(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】経口製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/706 20060101AFI20240917BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240917BHJP
A23L 33/13 20160101ALI20240917BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240917BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240917BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240917BHJP
A61K 31/132 20060101ALI20240917BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240917BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240917BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240917BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240917BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
A61K31/706
A23L33/10
A23L33/13
A61K9/20
A61K9/48
A61K31/05
A61K31/132
A61K31/4745
A61K31/7048
A61K47/04
A61K47/38
A61P3/02
(21)【出願番号】P 2024120703
(22)【出願日】2024-07-26
【審査請求日】2024-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2023123777
(32)【優先日】2023-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599155534
【氏名又は名称】ワダカルシウム製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 正幸
(72)【発明者】
【氏名】直原 令治
【審査官】関 景輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158212(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第115886262(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112451494(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111374310(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109350622(CN,A)
【文献】特許第7287587(JP,B1)
【文献】特表2022-522114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/706
A23L 33/10
A23L 33/13
A61K 9/20
A61K 9/48
A61K 31/05
A61K 31/132
A61K 31/4745
A61K 31/7048
A61K 47/04
A61K 47/38
A61P 3/02
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンアミドモノヌクレオチドと、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩とを有効成分として含有する第1内容物を封入した第1カプセル剤と、
スペルミジン及び/又はレスベラトロールを有効成分として含有する錠剤と、
ケルセチンを有効成分として含有する第2内容物を封入した第2カプセル剤と、
が一の包装袋に密封されてなる経口製剤。
【請求項2】
前記第1カプセル剤中の第1内容物の含有量は、185~195mgであり、
前記第1内容物中の前記ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有率は、35~45質量%であり、
前記第1内容物中の前記ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の含有率は、3~7質量%である請求項1に記載の経口製剤。
【請求項3】
前記錠剤の質量は、395~405mgであり、
前記錠剤中の前記スペルミジンの含有率は、30~40質量%であり、
前記錠剤中の前記レスベラトロールの含有率は、20~30質量%である請求項1に記載の経口製剤。
【請求項4】
前記第2カプセル剤中の第2内容物の含有量は、275~305mgであり、
前記第2内容物中の前記ケルセチンの含有率は、60~70質量%である請求項1に記載の経口製剤。
【請求項5】
前記第1内容物は、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、
前記第1内容物中の前記結晶セルロースの含有率は、40~45質量%であり、
前記第1内容物中の前記ステアリン酸カルシウムの含有率は、5~15質量%である請求項1~4の何れか一項に記載の経口製剤。
