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特許7556249発電システム、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】発電システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20240918BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240918BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240918BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240918BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240918BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240918BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J3/38 150
H02J7/35 F
H02J7/35 K
H02J7/00 A
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020159948
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053237
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平島 正裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 健二
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/127946(WO,A1)
【文献】特開2008-131736(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078683(WO,A1)
【文献】特開2014-155269(JP,A)
【文献】特開2016-082601(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155442(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0305551(US,A1)
【文献】特開2018-019506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含む、電源システムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記電力バスに供給される直流電力が、前記負荷で消費される負荷電力から第1電力を減じた第2電力に抑制されるように目標値を指示するとともに、
前記負荷で消費される負荷電力の内、前記第1電力変換部から前記電力バスに供給される前記第2電力で賄えない差分電力を、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給されるように前記第2電力変換部を制御する、
ことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含む、電源システムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変
換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第2電力変換部に対する充放電制御に関する充放電制御指令として、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される電力を第3電力に指示するとともに、
前記最大電力点追従制御を継続させて前記電力バスに供給される電力が前記負荷で消費される負荷電力を超えないように第4電力を前記電力バスに供給させるように前記第1電力変換部を制御する、
ことを特徴とする電源システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力バスに供給される電力が前記負荷で消費される負荷電力に満たないときには、前記第2電力変換部から供給される前記第3電力を増加させる、ことを特徴とする請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記負荷で消費される負荷電力が所定電力以下であって、かつ、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第2電力変換部に対して前記充放電制御を停止させるゲートブロック指示を前記充放電制御指令として指示するとともに
前記最大電力点追従制御を継続させて、前記電力バスに供給される電力が前記負荷で消費される負荷電力を超えないように第4電力を前記電力バスに供給させるように前記第1電力変換部を制御する、ことを特徴とする請求項に記載の電源システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記負荷で消費される負荷電力が所定電力以下であって、かつ、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記充放電制御指令として、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される電力を第3電力に指示するとともに、
前記第1電力変換部に対して前記最大電力点追従制御を停止させるゲートブロック指示を制御指令として指示する、ことを特徴とする請求項に記載の電源システム。
【請求項6】
前記第1電力の下限値は、前記負荷電力の計測誤差である、ことを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項7】
前記第3電力の下限値は、前記負荷電力の計測誤差である、ことを特徴とする請求項2に記載の電源システム。
【請求項8】
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含む、電源システムの電力変換器の制御方法であって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変
換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記電力バスに供給される直流電力が、前記負荷で消費される負荷電力から第1電力を減じた第2電力に抑制されるように目標値を指示するとともに、
前記負荷で消費される負荷電力の内、前記第1電力変換部から前記電力バスに供給される前記第2電力で賄えない差分電力を、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給されるように前記第2電力変換部を制御する、
ことを実行する制御方法。
【請求項9】
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含む、電源システムの電力変換器の制御方法であって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第2電力変換部に対する充放電制御に関する充放電制御指令として、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される電力を第3電力に指示するとともに、
前記最大電力点追従制御を継続させて第4電力を前記電力バスに供給させるとともに、前記電力バスに供給される電力が前記負荷で消費される負荷電力を超えないように前記第4電力を抑制するように前記第1電力変換部を制御する、
ことを実行する制御方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の電源システムのそれぞれの電力変換器に、請求項8または請求項9に記載の制御方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システム等の発電機構と蓄電池システム等の蓄電機構とを構成に含む分散型の電源システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システム等の発電機構や蓄電池システム等の蓄電機構を構成に含み、商用の電力系統に連系して運用される分散型電源システムが普及してきている(例えば、特許文献1)。需要家においては、例えば、太陽光発電によって得られた電力を交流に変換して負荷や連系する電力系統に供給できるとともに、余剰電力を蓄電することで電力需要が逼迫する昼間に使用してピークシフトを行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-125974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、分散型電源システムにおいて、商用の電力系統から供給された電力を用いることなく負荷が運転される自立運転の際には、太陽光発電等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、余剰電力が蓄電池システム等の備える蓄電池に充電されることになる。分散型電源システムにおいては、発電機構に接続される電力変換器と蓄電機構に接続される電力変換器とは直流バスによって接続されている。ここで、蓄電池が満充電状態になると、蓄電池側の電力変換器では、充電方向に流れる電流値を0Aに抑制することで、蓄電池の過充電状態を防止する。しかしながら、直流バスを充電方向に流れる電流が存在する場合には、一定の電力(微電力)による充電が継続されることになり、蓄電池の過電圧状態を引き起こす虞があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電機構と蓄電機構とを備える分散型電源システムの自立運転時における蓄電池の過充電を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための開示の技術の一形態は、
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含み、前記需要家の電力系統に連系して運用される電源システムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池の充電状態が所定条件を満たすときには、
前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記電力バスに供給される直流電力が、前記負荷で消費される負荷電力から第1電力を減じた第2電力に抑制されるように目標値
を指示するとともに、
前記負荷で消費される負荷電力の内、前記第1電力変換部から前記電力バスに供給される前記第2電力で賄えない差分電力を、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給されるように前記第2電力変換部を制御する、
ことを特徴とする。
【0007】
