(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20240918BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240918BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240918BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B41J29/00 T
B41J29/00 S
B41J29/00 E
G06F3/044 120
G06F3/041 662
G06F3/041 450
G09F9/00 362
G09F9/00 366A
G09F9/00 348Z
G09F9/00 309A
G09F9/00 350Z
(21)【出願番号】P 2021013288
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】山口 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】松山 徹
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-155857(JP,A)
【文献】国際公開第2019/183985(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0220072(US,A1)
【文献】特開2003-107520(JP,A)
【文献】特開2004-061892(JP,A)
【文献】特開2017-021797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G06F 3/041 - 3/047
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷を行う印刷ユニットと、前記印刷ユニットを操作する操作情報が入力されるパネルユニットと、を備え、
前記印刷ユニットは、前記操作情報に応じて印刷動作を実行する印刷機構と、前記パネルユニットの動作を制御するとともに前記操作情報に基づいて前記印刷機構の動作を制御するプロセッサーを有するメイン回路基板と、前記メイン回路基板を格納するメイン筐体と、を有し、
前記パネルユニットは、表示パネルと、位置検出センサー及びカバーガラスが積層された静電容量型タッチセンサーと、前記静電容量型タッチセンサーと電気的に接続したパネル回路基板と、前記静電容量型タッチセンサーと前記パネル回路基板とを電気的に接続するフレキシブル配線基板と、前記パネル回路基板と電気的に接続し前記印刷ユニットの動作状態を表示する表示部と、前記パネル回路基板と電気的に接続し前記印刷ユニットを起動するスイッチと、前記静電容量型タッチセンサー、前記パネル回路基板、及び前記フレキシブル配線基板を格納するパネル筐体と、を有し、
前記静電容量型タッチセンサーは、第1辺と、前記第1辺と向かい合って位置する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺の双方と交差する第3辺と、前記第3辺と向かい合って位置する第4辺と、を含み、
前記パネルユニットは、第1取付状態と第2取付状態とを取るように回動可能に前記印刷ユニットに取り付けられ、
前記第1取付状態において水平方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角は、鉛直方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角よりも大きく、
前記第2取付状態において水平方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角は、鉛直方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角よりも小さく、
前記パネルユニットが前記第2取付状態の場合に、前記静電容量型タッチセンサーは、鉛直方向に沿った方向において、前記第1辺が前記第2辺よりも下方となるように配置され、
前記フレキシブル配線基板は、前記表示部と前記スイッチとの間に位置し、湾曲して前記静電容量型タッチセンサーと前記パネル回路基板とを電気的に接続する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
湾曲している前記フレキシブル配線基板の外周面には、集積回路が搭載されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
湾曲している前記フレキシブル配線基板の内周面であって、前記集積回路と向かい合う領域には、金属板が設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
無線通信デバイスを備え、
前記無線通信デバイスは、前記メイン筐体に格納されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記パネルユニットは、前記第1辺から前記第2辺に向かう方向における前記パネル筐体の中央部で前記印刷ユニットと回動可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記パネルユニットを前記静電容量型タッチセンサーの法線方向に沿った方向から見た場合に、前記表示部及び前記スイッチは、前記パネル筐体の端部に位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記表示部及び前記スイッチの少なくとも一部は、前記静電容量型タッチセンサーが延在する方向と交差する方向に延在する前記パネル筐体の面に位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記パネルユニットを前記静電容量型タッチセンサーの法線方向に沿った方向から見た場合に、前記表示部は、表示内容が視認可能な位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記フレキシブル配線基板は、前記静電容量型タッチセンサーの前記第1辺と電気的に接続している、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項の記載の印刷装置。
【請求項10】
前記静電容量型タッチセンサーは、前記操作情報の入力を受け付ける操作領域と、前記操作領域の周囲に設けられ前記操作情報の入力を受け付けない額縁領域と、を含み、
前記額縁領域の内、前記第1辺に沿って位置する第1額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさは、前記額縁領域の内、前記第2辺に沿って位置する第2額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記額縁領域の内、前記第3辺に沿って位置する第3額縁領域の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さく、
前記額縁領域の内、前記第4辺に沿って位置する第4額縁領域の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さい、
ことを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記パネル筐体は、前記第1辺に沿って位置する第1側部と、前記第2辺に沿って位置する第2側部と、を含み、
前記第1側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさは、前記第2側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記パネル筐体は、前記第3辺に沿って位置する第3側部と、前記第4辺に沿って位置する第4側部と、を含み、
前記第3側部の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さく、
前記第4側部の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さい、
ことを特徴とする請求項12に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記静電容量型タッチセンサーの対角方向の大きさは、10インチ以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷装置は家庭やオフィス等、多種多様な環境下で活用されている。そのため、印刷装置を製造するに際して、印刷装置を使用する使用者の身長や性別、障害の有無にかかわらず誰しもが同じように使用できるようなユーザービリティーに優れた印刷装置の開発が求められている。
【0003】
このようなユーザービリティーに優れた印刷装置を提供するとの観点に着目した技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されるような、使用者の身長等を考慮し操作部が回転する機構を備えた印刷装置や、特許文献3に記載されるような、大型ディスプレイを備えた印刷装置、また、特許文献4に記載されるような静電容量方式のタッチパネルを備えた印刷装置等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-310050号公報
【文献】特開2006-251168号公報
【文献】特開2010-004134号公報
【文献】特開2016-167819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、操作性に優れた印刷装置を提供するとの観点において、特許文献1~4に記載されるような技術を組み合わせた場合、組み合わせに起因した新たな問題が生じた。
【0006】
近年スマートフォンなどの電子機器において大画面として認知されている8インチ以上のタッチパネルを印刷装置におけるユーザーインターフェースとして回動可能に印刷装置に組み入れた場合、当該タッチパネルの画面サイズが大きくなるが故に重量も増加し、タッチパネルの回動を支持する支持部を強固な構成とする必要が生じる。それ故に、タッチパネルの回動を支持する支持部の構造が大きくなり、印刷装置自体が大型となる。そして、印刷装置が大型となることによって当該印刷装置を設置するスペースに制限が生じる。すなわち、8インチ以上のタッチパネルを回動可能に印刷装置に組み入れた場合、印刷装置を設置するための広いスペースが必要となるとの観点において、ユーザービリティーを損なうおそれがあった。
【0007】
すなわち、特許文献1~4に記載されるような技術を組み合わせることで操作性に優れた印刷装置を提供するとの観点において、既存の技術を単純に組み合わせるだけでは十分ではなく、さらなる改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印刷装置の一態様は、
媒体に印刷を行う印刷ユニットと、前記印刷ユニットを操作する操作情報が入力されるパネルユニットと、を備え、
前記印刷ユニットは、前記操作情報に応じて印刷動作を実行する印刷機構と、前記パネ