【請求項6】
前記第2内容物は、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、
前記第2内容物中の前記結晶セルロースの含有率は、5~35質量%であり、
前記第2内容物中の前記ステアリン酸カルシウムの含有率は、3~10質量%である請求項1~4の何れか一項に記載の経口製剤。
【請求項7】
前記錠剤は、還元麦芽糖水飴と、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、
前記錠剤中の前記還元麦芽糖水飴の含有率は、10~30質量%であり、
前記錠剤中の前記結晶セルロースの含有率は、5~15質量%であり、
前記錠剤中の前記ステアリン酸カルシウムの含有率は、1~5質量%である請求項1~4の何れか一項に記載の経口製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の有効成分を含む経口製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康寿命の延伸に伴い、種々の老化防止成分が研究されている。例えば、サーチュイン遺伝子を活性化し、ミトコンドリアの活性や新生を促す成分として、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ピロロキノリンキノン等が研究されている。細胞の新陳代謝、有害物の選択的排除を行うオートファジーの活性化成分として、スペルミジン、レスベラトロール等が研究されている。老化し、毒性を有する細胞を除去するセノリティクス(老化細胞除去)の活性化成分として、ケルセチン等が研究されている。
【0003】
これらの有効成分を含有する経口製剤として、例えば、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ザクロエキス、及びレスベラトロールを含有する固形組成物(経口製剤)が提案されている(特許文献1参照)。当該経口製剤においては、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ザクロエキス、及びレスベラトロールを賦形剤と混合し、散剤、顆粒剤、錠剤、ハードカプセル(カプセル剤)等として製剤化し得るとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
老化防止成分としては、上記ミトコンドリアの活性や新生を促す成分、オートファジーの活性化性成分、及びセノリティクスの活性化成分を一度に摂取することが、老化防止をより促進し得るという点で好ましい。また、経口製剤の剤型としては、服用し易いという点で、散剤や顆粒剤(粉体)より錠剤、カプセル剤の方が好ましく、カプセル剤より錠剤の方がより好ましい。カプセル剤は、水でカプセル剤皮が崩壊(又は溶解)し、内容物が放出されれば、有効成分に応じた効能を発揮し得る。錠剤は、水で崩壊(又は溶解)すれば、有効成分に応じた効能を発揮し得る。
【0006】
しかし、上記にて例示した老化防止成分(有効成分)のうち、ケルセチンは、添加剤と混合し、打錠すると、処方によっては崩壊が著しく遅延し、有効成分が放出されない傾向にある。また、ニコチンアミドモノヌクレオチド及びピロロキノリンキノンは、各単体では含有量の均一性に問題はないが、これらを組み合わせると、ピロロキノリンキノンの含有量に著しいバラツキが生じる。また、ニコチンアミドモノヌクレオチド及びピロロキノリンキノンを他の有効成分とともに1つの錠剤に成形すると、安定性試験においてこれら自身の含有量が経時的に変化するだけではなく、他の有効成分の含有量の経時的な変化をもたらす。このため、これらニコチンアミドモノヌクレオチド及びピロロキノリンキノンは、他の有効成分とは別途、製剤化を検討する必要がある。放出の著しい遅延が生じると、有効成分が消化管液に溶解することができず、所望の効能を発揮することができない。また、含有量に著しいバラツキが生じると、必要量を適切に服用することができず、期待された効能が適切に発揮されない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数種の有効成分の効能を適切に発揮し得る経口製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に経口製剤の特徴構成は、
ニコチンアミドモノヌクレオチドと、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩とを有効成分として含有する第1内容物を封入した第1カプセル剤と、
スペルミジン及び/又はレスベラトロールを有効成分として含有する錠剤と、
ケルセチンを有効成分として含有する第2内容物を封入した第2カプセル剤と、
が一の包装袋に密封されてなることにある。
【0009】
本構成の経口製剤によれば、有効成分であるニコチンアミドモノヌクレオチド、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩、スペルミジン及び/又はレスベラトロール、並びにケルセチンを、ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩を含む第1カプセル剤と、スペルミジン及び/又はレスベラトロールを含む錠剤と、ケルセチンを含む第2カプセル剤とに分けることにより、これらを服用すると、各有効成分の効能を適切に発揮させることができる。
【0010】
本発明に係る経口製剤において、
前記第1カプセル剤中の第1内容物の含有量は、185~195mgであり、
