(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/024 20060101AFI20240918BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20240918BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20240918BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H01S5/024
H01S5/022
G02B26/10 104Z
H05K7/20 F
H05K7/20 S
(21)【出願番号】P 2020177469
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山田 麻子
(72)【発明者】
【氏名】京野 孝史
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】古川 将人
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-040896(JP,A)
【文献】特開2006-269995(JP,A)
【文献】特開2019-211597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と、
前記支持板と接合された電子冷却モジュールと、
光を形成するように構成され、前記電子冷却モジュールと接合された光形成部と、
前記光形成部の上方に位置し、前記支持板の厚さ方向に光が透過する窓が設けられており、前記光形成部を覆うように前記支持板の一方の主面上に接触して配置されるキャップと、を備え、
前記電子冷却モジュールは、
前記支持板上に配置された放熱板と、
前記光形成部を搭載する吸熱板と、
前記放熱板および前記吸熱板を接続する複数の半導体柱と、を含み、
前記光形成部は、
光を出射する半導体発光素子と、
前記吸熱板の厚さ方向に見て前記半導体発光素子と異なる位置に配置され、前記半導体発光素子から出射された光を走査するミラー駆動機構と、を含み、
前記吸熱板の熱伝導率は、前記放熱板の熱伝導率よりも大きい、光モジュール。
【請求項2】
前記吸熱板の熱伝導率は、30W/m・K以上300W/m・K以下である、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記吸熱板の材質は、AlN、SiCまたはSi
3N
4である、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
支持板と、
前記支持板と接合された電子冷却モジュールと、
光を形成するように構成され、前記電子冷却モジュールと接合された光形成部と、
前記光形成部の上方に位置し、前記支持板の厚さ方向に光が透過する窓が設けられており、前記光形成部を覆うように前記支持板の一方の主面上に接触して配置されるキャップと、を備え、
前記電子冷却モジュールは、
前記支持板上に配置された放熱板と、
前記光形成部を搭載する吸熱板と、
前記放熱板および前記吸熱板を接続する複数の半導体柱と、を含み、
前記光形成部は、
光を出射する半導体発光素子と、
前記吸熱板の厚さ方向に見て前記半導体発光素子と異なる位置に配置され、前記半導体発光素子から出射された光を走査するミラー駆動機構と、を含み、
前記吸熱板の厚さは、前記放熱板の厚さよりも大きく、
前記吸熱板の厚さは、前記放熱板の厚さの4倍以上8倍以下である、光モジュール。
【請求項5】
前記光形成部は、前記半導体発光素子を複数含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記吸熱板の厚さは、0.3mm以上2.0mm以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記放熱板の線膨張係数は、0.1×10
-6/K以上8.0×10
-6/K以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パッケージ内にレーザ素子を配置したレーザモジュールが知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、放熱板を含む半導体モジュールが知られている(たとえば、特許文献2参照)。このようなモジュールは、光を出射する光モジュールとして、種々の光源に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-7854号公報
【文献】特開2018-182287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光モジュールについては、低温から高温といった広い温度範囲の環境下で用いられる場合がある。光モジュールを構成する部材の温度を調節するために、電子冷却モジュールが用いられる。電子冷却モジュールは、放熱板と、吸熱板と、放熱板と吸熱板との間に配置される複数の半導体柱と、を含む。電子冷却モジュールは、吸熱板上に配置された部材の温度に応じて電気的な制御を行い、半導体柱のペルチェ効果を利用して、吸熱板上に配置された部材の温度を調節する。
【0005】
電子冷却モジュールによる温度の調節時において、光モジュールの動作時に発熱する部材が吸熱板上に配置される場合がある。そうすると、光モジュールの動作時に発熱しない部材との間に温度差が生じる。このような温度差が生じた状況においては、光モジュールを構成する各部材の温度を適切に調節することが困難となる。
【0006】
