(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】カフ構造体、及び、血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A61B5/022 300E
A61B5/022 300A
(21)【出願番号】P 2020045264
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅規
(72)【発明者】
【氏名】東狐 義秀
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161382(JP,A)
【文献】米国特許第05101829(US,A)
【文献】米国特許第05131400(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/022 - 5/0235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手首に装着される血圧測定装置に用いられるカフ構造体であって、
一方向に長い形状に構成され、
前記手首の動脈が存する領域に接触するセンシングカフと、
一方向に長い形状に構成され、前記センシングカフの前記手首側の面に対して反対側に設けられて膨張することで前記センシングカフを前記手首に押圧する押圧カフと、
前記センシングカフの長手方向に沿う縁部の少なくとも一方に沿って前記センシングカフまたは前記押圧カフに設けられて先端面が前記手首に接触する壁部と、
を備え、
前記血圧測定装置が前記手首に装着された状態において、前記壁部は、
前記先端面が前記手首に接触し、且つ、前記センシングカフが膨張した状態で、前記センシングカフよりも
前記手首側に突出するとともに前記センシングカフを前記手首に密着する高さを有する、カフ構造体。
【請求項2】
前記先端面には、前記長手方向に直交する複数の溝が形成される、請求項1に記載のカフ構造体。
【請求項3】
手首に装着される血圧測定装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に設けられるカーラと、
一方向に長い形状に構成され、手首の動脈が存する領域に接触するセンシングカフ、一方向に長い形状に構成され、前記センシングカフの前記手首側の面に対して反対側に設けられて膨張することで前記センシングカフを前記手首に押圧する押圧カフ、及び、前記センシングカフの長手方向に沿う縁部の少なくとも一方に沿って前記センシングカフまたは前記押圧カフに設けられて先端面が前記手首に接触する壁部を備え、前記カーラに設けられるカフ構造体と、
を備え、
前記手首に装着された状態において、前記壁部は、
前記先端面が前記手首に接触し、且つ、前記センシングカフが膨張した状態で、前記センシングカフよりも
前記手首側に突出するとともに前記センシングカフを前記手首に密着する高さを有する、血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定に用いる血圧測定装置に用いられるカフ構造体、及び、血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療施設においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
このような血圧測定装置として、カフとカフに流体を供給する装置本体とが一体に構成された所謂一体型と呼ばれるものが知られている。さらに、一体型の血圧測定装置では、手首に装着するウェアラブルデバイスも考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手首には、腱、骨、及び筋肉が存する。これら、腱、骨、及び筋肉等の生体の形状によって、手首の動脈が存する領域に凹凸が生じる。また、腱、骨、及び筋肉の形状はユーザによって異なる為、手首のセンシングカフが当接される領域の凹凸形状は、ユーザによって異なる。
【0006】
センシングカフは、血圧を測定する状態では、センシングカフ内の空気がセンシングカフ内に偏りなく存することが求められる。
【0007】
上述した血圧測定装置は、血圧の測定精度を向上することが求められる。
【0008】
そこで本発明は、血圧の検出の精度を向上できるカフ構造体、及び、血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、一方向に長い形状に構成され、手首の動脈が存する領域に接触するセンシングカフと、一方向に長い形状に構成され、前記センシングカフの前記手首側の面に対して反対側に設けられて膨張することで前記センシングカフを前記手首に押圧する押圧カフと、前記センシングカフの長手方向に沿う縁部の少なくとも一方に沿って設けられて先端面が前記手首に接触する壁部と、を備えるカフ構造体が提供される。
【0010】
センシングカフ及び押圧カフは、流体が供給されることで膨張するものであり、空気袋等の袋状構造体を含む。
【0011】
この態様によれば、血圧測定装置を手首に装着し、押圧カフを膨張させることで、壁部が手首を押圧する。壁部が手首を押圧することで、手首の動脈が存する領域の凹凸を小さくできる。ここで、手首の凹凸とは、手首の腱、筋肉、及び骨等の生体の一部により生じる凹凸である。手首の凹凸が小さくなることで、押圧カフが膨張することによるセンシングカフの手首への押圧により、空気が供給されたセンシングカフを手首の動脈が存する領域に密着させることが可能となる。
【0012】
さらに、手首の凹凸が小さくなることで、空気が供給されたセンシングカフが膨張した押圧カフで手首に押圧されても、つぶれが生じることを防止できる。ここで、つぶれとは、センシングカフの内面の、手首側及び押圧カフ側が接触することである。センシングカフにつぶれが生じることを防止することで、センシングカフ内に一様に流体を存することが可能となる。
【0013】
さらに、壁部が手首を押圧することで、手首が壁部の端面にならう。結果、センシングカフを手首に好適に密着できる。
【0014】
このように、センシングカフを手首の動脈が存する領域に好適に密着でき、かつ、センシングカフ内に一様に流体を存することが可能であることから、血圧測定の精度を向上できる。
【0015】
加えて、壁部を、血圧測定装置を手首に装着した状態で、手首の橈骨動脈及び尺骨動脈の間に存する腱に対向する構成とすることで、壁部により腱を押し込むことが可能となる。壁部により腱を押し込むことで、センシングカフを、橈骨動脈及び尺骨動脈を含む広い範囲で、手首に密着させることが可能となる。
