(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/58 20060101AFI20240918BHJP
H01R 13/66 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H01R13/58
H01R13/66
(21)【出願番号】P 2021016873
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 由宇
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03399602(EP,A1)
【文献】特開2005-005035(JP,A)
【文献】特開2014-120282(JP,A)
【文献】特開2016-207392(JP,A)
【文献】特開2019-114517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されている端子と、
前記端子に電気的に接続されている電線と、
前記電線の表面に取り付けられるセンサ本体、及び前記センサ本体から延びるリード線を有する温度センサと、
前記電線と前記センサ本体とを一括して覆う包囲部を有するホルダと、を備え、
前記ハウジングは、前記電線が挿通される挿通孔を有し、
前記包囲部は、前記挿通孔に挿入されており、
前記包囲部は、前記挿通孔の内周面と前記電線との間、及び前記挿通孔の内周面と前記センサ本体との間に介在されて
おり、
前記包囲部は、前記センサ本体を前記電線の表面に押し付けるように前記挿通孔の内側に設けられており、
前記包囲部は、第1分割体と、第2分割体と、を有し、
前記第1分割体と前記第2分割体とは、前記電線と前記センサ本体とが重なり合う方向において、前記電線と前記センサ本体とを挟んでいる、
コネクタ。
【請求項2】
前記第1分割体は、第1係止部を有し、
前記第2分割体は、第2係止部を有し、
前記第1係止部が前記第2係止部に係止することにより、前記第1分割体と前記第2分割体とが互いに組み付いている、
請求項
1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記包囲部は、前記挿通孔に挿入されていない状態において、前記第1分割体と前記第2分割体との間の距離を変化可能に構成されている、
請求項
2に記載のコネクタ。
【請求項4】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されている端子と、
前記端子に電気的に接続されている電線と、
前記電線の表面に取り付けられるセンサ本体、及び前記センサ本体から延びるリード線を有する温度センサと、
前記電線と前記センサ本体とを一括して覆う包囲部を有するホルダと、を備え、
前記ハウジングは、前記電線が挿通される挿通孔を有し、
前記包囲部は、前記挿通孔に挿入されており、
前記包囲部は、前記挿通孔の内周面と前記電線との間、及び前記挿通孔の内周面と前記センサ本体との間に介在されて
おり、
前記電線は、複数設けられ、
前記温度センサは、前記複数の電線にそれぞれ対応して複数設けられ、
前記挿通孔は、前記複数の電線にそれぞれ対応して複数設けられ、
前記包囲部は、前記複数の電線及び前記複数の温度センサに対応して複数設けられ、
前記ホルダは、前記複数の包囲部を互いに連結する連結部を有している、
コネクタ。
【請求項5】
前記包囲部は、前記センサ本体を保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記包囲部が前記挿通孔に挿入されていない状態において、前記センサ本体が前記包囲部から抜けないように保持している、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されている端子と、
前記端子に電気的に接続されている電線と、
前記電線の表面に取り付けられるセンサ本体、及び前記センサ本体から延びるリード線を有する温度センサと、
前記電線と前記センサ本体とを一括して覆う包囲部を有するホルダと、を備え、
前記ハウジングは、前記電線が挿通される挿通孔を有し、
前記包囲部は、前記挿通孔に挿入されており、
前記包囲部は、前記挿通孔の内周面と前記電線との間、及び前記挿通孔の内周面と前記センサ本体との間に介在されて
おり、
前記包囲部は、前記センサ本体を保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記包囲部が前記挿通孔に挿入されていない状態において、前記センサ本体が前記包囲部から抜けないように保持しており、
前記包囲部は、第1分割体と、第2分割体と、を有し、
前記第1分割体と前記第2分割体とは、前記電線と前記センサ本体とが重なり合う方向において、前記電線と前記センサ本体とを挟んでおり、
前記第1分割体は、前記保持部を有し、
前記保持部は、前記第1分割体が前記第2分割体に組み付けられていない状態において、前記センサ本体が前記第1分割体に組み付いた状態を保持している、
コネクタ。
【請求項7】
前記包囲部は、第3係止部を有し、
前記挿通孔は、第4係止部を有し、
前記第3係止部は、前記包囲部が前記挿通孔から抜ける方向において、前記第4係止部に係止可能である、
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記電線と前記挿通孔との間に介在される第1シール部材を備え、
前記端子は、前記電線が接続されている第1接続部を有し、
前記第1シール部材は、前記第1接続部と前記ホルダとの間に設けられており、
前記端子は、前記第1シール部材を前記電線の外周面に対して固定する固定部を有し、
前記第1シール部材は、前記ホルダに対して離れて設けられている、
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1接続部に接続されている前記電線の部位を覆う第2シール部材を備えている、
請求項
8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体に取り付けられている保持部材と、を有し、
前記保持部材は、前記端子を保持する端子保持部と、前記挿通孔と、を有している、
請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記端子は、前記電線が接続されている第1接続部と、相手端子に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられている第5係止部と、を有し、
前記端子保持部は、前記第5係止部に係止する第6係止部を有する、
請求項
10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記端子は、前記挿通孔に対し、前記保持部材の後方側から前方側に向かって組付可能である、
請求項
11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記第6係止部は、前記保持部材の後方側への前記端子の移動を規制する後方側係止部と、前記保持部材の前方側への前記端子の移動を規制する前方側係止部と、を含んでいる、
請求項
12に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記第5係止部は、前記端子から突出するフランジ状に形成され、
前記後方側係止部は、前記第5係止部における後方側の側面に接触可能であり、
前記前方側係止部は、前記第5係止部における前方側の側面に接触可能である、
請求項