そこで、温度を適切に調節することができる光モジュールを提供することを本開示の目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った光モジュールは、支持板と、支持板と接合された電子冷却モジュールと、光を形成するように構成され、電子冷却モジュールと接合された光形成部と、を備える。光形成部は、光を出射する半導体発光素子を含む。電子冷却モジュールは、支持板上に配置された放熱板と、光形成部を搭載する吸熱板と、放熱板および吸熱板を接続する複数の半導体柱と、を含む。吸熱板の熱伝導率は、放熱板の熱伝導率よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
上記光モジュールによれば、温度を適切に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1における光モジュールの構造を示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光モジュールのキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における光モジュールの概略断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における光モジュールの概略断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2における光モジュールの概略断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態3における光モジュールの概略断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態4における光モジュールの概略断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態5における光モジュールの概略断面図である。
【
図9】
図9は、吸熱板の厚さと、ミラー駆動機構の中心部の温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る光モジュールは、支持板と、支持板と接合された電子冷却モジュールと、光を形成するように構成され、電子冷却モジュールと接合された光形成部と、を備える。光形成部は、光を出射する半導体発光素子を含む。電子冷却モジュールは、支持板上に配置された放熱板と、光形成部を搭載する吸熱板と、放熱板および吸熱板を接続する複数の半導体柱と、を含む。吸熱板の熱伝導率は、放熱板の熱伝導率よりも大きい。
【0011】
電子冷却モジュールに含まれる吸熱板は、光形成部を搭載する。電子冷却モジュールは、吸熱板上に搭載された光形成部の温度を調節する。電子冷却モジュールは、放熱板と、吸熱板と、放熱板と吸熱板との間に配置される複数の半導体柱と、を含む。半導体柱はペルチェ素子から構成されており、p型の半導体柱とn型の半導体柱とがそれぞれ交互に隣り合って配置される。隣り合う半導体柱の端部同士を交互に電気的に直列に接続して、電気回路が構成される。電子冷却モジュールにおいては、吸熱板上に温度を検知する部材が配置される。そして、吸熱板上に配置される部材の温度に応じて、電気回路に流す電流を制御することにより、半導体柱のペルチェ効果を利用して、たとえば吸熱板上に配置された部材から発する熱を放熱板側へ積極的に伝えて冷却し、温度を調節する。
【0012】
ここで、光形成部に含まれる半導体発光素子は、光モジュールの動作時、すなわち、光を出射する際に発熱する。一方、光形成部において、光の出射時に発熱しない部材を含む場合がある。そうすると、半導体発光素子が配置される領域と半導体発光素子が配置されない領域との間の温度差が生じる。光の出力を安定させるために、半導体発光素子をある一定の温度範囲内となるよう温度を調節する必要がある。電子冷却モジュールにより、たとえば光の出射時に発熱する半導体発光素子に応じて吸熱板上に配置される部材を一様に冷却すると、半導体発光素子が配置されない領域が過度に冷却されることとなる。その結果、半導体発光素子が配置される領域と半導体発光素子が配置されない領域との間において、大きな温度差が生じてしまう。光形成部に含まれる各部材において、このような状況下においても、光形成部に含まれる各部材がある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが求められる。
【0013】
本開示の光モジュールによれば、吸熱板の熱伝導率は、放熱板の熱伝導率よりも大きい。このようにすることにより、吸熱板内において吸熱板の厚さ方向のみならず、吸熱板の厚さ方向に垂直な方向に熱を伝えやすくすることができる。そうすると、吸熱板内、特に吸熱板と半導体柱とが接続される領域における温度差を小さくして、温度分布を均一にしやすい。したがって、光形成部に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュールによりある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。その結果、上記光モジュールによると、温度を適切に調節することができる。
【0014】
上記光モジュールにおいて、吸熱板の熱伝導率は、30W/m・K以上であってもよい。このようにすることにより、温度を適切に調節することができる。また、吸熱板の熱伝導率を300W/m・K以下とすることにより、コストアップを抑えることができる。さらに好ましくは、吸熱板の熱伝導率は、150W/m・K以上300W/m・K以下とするのがよい。
【0015】
上記光モジュールにおいて、吸熱板の材質は、AlN(窒化アルミニウム)、SiC(炭化珪素)またはSi3N4(窒化珪素)であってもよい。このような吸熱板を用いることにより、温度をより適切に調節することができる。
【0016】