【0016】
さらに、壁部が、センシングカフの長手方向に沿う縁部のそれぞれに沿って一対設けられる構成であると、一対の壁部が手首を押圧する。一対の壁部によって手首が押圧されることで、手首の一対の壁部間の部分が壁部の端面にならう。この為、手首の、壁部の端面にならう領域を大きくできるので、センシングカフを手首により好適に密着できる。
【0017】
上記一態様のカフ構造体において、前記押圧カフ及び前記センシングカフの間に設けられる背板を備え、前記壁部は、前記背板に設けられる、カフ構造体が提供される。
【0018】
この態様によれば、壁部は背板に支持されるので、壁部を安定して手首に押し付けることが可能となる。
【0019】
さらに、カフ構造体の部品点数が増えることを防止できる。この為、血圧測定装置の組み立て作業の効率を向上できる。
【0020】
上記一態様のカフ構造体において、前記先端面には、前記長手方向に直交する複数の溝が形成される、カフ構造体が提供される。
【0021】
この態様によれば、壁部を、手首の周方向に倣って変形しやすくなる。この為、血圧測定装置を手首に装着する作業を行いにくくなることを抑制できる。
【0022】
上記一態様のカフ構造体において、前記壁部は、前記センシングカフが膨張した状態で、前記センシングカフよりも突出するとともに前記センシングカフを前記手首に密着する高さを有する、カフ構造体が提供される。
【0023】
この態様によれば、血圧測定装置を手首に装着してからセンシングカフに空気を供給して押圧カフを膨張させると、壁部が手首の動脈が存する領域を押し込んだ後にセンシングカフが手首に接触する。この為、センシングカフを手首の動脈が存する領域に好適に密着させることが可能となる。
【0024】
一態様によれば、装置本体と、前記装置本体に設けられるカーラと、一方向に長い形状に構成され、手首の動脈が存する領域に接触するセンシングカフ、一方向に長い形状に構成され、前記センシングカフの前記手首側の面に対して反対側に設けられて膨張することで前記センシングカフを前記手首に押圧する押圧カフ、及び、前記センシングカフの長手方向に沿う縁部の少なくとも一方に沿って設けられて先端面が前記手首に接触する壁部を備え、前記カーラに設けられるカフ構造体と、を備える血圧測定装置が提供される。
【0025】
この態様によれば、血圧測定装置を手首に装着し、押圧カフを膨張させることで、壁部が手首を押圧する。壁部が手首を押圧することで、手首の動脈が存する領域の凹凸を小さくできる。ここで、手首の凹凸とは、手首の腱、筋肉、及び骨等の生体の一部により生じる凹凸である。手首の凹凸が小さくなることで、押圧カフが膨張することによるセンシングカフの手首への押圧により、空気が供給されたセンシングカフを手首の動脈が存する領域に密着させることが可能となる。
【0026】
さらに、手首の凹凸が小さくなることで、空気が供給されたセンシングカフが膨張した押圧カフで手首に押圧されても、つぶれが生じることを防止できる。ここで、つぶれとは、センシングカフの内面の、手首側及び押圧カフ側が接触することである。センシングカフにつぶれが生じることを防止することで、センシングカフ内に一様に流体を存することが可能となる。
【0027】
さらに、壁部が手首を押圧することで、手首が壁部の端面にならう。結果、センシングカフを手首に好適に密着できる。
【0028】
このように、センシングカフを手首の動脈が存する領域に好適に密着でき、かつ、センシングカフ内に一様に流体を存することが可能であることから、血圧測定の精度を向上できる。
【0029】
加えて、壁部を、血圧測定装置を手首に装着した状態で、手首の橈骨動脈及び尺骨動脈の間に存する腱に対向する構成とすることで、壁部により腱を押し込むことが可能となる。壁部により腱を押し込むことで、センシングカフを、橈骨動脈及び尺骨動脈を含む広い範囲で、手首に密着させることが可能となる。
【0030】
さらに、壁部が、センシングカフの長手方向に沿う縁部のそれぞれに沿って一対設けられる構成であると、一対の壁部が手首を押圧する。一対の壁部によって手首が押圧されることで、手首の一対の壁部間の部分が壁部の端面にならう。この為、手首の、壁部の端面にならう領域を大きくできるので、センシングカフを手首により好適に密着できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、血圧の測定精度を向上できるカフ構造体、及び、血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【
図2】同血圧測定装置を手首に装着した状態を示す説明図。
【
図3】同血圧測定装置のカフ構造体の構成を示す平面図。
【
図4】同血圧測定装置のカーラ及び同カフ構造体の一部を示す斜視図。
【
図5】同血圧測定装置を手首に装着した状態を模式的に示す断面図。
【
図6】同血圧測定装置を手首に装着した状態、及び、同手首に作用する圧力を示す説明図。
【
図7】本発明の変形例に係るカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図8】本発明の変形例に係るカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図9】本発明の変形例に係るカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図10】本発明の変形例に係るカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図11】本発明の変形例に係るカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図12】本発明の変形例に係る背板及び壁部の構成を示す側面図。
【
図13】本発明の変形例に係る背板及び壁部の構成を示す側面図。
【
図14】本発明の変形例に係る背板及び壁部の構成を示す側面図。
【
図15】本発明の変形例に係る血圧測定装置を手首に装着した状態を示す説明図。
【
図16】同血圧測定装置のカフ構造体の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、
図1乃至
図6を用いて以下例示する。
【0034】
図1は、血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。
