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特許7556219情報処理装置、許可判定方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、許可判定方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20240918BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G06F21/31
E05B65/00 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020104753
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197031
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 超
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-004796(JP,A)
【文献】特開2017-224186(JP,A)
【文献】国際公開第2015/194135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
許可を求める利用者に対して行動を要求する要求手段と、
行動が要求された際の前記利用者の利用者情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した利用者情報に基づき、前記利用者に許可を与えるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記利用者に対して要求したことのない新たな行動を前記要求手段が要求することと、前記取得手段が前記利用者の新たな利用者情報を取得することと、当該新たな利用者情報に基づき前記判定手段が前記許可を与えるか否かを判定することを、繰り返すように制御する制御手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記利用者情報に基づいて、許可を与えるべきでない人物を含む複数の種別のそれぞれについて前記利用者が該当する確率を算出し、前記複数の種別のそれぞれに該当する確率のうち前記利用者が許可を与えるべきでない人物に該当する確率が最も高くなければ、前記利用者に許可を与えると判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判定手段が前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記新たな行動を前記要求手段が要求することと、前記取得手段が前記利用者の新たな利用者情報を取得することと、当該新たな利用者情報に基づき前記判定手段が前記許可を与えるか否かを判定することを、前記判定手段が前記利用者に許可を与えると判定するまで繰り返すように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記要求手段が要求する行動は、顔に関する行動と、服に関する行動と、荷物に関する行動とのうち少なくともいずれかである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、行動が要求された際における前記利用者を撮像した画像から前記利用者情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記利用者を撮像した画像は、前記利用者の顔と、前記利用者の荷物と、前記利用者の服装とのうち少なくともいずれかを撮像した画像である、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記利用者情報は、利用者が行動を要求されてから当該行動を行うまでの時間の情報を含む、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記利用者情報は、行動が要求された際における前記利用者の顔の隠れ度合いの情報を含む、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記利用者情報は、行動が要求された際における利用者の荷物の大きさおよび荷物の種類の少なくともいずれかの情報を含む、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記複数の種別のうち前記利用者が該当する確率が最も高い種別に応じて、与える許可を異ならせる、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得手段が第1の行動の前記利用者情報である第1の情報を取得しており、かつ、前記判定手段が前記第1の情報に基づき前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、
前記要求手段は、前記利用者に第2の行動を要求し、
前記取得手段は、前記第2の行動の前記利用者情報である第2の情報を取得し、
前記判定手段は、前記第1の情報と前記第2の情報とに基づき前記許可を与えるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
許可を求める利用者に対して行動を要求する要求ステップと、
行動が要求された際の前記利用者の利用者情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した利用者情報に基づき、前記利用者に許可を与えるか否かを判定する判定ステップと、
を有し、
前記判定ステップにおいて前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記要求ステップにおいて前記利用者に要求したことのない新たな行動を要求することと、前記取得ステップにおいて前記利用者の新たな利用者情報を取得することと、前記判定ステップにおいて当該新たな利用者情報に基づき前記許可を与えるか否かを判定することを、繰り返すように制御され
前記判定ステップでは、前記利用者情報に基づいて、許可を与えるべきでない人物を含む複数の種別のそれぞれについて前記利用者が該当する確率を算出し、前記複数の種別のそれぞれに該当する確率のうち前記利用者が許可を与えるべきでない人物に該当する確率が最も高くなければ、前記利用者に許可を与えると判定する、
