50)の入口流量値を測定するために用いられることを特徴とする請求項
14に記載の蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項16】
前記第3制御モジュール(63)は、第3制御チャネル(33)及び第3制御モジュラブロック(43)を含み、前記第3制御チャネル(33)は、蒸気タービン(20)の前記入口蒸気圧力値を測定するために用いられ、前記第3制御モジュラブロック(43)は、前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群(50)の第2弁(52)を制御する第2開度値を取得するために用いられることを特徴とする請求項
10~
12のいずれか1項に記載の蒸気発生器の圧力制御システム。
【請求項17】
蒸気発生器の圧力制御方法であって、
S1.蒸気発生器(10)の出口圧力値を測定し、前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して圧力偏差値を取得し、
S2.蒸気発生器(10)の出口流量値及び給水調整弁群(50)の入口流量値を測定し、前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出して、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳することで、前記給水調整弁群(50)の第1弁(51)を制御する第1開度値を取得し、
S3.蒸気タービン(20)の入口蒸気圧力値を測定し、前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群(50)の第2弁(52)を制御する第2開度値を取得する、
ことを含む、ことを特徴とする蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項18】
前記ステップS1は、
S11.蒸気発生器(10)の出口圧力値を測定し、
S12.前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して圧力偏差値を取得する、
ことを含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項19】
前記ステップS2は、
S21.蒸気発生器(10)の出口流量値及び給水調整弁群(50)の入口流量値を測定し、
S22.前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出し、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳する、
ことを含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項20】
前記ステップS21は、
S211.前記蒸気発生器(10)の出口流量値を測定し、
S212.前記給水調整弁群(50)の入口流量値を測定する、
ことを含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項21】
前記ステップS3は、
S31.蒸気タービン(20)の前記入口蒸気圧力値を測定し、
S32.前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群(50)の第2弁(52)を制御する第2開度値を取得する、
ことを含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の蒸気発生器の圧力制御方法。
【請求項22】
原子力発電所の蒸気発生器システムであって、
蒸気発生器(10)と、蒸気タービン(20)と、給水調整弁群(50)と、請求項
10~
16のいずれか1項に記載の蒸気発生器の圧力制御システム(100)と、
を含むことを特徴とする原子力発電所の蒸気発生器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電の技術分野に関し、特に、蒸気発生器システム、蒸気発生器の圧力制御システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貫流式蒸気発生器は、原子炉の設計における重要デバイスである。蒸気発生器が導出する一次回路冷却材の熱に対し十分な水を供給し、飽和蒸気を発生させて二次回路の動力装置に供給する。加圧水型原子炉原子力発電所の設計では、貫流式蒸気発生器の圧力自動制御システムにより蒸気発生器の圧力を設計値付近に制御することで、原子炉の正常且つ安定的な稼働を保証している。
【0003】
現在開示されている技術では、通常、圧力の偏差と蒸気-水流量の偏差を用いて貫流式蒸気発生器の出口圧力を制御しており、貫流式蒸気発生器における迅速な反応特性と、原子炉の炉心における反応の遅れとのミスマッチについては合わせて考慮していない。