本開示の光モジュールは、支持板と、支持板と接合された電子冷却モジュールと、光を形成するように構成され、電子冷却モジュールと接合された光形成部と、を備える。光形成部は、光を出射する半導体発光素子を含む。電子冷却モジュールは、支持板上に配置された放熱板と、光形成部を搭載する吸熱板と、放熱板および吸熱板を接続する複数の半導体柱と、を含む。吸熱板の厚さは、放熱板の厚さよりも大きい。
【0017】
吸熱板の厚さが放熱板の厚さよりも小さいと、吸熱板上に配置された部材の温度差がそのまま半導体柱側へ反映される傾向が強くなる。そうすると、光形成部に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュールにより、ある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが困難となる。本開示の光モジュールによると、吸熱板の厚さが放熱板の厚さよりも大きいため、吸熱板の断面積を大きくして、吸熱板の厚さ方向に垂直な方向に熱を伝えやすくすることができる。そうすると、吸熱板内、特に吸熱板と半導体柱とが接続される領域における温度差を小さくして、温度分布を均一にしやすい。したがって、光形成部に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュールによりある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。その結果、上記光モジュールによると、温度を適切に調節することができる。
【0018】
上記光モジュールにおいて、吸熱板の厚さは、放熱板の厚さの1.5倍以上であってもよい。このようにすることにより、温度をより適切に調節することができる。また、吸熱板の厚さは、放熱板の厚さの8倍以下であってもよい。このようにすることにより、コストアップを抑えることができる。
【0019】
上記光モジュールにおいて、吸熱板の厚さは、0.3mm以上であってもよい。このようにすることにより、温度をより適切に調節することができる。また、吸熱板の厚さは、2mm以下であってもよい。このようにすることにより、コストアップを抑えることができる。
【0020】
上記光モジュールにおいて、放熱板の線膨張係数は、0.1×10-6/K以上8.0×10-6/K以下であってもよい。このようにすることにより、温度変化時における放熱板の反りを抑制して、光モジュールにおける高精度な光の出射を確保することができる。さらに好ましくは、放熱板の線膨張係数は、4.0×10-6/K以上8.0×10-6/K以下とするのがよい。このようにすることにより、温度変化時における放熱板の反りをさらに抑制して、光モジュールにおけるさらに高精度な光の出射を確保することができる。
【0021】
上記光モジュールにおいて、光形成部は、吸熱板の厚さ方向に見て半導体発光素子と異なる位置に配置され、半導体発光素子から出射された光を走査するミラー駆動機構を、さらに含んでもよい。ミラー駆動機構は、半導体発光素子から出射された光を反射するミラーを周期的に揺動させることにより、半導体発光素子から出射された光を走査する。光形成部がミラー駆動機構を含むことにより、半導体発光素子から出射された光を走査して、光モジュール外へ出射することができる。そうすると、光モジュールにより、半導体発光素子から出射された光を用いて描画することができる。ここで、ミラーの揺動運動については、温度依存性が有り、ミラー駆動機構の温度が一定でなければ、ミラーの振れ角が大きく変化してしまう。そうすると、半導体発光素子から出射された光を適切に走査することができない。また、ミラー駆動機構が配置された領域と半導体発光素子が配置された領域との間で動作時における温度差が大きいと、光モジュールが動作していない状態で調整した光軸のずれ量が大きくなってしまう。
【0022】
本開示の光モジュールによると、光形成部に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュールにより、ある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。したがって、上記光モジュールによると、温度を適切に調節することができる。そうすると、駆動時に発熱する半導体発光素子の温度調節時における影響を低減し、ミラー駆動機構においてもある一定の温度範囲内となるよう調節することができる。したがって、ミラーの振れ角の変化を小さくすると共に、揺動するミラーに対して調整された、半導体発光素子から出射された光の光軸のずれを抑制することができる。その結果、光モジュールによる描画を適切に行うことができる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の光モジュールの一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0024】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1に係る光モジュールについて説明する。
図1は、実施の形態1における光モジュールの構造を示す外観斜視図である。
図2は、
図1に示す光モジュールのキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。
図3および
図4は、実施の形態1における光モジュールの概略断面図である。
図3は、
図1に示す光モジュールを、キャップを含み、光形成部を含まないX-Y平面で切断し、支持板の厚さ方向に見た図である。
図4は、
図1に示す光モジュールを、キャップを含み、光形成部を含まないX-Z平面で切断し、支持板の厚さ方向に垂直な方向、具体的にはY方向に見た図である。
【0025】
図1~
