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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】可撓性かつ耐伸張性の長尺シャフト
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
A61M25/00 500
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023542805
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022012344
(87)【国際公開番号】W WO2022155361
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】63/137,293
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】タッソーニ、ニコラス リー
(72)【発明者】
【氏名】ライバーンス、ラモン
(72)【発明者】
【氏名】ステンバーグ、コリー ロス
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-533564(JP,A)
【文献】特表2007-520281(JP,A)
【文献】特表2007-512914(JP,A)
【文献】特表2016-511065(JP,A)
【文献】特表2015-502797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスを送達するための長尺シャフトを製造する方法であって、
マンドレルの上にポリマーシースを配置する工程であって、前記ポリマーシースはそれを通って延びる管腔を有する、前記配置する工程と、
前記ポリマーシースの近位部分を金属管状部材の管腔内に差し込む工程と、
ポリマー管状部材を前記ポリマーシースの遠位部分及び前記金属管状部材の遠位部分の上に配置する工程と、
近位カプラを長手方向支持フィラメントの遠位端に固定的に取り付ける工程と、
前記長手方向支持フィラメントの近位端を前記ポリマーシースと前記ポリマー管状部材との間に挿入することで、前記長手方向支持フィラメントを前記金属管状部材の遠位部分及び前記ポリマーシースの遠位部分に沿うように位置づける工程と、
前記ポリマー管状部材をリフローすることで、前記長手方向支持フィラメントを前記ポリマーシース及び前記金属管状部材に対して固定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記長手方向支持フィラメントの遠位部分は、前記ポリマーシースの遠位部分の外面に接するように配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記長手方向支持フィラメントの近位部分は、前記金属管状部材の遠位部分の外面に接するように配置される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー管状部材をリフローする前に、前記近位カプラを前記ポリマーシースの遠位端と係合させることをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記医療デバイスは遠位カプラを含み、前記遠位カプラは、前記近位カプラと軸方向に重なり、かつ前記近位カプラと解放可能に係合するように構成されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー管状部材をリフローした後、前記ポリマーシースの管腔から前記マンドレルを除去する工程と、
その後、前記ポリマーシースの管腔内に軸方向に、前記近位カプラ及び前記遠位カプラを通してリリースワイヤを配置することで、前記医療デバイスを前記近位カプラに解放可能に結合する工程と
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー管状部材は、第1のポリマー材料から形成された近位部分と、前記第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料から形成された遠位部分とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー管状部材をリフローした後、前記ポリマー管状部材の外面に疎水性コーティングを適用する工程をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属管状部材は、近位部分と、前記近位部分から遠位部分まで延びる遠位テーパ部分とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー管状部材をリフローした後、前記ポリマー管状部材の最近位端は、前記金属管状部材の前記遠位テーパ部分の遠位側に配置される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー管状部材をリフローする前に、前記ポリマー管状部材の上に管状熱収縮部材を位置づける工程をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
医療デバイスを送達するための長尺シャフトを製造する方法であって、
ポリマー管状部材及び長手方向支持フィラメントを、マンドレル上に配置された第1のポリマーシース上に押出成形することで複合管状部材を形成する工程と、
金属管状部材を第2のポリマーシース上に被せるとともに、前記第2のポリマーシースの遠位端を前記金属管状部材の遠位端に固定する工程と、
前記マンドレルを除去した前記複合管状部材を前記金属管状部材の遠位部分の上に配置する工程と、
前記ポリマー管状部材の近位部分を前記金属管状部材の遠位部分の上にリフローすることで、前記長手方向支持フィラメントを前記金属管状部材に対して固定する工程と
を含む方法。
【請求項13】
前記第1のポリマーシースの近位部分は、前記複合管状部材を前記金属管状部材の遠位部分の上に配置する前に、前記複合管状部材内から除去される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー管状部材の近位部分をリフローすることにより、前記長手方向支持フィラメントが前記金属管状部材の遠位部分の外面に固定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
近位カプラを前記長手方向支持フィラメントの遠位端に固定的に取り付ける工程をさらに含み、
前記近位カプラを固定的に取り付ける前に、前記ポリマー管状部材の遠位部分が除去されることで、前記長手方向支持フィラメントの遠位端が露出される、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、及び医療デバイスを製造及び/又は使用するための方法に関する。より具体的には、本開示は、可撓性かつ耐伸張性の長尺シャフトの構成、及び可撓性かつ耐伸長性の長尺シャフトを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用途、例えば外科用及び/又は血管内用途のために、多種多様な体内医療デバイスが開発されている。これらのデバイスの一部には、ガイドワイヤ、カテーテル、医療デバイス送達システム(例えば、ステント用、グラフト用、置換弁用など)といったものが含まれる。これらのデバイスは、様々な異なる製造方法の任意の1つによって製造され、様々な方法の任意の1つに従って使用される。代替医療デバイス、ならびに医療デバイスを製造及び/又は使用するための代替方法を提供する必要性が継続的に存在する。
【発明の概要】
【0003】
第1の例では、医療デバイスを送達するための長尺シャフトを製造する方法は、マンドレルの上にポリマーシースを配置する工程であって、前記ポリマーシースはそれを通って延びる管腔を有する、前記配置する工程と、前記ポリマーシースの近位部分を金属管状部材の管腔内に差し込む工程と、ポリマー管状部材をポリマーシースの遠位部分及び金属管状部材の遠位部分の上に配置する工程と、近位カプラを長手方向支持フィラメントの遠位端に固定的に取り付ける工程と、長手方向支持フィラメントの近位端をポリマーシースとポリマー管状部材との間に挿入することで、長手方向支持フィラメントを金属管状部材の遠位部分及びポリマーシースの遠位部分に沿うように位置づける工程と、ポリマー管状部材をリフローすることで、長手方向支持フィラメントをポリマーシース及び金属管状部材に対して固定する工程とを含み得る。
【0004】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、長手方向支持フィラメントの遠位部分は、ポリマーシースの遠位部分の外面に接するように配置される。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、長手方向支持フィラメントの近位部分は、金属管状部材の遠位部分の外面に接するように配置される。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、この方法は、ポリマー管状部材をリフローする前に、近位カプラをポリマーシースの遠位端と係合させることを含み得る。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、医療デバイスは遠位カプラを含み、前記遠位カプラは、近位カプラと軸方向に重なり、かつ近位カプラと解放可能に係合するように構成されている。
【0005】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、本方法は、ポリマー管状部材をリフローした後、ポリマーシースの管腔からマンドレルを除去する工程と、その後、ポリマーシースの管腔内に軸方向に、近位カプラ及び遠位カプラを通してリリースワイヤを配置することで、医療デバイスを近位カプラに解放可能に結合する工程とを含み得る。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、ポリマー管状部材は、第1のポリマー材料から形成された近位部分と、第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料から形成された遠位部分とを含む。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、本方法は、ポリマー管状部材をリフローした後、ポリマー管状部材の外面に疎水性コーティングを適用する工程を含み得る。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、長手方向支持フィラメントは金属ワイヤである。
【0006】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、金属管状部材は、近位部分と、近位部分から遠位部分まで延びる遠位テーパ部分とを含む。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、ポリマー管状部材をリフローした後、ポリマー管状部材の最近位端は、金属管状部材の遠位テーパ部分の遠位側に配置される。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、本方法は、ポリマー管状部材をリフローする前に、ポリマー管状部材の上に管状熱収縮部材を位置づける工程を含み得る。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、ポリマーシースの外面がエッチングされる。
【0007】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、及び第2の例では、医療デバイスを送達するための長尺シャフトを製造する方法は、ポリマー管状部材及び長手方向支持フィラメントを、マンドレル上に配置された第1のポリマーシース上に押出成形することで複合管状部材を形成する工程と、金属管状部材を第2のポリマーシース上に被せるとともに、第2のポリマーシースの遠位端を金属管状部材の遠位端に固定する工程と、マンドレルを除去した複合管状部材を金属管状部材の遠位部分の上に配置する工程と、ポリマー管状部材の近位部分を金属管状部材の遠位部分の上にリフローすることで、長手方向支持フィラメントを金属管状部材に対して固定する工程とを含み得る。
