IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

特許7556250発電システム、制御方法およびプログラム
<>
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図1
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図2
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図3
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図4
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図5
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図6
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図7
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図8
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図9
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図10
  • 特許-発電システム、制御方法およびプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】発電システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20240918BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240918BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240918BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240918BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240918BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240918BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 150
H02J3/32
H02J7/00 A
H02J7/35 F
H02J7/35 K
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020159987
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053258
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平島 正裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 健二
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/127946(WO,A1)
【文献】特開2013-176282(JP,A)
【文献】特開2015-208089(JP,A)
【文献】特開2015-015789(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078683(WO,A1)
【文献】特開2008-131736(JP,A)
【文献】特開2013-146171(JP,A)
【文献】特開2014-155269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0288212(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含む、電源システムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力量が前記負荷で消費される負荷電力量を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第2電力変換部に対する充放電制御指令として、前記第1電力変換部の前記最大電力点追従制御の動作を抑制する電圧領域に対応する第1電圧値を、前記蓄電池から放電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される変換後の直流電力の目標電圧に指示するとともに、
前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記第1電圧値より低い第2電圧値を前記最大電力点追従制御の目標値に指示する、
ことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含む、電源システムの電力変換器が実行する制御方法であって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変
換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力量が前記負荷で消費される負荷電力量を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第2電力変換部に対する充放電制御指令として、前記第1電力変換部の前記最大電力点追従制御の動作を抑制する電圧領域に対応する第1電圧値を、前記蓄電池から放電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される変換後の直流電力の目標電圧に指示するとともに、
前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記第1電圧値より低い第2電圧値を前記最大電力点追従制御の目標値に指示する、
ことを実行する制御方法。
【請求項3】
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含む、電源システムの電力変換器に実行させるプログラムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部に、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力量が前記負荷で消費される負荷電力量を超え、前記蓄電池が満充電状態であるときまたは前記蓄電池の充電率が95パーセントを超えるときには、
前記第2電力変換部に対する充放電制御指令として、前記第1電力変換部の前記最大電力点追従制御の動作を抑制する電圧領域に対応する第1電圧値を、前記蓄電池から放電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される変換後の直流電力の目標電圧に指示するとともに、
前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記第1電圧値より低い第2電圧値を前記最大電力点追従制御の目標値に指示する、