ことを特徴とする許可判定方法。
【請求項12】
請求項11に記載の許可判定方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、許可判定方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入場することが制限される建物に利用者が入場(進入;入館)しようとする場合には、事前に登録した情報と利用者が有する情報(例えば、鍵や認証用のカード、虹彩情報、顔情報)とを比較することによって、入場を許可されるかが判定される。例えば、事前に登録した利用者の顔写真と入場しようとする利用者の顔とを比較することによって、入場を許可するか否かが判定されることがある。
【0003】
特許文献1では、利用者が有するカードキーに紐づいたIDと事前に登録されたIDとが一致しており、かつ、利用者のバイオメトリクス情報と事前に登録されたバイオメトリクス情報とが一致する場合に、当該利用者の入室を許可する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2では、事務所の社員がシステムに暗証番号を事前に登録して、利用者に暗証番号を通知しておくことによって、利用者が事務所に入室する際に通知された暗証番号をシステムに入力すると、システムが入室を許可する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3では、システムに予め登録された新規の訪問者の新規登録情報または/および過去の訪問履歴情報と、訪問時の訪問者の情報とを照合することによって、訪問者を認証する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-169923号公報
【文献】特開2005-097976号公報
【文献】特開2019-052476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の3つの技術は、セキュリティ性が高い一方、予め登録された情報を利用者が有している必要がある、または、利用者を特定する情報を予めシステムに登録する必要があった。このため、建物などを一時的に利用する利用者にとって、事前の情報の登録や必要な情報の取得などが必要であり、建物などを利用するための利便性が低いという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、一時的に許可を要する利用者にとって利便性が高く、かつ、セキュリティ性が高く、許可を与えることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
【0010】
本発明の第一側面は、前記制御手段は、許可を求める利用者に対して行動を要求する要求手段と、行動が要求された際の前記利用者の利用者情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した利用者情報に基づき、前記利用者に許可を与えるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記利用者に対して要求したことのない新たな行動を前記要求手段が要求することと、前記取得手段が
前記利用者の新たな利用者情報を取得することと、当該新たな利用者情報に基づき前記判定手段が前記許可を与えるか否かを判定することを、繰り返すように制御する制御手段と、を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0011】
上記構成によれば、情報処理装置は、行動の際の利用者の情報(例えば、利用者を撮像した映像や音声など)に基づいて、利用者に許可を与えるか否かを判定する。このため、利用者が予め情報処理装置に情報を登録することなく、また、利用者がパスワードを予め取得することなく許可を与えるか否かを判定することができる。なお、ここでの許可は、ゲートを通過する許可、建物に進入する許可、データにアクセスする許可など任意の許可であってよい。
【0012】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記判定手段が前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記新たな行動を前記要求手段が要求することと、前記取得手段が前記利用者の新たな利用者情報を取得することと、当該新たな利用者情報に基づき前記判定手段が前記許可を与えるか否かを判定することを、前記判定手段が前記利用者に許可を与えると判定するまで繰り返すように制御してもよい。この構成によれば、判定手段が利用者に許可を与えると判定するまで、繰り返し新たな行動が要求されるため、様々な行動によって個人が特定されることを嫌がる不審者は、要求に従わない可能性がある。従って、そのような不審者に対して、誤って許可を与える可能性を低減できる。
【0013】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記要求手段が要求する行動は、顔に関する行動と、服に関する行動と、荷物に関する行動とのうち少なくともいずれかであってもよい。これらに関する行動は外部から容易に観察可能な行動であるため、許可をすべき人間であるか否かの判定のための利用者情報を容易に取得可能になる。
【0014】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記取得手段は、行動が要求された際における前記利用者を撮像した画像から前記利用者情報を取得してもよい。また、前記利用者を撮像した画像は、前記利用者の顔と、前記利用者の荷物と、前記利用者の服装とのうち少なくともいずれかを撮像した画像であってもよい。行動には、利用者情報は行動が要求された際の利用者の反応などの情報であるため、その際の利用者を撮像した画像を用いることによれば、容易に利用者情報を取得することが可能になる。
【0015】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記利用者情報は、利用者が行動を要求されてから当該行動を行うまでの時間の情報を含んでいてもよい。例えば、その利用者が本来は許可をされるべき人物でなければ、当該利用者が要求された行動を行うか否かに迷いが生じる結果、行動を行うまでの時間が長くなる可能性がある。このため、このことを考慮することによって、より高精度に許可をすべきか否かを判定することができる。
