(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/22 20060101AFI20240918BHJP
B26D 5/08 20060101ALI20240918BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240918BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240918BHJP
B26D 1/08 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
B26D7/22 A
B26D5/08 B
B65H7/14
B41J11/70
B26D1/08
(21)【出願番号】P 2021006186
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 克幸
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-116658(JP,A)
【文献】特開2020-157464(JP,A)
【文献】特開2016-114886(JP,A)
【文献】特開平04-252660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0024121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/22
B26D 5/08
B65H 7/14
B41J 11/70
B26D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を切断する第1刃と、
カッターモーターと、
前記第1刃と係合し、前記カッターモーターにより回転することで、前記第1刃を駆動する駆動歯車と、
前記駆動歯車と連動して回転する回転部と、
発光素子および受光素子を含む受発光部と、
前記受発光部が設けられるセンサー基板と、を有し、前記発光素子から前記受光素子へ発光された検出光が前記回転部により遮断されるか否かに応じて、第1検出信号および第2検出信号のいずれかを出力す
るフォトセンサーと、
前記フォトセンサーを支持する第1カッターフレームと、
前記第1カッターフレームとの間で前記センサー基板を覆うカバー部材と、を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
印刷媒体を切断する第1刃と、
カッターモーターと、
前記第1刃と係合し、前記カッターモーターにより回転することで、前記第1刃を駆動する駆動歯車と、
前記駆動歯車と連動して回転する回転部と、
発光素子および受光素子を含む受発光部と、
前記受発光部が設けられるセンサー基板と、を有し、前記発光素子から前記受光素子へ発光された検出光が前記回転部により遮断されるか否かに応じて、第1検出信号および第2検出信号のいずれかを出力す
るフォトセンサーと、
前記駆動歯車を回転可能に支持する第1カッターフレームと、
前記回転部の回転経路の内側に位置する第1環状壁部と、前記回転経路の外側に位置する第2環状壁部と、の少なくとも一方を有するカバー部材と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記駆動歯車と噛み合った検出歯車、を備え、
前記検出歯車は、第1検出端面を有し、
前記回転部は、前記第1検出端面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1カッターフレームとの間で、前記第1刃、前記カッターモーター、前記駆動歯車、前記検出歯車、前記フォトセンサーおよび前記カバー部材を収容した第2カッターフレーム、を備え、
前記カッターモーター、前記駆動歯車、前記検出歯車、前記フォトセンサーおよび前記カバー部材は、前記第1カッターフレームに支持され、
前記第1刃は、前記第2カッターフレームに支持されていることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記駆動歯車は、前記第1検出端面とは反対の方向を向いた第2駆動端面、を有し、
前記第2駆動端面には、前記駆動歯車が前記第1刃を切断開始位置に位置させる駆動歯車ホーム位置に位置するときに、前記駆動歯車の回転中心と前記検出歯車の回転中心とを結ぶ歯車間仮想線上に位置する第2駆動マークが設けられ、
前記検出歯車は、前記第1検出端面とは反対の方向を向いた第2検出端面、を有し、
前記第2検出端面には、前記検出歯車が前記センサー基板から前記第1検出信号を出力させる検出歯車ホーム位置に位置するときに、前記歯車間仮想線上に位置する第2検出マークが設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記駆動歯車は、前記第1検出端面と同じ方向を向いた第1駆動端面、を有し、
前記第1駆動端面には、前記駆動歯車が前記第1刃を切断開始位置に位置させる駆動歯車ホーム位置に位置するときに、前記駆動歯車の回転中心と前記検出歯車の回転中心とを結ぶ歯車間仮想線上に位置する第1駆動マークが設けられ、
前記第1検出端面には、前記検出歯車が前記センサー基板から前記第1検出信号を出力させる検出歯車ホーム位置に位置するときに、前記歯車間仮想線上に位置する第1検出マークが設けられ、
前記第1カッターフレームには、前記歯車間仮想線上に位置する前記第1駆動マークおよび前記第1検出マークを視認可能とする第1マーク開口が設けられていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記カバー部材の外面には、カバーマークが設けられ、
前記検出歯車は、前記第1検出端面とは反対の方向を向いた第2検出端面、を有し、
前記第2検出端面には、前記検出歯車が前記センサー基板から前記第1検出信号を出力させる検出歯車ホーム位置に位置するときに、前記検出歯車の回転中心と前記カバーマークとを結ぶカバー仮想線上に位置する第3検出マークが設けられていることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記駆動歯車は、前記第1検出端面と同じ方向を向いた第1駆動端面、を有し、
前記第1駆動端面には、第3駆動マークが設けられ、
前記第1カッターフレームには、前記駆動歯車が前記第1刃を切断開始位置に位置させる駆動歯車ホーム位置に位置するときに、前記第3駆動マークを視認可能とする第2マーク開口が設けられていることを特徴とする請求項3ないし7のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1カッターフレームに固定され、前記検出歯車を回転可能に支持する検出歯車軸、を備え、