13に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、車両に搭載されるワイヤハーネスに用いられるコネクタが開示されている。このコネクタは、ハウジングと、ハウジングに収容された端子と、端子に電気的に接続された電線とを備えている。ハウジングは、ハウジング本体と、ハウジング本体に取り付けられたリテーナとを有している。リテーナは、電線が挿通される挿通孔を有している。また、同コネクタは、電線の表面に取り付けられる温度センサを備えている。温度センサは、電線の温度を取得するためのセンサであり、電線表面とリテーナの挿通孔の内周面との間に組み付けられている。また、同コネクタは、温度センサが挿通孔から抜けるのを防止するための抜け止め部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタでは、電線径の設定が変わると、電線を挿通する挿通孔を含むリテーナの形状変更の形状変更が必要となる。すると、リテーナを成形するための金型の変更などの必要が生じ、製造コストの増加が大きくなってしまう。
【0005】
本開示の目的は、電線径の設計変更があってもハウジング側の形状変更を不要にすることを可能にしたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに収容されている端子と、前記端子に電気的に接続されている電線と、前記電線の表面に取り付けられるセンサ本体、及び前記センサ本体から延びるリード線を有する温度センサと、前記電線と前記センサ本体とを一括して覆う包囲部を有するホルダと、を備え、前記ハウジングは、前記電線が挿通される挿通孔を有し、前記包囲部は、前記挿通孔に挿入されており、前記包囲部は、前記挿通孔の内周面と前記電線との間、及び前記挿通孔の内周面と前記センサ本体との間に介在されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線径の設計変更があってもハウジング側の形状変更を不要にすることを可能にしたコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のコネクタが搭載された車両を示す模式図である。
【
図5】
図5は、同形態のコネクタの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同形態のリテーナの一部を示す正面図である。
【
図11】
図11は、同形態のコネクタにおける第1端子保持部及び第1端子を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、同形態のコネクタにおける第2端子保持部及び第2端子を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、同形態のコネクタにおける端子、電線、温度センサ及びホルダの分解斜視図である。
【
図14】
図14は、同形態のコネクタにおいて、電線に組み付けられた温度センサ及びホルダの側面図である。
【
図16】
図16は、同形態のコネクタにおけるホルダの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]ハウジングと、前記ハウジングに収容されている端子と、前記端子に電気的に接続されている電線と、前記電線の表面に取り付けられるセンサ本体、及び前記センサ本体から延びるリード線を有する温度センサと、前記電線と前記センサ本体とを一括して覆う包囲部を有するホルダと、を備え、前記ハウジングは、前記電線が挿通される挿通孔を有し、前記包囲部は、前記挿通孔に挿入されており、前記包囲部は、前記挿通孔の内周面と前記電線との間、及び前記挿通孔の内周面と前記センサ本体との間に介在されている。
【0010】
この構成によれば、電線径の設計変更があった場合、ハウジングの挿通孔の形状はそのままにしつつ、包囲部の径方向の厚さを変更するなどのホルダ側の形状変更によって対応可能である。従って、電線径の設計変更があってもハウジング側の形状変更を不要にすることが可能となる。なお、ホルダはハウジングよりもサイズを小さく構成可能であることから、ハウジング側の成形金型を変更する場合に比べてホルダの成形金型の変更する方がコストの増加を抑えることが可能となる。
【0011】
[2]前記包囲部は、前記センサ本体を前記電線の表面に押し付けるように前記挿通孔の内側に設けられている。
この構成によれば、センサ本体が包囲部によって電線の表面に押し付けられるため、センサ本体と電線の表面との間に隙間が生じにくい。これにより、センサ本体による電線の温度検知の精度を向上させることが可能となる。
【0012】
[3]前記包囲部は、第1分割体と、第2分割体と、を有し、前記第1分割体と前記第2分割体とは、前記電線と前記センサ本体とが重なり合う方向において、前記電線と前記センサ本体とを挟んでいる。この構成によれば、第1分割体と第2分割体とによって電線とセンサ本体とを挟むことで、センサ本体を電線の表面に押し付けることができる。
【0013】
[4]前記第1分割体は、第1係止部を有し、前記第2分割体は、第2係止部を有し、前記第1係止部が前記第2係止部に係止することにより、前記第1分割体と前記第2分割体とが互いに組み付いている。
【0014】
この構成によれば、第1分割体と第2分割体とで電線とセンサ本体とを一括して覆う状態で、第1係止部と第2係止部とにより第1分割体と第2分割体とを互いに組み付けることが可能となる。
【0015】
[5]前記包囲部は、前記挿通孔に挿入されていない状態において、前記第1分割体と前記第2分割体との間の距離を変化可能に構成されている。
この構成によれば、包囲部を挿通孔に組み付ける前の状態において、第1分割体と第2分割体との距離を、電線径とセンサ本体の厚さを足し合わせた寸法に対して余裕を持たせることが可能である。これにより、電線に組み付けられた第1分割体、第2分割体及び温度センサを電線の長さ方向に容易に移動可能な状態となる。また、包囲部を挿通孔に組み付けた状態においては、第1分割体と第2分割体とを互いに接近させることで、第1分割体と第2分割体とで電線及びセンサ本体を挟み込んで、センサ本体を電線の表面に押し付けることが可能となる。
【0016】
[6]前記包囲部は、前記センサ本体を保持する保持部を有し、前記保持部は、前記包囲部が前記挿通孔に挿入されていない状態において、前記センサ本体が前記包囲部から抜けないように保持している。
【0017】
この構成によれば、センサ本体を包囲部の保持部に保持させた状態で、ホルダを電線に対して組み付けることが可能となる。これにより、温度センサ及びホルダの組付作業性を向上させることが可能となる。
【0018】
[7]前記包囲部は、第1分割体と、第2分割体と、を有し、前記第1分割体と前記第2分割体とは、前記電線と前記センサ本体とが重なり合う方向において、前記電線と前記センサ本体とを挟んでおり、前記第1分割体は、前記保持部を有し、前記保持部は、前記第1分割体が前記第2分割体に組み付けられていない状態において、前記センサ本体が前記第1分割体に組み付いた状態を保持している。
【0019】
この構成によれば、第1分割体の保持部にセンサ本体を保持させた状態で、第1分割体及び第2分割体を電線に対して組み付けることが可能となる。これにより、温度センサ、第1分割体及び第2分割体の組付作業性を向上させることが可能となる。
【0020】
[8]前記電線は、複数設けられ、前記温度センサは、前記複数の電線にそれぞれ対応して複数設けられ、前記挿通孔は、前記複数の電線にそれぞれ対応して複数設けられ、前記包囲部は、前記複数の電線及び前記複数の温度センサに対応して複数設けられ、前記ホルダは、前記複数の包囲部を互いに連結する連結部を有している。
【0021】
この構成によれば、複数の包囲部が連結部によって互いに連結されているため、複数の包囲部をそれぞれ個別の部品とする場合に比べて、部品点数を少なくすることが可能である。
【0022】
[9]前記包囲部は、第3係止部を有し、前記挿通孔は、第4係止部を有し、前記第3係止部は、前記包囲部が前記挿通孔から抜ける方向において、前記第4係止部に係止可能である。
【0023】
この構成によれば、第3係止部と第4係止部との係止により、包囲部が挿通孔から抜け出ることを抑制することが可能である。また、包囲部が有する第3係止部によって包囲部の抜け止めが可能であるため、ホルダとは別の抜け止め部材による包囲部の抜け止めが不要となり、部品点数の増加を抑えることが可能となる。
【0024】