前記第1内容物中の前記ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有率は、35~45質量%であり、
前記第1内容物中の前記ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の含有率は、3~7質量%であることが好ましい。
【0011】
本構成の経口製剤によれば、第1内容物の含有量、ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有率、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩の含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第1カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第1内容物(中のニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第1カプセル剤に含まれる有効成分(ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)の効能を適切に発揮させることができる。
【0012】
本発明に係る経口製剤において、
前記錠剤の質量は、395~405mgであり、
前記錠剤中の前記スペルミジンの含有率は、30~40質量%であり、
前記錠剤中の前記レスベラトロールの含有率は、20~30質量%であることが好ましい。
【0013】
本構成の経口製剤によれば、錠剤の質量、スペルミジンの含有率、及びレスベラトロールの含有率を上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって錠剤が崩壊し、有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)が速やかに消化管内に放出される。したがって、錠剤に含まれる有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)の効能を適切に発揮させることができる。
【0014】
本発明に係る経口製剤において、
前記第2カプセル剤中の第2内容物の含有量は、275~305mgであり、
前記第2内容物中の前記ケルセチンの含有率は、60~70質量%であることが好ましい。
【0015】
本構成の経口製剤によれば、第2内容物の含有量、及びケルセチンの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第2カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第2内容物(中のケルセチン)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第2カプセル剤に含まれる有効成分(ケルセチン)の効能を適切に発揮させることができる。
【0016】
本発明に係る経口製剤において、
前記第1内容物は、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、
前記第1内容物中の前記結晶セルロースの含有率は、40~50質量%であり、
前記第1内容物中の前記ステアリン酸カルシウムの含有率は、5~15質量%であることが好ましい。
【0017】
本構成の経口製剤によれば、第1内容物を結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有するものとし、結晶セルロース、及びステアリン酸カルシウムの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第1カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第1内容物(中のニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第1カプセル剤に含まれる有効成分(ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)の効能を適切に発揮させることができる。
【0018】
本発明に係る経口製剤において、
前記第2内容物は、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、
前記第2内容物中の前記結晶セルロースの含有率は、5~35質量%であり、
前記第2内容物中の前記ステアリン酸カルシウムの含有率は、3~10質量%であることが好ましい。
【0019】
本構成の経口製剤によれば、第2内容物を結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有するものとし、結晶セルロース、及びステアリン酸カルシウムの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第2カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第2内容物(中のケルセチン)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第2カプセル剤に含まれる有効成分(ケルセチン)の効能を適切に発揮させることができる。
【0020】
本発明に係る経口製剤において、
前記錠剤は、還元麦芽糖水飴と、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、
前記錠剤中の前記還元麦芽糖水飴の含有率は、10~30質量%であり、
前記錠剤中の前記結晶セルロースの含有率は、5~15質量%であり、
前記錠剤中の前記ステアリン酸カルシウムの含有率は、1~5質量%であることが好ましい。