ルユニットの動作を制御するとともに前記操作情報に基づいて前記印刷機構の動作を制御するプロセッサーを有するメイン回路基板と、前記メイン回路基板を格納するメイン筐体と、を有し、
前記パネルユニットは、表示パネルと、位置検出センサー及びカバーガラスが積層された静電容量型タッチセンサーと、前記静電容量型タッチセンサーと電気的に接続したパネル回路基板と、前記静電容量型タッチセンサーと前記パネル回路基板とを電気的に接続するフレキシブル配線基板と、前記パネル回路基板と電気的に接続し前記印刷ユニットの動作状態を表示する表示部と、前記パネル回路基板と電気的に接続し前記印刷ユニットを起動するスイッチと、前記静電容量型タッチセンサー、前記パネル回路基板、及び前記フレキシブル配線基板を格納するパネル筐体と、を有し、
前記静電容量型タッチセンサーは、第1辺と、前記第1辺と向かい合って位置する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺の双方と交差する第3辺と、前記第3辺と向かい合って位置する第4辺と、を含み、
前記パネルユニットは、第1取付状態と第2取付状態とを取るように回動可能に前記印刷ユニットに取り付けられ、
前記第1取付状態において水平方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角は、鉛直方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角よりも大きく、
前記第2取付状態において水平方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角は、鉛直方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角よりも小さく、
前記パネルユニットが前記第2取付状態の場合に、前記静電容量型タッチセンサーは、鉛直方向に沿った方向において、前記第1辺が前記第2辺よりも下方となるように配置され、
前記フレキシブル配線基板は、前記表示部と前記スイッチとの間に位置し、湾曲して前記静電容量型タッチパネルと前記パネル回路基板とを電気的に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】印刷装置の機能構成を説明するための図である。
【
図2】パネルユニットの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】位置検出センサー及びセンサー駆動回路の構成の一例を示す図である。
【
図7】印刷機構で搬送される媒体の搬送経路の一例を示す図である。
【
図8】パネルユニットの取り付け状態の一例について説明するための図である。
【
図9】パネルユニットの構造を説明するための図である。
【
図10】タッチセンサーを-z側から見た場合の図である。
【
図11】タッチセンサーを+z側から見た場合の図である。
【
図12】パネルユニットを-z側から見た場合の図である。
【
図13】パネルユニットを-x側から見た場合の図である。
【
図14】パネルユニットを+y側から見た場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
以下では、本発明に係る印刷装置として、媒体に液体を吐出することで画像を印刷するインクジェットプリンターを例に挙げて説明するが、印刷装置は、インクジェットプリンターに限るものではなく、ドットインパクトプリンターや熱転写プリンター、レーザープリンター等であってもよい。
【0012】
1.印刷装置の機能構成
図1は、印刷装置1の機能構成を説明するための図である。
図1に示すように印刷装置1は、印刷ユニット10、パネルユニット20、及び無線通信ユニット30を備える。そして、印刷装置1は、パネルユニット20、及び無線通信ユニット30から入力される情報に基づいて、印刷ユニット10が媒体の所定の位置にインクを着弾させることで、媒体に所望の画像を印刷する。すなわち、印刷装置1は、媒体に印刷を行う印刷ユニット10と、印刷ユニット10を操作する操作情報が入力されるパネルユニット20及び無線通信ユニット30と、を備える。
【0013】
ここで、本実施形態において印刷装置1により印刷される媒体は枚葉紙であるとして説明を行うが、印刷装置に用いられる媒体は、枚葉紙に限るものではなく、ロール紙であってもよい。さらに、媒体は紙に限るものではなく、布巾等の繊維素材やプラスチックなどの樹脂であってもよい。
【0014】
パネルユニット20には、使用者の操作により印刷装置1を操作する操作情報が入力されるとともに、印刷装置1の動作状態が表示される。具体的には、パネルユニット20は、印刷ユニット10からケーブル210を介して入力されるパネル制御信号PNcにより動作が制御されるとともに、パネル制御信号PNcに基づいて伝搬される印刷装置1の動作状態を表示する。また、パネルユニット20は、使用者により入力された操作情報をパネル操作信号PNoとして、ケーブル210を介して印刷ユニット10に出力する。ここで、パネルユニット20に入力されるパネル制御信号PNc、及びパネルユニット20が出力するパネル操作信号PNoは、例えば、シリアルデータとシリアルクロックとで伝搬されるI2C(I squared C)通信に準拠した信号であってもよく、また、LVDS(Low
Voltage Differential Signaling)通信等の差動信号であってもよい。なお、パネルユニット20の機能構成の詳細、及び構造の詳細については後述する。
【0015】
無線通信ユニット30は、数cm~数十cmの近距離で無線通信を行うNFC(Near Field Communication)モジュール31と、NFCモジュール31と比較して長距離且つ高速な無線通信が可能なWiFiモジュール32とを含む。
【0016】
NFCモジュール31は、印刷ユニット10からケーブル310を介して入力されるNFC制御信号NCcに基づいて動作が制御されるとともに、無線信号としてNFCモジュール31に入力される情報をNFC受信信号NCoとして、ケーブル310を介して印刷ユニット10に出力する。このような数cm~数十cmの近距離で無線通信を行うNFCモジュール31は、例えば、印刷装置1を複数の使用者で共有している場合に、印刷動作を実行した使用者と印刷動作が実行される媒体との相関を取るための認証機能等に用いられる。
【0017】
長距離且つ高速な無線通信が可能なWiFiモジュール32は、印刷ユニット10からケーブル320を介して入力されるWiFi制御信号WFcに基づいて動作が制御されるとともに、無線信号としてWiFiモジュール32に入力される情報をWiFi受信信号WFoとして、ケーブル320を介して印刷ユニット10に出力する。このような長距離且つ高速な無線通信が可能なWiFiモジュール32は、印刷装置1が媒体に印刷する画像情報を出力するパーソナルコンピューター等の外部装置と印刷装置1とを無線信号で接続するインターフェース回路としても機能する。
【0018】
ここで、NFCモジュール31、及びWiFiモジュール32は、例えば、USB(Universal Serial Bus)通信により通信可能に接続されることで、印刷装置1と着脱可能であってもよい。すなわち、印刷装置1は、NFCモジュール31、及びWiFiモジュール32の少なくとも一方の取り付けが可能な接続端子を備える。このNFCモジュール31、及びWiFiモジュール32の少なくとも一方が無線通信デバイスの一例である。
【0019】
印刷ユニット10は、中継回路基板100、メイン回路基板110、ヘッド回路基板120、複数の吐出ヘッド130、媒体搬送制御ユニット140、及び搬送モーター150を有する。
【0020】
メイン回路基板110は、印刷装置1の各部を制御する制御信号を出力するメイン制御回路111を有する。このメイン制御回路111は、CPU(Central Processing Unit)を含むSoC(System On a Chip)を含んで構成されている。
【0021】
メイン制御回路111は、パネルユニット20、及び無線通信ユニット30の動作を制御するユニット制御信号UCを出力する。ユニット制御信号UCは、ケーブル191を介して中継回路基板100が有する信号変換回路101に入力される。信号変換回路101は、メイン制御回路111から入力されるユニット制御信号UCに基づいて、パネルユニット20を制御するパネル制御信号PNc、NFCモジュール31を制御するNFC制御信号NCc、及びWiFiモジュール32を制御するWiFi制御信号WFcを生成し、パネルユニット20、NFCモジュール31、及びWiFiモジュール32のそれぞれに出力する。
【0022】
また、信号変換回路101には、パネルユニット20が出力するパネル操作信号PNo、NFCモジュール31が出力するNFC受信信号NCo、及びWiFiモジュール32が出力するWiFi受信信号WFoが入力される。そして、信号変換回路101は、入力されるパネル操作信号PNo、NFC受信信号NCo、及びWiFi受信信号WFoに基づくユニット出力信号UOを生成し、メイン制御回路111に出力する。
【0023】
ここで、信号変換回路101は、1つの集積回路装置で構成されていてもよく、パネルユニット20、NFCモジュール31、及びWiFiモジュール32のそれぞれに対応した複数の集積回路装置で構成されていてもよい。また、信号変換回路101とメイン制御回路111との間で伝搬するユニット制御信号UC、及びユニット出力信号UOは、パネルユニット20、NFCモジュール31、及びWiFiモジュール32のそれぞれに対応した複数の信号であってもよい。すなわち、メイン制御回路111は、ユニット制御信号UCとしてパネル制御信号PNc、NFC制御信号NCc、及びWiFi制御信号WFcのそれぞれに対応する複数の信号を信号変換回路101に出力し、信号変換回路101は、ユニット出力信号UOとしてパネル操作信号PNo、NFC受信信号NCo、及びWiFi受信信号WFoのそれぞれに対応する複数の信号をメイン制御回路111に出力してもよい。
【0024】
また、メイン制御回路111は、信号変換回路101から入力されるユニット出力信号UOに基づいて、印刷動作が実行される媒体を搬送させる。具体的には、メイン制御回路111は、印刷動作が実行される媒体を搬送させるための搬送制御信号PTを生成し、ケーブル194を介して媒体搬送制御ユニット140に出力する。媒体搬送制御ユニット140は、入力される搬送制御信号PTに基づいて、搬送モーター150の駆動を制御する駆動制御信号を生成し、搬送モーター150に出力する。これにより、搬送モーター150が駆動し、搬送モーター150の駆動に伴って、媒体が所定の搬送方向に沿って搬送される。
【0025】
また、メイン制御回路111は、信号変換回路101から入力されるユニット出力信号UOに基づいて、媒体に対して印刷を行うための印刷制御信号PCを生成し、ケーブル192を介してヘッド回路基板120に出力する。
【0026】
印刷制御信号PCは、ヘッド回路基板120が有するヘッド制御回路121に入力される。ヘッド制御回路121は、入力される印刷制御信号PCに基づいて媒体に対してインクを吐出する複数のノズルを有する複数の吐出ヘッド130のそれぞれに対応した印刷データ信号DATAを生成し、対応する吐出ヘッド130に供給する。また、ヘッド制御回路121は、信号変換回路101から入力される印刷制御信号PCに基づいて駆動信号COMの基となる基駆動信号dAを生成し、駆動回路122に出力する。そして、駆動回路122は、ヘッド制御回路121から供給される基駆動信号dAによって規定される波形の駆動信号COMを生成し、複数の吐出ヘッド130に出力する。
