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特許7556157周辺機器により視覚的装置状態を提供するシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】周辺機器により視覚的装置状態を提供するシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 11/00 20060101AFI20240917BHJP
   A63F 13/98 20140101ALI20240917BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20240917BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240917BHJP
   A63F 9/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
A63F11/00 D
A63F13/98
A63F13/80 F
G06Q50/10
A63F9/00 513
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023542636
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022070665
(87)【国際公開番号】W WO2022178503
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】17/249,112
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514210186
【氏名又は名称】ジェーシーエム アメリカン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・クバジャック
(72)【発明者】
【氏名】マイク・グエン
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ブレベンス
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0090953(US,A1)
【文献】特開2019-025321(JP,A)
【文献】特表2020-519318(JP,A)
【文献】米国特許第09710997(US,B2)
【文献】特開2004-261397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00-13/98
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械のフィードバックを視覚的に提供するためのシステムであって、
前記機械を含むキャビネットに連結するよう構成され、キャビネットの外面から突出するように構成された突起部を含む筐体と、
前記突起部を複数の色で照明するように構成された一つまたは複数の照明要素と、
前記突起部内に配置されたアンテナを備えた近距離無線通信部品と、を備えたモバイルインタフェース機器を備え、
周辺制御装置は、前記機械に関する予め決められた状況に基づいて、(i)前記複数の色のうち一つの静的色、または(ii)当該複数の色のうち一つまたは複数の色の点滅パターンで、前記突起部を照明するように構成され
前記周辺制御装置が従う照明スキームを入力するためのユーザーインタフェースをさらに備えるシステム。
【請求項2】
前記機械の状態は、当該機械に接続された一つまたは複数の周辺機器の状況を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
機械のフィードバックを視覚的に提供するためのシステムであって、
前記機械を含むキャビネットに連結するよう構成され、キャビネットの外面から突出するように構成された突起部を含む筐体と、
前記突起部を複数の色で照明するように構成された一つまたは複数の照明要素と、
前記突起部内に配置されたアンテナを備えた近距離無線通信部品と、を備えたモバイルインタフェース機器を備え、
周辺制御装置は、前記機械に関する予め決められた状況に基づいて、(i)前記複数の色のうち一つの静的色、または(ii)当該複数の色のうち一つまたは複数の色の点滅パターンで、前記突起部を照明するように構成され、
前記周辺制御装置は、前記突起部を特定の時刻において特定の色に照明するよう、さらに構成されシステム。
【請求項4】
前記機械は、電子ゲーム機であり、前記予め決められた状況は、前記電子ゲーム機、この電子ゲーム機に接続された周辺機器、遊技者追跡情報、モバイルウォレット情報、およびセキュリティ情報の状態のうち一つまたは複数に関するものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
機械のフィードバックを視覚的に提供するためのシステムであって、
前記機械の外面から突出するように構成された突起部を含む筐体と、
前記突起部を複数の選択色で照明するように構成された一つまたは複数の照明要素と、
前記突起部内に配置されたアンテナを備えた近距離無線通信部品と、を備えたモバイルインタフェース機器を備え、
周辺制御装置は、前記機械に関する予め決められた状況に基づいて、(i)前記複数の選択色のうち一つの静的色、または(ii)当該複数の選択色のうち一つまたは複数の色の点滅パターンで、前記突起部を照明するように構成され
前記周辺制御装置が従う照明スキームを入力するためのユーザーインタフェースをさらに備えるシステム。
【請求項6】
前記機械の状態は、当該機械に接続された一つまたは複数の周辺機器の状況を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
機械のフィードバックを視覚的に提供するためのシステムであって、
前記機械の外面から突出するように構成された突起部を含む筐体と、
前記突起部を複数の選択色で照明するように構成された一つまたは複数の照明要素と、
前記突起部内に配置されたアンテナを備えた近距離無線通信部品と、を備えたモバイルインタフェース機器を備え、
周辺制御装置は、前記機械に関する予め決められた状況に基づいて、(i)前記複数の選択色のうち一つの静的色、または(ii)当該複数の選択色のうち一つまたは複数の色の点滅パターンで、前記突起部を照明するように構成され、
前記周辺制御装置は、前記突起部を特定の時刻において特定の色に照明するよう、さらに構成されシステム。
【請求項8】
前記機械は、電子ゲーム機であり、前記予め決められた状況は、前記電子ゲーム機、当該電子ゲーム機に接続された周辺機器、遊技者追跡情報、モバイルウォレット情報、およびセキュリティ情報の状態のうち一つまたは複数に関するものである、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
ゲーム機、前記ゲーム機の遊技者、またはカジノに対応するフィードバックを視覚的に提供するシステムであって、
前記ゲーム機の外面から突出するように構成された突起部を含む筐体と、
前記突起部を複数の固有の色で照明するように構成された一つまたは複数の照明要素と、
前記突起部内に配置されたアンテナを備えた近距離無線通信部品と、を備えたモバイルインタフェース機器を備え、
周辺制御装置は、(i)前記複数の固有の色のうち一つの静的色、または(ii)当該複数の固有の色のうち一つまたは複数の色の点滅パターンで、前記突起部を照明するように構成され、前記色および/またはパターンは、(i)前記ゲーム機または関連する周辺機器の状態、(ii)遊技者追跡状態、(iii)セキュリティ上の問題、および(iv)モバイルウォレットの状態のうち一つまたは複数を示し、
前記周辺制御装置は、前記突起部を特定の時刻において特定の色に照明するよう、さらに構成されたシステム。
【請求項10】
前記セキュリティ上の問題は、偽造通貨である、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ゲーム機の状態は、当該ゲーム機に接続された一つまたは複数の周辺機器の状況を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
ネットワークを介して接続された複数の機械と、
前記ネットワークに対応するユーザーインタフェースと、を備えるシステムであって、
前記複数の機械のそれぞれは、
前記機械の外面から突出するように構成された突起部を含む筐体と、
前記突起部を複数の固有の色で照明するように構成された一つまたは複数の照明要素と、
前記突起部内に配置されたアンテナを備えた近距離無線通信部品と、
前記機械またはその使用に関する一つまたは複数の予め決められた状況に基づいて、(i)前記複数の固有の色のうち一つの静的色、または(ii)当該複数の固有の色のうち一つまたは複数の色の点滅パターンで、前記突起部を照明することを含む照明スキームを実行するように構成された周辺制御装置と、を備えたモバイルインタフェース機器を備え、
前記ユーザーインタフェースは、各機械の前記周辺制御装置によって使用される前記予め決められた状況および照明スキームの入力を容易にするよう構成された、システム。
【請求項13】
前記機械は、電子ゲーム機である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記予め決められた状況は、(i)前記電子ゲーム機または関連する周辺機器の状態、(ii)遊技者追跡情報、(iii)セキュリティ上の問題、および(iv)モバイルウォレットの状態に関する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、カジノのゲームシステムやゲーム機の利用者(「遊技者」)を特定する際に使用される装置、システム、および方法に関する。本明細書に記載の技術はまた、カジノや、カジノ関連の施設環境における販促用クレジット、ポイント、および他の形態のデジタル通貨を獲得したり換金したりする際に遊技者が使用する装置、システム、および方法にも関する。本明細書に記載の技術はさらに、カジノのゲームシステムの遊技者と、スマートフォン、タブレット、および他のパーソナルコンピュータ装置などの一つまたは複数のパーソナルテクノロジー装置を遊技者が使用して電子取引および/または情報交換に参加する関連施設とによって、またはこれらの間に生じる電子取引および/または情報交換にも関する。本明細書に記載の技術は、カジノ遊技者のモバイル機器と電子ゲーム機との間で安全にデジタルデータをやり取りするための無線通信システム、装置、および方法の使用にも関する。本明細書に記載の技術は、一つまたは複数の周辺機器の照明に基づいて装置状態を提供することにも関する。
【背景技術】
【0002】
カジノ、ゲーム機、およびゲームシステムの運営は、通常、地域、州、および連邦当局によって厳格に規制されている。これらの規制は、一般に、カジノおよび関連する施設によって、その内部で、またはそれらを通じて発生するあらゆる取引に関する正確な記録を保持しておくよう、カジノに求める。カジノ運営者はまた、そのような取引に対して遊技者を正確に特定し、各取引を記録するために、そのような取引全てに対する積極的なレベルの管理を維持することも求められる。
【0003】
