(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240917BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240917BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240917BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240917BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240917BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J7/00 P
H02J3/14 130
H02J13/00 311A
G06Q30/0207 372
(21)【出願番号】P 2024080846
(22)【出願日】2024-05-17
【審査請求日】2024-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕二
(72)【発明者】
【氏名】三谷 燎平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 治良
(72)【発明者】
【氏名】伴野 卓也
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190249(JP,A)
【文献】特開2015-121908(JP,A)
【文献】特開2021-067963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 7/00
H02J 3/14
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家の構内において電力系統に電気的に接続され、前記電力系統から供給される電力を受電可能な分電盤と、
バッテリを有する車両と電気的に接続可能な構成となっており、前記分電盤から供給される電力を前記車両に供給可能な接続部と、
前記電力系統を通じて前記分電盤に電力を供給する電力供給事業者により管理され、所定の処理を実行する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
将来の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定し、
前記電力供給事業者が前記需要家に付与する特典の量を示すポイントが、時間帯に対して1対1に関連付けられたテーブルであって、特定された電力市場価格が相対的に低い第1時間帯に対応する前記ポイントが、特定された電力市場価格が相対的に高い第2時間帯に対応する前記ポイントより高くなるように、時間帯と前記ポイントとが関連付けられたポイントテーブルを生成し、
生成された前記ポイントテーブルを前記需要家に提示
し、
前記需要家が前記車両への電力の供給を所望する時間帯の候補を示す候補時間帯情報を取得し、
取得された前記候補時間帯情報および前記ポイントテーブルに基づいて、前記車両への電力の供給を実行するスケジュールであって、前記候補時間帯情報が示す時間帯のうち前記ポイントが相対的に高い時間帯を含む電力供給スケジュールを生成し、
生成された前記電力供給スケジュールに従って、前記車両への電力の供給を制御する、電力供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記分電盤から前記車両への電力の供給が実行された時間帯を示す供給済時間帯を特定し、
前記ポイントテーブルおよび特定された前記供給済時間帯に基づいて、前記需要家に付与する前記ポイントを決定する、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記接続部は、
前記分電盤と前記車両との間の電流経路のオンオフが可能なスイッチを含み、
前記制御装置は、
前記電力供給スケジュールに従って、前記スイッチのオンオフを制御することで、前記分電盤から前記車両への電力の供給を制御する、請求項
1に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記車両は、外部から供給された電力を前記バッテリに供給する外部充電部を有し、
前記制御装置は、
前記車両と通信を確立し、前記電力供給スケジュールに従って、前記車両の前記外部充電部のオンオフを制御することで、前記分電盤から前記バッテリへの電力の供給を制御する、請求項
1に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記電力供給事業者が前記需要家に電力を供給することで得られる利益を示す電力供給利益を前記所定時間帯ごとに導出し、
前記ポイントテーブルの生成において、前記電力供給利益を超えない範囲で前記ポイントの設定を行う時間帯を含むように、前記ポイントテーブルを生成する、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記ポイントテーブルの生成において、時間帯に対応する前記ポイントの設定を、1より大きい所定の整数単位で行う、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記ポイントテーブルの生成において、前記ポイントテーブルの対象となる期間のうち、複数の時間帯に亘って前記ポイントが一律の値となる期間を設ける、請求項1に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統から需要家の分電盤に供給された電力を車両に供給する電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、デマンドレスポンスによってユーザから電力系統に電力が提供された場合に、ユーザのサービスの利用ポイントを更新する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