これにより、電源システムにおいては、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たす場合に、電力バスである直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように第2電力変換部である双方向DC/DCコンバータ24および第1電力変換部であるDC/DCコンバータ22が制御できる。DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される電力は、負荷70で消費される負荷電力から所定の電力である第1電力を減じた第2電力に抑制されるため、発電装置である太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはない。そして、負荷70で消費される負荷電力の中で、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される第2電力で賄えない差分電力が双方向DC/DCコンバータ24から供給可能になるため、電源システムにおいては、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22から直流バス25に供給された電力に基づいて負荷70に電力を供給する自立運転が継続できる。
【0008】
また、開示の技術の他の一形態は、
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含み、前記需要家の電力系統に連系して運用される電源システムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池の充電状態が所定条件を満たすときには、
前記第2電力変換部に対する充放電制御に関する充放電制御指令として、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される電力を第3電力に指示するとともに、
前記最大電力点追従制御を継続させて第4電力を前記電力バスに供給させるとともに、前記電力バスに供給される電力が前記負荷で消費される負荷電力を超えないように前記第4電力を抑制するように前記第1電力変換部を制御する、
ことを特徴とする。
【0009】
このような形態であっても、電源システムにおいては、双方向DC/DCコンバータ24から一定電力である第3電力が放電電力として直流バス25に供給できる。そして、負荷70で消費される負荷電力に対して第3電力で補えない残りの電力である第4電力を、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給できる。この形態においても、発電装置である太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはないため、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。そして、双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22から直流バス25に供給された電力に基づいて負荷70に電力を供給する自立運転が継続できる。
【0010】
また、開示の技術の他の一形態においては、前記制御部は、前記電力バスに供給される電力が前記負荷で消費される負荷電力に満たないときには、前記第2電力変換部から供給される前記第3電力を増加させる、ようにしてもよい。これにより、双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22では、負荷70で消費される負荷電力の減少に応じたMPPT制御および充放電制御が可能になる。
【0011】
また、開示の技術の一形態においては、前記制御部は、前記負荷で消費される負荷電力が所定電力以下のときには、前記第2電力変換部に対して前記充放電制御を停止させるゲートブロック指示を充放電制御指令として指示する、ようにしてもよい。これにより、双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22では、負荷70で消費される負荷電力の減少に応じた、充放電制御が可能になる。
【0012】
また、開示の技術の一形態においては、前記制御部は、前記負荷で消費される負荷電力が所定電力以下のときには、前記第1電力変換部に対して前記最大電力点追従制御を停止させるゲートブロック指示を制御指令として指示する、ようにしてもよい。これにより、双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22では、負荷70で消費される負荷電力の減少に応じた、MPPT制御が可能になる。
【0013】
また、開示の技術の一形態においては、前記第1電力の下限値は、前記負荷電力の計測誤差である、ようにしてもよい。また、開示の技術の一形態においては、前記第3電力の下限値は、前記負荷電力の計測誤差である、これにより、蓄電池ユニット23に蓄電された電力から直流バス25に必ず供給される電力量を最小限に抑制できる。
【0014】
また、開示の技術の他の一形態は、
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含み、前記需要家の電力系統に連系して運用される電源システムの電力変換器が実行する制御方法であって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池の充電状態が所定条件を満たすときには、
前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記電力バスに供給される直流電力が、前記負荷で消費される負荷電力から第1電力を減じた第2電力に抑制されるように目標値を指示するとともに、
前記負荷で消費される負荷電力の内、前記第1電力変換部から前記電力バスに供給される前記第2電力で賄えない差分電力を、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給されるように前記第2電力変換部を制御する、
ことを実行する。
【0015】
このような形態であっても、電源システムにおいては、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たす場合に、電力バスである直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように第2電力変換部である双方向DC/DCコンバータ24および第1電力変換部であるD
C/DCコンバータ22が制御できる。DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される電力は、負荷70で消費される負荷電力から所定の電力である第1電力を減じた第2電力に抑制されるため、発電装置である太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはない。そして、負荷70で消費される負荷電力の中で、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される第2電力で賄えない差分電力が双方向DC/DCコンバータ24から供給可能になるため、電源システムにおいては、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22から直流バス25に供給された電力に基づいて負荷70に電力を供給する自立運転が継続できる。
【0016】
また、開示の技術の他の一形態は、
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含み、前記需要家の電力系統に連系して運用される電源システムの電力変換器が実行する制御方法であって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力が前記負荷で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池の充電状態が所定条件を満たすときには、
前記第2電力変換部に対する充放電制御に関する充放電制御指令として、前記蓄電池に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される電力を第3電力に指示するとともに、
前記最大電力点追従制御を継続させて第4電力を前記電力バスに供給させるとともに、前記電力バスに供給される電力が前記負荷で消費される負荷電力を超えないように前記第4電力を抑制するように前記第1電力変換部を制御する、
ことを実行する。
【0017】
このような形態であっても、電源システムにおいては、双方向DC/DCコンバータ24から一定電力である第3電力が放電電力として直流バス25に供給できる。そして、負荷70で消費される負荷電力に対して第3電力で補えない残りの電力である第4電力を、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給できる。この形態においても、発電装置である太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはないため、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。そして、双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22から直流バス25に供給された電力に基づいて負荷70に電力を供給する自立運転が継続できる。
【0018】
また、開示の技術の他の一形態は、請求項8または請求項9に記載の電源システムのそれぞれの電力変換器に制御方法を実行させるプログラム、であってもよい。このような形態であっても、電源システムにおいては、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たす場合に、電力バスである直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように第2電力変換部である双方向DC/DCコンバータ24および第1電力変換部であるDC/DCコンバータ22が制御できる。DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される電力は
、負荷70で消費される負荷電力から所定の電力である第1電力を減じた第2電力に抑制されるため、発電装置である太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはない。そして、負荷70で消費される負荷電力の中で、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される第2電力で賄えない差分電力が双方向DC/DCコンバータ24から供給可能になるため、電源システムにおいては、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22から直流バス25に供給された電力に基づいて負荷70に電力を供給する自立運転が継続できる。
【0019】
また、電源システムにおいては、双方向DC/DCコンバータ24から一定電力である第3電力が放電電力として直流バス25に供給できる。そして、負荷70で消費される負荷電力に対して第3電力で補えない残りの電力である第4電力を、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給できる。この形態においても、発電装置である太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはないため、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。そして、双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22から直流バス25に供給された電力に基づいて負荷70に電力を供給する自立運転が継続できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、発電機構と蓄電機構とを備える分散型電源システムの自立運転時における蓄電池の過充電が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例1に係る分散型電源システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例1における自立運転時の電力の流れを説明する説明図である。
