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特許7556243情報処理装置、画像処理装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/191 20060101AFI20240918BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/00 002A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020154740
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048744
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚之
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-281201(JP,A)
【文献】特開2014-197814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/191
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、前記プロセッサは、
画像読取装置が第1タイミングで読取った、基準とする面から反射した光の強度を、該面の位置ごとに読取った第1データを取得し、
前記面の位置ごとに予め定められた目標値を取得し、
前記画像読取装置が前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、前記面を示す第2データを取得し、
前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、前記画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告し、
前記第1データと前記目標値との差が、決められた程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、前記可能性を前記ユーザに警告する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
結露を解消させる処理を前記画像読取装置に実行させていて、かつ、前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、該処理を停止させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1データと前記第2データとに、前記条件を超える変化がある場合、結露を解消させる処理を前記画像読取装置に実行させる
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1データと前記第2データとに、前記条件を超える変化がある場合、前記第2データを用いて前記画像読取装置が画像を読取って出力する信号の増幅に用いるゲイン値を設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記差が前記程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、該差が閾値以上である前記位置の情報を前記ユーザに通知するとともに、前記可能性を警告する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
画像読取部と、該画像読取部を制御するプロセッサと、を有し、前記プロセッサは、
前記画像読取部が第1タイミングで読取った、基準とする面から反射した光の強度を、該面の位置ごとに読取った第1データを取得し、
前記面の位置ごとに予め定められた目標値を取得し、
前記画像読取部が前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、前記面を示す第2データを取得し、
前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、前記画像読取部の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告し、
前記第1データと前記目標値との差が、決められた程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、前記可能性を前記ユーザに警告する
画像処理装置。
【請求項7】
プロセッサを有するコンピュータに、
画像読取装置が第1タイミングで読取った、基準とする面から反射した光の強度を、該面の位置ごとに読取った第1データを取得するステップと、
前記面の位置ごとに予め定められた目標値を取得するステップと、
前記画像読取装置が前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、前記面を示す第2データを取得するステップと、
前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、前記画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告するステップと、