図2は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態を示す説明図である。ここで、血圧測定装置1を手首200に装着するとは、血圧測定装置1を手首200に取り付け、固定具の一例であるベルト4を締めることで、血圧測定装置1を手首200に固定することである。
図3は、血圧測定装置1のカフ構造体6の構成を示す平面図である。
図3では、カフ構造体6の押圧カフ71は、一部が切り欠かれた状態を示す。
【0035】
図4は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の一部を示す斜視図である。
図5は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態を示す断面図である。
図6は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態、及び、手首200に作用する圧力を模式的に示す説明図である。
【0036】
図1及び
図2に示すように、血圧測定装置1は、装置本体3と、手首200に装置本体3を固定するベルト4と、ベルト4及び手首200の間に配置されるカーラ5と、カフ構造体6と、を備えている。
【0037】
装置本体3は、例えば、ケース11と、表示部12と、操作部13と、を備えている。また、装置本体3は、ケース11内に、カフ構造体6を膨張させる為のポンプ、ポンプ及びカフ構造体6を流体的に接続する流路部、並びに、制御基板を備えている。
【0038】
ケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の手首200側とは反対側の開口を覆う風防32と、を備えている。
【0039】
外郭ケース31は、円筒状に形成される。外郭ケース31は、外周面の周方向で対称位置にそれぞれ設けられた一対のラグ31aと、2つの一対のラグ31a間にそれぞれ設けられるバネ棒31bと、を備えている。
【0040】
風防32は、例えば、円形状のガラス板である。
【0041】
表示部12は、風防32の直下に配置される。表示部12は、電気的に制御基板に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0042】
操作部13は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部13は、ケース11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサと、を備える。複数の釦41は、例えば3つ設けられる。
【0043】
ベルト4は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で固定する固定具の一例である。ベルト4は、一方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第1ベルト61と、他方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第2ベルト62と、を備える。ベルト4は、カーラ5を介して手首200に巻き付けられる。
【0044】
第1ベルト61は、所謂親と呼ばれ、第2ベルト62と連結可能な帯状に構成される。第1ベルト61は、ベルト部61a及び尾錠61bを有する。ベルト部61aは、帯状に構成される。ベルト部61aは、弾性変形可能な樹脂材料で形成される。
【0045】
ベルト部61aの一端は、一方のバネ棒31bに支持される。尾錠61bは、ベルト部61aの他端に設けられる。尾錠61bは、矩形枠状の枠状体61eと、枠状体61eに回転可能に取り付けられたつく棒61fと、を有する。
【0046】
第2ベルト62は、所謂剣先と呼ばれ、枠状体61eに挿入可能な幅を有する帯状に構成される。第2ベルト62は、弾性変形可能な樹脂材料で形成される。また、第2ベルト62は、つく棒61fが挿入される小孔62aを複数有する。第2ベルト62の一端は、他方のバネ棒31bに支持される。
【0047】
このように構成されるベルト4は、第2ベルト62が枠状体61eに挿入され、小孔62aにつく棒61fが挿入されることで、第1ベルト61及び第2ベルト62が一体に接続され、外郭ケース31とともに、手首200の周方向に倣った環状となる。ベルト4は、手首200の周方向に倣った環状となることで、カーラ5を押圧し、カーラ5を血圧測定装置1の装着者の手首200の周方向に倣うように、弾性変形させる。
【0048】
カーラ5は、
図1及び
図2に示すように、手首200の周方向に倣って湾曲する帯状に構成される。カーラ5は、一端5a及び他端5bが離間して形成される。一端5aは、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で手首200の、手の平側に位置する一端である。他端5bは、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で、手首200の手の甲側に位置する一端である。カーラ5は、例えば、他端5b側の外周面が装置本体3に固定される。カーラ5は、例えば、樹脂材料で形成される。
【0049】
カーラ5は、装置本体3から他端5bまでの長さが、装置本体3から一端5aまでの長さよりも短く形成される。カーラ5は、装置本体3から他端5bまでの短手側が、手首200の手の甲側に配置される。カーラ5は、装置本体3から一端5aまでの長手側が、手首200の手の甲側から一方の側方を通って手首200の手の平側まで延びる。
【0050】
このようなカーラ5は、一端5a及び他端5bがベルト4の第1ベルト61と対向する向きで外郭ケース31に固定される。
【0051】
また、カーラ5は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ5にベルト4の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。例えば、可撓性とは、ベルト4によってカーラ5が押圧されたときに、手首200に近接するか、手首200の形状に沿うか、又は、手首200の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ5が予め賦形された形状を維持できることをいう。例えば、形状保持性とは、本実施形態においてはカーラ5の形状が手首200の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。
【0052】
