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特許7556247計算機システム、計算機、計算機プログラム及び端末プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】計算機システム、計算機、計算機プログラム及び端末プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
G06F15/02 315N
G06F15/02 335E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020159411
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052897
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】市川 雄一
【審査官】三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177507(JP,A)
【文献】特開2020-057244(JP,A)
【文献】特開2014-149642(JP,A)
【文献】特開2020-057196(JP,A)
【文献】特開2020-047035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に第1表示部に表示する第1の制御部と、
前記計算過程を前記ステップ単位の第1の計算過程データとして記憶する記憶部と、
前記第1の計算過程データを端末に送信する第1の通信部と、
を具備する計算機と、
前記計算機から受信された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップを第2表示部に一覧表示し、前記第2表示部に表示された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップに対するユーザによる編集の操作に基づいて前記第1の計算過程データを修正する第2の制御部と、
前記第2の制御部により修正された後の前記第1の計算過程データを第2の計算過程データとして前記計算機に送信する第2の通信部と、
を具備する端末と、
を有し、
前記第1の制御部は、前記端末に送信される前の前記第1の計算過程データと前記端末から受信された後の前記第2の計算過程データとの間で相違しているステップを前記第1表示部に表示する、
計算機システム。
【請求項2】
前記第1の計算過程データ及び前記第2の計算過程データは、内部に含まれるデータの合計値のデータを含み、
前記第1の制御部は、前記第1の計算過程データにおける第1の合計値のデータと前記第2の計算過程データにおける第2の合計値のデータとの相違に基づいて前記相違しているステップの有無を判定する、
請求項1に記載の計算機システム。
【請求項3】
前記第1の制御部は、前記第1の計算過程データのステップ数と前記第2の計算過程データのステップ数との相違に基づいて前記第2の計算過程データにおけるステップの追加又は削除の有無を判定する、
請求項1又は2に記載の計算機システム。
【請求項4】
前記第1表示部に表示される前記計算過程を切り替えるための操作を受け付ける操作キーをさらに具備し、
前記第1の制御部は、前記第1の計算過程データと前記第2の計算過程データとの間で相違しているステップがあるときには、前記操作キーの操作に応じて前記相違しているステップを順次に表示する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の計算機システム。
【請求項5】
ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に表示部に表示する制御部と、
前記計算過程を前記ステップ単位の第1の計算過程データとして記憶する記憶部と、
前記第1の計算過程データを端末に送信する通信部と、
を具備し、
前記制御部は、前記端末に送信される前の前記第1の計算過程データと前記端末から受信された後の第2の計算過程データとの間で相違しているステップを前記表示部に表示する、
計算機。
【請求項6】
ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に表示部に表示することと、
前記計算過程を前記ステップ単位の第1の計算過程データとして記憶部に記憶させることと、
前記第1の計算過程データを通信部によって端末に送信することと、
前記端末に送信される前の前記第1の計算過程データと前記端末から受信された後の第2の計算過程データとの間で相違しているステップを前記表示部に表示することと、
を計算機のプロセッサに実行させるための計算機プログラム。
【請求項7】
計算機においてユーザによって入力された計算式における計算過程を表す、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位の第1の計算過程データを通信部によって前記計算機から受信することと、
受信された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップを順次に表示部に一覧表示することと、
前記表示部に表示された前記計算過程に対するユーザによる編集の操作に基づいて前記第1の計算過程データを修正することと、
修正された前記第1の計算過程データを第2の計算過程データとして前記計算機に送信することと、
を端末のプロセッサに実行させるための端末プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機システム、計算機、計算機プログラム及び端末プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検算機能を有している卓上計算機(電卓)が知られている。検算機能は、計算結果を、その計算過程も含めてユーザが再度同じ計算を入力しながら確認できる機能である。検算機能では、計算過程の確認中に入力誤りが発見されたときには、その入力誤りを修正することもできる。このような検算機能により、複雑な計算式であっても、入力誤りが抑制され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-47035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電卓の表示画面の制限のため、従来の電卓では、検算機能における計算過程の確認は、1ステップずつでしか行えないことが多い。したがって、計算式が長くなると、計算過程の確認及び修正の作業がユーザにとって負担になりやすい。
【0005】
本発明は、検算機能における計算過程の確認及び修正の作業を簡易に行うことが可能な計算機システム、計算機、計算機プログラム及び端末プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の計算機システムは、ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に第1表示部に表示する第1の制御部と、前記計算過程を前記ステップ単位の第1の計算過程データとして記憶する記憶部と、前記第1の計算過程データを端末に送信する第1の通信部と、を具備する計算機と、前記計算機から受信された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップを第2表示部に一覧表示し、前記第2表示部に表示された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップに対するユーザによる編集の操作に基づいて前記第1の計算過程データを修正する第2の制御部と、前記第2の制御部により修正された後の前記第1の計算過程データを第2の計算過程データとして前記計算機に送信する第2の通信部と、を具備する端末と、を有し、前記第1の制御部は、前記端末に送信される前の前記第1の計算過程データと前記端末から受信された後の前記第2の計算過程データとの間で相違しているステップを前記第1表示部に表示する。