前記第1データと前記目標値との差が、決められた程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、前記可能性を前記ユーザに警告するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に形成された画像を光学的に読取る機能を備えた画像読取装置は、光学系に生じた結露を解消する機能を有するものがある。例えば、特許文献1には、光源からイメージセンサまでの光路中の結露の有無を判定し、結露ありと判定した場合、結露解消動作を開始する画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-197815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像読取装置が画像の読取りに用いる光路中に堆積した汚れ等を、結露と区別して検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、画像読取装置が第1タイミングで読取った、基準とする面から反射した光の強度を、該面の位置ごとに読取った第1データを取得し、前記面の位置ごとに予め定められた目標値を取得し、前記画像読取装置が前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、前記面を示す第2データを取得し、前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、前記画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告し、前記第1データと前記目標値との差が、決められた程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、前記可能性を前記ユーザに警告する情報処理装置である。
【0006】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、請求項1に記載の態様において、前記プロセッサは、結露を解消させる処理を前記画像読取装置に実行させていて、かつ、前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、該処理を停止させる情報処理装置である。
【0007】
本発明の請求項3に係る情報処理装置は、請求項1又は2に記載の態様において、前記プロセッサは、前記第1データと前記第2データとに、前記条件を超える変化がある場合、結露を解消させる処理を前記画像読取装置に実行させる情報処理装置である。
【0008】
本発明の請求項4に係る情報処理装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、前記プロセッサは、前記第1データと前記第2データとに、前記条件を超える変化がある場合、前記第2データを用いて前記画像読取装置が画像を読取って出力する信号の増幅に用いるゲイン値を設定する情報処理装置である。
【0010】
本発明の請求項に係る情報処理装置は、請求項に記載の態様において、前記プロセッサは、前記差が前記程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、該差が閾値以上である前記位置の情報を前記ユーザに通知するとともに、前記可能性を警告する情報処理装置である。
【0011】
本発明の請求項に係る画像処理装置は、画像読取部と、該画像読取部を制御するプロセッサと、を有し、前記プロセッサは、前記画像読取部が第1タイミングで読取った、基準とする面から反射した光の強度を、該面の位置ごとに読取った第1データを取得し、前記面の位置ごとに予め定められた目標値を取得し、前記画像読取部が前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、前記面を示す第2データを取得し、前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、前記画像読取部の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告し、前記第1データと前記目標値との差が、決められた程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、前記可能性を前記ユーザに警告する画像処理装置である。
【0012】
本発明の請求項に係るプログラムは、プロセッサを有するコンピュータに、画像読取装置が第1タイミングで読取った、基準とする面から反射した光の強度を、該面の位置ごとに読取った第1データを取得するステップと、前記面の位置ごとに予め定められた目標値を取得するステップと、前記画像読取装置が前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、前記面を示す第2データを取得するステップと、前記第1データと前記第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、前記画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告するステップと、前記第1データと前記目標値との差が、決められた程度を超えて前記位置ごとに偏っている場合に、前記可能性を前記ユーザに警告するステップと、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、に係る発明によれば、画像読取装置が画像の読取りに用いる光路中に堆積した汚れ等の堆積物は、結露と区別して検知される。また、これらの発明によれば、基準とする面の位置ごとに偏って堆積物が堆積している場合に、その堆積物は、第2タイミングを待たずに、結露と区別して検知される。
請求項2に係る発明によれば、結露を解消させる処理を停止させない場合に比べて、消費電力が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、結露を解消させる処理を実行しない場合に比べて、結露が解消されるまでの時間が短縮される。