【0021】
本構成の経口製剤によれば、錠剤を還元麦芽糖水飴と、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有するものとし、還元麦芽糖水飴、結晶セルロース、及びステアリン酸カルシウムの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって錠剤が崩壊し、有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)が速やかに消化管内に放出される。したがって、錠剤に含まれる有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)の効能を適切に発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らが鋭意研究を行ったところ、上述したように、有効成分であるニコチンアミドモノヌクレオチド、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩、スペルミジン及び/又はレスベラトロール、並びにケルセチンのうち、ケルセチンは、添加剤と混合し、打錠すると、処方によっては崩壊が著しく遅延し、有効成分が放出されないことが判明した。このため、ケルセチンは、錠剤に含ませるのではなく、カプセル剤に含ませることが有効であるとの知見を得た。
【0023】
また、ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩は、各単体では含有量の均一性に問題はないが、これらを粉体の状態で混合し(組み合わせ)、任意の箇所からサンプリングした試料に含まれるピロロキノリンキノン及び/又はその塩の含有量を測定すると、著しいバラツキが生じることが判明した。また、ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩を他の有効成分とともに1つの錠剤に成形すると、安定性試験においてこれら自身の含有量が経時的に変化するだけではなく、他の有効成分の含有量の経時的な変化をもたらすことが判明した。このため、これら2つの有効成分は、他の有効成分とは別途、製剤化を検討する必要がある。さらに、上記のように粉体の状態で含量のバラツキが生じるのであれば、錠剤化(粉体をさらに小分けする)を行うと、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の含有量に一層のバラツキが生じるため、ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩は、錠剤に含ませるのではなく、カプセル剤に含ませることが有効であるとの知見を得た。
【0024】
また、ニコチンアミドモノヌクレオチドと、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩とを含むカプセル剤を製造するに際し、封入される内容物としての粉体を混合する手順として、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩をニコチンアミドモノヌクレオチドで倍散混合し、次いで、ステアリン酸カルシウムを加えて混合した後、結晶セルロースを混合することで、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の固結や凝集を抑制し、均一な混合物を得られることも知見した。
【0025】
一方、残る有効成分であるスペルミジン及び/又はレスベラトロールについては、錠剤に含ませても特に問題はないとの知見を得た。
【0026】
これら知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。
【0027】
以下、本発明の経口製剤について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0028】
[経口製剤]
本実施形態の経口製剤は、第1カプセル剤と、錠剤と、第2カプセル剤とが一の包装袋に密封されてなる。
【0029】
<第1カプセル剤>
第1カプセル剤は、ニコチンアミドモノヌクレオチドと、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩とを有効成分として含有する第1内容物を含む。ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩は、サーチュイン遺伝子を活性化し、ミトコンドリアの活性や新生を促す成分として機能する。ニコチンアミドモノヌクレオチドとしては、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドが好ましい。ピロロキノリンキノン及び/又はその塩としては、ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩が好ましい。
【0030】
第1カプセル剤中の第1内容物の含有量は、185~195mgであり、第1内容物中のニコチンアミドモノヌクレオチドの含有率は、35~45質量%であり、第1内容物中のピロロキノリンキノン及び/又はその塩の含有率は、3~7質量%であることが好ましい。
【0031】