【0007】
本発明の第2の態様の計算機は、ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に表示部に表示する制御部と、計算過程をステップ単位の第1の計算過程データとして記憶する記憶部と、第1の計算過程データを端末に送信する通信部とを備える。制御部は、端末に送信される前の第1の計算過程データと端末から受信された後の第2の計算過程データとの間で相違しているステップを表示部に表示する。
【0008】
本発明の第3の態様の計算機プログラムは、ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に表示部に表示することと、計算過程をステップ単位の第1の計算過程データとして記憶部に記憶させることと、第1の計算過程データを通信部によって端末に送信することと、端末に送信される前の第1の計算過程データと端末から受信された後の第2の計算過程データとの間で相違しているステップを表示部に表示することとを計算機のプロセッサに実行させる。
【0009】
本発明の第4の態様の端末プログラムは、計算機においてユーザによって入力された計算式における計算過程を表す、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位の第1の計算過程データを通信部によって計算機から受信することと、受信された第1の計算過程データのそれぞれのステップを順次に表示部に一覧表示することと、表示部に表示された計算過程に対するユーザによる編集の操作に基づいて第1の計算過程データを修正することと、修正された第1の計算過程データを第2の計算過程データとして計算機に送信することとを端末のプロセッサに実行させるための端末プログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検算機能における計算過程の確認及び修正の作業を簡易に行うことが可能な計算機システム、計算機、計算機プログラム及び端末プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る計算機システムの構成を示す図である。
図2図2は、計算機の構成の一例を示す図である。
図3図3は、計算機の外観正面図である。
図4図4は、端末の構成の一例を示す図である。
図5図5は、計算機の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、1ステップ分の計算過程データの一例のデータフォーマットを示す図である。
図7図7は、端末の計算機アプリの動作を示すフローチャートである。
図8A図8Aは、計算機の動作における計算過程データの送信までのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図8B図8Bは、計算機の動作における計算過程データの送信までのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図8C図8Cは、計算機の動作における計算過程データの送信までのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図8D図8Dは、計算機の動作における計算過程データの送信までのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図8E図8Eは、計算機の動作における計算過程データの送信までのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図9A図9Aは、端末の計算機アプリの動作におけるディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図9B図9Bは、端末の計算機アプリの動作におけるディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図9C図9Cは、端末の計算機アプリの動作におけるディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図9D図9Dは、端末の計算機アプリの動作におけるディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図9E図9Eは、端末の計算機アプリの動作におけるディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図9F図9Fは、端末の計算機アプリの動作におけるディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10A図10Aは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10B図10Bは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10C図10Cは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10D図10Dは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10E図10Eは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10F図10Fは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10G図10Gは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図10H図10Hは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図11図11は、計算機アプリにおいてステップの追加がされた際の表示例である。
図12A図12Aは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図12B図12Bは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図12C図12Cは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図12D図12Dは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図12E図12Eは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図13図13は、計算機アプリにおいてステップの削除がされた際の表示例である。