図3】本発明の実施例1における自立運転時の制御動作を説明する説明図である。
図4】本発明の実施例1における微電力に伴う蓄電池ユニットの過充電を説明する説明図である。
図5】本発明の実施例1における分散型電源システムの制御動作を説明する説明図である。
図6】本発明の実施例1における分散型電源システムの制御動作の推移を示すタイムチャートである。
図7】本発明の実施例1における分散型電源システムの制御動作の推移を示すタイムチャートである。
図8】本発明の実施例1に係る制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9】本発明の実施例1における過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施例2における分散型電源システムの制御動作を説明する説明図である。
図11】本発明の実施例2における分散型電源システムの制御動作の推移を示すタイムチャートである。
図12】本発明の実施例2における分散型電源システムの制御動作の推移を示すタイムチャートである。
図13】本発明の実施例2における過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の適用例に係る分散型電源システム20の概略構成を示すブロック図である。図1には、需要家の構内に設けられた商用の電力系統80と連系して負荷70や連系する電力系統80に交流電力を供給する分散型電源システム20が例示されている。本発明の適用例に係る分散型電源システム20は、発電機構としての太陽光発電システムと、蓄電機構としての蓄電池システムを含むハイブリッド型の電源システムである。
【0023】
図1に示すように、分散型電源システム20は、太陽光発電モジュール21と、蓄電池ユニット23と、パワーコンディショナ(以下、「PCS」ともいう)10を備える。PCS10は、電力変換部12と、制御部11と、DC/DCコンバータ22と、双方向DC/DCコンバータ24とを備える。PCS10のDC/DCコンバータ22は、太陽光発電モジュール21と接続される。また、PCS10の双方向DC/DCコンバータ24は、蓄電池ユニット23と接続される。DC/DCコンバータ22と双方向DC/DCコンバータ24とは直流バス25で接続される。PCS10の電力変換部12は直流バス25に接続され、当該直流バスを通じて供給された直流電力を電力系統80と同期のとれた交流電力に変換するとともに、電力系統80から供給された交流電力を直流電力に変換して直流バス25に出力する。
【0024】
PCS10の制御部11には、直流バス25に設けられた電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)、太陽光発電モジュール21とDC/DCコンバータ22との間に設けられた電力センサ27(電流センサ、電圧センサ)、分電盤82と電力系統80とを繋ぐ電力線83に設けられた電力計81を含む各種のセンサの出力が入力される。制御部11では、上記各種センサを通じて検出された情報に基づいて、太陽光発電モジュール21の発電出力が最大となる最大電力(電流×電圧の値)点あるいは最適動作点でDC/DCコンバータ22が動作するように最大電力点追従制御(Maximum power point tracking、MPPT)が行われる。また、制御部11では、上記各種センサを通じて検出された負荷状況等や、予め設定された充放電に関するモード等に基づいて、充放電に関する制御処理が行われる。
【0025】
適用例に係る分散型電源システム20においては、図2から図3に示すように、自立運転が行われる際には、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力がDC/DCコンバータ22を介して直流バス25に供給される。また、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、負荷電力を超える余剰電力が双方向DC/DCコンバータ24を介して蓄電池ユニット23に充電される。ここで、図4に示すように、双方向DC/DCコンバータ24への電流指令値(BATIリミット指令値)と実際の電流値(BATI)との間に、蓄電池ユニット23への充電方向に向かう一定の電力(微電力)が生じる場合には、当該微電力の電流が蓄電池ユニット23へ流れ込むことになり、蓄電池の過電圧状態が引き起こされる虞があった。
【0026】
適用例に係る分散型電源システム20においては、図5から図13に示すように、蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たすことを契機として、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22が制御される。具体的には分散型電源システム20を構成するPCS10の制御部11は、双方向DC/DCコンバータ24に対して一定の放電電力が直流バス25に供給されるように制御指令を出力する。制御部11は、DC/DCコンバータ22に対して、当該DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力が、「負荷電力-所定電力(一定の放電電力)」に抑制されるように制御指令を出力する。ここで、所定条件とは、蓄電池ユニット23の充電状態を判定するための充電率が所定の閾値を超えることであり、分散型電源システム20の規模や構成、蓄電池ユニ
ット23の蓄電容量、自立運転時において負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。所定条件の一例として、例えば、蓄電池ユニット23の満充電状態が例示できる(この場合の閾値はマージンを考慮して95パーセント程度が望ましい)。
【0027】
このような制御処理を行うことで、双方向DC/DCコンバータ24では、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御が行われ、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力に基づく一定の放電電力が直流バス25に供給される。また、DC/DCコンバータ22では、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御が行われ、太陽光発電モジュール21等の発電電力から直流バス25に供給される電力が“負荷電力-所定電力”に抑制される。本実施例の分散型電源システム20においては、双方向DC/DCコンバータ24から放電された“所定電力(一定の放電電力)”と、DC/DCコンバータ22によって抑制された“負荷電力-所定電力”の電力が供給される。この結果、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される電力は、負荷70で消費される負荷電力と、双方向DC/DCコンバータ24から放電される一定電力との差分電力に抑制されるため、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはない。本実施例に係る分散型電源システム20においては、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0028】
〔実施例1〕
以下では、本発明の具体的な実施の形態について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0029】
<システム構成>
図1は、本発明の実施例に係る分散型電源システム20の概略構成を示すブロック図である。本実施例における分散型電源システム20は、発電機構としての太陽光発電システムと、蓄電機構としての蓄電池システムを含むハイブリッド型の電源システムである。図1に示すように、分散型電源システム20は、需要家の構内に設けられた商用の電力系統80と連系して負荷70や連系する電力系統80に交流電力を供給する電力供給システム1を構成する。分散型電源システム20は、分電盤82を介して商用の電力系統80および負荷70に接続される。なお、本実施例においては、発電機構として太陽光発電システムの形態を用いて説明するが、分散型電源システム20は、太陽光発電システム以外の他の形態の発電システムを採用してもよい。他の形態の発電システムとして、風力や水力等の自然エネルギーを用いた発電システムや、燃料を用いた自家発電システム等が例示される。
【0030】
本実施例の分散型電源システム20は、太陽光発電モジュール21と、蓄電池ユニット23と、パワーコンディショナ(以下、「PCS」ともいう)10を備える。本実施例においては、パワーコンディショナ10は「電力変換器」の一例に相当する。PCS10は、電力変換部12と、制御部11と、DC/DCコンバータ22と、双方向DC/DCコンバータ24とを備える。PCS10のDC/DCコンバータ22は、発電機構を構成する太陽光発電モジュール21と接続される。また、PCS10の双方向DC/DCコンバータ24は、蓄電機構を構成する蓄電池ユニット23と接続される。本実施例の分散型電源システム20においては、PCS10と太陽光発電モジュール21とは太陽光発電システムを構成し、PCS10と蓄電池ユニット23とは蓄電池システムを構成する。本実施例の分散型電源システム20は「電源システム」に相当する。
【0031】
本実施例に係るPCS10のDC/DCコンバータ22と双方向DC/DCコンバータ24とは直流バス25で接続される。PCS10の電力変換部12は直流バス25に接続され、当該直流バスを通じて供給された直流電力を交流電力に変換する。電力変換部12は、直流バス25を通じて供給された直流電力を電力系統80と同期のとれた交流電力に
変換するDC/ACコンバータ、電力系統80から供給された交流電力を直流電力に変換して直流バス25に出力するAC/DCコンバータを含み構成される。本実施例においては、発電機構を構成する太陽光発電モジュール21は「発電装置」の一例であり、蓄電機構を構成する蓄電池ユニット23は「蓄電池」の一例である。また、本実施例に係るパワーコンディショナ(PCS)10が備えるDC/DCコンバータ22は「第1電力変換部」に相当し、双方向DC/DCコンバータ24は「第2電力変換部」に相当する。また、本実施例に係るDC/DCコンバータ22と双方向DC/DCコンバータ24とが接続される直流バス25は「電力バス」に相当する。
【0032】
DC/DCコンバータ22は、太陽光発電モジュール21で発電された直流電力を昇圧して直流バス25に供給するためのユニットである。蓄電池ユニット23は、定格等で定められた所定容量の電力を蓄積する蓄電池であり、当該定格等により充放電の回数が制限される。双方向DC/DCコンバータ24は、直流バス25を通じて供給された蓄電池ユニット23へ充電される電力の電圧や、蓄電池ユニット23から直流バス25に出力される放電電力の電圧を双方向に変換するユニットである。DC/DCコンバータ22、蓄電池ユニット23や双方向DC/DCコンバータ24には、制御部11からの制御指令を受けて動作するマイコン等が組み込まれている。
【0033】
PCS10の制御部11は、プロセッサ(CPU等)、メモリ、ゲートドライバ、通信インタフェース回路等を含んで構成されるユニットである。制御部11には、直流バス25に設けられた電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)、太陽光発電モジュール21とDC/DCコンバータ22との間に設けられた電力センサ27(電流センサ、電圧センサ)、分電盤82と電力系統80とを繋ぐ電力線83に設けられた電力計81を含む各種のセンサの出力が入力される。制御部11では、上記各種センサを通じて検出された情報に基づいて、太陽光発電モジュール21の発電出力が最大となる最大電力(電流×電圧の値)点あるいは最適動作点でDC/DCコンバータ22が動作するように最大電力点追従制御(Maximum power point tracking、MPPT)が行われる。