需要家に電力を供給する電力供給事業者は、例えば、電力市場から電力を調達して、電力系統を通じて需要家に電力を供給し、需要家から電気料金を受け取る。また、需要家は、電力系統から受電した電力を車両に供給して、車両のバッテリを充電することがある。ここで、例えば、電力市場における電力市場価格が相対的に高い時間帯に、車両に電力が供給されると、電力供給事業者としては、電力市場からの電力の調達価格が高くなるため、利益が減少することになる。このため、電力供給事業者としては、需要家における車両のバッテリの充電を、電力市場価格が相対的に安い時間帯に行ってもらいたいと希望する。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、車両に電力を供給する時間帯を特定の時間帯に誘導可能な電力供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電力供給システムは、需要家の構内において電力系統に電気的に接続され、電力系統から供給される電力を受電可能な分電盤と、バッテリを有する車両と電気的に接続可能な構成となっており、分電盤から供給される電力を車両に供給可能な接続部と、電力系統を通じて分電盤に電力を供給する電力供給事業者により管理され、所定の処理を実行する制御装置と、を備え、制御装置は、将来の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定し、電力供給事業者が需要家に付与する特典の量を示すポイントが、時間帯に対して1対1に関連付けられたテーブルであって、特定された電力市場価格が相対的に低い第1時間帯に対応するポイントが、特定された電力市場価格が相対的に高い第2時間帯に対応するポイントより高くなるように、時間帯とポイントとが関連付けられたポイントテーブルを生成し、生成されたポイントテーブルを需要家に提示し、需要家が車両への電力の供給を所望する時間帯の候補を示す候補時間帯情報を取得し、取得された候補時間帯情報およびポイントテーブルに基づいて、車両への電力の供給を実行するスケジュールであって、候補時間帯情報が示す時間帯のうちポイントが相対的に高い時間帯を含む電力供給スケジュールを生成し、生成された電力供給スケジュールに従って、車両への電力の供給を制御する。
【0007】
また、制御装置は、分電盤から車両への電力の供給が実行された時間帯を示す供給済時間帯を特定し、ポイントテーブルおよび特定された供給済時間帯に基づいて、需要家に付与するポイントを決定するようにしてもよい。
【0009】
また、接続部は、分電盤と車両との間の電流経路のオンオフが可能なスイッチを含み、制御装置は、電力供給スケジュールに従って、スイッチのオンオフを制御することで、分電盤から車両への電力の供給を制御するようにしてもよい。
【0010】
また、車両は、外部から供給された電力をバッテリに供給する外部充電部を有し、制御装置は、車両と通信を確立し、電力供給スケジュールに従って、車両の外部充電部のオンオフを制御することで、分電盤からバッテリへの電力の供給を制御するようにしてもよい。
【0011】
また、制御装置は、電力供給事業者が需要家に電力を供給することで得られる利益を示す電力供給利益を所定時間帯ごとに導出し、ポイントテーブルの生成において、電力供給利益を超えない範囲でポイントの設定を行う時間帯を含むように、ポイントテーブルを生成するようにしてもよい。
【0012】
また、制御装置は、ポイントテーブルの生成において、時間帯に対応するポイントの設定を、1より大きい所定の整数単位で行うようにしてもよい。
【0013】
また、制御装置は、ポイントテーブルの生成において、ポイントテーブルの対象となる期間のうち、複数の時間帯に亘ってポイントが一律の値となる期間を設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両に電力を供給する時間帯を特定の時間帯に誘導可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態の電力供給システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、ポイントテーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、需要家がポイントテーブルを確認するときの流れを説明する図である。
【
図4】
図4は、車両の外部充電を制御装置が遠隔制御する流れを説明する図である。
【
図5】
図5は、ポイントの付与に関する流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態の電力供給システム1の構成の一例を示す概略図である。本実施形態の電力供給システム1は、分電盤10、メータ12、接続部14、車両20、端末装置22、制御装置24を含む。分電盤10、メータ12および接続部14は、需要家30の構内に設置される。需要家30は、電力系統32から電力の供給を受けて電力を使用する者を意味する。また、本実施形態における需要家30は、電力供給システム1のユーザに相当するため、以後、説明の便宜のため、需要家30のことを、ユーザと表現する場合がある。
【0018】
分電盤10は、メータ12を介して電力系統32に電気的に接続され、電力系統32から供給される電力を受電可能な構成となっている。分電盤10には、負荷34が接続される。負荷34は、分電盤10を通じて供給される電力を消費する任意の電気機器である。
【0019】
メータ12は、分電盤10が電力系統32から受電する電力を計測可能な構成となっている。メータ12は、例えば、スマートメータであってもよい。メータ12は、通信ネットワーク36を通じて制御装置24などと通信を確立することができるようになっていてもよい。通信ネットワーク36は、例えば、電話網、インターネット、無線LANおよび専用ネットワークなど、様々な形態のネットワークを含んでもよい。
【0020】
接続部14は、分電盤10に電気的に接続される。接続部14は、後述する車両20と電気的に接続可能な構成となっている。接続部14は、分電盤10から供給される電力を車両20に供給可能な構成となっている。
【0021】
例えば、接続部14は、車両20との間に設けられるケーブル38が接続可能な接続口40を有するコンセントを含む。接続部14は、接続口40に加え、通信部42およびスイッチ44を有するスマートコンセント(換言すると、IoT(Internet of Things)コンセント)を含んでもよい。接続部14の通信部42は、通信ネットワーク36を通じて制御装置24などと通信を確立することができるようになっている。
【0022】
スイッチ44は、2つの接点の間のオンオフが可能な構成となっている。スイッチ44の第1接点は、分電盤10に繋がっている。スイッチ44の第2接点は、接続口40に繋がっている。ケーブル38は、一方側のコネクタが接続口40に接続され、他方側のコネクタが車両20に接続されることで、接続口40と車両20とを電気的に繋げることができる。つまり、スイッチ44は、電気的に接続可能な分電盤10と車両20との間の電流経路のオンオフが可能となっている。接続部14は、制御装置24から送信されて通信部42を通じて受信される制御指令に応じて、スイッチ44のオンオフが可能となっている。
【0023】
接続部14は、さらに、接続部14を流れる電力を計測可能な電力計測部46を含んでもよい。
【0024】
なお、接続部14は、通信部42、スイッチ44および電力計測部46が省略された一般的なコンセントを含む構成とされてもよい。また、接続部14は、接続口40とケーブル38とが一体化された構成となっていてもよい。
【0025】