前記第1カッターフレームには、前記検出歯車軸の軸方向における前記検出歯車軸の一方の端部である第1軸端部と係合する軸係合穴が設けられ、
前記第1軸端部には、Dカット加工された第1カット部が設けられ、
前記検出歯車軸の軸方向における前記検出歯車軸の他方の端部である第2軸端部には、Dカット加工された第2カット部が設けられ、
前記第1カット部と前記第2カット部とは、前記検出歯車軸の周方向において、同じ位置に設けられていることを特徴とする請求項3ないし8のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
指で操作することで、前記カッターモーターによらず、前記駆動歯車を回転させる操作部、を備え、
前記第1カッターフレームには、前記操作部を指で操作するための操作開口、が設けられ、
前記カバー部材は、前記操作部と、前記駆動歯車および前記検出歯車の噛合い部分と、の間に設けられた挟み抑制部、を有することを特徴とする請求項3ないし9のいずれか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、カッターのホームポジションを検出するスイッチ式のHP検出センサーを備えたプリンターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリンターにおいて、スイッチ式のHP検出センサーに代えて、発光素子および受光素子を備えた光学式センサーを用いる場合、光学式センサーに対して、カッター駆動部から飛散したグリース、紙切断時に発生する紙粉、などの異物が侵入するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷装置は、印刷媒体を切断する第1刃と、カッターモーターと、第1刃と係合し、カッターモーターにより回転することで、第1刃を駆動する駆動歯車と、駆動歯車と連動して回転する回転部と、発光素子および受光素子を含む受発光部と、発光素子から受光素子へ発光された検出光が回転部により遮断されるか否かに応じて、第1検出信号および第2検出信号のいずれかを出力するセンサー基板と、を有するフォトセンサーと、フォトセンサーを支持する第1カッターフレームと、第1カッターフレームとの間でセンサー基板を覆うカバー部材と、を備えた。
【0006】
本発明の印刷装置は、印刷媒体を切断する第1刃と、カッターモーターと、第1刃と係合し、カッターモーターにより回転することで、第1刃を駆動する駆動歯車と、駆動歯車と連動して回転する回転部と、発光素子および受光素子を含む受発光部と、発光素子から受光素子へ発光された検出光が回転部により遮断されるか否かに応じて、第1検出信号および第2検出信号のいずれかを出力するセンサー基板と、を有するフォトセンサーと、駆動歯車を回転可能に支持する第1カッターフレームと、回転部の回転経路の内側に位置する第1環状壁部と、回転経路の外側に位置する第2環状壁部と、の少なくとも一方を有するカバー部材と、を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】開閉カバーが閉められた状態における印刷装置の斜視図である。
【
図2】開閉カバーが開かれた状態における印刷装置の斜視図である。
【
図5】第1カッターフレームを除いてカッターユニットを+Z方向から見た図である。
【
図6】カッターユニットを+Z方向から見た図である。
【
図8】
図6のB線で囲まれた部分を拡大した図である。
【
図9】カッターユニットのうち、第2カッターフレームに支持された部品を示す図である。
【
図10】カッターユニットのうち、第1カッターフレームに支持された部品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照して、印刷装置の一実施形態について説明する。本実施形態の印刷装置1は、例えば、POSシステムにおいてレシートプリンターとして用いられるものである。以下では、各図に示したXYZ直交座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。なお、
図1ないし
図4では、鉛直方向をZ方向とし、
図5ないし
図14では、
図5に示した駆動歯車59の回転軸に平行な方向を、Z方向としている。
【0009】
[印刷装置の外観構造]
図1および
図2に基づいて、印刷装置1の外観構造について説明する。印刷装置1は、装置本体3と、開閉カバー5とを備えている。装置本体3は、+Z方向の面に開口部6が設けられた略直方体状に形成されており、装置本体3の内部には、ロール紙収容部7が設けられている。ロール紙収容部7には、印刷媒体である記録紙Pが巻回されたロール紙Rが収容される(
図3参照)。開閉カバー5は、装置本体3の+Y方向の端部に回動可能に取り付けられており、開口部6を開閉する。
【0010】
印刷装置1は、外装として、本体外装部9と、カッターユニットカバー11と、開口外装部12と、カバー外装部13とを備えている。
【0011】
本体外装部9、カッターユニットカバー11および開口外装部12は、装置本体3の外装を構成している。本体外装部9は、+Z方向の面が開口した略直方体の箱状に形成されている。カッターユニットカバー11は、開閉カバー5に対して-Y方向に設けられている。カッターユニットカバー11が開けられると、後述するオートカッター37(
図3参照)が現れる。カッターユニットカバー11と開閉カバー5との境界部には、排出口15が設けられている。排出口15からは、ロール紙収容部7に収容されたロール紙Rから繰り出された記録紙Pが、排出される。開口外装部12は、開口部6の縁部に設けられている。カバー外装部13は、開閉カバー5の外装を構成している。
【0012】
また、印刷装置1は、カバー開放ボタン17と、送りボタン19と、パネル部21とを備えている。カバー開放ボタン17、送りボタン19およびパネル部21は、印刷装置1の+Z方向の面において、+X方向の端部に設けられている。
カバー開放ボタン17が押されると、開閉カバー5が開く。送りボタン19が押されると、後述するプラテンローラー35が回転し、記録紙Pが排出口15に向けて送られる。パネル部21は、エラーなどの各種情報を、ユーザーに対して表示する。
【0013】
[印刷装置の内部構造]
図3および
図4に基づいて、印刷装置1の内部構造について説明する。印刷装置1は、ベースフレーム23と、本体フレーム25と、カバーフレーム27と、サーマルヘッド29と、送りモーター31と、歯車列33と、プラテンローラー35と、オートカッター37と、ロック機構39とを備えている。
【0014】