請求項4に係る発明によれば、変化の前の第1データを用いてゲイン値を設定する場合に比べて、変化の後に適合したゲイン値が設定される。
請求項に係る発明によれば、ユーザは、堆積物が堆積している位置を知ることができる。
請求項に係る発明によれば、画像読取部が画像の読取りに用いる光路中に堆積した汚れ等の堆積物は、結露と区別して検知される。また、この発明によれば、基準とする面の位置ごとに偏って堆積物が堆積している場合に、その堆積物は、第2タイミングを待たずに、結露と区別して検知される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】情報処理システム9の全体構成の例を示す図。
図2】端末2の構成の例を示す図。
図3】画像処理装置1の構成の例を示す図。
図4】画像読取部16に含まれる構成の一部を説明する図。
図5】画像処理装置1の機能的構成の例を示す図。
図6】画像処理装置1の動作の流れの例を示すフロー図。
図7】警告画面の例を示す図。
図8】画像処理装置1の動作の流れの変形例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
<情報処理システムの構成>
図1は、情報処理システム9の全体構成の例を示す図である。図1に示す情報処理システム9は、画像処理装置1、端末2、及び通信回線3を有する。
【0016】
画像処理装置1は、画像に関する処理を行う装置である。この画像処理装置1が行う「画像に関する処理」には、少なくとも画像を光学的に読取る処理が含まれる。したがって、画像処理装置1は、例えば、画像読取装置、ファクシミリ、複写機等である。
【0017】
端末2は、例えば、画像処理装置1の製造元であって、納品した画像処理装置1の点検、保守、修理等のサービスを行う事業社のサービス・エンジニア(以下、単にエンジニアともいう)が、そのサービスを行う際に用いる端末装置である。図1に示す端末2は、例えば、コンピュータである。なお、端末2は、スマートフォンやタブレットPC等、上述したエンジニアが携帯し、操作して、その操作に応じた処理を行う端末装置であってもよい。
【0018】
通信回線3は、画像処理装置1、及び端末2を通信可能に接続する回線である。通信回線3は、例えばLAN(Local Area Network)のほか、WAN(Wide Area Network)であってもよいし、インターネットであってもよいし、これらの組合せであってもよい。また、通信回線3は、公衆交換通信網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)やサービス統合デジタル網(ISDN:Integrated Services Digital Network)等を含むものでもよい。
【0019】
なお、情報処理システム9における画像処理装置1、端末2、及び通信回線3の、それぞれの数は図1に示したものに限られない。
【0020】
<端末の構成>
図2は、端末2の構成の例を示す図である。図7に示す端末2は、プロセッサ21、メモリ22、インタフェース23、操作部24、及び表示部25を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0021】
プロセッサ21は、メモリ22に記憶されているプログラムを読出して実行することにより端末2の各部を制御する。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0022】
インタフェース23は、有線又は無線により通信回線3を介して、端末2と画像処理装置1とを通信可能に接続する通信回路である。
【0023】
操作部24は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ21に送る。
【0024】
表示部25は、プロセッサ21の制御の下、指定された画像を表示する。図2に示す表示部25は、例えば、上述した画像を表示するための表示画面である液晶ディスプレイを有している。この液晶ディスプレイの上には、操作部24の透明のタッチパネルが重ねて配置されていてもよい。
【0025】
メモリ22は、プロセッサ21に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ22は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ22は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0026】
<画像処理装置の構成>
図3は、画像処理装置1の構成の例を示す図である。図3に示す画像処理装置1は、プロセッサ11、メモリ12、インタフェース13、操作部14、表示部15、画像読取部16、及び画像形成部17を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。図3に示す画像処理装置1は、画像読取部と、この画像読取部を制御するプロセッサと、を有する画像処理装置の例である。
【0027】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを読出して実行することにより画像処理装置1の各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPUである。
【0028】