車両20は、例えば、駆動源としてモータジェネレータを備える電気自動車であるとするが、駆動源としてエンジンとモータジェネレータとを備えるハイブリッド電気自動車であってもよい。
【0026】
車両20は、少なくともバッテリ50を有し、外部から供給される電力によるバッテリ50の充電が可能な構成となっている。以後、説明の便宜のため、車両20の外部から車両20に供給される電力によって車両20のバッテリ50を充電することを、車両20の外部充電という場合がある。
【0027】
バッテリ50は、例えば、リチウムイオンバッテリなどの充放電が可能な二次電池である。バッテリ50は、例えば、駆動源としてのモータジェネレータに電力を供給する。
【0028】
車両20は、バッテリ50の他、通信部52、充電口54および外部充電部56を有する。通信部52は、通信ネットワーク36を通じて制御装置24などと通信を確立することができるようになっている。
【0029】
充電口54は、外部充電部56を介してバッテリ50に電気的に接続される。充電口54は、ケーブル38のコネクタが接続可能な構成となっている。外部充電部56は、充電口54を通じて外部から供給された電力をバッテリ50に供給する。外部充電部56は、充電口54とバッテリ50との間の電流経路のオンオフが可能なスイッチを含んでもよい。外部充電部56は、外部から供給された電力を、バッテリ50の充電に適した電力に変換可能な電力変換機能を備えてもよい。
【0030】
端末装置22は、需要家30、換言すると、ユーザにより管理される電子機器である。端末装置22は、例えば、スマートフォンなどの持ち運び可能な電子機器であってもよいし、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の電子機器であってもよい。
【0031】
端末装置22は、通信装置60、ユーザインターフェース62、プロセッサ64およびメモリ66を有する。なお、
図1では、ユーザインターフェース62をUIと略記している。通信装置60は、通信ネットワーク36を通じて制御装置24などと通信を確立することができるようになっている。
【0032】
ユーザインターフェース62は、ユーザによる入力操作を受け付け可能な入力装置と、ユーザに各種の情報を提示することが可能な出力装置とを含む。入力装置は、例えば、タッチパネルなどを含んでもよい。出力装置は、各種の情報を表示可能な表示装置を含んでもよい。
【0033】
端末装置22のプロセッサ64は、メモリ66に含まれるプログラムを実行することで、端末装置22に関する各種の処理を実行する端末制御部68として機能する。端末制御部68は、例えば、通信装置60を介して制御装置24と情報の送受信を行うことができる。また、端末制御部68は、ユーザインターフェース62の入力装置への入力操作に応じて、ユーザインターフェース62の表示装置に各種の情報を表示させることができる。
【0034】
制御装置24は、電力系統32を通じて需要家30に電力を供給する電力供給事業者80により管理される。したがって、制御装置24は、需要家30側ではなく電力供給事業者80側に設置される。電力供給事業者80は、電力系統32を通じて需要家30の分電盤10に電力を供給する契約を需要家30と締結している企業や団体などである。
【0035】
制御装置24は、通信装置90、記憶装置92、プロセッサ94、メモリ96を有する。通信装置90は、通信ネットワーク36を通じて、需要家30のメータ12、需要家30の接続部14、車両20および端末装置22などと通信を確立することができるようになっている。
【0036】
また、制御装置24の通信装置90は、通信ネットワーク36を通じて、電力市場100と接続可能となっている。電力市場100は、実際の電力量を取引する卸電力取引市場を含む。以後、説明の便宜のため、電力市場100の卸電力取引市場で取引される電力の価格を、電力市場価格という場合がある。電力市場価格は、例えば、30分などの所定の単位期間ごとに、電力の需給状況に応じて変動する。
【0037】
記憶装置92は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブおよびフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子により構成される。
【0038】
制御装置24のプロセッサ94は、メモリ96に含まれるプログラムを実行することで、制御装置24に関する各種の処理を実行する。また、制御装置24のプロセッサ94は、メモリ96に含まれるプログラムを実行することで、テーブル管理部110、ポイント管理部112および電力供給制御部114としても機能する。
【0039】
テーブル管理部110は、電力供給事業者80が需要家30に付与する特典の量を示すポイントが、時間帯に対して1対1に関連付けられたポイントテーブルを生成する。ポイントは、金銭的な価値を有してもよく、例えば、電力供給事業者80によるサービスの代金(例えば、電気料金の一部)として利用可能であってもよい。テーブル管理部110は、生成されたポイントテーブルを、需要家30の端末装置22の表示装置に表示させるなどによって、当該ポイントテーブルを需要家30に提示する。ポイントテーブルについては後に詳述する。
【0040】
ポイント管理部112は、分電盤10から車両20への電力の供給が実行された時間帯、すなわち、車両20の外部充電が行われた時間帯を示す供給済時間帯を特定する。ポイント管理部112は、ポイントテーブルおよび特定された供給済時間帯に基づいて、需要家30に付与するポイントを決定し、ポイントの付与を実行する。
【0041】
電力供給制御部114は、分電盤10から車両20のバッテリ50への電力の供給、すなわち、車両20の外部充電を遠隔制御する。遠隔制御については後に詳述する。
【0042】
図2は、ポイントテーブルの一例を示す図である。
図2では、1コマ30分とされ、1日が48コマの時間帯に区分されている。例えば、
図2中、第1コマは、0時から0時30分までの時間帯に対応し、第2コマは、0時30分から1時までの時間帯に対応する。
【0043】
図2で示すように、ポイントテーブルでは、各日の各時間帯に、例えば、「5」、「10」、「15」などで例示するポイントが設定されている。つまり、ポイントテーブルでは、時間帯に対してポイントが1対1に関連付けられている。ポイントテーブルでは、1コマが、電力市場価格が変動する時間間隔と同じ30分とされているため、電力市場価格の変動に合わせてポイントを設定することができる。ポイントは、数値が大きいほど価値が高くなっている。ポイントテーブルは、適宜更新される。
【0044】
また、ポイントテーブルでは、現時点から将来の所定期間において、時間帯とポイントとの関連付けがされている。例えば、ポイントテーブルでは、現時点から1週間後の日から起算して1週間分の各日の各時間帯についてポイントが設定されるようになっていてもよい。