カーラ5は、内周面にカフ構造体6が配置される。カーラ5は、カーラ5の内周面5cの形状に沿ってカフ構造体6の一部を保持する。例えば、カーラ5は、カーラ5及びカフ構造体6の間に設けられる接合層により、カフ構造体6が固定されることで、カフ構造体6を保持する。接合層は、例えば、接着剤や両面テープである。
【0053】
図1乃至
図3に示すように、カフ構造体6は、押圧カフ71と、背板72と、センシングカフ73と、壁部76と、を備えている。また、カフ構造体6は、各構成同士、及び、カーラ5と押圧カフ71とを接合する接合層75を備えている。
【0054】
カフ構造体6は、押圧カフ71、背板72及びセンシングカフ73が積層してカーラ5に配置される。具体例として、カフ構造体6は、
図1及び
図2に示すように、カーラ5の内周面5cに押圧カフ71が固定される。さらに、押圧カフ71の手首200の手の平側の内周面に、押圧カフ71の内周面から手首200側に向かって、背板72が固定される。さらに、背板72の手の平側の内周面に、センシングカフ73が固定される。カフ構造体6の各部材は、積層方向に隣接する部材に、接合層によって固定される。
【0055】
押圧カフ71は、流路部を介してポンプに流体的に接続される。押圧カフ71は、一方向に延びる帯状に構成される。押圧カフ71の一部は、接合層によってカーラ5の内周面5cに固定される。また、押圧カフ71は、血圧測定装置1を装着した状態で、センシングカフ73を手首200側に押圧し、かつ、手首200の手の甲側を押圧可能な長さを有する。押圧カフ71は、例えば、カーラ5の内周面5cの、一端5aから他端5bまで延びる長さを有している。
【0056】
押圧カフ71は、
図3及び
図4に示すように、空気袋81と、空気袋81に設けられた接続部84と、を含む。なお、上述の例では、空気袋81は、1つ用いられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、空気袋81は、複数設けられ、これら複数の空気袋81が積層される構成であってもよい。複数の空気袋81が用いられる構成では積層される複数の空気袋81は、例えば積層方向に流体的に連通する。
【0057】
このような押圧カフ71は、複数のシート部材86を一体に溶着することで構成される。接続部84は、装置本体3の流路部に接続される。接続部84が流路部に接続されることで、押圧カフ71は、ポンプと流体的に接続される。
【0058】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプにより空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。
【0059】
空気袋81は、一方向に長い矩形状の袋形状に形成される。また、空気袋81は、短手方向の幅が、カーラ5の短手方向の幅と同じ幅に設定される。空気袋81は、例えば、二枚のシート部材86を組み合わせ、
図3に溶着部81aを示すように、一方向に長い矩形枠状に、熱により溶着することで構成される。
【0060】
接続部84は、例えばニップルである。接続部84は、装置本体3の流路部に接続される。接続部84は、空気袋81の装置本体3と対向する部分に設けられる。接続部84の先端は、空気袋81を構成する二枚のシート部材86のうち、カーラ5と対向するシート部材86から露出する。接続部84は、流路部に接続される。
【0061】
図3に示すように、背板72は、一方向に長い板状に形成される。背板72は、接合層により押圧カフ71の手首200側のシートの外面に貼付される。背板72は、血圧測定装置1が手首200に装着された状態で、動脈210及び腱220が存する領域に対向する長さを有する。
【0062】
背板72は、形状追従性を有する。ここで、形状追従性とは、配置される手首200の被接触箇所の形状を倣うように背板72が変形可能な機能をいい、手首200の被接触箇所とは、背板72が対向する手首200の領域をいい、ここでの接触とは、直接的な接触及びセンシングカフ73を介した間接的な接触の双方を含む。
【0063】
また、
図3に示すように、背板72は、背板72の両主面に長手方向に対して直交する方向に延びる複数の溝72aを有する。溝72aは、背板72の両主面にそれぞれ複数設けられる。両主面に設けられた複数の溝72aは、背板72の厚さ方向においてそれぞれ対向する。また、複数の溝72aは、背板72の長手方向に等間隔に配置される。
【0064】
背板72は、複数の溝72aを有する部位が溝72aを有さない部位に比べて薄肉となることで、複数の溝72aを有する部位が変形しやすいことから、手首200の形状に倣って変形し、手首200の周方向に延在する形状追従性を有する。背板72は、手首200の手の平側を覆う長さに形成される。背板72は、手首200の形状に沿った状態で、押圧カフ71からの押圧力をセンシングカフ73の背板72側の主面に伝達する。
【0065】
センシングカフ73は、装置本体3の流路部を介してポンプに流体的に接続される。センシングカフ73は、背板72の手首200側の主面に接合層により固定される。
【0066】
センシングカフ73は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で、手首200の動脈210が存する領域に接触する長さを有する。一例として、センシングカフ73は、
図3に示すように、動脈210の橈骨動脈211から尺骨動脈212まで延びる長さを有する。
【0067】
センシングカフ73は、例えば、背板72の長手方向及び幅方向で、背板72と同一形状か、又は、背板72よりも小さい形状に形成される。センシングカフ73は、空気が供給され、そして、膨張した押圧カフ71によって押圧されることで、膨張した押圧カフ71を介在して、手首200の手の平側の動脈210が存する領域を圧迫する。センシングカフ73は、膨張した押圧カフ71により、背板72を介して手首200側に押圧される。
【0068】
センシングカフ73は、
図3に示すように、例えば、一つの空気袋91と、空気袋91と連通する流路体92と、流路体92の先端に設けられた接続部93と、を含む。センシングカフ73は、空気袋91の一方の主面が背板72に固定される。センシングカフ73は、背板72の手首200側の主面に接合層により接合される。このようなセンシングカフ73は、二枚のシート部材96を一体に溶着することで構成される。
【0069】
ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプにより空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。