【0034】
また、制御部11では、上記各種センサを通じて検出された負荷状況等や、予め設定された充放電に関するモード等に基づいて、充放電に関する制御処理(蓄電制御処理ともいう)が行われる。例えば、制御部11は、放電を行う場合には、双方向DC/DCコンバータ24を通じて蓄電池ユニット23から放電された電力を変換して直流バス25へ供給するように制御し、放電を停止する場合には、蓄電池ユニット23からの放電を停止させて直流バス25に放電される電力を停止するように制御する。
【0035】
さらに、制御部11は、上記モードや負荷状況、蓄電池ユニット23の充電状態等に基づいて、充電を行うと判定した場合には、電力系統80やDC/DCコンバータ22を通じて直流バス25に供給された太陽光発電モジュール21の電力を変換し、蓄電池ユニット23へ充電するように制御する。制御部11からの上記蓄電制御処理に関する制御指令を受け、蓄電池ユニット23および双方向DC/DCコンバータ24の動作が制御される。
【0036】
図2は、自立運転時における電力の流れを説明する説明図である。分散型電源システム20において、自立運転の際には、斜め斜線でハッチングされた矢印A1に示すように、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力がDC/DCコンバータ22を介して直流バス25に供給される。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力を所定の電圧値に変換して直流バス25に出力する。直流バス25に接続されたPCS10の電力変換部12は、制御部11からの制御指令に基づいて、直流バス25に供給された直流電力を力系統80と同期のとれた交流電力に変換して負荷70に供給する(
出力電圧制御(OUTV制御)、出力電流制御(OUTI制御))。また、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、負荷電力を超える余剰電力が双方向DC/DCコンバータ24を介して蓄電池ユニット23に充電される。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)を行い、直流バス25に供給された直流電力の電圧を変換して蓄電池ユニット23を充電する。
【0037】
図3は、自立運転時における制御動作を説明する説明図である。図3においては、電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)を介して検出された直流バス電圧に対するDC/DCコンバータ22(単方向DDとも言う)の制御形態が例示される。図3に示すように、自立運転時にはDC/DCコンバータ22は制御部11からの制御指令(直流バス電圧指令値)に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等で発電された電力を所定の電圧値に昇圧して直流バス25に出力する。制御部11は、電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)を介して検出された直流バス電圧が所定値A2を超える場合には、直流バス電圧の上昇を抑制するようにDC/DCコンバータ22を制御する。直流バス電圧の上昇を抑制により、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力の電圧値は、直流バス電圧指令値で指定された電圧値近傍で安定することになる。
【0038】
図2で説明したように、自立運転が行われる際には、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、負荷電力を超える余剰電力が双方向DC/DCコンバータ24を介して蓄電池ユニット23に充電される。蓄電池ユニット23は、自身の充電状態が満充電(SOC(State of Charge)が100パーセント)状
態であることを検知し、制御部11に通知する。制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電状態を示す通知を受け、蓄電池ユニット23への充電を抑制するように、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧制御を行う。具体的には、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧制御指令として、充電方向の電流値が「0A」になるように、電流指令値(BATIリミット指令値)を出力する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて蓄電池ユニット23への充電方向にある電流値を「0A」に低下させる。
【0039】
図4は、充電方向に流れる一定の電力に伴う蓄電池ユニット23の過充電を説明する説明図である。図4においては、実線で表された双方向DC/DCコンバータ24への電流指令値(BATIリミット指令値)と、破線で表された実際の電流値(BATI)との相対的な大小関係が例示される。図4に示すように、双方向DC/DCコンバータ24への電流指令値(BATIリミット指令値)と実際の電流値(BATI)との間に、蓄電池ユニット23への充電方向に向かう一定の電力(微電力ともいう)が生じる場合には、当該微電力の電流が蓄電池ユニット23へ流れ込むことになる(図4の例では、数A)。このような一定電力が生じる要因として、例えば、分散型電源システム20が備える各種センサや各種計測器の計測誤差が例示される。つまり、双方向DC/DCコンバータ24においては、制御部11からの電流指令値(BATIリミット指令値)に基づいて充電方向の電流値(BATI)を「0A」に制御していても、微電力による蓄電池ユニット23への充電が継続されることになる。蓄電池ユニット23においては、満充電状態になった後も、充電方向に流れる微電力の電流によって徐々に充電され、蓄電池の過電圧状態が引き起こされる虞があった。
【0040】
図5は、本実施例に係る分散型電源システム20の制御動作を説明する説明図である。本実施例に係る分散型電源システム20は、自立運転時に蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たす場合に、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22を制御する。ここで、所定条件とは、蓄電池ユニット23の充電状態を判定するための充電率が
所定の閾値を超えることであり、分散型電源システム20の規模や構成、蓄電池ユニット23の蓄電容量、自立運転時において負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。所定条件の一例として、例えば、蓄電池ユニット23の満充電状態が例示できる(この場合の閾値はマージンを考慮して95パーセント程度が望ましい)。
【0041】
実線の矩形枠A6に示すように、制御部11は、DC/DCコンバータ22に対して、当該DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力が、「負荷電力-所定電力」に抑制されるように制御指令を出力する。ここで、制御指令における所定電力とは、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力が直流バス25に対して放電方向に向かう電力であればよい。制御指令における所定電力として、例えば、図4で説明した、直流バス25を充電方向に向かう一定電力と同等の電力が例示される。なお、本実施例における所定電力は「第1電力」の一例に相当する。
【0042】
図5の実線吹き出しA4に示すように、負荷70で消費される負荷電力が“1000W”であると想定する。そして、制御指令における所定電力として“100W”が制御部11から指示された場合を想定する。制御部11は、実線の矩形枠A6に示すように、DC/DCコンバータ22に対して、当該DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力が、「負荷電力-所定電力=900W」に抑制されるように制御指令を出力する。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力から直流バス25に供給される電力を“900W”に抑制する。本実施例における、「負荷電力-所定電力」となる電力が「第2電力」の一例に相当する。
【0043】
そして、制御部11は、負荷70で消費される負荷電力の内、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される「負荷電力-所定電力」で賄えない差分電力を、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力に基づいて補えるように双方向DC/DCコンバータ24を制御する。上記の例では、負荷電力である“1000W”の内、“1000W-900W”に相当する電力が双方向DC/DCコンバータ24から直流バス25に供給される。
【0044】
図5のA5に示すように、制御部11は、差分電力が“100W”のときには、双方向DC/DCコンバータ24に対して当該差分電力が直流バス25に供給されるように制御指令を出力する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御を行い、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力に基づいて変換を行い、上記差分電力を直流バス25に出力する。直流バス25には、双方向DC/DCコンバータ24から放電された“100W”の電力と、DC/DCコンバータ22によって抑制された“900W”の電力が供給される。
【0045】
図5の斜め斜線でハッチングされた矢印A3に示すように、PCS10の電力変換部12は、制御部11からの制御指令に基づいて、直流バス25に供給された直流電力を電力系統80と同期のとれた交流電力に変換して負荷70に供給する(出力電圧制御(OUTV制御)、出力電流制御(OUTI制御))。本実施例に係る分散型電源システム20においては、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22が制御される。DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される電力は、負荷70で消費される負荷電力から所定電力を差し引いた電力に抑制されるため、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはない。そして、負荷70で消費される負荷電力の中で、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される第2電力で賄えない差分電力が双方向DC/DCコンバータ24から必ず供給される。この結果、本実施例に係る分散型電源システム20においては、直流バス25を
充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0046】
なお、負荷70で消費される負荷電力が、所定電力以下に減少するケースが想定される。このようなケースでは、本実施例に係る分散型電源システム20の制御部11は、双方向DC/DCコンバータ24、または、DC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を制御指令として出力し、直流バス25を充電方向に流れる微電力を遮断する。
【0047】