図2の例では、現時点が20xx年5月11日であるとし、現時点から1週間後の20xx年5月18日から1週間分のポイントが設定されている。
【0045】
なお、ポイントテーブルの対象となる期間は、例示した期間に限らず、様々な期間に設定されてもよい。例えば、ポイントテーブルは、現時点から起算して1週間分の各日の各時間帯についてポイントが設定されるようになっていてもよい。ポイントテーブルは、現時点から3日後の日から起算して10日間分の各日の各時間帯についてポイントが設定されるようになっていてもよい。
【0046】
本実施形態の電力供給システム1では、後述するが、需要家30の接続部14を通じて車両20の外部充電が行われると、ポイントテーブルにおける車両20の外部充電が行われた時間帯に関連付けられたポイントが、需要家30に付与されるようになっている。このことから、需要家30としては、設定されたポイントの数値が高い時間帯に車両20の外部充電を行うようにすることで、多くのポイントを得ることができるようになる。
【0047】
テーブル管理部110は、上述のようなポイントテーブルを生成するにあたって、将来の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定する。
【0048】
例えば、テーブル管理部110は、将来の所定時間帯ごとの電力市場価格の推定値を導出することで、将来の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定してもよい。テーブル管理部110は、例えば、過去の電力市場価格の変動推移を解析して将来の電力市場価格を推定してもよい。ここでの所定時間帯は、ポイントテーブルの1コマ(例えば、30分)と同じに設定されてもよい。より詳細には、テーブル管理部110は、生成するポイントテーブルの対象となる期間(例えば、現時点から1週間後の日から起算して1週間)の各日の各時間帯について電力市場価格の推定値を導出してもよい。
【0049】
また、電力市場100では、翌日の所定時間帯ごとの電力市場価格が確定される。このため、テーブル管理部110は、翌日の所定時間帯ごとの確定された電力市場価格を電力市場100から取得することで、将来(例えば、翌日)の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定してもよい。確定された電力市場価格を電力市場100から取得することで、ポイントテーブルにおける翌日分の各時間帯のポイントについては、確定した電力市場価格を反映したポイントとすることができる。
【0050】
また、テーブル管理部110は、将来の電力市場価格の推定値を導出することと、将来の確定された電力市場価格を取得することとの両方を組み合わせることによって、将来の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定してもよい。例えば、テーブル管理部110は、翌日の電力市場価格については電力市場から取得した電力市場価格により特定し、翌々日以降の電力市場価格については電力市場価格の推定値により特定してもよい。
【0051】
テーブル管理部110は、特定された電力市場価格が相対的に低い第1時間帯に対するポイントが、特定された電力市場価格が相対的に高い第2時間帯に対応するポイントより高くなるように、ポイントテーブルを生成する。
【0052】
例えば、
図2において、20xx年5月18日の第14コマでの電力市場価格は、20xx年5月18日の第3コマでの電力市場価格より低い。このことから、
図2において、20xx年5月18日の第14コマのポイント「10」が、20xx年5月18日の第3コマのポイント「5」より高くなっている。
【0053】
つまり、ポイントテーブルでは、電力市場価格が低い時間帯に対応するポイントが高く設定され、電力市場価格が高い時間帯に対応するポイントが低く設定されている。
【0054】
テーブル管理部110は、生成したポイントテーブルを需要家30に提示する。これにより、需要家30は、上述のようなポイントテーブルを確認することができる。そうすると、ポイントテーブルのポイントが、需要家30が車両20の外部充電を行う時間帯を決定するときのインセンティブとなり得る。このことから、需要家30は、車両20の外部充電を、ポイントが比較的高い時間帯に実行することを所望するようになる。つまり、需要家30は、ポイントが相対的に低い時間帯よりも、ポイントが比較的高い時間帯を意図的に選択して車両20の外部充電を行うようになる。
【0055】
そうして、ポイントが比較的高い時間帯に車両20の外部充電が実際に行われると、電力供給事業者80としては、電力市場価格が相対的に低い時間帯に電力を調達して需要家30に供給することになる。このため、電力供給事業者80としては、ポイントを需要家30に付与したとしても、需要家30に電力を供給することによる利益の減少を抑制することが可能となる。
【0056】
また、ポイントが比較的高い時間帯に車両20の外部充電が実際に行われると、需要家30としては、比較的高いポイントを電力供給事業者80から受け取ることができる。このため、需要家30としては、受け取るポイントにより、電力供給事業者80に支払う電気料金の負担を結果的に軽減することが可能となる。
【0057】
このように、本実施形態の電力供給システム1では、ポイントテーブルを需要家30に提示することで、車両20に電力を供給する時間帯を、電力市場価格が相対的に安い時間帯に誘導することが可能となる。その結果、本実施形態の電力供給システム1では、電力供給事業者80および需要家30の双方が金銭的なメリットを享受することが可能となる。
【0058】
テーブル管理部110は、ポイントテーブルの生成の際、電力市場価格を考慮することに加え、電力供給事業者80の具体的な利益を考慮してポイントテーブルを生成するようにしてもよい。
【0059】
より詳細には、テーブル管理部110は、電力供給事業者80が需要家30に電力を供給することで得られる利益を示す電力供給利益を、時間帯ごとに導出する。つまり、ここでの電力供給利益は、所定の時間帯において電力供給事業者80が需要家30に電力を供給したときの当該所定の時間帯において電力供給事業者80が得ることができる時間帯単位での利益を意味する。
【0060】
テーブル管理部110は、例えば、電力供給事業者80が需要家30に電力を供給することで需要家30から得られる時間帯単位での収入から、電力供給事業者80が需要家30に電力を供給するために負担する時間帯単位での支出を減算して、電力供給利益を導出する。テーブル管理部110は、この演算を時間帯ごとに行う。ここでの収入は、売上に相当し、例えば、燃料調整費を含む電気料金を時間帯単位で表したものとしてもよい。ここでの支出は、費用に相当し、例えば、電力調達価格および託送料金を時間帯単位で表したものとしてもよい。なお、ここでの収入および支出に関する情報は、需要家30に関連付けて、記憶装置92のデータベースに予め記憶されていてもよい。