【0004】
従来技術には、制御システムのアクチュエータに対する要求が高く、弁の動作幅が大きいため、システムの安定性にとって不利であるとの欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上記の欠点に対し、改良された蒸気発生器システム、蒸気発生器の圧力制御システム及びその制御方法を提供し、貫流式蒸気発生器における出口圧力制御の要求を満たし、貫流式蒸気発生器の正常且つ安定的な稼働を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は、以下の通りである。
【0007】
貫流式蒸気発生器、蒸気タービン及び給水調整弁群を含む貫流式蒸気発生器の圧力制御システムを提供する。前記システムは、更に、前記貫流式蒸気発生器の出口圧力値を測定するための圧力偏差制御チャネルと、前記出口圧力値と目標圧力設定値の大きさを比較して圧力偏差信号を選択的に出力するための第1制御モジュラブロックと、前記貫流式蒸気発生器の出口流量値及び前記給水調整弁群の入口流量値を測定するための蒸気-水流量偏差制御チャネルと、前記出口流量値と前記入口流量値の差分値を計算し、前記差分値と前記圧力偏差信号を重畳して、微調整制御信号を出力する第2制御モジュラブロックと、前記蒸気タービンの入口蒸気圧力値を測定するための負荷要求制御チャネルと、前記入口蒸気圧力値と切替閾値を比較して、高低負荷信号を選択的に出力するための第3制御モジュラブロック、を含む。
【0008】
前記給水調整弁群は、第1弁と第2弁を含む。前記第1弁は前記高低負荷信号に基づき選択的に開放又は閉止され、前記第2弁は前記高低負荷信号に基づき選択的に開放又は閉止される。
【0009】
好ましくは、前記高低負荷信号は粗調整開度データを含み、前記第1弁は、更に、前記粗調整開度データに基づき第1弁開度が設定される。
【0010】
好ましくは、前記第2弁は、更に、前記微調整制御信号の前記微調整開度データに基づき第2弁開度が設定される。
【0011】
好ましくは、前記システムは圧力制御装置を更に含む。前記圧力制御装置は、前記第1制御モジュラブロック、前記第2制御モジュラブロック及び前記第3制御モジュラブロックを含む。
【0012】
好ましくは、前記蒸気-水流量偏差制御チャネルは、第1蒸気-水流量偏差制御チャネルと第2蒸気-水流量偏差制御チャネルを含む。前記第1蒸気-水流量偏差制御チャネルは前記貫流式蒸気発生器の出口流量値を測定するために用いられ、前記第2蒸気-水流量偏差制御チャネルは前記給水調整弁群の入口流量値を測定するために用いられる。前記第1蒸気-水流量偏差制御チャネルは、第2圧力トランスミッタ、第2アナログ量調整分配カード及び第2アナログ量入力基板カードを含む。
【0013】
好ましくは、前記圧力偏差制御チャネルは、第1圧力トランスミッタ、第1アナログ量調整分配カード及び第1アナログ量入力基板カードを含む。
【0014】
好ましくは、前記負荷要求制御チャネルは、第3圧力トランスミッタ、第3アナログ量調整分配カード及び第3アナログ量入力基板カードを含む。
【0015】
更に、貫流式蒸気発生器の圧力制御方法を提供する。当該方法は、上記の貫流式蒸気発生器の圧力制御システムによって、以下のステップを実行する。
【0016】
S1.前記貫流式蒸気発生器の出口圧力値を測定し、前記出口圧力値が目標圧力設定値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合には圧力偏差信号を出力する。
【0017】
S2.前記貫流式蒸気発生器の出口流量値及び前記給水調整弁群の入口流量値を測定して、前記出口流量値と前記入口流量値の差分値を計算し、前記差分値と前記圧力偏差信号を重畳して微調整制御信号を出力する。
【0018】
S3.前記蒸気タービンの入口蒸気圧力値を測定し、前記入口蒸気圧力値が切替閾値を超えているか否かを判断して、超えている場合には、高低負荷信号を出力して前記第1弁と前記第2弁を同時に開放し、超えていない場合には、前記第1弁を閉止し、前記第2弁を開放する。
【0019】
好ましくは、前記高低負荷信号は粗調整開度データを更に含む。前記方法は、前記第1弁が、更に、前記粗調整開度データに基づき第1弁開度が設定される、とのステップを更に含む。
【0020】
好ましくは、前記方法は、前記第2弁が、更に、前記微調整制御信号の前記微調整開度データに基づき第2弁開度が設定される、とのステップを更に含む。
【0021】