【0016】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記利用者情報は、行動が要求された際における前記利用者の顔の隠れ度合いの情報を含んでいてもよい。また、前記利用者情報は、行動が要求された際における利用者の荷物の大きさおよび荷物の種類の少なくともいずれかの情報を含んでいてもよい。例えば、顔の隠れ度合いが閾値よりも低ければ、許可を与えるべきであると判定できる。
【0017】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記判定手段は、前記利用者情報に基づいて、前記利用者が許可を与えるべき人物であるか否かを示すスコアを算出して、当該スコアが所定の閾値以上であれば、前記利用者に許可を与えると判定してもよい。さらに、上記一側面に係る情報処理装置において、前記判定手段は、前記利用者情報に基づいて、前記利用者が許可を与えるべき人物である確率を算出して、当該確率が所定の閾値以上であれば、前記利用者に許可を与えると判定してもよい。ここで、所定の閾値は、情報処理装置
のユーザが任意に決定してもよく、また、過去の判定結果の精度に応じて情報処理装置が決定してもよい。また、所定の閾値は、与える許可に応じて変更されてもよい。例えば、情報処理装置は、マンションのエントランスなどの個人の敷地に進入を許可する場合には、公園などの公共の敷地に進入を許可する場合よりも、所定の閾値を高くするとよい。つまり、許可の公共性に応じて、所定の閾値の値が変更されてもよい。また、所定の閾値は、許可を与えるべき人数が少ないほど、セキュリティ性が要求されることから、高い値であってもよい。
【0018】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記判定手段は、前記利用者情報に基づいて、許可を与えるべきでない人物を含む複数の種別のそれぞれについて前記利用者が該当する確率を算出し、前記複数の種別のそれぞれに該当する確率のうち前記利用者が許可を与えるべきでない人物に該当する確率が最も高くなければ、前記利用者に許可を与えると判定してもよい。このとき、前記判定手段は、前記複数の種別のうち前記利用者が該当する確率が最も高い種別に応じて、与える許可を異ならせてもよい。このように、利用者が該当すると推定される種別に応じて、異なる許可を与えることができる。このため、利用者にとって、必要最小限の許可を与えることが可能になるため、セキュリティ性が向上する。また、より柔軟に許可を利用者に与えることが可能になる。
【0019】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記取得手段が第1の行動の前記利用者情報である第1の情報を取得しており、かつ、前記判定手段が前記第1の情報に基づき前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記要求手段は、前記利用者に第2の行動を要求し、前記取得手段は、前記第2の行動の前記利用者情報である第2の情報を取得し、前記判定手段は、前記第1の情報と前記第2の情報とに基づき前記許可を与えるか否かを判定してもよい。複数の情報によって、許可を与えるか否かを判定することによれば、1つの情報によって許可を与えるか否かを判定する場合よりも、より適切な人に許可を与えることが可能になる。
【0020】
本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する制御装置(処理装置)として捉えてもよいし、許可装置や認証装置、認証システムとして捉えてもよい。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む許可判定方法、情報処理装置の制御方法、として捉えてもよい。また、本発明は、かかる方法を実現するためのプログラムやそのプログラムを非一時的に記録した記憶媒体として捉えることもできる。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一時的に許可を要する利用者にとって利便性が高く、かつ、セキュリティ性が高く、許可を与えることのできる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は実施形態1に係るセキュリティシステムの概要を説明する図である。
図2図2は実施形態1に係るセキュリティシステムの構成図である。
図3図3は実施形態1に係る許可判定処理のフローチャートである。
図4図4Aおよび図4Bは実施形態1に係る利用者を撮像した映像を示す図である。
図5図5は変形例2に係る許可判定処理のフローチャートである。
図6図6Aは変形例2に係る確率を算出するためのテーブルを示し、図6Bは変形例3に係る確率を算出するためのテーブルを示す。
図7図7は変形例3に係る許可判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<適用例>
以下では、本実施形態に係るセキュリティシステム10について説明する。セキュリティシステム10は、利用者に対して行動を実行するように要求し、行動を要求された際の利用者の利用者情報(例えば、利用者を撮像した映像)に基づき、利用者に対して、ゲート12を通過するなどの許可を与えるか否かを判定する。ここで、セキュリティシステム10は、利用者に対して許可を与えないと判定する場合には、新たな行動を利用者に要求し、新たな利用者情報に基づき許可を与えるか否かを再度判定する。つまり、本実施形態では、セキュリティシステム10は、事前に、利用者に対して当該利用者に関する情報の登録を要求しない。また、利用者は、許可を得るためにパスワードなどを事前に取得する必要がない。このため、セキュリティシステム10は、事前登録を行っていない利用者やパスワード等を取得していない利用者に対しても、許可を与えることができる。
【0024】
<実施形態1>
[セキュリティシステムの構成]