【0061】
テーブル管理部110は、時間帯ごとに、導出された電力供給利益を超えない範囲で時間帯に対応するポイントの設定を行う。テーブル管理部110は、時間帯ごとに、電力供給利益を超えない範囲でのポイントの付与上限値を決定し、ポイントの付与上限値を超えない範囲で、設定するポイントを決定してもよい。例えば、所定の時間帯において導出された電力供給利益をポイントに換算した値が「20」であったとする。この例において、テーブル管理部110は、当該時間帯のポイントの付与上限値を、例えば、「15」に決定し、当該時間帯に設定するポイントを、「15」を超えないように、例えば、「10」に設定するようにしてもよい。なお、テーブル管理部110は、ポイントの付与上限値の決定を省略し、設定するポイントを、電力供給利益を超えない範囲で直接的に決定してもよい。
【0062】
テーブル管理部110は、ポイントテーブルの全ての時間帯について、時間帯ごとの電力供給利益を超えない範囲でポイントの設定を行う態様に限らない。テーブル管理部110は、ポイントテーブルの時間帯のうちの一部の時間帯において、電力供給利益を超えない範囲でポイントの設定を行い、その他の時間帯において、電力供給利益を超えることを許容してポイントの設定を行ってもよい。つまり、テーブル管理部110は、ポイントテーブルの生成において、所定時間帯ごとの電力供給利益を超えない範囲でポイントの設定を行う時間帯を含むように、ポイントテーブルを生成してもよい。
【0063】
テーブル管理部110は、電力供給利益が相対的に大きい時間帯では、ポイントの付与上限値を超えない範囲でポイントを相対的に高くし、電力供給利益が相対的に小さい時間帯では、ポイントの付与上限値を超えない範囲でポイントを相対的に小さくしてもよい。
【0064】
これにより、本実施形態の電力供給システム1では、ポイントを付与することで電力供給事業者80が赤字になる事態を確実に回避し、電力供給事業者80の利益を確保しつつ、需要家30にポイントを付与することが可能となる。
【0065】
また、テーブル管理部110は、ポイントテーブルの生成において、時間帯に対応するポイントの設定を、1より大きい所定の整数単位で行ってもよい。
図2の例では、5ポイント単位でポイントの設定が行われている。なお、5ポイント単位に限らず、2ポイント単位とされてもよいし、3ポイント単位とされてもよいし、4ポイント単位とされてもよいし、6ポイント以上の任意の整数単位とされてもよい。
【0066】
これにより、ポイントテーブルが見易くなり、需要家30は、ポイントテーブルの内容を容易に把握することができる。
【0067】
また、テーブル管理部110は、ポイントテーブルの生成において、ポイントテーブルの対象となる期間のうち、複数の時間帯に亘ってポイントが一律となる期間を設けるようにしてもよい。
図2の例において、20xx年5月18日の第1コマ~第10コマの期間が、ポイントを一律とする期間とされてもよい。それにより、
図2の例では、20xx年5月18日の第1コマ~第10コマの期間において、各時間帯のポイントが「5」で一律となっており、「5」ポイントが連続している。
【0068】
これにより、ポイントテーブルがさらに見易くなり、需要家30は、車両20の外部充電をポイントが一律の期間に行うことが可能であるかの確認を行い易くなるなどのように、ポイントテーブルの内容をより容易に把握することができる。
【0069】
なお、特定の条件の下、ポイントを一律とする期間の一部の時間帯において、その時間帯に設定されたポイントが、その時間帯の電力供給利益を超えることを許容するようにしてもよい。ここでの特定の条件は、例えば、ポイントを一律とする期間の各時間帯のポイントの合計値が、当該期間の各時間帯の電力供給利益の合計値を超えない、という条件とされてもよい。つまり、ポイントを一律とする期間の全体を考慮して電力供給事業者80が赤字にならなければ、ポイントを一律とする期間の一部の時間帯で電力供給事業者80が赤字になるようなポイント設定を許容するようにしてもよい。
【0070】
また、複数の時間帯に亘ってポイントを一律とする態様に限らず、例えば、複数の時間帯に亘ってポイントが緩やかに増加あるいは緩やかに減少する期間を設けるようにしてもよい。
【0071】
また、電力市場価格の変動が小さい深夜の時間帯については、例えば、現時点から7日後(1週間後)までの当該深夜の時間帯において、一律のポイントが設定されるようにしてもよい。
【0072】
また、テーブル管理部110は、ポイントテーブルの対象となる期間のうち一部の期間において、時間帯に対応するポイントを未設定として、ポイントテーブルを生成してもよい。つまり、ポイントテーブルは、具体的なポイントが示されていない時間帯を含んでもよい。例えば、電力市場価格が確定していない2日後以降の深夜以外の時間帯では、当該2日後以降の深夜に設定する一律のポイントよりも、ポイントが高くなる可能性があることから、当該2日後以降の深夜以外の時間帯の少なくとも一部において具体的なポイントを設定しないようなポイントテーブルが生成されてもよい。
【0073】
図3は、需要家30がポイントテーブルを確認するときの流れを説明する図である。需要家30は、ポイントテーブルの表示を所望するとき、例えば、端末装置22のユーザインターフェース62を通じて、ポイントテーブルの表示を指示するソフトウェアボタンをタップするなどの所定の入力操作を行う(S10)。
【0074】
端末装置22の端末制御部68は、上記の入力操作を受け付けると、ポイントテーブルの送信要求を制御装置24に送信する(S11)。ポイントテーブルの送信要求には、端末装置22に入力操作を行った需要家30を特定する情報が含まれてもよい。
【0075】
制御装置24のテーブル管理部110は、ポイントテーブルの送信要求を受信すると、ポイントテーブルを生成するテーブル生成処理を実行する(S12)。
【0076】
より詳細には、テーブル管理部110は、ポイントテーブルの対象となる期間について、時間帯ごとに、将来の電力市場価格の推定値を導出すること、および、将来の確定された電力市場価格を取得することのいずれか一方または双方により、電力市場価格を特定する(S20)。テーブル管理部110は、需要家30を特定し、ポイントテーブルの対象となる期間について、時間帯ごとに、電力供給利益を導出する(S21)。
【0077】
テーブル管理部110は、特定された電力市場価格および導出された電力供給利益を参照して、時間帯ごとに、設定するポイントを決定する(S22)。例えば、テーブル管理部110は、決定するポイントが電力供給利益を超えない条件の下、電力市場価格が相対的に高い時間帯では、ポイントが相対的に小さくなり、電力市場価格が相対的に低い時間帯では、ポイントが相対的に大きくなるように、時間帯ごとにポイントを決定する。
【0078】
テーブル管理部110は、時間帯ごとに決定したポイントをテーブル形式に纏めることで、ポイントテーブルを生成する(S23)。