ことを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システム等の発電機構と蓄電池システム等の蓄電機構とを構成に含む分散型の電源システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システム等の発電機構や蓄電池システム等の蓄電機構を構成に含み、商用の電力系統に連系して運用される分散型電源システムが普及してきている(例えば、特許文献1)。需要家においては、例えば、太陽光発電によって得られた電力を交流に変換して負荷や連系する電力系統に供給できるとともに、余剰電力を蓄電することで電力需要が逼迫する昼間に使用してピークシフトを行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-125974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、分散型電源システムにおいて、商用の電力系統から供給された電力を用いることなく負荷が運転される自立運転の際には、太陽光発電等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、余剰電力が蓄電池システム等が備える蓄電池に充電されることになる。分散型電源システムにおいては、発電要素側の電力変換器と蓄電池要素側の電力変換器とは直流バスによって接続されている。ここで、蓄電池が満充電状態になると、蓄電池要素側では、充電方向に流れる電流値を0Aに抑制することで、蓄電池の過充電状態を防止する。しかしながら、直流バスを充電方向に流れる電流が存在する場合には、一定の電力(微電力)による充電が継続されることになり、蓄電池の過電圧状態を引き起こす虞があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電機構と蓄電機構とを備える分散型電源システムの自立運転時における蓄電池の過充電を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための開示の技術の一形態は、
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含み、前記需要家の電力系統に連系して運用される電源システムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力量が前記負荷で消費される負荷電力量を超え、前記蓄電池の充電状態が所定条件を満たすときには、前記蓄電池に充電された蓄電電力の放電による直流電力を、前記発電装置で発電された直流電力に優先させて前記電力バスに供給するように前記第1電力変換部および前記第2電力変換部を制
御する、
ことを特徴とする。
【0007】
これにより、電源システムおいては、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たす場合に、電力バスである直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に充電された電力を優先させて出力するように第2電力変換部である双方向DC/DCコンバータ24および第1電力変換部であるDC/DCコンバータ22が制御できる。電源システムおいては、蓄電池から直流バス25に供給される直流電力を発電装置から直流バス25に供給される直流電力に優先させて負荷70に供給できるため、自立運転時の直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0008】
また、開示の技術の一形態においては、前記制御部は、前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記最大電力点追従制御を停止させるゲートブロック指示を行い、前記発電装置で発電された電力に基づいて前記第1電力変換部から前記電力バスに供給される直流電力を遮断するようにしてもよい。これにより、電源システムおいては、発電要素から直流バス25に供給される直流電力を遮断することができるため、自立運転時の直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が確実に防止できる。
【0009】
また、開示の技術の一形態においては、前記制御部は、前記第2電力変換部に対する充放電制御指令として、前記第1電力変換部の前記最大電力点追従制御の動作を抑制する電圧領域に対応する第1電圧値を、前記蓄電池から放電された蓄電電力に基づいて前記電力バスに供給される変換後の直流電力の目標電圧に指示するとともに、前記第1電力変換部に対する制御指令として、前記第1電圧値より低い第2電圧値を前記最大電力点追従制御の目標値に指示するようにしてもよい。
【0010】
これにより、双方向DC/DCコンバータ24に指示される第1電圧値は、DC/DCコンバータ22のMPPT制御が抑制される領域の電圧値であり、DC/DCコンバータ22に指示される第2電圧値は第1電圧値より低いため、DC/DCコンバータ22のMPPT制御が抑制され、太陽光発電モジュール21等で発電された電力に基づいて直流バス25に供給される直流電力を「0W」に抑制することが可能になる。
さらに、電源システムは、蓄電池ユニット23に充電された充電電力のみで負荷電力が供給できずに直流バス25の電圧低下を招く場合であっても、直流バス25の電圧値がDC/DCコンバータ22の抑制領域からMPPT領域に移行されるタイミングでMPPT制御が開始できる。このため、負荷で消費される電力の変動量に応じて、双方向DC/DCコンバータ24を介して直流バス25に供給される電力量を補助することが可能になる。
【0011】
また、開示の技術の他の一形態は、
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器とを含み、前記需要家の電力系統に連系して運用される電源システムの制御方法であって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部は、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力量が前記負荷で消費され
る負荷電力量を超え、前記蓄電池の充電状態が所定条件を満たすときには、前記蓄電池に充電された蓄電電力の放電による直流電力を、前記発電装置で発電された直流電力に優先させて前記電力バスに供給するように前記第1電力変換部および前記第2電力変換部を制御する、
ことを実行する。
【0012】
このような形態であっても、電源システムおいては、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たす場合に、電力バスである直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に充電された電力を優先させて出力するように第2電力変換部である双方向DC/DCコンバータ24および第1電力変換部であるDC/DCコンバータ22が制御できる。電源システムおいては、蓄電池要素から直流バス25に供給される直流電力を優先させて負荷70に供給できるため、自立運転時の直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0013】
また、開示の技術の他の一形態は、
発電装置と、蓄電池と、前記発電装置と前記蓄電池の少なくとも一方から電力バスに供給された直流電力に基づいて需要家の負荷に電力を供給する最大電力点追従制御による自立運転が可能な電力変換器とを含み、前記需要家の電力系統に連系して運用される電源システムの電力変換器に実行させるプログラムであって、
前記電力変換器は、前記電力バスに供給される直流電力を制御する制御部と、
前記制御部からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第1電力変換部と、
前記電力バスに接続され、前記制御部からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バスに供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池に充電し、または、前記蓄電池から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バスに供給する第2電力変換部と、を備え、
前記制御部に、前記自立運転の際に、前記発電装置の発電電力量が前記負荷で消費される負荷電力量を超え、前記蓄電池の充電状態が所定条件を満たすときには、前記蓄電池に充電された蓄電電力の放電による直流電力を、前記発電装置で発電された直流電力に優先させて前記電力バスに供給するように前記第1電力変換部および前記第2電力変換部を制御する、
ことを実行させる。
【0014】