【0027】
複数の吐出ヘッド130のそれぞれは、媒体に対してインクを吐出する複数のノズルと、複数のノズルのそれぞれに対応し、駆動信号COMが供給されることで対応するノズルからインクが吐出されるように駆動する複数の駆動素子と、を含む。複数の吐出ヘッド130のそれぞれは、ケーブル193を介してヘッド回路基板120と電気的に接続される。吐出ヘッド130のそれぞれは、ヘッド制御回路121から供給される印刷データ信号DATAに基づいて、駆動回路122から供給される駆動信号COMを、複数の駆動素子のそれぞれに供給するか否かを切り替えることで、複数のノズルの内、媒体にインクを吐出するノズルに対応する駆動素子には駆動信号COMを供給し、複数のノズルの内、媒体にインクを吐出しないノズルに対応する駆動素子には駆動信号COMを供給しない。これにより、駆動信号COMが供給された駆動素子に対応するノズルからのみインクが吐出され、駆動信号COMが供給されない駆動素子に対応するノズルからはインクは吐出されない。すなわち、複数の吐出ヘッド130は、ヘッド制御回路121が出力する印刷データ信号DATAに基づいて、複数の駆動素子のそれぞれに駆動信号COMを供給するか否かを切り替えることで、印刷データ信号DATAで規定されるタイミングで、且つ印刷データ信号DATAにより指定されたノズルからインクを吐出させる。
【0028】
以上のように、本実施形態における印刷装置1は、パネルユニット20、及び無線通信ユニット30から入力される操作情報に基づいて、メイン制御回路111が媒体搬送制御ユニット140を介して媒体の搬送を制御するとともに、ヘッド回路基板120が有するヘッド制御回路121の動作を制御する。これにより、媒体にインクを吐出するノズルとインクを吐出しないノズルとが選択される。すなわち、メイン制御回路111が、媒体の搬送とインクの吐出タイミングとの双方を制御する。これにより、吐出ヘッド130は、媒体の所望の位置にインクを着弾させることができる。すなわち、媒体の所望の位置にドットが形成される。これにより、印刷装置1は、媒体に所望の画像を印刷する。
【0029】
ここで、以下の説明において、メイン回路基板110の制御により媒体に対して印刷動作を実行するヘッド回路基板120、複数の吐出ヘッド130、媒体搬送制御ユニット140、及び搬送モーター150を含む構成を総称して印刷機構160と称する場合がある。すなわち、印刷ユニット10は、使用者がパネルユニット20や無線通信ユニット30を操作すること入力される操作情報に応じて媒体に画像を印刷する印刷動作を実行する印刷機構160と、パネルユニット20、及び無線通信ユニット30の動作を制御するユニット制御信号UCを出力するとともに、パネルユニット20、及び無線通信ユニット30が出力するパネル操作信号PNo、NFC受信信号NCo、及びWiFi受信信号WFoに基づくユニット出力信号UOに応じて、印刷機構160の動作を制御するメイン制御回路111を有するメイン回路基板110と、を有する。
【0030】
なお、印刷装置1は、LAN(Local Area Network)ケーブルやUSBケーブルにより印刷装置1と外部機器とを接続するためのUSBポートやLANポート等を有してもよく、さらに、印刷装置1は、当該USBポートやLANポート等に接続されるハードディスク、フラッシュメモリー等の記憶媒体に記憶されている画像情報を、使用者によるパネルユニット20の操作により読み出すとともに、読み出した情報に基づく印刷動作の実行が可能であってもよい。さらに、印刷装置1は、媒体に形成された画像情報を取得するスキャナーユニットを備えてもよい。すなわち、印刷装置1は、媒体に画像を形成するとともに、媒体に形成された画像を取得することも可能な所謂複合機であってもよい。
【0031】
ここで、メイン回路基板110が有するメイン制御回路111がプロセッサーの一例である。
【0032】
2.パネルユニットの機能構成
次に、パネルユニット20の機能構成について説明する。
図2は、パネルユニット20の機能構成の一例を示す図である。
図2に示すようにパネルユニット20は、パネル回路基板200、表示パネル220、位置検出センサー230、センサー駆動回路240、表示回路基板250、及びスイッチ回路基板260を有する。
【0033】
パネル回路基板200は、パネル制御回路201を有する。また、パネル制御回路201は、表示パネル220を制御する表示制御回路212と、位置検出センサー230を制御するセンサー制御回路214とを含む。そして、パネル制御回路201は、印刷ユニット10から入力されるパネル制御信号PNcに基づいて、表示パネル220、位置検出センサー230、センサー駆動回路240、表示回路基板250、及びスイッチ回路基板260を制御するとともに、表示パネル220、位置検出センサー230、センサー駆動回路240、表示回路基板250、及びスイッチ回路基板260が出力する信号を、パネル操作信号PNoとして印刷ユニット10に出力する。このようなパネル制御回路201は、1又は複数の集積回路装置として構成されている。なお、表示回路基板250及びスイッチ回路基板260は、パネル制御回路201を介さずに中継回路基板100と電気的に接続されていてもよい。
【0034】
表示制御回路212は、ケーブル291を介して表示パネル220の動作を規定する制御信号Ctr1と、表示パネル220において表示すべき画像を示す画像信号Vidとを表示パネル220に出力する。これにより、表示制御回路212は、表示パネル220に、画像信号Vidに基づく画像が表示されるように制御する。ここで、画像信号Vidは、アナログの信号であってもよく、デジタルの信号であってもよい。
【0035】
図3は、表示パネル220の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、表示パネル220は、複数の画素Pxが設けられた画素部221と、画素部221を駆動する画素駆動部222と、を備える。
【0036】
画素部221は、
図3における横方向である第1の方向に延在するM行の走査線225と、第1の方向と直交する
図3における縦方向である第2の方向に延在するN列のデータ線226とを有する。そして、画素部221は、M行の走査線225とN列のデータ線226とが交差する交点に対応して、第1の方向にN列、第2の方向にM行のマトリックス状に設けられた、M×N個の画素Pxを備える。
【0037】
画素駆動部222は、走査線駆動回路223と、データ線駆動回路224と、を備える。走査線駆動回路223は、制御信号Ctr1に基づいて、第m行の走査線225を選択するための選択信号Gw[m]を生成する。そして、走査線駆動回路223は、制御信号Ctr1により規定されるフレーム期間に含まれるM個の水平走査期間のうち、m番目の
水平走査期間において、選択信号Gw[m](mは、1≦m≦Mを満たす自然数)を出力する。これにより、走査線駆動回路223は、フレーム期間において、第1行~第M行の走査線225を順番に選択することができる。
【0038】
データ線駆動回路224は、画像信号Vidに基づいて、画素Pxにおいて表示すべき階調を指定する階調指定信号Vd[n](nは、1≦n≦Nを満たす自然数)を生成し、走査線駆動回路223が第m行の走査線225を選択しているm番目の水平走査期間において、第n列のデータ線226に対して、階調指定信号Vd[n]を出力する。なお、本実施形態では、画像信号Vidは、階調指定信号Vd[1]~Vd[N]を含む信号である。
【0039】
このように、画素駆動部222は、m番目の水平走査期間において、第m行の走査線225を選択する選択信号Gw[m]を出力するとともに、第n列のデータ線226に対して、階調指定信号Vd[n]を出力することで、第m行第n列の画素Pxに対して、階調指定信号Vd[n]の指定する階調を表示させることができる。このような表示パネル220としては、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescence)パネル等の薄型のフラットパネルを用いることができる。
【0040】
図2に戻り、センサー制御回路214は、ケーブル292にCOF(Chip On Film)実装された集積回路装置であるセンサー駆動回路240に対して、センサー駆動回路240の動作を規定する制御信号Ctr2を出力する。センサー駆動回路240は、入力される制御信号Ctr2に基づいて、位置検出センサー230の駆動を制御するための制御信号Ctr-Sを生成し、位置検出センサー230に出力する。すなわち、センサー制御回路214は、センサー駆動回路240を介して位置検出センサー230の駆動を制御する。位置検出センサー230が制御信号Ctr-Sにより駆動されると、位置検出センサー230は、位置検出センサー230に対する指、ペン等の物体の接触を検出する。そして、位置検出センサー230は、検出結果を示す検出信号VSSを生成し、センサー駆動回路240に出力する。センサー駆動回路240は、検出信号VSSに基づいて、位置検出センサー230に対する物体の接触位置を算出し、当該接触位置を示す接触位置信号ISSを生成する。センサー駆動回路240は、生成した接触位置信号ISSをセンサー制御回路214に出力する。
【0041】
図4は、位置検出センサー230及びセンサー駆動回路240の構成の一例を示す図である。
図4に示すように、位置検出センサー230は、
図4における横方向である第3の方向にQ列、第3の方向と直交する
図4における縦方向である第4の方向にR行のマトリックス状に設けられたQ×R個のセンサーTsと、Q×R個のセンサーTsと1対1で対応するQ×R本の検出線231と、を備える。
【0042】
センサーTsは、それぞれが容量素子を有する。そして、センサーTsに対して物体が接触すると、センサーTsに対応して設けられた容量素子が有する2つの電極の電位が変動する。
【0043】
センサー駆動回路240は、制御信号Ctr2に基づいて制御信号Ctr-Sを生成し、生成した制御信号Ctr-Sを、位置検出センサー230に対して出力する。ここで、制御信号Ctr-Sとは、第q行第r列のセンサーTs[q][r]に対して、各センサーTsが有する2つの電極のうち、一方の電極の電位を示す検出信号Vs[q][r]を、センサーTs[q][r]と対応して設けられた検出線231に出力することを指示する信号である。これにより、センサー駆動回路240は、Q×R個のセンサーTsから、Q×R個の検出信号Vsの供給を受けることができる。なお、上述した検出信号VSSは、例えば、Q×R個の検出信号Vsを含む信号である。そして、センサー駆動回路240
は、検出信号VSSに含まれるQ×R個の検出信号Vsに基づいて、接触位置信号ISSを生成し、生成した接触位置信号ISSを、パネル制御回路201に対して出力する。すなわち、本実施形態における位置検出センサー230は、センサーTsが有する容量素子の電位の変化に応じて物体の接触位置を算出する所謂静電容量型センサーである。
【0044】