【0079】
テーブル管理部110は、生成したポイントテーブルを記憶装置92に記憶させる(S24)。テーブル管理部110は、生成したポイントテーブルを端末装置22に送信する(S25)。
【0080】
端末装置22の端末制御部68は、ポイントテーブルを受信すると、受信したポイントテーブルを需要家30に提示する(S30)。より詳細には、端末制御部68は、受信したポイントテーブルをユーザインターフェース62の表示装置に表示させる。
【0081】
需要家30は、端末装置22により提示されたポイントテーブルを確認する(S31)。例えば、需要家30は、端末装置22の表示装置に表示されたポイントテーブルを見ることでポイントテーブルの内容を確認することができる。
【0082】
なお、
図3では、需要家30の入力操作に応じてポイントテーブルが生成されるようになっていた。しかし、需要家30の入力操作に起因してポイントテーブルを生成する態様に限らず、例えば、需要家の入力操作に拘わらず、テーブル管理部110は、所定条件が成立した場合にポイントテーブルを生成してもよい。所定条件は、例えば、予め設定された日時に至ったときや、前回の車両20の外部充電から所定期間が経過したときなど、適宜設定されてもよい。
【0083】
次に、車両20の外部充電について説明する。車両20の外部充電を行うパターンとして、2パターンが挙げられる。第1パターンでは、需要家30が決めた時間帯に、車両20の外部充電を、需要家30が手動で開始させる。第2パターンでは、車両20の外部充電を、制御装置24が遠隔制御する。以下では、第1パターン、第2パターンの順序で説明する。
【0084】
第1パターンでは、需要家30は、上述のようにしてポイントテーブルの内容を確認する。需要家30は、ポイントテーブルの内容を参照して車両20の外部充電を行う時間帯を決める。決めた時間帯に至ると、需要家30は、ケーブル38を接続部14の接続口40および車両20の充電口54に接続する。
【0085】
第1パターンでは、接続部14は、スイッチ44を含まない通常のコンセントとされてもよい。第1パターンでは、接続口40と充電口54とがケーブル38で電気的に接続されることで、分電盤10からバッテリ50への電力の供給が開始され、車両20の外部充電が実行される。
【0086】
次に、車両20の外部充電を制御装置24が遠隔制御する第2パターンについて説明する。第2パターンにおいても、需要家30は、上述のようにしてポイントテーブルの内容を確認することができる。第2パターンでは、需要家30がポイントテーブルの内容を確認した後の手順が第1パターンと異なる。
【0087】
図4は、車両20の外部充電を制御装置24が遠隔制御する流れを説明する図である。需要家30は、ポイントテーブルを確認し、車両20への電力の供給を所望する時間帯の候補を示す候補時間帯を決める。そして、需要家30は、端末装置22のユーザインターフェース62を通じて、1つまたは複数の候補時間帯を入力する入力操作を行う(S60)。
【0088】
例えば、充電に要する時間が約4時間と想定されたとして、需要家30は、0時~4時、9時~13時、などのように、充電に要する時間に相当する複数の期間を候補時間帯として決定してもよい。また、例えば、需要家30は、0時~13時などのように、充電に要する時間に相当する期間よりも十分に長い期間を候補時間帯として決定してもよい。つまり、需要家30が車両20の外部充電を行ってもよいと考えている様々な時間帯が、候補時間帯として決定されてもよい。
【0089】
端末装置22の端末制御部68は、候補時間帯の入力操作を受け付けると、入力された候補時間帯の情報を含む候補時間帯情報を制御装置24に送信する(S61)。候補時間帯情報には、1つの候補時間帯の情報に限らず、複数の候補時間帯の情報が含まれてもよい。複数の候補時間帯は、連続する時間帯であってもよい。候補時間帯情報に複数の候補時間帯の情報が含まれる場合、候補時間帯情報には、複数の候補時間帯に対応する優先順位を示す情報が含まれてもよい。また、候補時間帯情報には、端末装置22に入力操作を行った需要家30を特定する情報が含まれてもよい。
【0090】
制御装置24の電力供給制御部114は、候補時間帯情報を受信することで候補時間帯情報を取得する(S62)。電力供給制御部114は、記憶装置92からポイントテーブルを読み出す(S63)。
【0091】
電力供給制御部114は、取得された候補時間帯情報およびポイントテーブルに基づいて、車両20への電力の供給を実行するスケジュールを示す電力供給スケジュールを生成する(S64)。
【0092】
電力供給制御部114は、候補時間帯情報が示す時間帯のうち、ポイントが相対的に高い時間帯が電力供給スケジュールに含まれるように、電力供給スケジュールを生成する。例えば、候補時間帯情報に第1候補時間帯の情報および第2候補時間帯の情報が含まれており、第1候補時間帯に対応するポイントが、第2候補時間帯に対応するポイントよりも相対的に高い場合、電力供給制御部114は、車両20の外部充電を行う時間帯として第1候補時間帯を含む電力供給スケジュールを生成する。
【0093】
例えば、制御装置24が車両20と直接的に通信が可能な態様では、電力供給制御部114は、通信装置90を通じて車両20と通信を確立して、車両20におけるバッテリ50の現在のSOC(State of Charge)を取得する。電力供給制御部114は、SOCが現在のSOCから「100%」(換言すると、満充電)となるまでバッテリ50の充電を行うとみなして、電力供給スケジュールを生成するようにしてもよい。
【0094】
また、例えば、制御装置24が車両20と直接的に通信が可能となっていない態様では、電力供給制御部114が、バッテリ50の現在のSOCを取得することが難しい。この態様では、電力供給制御部114は、標準的なバッテリ50におけるSOCが「0%」から「100%」となるまでバッテリ50の充電を行うとみなして、電力供給スケジュールを生成するようにしてもよい。
【0095】
また、例えば、電力供給スケジュールの対象となる期間として、ポイントが比較的高い時間帯と、ポイントが比較的高い他の時間帯との間に、ポイントが比較的低い時間帯が挟まれているような一連の期間が選択されたとする。このような例において、電力供給制御部114は、ポイントが比較的高い時間帯からポイントが比較的低い時間帯に移るときに電力の供給を一時中断し、その後のポイントが高い他の時間帯に移るときに電力の供給を再開するような電力供給スケジュールを生成するようにしてもよい。
【0096】
電力供給制御部114は、生成した電力供給スケジュールを記憶装置92に記憶させる(S65)。電力供給制御部114は、生成した電力供給スケジュールを端末装置22に送信する(S66)。
【0097】
端末装置22の端末制御部68は、電力供給スケジュールを受信すると、受信した電力供給スケジュールを需要家30に提示する(S67)。より詳細には、端末制御部68は、受信した電力供給スケジュールをユーザインターフェース62の表示装置に表示させる。