このような形態であっても、電源システムおいては、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が所定条件を満たす場合に、電力バスである直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に充電された電力を優先させて出力するように第2電力変換部である双方向DC/DCコンバータ24および第1電力変換部であるDC/DCコンバータ22が制御できる。電源システムおいては、蓄電池要素から直流バス25に供給される直流電力を優先させて負荷70に供給できるため、自立運転時の直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発電機構と蓄電機構とを備える分散型電源システムの自立運転時における蓄電池の過充電が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る分散型電源システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例1における自立運転時の電力の流れを説明する説明図である。
図3】本発明の実施例1における自立運転時の制御動作を説明する説明図である。
図4】本発明の実施例1における微電力に伴う蓄電池ユニットの過充電を説明する説明図である。
図5】本発明の実施例1における分散型電源システムの制御動作を説明する説明図である。
図6】本発明の実施例1に係る制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7】本発明の実施例1における過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施例2における分散型電源システムの制御動作を説明する説明図である。
図9】本発明の実施例2における直流バスに供給される直流電力の電圧値を説明する説明図である。
図10】本発明の実施例2に係る分散型電源システムの制御動作の推移を示すタイムチャートである。
図11】本発明の実施例2における過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の適用例に係る分散型電源システム20の概略構成を示すブロック図である。図1には、需要家の構内に設けられた商用の電力系統80と連系して負荷70や連系する電力系統80に交流電力を供給する分散型電源システム20が例示されている。本発明の適用例に係る分散型電源システム20は、発電機構としての太陽光発電システムと、蓄電機構としての蓄電池システムを含むハイブリッド型の電源システムである。
【0018】
図1に示すように、分散型電源システム20は、太陽光発電モジュール21と、蓄電池ユニット23と、パワーコンディショナ(以下、「PCS」ともいう)10を備える。PCS10は、電力変換部12と、制御部11と、DC/DCコンバータ22と、双方向DC/DCコンバータ24とを備える。PCS10のDC/DCコンバータ22は、太陽光発電モジュール21と接続される。また、PCS10の双方向DC/DCコンバータ24は、蓄電池ユニット23と接続される。DC/DCコンバータ22と、双方向DC/DCコンバータ24とは直流バス25で接続される。PCS10の電力変換部12は直流バス25に接続され、当該直流バスを通じて供給された直流電力を電力系統80と同期のとれた交流電力に変換するとともに、電力系統80から供給された交流電力を直流電力に変換して直流バス25に出力する。
【0019】
PCS10の制御部11には、直流バス25に設けられた電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)、太陽光発電モジュール21とDC/DCコンバータ22との間に設けられた電力センサ27(電流センサ、電圧センサ)、分電盤82と電力系統80とを繋ぐ電力線83に設けられた電力計81を含む各種のセンサの出力が入力される。制御部11では、上記各種センサを通じて検出された情報に基づいて、太陽光発電モジュール21の発電出力が最大となる最大電力(電流×電圧の値)点あるいは最適動作点でDC/DCコンバータ22が動作するように最大電力点追従制御(Maximum power point tracking、MPPT)が行われる。制御部11では、上記各種センサを通じて検出された負荷状況等や、予め設定された充放電に関するモード等に基づいて、充放電に関する制御処理が行われる。
【0020】
適用例に係る分散型電源システム20においては、図2から図3に示すように、自立運転が行われる際には、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力がDC/DCコンバータ22を介して直流バス25に供給される。また、太陽光発電モジュール2
1等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、負荷電力を超える余剰電力が双方向DC/DCコンバータ24を介して蓄電池ユニット23に充電される。ここで、図4に示すように、双方向DC/DCコンバータ24への電流指令値(BATIリミット指令値)と実際の電流値(BATI)との間に、蓄電池ユニット23への充電方向に向かう一定の電力(微電力)が生じる場合には、当該微電力の電流が蓄電池ユニット23へ流れ込むことになり、蓄電池の過電圧状態が引き起こされる虞があった。
【0021】
適用例に係る分散型電源システム20においては、図5から図11等に示すように、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすことを契機として蓄電池ユニット23に充電された電力を優先させて直流バス25に出力するように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22を制御する。具体的には、太陽光発電モジュール21等から直流バス25に供給される直流電力をゲートブロック処理で遮断し、蓄電池ユニット23から直流バス25に供給される直流電力を優先させて負荷70に供給させる。また、DC/DCコンバータ22に対する直流バス電圧指令値を双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値より低く設定するとともに、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値が満充電後におけるMPPT制御の抑制領域となるように設定する。ここで、所定条件とは、蓄電池ユニット23の充電状態を判定するための充電率に対する閾値であり、分散型電源システム20の規模や構成、蓄電池ユニット23の蓄電容量、自立運転時において負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。所定条件の一例として、例えば、蓄電池ユニット23の満充電状態が例示できる。このような制御処理を行うことで、適用例に係る分散型電源システム20では、自立運転時の直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0022】
〔実施例1〕
以下では、本発明の具体的な実施の形態について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0023】
<システム構成>
図1は、本発明の実施例に係る分散型電源システム20の概略構成を示すブロック図である。本実施例における分散型電源システム20は、発電機構を構成する太陽光発電システムと、蓄電機構を構成する蓄電池システムを含むハイブリッド型の電源システムである。図1に示すように、分散型電源システム20は、需要家の構内に設けられた商用の電力系統80と連系して負荷70や連系する電力系統80に交流電力を供給する電力供給システム1を構成する。分散型電源システム20は、分電盤82を介して商用の電力系統80および負荷70に接続される。なお、本実施例においては、発電機構として太陽光発電システムの形態を用いて説明するが、分散型電源システム20は、太陽光発電システム以外の他の発電システムを採用してもよい。他の発電システムとして、風力や水力等の自然エネルギーを用いた発電システムや、燃料を用いた自家発電システム等が例示される。
【0024】
本実施例の分散型電源システム20は、太陽光発電モジュール21と、蓄電池ユニット23と、パワーコンディショナ(以下、「PCS」ともいう)10を備える。本実施例においては、パワーコンディショナ10は「電力変換器」の一例に相当する。PCS10は、電力変換部12と、制御部11と、DC/DCコンバータ22と、双方向DC/DCコンバータ24とを備える。PCS10のDC/DCコンバータ22は、太陽光発電モジュール21と接続される。また、PCS10の双方向DC/DCコンバータ24は、蓄電池ユニット23と接続される。本実施例の分散型電源システム20においては、PCS10と太陽光発電モジュール21とは太陽光発電システムを構成し、PCS10と蓄電池ユニット23とは蓄電池システムを構成する。本実施例の分散型電源システム20は「電源システム」に相当する。