カジノ運営者は、通常、カジノフロアや、運営者が遊技者を特定および認証して、遊技者とカジノの間に発生する取引を追跡する必要があるその他の場所に、多数の装置を提供する。上記の装置の例としては、電子ゲーム機、POS端末、および他の装置やシステムがある。さらに詳細には、カジノ運営者は、通常、「キャッシュ(cash)」およびキャッシュ等価物を伴う取引を追跡することが求められる。ここで、「キャッシュ」とは、政府事業体が発行した紙幣、銀行信用、商社信用、PAYPAL(登録商標)によって提供されるものなどの前払い口座、および任意の他の形態の、広く認められ譲渡可能な種類の経済的価値など、任意の形態の金銭上の約因の総称である。
【0004】
上記の取引の追跡および監査、および遊技者とカジノ運営者による、また両者の間のキャッシュ移転を容易にするために、カジノ運営者は、遊技者に対して、「チケットイン・チケットアウト(TITO)」カードなどカジノが発行した「カード」を利用するよう促すことが多い。TITOカードは、原則的に、遊技者を特定し、付与したポイントの価値を、この遊技者、すなわちこのカードの所持者と対応付ける。所持者は、PINや生体認証などの公知のセキュリティ技術を利用して、TITOカードへのアクセスや、その使用を制限してもよい。TITOカードを使用するために、遊技者は一般に、金融機関の当座預金口座または普通預金口座などの一つまたは複数の所持者の口座から引き落としをするか、一つまたは複数のクレジットカードまたは同様の口座に入金することにより、TITOカードと関連付けられた口座に資金を入れることになる。これらの払い出しおよび預け入れは、カジノおよび関連する施設において換金可能なカジノ「ポイント」と電子的に交換される。ポイントは、カジノゲームを使用する掛金、食事または他の物品の購入、ショーまたは他のアクティビティへの参加など、実質的にあらゆる目的のために換金され得る。「ポイント」はさらに、遊技者の請求により「キャッシュ」に払い戻されてもよい。「キャッシュ」の「ポイント」への交換、またその逆は、ブース、電子ゲーム機、ゲーム用テーブル、オンライン、モバイル機器ソフトウエアアプリケーションにより、または他の方法で行ってもよい。上記の取引がどのように発生したかに関わらず、ゲーム規制では、ポイントが発生し(キャッシュと引き換えに)、利用され(例えば、スロットゲームのプレイにより)、かつ/またはキャッシュまたは他の形態の対価に再交換されて遊技者に提供されるインスタンスを含む取引フローの各インスタンスにおける各「ポイント」の追跡が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、ポイント追跡は、例えば、マスターカジノ追跡システム、スロット管理システム、TITO管理システム、POSシステム、宿泊、レクリエーション、および同様のカジノ関連業務に使われるものなどの施設管理システム、個々の電子ゲーム機(「EGM」)、その他を含む多くのカジノコンピュータシステムおよび装置に及ぶ。上記のシステムおよび装置の一つまたは複数は、ポイント追跡を容易にするための一つまたは複数の実サーバーまたは仮想サーバーを利用してもよい。要するに、「ポイント」の付与、交換、移転、または使用に関する実質的にいかなる装置またはシステムも、それらを通過する各「ポイント」と、このような「ポイント」を取得、交換、または他の方法で移転させる遊技者の身元を追跡することが、通常、要求される。従って、このような要求により、カジノゲーム、システム、および運営者には高度な複雑さが課せられる。
【0006】
さらに、カジノゲーム機およびシステムの基本となるゲームプレイは、厳重に規制されている。ゲーム機の、あるハードウエアおよび/またはソフトウエアコンポーネントに何らかの変更をするためには、遊技者がそのゲームを使用可能となる前に、ゲーム規制当局による再検証および再承認が必要になることが多い。再認証プロセスは、長期にわたり、費用がかかることもある。これらの規制上および技術上の制約のため、カジノシステム運営者は、基本的なゲームプレイ機能を変更したり、EGMを含むカジノゲームを修正したりするのをやめてしまうことが多い。新しい機能やハードウエアが、これらの規制されたコンポーネントとは十分に隔離されるように、そして理想的には相互作用が全く必要ないように設計されることが望ましい。さらに、ゲーム機は、数十年にわたって稼働するかもしれない。従って、中には現代の技術的能力を考慮せず設計されたかもしれない古いゲーム機に、新しい特徴や機能を簡単に組み込めることが望ましい。
【0007】
これらの課題を解決するための一つのアプローチでは、一般にスロットマシンインタフェースボード(「SMIB」)として知られるインタフェースボードの使用が必要であった。SMIBは、通常、EGMが、ゲームプロセッサの関与なしに、一つまたは複数の周辺機器と通信できるようにする。これらの周辺機器は、通常、遊技者に対して付加的なインセンティブや特徴を与えるものの、EGMの基本的なゲームプレイには影響しない。例えば、クーポンの付与、遊技者に対するプロモーションの通知その他は、一つまたは複数のSMIBによって一つまたは複数のEGMに相互接続された周辺機器により、行われることがよくある。SMIBはまた、ゲームプロセッサが関与することなく、EGMが一つまたは複数のネットワークを介して他のカジノシステムサーバーや外部のサーバーと通信できるようにしてもよい。もちろん、他の設計も公知かつ利用可能で、中には、SMIBプロセスとゲームプロセスの両方を組み込んだ単一のEGM処理装置内で、SMIBの機能を仮想化するものもある。個々の設計によっては、再認証を必要とすることなく新たな機能を組み込むために異なるアプローチが必要かもしれない。「カジノ環境で使用される紙幣鑑別および現金支払装置、システム、および方法」という名称の米国特許第10,140,817号(「'817号特許」)に幾つかの例が記述されており、その内容全体を参照により、本明細書に援用する。
【0008】
本明細書および'817号特許に記載のプレミアムサービスは、通常、ゲーム機のディスプレイ上のウィンドウ・オーバーレイ(またはピクチャー・イン・ピクチャー)により提供される。プレミアムサービスは、カジノ顧客にとっては大変好ましいが、サービスを使用するウィンドウ・オーバーレイ法は、最適とは言えない。プレミアムサービスにアクセスするには、顧客の携帯電話が、より便利なインタフェース機器であろうが、カジノ規制だけでなく公正な商習慣では、顧客とカジノが窃盗や他の悪意ある行為から守られるように十分なセキュリティ設備が必要となる。これらの問題の多くは、直接の、認証され、暗号化された無線通信セッションを確立することによって解決される。しかし、カジノの顧客が安全なセッションを行うための迅速で、使いやすく、シームレスな手段がないため、これまで携帯電話はプレミアムサービスとのインタフェースを確立するのに不適切な候補となっている。
【0009】
スマートフォンおよび同様のパーソナルコンピュータ機器(「モバイル機器」と総称する)の出現や、これらの装置によって提供される電子ウォレットやモバイルアプリケーション機能により、今日、遊技者は、カジノ以外のゲーム環境では、物理的なクレジットカード、銀行のデビットカード、身分証明書、およびアクセスカードを使用せずに済ませることがよくある。つまり、遊技者は、取引に参加するために、自身のモバイル機器、およびそれによって提供されるソフトウエアアプリケーションや技術を利用することが多い。このようなモバイル機器は、物理的なカードの代わりに、光学式文字読み取り装置、近距離無線通信(「NFC」)、ブルートゥース(登録商標)、その他などの近接近通信技術を使用して、このような取引に参加することがよくある。NFCおよびブルートゥースは、それぞれNFC Forum,Inc.およびBluetooth SIG,Inc.によって提供される通信技術および一連の仕様であることは公知である。上記の仕様および技術については、参照により本明細書に援用する。
【0010】
さらに、このようにカジノ以外の環境における商取引や売買に参加するためにモバイル機器を広く使用しているにもかかわらず、今日、カジノ運営者が直面する規制や運営上の約因を満たす、いかなる実行可能なメカニズムも、カジノゲーム環境において同様なモバイル機器能力の展開を可能にはしていない。
【0011】
従って、カジノ産業では、遊技者が、直接、EGMとインタフェースを確立しつつ、モバイル機器を利用して、賭博に参加する機会の代わりにキャッシュまたはポイントを交換するなど、様々なゲーム取引に参加できるようにする、装置、システム、および方法が必要とされている。この長年にわたる必要性を満たす、上記の必要な装置、システム、および方法の様々な実施の形態は、既存のEGMおよび一般に使用されるモバイル機器技術のいずれかの動作にいかなる基本的な変更も加える必要がなく、これらの両方に対応するという点で、経済的に効率がよいことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本概要は、カジノ運営者によって、かつ/またはカジノ運営者と関連して利用される電子ゲーム機および同様の電子機器およびシステムと、遊技者その他が利用するモバイル機器との間に通信を確立し、上記の遊技者を、認証、追跡、その他の目的のためにカジノ運営者のシステムに対して特定するための装置、システム、および方法の簡易な概念を紹介するためのものである。
【0013】
ある一例として実施の形態は、電子ゲーム機と、遊技者に関連したモバイル機器との間の無線接続を確立するためのモバイルインタフェース機器であってもよい。モバイルインタフェース機器は、モバイル機器にペアリング情報を通信する第1の構成要素を備える。第2の構成要素は、ブルートゥース接続を用いて、モバイル機器をモバイルインタフェース機器と自動的にペアリングする。モバイル機器のモバイルインタフェース機器とのペアリングには、第1の構成要素によってモバイル機器に通信されたペアリング情報を用いる。
【0014】
いくつかの例において、ペアリング情報は、モバイルインタフェース機器とモバイル機器との間の安全なデータ通信を確立するために、暗号鍵を含む。暗号鍵は、モバイル機器のモバイルインタフェース機器とのペアリングごとに一意的に生成されてもよい。いくつかの例において、ペアリング情報は、近距離無線通信を用いてモバイル機器に通信される。
【0015】
別の実施の形態のモバイルインタフェース機器は、少なくとも一つの光学画像を用いてペアリング情報をモバイル機器に通信する第1の構成要素を備える。第2の構成要素は、当該光学画像を用いてモバイル機器をモバイルインタフェース機器と自動的にペアリングする。モバイル機器のモバイルインタフェース機器とのペアリングには、光学画像を用いてモバイル機器に通信されたペアリング情報を用いる。モバイルインタフェース機器は、モバイルインタフェース機器とモバイル機器との間の無線接続を自動的に確立するためにモバイル機器が使用するよう指定されたペアリング情報を含む、少なくとも一つのコードを光学画像に出力するディスプレイも備える。
【0016】
さらに別の実施の形態は、モバイル機器を用いて電子ゲーム機に対して遊技者を特定する方法である。本方法は、電子ゲーム機とモバイル機器との間の近距離無線通信リンクを確立する動作を含む。本方法はさらに、電子ゲーム機をモバイル機器に対してブルートゥースを用いてペアリングするのに必要な情報を、近距離無線通信リンクを介して通信することを含む。本方法は、ブルートゥース接続により、電子ゲーム機をモバイル機器とペアリングする。
【0017】
さらに別の実施の形態は、周辺機器(例えば、NFC機器)と関連した照明の色を、これが接続された機械(例えば、EGM)の状態、かつ/または当該機械に接続された別の周辺機器の状態に基づいて体系的に変更することを伴う。ある実施の形態において、機械のオペレータは、様々な機械状況に対応する固有の照明スキームをプログラミングする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の様々な実施の形態によって提供される特徴、側面、利点、機能、構成要素、装置、システム、および方法について、以下の記述および添付の図面の少なくとも一つに関して、さらにここで開示する。