メモリ12は、プロセッサ11に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ12は、RAMやROMを有する。また、メモリ12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。また、図3に示すメモリ12は、初期データ121を記憶する。初期データ121は、白基準目標値及び黒基準目標値を含む。ここで白基準目標値及び黒基準目標値(以下、これらをまとめて「目標値」という)は、画像処理装置1が工場から出荷されるときに計測された、白色及び黒色を読取るときの信号の目標となるそれぞれの値である。
【0029】
インタフェース13は、有線又は無線により通信回線3を介して、画像処理装置1を端末2に通信可能に接続する通信回路である。
【0030】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ11に送る。
【0031】
表示部15は、プロセッサ11の制御の下、指定された画像を表示する。図3に示す表示部15は、例えば、上述した画像を表示するための表示画面である液晶ディスプレイを有している。この液晶ディスプレイの上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されていてもよい。
【0032】
画像読取部16は、プロセッサ11の制御の下、媒体等に形成された画像を読取る。図3に示す画像読取部16は、光源160、イメージセンサ161、増幅器162、変換器163、画像生成部164、駆動部165、及び結露解消部166を有する。
【0033】
図4は、画像読取部16に含まれる構成の一部を説明する図である。図4には、画像読取部16に含まれる構成のうち、光源160、イメージセンサ161、駆動部165、及び結露解消部166の配置が示されている。
【0034】
光源160は、図4に示す白基準板Pや、原稿台G等の対象物に光を照射する。光源160は、例えば、LED(light emitting diode)等の照射装置である。原稿台Gは、画像が形成された媒体である原稿が載置される台である。原稿は、光源160から照射された光を反射して、イメージセンサ161によって読取られる。
【0035】
白基準板Pは、可視光に含まれる波長の大部分を反射する板であって、光源160が白色光を照射したときに基準となる白色光を反射させる板である。光源160から照射された光を反射させる白基準板Pの面は、「基準とする面」の例である。白基準板Pは、原稿台Gにおける原稿載置面と共通の面上に設けられる。
【0036】
図4に示す3つのミラーM、及びレンズLは、反射光をイメージセンサ161に導く光学系の例である。ミラーMは、光源160から対象物に向けて照射され、その対象物で反射した光(すなわち、反射光)を、さらに反射してレンズLに導く。レンズLは、ミラーMにより導かれた反射光を受けて、この反射光が示す光像をイメージセンサ161の受光面に結像する。
【0037】
イメージセンサ161は、受光面で受けた光に応じた信号を出力するセンサであり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子である。
【0038】
増幅器162は、プロセッサ11により設定されたゲイン値を用いてイメージセンサ161が出力する信号を増幅する。
【0039】
変換器163は、イメージセンサ161により出力され、増幅器162により増幅されたアナログデータである信号を、例えば8ビットのデジタルデータに変換する。
【0040】
画像生成部164は、変換器163の変換によって得られたデジタルデータに基づいて、イメージセンサ161が受けた光が示すイメージ(画像)に応じた画像データを生成する。
【0041】
図4に示す光源160と、ミラーMとは、移動可能なキャリッジCに収容されている。駆動部165は、モータ等の駆動により、図4に示すキャリッジCを移動させる。駆動部165がキャリッジCを移動させることにより、イメージセンサ161が読取る対象である対象物の位置が変化する。すなわち、キャリッジCが移動することにより、反射光が読取られる対象物は例えば、図4に示す白基準板Pや、原稿台Gになる。
【0042】
結露解消部166は、プロセッサ11の制御の下、上述した光学系を通る光路の周辺の空気を加熱して、光路上に生じた結露を解消する。結露解消部166は、例えば、電熱線等のヒータである。なお、結露解消部166は、光を照射するときに発熱する光源160によって代替されてもよい。
【0043】
なお、画像読取部16は、例えば、インタフェース13を介して画像処理装置1と通信可能に接続され、プロセッサ11により制御される画像読取装置で代替されてもよい。
【0044】
画像形成部17は、プロセッサ11の制御の下、例えば、電子写真方式により用紙等の媒体にトナーを定着させて画像を形成する。
【0045】
<画像処理装置の機能的構成>
図5は、画像処理装置1の機能的構成の例を示す図である。画像処理装置1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部111、処理部112、判定部113、補正部114、及び通知部115として機能する。
【0046】
取得部111は、画像読取部16の光源160、及び駆動部165を制御して、イメージセンサ161の出力する信号に基づき、白基準データ、及び黒基準データ(以下、これらをまとめて「基準データ」という)を取得する。
【0047】
白基準データとは、白色を読取るときの基準となるデータである。この白基準データは、光源160が白色光を照射しているときに図4に示す白基準板Pで反射される反射光に基づいてイメージセンサ161が出力する信号から生成される。
【0048】
黒基準データは、黒色を読取るときの基準となるデータである。この黒基準データは、光源160が消灯し、白基準板Pに光が照射されない状態でイメージセンサ161が出力する信号から生成される。