図1および図2を参照して、本実施形態に係るセキュリティシステム10の構成を説明する。図1は、セキュリティシステム10が用いられる状況を説明する図である。本実施形態では、セキュリティシステム10は、例えば、マンションやホテルのエントランスに存在するようなゲート12を、利用者11が通過することを許可するか否かを判定する。セキュリティシステム10は、通過することを許可すると判定する場合には、ゲート12を開くように制御する。これによって、利用者11は、ゲート12を通過して、所望する場所に移動することができる。
【0025】
図2は、セキュリティシステム10の構成図を示す。セキュリティシステム10は、情報処理装置100、入力装置110、出力装置120、制御装置130を有する。
【0026】
情報処理装置100は、利用者の行動に基づいて入力装置110が取得する行動情報に基づいて、利用者がゲート12を通過することを許可するか否かを判定する。また、情報処理装置100は、行動情報を取得するために、所定の行動を要求する旨の情報を出力装置120に出力する。情報処理装置100は、ゲート12を通過することを許可する場合には、許可をすることを示す情報を制御装置130に出力する。
【0027】
情報処理装置100は、PC(パーソナルコンピュータ)やサーバなどの、情報を処理することができれば任意の装置であってよい。また、情報処理装置100は、入力装置110や出力装置120と同じ建物(敷地)に存在している必要はなく、例えば、クラウド上(インターネット上)に存在していてもよい。
【0028】
入力装置110は、ゲート12を通過しようとする利用者(建物や部屋に進入ようとする利用者)の現在の行動の情報(行動情報)を取得する。入力装置110は、例えば、カメラなどの撮像装置や、マイクなどの音声取得装置であり得る。従って、入力装置110は、現在の利用者を撮像した画像(静止画;映像)や、利用者が発した音声などを行動情報として取得することができる。さらには、入力装置110は、距離センサを含んでおり、入力装置110と利用者との距離を、行動情報として取得してもよい。なお、入力装置110は、例えば、撮像を開始するための撮像ボタンや利用者が近づいたことを検知する人感センサなどを有していてもよい。
【0029】
出力装置120は、情報処理装置100から取得した所定の行動を要求する旨の情報に基づき、所定の行動を利用者に要求する。ここで、所定の行動とは、例えば、利用者の顔を覆っている物体(帽子やマスクなど)を取る行動、荷物を或る場所に置く行動などである。出力装置120は、例えば、所定の行動をするように促す音声を出力する。または、出力装置120は、所定の行動を要求する旨を表示する。従って、出力装置120は、音
声を発するスピーカなどの音声出力装置や、画像を表示するディスプレイやプロジェクタなどの表示装置であり得る。
【0030】
制御装置130は、ゲート12を通過することを許可することを示す情報を情報処理装置100から取得すると、ゲート12を開くように制御する。
【0031】
情報処理装置100、入力装置110、出力装置120、制御装置130はそれぞれ、例えば、CPU(プロセッサ)、メモリ、ストレージなどを備えるコンピュータにより構成することができる。その場合、図2に示す構成は、ストレージに格納されたプログラムをメモリにロードし、CPUが当該プログラムを実行することによって実現されるものである。かかるコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンのような汎用的なコンピュータでもよいし、オンボードコンピュータのように組み込み型のコンピュータでもよい。あるいは、図2に示す構成の全部または一部を、ASICやFPGAなどで構成してもよい。あるいは、図2に示す構成の全部または一部を、クラウドコンピューティングや分散コンピューティングにより実現してもよい。また、情報処理装置100が、入力装置110に相当する入力部と、出力装置120に相当する出力部と、制御装置130に相当する制御部との少なくともいずれかを有していてもよい。
【0032】
(情報処理装置の構成)
図2を参照して、情報処理装置100の構成について説明する。情報処理装置100は、制御部101、記録部102、情報要求部103、情報取得部104、判定部105、通信部106を有する。
【0033】
制御部101は、情報処理装置100における各機能部を制御する。制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部101は、記録部102に記録されたプログラムを実行することによって、各機能部の制御を実現することができる。
【0034】
記録部102は、情報要求部103が何を要求するかを示す情報や、判定部105がゲート12の通過を許可するか否かを判定するために用いられる閾値の情報などを記録(記憶)する。また、記録部102は、制御部101が実行するためのプログラムを記録する。なお、記録部102は、システムとして重要なプログラムを記録するROM(Read-only Memory)、記録する(記憶する)データへの高速アクセスを可能とするRAM(Random Access Memory)、大きな容量のデータを記録するHDD(Hard Disk Drive)などの複数の記録部材(記憶部材)を含むことができる。
【0035】
情報要求部103は、所定の行動を要求する旨の情報を出力装置120に出力し、所定の行動の要求に応じた行動情報(所定の行動の情報)を出力するように入力装置110に要求する。行動情報とは、例えば、利用者を撮像した映像や利用者の発した音声である。
【0036】
情報取得部104は、入力装置110から行動情報を取得する。また、情報取得部104は、行動情報を分析することによって、所定の行動時の利用者の状態や動きを示す利用者情報を抽出する(取得する)。
【0037】
判定部105は、利用者情報に基づき、ゲート12を利用者が通過することを許可するか(通過の許可を与えるか)否かを判定する。判定部105は、利用者が通過することを許可すると判定した場合には、ゲート12を通過することを許可することを示す情報を制御装置130に出力する。
【0038】
通信部106は、情報処理装置100を、入力装置110と出力装置120と制御装置130とに接続する。なお、通信部106は、入力装置110と出力装置120と制御装置130と、有線によって接続されてもよいし、無線によって接続されてもよい。また、通信方式なども任意の方式が用いられてもよい。
【0039】
[許可判定処理]