図14A図14Aは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図14B図14Bは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図14C図14Cは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図14D図14Dは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
図14E図14Eは、計算機の動作における計算過程データの受信からのディスプレイの表示の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る計算機システム1の構成を示す図である。計算機システム1は、計算機10と、端末20とを有している。計算機10と端末20とは、互いに通信することで連携して動作し得る。
【0013】
図2は、計算機10の構成の一例を示す図である。計算機10は、プロセッサ11と、メモリ12と、操作キー13と、ディスプレイ14と、通信モジュール15とを有している。計算機10は、卓上計算機、所謂電卓であってよい。計算機10は、電卓以外の数値の計算機能を有する各種の電子機器であってもよい。また、計算機10は、図2で示した以外の構成を有していてもよい。
【0014】
プロセッサ11は、計算機10の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ11は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ11は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ11は、検算モードにおいて制御部として動作する。
【0015】
メモリ12は、RAM及びROMを含む。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、プロセッサ11における各種のデータを一時記憶するための作業メモリ等に用いられる。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMには、各種の計算機能を実行するための計算プログラム端末20との連携のための連携プログラム等の各種プログラムが記憶されている。
【0016】
操作キー13は、ユーザが計算機10を操作するための各種のキーである。操作キー13を用いた操作が受け付けられたとき、その操作に応じた入力信号がプロセッサ11に伝達される。
【0017】
ディスプレイ14は、液晶ディスプレイ等の表示部である。ディスプレイ14は、電卓機能に係る各種の表示をする。
【0018】
通信モジュール15は、それぞれ、計算機10と端末20との通信処理をする回路を含む通信部である。通信モジュール15は、特に限定されない。通信モジュール15は、例えばNFC(Near Field Communication)といった極近距離通信に対応した通信モジュールである。通信モジュール15は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low energy)といった近距離通信に対応した通信モジュール等であってもよい。
【0019】
図3は、計算機10の外観正面図である。図3に示すように、計算機10の筐体正面には、操作キー13と、ディスプレイ14とが設けられている。
【0020】
操作キー13は、数値キーと、演算キーと、機能キーとを有している。数値キーは、数値を入力するためのキーであって、例えば0から9のそれぞれの数値に対応したキーを含む。また、数値キーは、“00”、“000”を入力するためのキーを含んでいてもよい。演算キーは、四則演算の実施のためのキーであって、例えば+(加算)、-(減算)、×(乗算)、÷(除算)のそれぞれの演算子に対応したキーと、=キー(演算実行キー)とを含む。機能キーは、計算機10の各種機能の実施のためのキーであって、例えばオールクリアキー(ACキー)、クリアキー(Cキー)、グランドトータルキー(GTキー)を含む。さらに、実施形態では、操作キー13は、検算モードキー(ANS/CHECKキー)131と、戻しキー(BACKキー)132と、送りキー(FORWARDキー)133と、送信キー(SENDキー)134と、受信キー(RECEIVEキー)135とを有している。検算モードキー131は、計算機10の動作モードを検算モードに移行させる指示を与えるための操作キーである。戻しキー132は、検算モードにおいてディスプレイ14に表示させる計算過程を1ステップ前に戻す指示を与えるための操作キーである。送りキー133は、検算モードにおいてディスプレイ14に表示させる計算過程を1ステップ先に送る指示を与えるための操作キーである。送信キー134は、計算機10によるデータの送信を実施する指示を与えるための操作キーである。受信キー135は、端末20からのデータの受信を実施する指示を与えるための操作キーである。この他、操作キー13は、検算モードにおける修正作業に用いられる挿入キー(INSERTキー)及び削除キー(DELEATキー)、ディスプレイ14の表示のオン又はオフキー(DISPキー)等を有していてもよい。
【0021】
図4は、端末20の構成の一例を示す図である。端末20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、タッチパネル24と、ディスプレイ25と、通信モジュール26、27とを有している。端末20は、スマートフォン、タブレット端末といった計算機10と通信できる各種の端末であってよい。端末20は、図4で示した以外の構成を有していてもよい。例えば、端末20は、操作ボタンを有していてもよい。
【0022】
プロセッサ21は、端末20の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ21は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ21は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ21は、計算機アプリの実行時に制御部として動作する。
【0023】
メモリ22は、RAM及びROMを含む。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、プロセッサ21における各種のデータを一時記憶するための作業メモリ等に用いられる。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMには、各種プログラムが記憶されている。
【0024】
ストレージ23は、例えばフラッシュメモリであり、端末20で実行される各種のアプリケーション(アプリ)及びデータを記憶する。アプリは、例えば計算機10と同等の計算処理を実行する計算機プログラムとしての計算機アプリを含む。
【0025】
タッチパネル24は、ディスプレイ25の画面と一体的に構成されたタッチセンサである。タッチパネル24は、ディスプレイ25と組み合わせられることにより、GUI(Graphical User Interface)機能を実現する。
【0026】
ディスプレイ25は、液晶ディスプレイ等の表示部である。ディスプレイ25は、端末20における各種の表示をする。
【0027】
通信モジュール26は、計算機10との通信のための通信モジュールである。通信モジュール26の通信方式は、通信モジュール15と対応している。通信モジュール27は、4G通信といった携帯電話通信用の通信モジュールである。