【0008】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、第1のポリマーシースの近位部分は、複合管状部材を金属管状部材の遠位部分の上に配置する前に、複合管状部材内から除去される。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、ポリマー管状部材の近位部分をリフローすることにより、長手方向支持フィラメントが金属管状部材の遠位部分の外面に固定される。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、本方法は、近位カプラを長手方向支持フィラメントの遠位端に固定的に取り付ける工程を含み得る。本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、近位カプラを固定的に取り付ける前に、ポリマー管状部材の遠位部分が除去されることで、長手方向支持フィラメントの遠位端が露出される。
【0009】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、医療デバイスを送達するための長尺シャフトは、ポリマーシースを通って延びる管腔を有する前記ポリマーシースと、ポリマーシースの近位部分の上に配置された金属管状部材と、ポリマーシースの遠位部分及び金属管状部材の遠位部分の上に配置されたポリマー管状部材と、ポリマーシースの遠位部分及び金属管状部材の遠位部分に沿って延びる長手方向支持フィラメントと、長手方向支持フィラメントの遠位端に固定的に取り付けられた近位カプラとを含み得る。ポリマー管状部材は、ポリマーシース及び金属管状部材に対して長手方向支持フィラメントを固定することができる。ポリマー管状部材は、近位部分、遠位部分、及び前記近位部分及び前記遠位部分よりも低い曲げ剛性を有する中間部分を含み得る。長手方向支持フィラメントは、ポリマー管状部材の近位部分、中間部分、及び遠位部分内に延びてもよい。長手方向支持フィラメントは、ポリマー管状部材の軸方向の伸長を実質的に防止することができる。
【0010】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記中間部分は、長尺シャフトの優先的な曲げ位置を画定する。
いくつかの実施形態、態様、及び/又は例の上記概要は、本開示の各実施形態又はすべての実装を説明することを意図したものではない。図面及び以下の詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、添付の図面と併せて、以下の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解することができる。
図1】送達シャフトを含む医療デバイスシステムの態様を示す。
図2】送達シャフトを製造するリフロー方法の態様を示す。
図3】同上。
図4】同上。
図5】同上。
図6】同上。
図7】同上。
図8】同上。
図9】同上。
図10】同上。
図11】同上。
図12】同上。
図13】送達シャフトの製造方法の態様を示す。
図14】同上。
図15】同上。
図16】同上。
図17】同上。
図18】送達シャフトの代替構成の態様を示す。
図19】同上。
図20】送達シャフトの断面図である。
図21】送達シャフトの代替構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の態様は、様々な修正及び代替形態に従うことができ、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、本開示の態様を記載された特定の実施形態に限定する意図ではないことを理解されたい。逆に、本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、均等物、及び代替物を包含することが意図されている。
【0013】
詳細な説明
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきであるが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、いくつかの図を通して同様の参照番号は同様の要素を示している。詳細な説明及び図面は、本開示を例示することを目的とするものであり、限定するものではない。当業者は、説明及び/又は図示された様々な要素が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせ及び構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明及び図面は、本開示の例示的な実施形態を示す。しかしながら、明瞭さと理解を容易にするために、各図面にはすべての特徴及び/又は要素が示されていない場合があるが、別段の指定がない限り、そうした特徴及び/又は要素は存在することが理解され得る。
【0014】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書では、明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「約」という用語によって修飾されているものとみなされる。数値の文脈における「約」という用語は、一般に、当業者が記載された値と同等(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考えるであろう数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれ得る。「約」という用語の他の使用法(例えば、数値以外の文脈における)は、別段の指定がない限り、明細書の文脈から理解され、明細書の文脈と一致するように、通常の慣例的な定義を有するとみなされ得る。上限・下限による数値範囲の記載には、その上限・下限を含む、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値が開示されているが、当業者であれば、本開示に触発されて、所望の寸法、範囲、及び/又は値が明示的に開示されたものから逸脱する場合があることを理解するであろう。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つ」、及び「前記」には、内容が明確にそうでないことを指示していない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、内容が明確にそうでないことを指示していない限り、総じて「及び/又は」を含む意味で使用される。理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、開示される実施形態内で複数であるか又は繰り返される場合でも、単数形で説明される場合があることに留意されたい。特徴の各例は、明示的に反対の記載がない限り、単数形の開示を含む場合があり、かつ/又は単数形の開示によって包含される場合がある。簡略化及び明確化の目的で、本開示のすべての要素が必ずしも各図に示され、又は以下で詳細に説明されているわけではない。しかしながら、明確に反対の記載がない限り、以下の説明は複数ある構成要素のいずれか及び/又はすべてに等しく適用され得ることが理解されるであろう。さらに、明確にするために、一部の要素又は機能のすべての例が各図に示されているわけではない場合がある。
【0016】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は、総じて、デバイスの使用者/施術者/操作者に対する様々な要素の位置、方向、及び/又は動作を考慮して判断され得る。ここで、「近位」及び「後退」は、使用者に近い、又は向かっていくことを示し又は指し、「遠位」及び「前進」は、使用者から遠い、又は離れていくことを示し又は指す。場合によっては、「近位」及び「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられることがあり、そのような例は当業者には容易に明らかであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」などの他の相対的な用語は、体管腔、血管、又はデバイス内などの管腔内の流体の流れの方向を指す。「軸方向」、「円周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」など、及び/又はその変形などのさらに他の相対的な用語は、総じて、開示された構造又はデバイスの中心長手方向軸に対する方向及び/又は配向を指す。
【0017】
「範囲」という用語は、記載又は特定された寸法の最大の測定値を意味すると理解され得る。ただし、その範囲又は寸法が「最小」という記載に後続するか又は「最小」として識別されていることで、記載又は特定された寸法の最小の測定値を意味すると理解され得る場合を除く。例えば、「外形範囲」は外形寸法を意味すると理解され得、「半径方向範囲」は半径方向寸法を意味すると理解され得、「長手方向範囲」は長手方向寸法を意味すると理解され得る、等々である。「範囲」の各例は異なる場合があり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向など)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。通常、「範囲」は、意図された使用法に従って測定された可能な最大の寸法とみなされ得、「最小範囲」は、意図された使用法に従って測定された可能な最小の寸法とみなされ得る。場合によっては、「範囲」は、通常、平面及び/又は断面内で直角に測定される場合があるが、特定の文脈から明らかなように、異なる方法で、例えば限定するものではないが、角度方向、半径方向、円周方向(例えば、円弧に沿って)などで測定される場合もある。
【0018】
「モノリシック」及び「単一部品」という用語は、総じて、単一の構造又は基本ユニット/要素で構成された、又はそれからなる要素を指すものとする。モノリシック及び/又は単一部品要素には、複数の個別の構造又は要素を組み立てたり結合したりすることで作られた構造及び/又は特徴は含まれないものとする。本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、又は特性を含むわけではないことに留意されたい。さらに、そのような表現は必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性がある実施形態に関連して説明されている場合、明示的に記載されているか否かに関わらず、明確に反対の記載がない限り、その特定の特徴、構造、又は特性を他の実施形態についても発効させることは、当業者の知識の範囲内である。すなわち、以下に説明する様々な個々の要素は、たとえ特定の組み合わせで明示的に示されていなくても、当業者には理解されるように、他の追加の実施形態を形成するため、又は説明した実施形態を補完及び/又は充実させるために、互いに組み合わせ可能又は配置可能であると考えられる。明確にする目的で、本明細書及び/又は特許請求の範囲全体にわたって、記載及び/又は請求される様々な特徴を命名及び/又は区別するために、特定の識別用の数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)が使用される場合がある。数値命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、簡潔さと明確さのために、以前に使用された数値命名法の変更及び逸脱が行われる場合がある。つまり、「第1の」要素として識別された特徴は、後に「第2の」要素、「第3の」要素などと呼ばれたり、完全に省略されたり、及び/又は異なる特徴が「第1の」要素と呼ばれたりする場合がある。各例における意味及び/又は名称は、当業者には明らかであろう。
【0019】
図1は医療デバイスシステムの態様を示す。医療デバイスシステムは、長尺シャフト110の近位部分から長尺シャフト110の遠位端まで延びる管腔を有する長尺シャフト110を含み得る。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、内面及び外面を有する壁によって画定される管状及び/又は環状構造であり得る。いくつかの実施形態では、管腔は、長尺シャフト110の中心長手方向軸に沿って延びることができ、及び/又はそれと同軸であり得る。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、その長さの少なくとも一部に沿って実質的に一定の及び/又は均一な外形範囲及び/又は外径を有し得る。1つ以上のテーパ、段、及び/又は外形範囲及び/又は外径の変化を有する長尺シャフト110を含むがこれらに限定されない他の構成も考えられる。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、約120センチメートル(cm)、約150cm、約170cm、約180cm、約190cm、約200cm、約210cm、約230cm、又は意図する処置に応じて別の適切な全長を有し得る。長尺シャフト110に適したいくつかの材料、例えば金属材料、ポリマー材料、複合材料などが以下に説明される。