ベースフレーム23および本体フレーム25は、本体外装部9の内側に設けられている。ベースフレーム23は、本体フレーム25を支持している。本体フレーム25は、第1本体フレーム41と、第2本体フレーム43とを備えている。第1本体フレーム41および第2本体フレーム43は、いずれも、Y方向に延在する略長方形の板状に形成されている。第2本体フレーム43は、第1本体フレーム41に対して、+X方向に設けられている。第1本体フレーム41および第2本体フレーム43の+Y方向の端部には、X方向に延在するカバー支軸45が設けられている。
【0015】
カバーフレーム27は、カバー外装部13の内側に設けられている。カバーフレーム27は、略長方形の枠状に形成されており、カバー支軸45を介して、本体フレーム25に回動可能に支持されている。カバーフレーム27の+Y方向の端部には、カバー支軸45と係合するカバー支軸穴(図示省略)が設けられている。
【0016】
サーマルヘッド29は、本体フレーム25に支持されている。サーマルヘッド29は、複数の発熱素子(図示省略)を備えており、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pに印刷を行う。
【0017】
送りモーター31は、第1本体フレーム41の-Y方向の端部に固定されている。送りモーター31は、プラテンローラー35の駆動源である。なお、送りモーター31としては、例えば、DCモーター(DC:Direct Current)を用いることができる。
【0018】
歯車列33は、第1本体フレーム41に設けられている。歯車列33は、複数の歯車を備えており、送りモーター31の動力をプラテンローラー35に伝達する。
【0019】
プラテンローラー35は、カバーフレーム27の-Y方向の端部に回転可能に支持されている。プラテンローラー35は、開閉カバー5が閉められたときに、サーマルヘッド29と対向する。プラテンローラー35は、ローラーばね(図示省略)によって、サーマルヘッド29に向けて力が付与されている。このため、プラテンローラー35は、サーマルヘッド29との間で記録紙Pを挟持する。プラテンローラー35は、サーマルヘッド29との間で挟持した記録紙Pを、排出口15へ向けて送る。すなわち、プラテンローラー35が回転すると、記録紙Pがロール紙Rから繰り出されて、排出口15へ向けて送られる。
【0020】
プラテンローラー35と同軸上には、プラテンローラー35に対して-X方向に位置して、ローラー歯車47が設けられている。ローラー歯車47は、歯車列33の伝達歯車49と噛み合っており、プラテンローラー35と一体に回転する。
【0021】
オートカッター37は、プラテンローラー35と排出口15との間に設けられており、排出口15へ送られた記録紙Pを、印刷済み部分の後方で、X方向すなわち記録紙Pの幅方向に切断する。なお、オートカッター37は、切断された記録紙Pが排出口15に留まるよう、記録紙Pの-X方向の端部を残して、記録紙Pを切断する。
【0022】
[オートカッター]
図3および
図4に示すように、オートカッター37は、カッターユニット51と、第2刃52とを備えている。カッターユニット51は、第1本体フレーム41と第2本体フレーム43との間を渡すようにして、第1本体フレーム41および第2本体フレーム43の-Y方向の端部に設けられている。第2刃52は、開閉カバー5が閉められたときに、カッターユニット51の第1刃53と対向するように、カバーフレーム27の-Y方向の端部に設けられている。可動刃である第1刃53が固定刃である第2刃52に対して切断動作を行うことで、記録紙Pが切断される。
【0023】
図5および
図6に示すように、カッターユニット51は、第1刃53と、カッターモーター55と、動力伝達部材57と、駆動歯車59と、検出歯車61と、フォトセンサー63と、カバー部材65と、これらを収容したカッターフレーム67とを備えている。
【0024】
カッターフレーム67は、扁平な略直方体のケース状に形成されている。カッターフレーム67は、第1カッターフレーム69と、第2カッターフレーム71とを備えている。第1カッターフレーム69と、第2カッターフレーム71とは、例えば小ネジにより、分離可能に組み合わされている。第2カッターフレーム71は、第1カッターフレーム69に対して、-Z方向に設けられている。第2カッターフレーム71は、第1カッターフレーム69との間で、第1刃53、カッターモーター55、動力伝達部材57、駆動歯車59、検出歯車61、フォトセンサー63およびカバー部材65を収容している。カッターモーター55、動力伝達部材57、駆動歯車59、検出歯車61、フォトセンサー63およびカバー部材65は、第1カッターフレーム69に支持されている(
図10参照)。一方、第1刃53は、第2カッターフレーム71に支持されている(
図9参照)。なお、第1カッターフレーム69を第1カッターカバー、第2カッターフレーム71を第2カッターカバーと記載してもよい。
【0025】
ここで、第1刃53が回動する領域を、刃回動領域73という。カッターモーター55、動力伝達部材57および駆動歯車59が設けられた領域を、駆動領域75という。検出歯車61、フォトセンサー63およびカバー部材65が設けられた領域を、検出領域77という。上述したように、カッターフレーム67に収容された部品のうち、第1刃53は、第2カッターフレーム71に支持され、他の部品は、第1カッターフレーム69に支持されている。このため、
図7に示すように、刃回動領域73と第1カッターフレーム69との間に、駆動領域75および検出領域77がX方向に並んで設けられることになる。したがって、カッターフレーム67内の空間を効率良く利用することができ、カッターユニット51の小型化を図ることができる。
【0026】
第1カッターフレーム69には、軸係合穴79と、第1マーク開口83と、第2マーク開口85と、操作開口87とが設けられている。
【0027】
軸係合穴79は、後述する検出歯車軸113の第1軸端部125と係合する(
図11参照)。軸係合穴79は、-X方向の端部が直線状となったD穴に形成されている。軸係合穴79の直線状部分を、穴直線部89という。
【0028】
第1マーク開口83は、駆動歯車59と検出歯車61との噛合い部分に対応した位置に設けられている。第2マーク開口85は、第1マーク開口83と駆動歯車59の回転中心との間に設けられている。操作開口87は、第1マーク開口83に対して、-Y方向に設けられている。
【0029】
なお、第1カッターフレーム69の外側すなわち+Z方向の面には、マニュアルカッター91が設けられている。ユーザーは、マニュアルカッター91を利用して、記録紙Pを手で引きちぎることができる。
【0030】