[10]前記コネクタは、前記電線と前記挿通孔との間に介在される第1シール部材を備え、前記端子は、前記電線が接続されている第1接続部を有し、前記第1シール部材は、前記第1接続部と前記ホルダとの間に設けられており、前記端子は、前記第1シール部材を前記電線の外周面に対して固定する固定部を有し、前記第1シール部材は、前記ホルダに対して離れて設けられている。
【0025】
この構成によれば、第1シール部材は、端子の固定部によって電線の外周面に対して固定されるため、第1シール部材を後方側から押さえて固定するための別部材が不要となる。その結果、部品点数の増加を抑えることが可能となる。なお、ホルダは第1シール部材から離れて設けられており、ホルダは第1シール部材を固定するための部材ではない。
【0026】
[11]前記コネクタは、前記第1接続部に接続されている前記電線の部位を覆う第2シール部材を備えている。
この構成によれば、第1接続部を覆う第2シール部材によって第1接続部の被水を抑制可能となる。また、この構成によれば、端子における第1接続部の前方側にゴム栓などを設けなくてもよいため、部品点数の増加を抑制することが可能となる。
【0027】
[12]前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体に取り付けられている保持部材と、を有し、前記保持部材は、前記端子を保持する端子保持部と、前記挿通孔と、を有している。この構成によれば、ハウジング本体に取り付けられる保持部材に端子を保持させることが可能となる。
【0028】
[13]前記端子は、前記電線が接続されている第1接続部と、相手端子に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられている第5係止部と、を有し、前記端子保持部は、前記第5係止部に係止する第6係止部を有する。この構成によれば、保持部材の第6係止部によって、端子を保持部材に安定して保持可能となる。
【0029】
[14]前記端子は、前記挿通孔に対し、前記保持部材の後方側から前方側に向かって組付可能である。
この構成によれば、電線に端子を組み付けた後、その電線付きの端子を保持部材に後方側から組み付けることが可能となる。このため、電線を保持部材に通した状態で電線と端子の組付作業を行う必要がなくなり、組付性の向上が可能となる。
【0030】
[15]前記第6係止部は、前記保持部材の後方側への前記端子の移動を規制する後方側係止部と、前記保持部材の前方側への前記端子の移動を規制する前方側係止部と、を含んでいる。
【0031】
この構成によれば、後方側係止部及び前方側係止部によって、保持部材の後方側及び前方側への端子の移動を規制することが可能となる。これにより、保持部材に端子をより安定して保持可能となる。
【0032】
[16]前記第5係止部は、前記端子から突出するフランジ状に形成され、前記後方側係止部は、前記第5係止部における後方側の側面に接触可能であり、前記前方側係止部は、前記第5係止部における前方側の側面に接触可能である。この構成によれば、後方側係止部及び前方側係止部とフランジ状の第5係止部との係止によって、保持部材の後方側及び前方側への端子の移動を規制することが可能となる。
【0033】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
【0034】
なお、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。また、本明細書の説明で使用される「環状」という用語は、ループを形成する任意の構造、または端部のない連続形状、並びに、C字形のようなギャップを有する、一般的にループ形状の構造を指すことがある。なお、「環状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0036】
図1に示す車両10は、例えば、電気自動車やプラグインハイブリッド車である。車両10は、充電インレット11と、充電器12と、バッテリ13と、パワーコントロールユニット14と、を含む。
【0037】
充電インレット11は、図示しない外部電源に接続された外部コネクタに接続可能である。充電器12は、充電インレット11及びバッテリ13に接続されている。充電器12は、例えば、充電インレット11から供給される交流電力を直流電力に変換して、バッテリ13に供給する。バッテリ13は、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池である。パワーコントロールユニット14は、インバータおよびコンバータを含む。パワーコントロールユニット14は、例えば、車輪駆動用の図示しないモータジェネレータを制御する。
【0038】
(コネクタ20の構成)
充電インレット11は、
図2、
図3及び
図4に示すコネクタ20を含む。コネクタ20は、ハウジング21と、ハウジング21に収容されている端子群22と、端子群22の各端子に電気的に接続されている電線23と、を備える。また、コネクタ20は、
図6に示すように、電線23に接する温度センサ24と、温度センサ24を保持するホルダ25と、を備える。
【0039】
図2に示すように、ハウジング21は、ハウジング本体26と、ハウジング本体26に取り付けられているリテーナ27と、を有している。
図5に示すように、ハウジング本体26は、開口部26aを有している。リテーナ27は、開口部26aを塞ぐようにハウジング本体26に固定される。なお、以下の説明では、リテーナ27において、ハウジング本体26に対向する側を前方側とし、その反対側を後方側とする。
【0040】
ハウジング本体26は、車両10の車体に取り付けられる取付部26bを有している。また、ハウジング本体26は、排水部26cを有している。排水部26cは、ハウジング本体26の内部とハウジング本体26の外部とを連通している。ハウジング本体26の内部に浸入した水は、排水部26cからハウジング本体26の外部に排出される。
【0041】
端子群22は複数の端子を有する。電線23は、端子群22の複数の端子にそれぞれ対応して複数設けられている。端子群22は、複数の第1端子22Aと、複数の第2端子22Bと、第3端子22Cとを含む。
図15に示すように、電線23は、芯線23aと、芯線23aを被覆する絶縁被覆23bを備える。芯線23aは、例えば、複数の素線が撚り合わされてなる撚り線である。
【0042】
図3及び
図5に示すように、第1端子22Aは、例えば2つ設けられている。第1端子22Aは、例えば、高圧電源に対応可能な端子である。第1端子22Aは、第2端子22Bよりも径が太く構成されている。2つの第1端子22Aの一方はプラス側の端子であり、もう一方はマイナス側の端子である。前記外部コネクタが充電インレット11に接続された状態において、各第1端子22Aは、前記外部電源に電気的に接続される。そして、第1端子22Aには、前記外部電源から電流が供給される。
【0043】
第2端子22Bは、例えば2つ設けられている。第2端子22Bは、信号線用の端子である。また、第3端子22Cは、例えば1つ設けられている。第3端子22Cは、アース線用の端子である。
【0044】
(第1端子22Aの構成)
図7に示すように、第1端子22Aは、金属板を折り曲げて形成されている金属部分31と、金属部分31に一体に設けられる樹脂部分32とを有している。樹脂部分32は、例えば、金属部分31をインサート品としたインサート成形によって形成されている。
【0045】
第1端子22Aは、第1接続部33と、第2接続部34と、第1端子側係止部35とを有している。第1接続部33及び第2接続部34は、金属部分31に設けられている。第1接続部33には、電線23が接続されている。第1接続部33は、例えば、かしめによる圧着や超音波溶接などによって電線23に接続されている。
【0046】
第2接続部34は相手端子T1に接続される。相手端子T1は、例えば、前記外部コネクタが有する端子である。前記外部コネクタが充電インレット11に接続されることで、相手端子T1が第2接続部34に接続される。第2接続部34における金属部分31は、金属板を折り曲げることにより、例えば中空の棒状に形成されている。
【0047】