【0020】
医療デバイス180は、長尺シャフト110の遠位端に近接して、隣接して、及び/又は長尺シャフト110の遠位端に配置され得る。医療デバイス180は、長尺シャフト110の遠位端に取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、医療デバイス180は、長尺シャフト110の遠位端の遠位側に配置され得る。簡潔にするために、本明細書では、医療デバイス180は、例えば動脈瘤の治療に使用されるような形状記憶塞栓コイルとして示されているが、同様の方法で輸送、送達、使用、放出等される他の適切な医療デバイスも考えられる。これらには、ステント、塞栓フィルター、置換心臓弁、閉塞デバイス、及び/又はその他の医療インプラントなどが含まれるが、これらに限定されない。医療デバイス180に適したいくつかの非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などが以下に説明される。
【0021】
いくつかの実施形態では、医療デバイスシステムは、医療デバイス180を治療部位に送達するためのサイズ及び構成の管腔を内部に含むマイクロカテーテル190を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、長尺シャフト110の遠位端は、マイクロカテーテル190の管腔の近位端内に配置されることで、マイクロカテーテル190の管腔内の長尺シャフト110及び/又は医療デバイス180の前進を容易にするように構成され得る。長尺シャフト110及び医療デバイス180は、マイクロカテーテル190の管腔内に摺動可能に配置されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110及び医療デバイス180は、治療部位において医療デバイス180を展開するために、マイクロカテーテル190の管腔を通って前進することができる。いくつかの実施形態では、マイクロカテーテル190は、治療部位への医療デバイス180の経皮送達を容易にすることができる。図1において、医療デバイス180は送達構成で示されており、医療デバイス180は、長尺シャフト110及び/又は長尺シャフト110の中心長手方向軸と実質的に整列しており、同軸であり、及び/又は同一直線上にある。少なくともいくつかの実施形態では、医療デバイス180は、送達構成では実質的に細長い構成で位置決め及び/又は配置され得る。他の構成も考えられる。
【0022】
いくつかの実施形態では、医療デバイス180は、拘束されないとき(例えば、目的の位置にあるときなど)、展開構成をとり、及び/又は展開構成に移行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、医療デバイス180は、治療部位に送達されると、(例えば、マイクロカテーテル190によって)拘束されないとき及び/又は長尺シャフト110から解放されたときに患者の体の熱及び/又は体温によって医療デバイス180が展開構成に移行するように、形状記憶材料を使用して展開構成にヒートセットされてもよい。マイクロカテーテル190に適したいくつかの非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などが以下に説明される。いくつかの実施形態では、医療デバイス180は手動で、例えば、選択的な電気的刺激、化学的刺激、及び/又は磁気刺激、プルワイヤなどの使用によって、展開構成に移行され得る。いくつかの実施形態では、医療デバイス180は自動的に、例えば、形状記憶材料や他の適切な方法の使用などによって、展開構成に移行され得る。医療デバイス180は、医療デバイス180をマイクロカテーテル190の遠位端を越えて前進させた後の任意の適切な及び/又は所望の時点で展開構成に移行され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、解放機構170は、医療デバイス180を長尺シャフト110の遠位端に解放可能に取り付けるように構成され得る。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、長尺シャフト110の遠位端に固定的に取り付けられた解放機構170の近位カプラ172を含んでもよく、医療デバイス180は、医療デバイス180の近位端に固定的に取り付けられた解放機構170の遠位カプラ174を含んでもよい。リリースワイヤ186(例えば、図12)の遠位端は、解放機構170の近位カプラ172及び解放機構170の遠位カプラ174と摺動可能に係合し得る。リリースワイヤ186は、金属管状部材120の第1の部分130が金属管状部材120の第2の部分140と係合するとき、及び/又は、本明細書で説明するように、リリースワイヤ186が第1の位置にあるとき、解放機構170の近位カプラ172と解放機構170の遠位カプラ174とを連結し得る。例えば、金属管状部材120の第1の部分130が金属管状部材120の第2の部分140から解放され、かつ/又は分離されると、リリースワイヤ186は、長尺シャフト110に対して近位方向に平行移動されることで、解放機構170の遠位カプラ174及び/又は医療デバイス180を、解放機構170の近位カプラ172及び/又は長尺シャフト110から解放する。少なくともいくつかの実施形態では、リリースワイヤ186は、長尺シャフト110内、解放機構170の近位カプラ172内、及び解放機構170の遠位カプラ174内に摺動可能に配置され得る。解放機構170、近位カプラ172、及び/又は遠位カプラ174に適したいくつかの非限定的な材料、例えば金属材料、ポリマー材料、複合材料などが以下に説明される。
【0024】
いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、組み合わされて長尺シャフト110を形成するいくつかの構成部品を含み得る。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、ポリマーシース150、金属管状部材120、及びポリマー管状部材160を含み得る。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、本明細書で説明するように、追加の及び/又は他の構成部品及び/又は要素を含み得る。長尺シャフト110の構造が本明細書で説明されており、長尺シャフト110の各要素の相対的な位置及び特徴が明らかになるであろう。本明細書で述べられる特徴のいくつかが参考のために図1に示されているが、後続の図に関してより詳細に説明されている。ポリマーシース150、金属管状部材120、及び/又はポリマー管状部材160に適したいくつかの非限定的な材料が以下に説明される。
【0025】
図2~12は、医療デバイス180を送達するための長尺シャフト110を製造する方法に関する。図2に見られるように、この方法は、ポリマーシース150であって、それを通って延びる管腔を有するポリマーシース150を、マンドレル10上に及び/又はマンドレル10を覆うように配置する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーシース150は、マンドレル10を覆って摺動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーシース150はマンドレル10上に直接形成されてもよい。例えば、ポリマーシース150は、マンドレル10上に押出成形されてもよい。別の例では、ポリマーシース150を管状構造として形成し、マンドレル10をポリマーシース150内に挿入してもよい(又はポリマーシース150をマンドレル10上に被せてもよい)。一例では、ポリマーシース150は、約0.006インチ(約0.1524ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、ポリマーシース150は、約0.004インチ(0.1016ミリメートル)~約0.008インチ(約0.2032ミリメートル)の外径を有し得る。本明細書で説明するように、マンドレル10はポリマーシース150から取り外し可能であり得る。いくつかの実施形態では、マンドレル10は、ポリマーシース150に対して摺動可能であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーシース150は、マンドレル10とのわずかな摩擦嵌め及び/又はわずかな締り嵌めを有してもよく(例えば、マンドレル10はポリマーシース150に対して自由に動かなくてもよい)、これは、ポリマーシース150の管腔からマンドレル10を除去するために後に解消されてよい。一例では、ポリマーシース150はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成され得る。他の材料も考えられる。少なくともいくつかの実施形態では、ポリマーシース150の外面は、別のポリマー材料への結合及び/又は固定を容易にするために、エッチング及び/又は他の方法で機械的もしくは化学的に処理され得る。
【0026】
この方法は、ポリマーシース150の近位部分を金属管状部材120の管腔内に差し込む工程を含むことができ、ポリマーシース150の近位部分は金属管状部材120内に配置されるとともに、ポリマーシース150の遠位部分は金属管状部材120の遠位側に配置される。いくつかの実施形態では、この方法は、ポリマーシース150の近位部分を金属管状部材120の管腔の遠位端内に差し込む工程と、ポリマーシース150の近位部分を少なくとも部分的に金属管状部材120を通して前進させる工程とを含み得る。一例では、金属管状部材120の管腔は、約0.008インチ(約0.2032ミリメートル)の内径を有し得る。他の例では、金属管状部材120の管腔は、約0.006インチ(約0.1524ミリメートル)~約0.010インチ(約0.254ミリメートル)の内径を有し得る。少なくともいくつかの実施形態では、金属管状部材120の管腔は、その全長に沿って実質的に一定の内径を有し得る。
【0027】
金属管状部材120は、第1の部分130及び第2の部分140を含み得る。金属管状部材120の第1の部分130は、金属管状部材120内に形成された所定の破断領域122(例えば、図1、12)の近位側に配置され得る。金属管状部材120の第2の部分140は、金属管状部材120に形成された所定の破断領域122の遠位側に配置され得る。少なくともいくつかの実施形態では、金属管状部材120の第2の部分140は、近位部分142、テーパ部分144、及び遠位部分146を含み得る。金属管状部材120の第2の部分140の近位部分142は、第1の外径を有し得、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146は、第1の外径よりも小さい第2の外径を有し得る。テーパ部分144は、近位部分142及び/又は第1の外径から遠位部分146及び/又は第2の外径まで、遠位方向に徐々に及び/又は連続的に先細りになっていてもよい。いくつかの実施形態では、テーパ部分144は、遠位テーパ部分と呼ばれることがあり、したがって、金属管状部材120は、近位部分142と、遠位部分146と、近位部分142から遠位部分146まで延びる遠位テーパ部分(参照番号144)とを含み得る。一例では、金属管状部材120は、ニッケルチタン合金(例えばニチノール)から形成され得る。他の材料も考えられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、金属管状部材120は、全長約97センチメートル(cm)、約127cm、約140cm、約155cm、約167cm、約175cm、約190cm、約207cm、又は意図された処置に応じて別の適切な全長を有し得る。一例では、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146は、約5cmの長さを有し得る。他の例では、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146は、約3.5cm~約6.5cmの長さを有し得る。一例では、金属管状部材120の第2の部分140のテーパ部分144は、約15cmの長さを有し得る。他の例では、金属管状部材120の第2の部分140のテーパ部分144は、約12cm~約18cmの長さを有し得る。