第1内容物の含有量、ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有率、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩の含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第1カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第1内容物(中のニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第1カプセル剤に含まれる有効成分(ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)の効能を適切に発揮させることができる。
【0032】
第1内容物は、結晶セルロース(例えば、微結晶セルロース)と、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、第1内容物中の結晶セルロースの含有率は、40~45質量%であり、第1内容物中のステアリン酸カルシウムの含有率は、5~15質量%であることが好ましい。
【0033】
第1内容物を結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有するものとし、結晶セルロース、及びステアリン酸カルシウムの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第1カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第1内容物(中のニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第1カプセル剤に含まれる有効成分(ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又はその塩)の効能を適切に発揮させることができる。
【0034】
第1内容物の剤型としては、散剤(粉体の混合物)、顆粒剤(粉体を造粒した造粒物)等が挙げられるが、調製の簡便性の観点から、散剤が好ましい。
【0035】
第1内容物には、上記有効成分、結晶セルロース、ステアリン酸カルシウムの他に、上記有効成分以外のミトコンドリアの活性や新生を促す成分等の有効成分、経口製剤に使用される従来公知の添加剤等を適宜配合することができる。
【0036】
第1カプセル剤に使用されるカプセル剤皮の素材は、消化管液によって速やかに崩壊するものであればよく、特に限定されず、従来公知の剤皮を使用することができる。かかるカプセル剤皮の寸法は、第1内容物の含有量に応じて適宜設定され得る。
【0037】
第1カプセル剤は、従来公知の製造方法に従い、含有成分を混合し、必要に応じて造粒した後、カプセル充填機を使用してカプセル剤皮に充填することにより、製造することができる。
【0038】
<錠剤>
錠剤は、スペルミジン及び/又はレスベラトロールを有効成分として含有する。スペルミジン、レスベラトロールは、何れも細胞の新陳代謝、有害物の選択的排除を行うオートファジーの活性化成分として機能する。レスベラトロールとしては、トランスレスベラトロールが好ましい。
【0039】
錠剤の質量は、395~405mgであり、錠剤がスペルミジンを含有する場合、錠剤中のスペルミジンの含有率は、30~40質量%であり、錠剤がレスベラトロールを含有する場合、錠剤中のレスベラトロールの含有率は、20~30質量%であることが好ましい。
【0040】
錠剤の質量、スペルミジンの含有率、及びレスベラトロールの含有率を上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって錠剤が崩壊し、有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)が速やかに消化管内に放出される。したがって、錠剤に含まれる有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)の効能を適切に発揮させることができる。
【0041】
錠剤は、還元麦芽糖水飴と、結晶セルロース(例えば、微結晶セルロース)と、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、錠剤中の還元麦芽糖水飴の含有率は、10~30質量%であり、錠剤中の結晶セルロースの含有率は、5~15質量%であり、錠剤中のステアリン酸カルシウムの含有率は、1~5質量%であることが好ましい。
【0042】
錠剤を還元麦芽糖水飴と、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有するものとし、還元麦芽糖水飴、結晶セルロース、及びステアリン酸カルシウムの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって錠剤が崩壊し、有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)が速やかに消化管内に放出される。したがって、錠剤に含まれる有効成分(スペルミジン及び/又はレスベラトロール)の効能を適切に発揮させることができる。
【0043】
錠剤には、上記有効成分、還元麦芽糖水飴、結晶セルロース、ステアリン酸カルシウムの他に、上記有効成分以外のオートファジーの活性化成分等の有効成分、経口製剤に使用される従来公知の添加剤等を適宜配合することができる。
【0044】
錠剤の特性(硬度、崩壊時間等)は、消化管液によって速やかに崩壊するように適宜設定され得る。錠剤の寸法は、有効成分の含有量、添加剤の含有量等に応じて適宜設定され得る。
【0045】
錠剤は、従来公知の製造方法に従い、含有成分を混合し、打錠機によって打錠することにより、製造することができる。
【0046】
<第2カプセル剤>
第2カプセル剤は、ケルセチンを有効成分として含有する第2内容物を含む。ケルセチンは、老化し、毒性を有する細胞を除去するセノリティクス(老化細胞除去)の活性化成分として機能する。