【0019】
図1図1は、本開示の少なくとも一つの実施の形態に従って使用するよう構成されたカジノシステムの概略図を示す。
図2図2Aおよび図2Bは、本開示の少なくとも一つの実施の形態による、ゲーム室で使用されて、モバイル機器と無線通信するよう構成された遊技者のモバイルインタフェースの概略図を示す。
図3図3Aおよび図3Bは、本開示の少なくとも一つの実施の形態による、遊技者のモバイルインタフェースとともに使用されるアンテナおよびディスプレイ構造の概略図を示す。
図4図4Aないし図4Fは、ブルートゥース接続とNFC接続を利用して、カジノシステムに対して遊技者のモバイル機器を確認および認証し、それらの間で情報およびデータを通信する方法を、複合フローチャートおよび通信動作図で示す。
図5図5は、様々な機械状況に対応する異なる照明スキームで照明され得るタイプのNFC機器を示す。
図6図6Aおよび図6Bは、様々な機械状況に対応する固有の照明スキームをプログラミングするためのユーザーインタフェースの典型的なスクリーン・ショットを示す。
図7図7Aおよび図7Bは、様々な機械状態に対応する異なる照明スキームで照明されているNFC機器を示す。
図8図8は、様々な機械状況に対応する可能な照明スキームの表を示す。
図9図9は、プログラム可能な照明スキームを伴う本発明の一つの実施の形態を詳述するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載の様々な実施の形態は、EGMまたは関連するシステムの、モバイル機器を用いた遊技者の特定、認証、および/または追跡を容易にする装置、システム、および方法に関する。
【0021】
図1に示すように、本開示の少なくとも一つの実施の形態に対して、本明細書に開示されるシステム100は、周辺制御装置104(SMIBまたは同様の機器など)に対して通信可能に連結されたEGM102を備える。ある実施の形態において、ゲーム機の周辺機器は、周辺制御装置104(例えば、ネバダ州ラスベガスのJCMグローバルによって開発された周辺ネットワーク・アダプタ(PNA))に対して、ゲーム用ネットワークを介して通信可能に連結されている。上記の実施の形態において、PNAは、周辺制御装置104として機能して、SMIBが周辺制御装置104として機能する必要がなくなる(少なくともPNAに接続された周辺機器に対して)。別の実施の形態において、周辺制御装置104は、EGMマザーボードと一体化されることにより、EGM102処理装置と通信してもよい。いずれの場合でも、周辺制御装置104は、プリンタ106、紙幣鑑別機108、その他などの一つまたは複数の補助装置に対して通信可能に連結されてもよい。周辺制御装置104は、モバイルインタフェース機器110(「MID」)に対して通信可能に連結され、MID110は、以下でさらに説明するように、遊技者がEGM102を「プレイ」している際の遊技者の特定、認証、および追跡を容易にする。MID110は、ブルートゥース(登録商標)、WIFI、NFC、セルラー、および他の公知の、および/または後に発見されるであろう有線または無線通信プロトコル、装置、システム、その他などの任意のモバイル機器相互接続要素、プロトコル、および技術を利用するように構成されてもよい。少なくとも一つの実施の形態において、MID110は、モバイル機器114との間でNFCおよびブルートゥースプロトコルを使用して、データ信号を一つまたは複数の無線周波数プロトコルにより通信するために構成されている。以下に述べるように、モバイル機器114は、モバイル機器114に対応付けられた遊技者を、カジノ管理システムサーバー118など、カジノシステム130内に設置された一つまたは複数のサーバーに対して特定および認証するように構成されてもよい。モバイル機器114は、遊技者によって提供されてもいいし、カジノが提供しても、その他の方法で提供されてもよい。モバイル機器114は、遊技者をカジノ管理システムサーバー118に対して無線で特定および認証するよう構成された任意の装置でよい。上記のモバイル機器の例には、スマートフォン、スマートウォッチ、および無線接続によりEGMと通信可能な他のパーソナルモバイルコンピュータ装置が含まれるが、これらに限定されるものではない。少なくとも一つの実施の形態によれば、また以下でさらに詳細に述べるように、このような無線通信は、認証され、安全である。
【0022】
少なくとも一つの実施の形態では、EGM102、周辺制御装置104、およびMID110はそれぞれ、単一のゲーム室112内に設けられている。プリンタ106および紙幣鑑別機108もまた、必要であれば、ゲーム室112に設けてもよいし、一つまたは複数の本実施形態の任意の所定の実施にとって望ましいのであれば、別に設けてもよい。
【0023】
EGM102、周辺制御装置104、およびMID110のそれぞれを通信可能に連結するために利用される通信路および/またはリンクは、銅線、プリント基板、光ケーブル、無線経路、その他など、任意の所望の媒体を利用し得ることを認識されたい。少なくとも一つの実施の形態では、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)対応の通信部品を利用して、周辺制御装置104をMID110と通信可能に連結する。他の実施の形態では、MID110をゲーム室112内の任意の他の部品に対して通信可能に連結するために、任意の公知の、または今後開発される通信部品を利用してもよい。さらに、少なくとも一つの実施の形態では、プリンタ106、紙幣鑑別機108、またはMID110を一つまたは複数のEGM102や周辺制御装置104に対して通信可能に連結するために利用される通信部品は、単一の媒体を利用してもよく、上記の装置間で通信されるデータ信号は分離、インターリーブ、アドレス指定、または他の方法で通信される。つまり、ゲーム室112の一つまたは複数の部品を、ゲーム室112の別の一つまたは複数の部品に対して通信可能に連結するために、任意の公知の、または今後開発される通信技術を用いてもよい。このような技術はまた、任意の所定の実施の形態にとって望ましい場合は、例えば修理、更新、その他のために任意の所定の構成要素の取り外しや交換が必要になった場合に、これを簡単に行うことができるように構成されてもよい。ゲーム室112に設けられた一つまたは複数の構成要素に対する電力は、その全部または一部を、そのゲーム室112の別の構成要素から提供されてもよいことを理解されたい。例えば、USB接続により周辺制御装置104に対して通信可能に連結されたMID110は、そのUSB接続を介して周辺制御装置104から提供される電力に依存するものでもよい。他の実施の形態では、MID110の電力は、任意の公知の、または後に出現する技術によって提供されてもよい。MID110、周辺制御装置104、および一つまたは複数のカジノ管理システムサーバー118間の通信を容易にするために、USB2.0その他など、任意の公知の、または後に開発される通信プロトコルを用いてもよい。
【0024】
さらに、本明細書に記載される様々な実施の形態とともに図1その他に図示されるが、ゲーム室112の構成要素は、ゲーム室の内部または外部に設けられてもよいし、ハードウエアおよびソフトウエア要素の任意の所望の組み合わせであってもよいことも理解されたい。このようなハードウエアおよび/またはソフトウエア要素の幾つかは、仮想的に存在するものであってもよいし、ゲーム室112の別の構成要素によって使用されうるハードウエアおよびソフトウエアコンポーネントを利用するものであってもよいことを理解されたい。
【0025】
少なくとも一つの実施の形態によれば、MID110は、NFCアンテナが、MID110ディスプレイを囲む四角形の渦巻き状デザインとなるように構成されてもよい。このような実施の形態では、MID110は、カジノの顧客にとって馴染みがあり、簡単に理解できる「ボタン」または同様の機器に類似したものであってもよく、MID110を周辺制御装置104上に設けられたUSBポートに差し込むことにより、適切なサイズの開口部を介してゲーム室112に設置することができる。
【0026】
ゲーム室112は、図1に図示しない他の構成要素を含んで構成されてもよい。このような他の構成要素の例には、TITOカードリーダー、飲料自動販売機などのアイテムの自動販売機、ユーザーインタフェース部品、その他が含まれるが、これらに限定されるものではない。このような他の構成要素の一つまたは複数は、直接、または例えば周辺制御装置104を介して間接的にMID110と通信するよう構成されてもよい。
【0027】
EGM102は、任意の所望のゲーム体験を遊技者に提供するよう構成されてもよい。例えば、一つの実施の形態では、EGM102は、スロットマシン、ビデオポーカーゲーム、または任意の他のゲーム体験であってもよい。ある実施の形態では、EGM102をゲーム用テーブルおよびディーラーと置き換えてもよい。少なくとも一つの実施の形態では、ゲーム室112は、未成年向けのテレビゲームその他など、様々なタイプの非賭博ユーザーインタフェースを提供するEGMまたは他の構成要素により、非規制体験のためのオプションを提供してもよい。ここで述べる様々な実施の形態は、上記の非賭博および賭博の実施とともに用いられ得ることを理解されたい。従って、EGM102は、規制または非規制の、任意のタイプの遊技者所望の双方向体験を提供することができる。EGM102は、所望のゲームまたは他の双方向体験を提供するために必要な、任意の所望のハードウエアおよびソフトウエアコンポーネントを備えてもよい。ゲームおよび他の体験の種類、およびこのような体験を提供するためのEGM102の技術的な能力は、本開示の範囲外である。
【0028】
周辺制御装置104は、ゲーム室112の一つまたは複数の構成要素に対してスマートデバイスとして動作するように構成されてもよく、その場合、周辺制御装置104自体が、ゲーム室112のMID110または他の構成要素が必要とする一つまたは複数のソフトウエア/論理プログラムや制御を実行する。周辺制御装置104はまた、遊技者のモバイル機器114がMID110に対して通信可能に連結された場合に、このモバイル機器114上で実行される任意のアプリケーション・プログラムの動作を、直接または間接的に制御するよう構成されてもよい。
【0029】
本開示の少なくとも一つの実施の形態に従って、スマートデバイスとして構成された場合、周辺制御装置104は、'817号特許に記載されるようにフユージョン・システム128に直接または間接的に通信可能に連結されるよう構成されて、周辺制御装置104がシステム100の様々なプレミアムな機能に直接アクセスできるようにしてもよい。上記のシステム構成を推進するために、周辺制御装置104は、一つまたは複数のドライバ、および/またはアプリケーション・プログラム・インタフェースを備えて構成されてよく、これによりフュージョン・システム128は、周辺制御装置104およびMID110を介して、例えばモバイル機器114上で実行されるアプリケーション・プログラムによって提供される情報、特徴、および機能を含む、モバイル機器114の一つまたは複数の特徴および機能を制御可能となる。
【0030】