【0025】
本実施例に係るPCS10のDC/DCコンバータ22と双方向DC/DCコンバータ24とは直流バス25で接続される。PCS10の電力変換部12は直流バス25に接続され、当該直流バスを通じて供給された直流電力を交流電力に変換する。電力変換部12は、直流バス25を通じて供給された直流電力を電力系統80と同期のとれた交流電力に変換するDC/ACコンバータ、電力系統80から供給された交流電力を直流電力に変換して直流バス25に出力するAC/DCコンバータを含み構成される。本実施例においては、発電機構を構成する太陽光発電モジュール21は「発電装置」の一例であり、蓄電機構を構成する蓄電池ユニット23は「蓄電池」の一例である。また、本実施例に係るパワーコンディショナ(PCS)10が備えるDC/DCコンバータ22は「第1電力変換部」に相当し、双方向DC/DCコンバータ24は「第2電力変換部」に相当する。また、本実施例に係るDC/DCコンバータ22と双方向DC/DCコンバータ24とが接続される直流バス25は「電力バス」に相当する。
【0026】
DC/DCコンバータ22は、太陽光発電モジュール21で発電された直流電力を昇圧して直流バス25に供給するためのユニットである。蓄電池ユニット23は、定格等で定められた所定容量の電力を蓄積する蓄電池であり、当該定格等により充放電の回数が制限される。双方向DC/DCコンバータ24は、直流バス25を通じて供給された蓄電池ユニット23へ充電される電力の電圧や、蓄電池ユニット23から直流バス25に出力される放電電力の電圧を双方向に変換するユニットである。DC/DCコンバータ22、蓄電池ユニット23や双方向DC/DCコンバータ24には、制御部11からの制御指令を受けて動作するマイコン等が組み込まれている。
【0027】
PCS10の制御部11は、プロセッサ(CPU等)、メモリ、ゲートドライバ、通信インタフェース回路等を含んで構成されるユニットである。制御部11には、直流バス25に設けられた電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)、太陽光発電モジュール21とDC/DCコンバータ22との間に設けられた電力センサ27(電流センサ、電圧センサ)、分電盤82と電力系統80とを繋ぐ電力線83に設けられた電力計81を含む各種のセンサの出力が入力される。制御部11では、上記各種センサを通じて検出された情報に基づいて、太陽光発電モジュール21の発電出力が最大となる最大電力(電流×電圧の値)点あるいは最適動作点でDC/DCコンバータ22が動作するように最大電力点追従制御(Maximum power point tracking、MPPT)が行われる。
【0028】
また、制御部11では、上記各種センサを通じて検出された負荷状況等や、予め設定された充放電に関するモード等に基づいて、充放電に関する制御処理(蓄電制御処理ともいう)が行われる。例えば、制御部11は、放電を行う場合には、双方向DC/DCコンバータ24を通じて蓄電池ユニット23から放電された電力を変換して直流バス25へ供給するように制御し、放電を停止する場合には、蓄電池ユニット23からの放電を停止させて直流バス25に放電される電力を停止するように制御する。
【0029】
さらに、制御部11は、上記モードや負荷状況、蓄電池ユニット23の充電状態等に基づいて、充電を行うと判定した場合には、電力系統80やDC/DCコンバータ22を通じて直流バス25に供給された太陽光発電モジュール21の電力を変換し、蓄電池ユニット23へ充電するように制御する。制御部11からの上記蓄電制御処理に関する制御指令を受け、蓄電池ユニット23および双方向DC/DCコンバータ24の動作が制御される。
【0030】
図2は、自立運転時における電力の流れを説明する説明図である。分散型電源システム20において、自立運転の際には、斜め斜線でハッチングされた矢印A1に示すように、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力がDC/DCコンバータ22を介して直流バス25に供給される。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御
指令に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力を所定の電圧値に変換して直流バス25に出力する。直流バス25に接続されたPCS10の電力変換部12は、制御部11からの制御指令に基づいて、直流バス25に供給された直流電力を力系統80と同期のとれた交流電力に変換して負荷70に供給する(出力電圧制御(OUTV制御)、出力電流制御(OUTI制御))。また、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、負荷電力を超える余剰電力が双方向DC/DCコンバータ24を介して蓄電池ユニット23に充電される。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)を行い、直流バス25に供給された直流電力の電圧を変換して蓄電池ユニット23を充電する。
【0031】
図3は、自立運転時における制御動作を説明する説明図である。図3においては、電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)を介して検出された直流バス電圧に対するDC/DCコンバータ22(単方向DDとも言う)の制御形態が例示される。図3に示すように、自立運転時にはDC/DCコンバータ22は制御部11からの制御指令(直流バス電圧指令値)に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等で発電された電力を所定の電圧値に昇圧して直流バス25に出力する。制御部11は、電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)を介して検出された直流バス電圧が所定値A2を超える場合には、直流バス電圧の上昇を抑制するようにDC/DCコンバータ22を制御する。直流バス電圧の上昇を抑制により、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力の電圧値は、直流バス電圧指令値で指定された電圧値近傍で安定することになる。
【0032】
図2で説明したように、自立運転が行われる際には、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、負荷電力を超える余剰電力が双方向DC/DCコンバータ24を介して蓄電池ユニット23に充電される。蓄電池ユニット23は、自身の充電状態が満充電(SOC(State of Charge)が100パーセント)状
態であることを検知し、制御部11に通知する。制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電状態を示す通知を受け、蓄電池ユニット23への充電を抑制するように、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧制御を行う。具体的には、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧制御指令として、充電方向の電流値が「0A」になるように、電流指令値(BATIリミット指令値)を出力する。双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて蓄電池ユニット23への充電方向にある電流値を「0A」に低下させる。
【0033】