第1端子22Aは、例えば、固定部36を有している。固定部36は、例えば、金属部分31に設けられている。固定部36は、後述する第1シール部材64aを、第1接続部33に接続された電線23の外周面に対して固定している。例えば、第2接続部34は第1端子22Aの一端側に設けられ、固定部36は第1端子22Aの他端側に設けられている。なお、以下の説明では、第1端子22Aにおいて、第2接続部34側を先端側とし、固定部36側を基端側とする。第1接続部33は、第2接続部34と固定部36との間に設けられている。
【0048】
第1端子側係止部35は、樹脂部分32に設けられている。第1端子側係止部35は、例えば、第2接続部34の基端部に隣接するように設けられている。第1端子側係止部35は、例えば、第2接続部34の外周面よりも外周側に突出するフランジ状をなす。第1端子側係止部35は、第1接続部33と第2接続部34との間に位置している。
【0049】
樹脂部分32は、例えば、先端保護部37を有している。先端保護部37は、第2接続部34の先端部に対する外部からの接触を抑制する。樹脂部分32において、先端保護部37と第1端子側係止部35とは、第2接続部34における金属部分31の内部を通じて一体に繋がっている。
【0050】
(第2端子22Bの構成)
図9及び
図12に示すように、第2端子22Bは、金属板を折り曲げて形成されている金属部分41を有している。
図9に示すように、第2端子22Bは、第1接続部43と、第2接続部44とを有している。第1接続部43及び第2接続部44は、金属部分41に設けられている。第1接続部43には、電線23が接続されている。第1接続部43は、例えば、かしめによる圧着や超音波溶接などによって電線23に接続されている。
【0051】
第2接続部44は相手端子T2に接続される。相手端子T2は、例えば、前記外部コネクタが有する端子である。前記外部コネクタが充電インレット11に接続されることで、相手端子T2が第2接続部44に接続される。第2接続部44は、金属板を折り曲げることにより、例えば中空の棒状に形成されている。
【0052】
図9及び
図10に示すように、第2端子22Bは、例えば、固定部46を有している。固定部46は、金属部分41に設けられている。固定部46は、後述する第1シール部材64bを、第1接続部43に接続された電線23の外周面に対して固定している。例えば、第2接続部44は第2端子22Bの一端側に設けられ、固定部46は第2端子22Bの他端側に設けられている。なお、以下の説明では、第2端子22Bにおいて、第2接続部44側を先端側とし、固定部46側を基端側とする。第1接続部43は、第2接続部44と固定部46との間に設けられている。
【0053】
図10に示すように、第2端子22Bは、例えば、突出壁47を有している。突出壁47は、金属部分41において、第1接続部43と第2接続部44との間に設けられている。突出壁47は、例えば、第2接続部44の長さ方向に直交する方向に突出する。また、第2端子22Bにおいて、突出壁47は、例えば、互いに対向するように2つ設けられている。第2端子22Bは、第2端子側係止部45を有している。第2端子側係止部45は、各突出壁47に設けられている。第2端子側係止部45は、例えば、突出壁47を貫通する孔である。
【0054】
なお、第3端子22Cは、例えば前記外部コネクタが有する相手端子に接続される。前記外部コネクタが充電インレット11に接続されることで、当該相手端子が第3端子22Cに接続される。
【0055】
(リテーナ27の構成)
図8に示すように、リテーナ27は、基部50と、第1端子22Aを保持する第1端子保持部51と、第2端子22Bを保持する第2端子保持部52と、を有している。基部50は、ハウジング本体26の
図5に示す開口部26aを塞ぐ。
図8に示すように、第1端子保持部51及び第2端子保持部52はそれぞれ、リテーナ27の前方側に延出している。第1端子保持部51は、複数の第1端子22Aにそれぞれ対応して複数設けられている。第2端子保持部52は、複数の第2端子22Bにそれぞれ対応して複数設けられている。また、
図11及び
図12に示すように、第1端子保持部51及び第2端子保持部52は、例えば筒状をなしている。
【0056】
図5に示すように、リテーナ27は、電線23が挿通される挿通孔53を有している。挿通孔53は、複数の電線23にそれぞれ対応して複数設けられている。一部の挿通孔53は、各第1端子保持部51と繋がっている。また、一部の挿通孔53は、各第2端子保持部52と繋がっている。なお、リテーナ27は、基部50からリテーナ27の後方側に延出する複数の筒状部54を有している。各筒状部54は、第1端子保持部51及び第2端子保持部52の後方側に設けられている。挿通孔53は、筒状部54の中空部である。また、挿通孔53は、基部50の後方側から前方側にわたり、筒状部54から第1端子保持部51まで形成されている。また、挿通孔53は、基部50の後方側から前方側にわたり、筒状部54から第2端子保持部52まで形成されている。
【0057】
(第1端子保持部51の構成)
図7に示すように、第1端子保持部51は、第1リテーナ側係止部55を有している。各第1リテーナ側係止部55は、第1端子側係止部35に係止する後方側係止部56と、第1端子側係止部35に係止する前方側係止部57とを含む。
【0058】
後方側係止部56は、第1端子側係止部35における後方側の側面に接触可能である。これにより、後方側係止部56は、リテーナ27の後方側への第1端子22Aの移動を規制可能である。また、後方側係止部56は、第1端子保持部51の径方向において撓むことが可能である。前方側係止部57は、第1端子側係止部35における前方側の側面に接触可能である。これにより、前方側係止部57は、リテーナ27の前方側への第1端子22Aの移動を規制可能である。第1端子側係止部35は、第2接続部34の長さ方向において、後方側係止部56と前方側係止部57とによって挟まれている。
【0059】
第1端子保持部51は、後方側係止部56の後方側に案内部58を有している。案内部58は、例えば、リテーナ27の前方側に向かって第1端子保持部51の内径側に変位する傾斜面である。案内部58は、第1端子22Aを挿通孔53から第1端子保持部51に挿入するときに、第1端子側係止部35を後方側係止部56に案内する。
【0060】
リテーナ27がハウジング本体26に取り付けられる前の状態において、第1端子22Aは、挿通孔53ならびに第1端子保持部51に対し、リテーナ27の後方側から前方側に向かって組み付けられる。第1端子22Aを第1端子保持部51に挿入する際、第1端子側係止部35が案内部58に接触することで、後方側係止部56が径方向外側に撓むようになっている。
【0061】
図8及び
図11に示すように、後方側係止部56は、例えば複数設けられている。本実施形態の後方側係止部56は、3つ設けられている。前方側係止部57は、例えば後方側係止部56と同数である。すなわち、本実施形態の前方側係止部57は、3つ設けられている。複数の後方側係止部56は、第1端子保持部51の周方向において互いに等間隔に設けられている。第1端子保持部51の周方向において、複数の前方側係止部57はそれぞれ、複数の後方側係止部56に対する180度反対位置に設けられている。
【0062】
図7に示すように、ハウジング本体26は、第1端子保持部51が嵌合される嵌合部26dを有している。嵌合部26dは、後方側係止部56の背面と接触している。後方側係止部56の背面は、後方側係止部56において第1端子22Aと対向する側とは反対側の側面である。嵌合部26dは、後方側係止部56が第1端子22Aから離れる方向への後方側係止部56の移動を規制する。すなわち、嵌合部26dは、後方側係止部56が第1端子側係止部35に係止する状態を保持している。
【0063】
(第2端子保持部52の構成)
図8及び