【0029】
一例では、金属管状部材120の第1の部分130は、約0.018インチ(約0.4572ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、金属管状部材120の第1の部分130は、約0.015インチ(約0.381ミリメートル)~約0.021インチ(約0.5334ミリメートル)の外径を有し得る。一例では、金属管状部材120の第2の部分140の近位部分142は、約0.018インチ(約0.4572ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、金属管状部材120の第2の部分140の近位部分142は、約0.015インチ(約0.381ミリメートル)~約0.021インチ(約0.5334ミリメートル)の外径を有し得る。一例では、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146は、約0.0105インチ(約0.2667ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146は、約0.008インチ(約0.2032ミリメートル)~約0.012インチ(約0.3048ミリメートル)の外径を有し得る。
【0030】
図3及び4に見られるように、この方法は、ポリマーシース150の遠位部分及び金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の上にポリマー管状部材160を配置する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、フレアマンドレル(図示省略)をポリマー管状部材160の近位端に挿入することで、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146上にポリマー管状部材160の近位端を配置する前に、ポリマー管状部材160の近位端を広げることができる。ポリマー管状部材160の近位端は、金属管状部材120の第2の部分140のテーパ部分144の遠位側に配置され得る。いくつかの実施形態では、フレアマンドレルの挿入前及び/又は挿入中に、ポリマー管状部材160の近位端を広げるために、ポリマー管状部材160の近位端に熱を加えてもよい。いくつかの実施形態では、フレアマンドレルは加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材160を、ポリマーシース150の遠位部分及び金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の上で近位方向に前進させてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材160は、第1のポリマー材料を含む近位部分162(例えば、図8)と、第2のポリマー材料を含む遠位部分164(例えば、図8)とを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1のポリマー材料は第2のポリマー材料とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、近位部分162及び遠位部分164は、ポリマー管状部材160を単一の一体構造及び/又はモノリシック構造にするために、接着、溶融、混成、共押出、リフロー、又はその他の方法で永久的に接合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のポリマー材料は、VESTAMID(登録商標)Lなどのポリアミド12であってもよく、第2のポリマー材料は、PEBAX(登録商標)などのポリエーテルブロックアミドであってもよい。一例では、第1のポリマー材料はVESTAMID(登録商標)L2101Fであってもよく、第2のポリマー材料はPEBAX(登録商標)63Dであってもよい。他の材料及び/又は材料の組み合わせも考えられる。少なくともいくつかの実施形態では、第2のポリマー材料は、第1のポリマー材料よりも柔らかく、かつ/又はより柔軟であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材160は、全長約15センチメートル(cm)、約20cm、約24cm、約26cm、約26.5cm、約27cm、約30cm、約35cm、又は意図された処置に応じて別の適切な全長を有し得る。一例では、近位部分162は約22cmの長さを有し得、遠位部分164は約4.5cmの長さを有し得る。他の例では、近位部分162は約10cm~約30cmの長さを有し得、遠位部分164は約3cm~約6cmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材160は、近位部分162及び遠位部分164を含むその全長にわたって、実質的に均一な外径及び/又は実質的に均一な内径を有し得る。しかしながら、先細り及び/又は階段状の構成を含むがこれに限定されない他の構成も考えられる。一例では、ポリマー管状部材160は、約0.021インチ(約0.5334ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、ポリマー管状部材160は、約0.018インチ(約0.4572ミリメートル)~約0.024インチ(約0.6096ミリメートル)の外径を有し得る。一例では、ポリマー管状部材160は、約0.015インチ(約0.381ミリメートル)の内径を有し得る。他の例では、ポリマー管状部材160は、約0.012インチ(約0.3048ミリメートル)~約0.018インチ(約0.4572ミリメートル)の外径を有し得る。
【0033】
少なくともいくつかの実施形態では、ポリマー管状部材160は、ポリマー管状部材160の遠位部分164内に、及び/又は近位部分162と遠位部分164との間の接合部の近傍に配置された放射線不透過性マーカーバンド166(例えば、図8~9)を含み得る。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーバンド166は、ポリマー管状部材160の壁内に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーバンド166は、接着剤、摩擦嵌め、及び/又は締り嵌めなどによってポリマー管状部材160の管腔内に固定され得る。放射線不透過性マーカーバンド166に適したいくつかの材料が以下に説明される。
【0034】
長尺シャフト110を製造する方法は、図5に見られるように、解放機構170の近位カプラ172を長手方向支持フィラメント176の遠位端に固定的に取り付ける工程を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、解放機構170の近位カプラ172は、その近位部分に形成された開口178を含んでもよく、開口178は、その中に長手方向支持フィラメント176の遠位端を受け入れるように構成されている。長手方向支持フィラメント176の遠位端は、例えば、限定するものではないが、接着、溶接、ろう付け、締り嵌め、摩擦嵌めなどによって、結果として永久的に取り付けられるように、解放機構170の近位カプラ172に固定的に取り付けられ得る。
【0035】
少なくともいくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176は金属ワイヤであり得る。いくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176は、その全長に沿って実質的に均一な外径を有し得る。一例では、長手方向支持フィラメント176は、約0.0025インチ(約0.0635ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、長手方向支持フィラメント176は、約0.0015インチ(約0.0381ミリメートル)~約0.0035インチ(約0.0889ミリメートル)の外径を有し得る。一例では、長手方向支持フィラメント176は、タングステンベースの合金、又は35N LT(登録商標)などのニッケルコバルトもしくはコバルトベースの合金であり得る。いくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176は、白金イリジウム合金に対し、及び/又は白金イリジウム合金で溶接することができる。いくつかの実施形態では、近位カプラ172及び/又は遠位カプラ174は白金イリジウム合金から形成され得る。いくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176は、白金イリジウム合金及びニッケルチタン合金による腐食及び/又はこれらと接触したときの腐食に耐える。長手方向支持フィラメント176は、耐伸張性に関して高い弾性率(例えば、1平方インチ当たり33×10ポンドすなわち233ギガパスカルを超える)を有することができ、これにより、軸方向の伸長に対する許容可能な耐性及び曲げ性/柔軟性を達成しながら、より小さいワイヤ直径を使用することが可能になる。他の材料も考えられる。
【0036】
図6に示すように、この方法は、長手方向支持フィラメント176の近位端を、ポリマーシース150の遠位端及びポリマー管状部材160の遠位端のところからポリマーシース150とポリマー管状部材160との間に挿入するとともに、長手方向支持フィラメント176を、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146(例えば、図8及び9)及びポリマーシース150の遠位部分と並べて配置する工程を含み得る。長手方向支持フィラメント176の近位端をポリマーシース150とポリマー管状部材160との間に挿入することは、長手方向支持フィラメント176の近位端をポリマーシース150とポリマー管状部材160との間で近位方向に、長手方向支持フィラメント176の近位端が金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146に軸方向に重なり、その半径方向外側に位置する(例えば、図8及び9)まで前進させることを含み得る。いくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176は、長尺シャフト110の中心長手方向軸に対して実質的に平行に配向され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリマーシース150とポリマー管状部材160との間に長手方向支持フィラメント176を挿入した後(及び/又は本明細書で述べるように、ポリマー管状部材160をリフローする前)、この方法は、図7の部分断面図に示されるように、解放機構170の近位カプラ172の近位端及び/又は近位面を、ポリマーシース150の遠位端と及び/又はポリマーシース150の遠位端に対して係合及び/又は当接させる工程を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーシース150とポリマー管状部材160との間に長手方向支持フィラメント176を挿入した後(及び/又は本明細書で述べるように、ポリマー管状部材160をリフローする前)、長手方向支持フィラメント176の近位部分は、図8に示すように、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の近位側に、及び/又は金属管状部材120の第2の部分140のテーパ部分144に沿って延びてもよい。図8において、長手方向支持フィラメント176は、単に例示及び明確化の目的で実線として示されている。上記で述べたように、少なくともいくつかの実施形態では、ポリマー管状部材160は、図8及び9に見られるように、放射線不透過性マーカーバンド166を含み得る。
【0038】