図5において、例えば、負荷70で消費される負荷電力が“100W”と想定する。制御部11は、例えば、負荷電力が所定電力以下であることを契機として双方向DC/DCコンバータ24に対してゲートブロック指令を出力する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からのゲートブロック指令に基づいてBATI制御を停止させ、直流バス25に供給される充電方向の直流電力を遮断する。なお、DC/DCコンバータ22においては、「負荷電力-所定電力」となる直流バス電圧指令値に基づいてMPPT制御が継続されるため、直流バス25に供給される電力は“0W”に抑制される。双方向DC/DCコンバータ24に対してゲートブロック指令を出力する形態では、直流バス25から蓄電池ユニット23側に向かう充電方向の電力が遮断できるため、微電力による蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0048】
一方、DC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を出力する形態では、DC/DCコンバータ22は、制御部11からのゲートブロック指令に基づいてMPPT制御を停止させ、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づく直流電力の直流バス25への供給を遮断する。双方向DC/DCコンバータ24においては、差分電力を供給するようにBATI制御が継続するため、直流バス25に供給される電力は負荷電力に応じて抑制される。このような形態であっても、直流バス25に供給される電力は放電方向に限定されるため、微電力による蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0049】
図6および図7は、本実施例に係る分散型電源システム20の制御動作の推移を示すタイムチャートである。図6および図7においては、満充電以降の負荷電力の減少変動に伴うDC/DCコンバータ22(単方向DD)および双方向DC/DCコンバータ24(双方向DD)の制御動作の推移が例示される。図6は、負荷電力が一定の放電電力以下のときに、双方向DC/DCコンバータ24に対してゲートブロック制御する形態であり、図7は、DC/DCコンバータ22に対してゲートブロック制御する形態である。図6および図7の上部には、自立運転時における蓄電池ユニット23の充電状態を示すSOC曲線B1が例示されている。また、図6および図7において、自立運転時における蓄電池ユニット23はタイミングt1で満充電状態となる。同様にして、負荷電力B7に示すように、負荷70で消費される負荷電力は、タイミングt2で減少する。なお、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値と、DC/DCコンバータ22に対する直流バス電圧指令値とを区別するため、前者を「双方向指令値」とも称し、後者を「単方向指令値」とも称す。
【0050】
先ず、図6において、本実施例の分散型運転システム20では、蓄電池ユニット23の満充電を契機として、制御部11は、単方向DDに対する制御指令として、当該単方向DDから直流バス25に供給される直流電力が、「負荷電力-所定電力」に抑制されるように直流バス電圧指令値(単方向指令値)を出力する。単方向DDは、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力から直流バス25に供給される電力を「負荷電力-所定電力」に抑制する(図5、“900W”)。そして、双方向DDは、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御を行い、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力を所定電圧に変換して所定電力(図5、“100W”)の直流電力を直流バス25に供給する。
【0051】
図6に示すように、単方向DDから直流バス25に供給される単方向DD電力B5は、タイミングt1を契機として、制御部11から指示された制御目標値である、「負荷電力-所定電力」へ移行する。単方向DDから直流バス25に供給される単方向DD電力B5は、「負荷電力-所定電力」である単方向DD電力抑制閾値D2に抑制される。一方、双方向DDから直流バス25に供給される電力は、双方向DD電力B6に示すように、タイミングt1を契機として、充電方向から放電方向に移行する。そして、双方向DD電力B6に示すように、制御部11から双方向指令値で指示された所定電力が双方向DDから直流バス25に供給される。なお、図6においては、双方向DDから直流バス25に供給される所定電力が、双方向DDをゲートブロックさせるための判定条件D1となる。単方向DDおよび双方向DDから供給された電力により、負荷70で消費される負荷電力B7が賄われる。
【0052】
この状態で自立運転を行う分散型電源システム20では、単方向DD電力B5に示すように、タイミングt2で減少した負荷電力B7が単方向DD電力抑制閾値D2以下であることを条件として、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づくMPPT制御の抑制が開始される。さらに、負荷電力B7が減少し、双方向DDに対するゲートブロックの判定条件である所定電力D1を下回る場合には、制御部11は、双方向DDに対するゲートブロック指令を制御指令として出力する。双方向DDでは、ゲートブロック指令に基づいて放電方向のBATI制御が停止される。直流バス25に供給される双方向DDからの放電電力および単方向DDからの発電電力は負荷電力B7に応じて抑制される。
【0053】
図6において、タイミングt4に示すように、負荷電力B7が増加し、所定電力D1を超えることを条件として、制御部11は、双方向DDに対してゲートブロックの解除指令を制御指令として出力する。双方向DDにおいては、制御部11からの制御指令に基づいてゲートブロックが解除され、蓄電池ユニット23に蓄電された電力に基づく放電方向の直流電力を直流バス25に供給するためのBATI制御が開始される。さらに、負荷電力B7が増加し、単方向DDに対する単方向DD電力抑制閾値D2を超える場合には、抑制された太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づくMPPT制御が再び開始され、負荷電力B7に応じた「負荷電力-所定電力」の直流電力が直流バス25に供給される。
【0054】
次に、負荷電力が一定の放電電力以下のときに、DC/DCコンバータ22がゲートブロックする形態について図7を用いて説明する。本形態においても、蓄電池ユニット23の満充電を契機として、制御部11は、単方向DDに対する制御指令として、当該単方向DDから直流バス25に供給される直流電力が、「負荷電力-所定電力」に抑制されるように直流バス電圧指令値(単方向指令値)を出力する。そして、制御部11は、双方向DDに対する制御指令として一定の放電電力を直流バス25に供給する直流バス電圧指令値(双方向指令値)を指示する。単方向DDは、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力から直流バス25に供給される電力を「負荷電力-所定電力」に抑制する(図5、“900W”)。また、双方向DDは、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御を行い、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力を所定電圧に変換して所定電力(図5、“100W”)の直流電力を直流バス25に供給する
【0055】
図7に示すように、単方向DDから直流バス25に供給される単方向DD電力B5aは、タイミングt1を契機として、制御部11から指示された制御目標値である、「負荷電力-所定電力」へ移行する。単方向DDから直流バス25に供給される単方向DD電力B5aは、「負荷電力-所定電力」である単方向DD電力抑制閾値D2aに抑制される。一方、双方向DDから直流バス25に供給される電力は、双方向DD電力B6aに示すよう
に、タイミングt1を契機として、充電方向から放電方向に移行する。そして、双方向DD電力B6aに示すように、制御部11から双方向指令値で指示された所定電力が双方向DDから直流バス25に供給される。なお、図7においては、双方向DDから直流バス25に供給される所定電力が、単方向DDをゲートブロックさせるための判定条件D1aとなる。単方向DDおよび双方向DDから供給された電力により、負荷70で消費される負荷電力B7が賄われる。
【0056】
図7においても、単方向DD電力B5aに示すように、タイミングt2で減少した負荷電力B7が単方向DD電力抑制閾値D2以下であることを条件として、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づくMPPT制御の抑制が開始される。そして、負荷電力B7が減少し、単方向DDに対するゲートブロックの判定条件である所定電力D1aを下回る場合には、制御部11は、単方向DDに対するゲートブロック指令を制御指令として出力する。単方向DDでは、ゲートブロック指令に基づいて直流バス25に供給される電力が遮断される。また、双方向DDでは、直流バス25に供給される直流電力が、双方向指令値で指示された所定電力(一定の放電電力)以下のときには、放電方向の電流値が「0A」になるように制御される。本形態においても、直流バス25に供給される双方向DDからの放電電力および単方向DDからの発電電力は負荷電力B7に応じて抑制される。
【0057】
そして、図7においても、タイミングt4に示すように、負荷電力B7が増加し、所定電力D1aを超えることを条件として、制御部11は、単方向DDに対してゲートブロックの解除指令を制御指令として出力する。単方向DDにおいては、制御部11からの制御指令に基づいてゲートブロックが解除され、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づくMPPT制御が開始される。また、双方向DDでは、双方向指令値で指示された所定電力が直流バス25に供給されるようにBATI制御が開始される。そして、さらに、負荷電力B7が増加し、単方向DDに対する単方向DD電力抑制閾値D2aを超えることを契機として抑制されていた太陽光発電モジュール21等による発電電力に基づくMPPT制御が再び開始され、負荷電力B7に応じた「負荷電力-所定電力」の直流電力が直流バス25に供給される。
【0058】
<制御部構成>
図8は、本実施例に係るPCS10の制御部11のハードウェア構成の一例を示す図である。図8に示すように、制御部11は、接続バス106によって相互に接続されたプロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信IF104、入出力IF105を構成要素に含むコンピュータである。主記憶装置102および補助記憶装置103は、制御部11が読み取り可能な記録媒体である。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。なお、蓄電池ユニット23や双方向DC/DCコンバータ24、DC/DCコンバータ22が備えるマイコンは、制御部11と実質的に同等のハードウェア構成によって実現される。
【0059】
プロセッサ101は、制御部11全体の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ101は、例えば、補助記憶装置103に記憶されたプログラムを主記憶装置102の作業領域に実行可能に展開し、当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。但し、プロセッサ101が提供する一部または全部の機能が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit
)等によって提供されてもよい。同様にして、一部または全部の機能が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)、その他のハードウェア回路で実現されてもよい。
【0060】
主記憶装置102および補助記憶装置103は、制御部11のメモリを構成する。主記憶装置102は、プロセッサ101が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶装置102は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置103は、プロセッサ101等により実行されるプログラムや、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置103は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、SD
(Secure Digital)メモリカード等を含む。通信IF104は、通信ネットワークとの通信インタフェースである。通信IF104は、接続される通信ネットワークとの接続方式に応じて適宜の構成を採用できる。本実施例においては、通信IF104を介して接続されたDC/DCコンバータ22、蓄電池ユニット23、双方向DC/DCコンバータ24との間で各種の制御指令が通知される。入出力IF15は、PCS10の備える入力デバイス、出力デバイスとの間でデータの入出力を行うインタフェースである。入出力IF15を通じて、LCD等の表示デバイスや、PCS10に接続されたプリンタ等の出力デバイスに出力される。また、入出力IF15を通じて、操作指示が受け付けられ、当該操作指示に基づいて操作者の意図する処理が行われる。さらに、本実施例においては、入出力IF15を通じて接続された、直流バス25に設けられた電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)や電力計81を含む各種のセンサの出力信号が制御部11に入力される。
【0061】
<処理の流れ>
図9は、本実施例に係る制御部11で提供される過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。図9のフローにおいては、蓄電機構から直流バス25に供給される放電方向の直流電力を優先させる処理が行われる。本実施例に係るPCS10の制御部11においては、過充電防止処理は自立運転時に実行される。
【0062】
処理の開始後、分散型電源システム20において、太陽光発電モジュール21等で発電された電力に基づく自立運転が行われる(ステップS101)。DC/DCコンバータ22は制御部11からの制御指令(直流バス電圧指令値)に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等で発電された電力を所定の電圧値に昇圧して直流バス25に出力する。また、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)を行い、直流バス25に供給された直流電力の電圧を変換して蓄電池ユニット23を充電する。ステップS101の処理後、処理はステップS102に進む。
【0063】
ステップS102では、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすか否かが判定される。このような判定条件は、分散型電源システム20の規模や構成、蓄電池ユニット23の蓄電容量、自立運転時の負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。判定条件の典型例として、蓄電池ユニット23の充電状態が満充電(SOC(State of
Charge)が95パーセントから100パーセント)状態であるか否かが判定される。制
御部11においては、通信IF104を通じて取得された蓄電池ユニット23の満充電状態を示す通知に基づいて当該蓄電池ユニットの充電状態が判定される。ステップS102において、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たす場合(充電状態が満充電状態)の場合には(ステップS102、“Yes”)、処理はステップS103に進み、そうでない場合には(ステップS102、“No”)、処理はステップS101に戻る。ステップS103では、電力計81等を介して負荷70で消費されている負荷電力が取得されると、処理はステップS104に進む。
【0064】
ステップS104においては、DC/DCコンバータ22に対する制御目標値が制御指
令として出力されると処理はステップS105に進む。ステップS104においては、制御目標値として、“負荷電力-放電電力”が設定され、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される太陽光発電モジュール21等の発電電力が制御目標値を超えないように抑制される。
【0065】
ステップS105においては、双方向DC/DCコンバータ24に対する所定の放電電力の指定が制御指令として出力されると処理はステップS106に進む。双方向DC/DCコンバータ24では、制御部11からの制御指令に基づいて蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させるBATI制御が行われ、負荷70で消費される負荷電力の内、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される「負荷電力-所定電力」で賄えない差分電力が直流バス25に供給される。
【0066】
ステップS106においては、負荷電力が放電電力以下になったときのゲートブロック制御に関する指定が行われる。すなわち、ゲートブロックによって直流バス25への電力供給を遮断させる対象機器である、双方向DC/DCコンバータ24もしくはDC/DCコンバータ22が指定される。このような、対象機器は、分散型電源システム20の規模や構成、自立運転時に負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。また、ゲートブロックを判定するための判定閾値が指定される。図5から図7等で説明したように、このような判定閾値は、例えば、双方向DC/DCコンバータ24に制御指令として指定される一定の放電電力値である。ステップS106の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0067】
以上、説明したように、本実施例に係る分散型電源システム20においては、蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たす場合に、直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22が制御される。分散型電源システム20を構成するPCS10の制御部11は、例えば、蓄電池ユニット23からの満充電状態を示す通知を契機として、DC/DCコンバータ22に対して、当該DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力が、「負荷電力-所定電力」に抑制されるように制御指令を出力する。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力から直流バス25に供給される電力を“負荷電力-所定電力”に抑制する。そして、負荷70で消費される負荷電力の内、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される「負荷電力-所定電力」で賄えない差分電力を直流バス25に供給するように、双方向DC/DCコンバータ24に対して制御指令を出力する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御を行い、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力に基づく一定の放電電力を直流バス25に出力する。
【0068】
ここで、制御指令における一定の放電電力とは、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力が直流バス25に対して放電方向に向かう一定量の電力である。例えば、図4等で説明した、直流バス25を充電方向に向かう一定電力と同等の電力が例示される。この結果、本実施例の分散型電源システム20においては、DC/DCコンバータ22によって抑制された“負荷電力-所定電力”と、双方向DC/DCコンバータ24から放電された放電電力(“負荷電力-所定電力”で賄えない負荷の消費電力分)が供給される。DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される電力は、負荷70で消費される負荷電力と所定電力との差分電力に抑制されるため、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはない。本実施例に係る分散型電源システム20においては、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0069】
〔実施例2〕
双方向DC/DCコンバータ24から直流バス25に放電される電力として、一定電力を指定することもできる。このような一定電力として、放電時のBATI制御における放電電流指令値の下限値(最低値)を放電電力に指定することもできる。実施例2(以下、本実施例とも称す)の形態では、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすことを契機として、双方向DC/DCコンバータ24から必ず直流バス25に供給される直流電力を、BATI制御における放電電流指令値の下限値として指定する。なお、実施例2に係る分散型電源システム20の構成は実施例1と同様である。また、本実施例においても、蓄電池ユニット23の満充電状態を所定条件として説明する。本実施例において指示される一定電力(放電時のBATI制御における放電電流指令値の下限値)は、「第3電力」の一例に相当する。
【0070】
図10は、本実施例に係る分散型電源システム20の制御動作を説明する説明図である。図10の斜め斜線でハッチングされた矢印A3は、自立運転時の直流バス25に供給される直流電力の流れを表す。本実施例においても、分散型電源システム20は、自立運転時に蓄電池ユニット23の充電状態が満充電状態となった場合に、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22を制御する。具体的には、図5のA7に示すように、制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電状態を示す通知を契機として双方向DC/DCコンバータ24に対する放電電流指令値の下限値(最低値)を放電電力に指定する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御を行い、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力に基づく下限値を放電電力として直流バス25に供給する。
【0071】