図10に示すように、第2端子保持部52は、弾性片61と、第2リテーナ側係止部62とを有している。弾性片61は、第2端子22Bの突出壁47にそれぞれ対応し、突出壁47と同数設けられている。すなわち、本実施形態の弾性片61は2つある。2つの弾性片61は、例えば互いに対向する位置に設けられている。また、2つの弾性片61は、例えば、互いに同一形状をなしている。弾性片61は、突出壁47に対向している。また、弾性片61は、突出壁47に対して接離する方向に撓むことが可能である。
【0064】
図10に示すように、第2リテーナ側係止部62は、弾性片61に設けられている。第2リテーナ側係止部62は、弾性片61から突出する凸部である。第2リテーナ側係止部62は、突出壁47に形成された孔である第2端子側係止部45に挿入されている。すなわち、第2リテーナ側係止部62は、第2端子側係止部45に係止されている。これにより、第2リテーナ側係止部62は、リテーナ27の前方側及び後方側への第2端子22Bの移動を規制可能である。
【0065】
弾性片61は、第2リテーナ側係止部62の後方側に案内部63を有している。案内部63は、例えば、リテーナ27の前方側に向かって第2端子保持部52の内径側に変位する傾斜面である。案内部63は、第2端子22Bを挿通孔53から第2端子保持部52に挿入するときに、第2端子側係止部45を第2リテーナ側係止部62に案内する。
【0066】
リテーナ27がハウジング本体26に取り付けられる前の状態において、第2端子22Bは、挿通孔53ならびに第2端子保持部52に対し、リテーナ27の後方側から前方側に向かって組み付けられる。第2端子22Bを第2端子保持部52に挿入する際、第2端子側係止部45が案内部63に接触することで、弾性片61が突出壁47から離れる方向に撓むようになっている。
【0067】
ハウジング本体26は、第2端子保持部52が嵌合される嵌合部26eを有している。嵌合部26eは、各弾性片61の背面と接触している。弾性片61の背面は、弾性片61において第2端子22Bと対向する側とは反対側の側面である。嵌合部26eは、弾性片61が第2端子22Bから離れる方向への弾性片61の移動を規制する。すなわち、嵌合部26eは、第2リテーナ側係止部62が第2端子側係止部45に係止する状態を保持している。
【0068】
(第1シール部材64a,64bの構成)
コネクタ20は、電線23と挿通孔53との間に介在される第1シール部材64a,64bを備えている。
【0069】
図7に示すように、第1シール部材64aは、第1端子保持部51に繋がっている挿通孔53に設けられている。第1シール部材64aは、例えばゴム栓である。第1シール部材64aは、第1接続部33よりも基端側に設けられている。第1シール部材64aは、例えば環状をなし、電線23の表面に取り付けられる。そして、第1シール部材64aの外周面は、挿通孔53の内周面に密着している。第1シール部材64aは、リテーナ27の後方側からの挿通孔53及び第1端子保持部51への水の浸入を抑制する。第1端子22Aの固定部36は、第1シール部材64aを電線23の表面に固定している。固定部36は、例えば、第1シール部材64aの一部を電線23の表面とで挟んでいる。
【0070】
図9に示すように、第1シール部材64bは、第2端子保持部52に繋がっている挿通孔53に設けられている。第1シール部材64bは、例えばゴム栓である。第1シール部材64bは、第1接続部43よりも基端側に設けられている。第1シール部材64bは、例えば環状をなし、電線23の表面に取り付けられる。そして、第1シール部材64bの外周面は、挿通孔53の内周面に密着している。第1シール部材64bは、リテーナ27の後方側からの挿通孔53及び第2端子保持部52への水の浸入を抑制する。第2端子22Bの固定部46は、第1シール部材64bを電線23の表面に固定している。固定部46は、例えば、第1シール部材64bの一部を電線23の表面とで挟んでいる。
【0071】
(第2シール部材65a,65bの構成)
コネクタ20は、例えば、第2シール部材65a,65bを備えている。
図7に示すように、第2シール部材65aは、第1端子22Aの第1接続部33に接続されている電線23の部位を覆っている。
図10に示すように、第2シール部材65bは、第2端子22Bの第1接続部43に接続されている電線23の部位を覆っている。
【0072】
電線23において、芯線23aの端部は、絶縁被覆23bから露出されている。そして、当該芯線23aの端部は、第1接続部33に接続されている。第2シール部材65a,65bは、芯線23aの端部を覆っている。第2シール部材65a,65bは、例えばシリコーン樹脂であり、滴下や塗布などによって芯線23aの端部に設けられる。第2シール部材65a,65bは、芯線23aの端部を線間止水する。すなわち、第2シール部材65a,65bは、芯線23aの端部における複数の素線の間に入り込んでいる。
【0073】
(温度センサ24の構成)
図7に示すように、温度センサ24は、センサ本体24aと、センサ本体24aから延びるリード線24bとを有している。センサ本体24aは、第1端子22Aに接続されている電線23の表面に取り付けられる。温度センサ24は、例えば、複数の第1端子22Aにそれぞれ対応して複数設けられている。すなわち、本実施形態の温度センサ24は2つある。
【0074】
なお、温度センサ24としては、例えば、NTCサーミスタや、PTCサーミスタや、PTセンサなどを用いることができる。センサ本体24aは、リード線24bに接続された図示しないセンサ素子が例えば樹脂製のハウジングに収容されて構成されている。センサ本体24aは、例えば略直方体状をなす。前記センサ素子は、温度変化に応じた信号を、リード線24bを介して出力する。リード線24bは、前記センサ素子からの信号に基づいてバッテリ13の充電に関する制御を行う図示しない制御部に電気的に接続される。
【0075】
(ホルダ25の構成)
ホルダ25は、リテーナ27に組み付けられている。ホルダ25は、センサ本体24aを電線23に接触する状態で保持する。
【0076】
ホルダ25は、センサ本体24aを保持する包囲部71を有している。包囲部71は、例えば、複数の第1端子22Aにそれぞれ対応して複数設けられている。すなわち、本実施形態の包囲部71は2つある。また、ホルダ25は、例えば、複数の包囲部71を互いに連結する連結部72を有している。ホルダ25は、例えば、合成樹脂にて構成される射出成形品である。
【0077】
図7に示すように、包囲部71は、電線23と、その電線23の表面に接触しているセンサ本体24aとを一括して覆っている。包囲部71は、第1端子保持部51に繋がっている挿通孔53に挿入されている。包囲部71の周方向の一部は、挿通孔53の内周面とセンサ本体24aとの間に介在されている。また、包囲部71の周方向の一部は、挿通孔53の内周面と電線23との間に介在されている。また、包囲部71は、電線23の長さ方向において、第1シール部材64aに対して離れて設けられている。
【0078】
図13及び
図14に示すように、包囲部71は、第1分割体73と、第2分割体74とを有している。第1分割体73と第2分割体74とは、電線23とセンサ本体24aとが重なり合う方向において、電線23とセンサ本体24aとを挟んでいる。
【0079】
第1分割体73は、第1係止部75を有している。複数の第1分割体73の各々は、例えば一対の第1係止部75を有している。第2分割体74は、第2係止部76を有している。複数の第2分割体74の各々は、例えば一対の第2係止部76を有している。そして、第1係止部75が第2係止部76に係止することにより、第1分割体73と第2分割体74とが互いに組み付いている。また、第1分割体73と第2分割体74とが互いに組み付く状態において、第1分割体73と第2分割体74とで電線23とセンサ本体24aとを一括して覆っている。
【0080】
図14及び
図15に示すように、包囲部71は、挿通孔53に挿入されていない状態において、第1分割体73と第2分割体74との間の距離を変化可能に構成されている。具体的には、第1分割体73と第2分割体74とが互いに接する状態において、第1係止部75と第2係止部76との間に間隙Sが設定されている。第1分割体73と第2分割体74との間隔は、間隙Sの寸法分だけ変更することが可能である。
【0081】