少なくとも一つの実施の形態では、MID110は、GOOGLEによって提供されるAndroid(登録商標) PLAYストアなどのオンラインストアで提供されるモバイルアプリケーションに対するリンクを提示するよう、モバイル機器114に対して指示するように構成されてもよい。上記のリンクを選択すると、カジノ運営者と対応付けられたモバイルアプリケーション・プログラムが、モバイル機器上で実行するために自動的、半自動的(すなわち、ユーザによる何らかの介在を要する)、または手動でダウンロード、インストール、または選択され得る。MID110はまた、ANDROID PAY、SAMSUNG PAY、APPLE PAY、その他などのモバイル決済オプションを実行するよう、モバイル機器114に対して指示するように構成されてもよい。NFCの使用や、上記のモバイル決済システムの実行は、当該分野において公知であり、本開示の範囲外である。
【0031】
別の実施の形態において、周辺制御装置104は、ゲーム室112の一つまたは複数の構成要素に対してパススルータイプの装置として動作するように構成されてもよく、その場合、周辺制御装置104は、基本的にはルーターまたはハブとして機能し、これによってMID110による、またはMID110との間での通信が、カジノ管理システムサーバー118や他のカジノシステム130の構成要素など、システム100の他の構成要素に転送され、移動される。
【0032】
本開示の少なくとも一つの実施の形態に従って、パススルー装置として構成された場合、周辺制御装置104は、例えば、フュージョン・システム128が、MID110およびMID110に対して通信可能に連結されたモバイル機器114と通信し、その動作を制御できるように構成されてもよい。パススルー装置として構成された際、周辺制御装置104は、フュージョン・システム128とMID110との間のデータメッセージを遊技者のモバイル機器114に送るよう、さらに構成されてもよい。
【0033】
さらに別の実施の形態において、周辺制御装置104は、ゲーム室112内に物理的に存在しなくてもよい。その代わり、EGM102またはMID110などの、一つまたは複数のゲーム室112の他の構成要素が、これらの様々な特徴および機能を提供してもよい。さらに、スマートデバイスおよび/またはパススルー装置構成において、周辺制御装置104の特徴および機能を提供するハードウエアおよび/ソフトウエアは、例えば、カジノ管理システムサーバー118上で動作する仮想マシンなど、他のカジノシステム130の構成要素に設けられてもよいことも理解されたい。
【0034】
カジノシステムは、二つまたはそれ以上のゲーム室112を備え、上記ゲーム室のそれぞれの周辺制御装置104が、異なる動作モードを用いてもよいことを理解されたい。例えば、第1の周辺制御装置104は、スマートデバイス動作モードを利用し、第2の周辺制御装置104は、パススルー動作モードを利用してもよい。さらに、周辺制御装置104は、利用するモバイル機器の種類や、要求された取引、その他に基づいて、その動作モードを変更するように構成されてもよい。例えば、周辺制御装置104は、モバイル機器がNFC対応である場合には、スマートデバイスモードを使用し、モバイル機器がNFC対応でない場合には、パススルーモードを使用してもよい。
【0035】
MID110は、一つまたは複数のシステムプロトコルに従って動作するよう構成されてもよい。上記のプロトコルは、例えば、MID110を利用できる時と、利用できない時を管理するように構成されてもよい。MID110は、任意の所望の形式の電子識別の存在、またはデータの他のプロビジョニングによって、遊技者のモバイル機器114を特定および認証するよう構成されてもよい。例示のためだけであって、限定するものではないが、上記の電子識別形式の例には、NFC生成信号、Wi-Fi信号、ブルートゥース信号、他の公知の通信技術、および、二次元バーコード、QRコード(登録商標)、その他などの光学画像が含まれてもよい。少なくとも一つの実施の形態では、MID110は、遊技者の署名など、「チケット」や「タグ」上に設けられた他の形式の情報、コード、または、例えば、モバイル機器114その他のタッチスクリーン対応ユーザーインタフェースを用いて遊技者が提供する他の識別子を受信するように構成されてもよい。MID110は、光学式文字生成能力、パターン生成能力、および他の形式の信号および文字生成能力を備えるように構成されてもよい。少なくとも一つの実施の形態によれば、MID110は、紙幣鑑別機108またはプリンタ106とともに設けられてもよい。少なくとも一つの実施の形態では、本システムは、プリンタ106、紙幣鑑別機108、EGM102が提供するディスプレイ、または遊技者のモバイル機器114によって読み取り可能なQRコードを生成することができる他の装置を利用するように構成されてもよい。このようにして生成されたQRコードは、例えば、チケットとして印刷されてもよいし、ディスプレイ上に表示されてもよい。QRコードは、モバイル機器114を所定のセッションのために所定のMID110とペアリングするのに十分な情報を、上記モバイル機器114に提供するために利用されてもよい。従って、本開示の少なくとも一つの実施の形態に対して、MID110は、任意の所定のセッションその他に対して、MID110を所定の遊技者のモバイル機器114とペアリングするためにNFC通信能力を保有する、または利用するよう構成してもよいが、必ずしもその必要はないことを理解されたい。
【0036】
固有の識別子で、MID110を識別してもよい。識別子の例としては、ネットワークアドレス、デバイスアドレス、媒体アクセス制御(「MAC」)アドレス、シリアルナンバー、固有の数列、カジノシステム内の二つまたはそれ以上のMID110のグループ化、またはその他の方法があるが、これらに限定されるものではない。少なくとも一つの実施の形態に対して、MID110は、利用するNFCトランシーバが提供されるMACアドレスによって特定されてもよいことを理解されたい。このようなMACアドレスは、MID110が任意の所定のセッションに対してモバイル機器114に渡す暗号化コードに基づいて、セッションごとに固有であってもよいことを理解されたい。MID110は、例えば、カジノ運営者、規制当局、遊技者、または前者の任意の組み合わせが要求しうる、使用データ、装置の健全性、状態、および他のパラメータを含む、MID110の使用に関する様々な基準を蓄積、監視、および提供するように構成されてもよい。
【0037】
周辺制御装置104は、第1のネットワーク116に対して通信可能に連結されてもよい。少なくとも一つの実施の形態によれば、第1のネットワーク116は、カジノによってのみ利用されるもので、物理的および/または論理的に外部のシステムおよび侵入者に対して閉じられていてもよい。上記のカジノシステム130の構成要素に対するアクセスを制限するために、一つまたは複数のファイアウォールおよび閉鎖/制限データポート、または他のアプローチを使用してしてもよい。第1のネットワーク116は、任意の公知の、または後に出現するネットワーク技術を利用してもよい。第1のネットワーク116は、ローカルエリア・ネットワーク、広域ネットワーク、インターネット、または任意の他の通信構成、トポロジー、媒体、プロトコル、および技術を備え、これを利用してもよい。
【0038】
第1のネットワーク116は、カジノが、その運営、会計、報告、マーケティング、管理、セールス、および他の目的に利用する、一つまたは複数のサーバー、データベース、装置および/またはシステムを通信可能に相互接続する。このようなサーバーの例としては、カジノ管理システムサーバー118、スロット管理システム120、TITOシステム122、施設管理システム124、POSシステム126、およびフュージョン・システム128がある。上記のシステムについては、'817号特許でさらに詳細に説明されている。
【0039】
システム100の任意の構成要素による、またはそれらの間のデータの保存および/または通信は、暗号化されてもよいことを理解されたい。任意の所望の単一の暗号化技術または複数の暗号化技術の組み合わせをシステム100の構成要素が利用してもよく、これにはセキュア・ソケット・レイヤー、仮想プライベートネットワーク、公開/秘密鍵、128ビット、256ビット、および他の暗号化アルゴリズム、または他の公知の、あるいは後に出現する暗号化アルゴリズム、方法、および技術の使用が含まれるが、これらに限定されるものではない。少なくとも一つの実施の形態に対して、遊技者のモバイル機器がカジノによって認証されると、MID110と遊技者のモバイル機器114との間の通信が暗号化される。上記の通信は、MID110と一つまたは複数のカジノシステム130サーバーとの間で、周辺制御装置104を介して、平文または暗号化された形式でさらに通信されてもよい。
【0040】
少なくとも一つの実施の形態によれば、カジノ管理システムサーバー118およびフュージョン・システム128などのネットワーク化されたシステム構成要素の任意の二つまたはそれ以上を、論理的、物理的、仮想的、直接、または間接的にMID110と通信可能に連結し得ることも理解されたい。このような通信カップリングは、一つまたは複数のアプリケーション・プログラム・インタフェース(API)の使用を含んでもよく、システム100およびその構成要素が提供する一つまたは複数の特徴または機能を許可、アクセス、制御、または他の方法で管理するために、任意の二つのシステム100構成要素間のAPI呼び出しを利用してもよい。
【0041】
図1にさらに図示されるように、少なくとも一つの実施の形態に関して、システム100は、一つまたは複数の第2のネットワーク131の使用を含むものでもよい。このような第2のネットワーク131は、任意の所望のデータ通信技術、プロトコル、媒体、およびトポロジーを利用してもよい。少なくとも一つの実施の形態によれば、第2のネットワーク131は、インターネットである。第2のネットワーク131は、例えば、宝くじサーバー134、パリ・ミュチュエルサーバー136、マーケティングサーバー138、ファンタジー・スポーツサーバー140といった一つまたは複数のサードパーティサーバーに代表されるような、一つまたは複数のサードパーティシステムとカジノシステム130を通信可能に接続するよう構成されてもよい。このようなサードパーティシステム132およびサーバーの一つまたは複数によって提供されるサービスは、遊技者にとってプレミアムな特徴として提供されてもよいことを理解されたい。少なくとも一つの実施の形態に関して、このようなサードパーティシステム132およびサーバーは、MID110と通信可能に連結されたモバイル機器114を使用する遊技者によってアクセス可能であってもよい。
【0042】
本開示の少なくとも一つの実施の形態に関して図2Aおよび図2Bに示されるように、MID110と共に使用するために構成されたシステム200は、周辺制御装置104、EGM102、カジノシステム130、遊技者のモバイル機器114、および遊技者のモバイル機器114とカジノシステム130の一つまたは複数の構成要素による、またそれらの間での情報信号の識別および通信を容易にするよう構成されたMID110を備えてもよい。図2Aおよび図2Bに示すように、MID110の構成要素が、MID110が提供する機能に従って図示されている。上記の機能は、チップ上のシステムとして適切に構成されたデジタル信号プロセッサおよび同様の構成要素、個別の物理的構成要素、またはその組み合わせによって提供されうることを理解されたい。さらに詳細には、少なくとも一つの実施の形態に関して、MID110は、デジタル信号プロセッサ206を含んで構成されてもよい。デジタル信号プロセッサ206は、デジタル信号処理、MACアドレス処理、デバイス制御、および関連する機能で使用するために構成可能な、任意の形態のマイクロコントローラであってもよい。少なくとも一つの実施の形態によれば、プロセッサ206は、ARM Cortex-M4タイプまたは同等のプロセッサとしてもよい。