更に、蒸気発生器の圧力制御システムを提供する。当該システムは、蒸気発生器の出口圧力値を測定し、前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して圧力偏差値を取得するための第1制御モジュールと、蒸気発生器の出口流量値及び給水調整弁群の入口流量値を測定し、前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出して、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳することで、前記給水調整弁群の第1弁を制御する第1開度値を取得するための第2制御モジュールと、及び、蒸気タービンの入口蒸気圧力値を測定し、前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群の第2弁を制御する第2開度値を取得するための第3制御モジュールと、を含む。
【0022】
好ましくは、前記第2弁の第2開度値は第2開度データを含み、前記第1弁は、更に、前記第2開度データに基づき第1弁開度が設定される。
【0023】
好ましくは、前記第1弁の第1開度値は第1開度データを含み、前記第2弁は、更に、前記第1開度データに基づき第2弁開度が設定される。
【0024】
好ましくは、前記第1制御モジュールは、第1制御チャネル及び第1制御モジュラブロックを含む。前記第1制御チャネルは、蒸気発生器の出口圧力値を測定するために用いられる。前記第1制御モジュラブロックは、前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して、圧力偏差値を取得するために用いられる。
【0025】
好ましくは、前記第2制御モジュールは、第2制御チャネル及び第2制御モジュラブロックを含む。前記第2制御チャネルは、蒸気発生器の出口流量値及び給水調整弁群の入口流量値を測定するために用いられる。前記第2制御モジュラブロックは、前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出して、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳するために用いられる。
【0026】
好ましくは、前記第2制御チャネルは、第1偏差制御チャネルと第2偏差制御チャネルを含む。前記第1偏差制御チャネルは前記蒸気発生器の出口流量値を測定するために用いられ、前記第2偏差制御チャネルは前記給水調整弁群の入口流量値を測定するために用いられる。
【0027】
好ましくは、前記第3制御モジュールは、第3制御チャネル及び第3制御モジュラブロックを含む。前記第3制御チャネルは、蒸気タービンの前記入口蒸気圧力値を測定するために用いられる。前記第3制御モジュラブロックは、前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群の第2弁を制御する第2開度値を取得するために用いられる。
【0028】
更に、蒸気発生器の圧力制御方法を提供する。当該方法は、以下を含む。
【0029】
S1.蒸気発生器の出口圧力値を測定し、前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して圧力偏差値を取得する。
【0030】
S2.蒸気発生器の出口流量値及び給水調整弁群の入口流量値を測定し、前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出して、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳することで、前記給水調整弁群の第1弁を制御する第1開度値を取得する。
【0031】
S3.蒸気タービンの入口蒸気圧力値を測定し、前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群の第2弁を制御する第2開度値を取得する。
【0032】
好ましくは、前記ステップS1は、以下を含む。
【0033】
S11.蒸気発生器の出口圧力値を測定する。
【0034】
S12.前記出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して圧力偏差値を取得する。
【0035】
好ましくは、前記ステップS2は、以下を含む。
【0036】
S21.蒸気発生器の出口流量値及び給水調整弁群の入口流量値を測定する。
【0037】
S22.前記出口流量値と前記入口流量値の流量差分値を算出し、前記流量差分値と前記圧力偏差値を重畳する。
【0038】
好ましくは、前記ステップS21は、以下を含む。
【0039】
S211.前記蒸気発生器の出口流量値を測定する。
【0040】
S212.前記給水調整弁群の入口流量値を測定する。
【0041】
好ましくは、前記ステップS3は、以下を含む。
【0042】
S31.蒸気タービンの前記入口蒸気圧力値を測定する。
【0043】
S32.前記入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、前記給水調整弁群の第2弁を制御する第2開度値を取得する。
【0044】
更に、蒸気発生器、蒸気タービン、給水調整弁群及び上述した蒸気発生器の圧力制御システムを含む原子力発電所の蒸気発生器システムを提供する。