図3を参照して、情報処理装置100が実行する利用者のゲート12の通過(通行)許可を与えるか否かを判定する処理である許可判定処理(許可判定方法)について説明する。図3は、許可判定処理を示すフローチャートである。図3のフローチャートの処理は、入力装置110からの情報(例えば、人感センサによる人の検知を示す情報)に応じて、ゲート12の近くに利用者がいると情報処理装置100が判定すると開始する。また、図3のフローチャートの各処理は、記録部102に記録されたプログラムを制御部101が実行して、制御部101が各機能部を制御することによって実現する。
【0040】
ステップS1001において、情報要求部103は、出力装置120に、所定の行動を要求する旨の情報を出力する。つまり、情報要求部103は、利用者に対して、所定の行動を実行するように要求する。これによって、出力装置120は、利用者に対して、「所定の行動を実行してください」といった音声を出力したり、所定の行動を要求する旨を表示したりする。
【0041】
ここで、情報要求部103は、ステップS1001の処理を実行した回数に応じて、要求する所定の行動を変更する。例えば、初めてステップS1001の処理が実行される場合には、所定の行動は、「利用者の顔を隠す物を取り外して撮影する行動」である。また、2回目にステップS1001の処理が実行される場合には、所定の行動は、「利用者の服の上着を脱いで、手を広げる行動」である。3回目にステップS1001の処理が実行される場合には、所定の行動は、「利用者の荷物を所定の場所に置く行動」である。なお、これらの要求される所定の行動は任意の行動でよく、4回目以降には再度、「利用者の顔を隠す物を取り外して撮影する行動」が所定の行動とされてもよい。なお、利用者に対して要求する所定の行動の情報は、ステップS1001の処理の回数ごとに、事前に記録部102に記録されているとよい。
【0042】
ステップS1002において、情報要求部103は、通信部106を介して、入力装置110に行動情報を出力するように要求する。なお、情報要求部103が要求する行動情報は、事前に情報処理装置100に登録された情報ではなく、現在の利用者の行動に基づく情報である。例えば、入力装置110は、要求に応じて、利用者を撮像した映像(画像)を行動情報として、情報処理装置100に出力する。
【0043】
ステップS1003において、情報取得部104は、通信部106を介して、入力装置110から行動情報を取得して、行動情報から利用者情報を抽出する(取得する)。ここで、利用者情報は、行動情報を分析することによって得られる情報であり、例えば、所定の行動が要求されてから利用者が所定の行動に移すまでの時間の情報である。このとき、情報取得部104は、記録部102に取得した行動情報や利用者情報を記録してもよい。
【0044】
ステップS1004において、判定部105は、取得した利用者情報に基づき、利用者がゲート12を通過することを許可するか否かを判定するためのスコアを算出する(決定する)。ここで、スコアとは、利用者が、ゲート12を有する建物や部屋に入ることの許可を与えるべき人物であるか否かを示す指標値である。つまり、スコアは、利用者が、犯罪などを意図する不審者でない可能性を示す指標値であるともいえる。スコアの算出方法については後述する。
【0045】
ステップS1005において、判定部105は、算出したスコアが所定の閾値以上であるか否かを判定する。スコアが所定の閾値以上である場合には、利用者が許可を与えるべき人物である可能性が高いと判断できるため、ステップS1006に進む。一方、スコアが所定の閾値よりも低い場合には、利用者が不審者である可能性が十分あると判断できるため、ステップS1001に戻る。ここで、所定の閾値は、情報要求部103が要求する所定の行動に応じて、異なる値であってよい。
【0046】
ステップS1006において、判定部105は、算出したスコアと、算出に用いた利用者情報を記録部102に記録する。ここで、スコアと利用者情報を記録することによって、例えば、ステップS1005において用いる所定の閾値やステップS1004におけるスコアの算出方法を補正するために、これらの情報を使うことができる。
【0047】
ステップS1007において、判定部105は、通信部106を介して、ゲート12の通過を許可することを示す情報を制御装置130に出力する。これによって、制御装置130がゲート12を開くように制御するため、利用者は所望する建物や部屋の内部に入ることができる。
【0048】
このように、情報処理装置100は、利用者に通過の許可を与えると判定しない限り、利用者に対して新たな行動を要求することと、利用者の行動に基づく利用者情報を取得することと、利用者情報に基づき当該許可を与えるか否かを判定することを繰り返す。ここで、新たな行動とは、図3のフローチャートの処理が開始してから、情報要求部103が利用者に対して要求したことのない行動である。
【0049】
[利用者情報の抽出および]
以下では、図4Aおよび図4Bを参照して、ステップS1003における利用者情報の抽出および、ステップS1004におけるスコアの算出を説明する。以下では、顔に関する情報が利用者情報として抽出される場合と、服装に関する情報が利用者情報として抽出される場合と、荷物に関する情報が利用者情報として抽出される場合との3つの場合について説明する。図4Aおよび図4Bは、情報取得部104が取得した行動情報である映像の1フレームを示す図である。
【0050】
(顔に関する情報を抽出する場合)
ステップS1001において情報要求部103が「利用者の顔を隠す物を取り外して撮影する行動」を要求している場合には、ステップS1003において、情報取得部104は、利用者を撮像した映像から利用者の顔に関する情報を利用者情報として取得する。具体的には、情報取得部104は、利用者が行動を要求された時点の利用者の顔の隠れ度合いa、当該要求がされた時点から所定時間経過後の利用者の顔の隠れ度合いa、当該要求がされてから撮影ボタンを利用者が押下するまでの時間aを利用者情報として取得する。例えば、図4Aに示す例であれば、利用者の顔の隠れ度合いは低いが、図4Bに示す例であれば、マスクとサングラスで顔が覆われているため、利用者の顔の隠れ度合いは高い。隠れ度合いは、顔全体の面積に対する顔を覆う物の面積の割合で示すことができる。
【0051】