図2に戻り、表示回路基板250は、発光素子251を有する。そして、パネル制御回路201は、表示回路基板250が有する発光素子251を制御するための発光制御信号LCを出力する。発光素子251は、印刷装置1の動作状態に応じて点灯、消灯、若しくは点滅する。すなわち、発光素子251は、パネル回路基板200と電気的に接続し、印刷装置1及び印刷ユニット10の動作状態を表示し、表示回路基板250は、印刷装置1、及び印刷ユニット10の動作状態を表示する発光素子251を有する。なお、
図2では、表示回路基板250が1つの発光素子251を有する場合のみを図示しているが、表示回路基板250は、複数の発光素子251を有してもよい。また、このような発光素子251としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子を用いることができる。ここで、発光素子251が、印刷装置1、及び印刷ユニット10の動作状態を表示する表示部の一例である。
【0045】
スイッチ回路基板260は、スイッチ261を有する。このスイッチ261が、押下されることでスイッチ制御信号SUがパネル制御回路201に供給される。そして、パネル制御回路201は、スイッチ制御信号SUの論理レベルや時間等に応じて印刷装置1を起動し、また、印刷装置1の動作を停止させる。すなわち、スイッチ261は、パネル回路基板200と電気的に接続し、印刷装置1及び印刷ユニット10を起動し、スイッチ回路基板260は、印刷装置1及び印刷ユニット10を起動するスイッチ261を有する。
【0046】
以上のように、パネルユニット20は、各種の情報を表示する表示パネル220と、指又はペン等の物体の接触位置を検出する位置検出センサー230と、位置検出センサー230、及び表示パネル220と電気的に接続したパネル制御回路201が実装されたパネル回路基板200と、位置検出センサー230とパネル回路基板200とを電気的に接続するケーブル292と、パネル回路基板200に実装されたパネル制御回路201と電気的に接続し印刷ユニット10を含む印刷装置1の動作状態を表示する発光素子251を有する表示回路基板250と、パネル回路基板200に実装されたパネル制御回路201と電気的に接続し印刷ユニット10を含む印刷装置1を起動するスイッチ261を有するスイッチ回路基板260と、を有する。
【0047】
ここで、センサー駆動回路240がCOF実装されているケーブル292がフレキシブル配線基板の一例であり、センサー駆動回路240が集積回路の一例である。
【0048】
3.印刷装置の構造
次に、印刷装置1の構造について説明する。ここで、印刷装置1の構造を説明するにあたり、印刷装置1の前後方向をX方向、印刷装置1の左右方向をY方向、印刷装置1の上下方向であって鉛直方向をZ方向と称する場合がある。また、X方向、Y方向、及びZ方向に沿った向きを特定する場合、図示するX方向を示す矢印の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、Y方向を示す矢印の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、Z方向を示す矢印の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する場合がある。
【0049】
図5は、印刷装置1の外観構造を示す図である。
図5に示すように、印刷装置1は、印刷ユニット10とパネルユニット20とを備える。
【0050】
印刷ユニット10は、媒体収容部141、媒体排出トレイ149、及び筐体170を有する。媒体収容部141は、印刷動作が実行される前の媒体が収容される収容空間を形成
する。具体的には、媒体収容部141は、筐体170の+Z側に位置し、収容空間の少なくとも一部が筐体170の内部に引き出し可能な状態で取り付けられている。媒体排出トレイ149は、筐体170の-Z側に位置し、印刷処置が実行された後の媒体が排出される。
【0051】
以上のように構成された印刷装置1では、使用者がパネルユニット20を操作することにより印刷動作が実行されると、媒体収容部141に収容された媒体が、筐体170の内部で搬送され、媒体が筐体170の内部を搬送される期間において、媒体に印刷動作が実行される。そして、印刷動作が実行された後の媒体は、媒体排出トレイ149に排出される。
【0052】
ここで、印刷ユニット10が有する筐体170の内部構造について説明する。
図6は、筐体170の内部構造の一例を示す図である。
図6に示すように、筐体170は、中継回路基板100、メイン回路基板110、印刷機構160、及び無線通信ユニット30を格納している。具体的には、無線通信ユニット30は、筐体170の-X側の側面に沿って位置し、中継回路基板100は、筐体170の-X側の側面に沿って無線通信ユニット30の-Z側に位置している。また、メイン回路基板110は、筐体170の+X側の側面に沿って位置している。そして、無線通信ユニット30及び中継回路基板100とメイン回路基板110との間に、搬送される媒体に対して印刷動作が実行される印刷機構160が位置している。
【0053】
図7は、筐体170の内部に設けられた印刷機構160で搬送される媒体の搬送経路の一例を示す図である。
図7に示すように、筐体170の内部には、搬送ローラー142,143,144が設けられている。この搬送ローラー142~144は、それぞれが駆動ローラーと従動ローラーとを含み一対のローラー対である。そして、搬送ローラー142~144は、駆動ローラーと従動ローラーとで媒体を挟持するとともに、駆動ローラーが前述した搬送モーター150の駆動により回転することで、媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する。
【0054】
具体的には、媒体収容部141に収容された媒体は、搬送ローラー142によって1枚ずつ排出される。この搬送ローラー142は、媒体収容部141に収容された媒体を1枚ずつ排出するが故に、例えば、Z方向に沿って-Z側から+側に向かい媒体に圧力を加えるように設けられていてもよい。媒体収容部141から排出された媒体は、搬送ローラー143によって挟持された状態で、搬送経路に沿って吐出ヘッド130と対向する印刷領域PAに搬送される。媒体が印刷領域PAに到達すると、吐出ヘッド130は、印刷データ信号DATAに基づくタイミングで媒体にインクを吐出する。その後、インクが着弾した媒体は、搬送ローラー144によって挟持された状態で、搬送経路に沿って媒体排出トレイ149に向けて搬送され、筐体170の内部から媒体排出トレイ149に排出される。ここで、中継回路基板100、メイン回路基板110、印刷機構160、及び無線通信ユニット30を格納する筐体170がメイン筐体の一例である。
【0055】
図5に戻り、パネルユニット20は、印刷装置1において、筐体170の-X側の側面であって、+Z側に回動可能に取り付けられる。
【0056】
図8は、筐体170に取り付けられるパネルユニット20の取り付け状態の一例について説明するための図である。
図8に示すようにパネルユニット20は、取付部ARを介して筐体170と回動可能に取り付けられる。具体的には、本実施形態においてパネルユニット20は、前述した表示パネル220の表示面227及び位置検出センサー230が、印刷装置1の前後方向であるX方向と印刷装置1の左右方向であるY方向とが成す平面に沿って延在する取付状態αと、前述した表示パネル220の表示面227及び位置検出セ
ンサー230が、印刷装置1の左右方向であるY方向と印刷装置1の上下方向であって鉛直方向であるZ方向とが成す平面に沿って延在する取付状態βと、を取るように、可動範囲RMの範囲内において、取付部ARを回転軸として回動可能に印刷ユニット10が有する筐体170に取り付けられている。
【0057】
すなわち、パネルユニット20は、使用者がパネルユニット20の表示パネル220の表示内容を視認可能な範囲であって、パネルユニット20を印刷装置1の上方から下方に向かう方向であって-Z側から+Z側に向かって視た場合に表示パネル220の内容を視認可能な取付状態αと、使用者がパネルユニット20を印刷装置1の前方から後方に向かう方向であって-X側から+X側に向かって視た場合に表示パネル220の内容を視認可能な取付状態βとを取るように、回動可能に取り付けられている。
【0058】
ここで、筐体170に回動可能に取り付けられたパネルユニット20は、印刷装置1を操作する使用者の利便性を向上させるとの点に鑑みれば、可動範囲RMが広範囲であることが好ましく、具体的には、取付状態αにおいて、表示パネル220の表示面227及び位置検出センサー230の法線方向が、略鉛直方向に沿った上方であって印刷装置1の+Z側を向き、取付状態βにおいて、表示パネル220の表示面227及び位置検出センサー230の法線方向が、水平方向に沿って印刷装置1において使用者が位置する使用者側に相当する印刷装置1の-X側を向いていることが好ましい。
【0059】
しかしながら、筐体170に回動可能に取り付けられたパネルユニット20の可動範囲RMは、上述した範囲に限られるものではなく、印刷装置1を操作する使用者が回動可能に設けられたパネルユニット20の表示パネル220に表示される情報を視認可能な範囲で回動可能であればよい。具体的には、取付状態αにおいて、水平方向に延在する面であってX方向とY方向とが成す平面と、パネルユニット20が有する表示パネル220及び位置検出センサー230が延在する方向とが成す角が45度以下であって、取付状態βにおいて、水平方向に延在する面であってX方向とY方向とが成す平面と、パネルユニット20が有する表示パネル220及び位置検出センサー230が延在する方向とが成す角が45度以上であればよい。
【0060】
すなわち、パネルユニット20は、水平方向と表示パネル220及び位置検出センサー230の法線方向とがなす角が、鉛直方向と表示パネル220及び位置検出センサー230の法線方向とがなす角よりも大きな取付状態αと、水平方向と表示パネル220及び位置検出センサー230の法線方向とがなす角が、鉛直方向と表示パネル220及び位置検出センサー230の法線方向とがなす角よりも小さな取付状態βと、を取るように、回動可能に印刷ユニット10が有する筐体170に取り付けられていればよい。ここで、取付状態αが第1取付状態の一例であり、取付状態βが第2取付状態の一例である。
【0061】
次に、以上のように回動可能に筐体170に取り付けられたパネルユニット20の具体的な構造の一例について説明する。
図9はパネルユニット20の構造を説明するための図である。ここで、パネルユニット20の構造を説明するにあたり、以下の説明では、上述したX方向、Y方向、及びZ方向とは独立した方向であって、互いに直行するx方向、y方向、及びy方向を用いる。また、x方向、y方向、及びz方向に沿った向きを特定する場合、図示するx方向を示す矢印の先端側を+x側、起点側を-x側と称し、y方向を示す矢印の先端側を+y側、起点側を-y側と称し、z方向を示す矢印の先端側を+z側、起点側を-z側と称する場合がある。
【0062】
図9に示すように、パネルユニット20は、前述したパネル回路基板200、表示パネル220、位置検出センサー230、表示回路基板250、及びスイッチ回路基板260に加えて、カバーガラス270とパネル筐体280とを有する。
【0063】