ここで、双方向DC/DCコンバータ24における放電電流指令値の下限値(最低値)は“100W”であると想定し、負荷70で消費される負荷電力は、実線吹き出しA4に示すように“1000W”であると想定する双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御を行い、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力を所定電圧に変換して“100W”の直流電力を直流バス25に供給する。そして、制御部11は、実線の矩形枠A8に示すように、DC/DCコンバータ22に対して、双方向DC/DCコンバータ24において下限値で賄えない負荷電力分を出力するように指示する。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力を所定電圧に変換し、放電電流指令値の下限値で賄えない負荷電力分を直流バス25に供給する。放電電流指令値の下限値(最低値)が“100W”であり、負荷70で消費される負荷電力が“1000W”のときには、“負荷電力-下限値に相当する放電電力”として“900W”の電力が直流バス25に供給されるようにDC/DCコンバータ22は制御される。本実施例のDC/DCコンバータ22から直流バス25に出力される、放電電流指令値の下限値で賄えない負荷電力分は、「第4電力」の一例に相当する。なお、実線の矩形枠A7に示すように、制御部11は、DC/DCコンバータ22および双方向DC/DCコンバータ24を通じて直流バス25に供給される電力が負荷電力に満たないときには、双方向DC/DCコンバータ24から直流バス25に供給される放電電力を増加させる。
【0072】
本実施例においても、実施例1と同様に、PCS10の電力変換部12では、直流バス25に供給された直流電力が電力系統80と同期のとれた交流電力に変換して負荷70に供給される。本実施例においても、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22が制御されるため、微電力による蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0073】
ここで、負荷70で消費される負荷電力が、双方向DC/DCコンバータ24に対する
制御指令(放電電流指令値の下限値)以下のケースが想定される。このようなケースでは、本実施例に係る分散型電源システム20の制御部11は、実施例1と同様にして、双方向DC/DCコンバータ24、または、DC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を制御指令として出力し、直流バス25を充電方向に流れる微電力を遮断する。
【0074】
例えば、負荷電力が所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)以下であることを条件として双方向DC/DCコンバータ24、または、DC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を出力する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からのゲートブロック指令に基づいてBATI制御を停止させ、直流バス25に供給される充電方向の直流電力を遮断する。また、DC/DCコンバータ22は、制御部11からのゲートブロック指令に基づいてMPPT制御を停止させ、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づく直流電力の直流バス25への供給を遮断する。双方向DC/DCコンバータ24に対してゲートブロック指令を出力する形態では、直流バス25から蓄電池ユニット23側に向かう充電方向の電力が遮断できるため、微電力による蓄電池の過充電が防止可能になる。また、DC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を出力する形態であっても、直流バス25に供給される電力は、蓄電池ユニット23に蓄電された電力に基づく放電方向に限定されるため、微電力による蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0075】
図11および図12は、本実施例に係る分散型電源システム20の制御動作の推移を示すタイムチャートである。図11および図12においては、満充電以降の負荷電力の減少変動に伴うDC/DCコンバータ22(単方向DD)および双方向DC/DCコンバータ24(双方向DD)の制御動作の推移が例示される。図11は、負荷電力が一定の放電電力以下のときに、双方向DC/DCコンバータ24に対してゲートブロック制御する形態であり、図12は、DC/DCコンバータ22に対してゲートブロック制御する形態である。図11および図12の上部には、自立運転時における蓄電池ユニット23の充電状態を示すSOC曲線B1が例示されている。また、それぞれの図に示すように自立運転時における蓄電池ユニット23はタイミングt1で満充電状態となり、負荷電力B7に示すように、負荷70で消費される負荷電力は、タイミングt2で減少する。なお、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値と、DC/DCコンバータ22に対する直流バス電圧指令値とを区別するため、前者を「双方向指令値」とも称し、後者を「単方向指令値」とも称す。
【0076】
先ず、図11において、本実施例の分散型運転システム20では、蓄電池ユニット23の満充電を契機として、制御部11は、双方向DDに対する制御指令として放電電流指令値の下限値を指示する。そして、制御部11は、単方向DDに対する制御指令として、当該単方向DDから直流バス25に供給される直流電力が、“負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)”になるように指示する。双方向DDでは、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御が行われ、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力を所定電圧に変換して所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)の直流電力が直流バス25に供給される。また、単方向DDでは、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御が行われ、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力を変換して“負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)”の直流電力が直流バス25に供給される。単方向DDおよび双方向DDから供給された電力により、負荷70で消費される負荷電力B7が賄われる。なお、図11に示す形態では、放電電流指令値の下限値に相当する所定電力が、双方向DDをゲートブロックさせるための判定条件D1bとなる。
【0077】
そして、双方向DD電力B6bに示すように、タイミングt2で減少した負荷電力B7が双方向DDに対するゲートブロックの判定条件である下限値D1b以下であることを条
件として、制御部11はゲートブロック指令を制御指令として出力する。双方向DDでは、ゲートブロック指令に基づいて放電方向のBATI制御が遮断される。なお、単方向DDにおいては、単方向DD電力B5bに示すように、減少する負荷電力B7に追従してMPPT制御が継続される。直流バス25に供給される双方向DDからの放電電力および単方向DDからの発電電力は負荷電力B7に応じて抑制される。
【0078】
この状態で、負荷電力B7が増加すると、タイミングt4に示すように、所定電力である下限値D1bを超えることを条件として、制御部11は、双方向DDに対してゲートブロックの解除指令を制御指令として出力する。双方向DDにおいては、制御部11からの制御指令に基づいてゲートブロックが解除され、蓄電池ユニット23に蓄電された電力に基づく放電方向の直流電力を直流バス25に供給するためのBATI制御が開始される。また、単方向DDにおいては、増加する負荷電力B7に追従してMPPT制御が継続され、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づく、負荷電力B7に応じた「負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)」に相当する直流電力が直流バス25に供給される。
【0079】
次に、負荷電力が所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)以下のときに、DC/DCコンバータ22がゲートブロックする形態について図12を用いて説明する。図12においても、蓄電池ユニット23の満充電を契機として、制御部11では、双方向DDに対する制御指令として放電電流指令値の下限値が指示される。また、制御部11は、単方向DDに対する制御指令として、当該単方向DDから直流バス25に供給される直流電力が、“負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)”になるように指示する。双方向DDでは、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御が行われ、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力を所定電圧に変換して所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)の直流電力が直流バス25に供給される。また、単方向DDでは、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御が行われ、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力を変換して“負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)”の直流電力が直流バス25に供給される。図12においても、単方向DDおよび双方向DDから供給された電力により、負荷70で消費される負荷電力B7が賄われる。なお、図12においては、放電電流指令値の下限値に相当する所定電力が、単方向DDをゲートブロックさせるための判定条件D1cとなる。
【0080】
図11と同様にして、制御部11は、タイミングt2で減少した負荷電力B7が単方向DDに対するゲートブロックの判定条件である下限値D1c以下であることを条件として、ゲートブロック指令を制御指令として出力する。単方向DDでは、ゲートブロック指令により、太陽光発電モジュール21等の発電電力に基づくMPPT制御による直流バス25への電力供給が遮断される。なお、双方向DDにおいては、放電方向のBATI制御の下限値に相当する電力が継続して直流バス25に供給される。
【0081】
この状態で、負荷電力B7が増加すると、タイミングt4に示すように、所定電力である下限値D1cを超えることを条件として、制御部11は、単方向DDに対してゲートブロックの解除指令を制御指令として出力する。単方向DDにおいては、制御部11からの制御指令に基づいてゲートブロックが解除され、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力に基づく、負荷電力B7に応じた「負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)」に相当する直流電力の直流バス25への供給が開始される。
【0082】
<処理の流れ>
図13は、本実施例に係る制御部11で提供される過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。図13のフローにおいては、放電電流指令値の下限値に相当する電力に
基づく、蓄電機構から直流バス25に供給される放電方向の直流電力を優先させる処理が行われる。本実施例に係るPCS10の制御部11においては、実施例1と同様に、過充電防止処理は自立運転時に実行される。なお、ステップS101からステップS103の処理は、図9と同様のため説明が省略される。