図4を参照して、光モジュール1Aは、光を形成する光形成部20と、光形成部20を取り囲み、光形成部20を封止する保護部材2と、を備える。保護部材2は、ベース体としての平板状の支持板10と、支持板10に対して溶接された蓋部であるキャップ40と、を含む。光形成部20は、支持板10の一方の主面10A上に配置される。キャップ40は、光形成部20を覆うように支持板10の一方の主面10A上に接触して配置される。光形成部20は、保護部材2により、ハーメチックシールされている。光形成部20が支持板10とキャップ40とによって取り囲まれることにより、光形成部20に含まれる各部材が外部環境から有効に保護される。支持板10の他方の主面10B側から一方の主面10A側まで貫通し、一方の主面10A側および他方の主面10B側の両側に突出するように、複数のリードピン51が支持板10に設置されている。本実施形態においては、支持板10の材質は、コバールである。
【0026】
光形成部20は、矢印L1で示す方向に赤色の光を出射する第1の半導体発光素子としての赤色レーザダイオード81と、矢印L2で示す方向に緑色の光を出射する第2の半導体発光素子としての緑色レーザダイオード82と、矢印L3で示す方向に青色の光を出射する第3の半導体発光素子としての青色レーザダイオード83と、第1レンズ91と、第2レンズ92と、第3レンズ93と、第1フィルタ97と、第2フィルタ98と、第3フィルタ99と、板状のレーザダイオードベース60と、直方体形状のブロック部61と、を含む。赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光は合波されて、窓42から光モジュール1Aの外部へ出射される。
【0027】
光形成部20は、光のビーム整形部としてのアパーチャ部材55と、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光を走査するミラー駆動機構110と、ステージ65Aと、を含む。アパーチャ部材55は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光の進行方向に垂直な断面における赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光の形状を整形する。ステージ65Aは、直三角柱の形状を有する。ステージ65Aは、ミラー駆動機構110を支持する。ステージ65Aおよびミラー駆動機構110は、アパーチャ部材55から見て後述する第3フィルタ99とは反対側に配置される。アパーチャ部材55、ステージ65Aおよびミラー駆動機構110についても、保護部材2により、ハーメチックシールされている。
【0028】
光モジュール1Aは、電子冷却モジュール30Aを含む。電子冷却モジュール30Aは、放熱板31Aと、吸熱板32Aと、複数の半導体柱33Aと、を含む。電子冷却モジュール30Aは、TEC(Thermo-Electric Cooler)と呼ばれる場合もある。電子冷却モジュール30Aについても、保護部材2により、ハーメチックシールされている。電子冷却モジュール30Aの構成については、後に詳述する。
【0029】
レーザダイオードベース60は、厚さ方向に見て長方形形状(正方形形状)を有する一方の主面60Aおよび他方の主面60Bを有している。ブロック部61は、レーザダイオードベース60の一方の主面60Aの一部上に搭載されている。
【0030】
ブロック部61の一方の主面61A上には、平板状の第1サブマウント71、第2サブマウント72および第3サブマウント73が、X方向に並べて配置されている。第1サブマウント71上に、赤色レーザダイオード81が配置されている。第2サブマウント72上に、緑色レーザダイオード82が配置されている。第3サブマウント73上に、青色レーザダイオード83が配置されている。なお、ブロック部61の一方の主面61A上において、レーザダイオードベース60の温度を検出するサーミスタ100が配置されている。
【0031】
レーザダイオードベース60の一方の主面60A上には、光のスポットサイズを変換する第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93が、X方向に並べて配置されている。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、それぞれ赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光のスポットサイズを変換する。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93により、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光がコリメート光に変換される。
【0032】
レーザダイオードベース60の一方の主面60A上には、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99が、X方向に並べて配置される。第1フィルタ97は、赤色の光を反射する。第2フィルタ98は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。第3フィルタ99は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。このように、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99は、特定の波長の光を選択的に透過および反射する。その結果、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射された光を合波する。合波された光は、矢印L4で示す方向に沿って進行する。
【0033】