【0028】
次に、計算機システム1の動作を説明する。図5は、計算機10の動作を示すフローチャートである。図5の動作は、検算モードキー131が押されて計算機10が検算モードに設定されたときの動作である。ここで、図5の動作に先立ち、ユーザによって事前に何らかの計算式が入力されているものとする。このとき、計算機10のメモリ12のRAMには、入力された計算式における計算過程のデータが1ステップ単位で記憶される。1つのステップの計算過程のデータは、ユーザによって入力された少なくとも1桁の数値とその後に入力された1つの演算子とを含むデータである。図5の処理は、メモリ12のROMに記憶された連携プログラムをプロセッサ11が実行することによって行われる。
【0029】
ステップS1において、プロセッサ11は、送信キー(SENDキー)134が押されたか否かを判定する。ステップS1において、送信キー134が押されていると判定されたときには、処理はステップS2に移行する。ステップS1において、送信キー134が押されていないと判定されたときには、処理はステップS15に移行する。
【0030】
ステップS2において、プロセッサ11は、データ送信用の通信処理を実施する。例えば、通信モジュール15がNFCに対応した通信モジュールであるときには、通信モジュール15は、端末20の通信モジュール27が近づけられて無線フィールドが形成されるのを待つ。無線フィールドが形成された後、通信モジュール15は、例えばプロセッサ11による計算過程データの生成を待つ。計算過程データの生成後、処理はステップS3に移行する。一方、通信モジュール15がBLEに対応した通信モジュールであるときには、通信モジュール15は、アドバタイズを送信し、アドバタイズを受信した端末20からの通信要求に応じてBLEの通信を確立する。BLEの通信が確立した後、通信モジュール15は、例えばプロセッサ11による計算過程データの生成を待つ。送信用のデータの生成後、処理はステップS3に移行する。ここでの通信処理は一例である。通信処理は、通信モジュール15の通信方式等に応じて適宜に変更されてよい。
【0031】
ステップS3において、プロセッサ11は、通信モジュール15を用いて端末20に計算過程データを送信する。その後、処理はステップS4に移行する。図6は、1ステップ分の計算過程データの一例のデータフォーマットを示す図である。図6に示すように、計算過程データは、例えばデータ有効フラグと、STEP番号と、数値情報と、仮数と、Tab情報と、演算子データと、SUM値とを含む。データ有効フラグは、計算過程データの送受信の終了を判断するために用いられるフラグである。通信モジュール15は、このデータ有効フラグの値により、1ステップ単位で例えばプロセッサ11から入力されてくる計算過程データの送信終了を判断する。また、通信モジュール15は、データ有効フラグの値により、1ステップ単位で受信される計算過程データの受信終了を判断する。STEP番号は、計算過程データのそれぞれのステップに付けられる番号を表す情報である。STEP番号は、例えばユーザによって入力された順に1から連番で付けられる。数値情報は、ユーザによって入力された数値の符号(正負)及び小数点位置を表す情報である。仮数は、ユーザによって入力された数値を表す情報である。Tab情報は、仮数の終端を識別するための識別情報である。演算子データは、ユーザによって入力された演算子のデータである。SUM値は、データ有効フラグと、STEP番号と、数値情報と、仮数と、Tab情報と、演算子データとに記録されている値の合計値である。SUM値は、計算過程データの受信時に計算過程データが修正されているか否かのチェックに用いられる。
【0032】
ここで、図5の説明に戻る。計算過程データの送信後のステップS4において、プロセッサ11は、受信キー(RECEIVEキー)135が押されたか否かを判定する。ステップS4において、受信キー135が押されていると判定されたときには、処理はステップS5に移行する。ステップS4において、受信キー135が押されていないと判定されたときには、処理はステップS15に移行する。
【0033】
ステップS5において、プロセッサ11は、データ受信用の通信処理を実施する。例えば、通信モジュール15がNFCに対応した通信モジュールであるときには、通信モジュール15は、端末20の通信モジュール27が近づけられて無線フィールドが形成されるのを待つ。無線フィールドが形成された後、通信モジュール15は、端末20からの計算過程データの受信を待つ。計算過程データの受信後、処理はステップS6に移行する。一方、通信モジュール15がBLEに対応した通信モジュールであるときには、通信モジュール15は、アドバタイズを送信し、アドバタイズを受信した端末20からの通信要求に応じてBLEの通信を確立する。BLEの通信が確立した後、通信モジュール15は、端末20からの計算過程データの受信を待つ。計算過程データの受信後、処理はステップS6に移行する。ここでの通信処理は一例である。通信処理は、通信モジュール15の通信方式等に応じて適宜に変更されてよい。
【0034】
ステップS6において、プロセッサ11は、通信モジュール15を用いて計算過程データを受信する。ここで、計算過程データの受信終了は、データ有効フラグの値を確認することで判断される。受信された計算過程データは、ステップ毎に例えばメモリ12のRAMに記憶される。
【0035】
ステップS7において、プロセッサ11は、受信した計算過程データに不正値が含まれているか否かを判定する。ステップS7において、受信した計算過程データに不正値が含まれていると判定されたときには、処理はステップS8に移行する。ステップS7において、受信した計算過程データに不正値が含まれていないと判定されたときには、処理はステップS9に移行する。
【0036】
ステップS8において、プロセッサ11は、受信した計算過程データを破棄する。その後、プロセッサ11は、NG表示を行う。その後、処理はステップS15に移行する。NG表示は、計算過程データの受信が正しく行われなかったことを示すNGアイコンをディスプレイ14に表示する処理である。
【0037】
ステップS9において、プロセッサ11は、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違があるか否かを判定する。送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違は、計算過程データに含まれるSUM値及び計算過程データのステップ数によって判定され得る。後で詳しく説明するが、計算機10から端末20に送信された計算過程データは、端末20の計算機アプリを用いて編集され得る。編集されることにより、仮数又は演算子データの値が変わり、結果としてSUM値も変わる。このため、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違があることが判定される。また、編集により、計算過程データのステップ数も増減し得る。例えば、編集によってステップ数が増えれば、送信時には存在しない計算過程データが受信されることになる。増えた分の計算過程データは、送信した計算過程データと受信した計算過程データにおける同一STEP番号のSUM値の比較によって判定される。また、編集によって計算過程データのステップ数が減れば、STEP番号が詰められる。減った分の計算過程データも、送信した計算過程データと受信した計算過程データにおける同一STEP番号のSUM値の比較によって判定される。ステップS9において、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違があると判定されたときには、処理はステップS10に移行する。ステップS9において、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違がないと判定されたときには、処理はステップS11に移行する。