包囲部71は、例えば、センサ本体24aを保持するセンサ保持部81を有している。センサ保持部81は、例えば、第1分割体73に形成されている。センサ保持部81は、第1分割体73が第2分割体74に組み付けられていない状態において、センサ本体24aが第1分割体73に組み付いた状態を保持している。センサ保持部81は、例えば、センサ本体24aの下面を支持可能な一対の爪部82を有している。第1分割体73が第2分割体74に組み付けられていない状態において、各爪部82は、第1分割体73からセンサ本体24aが脱落することを抑制している。
図15及び
図16に示すように、第2分割体74は、例えば、圧接凸部74aを有している。圧接凸部74aは、第1分割体73のセンサ保持部81に対向する位置に設けられている。圧接凸部74aは、電線23の絶縁被覆23bに圧接する。
【0082】
図16に示すように、連結部72は、第1分割連結部83と、第2分割連結部84とを有している。第1分割連結部83は、一対の第1分割体73同士を連結している。各第1分割体73及び第1分割連結部83は、例えば1つの部品で構成されている。第2分割連結部84は、一対の第2分割体74同士を連結している。各第2分割体74及び第2分割連結部84は、例えば1つの部品で構成されている。
【0083】
第1分割連結部83は、位置決め凸部83aを有している。位置決め凸部83aは、第2分割連結部84が有する位置決め凹部84aに嵌合される。また、第2分割連結部84は、位置決め凸部84bを有している。位置決め凸部84bは、第1分割連結部83が有する位置決め凹部83bに嵌合される。
【0084】
図13に示すように、第1分割連結部83は、第1電線保持部83cを有している。第2分割連結部84は、第2電線保持部84cを有している。第1電線保持部83cと第2電線保持部84cとは互いに対向している。
図6に示すように、第1電線保持部83cと第2電線保持部84cとは、第3端子22Cに接続されている電線23の外周を囲っている。これにより、第1電線保持部83c及び第2電線保持部84cは、第3端子22Cに接続されている電線23を保持している。
【0085】
図7に示すように、包囲部71は挿通孔53に挿入されている。包囲部71は、第3係止部85を有している。第3係止部85は、例えば包囲部71の外周面から突出する凸部である。第3係止部85は、例えば、第1分割体73及び第2分割体74のそれぞれに設けられている。一方、挿通孔53は、第4係止部53aを有している。第4係止部53aは、第1分割体73の第3係止部85及び第2分割体74の第3係止部85のそれぞれに対応して複数設けられている。第4係止部53aは、例えば、凸部である第3係止部85が挿入される凹部である。そして、各第3係止部85は、包囲部71が挿通孔53から抜ける方向において、各第4係止部53aに係止可能である。
【0086】
本実施形態のコネクタ20の組付態様及びその作用について説明する。
まず、第1端子22A、第2端子22B及び第3端子22Cを含む端子群22に、電線23を接続する。このとき、電線23には第1シール部材64a,64bが取り付けられている。第1端子22Aでは、電線23における芯線23aの端部を第1接続部33に例えば圧着させる。また、第1接続部33には、第2シール部材65aによる例えば電線23の線間止水が施される。また、固定部36をかしめることで第1シール部材64aを電線23に固定する。第2端子22Bでは、電線23における芯線23aの端部を第1接続部43に例えば圧着させる。また、第1接続部43には、第2シール部材65bによる例えば電線23の線間止水が施される。また、固定部46をかしめることで第1シール部材64bを電線23に固定する。
【0087】
次に、第1端子22A、第2端子22B及び第3端子22Cをリテーナ27に組み付ける。このとき、第1端子22A及び第2端子22Bの各々は、リテーナ27の後方側から前方側に向かって、挿通孔53に挿入される。これにより、第1端子22Aが第1端子保持部51に取り付けられ、第2端子22Bが第2端子保持部52に取り付けられる。
【0088】
次に、ホルダ25及び温度センサ24を電線23に組み付ける。ここでは、まず、センサ本体24aを第1分割体73のセンサ保持部81に組み付ける。次に、第1分割体73と第2分割体74とを、第1端子22Aに接続されている電線23を挟みつつ互いに組み付ける。なお、この状態では、第1分割体73と第2分割体74との間の距離は変更可能である。
【0089】
次に、電線23に組み付いているホルダ25及び温度センサ24をリテーナ27に組み付ける。このとき、包囲部71、及び包囲部71の内部に保持されたセンサ本体24aを、電線23に沿って挿通孔53側に移動させる。ここで、第1分割体73と第2分割体74との間の距離に余裕を持たせておくことで、包囲部71及びセンサ本体24aを容易に移動させることができる。また、このとき、ホルダ25と温度センサ24とを一体に移動させるため、ホルダ25と電線23との間にリード線24bが噛み込むことを抑制できる。そして、包囲部71を挿通孔53に挿入して、包囲部71の第3係止部85を挿通孔53の第4係止部53aに係止させる。包囲部71が挿通孔53に挿入された状態では、包囲部71の外周面と挿通孔53の内周面とは接しており、これにより、第1分割体73と第2分割体74とが互いに接する状態となる。そして、第1分割体73と第2分割体74とで電線23とセンサ本体24aが挟まれる。これにより、センサ本体24aが電線23の表面に押し付けられる。
【0090】
次に、リテーナ27をハウジング本体26に組み付ける。このとき、第1端子保持部51がハウジング本体26の嵌合部26dに嵌合され、第2端子保持部52がハウジング本体26の嵌合部26eに嵌合される。
【0091】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ホルダ25の包囲部71は、挿通孔53の内周面と電線23との間、及び挿通孔53の内周面とセンサ本体24aとの間に介在されている。この構成によれば、電線23の径の設計変更があった場合、ハウジング21の挿通孔53の形状はそのままにしつつ、包囲部71の径方向の厚さを変更するなどのホルダ25側の形状変更によって対応可能である。従って、電線23の径の設計変更があってもハウジング21側の形状変更を不要にすることが可能となる。なお、ホルダ25はハウジング21よりもサイズを小さく構成可能であることから、ハウジング21側の成形金型を変更する場合に比べてホルダ25の成形金型の変更する方がコストの増加を抑えることが可能となる。
【0092】
(2)包囲部71は、センサ本体24aを電線23の表面に押し付けるように挿通孔53の内側に設けられている。この構成によれば、センサ本体24aが包囲部71によって電線23の表面に押し付けられるため、センサ本体24aと電線23の表面との間に隙間が生じにくい。これにより、センサ本体24aによる電線23の温度検知の精度を向上させることが可能となる。
【0093】
(3)包囲部71は、第1分割体73と、第2分割体74と、を有している。第1分割体73と第2分割体74とは、電線23とセンサ本体24aとが重なり合う方向において、電線23とセンサ本体24aとを挟んでいる。この構成によれば、第1分割体73と第2分割体74とによって電線23とセンサ本体24aとを挟むことで、センサ本体24aを電線23の表面に押し付けることができる。
【0094】
(4)第1分割体73は、第1係止部75を有している。第2分割体74は、第2係止部76を有している。そして、第1係止部75が第2係止部76に係止することにより、第1分割体73と第2分割体74とが互いに組み付いている。この構成によれば、第1分割体73と第2分割体74とで電線23とセンサ本体24aとを一括して覆う状態で、第1係止部75と第2係止部76とにより第1分割体73と第2分割体74とを互いに組み付けることが可能となる。
【0095】