【0070】
空気袋91は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋91は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材96を組み合わせ、
図3に溶着部91aを示すように、一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。
【0071】
流路体92は、空気袋91の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。具体例として、流路体92は、空気袋91の装置本体3に近い端部に設けられる。また、流路体92は、空気袋91の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成され、先端が円形状に形成される。流路体92は、先端に接続部93を有する。流路体92は、接続部93を介して装置本体3の流路部に接続され、流路部と空気袋91との間の流路を構成する。
【0072】
流路体92は、二枚のシート部材96に接続部93を配置した状態で、シート部材96の空気袋91を構成する領域に隣接するシート部材96の一部を一方向に長い枠状に熱により溶着することで構成される。流路体92及び接続部93は、流路体92の一部が例えば押圧カフ71に形成された切込みなどに配置されることで、押圧カフ71に対してカーラ5側に配置される。または、接続部93は、例えば押圧カフ71に形成される孔を通して装置本体3の流路部に接続されてもよい。
【0073】
なお、空気袋91は、二枚のシート部材96を矩形枠状に溶着する溶着部91aの一部を非溶着とし、流路体92を構成する溶着部92aと連続する構成とすることで、空気袋91及び流路体92を流体的に連通する。
【0074】
接続部93は、例えばニップルである。接続部93は、流路体92の先端に設けられる。また、接続部93の先端は、流路体92を構成する二枚のシート部材96のうち、カーラ5及び背板72と対向するシート部材96から外部に露出する。接続部93は、流路部に接続される。
【0075】
壁部76は、センシングカフ73の長手方向に沿う一対の縁部の少なくとも一方に沿って設けられる。また、壁部76は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態にあるときに、手首200の腱220が存する領域に対向する長さを有する。本実施形態では、一例として、
図3に示すように、壁部76は、センシングカフ73の空気袋91の長手方向で一端から他端まで延びる長さを有する。また、壁部76は、例えば、背板72に設けられる。壁部76は、背板72に一体に形成されてもよい。または、壁部76は、背板72に、背板72とは別部材を固定することで形成されてもよい。
【0076】
壁部76は、背板72の、センシングカフ73の長手方向に沿う一対の縁部のそれぞれに隣接する位置に配置される。すなわち、壁部76は、一対設けられる。また、一対の壁部76のそれぞれは、例えば背板72の長手方向に沿う縁部に設けられる。一対の壁部76は、カフ構造体6がカーラ5に固定された状態で、カーラ5に沿って湾曲する。
【0077】
壁部76は、
図2に示すように血圧測定装置1を手首200に装着してセンシングカフ73に空気を供給し、押圧カフ71を膨張させた状態で、手首200に密着して手首200を押し込むとともにセンシングカフ73を手首200に密着できる高さを有する。ここで、壁部76の高さは、本実施形態では、背板72の手首200側の主面から、壁部76の先端面76aまでの高さである。
【0078】
換言すると、
図6に示すように、血圧測定装置1を手首200に装着してセンシングカフ73に空気を供給し、押圧カフ71を膨張させた状態で、背板72の手首200側の主面から壁部76の先端面76aまでの高さH1は、背板72の手首200側の主面から膨張した状態のセンシングカフ73の手首200側の突出端までの高さH2よりも高い
。本実施形態では一例として、壁部76の高さは、壁部76の長手方向の一端から他端まで、一定の高さを有する。
【0079】
本実施形態では、壁部76は、例えば、血圧測定装置1を手首200に装着していない状態でセンシングカフ73を膨張させたときに、センシングカフ73よりも突出する高さを有する。ここで、血圧測定装置1を手首200に装着していない非装着状態とは、血圧測定装置1を手首200に取り付けていない状態である。すなわち、カーラ5内に手首200を配置していない状態である。
【0080】
また、一対の壁部76のそれぞれは、
図3に示すように、先端面76aに、複数の溝76bが形成される。複数の溝76bは、先端面76aの長手方向に対して直交する方向に延びる。複数の溝76bは、先端面76aの長手方向に沿う縁の一方から他方の縁まで延びている。複数の溝76bは、壁部76の長手方向に等間隔に配置される。
【0081】
また、1つの壁部76の先端面76aの複数の溝76bは、
図3に示すように、例えば背板72の溝72aと同数が形成される。また、複数の溝76bは、先端面76aの長手方向に直交する方向で、背板72の溝72aと並ぶ。また、複数の溝76bの延びる方向は、複数の溝72aの延びる方向と平行である。換言すると、一方の先端面76aの溝76b、溝72a、他方の先端面76aの溝76bは、
図3に示すように平面視で、先端面76aの長手方向に直交する方向で、直線状に並ぶ。
【0082】
一対の壁部76は、複数の溝76bを有する部位が溝76bを有さない部位に比べて高さが低くなることで、複数の溝76bを有する部位が変形しやすいことから、手首200の形状に倣って変形し、手首200の周方向に延在する形状追従性を有する。
【0083】
このように構成される血圧測定装置1では、血圧測定装置1が手首200に装着されてセンシングカフ73に空気が供給され、押圧カフ71が膨張された状態で、一対の壁部76が手首200の動脈210が存する領域を押圧する。
【0084】
すなわち、血圧測定装置1を手首200に取り付けてベルト4を締めつけることで、一対の壁部76が手首200の動脈が存する領域を押圧する。さらに、押圧カフ71が膨張されることで、壁部76が手首200の動脈210が存する領域をさらに押圧する。
【0085】