図9に示すように、第2カッターフレーム71の+X方向且つ+Y方向の隅部には、カッター支軸93が設けられている。カッター支軸93は、第1刃53を回動可能に支持する。
【0031】
第1刃53は、カッター支軸93を介して、第2カッターフレーム71に回動可能に支持されている。第1刃53は、第1刃先95と、カッター支軸穴(図示省略)と、カッター係合穴99とを備えている。第1刃先95は、第1刃53の長手方向に延在している。カッター支軸穴は、第1刃53の長手方向の一方の端部、すなわち+X方向の端部に設けられている。カッター支軸穴には、カッター支軸93が挿通している。カッター係合穴99は、第1刃53の峰部の近傍に設けられ、第1刃53の長手方向に長い長円形に形成されている。カッター係合穴99には、駆動歯車59に設けられた駆動ピン109(
図10参照)が係合している。
【0032】
ここで、第1刃53が切断動作を開始する位置を、切断開始位置という。第1刃53の切断開始位置は、第1刃53が第2刃52に対して最も開いた位置である。一方、第1刃53の第1刃先95が、X方向に延在する第2刃52の第2刃先(図示省略)と略平行になるように、第1刃53が第2刃52に対して切り込んだ位置を、切込位置という。
図9などの各図に示された第1刃53は、切断開始位置に位置している。なお、切断開始位置を待機位置、切込位置を切断位置と記載してもよい。
【0033】
図10に示すように、カッターモーター55は、第1カッターフレーム69の+X方向の端部に位置して、第1カッターフレーム69に固定されている。カッターモーター55は、第1刃53の駆動源である。カッターモーター55の出力軸には、出力歯車101が設けられている。カッターモーター55としては、例えば、DCモーターを用いることができる。
【0034】
動力伝達部材57は、第1カッターフレーム69の-Y方向の端部に位置して、第1カッターフレーム69に回転可能に支持されている。動力伝達部材57は、カッターモーター55の動力を駆動歯車59に伝達する。動力伝達部材57は、全体として略円柱状に形成されており、X方向に延在している。動力伝達部材57は、+X方向から順に、すなわちカッターモーター55に近い順に、第1歯車部103と、第2歯車部105と、操作部107とを備えている。第1歯車部103、第2歯車部105および操作部107は、一体として回転する。
【0035】
第1歯車部103は、出力歯車101と噛み合っている。第2歯車部105は、駆動歯車59と噛み合っている。ここで、出力歯車101および動力伝達部材57は、X軸に平行な軸周りに回転する。一方、駆動歯車59および検出歯車61は、Z軸に平行な軸周りに回転する。すなわち、第2歯車部105および駆動歯車59は、それぞれ、ウォームおよびウォームホイールに相当する。
【0036】
操作部107は、略短円柱状に形成されており、操作部107の周面には、操作部107の軸方向に延びる複数の溝が設けられている。操作部107は、第1カッターフレーム69に設けられた操作開口87から操作可能である(
図6参照)。ユーザーは、操作開口87から入れた指で操作部107を回転させることで、駆動歯車59を回転させ、第1刃53を回動させることができる。
【0037】
操作部107は、例えば、カッターユニット51に記録紙Pなどが詰まり、第1刃53が切断開始位置に戻らずロックされた場合などに利用される。すなわち、ユーザーは、上記のカッターユニットカバー11を開け、操作開口87から指を入れて操作部107を回転させることで、第1刃53を切断開始位置に戻すことができる。
【0038】
駆動歯車59は、第1カッターフレーム69に回転可能に支持されている。駆動歯車59は、第2歯車部105に対して+Y方向に設けられており、第2歯車部105と噛み合っている。また、駆動歯車59は、第1刃53に対して+Z方向に設けられている(
図7参照)。駆動歯車59の-Z方向の端面である第2駆動端面59bからは、駆動ピン109が第1刃53に向けて-Z方向に突出している。駆動ピン109は、第1刃53のカッター係合穴99と係合している。カッターモーター55の動力が動力伝達部材57を介して駆動歯車59に伝達され、駆動ピン109が駆動歯車59の回転中心を中心として回転すると、駆動ピン109と係合した第1刃53が回動する。
【0039】
ここで、第1刃53が切断開始位置に位置するときの駆動歯車59の回転位置を、駆動歯車ホーム位置という。駆動歯車59は、駆動歯車ホーム位置から1回転することで、第1刃53を、+Z方向から見て、切断開始位置から切込位置に時計回りに回動させ、さらに、切込位置から切断開始位置に反時計回りに回動させる。
図10などの各図に示された駆動歯車59は、駆動歯車ホーム位置に位置している。
【0040】
図5、
図6および
図8に示すように、駆動歯車59の+Z方向の端面である第1駆動端面59aには、第1駆動マーク111aと、第3駆動マーク111cとが設けられている。第1駆動マーク111aと、第3駆動マーク111cと、駆動ピン109とは、相互に、駆動歯車59の回転方向において所定の位置関係に設けられている。すなわち、第1駆動マーク111aは、駆動歯車59が駆動歯車ホーム位置に位置するときに、駆動歯車59の回転中心と検出歯車61の回転中心とを結ぶ歯車間仮想線La上に位置する。また、第1駆動マーク111aは、駆動歯車59が駆動歯車ホーム位置に位置するときに、第1マーク開口83から視認可能である。第3駆動マーク111cは、第1駆動マーク111aと駆動歯車59の回転中心との間に設けられている。第3駆動マーク111cは、駆動歯車59が駆動歯車ホーム位置に位置するときに、第2マーク開口85から視認可能である。
【0041】
図10に示すように、駆動歯車59の第2駆動端面59bには、第2駆動マーク111bが設けられている。第2駆動マーク111bと駆動ピン109とは、相互に、駆動歯車59の回転方向において所定の位置関係に設けられている。すなわち、第2駆動マーク111bは、駆動歯車59が駆動歯車ホーム位置に位置するときに、歯車間仮想線La上に位置する。
【0042】
検出歯車61は、検出歯車軸113を介して、第1カッターフレーム69に回転可能に支持されている。検出歯車61の中心には、第1歯車側軸挿入穴115と、第2歯車側軸挿入穴117とが設けられている(
図11参照)。第2歯車側軸挿入穴117は、第1歯車側軸挿入穴115に対して、-Z方向に設けられ、第1歯車側軸挿入穴115よりも径が大きい。第1歯車側軸挿入穴115および第2歯車側軸挿入穴117には、検出歯車軸113が挿入されている。
【0043】
検出歯車61は、駆動歯車59に対して-X方向に設けられており、駆動歯車59と噛み合っている。検出歯車61の単位時間当たりの回転数は、駆動歯車59の単位時間当たりの回転数と同じである。すなわち、検出歯車61の歯数は、駆動歯車59の歯数と同じである。