アパーチャ部材55は、吸熱板32A上に配置される。アパーチャ部材55は、第3フィルタ99から見て第2フィルタ98とは反対側に配置される。アパーチャ部材55は、平板状の形状を有する。アパーチャ部材55は、アパーチャ部材55を厚み方向に貫通する貫通孔55Aを有する。本実施の形態において、貫通孔55Aの延びる方向に垂直な断面における形状は円形である。貫通孔55Aが、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99において合波された光の光路に対応する領域に位置するように、アパーチャ部材55は配置される。
【0034】
ミラー駆動機構110は、揺動運動が可能なミラー111を含む。ミラー駆動機構110は、ミラー駆動機構110は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射され、合波された光を反射するミラーを高速で周期的に揺動させることにより、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射され、合波された光を走査する。光形成部20がミラー駆動機構110を含むことにより、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射され、合波された光を走査して、光モジュール1A外へ出射することができる。そうすると、光モジュール1Aにより、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射され、合波された光を用いて描画することができる。走査された光の一部を
図4中の矢印L
5で示す。ミラー駆動機構110を支持するステージ65Aは、吸熱板32A上に配置される。
【0035】
次に、光モジュール1Aに含まれる電子冷却モジュール30Aの構成について詳述する。放熱板31Aおよび吸熱板32Aは、それぞれ一枚の平板状である。放熱板31Aおよび吸熱板32Aは、厚さ方向に見てそれぞれ矩形状、具体的には長方形の形状を有しており、同じ形状である。また、厚さも同じである。すなわち、放熱板31Aの厚さD1と吸熱板の厚さD2とは、同じ厚さである。なお、放熱板31Aの厚さD1および吸熱板32Bの厚さD2はそれぞれ、0.25mmである。矢印Xで示す向きまたはその逆の向きで示す方向は、放熱板31Aおよび吸熱板32Aの長手方向を示し、矢印Yで示す向きまたはその逆の向きで示す方向は、放熱板31Aおよび吸熱板32Aの短手方向を示し、矢印Zで示す向きまたはその逆の向きで示す方向は、放熱板31Aおよび吸熱板32Aの厚さ方向を示す。放熱板31Aの線膨張係数は、0.1×10-6/K以上8.0×10-6/K以下である。具体的には、放熱板31Aの線膨張係数は、7.7×10-6/Kである。
【0036】
吸熱板32Aは、放熱板31Aと厚さ方向に離れて配置される。放熱板31Aは、厚さ方向において吸熱板32Aと対向する一方の主面11Aと、一方の主面11Aと厚さ方向の反対側に位置する他方の主面11Bと、を含む。吸熱板32Aは、一方の主面12Aと、一方の主面12Aと厚さ方向の反対側に位置し、放熱板31Aと対向する他方の主面12Bと、を含む。
【0037】
複数の半導体柱33Aはそれぞれ、ペルチェ素子から構成されており、p型のものとn型のものを含む。半導体柱33Aは、たとえばBiTe(ビスマステルル)系の材料を用いて製造される。複数のp型の半導体柱33Aと複数のn型の半導体柱33Aとが、それぞれ交互に間隔をあけて配置される。複数の半導体柱33Aのそれぞれの一方の端部が、放熱板31Aの一方の主面11Aに接続される。複数の半導体柱33Aのそれぞれの他方の端部が、吸熱板32Aの他方の主面12Bに接続される。
【0038】
半導体柱33Aは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て矩形状であって薄板状の電極(図示せず)を挟んで放熱板31Aに接続される。半導体柱33Aは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て矩形状であって薄板状の電極(図示せず)を挟んで吸熱板32Aに接続される。p型の半導体柱33Aの端部は、一方側に隣り合うn型の半導体柱33Aの端部と薄板状の電極により接続される。また、p型の半導体柱33Aの上記端部と異なる端部は、上記一方側とは異なる側に隣り合うn型の半導体柱33Aと薄板状の電極により接続される。このようにして、全ての半導体柱33Aが直列に接続される。直列に接続された半導体柱33Aに、電源(図示せず)および回路の電気的な制御を行う制御部(図示せず)が電気的に接続され、電子冷却モジュール30Aに含まれる電気回路が構成される。すなわち、電気回路は、複数の半導体柱33Aを電気的に接続して構成される。
【0039】
電子冷却モジュール30Aは、図示しない接合材を利用して支持板10に接合される。放熱板31Aの他方の主面11Bが支持板10の一方の主面10Aに接触するように、電子冷却モジュール30Aは支持板10の一方の主面10A上に配置される。光形成部20は、図示しない接合材を利用して電子冷却モジュール30Aに接合される。電子冷却モジュール30Aの吸熱板32Aの一方の主面12A上に、光形成部20が搭載される。
【0040】
レーザダイオードベース60、アパーチャ部材55およびステージ65Aは、吸熱板32A上に配置される。レーザダイオードベース60の他方の主面60Bが、吸熱板32Aの一方の主面12Aに接合される。アパーチャ部材55およびステージ65Aについても、吸熱板32Aの一方の主面12Aに接合される。
【0041】
ここで、本開示の光モジュール1Aにおいて、吸熱板32Aの熱伝導率は、放熱板31Aの熱伝導率よりも大きい。具体的には、吸熱板32Aの材質はAlN(窒化アルミニウム)であり、熱伝導率が170W/m・Kである。放熱板31Aの材質はAl2O3(アルミナ)であり、熱伝導率が24W/m・Kである。
【0042】