【発明の効果】
【0045】
本発明を実施することによる有益な効果は次の通りである。即ち、本発明の蒸気発生器システム、蒸気発生器の圧力制御システム及びその制御方法において、蒸気発生器の圧力制御システムは、第1制御モジュール、第2制御モジュール及び第3制御モジュールにより給水調整弁群の開閉状況を制御する。3つの制御モジュールにより粗調整と微調整のニーズを区別して、第1弁と第2弁の開閉をそれぞれ制御することで、粗調整と微調整のニーズを同時に満たすとの点が実現される。
【0046】
本発明における蒸気発生器システム、蒸気発生器の圧力制御システム及びその制御方法によれば、貫流式蒸気発生器は、微小摂動過渡過程における圧力の精密な調整を満たし得るとともに、大幅な過渡変化の発生時にも、迅速且つ安定的に目標状態に調整可能である。
【0047】
原子炉の正常稼働時の過渡過程において、迅速且つ正確に貫流式蒸気発生器の出口圧力を制御可能となる。また、貫流式蒸気発生器における迅速な反応特性と原子炉の炉心における反応の遅れとのミスマッチを合わせて考慮することで、原子炉の一次、二次回路における調和の取れた制御が実現される。これにより、制御システムの反応とアクチュエータの動作がより合理的となるため、原子炉システムの安定的な稼働に有利となる。
【0048】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御システムの概略原理図である。
【
図2】
図2は、本発明のいくつかの実施例における蒸気-水流量偏差制御チャネルの概略原理図である。
【
図3】
図3は、
図1における圧力制御装置の概略原理図である。
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの実施例における給水調整弁群の概略原理図である。
【
図5】
図5は、本発明のいくつかの実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御方法の概略フローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の別のいくつかの実施例における原子力発電所の蒸気発生器システムの概略原理図である。
【
図7】
図7は、
図6における蒸気発生器の圧力制御システムの概略原理図である。
【
図8】
図8は、
図7における第1制御モジュールの概略原理図である。
【
図9】
図9は、
図7における第2制御モジュールの概略原理図である。
【
図11】
図11は、本発明の別のいくつかの実施例における蒸気発生器の圧力制御方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、ここで、図面を参照して、本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0051】
図1は、本発明のいくつかの実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御システムを示している。当該システムは、貫流式蒸気発生器10が、微小摂動過渡過程における圧力の精密な調整を満たし得るとともに、大幅な過渡変化の発生時にも、迅速且つ安定的に目標状態に調整し得るよう制御するために用いられる。
図1~4の組み合わせに示されるように、本発明の実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御システムは、貫流式蒸気発生器10、蒸気タービン20、給水調整弁群50、圧力偏差制御チャネル31、蒸気-水流量偏差制御チャネル32、負荷要求制御チャネル33及び圧力制御装置40を含む。圧力偏差制御チャネル31、蒸気-水流量偏差制御チャネル32及び負荷要求制御チャネル33は、それぞれ、出口圧力値、出口流量値、入口流量値及び入口蒸気圧力値を測定する。圧力制御装置40は、出口圧力値、出口流量値、入口流量値及び入口蒸気圧力値に基づき計算を行い、粗調整状態と微調整状態を区別する。そして、微調整制御信号及び高低負荷信号を出力することで、給水調整弁群50の開閉状況を制御する。
【0052】
圧力偏差制御チャネル31は、貫流式蒸気発生器10の出口圧力値を測定するために用いられる。圧力偏差制御チャネル31の入口は貫流式蒸気発生器10の出口に接続され、圧力偏差制御チャネル31の出口は圧力制御装置40に接続される。選択的に、いくつかの実施例において、圧力偏差制御チャネル31は、第1圧力トランスミッタ、第1アナログ量調整分配カード及び第1アナログ量入力基板カードを含んでもよい。理解し得るように、圧力偏差制御チャネル31の圧力測定、アナログ量調整及び入力方式はその他の形式としてもよい。従って、ここでは具体的に制限せず、関連の機能を実現できればよい。
【0053】
図1、
図2、