図4は、充電方向に流れる微電力に伴う蓄電池ユニット23の過充電を説明する説明図である。図4においては、実線で表された双方向DC/DCコンバータ24への電流指令値(BATIリミット指令値)と、破線で表された実際の電流値(BATI)との相対的な大小関係が例示される。図4に示すように、双方向DC/DCコンバータ24への電流指令値(BATIリミット指令値)と実際の電流値(BATI)との間に、蓄電池ユニット23への充電方向に向かう微電力が生じる場合には、当該微電力の電流が蓄電池ユニット23へ流れ込むことになる(図4の例では、数A)。このような一定電力が生じる要因として、例えば、分散型電源システム20が備える各種センサや各種計測器の計測誤差が例示される。つまり、双方向DC/DCコンバータ24においては、制御部11からの電流指令値(BATIリミット指令値)に基づいて充電方向の電流値(BATI)を「0A」に制御していても、微電力による蓄電池ユニット23への充電が継続されることになる。蓄電池ユニット23においては、満充電状態になった後も、充電方向に流れる微電力の電流によって徐々に充電され、蓄電池の過電圧状態が引き起こされる虞があった。
【0034】
図5は、本実施例に係る分散型電源システム20の制御動作を説明する説明図である。本実施例に係る分散型電源システム20は、自立運転時に蓄電池ユニット23の充電率が
所定条件を満たす場合に、蓄電池ユニット23に充電された電力を優先させて直流バス25に出力するように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22を制御する。ここで、所定条件とは、蓄電池ユニット23の充電状態を判定するための充電率が所定の閾値を超えることであり、分散型電源システム20の規模や構成、蓄電池ユニット23の蓄電容量、自立運転時において負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。所定条件の一例として、例えば、蓄電池ユニット23の満充電状態が例示できる(この場合の閾値はマージンを考慮して95パーセント程度が望ましい)。以下、蓄電池ユニット23の満充電状態を所定条件として説明する。
【0035】
図5の実線吹き出しA4に示すように、制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電状態を示す通知を契機としてDC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を制御指令として出力する。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御指令(ゲートブロック指令)に基づいてMPPT制御を停止させ、直流バス25に供給される直流電力を遮断する。そして、制御部11は、双方向DC/DCコンバータ24に対し、蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させて所定電圧に変換し、直流バス25に出力するように制御指令を出力する。蓄電池ユニット23に接続される双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)を行い、蓄電池ユニット23から放電された直流電力の電圧値を変換して直流バス25に供給する。
【0036】
図5の斜め斜線でハッチングされた矢印A3に示すように、直流バス25に接続されたPCS10の電力変換部12は、制御部11からの制御指令に基づいて、直流バス25に供給された直流電力を電力系統80と同期のとれた交流電力に変換して負荷70に供給する(出力電圧制御(OUTV制御)、出力電流制御(OUTI制御))。本実施例に係る分散型電源システム20においては、発電機構側から直流バス25に供給される直流電力を遮断し、蓄電機構側から直流バス25に供給される直流電力を優先させて負荷70に供給できるため、直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0037】
<制御部構成>
図6は、本実施例に係るPCS10の制御部11のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示すように、制御部11は、接続バス106によって相互に接続されたプロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信IF104、入出力IF105を構成要素に含むコンピュータである。主記憶装置102および補助記憶装置103は、制御部11が読み取り可能な記録媒体である。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。なお、蓄電池ユニット53やDC/DCコンバータ52が備えるマイコンは、制御部11と実質的に同等のハードウェア構成によって実現される。
【0038】
プロセッサ101は、制御部11全体の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ101は、例えば、補助記憶装置103に記憶されたプログラムを主記憶装置102の作業領域に実行可能に展開し、当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。但し、プロセッサ101が提供する一部または全部の機能が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit
)等によって提供されてもよい。同様にして、一部または全部の機能が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)、その他のハードウェア回路で実現されてもよい。
【0039】
主記憶装置102および補助記憶装置103は、制御部11のメモリを構成する。主記憶装置102は、プロセッサ101が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶装置102は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置103は、プロセッサ101等により実行されるプログラムや、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置103は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、SD
(Secure Digital)メモリカード等を含む。通信IF104は、通信ネットワークとの通信インタフェースである。通信IF104は、接続される通信ネットワークとの接続方式に応じて適宜の構成を採用できる。本実施例においては、通信IF104を介して接続された発電要素(DC/DCコンバータ22)および蓄電池要素(蓄電池ユニット23、双方向DC/DCコンバータ24)との間で各種の制御指令が通知される。入出力IF15は、PCS10の備える入力デバイス、出力デバイスとの間でデータの入出力を行うインタフェースである。入出力IF15を通じて、LCD等の表示デバイスや、PCS10に接続されたプリンタ等の出力デバイスに出力される。また、入出力IF15を通じて、操作指示が受け付けられ、当該操作指示に基づいて操作者の意図する処理が行われる。さらに、本実施例においては、入出力IF15を通じて接続された、直流バス25に設けられた電力センサ26(電流センサ、電圧センサ)や電力センサ27、電力計81を含む各種のセンサの出力信号が制御部11に入力される。
【0040】
<処理の流れ>
図7は、本実施例に係る制御部11で提供される過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。図7のフローにおいては、発電機構側から直流バス25に供給される直流電力を遮断し、蓄電機構側から直流バス25に供給される直流電力を優先させて負荷70に供給させる処理が行われる。本実施例に係るPCS10の制御部11においては、過充電防止処理は自立運転時に実行される。
【0041】
処理の開始後、分散型電源システム20において、太陽光発電モジュール21等で発電された電力に基づく自立運転が行われる(ステップS101)。すなわち、DC/DCコンバータ22は制御部11からの制御指令(直流バス電圧指令値)に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等で発電された電力を所定の電圧値に昇圧して直流バス25に出力する。また、太陽光発電モジュール21等によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)を行い、直流バス25に供給された直流電力の電圧を変換して蓄電池ユニット23を充電する。ステップS101の処理後、処理はステップS102に進む。