位置検出センサー230は、x方向とy方向とが成す平面に延在する略矩形状の板状部材であって、前述の通り、容量素子の電位の変化に応じて物体の接触位置を算出する所謂静電容量型のセンサーである。位置検出センサー230の-x側の辺には、センサー駆動回路240がCOF実装されたケーブル292が取り付けられている。
【0064】
位置検出センサー230の-z側には、カバーガラス270が位置している。カバーガラス270は、位置検出センサー230と同等の大きさでx方向とy方向とが成す平面に延在する略矩形状の板状部材であって、位置検出センサー230に積層するように不図示の接着剤などにより固定されている。このカバーガラス270は、位置検出センサー230を傷や衝撃から保護する保護部材として機能する。ここで、以下の説明において、位置検出センサー230とカバーガラス270とが積層され接着剤などにより固定された構成をタッチセンサー400と称する。この位置検出センサー230及びカバーガラス270が積層されたタッチセンサー400が静電容量型タッチセンサーの一例である。
【0065】
ここで、タッチセンサー400の構造の一例について
図10,
図11を用いて説明する。
図10は、タッチセンサー400を-z側から見た場合の図であり、
図11は、タッチセンサー400を+z側から見た場合の図である。すなわち、
図10は、タッチセンサー400をカバーガラス270の側の面から見た場合の図に相当し、
図11は、タッチセンサー400を位置検出センサー230の側から見た場合の図に相当する。
【0066】
図10及び
図11に示すように、タッチセンサー400は、辺401と、辺401の+x側に位置し辺401とx方向に沿って向かい合って位置する辺402と、辺401及び辺402の双方と交差する辺403と、辺403の+y側に位置し辺403とy方向に沿って向かい合って位置する辺404と、を含む略矩形状である。ここで、辺401が第1辺の一例であり、辺402が第2辺の一例であり、辺403が第3辺の一例であり、辺404が第4辺の一例である。
【0067】
図10及び
図11に示すように、タッチセンサー400の辺401には、ケーブル292が電気的に接続されている。換言すれば、ケーブル292は、タッチセンサー400の辺401と電気的に接続している。そして、センサー駆動回路240は、ケーブル292の-z側の面にCOF実装され、ケーブル292の+z側の面であって、COF実装されているセンサー駆動回路240とケーブル292を介して向かい合って位置する領域には、金属板241が位置している。そして、タッチセンサー400は、ケーブル292を介して、パネル回路基板200と電気的に接続している。
【0068】
また、
図10及び
図11に示すように、タッチセンサー400は、使用者による操作情報の入力を受け付ける操作領域410と、操作領域410の周囲に設けられ使用者による操作情報の入力を受け付けない額縁領域420と、を含む。
【0069】
操作領域410には、例えばITO(Indium Tin Oxide)などで形成された不図示の透過配線が設けられているとともに、前述したQ×R個のセンサーTsが、x方向を第3の方向、y方向を第4の方向としてマトリックス状に設けられている。一方、
図11に示すように、位置検出センサー230の額縁領域420には、操作領域410に設けられたQ×R個のセンサーTsのそれぞれと、センサー駆動回路240とを電気的に接続する検出線231は設けられている。すなわち、額縁領域420には、使用者の操作により操作領域410で検出された信号が伝搬する配線が位置している。また、
図10に示すように、カバーガラス270の額縁領域420は、例えば、黒色等に着色されている。これにより、使用者に対して、操作領域410と額縁領域420との境界を明確に報知することができる。なお、カバーガラス270の額縁領域420は、着色されていなくてもよく、また
、黒色以外の色に着色されていてもよい。
【0070】
以上のように構成されたタッチセンサー400では、一般的に使用者が操作する操作領域410を大きく確保するとの観点、及びパネルユニット20の意匠性の観点において、額縁領域420を極力狭くすることが求められている。しかしながら、操作領域410の周囲に設けられた額縁領域420の面積を小さくした場合、カバーガラス270の端部から静電気などの外乱ノイズが侵入するおそれが高まり、その結果、位置検出センサー230に誤動作が生じるおそれが高まる。
【0071】
このような問題に対して、本実施形態におけるタッチセンサー400では、額縁領域420の内、辺401に沿って位置する額縁領域421のx方向に沿った大きさを、辺402に沿って位置する額縁領域422のx方向に沿った大きさよりも大きくし、また、辺401に沿って位置する額縁領域421のx方向に沿った大きさを、辺403に沿って位置する額縁領域423のy向に沿った大きさよりも大きくし、また、辺401に沿って位置する額縁領域421のx方向に沿った大きさを、辺404に沿って位置する額縁領域424のy向に沿った大きさよりも大きくしている。すなわち、操作領域410の周囲に設けられ使用者による操作情報の入力を受け付けない額縁領域420の内の少なくとも一辺に沿って設けられた額縁領域420を、他の辺に沿って設けられた額縁領域420よりも大きくしている。これより、操作領域410の面積が小さくなるおそれを低減しつつ、静電気などの外乱ノイズが辺401の近傍から侵入するおそれを低減することができる。
【0072】
ここで、額縁領域421が第1額縁領域の一例であり、額縁領域422が第2額縁領域の一例であり、額縁領域423が第3額縁領域の一例であり、額縁領域424が第4額縁領域の一例である。
【0073】
図9に戻り、位置検出センサー230の+z側には、表示面227が-z側となるように、表示パネル220が位置している。このような表示パネル220は、x方向とy方向とが成す平面に延在する略矩形状の板状部材であって、表示パネル220が有する表示面227の大きさは、少なくとも操作領域410と重なる。そして、表示パネル220は、z方向に沿った方向において、操作領域410の全領域が表示面227と重なる。すなわち、位置検出センサー230と表示パネル220とは、z方向に沿って積層されている。また、表示パネル220の-x側の辺には、パネル回路基板200に電気的に接続されるケーブル291が電気的に接続されている。
【0074】
ここで、以下の説明において、位置検出センサー230を含むタッチセンサー400と表示パネル220とがz方向に沿って積層された構成をタッチパネル500と称する。本実施形態では、前述の通り、位置検出センサー230が静電容量型のセンサーである。すなわち、本実施形態におけるタッチセンサー400は、静電容量型タッチセンサーであり、また、静電容量型タッチセンサーであるタッチセンサー400と表示パネル220とを含むタッチパネル500は、静電容量型タッチパネルである。すなわち、本実施形態のパネルユニット20が有するタッチセンサー400は、位置検出センサー230とカバーガラス270とが積層された構成であって、タッチパネル500は、位置検出センサー230とカバーガラス270と表示パネル220とが積層された構成である。
【0075】
パネル回路基板200は、表示パネル220の+z側に位置する。そして、パネル回路基板200が有するパネル制御回路201が、表示パネル220、位置検出センサー230を含むタッチパネル500の動作を制御する。具体的には、パネル回路基板200は、ケーブル291を介して表示パネル220と電気的に接続されるとともに、ケーブル292を介して位置検出センサー230と電気的に接続される。そして、パネル回路基板20
0に設けられたパネル制御回路201が、ケーブル291を介して表示パネル220の動作を制御するとともに、ケーブル292を介して位置検出センサー230の動作を制御する。
【0076】
表示回路基板250は、パネル回路基板200の-x側に位置している。表示回路基板250の-z側の面には、3個の発光素子251が設けられている。また、スイッチ回路基板260は、パネル回路基板200の-x側であって、表示回路基板250の-y側に位置している。このスイッチ回路基板260の-z側の面には、スイッチ261が設けられている。そして、表示回路基板250は、ケーブル293を介してパネル回路基板200と電気的に接続し、スイッチ回路基板260は、ケーブル294を介してパネル回路基板200と電気的に接続している。
【0077】
パネル筐体280は、-z側の一面が解放された格納空間289を有する略直方体形状であって、例えば樹脂等を成型した形成部材で構成されている。パネル筐体280が有する格納空間289には、上述したタッチパネル500、パネル回路基板200、表示回路基板250、及びスイッチ回路基板260が格納される。この場合において、タッチパネル500が有するカバーガラス270が、格納空間289の解放された一面を覆うように設けられる。
【0078】
ここで、位置検出センサー230、表示パネル220、パネル回路基板200、表示回路基板250、及びスイッチ回路基板260がパネル筐体280に格納されている状態におけるパネルユニット20の構造について説明する。
図12は、パネルユニット20を-z側から見た場合の図であり、
図13は、パネルユニット20を-x側から見た場合の図であり、
図14は、パネルユニット20を+y側から見た場合の図である。
【0079】
図12に示すように、パネル筐体280には、辺401と辺402とがx方向に沿って辺401が-x側、辺402が+x側となるように向かい合って位置し、辺403と辺404とがy方向に沿って辺403が-y側、辺404が+y側となるように向かい合って位置するようにタッチセンサー400が格納される。換言すれば、パネル筐体280には、額縁領域421と額縁領域422とがx方向に沿って額縁領域421が-x側、額縁領域422が+x側となるように向かい合って位置し、額縁領域423と額縁領域424とがy方向に沿って額縁領域423が-y側、額縁領域424が+y側となるように向かい合って位置するようにタッチセンサー400が格納されている。
【0080】
図12に示すように、パネル筐体280は、格納するタッチセンサー400の辺401に沿って延在する側面を含む筐体側部281と、格納するタッチセンサー400の辺402に沿って延在する側面を含む筐体側部282と、格納するタッチセンサー400の辺403に沿って延在する側面を含む筐体側部283と、格納するタッチセンサー400の辺404に沿って延在する側面を含む筐体側部284とを含む。すなわち、パネル筐体280が有する格納空間289は、少なくとも筐体側部281,282,283,284を含んで構成されている。
【0081】
そして、
図12に示すように、筐体側部281の辺401から辺402に向かう方向の大きさであってx方向に沿った方向の大きさは、筐体側部282の辺401から辺402に向かう方向の大きさであってx方向に沿った方向の大きさよりも大きく、また、筐体側部283の辺403から辺404に向かう方向の大きさであってy方向に沿った方向の大きさは、筐体側部281の辺401から辺402に向かう方向の大きさであってx方向に沿った方向の大きさよりも小さく、また、筐体側部282の辺403から辺404に向かう方向の大きさであってy方向に沿った方向の大きさは、筐体側部281の辺401から辺402に向かう方向の大きさであってx方向に沿った方向の大きさよりも小さい。すな