【0038】
ステップS10において、プロセッサ11は、相違しているステップのSTEP番号にマークを付ける。
【0039】
ステップS11において、プロセッサ11は、受信した計算過程データにおける最終ステップの計算過程データに基づいて、計算過程の数値及び演算子をSTEP番号とともにディスプレイ14に表示する。
【0040】
ステップS12において、プロセッサ11は、OK表示を行う。その後、処理はステップS13に移行する。OK表示は、計算過程データの受信が正しく行われたことを示すOKアイコンをディスプレイ14に表示する処理である。
【0041】
ステップS13において、プロセッサ11は、戻しキー(BACKキー)132又は送りキー(FORWARDキー)133が押されたか否かを判定する。ステップS13において、戻しキー132又は送りキー133が押されていると判定されたときには、処理はステップS14に移行する。ステップS13において、戻しキー132と送りキー133の何れも押されていないと判定されたときには、処理はステップS15に移行する。
【0042】
ステップS14において、プロセッサ11は、押されたキーに応じて表示する計算過程のステップを変更する。その後、処理はステップS15に移行する。このとき、プロセッサ11は、マークされているステップがあるときとないときとで異なるステップの表示制御をする。詳細については後で説明する。
【0043】
ステップS15において、プロセッサ11は、検算モードの動作を終了するか否かを判定する。例えば、検算モードキー131が再び押されたときに検算モードの動作を終了すると判定される。ステップS15において、検算モードの動作を終了すると判定されたときには、図5の処理は終了する。ステップS15において、検算モードの動作を終了しないと判定されたときには、処理はステップS1に戻る。
【0044】
図7は、端末20の計算機アプリの動作を示すフローチャートである。図7の計算機アプリが検算モードで起動しているときに行われる。図7の処理は、端末20のストレージ23に記憶された計算機アプリのプログラムをプロセッサ21が実行することによって行われる。
【0045】
ステップS21において、プロセッサ21は、計算機10から計算過程データを受信するか否かを判定する。例えば、ユーザによって計算過程データの受信のための操作がされたときに、計算過程データを受信すると判定される。S21において、計算過程データを受信すると判定されたときには、処理はステップS22に移行する。ステップS21において、計算過程データを受信しないと判定されたときには、処理はステップS28に移行する。
【0046】
ステップS22において、プロセッサ21は、通信モジュール26を用いて計算過程データを受信する。ここで、計算機10と同様、計算過程データの受信終了は、データ有効フラグの値を確認することで判断される。受信された計算過程データは、ステップ毎に例えばメモリ22のRAMに記憶される。
【0047】
ステップS23において、プロセッサ21は、受信したすべての計算過程データに基づいて、計算過程の数値及び演算子をSTEP番号とともにディスプレイ25に一覧表示する。
【0048】
ステップS24において、プロセッサ21は、計算過程データの編集をするか否かを判定する。例えば、ユーザにより、ディスプレイ25に一覧表示されている計算過程の数値又は演算子の選択がされたときに計算過程データの編集をすると判定される。ステップS24において、計算過程データの編集をすると判定されたときには、処理はステップS25に移行する。ステップS24において、計算過程データの編集をしないと判定されたときには、処理はステップS26に移行する。
【0049】
ステップS25において、プロセッサ21は、ユーザの編集操作の内容に従って計算過程データを修正する。編集操作は、計算過程の数値の変更、演算子の変更、計算過程のステップの追加、計算過程のステップの削除を含む。また、プロセッサ21は、修正後の計算過程データに基づいて、ディスプレイ25の表示を更新する。その後、処理はステップS26に移行する。
【0050】
ステップS26において、プロセッサ21は、計算過程データを計算機10に送信するか否かを判定する。例えば、ユーザによって計算過程データの送信のための操作がされたときに、計算過程データを送信すると判定される。ステップS26において、計算過程データを送信すると判定されたときには、処理はステップS27に移行する。ステップS26において、計算過程データを送信しないと判定されたときには、処理はステップS28に移行する。
【0051】
ステップS27において、プロセッサ21は、通信モジュール26を用いて計算過程データを送信する。ここで、計算機10と同様、計算過程データの送信終了は、データ有効フラグの値を確認することで判断される。
【0052】
ステップS28において、プロセッサ21は、検算モードの動作を終了するか否かを判定する。例えば、ユーザによって検算モードから他のモードに切り替える操作がされたとき又は計算機アプリが終了されたときに、検算モードの動作を終了すると判定される。ステップS28において、検算モードの動作を終了すると判定されたときには、図7の処理は終了する。ステップS28において、検算モードの動作を終了しないと判定されたときには、処理はステップS29に移行する。
【0053】
ステップS29において、プロセッサ21は、計算過程データを受信済みであるか否かを判定する。ステップS29において、計算過程データを受信済みであると判定されたときには、処理はステップS24に戻る。ステップS29において、計算過程データを受信済みでないと判定されたときには、処理はステップS21に戻る。
【0054】
図8A図8Eは、図5で示した計算機10の動作における計算過程データの送信までのディスプレイ14の表示の遷移を示す図である。まず、計算機10の動作モードが検算モードに設定された直後においては、図8Aに示すような初期表示がされる。初期表示では、数値の初期値14aだけが表示される。初期値14aは、例えば「0」である。
【0055】
その後、ユーザの操作キー13の操作によって計算式が入力される際に、演算キーが押される毎にそれまでの計算過程がSTEP番号と関連付けられてメモリ12のRAMに記憶される。例えば、ユーザによって「5+4-3×2÷1=」と入力されたとする。この場合、「+」が入力されたときにそれまでの計算過程である「5+」がSTEP番号「001」と関連付けられてRAMに記憶される。同様に、「-」が入力されたときには「4-」が、「×」が入力されたときには「3×」が、「÷」が入力されたときには「2÷」が、「=」が入力されたときには「1=」が、それぞれSTEP番号と関連付けられてRAMに記憶される。さらに、「=」が入力されたときには計算結果である「12」がSTEP番号「006」と関連付けられてRAMに記憶される。このようなユーザの入力に伴ってディスプレイ14の表示も更新される。つまり、初期値14aの表示は計算過程14bの表示に更新される。また、検算モードでは、計算過程14bが表示される際には、計算過程14bと対応付けられたSTEP番号14cが表示される。ここで、図8Bは、ユーザによる計算式の入力が終了したとき、すなわちユーザによって=キー(演算実行キー)が押された時点のディスプレイ14の表示を示している。この場合、計算過程14bとして、計算結果を表す「12」が表示される。また、STEP番号14cとして、「006」が表示される。さらに、表示中のステップが最終ステップであるときには、表示中のステップが最終ステップであることを示す識別アイコン14dも併せて表示される。識別アイコン14dは、例えば「GT(グランドトータル)」の文字アイコンである。