【0098】
需要家30は、端末装置22により提示された電力供給スケジュールを確認する(S68)。例えば、需要家30は、端末装置22の表示装置に表示された電力供給スケジュールを見ることで電力供給スケジュールの内容を確認することができる。これにより、需要家30は、車両20の外部充電が制御装置24により遠隔制御される日付および時間帯を把握することができる。
【0099】
なお、電力供給制御部114は、生成した電力供給スケジュールに需要家30が同意するか否かの返信要求を端末装置22に行ってもよい。また、需要家30が電力供給スケジュールに同意しないような場合には、電力供給スケジュールの再生成が行われてもよい。その場合、候補時間帯の再決定が行われてもよい。
【0100】
電力供給スケジュールの確認後、需要家30は、電力供給スケジュールで示される車両20の外部充電の開始時点よりも前の任意の時点において、ケーブル38を接続部14の接続口40および車両20の充電口54に接続する(S70)。
【0101】
電力供給制御部114は、電力供給スケジュールで示される車両20の外部充電の開始時点に至ると、電力供給スケジュールに従って、車両20への電力の供給を制御する(S80)。
【0102】
より詳細には、電力供給制御部114は、電力供給スケジュールに従って、通信装置90を通じて接続部14と通信を確立して、接続部14のスイッチ44のオンオフを制御することで、分電盤10から車両20への電力の供給を制御する。
【0103】
例えば、接続部14は、通信部42およびスイッチ44を有するものであり、接続部14のスイッチ44は、ケーブル38を接続口40に機械的に接続した時点ではオフ状態とされている。電力供給制御部114は、電力供給スケジュールにおける電力の供給の開始時点となると、スイッチ44をオン状態とする指令を接続部14に送信する。これにより、接続部14のスイッチ44がオン状態となり、分電盤10からバッテリ50への電力の供給が行われる。また、電力供給制御部114は、電力供給スケジュールにおける電力の供給の停止時点となると、スイッチ44をオフ状態とする指令を接続部14に送信する。これにより、接続部14のスイッチ44がオフ状態となり、分電盤10からバッテリ50への電力の供給が停止される。
【0104】
また、制御装置24が車両20と直接的に通信が可能な態様では、電力供給制御部114は、電力供給スケジュールに従って、通信装置90を通じて車両20と通信を確立して、車両20の外部充電部56を制御することで、分電盤10から車両20への電力の供給を制御するようにしてもよい。この態様では、接続部14はスイッチ44を有していなくてもよい。
【0105】
例えば、電力供給制御部114は、電力供給スケジュールにおける電力の供給の開始時点となると、外部充電部56をオン状態とする指令を車両20に送信する。これにより、外部充電部56がオン状態となり、分電盤10からバッテリ50への電力の供給が行われる。また、電力供給制御部114は、電力供給スケジュールにおける電力の供給の停止時点となると、外部充電部56をオフ状態とする指令を車両20に送信する。これにより、外部充電部56がオフ状態となり、分電盤10からバッテリ50への電力の供給が停止される。
【0106】
なお、制御装置24が車両20と直接的に通信が可能であり、かつ、接続部14がスイッチ44を有する態様では、接続部14のスイッチ44は、ケーブル38を接続口40に機械的に接続した時点ではオフ状態とされている。そして、電力供給制御部114は、電力供給スケジュールに従って外部充電部56のオンオフを制御するとともに、スイッチ44のオンオフを制御するようにしてもよい。
【0107】
このように、本実施形態の電力供給システム1では、候補時間帯情報が示す時間帯のうちポイントが相対的に高い時間帯を含む電力供給スケジュールが生成され、生成された電力供給スケジュールに従って車両20への電力の供給が制御されてもよい。これにより、本実施形態の電力供給システム1では、ポイントが相対的に高い時間帯に需要家30が車両20の位置に居なくても、その時間帯に車両20の外部充電を行うことができ、需要家30の利便性を向上させることが可能となる。
【0108】
また、本実施形態の電力供給システム1では、制御装置24の電力供給制御部114が、電力供給スケジュールに従って、接続部14のスイッチ44のオンオフを遠隔制御してもよい。これにより、本実施形態の電力供給システム1では、需要家30が車両20の位置に居なくても車両20の外部充電を行うことができるとともに、制御装置24が車両20と直接的に通信が可能となっていなくても、車両20の外部充電を制御することが可能となる。
【0109】
また、本実施形態の電力供給システム1では、制御装置24の電力供給制御部114が、電力供給スケジュールに従って、車両20の外部充電部56のオンオフを遠隔制御してもよい。これにより、本実施形態の電力供給システム1では、需要家30が車両20の位置に居なくても車両20の外部充電を行うことができるとともに、接続部14にスイッチ44を有していなくても、車両20の外部充電を制御することが可能となる。
【0110】
図5は、ポイントの付与に関する流れを説明するフローチャートである。制御装置24のポイント管理部112は、
図5の一連の処理を定期的に繰り返し実行する。例えば、ポイント管理部112は、毎日の特定の時刻となると
図5の一連の処理を開始してもよい。
【0111】
所定の実行タイミングが到来すると、ポイント管理部112は、需要家30ごとに、分電盤10から車両20への電力の供給が実行された時間帯を示す供給済時間帯を特定する(S100)。
【0112】
例えば、ポイント管理部112は、需要家30を特定し、メータ12による電力の計測結果を取得してもよい。また、接続部14が電力計測部46を含む態様では、ポイント管理部112は、需要家30を特定し、接続部14の電力計測部46による電力の計測結果を取得してもよい。ポイント管理部112は、前回の実行タイミングから今回の実行タイミングまでの期間の電力の計測結果を取得してもよい。
【0113】
ポイント管理部112は、取得した電力の計測結果を参照し、電力量の変化量の絶対値が所定閾値以上増加した時点があれば、その時点において、車両20への電力の供給が開始されたと判定してもよい。また、ポイント管理部112は、取得した電力の計測結果を参照し、電力量の変化量の絶対値が所定閾値以上減少した時点があれば、その時点において、車両20への電力の供給が停止されたと判定してもよい。そして、ポイント管理部112は、車両20への電力の供給が開始されたと判定した時点と、車両20への電力の供給が停止されたと判定した時点との間の時間帯を、供給済時間帯として決定してもよい。
【0114】