図9は、いくつかの実施形態において、ポリマーシース150とポリマー管状部材160との間に長手方向支持フィラメント176を挿入した後(及び/又は本明細書で述べるように、ポリマー管状部材160をリフローする前)、この方法が、ポリマー管状部材160の上に管状熱収縮部材20を配置する工程を含むことができることを示す。図9において、長手方向支持フィラメント176は、単に例示及び明確化の目的で実線として示されている。この方法は、図10に示すように、ポリマー管状部材160をリフローすることで、ポリマーシース150及び金属管状部材120に対して長手方向支持フィラメント176を固定する工程を含み得る。ポリマー管状部材160をリフローすることは、管状熱収縮部材20及びその中に配置されたポリマー管状部材160に熱を加えることを含み得る。管状熱収縮部材20は、十分な熱にさらされるとより小さい直径に戻るように構成され得、そのため、熱によりポリマー管状部材160が軟化及び/又は溶融するにつれて、ポリマー管状部材160に半径方向内向きの圧力が加えられ、それにより、ポリマーシース150、放射線不透過性マーカーバンド166、長手方向支持フィラメント176、及び金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の周りでポリマー管状部材160のリフローが引き起こされる。この方法は、図10に見られるように、ポリマー管状部材160をリフローする前に、ポリマー管状部材160の近位端に近接した長手方向支持フィラメント176をトリミングする工程をさらに含み得る。
【0039】
いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、管状熱収縮部材20は長尺シャフト110から除去され得る。いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、長手方向支持フィラメント176の遠位部分は、ポリマーシース150の遠位部分の外面に直接配置される。いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、図11に見られるように、長手方向支持フィラメント176の近位部分が金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の外面に直接配置される。いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、ポリマー管状部材160の最近位端は、金属管状部材120の第2の部分140の遠位テーパ部分144の遠位側に配置される。いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、ポリマー管状部材160の最近位端は、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146に向かって丸められてもよい。いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、図11に見られるように、ポリマー管状部材160の最近位端は、長手方向支持フィラメント176の近位端の近位側に延びる。いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、ポリマー管状部材160の近位端は、長手方向支持フィラメント176の近位端を金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146に対して締め付け又は圧迫し得る。
【0040】
いくつかの例では、ポリマー管状部材160をリフローした後、この方法は、ポリマー管状部材160の外面及び/又は金属管状部材120の外面の露出部分に疎水性コーティング168を適用する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材160をリフローした後、この方法は、ポリマーシース150の管腔からマンドレル10を除去する工程を含み得る。その後、この方法は、図12に示すように、ポリマーシース150の管腔内、ならびに近位カプラ172及び遠位カプラ174を通してリリースワイヤ186を軸方向に配置することで、医療デバイス180を近位カプラ172及び/又は長尺シャフトに解放可能に結合する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、リリースワイヤ186は、軸方向の伸長能力が制限された金属ワイヤであってもよい。リリースワイヤ186に適したいくつかの非限定的な材料が以下に説明される。いくつかの実施形態では、リリースワイヤ186をポリマーシース150の管腔内に配置することは、リリースワイヤ186の遠位端をポリマーシース150の近位端及び/又は金属管状部材120の近位端に挿入すること、リリースワイヤ186の遠位端を、近位カプラ172を通して、かつ遠位カプラ174と係合するように及び/又は遠位カプラ174内へとポリマーシース150の管腔内で遠位方向に前進させることを含み得る。
【0041】
その後、この方法は、図12の部分断面図に示すように、金属管状部材120の第1の部分130をリリースワイヤ186上に圧着又はスエージ加工することで、リリースワイヤ186を金属管状部材120の第1の部分130に動かないように固定する工程を含み得る。金属管状部材120の第1の部分130をリリースワイヤ186上に圧着又はスエージ加工することは、金属管状部材120の壁の内面を、リリースワイヤ186の外面に接触するように押し付けることを含み得る。いくつかの実施形態では、金属管状部材120の第1の部分130をリリースワイヤ186上に圧着又はスエージ加工することは、圧着領域内でリリースワイヤ186の外径を縮小させることで、金属管状部材120とリリースワイヤ186との間に機械的連結を形成することを含み得る。
【0042】
いくつかの例では、金属管状部材120の第1の部分130は、所定の破断領域122の近位側に配置され得、金属管状部材120の第2の部分140は、所定の破断領域122の遠位側に配置され得る。いくつかの例では、金属管状部材120の第1の部分130は、金属管状部材120の第2の部分140と一体構造及び/又はモノリシック構造として一体的に形成され得る。所定の破断領域122は、金属管状部材120の壁に形成され得る。いくつかの例では、所定の破断領域122は、金属管状部材120の壁に形成された複数のスリット及び/又はノッチを含み得る。他の構成も考えられる。例えば、所定の破断領域122は、ミシン目、金属管状部材120の壁を通って延びる複数の開口、金属管状部材120の壁に形成された薄い又は脆弱な特徴などを含み得る。金属管状部材120の第1の部分130は、金属管状部材120の第2の部分140から所定の破断領域122のところで離脱するように構成され得る。しかしながら、形状に関係なく、医療デバイスシステム及び/又は長尺シャフト110の通常の使用及び/又は取り扱いにおいては、所定の破断領域122は概して、金属管状部材120の第2の部分140からの金属管状部材120の第1の部分130の偶発的又は意図しない離脱を回避及び/又は防止するのに十分な強度を有し得る。
【0043】
図12に見られるように、医療デバイスシステムは、金属管状部材120、ポリマーシース150(図示省略)、及び/又は長尺シャフト110の管腔内に配置されたリリースワイヤ186を含み得る。リリースワイヤ186は、例えば図12に見られるように、医療デバイス180を第1の位置で長尺シャフト110の遠位端に解放可能に取り付けるように構成され得る。いくつかの実施形態では、リリースワイヤ186は、代わりに及び/又は交換可能に、プルワイヤ、作動ワイヤ、及び/又はロッキングワイヤと呼ばれることがある。リリースワイヤ186は、通常は中実のワイヤ又はシャフトであり得るが、いくつかの実施形態では管状であってもよい。本明細書で説明するように、金属管状部材120の第1の部分130は、所定の破断領域122の近位のリリースワイヤ186の近位部分に固定的に取り付けられ得る。
【0044】
使用中、医療デバイスシステムのマイクロカテーテル190(例えば、図1)は、患者の解剖学的構造に挿入され、その遠位端を、治療部位に隣接する位置まで誘導し及び/又は前進させることができる。長尺シャフト110の遠位端に配置された医療デバイス180は、マイクロカテーテル190を通って治療部位まで前進することができる。いくつかの実施形態では、医療デバイス180は、長尺シャフト110の遠位端に近接したマイクロカテーテル190の管腔内に配置され得る。いくつかの実施形態では、医療デバイス180は、使用前及び/又はマイクロカテーテル190を患者の解剖学的構造に挿入する前に、長尺シャフト110の遠位端に近接したマイクロカテーテル190の管腔内に配置され得る。医療デバイス180の展開及び/又は解放は、医療デバイスの種類及び/又は所望の治療プロセス又は方法に応じて選択的に行われ得る。長尺シャフト110は、医療デバイス180がマイクロカテーテル190の遠位側に配置されたときに、長尺シャフト110の近位端がマイクロカテーテル190の近位側に留まる(例えば、マイクロカテーテル190から近位側に延びる)のに十分な長さを有し得る。使用時、長尺シャフト110は、治療部位から、患者の体外の、医療デバイスシステムが使用者によって操作され得る位置まで到達するのに十分な長さを有し得る。
【0045】
使用者が長尺シャフト110から医療デバイス180を取り外す及び/又は解放する準備ができたとき(例えば、医療デバイス180が標的部位に配置されたとき)、使用者は金属管状部材120の第2の部分140の移動を防止するために金属管状部材の第2の部分140を保持することができるとともに、使用者は金属管状部材120の第2の部分140に対して金属管状部材120の第1の部分130を曲げることにより、所定の破断領域122の周囲にモーメントを加えることができる。このモーメントにより、金属管状部材120の所定の破断領域122において破断が形成されることで、金属管状部材120の第1の部分130が金属管状部材120の第2の部分140から解放される。
【0046】
金属管状部材120の第1の部分130を金属管状部材120の第2の部分140から解放することにより、リリースワイヤ186が軸方向に平行移動できるようになり、かつ/又は長尺シャフト110の遠位部分、解放機構170、及び/又は医療デバイス180に対して移動できるようになる。したがって、金属管状部材120の第1の部分130から金属管状部材120の第2の部分140が開放されたとき、リリースワイヤ186は第2の位置に平行移動及び/又は移動可能である。リリースワイヤ186が第2の位置にある場合、医療デバイス180は、解放機構170の近位カプラ172及び/又は長尺シャフト110の遠位端から取り外し可能であり得る。したがって、金属管状部材120の第2の部分140に対する金属管状部材120の第1の部分130の軸方向及び/又は近位方向の平行移動及び/又は移動により、リリースワイヤ186を第2の位置まで近位方向に後退させることができ、それによって、解放機構170の近位カプラ172及び/又は長尺シャフト110の遠位端から解放機構170の遠位カプラ174及び/又は医療デバイス180を解放することができる。
【0047】
図13~17は、医療デバイス180を送達するための長尺シャフトを製造する別の例示的な方法の態様を示す。この方法は長尺シャフト210(例えば、図15~16)に言及しているが、長尺シャフト210は、医療デバイスシステムにおける長尺シャフト110と交換可能に使用及び/又は参照され得ることが理解されるべきである。長尺シャフトの構造とは独立した構成部品及び/又は要素(例えば、医療デバイス180、マイクロカテーテル190など)は、上述のものと同じであってもよく、すべての要素が各図に示されているわけではない。同様に、長尺シャフト110を構築する際に使用されるのと同じ構成部品及び/又は要素(例えば、解放機構170、リリースワイヤ186など)のいくつかは、長尺シャフト210の構築にも使用され得、従ってそれらの要素と同じ参照番号及び説明が使用され、簡潔にするためにそれらの要素の説明は繰り返さない。
【0048】