【0043】
MID110はまた、一つまたは複数のカジノ内通信部品208を備えて構成されてもよい。本開示の少なくとも一つの実施の形態に関して上述したように、MID110は、USB、LAN、WIFI、イーサネット、その他の方法などの、一つまたは複数の公知の有線および/または無線通信技術を用いて周辺制御装置104に対して通信可能に連結されてもよい。少なくとも一つの実施の形態に対して、カジノ内通信部品208は、USBケーブルによりMID110に接続するために構成された少なくとも一つのUSBポートを有するUSBインタフェースボードを備える。所定の実施形態に対しては、MID110を直接または間接的に周辺制御装置104および/または一つまたは複数のシステム200の他の構成要素に対して通信可能に連結するために、他のタイプの通信インタフェース、基板、ポート、コネクタ等を利用してもよい。別個の装置として設けた場合、カジノ内通信部品208は、適切なサイズのMIDバス218によってプロセッサ206に対して通信可能に連結されてもよい。
【0044】
MID110は、一つまたは複数のメモリ部品210を備えて構成されてもよい。このようなメモリ部品210は、本開示の任意の実施の形態の任意の所定の実施に対して適切なサイズの任意の形態のメモリでよい。メモリ210は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去可能ROM(EPROM)、フラッシュメモリその他など、任意の所望のレベルの(不)揮発性を有して構成されてもよい。メモリ210は、必要であれば、分割されてもよいし、他の方法で分離または提供されてもよい。例えば、一時的な指示をフラッシュまたは他の形態のキャッシュメモリに保存し、MID110装置ファームウェアをROMに格納してもよい。メモリ210は、MIDバス218に通信可能に連結されてもよい。
【0045】
MID110は、一つまたは複数のセキュリティ部品212を含んで構成されてもよい。セキュリティ部品212は、保存、送信、使用、その他の際における任意の所望のレベルのデータ保護を容易にするように構成されてもよい。少なくとも一つの実施の形態に対して、MID110、遊技者のモバイル機器114、周辺制御装置104、および/またはカジノシステム管理サーバー118の間のデータ送信は、128ビットAES暗号化を用いて暗号化される。他のデータセキュリティ技術および/または追加のデータセキュリティ技術を使用してもよい。例えば、任意のシステム200の構成要素による、またそれらの間のデータの保存または送信に対して、256ビットAESレベルの暗号化を利用してもよい。
【0046】
MID110は、一つまたは複数のモバイル機器通信部品214を含んで構成されてもよい。ある実施の形態において、このようなモバイル機器通信部品214は、NFC技術とブルートゥース技術の両方を用いてMID110とモバイル機器114とを容易に接続するように構成されてもよい。少なくとも一つの実施の形態によれば、モバイル機器通信部品214は、任意の所望のブルートゥースクラスの出力レベルを用いて、モバイル機器114にブルートゥース信号を送信するよう構成されてもよい。ある実施の形態に関して、使用されるブルートゥース出力レベルでは、10メートルまでの動作範囲においてMID110とモバイル機器114との間で確実な接続を維持し得る。他の実施の形態では、クラス1ないし4などの、さらに高い、または低い出力のブルートゥース出力クラスを利用して、所望の動作範囲を提供してもよい。他の実施の形態では、MID110とモバイル機器114によって、またこれらの間で提供される動作範囲は、ノイズ、信号干渉、セキュリティ上の懸念その他があるかなど、環境および他の条件によって変動しうる。
【0047】
第1の装置と第2の装置の間にブルートゥース接続を確立するには、通常、接続しようとする各装置における問合せまたは発見プロセスの起動が必要であることが、一般に理解される。問合せまたは発見プロセスは、各装置が自身を他の装置に対して認証させることができるメカニズムを提供する。ブルートゥース問合せおよび発見プロセスでは、ある装置を別の装置に対して、例えば、遊技者のモバイル機器114をMID110に対してシームレスで迅速に接続することができず、オペレータの入力を必要とすることが多い。少なくともこれらの理由から、ブルートゥースのみのアプローチは、多くのカジノ運営者にとっては人手を要し、望ましくない。
【0048】
ここ数年、NFCフォーラムおよびブルートゥースSIGは、NFCを用いて第1のブルートゥース構成装置を第2のブルートゥース構成装置に対して自動的に認証し、安全に接続するためのプロトコルを開発してきた。従って、少なくとも一つの実施の形態に対して、MID110のモバイル機器通信部品214は、NFC能力を含んで構成されてもよい。このようなNFC能力は、通常、NFC対応のアンテナ、トランシーバ、データキャッシュ、および他の公知の部品を含む。これらおよび他のNFC通信部品は、当該分野において公知であるため、ここではさらに述べない。モバイル機器通信部品214は、さらに、任意の公知の、または今後開発されるNFCブルートゥース・ハンドオーバー・プロトコルを利用するように構成されてもよい。上記のプロトコルによれば、少なくとも一つの実施の形態に対し、モバイル機器通信部品214は、例えば、NFCロゴまたは同様の指示子を備えたゲーム室112の指定された領域にモバイル機器を「タッチする」と、自動的にMID110を遊技者のモバイル機器114に対して特定し、遊技者のモバイル機器114上でアプリケーション・プログラムを起動し、MID110に対して遊技者のモバイル機器114を認証し、MID110とモバイル機器114のそれぞれが有するブルートゥース部品に対して通信をハンドオーバーするように構成されてもよい。このような手順には、一つまたは複数の暗号鍵、MACアドレス、およびMID110と遊技者のモバイル機器114との間の安全なブルートゥース通信を容易にするために利用される他の情報を交換することも含まれ得る。少なくとも一つの実施の形態に対して、ブルートゥース通信は、ブルートゥース接続が終了されるまで、MID110と遊技者のモバイル機器114との間で継続する。ブルートゥース接続は、モバイル機器114がMID110またはモバイル機器114のブルートゥース範囲外に移動するか、いずれかの部品によるリンクの終了に基づいて終了してもよいことを理解されたい。システム200は、MID110と遊技者のモバイル機器114との間で安全な通信を維持するために、モバイル機器114をMID110に対して周期的に再認証したり、新たな暗号鍵を交換したり、あるいはカジノ運営者が別途希望するように進むよう構成されてもよい。
【0049】
特に、遊技者のモバイル機器114は、ブルートゥース能力を有する一方、NFC能力を備えて構成されないかもしれない。従って、少なくとも一つの実施の形態に対して、遊技者は、NFCを用いてMID110に対して遊技者を認証するために使用できる「タグ」を提供されてもよい。例えば、タグは、カジノが遊技者に提供するホテルルームキーに取り付けられるか、またはこれに設けられてもよい。上記のタグは、NFCを介して遊技者のモバイル機器114をMID110に対して認証するのに必要で、MID110とモバイル機器114との間で、MID110と遊技者のモバイル機器114のそれぞれが有するブルートゥース部品を用いて接続を確立する際に使用される情報を含むようにプログラミングされてもよい。
【0050】
あるいは、少なくとも一つの実施の形態に対して、遊技者のモバイル機器114の認証は、カメラ搭載スマートフォンおよび同様の機器によって提供される光学式文字認識能力を用いて行ってもよい。上記のカメラ搭載モバイル機器は、QRコードおよび同様の符号化された光学画像を読み取って解釈するように構成されてもよい。上記のQRおよび同様のコードは、所定のMID110を特定するのに必要な情報を提供し、これを読み取るモバイル機器114に対して、ブルートゥースを介し、所定のMID110を自動的に見つけて、これと接続するように指示する。少なくとも一つの実施の形態に対して、MID110は、このようなQRコードまたは同様のコードを光学的に提示するよう構成されたディスプレイ216を含むように、任意に構成されてもよい。MID110が提示するQRコードは、ある光学式文字認識能力を満たすモバイル機器によって読み取り可能に構成されてもよい。表示されるQRコードは、必ずしも人間が読み取ったり認識したり出来る必要はない。ディスプレイ216上に提示されるQRコードは、モバイル機器114が、MID110を見つけ、MID110との間に安全なブルートゥース接続を確立するのに必要な情報を提供する。ある実施の形態では、一般的なQRコード読み取りソフトウエアアプリケーションを遊技者のモバイル機器114上で利用してもよい。別の実施の形態では、QRコード読み取り機能を、カジノその他と関連したソフトウエアアプリケーションに組み込んで、遊技者のモバイル機器114上で起動してもよい。少なくとも一つの実施の形態では、ソフトウエアアプリケーションは、QRコードの検出時や、例えば、位置情報その他に基づいて、モバイル機器がカジノに入った時に、自動的に起動されてもよい。生成されるQRコードは、接続情報のみを提供する静的コードでもよいし、接続情報と暗号情報の両方を提供する動的コードでもよい。静的QRコードは、MID110とモバイル機器114との間の二つ以上のブルートゥース接続(それぞれを「BTセッション」という)に対して利用してもよい。動的QRコードは、各BTセッションに対して固有である。少なくとも一つの実施の形態では、QRコードは、任意の装置によって、チケットなど任意の所望の形態で、ディスプレイ装置上または他の方法で生成されてもよい。
【0051】
図3Aおよび図3Bに示すように、少なくとも一つの実施の形態に対して、MID110は、先に述べた光学式文字生成能力を備えるのに加え、ディスプレイ300/304およびNFCアンテナ302/306を有することによってNFC能力も備えるように構成されてもよい。図3Aに示すように、少なくとも一つの実施の形態に対して、NFCアンテナ302アレイのアームは、ディスプレイ300の外縁周りに配置された四角形の渦巻き状を有するものでもよい。図3Bに示すように、NFCアンテナ306アレイのアームは、ディスプレイ300/304の外縁に近接した四角形の渦巻き状に配置されてもよい。少なくとも一つの実施の形態に対して、ディスプレイ300および304は、1インチ×1インチ以下のサイズに構成されて、ディスプレイ300/304の表面から4インチ未満に配置されたモバイル機器114のカメラによって読み取り可能なQRまたは同様の画像を提示する。ディスプレイ300/304は、提示されたQRコードの、ディスプレイ300/304の表面の実質的に上に配置されないモバイル機器による読み取りを禁止および/または防止するように構成されてもよい。ここで「実質的に上」とは、モバイル機器上の光学式文字読み取り装置が、ディスプレイ300/304の表示面がある軸平面から垂直に延びる軸の45度以内に配置されていることを意味する。
【0052】
上述したように、本開示の一つまたは複数の実施形態は、MID110を遊技者のモバイル機器114とペアリングするためにNFC通信能力を備えたり、使用したりしなくてもよい。このような非NFCの実施形態に対しては、ひとたびMID110を遊技者のモバイル機器114と自動的にペアリングするのに必要な情報が遊技者のモバイル機器114に対して通信されると、MID110と遊技者のモバイル機器114との間にブルートゥース接続が確立され得るので、図4A図4Fで説明する一つまたは複数の動作が不要であることを理解されたい。上述したように、このようなペアリング情報は、任意の形式で、任意の対応装置によって通信されてもよい。