図4の組み合わせに示されるように、蒸気-水流量偏差制御チャネル32は、貫流式蒸気発生器10の出口流量値及び給水調整弁群50の入口流量値を測定するために用いられる。いくつかの実施例において、蒸気-水流量偏差制御チャネル32は、第1蒸気-水流量偏差制御チャネル321と第2蒸気-水流量偏差制御チャネル322を含む。第1蒸気-水流量偏差制御チャネル321は貫流式蒸気発生器10の出口流量値を測定するために用いられ、第2蒸気-水流量偏差制御チャネル322は給水調整弁群50の入口流量値を測定するために用いられる。選択的に、いくつかの実施例において、第1蒸気-水流量偏差制御チャネル321は、第2圧力トランスミッタ、第2アナログ量調整分配カード及び第2アナログ量入力基板カードを含んでもよい。理解し得るように、蒸気-水流量偏差制御チャネル32の圧力測定、アナログ量調整及び入力方式はその他の形式としてもよい。従って、ここでは具体的に制限せず、関連の機能を実現できればよい。
【0054】
負荷要求制御チャネル33は、蒸気タービン20の入口蒸気圧力値を測定するために用いられる。負荷要求制御チャネル33の入口は蒸気タービン20の入口に接続され、負荷要求制御チャネル33の出口は圧力制御装置40に接続される。選択的に、いくつかの実施例において、負荷要求制御チャネル33は、第3圧力トランスミッタ、第3アナログ量調整分配カード及び第3アナログ量入力基板カードを含んでもよい。理解し得るように、負荷要求制御チャネル33の圧力測定、アナログ量調整及び入力方式はその他の形式としてもよい。従って、ここでは具体的に制限せず、関連の機能を実現できればよい。
【0055】
図1~4の組み合わせに示されるように、圧力制御装置40は、第1制御モジュラブロック41、第2制御モジュラブロック42及び第3制御モジュラブロック43を含む。理解し得るように、第1制御モジュラブロック41、第2制御モジュラブロック42及び第3制御モジュラブロック43は、ソフトウェア方式、回路基板カード等の方式で実現してもよい。従って、ここでは一部に制限せず、関連の機能を実現できればよい。
【0056】
第1制御モジュラブロック41は、出口圧力値と目標圧力設定値の大きさを比較して、圧力偏差信号を選択的に出力するために用いられる。理解し得るように、ここで言う目標圧力設定値は、具体的要求に基づき設定すればよい。従って、ここでは具体的に制限せず、関連の機能を実現できればよい。
【0057】
第2制御モジュラブロック42は、出口流量値と入口流量値の差分値を計算し、差分値と圧力偏差信号を重畳して、微調整制御信号を出力する。好ましくは、微調整制御信号は微調整開度データを含む。
【0058】
第3制御モジュラブロック43は、入口蒸気圧力値と切替閾値を比較して、高低負荷信号を選択的に出力するために用いられる。好ましくは、高低負荷信号は粗調整開度データを含む。
【0059】
給水調整弁群50は、第1弁51と第2弁52を含む。第1弁51は高低負荷信号に基づき選択的に開放又は閉止され、第2弁52は高低負荷信号に基づき選択的に開放又は閉止される。
【0060】
いくつかの実施例において、第1弁51は、更に、粗調整開度データに基づき第1弁開度が設定される。また、第2弁52は、更に、微調整制御信号の微調整開度データに基づき第2弁開度が設定される。
【0061】
図6は、本発明の別のいくつかの実施例における原子力発電所の蒸気発生器システムを示している。当該システムは、蒸気発生器10、蒸気タービン20、給水調整弁群50及び蒸気発生器の圧力制御システム100を含む。
図4、
図6、
図7の組み合わせに示されるように、給水調整弁群50は第1弁51と第2弁52を含む。蒸気発生器の圧力制御システム100は、第1制御モジュール61、第2制御モジュール62及び第3制御モジュール63を含む。第1制御モジュール61は、圧力偏差値を取得するために用いられる。第2制御モジュール62は、給水調整弁群50の第1弁51を制御する第1開度値を取得するために用いられる。第3制御モジュール63は、給水調整弁群50の第2弁52を制御する第2開度値を取得するために用いられる。蒸気発生器の圧力制御システム100は、第1制御モジュール61、第2制御モジュール62及び第3制御モジュール63によって給水調整弁群50の開閉状況を制御する。これにより、蒸気発生器10が、微小摂動過渡過程における圧力の精密な調整を満たすとともに、大幅な過渡変化の発生時にも、迅速且つ安定的に目標状態に調整し得るよう制御する。
【0062】
いくつかの実施例において、蒸気発生器10は、貫流式蒸気発生器であってもよいし、原子力発電の分野で一般的なその他の形式の蒸気発生器であってもよい。従って、ここでは具体的に制限せず、関連の機能を実現できればよい。また、蒸気タービン20は、上記の実施例と同じであってもよいし、原子力発電の分野で一般的なその他の形式の蒸気タービン20であってもよい。従って、ここでは具体的に制限せず、関連の機能を実現できればよい。
【0063】
図1、
図4、