一対の壁部76が手首200の動脈が存する領域を押圧することで、手首200の動脈が存する領域の凹凸が小さくなる。ここで、手首200の凹凸とは、手首200の腱220、骨、筋肉等の生体により生じる凹凸である。手首200の動脈が存する領域の凹凸が小さくなることで、センシングカフ73が手首に好適に密着される。
【0086】
さらに、手首200の動脈210が存する領域の凹凸が小さくなることで、センシング
カフ73は、空気が供給され、そして、膨張した押圧カフ71で手首200に押圧されても、つぶれが生じることを防止できる。ここで、つぶれとは、センシングカフ73の内面の、手首200側及び背板72側が当接することである。結果、センシングカフ73を一様に膨張させることが可能となる。センシングカフ73を一様に膨張できることから、センシングカフ73内の圧力を一様にすることが可能となる。この為、
図6に示すように、手首200のセンシングカフ73が密着する領域に作用する圧力を略一定にすることが可能となる。
【0087】
さらに、一対の壁部76が手首200の動脈が存する領域を押圧することで、手首200が、壁部76の先端面76aにならう。手首200が壁部76の先端面76aにならうことで、センシングカフ73が好適に手首200の動脈210が存する領域に密着する。
【0088】
このように、センシングカフ73内の圧力を一様にし、かつ、センシングカフ73が手首200に好適に密着することから、血圧測定の精度を向上できる。
【0089】
さらに、壁部76が、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で腱220と対向する長さを有することから、腱220を手首200に押し込むことが可能となる。この為、センシングカフ73を、手首200の橈骨動脈211から尺骨動脈212が存する領域に密着させることが可能となる。
【0090】
さらに、血圧測定装置1が一対の壁部76を備える構成であることで、一対の壁部76が手首200を押圧する。一対の壁部76によって手首200が押圧されることで、手首200の、一対の壁部76間の部分が先端面76aにならう。この為、手首200の、壁部76の先端面76aにならう領域を大きくできるので、センシングカフ73をより好適に手首200の動脈210が存する領域に密着できる。
【0091】
さらに、一対の壁部76が背板72に設けられることで、一対の壁部76は背板72に支持される。この為、一対の壁部76を安定して手首200側に押し付けることが可能となる。
【0092】
さらに、壁部76は、押圧カフ71が膨張すると背板72によって手首200に向かって押圧される。この為、血圧測定装置1を手首200に装着してセンシングカフ73に空気を供給して押圧カフ71を膨張した状態で、押圧カフ71の表面に生じる応力が大きくなることを防止できる。
【0093】
さらに、一対の壁部76が背板72と一体に形成されることで、血圧測定装置1の部品点数が増えることを防止できる。この為、カフ構造体6の組み立て作業の効率を向上できるので、血圧測定装置1の組み立て作業の効率を向上できる。
【0094】
さらに、一対の壁部76の先端面76aに複数の溝76bが形成されることで、背板72を湾曲させやすくなるので、背板72をカーラ5に固定する作業の効率を向上できる。さらに、カーラ5の曲率と手首200の曲率が異なる場合、血圧測定装置1を手首200に装着する際にベルト4を締めることで、カーラ5が手首200に合わせて変形する。この際に、複数の溝76bにより壁部76を湾曲させやすくなることから、血圧測定装置1の装着作業の効率を向上できる。
【0095】
さらに、一対の壁部76のそれぞれの先端面76aに形成される複数の溝76bが、背板72の溝72aと、壁部76の長手方向に直交する方向で並ぶことで、背板72及び壁部76の屈曲点を一致できる。
【0096】
すなわち、背板72は、溝72aで屈曲することで、全体として湾曲し、壁部76は、溝76bで屈曲することで、全体として湾曲する。溝72a及び溝76bが並ぶことで、背板72及び壁部76の屈曲点を一致できるので、カフ構造体6の手首200に倣って変形する形状追従性を向上できる。
【0097】
さらに、壁部76は、血圧測定装置1を手首200に非装着でセンシングカフ73を膨張させた状態で、センシングカフ73よりも突出する高さを有する。この為、血圧測定装置1を手首200に装着して、押圧カフ71を膨張させていない状態で、壁部76が手首200を押圧する。
【0098】
そして、壁部76により、手首200の動脈が存する領域の凹凸の程度が小さくなった状態でセンシングカフ73に空気が供給され、押圧カフ71が膨張される。結果、センシングカフ73にスムーズに空気を供給することが可能となる。
【0099】
上述したように本実施形態に係る血圧測定装置1によれば、血圧の測定精度を向上できる。
【0100】
また、上述した例では、壁部76は、血圧測定装置1を手首200に装着してセンシングカフ73に空気を供給し、押圧カフ71を膨張させた状態で、壁部76がセンシングカフ73よりも突出するとともにセンシングカフ73が手首200の動脈210が存する領域に密着できる高さを有する。そして、壁部76は、一例として、血圧測定装置1を手首200に非装着でセンシングカフ73を膨張させた状態で、壁部76がセンシングカフ73よりも突出する高さを有する構成が説明された。しかしながら、これに限定されない。
【0101】
壁部76は、血圧測定装置1を手首200に装着してセンシングカフ73に空気を供給し、押圧カフ71を膨張させた状態で、センシングカフ73よりも突出するとともにセンシングカフ73を手首200の動脈が存する領域に密着できれば、
図7に示す変形例のように、血圧測定装置1を手首200に非装着でセンシングカフ73を膨張させた状態で、壁部76がセンシングカフ73よりも低い構成であってもよい(H1<H2)。なお、
図7では、押圧カフ71及びカーラ5は省略して示している。
【0102】
図7に示す変形例の血圧測定装置1では、センシングカフ73は、空気が供給され、膨張した押圧カフ71によって手首200に押圧されると、センシングカフ73の厚みが
図7に示すセンシングカフ73の厚みよりも小さくなり、壁部76がセンシングカフ73より突出する。
【0103】
または、
図8に示す変形例のように、血圧測定装置1を手首200に非装着でセンシングカフ73を膨張した状態で、壁部76は、センシングカフ73と同一高さとなる構成であってもよい(H1=H2)。
【0104】
図8に示す変形例の血圧測定装置1では、センシングカフ73は、空気が供給され、膨張した押圧カフ71によって手首200に押圧されると、センシングカフ73の厚みが