【0049】
処理部112は、いわゆるAGC(Auto Gain Control)処理を実行する。AGC処理は、初期データ121に定められた目標値と、取得部111が取得した基準データとに基づいて、増幅器162に設定するゲイン値を決定する処理である。
【0050】
判定部113は、取得部111が第1タイミングで読取った白基準板Pの面を示す基準データ(第1データという)と、取得部111が第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、基準データ(第2データという)とを比較して、これらに決められた条件を超える変化があるか否かを判定する。
【0051】
第1データと第2データとに、上述した条件を超える変化があると判定する場合、判定部113は、画像読取部16の結露解消部166を制御して、この結露解消部166に結露を解消させる処理を実行させる。
【0052】
つまり、この判定部113として機能するプロセッサ11は、第1データと第2データとに、決められた条件を超える変化がある場合、結露を解消させる処理を画像読取装置に実行させるプロセッサの例である。
【0053】
一方、既に結露解消部166が結露を解消させる処理を実行していて、かつ、第1データと第2データとに、上述した条件を超える変化がないと判定する場合、判定部113は、結露解消部166による上述した処理を停止させる。
【0054】
つまり、この判定部113として機能するプロセッサ11は、結露を解消させる処理を画像読取装置に実行させていて、かつ、第1データと第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、この処理を停止させるプロセッサの例である。
【0055】
また、判定部113は、第1データと第2データとに、上述した条件を超える変化があると判定する場合、その旨を補正部114に伝える。
【0056】
補正部114は、第1データと第2データとに上述した変化があると、判定部113により判定された場合に、第1データを用いて実行されたAGC処理により設定されたゲイン値を、第2データを用いて補正する。この補正部114は、第1データと第2データとに上述した変化があるとき、初期データ121及び第2データに基づいて、信号の増幅に用いるゲイン値を新たに設定する。新たに設定されたゲイン値は、増幅器162に供給される。つまり、この補正部114として機能するプロセッサ11は、第1データと第2データとに、条件を超える変化がある場合、第2データを用いて画像読取装置が画像を読取って出力する信号の増幅に用いるゲイン値を設定するプロセッサの例である。
【0057】
また、判定部113は、第1データと第2データとに、上述した条件を超える変化がないと判定する場合、その旨を通知部115に伝える。
【0058】
通知部115は、第1データと第2データとに上述した変化がないと、判定部113により判定された場合に、画像読取部16の光学系に堆積物が存在する可能性をユーザに警告する。この堆積物は、時間が経過しても揮発などによって消失しない外乱であって、時間の経過とともに揮発して消失する結露と区別されるものである。この堆積物は、例えば、空気中に散乱しているホコリや、次亜塩素酸カルシウム等である。
【0059】
つまり、この通知部115として機能するプロセッサ11は、第1データと第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告するプロセッサの例である。
【0060】
この警告は、例えば、表示部15に警告を示す画像を表示させることにより行われる。また、この警告は、インタフェース13、及び通信回線3(図5において図示せず)を介して、端末2に送られてもよい。この警告を送られた端末2は、ユーザであるエンジニアに、この警告の内容を通知すればよい。
【0061】
<画像処理装置の動作>
図6は、画像処理装置1の動作の流れの例を示すフロー図である。画像処理装置1が起動され、又は省電力状態から復帰させられて、電源の供給が開始されると、画像処理装置1のプロセッサ11は、画像読取部16の駆動部165を制御して図4に示すキャリッジCを移動させ、光源160を白基準板Pに対向する位置に配置させる。そして、プロセッサ11は、光源160を消灯させて黒基準データを取得し、光源160を点灯させて白基準データを取得する(ステップS101)。このステップS101のタイミングは、第1タイミングである。
【0062】
次に、プロセッサ11は、上述したAGC処理を実行する(ステップS102)。プロセッサ11は、白基準データと、初期データ121により予め定められた白基準目標値とを比較し、付着物があるか否かを判断する(ステップS103)。付着物がない、と判断する場合(ステップS103;NO)、プロセッサ11は、処理を終了する。
【0063】
なお、プロセッサ11は、ステップS102で実行したAGC処理の結果、得られたゲイン値が決められた値(既定値という)以上である場合、付着物がある、と判断してもよい。付着物の付着により光量が下がっている場合、白基準データと白基準目標値との差が大きく、AGC処理によりゲイン値が高く設定されるからである。
【0064】
一方、付着物がある、と判断する場合(ステップS103;YES)、プロセッサ11は、画像を読取る指示(画像読取指示という)を受付けて(ステップS104)、この受付けたタイミングで、基準データを取得する(ステップS105)。このタイミングは、上述した第1タイミングよりも後の第2タイミングである。
【0065】