図6の組み合わせに示されるように、給水調整弁群50は第1弁51と第2弁52を含む。第1弁51は第1開度値に基づき選択的に開放又は閉止され、第2弁52は第2開度値に基づき選択的に開放又は閉止される。
【0064】
いくつかの実施例において、第1弁51は、更に、第2開度値の第2開度データに基づき第1弁開度が設定される。また、第2弁52は、更に、第1開度値の第1開度データに基づき第2弁開度が設定される。好ましくは、第1弁51の第1開度値は第1開度データを含み、第2弁52は、更に、第1開度データに基づき第2弁開度が設定される。
【0065】
図1、
図6、
図7の組み合わせに示されるように、本発明のいくつかの好ましい実施例において、蒸気発生器の圧力制御システム100は、第1制御モジュール61、第2制御モジュール62及び第3制御モジュール63を含む。第1制御モジュール61は、圧力偏差値を取得するために用いられる。第2制御モジュール62は、給水調整弁群50の第1弁51を制御する第1開度値を取得するために用いられる。第3制御モジュール63は、給水調整弁群50の第2弁52を制御する第2開度値を取得するために用いられる。
【0066】
図1、
図6~
図8の組み合わせに示されるように、第1制御モジュール61は、蒸気発生器10の出口圧力値を測定し、出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して、圧力偏差値を取得するために用いられる。具体的に、第1制御モジュール61は、第1制御チャネル31及び第1制御モジュラブロック41を含む。第1制御チャネル31は、蒸気発生器10の出口圧力値を測定するために用いられる。第1制御モジュラブロック41は、出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して、圧力偏差値を取得するために用いられる。
【0067】
図1、
図6、
図7、
図9の組み合わせに示されるように、第2制御モジュール62は、蒸気発生器10の出口流量値及び給水調整弁群50の入口流量値を測定し、出口流量値と入口流量値の流量差分値を算出して、流量差分値と圧力偏差値を重畳することで、給水調整弁群50の第1弁51を制御する第1開度値を取得するために用いられる。好ましくは、第1弁51の第1開度値は第1開度データを含み、第2弁52は、更に、第1開度データに基づき第2弁開度が設定される。
【0068】
具体的に、第2制御モジュール62は、第2制御チャネル32及び第2制御モジュラブロック42を含む。第2制御チャネル32は、蒸気発生器10の出口流量値及び給水調整弁群50の入口流量値を測定するために用いられる。第2制御モジュラブロック42は、出口流量値と入口流量値の流量差分値を算出して、流量差分値と圧力偏差値を重畳するために用いられる。
【0069】
いくつかの実施例において、第2制御チャネル32は、第1偏差制御チャネル321と第2偏差制御チャネル322を含む。第1偏差制御チャネル321は蒸気発生器10の出口流量値を測定するために用いられ、第2偏差制御チャネル322は給水調整弁群50の入口流量値を測定するために用いられる。
【0070】
図1、
図6、
図7、
図10の組み合わせに示されるように、第3制御モジュール63は、蒸気タービン20の入口蒸気圧力値を測定し、入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、給水調整弁群50の第2弁52を制御する第2開度値を取得するために用いられる。好ましくは、第2弁52の第2開度値は第2開度データを含み、第1弁51は、更に、第2開度データに基づき第1弁開度が設定される。
【0071】
具体的に、第3制御モジュール63は、第3制御チャネル33及び第3制御モジュラブロック43を含む。第3制御チャネル33は、蒸気タービン20の入口蒸気圧力値を測定するために用いられる。第3制御モジュラブロック43は、入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、給水調整弁群50の第2弁52を制御する第2開度値を取得するために用いられる。
【0072】
本実施例における原子力発電所の蒸気発生器システムのその他の部分は、上述した実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御システムと同じであるため、ここでは詳述しない。
【0073】
次に、
図1~5を組み合わせて、本発明のいくつかの実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御方法の具体的ステップについて説明する。本発明の実施例において、貫流式蒸気発生器の圧力制御方法は、以下のステップS1~S3を含む。
【0074】
S1.貫流式蒸気発生器10の出口圧力値を測定し、出口圧力値が目標圧力設定値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合には圧力偏差信号を出力する。