【0047】
第2カプセル剤中の第2内容物の含有量は、275~305mgであり、第2内容物中のケルセチンの含有率は、60~70質量%であることが好ましい。
【0048】
第2内容物の含有量、及びケルセチンの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第2カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第2内容物(中のケルセチン)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第2カプセル剤に含まれる有効成分(ケルセチン)の効能を適切に発揮させることができる。
【0049】
第2内容物は、結晶セルロース(例えば、微結晶セルロース)と、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有し、第2内容物中の結晶セルロースの含有率は、5~35質量%であり、第2内容物中のステアリン酸カルシウムの含有率は、3~10質量%であることが好ましい。
【0050】
第2内容物を結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとをさらに含有するものとし、結晶セルロース、及びステアリン酸カルシウムの含有率をそれぞれ上記の範囲に設定する場合であっても、経口製剤を服用したとき、消化管液によって第2カプセル剤のカプセル剤皮が崩壊すると、第2内容物(中のケルセチン)が速やかに消化管内に放出される。したがって、第2カプセル剤に含まれる有効成分(ケルセチン)の効能を適切に発揮させることができる。
【0051】
第2内容物の剤型としては、散剤(粉体の混合物)、顆粒剤(粉体を造粒した造粒物)等が挙げられるが、調製の簡便性の観点から、散剤が好ましい。
【0052】
第2内容物には、上記有効成分、結晶セルロース、ステアリン酸カルシウムの他に、上記有効成分以外のセノリティクス(老化細胞除去)の活性化成分等の有効成分、経口製剤に使用される従来公知の添加剤等を適宜配合することができる。
【0053】
第2カプセル剤に使用されるカプセル剤皮の素材は、消化管液によって速やかに崩壊するものであればよく、特に限定されず、従来公知の剤皮を使用することができる。かかるカプセル剤皮の寸法は、第2内容物の含有量に応じて適宜設定され得る。
【0054】
第2カプセル剤は、従来公知の製造方法に従い、含有成分を混合し、必要に応じて造粒した後、カプセル充填機を使用してカプセル剤皮に充填することにより、製造することができる。
【0055】
<包装袋>
第1カプセル剤、錠剤、及び第2カプセル剤は、一の包装袋に密封されてなる。包装袋としては、従来公知のストリップ包装に使用される包装袋が挙げられる。包装袋の原料は、特に限定されず、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルム、これら樹脂フィルムとアルミ箔とが積層されてなる複合フィルム等が挙げられる。包装袋に密封される第1カプセル剤、錠剤、及び第2カプセル剤の各数量は、それぞれ1カプセル又は1錠以上であればよく、特に限定されるものではない。例えば、かかる数量は、1日の服用量、服用回数等に応じて適宜設定され得る。
【0056】
<利点>
本実施形態の経口製剤によれば、有効成分であるニコチンアミドモノヌクレオチド、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩、スペルミジン及び/又はレスベラトロール、並びにケルセチンを、ニコチンアミドモノヌクレオチド、並びにピロロキノリンキノン及び/又を含む第1カプセル剤と、スペルミジン及び/又はレスベラトロールを含む錠剤と、ケルセチンを含む第2カプセル剤とに分けることにより、これらを服用すると、各有効成分の効能を適切に発揮させることができる。
【0057】
<処方例>
経口製剤における第1カプセル剤、錠剤、及び第2カプセル剤の処方例を下記表1~3に示すが、本発明の経口製剤は、下記処方例に限定されるものではない。なお、表3においては、第2内容物中に、セノリティクス(老化細胞除去)の活性化成分として、ぶどう種子エキスをさらに配合した処方例を示す。また、本発明に使用する原料は、下記商品、下記メーカー由来のものに限定されるものではなく、同様の機能を有する他の商品、メーカー由来のもの等を適宜使用してもよい。
【0058】
(第1カプセル剤の処方例)
【0059】
【0060】
(錠剤の処方例)
【0061】
【0062】
(第2カプセル剤の処方例)
【0063】
【実施例】
【0064】
以下、実施例を示しつつ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0065】
[実施例]
(第1カプセル剤の調製)
下記表4の処方に従い、第1カプセル剤を調製した。具体的には、各成分を合計仕込量が19kgとなるように秤量し、篩過した後、β-NMNとバイオPQQとを攪拌混合(PQQをβ-NMNで倍散混合)し、その後、さらに食品添加物Ca-Stを加えて攪拌混合し、その後、さらにVIVAPUR101を加えて攪拌混合することにより、第1内容物を得た。第1内容物を、カプセル剤皮として#3 VP.NATURAL B/Cに、1カプセルあたり190.00mgとなるように充填することにより、第1カプセル剤を得た。
【0066】
【0067】
(錠剤の調製)