【0083】
ステップS114においては、蓄電池ユニット23に接続される双方向DC/DCコンバータ24に対する放電電流指令の下限値が制御指令として指定されて出力されると処理はステップS115に進む。双方向DC/DCコンバータ24では、制御部11からの制御指令に基づいて蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させるBATI制御が行われ、放電電流指令の下限値に相当する放電電力が直流バス25に供給される。ステップS114の処理後、ステップS115に処理は進む。
【0084】
ステップS115においては、DC/DCコンバータ22に対する制御指令が出力されると処理はステップS116に進む。ステップS115においては、DC/DCコンバータ22に対し、放電電流指令値の下限値で賄えない負荷電力分を直流バス25に供給するMPPT制御が維持される。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御を行い、放電電流指令値の下限値で賄えない負荷電力分を直流バス25に供給する。なお、直流バス25に供給される電力は、負荷70で消費される負荷電力を超えないように抑制される。例えば、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される電力は、“負荷電力-下限値相当電力”に抑制される。なお、制御部11は、DC/DCコンバータ22および双方向DC/DCコンバータ24を通じて直流バス25に供給される電力が負荷電力に満たないときには、双方向DC/DCコンバータ24から直流バス25に供給される放電電力を増加させる。
【0085】
ステップS116においては、負荷電力が放電電力以下になったときのゲートブロック制御に関する指定が行われる。すなわち、ゲートブロックによって直流バス25への電力供給を遮断させる対象機器である、双方向DC/DCコンバータ24もしくはDC/DCコンバータ22が指定される。このような、対象機器は、分散型電源システム20の規模や構成、自立運転時に負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。また、ゲートブロックを判定するための判定閾値が指定される。図10から図12等で説明したように、このような判定閾値は、例えば、双方向DC/DCコンバータ24に制御指令として指定される放電電流指令の下限値である。ステップS116の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0086】
以上、説明したように、本実施例に係る分散型電源システム20おいても、実施例1と同様に、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たす場合に、蓄電池ユニット23に蓄電された電力が直流バス25に必ず供給されるように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22が制御される。分散型電源システム20を構成するPCS10の制御部11は、例えば、蓄電池ユニット23からの満充電状態を示す通知を契機として双方向DC/DCコンバータ24に対して所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)が直流バス25に供給されるように制御指令を出力する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいてBATI制御を行い、蓄電池ユニット23に蓄電(充電)された電力に基づく所定電力を直流バス25に出力する。
【0087】
また、制御部11は、DC/DCコンバータ22に対して、当該DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力が、負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)”になるように指示する。単方向DDでは、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御が行われ、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力を変換して“負荷電力-所定電力(放電電流指令値の下限値に相当する電力)”の直流電力が直流バス25に供給される。本実施例においても、実施例1と同様に、太
陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超えて直流バス25に供給されることはない。本実施例に係る分散型電源システム20においては、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0088】
(その他)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本実施の形態の開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組合せて実施することができる。例えば、本実施例で開示された形態は、バッテリ等の蓄電池と回生エネルギーを用いた発電機構とを備える電気自動車(EV、Electric Vehicle)に適用してもよい。さらに、発電機構として太陽光発電モジュールを備えたソーラーカー、燃料電池を搭載する燃料電池自動車に適用されるとしてもよい。このような形態であっても、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすことを契機として、蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0089】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0090】
《コンピュータが読み取り可能な記録媒体》
情報処理装置その他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記何れかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0091】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【0092】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
発電装置(21)と、蓄電池(23)と、前記発電装置(21)と前記蓄電池(23)の少なくとも一方から電力バス(25)に供給された直流電力に基づいて需要家の負荷(70)に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器(10)とを含み、前記需要家の電力系統(80)に連系して運用される電源システム(20)であって、
前記電力変換器(10)は、前記電力バス(25)に供給される直流電力を制御する制御部(11)と、
前記制御部(11)からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置(21)で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バス(25)に供給する第1電力変換部(22)と、
前記電力バス(25)に接続され、前記制御部(11)からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バス(25)に供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池(23)に充電し、または、前記蓄電池(23)から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バス(25)に供給する第2電力変換部(24)と、を備え、
前記制御部(11)は、前記自立運転の際に、前記発電装置(21)の発電電力が前記
負荷(70)で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池(23)の充電状態が所定条件を満たすときには、
前記第1電力変換部(22)に対する制御指令として、前記電力バス(25)に供給される直流電力が、前記負荷(70)で消費される負荷電力から第1電力を減じた第2電力に抑制されるように目標値を指示するとともに、
前記負荷(70)で消費される負荷電力の内、前記第1電力変換部(22)から前記電力バス(25)に供給される前記第2電力で賄えない差分電力を、前記蓄電池(23)に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バス(25)に供給されるように前記第2電力変換部(24)を制御する、
ことを特徴とする電源システム(20)。
<発明2>
発電装置(21)と、蓄電池(23)と、前記発電装置(21)と前記蓄電池(23)の少なくとも一方から電力バス(25)に供給された直流電力に基づいて需要家の負荷(70)に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器(10)とを含み、前記需要家の電力系統(80)に連系して運用される電源システム(20)であって、
前記電力変換器(10)は、前記電力バス(25)に供給される直流電力を制御する制御部(11)と、
前記制御部(11)からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置(21)で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バス(25)に供給する第1電力変換部(22)と、
前記電力バス(25)に接続され、前記制御部(11)からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バス(25)に供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池(23)に充電し、または、前記蓄電池(23)から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バス(25)に供給する第2電力変換部(24)と、を備え、
前記制御部(11)は、前記自立運転の際に、前記発電装置(21)の発電電力が前記負荷(70)で消費される負荷電力を超え、前記蓄電池(23)の充電状態が所定条件を満たすときには、
前記第2電力変換部(24)に対する充放電制御に関する充放電制御指令として、前記蓄電池(23)に充電された蓄電電力に基づいて前記電力バス(25)に供給される電力を第3電力に指示するとともに、
前記第1電力変換部(22)に対する前記最大電力点追従制御に関する制御指令として、前記電力バス(25)に供給される直流電力が、前記負荷(70)で消費される負荷電力から第3電力を減じた第4電力に抑制されるように目標値を指示する、
ことを特徴とする電源システム(20)。
【符号の説明】
【0093】
1 電力供給システム
10 パワーコンディショナ(PCS)
11 制御部
12 電力変換部
20 分散型電源システム(電源システム)
21 太陽光発電モジュール(発電装置)
22 DC/DCコンバータ(第1電力変換器)
23 蓄電池ユニット(蓄電池)
24 双方向DC/DCコンバータ(第2電力変換器)
25 直流バス(電力バス)
26 電力センサ
70 負荷
80 電力系統
81 電力計
101 プロセッサ
102 主記憶装置
103 補助記憶装置
104 通信IF
105 入出力IF
106 接続バス
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