図8に示す厚みよりも小さくなり、壁部76がセンシングカフ73より突出する。
【0105】
なお、壁部76は、
図7または
図8に示すように、血圧測定装置1を手首200に非装着でセンシングカフ73を膨張させ
た状態で、壁部76が、センシングカフ73より突出する高さ、または、センシングカフ73と同じ高さを有する構成でもよい。しかしながら、壁部76は、血圧測定装置1を手首200に非装着でセンシングカフ73を膨張させた状態でセンシングカフ73よりも突出する高さを有する構成であることで、ベルト4が締められることで壁部76によって手首200の凹凸が小さくなった状態でセンシングカフ73に空気が供給される。この為、センシングカフ73にスムーズに空気を供給できるので、センシングカフ73をより好適に手首200の動脈210が存する領域に密着できる。この為、壁部76は、血圧測定装置1を手首200に非装着でセンシングカフ73を膨張させた状態で、センシングカフ73よりも突出する高さを有する構成であることが好ましい。
【0106】
また、上述の例では、壁部76は、背板72に一体に形成される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、壁部76は、背板72と別体に形成される構成であってもよい。
【0107】
例えば、カフ構造体6が背板72を備えない構成である場合は、壁部76は押圧カフ71に一体に形成されてもよい。なお、カフ構造体6が背板72を備えない構成の一例としては、押圧カフ71の手首200側の面を構成するシートの、少なくともセンシングカフ73が固定される領域が、背板72と同様にセンシングカフ73を支持可能に形成される構成がある。
【0108】
または、カフ構造体6が背板72を備える構成において、壁部76が押圧カフ71に一体に形成されてもよい。
【0109】
これらのように、壁部76が押圧カフ71に形成される場合、壁部76は、例えば、
図9に示す変形例のように押圧カフ71の溶着部81aに構成される。なお、溶着部81aは、押圧カフ71が膨張しても手首200側に移動しない。この為、壁部76が溶着部81aに形成される場合、壁部76は、押圧カフ71が膨張しても手首200側に移動しない。このように、壁部76が押圧カフ71の溶着部81aのように押圧カフ71が膨張しても手首200側に移動しない部位に形成される構成の場合、壁部76は、血圧測定装置1を装着した状態で、手首200の動脈210が存する領域を押圧する高さを有する。
【0110】
または、壁部76が背板72と別体に形成される構成の一例として、
図10に示す変形例のように、壁部76はセンシングカフ73に一体に形成されてもよい。壁部76がセンシングカフ73に設けられる構成の一例として、壁部76は、溶着部91aに設けられてもよい。なお、
図10では、押圧カフ71及び背板72は図示を省略している。
【0111】
また、上述の例では、壁部76は、センシングカフ73の長手方向に沿う一対の縁部のそれぞれに沿って形成される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、
図11に示す変形例のように、壁部76は、センシングカフ73の長手方向に沿う一対の縁部の一方に沿って形成される構成であってもよい。この構成の場合、血圧測定装置1が手首200に装着された状態で、壁部76が、センシングカフ73に対して手の指側、及び、センシングカフ73に対して肩側のうち、より好適に血圧を測定できる方に位置するよう、壁部76が形成される位置が選択される。
【0112】
また、上述の例では、壁部76は、センシングカフ73に沿って延びる方向で一端から他端まで、一定の高さを有する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、壁部76の高さは、壁部76のセンシングカフ73に沿って延びる方向で一端から他端まで、一定ではない構成であってもよい。
【0113】
このように、壁部76が、壁部76のセンシングカフ73の長手方向の縁に沿って延びる方向で一端から他端の間で異なる高さを有する構成の一例として、
図12に示すように、壁部76は、手首200の、腱220、骨、筋肉などの硬い部分に対向する部分の高さが、他の部分に比較して高くなる形状に形成されてもよい。なお、
図12は、壁部76が背板72に設けられる構成を一例として示しており、壁部76及び背板72の側面を示している。なお、
図12に示す変形例では、一例として、壁部76の先端面76aが曲面に形成される構成が、一例として示されている。
【0114】
図12に示す変形例のように、壁部76の、腱220、骨、筋肉等の硬い生体に対向する部分が他
の部分に比較して高い形状に構成されることで、手首200の硬い部分を押し込むことが可能となる。結果、手首200の凹凸を小さくできる。
【0115】
また、上述の例では、壁部76は、センシングカフ73の空気袋91の長手方向の一端から他端まで延びる長さを有する。換言すると、センシングカフ73の長手方向に沿う縁の一端から他端まで延びる長さを有する。さらに、壁部76は、本実施形態では、一例として、背板72の長手方向の一端から他端まで延びる長さを有する。
【0116】
しかしながら、これに限定されない。他の例では、壁部76は、センシングカフ73の長手方向に沿う縁部の少なくとも一方の一端及び他端間の一部に沿って設けられる構成であってもよい。この一例として、
図13に示すように、壁部76は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で、腱220、骨、筋肉などの硬い生体に対向する部分にのみ形成されてもよい。
図13は、壁部76がセンシングカフ73の長手方向の一端及び他端間の一部に沿う構成を示している。また、
図13は、壁部76が背板72と一体に形成される構成を、一例として示しており、壁部76、背板72、及びセンシングカフ73の空気袋91の側面を示している。
【0117】
また、上述の例では、壁部76は、センシングカフ73の長手方向に沿う1つの縁部に対して、この縁部に沿って1つが設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、
図14に示す変形例のように、センシングカフ73の長手方向に沿う1つの縁部に沿って、複数の壁部76が形成されてもよい。換言すると、壁部76は、複数に分割される構成であってもよい。このように壁部76が複数に分割される構成であることで、血圧測定装置1を手首200に装着しやすくなる。なお、