(5)包囲部71は、挿通孔53に挿入されていない状態において、第1分割体73と第2分割体74との間の距離を変化可能に構成されている。この構成によれば、包囲部71を挿通孔53に組み付ける前の状態において、第1分割体73と第2分割体74との距離を、電線23の径とセンサ本体24aの厚さを足し合わせた寸法に対して余裕を持たせることが可能である。これにより、電線23に組み付けられた第1分割体73、第2分割体74及び温度センサ24を電線23の長さ方向に容易に移動可能な状態となる。また、包囲部71を挿通孔53に組み付けた状態においては、第1分割体73と第2分割体74とを互いに接近させることで、第1分割体73と第2分割体74とで電線23及びセンサ本体24aを挟み込んで、センサ本体24aを電線23の表面に押し付けることが可能となる。
【0096】
(6)包囲部71は、センサ本体24aを保持するセンサ保持部81を有している。センサ保持部81は、包囲部71が挿通孔53に挿入されていない状態において、センサ本体24aが包囲部71から抜けないように保持している。この構成によれば、センサ本体24aを包囲部71のセンサ保持部81に保持させた状態で、ホルダ25を電線23に対して組み付けることが可能となる。これにより、温度センサ24及びホルダ25の組付作業性を向上させることが可能となる。
【0097】
(7)センサ保持部81は、第1分割体73に形成されている。センサ保持部81は、第1分割体73が第2分割体74に組み付けられていない状態において、センサ本体24aが第1分割体73に組み付いた状態を保持している。この構成によれば、第1分割体73のセンサ保持部81にセンサ本体24aを保持させた状態で、第1分割体73及び第2分割体74を電線23に対して組み付けることが可能となる。これにより、温度センサ24、第1分割体73及び第2分割体74の組付作業性を向上させることが可能となる。
【0098】
(8)電線23は、複数設けられている。温度センサ24は、複数の電線23にそれぞれ対応して複数設けられている。挿通孔53は、複数の電線23にそれぞれ対応して複数設けられている。包囲部71は、複数の電線23及び複数の温度センサ24に対応して複数設けられている。そして、ホルダ25は、複数の包囲部71を互いに連結する連結部72を有している。この構成によれば、複数の包囲部71が連結部72によって互いに連結されているため、複数の包囲部71をそれぞれ個別の部品とする場合に比べて、部品点数を少なくすることが可能である。
【0099】
(9)包囲部71は、第3係止部85を有している。挿通孔53は、第4係止部53aを有している。そして、第3係止部85は、包囲部71が挿通孔53から抜ける方向において、第4係止部53aに係止可能である。この構成によれば、第3係止部85と第4係止部53aとの係止により、包囲部71が挿通孔53から抜け出ることを抑制することが可能である。また、包囲部71が有する第3係止部85によって包囲部71の抜け止めが可能であるため、ホルダ25とは別の抜け止め部材による包囲部71の抜け止めが不要となり、部品点数の増加を抑えることが可能となる。
【0100】
(10)コネクタ20は、電線23と挿通孔53との間に介在される第1シール部材64aを備えている。第1シール部材64aは、第1接続部33とホルダ25との間に設けられている。第1端子22Aは、第1シール部材64aを電線23の外周面に対して固定する固定部36を有している。そして、第1シール部材64aは、ホルダ25に対して離れて設けられている。この構成によれば、第1シール部材64aは、第1端子22Aの固定部36によって電線23の外周面に対して固定されるため、第1シール部材64aを後方側から押さえて固定するための別部材が不要となる。その結果、部品点数の増加を抑えることが可能となる。なお、ホルダ25は第1シール部材64aから離れて設けられており、ホルダ25は第1シール部材64aを固定するための部材ではない。また、第1シール部材64aが第1端子22Aに固定されることにより、電線23の長さ方向における第1シール部材64aの位置決めが可能となる。
【0101】
(11)コネクタ20は、第1端子22Aの第1接続部33に接続されている電線23の部位を覆う第2シール部材65aを備えている。また、コネクタ20は、第2端子22Bの第1接続部43に接続されている電線23の部位を覆う第2シール部材65bを備えている。この構成によれば、各第2シール部材65a,65bによって各第1接続部33,43の被水を抑制可能となる。また、この構成によれば、第1接続部33,43の前方側にゴム栓などを設けなくてもよいため、部品点数の増加を抑制することが可能となる。
【0102】
(12)ハウジング21は、ハウジング本体26と、ハウジング本体26に取り付けられているリテーナ27と、を有している。リテーナ27は、第1端子22Aを保持する第1端子保持部51と、第2端子22Bを保持する第2端子保持部52と、挿通孔53と、を有している。この構成によれば、ハウジング本体26に取り付けられているリテーナ27に第1端子22A及び第2端子22Bを保持させることが可能となる。
【0103】
(13)第1端子22Aは、電線23が接続されている第1接続部33と、相手端子T1に接続される第2接続部34と、第1接続部33と第2接続部34との間に設けられている第1端子側係止部35と、を有している。そして、第1端子保持部51は、第1端子側係止部35に係止する第1リテーナ側係止部55を有する。この構成によれば、リテーナ27をハウジング本体26に組み付ける前の状態においても、第1リテーナ側係止部55によって、第1端子22Aをリテーナ27に安定して保持可能となる。
【0104】
また、第2端子22Bは、電線23が接続されている第1接続部43と、相手端子T2に接続される第2接続部44と、第1接続部43と第2接続部44との間に設けられている第2端子側係止部45と、を有している。そして、第2端子保持部52は、第2端子側係止部45に係止する第2リテーナ側係止部62を有する。この構成によれば、リテーナ27をハウジング本体26に組み付ける前の状態においても、第2リテーナ側係止部62によって、第2端子22Bをリテーナ27に安定して保持可能となる。
【0105】
(14)端子群22は、挿通孔53に対し、リテーナ27の後方側から前方側に向かって組付可能である。この構成によれば、端子群22に電線23を組み付けた後、その電線23付きの端子群22をリテーナ27に後方側から組み付けることが可能となる。このため、電線23をリテーナ27に通した状態で電線23と端子群22の組付作業を行う必要がなくなり、組付性の向上が可能となる。
【0106】
(15)第1リテーナ側係止部55は、リテーナ27の後方側への第1端子22Aの移動を規制する後方側係止部56と、リテーナ27の前方側への第1端子22Aの移動を規制する前方側係止部57と、を含んでいる。この構成によれば、後方側係止部56及び前方側係止部57によって、リテーナ27の後方側及び前方側への第1端子22Aの移動を規制することが可能となる。これにより、リテーナ27に第1端子22Aをより安定して保持可能となる。
【0107】
(16)第1端子側係止部35は、第1端子22Aから突出するフランジ状に形成されている。後方側係止部56は、第1端子側係止部35における後方側の側面に接触可能である。そして、前方側係止部57は、第1端子側係止部35における前方側の側面に接触可能である。この構成によれば、後方側係止部56及び前方側係止部57とフランジ状の第1端子側係止部35との係止によって、リテーナ27の後方側及び前方側への第1端子22Aの移動を規制することが可能となる。
【0108】
(17)第1リテーナ側係止部55は、第1端子側係止部35との係止により、リテーナ27の前方側及び後方側への第1端子22Aの移動を規制している。これにより、リテーナ27をハウジング本体26に組み付ける前の状態においても、第1端子22Aをリテーナ27により安定して保持可能となる。
【0109】
また、第2リテーナ側係止部62は、第2端子側係止部45との係止により、リテーナ27の前方側及び後方側への第2端子22Bの移動を規制している。これにより、リテーナ27をハウジング本体26に組み付ける前の状態においても、第2端子22Bをリテーナ27により安定して保持可能となる。
【0110】