わち、タッチセンサー400が有する額縁領域420の内、最も大きな額縁領域421に沿って位置する筐体側部281の大きさは、筐体側部282,283,284のそれぞれの大きさよりも大きい。
【0082】
ここで、筐体側部281が第1側部の一例であり、筐体側部282が第2側部の一例であり、筐体側部283が第3側部の一例であり、筐体側部284が第4側部の一例である。
【0083】
また、
図13及び
図14に示すようにパネルユニット20において、カバーガラス270と向かいあって位置するパネル筐体280の底面285の中央部には、取付部ARが設けられている。具体的には、取付部ARは、タッチセンサー400が格納されたパネル筐体280を有するパネルユニット20において、辺401から辺402に向かう方向であってx方向に沿った方向におけるパネル筐体280の中央部に位置し、y方向に沿って延在する突起部である。この取付部ARが、筐体170に回動可能に取り付けられることにより、パネルユニット20は、印刷ユニット10に回動可能に取り付けられる。すなわち、パネルユニット20は、辺401から辺402に向かう方向におけるパネル筐体280の中央部で印刷ユニット10と回動可能に取り付けられている。
【0084】
ここで、取付部ARが、辺401から辺402に向かう方向であってx方向に沿った方向におけるパネル筐体280の中央部に位置するとは、好ましくは、パネルユニット20をz方向に沿って見た場合に、取付部ARの少なくとも一部が、パネル筐体280の-x側の側面と+x側の側面との距離が等しい点と重なるように位置することを意味するが、取付部ARは、少なくとも、パネル筐体280の-x側の側面と+x側の側面との距離が等しい仮想直線とパネル筐体280の-x側の側面との距離が等しい第1仮想直線と、パネル筐体280の-x側の側面と+x側の側面との距離が等しい仮想直線とパネル筐体280の+x側の側面との距離が等しい第2仮想直線との間の領域に位置していればよい。
【0085】
すなわち、辺401から辺402に向かう方向であってx方向に沿った方向におけるパネル筐体280の中央部とは、上述した第1仮想直線と上述した第2仮想直線との間の領域を意味する。
【0086】
そして、取付部ARの内部をケーブル210が挿通することでパネルユニット20と印刷ユニット10とが電気的に接続される。すなわち、パネル回路基板200とメイン回路基板110とは、パネルユニット20が印刷ユニット10に回動可能に取り付けられる取付部ARの内部を挿通するケーブル210により電気的に接続されている。
【0087】
また、
図12及び
図13に示すようにパネル筐体280の筐体側部281には、表示窓286と操作スイッチ287とが設けられている。すなわち、パネルユニット20をタッチセンサー400の法線方向に沿った方向から見た場合に、表示部は、パネル筐体280の端部に位置している。
【0088】
表示窓286は、光を透過する例えば透明色、乳白色等の樹脂部材であって、パネルユニット20をz方向に沿って-z側から見た場合に、少なくとも一部が視認可能なように筐体側部281の+y側に位置している。この表示窓286が位置するパネル筐体280の格納空間289には、パネル筐体280に格納された表示回路基板250が有する発光素子251が位置する。そして、印刷装置1の動作状態に応じて発光素子251が点灯、消灯、若しくは点滅すると、発光素子251で生じた光が表示窓286を介して、パネルユニット20の外部に報知される。
【0089】
図15は、表示窓286、及び発光素子251を通るようにパネルユニット20を切断
した場合のパネルユニット20の断面の一例を示す図であって、
図12のA-a断面を示す図である。
図15に示すように、表示回路基板250は、パネル筐体280の-x側の側面の近傍であって、少なくとも一部が筐体側部281の内部に位置している。また、表示窓286は、筐体側部281の-x側の側面において、発光素子251に対応し、少なくとも一部が-z側から視認可能なように設けられている。これにより、使用者は、表示窓286を介して、発光素子251に生じた点灯、消灯、若しくは点滅を認識することができ、発光素子251の点灯、消灯、若しくは点滅によって報知される印刷装置1の動作状態を把握することができる。すなわち、パネルユニット20をタッチセンサー400の法線方向に沿った方向から見た場合に、表示窓286、及び発光素子251は、表示内容が視認可能な位置に設けられている。これにより、パネルユニット20が回動可能であっても、使用者は発光素子251の点灯、消灯、若しくは点滅に基づいて印刷装置1の動作状態を把握することができる。すなわち、表示回路基板250は、パネル回路基板200を介して印刷ユニット10が有するメイン回路基板110と電気的に接続している。
【0090】
ここで、
図15では、発光素子251を有する表示回路基板250とパネル回路基板200とがケーブル293で接続されているとして説明したが、表示回路基板250とパネル回路基板200とは、当該回路基板同士を直接接続するコネクターであって、BtoB(Board to Board)コネクターで電気的に接続されていてもよい。
【0091】
図15に示すように、表示回路基板250とパネル回路基板200とをフレキシブルフラットケーブル等の配線で電気的に接続した場合、省スペースに表示回路基板250とパネル回路基板200とを接続することができるが、一方で、表示回路基板250の配置に位置ずれが生じ、その結果、表示窓286から十分な光量を取り出せない可能性がある。これに対して、表示回路基板250とパネル回路基板200とをBtoBコネクターで電気的に接続することで、発光素子251が設けられた表示回路基板250の配置がパネル回路基板200の配置に基づいて一意に定められ、その結果、表示回路基板250の配置に位置ずれが生じるおそれが低減する。
【0092】
また、本実施形態では、表示回路基板250とパネル回路基板200とが異なる基板であるとして説明したが、表示回路基板250とパネル回路基板200とが同じ基板であってもよい。
【0093】
図12及び
図13に戻り、操作スイッチ287は、パネルユニット20をz方向に沿って-z側から見た場合であって、タッチセンサー400の法線方向に沿った方向から見た場合に、パネル筐体280の端部であって、表示パネル220の表示面227が延在する方向と交差する方向に延在するパネル筐体280の側面に位置している。そして、操作スイッチ287を使用者が操作することで、スイッチ回路基板260が有するスイッチ261が動作し、これにより、使用者の操作情報がパネルユニット20に入力される。
【0094】
図16は、操作スイッチ287、及びスイッチ261を通るようにパネルユニット20を切断した場合のパネルユニット20の断面の一例を示す図であって、
図12のB-b断面を示す図である。
図16に示すように、スイッチ回路基板260は、パネル筐体280の-x側の側面の近傍であって、少なくとも一部が筐体側部281の内部に位置している。また、操作スイッチ287は、筐体側部281の内部において、スイッチ261と接触している。これにより、使用者が、操作スイッチ287を押下した場合、操作スイッチ287の押下に連動してスイッチ261が押下されることとなる。そして、スイッチ261が押下されること生じた論理レベルのスイッチ制御信号SUがケーブル294を介してパネル制御回路201に供給される。これにより、印刷装置1は、使用者が操作スイッチ287を押下したことによる所定の動作を開始する。
【0095】
また、タッチセンサー400とパネル回路基板200とは、パネル筐体280の端部である筐体側部281の近傍であって、表示回路基板250とスイッチ回路基板260との間において、ケーブル292によって電気的に接続されている。
【0096】
図17は、ケーブル292を通るようにパネルユニット20を切断した場合のパネルユニット20の断面の一例を示す図であって、
図12のC-c断面を示す図である。
図17に示すように、ケーブル292は、パネル筐体280の-x側の側面の近傍であって、少なくとも一部が筐体側部281の内部において、湾曲することで、積層されて設けられたタッチセンサー400とパネル回路基板200とを電気的に接続している。換言すれば、ケーブル292は、パネルユニット20の辺401に沿った方向において発光素子251とスイッチ261との間に位置し、湾曲してタッチセンサー400とパネル回路基板200とを電気的に接続している。
【0097】
この場合において、ケーブル292にCOF実装されたセンサー駆動回路240は、湾曲するケーブル292の外周側に搭載され、ケーブル292にCOF実装されたセンサー駆動回路240と向かい合う領域であって、湾曲するケーブル292の内周側の領域に、金属板241が位置している。そして、タッチセンサー400に指やペン等の物体が接触することで生じた検出信号VSSがセンサー駆動回路240に入力されると、センサー駆動回路240は、検出信号VSSに基づく接触位置信号ISSを生成し、パネル制御回路201が有するセンサー制御回路214に出力する。
【0098】
以上のように、発光素子251を有する表示回路基板250、スイッチ261を有するスイッチ回路基板260、及びタッチセンサー400とパネル回路基板200とを電気的に接続するケーブル292とは、少なくとも一部がパネル筐体280の筐体側部281に設けられ、タッチセンサー400の辺401に沿って、辺403から辺404に向かう方向であるy方向に沿って、スイッチ回路基板260、ケーブル292、表示回路基板250の順に並んで位置している。
【0099】
そして、スイッチ回路基板260は、一辺がパネル筐体280の筐体側部283に沿って位置し、表示回路基板250は、一辺がパネル筐体280の筐体側部284に沿って位置し、ケーブル292は、筐体側部283から筐体側部284に向かう方向におけるパネル筐体280の中央部に位置している。換言すれば、ケーブル292は、辺403から辺404に向かう方向におけるパネル筐体280の中央部に位置し、スイッチ回路基板260は、ケーブル292よりも辺403の近傍に位置し、表示回路基板250は、ケーブル292よりも辺404の近傍に位置している。
【0100】
以上のように、スイッチ回路基板260、ケーブル292、表示回路基板250を、パネル筐体280の筐体側部281に沿って、スイッチ回路基板260、ケーブル292、表示回路基板250の順に並んで配置することで、使用者が操作する操作スイッチ287と、使用者に情報を報知するための表示窓286とを離れて設けることができる。これにより、使用者が操作スイッチ287と表示窓286とを誤って認識するおそれが低減し、印刷装置1のユーザービリティーが向上する。
【0101】
さらに、スイッチ回路基板260と表示回路基板250との間にケーブル292を配置し、スイッチ回路基板260を辺403の近傍であって筐体側部283の近傍に配置し、表示回路基板250を辺404の近傍であって筐体側部284の近傍に配置し、ケーブル292を筐体側部283から筐体側部284に向かう方向におけるパネル筐体280の中央部に配置することで、スイッチ回路基板260、表示回路基板250、及びケーブル292の間における信号の相互干渉が低減する。その結果、パネルユニット20及び印刷装置1に誤動作が生じるおそれが低減する。
【0102】