【0042】
ステップS102では、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすか否かが判定される。このような判定条件は、分散型電源システム20の規模や構成、蓄電池ユニット23の蓄電容量、自立運転時の負荷70に供給される負荷電力等によって予め設定される。判定条件の典型例として、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が満充電(SOC(State of Charge)が95パーセントから100パーセント)状態であるか否かが、
通信IF106を通じて取得された蓄電池ユニット23の満充電状態を示す通知に基づいて判定される。ステップS102において、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たす場合(充電状態が満充電状態)には(ステップS102、“Yes”)、処理はステップS103に進み、そうでない場合には(ステップS102、“No”)、処理はステップS101に戻る。ステップS103においては、発電機構に接続されるDC/DCコンバータ22に対するゲートブロック指令が制御指令として出力されると処理はステップS104に進む。DC/DCコンバータ22では、制御部11からの制御指令(ゲートブロック指令)に基づいてMPPT制御を停止させ、直流バス25に供給される直流電力が
遮断される。
【0043】
ステップS104においては、蓄電池ユニット23に充電された電力に基づいて自立運転が開始される。すなわち、制御部11は、蓄電機構側に接続される双方向DC/DCコンバータ24に対し、蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させて所定電圧に変換し、直流バス25に出力するように制御指令を出力する。双方向DC/DCコンバータ24では、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)が開始され、蓄電池ユニット23から放電された電力の電圧値が変換された直流電力が直流バス25に供給される。直流バス25に接続されたPCS10の電力変換部12では、直流バス25に供給された蓄電池ユニット23からの放電電力に基づく直流電力が、電力系統80と同期のとれた交流電力に変換されて負荷70に供給される。ステップS104の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0044】
以上、説明したように、本実施例に係る分散型電源システム20おいては、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たす場合に、直流バス25に供給される直流電力に関し、蓄電池ユニット23に充電された電力を優先させて出力するように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22が制御できる。分散型電源システム20を構成するPCS10の制御部11は、例えば、蓄電池ユニット23からの満充電を示す通知を契機としてDC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を制御指令として出力できる。そして、発電要素としてのDC/DCコンバータ22では、制御部11からの制御指令(ゲートブロック指令)に基づいてMPPT制御を停止させ、直流バス25に供給される直流電力が遮断できる。また、制御部11は、双方向DC/DCコンバータ24に対し、蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させて所定電圧に変換し、直流バス25に出力するように制御指令を出力できる。蓄電機構側に接続される双方向DC/DCコンバータ24では、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)が行われ、蓄電池ユニット23から放電された電力の電圧値が変換された直流電力が直流バス25に供給される。この結果、本実施例に係る分散型電源システム20においては、発電機構側から直流バス25に供給される直流電力を遮断し、蓄電機構側から直流バス25に供給される直流電力を優先させて負荷70に供給できる。このため、自立運転時の直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0045】
〔実施例2〕
実施例1の形態では、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たす場合に、発電機構側に接続されるDC/DCコンバータ22に対してゲートブロック指令を出力することで、発電電力に基づいて直流バス25に供給される直流電力を遮断させていた。実施例2(以下、本実施例とも称す)の形態においては、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすことを契機として、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力の電圧を、DC/DCコンバータ24から直流バス25に供給される直流電力の電圧より低下させるように制御する。本実施例においては、DC/DCコンバータ22から直流バス25に供給される直流電力の電圧をDC/DCコンバータ24から直流バス25に供給される直流電力の電圧より低下させることで、充電方向に流れ込む電流を抑制する。なお、実施例2に係る分散型電源システム20の構成は実施例1と同様である。また、本実施例においても、蓄電池ユニット23の満充電状態を所定条件として説明する。
【0046】
図8は、本実施例に係る分散型電源システム20の制御動作を説明する説明図である。図8において、斜め斜線でハッチングされた矢印A5は、自立運転時の直流バス25に供給される直流電力の流れを表す。本実施例においては、実線吹き出しA6に示すように、制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電を示す通知を契機としてDC/DCコンバータ22に対して直流バス25に供給される電圧値を低下させる制御指令を出力する。DC/DCコンバータ22は、制御部11からの制御指令に基づいてMPPT制御の目標
値である直流バス電圧指令値を低下させ、直流バス25に供給される電圧値を抑制する。なお、制御部11は、実施例1と同様に、双方向DC/DCコンバータ24に対し、蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させて所定電圧に変換し、直流バス25に出力するように制御指令を出力する。蓄電機構に接続される双方向DC/DCコンバータ24では、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)が行われ、蓄電池ユニット23から放電された電力の電圧値が変換された直流電力が直流バス25に供給される。
【0047】
図9は、本実施例における直流バス25に供給される直流電力の電圧値を説明する説明図である。図9においては、満充電の前後における、DC/DCコンバータ22および双方向DC/DCコンバータ24への制御指令(直流バス電圧指令値)の推移が例示される。図9において、一点鎖線で表される制御指令は、双方向DC/DCコンバータ24(双方向DDともいう)に対する直流バス電圧指令値を表し、実線で表される制御指令は、DC/DCコンバータ22(単方向DDともいう)に対する直流バス電圧指令値を表す。以下、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値と、DC/DCコンバータ22に対する直流バス電圧指令値とを区別するため、前者を「双方向指令値」とも称し、後者を「単方向指令値」とも称す。
【0048】
図9においては、蓄電池ユニット23が満充電状態になるまでは、DC/DCコンバータ22では制御部11からの制御指令(単方向指令値)に基づいてMPPT制御が行われ、太陽光発電モジュール21等で発電された電力が所定の電圧値に昇圧されて直流バス25に出力される。双方向DC/DCコンバータ24では発電電力が負荷電力を超える場合には、双方向指令値に基づいて充電方向のBATI制御が行われ、負荷電力を超える余剰電力が蓄電池ユニット23に充電される。