本開示の光モジュール1Aによると、吸熱板32A内において吸熱板32Aの厚さ方向のみならず、吸熱板32Aの厚さ方向に垂直な方向に熱を伝えやすくすることができる。すなわち、吸熱板32AのZ方向への伝熱のみならず、吸熱板32AのX方向およびY方向への伝熱が容易となる。よって、吸熱板32A内、特に吸熱板32Aと半導体柱33Aとが接続される領域におけるにおける温度差を小さくして、温度分布を均一にしやすい。したがって、光形成部20に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュール30Aによりある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。その結果、上記光モジュール1Aによると、温度を適切に調節することができる。
【0043】
本実施形態においては、吸熱板32Aの熱伝導率は、170W/m・Kであり、30W/m・K以上300W/m・K以下である。よって、上記光モジュール1Aは、温度をより適切に調節することができる光モジュールとなっている。
【0044】
本実施形態においては、吸熱板32Aの材質は、AlNである。よって、上記光モジュール1Aは、温度をより適切に調節することができる光モジュールとなっている。
【0045】
本実施形態においては、放熱板31Aの線膨張係数は、0.1×10-6/K以上8.0×10-6/K以下である。よって、上記光モジュール1Aは、温度変化時における放熱板31Aの反りを抑制して、高精度な光の出射を確保することができる光モジュールとなっている。本実施形態においては、支持板10の材質は、コバールである。コバールの線膨張係数は、5.2×10-6/Kである。上記したように放熱板31Aの材質は、アルミナである。また、放熱板31Aの線膨張係数は、7.7×10-6/Kである。よって、本実施形態においては、放熱板31Aの線膨張係数は、支持板10の線膨張係数よりも大きいため、放熱板31Aの反りをさらに抑制することができ、さらに高精度な光の出射を確保することができる。
【0046】
本実施形態においては、光形成部20に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュール30Aにより、ある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。したがって、上記光モジュール1Aによると、温度を適切に調節することができる。そうすると、駆動時に発熱する赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度調節時における影響を低減し、ミラー駆動機構110においてもある一定の温度範囲内となるよう調節することができる。したがって、ミラー111の振れ角の変化を小さくすると共に、揺動するミラー111に対して調整された、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射された光の光軸のずれを抑制することができる。その結果、光モジュール1Aによる描画を適切に行うことができる。
【0047】
なお、上記の実施の形態においては、吸熱板32Aの材質は窒化アルミニウムであることとしたが、これに限らず、吸熱板32Aの材質は、SiC(炭化珪素)またはSi3N4(窒化珪素)であってもよい。すなわち、吸熱板32Aの材質は、AlN、SiCまたはSi3N4であってもよい。SiCの熱伝導率は、200W/m・Kである。Si3N4の熱伝導率は、80W/m・Kである。このような吸熱板32Aを用いることにより、温度をより適切に調節することができる。
【0048】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図5は、実施の形態2における光モジュールの概略断面図である。実施の形態2の光モジュールは、吸熱板の厚さが異なる点および吸熱板の材質が異なる点において、実施の形態1の場合と異なっている。
【0049】
図5を参照して、実施の形態2の光モジュール1Bに含まれる電子冷却モジュール30Bは、放熱板31Aと、吸熱板32Bと、複数の半導体柱33Aと、を含む。吸熱板32Bの材質は、アルミナである。すなわち、吸熱板32Bと放熱板31Aとは、同じ材質で構成されている。吸熱板32Bの厚さD
3は、0.5mmであり、放熱板31Aの厚さD
1よりも大きい。具体的には、吸熱板32Bの厚さD
3は、放熱板31Aの厚さD
1の2倍の厚さである。
【0050】
このようにすることにより、吸熱板32Bの断面積を大きくして、吸熱板32Bの厚さ方向に垂直な方向に熱を伝えやすくすることができる。すなわち、吸熱板32BのZ方向への伝熱のみならず、吸熱板32BのX方向およびY方向への伝熱が容易となる。そうすると、吸熱板32B内、特に吸熱板32Bと半導体柱33Aとが接続される領域における温度差を小さくして、温度分布を均一にしやすい。したがって、光形成部20に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュールに30Bより、ある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。その結果、上記光モジュール1Aによると、温度を適切に調節することができる。
【0051】
なお、上記の実施の形態において、吸熱板32Bの材質と放熱板31Aの材質とを同じとすることとしたが、これに限らず、吸熱板32Bの材質として、熱伝導率が放熱板31Aよりも大きい材質としてもよい。たとえば吸熱板32Bの材質は、AlN、SiCまたはSi3N4であってもよい。このようにすることにより、温度をより適切に調節することができる。