図14は、壁部76が背板72に形成される構成が、一例として示されており、壁部76及び背板72の側面を示している。
【0118】
また、上述の例では、カフ構造体6は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で手首200の手の甲側に押圧カフ71の一部が配置される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、カフ構造体6は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で手首200の手の甲側に配置されるカフとして、押圧カフ71と別体となる引張カフ74を備える構成であってもよい。
【0119】
この変形例について、
図15及び
図16を用いて説明する。
図15は、変形例に係る血圧測定装置1を手首200に装着した状態を示す説明図である。
図16は、変形例に係る血圧測定装置1のカフ構造体6Aを示す平面図である。
図16は、カフ構造体6Aの、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で手首200側となる面を示す。
【0120】
図15及び
図16に示すように、カフ構造体6Aは、押圧カフ71Aと、背板72と、センシングカフ73と、引張カフ74と、を備えている。カフ構造体6Aは、各構成同士、及び、カーラ5と押圧カフ71とを接合する接合層を備えている。
【0121】
押圧カフ71Aは、流路部を介してポンプに流体的に接続される。押圧カフ71Aは、膨張することで背板72及びセンシングカフ73を手首200側に押圧する。押圧カフ71Aは、一方向に延びる帯状に構成される。押圧カフ71Aは、接合層によってカーラ5の内周面に固定される。
【0122】
押圧カフ71Aは、具体的には、空気袋81と、空気袋81と連通する流路体83と、流路体83の先端に設けられた接続部84と、を含む。
【0123】
図16に示すように、流路体83は、例えば、空気袋81の長手方向で一端の縁部の一部に一体に設けられる。具体例として、流路体83は、空気袋81の装置本体3に近い端部に設けられる。また、流路体83は、空気袋81の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成され、先端が円形状に形成される。流路体83は、先端に接続部84を有する。
【0124】
流路体83は、二枚のシート部材86に接続部84を配置した状態で、シート部材86の空気袋81を構成する領域に隣接するシート部材86の一部を一方向に長い枠状に熱により溶着することで構成される。
【0125】
なお、流路体83が設けられる空気袋81は、二枚のシート部材86を矩形枠状に溶着する溶着部81aの一部を非溶着とし、流路体83を構成する溶着部83aと連続する構成とすることで、空気袋81が流路体83に流体的に連通する。接続部84は、流路部に接続される。
【0126】
引張カフ74は、流路部を介してポンプに流体的に接続される。引張カフ74は、カーラ5の手首200の手の甲側に固定される。引張カフ74は、膨張することで手首200から離間するようにカーラ5を押圧することで、ベルト4及びカーラ5を手首200の手の甲側に引っ張る。引張カフ74は、例えば複数の空気袋101と、カーラ5と対向する空気袋101に設けられた接続部103と、を含む。複数の空気袋101は、例えば六層の空気袋101である。
【0127】
ここで、空気袋101とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1Aがポンプにより空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。複数の空気袋101は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0128】
このような引張カフ74は、複数のシート部材106を一体に溶着することで構成される。また、引張カフ74は、カーラ5の手首200の手の甲側に固定される。即ち、カーラ5の手首200の手の甲側及び引張カフ74の間に、押圧カフ71Aの流路体83及びセンシングカフ73の流路体92が配置される。
【0129】
また、引張カフ74は、膨張方向、本実施形態においては、カーラ5及び手首200の対向する方向で、膨張時の厚さが、押圧カフ71Aの膨張方向における膨張時の厚さ、及び、センシングカフ73の膨張方向における膨張時の厚さよりも厚く構成される。即ち、引張カフ74の空気袋101は、押圧カフ71Aの空気袋81A及びセンシングカフ73の空気袋91よりも多い層構造を有し、カーラ5から手首200に向かって膨張したときの厚さが押圧カフ71A及びセンシングカフ73よりも厚い。
【0130】
空気袋101は、一方向に長い矩形状の袋形状に形成される。また、空気袋101は、短手方向の幅が、カーラ5の短手方向の幅と同じ幅に設定される。空気袋101は、例えば、二枚のシート部材106を組み合わせ、
図16に溶着部101aを示すように、一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。六層の空気袋101は、互いに対向するシート部材106に設けられた開口によって流体的に連通する。
【0131】
接続部103は、例えばニップルである。接続部103は、カーラ5と隣接して配置される空気袋101に設けられる。接続部103の先端は、空気袋101を構成する二枚のシート部材106のうち、カーラ5と対向するシート部材106から露出する。接続部103は、装置本体3の流路部に接続される。
【0132】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0133】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…ベルト
5…カーラ
6…カフ構造体
11…ケース
12…表示部
13…操作部
31…外郭ケース
31a…ラグ
31b…バネ棒
32…風防
41…釦
61…第1ベルト
61a…ベルト部
61b…尾錠
61e…枠状体
61f…つく棒
62…第2ベルト
62a…小孔
71…押圧カフ
72…背板
72a…溝
73…センシングカフ
74…引張カフ
81…空気袋
84…接続部
86…シート部材
91…空気袋
92…流路体
93…接続部
96…シート部材
101…空気袋
103…接続部
106…シート部材
200…手首
210…動脈
211…橈骨動脈
212…尺骨動脈
220…腱