【0053】
ここで図4A図4Fを参照して、少なくとも一つの実施の形態に対し、カジノシステムに対して遊技者のモバイル機器を確認、認証して、これらの間で情報およびデータを通信するためにブルートゥース接続とNFC接続を利用する方法を示す。図4A図4Fでは、通信および動作図も示され、周辺制御装置104、または周辺制御装置104に対して通信可能に連結されたカジノシステム130内の一つまたは複数のサーバーなどのホスト103と、MID110と、遊技者のモバイル機器114との間で発生し得る通信および動作の少なくとも一つの実施の形態を図示する。システム100の装置間において、付加的な、より少ない、代替的な、かつ/または他のステップおよび/または通信が発生し得ることは理解されたい。便宜上、装置間の様々な通信が図示されていないことも理解されたい。図示しない通信の例には、通信可能に連結された装置間においてランダムに、周期的、または他の基準で送信され得るような状態リクエスト、確認メッセージ、応答、その他の送信が含まれる。
【0054】
図4Aに示すように、本開示による方法の一つの実施の形態は、EGM102がまず、モバイル機器114と共に使用されるために構成される、または「電源投入される」と、開始し得る(動作400)。任意の所定のEGM102は、任意の所定の時間に、任意の所定の理由により、または任意の所定の理由がないことにより、遊技者のモバイル機器114と相互作用する能力に関して「電源投入」または電源非投入の状態であってもよいことを理解されたい。図示するように、EGM102が電源投入されると、ホスト103は、MID110に対して一つまたは複数の状態リクエストメッセージを通信する(動作400a)ように構成され得る。このようなメッセージの形態は任意の所望のものでよいが、少なくとも一つの実施の形態に対しては、メッセージの同期、コマンドの送信、バイト数などで表現し得る所定のメッセージ長の特定、誤り訂正の提供、暗号化、データ、および他のメッセージ要素に適した要素を含むものでもよい。状態リクエストメッセージの送信は、ポーリングによって行われてもよいし、ポーリングによらなくてもよい。同様に、システムに接続された、ホスト103、MID110、およびモバイル機器114を含むがこれらに限定されない任意の装置は、状態リクエストメッセージを送信してもよい。状態リクエストメッセージはさらに、任意の所定のイベントが発生した場合、またはそれがない場合に送信されてもよい。例えば、NFC搭載モバイル機器114が、MID110のNFCアンテナの範囲内に配置されたことなどによるMID110の起動を契機として、MID110からホスト103に状態リクエストメッセージが送信されてもよい。少なくとも一つの実施の形態によれば、状態リクエストメッセージを受信する装置は、50ミリ秒以内に確認メッセージまたは他の適切な応答で返答しなければならない。本システムは、先に送信したメッセージに対する応答が時間内に受信されない場合、メッセージを再送信するように構成されてもよい。メッセージは、任意の所定の実施の形態にとって必要であれば、一回または複数回連続して送信してもよい。少なくとも一つの実施の形態では、このようなメッセージの再送信は、適切な応答が受信されなかった送信済みメッセージから100ミリ秒後に行ってもよい。本システムは、時間内に応答が受信されない状態リクエストメッセージを、システムの異常、遊技者がEGMから遠ざかっている、その他を示しているものと見なすように構成されてもよい。
【0055】
図4Aにさらに示すように、MID110は、NFC能力を禁止するように構成されてもよい。このような状態の場合、MID110は、状態リクエストメッセージに対して、「禁止」信号で応答してもよい(動作400b)。上述したように、周辺制御装置104は、MID110の動作状態を直接、またはパススルーモードの時などは間接的に制御して、カジノシステム130のサーバーが「ホスト」103として動作してもよい。従って、図4Aは、ホスト103が、イネーブルメッセージを送信することなどによって、MID110を有効化するよう命令してもよいことを図示している(動作400c)。MID110は、無効コマンドが送信されるまでなど、任意の所定の時間、ある一定の期間、その他などの間、有効化されてもよい。「有効化された」状態にある場合、MID110は、モバイル機器114またはタグからのNFCメッセージをリッスンする。「アイドル」状態にある場合、MID110は、MID110がモバイル機器とペアリングする準備ができているが、そのようなペアリングは現在生じていない旨を示すアイドルメッセージを通信してもよい(動作400d)。
【0056】
モバイル機器114がMID110の範囲内に移動し、このモバイル機器を使用している遊技者がモバイル機器114とMID110とのブルートゥース接続を利用したいと思った場合(動作402)、遊技者は、モバイル機器114またはタグをMID110に「タッチする」。ここで用いる、モバイル機器114および/またはタグのMID110に対する「タッチ」とは、ボタンまたはMID110、EGM102、紙幣鑑別機108、またはゲーム室112の他の構成要素によって提供される他のユーザーインタフェースを物理的に押すことなどによって物理的に、またはモバイル機器114またはタグをMID110から発生する電磁場内を通過させることなどによって電磁的に、生じさせてもよい。NFCまたは他の周波数における電磁場の発生は、当該分野において公知なので、ここでは説明しない。「タッチが発生する」と(動作404)、MID110は、「NFC有り」メッセージまたは同様のメッセージをホスト103に対して通信するよう構成されてもよい(動作404a)。このようなメッセージは、任意の所望の量または種類の情報を伝達してもよく、少なくとも一つの実施の形態に対しては、NFC対応装置が範囲内にあることを通信する。
【0057】
図4Aにさらに示すように、NFC有りメッセージを受信すると、ホスト103は、NFCタイプリクエストメッセージで応答するように構成されてもよい(動作404b)。上述したように、システムは、NFC能力を持たないモバイル機器とペアリングするように構成されてもよい。従って、NFCタイプリクエストメッセージは、MID110の範囲内のモバイル機器114がNFC可能であるかを問い合わせるために利用されてもよい。ある実施の形態では、ブルートゥースによりNFC可能でないモバイル機器をMID110と自動的にペアリングするために必要な情報が、NFCタグの使用を含んでもよい。このようなNFCタグは、例えば、ルームキー、TITOチケット、または他の方法で提供されてもよい。少なくとも一つの実施の形態に対して、NFCタグで提供される情報は、MID110、紙幣鑑別機108、またはその他の方法によってアクセスされてもよい。NFCタグは、アクティブまたはパッシブNFC装置、またはMID110と遊技者のモバイル機器114によって、またそれらの間でブルートゥース接続を自動的に確立するのに必要な情報を伝達する任意の他の装置であってもよい。少なくとも一つの実施の形態に対して、NFCタイプリクエストメッセージ(動作404b)は、NFC可能モバイル機器またはタグの使用によって提示されているNFC情報を読み取るようにMID110に指示してもよい。提示される情報は、MID110、ホスト103、別のゲーム室112、またはそのいずれかの組み合わせによって、任意の公知の、または後に出現する技術を用いて読み取り、判定されてもよい(動作404c~、404d~、404e)。図4A図4Fに図示される実施の形態に対して示されるように、電話/モバイル機器自身またはNFCタグという二つの可能なNFC情報源が利用可能である。本方法は、検出された装置のNFCタイプによって図4Bまたは図4Cに続く。
【0058】
モバイル機器がNFC対応である場合、本方法は図4Bに進み、MID110とモバイル機器114との間にブルートゥース通信を自動的に確立させる(動作406)。ある実施の形態に対して、ブルートゥース通信の確立は、MID110上でブルートゥース(「BT」)チャネルを開放する動作(動作406a~406j)を含んでもよい。ある実施の形態では、MID110は、ホストから指示を受けた時のみ(動作406a~406b)ブルートゥースチャネルを開放するように構成されてもよい。他の実施の形態では、MID110は、「タッチ」が発生するたびにブルートゥースチャネルを開放するように構成されてもよい。ホスト103は、ブルートゥースチャネルが開放された旨の確認をMID110から受信するまで待つ、かつ/または「リッスンする」ように構成されてもよい(動作406c)。
【0059】
ブルートゥースチャネルの開放には、セッション固有、セッション共通、または他の情報の生成が含まれてもよい(動作406d)。例えば、ブルートゥース接続に乱数が割り当てられるかもしれない。このような乱数は、ブルートゥースを介してMID110とモバイル機器114との間に通信を確保するのに利用される暗号鍵を判定するために使用してもよい。同様に、ブルートゥースチャネルの開放は、ブルートゥースプロトコルによって提供されるようなセキュリティ保護のみを利用する「プレーンテキスト」で行ってもよいし、暗号化など、一つまたは複数の追加のカジノシステム運営者によるセキュリティ対策を利用し得る「安全な方法」で行ってもよい。少なくとも一つの実施の形態では、MID110とモバイル機器114との間のセッションの確立は、それぞれ一意的に行われ、通信を確保するために新たな暗号鍵が用いられてもよい。あるいは、同じ暗号鍵を利用して、二つまたはそれ以上のセッションに対してMID110とモバイル機器114との間に通信を確保してもよい。このような構成情報は、モバイル機器に通知され(動作406e)、モバイル機器114は、MID110から提供された情報を用いてブルートゥース接続を確立する(動作406h)ように構成されてもよい。ただし、少なくとも一つの他の実施の形態では、通信フローが逆向きでもよく、モバイル機器114が、MID110とブルートゥース接続を確立するために使用される情報源であってもよいことは理解されたい。
【0060】
ブルートゥース接続を確立するために必要な情報を処理すると、モバイル機器114は、BT接続または同様のメッセージをMID110に送信してもよい(動作406i)。MID110はさらに、BTペアリングまたは同様のメッセージをホスト103に通信してもよい(動作406j)。
【0061】
図4Cには、タグまたは他のNFC非対応モバイル機器を用いてブルートゥース接続を確立する方法が図示される。図4Cに示す方法によれば、本方法は、ホストがMID110に対して、自身のブルートゥースチャネルを開放するように指示する動作(動作408a)を含んでもよい。このような指示は、例えば、鑑別機または他の装置を用いる遊技者からタグの情報を得た時に必要となり得る。動作408b~408cによれば、MID110は、自身のブルートゥースチャネルを開放し、その状態をホスト103に返信する。MID110またはゲーム室112の他の構成要素がディスプレイ、プリンタ106、または他の対応機器を含む場合、ホスト103は、QRコードを生成して通信し(動作408d)、MID110(動作408e)、EGM102、プリンタ106、または他の装置に表示するように構成されてもよい。このようなQRコードがある場合、モバイル機器114は、コードを読み取って、適切な動作を行う(動作408f)。ある実施の形態によれば、上記の適切な動作には、モバイル機器114上でモバイルアプリケーションを起動すること(動作408g)や、ブルートゥースを介してモバイル機器114をMID110に接続するのに必要な他の動作を行う(動作408h)ことが含まれてもよい。QRコードを介してモバイル機器114に通信される情報が、動作406d~406eによって通信されるのと同じ情報を含んでもよいことを理解されたい。いずれのアプローチにおいても、所定の実施の形態で必要であれば、追加の情報を通信してもよい。動作408i~408jによれば、BT接続およびBTペアリングメッセージを、それぞれMID110およびホスト103に対して通信してもよい。