以上のように、パネルユニット20は、表示パネル220と、位置検出センサー230及びカバーガラス270が積層されたタッチセンサー400と、タッチセンサー400と電気的に接続したパネル回路基板200と、タッチセンサー400とパネル回路基板200とを電気的に接続するケーブル292と、パネル回路基板200と電気的に接続し印刷ユニット10の動作状態を表示する発光素子251と、パネル回路基板200と電気的に接続し印刷ユニット10を起動するスイッチ261と、タッチセンサー400、パネル回路基板200、及びケーブル292を格納するパネル筐体280と、を有する。
【0103】
以上のように構成されたパネルユニット20は、表示パネル220の表示面227及び位置検出センサー230が印刷装置1の前後方向であるX方向と印刷装置1の左右方向であるY方向とが成す平面に沿って延在する取付状態αにおいて、タッチセンサー400の辺401が-X側に位置し、タッチセンサー400の辺402が+X側に位置するように、印刷ユニット10に取り付けられ、また、前述した表示パネル220の表示面227及び位置検出センサー230が印刷装置1の左右方向であるY方向と印刷装置1の上下方向であって鉛直方向であるZ方向とが成す平面に沿って延在する取付状態βにおいて、タッチセンサー400の辺401が+Z側に位置し、タッチセンサー400の辺402が-Z側に位置するように、印刷ユニット10に取り付けられる。すなわち、パネルユニット20が取付状態βの場合に、タッチパネル500に含まれるタッチセンサー400は、鉛直方向に沿った方向において、辺401が辺402よりも下方となるように配置される。これにより、タッチセンサー400において操作領域410の周囲に設けられ使用者による操作情報の入力を受け付けない額縁領域420の内、最も広い額縁領域421が、取付状態αにおいて-X側に位置し、取付状態βにおいて+Z側に位置することとなる。
【0104】
ここで、
図5に示すような印刷装置1において、使用者が、パネルユニット20を操作する場合、通常、使用者は、パネルユニット20の正面であって、印刷装置1の-X側に位置してパネルユニット20を操作する。すなわち、本実施形態における印刷装置1では、パネルユニット20が取付状態βの場合に、タッチパネル500に含まれるタッチセンサー400が、鉛直方向に沿った方向において、辺401が辺402よりも下方となるように配置されることで、タッチセンサー400において操作領域410の周囲に設けられ使用者による操作情報の入力を受け付けない額縁領域420の内、最も広い額縁領域421が、最も使用者の近傍に位置する。
【0105】
使用者がパネルユニット20を操作する場合、パネルユニット20の使用者側の端部において、当該使用者の衣服や手の小指球、母子球などが、意図せずパネルユニット20に接触し、これにより、パネルユニット20に静電気などの外乱ノイズが生じる。特に、使用者がパネルユニット20を操作する場合に、パネルユニット20の使用者側の端部において、使用者とパネルユニット20との意図しない接触が生じる可能性が高く、そのため、パネルユニット20の使用者側の端部において静電気などの外乱ノイズが発生する可能性は、他の端部と比べて高くなる。このような静電気などの外乱ノイズが発生する可能性が高い使用者側の端部に沿って位置する額縁領域420の大きさを、他の端部に沿って位置する額縁領域420の大きさよりも大きくすることで、パネルユニット20において静電気が生じた場合に、当該静電気がカバーガラス270とパネル筐体280との間の間隙を介してパネルユニット20の内部に侵入した場合であっても、当該間隙と位置検出センサー230が有するセンサーTsとの間に十分な距離を確保することができ、その結果、静電気などの外乱ノイズによりパネルユニット20及び印刷装置1に誤動作が生じるおそれを低減することができる。
【0106】
特に、パネルユニット20が有するタッチセンサー400の対角方向の大きさが、10インチ以上である場合、タッチセンサー400の短辺方向の大きさが120mm以上とな
り、それ故に、使用者とパネルユニット20との意図しない接触が生じる可能性が高まる。しかしながら、本実施形態における印刷装置1では、使用者の操作情報が入力されるパネルユニット20において、静電気などの外乱ノイズが発生する可能性が高い使用者側の端部に沿って位置する額縁領域420の大きさを、他の端部に沿って位置する額縁領域420の大きさよりも大きくすることで、パネルユニット20が有するタッチセンサー400の対角方向の大きさが、10インチ以上の大画面であっても、静電気などの外乱ノイズに起因して、パネルユニット20に誤動作が生じるおそれを低減することができる。
【0107】
4.作用効果
以上のように構成された本実施形態にける印刷装置1では、印刷動作を実行する印刷ユニット10を操作するために、使用者が操作情報を入力するパネルユニット20は、使用者が操作する静電容量型タッチセンサーであるタッチセンサー400、及びスイッチ261と、使用者に対して印刷ユニット10の動作状態を報知するために、当該動作状態を表示する発光素子251とを備える。換言すれば、パネルユニット20には、使用者が印刷装置1を操作し印刷処理を実行させる際に、最低限必要となり得る構成が設けられている。これにより、パネルユニット20が有するタッチセンサー400を大型化した場合であっても、パネルユニット20に設けられる構成を少なくすることができるが故に、パネルユニット20が大型化するおそれを低減できる。すなわち、タッチセンサー400の大型化に伴いパネルユニット20が大型化するおそれが低減し、その結果、パネルユニット20の重量が増加するおそれも低減する。したがって、印刷装置1が回動可能なパネルユニット20を支持するための強固な支持部を有する必要がなく、よって、印刷装置1が大型化するおそれも低減する。
【0108】
また、タッチセンサー400と、タッチセンサー400の動作を制御するパネル回路基板200と、を接続するケーブル292が、パネルユニット20が有するパネル筐体280の内部において湾曲して配置されることで、タッチセンサー400とパネル回路基板200とを積層した状態でパネルユニット20の内部に格納することができる。これにより、パネル筐体280の空間を有効に活用することができる。よって、パネルユニット20が大型化するおそれをさらに低減できる。さらに、ケーブル292が発光素子251とスイッチ261との間に配置されることで、発光素子251とスイッチ261との間に生じた空間を有効に活用することができ、パネルユニット20が大型化するおそれがさらに低減する。
【0109】
また、ケーブル292が発光素子251とスイッチ261との間に配置されることで、発光素子251とスイッチ261とが離間して設けられる。すなわち、使用者に対して印刷装置1の状態を報知する構成と、使用者が印刷装置1を操作する構成とを離して設けることができる。これにより、使用者が誤操作するおそれが低減するとともに、使用者が印刷装置1の状態を誤って認識するおそれが低減する。すなわち、タッチセンサー400を大型化した場合であっても、パネルユニット20が大型化するおそれを低減しつつ、印刷装置1のユーザービリティーを向上することができる。
【0110】
さらに、本実施形態における印刷装置1では、印刷装置1と外部機器との間で無線通信を行うための無線通信ユニット30が、パネルユニット20が有するパネル筐体280の内部でなく、印刷ユニット10が有する筐体170の内部に設けられている。これにより、パネルユニット20が大型化するおそれを顕著に低減することができる。
【0111】
また、本実施形態における印刷装置1では、湾曲しているケーブル292の外周面にセンサー駆動回路240を配置することで、パネルユニット20がセンサー駆動回路240を設けるための基板を備える必要がなく、よって、パネルユニット20が大型化するおそれをさらに低減できる。またこの場合において、ケーブル292を介してセンサー駆動回
路240と対向するケーブル292に金属板241を設けることで、ケーブル292に設けられるセンサー駆動回路240の実装性を高めることができるとともに、金属板241がノイズを遮蔽するシールド部材として機能するが故に、センサー駆動回路240の動作の信頼性を高めることができる。
【0112】
また、本実施形態における印刷装置1では、パネルユニット20が、パネル筐体280の中央部に設けられた取付部ARによって回動可能に印刷ユニット10と取り付けられている。すなわち、パネルユニット20は、パネルユニット20の重心付近で印刷ユニット10に取り付けられる。これにより、取付部ARに偏った応力が加わるおそれが低減し、その結果、取付部ARの構造を強固にする必要性が低減する。したがって、取付部ARの構造が大型化するおそれが低減し、よって、印刷装置1が大型化するおそれも低減する。
【0113】
また、パネルユニット20が有するタッチセンサー400において、使用者による操作情報の入力を受け付ける操作領域410の周囲に設けられ操作情報の入力を受け付けない額縁領域420の内、パネルユニット20を操作する使用者側に位置する額縁領域421の大きさを、他の額縁領域422,423,424よりも大きくすることで、使用者がパネルユニット20を操作する際に、手の使用者の衣服や手の小指球、母子球などが、意図せずパネルユニット20に接触することに起因して生じる静電気などのノイズがパネルユニット20の内部に侵入するおそれが低減することができる。さらに、額縁領域422,423,424を小さくすることにより、パネルユニット20が大型化するおそれも低減できる。すなわち、使用者が操作する操作領域410を大きくすることによりユーザービリティーを向上させつつ、静電気などの外乱ノイズの影響により誤動作が生じるおそれを低減できる。
【0114】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0115】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0116】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0117】
印刷装置の一態様は、
媒体に印刷を行う印刷ユニットと、前記印刷ユニットを操作する操作情報が入力されるパネルユニットと、を備え、
前記印刷ユニットは、前記操作情報に応じて印刷動作を実行する印刷機構と、前記パネルユニットの動作を制御するとともに前記操作情報に基づいて前記印刷機構の動作を制御するプロセッサーを有するメイン回路基板と、前記メイン回路基板を格納するメイン筐体と、を有し、
前記パネルユニットは、表示パネルと、位置検出センサー及びカバーガラスが積層された静電容量型タッチセンサーと、前記静電容量型タッチセンサーと電気的に接続したパネル回路基板と、前記静電容量型タッチセンサーと前記パネル回路基板とを電気的に接続するフレキシブル配線基板と、前記パネル回路基板と電気的に接続し前記印刷ユニットの動作状態を表示する表示部と、前記パネル回路基板と電気的に接続し前記印刷ユニットを起動するスイッチと、前記静電容量型タッチセンサー、前記パネル回路基板、及び前記フレ
キシブル配線基板を格納するパネル筐体と、を有し、
前記静電容量型タッチセンサーは、第1辺と、前記第1辺と向かい合って位置する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺の双方と交差する第3辺と、前記第3辺と向かい合って位置する第4辺と、を含み、