下記表5の処方に従い、錠剤を調製した。具体的には、各成分を合計仕込量が40kgとなるように秤量し、篩過した後、エリオンSP、赤ワイン効果R、アマルティMR-50、及びコンプレッセルS102を攪拌混合し、さらに水を加えて加水練合し、乾燥した後、整粒することにより、造粒物を得た。造粒物に食品添加物Ca-Stを加えて混合し、篩過した後、打錠機を用い、直径φ10mm、1錠あたり400.00mgとなるように打錠することにより、錠剤(素錠)を得た。
【0068】
【0069】
(第2カプセル剤の調製)
下記表6の処方に従い、第2カプセル剤を調製した。具体的には、各成分を合計仕込量が44.92kgとなるように秤量し、篩過した後、全成分を攪拌混合することにより、第2内容物を得た。第2内容物を、カプセル剤皮として2号HPMC透明カプセルに、1カプセルあたり280.00mgとなるように充填することにより、第2カプセル剤を得た。
【0070】
【0071】
[比較例]
(錠剤の調製)
下記表7の処方に従い、錠剤を調製した。具体的には、各成分を合計仕込量が1kgとなるように秤量した後、全成分を攪拌混合し、打錠機を用い、直径φ10mm、1錠あたり353.87mgとなるように打錠することにより、錠剤(素錠)を得た。
【0072】
【0073】
[安定性試験]
実施例及び比較例について、開始時における下記の有効成分の各剤型中での含有量、及び40℃75%RHに保存後の3ヶ月、及び5ヶ月経過後の下記の有効成分の各剤型中での含有量を、下記の方法に従って測定した。そして、開始時の各有効成分の含有量が100質量%となるように、3ヶ月、及び5ヶ月経過後の含有量を換算した。結果を表8及び9に示す。
【0074】
<β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)>
一般財団法人日本食品検査にて、高速液体クロマトグラフ法を用い、実施例においては第1カプセル剤中のNMNの含有量(質量%)、比較例においては錠剤中のNMNの含有量(質量%)を測定した。
【0075】
<ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩(PQQ)>
三菱ガス化学株式会社にて、高速液体クロマトグラフ法を用い、実施例においては第1カプセル剤中のPQQの含有量(質量%)、比較例においては錠剤中のPQQの含有量(質量%)を測定した。
【0076】
<スペルミジン>
三菱ガス化学株式会社にて、高速液体クロマトグラフ法を用い、実施例及び比較例において、錠剤中のスペルミジンの含有量(質量%)を測定した。
【0077】
<レスベラトール>
一般財団法人日本食品分析センターにて、高速液体クロマトグラフ法を用い、実施例及び比較例において、錠剤中のレスベラトールの含有量(質量%)を測定した。
【0078】
<ケルセチン>
一般財団法人日本食品分析センターにて、高速液体クロマトグラフ法を用い、実施例においては第2カプセル剤中のケルセチンの含有量(質量%)、比較例においては錠剤中のケルセチンの含有量(質量%)を測定した。
【0079】
<ポリフェノール(ブドウ種子エキス)>
一般財団法人日本食品分析センターにて、高速液体クロマトグラフ法を用い、実施例においては第2カプセル剤中のポリフェノール(ブドウ種子エキス)の含有量(質量%)、比較例においては錠剤中のポリフェノール(ブドウ種子エキス)の含有量(質量%)を測定した。
【0080】
[崩壊試験]
日本薬局方の崩壊試験法に準拠し、下記の条件にて崩壊試験を行った。結果を表8及び9に示す。
・試験液:水
・温度:37℃±2℃
・サイクル(往復):30サイクル/分
・補助板を使用
【0081】
【0082】
【0083】
表8に示すように、実施例においては、NMN、PQQを第1カプセル剤、スペルミジン及びレスベラトールを錠剤、ケルセチンを第2カプセル剤に含有させることにより、各製剤中の有効成分は、40℃75%RHという加速条件下において、開始時からの含有量の変化が抑制されることが示された。ポリフェノール(ブドウ樹脂エキス)についても、開始時からの含有量の変化が抑制されることが示された。また、第1カプセル剤、錠剤、第2カプセル剤の各製剤は、崩壊時間が何れも30分以下であり、速やかに崩壊することが示された。
【0084】
これに対し、表9に示すように、比較例においては、有効成分を全て1つの錠剤に含有させることにより、NMN、PQQ、スペルミジン、レスベラトール、ケルセチンは、実施例と比較して、開始時からの含有量の変化が抑制されていないことが示された。ポリフェノール(ブドウ樹脂エキス)についても、開始時から3ヶ月、5ヶ月経過後の含有量の変化が大きいことが示された。また、錠剤の崩壊時間は55分を超えており、実施例と比較して崩壊時間が大きく遅延することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の経口製剤は、少なくともニコチンアミドモノヌクレオチド、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩、スペルミジン及び/又はレスベラトロール、並びにケルセチンを一の包装袋から取り出して服用することができる。かかる服用により、ミトコンドリアの活性や新生の促進、オートファジーの活性化、及びセノリティクス(老化細胞除去)の活性化に資することが可能となり、老化防止に寄与することができる。
【要約】
【課題】複数種の有効成分の効能を適切に発揮し得る経口製剤を提供する。
【解決手段】ニコチンアミドモノヌクレオチドと、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩とを有効成分として含有する第1内容物を封入した第1カプセル剤と、スペルミジン及び/又はレスベラトロールを有効成分として含有する錠剤と、ケルセチンを有効成分として含有する第2内容物を封入した第2カプセル剤と、が一の包装袋に密封されてなる経口製剤。
【選択図】なし