なお、ポイント管理部112は、電力量の変化量の絶対値が所定閾値以上増加した時点がなく、電力量の変化量の絶対値が所定閾値以上減少した時点がないと判定した場合には、前回の実行タイミングから今回の実行タイミングまでの期間において供給済時間帯がないと判定してもよい。
【0115】
また、制御装置24が車両20の外部充電の遠隔制御を行った場合には、接続部14のスイッチ44あるいは車両20の外部充電部56に送信した指令の履歴が記憶装置92に記憶されていることがある。そのため、接続部14のスイッチ44あるいは車両20の外部充電部56に送信した指令の履歴が記憶装置92に記憶されている場合には、ポイント管理部112は、その履歴に基づいて、供給済時間帯を特定してもよい。例えば、ポイント管理部112は、接続部14のスイッチ44あるいは車両20の外部充電部56をオン状態とする指令を送信した時点と、接続部14のスイッチ44あるいは車両20の外部充電部56をオフ状態とする指令を送信した時点とから、供給済時間帯を決定してもよい。
【0116】
次に、ポイント管理部112は、記憶装置92からポイントテーブルを読み出す(S101)。ポイント管理部112は、読み出したポイントテーブルおよび特定された供給済時間帯に基づいて、需要家30に付与するポイントを決定する(S102)。例えば、ポイント管理部112は、ポイントテーブルを参照し、供給済時間帯に対応するポイントを特定し、付与するポイントとして決定する。
【0117】
ポイント管理部112は、決定したポイントを需要家30に付与する処理を実行し(S103)、
図5の一連の処理を終了する。例えば、記憶装置92には、各々の需要家30が保有するポイントを電子的に記憶して管理するポイントデータベースが記憶されていてもよい。そのような場合、ポイント管理部112は、ポイントデータベースにおける特定された需要家30が保有するポイントの数値を付与後の数値に更新することで、ポイントの付与の実行としてもよい。
【0118】
なお、車両20の外部充電が実行された期間が複数の時間帯(複数のコマ)に亘っている場合、車両20の外部充電が実行された各時間帯に各々対応するポイントを、車両20の外部充電が実行された全時間帯に亘って合計したポイントが需要家30に付与される。
【0119】
このように、本実施形態の電力供給システム1では、分電盤10から車両20への電力の供給、すなわち、車両20の外部充電が行われたことに応じて、需要家30にポイントが自動的に付与される。このため、本実施形態の電力供給システム1では、需要家30の利便性を向上させることができる。
【0120】
なお、前回の実行タイミングから今回の実行タイミングまでの期間において供給済時間がないと判定された場合、ポイント管理部112は、付与するポイントの決定を行わずに
図5の一連の処理を終了してもよいし、付与するポイントを「0」として付与の実行を行うようにしてもよい。
【0121】
以上のように、本実施形態の電力供給システム1の制御装置24は、電力系統32を通じて需要家30の分電盤10に電力を供給する電力供給事業者80により管理される。制御装置24は、将来の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定する。制御装置24は、電力供給事業者80が需要家30に付与する特典を示すポイントが、時間帯に対して1対1に関連付けられたテーブルであって、特定された電力市場価格が相対的に低い第1時間帯に対応するポイントが、特定された電力市場価格が相対的に高い第2時間帯に対応するポイントより高くなるように、時間帯とポイントとが関連付けられたポイントテーブルを生成する。制御装置24は、生成されたポイントテーブルを需要家30に提示する。
【0122】
これにより、本実施形態の電力供給システム1では、提示されたポイントテーブルを需要家30が確認することで、車両20の外部充電を行う時間帯として、ポイントが相対的に高い時間帯が需要家30によって選択され易くなる。
【0123】
したがって、本実施形態の電力供給システム1では、車両20に電力を供給する時間帯を特定の時間帯に誘導することが可能となる。より詳細には、ポイントが相対的に高い時間帯は、電力市場価格が相対的に低い時間帯に対応するため、本実施形態の電力供給システム1では、車両20に電力を供給する時間帯を、電力市場価格が低いと想定される時間帯に誘導することが可能となる。その結果、本実施形態の電力供給システム1では、電力供給事業者80および需要家30の双方が金銭的なメリットを享受することが可能となる。
【0124】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0125】
例えば、制御装置24の電力供給制御部114は、電力供給スケジュールを生成した後、車両20の外部充電を実行する日時が接近したこと等に応じて、電力供給スケジュールを再度生成して更新するようにしてもよい。
【0126】
また、制御装置24のテーブル管理部110は、ポイントテーブルを生成した後、車両20の外部充電を実行する日時が接近したこと等に応じて、ポイントテーブルを再度生成して更新するようにしてもよい。
【0127】
また、電力供給スケジュールが生成され、車両20の外部充電が実行されることを待っている状況において、電力供給スケジュールにおける電力の供給の開始時点に至る前に、需要家30が自身で車両20の外部充電を開始する場合がある。このような場合、制御装置24の電力供給制御部114は、電力供給スケジュールに従った車両20の外部充電を中止するようにしてもよい。そして、需要家30が自身で車両20の外部充電を開始したことに伴って、制御装置24のポイント管理部112は、車両20の外部充電が実行された時間帯に対応するポイントを需要家30に付与するようにしてもよい。
【0128】
また、コンピュータを、制御装置として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0129】
なお、本明細書に示した各処理は、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 電力供給システム
10 分電盤
14 接続部
20 車両
24 制御装置
30 需要家
32 電力系統
44 スイッチ
50 バッテリ
56 外部充電部
80 電力供給事業者
【要約】
【課題】車両に電力を供給する時間帯を特定の時間帯に誘導可能とする。
【解決手段】電力供給システム1は、分電盤10と、接続部14と、制御装置24と、を備え、制御装置24は、将来の所定時間帯ごとの電力市場価格を特定し、電力供給事業者80が需要家30に付与する特典を示すポイントが、時間帯に対して1対1に関連付けられたテーブルであって、特定された電力市場価格が相対的に低い第1時間帯に対応する前記ポイントが、特定された電力市場価格が相対的に高い第2時間帯に対応する前記ポイントより高くなるように、時間帯とポイントとが関連付けられたポイントテーブルを生成し、生成されたポイントテーブルを需要家30に提示する。
【選択図】
図1