図13に示すように、この方法は、ポリマー管状部材260及び長手方向支持フィラメント176を、マンドレル30上に配置された第1のポリマーシース252上に押出成形することで、複合管状部材258を形成する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、図13に見られるように、長手方向支持フィラメント176は、マンドレル30上に配置された第1のポリマーシース252に沿って押出機40を通して供給され得る。いくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176は、ポリマー管状部材260と同時に押出成形されてもよく、及び/又はポリマー管状部材260と共押出成形されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーシース252は、マンドレル30上に直接形成され得る。例えば、第1のポリマーシース252はマンドレル30上に押出成形され得る。別の例では、第1のポリマーシース252は管状構造として形成され得、マンドレル30は第1のポリマーシース252内に挿入され得る(又は、第1のポリマーシース252をマンドレル30上に被せてもよい)。一例では、第1のポリマーシース252は、約0.006インチ(約0.1524ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、第1のポリマーシース252は、約0.004インチ(0.1016ミリメートル)~約0.008インチ(約0.2032ミリメートル)の外径を有し得る。本明細書で説明するように、マンドレル30は、第1のポリマーシース252から除去可能であり得る。いくつかの実施形態では、マンドレル30は、第1のポリマーシース252に対して摺動可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリマーシース252は、マンドレル30とのわずかな摩擦嵌め及び/又はわずかな締り嵌めを有してもよく(例えば、マンドレル30は、第1のポリマーシース252に対して自由に動かなくてもよい)、これは、第1のポリマーシース252の管腔からマンドレル30を除去するために後に解消されてよい。一例では、第1のポリマーシース252はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成され得る。他の材料も考えられる。少なくともいくつかの実施形態では、第1のポリマーシース252の外面は、別の材料への結合及び/又は固定を容易にするために、エッチング及び/又は他の方法で機械的もしくは化学的に処理され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材260は、第1のポリマー材料を含む近位部分と、第2のポリマー材料を含む遠位部分とを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1のポリマー材料は第2のポリマー材料とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、近位部分及び遠位部分は、ポリマー管状部材を単一の一体構造及び/又はモノリシック構造にするために、接着、溶融、混成、共押出、リフロー、又はその他の方法で永久的に接合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のポリマー材料は、VESTAMID(登録商標)Lなどのポリアミド12であってもよく、第2のポリマー材料は、PEBAX(登録商標)などのポリエーテルブロックアミドであってもよい。一例では、第1のポリマー材料はVESTAMID(登録商標)L2101Fであってもよく、第2のポリマー材料はPEBAX(登録商標)63Dであってもよい。他の材料及び/又は材料の組み合わせも考えられる。少なくともいくつかの実施形態では、第2のポリマー材料は、第1のポリマー材料よりも柔らかく、かつ/又はより柔軟であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材260は、全長約15センチメートル(cm)、約20cm、約24cm、約26cm、約26.5cm、約27cm、約30cm、約35cm、又は意図された処置に応じて別の適切な全長を有し得る。一例では、近位部分は約22cmの長さを有し得、遠位部分は約4.5cmの長さを有し得る。他の例では、近位部分は約10cm~約30cmの長さを有し得、遠位部分は約3cm~約6cmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材260は、近位部分及び遠位部分を含むその全長にわたって、実質的に均一な外径及び/又は実質的に均一な内径を有し得る。しかしながら、先細り及び/又は階段状の構成を含むがこれらに限定されない他の構成も考えられる。一例では、ポリマー管状部材260は、約0.016インチ(約0.4064ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、ポリマー管状部材160は、約0.014インチ(約0.3556ミリメートル)~約0.018インチ(約0.4572ミリメートル)の外径を有し得る。
【0052】
少なくともいくつかの実施形態では、ポリマー管状部材260は、ポリマー管状部材260の遠位部分内に、及び/又は近位部分と遠位部分との間の接合部の近傍に配置された放射線不透過性マーカーバンドを含み得る。いくつかの実施形態では、複合管状部材258の形成中に、放射線不透過性マーカーバンドを押出機40を通して第1のポリマーシース252上及び長手方向支持フィラメント176の上に供給することで、ポリマー管状部材260の壁及び/又は複合管状部材258内に放射線不透過性マーカーを埋め込むことができる。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーは、ポリマー管状部材260の外面に固定され得る。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーは、ポリマー管状部材260の遠位部分の外面に固定され得る。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーは、ポリマー管状部材260の近位部分と遠位部分との間の接合部に隣接して、及び/又は上記接合部において、ポリマー管状部材260の外面に固定され得る。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーは、ポリマー管状部材260の外面に動かないように固定され得る。例えば、放射線不透過性マーカーは、ポリマー管状部材260の外面に接着されてもよく、ポリマー管状部材260の外面に圧着及び/又はスエージ加工されてもよく、及び/又は熱収縮要素を用いてポリマー管状部材の外面に動かないように固定されてもよい。複合管状部材258に放射線不透過性マーカーを追加する他の構成及び/又は方法も考えられる。
【0053】
いくつかの例では、第1のポリマーシース252上にポリマー管状部材260を押出成形した後、及び/又は複合管状部材258を形成した後、ポリマー管状部材260は第1のポリマーシース252に固定的かつ永久的に取り付けられ得る(例えば、接着、混成、共押出など)。いくつかの例では、第1のポリマーシース252上にポリマー管状部材260を押出成形した後、及び/又は複合管状部材258を形成した後、長手方向支持フィラメント176はポリマー管状部材260及び/又は複合管状部材258内に埋め込まれ、及び/又はそれらによって取り囲まれ得る。いくつかの例では、ポリマー管状部材260を第1のポリマーシース252上に押出成形した後、及び/又は複合管状部材258を形成した後、長手方向支持フィラメント176は、第1のポリマーシース252及び/又はポリマー管状部材260と直接接触して配置され得る。
【0054】
この方法は、金属管状部材120を第2のポリマーシース254上に被せる工程、又は第2のポリマーシース254を金属管状部材120の管腔内に差し込む工程を含み得る。一例では、第2のポリマーシース254は、約0.006インチ(約0.1524ミリメートル)の外径を有し得る。他の例では、第2のポリマーシース254は、約0.004インチ(0.1016ミリメートル)~約0.008インチ(約0.2032ミリメートル)の外径を有し得る。一例では、第2のポリマーシース254は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成され得る。他の材料も考えられる。少なくともいくつかの実施形態では、第2のポリマーシース254の外面は、別の材料への結合及び/又は固定を容易にするために、エッチング及び/又は他の方法で機械的もしくは化学的に処理され得る。いくつかの実施形態では、第2のポリマーシース254は、上記の第1のポリマーシース252と同様に、マンドレルを使用して形成及び/又は挿入され得る。金属管状部材120は、上記で使用及び説明したのと同じ金属管状部材120とすることができるため、金属管状部材120の物理的特性については繰り返さない。この方法は、図14に示すように、第2のポリマーシース254の遠位端を金属管状部材120の第2の部分140の遠位端及び/又は遠位部分146に固定する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、第2のポリマーシース254の遠位端が金属管状部材120の遠位端と揃うように、第2のポリマーシース254から余分な長さをトリミングする工程をさらに含み得る。
【0055】
この方法は、マンドレル30が除去された複合管状部材258を、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の上に配置する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、図15に見られるように、第1のポリマーシース252の近位部分は、複合管状部材258を金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146上に配置する前に、複合管状部材258内から除去され得る。いくつかの実施形態では、第1のポリマーシース252の遠位部分は、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146上に複合管状部材258を配置する前に、複合管状部材258内から除去される。いくつかの実施形態では、第1のポリマーシース252の遠位部分は、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146上に複合管状部材258を配置した後、複合管状部材258内から除去される。
【0056】
いくつかの例では、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146上に複合管状部材258を配置する前に、長手方向支持フィラメント176がポリマー管状部材260及び/又は第1のポリマーシース252の近位側に延びてもよい。いくつかの実施形態では、第1のポリマーシース252の遠位部分が複合管状部材258内から除去され、長手方向支持フィラメント176が第1のポリマーシース252の遠位側に延びてもよい。
【0057】
この方法は、図16に見られるように、ポリマー管状部材260の近位部分及び金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の少なくとも一部の上に管状熱収縮部材50を配置する工程を含み得る。この方法は、複合管状部材258のポリマー管状部材260の近位部分を金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146上にリフローすることで、長手方向支持フィラメント176を金属管状部材120に対して固定する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材260をリフローすることは、管状熱収縮部材50及びその中に配置されたポリマー管状部材260に熱を加えることを含み得る。管状熱収縮部材50は、十分な熱にさらされるとより小さい直径に戻るように構成され得、そのため、熱によりポリマー管状部材260が軟化及び/又は溶融するにつれて、ポリマー管状部材260に半径方向内向きの圧力が加えられ、それにより、第1のポリマーシース250、長手方向支持フィラメント176、及び金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の周りでポリマー管状部材260のリフローが引き起こされる。この方法は、ポリマー管状部材260をリフローする前に、ポリマー管状部材260の近位端に近接した長手方向支持フィラメント176をトリミングする工程をさらに含み得る。ポリマー管状部材260をリフローすると、図11に示す構造が得られる。
【0058】