【0049】
蓄電池ユニット23が満充電状態になると、制御部11は、DC/DCコンバータ22に対して直流バス25に供給される電圧値を低下させる制御指令(単方向指令値)を出力する。図9に示すように、制御部11は、満充電前の単方向指令値に対して相対的に電圧値を低下させた単方向指令値をDC/DCコンバータ22に出力する。実線吹き出しA8に示すように、満充電前の単方向指令値から数V程度低下させた満充電後の単方向指令値を出力する。なお、DC/DCコンバータ22に対する単方向指令値の低下幅は、分散型電源システム20の構成や規模、自立運転時の電力供給となる負荷の消費電力量等に応じて予め設定される。
【0050】
そして、制御部11は、双方向DC/DCコンバータ24に対し、蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させて所定電圧に変換し、直流バス25に出力するように制御指令(双方向指令値)を出力する。図9の一点鎖線吹き出しA7に示すように、双方向DC/DCコンバータ24を通じて直流バス25に供給される直流電力の電圧値が、満充電前の電圧値と同じ電圧値になるように双方向指令値を出力する。
【0051】
双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの双方向指令値に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)を行い、蓄電池ユニット23から放電された電力の電圧値を変換し、満充電前の電圧値と同じ電圧値の直流電力を直流バス25に供給する。一方、DC/DCコンバータ22においては、制御部11からの単方向指令値に基づいてMPPT制御の目標値である直流バス電圧指令値を低下させる。制御部11から指示された単方向指令値は、双方向指令値で指示された直流バス25の電圧値より低く設定される。つまり、満充電以降では、満充電前の単方向指令値が指示する電圧値(双方向指令値で指示される直流バス25の電圧値)は、MPPT動作を抑制する抑制領域に対応することになる。このため、双方向指令値で指示される直流バス25の電圧値においては、DC/DCコンバータ22のMPPT制御が抑制されることになる。
【0052】
図10は、本実施例の分散型電源システム20の制御動作の推移を示すタイムチャートである。図10においては、満充電以降の負荷変動に伴うDC/DCコンバータ22(単方向DD)および双方向DC/DCコンバータ24(双方向DD)の制御動作の推移が例示される。図10の上部には、自立運転時における蓄電池ユニット23の充電状態を示すSOC曲線B1が例示されている。自立運転時における蓄電池ユニット23はt1において満充電状態になる。図10に示すように、制御部11は、蓄電池ユニット23の満充電を契機として、単方向DDに対する直流バス電圧指令値(単方向指令値)B4を満充電前の電圧指令値から低下させる。図9で説明したように、単方向DDに対する直流バス電圧指令値(単方向指令値)B4は、満充電後においては、単方向DDの抑制領域から単方向DDのMPPT領域に移行されることになる。単方向DD電力B6に示すように、単方向DDから直流バス25に供給される電力出力は「0W」に抑制される。
【0053】
一方、制御部11は、蓄電池ユニット23の満充電を契機として、双方向DDに対し、蓄電池ユニット23に充電された電力を放電させて所定電圧に変換し、直流バス25に出力するように制御指令(双方向指令値)を出力する。直流バス電圧指令値(双方向DD)B2に示すように、双方向DDに対する双方向指令値は、満充電前の単方向指令値に相当し、満充電以降においては、単方向DDの抑制領域の電圧値に相当する。双方向DD電力B5に示すように、双方向DDはt1を契機として充電モードから放電モードに移行し、双方向指令値で指示された電圧値を目標値としてBATI制御を行う。分散型電源システム20における電力変換部12では、双方向DDから直流バス25に供給された直流電力に基づいて負荷70に電力を供給するための電力変換が行われ自立運転が継続される。
【0054】
図10のタイムチャートにおいて、負荷電力B7に示すように、負荷70に供給するべく電力がt2のタイミングで増加するものと想定する。直流バス電圧指令値(双方向DD)B2に示すように、双方向DDにおいては、満充電のときに指示された制御指令(双方向指令値)が維持される。同様にして、直流バス電圧指令値(単方向DD)B4に示すように、単方向DDにおいては、満充電のときに指示された制御指令(単方向指令値)が維持される。負荷70で消費される電力が増加すると、実際の直流バス電圧B3に示すように、直流バス25に供給される直流電力の電圧値が低下することになる。負荷電力B7に示すように、負荷70で消費される電力増加が継続されると、直流バス25に供給される直流電力の電圧値はさらに低下し、単方向DDの抑制領域からMPPT領域に移行することになる。単方向DDにおいては、単方向DD電力B6に示すように、直流バス25の電圧値が単方向DDの抑制領域からMPPT領域に移行されるタイミングt3でMPPT制御が開始される。単方向DDにおいては、満充電のときに指示された制御指令(単方向指令値)を目標値としてMPPT制御が行われ、太陽光発電モジュール21等で発電された電力に基づく直流電力が直流バス25に供給される。
【0055】
このように、本実施例においては、分散型電源システム20は、蓄電池ユニット23に充電された充電電力のみで負荷電力が供給できずに直流バス25の電圧低下を招く場合であっても、直流バス25の電圧値が単方向DDの抑制領域からMPPT領域に移行されるタイミングt3でMPPT制御が開始できる。本実施例においては、単方向DDに対する制御指令として単方向指令値を指示することにより、負荷70で消費される電力の変動量に応じて直流バス25に供給される電力を補助することが可能になる。
【0056】
図10の負荷電力B7に示すように、タイミングt4において負荷70で消費される電力量が減少したものと想定する。実際の直流バス電圧B3に示すように、負荷70で消費される電力量の減少に応じて、直流バス25の電圧値は満充電のときに指示された制御指令(双方向指令値)で指示された電圧値に回復する。単方向DDにおいては、直流バス25の電圧値が単方向DDのMPPT領域から抑制領域に移行されるタイミングでMPPT
制御が再び抑制され、単方向DDから直流バス25に供給される電力は、タイミングt5の単方向DD電力B6に示すように「0W」となる。
【0057】
<処理の流れ>
図11は、本実施例に係る制御部11で提供される過充電防止処理の一例を示すフローチャートである。図11のフローにおいては、発電機構側から直流バス25に供給される直流電力を抑制し、蓄電機構側から直流バス25に供給される直流電力を優先させて負荷70に供給させる処理が行われる。本実施例に係るPCS10の制御部11においては、過充電防止処理は自立運転時に実行される。
【0058】
処理の開始後、分散型電源システム20において、太陽光発電モジュール21等で発電された電力に基づく自立運転が行われる(ステップS111)。実施例1のステップS101と同様にして、DC/DCコンバータ22は制御部11からの制御指令(直流バス電圧指令値)に基づいてMPPT制御を行い、太陽光発電モジュール21等で発電された電力を所定の電圧値に昇圧して直流バス25に出力する。また、太陽光発電モジュール21等の発電要素によって発電された発電電力が負荷電力を超える場合には、双方向DC/DCコンバータ24は、制御部11からの制御指令に基づいて直流バス電圧制御(BATI制御)を行い、直流バス25に供給された直流電力の電圧を変換して蓄電池ユニット23を充電する。ステップS111の処理後、処理はステップS112に進む。
【0059】
ステップS112では、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすか否かが判定される。実施例1と同様にして、例えば、蓄電池である蓄電池ユニット23の充電状態が満充電(SOC(State of Charge)が100パーセント)状態であるか否かが判定され