【0044】
図12に示すように、検出歯車61の+Z方向の端面である第1検出端面61aからは、回転部119が+Z方向に突出している。回転部119は、検出歯車61の回転中心を中心とした略円弧状に形成されている。回転部119は、駆動歯車59と連動して回転する。すなわち、回転部119は、駆動歯車59と噛み合った検出歯車61が回転することで、検出歯車61の回転中心を中心として回転する。回転部119の単位時間当たりの回転数は、駆動歯車59の単位時間当たりの回転数と同じである。検出歯車61が回転して回転部119が回転するときに、回転部119は、フォトセンサー63の発光素子141と受光素子143との間を通過する。すなわち、回転部119は、発光素子141から受光素子143へ発光された検出光を遮る遮光部材として機能する。なお、
図11は、発光素子141と受光素子143との間に回転部119が位置しない状態を示す。後述するように、フォトセンサー63は、検出光が回転部119により遮られていないときに、第1検出信号を出力し、検出光が回転部119により遮られたときに、第2検出信号を出力する。
【0045】
ここで、回転部119がフォトセンサー63から第1検出信号を出力させるとき、すなわち、発光素子141と受光素子143との間に回転部119が位置しないとき、の検出歯車61の回転位置を、検出歯車ホーム位置という。
図10などの各図に示された検出歯車61は、検出歯車ホーム位置に位置している。
【0046】
図6および
図8に示すように、検出歯車61の第1検出端面61aには、第1検出マーク121aが設けられている。第1検出マーク121aと、回転部119とは、相互に、駆動歯車59の回転方向において所定の位置関係に設けられている。すなわち、第1検出マーク121aは、検出歯車61が検出歯車ホーム位置に位置するときに、歯車間仮想線La上に位置する。また、第1検出マーク121aは、検出歯車61が検出歯車ホーム位置に位置するときに、第1マーク開口83から視認可能である。
【0047】
図10に示すように、検出歯車61の-Z方向の端面である第2検出端面61bには、第2検出マーク121bと、第3検出マーク121cとが設けられている。第2検出マーク121bと、第3検出マーク121cと、回転部119とは、相互に、検出歯車61の回転方向において所定の位置関係に設けられている。すなわち、第2検出マーク121bは、検出歯車61が検出歯車ホーム位置に位置するときに、歯車間仮想線La上に位置する。第3検出マーク121cは、検出歯車61が検出歯車ホーム位置に位置するときに、検出歯車61の回転中心と後述するカバーマーク153とを結ぶカバー仮想線Lb上に位置する。
【0048】
上述したように、駆動歯車59の第2駆動端面59bには、第2駆動マーク111bが設けられ、検出歯車61の第2検出端面61bには、第2検出マーク121bおよび第3検出マーク121cが設けられ、カバー部材65の-Z方向の面には、カバーマーク153が設けられている。このため、組立作業者は、カッターユニット51の組立て時に、
図10に示すように、検出歯車61の第3検出マーク121cをカバー部材65のカバーマーク153に合致させることで、すなわち、第3検出マーク121cをカバー仮想線Lb上に位置させることで、検出歯車61を検出歯車ホーム位置に位置させることができる。このとき、検出歯車61の第2検出マーク121bは、歯車間仮想線La上に位置する。
【0049】
続いて、組立作業者は、駆動歯車59の第2駆動マーク111bを検出歯車61の第2検出マーク121bに合致させることで、すなわち、第2駆動マーク111bを歯車間仮想線La上に位置させることで、駆動歯車59を駆動歯車ホーム位置に位置させることができる。このように、組立作業者は、第2駆動マーク111b、第2検出マーク121b、第3検出マーク121cおよびカバーマーク153を利用することで、駆動歯車59を容易に駆動歯車ホーム位置に位置させることができると共に、検出歯車61を容易に検出歯車ホーム位置に位置させることができる。
【0050】
なお、ここでは、駆動歯車59および検出歯車61の位置合わせの手順として、組立作業者が、検出歯車61の第3検出マーク121cをカバー部材65のカバーマーク153に合致させた後、駆動歯車59の第2駆動マーク111bを検出歯車61の第2検出マーク121bに合致させる手順を例に挙げて説明したが、同手順はこれに限定されるものではない。例えば、組立作業者は、第3検出マーク121cおよびカバーマーク153を利用することなく、駆動歯車59の第2駆動マーク111bと検出歯車61の第2検出マーク121bとを合致させる、すなわち、第2駆動マーク111bおよび第2検出マーク121bを歯車間仮想線La上に位置させてもよい。この場合も、駆動歯車59を駆動歯車ホーム位置に位置させると共に、検出歯車61を検出歯車ホーム位置に位置させることができる。
【0051】
また、上述したように、駆動歯車59の第1駆動端面59aには、第1駆動マーク111aおよび第3駆動マーク111cが設けられ、検出歯車61の第1駆動端面59aには、第1検出マーク121aが設けられている。第1カッターフレーム69には、第1マーク開口83および第2マーク開口85が設けられている。このため、ユーザーは、操作部107を回転させて第1刃53を切断開始位置に戻すときに、
図6および
図8に示すように、第2マーク開口85から第3駆動マーク111cが視認できる状態になるまで、操作部107を回転させることで、第1刃53を切断開始位置に戻すことができる。また、組立作業者は、第1マーク開口83から第1駆動マーク111aおよび第1検出マーク121aを視認することで、駆動歯車59が駆動歯車ホーム位置に位置すると共に、検出歯車61が検出歯車ホーム位置に位置することを確認することができる。
【0052】
図11および
図13に示すように、検出歯車軸113は、軸固定ネジ123により、第1カッターフレーム69に固定されている。検出歯車軸113は、第1軸端部125と、第2軸端部127と、軸中間部129とを備えている。
【0053】
第1軸端部125は、検出歯車軸113の+Z方向の端部に設けられ、軸中間部129よりも径が小さい。第1軸端部125には、Dカット加工された第1カット部131が設けられている。第1軸端部125は、第1カッターフレーム69に設けられた軸係合穴79よりも僅かに径が小さく、軸係合穴79と係合する。Dカット加工された第1軸端部125と、D穴である軸係合穴79とが係合することで、検出歯車軸113が回転することが抑制される。
【0054】