【0062】
図4Bを再度参照して、モバイル機器がブルートゥースによってMIDに接続されると、本方法は、少なくともある実施の形態に対して、遊技者の特定を続けてもよい(動作410)。遊技者の特定は、遊技者を特定しようとするカジノシステム130の遊技者管理システムなどのホスト103によるリクエストで開始し得る。遊技者IDリクエストメッセージが、カジノシステム130の任意のサーバー、EGM102、周辺制御装置104、その他から、モバイル機器114に対して適切に通信されてもよい(動作410a~410b)。モバイル機器114は、リクエストされた情報で適切に応答し、この情報は、それをリクエストしたホスト103に対して提供される(動作412a~412b)。リクエストされた遊技者ID情報には、遊技者を確認、認証、または他の方法で特定するためにカジノシステムまたは装置が必要とする任意の情報を含んでもよいことを理解されたい。遊技者のIDがリクエストに応じて入手できない実施の形態もあり得ることを理解されたい(動作414a~414b)。例えば、遊技者がカジノにとって新規で、あるいは登録されていないかもしれない。本方法は、遊技者が「ログインする」または他の方法で自身の身元を証明する前にブルートゥース接続を確立することを許可するように構成されてもよい(動作412~414)。従って、本方法は、必要であれば、遊技者がモバイルアプリケーションやEGM102にログインする、またはカジノシステム130に対して自身の身元を証明するのを待つように構成されてもよい(動作414c~414f)。そして、少なくとも一つの実施の形態によれば、本方法は、図4D~4Fに示す動作の一つまたは複数を続ける。ただし、遊技者の特定は、図4Aから4Fに示す方法の任意の時、かつ/または本開示の一つまたは複数の実施の形態によって用いられる任意の他のプロセスにおいて行われてもよいことは理解されたい。
【0063】
図4Dに示すように、本方法は、データがモバイル機器との間で通信されるべきか否か判定するための動作(動作416および418)を含んでもよい。少なくとも一つの実施の形態に対して、上記のデータの処理(動作420および420a~420e)では、続いて、データがホストからモバイル機器に送信され、確認メッセージが返送されてもよい。少なくとも一つの実施の形態に対して、上記のプロセスは、図4Eに従って進めてもよい。モバイル機器114がホストに提供すべきデータを有しているか否か判定するための一つの方法は、ホストからMIDを介してモバイル機器に状態リクエストメッセージを定期的に送信する(動作416a)ことである旨を理解されたい。図示するように、このような状態リクエストに対するMID110の応答には、ブルートゥースセッションがアクティブであることを確認する(動作416b)ことを含んでもよい。同様に、MID110は、状態リクエストまたは同様のメッセージをモバイル機器に送信することによって、ブルートゥース接続が依然としてアクティブであることを定期的に確認してもよい(動作416c)。モバイル機器は、提供すべき他のデータを有していない場合には、アイドルメッセージで応答する(動作416d)ように構成されてもよい。モバイル機器が提供すべきデータを有している場合、本方法は、図4Eのように進んでもよい。
【0064】
図4Eに示すように、モバイル機器114は、様々な種類のデータをホストとの間でやり取りしてもよい。例えば、モバイル機器は、賞金を交換しようとしてデータを提供してもよい(動作424~426)。ある実施の形態によれば、モバイル機器は、賞金交換メッセージをホストに対してMID110を介して通信することによって、賞金交換方法を開始してもよい(動作424a~424b)。このようなリクエストを受信すると、ホストは、賞金を有効化し、有効化されると、遊技者の口座(イーウォレットまたは他の口座)を更新するように構成されてもよい(動作426a~426b)。ホストは、MID110を介して賞金交換済メッセージをモバイル機器に通信するように構成されてもよい(動作426c~426d)。
【0065】
同様に、ホスト103は、賞金が獲得された場合にモバイル機器に通知することを望み(動作428)、上記の賞金を遊技者と対応付けられた口座に計上(動作430)してもよい。さらに詳細には、少なくとも一つの実施の形態に対して、ホストは、賞金がいつ獲得されたかを認識するように構成されてもよい(動作428a)。このような獲得イベントは、例えば、賭けに成功するなど利益を上げたゲームプレイや、ランダムな賞金、その他によって生じ得る。賞金が獲得されると、ホストは、自動的に遊技者の口座、イーウォレット、または他の口座を更新するように構成されてもよい(動作428b)。図4Eには示されないが、ある実施の形態は、口座を更新する前に、遊技者がその賞金を受け取りたいか確認するように構成されてもよい。さらに、賞金が獲得されて、口座が更新されると、ホストは、情報、すなわち賞金計上メッセージをモバイル機器に通信するように構成されてもよく、これによりモバイル機器は、その上で実行しているアプリケーションを更新できる(動作430a~430c)。
【0066】
図4Eにさらに示すように、モバイル機器が開始しうる別のタイプのイベントには、「キャッシュイン」イベントが含まれてもよい(動作432)。推論できるように、キャッシュインイベントは、遊技者が、追加のゲームプレイができるようにするために追加の「キャッシュ」を自身の口座に入金したいと思った時に生じ得る。紙幣、クレジットカードまたはデビットカードへのチャージ、その他など、提供されるキャッシュの形態に関わらず、モバイル機器114は、キャッシュインイベントをホスト103に対して一つまたは複数のキャッシュインメッセージで通信するように構成されてもよい(動作432a~432b)。少なくとも一つの実施の形態では、これらのメッセージは、遊技者が紙幣鑑別機108を使用するのと連動して発生してもよい。メッセージおよび「キャッシュ」(どのようなものであっても)を受信すると、ホスト103は、リクエストを検証し、適切な口座を更新して、更新が成功した旨のメッセージをモバイル機器114に通信するように構成されてもよい(動作434a~434d)。モバイル機器114は、更新が成功した旨のメッセージを受信すると、自身のアプリケーションを更新するよう構成されてもよい(動作434e)。
【0067】
キャッシュアウト方法も想定されるであろう(動作436~438)。キャッシュアウト方法によれば、ポイントをキャッシュに交換したい遊技者は、一つまたは複数のキャッシュアウトメッセージをホスト103に送信することによって、上記の方法を、自身のモバイル機器114を用いて開始しうる(動作436a~436b)。ホスト103は、リクエストを検証し、それに応じて口座を更新するよう構成されてもよい(動作438a~438b)。口座は、電子的資金移動または他の方法などにより直接、あるいはTITOチケットの更新または他の方法などにより間接的に更新されてもよいことを理解されたい。キャッシュアウト成功メッセージは、ホスト103からモバイル機器114に通信されて(動作438c~438d)、これに応じてモバイル機器114が一つまたは複数のアプリケーション・プログラムおよび/または口座を更新する(動作438e)。これらのプロセスおよび他のプロセスは、セッションが終了するまで継続されてもよい。
【0068】
図4Fに示すように、ブルートゥース接続(セッション)は、遊技者がログアウトすると(動作440)、終了する。例えば、遊技者は、自身のモバイル機器114上で実行されているアプリケーション・プログラムからログアウトすることによってセッションを終了してもよい(動作440a)。本システムは、少なくとも一つの実施の形態に対して、周期的な状態リクエストメッセージに応答してモバイル機器114が送信した対応するメッセージに基づいて、ユーザがログアウトしたことを判断するように構成されてもよい(動作440b~440e)。同様に、ブルートゥース接続は、ホスト103がセッションを終了することを希望した時に終了されてもよい(動作442)。例えば、遊技者がある一定の期間、EGMを能動的に使用していない場合、ホスト103は、モバイル機器114に対してペアリング解除リクエストメッセージを送信するように構成されてもよい(動作442a~442c)。確認または時間の経過によって、セッションが終了されるよう指定されてもよい(動作442c~442d)。同様に、干渉、遊技者のモバイル機器114がゲーム室112から離れたこと、その他など、他の理由によって接続を切断してもよい。MID110は、ホスト103の関与なしに、これらの種類のイベントを検出してもよいし、一つまたは複数の未回答の状態リクエストメッセージをモバイル機器114に送信するよう構成されてもよい(動作444a)。少なくとも一つの実施の形態に対して、3回の状態リクエストメッセージにモバイル機器114が回答しなかった後に、接続は失われたと見なして、MID110および/またはホスト103によって終了するよう指定されてもよい(動作444b)。
【0069】
図4Fに示すように、少なくとも一つの実施の形態では、セッションが終了するよう指定されると、終了方法は、ホスト103がMID110に対してチャネルを閉鎖するように指示することで開始される(動作446a~446c)。他の実施の形態に対して、終了は、MID110によって直接、またはモバイル機器114によって、開始されてもよい。図4Fにさらに図示されるように、少なくとも一つの実施の形態では、本終了方法は続いて、モバイル機器114が自身のブルートゥースチャネルをまず閉鎖し(動作446c)、それからMID110がブルートゥースチャネルを閉鎖し(動作446d)、ブルートゥースチャネルが閉鎖されてモバイル機器114とMID110とのペアリングが解除されたことをホスト103に通知する(動作446e)。他の実施の形態では、モバイル機器114またはMID110によるチャネルの閉鎖は、同時に起きてもよいし、任意の所望の順番で発生してもよい。ブルートゥースチャネルが閉鎖され、モバイル機器114のMID110とのペアリングが解除されると、図4Aの動作を続けてもよい。
【0070】
さらに、少なくとも一つの実施の形態によれば、少なくとも部分的にMI110を介してEGM102に対して通信可能に連結されたモバイル機器114上で実行されているアプリケーション・プログラムは、遊技者に対して、任意の所望のユーザーインタフェースを提示して、遊技者の相互作用の任意の所望の形態または機能に対応するように構成されてもよいことを理解されたい。さらに詳細には、ここで述べる様々な実施の形態は、モバイル機器114が、一つまたは複数のプレミアムな特徴を直接または間接的にサポートするように構成し得るよう、構成されてもよい。このようなプレミアムな特徴の例は、'817号特許に記載されている。少なくとも一つの実施の形態によれば、プレミアムな特徴は、EGM102と対応付けられたディスプレイに提示された一つまたは複数のオーバーレイ、ピクチャ、ウィンドウ、パネル、ペイン、その他(集合的にも個別にも「オーバーレイ」という)として提供されてもよい。このようなオーバーレイは、EGM102のディスプレイ、本開示のある実施の形態に従って通信可能に連結されたモバイル機器上のディスプレイ、またはその他の方法で提供されてもよい。