(18)第2端子22Bは、金属板を折り曲げて形成されている金属部分41を有している。第1接続部43及び第2接続部44は、金属部分41に設けられている。また、第1端子22Aは、金属板を折り曲げて形成されている金属部分31を有している。第1接続部33及び第2接続部34は、金属部分31に設けられている。この構成によれば、第1端子22A及び第2端子22Bを金属板の折り曲げによって形成することができる。
【0111】
(19)第2端子側係止部45は、第2端子22Bの金属部分41に設けられている。この構成によれば、第2端子側係止部45を第2端子22Bの金属部分41に形成することができる。
【0112】
(20)第2端子側係止部45は孔であり、第2リテーナ側係止部62は、第2端子側係止部45に挿入されている凸部である。この構成によれば、第2端子22Bの金属部分41に設けられている第2端子側係止部45とリテーナ27の凸部である第2リテーナ側係止部62との係止によって、第2端子22Bの移動を好適に規制することが可能となる。
【0113】
(21)第2端子22Bは、第2接続部44の長さ方向に交差する方向に突出する突出壁47を有している。そして、第2端子側係止部45は、突出壁47を貫通する孔である。この構成によれば、突出壁47に設けられている孔である第2端子側係止部45と、リテーナ27の凸部である第2リテーナ側係止部62との係止によって、第2端子22Bの移動を好適に規制することが可能となる。
【0114】
(22)第1端子22Aは、金属部分31に一体に設けられる樹脂部分32を有している。そして、第1端子側係止部35は樹脂部分32に設けられている。この構成によれば、第1端子側係止部35を第1端子22Aの樹脂部分32に形成することができる。
【0115】
(23)第2端子22Bにおいて第1接続部43に対する第2接続部44側を先端側としたとき、第1シール部材64bは、第1接続部43よりも基端側に設けられている。そして、第2端子22Bは、第1シール部材64bを電線23の外周面に対して固定する固定部46を有している。この構成によれば、第1シール部材64bが第2端子22Bに固定されることにより、電線23の長さ方向における第1シール部材64bの位置決めが可能となる。
【0116】
(24)リテーナ27は、第1端子22Aを挿通孔53に挿入するときに第1端子側係止部35を後方側係止部56に案内する案内部58を有している。また、リテーナ27は、第2端子22Bを挿通孔53に挿入するときに第2端子側係止部45を第2リテーナ側係止部62に案内する案内部63を有している。この構成によれば、案内部58,63によって、第1端子22A及び第2端子22Bの組付作業性を向上させることが可能となる。
【0117】
(25)案内部58,63は、リテーナ27の前方側に向かって挿通孔53の内径側に変位する傾斜面である。この構成によれば、傾斜面である案内部58,63によって、第1端子22A及び第2端子22Bの組付作業性をより好適に向上させることが可能となる。
【0118】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1端子22Aの数及び第2端子22Bの数は、上記実施形態に限定されるものではなく、コネクタ20の構成に応じて適宜変更可能である。
【0119】
・第1端子22A及び第2端子22Bにおいて、金属部分31,41は金属板を折り曲げて形成されるが、これに限らず、金属部分31,41が切削によって形成されるものであってもよい。
【0120】
・上記実施形態の第1リテーナ側係止部55において、前方側係止部57を省略してもよい。
・第1端子側係止部35の形状などの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、第1端子側係止部35が樹脂部分32に設けられているが、これに限らず、第1端子側係止部35を金属部分31に設けてもよい。
【0121】
・第2端子側係止部45の形状などの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、第2端子側係止部45は孔であり、第2リテーナ側係止部62は、第2端子側係止部45に挿入されている凸部であるが、これに限定されず、第2端子側係止部45と第2リテーナ側係止部62の凹凸関係を逆にしてもよい。また、第2端子側係止部45は貫通孔に限定されるものではなく、貫通していない凹部としてもよい。また、突出壁47の突出方向は、第2接続部44の長さ方向に直交する方向に限定されず、突出壁47の突出方向は、第2接続部44の長さ方向に交差する方向であればよい。
【0122】
・上記実施形態の包囲部71において、第1分割体73と第2分割体74とが例えばヒンジ部を介して一体に繋がる構成とし、第1分割体73が当該ヒンジ部を中心として回動可能な構成としてもよい。
【0123】
・上記実施形態では、包囲部71は第1分割体73と第2分割体74の2つの部品にて構成されるが、これに限らず、包囲部71を1つの部品で構成してもよい。
・上記実施形態のホルダ25は、第3端子22Cに接続されている電線23を保持可能に構成されるが、これに限らず、当該電線23を保持しない構成であってもよい。
【0124】
・上記実施形態のホルダ25では、複数の包囲部71が連結部72によって互いに連結されているが、これに限らず、ホルダ25から連結部72を省略し、複数の包囲部71同士が互いに繋がっていない構成としてもよい。
【0125】
・上記実施形態のセンサ保持部81において爪部82を省略してもよい。
・上記実施形態の包囲部71において、挿通孔53に挿入されていない状態で、第1分割体73と第2分割体74との間の距離を変化できないように構成してもよい。
【0126】
・上記実施形態では、互いに係止される第3係止部85及び第4係止部53aにおいて、第3係止部85を凸部とし、第4係止部53aを凹部としたが、これに限定されず、第3係止部85と第4係止部53aの凹凸関係を逆にしてもよい。
【0127】
・上記実施形態では、包囲部71が第1シール部材64aに対して離れて設けられているが、これに限らず、包囲部71が第1シール部材64aに接していてもよい。
・上記実施形態のコネクタ20は、車両10の充電インレット11に用いられるが、これに限らず、車両10における充電インレット11以外の装置に用いることが可能である。
【0128】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0129】
10 車両
11 充電インレット
12 充電器
13 バッテリ
14 パワーコントロールユニット
20 コネクタ
21 ハウジング
22 端子群
22A 第1端子
22B 第2端子
22C 第3端子
23 電線
23a 芯線
23b 絶縁被覆
24 温度センサ
24a センサ本体
24b リード線
25 ホルダ
26 ハウジング本体
26a 開口部
26b 取付部
26c 排水部
26d 嵌合部
26e 嵌合部
27 リテーナ(保持部材)
31 金属部分
32 樹脂部分
33 第1接続部
34 第2接続部
35 第1端子側係止部(第5係止部)
36 固定部
37 先端保護部
41 金属部分
43 第1接続部
44 第2接続部
45 第2端子側係止部
46 固定部
47 突出壁
50 基部
51 第1端子保持部(端子保持部)
52 第2端子保持部
53 挿通孔
53a 第4係止部
54 筒状部
55 第1リテーナ側係止部(第6係止部)
56 後方側係止部
57 前方側係止部
58 案内部
61 弾性片
62 第2リテーナ側係止部
63 案内部
64a 第1シール部材
64b 第1シール部材
65a 第2シール部材
65b 第2シール部材
71 包囲部
72 連結部
73 第1分割体
74 第2分割体
74a 圧接凸部
75 第1係止部
76 第2係止部
81 センサ保持部
82 爪部
83 第1分割連結部
83a 位置決め凸部
83b 位置決め凹部
83c 第1電線保持部
84 第2分割連結部
84a 位置決め凹部
84b 位置決め凸部
84c 第2電線保持部
85 第3係止部
S 間隙
T1 相手端子
T2 相手端子