第2軸端部127は、検出歯車軸113の-Z方向の端部に設けられ、軸中間部129よりも径が大きい。第2軸端部127は、第2歯車側軸挿入穴117よりも僅かに径が小さく、第2歯車側軸挿入穴117と係合する。第2軸端部127には、Dカット加工された第2カット部133が設けられている。第2カット部133は、検出歯車軸113の周方向において、第1カット部131と同じ位置に設けられている。
【0055】
軸中間部129は、第1軸端部125と第2軸端部127との間に位置しており、略円筒状に形成されている。軸中間部129は、第1歯車側軸挿入穴115および後述するカバー側軸挿入穴155よりも僅かに径が小さく、第1歯車側軸挿入穴115およびカバー側軸挿入穴155と係合する。
【0056】
カッターユニット51の組立て時には、検出歯車軸113は、-Z方向から順に、第2歯車側軸挿入穴117、第1歯車側軸挿入穴115およびカバー側軸挿入穴155に挿入されると共に、第1軸端部125が軸係合穴79と係合した状態で、軸固定ネジ123によりネジ止めされる。第1軸端部125を軸係合穴79に係合させるためには、第1軸端部125の第1カット部131の向きを、軸係合穴79の穴直線部89の向きに合わせる必要がある。ここで、組立作業者は、検出歯車61およびカバー部材65に遮られて第1カット部131を見ることができないため、本実施形態とは異なり、第2軸端部127に第2カット部133が設けられていない構成では組立作業者は、第1カット部131がどの方向を向いているのか認識することができず、第1軸端部125を軸係合穴79に係合させるのに手間を要する。
【0057】
これに対し、本実施形態では、第2軸端部127に、検出歯車軸113の周方向において第1カット部131と同じ位置に第2カット部133が設けられているため、組立作業者は、第2カット部133を見ることで、第1カット部131がどの方向を向いているのか認識することができる。すなわち、組立作業者は、
図10に示すように、第2カット部133を、穴直線部89の向きに合うように-X方向に向けることで、第1カット部131を、穴直線部89の向きに合わせることができ、第1軸端部125を軸係合穴79にスムーズに係合させることができる。また、組立作業者は、第2カット部133の向きが穴直線部89の向きに対してずれている場合にも、第2歯車側軸挿入穴117の内周面と第2カット部133との間に生じた隙間にピンセットなどを挿入して検出歯車軸113を回転させることによって、第2カット部133の向きを穴直線部89の向きに合わせ、第1軸端部125を軸係合穴79に係合させることができる。
【0058】
図11に示すように、フォトセンサー63は、第1カッターフレーム69の-X方向の端部に位置して、第1カッターフレーム69とカバー部材65との間に設けられている。フォトセンサー63は、センサーネジ135(
図7参照)により、カバー部材65に固定されている。すなわち、フォトセンサー63は、カバー部材65を介して、第1カッターフレーム69に支持されている。また、フォトセンサー63は、検出歯車61に対して、+Z方向に設けられている。
【0059】
フォトセンサー63は、受発光部137と、センサー基板139とを備えている。受発光部137は、発光素子141と、受光素子143とを備え、センサー基板139から-Z方向に突出している。受発光部137は、回転部119の回転経路上に設けられている。このため、上述したように、検出歯車61が回転して回転部119が回転するときに、回転部119は、発光素子141と受光素子143との間を通過する。これにより、発光素子141から受光素子143へ発光された検出光が、回転部119により遮られた状態と、回転部119により遮られていない状態とが切り替わる。なお、
図11では、受光素子143は、発光素子141に対して、検出歯車61の径方向内側に設けられているが、これが逆でもよい。
【0060】
センサー基板139は、発光素子141から受光素子143へ発光された検出光が回転部119により遮断されるか否かに応じて、第1検出信号および第2検出信号のいずれかを出力する。すなわち、センサー基板139は、上述したように、検出光が回転部119により遮られていないときに第1検出信号を出力し、検出光が回転部119により遮られたときに第2検出信号を出力する。なお、第1検出信号および第2検出信号は、例えば、互いに電圧が異なる信号でもよく、互いに電流が異なる信号でもよい。
【0061】
センサー基板139から出力された第1検出信号或いは第2検出信号は、印刷装置1に備えられた制御回路(図示省略)によって受信される。制御回路は、プロセッサーおよびメモリーを備えている。制御回路は、第1検出信号を受信したときは、第1刃53が切断開始位置に位置していると判断する。制御回路は、第2検出信号を受信したときは、第1刃53が切断開始位置に位置していないと判断する。
【0062】
制御回路は、記録紙Pの切断予定箇所がオートカッター37まで送られた後、フォトセンサー63から第1検出信号を受信したか否かを判断する。制御回路は、フォトセンサー63から第1検出信号を受信したと判断した場合には、第1刃53が切断開始位置に位置すると判断し、カッターモーター55を作動させ、第1刃53の切断動作を開始させる。なお、制御回路は、フォトセンサー63から第1検出信号を受信していない、すなわち第2検出信号を受信したと判断した場合には、エラー処理を行う。
【0063】
第1刃53の切断動作の開始後、制御回路は、フォトセンサー63から第1検出信号を受信したか否かを判断する。制御回路は、フォトセンサー63から第1検出信号を受信していない、すなわち第2検出信号を受信したと判断した場合には、第1刃53が切断開始位置に戻っていないと判断し、カッターモーター55の作動を継続する。制御回路は、フォトセンサー63から第1検出信号を受信したと判断した場合には、第1刃53が切断開始位置に戻ったと判断し、カッターモーター55を停止させ、第1刃53の切断動作を終了させる。
【0064】
図11および
図14に示すように、カバー部材65は、第1カッターフレーム69の-X方向の端部に位置して、第1カッターフレーム69と検出歯車61との間に設けられている。カバー部材65は、センサー収容部145と、歯車対向部147とを備えている。
【0065】
センサー収容部145は、+Z方向が開放された、扁平な略多角柱状に形成されている。センサー収容部145は、センサー基板139を収容し、第1カッターフレーム69との間で、センサー基板139を覆う。すなわち、センサー基板139の-Z方向と、センサー基板139の周囲とが、センサー収容部145により覆われ、センサー基板139の+Z方向が、第1カッターフレーム69により覆われる。センサー収容部145の-Z方向の壁部には、センサー開口149が設けられている。センサー開口149からは、フォトセンサー63の受発光部137が-Z方向に突出している。