【0056】
図8Bの表示において、ユーザによって戻しキー132又は送りキー133が押されたとき、計算過程14bの表示が1ステップずつ変更される。例えば、戻しキー132が押されたときには、STEP番号「006」の1つ前のステップであるSTEP番号「005」の計算過程の数値及び演算子が表示される。すなわち、計算過程14bとして、「1」及び「=」が表示される。また、STEP番号14cとして、「005」が表示される。
【0057】
計算式の入力終了後、ユーザによって送信キー134が押されたとき、図8Cに示すように送信アイコン14eが表示される。送信アイコン14eは、計算機10がデータ送信用の通信処理を実行中であることを示すアイコンであって、例えば「SEND」の文字アイコンである。さらに、例えば計算機10に端末20が近づけられてNFCによる通信ができるようになったときには、図8Dに示すようにして、NFC通信アイコン14fが表示されてもよい。計算機10と端末20との通信ができるようになった後、計算過程データが1ステップずつ端末20に送信される。送信が成功したときには、図8Eに示すようにして、OKアイコン14gが表示されてもよい。
【0058】
図9A図9Fは、図7で示した端末20の計算機アプリの動作におけるディスプレイ25の表示の遷移を示す図である。ここで、図9A図9Fは、ユーザは計算機アプリによって計算過程データを修正するときの例である。
【0059】
例えば、ユーザによって図9Aに示すプルダウンメニュー25aから「新規取得」の項目が選択されたとき、端末20は、計算機10からの計算過程データの受信を待つ状態になる。このとき、図9Aで示すような受信待機画面が表示される。図9Aは、NFCによって通信が行われるときの受信待機画面の例である。
【0060】
その後、計算過程データが受信されると、図9Bに示すように、受信された計算過程データに基づき、計算過程の一覧25bが表示される。例えば、前述のように計算機10において「5+4-3×2÷1=」と入力されたとする。この場合、STEP番号「001」の「5+」、STEP番号「002」の「4-」、STEP番号「003」の「3×」、STEP番号「004」の「2÷」、STEP番号「005」の「1=」、及びSTEP番号「006」の「12」が一覧表示される。
【0061】
計算過程の一覧25bが表示されている状態で、プルダウンメニュー25aから図9Cに示す「編集」の項目25cが選択されたとき、図9Dに示すような編集画面25dが表示される。編集画面25dは、「STEP番号」、「値」、「演算子」の項目を含む。「STEP番号」は、対応する計算過程データに付けられているSTEP番号である。「値」は、ユーザによって入力された数値を表す。「値」は、数値情報と仮数とを組み合わせて生成される。「演算子」は、ユーザによって入力された演算子を表す。ユーザは、端末20の例えばタッチパネル24を操作してこれらの項目を選択し、任意の値又は演算子に修正することができる。また、ユーザは、新たにステップを追加することもできるし、既存のステップを削除することもできる。
【0062】
図9Eは、計算機アプリにおいてステップ内のデータの修正がされた際の表示例である。例えば、ユーザは、STEP番号「002」の値「4」を「6」に修正したとする。この場合、STEP番号「002」において修正があったことがユーザに分かるように例えばSTEP番号「002」の行が太枠表示される。同様に、STEP番号「004」の演算子「÷」を「+」に修正したとする。この場合、STEP番号「004」において修正があったことがユーザに分かるように例えばSTEP番号「004」の行が太枠表示される。さらに、STEP番号「002」とSTEP番号「004」における修正に伴い、STEP番号「006」の値、すなわち計算結果が「12」から「17」に更新される。図9Eでは、STEP番号「006」の行は太枠表示されていない。しかしながら、STEP番号「006」の行も太枠表示されてもよい。また、修正があったことをユーザに認知させるための表示は、太枠表示に限らない。修正があったことをユーザに認知させるための表示は、表示している文字の色を変える等であってもよい。
【0063】
その後、プルダウンメニュー25aから図9Fに示す「送信」の項目25eが選択されたとき、端末20は、編集後の計算過程データを送信できる状態になる。この場合、端末20は、計算機10において計算過程データを受信できる状態になったときに計算過程データを計算機10に送信する。
【0064】
図10A図10Hは、図5で示した計算機10の動作における計算過程データの受信からのディスプレイ14の表示の遷移を示す図である。ここで、図10A図10Hは、計算機アプリにおいて図9Eで示したようにして計算過程データが修正された際の表示例である。
【0065】
計算過程データが送信された後、計算機10は、ユーザによって受信キー135が押されるのを待つ。ユーザによって受信キー135が押されたとき、図8Aに示すように受信アイコン14hが表示される。受信アイコン14hは、計算機10がデータ受信用の通信処理を実行中であることを示すアイコンであって、例えば「RECEIVE」の文字アイコンである。さらに、例えば計算機10に端末20が近づけられてNFCによる通信ができるようになったときには、図10Bに示すようにして、NFC通信アイコン14fが表示されてもよい。計算機10と端末20との通信ができるようになった後、計算過程データが1ステップずつ計算機10において受信される。
【0066】
受信が成功したとき、図10Cに示すようにして、OKアイコン14gが表示される。また、受信後の計算過程データによって計算過程14bの表示が更新される。図9Eに示すようにして計算過程データが修正されていた場合、計算過程14bの表示は「12」から「17」に更新される。なお、端末20の内部の処理として、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違があると判定される。そして、相違しているステップであるSTEP番号「002」とSTEP番号「004」とにはマークが付けられる。
【0067】
その後、ユーザによって戻しキー132又は送りキー133が押されたとき、計算過程14bの表示が変更される。ここで、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違がある場合、すなわちマークが付けられているSTEP番号がある場合には、マークが付けられているSTEP番号の計算過程がまず表示される。例えば、戻しキー132が押されたとき、本来ならばSTEP番号「006」の1つ前のステップであるSTEP番号「005」の計算過程の数値及び演算子が表示される。これに対し、STEP番号「002」とSTEP番号「004」とにマークが付けられている状態で戻しキー132が押されたときには、図10Dに示すように計算過程14bとしてSTEP番号「004」の「2」及び「+」が表示される。さらに続いて戻しキー132が押されたときには、図10Eに示すように計算過程14bとしてSTEP番号「002」の「6」及び「-」が表示される。また、図では示されていないが、図10Eの表示がされている状態において送りキー133が押されたときには、図10Dの表示に戻る。このような表示は、オールクリアキーが押されるまで継続される。