いくつかの例では、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローした後(例えば、図16)、管状熱収縮部材50がポリマー管状部材260の近位部分から除去され得る。いくつかの例では、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローした後、長手方向支持フィラメント176の近位部分は、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の外面に直接配置され、その結果、図11に示される構成と同様の構成をもたらす。したがって、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローすることにより、長手方向支持フィラメント176を金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146の外面に固定することができる。いくつかの例では、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローした後、ポリマー管状部材260の最近位端は、金属管状部材120の第2の部分140の遠位テーパ部分144の遠位側に配置される。いくつかの例では、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローした後、ポリマー管状部材260の最近位端は、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146に向かって丸められてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローした後、ポリマー管状部材260の最近位端は、長手方向支持フィラメント176の近位端の近位側に延びる。いくつかの例では、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローした後、ポリマー管状部材260の近位端は、長手方向支持フィラメント176の近位端を、金属管状部材120の第2の部分140の遠位部分146に対して締め付け又は圧迫し得る。
【0059】
この方法は、近位カプラ172を長手方向支持フィラメント176の遠位端に固定的に取り付ける工程をさらに含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、図17に見られるように、近位カプラ172を固定的に取り付ける前に、ポリマー管状部材260の遠位部分を除去することで、長手方向支持フィラメント176の遠位端を露出させてもよい。いくつかの実施形態では、近位カプラ172を長手方向支持フィラメント176の遠位端に固定的に取り付ける前に、この方法は、長手方向支持フィラメント176の遠位端が近位カプラ172を通って、及び/又は近位カプラ172から遠位側に延びることができないように、長手方向支持フィラメント176の遠位端をトリミングする工程を含み得る。いくつかの実施形態では、近位カプラ172を長手方向支持フィラメント176の遠位端に固定的に取り付けた後、この方法は、長手方向支持フィラメント176の遠位端が近位カプラ172を通って及び/又は近位カプラ172から遠位側に延びないように、長手方向支持フィラメント176の遠位端をトリミングする工程を含み得る。
【0060】
いくつかの例では、ポリマー管状部材260の近位部分をリフローした後、この方法は、ポリマー管状部材260の外面及び/又は金属管状部材120の外面の露出部分に疎水性コーティング168を適用する工程を含み得る。その後、この方法は、図12に示す構成と同様に、第1のポリマーシース252及び第2のポリマーシース254の管腔内、ならびに近位カプラ172及び遠位カプラ174を通してリリースワイヤ186を軸方向に配置することで、医療デバイス180を近位カプラ172及び/又は長尺シャフト210に解放可能に結合する工程を含み得る。いくつかの例では、第1のポリマーシース252及び第2のポリマーシース254の管腔内にリリースワイヤ186を配置することは、リリースワイヤ186の遠位端を第1のポリマーシース252の近位端及び/又は金属管状部材120の近位端に挿入すること、リリースワイヤ186の遠位端を、近位カプラ172を通して、かつ遠位カプラ174と係合するように及び/又は遠位カプラ174内へと第1のポリマーシース252及び第2のポリマーシース254の管腔内で遠位方向に前進させることを含み得る。次に、この方法は、図12に関して上述したように、金属管状部材120の第1の部分130をリリースワイヤ186上に圧着又はスエージ加工することで、リリースワイヤ186を金属管状部材120の第1の部分130に動かないように固定する工程を含み得る。
【0061】
図18及び19は、医療デバイス180(図示省略)を送達するための長尺シャフト310の代替構成を示す。長尺シャフト310は、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して形成及び/又は製造され得る。長尺シャフト310はポリマーシース350を含み得、ポリマーシース350は、それを通って延びる管腔を有する。長尺シャフト310は、長尺シャフト110に関して本明細書に記載される構成と一致する様式で、ポリマーシース350の近位部分の上に配置された金属管状部材320を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、金属管状部材320は、本明細書に記載の金属管状部材120と同様又はまったく同じように構築され、かつ/又は金属管状部材120と同様の又はまったく同じ物理的特性を有することができ、その説明は繰り返さない。長尺シャフト310は、長尺シャフト110に関して本明細書に記載される構成と一致する様式で、ポリマーシース350の遠位部分及び金属管状部材320の遠位部分の上に配置されたポリマー管状部材360を含み得る。長尺シャフト310は、長尺シャフト110に関して本明細書に記載される構成と一致する様式で、ポリマーシース350の遠位部分及び金属管状部材320の遠位部分に沿って延びる長手方向支持フィラメント176を含み得る。長尺シャフト310は、長尺シャフト110に関して本明細書に記載される構成と一致する様式で、長手方向支持フィラメント176の遠位端に固定的に取り付けられる近位カプラ172を含み得る。
【0062】
いくつかの例では、ポリマー管状部材360は、長尺シャフト110に関して本明細書に記載される構成と一致する様式で、ポリマーシース350及び金属管状部材320に対して長手方向支持フィラメント176を固定することができる。ポリマー管状部材360は、近位部分362、遠位部分366、及び近位部分362と遠位部分366との間に長手方向に配置された中間部分364を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、中間部分364は、近位部分362から遠位部分366まで連続的に延びることができる。中間部分364は、近位部分362及び遠位部分366よりも低い曲げ剛性を有し得る。例えば、近位部分362は第1の材料から形成され得、中間部分364は第2の材料から形成され得、遠位部分366は第3の材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、第2の材料は、第1の材料及び/又は第3の材料とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第3の材料は第1の材料であり得る。他の構成も考えられる。したがって、中間部分364は、図19に見られるように、長尺シャフト310の優先的な曲げ位置を画定することができる。
【0063】
長手方向支持フィラメント176は、ポリマー管状部材360の近位部分362、中間部分364、及び遠位部分366内を延びてもよい。これにより、長手方向支持フィラメント176は、ポリマー管状部材360及び/又は長尺シャフト310の軸方向の伸張を実質的に制限及び/又は防止することができる。ポリマー管状部材360の第2の材料は、第1の材料及び第3の材料よりも曲げ剛性が低いため、軸方向の伸びの影響を受けやすいが、長手方向支持フィラメント176は、本明細書で述べるように高い弾性率を有し、それによってポリマー管状部材360の中間部分364内での長尺シャフト310の軸方向の伸張が制限及び/又は防止される。いくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176の半径方向及び/又は円周方向の位置は、長尺シャフト310の長手方向中心軸に対する曲げ方向などの長尺シャフト310の優先的な曲げ特性をさらに規定し得る。
【0064】
図20は、長尺シャフト110内の長手方向支持フィラメント176の構成の一例を示す断面図である。図20に示す断面図は、金属管状部材120の遠位側かつ近位カプラ172の近位側の位置のものであり得る。本明細書に記載されるように、長手方向支持フィラメント176は、ポリマーシース150及び/又はポリマー管状部材160と直接接触し得る。いくつかの実施形態では、長手方向支持フィラメント176は、ポリマーシース150に沿ってポリマー管状部材160内に埋め込まれ、及び/又はポリマー管状部材160によって取り囲まれ得る。本開示と一致する他の構成も考えられる。当業者は、この構成が、本明細書に開示される長尺シャフトの構成(例えば、参照番号210、310)のいずれにも適用できることを認識するであろう。
【0065】
図21は、長尺シャフト110の代替構成を示す断面図である。図21の代替構成では、長尺シャフト110は、複数の長手方向支持フィラメント176を含み得る。図示の例では、複数の長手方向支持フィラメント176は、ポリマーシース150の周りに円周方向に間隔を置いて配置された3本の長手方向支持フィラメントを含む。明示的に示されていないが、2本の長手方向支持フィラメント、4本の長手方向支持フィラメント、5本の長手方向支持フィラメント、6本の長手方向支持フィラメント、又は別の適切な数の長手方向支持フィラメントを含む他の構成も考えられる。いくつかの実施形態では、複数の長手方向支持フィラメント176は、ポリマーシース150の周りに円周方向に等間隔に配置され得る。このような構成は、優先的な曲げ特性の形成又は導入を妨げることがある。いくつかの実施形態では、複数の長手方向支持フィラメント176は、優先的な曲げ特性を規定及び/又は誘導するために、ポリマーシース150の周りに不均等及び/又は不規則に配置され得る。
【0066】
図21に示す断面図は、金属管状部材120の遠位側かつ近位カプラ172の近位側の位置のものであり得る。本明細書に開示されるいくつかの構成と同様に、複数の長手方向支持フィラメント176は、ポリマーシース150及び/又はポリマー管状部材160と直接接触し得る。いくつかの実施形態では、複数の長手方向支持フィラメント176は、ポリマーシース150に沿ってポリマー管状部材160内に埋め込まれ、及び/又はポリマー管状部材160によって取り囲まれ得る。本開示と一致する他の構成も考えられる。当業者は、この構成が、本明細書に開示される長尺シャフトの構成(例えば、参照番号210、310)のいずれにも適用できることを認識するであろう。
【0067】
送達シャフトの様々な構成部品(及び/又は本明細書に開示される他の要素)及び本明細書に開示されるその様々な構成部品に使用できる材料には、医療デバイスに一般的に使われる材料が含まれ得る。簡潔にするために、以下の説明では送達シャフトについて言及する。しかしながら、これは、本明細書に記載されるデバイス及び方法を限定することを意図するものではなく、この説明は本明細書に開示される他の要素、部材、構成部品、又はデバイス、例えば、限定するものではないが、長尺シャフト、リリースワイヤ、ポリマーシース、金属管状部材、ポリマー管状部材、解放機構、長手方向支持フィラメント、マイクロカテーテルなど、及び/又はそれらの要素もしくは構成部品にも適用され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせなど、又は他の適切な材料から作製され得る。適切な金属及び合金の例には、ステンレス鋼、例えば444V、444L、及び314LVステンレス鋼;軟鋼;ニッケルチタン合金、例えば線形弾性及び/又は超弾性ニチノール;他のニッケル合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)などのUNS:R44035)、ニッケル・モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003);白金富化(platinum enriched)ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせ;等;又は他の適切な材料が含まれる。