【0052】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図6は、実施の形態3における光モジュールの概略断面図である。実施の形態3の光モジュールは、吸熱板の厚さが異なる点において、実施の形態2の場合と異なっている。
【0053】
図6を参照して、実施の形態3の光モジュール1Cに含まれる電子冷却モジュール30Cは、放熱板31Aと、吸熱板32Cと、複数の半導体柱33Aと、を含む。吸熱板32Bの材質は、アルミナである。すなわち、吸熱板32Cと放熱板31Aとは、同じ材質で構成されている。吸熱板32Cの厚さD
4は、1.0mmであり、放熱板31Aの厚さD
1よりも大きい。具体的には、吸熱板32Cの厚さD
4は、放熱板31Aの厚さD
1の4倍である。
【0054】
このようにすることにより、吸熱板32Cの断面積をさらに大きくして、吸熱板32Cの厚さ方向に垂直な方向に熱をさらに伝えやすくすることができる。そうすると、吸熱板32C内、特に吸熱板32Cと半導体柱33Aとが接続される領域における温度差を小さくして、温度分布をさらに均一にしやすい。したがって、光形成部20に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュール30Cにより、ある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。その結果、上記光モジュール1Cによると、温度を適切に調節することができる。
【0055】
なお、上記の実施の形態において、吸熱板32Cの材質と放熱板31Aの材質とを同じとすることとしたが、これに限らず、吸熱板32Cの材質として、熱伝導率が放熱板31Aよりも大きい材質としてもよい。たとえば吸熱板32Cの材質は、AlN、SiCまたはSi3N4であってもよい。このようにすることにより、温度をより適切に調節することができる。
【0056】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。
図7は、実施の形態4における光モジュールの概略断面図である。実施の形態4の光モジュールは、吸熱板の厚さが異なる点において、実施の形態2および実施の形態3の場合と異なっている。
【0057】
図7を参照して、実施の形態4の光モジュール1Dに含まれる電子冷却モジュール30Dは、放熱板31Aと、吸熱板32Dと、複数の半導体柱33Aと、を含む。吸熱板32Dの材質は、アルミナである。すなわち、吸熱板32Dと放熱板31Aとは、同じ材質で構成されている。吸熱板32Dの厚さD
5は、1.5mmであり、放熱板31Aの厚さD
1よりも大きい。具体的には、吸熱板32Dの厚さD
5は、放熱板31Aの厚さD
1の6倍である。
【0058】
このようにすることにより、吸熱板32Dの断面積をさらに大きくして、吸熱板32Dの厚さ方向に垂直な方向に熱をさらに伝えやすくすることができる。そうすると、吸熱板32D内、特に吸熱板32Dと半導体柱33Aとが接続される領域における温度差を小さくして、温度分布をさらに均一にしやすい。したがって、光形成部20に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュール30Dにより、ある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。その結果、上記光モジュール1Dによると、温度を適切に調節することができる。
【0059】
なお、上記の実施の形態において、吸熱板32Dの材質と放熱板31Aの材質とを同じとすることとしたが、これに限らず、吸熱板32Dの材質として、熱伝導率が放熱板31Aよりも大きい材質としてもよい。たとえば吸熱板32Dの材質は、AlN、SiCまたはSi3N4であってもよい。このようにすることにより、温度をより適切に調節することができる。
【0060】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。
図8は、実施の形態5における光モジュールの概略断面図である。実施の形態5の光モジュールは、吸熱板の厚さが異なる点において、実施の形態2、実施の形態3および実施の形態4の場合と異なっている。
【0061】
図8を参照して、実施の形態5の光モジュール1Eに含まれる電子冷却モジュール30Eは、放熱板31Aと、吸熱板32Eと、複数の半導体柱33Aと、を含む。吸熱板32Eの材質は、アルミナである。すなわち、吸熱板32Eと放熱板31Aとは、同じ材質で構成されている。吸熱板32Eの厚さD
6は、2.0mmであり、放熱板31Aの厚さD
1よりも大きい。具体的には、吸熱板32Eの厚さD
6は、放熱板31Aの厚さD
1の8倍である。
【0062】
このようにすることにより、吸熱板32Eの断面積をさらに大きくして、吸熱板32Eの厚さ方向に垂直な方向に熱をさらに伝えやすくすることができる。そうすると、吸熱板32E内、特に吸熱板32Eと半導体柱33Aとが接続される領域における温度差を小さくして、温度分布をさらに均一にしやすい。したがって、光形成部20に含まれる各部材に対して、電子冷却モジュール30Eにより、ある一定の温度範囲内となるよう温度を調節することが容易となる。その結果、上記光モジュール1Eによると、温度を適切に調節することができる。
【0063】
なお、上記の実施の形態において、吸熱板32Eの材質と放熱板31Aの材質とを同じとすることとしたが、これに限らず、吸熱板32Eの材質として、熱伝導率が放熱板31Aよりも大きい材質としてもよい。たとえば吸熱板32Eの材質は、AlN、SiCまたはSi3N4であってもよい。このようにすることにより、温度をより適切に調節することができる。
【0064】
(実施例)