【0068】
その後、オールクリアキーが押されると、図10Fに示すように初期表示がされる。この後、ユーザによって戻しキー132又は送りキー133が押されたときには、計算過程14bの表示は1ステップずつ切り替わる表示に戻る。例えば、戻しキー132が押されたときには、図10Gに示すように計算過程14bとして、STEP番号「006」の「17」が表示される。さらに続いて戻しキー132が押されたときには、図10Hに示すように計算過程14bとしてSTEP番号「005」の「1」及び「=」が表示される。
【0069】
図11は、計算機アプリにおいてステップの追加がされた際の表示例である。例えば、ユーザは、STEP番号「003」として、値「8」及び演算子「×」を追加したとする。この場合、STEP番号「003」において修正があったことがユーザに分かるように例えばSTEP番号「003」の行が太枠表示される。さらに、STEP番号「003」の追加に伴い、それ以後のSTEP番号が順次に繰り下げられる。そして、STEP番号「007」の値、すなわち計算結果が「12」から「6」に更新される。図11では、STEP番号「007」の行は太枠表示されていない。しかしながら、STEP番号「007」の行も太枠表示されてもよい。また、修正があったことをユーザに認知させるための表示は、太枠表示に限らない。修正があったことをユーザに認知させるための表示は、表示している文字の色を変える等であってもよい。
【0070】
図12A図12Eは、図5で示した計算機10の動作における計算過程データの受信からのディスプレイ14の表示の遷移を示す図である。ここで、図12A図12Eは、計算機アプリにおいて図11で示したようにして1ステップの計算過程データが追加された際の表示例である。
【0071】
計算過程データが受信されるまでは、図10A及び図10Bと同様の表示が行われる。そして、受信が成功したとき、図12Aに示すようにして、OKアイコン14gが表示される。また、受信後の計算過程データによって計算過程14bの表示が更新される。図111に示すようにしてステップの追加がされた場合、最終のステップのSTEP番号は、「007」になる。したがって、STEP番号14cの表示は「006」から「007」に更新される。また、計算過程14bの表示は「12」から「6」に更新される。なお、端末20の内部の処理として、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違があると判定される。そして、相違しているステップであるSTEP番号「003」にはマークが付けられる。
【0072】
その後、ユーザによって戻しキー132又は送りキー133が押されたとき、計算過程14bの表示が変更される。ここで、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違がある場合、すなわちマークが付けられているSTEP番号がある場合には、マークが付けられているSTEP番号の計算過程がまず表示される。例えば、戻しキー132が押されたとき、本来ならばSTEP番号「007」の1つ前のステップであるSTEP番号「006」の計算過程の数値及び演算子が表示される。これに対し、STEP番号「003」にマークが付けられている状態で戻しキー132が押されたときには、図12Bに示すように計算過程14bとしてSTEP番号「003」の「8」及び「×」が表示される。このような表示は、オールクリアキーが押されるまで継続される。
【0073】
オールクリアキーが押されると、図12Cに示すように初期表示がされる。この後、ユーザによって戻しキー132又は送りキー133が押されたときには、計算過程14bの表示は1ステップずつ切り替わる表示に戻る。例えば、戻しキー132が押されたときには、図12Dに示すように計算過程14bとして、STEP番号「007」の「6」が表示される。さらに続いて戻しキー132が押されたときには、図12Eに示すように計算過程14bとして、STEP番号「006」の「1」及び「=」が表示される。
【0074】
図13は、計算機アプリにおいてステップの削除がされた際の表示例である。例えば、ユーザは、STEP番号「003」を削除したとする。この場合、STEP番号「003」において修正があったことがユーザに分かるように例えばSTEP番号「003」の行が太枠表示される。さらに、STEP番号「003」の追加に伴い、それ以後のSTEP番号が順次に繰り上げられる。そして、STEP番号「005」の値、すなわち計算結果が「12」から「7」に更新される。図13では、STEP番号「005」の行は太枠表示されていない。しかしながら、STEP番号「005」の行も太枠表示されてもよい。また、修正があったことをユーザに認知させるための表示は、太枠表示に限らない。修正があったことをユーザに認知させるための表示は、表示している文字の色を変える等であってもよい。
【0075】
図14A図14Eは、図5で示した計算機10の動作における計算過程データの受信からのディスプレイ14の表示の遷移を示す図である。ここで、図14A図14Eは、図13で示したようにして1ステップの計算過程データが削除された際の表示例である。
【0076】
計算過程データが受信されるまでは、図10A及び図10Bと同様の表示が行われる。そして、受信が成功したとき、図14Aに示すようにして、OKアイコン14gが表示される。また、受信後の計算過程データによって計算過程14bの表示が更新される。図113に示すようにしてステップが削除された場合、最終のステップのSTEP番号は、「005」になる。したがって、STEP番号14cの表示は「006」から「005」に更新される。また、計算過程14bの表示は「12」から「7」に更新される。なお、端末20の内部の処理として、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違があると判定される。そして、相違しているステップであるSTEP番号「003」にはマークが付けられる。
【0077】
その後、ユーザによって戻しキー132又は送りキー133が押されたとき、計算過程14bの表示が変更される。ここで、送信した計算過程データと受信した計算過程データとに相違がある場合、すなわちマークが付けられているSTEP番号がある場合には、マークが付けられているSTEP番号の計算過程がまず表示される。例えば、戻しキー132が押されたとき、本来ならばSTEP番号「005」の1つ前のステップであるSTEP番号「004」の計算過程の数値及び演算子が表示される。これに対し、STEP番号「003」にマークが付けられている状態で戻しキー132が押されたときには、図14Bに示すように計算過程14bとしてSTEP番号「003」の「2」及び「÷」が表示される。このような表示は、オールクリアキーが押されるまで継続される。
【0078】