【0069】
本明細書で示唆されているように、市販のニッケル-チタン合金又はニチノール合金の中に、「線形弾性」又は「非超弾性」と呼ばれるカテゴリーがある。これらは、従来の形状記憶や超弾性の種類と化学的には似ているかもしれないが、独特の有用な機械的特性を示し得る。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、その応力-ひずみ曲線において、超弾性ニチノールのような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラッグ領域(flag region)」を示さないという点で超弾性ニチノールと区別され得る。その代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみが増加するにつれて、塑性変形が始まるまで、実質的に又はある程度線形の関係(完全に線形の関係である必要はない)で、又は少なくとも、超弾性ニチノールで見られる超弾性プラトー及び/又はフラッグ領域よりは線形に近い関係で、応力が増加し続ける。したがって、本開示の目的では、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールとも呼ばれる。
【0070】
いくつかの例では、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが(例えば、塑性変形する前に)実質的に弾性を維持しながら最大約2~5%のひずみを受け入れることができるのに対し、超弾性ニチノールは、塑性変形する前に最大約8%のひずみを受け入れることができるという点でも、超弾性ニチノールと区別され得る。これらの材料は両方とも、塑性変形する前に約0.2~0.44パーセントのひずみしか受け入れられないステンレス鋼などの他の線形弾性材料と区別することができる(組成によっても区別可能)。
【0071】
いくつかの例では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたり、示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱分析(dynamic metal thermal analysis:DMTA)によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を全く示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性体及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金において、約-60セルシウス度(℃)~約120℃の範囲でDSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化が存在しなくてもよい。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、通常、この非常に広い温度範囲にわたって温度の影響を受けないものであり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温での線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば体温での機械的特性と実質的に同じであり、その温度では、超弾性プラトー及び/又はフラッグ領域を示さない。言い換えれば、幅広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性特性及び/又は特性を維持する。
【0072】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50~約60重量パーセント範囲のニッケル及び残りは本質的にチタンのものであってもよい。いくつかの実施形態では、組成は約54~約57重量パーセントのニッケルの範囲にある。適切なニッケル-チタン合金の一例は、日本の神奈川県の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料としては、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)及びGUM METAL(登録商標)(トヨタから入手可能)が挙げられる。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用することで、所望の特性を達成することができる。
【0073】
いくつかの例では、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素の一部又は全部は、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で作られ、又はその他の方法で放射線不透過性材料を含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーン上又は他の画像化技術で比較的明るい画像を生成できる材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、使用者が本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素の位置を決定するのに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性フィラーを充填したポリマー材料などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルも、同じ結果を達成するために、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素の設計に組み込むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素に与えられる。例えば、送達シャフト及び/又はその構成要素もしくはその一部は、画像を実質的に歪めず、また、実質的なアーチファクト(例えば、画像内のギャップ)を生じさせない材料で作製され得る。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーチファクトを生じさせる可能性があるため、適切ではない場合がある。送達シャフト又はその一部は、MRI機器が画像化できる材料から作製されてもよい。これらの特性を示すいくつかの材料には、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)などのUNS:R44035)、ニチノールなど、その他が含まれる。
【0075】
いくつかの例では、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素は、ポリマー又は他の適切な材料から作製され得るか、又はそれらを含み得る。いくつかの適切なポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えばデュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標))、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名PEBAX(登録商標)として入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)高密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材料などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シースは液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることができる。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素は、構造上又は構造内に配置された布地材料を含み得る。布地材料は、組織の内方成長を促進するように適合されたポリマー材料又は生体材料などの生体適合性材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、布地材料は生体吸収性材料を含み得る。適切な布地材料のいくつかの例としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどのポリオレフィン材料、及び/又はそれらのブレンドもしくは組み合わせが挙げられる。
【0077】
いくつかの例では、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素は、繊維材料を含み、及び/又は繊維材料から形成され得る。適切な繊維材料のいくつかの例としては、平らな、成形された、撚られた、テクスチャード加工された、防縮加工された、又は未収縮の合成糸が挙げられる。本開示での使用に適した合成生体適合性糸としては、限定するものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然絹、及びポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。合成糸は、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタルもしくはNi-Co-Cr系合金から製造されるか、又はそれらを含む糸などの、金属糸又はガラスもしくはセラミック糸又は繊維であってもよいし、これらを含んでもよい。糸は、炭素、ガラス又はセラミック繊維をさらに含んでもよい。望ましくは、糸は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含むがこれらに限定されない熱可塑性材料から作られる。糸は、マルチフィラメント、モノフィラメント、又は紡績タイプのものであり得る。選択される糸のタイプ及びデニールは、生体適合性及び移植可能なプロテーゼ、より具体的には望ましい特性を有する血管構造を形成する方法で選択され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される送達シャフト及び/又は他の要素は、適切な治療薬を含み得、及び/又は適切な治療薬で処理され得る。適切な治療薬のいくつかの例としては、抗血栓形成剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など);抗増殖剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞の増殖をブロックできるモノクローナル抗体、ヒルジン、及びアセチルサリチル酸など);抗炎症薬(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミンなど);抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害剤など);麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインなど);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、及びダニ抗血小板ペプチドなど);血管細胞増殖促進剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性化剤、及び翻訳プロモーターなど);血管細胞増殖阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害性抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素からなる二機能性分子、抗体と細胞毒素からなる二機能性分子など);コレステロール低下剤;血管拡張剤;及び内因性血管作動性機構を妨害する薬剤が挙げられる。
【0079】
本開示は多くの点で例示にすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、細部、特に形状、サイズ、及び工程の並び順に関して変更を加えることができる。これには、適切な範囲で、ある例示的な実施形態の特徴のいずれかを他の実施形態で使用することを含み得る。当然ながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現する文言で定義される。
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