【0071】
同様に、このようなプレミアムな特徴と関連付けられたユーザ入出力機能は、本開示の少なくとも一つの実施の形態によれば、EGM102に対して通信可能に連結されたモバイル機器114の使用によりサポートおよび/または提供されてもよい。例えば、このように接続されたモバイル機器114は、EGM102が対応しないであろうユーザ文字入力または他の入力能力を提供してもよい。電子書式での納税申告書(例えば、W-2G申告書)を、プリンタ106で印刷するのに対して、このような申告書を遊技者のモバイル機器に提供するなどのデータ出力能力もまたサポートされるかもしれない。従って、このような慎重な取り扱いを要する情報の遊技者に対する提供は、本開示の少なくとも一つの実施の形態によって確立された安全な接続を介して行わなければならない。よって、本開示の少なくとも一つの実施の形態は、EGM102に対して通信可能に連結されたモバイル機器114を用いて、プレミアムな特徴を遊技者に提供することをサポートするよう構成されてもよいことを理解されたい。
【0072】
別の実施の形態では、オペレータが、機械またはその周辺機器の状態または状況を示すように一つまたは複数の周辺機器を構成できるように、本システムを構成する。以下に説明するように、機械はEGMであるが、当業者であれば、他の機械でも同様に有効であることが理解できよう。当業者はさらに、機械の状態または状況とは、遊技者の動作(例えば、遊技者カードを挿入する)に関連する情報、モバイル機器の接続が成功したか否か、周囲の状況などに関する情報を含む広義の語であることが理解できよう。
【0073】
以下に詳述するように、EGMは、紙幣鑑別機、プリンタ、NFC装置、カードリーダーなどを含む任意の数の周辺機器を有してもよい。ある実施の形態において、周辺制御装置は、ゲームプロセッサが関与することなく、EGMが一つまたは複数の周辺機器と通信できるようにしてもよい。便宜上、NFC装置は、EGMまたはこれに接続された周辺機器の状態をカジノの職員またはカジノの顧客に対して知らせるために選ばれた周辺機器とする。
【0074】
ある実施の形態において、MID110は、ゲーム室112に設置された「ボタン」500または同様の装置のようなものであり、MID110は、周辺制御装置104に設けられたUSBポートに差し込まれる。図5は、長方形の筐体502を有する上記の典型的なボタン500を示す。図示されるように、ボタン500(すなわち、MID110)は、ゲーム機の前面にある。MID110は、遊技者のモバイル機器との通信を確立するのに役立つ。遊技者がモバイル機器をその近くに配置しやすくするよう、筐体502の真下のLEDまたは同様の照明装置がMID110を照らして気づきやすくする。従来、ボタン500は、EGMのテーマ、または統一のカジノカラーにマッチする固定色で照明されていた。本発明のこの実施の形態は、MID110の照明を、EGMの状態、これに接続された周辺機器、遊技者追跡情報、モバイルウォレット情報、セキュリティ情報、およびEGM、遊技者、またはカジノに関連付けられた他のパラメータを含む、EGMと関連付けられた事前設定条件に基づいて、自動的に変更できるようにしようとするものである。
【0075】
実際には、オペレータが好ましい照明スキームを入力し、これにより、オペレータには、EGMおよび/または周辺機器の状態の選択肢、およびこれに関連付けられた色の選択肢が提供される。図6Aおよび6Bは、オペレータがシステムに所望の照明スキームを入力できるタイプの典型的なユーザーインタフェース520を示す。図示されるように、ユーザーインタフェース520は、装置状態522、表示される色524、および表示される時刻526の3つの選択パラメータを備える。本発明の実施の形態内で、他のパラメータも考えられる。図6Bは、各パラメータ欄522、524、および526内の各入力ウィンドウと対応付けられたドロップダウンメニュー528、530、および532を示す。当業者であれば、ドロップダウンメニュー528、530、および532で提供される選択肢の数を多くしたり、少なくしたりしてもよいことは理解できよう。
【0076】
図8は、入力された装置状態552、表示される色554、および色が表示される時刻556を示す表550を示し、これに応じて対応するNFC機器が照明される。NFC機器500の照明源が、任意の色を投影できることは自明である。例えば、任意の色を生成するために、一連のLEDを利用してもよい。オペレータはまた、どのEGMをプログラミングされた照明スキームおよび時間の対象とすべきか指定し得る。従って、オペレータは、入力した照明スキームの対象とする特定のセクションまたは種類のEGMを選択してもよい。
【0077】
ある実施の形態において、プログラミングされた照明スキームは、偽造通貨の使用や他のセキュリティ上の懸念をカジノの職員に警告してもよい。その内容全体を参照により本明細書に援用する「画像処理を使用して領域内の通貨を評価する」という名称の共同所有および同時係属中の米国特許出願第17/036,589号(「589号出願」)で説明されるように、EGM、紙幣鑑別機または他の周辺機器のプロセッサは、様々な不備または他のデータに基づいて偽造通貨を識別するよう機能してもよい。このような実施の形態では、偽造通貨のシリアルナンバーが、紙幣鑑別機108および/または周辺制御装置104によってアクセス可能な一つまたは複数のデータベースに保存される。通貨が紙幣鑑別機108に挿入されると、シリアルナンバーを読み取りまたは撮像して、一つまたは複数のデータベース内の偽造シリアルナンバーと比較する。一致した場合、MID110は、予め決められた方法(例えば、速い点滅の赤)で照明される。
【0078】
別の実施の形態において、本システムは、遊技者追跡データに関連した情報を通信するように構成される。このような実施の形態では、遊技者追跡データが周辺制御装置104に通信され、ある一定の遊技者追跡閾値に達したことに基づいて、MID110を照明してもよい。例えば、遊技者が「無料ディナー」閾値に達すると、カジノ職員に知らせるためにMID110が照明されて、クーポンまたはバウチャーが遊技者に提供されてもよい。
【0079】
別の実施の形態において、本システムは、遊技者のモバイルウォレット口座に関連した情報を通信するように構成される。モバイルウォレットについては、「モバイルウォレットゲーム取引」という名称の共同所有および同時係属中の米国特許第16/823,677号(「’677号出願」)で説明され、その内容全体を参照により本明細書に援用する。このような実施の形態では、モバイルウォレット口座のデータが周辺制御装置104に通信され、ある一定のモバイルウォレット口座閾値に達したことに基づいて、MID110を照明してもよい。例えば、遊技者のモバイルウォレット口座が最小閾値(例えば、25ドル)に達した場合に、MID110を照明して、モバイルウォレット口座に補充が必要である旨を遊技者に知らせてもよい。
【0080】
別の実施の形態において、照明されたMID110は、EGMの最上部に突き出した従来のEGMキャンドルまたはタワーの代わりとして機能する。キャンドルは、EGMに関する問題を保守技術員に知らせたり、遊技者が飲み物を欲していることをカジノの職員(例えば、ウエイトレス)に通知したり、EGMが故障したことを職員に知らせたりなどするために以前から使用されてきた。このようなキャンドルの機能のいずれかを、照明されたMID110を介して有効に統合することができる。
【0081】
図8に示すように、照明スキームは、EGMの状態(例えば、キャッシュボックスがほぼ満杯)だけでなく、周辺機器の状態(例えば、紙幣鑑別機がオフラインである)をカジノの職員に視覚的に知らせるために使用されてもよい。本システムが、問題となる状況または状態を検出できる限りにおいて、任意の数の状況または状態を照明スキームによって識別することができる。
【0082】
別の実施の形態において、周辺制御装置104はさらに、MID110照明スキームに、点滅またはストロボ効果を利用させてもよい。点滅はパターンに基づくものであってもよく、速い点滅が第1の意味を持ち、遅い点滅が第2の意味を持つ。点滅効果は、点滅効果が第1の色(例えば、赤)と第2の色(例えば、黄)とを断続的に切り替えるように複数の色を利用してもよい。様々な色を組合せた場合、カジノの職員および/または遊技者に対して、MID110を介して視覚的に通信し得る情報量に関する多様性が増す。
【0083】
ユーザーインタフェース520を介して照明スキームが入力されると、周辺制御装置104がそのデータを使用して、対象となる一つまたは複数の周辺機器を制御してもよい。この場合、周辺制御装置104は、MID110(外部のNFC機器500として図示される)を照明スキームの対象とする。ある実施の形態では、周辺機器の状態(例えば、オフライン)を、周辺機器の二次ポートを介して提供してもよい。
【0084】
図9は、プログラム可能な照明スキームに関する、本発明のある実施の形態の詳細を示すフローチャート600を示す。605で、照明スキームを周辺制御装置104に読み込む。610において、MID110が、デフォルト色で照明される。615で、MID110の色の変更が必要となる何らかの機械状況が発生したか否かを判断する。その状況が発生していない場合MID110は、引き続きデフォルト色によって照明される。機械状況が変化した場合MID110の色が、検出された特定の状況に基づいて変更される。図示されないが、照明スキームは、ある色が、予め決められた状況が発生したことに応じて、ある一定の時間帯のみに現れるように時間的制約を有してもよい。

【0085】
図7Aおよび図7Bは、青(水平網掛け)および黄(クロスハッチング)で照明されたNFC機器500をそれぞれ示している。このように、カジノの職員にとって、EGMおよび関連する周辺機器に関する何らかの問題を特定するのは簡単な作業である。
【0086】
いくつかの実施例では、製品は、本発明を実施するためにコンピュータシステム上の動作をインスタンス化させるコンピュータプログラム製品として提供される。コンピュータプログラム製品の一つの実施例は、コンピュータシステムによって読み取り可能で、コンピュータプログラムを符号化する非一時的なコンピュータプログラム記憶媒体を提供する。上述した技術は、コンピュータから独立した特定用途の装置で使用し得ることを、さらに理解すべきである。上記の仕様、例、およびデータは、請求項に記載される本発明の様々な実施の形態の構造および使用についての完全な記述を提供するものである。
【0087】
請求項に記載の発明の様々な実施の形態は、ある程度特定して、または一つまたは複数の個々の実施の形態に関して上述したが、当業者であれば、請求項に記載の発明の精神または範囲から逸脱することなく、開示した実施の形態に多くの変更を加えることができよう。従って、他の実施の形態も想定される。上記の記述に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、ある実施の形態を例示しているだけであって、限定するものでないと解釈されることを意図している。以下の請求項に記載の本発明の基本的要素から逸脱することなく、詳細または構造の変更を行ってもよい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9