上記した実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、実施の形態5について、シミュレーションにより、ミラー駆動機構の中心部の温度を算出した。表1は、吸熱板の材質および厚さのシミュレーション条件と、ミラー駆動機構の中心部の温度のシミュレーション結果との関係を示す表である。シミュレーションの条件として、放熱板の厚さを0.25mm、放熱板の材質をアルミナとし、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオードおよび青色レーザダイオードによる総発熱量を1Wとし、支持板の温度を25℃として、ブロック部61の温度を検知するサーミスタの温度を40℃に調節する設定により行った。表1においては、サンプル1として本発明の範囲外である吸熱板の厚さおよび材質を0.25mmおよびアルミナとして、放熱板の厚さおよび材質と同じとしたものを用いた。サンプル2として、実施の形態1に示す吸熱板を含む電子冷却モジュールを備える光モジュールを用いた。サンプル3として、実施の形態2に示す吸熱板を含む電子冷却モジュールを備える光モジュールを用いた。サンプル4として、実施の形態3に示す吸熱板を含む電子冷却モジュールを備える光モジュールを用いた。サンプル5として、実施の形態4に示す吸熱板を含む電子冷却モジュールを備える光モジュールを用いた。サンプル6として、実施の形態5に示す吸熱板を含む電子冷却モジュールを備える光モジュールを用いた。サンプル7として、吸熱板の材質を窒化アルミニウムとし、吸熱板の厚さを1.0mmとしたものを含む電子冷却モジュールを備える光モジュールを用いた。
図9は、吸熱板の厚さと、ミラー駆動機構の中心部の温度との関係を示すグラフである。
図9において、横軸は吸熱板の厚さ(mm)を示し、縦軸はミラー駆動機構の中心部の温度(℃)を示す。
【0065】
【0066】
表1および
図9を参照して、サンプル1においては、ミラー駆動機構の中心部の温度は13℃であり、設定された温度である40℃と大きく乖離している。これに対し、サンプル2においては、ミラー駆動機構の中心部の温度は27℃であり、設定された温度である40℃に近づいている。また、サンプル3においては、ミラー駆動機構の中心部の温度は18℃であり、サンプル1に対して設定された温度である40℃に近くなっている。サンプル4においては、ミラー駆動機構の中心部の温度は23℃であり、サンプル3の場合と比べてさらに設定された温度である40℃に近くなっている。サンプル5においては、ミラー駆動機構の中心部の温度は25℃であり、サンプル4の場合と比べてさらに設定された温度である40℃に近くなっている。サンプル6においては、ミラー駆動機構の中心部の温度は26℃であり、サンプル5の場合と比べてさらに設定された温度である40℃に近くなっている。サンプル7においては、ミラー駆動機構の中心部の温度は31℃であり、材質のみを変更したサンプル2および厚さのみを変更したサンプル4の場合と比べてさらに設定された温度である40℃に近くなっている。
【0067】
なお、光軸のずれについて検討すると、サンプル1の場合は、0.07度のずれが生じていたのに対し、サンプル2の場合は光軸のずれが0.03度であり、光軸のずれについても改善されている。また、サンプル4の場合は光軸のずれが0.02度であり、この場合も光軸のずれが改善されている。
【0068】
サンプル3、サンプル4、サンプル5およびサンプル6を参照して、吸熱板の厚さとミラー駆動機構の中心部の温度との関係に着目すると、吸熱板の厚さが厚くなるにつれ、ミラー駆動機構の中心部の温度は設定された温度である40℃に近づき、調節したい温度に近づいていることが把握できる。そして、サンプル7を参照して、吸熱板を厚くすると共に、吸熱板の材質について熱伝導率の大きいものとすることにより、よりミラー駆動機構の中心部の温度が調節したい温度に近づくことが把握できる。
【0069】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、光モジュールは、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオードおよび青色レーザダイオードを含む構成としたが、これに限らず、少なくともいずれか1色、すなわち、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオードおよび青色レーザダイオードのうちの少なくともいずれか1つを含む構成であってもよい。
【0070】
また、上記の実施の形態において、電子冷却モジュールについては、光モジュールが配置された周囲環境がたとえば極めて低温であった場合、吸熱板側で熱を放出し、放熱板側で熱を吸収する場合もある。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示の光モジュールは、温度の適切に調節が求められる場合に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0073】
1A,1B,1C,1D,1E 光モジュール
2 保護部材
10 支持板
10A,10B,11A,11B,12A,12B,60A,60B,61A 主面
13 溝部
20 光形成部
30A,30B,30C,30D,30E 電子冷却モジュール
31A 放熱板
32A,32B,32C,32D,32E 吸熱板
33A 半導体柱
40 キャップ
42 窓
51 リードピン
55 アパーチャ部材
55A 貫通孔
60 レーザダイオードベース
61 ブロック部
65A ステージ
71 第1サブマウント
72 第2サブマウント
73 第3サブマウント
81 赤色レーザダイオード
82 緑色レーザダイオード
83 青色レーザダイオード
91 第1レンズ
92 第2レンズ
93 第3レンズ
97 第1フィルタ
98 第2フィルタ
99 第3フィルタ
100 サーミスタ
110 ミラー駆動機構
111 ミラー
L1,L2,L3,L4,L5 矢印
D1,D2,D3,D4,D5,D6 厚さ