る。制御部11は、通信IF106を通じて取得された蓄電池ユニット23の満充電を示す通知に基づいて当該蓄電池ユニットの満充電状態を判定する。ステップS112において、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たす場合(充電状態が満充電状態)の場合には(ステップS112、“Yes”)、処理はステップS113に進み、そうでない場合には(ステップS112、“No”)、処理はステップS111に戻る。ステップS113においては、DC/DCコンバータ22に対する直流バス電圧指令が制御指令として出力されると処理はステップS114に進む。制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電を示す通知を契機としてDC/DCコンバータ22に対して直流バス25に供給される電圧値を低下させてMPPT制御を行わせる制御指令(単方向指令値)を出力する。図8から図10で説明したように、単方向指令値は、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値(双方向指令値)より数V低い値が設定される。なお、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値(双方向指令値)は、満充電前の、DC/DCコンバータ22を通じて直流バス25に供給される直流電力の電圧値に相当し、満充電後のDC/DCコンバータ22のMPPT制御が抑制される領域の電圧値である。満充電後の直流バス25の電圧値は、単方向指令値より高く、かつ、MPPT制御が抑制される領域の電圧値であるため、DC/DCコンバータ22では、MPPT制御が抑制される。
【0060】
ステップS114においては、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令(双方向指令値)が制御指令として出力される。双方向DC/DCコンバータ24では、制御部11からの制御指令(双方向指令値)に基づいて放電方向の直流バス電圧制御(BATI制御)が開始される。双方向DC/DCコンバータ24は、蓄電池ユニット23から放電された電力の電圧値を、制御指令である双方向指令値に応じた電圧値に変換し、変換後の直流電力を直流バス25に供給する。ステップS114の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0061】
以上、説明したように、本実施例に係る分散型電源システム20おいても、実施例1と
同様に、蓄電池ユニット23の充電状態が満充電となった場合に、蓄電池ユニット23に充電された電力を優先させて直流バス25に供給するように双方向DC/DCコンバータ24およびDC/DCコンバータ22が制御できる。本実施例においては、分散型電源システム20を構成するPCS10の制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電を示す通知を契機としてDC/DCコンバータ22に対してMPPT制御の目標値である直流バス電圧指令値(単方向指令値)を制御指令として出力できる。また、制御部11は、蓄電池ユニット23からの満充電を示す通知を契機として双方向DC/DCコンバータ24に対して、充電方向のBATI制御の目標値である直流バス電圧指令値(双方向指令値)を制御指令として出力できる。ここで、単方向指令値は、図8から図10で説明したように、双方向DC/DCコンバータ24に対する直流バス電圧指令値(双方向指令値)より数V低い値が設定できる。そして、双方向指令値で指示される電圧値は、満充電前の直流バス25に供給されている直流電力の電圧値に相当し、かつ、満充電後のDC/DCコンバータ22のMPPT制御が抑制される領域の電圧値である。このため、本実施例においても、DC/DCコンバータ22のMPPT制御が抑制され、太陽光発電モジュール21等で発電された電力に基づいて直流バス25に供給される直流電力を「0W」に抑制することが可能になる。本実施例においても、自立運転時の直流バス25を充電方向に流れる微電力による蓄電池の過充電が防止できる。
【0062】
また、本実施例においては、分散型電源システム20は、蓄電池ユニット23に充電された充電電力のみで負荷電力が供給できずに直流バス25の電圧低下を招く場合であっても、直流バス25の電圧値がDC/DCコンバータ22の抑制領域からMPPT領域に移行されるタイミングでMPPT制御が開始できる。本実施例においては、DC/DCコンバータ22に対する制御指令として単方向指令値を指示することにより、負荷70で消費される電力の変動量に応じて、双方向DC/DCコンバータ24を介して直流バス25に供給される電力量を補助することが可能になる。
【0063】
(その他)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本実施の形態の開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組合せて実施することができる。例えば、本実施例で開示された形態は、バッテリ等の蓄電池と回生エネルギーを用いた発電機構とを備える電気自動車(EV、Electric Vehicle)に適用してもよい。さらに、発電機構として太陽光発電モジュールを備えたソーラーカー、燃料電池を搭載する燃料電池自動車に適用されるとしてもよい。このような形態であっても、蓄電池ユニット23の充電率が所定条件を満たすことを契機として、蓄電池の過充電が防止可能になる。
【0064】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0065】
《コンピュータが読み取り可能な記録媒体》
情報処理装置その他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記何れかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0066】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等か
ら取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【0067】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
発電装置(21)と、蓄電池(23)と、前記発電装置(21)と前記蓄電池(23)の少なくとも一方から電力バス(25)に供給された直流電力に基づいて需要家の負荷(70)に電力を供給する自立運転が可能な電力変換器(10)とを含み、前記需要家の電力系統(80)に連系して運用される電源システム(20)であって、
前記電力変換器(10)は、前記電力バス(25)に供給される直流電力を制御する制御部(11)と、
前記制御部(11)からの最大電力点追従制御に関する制御指令に基づいて前記発電装置(21)で発電された直流電力の電圧を変換して前記電力バス(25)に供給する第1電力変換部(22)と、
前記電力バス(25)に接続され、前記制御部(11)からの充放電制御に関する充放電制御指令に基づいて前記電力バス(25)に供給された直流電力の電圧を変換して前記蓄電池(23)に充電し、または、前記蓄電池(23)から放電された直流電力の電圧を変換して前記電力バス(25)に供給する第2電力変換部(24)と、を備え、
前記制御部(11)は、前記自立運転の際に、前記発電装置(21)の発電電力量が前記負荷(70)で消費される負荷電力量を超え、前記蓄電池(23)の充電状態が所定条件を満たすときには、前記蓄電池(23)に充電された蓄電電力の放電による直流電力を、前記発電装置(21)で発電された直流電力に優先させて前記電力バス(25)に供給するように前記第1電力変換部(22)および前記第2電力変換部(24)を制御する制御部(11)を備える、
ことを特徴とする電源システム。(20)。
【符号の説明】
【0068】
1 電力供給システム
10 パワーコンディショナ(PCS)
11 制御部
12 電力変換部
20 分散型電源システム
21 太陽光発電モジュール
22 DC/DCコンバータ(単方向DD)
23 蓄電池ユニット
24 双方向DC/DCコンバータ
25 直流バス
26 電力センサ
70 負荷
80 電力系統
81 電力計
101 プロセッサ
102 主記憶装置
103 補助記憶装置
104 通信IF
105 入出力IF
106 接続バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11