【0075】
S2.貫流式蒸気発生器10の出口流量値及び給水調整弁群50の入口流量値を測定する。そして、出口流量値と入口流量値の差分値を計算し、差分値と圧力偏差信号を重畳して、微調整制御信号を出力する。
【0076】
S3.蒸気タービン20の入口蒸気圧力値を測定し、入口蒸気圧力値が切替閾値を超えているか否かを判断する。そして、超えている場合には、高低負荷信号を出力して、第1弁51と第2弁52を同時に開放する。また、超えていない場合には、第1弁51を閉止し、第2弁52を開放する。
【0077】
いくつかの実施例において、高低負荷信号は粗調整開度データを更に含む。当該方法は、第1弁51が、更に、粗調整開度データに基づき第1弁開度が設定されるとのステップを更に含む。好ましくは、第2弁52は、更に、微調整制御信号の微調整開度データに基づき第2弁開度が設定される。
【0078】
本実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御方法は、上述した実施例における貫流式蒸気発生器の圧力制御システムと一致しているため、ここでは詳述しない。
【0079】
次に、
図6~11を組み合わせて、本発明のいくつかの好ましい実施例における蒸気発生器の圧力制御方法の具体的ステップについて説明する。本実施例において、蒸気発生器の圧力制御方法は、更に以下のステップS1~S3を含む。
【0080】
S1.蒸気発生器10の出口圧力値を測定し、出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して、圧力偏差値を取得する。好ましくは、ステップS1は、更に、以下のステップS11及びステップS12を含む。
【0081】
S11.蒸気発生器10の出口圧力値を測定する。
【0082】
S12.出口圧力値と予め設定されている目標圧力値を比較して、圧力偏差値を取得する。
【0083】
S2.蒸気発生器10の出口流量値及び給水調整弁群50の入口流量値を測定し、出口流量値と入口流量値の流量差分値を算出する。そして、流量差分値と圧力偏差値を重畳することで、給水調整弁群50の第1弁51を制御する第1開度値を取得する。
【0084】
具体的に、ステップS2は以下を含む。
【0085】
S21.蒸気発生器10の出口流量値及び給水調整弁群50の入口流量値を測定する。
【0086】
S22.出口流量値と入口流量値の流量差分値を算出し、流量差分値と圧力偏差値を重畳する。
【0087】
好ましくは、ステップS21は、更に、ステップS211及びステップS212を含む。
【0088】
S211.蒸気発生器10の出口流量値を測定する。
【0089】
S212.給水調整弁群50の入口流量値を測定する。
【0090】
S3.蒸気タービン20の入口蒸気圧力値を測定し、入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、給水調整弁群50の第2弁52を制御する第2開度値を取得する。
【0091】
好ましくは、ステップS3は、更に、ステップS31及びステップS32を含む。
【0092】
S31.蒸気タービン20の入口蒸気圧力値を測定する。
【0093】
S32.入口蒸気圧力値と予め設定されている基準閾値を比較することで、給水調整弁群50の第2弁52を制御する第2開度値を取得する。
【0094】
別のいくつかの実施例において、本発明は、更に、
図6~7に示す蒸気発生器の圧力制御システム100を提供する。本実施例における蒸気発生器の圧力制御システム100は上述した実施例と同じであるため、ここでは詳述しない。本発明における貫流式蒸気発生器の圧力制御方法及びシステムによれば、貫流式蒸気発生器10は、微小摂動過渡過程における圧力の精密な調整を満たし得るとともに、大幅な過渡変化の発生時にも、迅速且つ安定的に目標状態に調整可能である。
【0095】
原子炉の正常稼働時の過渡過程において、迅速且つ正確に貫流式蒸気発生器10の出口圧力を制御可能となる。また、貫流式蒸気発生器10における迅速な反応特性と原子炉の炉心における反応の遅れとのミスマッチを合わせて考慮することで、原子炉の一次、二次回路における調和の取れた制御が実現される。これにより、制御システムの反応とアクチュエータの動作がより合理的となるため、原子炉システムの安定的な稼働に有利となる。
【0096】
以上の記載は本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の保護の範囲は上記の実施例に限らない。よって、本発明の構想に属する技術方案は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。指摘すべき点として、当業者にとって、本発明の原理を逸脱しないことを前提とした若干の改良及び補足は、本発明の保護の範囲とみなすべきである。