プロセッサ11は、第1タイミングで取得した基準データである第1データと、第2タイミングで取得した基準データである第2データとを比較し、これら2つの基準データが、決められた条件を超えて変化したか否かを判断する(ステップS106)。なお、第1データ、及び第2データが、例えば読取りの際の走査に沿った画素ごと等、基準とする面における位置ごとに複数個が計測されている場合、プロセッサ11は、これらの平均値を比較する。また、上述した「決められた条件」は、第1タイミングと第2タイミングとの時間差に応じて決まる条件であってもよい。
【0066】
異なるタイミングで取得した基準データに決められた条件を超える変化がない、ということは、その期間に付着物が変化していないことを意味する。したがって、この付着物は、時間の経過とともに揮発する結露ではなく、カルキ等の堆積物である可能性が高い。そこで、基準データが変化していない、と判断する場合(ステップS106;NO)、プロセッサ11は、光学系に堆積物が存在する可能性をユーザに警告して(ステップS107)、処理を終了する。このとき、プロセッサ11は、画像読取部16に、結露を解消させる処理を既に実行させている場合、この処理を停止させてもよい。
【0067】
図7は、警告画面の例を示す図である。図7(a)には、インタフェース13、及び通信回線3を介して、端末2に送られる警告に基づき、端末2が表示する警告画面の例が示されている。図7(a)に示す警告画面は、「xxに汚れが付着している可能性があります。清掃又はパーツ交換を行ってください。」という文字列が記述されたメッセージボックスM1を有する。また、この警告画面は、メッセージボックスM1の下に、汚れが付着している大凡の場所を示す画像を含む。そして、この画像の下には、「OK」という文字列が記述されたボタンB1が表示される。端末2を操作するエンジニアは、ボタンB1を押下して、この警告を確認したことを表明する。
【0068】
また、図7(b)には、表示部15に表示される警告画面の例が示されている。図7(b)に示す警告画面は、「機内内部に汚れが付着している可能性があります。カスタマーセンターに連絡してください。」という文字列が記述されたメッセージボックスM2を有する。そして、このメッセージボックスM2の下には、「OK」という文字列が記述されたボタンB2が表示される。画像処理装置1を操作するユーザは、ボタンB2を押下して、この警告を確認したこと、及び、カスタマーセンターに連絡する旨を表明する。
【0069】
一方、基準データが変化した、と判断する場合(ステップS106;YES)、プロセッサ11は、図6に示す通り、画像読取部16に、結露を解消させる処理を実行させ、ゲイン値を補正する(ステップS108)。
【0070】
基準データが変化した、ということは、第1タイミングのときに結露が生じていたことを意味している。そして、この結露は、AGC処理で設定するゲイン値を比較的、高くする。つまり、第2タイミングで用いているゲイン値は本来よりも高く、補正されることが望ましいため、このプロセッサ11は、ゲイン値を補正する。
【0071】
プロセッサ11は、補正後のゲイン値を用いて、指示された画像の読取りを実行し(ステップS109)、その後、上述したAGC処理を再実行する(ステップS110)。
【0072】
上述した動作により、画像処理装置1は、画像読取部16が画像の読取りに用いる光路中に堆積した汚れ等を、結露と区別して検知する。これにより、画像処理装置1のユーザは、光学系に発生して検知された付着物を、時間が経過しても消失しない外乱である堆積物と、時間が経過すると消失する外乱である結露とに区別して認識することができる。
【0073】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は、互いに組合されてもよい。
【0074】
<1>
上述した実施形態において、画像処理装置1は、CPUで構成されるプロセッサ11を有していたが、画像処理装置1を制御する制御手段は他の構成であってもよい。例えば、画像処理装置1は、CPU以外にも各種のプロセッサ等を有してもよい。
【0075】
ここでプロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば上述したCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0076】
<2>
上述した実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。
【0077】
また、プロセッサの各動作の順序は、上述した実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。
【0078】
<3>
上述した実施形態において、画像処理装置1は、画像形成部17を有していたが、これを有しなくてもよい。また、画像処理装置1は、画像読取部16を有していたが、画像読取部16は、画像処理装置1の外部に設けられた画像読取装置により代替されてもよい。
【0079】
この場合、上述した画像処理装置1は、画像読取の機能を有しないコンピュータ等の情報処理装置であってもよく、上述したプロセッサ11は、外部に設けられた画像読取装置を制御してこの画像読取装置に画像読取を実行させてもよい。
【0080】
つまり、この場合において、上述した画像処理装置1に代替される「画像読取の機能を有しない情報処理装置」は、プロセッサを有し、このプロセッサは、画像読取装置が第1タイミングで読取った、基準とする面を示す第1データを取得し、画像読取装置が第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、この基準とする面を示す第2データを取得し、第1データと第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告する情報処理装置の例である。