この場合に、ステップS1004において、式1のように、判定部105は、隠れ度合いaと隠れ度合いaと時間aとのそれぞれの逆数を重みづけして足した値をスコアSCとして算出する。ここで、wa,wa,waは重みである。
SC=wa/a+wa/a+wa/a ・・・式1
【0052】
また、重みwa,wa,waは、過去のステップS1005における判定がユー
ザの所望の通りに行われたか否かに応じて、セキュリティシステム10または当該ユーザが重みの値を補正するとよい。後述する重みwb,wb,wb、重みwc,wc,wcについても同様である。
【0053】
なお、情報要求部103は、「利用者の顔を隠す物を取り外して撮影する行動」を要求することに限らず、例えば、「撮像装置(入力装置110)に顔を近づける行動」や「笑顔を作る行動」などを要求してもよい。また、情報取得部104は、利用者情報として、行動時の利用者の顔から推定できる緊張度合いや、利用者の顔から推定される年齢、行動時の利用者の目の動き度合い(目の位置の分散)を取得してもよい。
【0054】
(服装に関する情報を抽出する場合)
ステップS1001において情報要求部103が「利用者の服の上着を脱いで、手を広げる行動」を要求している場合には、ステップS1003において、情報取得部104は、利用者を撮像した映像から利用者の服装に関する情報を利用者情報として取得する。
【0055】
具体的には、情報取得部104は、利用者が行動を要求された時点で利用者が上着を脱いでいたかを示す評価値b、入場しようとする建物や部屋に合った服装をしているかを示す評価値b、当該要求がされてから上着を脱ぐまでの時間bなどを取得する。ここで、評価値bは、例えば、上着を脱いでいた場合には1を示し、脱いでいない場合には0を示す。評価値bは、建物や部屋に合っているほど高い値を示す。例えば、フォーマルな建物では、図4Aに示すようにネクタイとジャケットを付けた格好であれば評価値bは高く、図4Bに示すようにラフな格好であれば評価値bは低い。評価値bは、例えば、服の色や服の種類と、建物の色や建物の種類とに基づき算出することができる。評価値bは、例えば、建物や部屋ごとに基準が定められてよく、例えば、結婚式場では明るい色の服装であれば、評価値bが高くなるような基準が設定されるとよい。
【0056】
この場合に、ステップS1004において、式2のように、判定部105は、評価値bと評価値bと時間bの逆数とを重みづけして足した値をスコアSCとして算出する。ここで、wb,wb,wbは重みである。
SC=wb×b+wb×b+wb/b ・・・式2
【0057】
なお、情報要求部103は、「利用者の服の上着を脱いで、手を広げる行動」を要求することに限らず、例えば、「ボタンを1つ外す行動」や「腕の袖をめくる行動」、「利用者がその場で回転する行動」などを要求してもよい。また、情報取得部104は、利用者情報として、要求がされた時点から所定時間経過後の利用者の手の広げ度合いや、服装の清潔度合いを取得してもよい。
【0058】
(荷物に関する情報を抽出する場合)
ステップS1001において情報要求部103が「利用者の荷物を所定の場所に置く行動」を要求している場合には、ステップS1003において、情報取得部104は、利用者を撮像した映像から利用者の荷物に関する情報を利用者情報として取得する。
【0059】
具体的には、情報取得部104は、利用者が行動を要求された時点から荷物が置かれるまでの時間c、当該荷物の種類が入場しようとする建物や部屋に合っているか否かを示す評価値c、当該荷物の大きさが入場しようとする建物や部屋に合っているか否かを示す評価値cを利用者情報として取得する。評価値c,cは、入場しようとする建物や部屋に合っているほど、高い値である。例えば、多くの荷物を一般的に必要としない銀行などにおいて、図4Aに示すように荷物が小さい紙袋であれば評価値c,cはともに高いが、図4Bに示すように荷物が大きなキャリーケースであれば評価値c,cはともに低い。
【0060】
この場合に、ステップS1004において、式3のように、判定部105は、時間cの逆数と評価値cと評価値cとを重みづけして足した値をスコアSCとして算出する。ここで、wc,wc,wcは重みである。
SC=wc/c+wc×c+wc×c ・・・式3
【0061】
なお、情報要求部103は、「利用者の荷物を所定の場所に置く行動」を要求することに限らず、例えば、「荷物を回転させる行動」や「荷物を撮像装置(入力装置110)に近づける行動」や「荷物の中を見せる行動」を要求してもよい。また、情報取得部104は、利用者情報として、荷物の清潔度合いや、荷物の色と服の色の近さ度合いを取得してもよい。
【0062】
このように、本実施形態では、情報処理装置100は、予め登録された個人の情報ではなく、現在の利用者の行動の情報に基づいて、当該利用者にゲート12の通過を許可するか否かを判定する。このため、情報処理装置100は、ゲート12の近くにいる利用者の個人情報を予め有していなくとも、通過の許可を与えるか否かを判定することができる。従って、ゲート12を通る必要がある利用者において、事前の登録をすることなくゲート12を通過できるため利便性が高い。
【0063】
また、利用者情報(行動情報)から算出したスコアが低ければ、繰り返し利用者に対して行動が要求され続ける。つまり、十分なスコアが得られるまで、新たな行動を要求されて、新たな利用者情報が情報処理装置に取得される。このため、様々な行動によって個人が特定されることを嫌がる不審者は、要求に従わない可能性がある。従って、さらにスコアが低くなり、ゲート12の通過の許可がされないことになるので、十分なセキュリティを確保することができる。
【0064】
なお、行動情報として、利用者を撮像した映像を取得する例を本実施形態では説明したが、他の情報を行動情報としてもよい。例えば、利用者の音声の情報や利用者と入力装置110との距離の情報を行動情報としてもよい。利用者の音声の情報を行動情報とする場合には、例えば、所定の行動は所定の音声を発声する行動であり、利用者情報は音声の振動具合や所定の音声の発声の開始から終了までの時間などである。利用者と入力装置110との距離の情報を行動情報とする場合には、例えば、所定の行動は入力装置110に近づく行動であり、利用者情報は要求時の距離や要求してから所定の時間が経過するまでに変化した距離などである。
【0065】
なお、情報取得部104が行動情報から利用者情報を取得する必要はなく、入力装置110が行動情報の代わりに利用者情報を取得して情報取得部104に出力してもよい。