【0066】
このように、センサー収容部145によりセンサー基板139が覆われていることで、センサー基板139に向かって異物が侵入することを抑制することができる。したがって、侵入した異物によりフォトセンサー63の検出結果にエラーが生じることを抑制することができ、侵入した異物によりフォトセンサー63が故障することを抑制することができる。ここで、異物には、例えば、記録紙Pが切断されたときに生じた紙粉や紙片、カッターユニット51の駆動部から飛散したグリース、ユーザーが誤ってこぼして排出口15から侵入した水などが含まれる。
【0067】
センサー収容部145の-Z方向の面、すなわちカバー部材65の外面には、-Z方向に突出したカバー台部151が設けられている。カバー台部151は、-Z方向から見て、検出歯車61の径方向に長い略長方形状に形成されている。カバー台部151の-Z方向の面には、検出歯車61の回転中心に最も近い箇所に、カバーマーク153が設けられている。
【0068】
歯車対向部147は、略円形の板状に形成されており、検出歯車61の第1検出端面61aと対向している。歯車対向部147の略中心部には、上記の検出歯車軸113が挿入されるカバー側軸挿入穴155が設けられている。カバー側軸挿入穴155は、上記の第1歯車側軸挿入穴115と略同じ径である。
【0069】
歯車対向部147の-Z方向の面からは、第1環状壁部157と、第2環状壁部159とが、検出歯車61に向かって-Z方向に突出している。第1環状壁部157および第2環状壁部159は、カバー側軸挿入穴155の中心を中心とした同心円状に形成されている。第1環状壁部157は、回転部119の回転経路の内側に沿って設けられ、第2環状壁部159は、回転部119の回転経路の外側に沿って設けられている。すなわち、回転部119は、第1環状壁部157と第2環状壁部159との間に位置している。
【0070】
第1環状壁部157のうち、センサー開口149に対応する箇所には、第1切欠き部161が設けられている。同様に、第2環状壁部159のうち、センサー開口149に対応する箇所には、第2切欠き部163が設けられている。センサー開口149から突出した受発光部137は、第1切欠き部161および第2切欠き部163に位置する。
【0071】
このように、回転部119の回転経路の内側に、第1環状壁部157が設けられ、回転部119の回転経路の外側に、第2環状壁部159が設けられていることで、回転部119の回転経路に向かって異物或いは外乱光が侵入することを抑制することができる。したがって、侵入した異物或いは外乱光によりフォトセンサー63の検出結果にエラーが生じることを抑制することができ、侵入した異物によりフォトセンサー63が故障することを抑制することができる。
【0072】
なお、歯車対向部147の-Z方向の面からは、挟み抑制部165が、-Z方向に突出している。挟み抑制部165は、上記の操作部107と、駆動歯車59および検出歯車61の噛合い部分と、の間に設けられている(
図11参照)。挟み抑制部165は、操作部107を操作するために操作開口87から進入したユーザーの指が、駆動歯車59と検出歯車61との間に挟み込まれることを抑制する。
【0073】
以上のように、本実施形態の印刷装置1によれば、カッターユニット51において、センサー収容部145によりセンサー基板139が覆われていることで、センサー基板139に向かって異物が侵入することを抑制することができる。また、本実施形態の印刷装置1によれば、カッターユニット51において、回転部119の回転経路の内側に、第1環状壁部157が設けられ、回転部119の回転経路の外側に、第2環状壁部159が設けられていることで、回転部119に向かって異物或いは外乱光が侵入することを抑制することができる。
【0074】
[その他の変形例]
上記の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。また、実施形態や変形例を、それぞれ組み合わせた構成でもよい。
【0075】
回転部119は、検出歯車61に設けられた構成に限定されず、駆動歯車59と連動して回転する構成であればよい。例えば、回転部119は、駆動歯車59に設けられた構成でもよく、駆動歯車59と一体に回転する歯車に設けられた構成でもよく、駆動歯車59と噛み合っていないが駆動歯車59から動力が伝達されて回転する歯車に設けられた構成でもよく、カッターモーター55と駆動歯車59との間に設けられた歯車に設けられた構成でもよい。
【0076】
カバー部材65は、第1環状壁部157および第2環状壁部159の双方を備えた構成に限定されず、第1環状壁部157および第2環状壁部159のいずれか一方を備えた構成でもよい。
【0077】
センサー基板139は、検出光が回転部119により遮られていないときに、制御回路により第1刃53が切断開始位置に位置していると判断される第1検出信号を出力する構成に限定されるものではない。すなわち、センサー基板139は、検出光が回転部119により遮られたときに、制御回路により第1刃53が切断開始位置に位置していると判断される第1検出信号を出力する構成でもよい。この場合、検出光が回転部119により遮られたときに、第1刃53が切断開始位置に位置するように、検出歯車61における回転部119の位置を変更すればよい。
【0078】
[付記]
以下、印刷装置について付記する。
印刷装置は、印刷媒体を切断する第1刃と、カッターモーターと、第1刃と係合し、カッターモーターにより回転することで、第1刃を駆動する駆動歯車と、駆動歯車と連動して回転する回転部と、発光素子および受光素子を含む受発光部と、発光素子から受光素子へ発光された検出光が回転部により遮断されるか否かに応じて、第1検出信号および第2検出信号のいずれかを出力するセンサー基板と、を有するフォトセンサーと、フォトセンサーを支持する第1カッターフレームと、第1カッターフレームとの間でセンサー基板を覆うカバー部材と、を備えた。
【0079】
この構成によれば、カバー部材によりセンサー基板が覆われていることで、センサー基板に向かって異物が侵入することを抑制することができる。
なお、記録紙Pは、「印刷媒体」の一例である。
【0080】
印刷装置は、印刷媒体を切断する第1刃と、カッターモーターと、第1刃と係合し、カッターモーターにより回転することで、第1刃を駆動する駆動歯車と、駆動歯車と連動して回転する回転部と、発光素子および受光素子を含む受発光部と、発光素子から受光素子へ発光された検出光が回転部により遮断されるか否かに応じて、第1検出信号および第2検出信号のいずれかを出力するセンサー基板と、を有するフォトセンサーと、駆動歯車を回転可能に支持する第1カッターフレームと、回転部の回転経路の内側に位置する第1環状壁部と、回転経路の外側に位置する第2環状壁部と、の少なくとも一方を有するカバー部材と、を備えた。