前記パネルユニットは、第1取付状態と第2取付状態とを取るように回動可能に前記印刷ユニットに取り付けられ、
前記第1取付状態において水平方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角は、鉛直方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角よりも大きく、
前記第2取付状態において水平方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角は、鉛直方向と前記静電容量型タッチセンサーの法線方向とがなす角よりも小さく、
前記パネルユニットが前記第2取付状態の場合に、前記静電容量型タッチセンサーは、鉛直方向に沿った方向において、前記第1辺が前記第2辺よりも下方となるように配置され、
前記フレキシブル配線基板は、前記表示部と前記スイッチとの間に位置し、湾曲して前記静電容量型タッチパネルと前記パネル回路基板とを電気的に接続する。
【0118】
この印刷装置によれば、パネルユニットにおいて、静電容量型タッチセンサーとパネル回路基板とを電気的に接続するフレキシブル配線基板を、印刷ユニットの動作状態を表示する表示部と、パネル回路基板と電気的に接続し印刷ユニットを起動するスイッチとの間に設けることで、パネル筐体の内部の空間を有効に活用できる。さらに、フレキシブル配線基板が湾曲して静電容量型タッチパネルとパネル回路基板とを電気的に接続することで、パネルユニットにおいて静電容量型タッチパネルとパネル回路基板とを積層した状態で配置することができ、その結果、パネル筐体の内部の空間を有効に活用できる。すなわち、この印刷装置によれば、パネルユニットが有するパネル筐体の内部の空間の利用効率を高めることができ、したがって、ユーザービリティー向上の観点においてパネルユニットが大型の静電容量型タッチセンサーを備える場合であっても、パネルユニットが大型化するおそれが低減する。
【0119】
前記印刷装置の一態様において、
湾曲している前記フレキシブル配線基板の外周面には、集積回路が搭載されていてもよい。
【0120】
この印刷装置によれば、集積回路がフレキシブル配線基板に設けられるが故に、パネルユニットが集積回路を設けるための回路基板を備える必要がなく、よって、パネルユニットが大型の静電容量型タッチセンサーを備える場合であっても、パネルユニットが大型化するおそれが低減する。
【0121】
前記印刷装置の一態様において、
湾曲している前記フレキシブル配線基板の内周面であって、前記集積回路と向かい合う領域には、金属板が設けられていてもよい。
【0122】
この印刷装置によれば、集積回路と向かい合うフレキシブル配線基板の内周面に金属板が位置するが故に、集積回路の実装の安定性が向上するとともに、当該金属板が外乱ノイズを遮蔽するシールド部材として機能し、集積回路の動作が安定する。
【0123】
前記印刷装置の一態様において、
無線通信デバイスを備え、
前記無線通信デバイスは、前記メイン筐体に格納されていてもよい。
【0124】
この印刷装置によれば、外部装置との間で無線通信を行う無線通信デバイスがメイン筐
体に設けられているが故に、無線通信デバイスを備える印刷装置であっても、パネルユニットが大型化するおそれが低減する。
【0125】
前記印刷装置の一態様において、
前記パネルユニットは、前記第1辺から前記第2辺に向かう方向における前記パネル筐体の中央部で前記印刷ユニットと回動可能に取り付けられていてもよい。
【0126】
この印刷装置によれば、パネルユニットがパネル筐体の中央部において印刷ユニットに取り付けられるが故に、仮にパネルユニットの重量が大きくなった場合であっても、取付部に意図しない加重が加わるおそれが低減する。これにより、取付部として強固な構成を備える必要がなく、よって、パネルユニットが大型のタッチパネルを備える場合であっても、取付部が大型化するおそれが低減する。
【0127】
前記印刷装置の一態様において、
前記パネルユニットを前記静電容量型タッチセンサーの法線方向に沿った方向から見た場合に、前記表示部及び前記スイッチは、前記パネル筐体の端部に位置していてもよい。
【0128】
この印刷装置によれば、表示部及びスイッチがパネル筐体の端部に位置するが故に、パネルユニットが有する静電容量型タッチセンサーの面積を大きくすることができる。よって、大型の静電容量型タッチセンサーを備えたパネルユニットであっても、パネルユニットが大型化するおそれが低減する。
【0129】
前記印刷装置の一態様において、
前記表示部及び前記スイッチの少なくとも一部は、前記静電容量型タッチセンサーが延在する方向と交差する方向に延在する前記パネル筐体の面に位置していてもよい。
【0130】
この印刷装置によれば、スイッチが、静電容量型タッチセンサーが延在する面と異なる側面に位置することで、パネルユニットが有する静電容量型タッチセンサーの面積を大きくすることができる。よって、大型の静電容量型タッチセンサーを備えたパネルユニットであっても、パネルユニットが大型化するおそれが低減する。
【0131】
前記印刷装置の一態様において、
前記パネルユニットを前記静電容量型タッチセンサーの法線方向に沿った方向から見た場合に、前記表示部は、表示内容が視認可能な位置に設けられていてもよい。
【0132】
この印刷装置によれば、回動可能なパネルユニットであっても、使用者に対して印刷ユニットの動作状態を報知することができ、よって、印刷装置のユーザービリティーがさらに向上する。
【0133】
前記印刷装置の一態様において、
前記フレキシブル配線基板は、前記静電容量型タッチセンサーの前記第1辺と電気的に接続していてもよい。
【0134】
前記印刷装置の一態様において、
前記静電容量型タッチセンサーは、前記操作情報の入力を受け付ける操作領域と、前記操作領域の周囲に設けられ前記操作情報の入力を受け付けない額縁領域と、を含み、
前記額縁領域の内、前記第1辺に沿って位置する第1額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさは、前記額縁領域の内、前記第2辺に沿って位置する第2額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも大きくてもよい。
【0135】
この印刷装置によれば、パネルユニットを操作する使用者が位置する印刷装置の使用者側の額縁領域を大きくすることで、使用者がパネルユニットを操作した際に生じた静電気がパネルユニットの内部に侵入するおそれが低減する。これにより、印刷装置の動作の安定性が向上する。
【0136】
前記印刷装置の一態様において、
前記額縁領域の内、前記第3辺に沿って位置する第3額縁領域の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さく、
前記額縁領域の内、前記第4辺に沿って位置する第4額縁領域の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1額縁領域の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さくてもよい。
【0137】
この印刷装置によれば、パネルユニットを操作する使用者が位置する印刷装置の使用者側の額縁領域を大きくし、他の額縁領域を小さくすることで、使用者がパネルユニットを操作した際に生じた静電気がパネルユニットの内部に侵入するおそれを低減するとともに、パネルユニットが有するタッチセンサーの操作領域を広くすることができる。これにより、印刷装置の動作の安定性が向上するとともに、印刷装置のユーザービリティーがさらに向上する。
【0138】
前記印刷装置の一態様において、
前記パネル筐体は、前記第1辺に沿って位置する第1側部と、前記第2辺に沿って位置する第2側部と、を含み、
前記第1側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさは、前記第2側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも大きくてもよい。
【0139】
この印刷装置によれば、パネルユニットを操作する使用者が位置する印刷装置の使用者側のパネル筐体の側部を大きくすることで、使用者がパネルユニットを操作した際に生じた静電気がパネルユニットの内部に侵入するおそれが低減する。これにより、印刷装置の動作の安定性が向上する。
【0140】
前記印刷装置の一態様において、
前記パネル筐体は、前記第3辺に沿って位置する第3側部と、前記第4辺に沿って位置する第4側部と、を含み、
前記第3側部の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さく、
前記第4側部の前記第3辺から前記第4辺に向かう方向の大きさは、前記第1側部の前記第1辺から前記第2辺に向かう方向の大きさよりも小さくてもよい。
【0141】
この印刷装置によれば、パネルユニットを操作する使用者が位置する印刷装置の使用者側のパネル筐体の側部を大きくし、他の側部を小さくすることで、使用者がパネルユニットを操作した際に生じた静電気がパネルユニットの内部に侵入するおそれを低減するとともに、パネルユニットが大型化するおそれが低減する。
【0142】
前記印刷装置の一態様において、
前記静電容量型タッチセンサーの対角方向の大きさは、10インチ以上であってもよい。
【0143】
この印刷装置によれば、ユーザービリティー向上の観点においてパネルユニットが10インチ以上の大型の静電容量型タッチセンサーを備える場合であっても、パネルユニット
が大型化するおそれが低減する。
【符号の説明】
【0144】
1…印刷装置、10…印刷ユニット、20…パネルユニット、30…無線通信ユニット、31…NFCモジュール、32…WiFiモジュール、100…中継回路基板、101…信号変換回路、110…メイン回路基板、111…メイン制御回路、120…ヘッド回路基板、121…ヘッド制御回路、122…駆動回路、130…吐出ヘッド、140…媒体搬送制御ユニット、141…媒体収容部、142,143,144…搬送ローラー、149…媒体排出トレイ、150…搬送モーター、160…印刷機構、170…筐体、191,192,193,194…ケーブル、200…パネル回路基板、201…パネル制御回路、210…ケーブル、212…表示制御回路、214…センサー制御回路、220…表示パネル、221…画素部、222…画素駆動部、223…走査線駆動回路、224…データ線駆動回路、225…走査線、226…データ線、227…表示面、230…位置検出センサー、231…検出線、240…センサー駆動回路、241…金属板、250…表示回路基板、251…発光素子、260…スイッチ回路基板、261…スイッチ、270…カバーガラス、280…パネル筐体、281,282,283,284…筐体側部、285…底面、286…表示窓、287…操作スイッチ、289…格納空間、291,292,293,294,310,320…ケーブル、400…タッチセンサー、401,402,403,404…辺、410…操作領域、420,421,422,423,424…額縁領域、500…タッチパネル、AR…取付部、PA…印刷領域、Px…画素、RM…可動範囲、Ts…センサー、α…取付状態、β…取付状態