【0066】
また、本実施形態では、セキュリティシステム10は、建物や部屋に入場するためのゲート12を通過する許可を与えるか否かの判定を行ったが、任意の許可を与えるか否かを判定してもよい。例えば、利用者に対して、行動情報(利用者情報)に基づき、所定のWEBサービスのアクセス権を許可するか否かの判定や、所定の物品の利用を許可するか否かなどの判定が行われてもよい。
【0067】
なお、ステップS1007において、判定部105は、スコアに応じて利用者に対する許可を変化させてもよい。例えば、判定部105は、スコアが第1の閾値Th1以上であれば、作業員である可能性が高いとして、第1の部屋と第2の部屋とに入場する許可を与えてもよい。一方、判定部105は、スコアが第1の閾値Th1未満であって、第2の閾値Th2(Th2<Th1)以上である場合には、利用者が一般人であると判断して、第1の部屋のみに入場する許可を与えてもよい。
【0068】
<変形例1>
なお、実施形態1では、ステップS1004において算出されるスコアは、直近のステップS1001にて要求された行動に基づく行動情報(利用者情報)のみから算出されたが、この限りではない。具体的には、過去の行動情報を用いて、下記の1)~3)のようにスコアが算出されてもよい。
1)1回目のステップS1004では、直近のステップS1001にて要求された行動に基づく行動情報(利用者情報)のみから、スコアが算出される。
2)2回目のステップS1004では、1回目のステップS1001にて要求された行動に基づく行動情報と、2回目のステップS1001にて要求された行動に基づく行動情報とから、スコアが算出される。
3)n回目(nは自然数)のステップS1004では、1回目と2回目と...n-1回目とn回目のステップS1001にて要求された行動に基づく行動情報(利用者情報)から、スコアが算出される。
【0069】
この場合、判定部105は、前回までの行動に基づくスコアと、今回の行動に基づく数値(スコア)とを単純加算または重み付き加算して、新たなスコアを算出することができる。例えば、1回目のステップS1004では、上記の式1にてスコアが算出される。2回目のステップS1004では、式1と式2のそれぞれにて算出される値の平均値が、スコアとして算出される。3回目のステップS1004では、式1と式2と式3のそれぞれにて算出される値の平均値が、スコアとして算出される。
【0070】
このように、過去の行動情報(利用者情報)をスコアの算出に用いることによれば、多くの情報から利用者がゲート12に通過することを許可するか否かを判定することができるため、より精度よく当該判定を行うことが可能になる。
【0071】
<変形例2>
実施形態1では、セキュリティシステム10は、行動情報(利用者情報)からスコアを算出して、スコアが閾値以上であるか否かによって、利用者がゲート12を通ることを許可するか否かを判定した。本変形例では、セキュリティシステム10は、スコアではなく、利用者が許可を与えるべき人物である確率Pによって、許可するか否かを判定する。
【0072】
本変形例に係る許可判定処理を図5のフローチャートを用いて説明する。本変形例では、ステップS2004~ステップS2006のみが実施形態1に係る許可判定処理と異なるため、当該箇所のみ説明し、他の箇所の説明は省略する。
【0073】
ステップS2004において、判定部105は、利用者情報に基づき、利用者が許可を与えるべき人物である確率Pを算出する。ここで、利用者情報として、利用者が行動を要求された時点の利用者の顔の隠れ度合いa、当該要求がされた時点から所定時間経過後の利用者の顔の隠れ度合いa、当該要求がされてから撮影ボタンを利用者が押下するまでの時間aが抽出された場合について説明する。本実施形態では、判定部105は、図6Aに示すような、隠れ度合いaと隠れ度合いaと時間aと、確率Pとの対応関係を示すテーブルを用いて、確率Pを算出する。ここで、テーブルは、予め記録部102に記録されており、過去の利用者の統計などに基づき生成された情報である。例えば、隠れ度合いa=50%であり、隠れ度合いa=10%であり、時間a=30秒であれば、判定部105は、図5に示すテーブルから確率P=86%を算出することができる。なお、必ずしもテーブルが用いられる必要はなく、隠れ度合いaと隠れ度合いaと時間aを代入することによって、確率Pが得られるような関数が用いられてもよい。
【0074】
ステップS2005において、判定部105は、算出した確率Pが所定の確率以上であ
るか否かを判定する。確率Pが所定の確率以上である場合には、ステップS2006に進む。一方、確率Pが所定の確率よりも低い場合には、ステップS1001に戻る。ここで、所定の確率は、十分に、利用者が許可を与えるべき人物であることを担保し得る確率であるとよく、例えば、90%である。なお、所定の確率は、セキュリティシステム10のユーザが確保したいセキュリティの強度に応じて任意に設定されてよい。
【0075】
ステップS2006において、判定部105は、算出した確率Pと、算出に用いた利用者情報を記録部102に記録する。ここで、確率Pと利用者情報を記録することによって、例えば、ステップS2004において用いるテーブルや関数を補正するために、これらの情報を使うことができる。
【0076】
このように、確率Pが所定の確率以上である場合に、ゲート12の通過を許可することによれば、スコアよりも確率の方がシステムを設定するユーザにとって感覚的に分かりやすいため、容易にシステムの設計変更を行うことができる。
【0077】
<変形例3>
変形例2では、セキュリティシステム10は、利用者が許可に相当する人物である確率Pによって、利用者の通過を許可するか否かを判定した。本変形例では、セキュリティシステム10は、利用者情報から、利用者が一般人である確率P1と作業者である確率P2と不審者である確率P3を算出して、これらの確率に応じて、利用者がゲート12を通過することを許可するか否かを判定する。なお、本実施形態では、不審者を、ゲート12を通過する許可を与えるべきでない人物とし、一般人および作業者を、ゲート12を通過する許可を与えるべき人物とする。
【0078】
本変形例に係る許可判定処理を図7のフローチャートを用いて説明する。本変形例では、ステップS3004~ステップS3007のみが実施形態1に係る許可判定処理と異なるため、当該箇所のみ説明し、他の箇所の説明は省略する。