【0081】
この構成によれば、回転経路の内側に第1環状壁部が設けられ、或いは、回転経路の外側に第2環状壁部が設けられていることで、回転部に向かって異物或いは外乱光が侵入することを抑制することができる。
【0082】
この場合、駆動歯車と噛み合った検出歯車、を備え、検出歯車は、第1検出端面を有し、回転部は、第1検出端面に設けられていることが好ましい。
【0083】
この構成によれば、検出歯車の第1検出端面に設けられた回転部を、検出光を遮断する遮光部材として機能させることができる。
【0084】
この場合、第1カッターフレームとの間で、第1刃、カッターモーター、駆動歯車、検出歯車、フォトセンサーおよびカバー部材を収容した第2カッターフレーム、を備え、カッターモーター、駆動歯車、検出歯車、フォトセンサーおよびカバー部材は、第1カッターフレームに支持され、第1刃は、第2カッターフレームに支持されていることが好ましい。
【0085】
この構成によれば、第1刃が回動する刃回動領域と第1カッターフレームとの間に、カッターモーターおよび駆動歯車が設けられた駆動領域と、検出歯車、フォトセンサーおよびカバー部材が設けられた検出領域と、が設けられることになる。したがって、第1カッターフレームと第2カッターフレームとの間の空間を効率良く利用することができる。
【0086】
この場合、駆動歯車は、第1検出端面とは反対の方向を向いた第2駆動端面、を有し、第2駆動端面には、駆動歯車が第1刃を切断開始位置に位置させる駆動歯車ホーム位置に位置するときに、駆動歯車の回転中心と検出歯車の回転中心とを結ぶ歯車間仮想線上に位置する第2駆動マークが設けられ、検出歯車は、第1検出端面とは反対の方向を向いた第2検出端面、を有し、第2検出端面には、検出歯車がセンサー基板から第1検出信号を出力させる検出歯車ホーム位置に位置するときに、歯車間仮想線上に位置する第2検出マークが設けられていることが好ましい。
【0087】
この構成によれば、組立作業者は、第2駆動マークと第2検出マークとを歯車間仮想線上に位置させることで、駆動歯車を容易に駆動歯車ホーム位置に位置させることができると共に、検出歯車を容易に検出歯車ホーム位置に位置させることができる。
【0088】
この場合、駆動歯車は、第1検出端面と同じ方向を向いた第1駆動端面、を有し、第1駆動端面には、駆動歯車が第1刃を切断開始位置に位置させる駆動歯車ホーム位置に位置するときに、駆動歯車の回転中心と検出歯車の回転中心とを結ぶ歯車間仮想線上に位置する第1駆動マークが設けられ、第1検出端面には、検出歯車がセンサー基板から第1検出信号を出力させる検出歯車ホーム位置に位置するときに、歯車間仮想線上に位置する第1検出マークが設けられ、第1カッターフレームには、歯車間仮想線上に位置する第1駆動マークおよび第1検出マークを視認可能とする第1マーク開口が設けられていることが好ましい。
【0089】
この構成によれば、組立作業者は、第1マーク開口から第1駆動マークおよび第1検出マークを視認することで、駆動歯車が駆動歯車ホーム位置に位置すると共に、検出歯車が検出歯車ホーム位置に位置することを確認することができる。
【0090】
この場合、カバー部材の外面には、カバーマークが設けられ、検出歯車は、第1検出端面とは反対の方向を向いた第2検出端面、を有し、第2検出端面には、検出歯車がセンサー基板から第1検出信号を出力させる検出歯車ホーム位置に位置するときに、検出歯車の回転中心とカバーマークとを結ぶカバー仮想線上に位置する第3検出マークが設けられていることが好ましい。
【0091】
この構成によれば、組立作業者は、第3検出マークをカバー仮想線上に位置させることで、検出歯車を検出歯車ホーム位置に位置させることができる。
【0092】
この場合、駆動歯車は、第1検出端面と同じ方向を向いた第1駆動端面、を有し、第1駆動端面には、第3駆動マークが設けられ、第1カッターフレームには、駆動歯車が第1刃を切断開始位置に位置させる駆動歯車ホーム位置に位置するときに、第3駆動マークを視認可能とする第2マーク開口が設けられていることが好ましい。
【0093】
この構成によれば、ユーザーは、第2マーク開口から第3駆動マークを視認することで、駆動歯車が駆動歯車ホーム位置に位置することを確認することができる。
【0094】
この場合、第1カッターフレームに固定され、検出歯車を回転可能に支持する検出歯車軸、を備え、第1カッターフレームには、検出歯車軸の軸方向における検出歯車軸の一方の端部である第1軸端部と係合する軸係合穴が設けられ、第1軸端部には、Dカット加工された第1カット部が設けられ、検出歯車軸の軸方向における検出歯車軸の他方の端部である第2軸端部には、Dカット加工された第2カット部が設けられ、第1カット部と第2カット部とは、検出歯車軸の周方向において、同じ位置に設けられていることが好ましい。
【0095】
この構成によれば、組立作業者は、第2カット部を見ることで、第1カット部がどの方向を向いているのか認識することができる。
【0096】
この場合、指で操作することで、カッターモーターによらず、駆動歯車を回転させる操作部、を備え、第1カッターフレームには、操作部を指で操作するための操作開口、が設けられ、カバー部材は、操作部と、駆動歯車および検出歯車の噛合い部分と、の間に設けられた挟み抑制部、を有することが好ましい。
【0097】
この構成によれば、操作部を操作するために操作開口から進入したユーザーの指が、駆動歯車と検出歯車との間に挟み込まれることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0098】
1…印刷装置、53…第1刃、55…カッターモーター、59…駆動歯車、59a…第1駆動端面、59b…第2駆動端面、61…検出歯車、61a…第1検出端面、61b…第2検出端面、63…フォトセンサー、65…カバー部材、69…第1カッターフレーム、71…第2カッターフレーム、79…軸係合穴、83…第1マーク開口、85…第2マーク開口、87…操作開口、107…操作部、111a…第1駆動マーク、111b…第2駆動マーク、111c…第3駆動マーク、113…検出歯車軸、119…回転部、121a…第1検出マーク、121b…第2検出マーク、121c…第3検出マーク、125…第1軸端部、127…第2軸端部、131…第1カット部、133…第2カット部、137…受発光部、139…センサー基板、141…発光素子、143…受光素子、153…カバーマーク、157…第1環状壁部、159…第2環状壁部、165…挟み抑制部、La…歯車間仮想線、Lb…カバー仮想線、P…記録紙。