オールクリアキーが押されると、図14Cに示すように初期表示がされる。この後、ユーザによって戻しキー132又は送りキー133が押されたときには、計算過程14bの表示は1ステップずつ切り替わる表示に戻る。例えば、戻しキー132が押されたときには、図14Dに示すように計算過程14bとして、STEP番号「005」の「7」が表示される。さらに続いて戻しキー132が押されたときには、図14Eに示すように計算過程14bとして、STEP番号「004」の「1」及び「=」が表示される。
【0079】
以上説明したように実施形態によれば、検算機能を有する計算機10で生成された計算過程データが端末20に送信される。そして、計算過程データに基づいて計算過程の一覧が端末のディスプレイに表示される。したがって、ユーザは、計算過程を1ステップずつ確認する必要がない。このため、ユーザは、計算機10を単独で用いるよりも簡易に計算過程を確認することができる。さらに、ユーザは、端末のディスプレイ上で計算過程を修正することもできる。このため、ユーザは、計算機10を単独で用いるよりも簡易に計算過程を修正することもできる。
【0080】
また、端末20において修正された計算過程データが計算機10に戻された場合には、修正されたステップが戻しキー132又は送りキー133の操作に従って表示される。このため、修正されたステップを計算機10において確認する際の戻しキー132又は送りキー133の操作回数が減る。このようにして、修正されたステップを計算機10において確認する際の作業の負担も軽減される。
【0081】
ここで、実施形態では、端末20に送信した計算過程データと端末20から受信した計算過程データとに相違があるか否かの判定が、SUM値の比較によって行われる。しかしながら、これに限らない。例えば、計算機アプリによって修正がされた時点で修正がされたステップに対してマークが付けられてもよい。そして、計算機10のプロセッサ11は、このマークの有無によって計算過程データの修正の有無を判定してもよい。
【0082】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0083】
また、上述した実施形態による各処理は、コンピュータであるプロセッサ11及び21に実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の外部記憶装置の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、プロセッサ11及び21は、この外部記憶装置の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行することができる。
【0084】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0085】
以下に、本願の発明の実施の形態から抽出され得る発明を付記する。
[1] ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に表示部に表示する第1の制御部と、
前記計算過程を前記ステップ単位の第1の計算過程データとして記憶する記憶部と、
前記第1の計算過程データを端末に送信する第1の通信部と、
を具備する計算機と、
前記計算機から受信された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップを表示部に一覧表示し、前記表示部に表示された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップに対するユーザによる編集の操作に基づいて前記第1の計算過程データを修正する第2の制御部と、
前記第2の制御部により修正された後の前記第1の計算過程データを第2の計算過程データとして前記計算機に送信する第2の通信部と、
を具備する端末と、
を有し、
前記第1の制御部は、前記端末に送信される前の前記第1の計算過程データと前記端末から受信された後の前記第2の計算過程データとの間で相違しているステップを前記表示部に表示する、
計算機システム。
[2] 前記第1の計算過程データ及び前記第2の計算過程データは、内部に含まれるデータの合計値のデータを含み、
前記第1の制御部は、前記第1の計算過程データにおける第1の合計値のデータと前記第2の計算過程データにおける第2の合計値のデータとの相違に基づいて前記相違しているステップの有無を判定する、
[1]に記載の計算機システム。
[3] 前記第1の制御部は、前記第1の計算過程データのステップ数と前記第2の計算過程データのステップ数との相違に基づいて前記第2の計算過程データにおけるステップの追加又は削除の有無を判定する、
[1]又は[2]に記載の計算機システム。
[4] 前記表示部に表示される前記計算過程を切り替えるための操作を受け付ける操作キーをさらに具備し、
前記第1の制御部は、前記第1の計算過程データと前記第2の計算過程データとの間で相違しているステップがあるときには、前記操作キーの操作に応じて前記相違しているステップを順次に表示する、
[1]-[3]の何れか1に記載の計算機システム。
[5] ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に表示部に表示する制御部と、
前記計算過程を前記ステップ単位の第1の計算過程データとして記憶する記憶部と、
前記第1の計算過程データを端末に送信する通信部と、
を具備し、
前記制御部は、前記端末に送信される前の前記第1の計算過程データと前記端末から受信された後の第2の計算過程データとの間で相違しているステップを前記表示部に表示する、
計算機。
[6] ユーザによって入力された計算式における計算過程を、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位で順次に表示部に表示することと、
前記計算過程を前記ステップ単位の第1の計算過程データとして記憶部に記憶させることと、
前記第1の計算過程データを通信部によって端末に送信することと、
前記端末に送信される前の前記第1の計算過程データと前記端末から受信された後の第2の計算過程データとの間で相違しているステップを前記表示部に表示することと、
を計算機のプロセッサに実行させるための計算機プログラム。
[7] 計算機においてユーザによって入力された計算式における計算過程を表す、少なくとも数値と1つの演算子とを含むステップ単位の第1の計算過程データを通信部によって前記計算機から受信することと、
受信された前記第1の計算過程データのそれぞれのステップを順次に表示部に一覧表示することと、
前記表示部に表示された前記計算過程に対するユーザによる編集の操作に基づいて前記第1の計算過程データを修正することと、
修正された前記第1の計算過程データを第2の計算過程データとして前記計算機に送信することと、
を端末のプロセッサに実行させるための端末プログラム。
【符号の説明】
【0086】
1 計算機システム、10 計算機、11 プロセッサ、12 メモリ、13 操作キー、14 ディスプレイ、15 通信モジュール、20 端末、21 プロセッサ、22 メモリ、23 ストレージ、24 タッチパネル、25 ディスプレイ、26 通信モジュール、27 通信モジュール、131 検算モードキー(ANS/CHECKキー)、132 戻しキー(BACKキー)、133 送りキー(FORWARDキー)、134 送信キー(SENDキー)、135 受信キー(RECEIVEキー)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E