【0079】
ステップS3004において、判定部105は、利用者情報に基づき、利用者が一般人である確率P1と、利用者が作業者である確率P2と、利用者が不審者である確率P3を算出する。ここで、利用者情報として、隠れ度合いa、隠れ度合いa、時間aが抽出された場合について説明する。本変形例では、判定部105は、図6Bに示すような、隠れ度合いaと隠れ度合いaと時間aと、確率P1,P2,P3との対応関係を示すテーブルを用いて、確率P1~P3を算出する。ここで、テーブルは、予め記録部102に記録されており、過去の利用者の統計などに基づき生成された情報である。例えば、隠れ度合いa=50%であり、隠れ度合いa=10%であり、時間a=30秒であれば、判定部105は、図6Bに示すテーブルから確率P1=40%、P2=44%、P3=16%を算出することができる。なお、必ずしもテーブルが用いられる必要はなく、隠れ度合いaと隠れ度合いaと時間aを代入することによって、確率P1~P3のそれぞれが得られるような関数が用いられてもよい。
【0080】
ステップS3005において、判定部105は、算出した確率P1~P3のうち、確率P3が最も大きいか否かを判定する。確率P3が最も大きい場合にはステップS1001に戻り、そうでない場合にはS3006に進む。
【0081】
ステップS3006において、判定部105は、算出した確率P1~P3と、算出に用いた利用者情報を記録部102に記録する。ここで、確率P1~P3と利用者情報を記録することによって、例えば、ステップS3004において用いるテーブルや関数を補正するために、これらの情報を使うことができる。
【0082】
ステップS3007において、判定部105は、ゲート12の通過を許可する通知を制御装置130にする。なお、判定部105は、確率P1~P3のうち、確率P1が最も大きい場合にはゲート12と第2のゲートとの通過を許可し、確率P1~P3のうち、確率P2が最も大きい場合にはゲート12と第3のゲートとの通過を許可するようにしてもよい。つまり、判定部105は、行動情報から利用者を分類して、分類に応じて許可する対象を異ならせてもよい。
【0083】
このように、許可を与えるべきでない人物を含む複数の種別のそれぞれについて利用者が該当する確率を算出し、複数の種別のそれぞれに該当する確率に応じて、利用者に許可を与える。このように処理することによれば、利用者がいずれの種別に該当するか否かが推定できるため、利用者に応じて異なる許可をすることもできる。このため、より柔軟に、利用者ごとに許可を与えることが可能になる。
【0084】
なお、ステップS3005では、利用者が不審者であるか否かが判定できればよく、不審者であると判定された場合にはステップS1001に戻り、そうでなければステップS3006に進めばよい。ここで、利用者が不審者であるか否かの判定には、AI(人工知能)が利用され得る。例えば、ディープラーニングを経た識別器(学習済モデル)がセキュリティシステム10に組み込まれ、AIによって判定を行うことができる。つまり、セキュリティシステム10は、ディープラーニングなどの機械学習により学習した学習済モデルを有し、取得した利用者情報を学習済モデルに入力することによって、学習済モデルから、利用者が不審者か否かを判定する。なお、学習済モデルは、以下のように生成することができる。まず、利用者情報と不審者であることを示す情報との組み合わせが複数、学習するための教師データとして学習モデルに入力される。そして、任意の公知の教師あり機械学習アルゴリズムに基づき、教師データから学習済モデルが生成される。学習済モデルは、ディープラーニング(多層ニューラルネットワーク)以外に、階層型ニューラルネットワークや、SVM等のその他の機械学習アルゴリズムに基づいて生成されてもよい。
【0085】
なお、上述した実施形態および変形例は、任意に組合せて実施することも可能である。例えば、変形例2や変形例3において確率は、変形例1と同様に過去に抽出した利用者情報をさらに用いて算出されてもよい。
【0086】
なお、実施形態に記載された事項のみによって特許請求の範囲の記載の解釈が限定されるものではない。特許請求の範囲の記載の解釈には、出願時の技術常識を考慮した、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲も含む。
【0087】
(付記1)
許可を求める利用者に対して行動を要求する要求手段(103)と、
行動が要求された際の前記利用者の利用者情報を取得する取得手段(104)と、
前記取得手段が取得した利用者情報に基づき、前記利用者に許可を与えるか否かを判定する判定手段(105)と、
前記判定手段が前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記利用者に対して要求したことのない新たな行動を前記要求手段が要求することと、前記取得手段が前記利用者の新たな利用者情報を取得することと、当該新たな利用者情報に基づき前記判定手段が前記許可を与えるか否かを判定することを、繰り返すように制御する制御手段(101)と、
を有することを特徴とする情報処理装置(100)。
【0088】
(付記2)
許可を求める利用者に対して行動を要求する要求ステップ(S1001)と、
行動が要求された際の前記利用者の利用者情報を取得する取得ステップ(S1003)と、
前記取得ステップにおいて取得した利用者情報に基づき、前記利用者に許可を与えるか否かを判定する判定ステップ(S1005)と、
を有し、
前記判定ステップにおいて前記利用者に許可を与えないと判定する場合には、前記要求ステップにおいて前記利用者に要求したことのない新たな行動を要求することと、前記取得ステップにおいて前記利用者の新たな利用者情報を取得することと、前記判定ステップにおいて当該新たな利用者情報に基づき前記許可を与えるか否かを判定することを繰り返す、
ことを特徴とする許可判定方法。
【符号の説明】
【0089】
10:セキュリティシステム、11:利用者、12:ゲート、
100:情報処理装置、101:制御部、102:記録部、103:情報要求部、
104:情報取得部、105:判定部、106:通信部、
110:入力装置、120:出力装置、130:制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7