【0081】
<4>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、ステップS103において付着物がある、と判断すると、画像読取指示を受付けていたが、その前に付着物が付着している範囲に偏りがあるか否かを判断してもよい。
【0082】
図8は、画像処理装置1の動作の流れの変形例を示すフロー図である。ステップS101からステップS110までの動作は、図6に示す動作と共通である。ただし、この変形例における画像処理装置1は、基準データを、白基準板Pの面の位置ごとにその位置で反射した光の強度を示すデータとして取得する。また、メモリ12に記憶された初期データ121は、白基準板Pの面の位置ごとに、それぞれ白基準目標値を定めている。
【0083】
プロセッサ11は、上述した面の位置ごとに、白基準データと白基準目標値との差を算出し、これらの差が決められた閾値以上か否かを判断することによって、付着物の有無を判断する。
【0084】
図8に示す通り、ステップS103において、付着物がある、と判断すると(ステップS103;YES)、プロセッサ11は、その付着物の範囲に偏りがあるか否かを判断する(ステップS201)。プロセッサ11は、白基準データと白基準目標値との差が閾値以上である位置を、付着物が付着している範囲として特定し、それらの位置の上述した面における分散の度合いにより、この判断をする。プロセッサ11は、この分散の度合いが決められた程度を超えていない場合、範囲に偏りがない、と判断し、超えている場合、範囲に偏りがある、と判断する。
【0085】
白基準データと白基準目標値との差が決められた閾値以上である位置が、白基準板Pの面に対応する平面において一様に散らばっている場合、この位置にそれぞれ結露が生じている可能性がある。結露は、光学系の位置によらず一様に発生するからである。一方、結露と区別される堆積物は、揮発せず、時間が経過しても残留する。この堆積物は、光学系において、局所的に発生することがある。そこで、この変形例の画像処理装置1は、付着の範囲が局所的、つまり、偏りがある場合に、結露の可能性が低いと判断して、ユーザに堆積物の存在の可能性を警告する。
【0086】
付着物が付着している範囲に偏りがない、と判断する場合(ステップS201;NO)、プロセッサ11は、画像読取指示を受付ける(ステップS104)。一方、付着物が付着している範囲に偏りがある、と判断する場合(ステップS201;YES)、プロセッサ11は、処理をステップS107に進める。これにより、画像処理装置1は、ステップS105で基準データを取得する第2タイミングを待たずに、ユーザに堆積物が存在する可能性を警告する。
【0087】
なお、この場合のプロセッサ11は、基準とする面から反射した光の強度を、この面の位置ごとに読取った第1データを取得し、この面の位置ごとに予め定められた目標値を取得し、第1データと目標値との差が、決められた程度を超えて位置ごとに偏っている場合に、画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告するプロセッサの例である。
【0088】
<5>
上述した変形例において、プロセッサ11は、付着物が付着している範囲に偏りがある、と判断する場合に、ユーザに堆積物が存在する可能性を警告していたが、その範囲の情報をユーザに通知してもよい。例えば、プロセッサ11は、白基準データと白基準目標値との差が、決められた閾値以上である位置を、画像処理装置1の光学系の画像に重ねてユーザに表示してもよい。これにより、偏って付着している付着物の位置をユーザは知ることができ、清掃すべき箇所を予め認識することができる。
【0089】
この場合、このプロセッサ11は、第1データと目標値との差が決められた程度を超えて位置ごとに偏っている場合に、この差が閾値以上である位置の情報をユーザに通知するとともに、画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性を警告するプロセッサの例である。
【0090】
<6>
上述した実施形態において、画像処理装置1のプロセッサ11によって実行されるプログラムは、プロセッサを有するコンピュータに、画像読取装置が第1タイミングで読取った、基準とする面を示す第1データを取得するステップと、この画像読取装置が第1タイミングよりも後の第2タイミングで読取った、この基準とする面を示す第2データを取得するステップと、第1データと第2データとに、決められた条件を超える変化がない場合、画像読取装置の光学系に結露と区別される堆積物が存在する可能性をユーザに警告するステップと、を実行させるプログラムの例である。
【0091】
このプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…画像処理装置、11…プロセッサ、111…取得部、112…処理部、113…判定部、114…補正部、115…通知部、12…メモリ、121…初期データ、13…インタフェース、14…操作部、15…表示部、16…画像読取部、160…光源、161…イメージセンサ、162…増幅器、163…変換器、164…画像生成部、165…駆動部、166…結露解消部、17…画像形成部、2…端末、21…プロセッサ、22…メモリ、23…インタフェース、24…操作部、25…表示部、3…通信回線、9…情報処理システム、B1、B2…ボタン、M1、M2…メッセージボックス。
図1
図2
図3
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図7
図8